本発明は、DNA配列決定及びその他の型の生物学的又は遺伝学的分析のための方法並びにシステムを提供する。本発明は、電子的配列決定によることを含んで、クローンDNA集団又は単分子DNAのアレイを配列決定するための方法及びシステムを提供し、それにより低コストで簡便な配列決定プラットフォームを提供する。いくつかの態様では、本発明は、DNAのクローン集団の配列決定中の位相エラーをモニタリング及び/又は修正する方法を提供し、それにより正確性及び読み取り長さを改善する。あるいは、本発明は、DNAの単分子を配列決定するための方法及びセンサを提供し、それによりこのような位相エラーを回避する。他の態様では、本発明は、大量並列反応のための磁性アレイを含むアレイ及び仮想リアクタを提供する。これらのシステムは、いくつかの実施形態では、DNA配列決定中のヌクレオチドの組み込みを含む生物学的反応又は相互作用を検出するためのナノセンサを含む。さらに、本発明は、DNA試料を増幅及び配列決定するための一体型システムを提供する。
配列決定位相エラーのモニタリング及び修正
本明細書で用いる場合、「位相エラー」は、クローン集団のうちのいくつかの鋳型ポリヌクレオチドがコンセンサス状態よりも多く又は少なく伸長されることが出現することと定義される。コンセンサスと比べて付加されるべきでないところに塩基が付加された断片について、この位相エラーは、「進み」とみなされる。コンセンサスと比べて付加されるべきところに塩基が付加されていない他の鋳型分子について、ポリヌクレオチドは、「遅れ」とみなされる。ポリメラーゼは完全でないので、いくらかの位相エラーは、コロニーベースの配列決定プロセスの一部として長い伸長反応を有するコロニー内で不可避である。位相エラーは、市販のクローン配列決定システムの読み取り長さを制限する。
「進み配列決定組み込みエラー」は、ヌクレオチドの誤った付加により、優占配列より進んだ配列のことをいう。誤った付加は、特に高濃度のdNTPを非競合反応において用いる場合のポリメラーゼのエラーに起因することがある。あるいは、進み配列決定組み込みエラーは、不適切な洗浄又はdNTPの非特異的結合(これらは、次いで、遊離されて組み込まれることがある)に起因することがある。「遅れ配列決定組み込みエラー」は、正しいヌクレオチドを付加し損なうこと(これは、非最適反応条件、立体障害、2次構造又はポリメラーゼ阻害のその他の原因により生じることがある)により、優占配列から遅れた配列のことをいう。より長いサイクル時間は、誤ったヌクレオチドを組み込むより多くの機会をポリメラーゼに与えることができる。同様に、アクセスしにくいDNAは、正しいヌクレオチドを組み込む不適切な機会をもたらすことがある。温度、工程時間、ポリメラーゼ選択、ヌクレオチド濃度、塩濃度及び緩衝液選択を最適化して、組み込みエラーを最小限にすることが予想される。
例えば、DNA試料は、プライマーと相補性の領域の後の第1領域中にTGTTCの配列を有することがある。流体サイクルは、間に洗浄工程を散在させて、dCTPをまず導入し、次にdTTP、3番目にdATP、そして4番目にdGTPを導入できる。流体サイクルの第1部では、前記第1サイクルの一部として流動するdCTP分子は、ウェル構造から適正に洗い出されないことがある。流体サイクルの第2部では、前記第2サイクルの一部として流動するdTTP分子は、ウェル構造から適正に洗い出されないことがある。第1流体サイクルの第1及び第2部中に、dNTPは組み込まれるべきでない。流体サイクルの第3部中に、dATPが導入され、かつ組み込まれることがある。なぜなら、dATPは、試料の1番目の塩基であるTと相補的であるからである。非特異的に結合しなくなった任意の非特異的結合dCTP分子も、流体サイクルのこの第3部中に組み込まれることがある。これらの非結合dCTP分子は、dATP分子が組み込まれた後に組み込まれることがある。dCTP分子が組み込まれた後に、さらに2つのdATP分子がその後組み込まれることがあり、このことにより、単クローンビーズのいくつかの分子が進み配列決定位相エラーを有することがある。よって、単クローンビーズのいくつかの分子は、「位相不一致」になることがある。
1回に単一ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体をポリメラーゼに対して与える場合、4ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体全てを与えるよりもエラー率が典型的に著しく高い。このことは、kpol/Kd,appとして測定される触媒効率(これは、ミスマッチヌクレオチド対マッチするヌクレオチドについて4対数以上低い場合がある)の莫大な差にもかかわらず生じることがある。このことは、ほとんど、Kd,appの差が原因である。例えば、クレノーポリメラーゼは、106〜108塩基ごとに1塩基の誤組み込み率を有する。これに対して、単一天然dNTPの組み込みを利用する現在の商業的システムによるポリメラーゼ伸長反応は、100〜1000塩基に制限されることがある。これらのシステムにおけるポリメラーゼは、塩基を誤取り込みしようと試みることにほとんど全ての時間を費やし、著しい「進み」位相エラーを導く。あるいは、位相散逸は、ポリメラーゼが存在しないことにより組み込み流体流動サイクルにおいて塩基を組み込まないポリメラーゼと、その後、後続組み込み流体流動サイクルにおいてポリメラーゼが存在することとに起因するか、又は塩基が組み込まれないようなdNTP濃度と組み込みのための時間との十分に低い組み合わせに起因することがあり、「遅れ」位相エラーをもたらす。システムに加えられるヌクレオチドが付加される次のヌクレオチドである場合でさえ、反応時間は、8以上のヌクレオチドであり得るホモポリマー又は立体障害によりアクセスしにくい場合があるDNA鎖についての反応を完了するために十分に長くなければならない。
一態様では、本発明は、並列又はクローンポリヌクレオチド配列決定のための方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、鋳型ポリヌクレオチド集団の第1部分を配列決定する工程と、位相エラーを修正する工程とを含む。配列決定は、次いで、標的ポリヌクレオチド集団の第2下流部分へと継続する。様々な実施形態では、配列決定は、ポリヌクレオチド集団のアレイのクローン配列決定(例えばビーズアレイ)、ヌクレオチド組み込みの電子的検出及び配列決定反応構成成分を単離若しくは濃縮するための電子的ウェルの1又は複数を含み得る。様々な実施形態では、本発明は、進み及び遅れ位相をともにモニタリング及び修正するための方法を提供し、本明細書に記載する様々なアプローチは、個別に又は任意の組み合わせで用いてよい。
本明細書で用いる場合、「クローン」は、ビーズ又は粒子の集団の実質的に全てが同じ鋳型核酸配列のものであり得ることを意味する。いくつかの実施形態では、「メイトペア」、「ペアエンド」又はその他の同様の方法論のために所望されるような単一試料DNA断片に付随する2つの集団が存在することがある。集団は、ほぼ同様の数でビーズ又は粒子上に存在し、ビーズ又は粒子にわたってランダムに分布されてよい。
いくつかの実施形態では、他で通常行われるのとは異なる順序での組み込みヌクレオチドによる配列決定を提供することにより、コロニーが再位相整合される。例えば、システムが、例えば20塩基が組み込まれた後に塩基あたり単純1%遅れエラー(そして、4つの異なる全ての塩基は類似の遅れエラー率を有する)の遅れ位相エラー(進み位相エラーに対向して)を主に有するならば、コロニーのメンバーのうち75%を少し超えるものが同相であり、20%を超えるものが単塩基の遅れであり得る。70塩基が配列決定されるときまでに、コロニーのメンバーの半数未満が同相であり、35%が単塩基の遅れであり、13%が2塩基の遅れであり、3%が3塩基の遅れである。よって、理想的位置を太字で示す以下の例示的組み込み配列の例(...CGATCGATCGA)について、コロニーの50%は、4番目の塩基(T)にて同相であり、35%は、1塩基の遅れ(A)であり、13%は、2塩基の遅れ(G)であり、3%は、3塩基の遅れ(C)である。塩基の組み込みの以前の順序がCGATであり、Cが提供されるならば、遅れエラーは継続し、わずかに増加する。あるいはCが除かれて次に提供される塩基がGであるならば、先導塩基は伸長されず、1番目のGにて2塩基遅れているコロニーの部分が伸長される。Aが次に提供されるならば、コロニーのほとんどが同相になる。C以外の3塩基の組み合わせ、例えばGATが1又は複数回提供されるならば、いずれの位相エラーもC塩基に集中する。統計的に、いくらかの配列が結果としてより多く位相不一致になり得るが、ほとんどの配列は、より多く同相になり得る。2塩基の組み合わせをほぼ同じ様式で用いて、コロニーを再位相整合させることもでき、2及び3塩基セットの混合物を用いることができる。再位相整合の後に、システムを4塩基の組み合わせに戻し、再位相整合を必要な頻度で反復できる。
他の実施形態では、4塩基の組み合わせを全く用いなくてよいが、3及び2塩基セットのみを交互に用いる。さらなる実施形態では、4塩基を、3及び2塩基セットのヌクレオチドの任意の組み合わせで加え、2及び3塩基セットの組成物を交互にいくつかの実施形態で用いる。いくつかの実施形態では、前記塩基セットは、組み込み不可能なヌクレオチドの使用を含んでもよい。他の実施形態では、2、3若しくは4塩基組み合わせにおいて利用されるヌクレオチド及び又は組み込み不可能なヌクレオチドの濃度は、サイクルごと又はセットごとに変動してよい。
ある特定の実施形態では、位相エラーは、配列決定反応から少なくとも1つのヌクレオチド塩基を除外することにより修正される。例えば、位相エラーは、3つのヌクレオチド塩基の組み合わせを加えることにより修正でき、そのことにより、除外されたヌクレオチド塩基が最初に出現するときにクローン集団においてそれぞれの新生ポリヌクレオチドが休止する。
ある特定の他の実施形態では、位相エラーは、同相のポリヌクレオチド鎖中に、鎖停止ヌクレオチドを可逆的に組み込むことにより修正される。遅れ位相鎖が同相鎖に一旦追いつくと、停止ヌクレオチドを除去する。このアプローチは、配列決定される配列がホモポリマー領域を含む場合に最も有利であり得る。コロニーの同相部分がT塩基を組み込み、ほとんどの遅れ配列がC、G及びA塩基をコロニーのメンバーの最終塩基として組み込んだ例えば以下の配列断片...AGCTCCCにおいて、C’停止ヌクレオチドが提供され、その後塩基の組み合わせAGT、AGTが提供されるならば、配列...AGC’及び...AGCTC’が優勢である2峰性集団が優勢に存在し得る。前記停止剤は、次いで、C’ヌクレオチドから除去でき、別のC’停止ヌクレオチドを提供して、2つの優勢な配列:...AGC及びAGCTCC’をもたらすことができる。C’で停止したヌクレオチドの後には、塩基の組み合わせAGT、AGTが続くことができ、2つの集団:...AGCT及び...AGCTCC’がもたらされる。停止剤を次いで除去し、非停止Cヌクレオチドを次いで提供して、単一配列:...AGCTCCCを優勢にもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、位相エラーは、参照配列に基づいてある特定の位置(例えばホモポリマー領域)にて予想され、よって、配列決定における適当な場所にて位相修正を効率的に実行できる。
これらのアプローチは、例えば遅れエラーのようなエラーの優勢な原因があるシステムについて最も効果的であり得る。再位相整合のために用いることができる塩基の組み合わせを個別に加えて、組み込みの完全な配列を決定できるか、又は一緒に加えて、データがない小さい区分を有して再位相整合を成し遂げることができる。いくつかの実施形態では、可逆的停止剤を、配列決定プロセス又は方法中に繰り返し用い、組み込み可能又は組み込み不可能なヌクレオチドと組み合わせることができる。
なお他の実施形態では、位相エラーは、1又は複数のオリゴヌクレオチドクランプを加え(クランプは、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズして配列決定反応を停止させる)、そのことにより位相エラーを除去することにより修正される。このようなクランプは、PNA断片、DNA断片又はDNAの配列と特異的に結合する天然若しくは非天然の他の分子であり得る。標的リシーケンシングのために利用されるシステムでは、特定のオリゴを「クランプ」として用いることができる。「クランプ」は、プライマー配列を提供するのと同時に、プライマー配列を提供する前に、プライマー配列を提供した後に、任意の配列決定反応が完了する前に、又はいくつかの配列決定反応が完了した後に提供できる。複数の異なる標的又は非標的クランプをそれぞれの鋳型について提供してよい。
前記クランプ(複数可)は、ランダム又はDNA鋳型の特定の領域に対して標的化してよい。DNA断片又は他のクランプは、ヒストン、カチオン性プロタミン、リコンビナーゼ及び2重鎖DNAを安定化することが知られている他の分子を用いることによりさらに安定化してよい。配列反応を、次いで、クランプ(複数可)の点まで進めることができる。さらなる組み込み反応を、単一塩基、2塩基組み合わせ、3塩基組み合わせ又は4塩基を同時に用いて行ってよい。前記クランプは、プライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)10〜50塩基が存在するように前記クランプが間隔をあけるように配置されるか、又はプライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)100塩基が存在するように配置されるか、又はプライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)100〜500塩基が存在するように配置されるか、又はプライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)300〜500塩基が存在するように配置されるか、又はプライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)1000〜5000塩基以上が存在するように配置されるか、又はプライマーの3’端と前記クランプ(複数可)との間に(平均で)2000〜5000塩基が存在するように配置できる。
いくつかの実施形態では、クランプは、特異的にハイブリダイズできる特定数の塩基を有してよく、前記クランプを安定化するように働くことができるさらなる塩基を有してよい。前記クランプの配列が特定の領域(複数可)を標的にしないが、代わりに非標的クランプであるならば、クランプの配列は、クランプの安定性、対象のゲノム若しくは同様の性質のゲノム又は対象の染色体又は対象のトランスクリプトームにおける選択したクランプ配列の頻度を含むいくつかの基準を用いて選択できる。デオキシイノシン、5−ニトロインドール若しくは塩基脱落ヌクレオチドのような任意の非特異的塩基を含む完全クランプのハイブリダイゼーション安定性、又はその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,575,902号に記載されるユニバーサル塩基のいずれかを含むことができ、クランプのための特定の塩基として選択された塩基の安定性を含むことができる。
いくつかの実施形態では、前記クランプは、5、6、7、8、9、10以上の特定の塩基を含んでよい。前記クランプは、いくつかのDNAコロニーについて用いてよく、ここで、実質的に全ての前記コロニーは、他のDNAコロニーからの異なるDNA配列を有してよい。いくつかの実施形態では、特異的にハイブリダイズするdNTPの単一セットを含む単一型のクランプを用いてよい。他の実施形態では、多重型のクランプ、ここで、特異的にハイブリダイズする塩基の数又は順序又は間隔が異なってよい。例えば、2つの異なるヘキサマークランプを用いて、2つのヘキサマークランプのうちの一方のみを用いた場合に生じる、DNA塩基として測定されるプライマーからクランプまで又はあるクランプから次のクランプまでの平均の間隔を減少させるが、単一ペンタマークランプを用いた場合に生じるよりも大きくなるようにすることができる。いくつかの実施形態では、プライマーからクランプまで又はクランプからクランプまでのDNA塩基として測定される間隔は、クランプの配列の選択の結果として変動できる。なぜなら、トランスクリプトームにおける異なるヘキサマーは、著しく変動して顕れる(20×を超える)からである(Andersonら RNA V14(5))。
いくつかの実施形態では、クランプ(複数可)は、温度を上昇させること、pH又はイオン濃度を変化させること、クランプの変性をもたらすがより長い伸長プライマーを残すこと(これは、クランプ(複数可)の除去の後にさらに伸長できる)により後で除去できる(位相整合の後に)。他の実施形態では、クランプ(複数可)は、ニック部位(複数可)(これは、適当なニッカーゼ又はエンドヌクレアーゼによりその後ニックを形成できる)を含んでよく、これは、クランプを十分に不安定化させて変性させることができる。いくつかの実施形態では、クランプは、切断可能なリンカー部位を含んでよく、前記切断可能なリンカー部位(複数可)は、化学的に切断可能であるか又は光切断可能であってよい。いくつかの実施形態では、3’位にて停止する塩基をクランプ(複数可)の一部として提供してよい。前記停止剤は、再位相整合を行うようにヌクレオチドを加えた後に、後で除去できる。前記停止剤は、化学的又は光化学的プロセスを用いて除去できる。いくつかの実施形態では、異なる型の切断可能なリンカー部位の組み合わせ(例えば特有の切断可能リンカー部位)を異なるクランプについて用いて、異なる型のリンカーを有するクランプを、いずれの配列決定が始まる前、又は配列決定を始めた後に提供してよく、鋳型DNAの多重の再位相整合を許容する順序で異なる切断可能な仕組みを用いてクランプを変性させてよい。
いくつかの実施形態では、方法は、配列決定及び再位相整合プロセスが生じた後にクランプを加える工程を含む。さらなる実施形態では、さらなるクランプを加えるプロセスを、2〜5回、4〜10回又は10回以上のような複数回繰り返してよい。
いくつかの実施形態では、前記クランプに隣接する位置に先行する全ての塩基について組み込みを行う際にデータを収集してよい。他の実施形態では、前記クランプに隣接する位置に先行する全ての塩基についてデータを行わないことがある。
いくつかの実施形態では、前記クランプは、鎖非置換ポリメラーゼと組み合わせて用いて、前記ポリメラーゼが前記クランプに重合プロセスにより到達した場合に、前記ポリメラーゼが前記クランプを置換できないようにしてよい。さらなる実施形態では、前記クランプの5’塩基は、前記ポリメラーゼが有し得る5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性により切断できない非天然リンカーを用いて連結できる。代替の実施形態では、前記ポリメラーゼは、鎖非置換ポリメラーゼであり、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性がさらに欠如してよい。
さらなる実施形態では、鎖置換ポリメラーゼを、前記鎖置換ポリメラーゼによる鎖置換に対して耐性があるクランプと組み合わせて用いてよい。前記クランプは、特にクランプの5’端にて、鎖置換ポリメラーゼの鎖置換活性に対して耐性がある非天然塩基からなっていてよい。このような塩基は、プリンが脱落した塩基のような塩基脱落塩基、又はPNA、ヌクレオ塩基のアラビノシル誘導体、リボヌクレオチド、2’−O−アルキルリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド若しくはメチルホスホネート結合を有する塩基のような合成塩基を含んでよい。
いくつかの実施形態では、クランプは、位相整合の後に、プライマーとして用いられる。前記クランプは、その3’末端に可逆的停止剤を含んでよく、ここで、プライマー伸長反応は、クランプがさらなる伸長を実質的に妨げるまで進行する。さらなる伸長の後に、クランプの3’末端から停止剤を除去してよく、そのことにより、ポリメラーゼが前記クランプ/プライマーからプライマー伸長反応を開始することが可能になる。
いくつかの実施形態では、単一クランプ/プライマーをコロニー又はコロニーのセットについて用い、ここで、前記プライマーと前記クランプとの間の距離は、位相散逸が通常生じる前の平均の配列決定長さよりも著しく長い場合がある(例えば、前記クランプ(複数可)を、DNAの構造を決定する目的、例えば足場を創出し、反復配列による配列のあいまいさを除去する目的のために用いることが望ましい場合)。いくつかの実施形態では、プライマーとクランプ/プライマーとの間の距離は、位相散逸の前の平均配列「読み取り長さ」の2倍ほど長いことがあるか、又は位相散逸の前の平均配列「読み取り長さ」の2倍〜5倍ほど長いことがあるか、又は位相散逸の前の平均配列「読み取り長さ」の5倍〜20倍ほど長いことがあるか、又は位相散逸の前の平均配列「読み取り長さ」の20倍〜50倍ほど長いことがある。さらなるクランプ/プライマー(複数可)を、任意選択により、この実施形態において用いて、読み取り長さを伸長し、かつ又はDNAコロニー(複数可)の構造をさらに調べてよい。いくつかの実施形態では、平均読み取り長さは、約50ヌクレオチド、又は約100ヌクレオチド、又は約200ヌクレオチド、又は約300ヌクレオチド、又は約400ヌクレオチド、又は約500ヌクレオチドである。他の実施形態では、クランプ/プライマーをコロニー又はコロニーのセットについて用い、ここで、前記プライマーと前記クランプ/プライマーとの間又はクランプ/プライマーから次のクランプ/プライマーまでの距離は、位相散逸が通常生じる前の平均配列決定長さと同様であり得る(例えば、平均配列決定長さの読み取りの長さを伸長することが望ましい場合)。
任意の安定化部分を含むクランプとポリメラーゼ(又はリガーゼ)との間の相互作用の結果として組み込みの停止点のいずれかの変動があるならば、クランプ再位相整合法を、以前に記載した方法のうちの1つと組み合わせてよく(このことは、クランプの配列が既にわかっているならば有利であり得る)、このことにより、クランプ配列の1番目の塩基以外の塩基を付加することができ、その後に、クランプ配列の2番目の塩基以外の塩基が続く可能性があるか、又はクランプ配列の任意のその他の既知の部分にて停止する可能性がある。
再位相整合試薬として短いハイブリダイゼーションプローブを許容するために、ヒドララジンのような安定化化合物又は抗腫瘍抗生物質cc−1065を採用してよい。同様に、プローブは、PNA又はLNAプローブであってよく、これは、より堅固な結合を提供することと、例えばプローブの3’端にて停止剤を用いることにより、プローブがポリメラーゼにより伸長されることを妨げる必要性を排除することという2重の機能をもたらし得る。さらに、プローブは、1重鎖、標的DNAとハイブリダイズしてより安定な3重鎖を創出できる2重鎖であってよいか、又は標的DNAとハイブリダイズして4重鎖を形成できる3重鎖であってよい。いくつかの実施形態では、プローブは、2つ以上の小片で提供でき、ここで、1つの部分はハイブリダイズする1重鎖であり、第2部分はハイブリダイズして3重鎖を創出してよい。いくつかの実施形態では、プローブ複合体にさらなる部分を提供して4重鎖の形成を可能にするか、又は元の鋳型に加えて2より多い小片との2重鎖の形成を可能にしてよい。
他の実施形態では、伸長及び配列決定されるDNA上又はその付近にポリメラーゼ酵素を「貯蔵」して、いくつかのポリメラーゼがそれぞれの活性重合部位のために利用可能であるようにすることにより、遅れ位相散逸を低減できる。前記貯蔵は、DNAとのポリメラーゼの天然の結合に起因してよい。このような結合は、例えばクレノーポリメラーゼを用いる場合に、クレノーポリメラーゼが固有のssDNA及びdsDNA結合を有することに通常起因し得る。
あるいは、いくつかの実施形態では、DNAに、ユニバーサル又は標的プライマーとともに3’停止ランダムプライマーを提供してよく、ここで、前記ユニバーサル又は標的プライマーは停止されず、前記ポリメラーゼは、前記ランダムプライマーの3’停止端とともに前記ユニバーサル又は標的プライマーの3’端に結合できる。前記ランダムプライマーは停止されているであろうから、前記ランダムプライマーは伸長されず、よって、前記ユニバーサル又は標的プライマーからの鎖の伸長に付随するシグナルに貢献しないことがある。この実施形態では、ポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠いており、そのことにより、前記ランダムプライマーが分解されないことがあり、貯蔵能力の欠如をもたらし得る。
代替の実施形態では、少なくとも3’末端においてヌクレオチド類似体を用いるランダムプライマーを、3’停止ランダムプライマーの代わりに採用してよく、ここで、ポリメラーゼはランダムプライマーと結合するが、該プライマーを伸長しない。この実施形態では、ポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性がヌクレオチド類似体を除去するために実質上不活性であるならば、該3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を有してよい。いくつかの実施形態では、前記3’停止ランダムプライマー又は1若しくは複数のヌクレオチド類似体を少なくとも3’末端位置に有するランダムプライマーとのポリメラーゼ結合について、Kdは小さい方が望ましいことがある。前記ヌクレオチド類似体含有ランダムプライマーは、天然ヌクレオチドとヌクレオチド類似体、多重の型のヌクレオチド類似体、又は天然ヌクレオチドと多重の型のヌクレオチド類似体を含むキメラであってよい。
さらなる実施形態では、ランダムプライマーは、3’停止ランダムプライマーであってよく、ここで、ランダムプライマーの3’末端は、3’(停止)位置にチオリン酸ヌクレオチドをさらに含んで、ランダムプライマーが3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性に対してさらに耐性になるようにしてよい。3’チオリン酸プライマーは、例えばIDT(Integrated DNA Technologies)から商業的に入手可能であり得る。この実施形態では、phi29のような3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する天然ポリメラーゼを用いてよく、前記ランダムプライマーの分解を妨げるためにエキソヌクレアーゼ活性を不活性化させるためにポリメラーゼを変異させる必要がない。このようなチオリン酸は、アルファ−S又はアルファ−R立体異性体であってよい。ランダムプライマーは、5’チオリン酸も含んでよく、そのことにより、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性が阻害され得る。あるいは、ランダムプライマーは、3’反転dTを含み、これは、重合及びランダムプライマーの3’位に関してエキソヌクレアーゼ活性を妨げるために作用できる。ジデオキシヌクレオチドを停止剤として用いてよい。前記停止剤は、可逆的停止剤、仮想停止剤、ヌクレオチドの塩基又はヌクレオチドの糖の任意の位置に付着した停止剤であってよい。ランダムプライマー中のヌクレオチドは、自然の塩基であってよいか、又は合成塩基であってよい。前記ランダムプライマーは、dNTPを含んでよいか、又はPNA、RNA、LNA、5−ニトロインドール、デオキシイノシン若しくは他の非自然dNTPと組み合わせたキメラを含んでよい。
貯蔵されたポリメラーゼは、ビーズの表面、センサの表面、センサ間の間隙領域、前記ビーズ、センサ若しくは間隙領域に付着した基、リンカー又はポリマーと結合してもよい。このような結合は、伸長不可能エキソヌクレアーゼ耐性DNA、合成DNA若しくはその他の直鎖状ポリマーのさらなる鎖に対するものであってよいか、又は抗体のような他の結合基(ここで、結合基は、前記ポリマーと直接結合できるか若しくは前記ポリメラーゼと複合体を形成できる中間体タンパク質と結合できる)であってよい。
活性組み込み部位からのポリメラーゼのKoffと、Koff貯蔵部位(複数可)及び貯蔵されたポリメラーゼの数と、伸長期間との間の相対的速度論における関係は、塩基(複数可)を組み込み、かつ所望のエラー率内で遅れ位相散逸を妨げるために、貯蔵されたポリメラーゼがDNA鎖の活性組み込み部位から解離したポリメラーゼを確実に置き換えることができるように、適当でなければならない。例えば、Koffが活性組み込み部位と貯蔵部位(複数可)Koff及びKonとの両方について同じであり、Koffが20組み込み流体サイクルと等しく、20の貯蔵されたポリメラーゼを有するならば、別のポリメラーゼが活性組み込み部位と結合するために利用可能になる確率は50%未満である。これは、貯蔵部位のKoffを低減させ、貯蔵部位のKonを増加させることにより改善できるが、ポリメラーゼが流体流れに失われることが問題点となり得るという注意点を伴う。Koffは、非自然塩基、停止剤又は結合部位へのポリメラーゼの連続移動性を通常低減し得るタンパク質の付随を利用した結果として低減できる。
あるいは又はさらに、ポリメラーゼは、単一型のポリメラーゼであってよいか、又は異なる型のポリメラーゼの組み合わせであってよい。一般的に、商業化された、より連続移動性が高いポリメラーゼは、組み込みエラー率がより低く、よって、連続移動性が高いポリメラーゼを主に用いることが望ましいことがある。別の型のポリメラーゼよりも著しく長いKoffを有するある型のポリメラーゼを用いることが望ましいことがある。解離する任意の連続移動性がより高い(より長いKoff)ポリメラーゼを置き換えるためにより短いKoffのポリメラーゼを利用可能にすることが適当であることもあり、そのことにより、ポリメラーゼは、任意の塩基を適当に組み込むために利用可能になる。よって、連続移動性がより低いもののKoffは、ポリメラーゼが組み込みのために利用可能であり、連続移動性がより高いポリメラーゼが伸長しているプライマー(複数可)の結合部位から解離することを確実にするために、組み込み流体サイクルに割り当てられた期間に満たないことが適当であることがある。
2以上の型のポリメラーゼを用いることが好ましいいくつかの実施形態では、連続移動性がより高いポリメラーゼが、伸長されるプライマーと優先的に結合することが望ましいことがある。よって、連続移動性がより高いポリメラーゼが、伸長されるプライマーと結合することを可能にした後に、ssDNA及び又はdsDNA結合部分に付随していることがある連続移動性がより低いポリメラーゼを加えることが望ましいことがある。他の実施形態では、結合部分がポリメラーゼに付加されるようにポリメラーゼを改変又は変異させて、ポリメラーゼがssDNA又はdsDNAの一部と直接結合できるようにすることが望ましいことがある。
ポリメラーゼの貯蔵は、周期的に補給できる。前記補給は、組み込みサイクルごと又は適当な数の組み込みサイクルを行った後に行ってよい。補給の間のサイクル数は、貯蔵方法に依存して変動できる。例えば、貯蔵方法がランダムプライマー上での貯蔵であるならば、貯蔵の場所の数は、ユニバーサル又は標的プライマーの伸長とともに低減する。なぜなら、前記ランダムプライマーは、ランダムプライマーの鎖置換又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ消化を用いてポリメラーゼと置換できるからである。例えば2本鎖DNAとの結合のために第2の結合の仕組みが存在するならば、貯蔵ポリメラーゼの数は維持できる。
ある特定の実施形態では、方法は、シグナルの喪失について反応をモニタリングする工程と、再位相整合を行って配列決定シグナルを回復させる工程とを含む。例えば、配列決定反応からのデータをモニタリングしてよく、再位相整合を、必要であると観察された場合、例えば単一塩基について予期されるより小さいが遅れ位相エラーが存在するならば予期されるシグナルレベルが見られる場合、又は単一塩基について観察されるシグナルレベルの低減により見られる場合に行ってよい。前記観察は、シグナルが遅れ位相エラーに統計的に起因するかどうかを決定することにおいて名目上の配列を考えることができる。前記観察は、配列決定流体サイクル又は配列決定流体サイクルのセットについてのシグナルレベルのヒストグラムを含み得る。
いくつかの実施形態では、再位相整合を、4つの組み込み可能なヌクレオチドを利用するもの、及び位相散逸を最小限にすることに関して上記したもの全てを含む任意のクローン配列決定システムについて行ってよい。いくつかの実施形態では、エマルジョンPCR又はあるいは本明細書に記載する磁性若しくはビーズアレイを伴い、任意選択により電子的配列決定を伴う再位相整合を行う。
本発明の一実施形態では、過去及び/又は将来のデータを用いることにより位相エラーを低減させるために補償を行って、それぞれのサイクルについてそれぞれの場所について予期されるバックグラウンドレベルを決定してよい。各塩基、配列の関係における各塩基についての予期される位相エラー、並びに以前に決定された遅れ及び進みエラーの量を用いて、実際の塩基を決定することを支援してよい。このエラー修正は、アレイ上の隣接反応からの位相エラー及びそれぞれのセンサから受信したシグナルに対する隣接するものの影響も考慮してよい。
いくつかの実施形態では、進み位相エラーと遅れ位相エラーとの間の分布は、一方の型の位相エラーが他方の型の位相エラーよりも高い率で生じるように影響を受ける。一実施形態では、dNTPSの濃度を制限して、遅れ位相エラーが進み位相エラーよりも起こりやすいようにすることができる。さらなる実施形態では、再位相整合を次いで行って、より確率が高い型の位相エラーを修正できる。他の実施形態では、方法は、両方の型の位相エラーを修正するように作用し、ここで、方法は、一方の型の位相エラーを修正し、次いで、他方の型の位相エラーを修正する。位相修正のための前記方法(複数可)は、配列プロセスを通して周期的に反復してよい。いくつかの実施形態では、再位相整合のための流体パターンを固定してよい。例えば、固定パターンにおいては、再位相整合法を行う間の流体配列決定サイクルの数が固定されているか、又は配列決定プロセス中に例えば再位相整合法を行う間の流体配列決定サイクルの数を減らすことにより、流体配列決定サイクルの数を変化させてよい。
別の態様では、本発明は、並列又はクローンポリヌクレオチド配列決定における進み位相エラーを低減するための方法を提供する。この態様による方法は、ポリヌクレオチドの集団を、競合反応の存在下で配列決定する工程を含む。競合反応は、4つのヌクレオチド塩基全てについてのヌクレオチド塩基又はヌクレオチド誘導体のいずれかを含み、ここで、4つのヌクレオチド塩基のうち3つは、成長しているポリヌクレオチド鎖に組み込み不可能である。配列決定は、ポリヌクレオチド集団のアレイ(例えばビーズアレイ)のクローン配列決定、ヌクレオチド組み込みの電子的検出及び配列決定反応構成成分を単離若しくは濃縮するための電子的ウェルの1又は複数を含み得る。組み込み不可能なヌクレオチドは、様々な実施形態では、(限定することなく)PNAヌクレオチド、LNAヌクレオチド、リボヌクレオチド、アデニン1リン酸、アデニン2リン酸、アデノシン、デオキシアデノシン、グアニン1リン酸、グアニン2リン酸グアノシン、デオキシグアノシン、チミン1リン酸、チミン2リン酸5−メチルウリジン、チミジン、シトシン1リン酸、シトシン2リン酸シチジン、デオキシシチジン、ウラシル1リン酸、ウラシル2リン酸、ウリジン及びデオキシウリジンから選択できる。一般的に、組み込み不可能なヌクレオチドにはポリメラーゼが結合するが、組み込み不可能なヌクレオチドは、ポリメラーゼにより、成長しているポリヌクレオチド鎖に組み込まれない。いくつかの実施形態では、組み込み不可能なヌクレオチドの濃度は、組み込み不可能なヌクレオチドのそれぞれについてポリメラーゼ活性に比例する。前記組み込み不可能なヌクレオチド又はヌクレオチド類似体は、標識されていないか、光学的に標識されているか、又は電荷で標識されていてよい。
いくつかの実施形態では、組み込み可能なdNTPの濃度は、組み込み可能なdNTPの濃度に比例して増加してよく、そのことにより、進み及び遅れエラー率をともに減少できる。
さらに別の態様では、本発明は、ポリヌクレオチド鋳型の集団における遅れ位相エラーを低減するための方法を提供する。方法は、ポリメラーゼ酵素を、配列決定反応中に、標的ポリヌクレオチド上又はその付近に貯蔵して、ポリメラーゼが、それぞれの又は実質的にそれぞれの活性重合部位のために利用可能であるようにする工程を含む。
あるいは又はさらに、方法は、標的ポリヌクレオチドに修復タンパク質又は1本鎖DNA結合タンパク質を結合させて、なかでも、2次構造を除去するか又は連続移動性を支援する工程を含む。いくつかの実施形態では、他でポリメラーゼ活性に干渉して遅れ位相エラーをもたらし得る1本鎖DNAの2次構造を低減することが望ましいことがある。一実施形態では、1本鎖DNAと結合するタンパク質を用いる。このようなタンパク質は、細菌RecA DNA修復タンパク質、HIVヌクレオカプシドタンパク質、T4バクテリオファージ遺伝子生成物32、仔ウシ胸腺UP1、エプスタイン−バーウイルスBALF2のような修復タンパク質、又はEpicentre E.coli1本鎖結合タンパク質のような市販の1本鎖結合タンパク質及び多くのその他のものを含み得る。いくつかの実施形態では、前記1本鎖結合タンパク質は、ポリメラーゼの連続移動性を支援するように働くこともできる。他の実施形態では、エプスタイン−バーウイルスBMRF1、3重鎖S.Cerevisiae増殖細胞核抗原、T4バクテリオファージ遺伝子生成物45、チエオレドキシン(thieoredoxin)、E.coli PolIIIホロ酵素、真核クランプタンパク質PCNA若しくは他のDNAスライディングクランプタンパク質又は他の2本鎖若しくは1本鎖DNA結合部分のような他の部分もポリメラーゼの連続移動性を支援できる。
いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ連続移動性は、なかでも、Phi29ポリメラーゼへのヘリックス−ヘアピン−ヘリックスドメインの付加、又はPNAS 107 16506頁においてSalasらにより記載されるようなキメラポリメラーゼの使用、チオレドキシン結合ドメインの付加、古細菌スライディングクランプ、DNA結合タンパク質Sso7d、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパーの付加のようなポリメラーゼへの変異により増進できる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、ポリメラーゼのそれぞれの端に2本鎖及び1本鎖結合部分の両方を付加する変異のような、1より多い連続移動性増進変異を用いるようにさらに改変してよい。いくつかの実施形態では、このような結合部分がポリメラーゼと間接的に結合させて、例えばポリメラーゼを変異させ、変異により上記方法のように1本鎖DNA結合部分及び又は2本鎖DNA結合部分にビオチン部分を付加することによりストレプトアビジンを付加できる。ポリメラーゼは、よって、ストレプトアビジンビオチン結合を介して1本鎖又は2本鎖DNA結合部分と結合し、前記1本鎖又は2本鎖結合部分を介してDNAとさらに結合する。他の実施形態では、他の結合部分を採用して、ポリメラーゼを1本鎖又は2本鎖DNA結合部分と結合させ、ここで、ポリメラーゼ及び1本鎖又は2本鎖結合部分のそれぞれにさらなる部分を変異により付加でき、ポリメラーゼ及び1本鎖又は2本鎖結合部分に付加されたさらなる部分は、相互結合親和性を有する。さらなる実施形態では、ポリメラーゼ、1本鎖DNA結合部分及び2本鎖DNA結合部分のうちの1つに変異によりある部分を付加し、ここで、変異により付加される前記部分が、ポリメラーゼ、1本鎖DNA結合部分及び2本鎖DNA結合部分のうちの別のものと次いで結合して、ポリメラーゼが1本鎖又は2本鎖DNA結合部分と結合するようにできる。
いくつかの実施形態では、貯蔵は、伸長不可能プライマーとのポリメラーゼの結合を用いることにより達成される。ある特定の実施形態では、伸長不可能プライマーは、ポリメラーゼの3’エキソヌクレアーゼ活性の対象でない。伸長不可能プライマーは、いくつかの実施形態では、3’停止ランダムプライマーであり、伸長プライマーは、ユニバーサル又は標的プライマーである。ポリメラーゼは、ユニバーサル又は標的プライマーの3’端とともに、ランダムプライマーの3’停止端とも結合する。例えば、3’停止プライマーは、前記3’停止プライマーが3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性に対して耐性となるように、3’停止位置においてチオリン酸ヌクレオチドを含んでよい。
この態様による配列決定は、ポリヌクレオチド集団のアレイ(例えばビーズアレイ)のクローン配列決定、ヌクレオチド組み込みの電子的検出及び配列決定反応構成成分を単離若しくは濃縮するための電子的ウェルの1又は複数を含み得る。
電子的配列決定と関連して、いくつかの実施形態では、合成にとって最適であるものよりも低いイオン濃度を用いて、検出器の作動の改善のために十分に低いイオン濃度を得ることが望ましいことがある。このことは、位相整合エラーと、所望よりも短い配列長さとをもたらし得る。前記低いイオン濃度を用いて可能であるよりも長い配列長さを得ることが望ましいことがある。よって、一実施形態では、有効読み取り長さを、検出のために最適な条件と、合成のために最適な条件とを交互にすることにより増加させる。例えば、方法は、DNA伸長反応の最適な読み取りのために必要な低いイオン濃度を用いながら可能な限りの全長の配列決定反応を行う工程と、伸長されたプライマー鎖を融解除去する工程と、新しいプライマー及びdNTPを導入する工程と、合成のために最適なイオン濃度を用いながら合成反応を進行させる工程とを含み得る。伸長されたプライマー鎖を融解除去し、新しいプライマー及びdNTPを導入し、合成のために最適なイオン濃度を用いながら合成反応を進行させ、その後、検出のために適当な条件に変化させるプロセスは、該プロセスが有用なデータをもはやもたらさなくなるまで複数回反復してよい。何回の合成工程を用いるかを決定することは統計的であり得るので、プロセスを逆にして、合成のために最適な条件で合成を行った後に検出のために適当な条件を用いて合成を行ってよい。この後に、次いで、伸長されたプライマー鎖を融解除去し、新しいプライマーを導入し、検出のために適当なイオン濃度を用いてよい。
検出感度を最適化するために、イオン濃度及び又はdNTP濃度は、適正な酵素速度論のために望ましい濃度より低いことが望ましいことがある。このことは、所望よりも長い組み込み時間及び/又はより多くの遅れ位相エラーをもたらし得る。いくつかの実施形態では、単一組み込みサイクル中に1種より多い濃度のdNTPを用いることが望ましいことがある。例えば、センサの感度及びシグナル対ノイズを最適にするように、低い濃度のdNTP及び/又はイオンを用いて単一組み込みサイクルを行うことが望ましいことがある。よって、dNTP及び/又はイオンの濃度が低い溶液が、測定を行うことができるようにフローセル(複数可)中を流動することがある。この直後に、dNTP及び/又はイオンの濃度が伸長されたプライマーへの組み込みのために最適な溶液を用いて、最小限の位相散逸が生じるようにしてよい。代替の実施形態では、高い濃度のdNTPをフローセル(複数可)中に流動させて、迅速で最適な組み込み反応が生じるようにし、位相散逸を最小限にする。このすぐ後に、dNTPの濃度が低いか又はdNTPを含まず、適当に低いイオン濃度を有する試薬溶液を用いて、最適センサ読み取り(複数可)を得てよい。
別の実施形態では、dNTP及び/又はイオンの濃度がヌクレオチドの迅速な組み込みのために最適な試薬溶液を、フローセル(複数可)に流動させて、著しい部分のdNTPを、必要に応じて様々なコロニーに迅速に組み込んだ後すぐに、フローセル(複数可)に、最適センサ読み取り(複数可)のために最適な試薬溶液を流動させ、その後、フローセル(複数可)に、dNTP及び/又はイオンの濃度が様々なプライマーの伸長されたプライマーへのヌクレオチドの組み込みのために適当な濃度の試薬溶液を流動させてよい。第1試薬溶液は、延長された期間用いられる試薬溶液であった十分に高いヌクレオチド濃度であってよく、ポリメラーゼ組み込みエラーが目立つレベルで生じ得る。
ポリメラーゼ効率はそれぞれの塩基について異なり得るので、異なる濃度の異なるdNTP、異なる緩衝液、異なるカチオン濃度、異なるポリメラーゼ濃度、異なる型のポリメラーゼ又はこれらの任意の組み合わせを用いて、組み込み速度を最適にし、位相エラーの量を最小限にし、組み込みエラーの量を最小限にし、読み取り長さを最大限にすることが望ましいことがある。
ある特定の実施形態では、異なるヌクレオチド又は組み込み不可能なヌクレオチド類似体の濃度レベルは、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体のそれぞれについて相対的ポリメラーゼ活性と一致する。例えば、dTTP結合速度は、他のヌクレオチドに対して2を超える係数で異なると測定されている。他の3つのヌクレオチドは、ポリメラーゼ結合速度がより近いが、それでも、互いに10パーセントを超えて異なり得る。この差は、異なる組み込み不可能なヌクレオチド類似体についてのポリメラーゼ結合速度を天然ヌクレオチドに対して比較すると、さらに大きいことがある。
さらなる実施形態では、同等のポリメラーゼ伸長のために必要な組み込み不可能なヌクレオチドの濃度は、組み込み不可能なヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を用いない配列決定反応のために提供され得る1又は複数の組み込み可能なヌクレオチド又はヌクレオチド類似体について位相散逸が最小限の最適プライマー伸長のための濃度よりも高いか、それと等しいか又はそれより低く、そのことにより、ポリメラーゼ伸長効率が一致するような組み込み不可能なヌクレオチド類似体の濃度が提供されるか又は組み込み可能なヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体と比べて低いポリメラーゼ伸長効率の濃度で組み込み不可能なヌクレオチド類似体が提供される場合よりも、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の誤組み込みの確率を低くする。あるいは、組み込み不可能なヌクレオチド類似体を、組み込み可能なヌクレオチド又はヌクレオチド類似体と比べてポリメラーゼ結合速度が低い濃度にて提供して、組み込み不可能なヌクレオチドのポリメラーゼ結合速度が組み込み可能なヌクレオチド類似体結合速度と同じ又はそれより高い場合に生じるよりも高い速度で反応が進行するようにできる。
他の実施形態では、提供される組み込み可能な1又は複数のヌクレオチドの濃度は、異なるdNTPについての組み込み速度がより等しくなるように変動させてよい。濃度は、異なる緩衝液条件、pH、ポリメラーゼ及び任意のポリメラーゼクランプ複合体又はポリメラーゼを安定化するために利用できる他の部分との相互作用について必要に応じて改変できる。
いくつかの実施形態では、組み込み不可能なヌクレオチドは、ヌクレオ塩基の組み込みを引き起こすことを意図しない試薬セットの一部として用いられる。このような試薬セットは、例えば、組み込み可能なヌクレオ塩基の新しいセットを導入する前に、組み込み可能なヌクレオ塩基の以前のセットを洗い出すことを意図し得る。このような洗浄工程は、ホスファターゼを含んで3リン酸ヌクレオ塩基を2リン酸又は1リン酸に分解することもでき、その結果、任意の残存3リン酸が分解され、よって組み込み不可能になる。組み込み不可能なヌクレオ塩基は、ポリメラーゼの親指(thumb)が閉じたままとなるため、ポリメラーゼのポケットにおいて次の塩基に相補的な位置を占めることがあり、ポリメラーゼの連続移動性を実際上増加させるように働くことがあり、そのことにより、組み込み不可能なヌクレオ塩基を組み込むことを試みて、前記ポリメラーゼのDNAからの解離を低減する。
上記のアプローチは、3つの組み込み不可能なヌクレオチド類似体及び1つの組み込み可能なヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体がある場合、又は2つの組み込み不可能なヌクレオチド類似体及び2つの組み込み可能なヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体がある場合、又は1つの組み込み不可能なヌクレオチド類似体及び3つの組み込み可能なヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体がある場合の反応条件として用いることができる。
上記の反応条件及び組み込み不可能なヌクレオチド類似体とともに用いることができる検出方法は、ISFET、CHEMFET、ナノニードル、ナノブリッジ、化学発光検出、Qdot又は他の非標準的蛍光体の検出を含む蛍光検出及びインターカレート蛍光体の検出、蛍光発生部分を用いる検出を含む組み込み又は組み込み事象の任意の形の電子的感知を含んでよい。
ビーズアレイ及び電子的配列決定(本明細書で記載するとおり)を採用する本発明のさらなる実施形態では、ヌルビーズ又はヌルセンサ領域(コロニーが付随していないセンサ領域)を参照として用いてよい。このような参照は、温度の変動、バルク試薬の導電性若しくはpHの変動、又は導電性若しくはpHの局所変動について補償できる。システムの制御は、位相エラーを制限して同定する助けとなり、そのことにより、読み取り長さを伸長する。
FET pHセンサは、一般的に、参照電極を用いて用いられる。FET pHセンサのアレイについてのいくつかの設計は、それぞれの検出チャネルについて参照チャネルを用いる。他のものは、検出チャネルのセットについて参照チャネルを有する。しかし、検出器の局所pHは、DNAコロニーの存在、及びDNAの第2鎖の長さが重合反応により伸長されるにつれての変化の影響を受ける。単一型のヌクレオチドが1度にフローセルに導入される化学を用いる場合、多くの検出器チャネルは、その検出器で生じる反応を有さない。実際は、ほとんどの検出器チャネルにおいて反応が生じない。よって、一実施形態では、隣接検出器を参照チャネルとして用い、そのことにより、データ分析アルゴリズムが、重合反応が生じている検出器に、隣接検出器である検出器において変化するpH又はイオン濃度を測定する機会を与える。このことにより、pH若しくはイオン濃度レベルの検出又は対象の検出器において局所的なノイズの他の原因の検出が可能になり、クロストークの検出も可能になって、クロストークデコンボリューション機能のモニタリング及び改変が可能になる。
ある特定の実施形態では、ヌルビーズ(DNAコロニーを有さないか、又は合成反応による配列決定のために用いられるものと同じプライマーを有さないコロニーを有する)を用いて、重合反応が生じないいくつかの検出器を確実に得る。適当なプライマーを有するDNAのコロニーを有するビーズをフローセルに導入でき、そのことにより、検出器上の位置のランダムセットを得る。その後、上記のヌルビーズのセットをフローセルに導入し、そのことによりヌルビーズは、フローセル中に既に存在するビーズにより既に占められていないランダムな場所を占めることができる。試薬をフローセルに導入するにつれ、次いで、ヌルビーズを用いてpH及び又はイオン濃度レベルをモニタリングし、そのことにより、分析アルゴリズムが、バックグラウンドレベル及び/又はクロストークデコンボリューション機能をよりよく決定できるようにする。
別の実施形態では、ヌルビーズを試料ビーズとの対の様式で導入し、差動増幅器を用いてシグナルを決定し、分析アルゴリズムが、バックグラウンド及びクロストークにおける変動を直接デコンボリューションする必要をなくする。
さらに他の実施形態では、現在の流体サイクルにおいて組み込み反応がない隣接ビーズ又はセンサ領域を参照として用いてよい。平均してほとんどのビーズ又はセンサ領域は、異なる配列の大きい集団を配列決定する場合に組み込み反応がないので、組み込み反応がないこれらの場所をさらなる参照として用いてよい。参照として、組み込み反応がないビーズ又はセンサ領域も、空のセンサ又はヌルビーズに比べてよりよい参照を提供できる。なぜならDNAポリメラーゼ及びビーズが対象の容積に存在し、表面化学におけるいずれの変動及びそれによるバックグラウンド対イオン濃度も、よりよく一致する見込みがあるからである。ビーズ又はセンサ領域上の異なるコロニーは、他のビーズ及び又はセンサ領域に付随するコロニーDNA及び/又は伸長されたプライマーの長さとは異なる長さのコロニーDNA及び/又は伸長されたプライマーを有し、よって、センサと相互作用できる異なる量の電荷が存在する見込みがある。
よって、本発明のいくつかの実施形態では、ソフトウェアは、センサに付随するDNA及び/又は伸長されたプライマーの相対的長さ並びにそれにより得られる異なる電荷及びシグナルレベル、並びに影響を与え得る、センサに対するビーズ又はコロニーの場所について補償する必要があることがある。ソフトウェアは、ビーズをセンサに導入する前にそれぞれのセンサに付随する;ビーズの導入後であるがプライマー及び又はポリメラーゼ(複数可)の導入前に;プライマー及び又はポリメラーゼ(複数可)の導入後であるが合成反応による配列決定における第1ヌクレオチドの導入前に;プライマーのないコロニーに付随する;異なる長さのDNAを有し得るコロニーに付随するシグナルレベル;並びに異なる長さのDNAを有し得るハイブリダイズしたプライマーを有するコロニーに付随するシグナルレベルの記録を維持してよい。ソフトウェアは、それぞれのプライマーにいくつの塩基が付加されたかの経過を維持してよい。シグナルレベルは、絶対レベル、又は異なるセンサ間の相対レベルであってよい。ソフトウェアは、いくつかの他の隣接又は近接するセンサを参照として用いて、個別のセンサについてのシグナルレベルを決定して、それぞれのコロニーセットについてのDNAの長さ、伸長されたプライマーの長さ、及びセンサに対するビーズ又はコロニーの位置決めの結果として生じ得るシグナルレベルを補償できる。ソフトウェアは、dNTPを有さない試薬容積とdNTPを有する試薬容積との間の移行に対するセンサの相対的位置についても補償できる。ソフトウェアは、伸長されたプライマーへの組み込みの結果として、拡散及び又はdNTP濃度枯渇の関数としてdNTP濃度の変動についてさらに補償できる。拡散の量は、同じ配列決定運転におけるものであってよい同じチップからの以前のデータから、又は以前の配列決定運転から、又は同じ装置で用いた以前のチップからの配列決定データから、又は他の装置で用いた他のチップからのデータから特徴決定できる。dNTPを有さない試薬容積とdNTPを有する試薬容積との間の移行がフローセルを通して移動するので、予期される枯渇のレベルは、生じたデータに基づいて決定できる。
いくつかの実施形態では、既知の配列又は異なる既知の配列を有する対照ビーズを用いる。既知の配列(複数可)は、異なる既知の長さの連続ホモポリマーを有してよく、システムの応答を較正して、未知の長さの連続ホモポリマーの長さをよりよく決定するために用いてよい。既知の配列は、シグナル又はバックグラウンドシグナルのレベルを決定するためにも有用であることがある。なぜなら、伸長されたプライマーの長さ及び組み込み事象が生じたかは、前もってわかっているからである。対照ビーズを用いて、試料調製の問題から装置の問題を区別できる。既知の配列を有する対照ビーズは、システムの外側で作製して、DNAのコロニーを付着させて導入するか、或いは対照DNAを試料DNAと混合するか又は試料DNAの導入の前若しくは後に対照DNAを導入して、ビーズ上のDNAコロニー又はそうでなければセンサに付随するDNAコロニーを作製できる。いくつかの実施形態では、隣接ビーズからの標準化とともに用いるために本明細書で記載するのと同様の様式でシグナルレベルをモニタリングして保存できる。
光学的異常と同様の様式で、検出器により検出される種の拡散は、異なる検出器間のクロストークを引き起こす。本発明の一実施形態では、アレイ上の異なるセンサから得られるデータのデコンボリューションを、光学的システムからの点広がり関数をデコンボリューションするために用いるのと同様の様式で行ってよい。用いるデコンボリューション関数は、検出時のフローセルの温度及びフローセルを通しての流速(特定のコロニーの「下流」でより多くのクロストークを引き起こす傾向がある)に部分的に依存し得る。前記デコンボリューションのために用いるデコンボリューション関数は、固定デコンボリューション関数であるか、又は最適適合アルゴリズムの一部として導くことができる。
センサアレイは、自己較正するように作製して、増幅効率、ビーズサイズ及び搭載量、センサ上のビーズ配置などのような変動についての較正が可能になる。一般的に、DNA試料を増幅してビーズ上にDNAの単クローン集団を創出することにおいて、第1プライマーを試料DNAにライゲーションした後に前記増幅反応を行うことができる。配列決定プロセスにおいて、前記DNA試料にライゲーションした前記第1プライマーに相補的な第2プライマーを提供する。前記第2プライマーは、前記第1プライマーよりも数塩基短くてよい。よって、それぞれの単クローンビーズは、増幅効率とは独立した密度で既知の初期配列を有し、これは、前記相補的第2プライマーと一致しない前記第1プライマーの区分である。このことにより、塩基配列についての予めの知見を得ることができ、既知の長さの連続ホモポリマーのような較正配列を含めることができる。
代替の実施形態では、このような較正は、配列決定反応が完了した後、又はあるいはいくつかの塩基が配列決定反応において配列決定された後に行うことができる。統計的に、配列決定反応におけるほとんどの流体サイクルは、個別のビーズにて塩基の組み込みをもたらさない。流体サイクルからの2番目に最も一般的な結果は、単一塩基の組み込みである。よって、データセットを分析して、適当なシグナルレベルをそれぞれのビーズについて設定してよい。
さらなる実施形態では、進行中の補償/較正は、流体サイクルにおける塩基組み込みについてのシグナルレベルが配列決定プロセス中に低減するにつれて行ってよく、並びにビーズ上のクローン集団のいくつかの喪失、ビーズ上のクローン集団のいくつかでの配列決定位相進み若しくは配列決定位相遅れ又はその他の因子のような因子の結果として流体サイクルにおいて塩基の組み込みがない場合のバックグラウンド。よって、シグナルレベルは、配列決定プロセスにおけるそれぞれの点にて、単一塩基組み込みを有するか、塩基組み込みがないか、又は連続ホモポリマーにより多重塩基が組み込まれる流体サイクルについてどれだけのシグナルが予期されるかについて算出できる。
いくつかの実施形態では、逆相整列を行ってよく、ここで、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを、少なくとも1つのdNTPがないdNTPプールとともに用いる。3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、提供されたdNTPプール中の次のdNTPまで戻って塩基を除去し、この時点で平衡に達し、ヌクレオチドはさらに除去されない。このことは、進み位相エラーにより組み込まれた任意の塩基を除去するために行ってよい。他の実施形態では、チオリン酸ヌクレオチドのようなエキソヌクレアーゼ活性を許容しない1又は複数の型の塩基を組み込んでよい。エキソヌクレアーゼ活性は、次いで、組み込み不可能なヌクレオチドの除去により用いて、エキソヌクレアーゼ活性についての速度論を改良できる。他の実施形態では、初期の組み込みを、エキソ−ポリメラーゼを用いて行った後に、エキソ+ポリメラーゼ又は別のヌクレアーゼを用いて、チオリン酸ヌクレオチド又はヌクレアーゼ活性に対して耐性がある他のヌクレオチドまで戻って任意の塩基を除去できる。
単独及び/又は反復ポリヌクレオチド配列決定
別の態様では、本発明は、反復及び/又は単独ポリヌクレオチド配列決定のための方法を提供する。この態様の方法は、環状化DNA配列決定鋳型を準備する工程と、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによるヌクレオチドの組み込みの配列を決定することにより鋳型を配列決定する工程とを含む。この態様による配列決定は、ポリヌクレオチド集団のアレイ(例えばビーズアレイ)のクローン配列決定、ヌクレオチド組み込みの電子的検出及び配列決定反応構成成分を単離若しくは濃縮するための電子的ウェルの1又は複数を含み得る。様々な実施形態では、DNAポリメラーゼは連続移動性が高く、エキソヌクレアーゼ活性が低い。さらに、DNAポリメラーゼは、ヌクレオチドの組み込みを測定するために適合されたバイオセンサ上又はその付近に結合してよい。いくつかの実施形態では、方法は、ポリメラーゼを、配列決定の前に、ポリヌクレオチドと予備結合させる工程を含む。この態様によると、本発明は、位相整合又は再位相整合を修正する必要を回避する。
DNA単分子は、ナノニードルバイオセンサ(本明細書に詳細に記載する)により配列決定できる。ポリメラーゼ酵素は、センサに付着される。DNA試料を、付随するプライマーとともに、次いで、ポリメラーゼが付着したセンサを含む容積に、例えば圧力誘起流、電気浸透誘起流及び若しくは移動又は同様の手段を用いて侵入させることができる。DNA試料からの単分子に、次いで、センサアレイにおいてセンサに付着したポリメラーゼを結合させてよい。さらなるDNA単分子にも、センサアレイにおける他のセンサと結合した他のポリメラーゼを結合させてよい。
同じDNA試料の反復測定を可能にするために、DNA試料を環状化してよく、ポリメラーゼは、鎖置換ポリメラーゼであってよい。よって、プライマー伸長反応が、完全に環状DNA試料の周囲を多くのサイクルにわたって継続することを可能にすることにより、DNA試料を反復して配列決定できる。この鎖についてのデータを、次いで、少ないデータ処理を用いて、より正確なコンセンサス配列に変換できる。蛍光体の検出を用いるシステムに対する明らかな利点として、この態様のシステムは、ポリメラーゼの読み取り長さの完全な能力を用いて、光毒性により読み取り長さが低減することにより妨げられない。
単分子は、集団が1である単クローン集団の場合である。よって、単クローンDNAと関連する考え方は、単分子条件の状況にも典型的にあてはまる。
図25は、ナノニードルバイオセンサアレイ2500がDNA単分子2507を配列決定できるデバイス及び方法について記載し、説明する。ポリメラーゼ酵素2506は、センサ2501に付着してよい。DNA試料を、付随するプライマーとともに、次いで、前記ポリメラーゼ付着センサを有する容積に、例えば圧力誘起流、電気泳動誘起流及び若しくは泳動又は同様の手段を利用して侵入させることができる。DNA試料2507からの単分子に、次いで、センサアレイ2500においてセンサ2501に付着したポリメラーゼを結合させてよい。さらなるDNA単分子2507にも、センサアレイ2500においてセンサ2501と結合した他のポリメラーゼ2506を結合させてよい。
一実施形態では、4つの天然dNTP2502のうちの1つを、センサを有するチャネル容積2504に流入させる。dNTPが試料DNA2507中の次の塩基に相補的であるならば、該dNTPは結合して組み込まれ得る。ナノニードルセンサ2501は、次いで、伸長されたプライマーDNAの局所電荷の生じた変化を検出でき、センサアレイ2500のそれぞれの適当な位置にて組み込み事象の検出を可能にする。試料が、前記センサ2501を有するチャネル容積2504に導入された型のdNTP2502に相補的な1より多い塩基を連続して有するならば、前記ナノニードルセンサ2501は、dNTP2502の第2の又は後続の結合及び組み込みを検出できる。dNTP2502を、次いで、センサ2501を含有するチャネル容積2504から洗い出すことができる。
ある特定の実施形態では、4つの天然dNTPのうちの1つを、次いで、センサを有する容積に流入させる。dNTPが試料DNA中の次の塩基に相補的であるならば、該dNTPは結合して組み込まれる。ナノニードルセンサは、次いで、伸長されたプライマーDNAの電荷の変化の結果であり得るか、又は他の電荷変化の結果であり得る局所的電荷の生じた変化を検出でき、センサアレイのそれぞれの適当な位置にて組み込み事象の検出を可能にする。試料が、前記センサを有する容積に導入された型のdNTPに相補的な1より多い塩基を連続して有するならば、前記ナノニードルセンサは、dNTPの第2の又は後続の結合及び組み込みを検出できる。dNTPを、次いで、センサを含有する容積から洗い出すことができる。
異なるdNTPを、次いで、センサアレイ容積に流入させることができ、組み込み事象の検出を可能にする。洗浄、1度に4つのdNTPのうちのそれぞれ1つの導入及び組み込み事象の検出の後続のサイクルにより、異なる試料DNA配列の決定が可能になる。
なお別の実施形態では、4つまでの異なるヌクレオチドを同時に送達でき、どのヌクレオチドが組み込まれたかの決定を、組み込み反応に伴う速度論を観察することにより決定できる。
代替の実施形態では、試料DNAは、ポリメラーゼ、センサ、又はプライマーがシステムに導入され、試料DNAとハイブリダイズすることが可能になった後に、結合したポリメラーゼが試料DNAと結合できるように十分にセンサに近いセンサ間の領域のうちの1つと結合できる。その後、プライマー伸長とそれに付随する試料DNA配列の決定とが完了した後に、伸長されたプライマーを、試料DNAを溶解した溶液の温度若しくはpH又は溶液の温度及びpHの両方を変化させることにより融解除去できる。試料を、次いで、プライマーを再導入し、試料DNAが溶解している溶液の温度又はpHを、ヌクレオチド及びカチオンの適当な濃度を含むプライマー伸長のために適当な条件に回復させることにより再配列決定できる。
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、天然dNTPであってよい。他の実施形態では、dNTPを、電荷改変構造を用いて改変してよい。電荷改変構造は、ポリリン酸と付随、結合又はコンジュゲートしてよく、組み込みプロセスの一部として後で切断でき、電荷改変構造を切断、分離又は除去する別のプロセスの必要をなくする。
代替の実施形態では、電荷改変構造は、停止剤であり、よって、dNTPの糖の3’位と付随、結合又はコンジュゲートでき、よって、停止剤として作用できる。検出は、組み込みのプロセスの結果として生じることができるか、又は電荷改変構造の切断に起因できる。
他の実施形態では、電荷改変構造は、dNTP糖の2’又は4’位と付随、結合又はコンジュゲートしてよい。なおさらなる実施形態では、電荷改変構造は、ヌクレオチドの塩基と付随、結合又はコンジュゲートしてよい。電荷改変構造は、停止剤として作用でき、さらなるdNTPの組み込みを妨げる。
結合、付随又はコンジュゲーションは、温度変化のような物理的プロセスの結果として破壊できるか、又は化学プロセスの結果として破壊できるか、又は光化学反応の結果として破壊できる。結合、付随又はコンジュゲーションは、それぞれのヌクレオチド組み込みの後に破壊できるか、又はいくつかのヌクレオチドを組み込み、組み込まれたヌクレオチドの数を、前記組み込み(複数可)の結果として付加された電荷の量を測定した結果として決定できる。
さらなる実施形態では、1度に2又は3つのヌクレオチドを用いて、1度に複数の塩基の付加と、それに対応して大きいシグナルとを可能にする。プライマーの伸長と付随するデータ収集とが完了した後に、伸長されたプライマーを融解除去し、新しいプライマーを加え、伸長のプロセスを、異なる順序のdNTPの組み合わせを用いて再び行ってよい。このプロセスは、どのdNTPが以前のセットのdNTPの完了に続かないかを、組み込みの長さについての情報とともに決定する(前記長さの決定は、厳密である必要はない)。
同じDNA試料の反復測定を可能にするために、DNA試料を環状化してよく、ポリメラーゼは、鎖置換ポリメラーゼであってよいか、又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼであってよい。よって、プライマー伸長反応が、環状DNA試料の周囲を複数サイクルにわたって継続することを可能にすることにより、DNA試料を反復して配列決定できる。蛍光体の検出を用いるシステムに対する明らかな利点として、本発明のある特定の実施形態のシステムは、ポリメラーゼの読み取り長さの完全な能力を用いることができ、光毒性により読み取り長さが低減することにより妨げられない。いくつかの実施形態では、鎖置換酵素を用いてよく、よって、電荷及び付随する対イオンの増加を生じることができる。他の実施形態では、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いてよく、正味電荷を同じにしたままで、プロトン及び又は水酸化物イオン(これは、導電性の増加として測定できるか、又はISFET、ChemFET若しくはナノブリッジセンサの表面とのイオン相互作用の結果として測定できる)を生じることが可能になる。
センサと結合又は付随するポリメラーゼは、連続移動性が高いポリメラーゼであってよく、連続移動性が低いポリメラーゼを用いて生じるよりも多くの塩基が組み込まれることを可能にする。ポリメラーゼは、phi29、RepliPHI、MagniPhi(登録商標)、QualiPhi(登録商標)、T4(E.coli T4)、F−530、B104又はその他の連続移動性が高いポリメラーゼであってよい。ポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性が低減されるか若しくは該活性を有さなくなるように改変してよいか、又はポリメラーゼは、その天然の形で、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性をほとんど若しくは全く有さなくてよい。同様に、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性が低減又は本質的に除かれるように、いずれの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性も改変してよい。熱安定性ポリメラーゼ又はその他の型のDNA若しくはRNAポリメラーゼを用いてよく、例えば:Vent(Tli/Thermoccus Literalis)、Ventエキソ−、Deep Vent、Deep Ventエキソ−、Taq(Thermus aquaticus)、ホットスタートTaq、ホットスタートEx Taq、ホットスタートLA Taq、DreamTaq(商標)、TopTaq、RedTaq、Taqurate、NovaTaq(商標)、SuperTaq(商標)、Stoffel断片、Discoverase(商標)dHPLC、9°Nm、Phusion(登録商標)、LongAmp Taq、LongAmpホットスタートTaq、OneTaq、Phusion(登録商標)ホットスタートFlex、Crimson Taq、Hemo KlenTaq、KlenTaq、PhireホットスタートII、DyNAzyme I、DyNAzyme II、M−MulVリバーストランスクリプト、PyroPhage(登録商標)、Tth(Thermos termophilus HB-8)、Tfl、Amlitherm(商標)、Bacillus DNA、DisplaceAce(商標)、Pfu(Pyrococcus furiosus)、Pfu Turbo(登録商標)、Pfunds、ReproFast、PyroBest(商標)、VeraSeq、アオザメ、マンタ、Pwo(pyrococcus woesei)、ExactRun、KOD(thermococcus kodakkaraensis)、Pfx、ReproHot、Sac(Sulfolobus acidocaldarius)、Sso(Sulfolobus solfataricus)、Tru(Thermus ruber)、Pfx50(商標)(Thermococcus zilligi)、AccuPrime(商標)GCリッチ(Pyrolobus fumarius)、Pyrococcus種GB−D、Tfi(Thermus filiformis)、Tfiエキソ−、ThermalAce(商標)、Tac(Thermoplasma acidophilum)、Mth(M.thermoautotrophicum)、Pab(Pyrococcus abyssi)、Pho(Pyrococcus horikosihi)、B103(PicovirinaeバクテリオファージB103)、Bst(Bacillus stearothermophilus)、Bst大断片、Bst 2.0、Bst 2.0ウォームスタート、Bsu、Therminator(商標)、Therminator(商標)II、Therminator(商標)III、Therminator(商標)Γ、T7 DNA、E.coliポリメラーゼI、Kenow(E.coli)断片、クレノー断片エキソ−、T4 DNA、Sulfolobus DNAポリメラーゼIV、AMV逆転写酵素、ヒトポリメラーゼmu、ヒトポリメラーゼmu−h6、DNAポリメラーゼI(E.coli)、T7 RNA(E.coli T7)、SP6(E.coli SP6)RNA、E.coliポリ(A)、ポリ(U)、T3 RNAである。
ポリメラーゼ及び又はDNAは、センサ又はセンサの付近と直接結合してよいか、リンカーを介して結合してよい。
いくつかの実施形態では、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,270,981号に記載されるような組換えポリメラーゼ増幅の変形を配列決定のために用いる。いくつかの実施形態では、増幅されるDNA鋳型は、2本鎖であってよく、入力プライマーは、RecA又はRAD51のようなリコンビナーゼと複合体を形成してよい。前記複合体を形成したプライマーは、2本鎖DNAと結合でき、リコンビナーゼの支援により、前記2本鎖DNAの2つの鎖の一部分を置換できる。ポリメラーゼは、次いで、前記ポリメラーゼがヌクレオ塩基を組み込んで前記プライマーを伸長できるように、プライマーの適当な端と結合できる。プライマーとハイブリダイズしていない2本鎖DNAの鎖と結合する1本鎖結合タンパク質を加えてよい。その結果、多数の対イオンが感知のために存在でき、そのことにより、前記対イオンが新しく合成されたDNAの鎖に付随でき、さらなる対イオンが、前記1本鎖結合タンパク質に付随できる。さらなる利点は、1本鎖DNA鋳型を用いることに起因する2次構造による問題が低減されることである。
チャンバを含まないリアクタ及び仮想リアクタ
他の態様では、本発明は、ポリヌクレオチドを配列決定するための、チャンバを含まないデバイスを提供する。デバイスは、電磁センサと、鋳型ポリヌクレオチドを電磁センサにて又はその付近に担持又は保持するための磁性担体と、磁性担体を液体の流れ及び/又は電磁的除去により除去するための仕組みとを含む。ある特定の実施形態では、電磁センサは、ナノニードル又はナノブリッジのうちの一方であり、デバイスは、局所増幅器をさらに含む。電磁センサは、狭い構造体を有してよく、センサの表面の両側がpHの変化又は導電性の変化にアクセスできるように構造の下にエッチングされてよい。
いくつかの実施形態では、システムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「エマルジョンフリーポリヌクレオチド増幅及び配列決定のための磁性アレイ」との表題の米国特許仮出願第61/389,484号に記載されるような磁性アレイを採用する。システムを、図5に模式的に示す。
図5は、ナノニードル及び磁石のアレイ516中の単一素子500を示し、ここで、基体504は、前記基体504上及びビーズ502の下、又は前記電極506と前記基体との間の間隔又は接着層(図示せず)上に電極506を有し得る。前記電極502は、よって、ビーズのデバイ層内にあってよい。誘電層508は、前記基体504の上方に配置でき、前記電極506の一部を被覆してもよく、前記ビーズ502をその場所に保留する場合に前記ビーズ502が必要とする空間よりも大きくてよい凹部又は切り抜き部をさらに有してよい。前記誘電は、磁力が前記ビーズ502の表面を引っ張ることができる表面を提供することを含む、複数の機能をもたらし得る。磁石516と前記ビーズ502との相互作用に起因する磁力は、前記電極502及び前記誘電508に対して下向きに働く力を用いて、前記ビーズ502を保留し配置させるように働く。誘電の第2層512を、前記誘電508に用いて、前記ビーズ502に対して著しい試薬アクセスを提供しながら、誘電材料の全体の厚みの高さをさらに拡大して、上部電極514が前記誘電の第2層512上に製作されるようにしてよい。前記上部電極514、誘電及び第2誘電512は、前記上部電極が前記ビーズのデバイ長内にあり、さらに前記ビーズ502の中間点に近くなるように配置できる。前記上部電極514は、前記上部電極514が前記ビーズ502のデバイ長内にあるならば特に、前記ビーズ502の中心線の上方にあってよいか、又は前記ビーズ502の中心線の下方にあって、前記ビーズ502と前記電極506との接触点の垂線から10〜90度の角度で前記上部電極514の頂部が前記ビーズと接触するようにできる。前記ビーズ502と前記上部電極の頂部との接触点に対する垂線からの前記角度は、30〜85度、45〜80又は60〜75度であってよい。前記磁石516は、前記基体504に対して凹んで設けられるか、前記基体504上にあるか、又は誘電508上にあってよいが、前記ビーズ502の中心線の下方であるべきであり、そのことにより、下向きの力が前記ビーズ502に加えられて、前記ビーズ502が前記電極506に向けて下方に引っ張られる。前記磁石516は、前記ビーズがアレイ内の場所に配置される場合に、ビーズ502の中心から外れてさらに配置されるべきであり、そのことにより、前記ビーズ502が前記上部電極に向けて引っ張られて、前記ビーズ502が、前記上部電極514に対して前記ビーズ502のデバイ長内になる。ナノニードル及び磁石のアレイ516における単一素子500のそれぞれの素子は、前記素子の間にさらなるスペーサ層又は接着層を有してよい。前記デバイ長は、高濃度の塩、低濃度の塩、脱イオン水又は水と混和性の非水性流体と混ざり合う水性溶液に起因し得るデバイ長を含み得る。
図2は、本明細書で記載する様々な実施形態による組み合わせた仮想ウェル及び磁性アレイの顕微鏡写真である。前記アレイ中のほとんどの位置は、仮想ウェル構造体が置かれている点にて磁石間の位置に単一ビーズを有する。いくつかの場所は、単一より多くのビーズを有する。磁石のほとんどの端の上にもビーズが置かれている。
磁性アレイは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,682,837号に記載されるのと同様の様式で用いてよい。
本明細書で用いる場合、「ビーズ」は、球状又は非球状のビーズ、部分又は粒子であって、多孔性又は中実又は中実と多孔性の混合である前記ビーズ、部分又は粒子を意味し、常磁性、超常磁性、反磁性又は強磁性であってよい磁性ビーズを含み得る。
本明細書で用いる場合、「ビーズ捕捉機構」は、センサに対して一定の位置に単一ビーズを一時的に保持できる機構を意味し、基体上の局所磁性構造体、外部磁石を含み得るくぼみ、局所磁性構造体、ビーズを前記位置に固定するための力としてファンデルワールス力又は重力を含むことができる。ビーズは、共有又は非共有結合によりその場所に結合してよい。
本明細書で用いる場合、「閉じ込め」は、1つのビーズ又は粒子にて生じた分子(例えばDNA)が、ビーズ又は粒子のクローン性の性質を実質的に維持するように同じビーズ又は粒子に付随したままであることをいう。
本明細書で用いる場合、「単離する」は、移動、拡散、流動又はビーズ若しくは粒子のクローン性の性質を維持するための1つの仮想ウェルから別の仮想ウェルへの必要に応じたその他の動きの妨げを意味する。
本明細書で用いる場合、「局所磁性機構」は、個別のビーズを実質的に平面状の基体上に保持するための実質的に平面状の前記基体上に創出される磁性機構を意味する。
本明細書で用いる場合、「局所磁場」は、第1磁性領域のN極と第2磁性領域のS極との間の容積に実質的に存在するか、又は単一磁性領域のN極とS極との間の容積に実質的に存在する磁場を意味する。
本明細書で用いる場合、「粒子」は、分子、分子の集合体、1又は複数の固体粒子と結合した分子及び当技術分野において知られるその他の形のような非ビーズ部分を意味する。
本明細書で用いる場合、「単相液体」は、密度、屈折率、比重のような特性を含む相対的に均一な物理的特性を全体にわたって有する液体であり、水性、混和性水性及び有機混合物を含み得るが、油と水のような非混和性液体を含まない。単相液体とみなされない液体をもたらす可能性があるとみなされない物理的特性は、pHの局所的変動、電荷密度及びイオン濃度又は温度を含む。
本明細書で用いる場合、「実質的に平面状」は、小さい台、盛り上がった区分、穴、くぼみ又はデバイスの局所平面に対して40μmを超えない凹凸を許容する。反り、ねじれ、陥凹又はその他の平面歪みによる変動は、許容される食い違いの一部分を構成すると一般的にみなされない。本明細書に記載する使用のために必須でないが、40μmを超える隆起又はくぼみは、デバイスが実質的に平面状であるとみなされることを排除しない。40μmを超える寸法を有する流体チャネル及び又は前記流体チャネルを生じる構造体も、デバイスが実質的に平面状であるとみなされることを排除しない。
本明細書で用いる場合、「仮想ウェル」は、対象の種又は種のセット、典型的にDNA又はビーズが、所望の反応又は相互作用のために必要な期間中に、隣接する「仮想ウェル」に通常移動しない局所電場又は局所磁場閉じ込め区域のことをいう。
本明細書で用いる場合、「電極」は、アレイにおいて電力又は磁力を創出又は印加するために用いられる任意の構造と定義される。このような構造体は、生体分子を、アレイにおける特別の領域(例えば閉じ込め又は単離アレイ中の素子の中央領域)に、場又は力をオン及びオフにすることに起因する対象の時間にて送達することにおいて単離又は操作のために用いることができる。
本明細書で開示するデバイスの実施形態では、デバイスは、ヌクレオチドの組み込みを感知するための感知表面であって、窒化ケイ素の層を含む感知表面を含む。
本明細書で開示するデバイスの実施形態では、複数の磁性ビーズが、鋳型ポリヌクレオチドを担時するように構成され、ここで、前記磁性ビーズは、ヌクレオチド組み込みのために有効なpHレベルにて低ゼータ電位材料を有する。
仮想ナノリアクタ又は「チャンバを含まないアレイ」は、アレイ(アレイは、電力、磁力又は電磁力により粒子を捕捉、保持、閉じ込め、単離又は移動させる)中の粒子(例えばビーズ、細胞、DNA、RNA、タンパク質、リガンド、生体分子、その他の粒子状部分又はそれらの組み合わせ)を検出又は操作でき、粒子の反応及び若しくは検出並びに又は前記粒子が関与する反応のために用いることができる。前記「仮想ナノリアクタ」は、ビーズ、細胞、他の生体分子又はそれらの担体を捕捉/保持/操作するための強力なツールを提供し、その後、部分をアレイ中の他の画素又は領域からアレイの異なる画素又は領域に、電力、磁力又は電磁力(複数可)を用いて濃縮、閉じ込め又は単離できる。一実施形態では、アレイは、流体環境にある。感知は、電荷、pH、電流、電圧、熱、光学の測定又はその他の方法により行ってよい。
ある特定の実施形態で本明細書に記載するチャンバを含まないデバイスは、配列決定反応中のヌクレオチドのよりよい洗浄を可能にし、未結合及び非特異的結合ヌクレオチドの両方を含み得る残存ヌクレオチド(これらは、後で、誤ったサイクルにおいて不適当に組み込まれることがある)の数を低減することにより、進み配列決定位相エラーを低減できる。
DNA配列決定に加えて、「チャンバを含まない」アレイ又は「仮想」ナノリアクタを用いる様々な異なる分子生物学的用途が構想される。アレイは、ツール、例えば細胞選別機として用いてよく、その後、アレイは、1又は複数の対象の生化学的事象又は反応についての選別、測定又は操作(例えば薬物スクリーニング又は生体分子検出)を含み得る前記細胞に対する分子生物学をさらに行ってよい。仮想ナノリアクタアレイは、細胞モニタリング及び分析のために用いてよく、例えば、システムは、アレイに捕捉され、かつ又は仮想ナノリアクタに付随する感知素子に隣接している細胞の電気的サインを測定できる。アレイは、希な細胞のスクリーニング、例えば薬物開発のための薬物スクリーニングにおける反応の検出、又はがん性細胞の選択及び検査のために用いてよい。様々な実施形態では、アッセイ又は検出の標的は、細胞生物学、薬物スクリーニング及び特定の細胞型のモニタリング、DNA、RNA(核酸)、タンパク質、荷電小分子、リガンド又はその他の生体分子の検出を含む。
他の実施形態では、さらなる電極(又は仮想壁/フェンス)素子は、アレイにおけるそれぞれの電子的閉じ込め又は単離素子に付随する他の2つの電極を封入してよい。
いくつかの実施形態では、システムを画素あたり複数のビーズ又は細胞を捕捉するために用い、該システムは、所望の時間にて又は異なる用途のために必要に応じて「仮想壁」のアレイにおける前記素子に付随するセンサでの変化に応答して、電磁場をオン、オフ又は電磁場の大きさ、形状若しくは周期を改変できる。例えば、システムは、あるセットのビーズ又は細胞を捕捉し、次いで、場の強さを増加させて、前記場によりあまり影響を受けない別の部分を捕捉できる。電場は、DC若しくはAC又は場の異なる組み合わせの組み合わせであり得る。
図3は、Comsolシミュレーションから得られた図であり、電極304A及び304Bに印加された場に起因する円柱状構造300の4分の1の3D等電位場強さ曲線306を描く。場の実質的な放射相称性がないことの結果として、場の勾配が最も集中している容積308は、中心電極304Bの付近であり、これは、ビーズが図2に示すような磁性アレイにより保持され得る点である。
他の実施形態では、仮想ナノリアクタ(複数可)は、生体分子プロセスの複数の工程、例えば電場中を移動する粒子(複数可)のビーズ富化、微小流体試料調製及びライブラリー調製、例えばDNAのオンチップ抽出、DNAの共有、DNA濃度のオンチップ標準化、エマルジョンフリー増幅、感知(これは、2重感知又は多重感知配列決定検出器(これは、配列決定プロセスの読み取りの長さを拡大するために過渡及び又は定常状態電子的配列決定並びに再位相整合法を利用できる)を利用するSensePlus感知を含み得る)(前記複数の工程は、完全一体型電子的ゲノム分析器システムをもたらし得る)のために及び又は該複数の工程と組み合わせて用いられる。
いくつかの実施形態では、仮想ナノリアクタの多重のアレイを用いる。仮想ナノリアクタの異なるアレイは、異なる生物学的反応、プロセス又は方法のために用いてよい。いくつかの実施形態では、1つのアレイ又はアレイのセットをDNAの抽出のために用い、ここで、前記アレイのセット中の異なるアレイ又はセット内の異なるメンバーは、異なる試料からの細胞を保留することがあるか、又は単一試料からの異なる型の細胞を保留することがあるか、又はその組み合わせでよい。例えば、異なる試料が異なるアレイに保持されてよく、単一試料腫瘍からの異なる型のがん細胞が、単一アレイの異なるエリア内に保留されてよい。異なる細胞型は、選別若しくは隔離できるか、又は細胞型は、個別の細胞が仮想ナノリアクタの前記アレイ上の個別の場所に捕捉及び保留された後に個別の細胞から導かれるデータの結果として決定できる。
いくつかの実施形態では、いくつかの生物学的反応、プロセス又は方法を、単一試料又は部分が仮想ナノリアクタ内の位置に保留されている間に該単一試料又は成分に対して行ってよい。他の実施形態では、1又は複数の生物学的反応、プロセス又は方法を仮想ナノリアクタアレイ(複数可)中の位置(複数可)にある試料(複数可)又は部分(複数可)に対して行った後に、試料(複数可)又は部分(複数可)を別の仮想ナノリアクタアレイ(複数可)中の別の位置(複数可)に移行又は移動させてよい。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込め仮想ナノリアクタのアレイを、核酸の配列決定及び増幅について本明細書で別に記載するような核酸の捕捉/単離以外の目的のために用いる。いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めは、任意の荷電部分とともに用いられ、ここで、期間、部分の濃度、移動性、濃度、局所粘度、局所ポリマーの架橋パーセンテージ、又は荷電部分(複数可)の濃度は、電気的閉じ込め構造体の間隔、及び又は用いる場の強さ、及び又は個別の仮想ナノリアクタ内の十分な閉じ込めを維持するための場の勾配の大きさに影響する。耐えられる異なる仮想ナノリアクタ間の交差汚染のレベルは、異なる用途について、そして生物学的反応、プロセス又は方法における異なる工程にて変動し得る。例えば、核酸増幅反応プロセスを、隣接する仮想ナノリアクタ中で異なる試料に対して行ったならば、交差汚染は、PCR反応の早期の熱サイクル中に問題となることがあるが、PCR反応の後期のサイクル中の交差汚染は、特に問題にならないことがある。なぜなら、プライマーは大部分が消費され、他の仮想ナノリアクタからの交差汚染しているヌクレオチドの著しい増幅が妨げられるからである。
いくつかの実施形態では、ポリマーを用いて、ヌクレオチド又は他の部分の移動速度を低減させる。例えば、ポリマーは、POP−7(商標)のような部分的に絡み合ったポリマー、又はアガロース、ポリアクリルアミド若しくはデンプンゲルであってよい。濃度及び又は架橋のパーセンテージは、仮想ナノリアクタにおける閉じ込めが所望される異なる部分の様々な移動性について必要に応じて変動できる。ポリマーは、試料部分、又は前記生物学的反応、プロセス若しくは方法において用いられる他の部分を導入する前、導入とともに又は導入の後に、仮想ナノリアクタの容積に導入してよい。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めを用いて、他の生体分子又は生物学的部分が結合した部分、例えば抗体が結合できる電荷を有するビーズを捕捉し、ここで、前記ビーズは、タンパク質を捕捉するために後で用いることができ、前記ビーズは、電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて後でさらに捕捉できる。
いくつかの実施形態では、仮想ナノリアクタを、配列決定に加えていくつかの異なる用途のために用いてよく、例えば、前記仮想ナノリアクタは、ハイブリダイゼーションアレイ(Affy又はAgilent DNAマイクロアレイと同様)として利用でき、ここでは、DNAはビーズ上にあり、前記ビーズは、仮想ナノリアクタによりその場所に保持されている。他の実施形態では、仮想非リアクタをデジタルPCRのために用い、ここで、前記ビーズは、アレイに導入される。検出は、アレイのそれぞれの素子に付随する電子的センサアレイを用いて行うことができるか、又は検出は、光学的手段を採用して、特定の核酸の存在又は量を検出できる。デジタルPCRを用いて、相対論的様式で試料内の標的の濃度を定量できる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載するような仮想ナノリアクタ内への試料の濃縮により、より高い感度で定量が可能になる。いくつかの実施形態では、アレイのいくつかの領域において(しかし他の領域ではない)濃縮を用いることにより、より大きい濃度定量ダイナミックレンジが可能になることがある。さらなる実施形態では、DC濃縮場は、試料部分を前記仮想ナノリアクタから離れるように部分的に「押す」ように反転させてよい。いくつかの実施形態では、濃縮、濃縮なし、及び異なるエリアへの試料部分の押し出しの組み合わせが、デジタルPCR又は任意のその他の所望の生物学的反応、プロセス若しくは方法のダイナミックレンジをさらに拡大する助けとなることがある。異なるプライマーを有するビーズを、本明細書で記載するような仮想ナノリアクタアレイの異なるエリアに導入して、いくつかの標的についての同時デジタルPCR反応を可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、仮想ナノウェルを、前記ビーズとコンジュゲートしたプライマーと結合したDNAの完全伸長反応のために用いる。さらなる実施形態では、前記仮想ナノリアクタは、ライゲーション反応検出のために用いてよい。
いくつかの実施形態では、前記システムは、電磁石、永久磁石若しくは電極、又は他の異なるサブシステムを用いて、過渡的若しくは定時制単離、或いは生体分子又は他の対象の部分(例えばDNA、細胞、タンパク質)又は生体分子若しくは他の対象の部分の担体(例えばビーズ、粒子又はその他の部分)の保持又は濃縮のために、電磁場を発生させることができる。前記電磁場は、磁場、電場又はこれら2つの組み合わせであってよい。前記電場は、DC場、AC場、パルスDC場、非正弦AC場、パルスAC場又はそれらの組み合わせであってよい。仮想壁(又はフェンス)を有するナノリアクタを用いて、又は電場若しくは磁場を用いて創出して、生体分子若しくはその担体を保持、捕捉、濃縮、単離又は操作してよい。
2セット以上の電極構造を用いるいくつかの実施形態では、仮想壁又は単離壁若しくはフェンスをオン又はオフにするか、或いは固定された時間であり得る所望の時間にて若しくは電極構造のアレイの特定のメンバーに付随するセンサからの変化に応答して電磁場の大きさ、形状若しくは周期について改変してよい。オン若しくはオフにすること、又は電磁場の大きさ、形状若しくは周期について改変することは、電極構造のアレイにおいて濃縮、閉じ込め若しくは単離される対象の粒子、ビーズ、細胞、生体分子又は他の部分の移動を制御するため、或いはタンパク質検出における抗原若しくは2次抗体、又はDNA若しくはRNA配列決定におけるヌクレオチド、又は細胞相互作用における2次細胞、又は薬物スクリーニング及びモニタリングにおける薬物若しくは細胞のような生体分子又は反応において用いることができる対象の他の部分を制御するために用いてよい。この機構は、アクセスの容易さ、及び柔軟な操作、及び又は混合を提供するために用いてよい。
いくつかの実施形態では、仮想ナノリアクタアレイは、システムへのDNA入力の量及び/又は濃度を標準化し、エントリーへのフィードバック及び/又は制御を生じさせることがあり、これは次いで前記DNA又は本明細書で記載するシステムに入力する他の生体分子若しくは他の部分の量及び/或いは濃度を制御するために用いることができる。システムは、検出又は配列決定アレイのリアルタイム標準化の目的のためにさらに用いてよい。
ビーズ、又は細胞、又は他の生体分子、粒子、又は対象の他の部分を、磁性又は電磁的又は電気的捕捉により捕捉し(単離、閉じ込め又は濃縮する)、かつ又は保持するためのアレイは、アレイの素子あたり2セットの「捕捉素子」(他の場所で記載するような磁性アレイのGENIUSバー又は素子)を含むように構成してよく、1セットの捕捉素子を用いて1つの部分を捕捉(単離、閉じ込め又は濃縮)し、対象の第2部分をその後捕捉(単離、閉じ込め又は濃縮)することが可能になる。前記捕捉は、異なる順序で、異なる構造を用いて行うことができ、アレイ素子あたり2セットより多い捕捉素子を含んでよく、それに対応して、さらなる捕捉工程を、それぞれのアレイ素子にて行ってよい。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて、B細胞と結合した荷電ビーズ、例えばタンパク質、多糖若しくは他の免疫原を担持した磁性ビーズであって、B細胞を捕捉するために後で用いることができる磁性ビーズを捕捉してよい。荷電ビーズは、その後、前記電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて捕捉してよい。いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて、タンパク質、多糖又は他の免疫原と結合できるB細胞を捕捉する。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて、他の炭水化物又は糖脂質と結合した荷電ビーズ、例えば炭水化物結合分子を含むタンパク質又はペプチドと結合できる荷電ビーズを捕捉する。荷電ビーズをその後用いて、炭水化物又は糖脂質を捕捉でき、ここで、荷電ビーズは、前記電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いてその後さらに捕捉してよい。このような炭水化物又は糖脂質結合部分は、グリコシドヒドロラーゼ、レクチン、ガレクチン、インテレクチン、ペントラキシン、セレクチン、アドヒージョン又はヒアルロナンのような炭水化物活性酵素を含み得る。
いくつかの実施形態では、アレイを化学スクリーニングの用途のために用い、システムを用いて非生体分子を試験又はモニタリング又は測定できる。例えば、薬物の効果の測定が望まれる薬物スクリーニングのための使用において、システムは、例えば約100、1000、10,000又は1,000,000の異なる薬物候補をそれぞれのビーズ上で用いることができ、ここで、前記ビーズは、「仮想ナノリアクタ」アレイ中に捕捉及び保持できる。システムは、その後、ビーズと細胞若しくは対象の細胞のセットとの間の相互作用及び相互作用の測定を可能にすることができ(ここで、電気的閉じ込めを、アレイにおける画素の単離のために用いる)、ハイスループットで迅速な薬物スクリーニングシステムを提供する。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めアレイを用いて、複数の異なる型の生体分子が結合した荷電ビーズの組み合わせセットを捕捉する。荷電ビーズの組み合わせセットは、異なる型の生体分子又は生物学的部分と結合した荷電ビーズの複数のセットを含み得る。これは、荷電ビーズのあるセット上で1つの生体分子又は生物学的部分と結合できる1つの型の結合部分と、ビーズの異なるセット上で異なる生体分子又は生物学的部分と結合できる異なる型の結合部分とであり得る。荷電ビーズの前記組み合わせセットは、複数の結合部分と結合した荷電ビーズを含むことができる荷電ビーズのセットも含んでよい。
さらなる実施形態では、ビーズの前記組み合わせセットは、ビーズの異なるセット同士を区別する標識をさらに含んでよい。前記標識は、蛍光色素のような光学的標識、DNAのような生化学的標識、金属粒子標識、任意のその他の型の標識、又は異なる型の標識の組み合わせであってよい。前記標識を用いて、アレイ電気的濃縮及び閉じ込め機構のそれぞれの素子にどの型のビーズがあるかを決定できる。
いくつかの実施形態では、ビーズ及び様々な生体分子反応に起因する相互作用の検出の異なる方法を、前記ビーズの検出の結果として観察できる。前記検出は、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ChemFETセンサ、ISFET検出器、例えば蛍光検出器のような光学的センサ、SERS検出器、吸収検出器、PH検出器、コンダクタンス検出器、質量共鳴検出器、熱量検出器又は生体分子反応若しくは他の型の反応の検出のために適切な任意のその他の型の検出器の結果として実現できる。いくつかの実施形態では、前記センサは、アレイ中のそれぞれの位置にて、電気的濃縮及び閉じ込め機構と組み合わせてよい。
いくつかの実施形態では、電気的濃縮及び閉じ込めを用いて、他の生体分子又は生物学的部分と結合している荷電部分を直接捕捉する。例えば、抗体又はタンパク質と結合した抗体を濃縮又は閉じ込めることができ、ここで、前記抗体又はタンパク質と結合した抗体は、その後、タンパク質又はさらなる抗体を捕捉するために用いてよい。
いくつかの実施形態では、「仮想ナノリアクタ」アレイは、DNA、RNA若しくは他の反応物のような対象の生体分子又はより効率的な合成のための試薬を濃縮することにより、反応速度を増加させる。
いくつかの実施形態では、フローセルの一部としてバルブシステムを一体化することが望ましい。前記バルブシステムは、フローセルの区分への試料の流れを可能にして、異なる試料を前記フローセルの異なる区分に用いることができるようにする。他の実施形態では、バルブシステムをフローセルに隣接して一体化して、そのことにより、バルブシステムとフローセルとが互いに封止界面を形成できる。他の実施形態では、前記バルブシステムと前記フローセルは、単一マウント上で互いに隣接してよく、ここで、前記バルブシステムと前記フローセルをともに、前記マウントに載せることができる。前記バルブシステムは、前記フローセルの前記区分に流入する前に前記バルブシステムから流体を除去できるように廃液バルブ(複数可)も含んでよい。例えば、前記バルブシステム内に著しいデッド容積があるならば、以前の流体から許容不能なレベルの交差汚染を受ける可能性がある流体を除去することが望ましいことがある。
いくつかの実施形態では、バルブデバイスをフローセルと一体化することが望ましいことがある。このようなバルブ構成は、様々な入力を含んでよく、これは、4つのdNTP(例えば配列決定反応のため)についての入力を含むことができ、緩衝液、塩、酵素及びヌクレオチドの組み込みのために要求される任意のその他の部分も含有できる。入力は、様々な緩衝液及び洗浄試薬、ポリメラーゼ含有緩衝液(これは、塩及び重合のために必要な任意のその他の部分も含有してよい)、フローセルから任意のコーティングをはがすために必要な試薬、フローセルを再コーティングするために必要な試薬、ホスファターゼも含む緩衝液、又はその他の試薬についても採用してよい。
一実施形態では、バルブデバイスは、PDMSで製作される。別の実施形態では、バルブデバイスは、磁気又は空気圧で作動するエラストマーバルブを有するガラスから製作される。
いくつかの実施形態では、前記バルブ及び流体PDMSマニホールドを、シリコンデバイスと結合させることが望ましいことがある。前記PDMSと前記シリコンデバイスとの間の結合の強さを増加させることが望ましいことがある。
本発明の一実施形態では、結合の強さを改善するために、プラズマ活性化PDMSを用いることが望ましいことがある。出力が強すぎるか又は圧力が強すぎるプラズマ処理は、シリコンに対するPDMSの結合の強さを実際は減少させることがあるので、より低い出力レベル及び圧力を用いることが重要になることがある。Tangらは、2006 J.Phys.:Conf.Ser.34 155頁中で適当な出力及び圧力レベルについて記載している。一実施形態では、例えば790シリーズPlasma−Thermを用いて500ミリTorr〜30ミリTorrの圧力及び10〜60ワットの出力レベルを用いることが適切である。
PDMS又はその他の同様の材料で製作されたデバイスについて、圧力バルブを用いて、試薬の流れを制御することが可能である。このようなバルブを用いて、いくつかのバルブを互いに近傍にすることが可能であり、バルブは、中心チャネルと非常に近くなることができ、図4A(これは、それぞれが圧力制御ライン404の制御の下でフローセル408への入力に向かって流れるように構成されたバルブ406を有する3つの試薬入力ライン402を有する試薬バルブシステム400を示す)に示すようにデッド容積を低減できる。
より多くの試薬入力が望まれるより複雑なシステムのために、図4Aの単純バルブシステム400は不十分である。なぜなら、これは、3つの試薬入力ライン402だけを有するからである。図4B及び4Cに示すような代替の実施形態では、より多くの入力が可能である。このアプローチにより、チャネルのデッド容積を取り除くことも可能である。図4Bでは、入力は、dATP、dTTP、dCTP、dGTP、緩衝液1、緩衝液2及び試料についての入力ポート、廃液1、廃液2及び廃液3の出力ポートを含む。制御ラインは、それぞれの入力及び出力ポートについての場所にあり、さらなる制御ラインを有して、作動ポートの間の流れの方向を制御する。廃液ポートをフローセルの直前に示し、そのことにより、以前の流れからのいずれの残余試薬も除去でき、バルブシステムにおけるいずれのデッド容積からの拡散なしである試薬から別の試薬への非常に清浄な移行が可能になる。図4Cは、卵形の流路を有するバルブシステムを描き、全ての入力バルブポートの位置は、前記入力バルブポートの位置からの両方向に出力(廃液)ポートへの路を有する。図4Aに示すようなバルブを、図4B、4Cに示すそれぞれのバルブについて、又はPDMSバルブシステム440の写真を示す図4Dに示すような試薬バルブシステム430の物理的実施形態において用いてよい。
ある実施形態は、それぞれの入力ライン内の空気又はその他の混入物を、それぞれの入力ポート制御バルブまで追放することを可能にし、そのことにより、それぞれの入力ポートが作動したときに、適当な試薬がシステムに導入されるようになる。例えば、dATPラインを清浄にするために、dATP制御ライン及び廃液1上部制御ラインを作動させて、dATPライン中の空気及びいずれの不要な試薬もdATPバルブを通して廃液1から流出するようにできる。他の実施形態では、dCTP制御ライン及び廃液1上部制御ライン、dTTP及び廃液1上部制御ライン、並びにdGTP制御ライン及び廃液1下部制御ラインをそれぞれ作動させることによりdCTP、dTTP及びdGTPラインから混入物を追放又は取り除くことができる。試料ラインから混入物を追放又は除去するために、試料制御ライン及び廃液2制御ラインを作動させてよい。
全てのラインから混入物を追放及び除去することは、配列決定アセンブリを置き換えた後に必要になることがある。同様に、試薬ラインから混入物を追放又は除去することは、試薬瓶又は容器を置き換えるか又は再充填した後に必要になることがある。混入物を追放又は除去することは、装置を使用しない期間(このことは、周囲より低く冷却する必要がある試薬を含有する任意の試薬ラインが分解を受けることになる;例えば、ポリメラーゼ含有試薬中のポリメラーゼは、周囲温度に長期間さらされることになり得る)に起因してさらに必要になることがある。
いくつかの実施形態では、フローセルの入力を先導するマニホールドを充填することが望ましく、そのことにより、マニホールドの以前の使用から残存したいずれの試薬も除去できる。例えば、フローセルにdATPを導入する前に、dATP制御ライン、上部液体制御ライン及び廃液2制御ラインを作動させてよい。dATP試薬を次いで、dATP入力ラインから、上部液体ループの両側を回って、上部液体領域と下部液体領域との間のチャネルを通して、そして廃液2バルブから出て廃液2ラインに入るように流動させ始める。あるいは、dCTPをフローセルに導入する前に、dCTP制御ライン、上部液体制御ライン及び廃液2制御ラインを作動させてよい。dCTP試薬を次いで、dCTP入力ラインから、上部液体ループの両側を回って、上部液体領域と下部液体領域との間のチャネルを通して、そして廃液2バルブから出て廃液2ラインに入るように流動させ始める。同様に、dTTPをフローセルに導入する前に、dTTP制御ライン、下部液体制御ライン及び廃液2制御ラインを作動させてよい。dTTP試薬を次いで、dTTP入力ラインから、下部液体ループの両側を回って、下部液体領域と下部液体領域との間のチャネルを通して、そして廃液2バルブから出て廃液2ラインに入るように流動させ始める。同様に、dGTPをフローセルに導入する前に、dGTP制御ライン、下部液体制御ライン及び廃液2制御ラインを作動させてよい。dGTP試薬を次いで、dGTP入力ラインから、下部液体ループの両側を回って、下部液体領域と下部液体領域との間のチャネルを通して、そして廃液2バルブから出て廃液2ラインに入るように流動させ始める。
緩衝液1は、B1C制御ライン及びW3C制御ラインを作動させることにより、メインフローセル(濃い青色)を通して、廃液3ポートから出て流動させることができる。あるいは、緩衝液1は、B1C制御ライン及びW2C制御ラインを作動させることにより、廃液2ポートを出て流動させることができる。別の代替の使用では、緩衝液1は、緩衝液1制御ライン、上部液体制御ライン及び廃液1上部制御ラインを作動させることにより、液体マニホールドの上部区分を通して廃液1ラインから出て流動させることができる。同様に、下部液体マニホールドは、緩衝液1制御ライン、下部液体制御ライン及び廃液1下部制御ラインを作動させることにより、緩衝液1でフラッシュできる。時系列で又は同時にこれらのエリアの組み合わせにおいて流れを作動させることにより、気泡、その他の混入物を追放するために、或いはdATP、dTTP、dCTP、dGTP、緩衝液2若しくは試料入力ポートを介してシステムに導入され得るいずれの他の液体も洗浄又は追放することとして液体マニホールド全体を清浄にすることが可能になる。
いくつかの実施形態では、熱成長二酸化ケイ素よりも高い結合の強さを有する、シリコンデバイス上の不動態層を用いることが望ましい。Tangらは、PSG(PECVDリンケイ酸ガラス)、USG(PECVD非ドープケイ酸塩ガラス)、Si3N4(LPCVD窒化ケイ素)を含む、結合の強さが改善されたいくつかの不動態層について記載している。
PDMSバルブマニホールドを用いるいくつかのシステムでは、PDMSに挿入されたピン又はニードルを用いて、試薬ラインをバルブマニホールドに接続する。このことは確実な取り付けをもたらすが、PDMSバルブマニホールドにいくつかの試薬ラインを取り付けることは、時間がかかり、エラーを生じやすい。よって、いくつかの実施形態では、界面マニホールドを用いることが望ましいことがあり、ここでは、試薬ラインがバルブマニホールドよりもむしろ界面マニホールドに接続され、界面マニホールドがバルブマニホールドに接続され得る。試薬ラインは、ピン又はニードルに取り付けられ、これらは、界面マニホールドに取り付けることができる。ピン又はニードルは、その場に接着剤を用いて、溶接若しくはロウ付けにより、圧入の利用により又はその他のいくつかの手段により保持されるように、界面マニホールドに永続的に添付してよい。あるいは、ラインを界面マニホールドに直接接続し、ここでラインは、取り付け具若しくはoリングにより、又は当技術分野において知られるその他のいくつかの手段により保留できる。
いくつかの実施形態では、界面マニホールドは、試薬が界面ブロックからバルブマニホールドまで流動できるように、バルブマニホールドと、封止するように界面で連結してよい。界面マニホールドとバルブマニホールドとの間の界面は、チップ/フローセル及び/又はバルブマニホールドを置き換えることができるようにユーザにより用いられる界面であってよい。
いくつかの実施形態では、界面マニホールドは、結合により形成された内部チャネルを有してよく、このような結合は、融合結合、溶剤結合又は接着結合を含み得る。
いくつかの実施形態では、フローセルの活性部分までの路長を最小限にすることは、試薬の混合の量を最小限にすること(このことは、壁相互作用によるチャネルの中心での流速とチャネルの端部での流速との違い及び拡散の結果として生じる)を含むいくつかの理由のために重要であることがある。いくつかの実施形態では、温度制御されていない容積においてポリメラーゼのような試薬の分解を妨げるために、温度制御されていない容積を最小限にすることが望ましいこともある。いくつかの実施形態では、配管容積を最小限にすると同時に、試薬と接触する材料の非特異的結合により複数の試薬にとって一般的な流れ領域においても生じ得る試薬の交差汚染を最小限にすることが望ましいことがある。
図1は、本発明の一実施形態の概略図を示し、ここでは、磁性又は常磁性ビーズが、磁性アレイによる感知領域の上方の場所に保持されている。磁性アレイは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「エマルジョンフリーポリヌクレオチド増幅及び配列決定のための磁性アレイ」との表題の米国特許仮出願第61/389,484号に記載されている。保留される磁性又は常磁性ビーズは、DNAの単クローン集団を有し得る。ビーズは、それぞれのセンサの上方に1つだけのビーズのための十分な余地があるようなサイズになっていて、そのことにより、センサとビーズとの間の1対1の対応をもたらすことができる。それぞれのセンサの上方に1つだけのビーズのための余地があるが、ビーズをビーズの上方に整列させる場合にビーズ間に余地があることができ、そのことにより、センサ間のクロストークが低減される。例えば、ビーズのあるセットは、約10ミクロンの直径で、約8ミクロンの幅のセンサの上方に置かれていてよく、センサは約15ミクロンの間隔をあけていてよく、そのことにより、ビーズ間におよそ5ミクロンの間隔がもたらされる。センサの上方に2つのビーズを保留するために不十分な余地があるならば、センサのサイズはビーズより大きくてよい。ビーズ、センサ及び間隔のサイズは変動できる。他の実施形態では、ビーズのサイズは10ミクロンより大きく、例えば約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン以上であってよい。さらなる実施形態では、ビーズは、10ミクロンより小さく、例えば約5ミクロン、約3ミクロン、約2ミクロン、約1ミクロン又は1ミクロン未満であってよい。センサは、ビーズのサイズと整列するようなサイズであってよく、よって、センサのサイズは、幅8ミクロンより大きいか又は幅8ミクロンより小さくてよく、幅1ミクロン未満から約1、2、3、5、10、15、20ミクロン以上までの範囲の可能性がある。センサ間の間隔も、15ミクロンより大きくてよいか、又は15ミクロン未満であってよい。センサ間隔は、センサ間が1ミクロン未満から約1、2、3、5、10、15、20、25ミクロン以上までの範囲であってよい。
図1に示すようなチャンバを含まない磁性保留構造は、ヌクレオチド、ポリメラーゼ及びその他の成分の流れの改善を可能にでき(なぜなら、それらの流れが図2に示すようなウェル構造により妨害されないからである)、そのことにより、ビーズがウェル中にある場合に可能であるものよりもよりよい洗浄、より完全な塩基の組み込み及びより迅速なサイクル時間が可能になる。ウェル構造では、図2に示すようなビーズ及び付随するDNAは、アクセスしやすさ及び流れを妨害し、そのことにより、図2に示すようなビーズの全ての部分まで十分な拡散を可能にするために、より高い濃度のポリメラーゼ及びヌクレオチドが必要になることがある。前記より高い濃度のdNTP及びポリメラーゼは、前記ポリメラーゼによる誤組み込みによるエラー率を増加させ、図1に示すようなチャンバを含まない構造体を用いて生じるものよりも高いレベルの進み配列決定位相エラーをもたらすことがある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するアレイは、再利用可能である(例えば単回使用でない)。配列決定のコストは、いくつかの部分からなる。電子的センサを用いる配列決定について、主要なコストの1つは、加工シリコン、すなわちセンサ自体のコストである。このことは、センサが再利用可能でないが、単回使用の後に廃棄されなければならない場合に特にそうであり得る。上記の磁性アレイは、再利用を至って簡単にする。なぜなら、DNAがセンサと結合せず、ビーズは、前記ビーズをその場所に保持している磁場を低減又は除去することにより容易に除去できるからである。あるいはビーズがある構造体を用いてその場所に保持されるならば、除去はより難しいと考えられる。
一実施形態では、ある構造体又はウェルのアレイを用いて保持され、磁性又は常磁性ビーズであり得るビーズがウェルから引き出されるように磁場を印加することにより除去され、その後、セルを通して試薬を流すことによりフローセルから除去されるビーズ。
いくつかの実施形態では、磁性機構のアレイを、前記核酸の配列決定及び増幅について本明細書で別に記載するような核酸の捕捉/単離以外の目的のために用いる。これらは、細胞(例えばがん細胞、B細胞)、タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、抗体、糖又は多糖及び既に記載したような他の部分の捕捉を含む。
いくつかの実施形態では、保留されたビーズと結合した、付随する細胞を、ビーズが磁性アレイの位置に保持されている間に溶解する。保留されたビーズには、標的ヌクレオチド配列を増幅及び/又は配列決定するためのプライマー又はプライマーセットがさらに付着していてよい。プライマーは、ユニバーサルプライマー、若しくはそれぞれのビーズと結合した細胞の型と関連する特定の配列を標的にするプライマーであってよいか、又はユニバーサルプライマー、若しくはバーコードを有するユニバーサルプライマーセットであってよい。例えば、バーコードは、それぞれのビーズと結合した細胞型、又は異なる型のプライマーの組み合わせと関連する。いくつかの実施形態では、細胞を溶解した後に、逆転写及び/又は増幅反応を行ってよい。いくつかの実施形態では、増幅は、リアルタイムPCR反応であり、ここでは、特定のRNAの量を、それぞれのビーズについて、よってそれぞれの細胞型について決定できる。他の実施形態では、増幅反応は、PCR反応又は等温反応であり、前記ビーズ上にクローン集団を生じるか、又はそれぞれのクローン型が異なるプライマーを用い得るマルチクローン集団を生じてよい。他の実施形態では、合成反応による配列決定を後で行って、それぞれのビーズ型、よってそれぞれの細胞型と関連する増幅配列(複数可)の配列を決定する。
さらなる実施形態では、細胞の溶解の後に、特定の電荷のDNA、RNA又は他の分子が保留され、ビーズは除去され得る。いくつかの実施形態では、さらなるビーズを前記磁性アレイに導入してよい。新しく導入されたビーズは、本明細書で記載するように新しく導入されたビーズと関連する異なる型のプライマーを有してよい。
いくつかの実施形態では、磁性機構のアレイを、磁性若しくは常磁性ビーズ又は粒子により好ましい位置が維持されるように構成してよい。このような好ましい位置は、1若しくは複数のセンサに関して粒子を適当に配置し、かつ/又は粒子を一定の場所に維持するために望ましいことがあり、そのことにより、粒子及び粒子に付着した電荷が、前記1又は複数のセンサに関して移動しない。いくつかの実施形態では、好ましい場所は、図6に示す磁性アレイ素子形状の構成に少なくとも部分的に起因することがある。図6は、2つの異なる構成600を示し、ここで、アレイにおける少なくともいくつかの形状は、磁束の密度が、磁性アレイのメンバーの一端にて、他端よりも又は磁性アレイのいくつかの他のメンバーよりも濃縮されるように構成してよい。上の2対の磁性素子において、左の台形の磁性アレイ素子604は、S極にて、前記台形の磁性アレイ素子のN極よりも狭い。磁性アレイ素子から出る全磁束レベルは、2端にて同じでなければならず、台形の磁性アレイ素子604の狭い方の端での磁束密度は、前記台形磁性アレイ素子の広い方の端でのものより高い。より高い磁束密度は、磁性又は常磁性素子に働く力がより高いことに対応するので、前記台形の磁性アレイ素子604の狭い方の端から磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ602に働く力は、右側の同様のサイズの磁性アレイ素子606(右側の磁性アレイ素子606上の素子は、同様のサイズであるが、矩形であり、よってより低い磁束密度及び磁力を有する)から働くものよりも高い。同様に、台形の磁性アレイ素子604の狭い方の端から磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ602に働く力は、右側の同様のサイズの台形磁性アレイ素子608(右側の磁性アレイ素子608上の素子は、その広い方の端が磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ602の方に向いている)から働くものよりも高い。
本発明の別の実施形態では、図7に示すように、磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ702の運動を阻害するように、さらなる機構を磁性アレイの組み立ての一部として組み込んでよい。ここで示す実施形態では、磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ702は、左の台形の磁性アレイ素子704の狭い端に向かって優先的に引っ張られ、2つの柱710と接触するように引っ張られるとともに、アレイの表面と接触するように下方にも引っ張られ、よって、3点で接触して、前記磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ702が完全に安定化される。柱及び磁性アレイ素子は、最小限の面積の表面接触をもたらして、イオン、dNTP、酵素及びその他の部分の最大限のアクセスを可能にすることができる。柱及び磁性アレイメンバーは、センサ素子に対して厳しい精度で配置して、センサアレイの異なるメンバー間の再現可能なシグナルレベルをもたらすことができる。
さらなる実施形態では、小さいウェルを用いて、磁性又は常磁性粒子がウェルの上部の隅で休止することができる。ウェルは、円いか、又は磁性若しくは常磁性構造体が全般的に球形状であるならば円以外のある形状であってよく、そのことにより、酵素、dNTP、イオン及び他の部分が磁性又は常磁性粒子の底によりアクセスしやすくなる。
いくつかの実施形態では、磁性アレイを用いて、ハイブリダイゼーション検出、ハイブリダイゼーション引き出し又は配列決定のためのクローン集団を作製する。アッセイは、増幅が生じる磁性アレイ中の位置においてビーズを用いて行ってよいか、又はビーズを、増幅反応が生じたエリア又は容積から、別の場所に移動させてよい。第2の場所は、アッセイを行うために磁性固定化を採用してもよいか、又はビオチンストレプトアビジン結合のような異なる固定化を採用してよい。いくつかの実施形態では、センサは、磁性又は常磁性粒子の直下に配置され、そのことにより、ビーズ上のDNAに付随する電荷とセンサとの間の相互作用が最大になる。他の実施形態では、ビーズが固定され、自由に回転できないような様式でビーズが結合又は付随してよい。センサを常磁性の中心から外して配置することが望ましいことがあり、水性環境への自由なアクセスを有する粒子のエリアへのアクセスが可能になり、水性環境へのアクセスが欠如していることにより反応が阻害され得る表面と直接接触しているエリアとは対照的に、ポリメラーゼ、dNTP及び他の部分へのアクセスが可能になり、最適な酵素反応ができる(これは、次いでセンサが読み取ることができる)。
いくつかの実施形態では、チャネルにおいて生じる差動流れを用いて磁性又は常磁性粒子を回転させて、前記磁性又は常磁性粒子の全ての表面への酵素、dNTP及びイオンによる最適なアクセスを提供することが望ましい。前記差動流れは、小さいチャネルに典型的な放物線状流れに起因し、ここでは、チャネルの表面でのバルク流速がゼロであり、チャネル中の最大流速が前記チャネルの中心において典型的に最大である。このことにより、チャネルの底と磁性又は常磁性粒子の頂部との間の著しい流速の差がもたらされることがある。磁性又は常磁性粒子の頂部と底との間の流速の差は、粒子のサイズ、チャネルの高さ及び幅並びにチャネル中の平均流速の関数である。DNA及び又は磁性若しくは常磁性粒子に付着し得るその他の成分は、磁性又は常磁性粒子の頂部での比較的高い流速による前記磁性又は常磁性粒子の頂部への引きずり又は引きをもたらすことがある。底での流速は、逆に、本質的にゼロのままであり、よって、著しい回転推進力を創出する。他の物理的機構と組み合わされる可能性がある磁性アレイ素子は、前記磁性又は常磁性粒子の位置を維持できる。
いくつかの実施形態では、センサを読み取る間にdNTP及び又はその他の試薬を導入及び流動させながら、流速を定常流速に維持して、定常平均回転速度を維持する。他の実施形態では、センサを読み取る間に流速を低減して、磁性又は常磁性粒子の著しい振動及び運動を妨げることが望ましい。なお他の実施形態では、センサを読み取るときに試薬をフローセルに流しながら、流速を増加させて、磁性又は常磁性粒子がセンサと相互作用する表面積を多くすることが望ましい。このことにより、平均効果を増加させることが可能であり、このことは、磁性若しくは常磁性粒子の表面上のDNA付着密度の変動によるセンサ読出しの変動、又は粒子の形状の不規則性によるセンサ読出しの変動を低減できる。
他の実施形態では、流速の速度の変化に起因する以外の力を用いて、磁性又は常磁性粒子の回転又は動きの速度を改変する。いくつかの実施形態では、磁束レベルは、磁性アレイ素子のより高い透過性の結果として磁性アレイ素子を通して結合できる外部磁石の動きの結果として改変されることがある。代替の実施形態では、電磁石を用いて、粒子と相互作用する磁束の量に影響を与える。磁束の量のこれらの変化は、磁性又は常磁性粒子に作用する摩擦力を低減させて、より多く又はより少ない回転を可能にすることができる。
なお他の実施形態では、部分的に、ビーズ及び付随するDNAの分極性の結果として、磁場又は電場を用いて、磁性又は常磁性粒子を回転させる。
いくつかの実施形態では、フローセルを通る試薬の流れに起因する力の他に力を用いて、センサと1対1の対応で関連する適当な場所に磁性又は常磁性粒子を配置することが望ましい。いくつかの実施形態では、磁性又は常磁性粒子は、1又は複数のフローセル中への試薬流れにおいて流動してよく、磁石又は電磁石を用いて、そのようなさらなる磁石又は電磁石を用いずに生じる割合よりも高い割合の磁性又は常磁性粒子がセンサと1対1の対応で関連するようにセンサと関連する位置に粒子を移動させる。
磁性アレイは、アレイの場所にビーズを事実上完璧に割り当てることも可能にする。ビーズとアレイの場所との間の1対1の対応で、遠心分離を必要とすることなく、低速流れで十分に、アレイ中でビーズを局所的に保留できる。一実施形態では、アレイ上における占められた場所対占められていない場所のレベルがより高いことが必要であるか又は望まれる場合であっても、試薬流れを環状にして、ビーズがフローセルに再導入されるようにしてよい。別の実施形態では、試薬流れを、ビーズがフローセルに導入されるにつれて停止させるか又は遅くしてよい。別の実施形態では、試薬流れの方向を可能性として数回逆にして、ビーズがアレイを満たす機会をより多く提供する。なお別の実施形態では、ビーズを入口又は出口のいずれかを通して貯蔵場所まで流動させることによりビーズをフローセル中に流動させた後にビーズを保留して、ビーズを後続の配列決定プロセスで用いることができるようにする。意図したビーズの場所以外の位置にビーズがくっつくことを妨げるために、流れを増加させていずれの弱く保持されたビーズも除去しながら、正しく保持されたビーズを保留することができる。配列決定又は増幅のような化学プロセスが完了した後に、保留している場の磁束を低減するか、ビーズをアレイから離して引っ張る新しい場を加えるか、流体の流速を増加させるか、気泡を伴う空気水界面を用いる(表面張力を含み得る)か、又はこれらの工程の任意の組み合わせによりビーズを除去してよい。
ある特定の実施形態では、図3に示すように、DC場若しくは誘電泳動場又はその両方のいずれかを用いて、電極のアレイを用いて荷電ビーズを保留する。磁性アレイを用いる場合と同様に、ビーズを保留するためにウェル構造は必要でなく、成分が溶液中で自由に流動することが可能である。溶液中のDNA試料、ヌクレオチド、酵素及び他の荷電部分のような荷電成分がアレイの上方の容積を通して確実に容易に流れることができるように、荷電ビーズを保留するために十分であるが、溶液中の部分が、保留されているビーズから離れて流動又は拡散することを許容するように十分に遅い振動数の振動を用いる。1対1の対応でセンサに付随するくぼみを加えることにより、ビーズとセンサとの間のよりよい整列がもたらされ、よりよい検出が可能になる。代替の実施形態では、台又は位置合わせポスト又はその他の3次元構造体を、例えばよりよい流体流れを組み込むことができるように用いる。
ビーズが1対1の対応でアレイに局在化され得る代替の実施形態では、ビーズを、磁場又は電場によりある位置に至らせ、次いで、DNAハイブリダイゼーション、ビオチンストレプトアビジン結合、チオール結合、光活性化結合、共有結合などのような代替の手段によりその場所に保持できる。結合は、温度の変化、光の照射により、又はビーズが前記磁場若しくは電場により1対1の対応で保持されている間に結合試薬若しくは触媒中での洗浄により、開始できる。結合が生じた後に、磁場又は電場の強さを、強度又は周波数において変化させてよい(オフにしてもよい)。結合は可逆性であってよく、センサのアレイの上方の容積からビーズを洗い出すことが可能になる。
いくつかの実施形態では、磁性又は常磁性粒子は、ポリメラーゼ又は他の酵素、並びに試料DNA、dNTP、イオン及び他の部分が通過するためのアクセスを提供する十分な多孔性のコーティングを表面上に有してよい。コーティングは、プライマーが適当な間隔にて付着し、そのことにより、より高い密度の試料DNA及びそれにより置かれるセンサと相互作用するための電荷をもたらすことができるように構成してよい。前記コーティングは、アガロース、ポリアクリルアミド若しくは他の架橋ポリマーのものであってよいか、又は多孔性ガラスでできていてよい。
他の実施形態では、ビーズは、DNA、タンパク質又は他の荷電部分が、表面コーティングなしのビーズと相互作用する場合に得られる非特異的結合の量と比べて、前記DNA、タンパク質又は他の荷電部分の非特異的結合を最小限に又は低減するように構成されたコーティングを有してよい。前記コーティングは、フローセル、センサ、富化モジュール又は磁性アレイの表面上で用いるための本明細書に記載するコーティングと同様であってよく、ある表面について本明細書に記載する任意のコーティングを、他の表面に利用してよい。
いくつかの実施形態では、ビーズは磁性コアを有してよく、これは、その上に不透過性コーティングを有してよい。前記コーティングは、多重鎖のDNAと結合、付着又は付随してよい。例えば、DNA鎖は、それぞれ、実質的に同一のローリングサークルアンプリコンであってよく、それぞれの鎖が1つのDNA標的の多重連続コピーを有するDNAの多重鎖が提供される。
図8は、アレイ中のセンサと1対1の対応でビーズを保留するための代替の方法及びシステムについての一実施形態を説明する。図8は、個別の制御ライン810が作動し、よって構造体812の1層が連続的に基体804と流体構造体802との間のフローセル容積806に拡張して、制御ライン810が作動するにつれ余剰ビーズ808を置換することにより、ビーズ808をセンサとの1対1の対応を超えるレベルから追い出すシステム800を示す。ビーズ808は、次いで、配列決定サイクル中にその場所に保持できる。図8からわかるように、制御ラインの下方には、液体の流れに十分であるが、ビーズの動きには不十分な余地がある。配列決定サイクルのあるセットが完了したときに制御ラインを作動しないようにし、ビーズ808を次いで、センサアレイ領域を通る流体の流れにより除去してよい。
代替の実施形態では、ビーズの数は、センサの数より少なくてよい。ビーズの数は、センサの数に近くてよく、制御ラインは、ビーズがセンサと局在化されるように作動される。センサアレイ領域中の流れの方向を交互にするか、振動(vibrations)又は振動(oscillations)を導入することなどにより前記局在化を支援して、ビーズがあるセンサ領域から別のセンサ領域まで移動できるようにするには制御ラインが低すぎるように十分に作動された制御ラインにより動きが妨げられる時間までビーズが頻繁な運動を受けるようにする。制御ラインのさらなる作動と組み合わせたビーズのさらなる動きは、センサの上方のより完璧に中心にビーズを配置するように働く。
さらなる代替の実施形態では、図8に示すものと同様の形状を有する構造体を、制御ラインが完全に作動される場合に生じるものと同様の形状になるように成形、機械加工又は形成してよい。前記構造体は、ビーズで覆われたセンサアレイの上方をゆっくり降下してよい。
なおさらなる実施形態では、より高いパーセンテージのセンサがビーズに付随するようにするために上記の構造体のうちの1つによりビーズのセットを局在化させた後に、ビオチンストレプトアビジン結合、チオール結合などによりビーズをセンサに付着させてよい。よって、さらなるビーズをセンサアレイ領域に導入でき、プロセスが反復される。以前に記載したように結合剤がセンサの上方のエリアに局在化するならば、構造体により獲得又はつままれた任意の過剰ビーズは結合せず、配列決定サイクルを開始する前に洗い流され得る。
なおさらなる実施形態では、著しく過剰のビーズをセンサアレイ領域に導入してよい。センサアレイ領域の出口での単一制御ラインを作動させて、ビーズのセットをトラップしてよい。水性条件及び/又は温度を変化させて、センサとのビーズの結合を可能にしてよい。過剰のビーズを、次いで、制御ラインを開放することにより除去して、ビーズの流れが水性試薬とともにセンサアレイ領域の外に出ることを可能にしてよい。
いくつかの実施形態は、pH感知を、以前のセンサ設計の上方に製作できる可逆的に還元可能な層を組み込んだ結果としての電気化学検出と組み合わせる。このようなセンサは、Senova Systemsから入手可能である。配列決定サイクル中に、センサに付随するビーズに塩基が組み込まれるならば、還元反応が生じる。還元のレベルを測定でき、配列決定サイクルの完了後に電圧をセンサに印加して表面の酸化を引き起こしてセンサを元の状態に戻し、そのことにより、センサを次の配列決定サイクルのために用いることができる。
いくつかの実施形態では、磁性ビーズを磁性アレイなしで用いる。磁性ビーズは、均一な間隔で単相に自己集合し、該間隔は、局所場の強さを変化するための外部磁石の使用により影響を受けることがある。前記磁性ビーズは、センサアレイの間隔と一致する間隔にて分離するようにしてよく、次いで、以前に記載したように水性条件、温度などを変化させることによりセンサアレイと結合するようにしてよい。ビーズとセンサとの整列を可能にするために、結合の後にビーズの遅い移行又は動きが適当であることがある。このような移行又は動きは、x、y、シータ及び間隔を含み得る多次元で生じる必要があることがある。1対1の対応でセンサに付随するくぼみを加えることにより、ビーズとセンサとの間のよりよい整列がもたらされ、よりよい検出が可能になることがある。
図11は、磁性、常磁性、非磁性粒子が球状以外の形状であり得る、磁性保留によるセンサアレイ(1102)、電気的閉じ込めによるセンサアレイ又は自己集合粒子を有するセンサアレイのいずれかと用いるための様々な実施形態を示す。粒子は、平面状、円形、矩形(1104)、星形、六角形(1106)又は他の形状であってよい。他の実施形態では、粒子は、樹状であって、前記粒子の表面積を拡大してよい。前記樹状粒子は、全般的に、球状、平面状、卵形又は任意のその他の形状であってよい。なお他の実施形態では、前記粒子は、多孔性であってよい。前記粒子が多孔性であるならば、孔のサイズは、DNA、ポリメラーゼ、dNTP及びプライマー伸長配列決定又は適当な他の用途のために必要な他の部分の自由な動きを可能にするのに十分なサイズのものであってよい。
磁性バーアレイを要求しない別の実施形態では、ローリングサークル増幅を用いて創出されたDNAボールでビーズを置き換えてよい。DNAボールを、次いで、DNAヌクレアーゼにより消化してよい。別の実施形態では、ボールを、モノマー又はポリスチレンのようなポリマーから製作して、その後、アセトンのような有機溶剤を用いてボールを溶解して配列決定することにより、同じプロセスにより付着DNAを遊離させ、これらをともに、試薬をフローセルに流すことにより前記フローセルから除去してよい。
なお別の実施形態では、ウェルに付着した部分とビーズに付着した部分との間の結合によりビーズをその場所に保持できる。ウェルは、ビーズの半径よりも短くてよく、円形以外の形状であってよく、そのことにより試薬がビーズの周囲を流動して、ビーズが前記ウェルの入口にていくつかの点にて結合できる。結合は、ストレプトアビジンビオチン結合、DNA DNA結合、DNA PNA結合、PNA PNA結合、チオールAu結合、光活性化結合、共有結合などであってよい。前記結合は、温度を上昇させるか、又はウェル上の部分とビーズ上の部分との間の親和性を低減させる試薬を導入することにより解除でき、そのことにより、フローセルに試薬を流すことにより前記フローセルからビーズを除去することが可能になる。ビーズ及びウェル構造体を音波処理することにより、ビーズを、前記ビーズが結合しているウェルから動くようにさらに誘導してよい。音波処理は、前記ビーズをフローセルから除去するために前記フローセルに試薬を流すのと同時に行ってよい。
仮特許出願第61/491081号に記載されるようなチャンバを含まないシステム中でDNAを増幅するプロセスにおいて、様々な因子を最適化に付すことができる可能性がある。これらのうち、周波数、電圧並びにポリメラーゼ、標的DNA及び生じたアンプリコンを閉じ込めるために用いられる閉じ込め「セル」のサイズ及び形状が挙げられる。閉じ込めだけを考慮するならば、アンプリコンのサイズが小さいことに関わらず、ほぼ全てのサイズのアンプリコンを閉じ込めることができる。しかし、適正な閉じ込めを確実にするために十分に強い場を得ることを可能にするために、場は、PCR若しくは等温増幅プロセス中の塩基を組み込むポリメラーゼの適正な活性を妨げることがあるか、又はポリメラーゼ及び若しくは伸長されたプライマーを、標的DNA伸長プライマー及びポリメラーゼの複合体から引っ張ることがある。一実施形態では、アンプリコンのサイズに応じて、周波数、電圧及び閉じ込めセルのサイズの組み合わせを最適化することが望ましい。
いくつかの実施形態では、増幅反応は、インバースPCR増幅、ホットスタートPCR増幅、メチル化特異的PCR増幅(MSP)、ネステッドPCR増幅、逆転写反応、逆転写PCR増幅(RT-PCR)、タッチダウンPCR増幅、配列間特異的PCR増幅(ISSR-PCR)、低変性温度での同時増幅(COLD-PCR)、固相増幅、ブリッジPCR増幅又は単一プライマーブリッジ増幅である。
いくつかの実施形態では、増幅反応は、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ニック形成酵素増幅(NEAR)、リコンビナーゼポリメラーゼ反応(RPA)、転写媒介増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、核酸ベースの増幅(NASBA)、RNA技術のシグナル媒介増幅(SMART)、DNAのループ媒介等温増幅(LAMP)、等温多重置換増幅(IMDA)、固相等温、ブリッジ等温、単一プライマー等温増幅(SPIA)、環状ヘリカーゼ依存性増幅(cHDA)又はローリングサークル増幅である。
電気泳動濃縮又は閉じ込めのためにDC場を生じさせることにおいて、電気分解生成物が蓄積し得る。これらは、ヒドロニウム及び水酸化物イオンを含む。これらのイオンからの影響を最小限にするために、正味のDCがかなり低くなるようにDC場にパルスを負荷できる。いくつかの実施形態では、DNAが中心電極のより近くに移動した後に、パルス負荷サイクルを低減できる。他の実施形態では、プロセスは、DCを用いてDNAを濃縮し、次いでACを用いて前記電気分解生成物の濃縮又は閉じ込めを維持できる。他の実施形態では、DC及びACをともに、濃縮及び閉じ込めのために用いることができる。
いくつかの実施形態では、パルスフィールドゲル電気泳動を用いる。例えば、非正弦AC波形を用いてよく、ここでは、より高い正の電圧を、平均電圧が実質的にゼロになるように、より長いがより短い負の電圧により均衡化できる。より高い正の電圧を、あるポリマー濃度とともに用いて、DNAのレプテーションがポリマー溶液中で生じるようにしてよい。ポリマー溶液は、より高い強さの電場における移動と比較して、より低い場の方向へのDNAのより低い移動を実際上引き起こすことができ、そのことにより、DNAの移動性を増加できる。この様式で、DNAは所望の方向により多く移動でき、Mgのような他の分子は、AC波形の均衡が取れた性質により、自由に行ったり来たりして動くことができる。移動の変動も周波数依存性であってよく、そのことにより、異なるサイズのDNAを捕捉できる。パルスフィールドゲル電気泳動は、1D又は2Dであってよく、輪郭クランプ電界、直交交流電界電気泳動、又は回転ゲル電気泳動(これらはいずれもゲル、絡み合ったポリマー又は別のふるいマトリクスをとともに用いることができる)を用いてよい。
誘電泳動場を発生させる場合、典型的に、正弦波形を用いる。このことは、異なる種の閉じ込め又は分離を厳密に意図する用途のために理想的であるが、生化学反応を閉じ込め容積内で行うシステムについて問題を引き起こすことがある。例えば、高い場は、局在化された加熱をもたらす見込みがある。一実施形態では、改変正弦波形を代わりに用いてよい。例えば、改変正弦波形は、正弦の頂部にて又は正弦波形の任意の他の点にて電圧が除去され、局在化された拡散を可能にし、プライマーとのアンプリコンのハイブリダイゼーション、2重鎖DNAとのポリメラーゼの結合並びにヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の結合及び組み込みを可能にする。場は、次いで、適当な期間の後に元通りにしてよい。同じプロセスを、改変正弦波形における反対の符号を有するピークにて行ってよい。他の実施形態では、任意の他の交流波形を、濃縮又は閉じ込めのために用いることができる。あるいは、正弦波形の中断は、サイクルあたり1回だけ生じてよいか、又はいくつかのサイクルごとに1回生じてよいか、又は多くのサイクルにおいて1回生じてよく、そのことにより、任意の「迷走」アンプリコンを、場の強さが最低の領域に捕捉して、閉じ込め容積の主要容積まで戻すことができる。あるいは、方形、台形、非対称波形などのような他の波形を用いてよい。
いくつかの実施形態では、単クローンビーズを、小さいマイクロ流体デバイス中で作製してよい。一実施形態では、電極及び磁石を薄いシート状に製作してよく、ここで、一体型マイクロ流体デバイスを創出するように上面がその場所に結合又は融合してよい。マイクロ流体デバイスは、そのために作製された電気的及び流体的接続を有してよい。マイクロ流体デバイスは、次いで、例えば真空又は空気圧により、加熱された第1プレートに対して良好な熱的接触で配置してよい。第2プレートは、異なる温度にて上方にあってよい。2つの温度を選択して、PCR増幅を容易にしてよい。1つの温度点が完了した後に、カードを、例えば真空又は空気圧により、加熱された上部プレートに移すか又は該プレートと接触するようにしてよい。薄いカード及びカード中の試薬だけが温度を変化させることを必要とするので、システムは、迅速な温度移行ができ、最小限の電力を消費する。
最小限の熱質量をもたらす他の実施形態では、増幅マイクロ流体デバイス中に構築される電極を抵抗加熱器として用いて、液体を局所的に加熱してよい。いくつかの実施形態では、電極の抵抗の変化を用いて、よりよい熱制御のために温度を測定する。他の実施形態では、ナノブリッジ又はナノニードル(本明細書に記載する)のようなセンサを、対象のエリアのよりよい制御のための温度センサとして用いる。
いくつかの実施形態では、単一コピーDNAからDNA増幅を行うことが望ましいことがある。ポリメラーゼエラーが増幅中に、PCR増幅の第1サイクルのような増幅プロセスの早期の時点で生じるならば、エラーは、正しい配列とエラー配列とが区別できないように増殖する。熱安定性ポリメラーゼは、典型的に、PCRの変性工程中に不活性化されるのでPCRにとって適切でないと考えられる中温性ポリメラーゼ又は好熱性ポリメラーゼよりも高いエラー率を有する。よって、いくつかの実施形態では、PCR反応の初期の部分について正確性が高いポリメラーゼを用いることが望ましく、ここで、正確性が高いポリメラーゼは、PCR中の不活性化を妨げるために十分に熱安定性でないが、より熱安定性が高いポリメラーゼよりもよい正確性を提供できる。正確性が高いポリメラーゼは、低いKoffを有してよく、そのことにより、正確性が高いポリメラーゼが、PCR増幅の変性工程中の著しい不活性化を妨げるために十分に安定であり得る他のポリメラーゼの存在下で活性伸長部位と実質的に結合する。
いくつかの実施形態では、正確性が高いポリメラーゼを、プライマー及び鋳型を有する容積に導入した後に、より熱安定が高いポリメラーゼを導入する。他の実施形態では、熱安定性ポリメラーゼを熱活性化して、そのことにより、いずれの熱活性化されたポリメラーゼも、PCRの第1サイクル(複数可)について不活性であるようにする。
他の実施形態では、等温及びPCR増幅反応の組み合わせを用いる。初期の増幅を、正確性が高い非熱安定性ポリメラーゼにより行い、その後の増幅を、PCRの変性工程により実質的に不活性化されない、正確性が低い熱安定性ポリメラーゼにより行ってよい。
代替の実施形態では、クローン集団を、センサアレイ中の個別のセンサのエリアで作製する。センサは、ナノニードル若しくはナノブリッジ又は重合の事象を検出するためのその他のセンサであってよい。一実施形態では、プライマーを、センサの表面に優先的に付着させる。プライマーを、材料の違いの結果として優先的に付着させてよく、ここで、センサの材料は、センサアレイのセンサ間の領域よりも付着のために有利である。代替の実施形態では、センサアレイのセンサ間のエリアにマスクを用いて、表面改質を次いで行ってよい。その後、マスクを除去して、表面改質を行っていないセンサアレイのセンサ間のエリアが残ることができる。表面改質は、ビオチンの付着、金層の塗布及び当技術分野において知られる様々なその他の方法を含み得る。
プライマーを、センサアレイ中のセンサの表面上のエリアに優先的に用いてよい。一実施形態では、プライマーは、ビオチンストレプトアビジン結合の結果として付着し、ここで、ストレプトアビジンは、プライマーの5’端に付着する。別の実施形態では、チオール基がプライマーの5’端に付着し、これが次いでセンサの上方に予め塗布された金層と結合して、Au−S結合を形成できる。PCR反応が望まれるならば、2つのチオール金結合が形成されるようにDTPAを用いてプライマーを改変し、このことにより、PCRにおいて日常的に用いられる60〜95Cの温度で他で生じ得る溶出を妨げることができる。
あるセットの配列決定サイクルが完了した後に、プライマーを除去して置き換える。低pHでの高濃度のGuHClのように緩衝液条件を変化させて、ビオチンストレプトアビジン結合を弱くできる。あるいは、温度を70Cより高く上昇させて、ビオチンストレプトアビジン結合を破壊できる。チオール結合は、同様に、高温にて破壊できる。ポリメラーゼ及びDNAに対する損害はもはや重要でないので、攻撃的な手段を用いてよい。一実施形態では、有機試薬を用いて、共有結合のような伸長されたプライマーと表面との間の結合を破壊する。伸長されたプライマーを除去した後に、新しいプライマーを、センサの上方の容積に流入させて、別のセットのDNA試料に対する別のセットの配列決定サイクルのためにデバイスを再び用いることができるようにしてよい。
図12に概略的に描くようないくつかの実施形態では、センサアレイは、誘電泳動濃縮を行うために用いることができる電極のさらなるアレイ1206を有する素子1200を有してよい。誘電泳動濃縮は、試料DNA dNTP及びプライマーをそれぞれのセンサ領域に誘引するために初期に行ってよい。増幅を次いで、試料DNA分子が置かれたそれぞれのセンサの領域で開始できる。増幅プロセス中に、誘電泳動力は、アンプリコンを保留することにより増幅を受けている異なるセンサ領域間の交差汚染を妨げることも支援できる。多クローン領域が生じないことを確実にするために、入力DNAの濃度は、ほとんどのセンサ領域が1又はゼロの試料DNA分子を有するように十分低い必要がある。DNA試料は、増幅法に応じて1本鎖又は2本鎖であり得る。増幅反応は、PCR反応又は等温反応のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、さらなる電極1206は、センサの電圧レベルと比べて同じ電圧を有すると示される。代替の実施形態では、センサの両側の電極は、互いに反対の符号の電圧を有してよい。
前記センサアレイ素子1200は、基体1212上に製作してよく、磁性若しくは常磁性粒子又はビーズ1202を保留するために利用される磁石1216を有してよく、ここで、前記磁性若しくは常磁性粒子又はビーズは、電極1204に対して、そして誘電1210及び又は上部電極1208に対して押し下げることができる。検出は、前記電極1204及び前記上部電極1208を利用するが、誘電泳動濃縮/閉じ込めは、電極1204及び外部電極1206を利用してよく、ここで、前記外部電極は、単一電極を含むか、又は複数の電極を含んでよい。
増幅は、1つのプライマーがビーズの表面上にあり、第2プライマーが溶液中にある固相増幅であってよいか、又は増幅は、全てのプライマーがビーズ上にある固相であってよい。あるいは、増幅は、両方のプライマーが溶液中に存在し、一方のプライマー又は両方のプライマーもビーズ上に存在して行ってよい。
電極構成は、フローセルの両方の主要平面上の平面状電極を含む様々な異なる形をとることができるか、又はビーズと反対の表面上に1つの電極があり、それぞれの検出器の場所と関連する小さい電極のセットがあってよい。
図12は、配列決定反応におけるセンサアレイ中のセンサの上方の増幅領域の使用を説明する。増幅反応が完了した後に、センサの上方の容積を洗浄し、アンプリコン、ポリメラーゼ及びdNTPを除去してよい。ポリメラーゼ及び個別のdNTPを、次いで、センサアレイの上方の容積に流入させて、結合、組み込み及び組み込み事象の検出を可能にし、異なる増幅試料DNA分子の配列の決定をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、センサを、例えばビーズを導入するときのビーズの存在の検出、ビーズと関連する増幅の検出(例えばリアルタイムPCR増幅又はエンドポイントPCR増幅)、及び配列決定反応の検出のようないくつかの目的のために用いる。
クローンビーズを作製する場合、高いパーセンテージのビーズは、DNA鋳型を有さない。さらに、その他のものは、増幅が乏しいことがある。これらのビーズは、有用な配列決定をもたらさないので、これらのビーズを除去して、装置のスループット及び試薬利用を改善することが望ましい。いくつかの実施形態では、鋳型がないか又は最小限の量の鋳型を有するビーズを、電場を用いて分離する。増幅が生じたビーズは、増幅DNAから、より固定された負電荷を有し、増幅が生じていないものから、電気泳動分離を用いることにより分離できる。このことは、磁性アレイ中のほとんどの位置が、増幅反応が生じたビーズにより占められ、よって、配列決定反応において用いるために適切であるように描かれている、図3に示す状況を可能にする。
鋳型が十分に搭載されたビーズは、より高い電荷を有するので、プライマーのみ又はほとんど鋳型がないビーズよりも、電場中を遠くに移動する。図13A、図13B及び図13Cに示すような一実施形態では、この分離は、モジュールを通る流れ中で行われる。第1流体入力1311Aは、混合ビーズの注入を可能にする。第2入口1312Aは、ビーズを含まない緩衝液溶液の注入を可能にする。第1出口1311Bは、第1入口1311Aの下流にある。第2出口1312Bは、第2入口1312Aの下流にある。
流体の流速は、より多くの液体が第2入口に流入するような流体抵抗又はポンプ速度により設定できる。図13Bに示す実施形態では、入口及び出口の幅を変動させて異なる流体抵抗を創出してよいが、異なる長さ又は高さのような、流体抵抗を改変する他の方法又は富化モジュール300の外部のシステムの部分において流量制限器を用いることが予想できる。同様に、第1出口1311B及び第2出口の流体抵抗は、より多くの液体が第1出口1311Bから流出するように改変できる。このような設定において、流れに垂直な小さい速度がないビーズは、第1出口ポート1311Bから出る。さらなる出力チャネルを加えて、中程度のレベルの鋳型を有するビーズの分離を容易にできる。いくつかの実施形態では、それぞれの出力チャネルにおける流速は、それぞれの出口チャネルに個別のポンプを提供することにより、直接制御してよい。
第2入力1312Aを通してさらなる試薬がモジュールに導入される間に入口1311Aを通して富化モジュール1300にもたらされ得る鋳型搭載ビーズが、第2出口1312Bに向かって流路から出て行くことができるように、分離区分1310中の流体の流れに垂直な電場を生じることができる電極対1313を提供してよい。流体ポート1309は、システム配管の接続を可能にする。
電極1313は、電気泳動に適合する任意の電極材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、金属ディスクリートワイヤを用いてよいが、微量金属も予想できる。白金、白金/イリジウム、金及びその他の貴金属のような金属又は合金とともにステンレス鋼のような腐食耐性材料も予想できる。非金属電極も予想できる。
別の実施形態では、流体流速は、第2出口よりも第1出口からより多く又はより少ない流体が流出して、ビーズの流れの支配を可能にするように、流体抵抗又はポンプ速度により設定できる。なお別の実施形態では、ビーズの流れは、入口及び出口流体流れの両方により調節できる。
富化モジュール1300を通る流れは、成形プラスチック、ガラス、セラミックス若しくはPDMSのような成形用ポリマーのような非導電性材料、又は非導電性コーティングで覆われてよい導電性材料、又はこれらの材料の組み合わせ、又は他の材料との組み合わせで構築できる。流体構成成分は、クランプ機構と一緒に融合、結合又は保持して、分離区分1308を含む富化モジュールを創出できる。富化モジュールは、一実施形態では、成形上部部品1308及び平坦基体1302を含み得る。他の実施形態では、富化モジュールは、2つより多い部品、例えば3、4、5つ以上の構成成分からできていてよい。2つの構成成分を用いる場合、両側は非平面状表面であり、流体又は制御チャネルがいずれかの構成成分に形成されるようにしてよい。より多くの構成成分を用いるならば、それらのうちのいずれか1つは、平面状、又はチャネル、くぼみ若しくは隆起を含むような形状であり得るか、或いは平面状と、チャネル、くぼみ若しくは隆起を含むような形状との組み合わせであってよい。
いくつかの実施形態では、富化モジュールの1又は複数の構成成分の表面又は表面の一部分は、著しい電気浸透流を引き起こすのに十分なゼータ電位を有する。他は前記電気浸透流に起因し得るいずれの混合又は乱流も最小限にすることが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、TiO2、ZrO2又はBaTiO3のような材料を、ゼータ電位及びそれによる電気浸透流が著しく低減されるように選択する。いくつかの実施形態では、ゼータ電位及びゼータ電位とpHの変化との間の関係は、表面コーティングに応じて変化してよい。いくつかの実施形態では、ゼータ電位は、シリカのpH依存性についての場合と同様に、pHの変化とともに著しく変化してよい。他の場合では、ゼータ電位は、pHに関して、特にpH7.5〜pH9のpHにおいて、BaTiO3のpH依存性についての場合と同様に、ほとんど変化しない。
他の実施形態では、PEG(ポリエチレングリコール)、メチルセルロース、n−ドデシル−B−D−マルトシド、アクリルアミド、フッ素化アルカン鎖、PTFE、アクリレート又はその他の架橋若しくは部分架橋ポリマーのような表面コーティング(複数可)を用いてゼータ電位を改変するか、又は表面コーティングの組み合わせを用いて同様に電気浸透流を最小限にする。いくつかの実施形態では、ポリマーを用いて、電気浸透流制限区分の水性容積を充填する。
他の実施形態では、図13Cに示すような物理的構造体を用いて、電気浸透流による望ましくない混合及び乱流を低減するか又は除く。このような構造体は、流れ拘束区分1320を有してよく、前記流れ拘束区分(複数可)1320は、分離区分1308の両面で用いてよい。電場は、電極(図示せず)から、緩衝液貯蔵区分(複数可)1322を通って分配されてよい。前記電極は、補助入力ポート(複数可)1324中に配置されてよく、これは、緩衝液を緩衝液貯蔵区分(複数可)1322及び流れ拘束区分(複数可)1320までそして緩衝液貯蔵区分(複数可)1322及び流れ拘束区分(複数可)1320を通してもたらすために用いてよい。代替の実施形態では、電極は、富化モジュール1300の外部であり得る電圧源との電気的接続を有して、緩衝液貯蔵区分(複数可)1322中に配置される。入力ビーズ及び試薬は、前記分離区分1308に入力ポート1311A及び1312Aを通ってもたらされるか、又は試薬は、入力ポート1311A及び1312Aを通ってもたらされ、ビーズは、中心入力ポート1326を通ってもたらされ得る。ビーズは、出力ポート1311Bと1312Bとの間で分けてよい。
代替の実施形態では、電極は、図13Cに示す構造体とは別の、流体接続を有する緩衝液貯蔵部(複数可)中に配置して、富化モジュール中への電流を可能にする。いくつかの実施形態では、緩衝液貯蔵部(複数可)は、封止されたフローセルを用いて生じ得る付随乱流を有する環状流を有するよりもむしろ、富化フローセルにわたって一方向により多くの電気浸透流を可能にし、ここで、一方向の任意の流れは、反対方向の流れと一致しなければならない。いくつかの実施形態では、電圧を周期的に停止して、流体貯蔵部がそれらの平衡状態に戻ることを可能にし、ここで、それぞれの貯蔵部中の液体レベルは、電気浸透ポンピングの後に同じレベルである。他の実施形態では、前記貯蔵部の容積又は横断面は、前記電気浸透ポンピングと比べて有意であり、そのことにより、ビーズセット又は多重ビーズセットが分離又は富化された後に、前記流体貯蔵部が、それらの平衡状態に戻ることが可能になる。
他の実施形態では、ゼータ電位の大きさを、イオン化可能なシラノール基の数を減少させるトリメチルクロロシランのような化合物を用いてシラノール基を保護することにより低減する。図13D及び13Eは、図13Cに示す構造体の使用について顕微鏡写真で説明し、図13Dでは場を印加しない入力ビーズ1314の流れを説明し、よって全ての入力ビーズ1314は、それらがあたかも電荷がより低いビーズ1314Aであるかのように出力1311Bまで運ばれ、出口ポート1312Bまで引っ張られる電荷がより高いビーズ1314Bであるビーズはないように観察される。図13Cに示す流れ拘束区分1320を、流体通路1316及び支持円柱1318を示して、より詳細に示す。図13Eでは、場が前記分離区分1308に印加され、入力ビーズ1314の前記流れが、出力ポート1311Aまで運ばれる低電荷ビーズ1314Aに分離され、電荷がより高いビーズ1314Bが、出力ポート1312Bまで引っ張られ、運ばれる。
いくつかの実施形態では、分離区分1308、流体入力1311A、1312A、流体出力1311B、1312B、分離区分1308、電気浸透流制限区分(複数可)1320及び緩衝液貯蔵部(複数可)1322の厚さ又は深さは同じであってよい。他の実施形態では、異なる区分の厚さ又は深さは異なっていてよく、例えば電気浸透流制限区分(複数可)1320の厚さは、分離区分1308又は緩衝液貯蔵部(複数可)1322の厚さより少なくてよい。
いくつかの実施形態では、分離区分308及び富化モジュールの他の流体区分の厚さ又は深さは、10〜1000μmである。他の実施形態では、富化モジュールの厚さ又は深さは、20〜200μm、50〜150μm、200〜500μm又は70〜130μmである。
いくつかの実施形態では、電気浸透流制限区分(複数可)313中の流量制限器の幅は、10〜1000μmであり、他の実施形態では、流れ制限の幅は、20〜200μm、50〜150μm、200〜500μm又は70〜130μmである。
いくつかの実施形態では、富化区域の長さは、2mmまで、2mm〜10mm、10mm〜100mmであり得る。いくつかの実施形態では、富化区域の幅は、1mmまで、1mm〜4mm、4mm〜10mm及び10mm〜100mmであり得る。
いくつかの実施形態では、富化モジュール1300は、フィードバックシステム(図示せず)を有して、ビーズの異なるバッチ間に存在し得る電荷レベルの変動を補償する。このようなフィードバックシステムは、次いで、ビーズの特定のバッチについて電気泳動電圧を自動的に調整し、ビーズの後続のバッチについて自動的に戻すことを可能にする。前記フィードバックシステムは、反射光、吸収光、偏光、蛍光、ビーズの容量結合、ビーズに付随するデバイ層の直接導電性検出、ビーズのISFET/ChemFET検出を用いてよいか、又は任意のその他の適当な検出手段を用いてよい。前記検出手段は、ビーズの検出が1若しくは複数の流体出力1311B及び1312Bにおいて実現するか又は1若しくは複数の流体出力1311B及び1312Bと関連するように構成されているか、或いはビーズの検出が分離区分1308において実行されるか又は分離区分1308と関連するように構成できる。
いくつかの実施形態では、フィードバックシステムをビーズのバッチの分離中に用いて、ビーズが最適に分離され、それぞれの出力1311B及び1312Bにおける見掛けの所望の位置に流入するように流速及び電気浸透電圧を調整する。前記流速の制御は、前記流れに印加される可変圧力、前記流れに印加される可変真空、前記流れにおける可変制限又はそれらの任意の組み合わせの使用により実現してよい。
いくつかの実施形態では、ビーズスラリーを濃縮する必要があることがある。一実施形態では、ビーズ溶液は、ビーズを保持するために磁石の横を通過する。磁場を除去するか又は高い流速を用いることにより、ビーズをより濃縮された形で解放できる。
いくつかの実施形態では、富化モジュール300を用いて、負に荷電されたDNAを、DNA及びタンパク質及び細胞膜断片が由来し得る細胞(複数可)を溶解した後に前記DNAと混じり合った細胞膜断片を含むタンパク質から分離する。いくつかの実施形態では、ほとんどが正に荷電されていることがあるタンパク質からDNAを分離し、ヒト血清アポトランスフェリン、サイログロブリン又はBSAのような中性pHにて負に荷電されていることがあるタンパク質からDNAを分離することが望ましいことがある。中性pHにて負に荷電されていることがあるこのようなタンパク質は、典型的に、4.0を超えるpKa値を有するが、DNAのpKaは1.0である。タンパク質の電気泳動移動度は、典型的に、高度に負に荷電されたDNAのものよりもかなり低く、富化モジュール300におけるDNAの容易な分離を可能にする。このような分離は、7未満のpH、6〜7のpH、5〜6のpH、4〜5のpH又は3〜4のpHのような低pHにて行って、前記タンパク質のpKa未満、及びDNAのpKaより高くで富化モジュールを運転することを可能にしてよい。
いくつかの実施形態では、DNAは、任意のタンパク質及び細胞膜から実質的に分離した後に、誘電泳動により捕捉してよい。前記誘電泳動捕捉は、流体出口311B、312Bで実行してよいか、又は分離モジュールにおいて実行してよい。前記誘電泳動捕捉の後に、緩衝液を、例えばタンパク質若しくは細胞膜からの分離を実行する以前に記載したような低pHから、pHが例えばポリメラーゼ活性のためにほぼ最適又はそうでなければ適切である例えばPCR、等温増幅若しくは配列決定のために適切な緩衝液に変化させてよい。
電極1313に印加される電圧は、ビーズを電極にくっつけるために必要であれば、低減又は周期的に逆転さえさせることができる。用いる電圧は、電気分解のために要求されるもの(25C及びpH7にて1.23V)よりも大きくてよいか、又は電気分解のために必要な電圧に満たなくてよい。より高い電圧及びより狭いギャップは、より高い電場の強さ及びビーズに対するより大きい力をもたらす。システムに対する電圧は、鋳型なし又は制限された鋳型を有するビーズを流動させ、これらのビーズが第2出口に侵入するために十分遠くまで移動しないが、鋳型を有するビーズが第2出口に向けられるような電圧及び又は流速を設定することにより較正できる。
非流入富化モジュールも予想できる。一実施形態では、ビーズをチャンバに導入し、磁場又は重力がビーズを下方に引っ張る。電場が確立され、鋳型を有するビーズを上に引っ張る。いくつかの実施形態では、捕捉メンブレン又はフィルタを正電極の前に加えて、ビーズの濃縮を容易にできる。
一実施形態では、ビーズは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる同じ装置内で行われる動作及び方法の結果として、フローセルから除去される。
別の実施形態では、フローセルアセンブリは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる装置から除去され、別の装置又はデバイスに移され、ここで、ビーズがフローセルから除去される。
なお別の実施形態では、フローセルアセンブリは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる装置から除去され、中央改修部位まで輸送され、ここで、ビーズがフローセルから除去される。
別の実施形態では、フローセルアセンブリは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる装置から除去され、別の装置又はデバイスに移され、ここで、フローセル及び/又は流体マニホールドに対してコーティングが塗布、除去及び/又は再塗布され得る。
なお別の実施形態では、フローセルアセンブリは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる装置から除去され、中央改修部位まで輸送され、ここで、フローセル及び又は流体マニホールドに対してコーティングが塗布、除去及び/又は再塗布され得る。
いくつかの実施形態では、フローセル及び/又は流体マニホールドは、様々な表面コーティングを有する。このような表面コーティングを用いて、前記フローセル又は流体マニホールドの表面への様々な試薬中の部分の非特異的結合を低減する。いくつかの実施形態では、非特異的結合を低減することを意図するコーティングは、PEG(ポリエチレングリコール)、BSA(ウシ血清アルブミン)、PEI(ポリエチレンイミン)、PSI(ポリスクシンイミド)、DDM(n-ドデシル-b-D-マルトシド)、フッ素化コーティング、Teflonコーティング、シラン化コーティング又はその他の適当なコーティングを含み得る。
一実施形態では、コーティングは、フローセルを配列決定反応のような反応を感知するために用いる同じ装置内で行われる動作及び方法の結果として、フローセル及び又は流体マニホールドに塗布、除去及び/又は再塗布される。
いくつかの実施形態では、センサは、pH感知を、以前のセンサ設計の上方に製作できる可逆的に還元可能な層の組み込みの結果としての電気化学的検出と組み合わせる。このようなセンサは、Senova Systemsから入手可能である。配列決定サイクル中に、センサに付随するビーズに塩基が組み込まれるならば、還元反応が生じる。還元のレベルを測定でき、配列決定サイクルの完了後に、電圧をセンサに印加して表面の酸化を引き起こしてセンサを元の状態に戻し、そのことにより、センサを次の配列決定サイクルのために用いることができる。
図9に示すように、いくつかの実施形態では、酸化還元反応を行ってよく、ここで、酸化還元電位は、公称DC電位902と組み合わせたAC電位904の組み合わせを含み、公称DC電位902は、正弦波の半分であり、ゼロボルトから開始し、最大値まで上昇し、ゼロボルトまで戻り、前記AC電位904は、前記公称DCと重ね合わせることができる。AC電位904波形は、公称DC電位902の10倍ほど高い周波数のものであってよいか、又はAC電位904波形は、公称DC電位902の10〜100倍ほど高い周波数のものであってよいか、又はAC電位904波形は、公称DC電位902の100〜1000、1000〜10,000、10,000〜100,000、100,000〜1,000,000、1,000,000〜10,000,000倍ほど高い周波数のものであってよい。AC電位904波形は、正弦波形、三角波形、方形波形又は任意のその他の種類の対称若しくは非対称波形であってよい。DC電位波形は、正弦波、二等辺三角波形、のこぎり状波形又はゼロボルトから開始し、最大値まで増加し、そこからゼロボルトまで戻る任意のその他の波形の半分であってよい。重ね合わせたAC電位904波形の大きさは定常であってよいか、又はDC電位902波形中に変化してよく、例えば、AC波形は、DC波形がゼロに近いときはより小さく、AC波形は、DC波形がその最大電位に達するにつれて増加してよい。AC電位904と公称DC電位902との組み合わせに起因する電流906は、印加された電位の非線形関数であってよい。
収集されるデータの量が最小限である一実施形態では、反応の速度を増加させることに加えて、半導体電子機器の通常生じる直線的性質を有する活性領域を整列させることが望ましいことがある。以前のシステムでは、活性反応の場所は、検出器のアレイとうまく整列されないことがある。図14に示すようなチップ1400の隅1404A及び1404Bから試薬を出し入れする慣例とは反対に、検出電子機器を、厳密な直線的様式で配置することが好ましい。このアプローチは、試薬スラグとの整列及びチップの著しい面積を無駄にすることの両方を妨げる。なぜなら、試薬スラグはチップ1402の他方の隅まで良好に(又は全く)流動できないとともに、チップの中心からチップの隅1404A及び1404Bにおける入口及び出口ポートまでの横断面積の差が大きいことにより、流れ(及び搭載効率1406)の不均一性をもたらすからである。
一実施形態では、図15に示すような多重の流体入口1512Aを多重フローセルセンサデバイス1500において用いてよく、チップ面積の利用性をより大きくし、チップ及び前記チップ読出し構造と比べてより均一で整列された試薬流れを可能にできる。いくつかの実施形態では、試料を、異なる時間にて、フローセルの異なるチャネルに導入してよく、バーコード付加又は試料同定のためのその他の手段を用いる必要なく異なる試料を用いることが可能になる。マルチフローセルセンサデバイスは、入力ポート1512A及び出力ポート1512Bを有する多重フローセル1510と、それぞれのフローセルについて廃液のためのライン1516とを有してよく、ここで、入力及び出力ポートはそれぞれ、前記フローセル1510内のセンサアレイにわたる流れの均一性を最適にするように構成され、前記流れの均一性を最適化するように、傾斜側壁及び又は表面粗さを有する可能性がある。前記フローセルは、バルブ1504と、フローセル1510の極近傍で試料及び又はその他の試薬の流れを制御するための前記バルブ1506用の制御とを有するようにさらに構成されてよい。試料及びその他の試薬は、入力ポート1502を用いて持ち込まれてよい。
いくつかの実施形態では、1つのプロセス又はプロセスのセットにおける異なる時間に試料を導入する。例えば、増幅反応を受け、よって伸長されたプライマーを有するビーズの第2セットを、チップと付随するフローセルのチャネルに導入し、ここで、該チップの別のチャネルは、ビーズの第1セットを既に有していてよい。ビーズの第1セットは、増幅反応を既に受けていて、よって伸長されたプライマーを含有していてよく、ビーズの第1セットを有するチャネルは、1つの配列決定サイクルに曝露されていてよいか、又はいくつかの配列決定サイクルに曝露されていてよい。別の実施形態では、ビーズの第2セットを、ビーズの第1セットを含有する同じチャネルに導入する。本明細書の他の場所で記載するようにアレイの単一領域において増幅及び配列決定を行うことができる別の実施形態では、1つのチャネル中のビーズのセットは等温増幅を受けてよく、別のチャネル中のビーズの第2セットは、配列決定反応を受けてよい。
第1プロセスのために温度変化が必要であるが第2プロセスのために必要でないいくつかの実施形態では、温度変化が生じる間に第2プロセスを一時的に停止又は休止し、次いで、温度が以前の温度に戻った後に第2プロセスを始めてよい。例えば、増幅反応プロセスは、ビーズに付随するプライマーが伸長された後に第2鎖を融解除去する必要があり、そのことにより、ビーズに付随するプライマーに相補的非伸長プライマーがハイブリダイズでき、そのことにより合成反応による配列決定を始めることができる。多重チャネルを有するチップの温度を上昇させる前に、配列決定反応を受けるビーズのセットを有するチャネルは配列決定反応を休止してよく、同時局在化仮想ナノ反応ウェル電極を作動させてよい。この様式では、ハイブリダイズした部分的に伸長されたプライマーは、それぞれの仮想ナノ反応ウェルとともに局在化されたままであるが、チャネル中のビーズに付随していない伸長されたプライマーは、ビーズに付随するプライマーから解離して、次いでチャネルから除去され得る。
システムは、多重の流体チャネル若しくはチップに、試料が大きすぎるならば試料を分配できるか、又は試料を組み合わせることができるならば(例えばバーコード付加試料)試料を組み合わせる。いくつかの実施形態では、装置に提供される試料は、配列決定のための準備ができている。他の実施形態では、配列決定のための準備ができた試料を作製するために装置が試料を処理できる。
別の実施形態では、単一フローセル又はエレクトロウェッティングへの複数の入力ポートを用いて、フローセルの部分へ試料を導入し、交差汚染の危険性なくより多くの試料を1度に用いることができるようにする。
別の実施形態では、エレクトロウェッティングシステムを用いて、試薬界面を生じることなくフローセルの一部内で試薬を移動させ、よって、試薬がフローセルの所望の部分に達する前に試薬のいずれの混合も完全に妨げることができ、よって、試薬の非常に鋭い移行をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、例えばdNTP含有試薬を、センサが配置されたフローセルを通して流動させる場合に、ある試薬から別の試薬への移行がより鋭いことが望ましい。このことは、本質的にゼロのdNTPが存在する濃度から、伸長するため又はプライマーをさらに伸長するためのポリメラーゼによる組み込みのために望ましいdNTPの濃度の試薬までのより迅速な移行をもたらす助けとなり得る。このことは、塩基組み込みの開始の時間と、フローセル中の異なるコロニーにおいて、適当な場所に組み込まれた新しく導入されたヌクレオチドを、著しいパーセンテージのプライマー又は伸長されたプライマーが有する時間との間の時間を短くできる。より短い時間は、単位時間あたりの1又は複数のセンサのシグナルレベルの変化をより大きくすることを可能にし、このことは、シグナル対ノイズを改善できる。電子的センサは、典型的に、熱ノイズ及びフリッカーノイズを含み得るノイズを有しやすく、これらはともに、統合されたシグナルがセンサにより感知される時間間隔を短くすることにより最小限にできる。
本質的にゼロのdNTPが存在する濃度から、伸長するため又はプライマーをさらに伸長するためのポリメラーゼによる組み込みのために望ましいdNTPの濃度の試薬までの間により遅い移行が生じるシステムとは対照的に、この迅速な移行が引き出される。このより遅い移行は、dNTPを含有する試薬溶液から、本質的にゼロのdNTPを初期に有する試薬溶液へのdNTPの拡散の結果として生じることがある。このことは、配列決定反応又は別の反応の検出のためにセンサが配置されているフローセルに導入される前に、試薬が流動する長いチャネルを通って移行する間に生じることがある。さらなる混合は、チャネル幅、試薬が流動する隅、試薬が流動するチャネルの表面の不規則性、試薬がフローセルまで運ばれるチャネルを通る遅い流れ、又はフローセルを通る遅い流れに起因することがある。
一実施形態では、チャネル長さは、本質的にゼロのdNTPが存在する濃度から、プライマーの伸長のためのポリメラーゼによる組み込みのために望ましいdNTP濃度の試薬までの移行が生じる流体システム中の点と、試薬がフローセルに導入される流体システム中の点との間で実質的に低減できる。前記試薬と前記フローセルとの間の移行が生じる間の前記チャネル長さは、1ミクロン以下、1〜5ミクロン、5〜20ミクロン、20〜100ミクロン、100ミクロン〜300ミクロン、300ミクロン〜1ミリメートル、1ミリメートル〜3ミリメートル、3ミリメートル〜10ミリメートル又は10ミリメートル〜30ミリメートルであってよい。一般的に、前記試薬間の移行が生じる流体システム中の位置と、前記試薬が前記フローセルに導入される位置との間の距離が短く、かつ流体システムの流れ横断面のサイズでの移行の数又は前記距離における隅の数が少ないほど、dNTP又は他の部分の拡散が低く、よって、本質的にゼロのdNTPの濃度の試薬と、フローセル中のそれぞれのセンサでの所望の濃度のdNTPを有する試薬を有する試薬との間の時間枠が短い。
重合反応のための時間を最小限にすることは、重合反応の検出と関連するシグナル対ノイズ比も改善できる。検出器に付随するノイズは、時間とともにかなり一定であり、生じるシグナルの全積分量は、シグナルが生じた期間とは関係なく同じであり得る。よって、ポリメラーゼの結合に付随する時間を速くし、かつ/又は試薬スラグに導入されるdNTPの濃度の迅速な移行をもたらすことによりデータを得る期間を短くすることは、分析において扱わなければならないノイズの量を最小限にできる。その結果、分析ソフトウェアが取り扱わなければならないノイズ帯域幅を低減できる。
センサが出口ポートの付近にあるいくつかの場合では、組み込みのために必要なdNTPの数が十分に大きいので、dNTPの枯渇は、プライマーの伸長のためのポリメラーゼによる組み込みのために望まれるdNTP濃度を得るための時間の増加をもたらすことがある。より低いdNTP濃度、フローセル内のより長い距離とより多くのコロニー、より大きいコロニーと伸長のためのより多くのプライマーは全て、十分なdNTP濃度を得るための時間を増加させ得る。いくつかの実施形態では、複数の入力ポートを用いて単一フローセルに対して入力を提供して、それぞれのセンサ及び/又はコロニーでdNTPを確実に利用できるようにする。いくつかの実施形態では、PDMS液体マニホールドのさらなる層において、試薬チャネルをフローセルの上方に提供する。図42に示すものと同様の、制御ラインの2重セットを用いてよく、これは、図42に示すものと同様のバルブの2重セット及び図42に示すものと同様のマニホールドの2重セットを通る流れを制御でき、次いで、これらは、2つの試薬間の界面が創出される流体の点と、フローセルへの第2又は後続の入力ポートとの間の距離が短いフローセルへの代替の入力を提供できる。
次世代配列決定に伴う著しい問題は、生じる膨大な量のデータである。配列決定データのそれぞれの有用な塩基について平均で3000以上のデータ点を生じ得るシステムがいくつかある。データの保存及び分析は、次世代配列決定の全体的なコストを著しく押し上げる。いくつかの実施形態では、取得するデータを少なくすることにより、データ低減を最も単純な様式で行う。ポリメラーゼ活性は、フローセルを通してdNTPを含む試薬を完全にもたらすために必要な時間より著しく迅速であり得る。よって、フローセルの入口に近いDNAコロニーは、dNTPが前記フローセルの出口付近のコロニーに到達する前にさえ、次の合成を完全に終了することがある。フローセルの全ての場所で生じる反応を検出するために必要な時間の間のフローセル全体についてデータを取得するならば、データの多くは、反応が生じていないフローセルの領域からである。dNTP試薬スラグがフローセルを横切るために必要な時間、及び重合の速度に依存して、フローセル中のコロニーのほとんどは、dNTPを組み込み、よって有用なデータを生成するよりもむしろ、dNTPを待っているか、又はそれらの合成反応が完了しているかのいずれかである。
いくつかの実施形態では、検出電子機器の読出しは、フローセルを通しての試薬スラグの動きと同期する。dNTPを含有する試薬スラグは、フローセルに初期に侵入するが、dNTPがコロニーのいずれとも結合して組み込まれるのに十分に遠くまでフローセル内をまだ動いていないことがある。この時点で、データを全くとらないことが可能である。少し後の時点にて、試薬スラグは、第1領域のコロニーのセットと相互作用するのに十分にフローセルに侵入する。この時点で、第1領域のコロニーと関連する検出器からデータを取ってよいが、フローセルの他の領域については取らなくてよい。後の第2時点にて、試薬スラグは第2領域中のコロニーのセットと相互作用を開始するのに十分にフローセルに侵入していることがある。この時点にて、第2領域のコロニーと関連する検出器からデータを取ってよく、試薬スラグの速度及びポリメラーゼの速度に依存して、第1領域からもまだ取る必要がある見込みがあるが、フローセルの他の領域については取る必要がない。後の第3時点にて、試薬スラグはフローセル中のコロニーの最後のセットと相互作用を開始するのに十分にフローセルを横切っている。この時点で、最後の領域のコロニーと関連する検出器からデータを取ってよい。いくらかのデータは、試薬スラグの速度、ポリメラーゼの速度、フローセルの長さ及びコロニーのサイズに依存して、コロニーの前記最後のセットにすぐ先行する領域のような以前の領域からまだ取る必要があるが、フローセルの他の領域について取る必要はない。
他の実施形態では、位相遅延とともに時分割多重化を行って、異なる試料を互いに区別してよい。
システムにおいて用いるバルブの速度は多様であり得、管、チャネル及びポートのサイズはシステムごと及び消耗品ごとに多様であり得るので、流速も多様であってよい。前記多様性に順応するために、先行するデータがシステムにおける流れの速度について適当な手引きを与え得るシステム又は消耗品から得られるデータの第1セット、より多くのデータを取る必要があることがあり、そのことにより、配列決定反応と関連するデータを確実に取得できる。
一実施形態では、収集のタイミングは、より早期の列から、又は同じ列の以前のサイクルからのデータから適応するように決定できる。例えば、典型的な検出事象が収集時間の端付近で生じるならば、さらなる遅延を加えた後に、下流の試料の次の収集期間を開始してよい。同様に、典型的な検出事象が収集時間の開始付近で生じるならば、下流試料についての次の収集期間をより早く開始してよい。
領域のサイズは、図において、1コロニー幅として示すが、領域の幅は、1コロニー幅よりも広くてよい。例えば、フローセルが入口から出口まで1000コロニー幅であるならば、領域は、1コロニー幅、10コロニー幅、100コロニー幅、500コロニー幅又はその間の任意の数であってよい。よって、試薬スラグがフローセルを通って移動するにつれて1度にデータを獲得する領域は、試薬スラグがフローセルを横切り、重合反応が完了するにつれて試薬スラグとともに移動して、1センサから数十センサまで、数百センサ幅まで変動してよい。
領域幅の読み取りは、チップの読み取りの時点で行うことができ、そのことにより、データを作製して廃棄する必要を妨げることができる。このことは、CMOS画像センサのサブエリアを読み取るために用いることができるものと同様の様式で行うことができ、そのことにより、全ての行又は列のサブセットを1度に読み出すことができる。デバイス構造に依存して、いくつかのCMOSセンサにおいて個別の画素を選択することが可能なのと同様に、個別のセンサを選択することが可能であり得る。あるいは、チップ構造が、センサのアレイのそれぞれの列について別々のアナログデジタル変換器を用いて1度に完全な行を読み出すように設計されているならば、チップは、どのサブセットの行が望まれるかを選択して読出されてよい。行のサブセットは、試薬スラグがフローセルを通って進行するにつれて、かつフローセルのエリアが前記エリアでのコロニーにて重合反応を完了するにつれて変化する。いくつかの実施形態では、比較器の前記別々のアナログデジタル変換器は、それぞれの列と関連し、ここで、計数器もそれぞれの列と関連してもよく、そのことにより、アナログシグナルをデジタルシグナルに同時に変換することが可能になるとともに、アナログからデジタルへの変換のためにより多くの時間(数次の大きさでより大きい時間の可能性がある)が可能になり、シグナル対ノイズも付随して改善される。他の実施形態では、アナログデジタル変換器は、逐次近似デバイスであってよい。他の実施形態では、画素並列読出しアプローチを利用してよい。
収集されるデータ領域の幅は、全ての有効データを確実に取ることができるように様々な因子の原因となるように十分に大きい必要がある。これらの因子は、試薬スラグ流速の変動を含み、これは、表面との相互作用のために、フローセルの端部付近でより遅い流れであり得る。その他の因子は、なかでも、ポリメラーゼの濃縮による重合速度の変動、dNTPの濃度の変動、温度変動、コロニー密度変動、1又は複数のコロニーについて組み込まれる塩基の反復の数を含み得る。これらのいずれも、取られるデータの幅がより長いことを要求することがある。
以前に記載したように、プライマーを伸長するためのdNTPは、天然dNTP、天然若しくは改変ポリメラーゼにより組み込み可能である改変dNTP、又は天然dNTPと改変dNTPの両方であってよい。改変dNTPを用いるならば、改変は、可逆的停止剤、仮想停止剤として作用してよいか、又はより容易な検出のために組み込まれるヌクレオチドの電荷を変化させてよい。よって、いくつかの実施形態では、配列決定反応は、連続ホモポリマーに塩基の全てを組み込むか、又は1度に1つの塩基を連続ホモポリマーに組み込んで、連続ホモポリマー中の塩基の数が大きい場合に連続ホモポリマー中の塩基の数を決定する困難性を低減できる。
コロニーDNAとのポリメラーゼの拡散及び結合と関連する速度論は、dNTPの拡散、結合及び組み込みと関連する速度論よりも顕著に長いことがある。その結果、dNTPを含む同じ試薬スラグにポリメラーゼを持ち込むならば、ポリメラーゼを含む試薬スラグを持ち込んで、その後、dNTPを含む試薬を持ち込む場合と比較して、重合が生じている期間はより長いことがある。よって、データの量を最小限にする努力のために、ポリメラーゼをフローセル中に持ち込んで、ポリメラーゼをコロニーDNAと結合させた後にdNTPを持ち込むことが有利であることがある。ポリメラーゼが、ポリメラーゼがサイクル間で良好に保留される連続移動性があるポリメラーゼであるならば、ポリメラーゼをdNTPと組み合わせて、別々の送達の必要性を除くことができる。別の実施形態では、ホスファターゼ及びポリメラーゼを含む洗浄液の送達は、残存ヌクレオチドの効率的な除外及びポリメラーゼの補充を単一流体送達において可能にし得る。他の実施形態では、試薬は、ポリメラーゼを含まずにホスファターゼを含んで、加水分解によりリン酸基を除去することによりdNTPを効率的に除く。ホスファターゼは、エビアルカリホスファターゼ、仔ウシ腸ホスファターゼ又は別のホスファターゼであってよい。
一般的に、ほとんどのクローンDNA配列決定システムについて、データシグナルの量を最大限にするために、表面上に可能な限り多くのDNAを有することが望ましい。しかし、DNAは表面上にランダムに配置されるので、DNAの間隔は、後続の重合反応において立体障害を引き起こすことがある。
多くの異なる配列決定用途では、標的DNA又はプライマーは基体の表面と結合してよい。付着方法の結果として、標的DNA及びプライマーは、表面上にランダムに配置され、ポリメラーゼ伸長中に立体障害が生じるのに十分に近傍になることがある。いくつかの実施形態では、プライマーを基体に付着、結合又は付随させながら、ポリメラーゼのためのプライミング部位を提供し得るプライマーとオーバーラップするDNAとハイブリダイズさせる。前記プライマー及びオーバーラップしているDNAは、ポリメラーゼをさらに含んでよく、該ポリメラーゼは、例えばDNAのそれぞれの鎖上にポリメラーゼのための十分な余地がない場合のように、立体障害が生じるような前記プライマーの結合を妨げるスペーサとして働くことができる。前記ポリメラーゼ及びオーバーラップしているDNAは、その後、標的DNAが基体と付着、結合又は付随する前記プライマーとプライマー伸長のため(増幅の目的又は配列決定の目的のためであってよい)にハイブリダイズできるように、除去してよい。あるいは、プライマーは、ポリメラーゼが結合できる伸長された端を有するヘアピンの形であることができ、そのことにより、より長いDNAの必要性が除かれる。鋳型のビオチンストレプトアビジン結合を用いる場合でさえ、ストレプトアビジンのサイズ(3nm)は、ポリメラーゼ(7〜10nm)のための余地があるようにDNA分子間の間隔を適性にあけるために不十分であることがある。一実施形態では、標的DNAは、立体障害が生じることができないように適当に間隔をあけてよい。このことは、例えば、2本鎖DNAと、配列決定反応のために用いるポリメラーゼよりもサイズが小さい、同様又は大きいポリメラーゼとの複合体を用いることにより達成してよい。あるいは、後続の配列決定反応を意図するポリメラーゼを含む、2本鎖又は1本鎖DNAと結合し、適当なサイズであり得る他のタンパク質を用いてよい。ポリメラーゼは、連続移動性があってよく、そのことにより、付着プロセス中に結合したままであり、ポリメラーゼに付随するさらなる結合部分をさらに有して、DNA結合プロセス中にポリメラーゼをその場所にとどまらせる能力をさらに増強できる。あるいは、タンパク質以外の部分を用いてDNAの間隔をあけ、次いで該部分を除去して、間隔があいたDNAを得て立体障害を回避する。いくつかの実施形態では、基体の表面はDNAで飽和していないことが望ましいことがある。dsDNA鎖は、直径20オングストローム(2nm)であり、ポリメラーゼについての100オングストロームよりも大きい可能性がある直径に対向する。例えば、E.coli 22S RNAポリメラーゼは、直径135オングストロームであり(KitanoらJ. Biochemistry 1969 65 1〜16頁)、よって、前記ポリメラーゼを用いて間隔をあけたDNAは、飽和配置で前記基体と結合したdsDNAに対して、2パーセント(2^2/13.5^2*100)の飽和レベルで間隔をあけることができる。ポリメラーゼは、顕著にサイズが変動し、例えばB.strearothermophilus DNAポリメラーゼIの直径は、9nmと報告されている(KieferらNature Vol.391 15 304頁)のに対して、E.coli 22S RNAPについては以前に引用したように13.5nmである。いくつかの実施形態では、鋳型コピー数をセンサのサイズと一致させることが望ましいことがある。よって、いくつかの実施形態では、比較的少数の鋳型コピーを用いることが望ましいことがある。他の実施形態では、多数の鋳型コピーを用いることが望ましい。よって、いくつかの実施形態では、1,000〜1,000,000鋳型コピー又は10,000〜100,000鋳型コピー又は100,000〜1,000,000鋳型コピーを用いることが望ましいことがある。他の実施形態では、1,000,000〜100,000,000鋳型コピー、例えば1,000,000〜5,000,000鋳型コピー、5,000,000〜20,000,000鋳型コピー又は20,000,000〜100,000,000鋳型コピーを用いることが望ましいことがある。
DNA鋳型の所望の長さが長く、前記DNAのほとんどでないにしても多くが基体に対して垂直でない場合に、間隔がポリメラーゼのサイズと等しい場合、立体障害がまだ生じることがある。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は、「丸くなる」のに十分に長く、ポリメラーゼよりも多くの空間を基体上で占める可能性がある。いくつかの場合では、ssDNA及び/又はdsDNA結合部分を用いてDNAの間隔をあけてよく、ここで、前記DNAはDNAプライマーであってよく、前記ssDNA及び/又はdsDNA結合部分は、他の間隔作製部分と結合することにより、間隔をあけ、かつその後、ssDNA及び/又はdsDNA結合成分並びに関連するさらなる間隔作製部分を除去することにより、立体障害を最小限にしてよい。前記間隔作製部分は、他のタンパク質であってよいか、又は前記DNA鋳型のために所望されるものと同様の長さのDNAであってよい。所望のポリメラーゼのサイズ及び鋳型の所望の長さに依存し得るいくつかの実施形態では、飽和付着DNAに対する付着DNAの飽和レベルは、0.001〜40%であってよいか、又は0.01〜15%であってよいか、又は0.1〜5%であってよいか、又は0.5〜2%であってよい。
いくつかの実施形態では、DNAを基体に付着、結合又は付随させながらポリメラーゼ又は他のスペーサ、特に、基体に付着した前記プライマーを伸長することを意図するポリメラーゼより大きいポリメラーゼを用いることにより、立体障害が著しくやわらげられる。さらなる実施形態では、ポリメラーゼに、複合体の有効サイズを増加させるように働くことができる任意のその他のヘルパータンパク質又は他の部分を提供してもよい。
いくつかの実施形態では、読み取り試薬溶液のデバイ長は、定義ではH+及びOH−濃度が10−7モルであり、その結果、デバイ長が680nmである脱イオン水のものと同様である。他の実施形態では、読み取り溶液のイオン濃度は約1マイクロモルであり、このことの結果として、デバイ長が約300nmである。このことにより、反応中の読み取りが可能になることがある。他の実施形態では、読み取り溶液は、完全に水性溶剤でないイオン性溶剤を含んで、溶液中の低いレベルの電荷を可能にし、よってより長いデバイ長を可能にし、ナノブリッジ(本明細書に記載する)がビーズのほとんどを感知できるようにする。例えば、読み取り溶液は、1ミクロンより大きい、例えば2、3、5ミクロン以上の直径を有するビーズの感知を可能にすることがある。非水性溶剤を含む読み取り溶液は、蒸留水のものより低い導電性を有して、バルク溶液を通過する電流に対向して、より高い割合の電流がDNAに付随する対イオンを通過することを可能にすることがある。溶剤は、水と混和性であってよく、所望の部分についての溶解性を有してよい。いくつかの代表的な溶剤は、DMSO、アルコール類及びエーテル類を含む。前記混和性の溶剤は、より低い固有イオン濃度を有することがあり、水よりも低いH+及びOH−の濃度を有する。前記溶剤は、低濃度の水素イオンを提供することを部分的に目的として、水と一緒に用いてよい。いくつかの実施形態では、イオン濃度は、1マイクロモル以下、例えば1マイクロモル〜0.5マイクロモル、0.1マイクロモル〜0.5マイクロモル、0.01マイクロモル〜0.1マイクロモル、0.001マイクロモル〜0.01マイクロモル又は0.001マイクロモル未満であってよい。他の実施形態では、読み取り試薬のイオン濃度は、1マイクロモルより高く、例えば1ミリモル、2ミリモル、5ミリモル又はより高いイオン濃度であってよい。いくつかの実施形態では、センサは、局所電荷、局所導電性又は局所水素イオン濃度の変化を検出できることがある。
重合のために用いられる多くの市販の緩衝液は、多量の塩化ナトリウム又は塩化カリウム(これは、重合のために必要でない)を含有し、さらに重度に緩衝されていることがある。例えば、Bstポリメラーゼに用いることができると一般的に記載されているNEB等温増幅緩衝液(1×)は、20mM Tris−HCl、10mM(NH4)2SO4、50mM KCl、2mM MgSO4及び0.1% Tween−20を含有し、NEB Phi29 DNAポリメラーゼ反応緩衝液(1×)は、50mM Tris−HCl、10mM(NH4)2SO4、10mM MgCl2及び4mMジチオトレイトールを含有する。緩衝試薬は、ナノブリッジ又はISFETをセンサとして用いる場合にpH測定に干渉し、高いイオン濃度は、高いバックグラウンドレベルを創出して、これは、ナノニードルセンサを用いる場合の測定に干渉し得る。
よって、いくつかの実施形態では、pH緩衝剤の濃度がより低く、かつ又は合計イオン濃度がより低い緩衝液試薬を用いることが望ましい。
いくつかの実施形態では、デバイ長を最大限にするために、非常に低いイオン強度の試薬を用いることが望ましい。このような実施形態のために、酵素反応のために必要であるもの以下の塩を有する試薬を用いることが望ましいことがある。このような試薬について、例えばNaCl又はKClの量を低減又は最小限にし、十分なMgを用いることにより、塩の量を最小限にすることが望ましい。十分なMgは、試薬中で用いるヌクレオチドの濃度と等しい濃度と、DNAのための対イオンとして作用するさらなるMgと、DNAに付随するフローセル中のポリメラーゼのためのさらなるMgとを含んでよい。よって、必要な濃度は、ヌクレオチド濃度、フローセル中のDNAの量及び長さ、ポリメラーゼ分子の数、並びに用いる試薬の容積の関数である。
イオン濃度が非常に低いいくつかの実施形態では、pHは、周囲空気により影響を受けることがある。炭酸を形成するCO2の存在を最小限にするためのいずれの努力の後にも残ることがある任意の残存CO2は、pHを低減させる。緩衝試薬は、イオン濃度に寄与するので、緩衝の量を最小限にすることも望ましい。十分な緩衝を得ることと、十分に低いイオン強度を得ることとの間の矛盾する必要性をやわらげることは、いくつかの実施形態により達成できる。ある実施形態は、2つの緩衝剤を一緒に、例えばTris HClに反してTrisとHEPESとの組み合わせを用いることにより、Tris及びHEPESの両方が緩衝に貢献できる。理想的には、両方の緩衝剤は、低い移動度について高い分子量/電荷を有する。別の実施形態では、水と混和性であり得る有機試薬、例えばアルコール(例えばエタノール)を用いてよい。
いくつかの実施形態では、Na+又はK+のようないずれの1価カチオンも緩衝液から除いて、DNA又はビーズ上の対イオン分配の変化を引き起こす2価Mg++に関する競合反応を回避することが望ましい。
いくつかの実施形態では、ビーズに付随する電荷は、電荷/導電性センサの範囲を減少させるか、又はセンサのシグナル対ノイズを下げることができる。結果として、いくつかの実施形態では、例えば表面上の硫酸塩又はその他の負荷電部分の量を変化させることにより、ビーズの表面上に存在する電荷の量を最小限にすることが望ましい。いくつかの実施形態では、少量の負電荷を有して、DNA又はヌクレオチドがビーズの表面と結合しないが、センサのダイナミックレンジが著しく低減しないように十分な電荷を有さないことが望ましいことがある。他の実施形態では、ビーズは、DNAプライマーが付着したときにビーズが負に荷電されるように、わずかに正電荷を有してよい。エタノールのような溶剤を含有する溶液を用いて、ビーズを溶媒和して、DNAの付着を可能にすることができる。
なおさらなる実施形態では、重合よりもむしろライゲーションを用いてよい。プローブオリゴの4つのプールを用いてよく、ここで、単一プローブプールにおけるそれぞれのプローブの1番目の塩基は同じである。プローブは、可逆的に停止させたテイルを用いてよいか、又は天然のテイルを有して、多重のライゲーションが生じるようにして、シグナルレベルを付随して増加させることができる。多重のdNTP及びポリメラーゼを用いるのと同様の様式で、1より多いプールのオリゴ(全てのプローブが単一塩基で開始する)を組み合わせてよく、ここでもまた、ライゲーションの数及びシグナルレベルが付随して増加する。第2鎖は、除去してよく、プライマーの長さが以前のプライマーの長さより短いか又は長い新しいプライマーを導入してよい。
なお別の実施形態では、付着したDNA分子は、ヘアピンプライマーを有してよく、ここで、ヘアピンプライマーの一部は制限部位を有する。その後、プライマー伸長及び付随する試料DNA配列の決定の後に、制限部位を適当なエンドヌクレアーゼ酵素又はニック形成酵素により切断し、伸長されたプライマーを、試料DNAが溶媒和された溶液の温度又はpHのうちの一方を変化させることにより融解除去してよい。試料を、次いで、試料DNAが溶媒和された溶液の温度又はpHを、ヌクレオチド及びカチオンの適当な濃度を含むプライマー伸長のために適当な条件まで回復させた後に再配列決定してよい。代替の実施形態では、鎖置換酵素又は5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いて、第2鎖を除去する必要性をなくすことができる。
さらなる実施形態では、化学的に切断できる結合を提供して、酵素切断の必要性を不要にできる。
いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ及び又は任意のその他のヘルパータンパク質に付随する対イオンの数を最小限にすることが望ましい。よって、Glu、Asp、Lys、His及びArgのようなポリメラーゼ中の荷電アミノ酸を、より分岐したBLOSUM45整列を用いて、非常に保存的な置換で、例えばそれぞれGluからGln、GluからHis、AspからAsn、ArgからGln、HisからTyr、LysからArg、LysからGln、LysからGlu、又は保存的置換で、例えばGluからArg、GluからAsn、GluからHis、GluからSer、AspからGln、AspからSer、ArgからAsn、ArgからGlu、ArgからHis、HisからArg、HisからGln、HisからGlu、lysからAsn、LysからSerに置換することが望ましいことがある。前記置換は、荷電アミノ酸から非荷電アミノ酸へのものであってよいか、又は非荷電アミノ酸から荷電アミノ酸へのものであってよく、ここで、非荷電アミノ酸から荷電アミノ酸へ変更されるアミノ酸は、反対の電荷の荷電アミノ酸に隣接してよく、そのことにより、前記荷電アミノ酸の間で電荷を共有でき、対イオンの必要性を不要にするか、又は低減できる。
いくつかの実施形態では、タンパク質と結合できるssDNAと相互作用することに対向して、流体環境と直接相互作用するタンパク質の部分上に前記置換を作製することが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、より緊密な結合をもたらすために、前記ssDNAと相互作用して結合する場所にあるさらなる正電荷アミノ酸を付加することが望ましいことがある。
例えば、1002の一部として濃い灰色で、単一SSB(in vivoでは通常3元)の正に荷電された部分を示し、よってssDNAと結合する前記SSBの部分を示す図10で見られるように(HollisらPNAS 98 17 9557頁)。図10は、逆に、1000の部分として前記SSBの部分を濃い灰色で示し、これは、正に荷電されていてよく、よってSSBがssDNAと結合するにつれてさらなる対イオンが蓄積するようにでき、ナノブリッジの感度が高いエリアの電荷の影響又はssDNAの近傍の容積の導電性を局所的に増加させることによりバックグラウンド電流変化の増加を引き起こす。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ又はssDNA若しくはdsDNA結合親和性を有するタンパク質であり得るDNA結合タンパク質は、対象のDNA鎖(複数可)との前記タンパク質(複数可)の結合が、天然DNA結合タンパク質(複数可)が前記対象のDNA鎖(複数可)と結合する場合に生じるよりも低いバックグラウンド電流変化をもたらすように変異されていてよい。いくつかの実施形態では、前記対象のDNA鎖(複数可)との変異タンパク質(複数可)の結合は、流体と相互作用する変異タンパク質の電荷の低減の結果として、又は前記変異タンパク質(複数可)と前記対象のDNA鎖(複数可)との間の電荷相互作用の増加の結果として前記対象のDNA鎖(複数可)に付随し得る対イオンの数を低減させる変異タンパク質(複数可)の結果として、前記対象のDNA鎖(複数可)と結合しているタンパク質(複数可)がないバックグラウンド電流と比べて、バックグラウンド電流の変化が観察できない結果をもたらし得るので、バックグラウンド電流変化が生じる。他の実施形態では、流体と相互作用する変異タンパク質の電荷の低減の結果として、又は前記変異タンパク質(複数可)と前記対象のDNA鎖(複数可)との間の電荷相互作用の増加の結果として前記対象のDNA鎖(複数可)に付随し得る対イオンの数を低減させる変異タンパク質(複数可)の結果として、前記対象のDNA鎖(複数可)と結合しているタンパク質(複数可)がないバックグラウンド電流と比べて、バックグラウンド電流の減少をもたらし得るので、バックグラウンド電流変化が生じる。
他の実施形態では、ニック部位を有するプライマーを提供してよい。なおさらなる実施形態では、複数の隣接プライマーを提供して、ニック形成エンドヌクレアーゼの必要性をなくする。プライマーは、ライゲーションされたプライマーと相補的であってよいか、又はDNAの標的区分に相補的であってよい。配列決定プライマーは、増幅反応によるクローン作製のために用いるプライマーの全て又は一部を含んでよいか、又は増幅のためのプライマーの一部として用いられない領域を含んでよいか、又は増幅反応においてプライマーのために用いる領域と、増幅反応のために用いられない領域とをともに含んでよい。
いくつかの実施形態では、シグナルの測定の質は、センサに当たる試薬前方の鋭さに依存することがあり、回収時間ウィンドウサイズは、特に塩基組み込みの結果としての過渡的なpH変化を検出するために、試薬がセンサといつ接触するかに依存することがある。波面の鋭さは、例えば試薬が流体ライン、バルブ及びフローセル自体を通って移動する間の拡散により低減されることがある。タイミングをよりよく制御し、拡散を最小限にするため、特に試薬送達を実現するために必要な時間を最小限にするために、電場反発電荷を用いて活性試薬を保持してよく、例えば、dNTPは、入力ポートから出力ポートまでのフローセルの長さに沿った初期の送達中に、センサアレイの平面と垂直な軸においてセンサから離れて保持できる。後で、電場をオフにするか又は逆転させて、試薬をセンサの方に引き出すことができる。いくつかの実施形態では、電場は、センサアレイの異なる区分上で異なる時間にて活性化でき、読出し時間ウィンドウのよりよい制御が可能になる。
いくつかの実施形態では、フローセルを通る試薬の流れは層流であってよく、反応チャンバの頂部まで/該頂部に送達される試薬(複数可)はそこにとどまって、混合が、試薬の流れに垂直な軸における拡散によってのみ生じる。このことを用いて、所望するまで組み込みを遅らせることができる。いくつかの実施形態では、層流及び電場の両方を組み合わせて、センサへの送達を制御できる。
他の実施形態では、温度を低く保つことができ、そのことにより、試薬が送達され、次いで直面させて反応の開始を可能にする間のポリメラーゼ活性が最小限になる。
拡散効果を最小限にするために、配列分析のために必要な全てのヌクレオチドはシステム中に存在してよく、唯一の反応惹起因子は、マグネシウムイオンであってよい。マグネシウムイオンは、ポリメラーゼ及びdNTPのような反応の他の成分よりも高い拡散速度を有する。これら又は他の実施形態では、貯蔵部及び反応の温度は、ポリメラーゼ酵素の活性化温度未満に保ってよい。反応は、よって、精密な温度制御により惹起でき、そのことにより拡散の制限を克服できる。例えば、これらの実施形態では、アレイの並列反応は、ほぼ同時であり得る。活性化温度は当技術分野において知られており、かつ/又は任意の具体的な実施形態のために実験的に決定できる。クレノーポリメラーゼについての活性化温度はおよそ4℃であり、Taqについての活性化温度はおよそ60℃である。さらに他の実施形態では、反応は、要求される反応補因子の導入により惹起してよく、該補因子は、反応前にナノ粒子又は小胞に隔離して、適当な外部刺激(例えばレーザ又は温度)により遊離してよい。
いくつかの実施形態では、試料調製プロセスの一部として、「バーコード」をそれぞれの試料に付随させてよい。このプロセスでは、短いオリゴをプライマーに付加し、ここで、それぞれの異なる試料は、プライマーに加えて異なるオリゴを用いる。プライマー及びバーコードをそれぞれの試料に、ライブラリー作製プロセスの一部としてライゲーションする。よって、それぞれのコロニーの作製を伴う増幅プロセス中に、プライマー及び短いオリゴも増幅される。バーコードの関連付けはライブラリー調製プロセスの一部として行われるので、1より多いライブラリー、よって1より多い試料をクローン集団の作製において用いることが可能である。合成DNAバーコードを、プライマーの一部として含めてよく、ここで、異なる合成DNAバーコードを、それぞれのライブラリーについて用いてよい。いくつかの実施形態では、異なるライブラリーがフローセルに導入されるにつれて異なるライブラリーを混合してよく、それぞれの試料のアイデンティティーは、配列決定プロセスの一部として決定してよい。
試料分離法を、試料識別子とともに用いることができる。例えば、チップは、4つの別々のチャネルを有し、4つの異なるバーコードを用いて、16の異なる試料の同時運転を可能にする。このことにより、あいまいでない試料の同定をまだ提供しながら、より短いバーコードを用いることが可能になる。
ナノセンサ及び検出法及びシステム
いくつかの実施形態では、電荷又はpH感受性検出器を用いて、DNAコロニーの配列を決定する。コロニーは、ビーズ上で作製でき、ビーズをセンサの場所まで移行させ、ビーズにプライマー、ポリメラーゼ及びdNTPを提供しながら、dNTPの組み込みによる電荷又はpHの変化を観察してよい。センサの場所とコロニーとの間に1対1の対応があってよい。
本明細書で開示するデバイスの実施形態では、複数の磁性ビーズのうちの1つが座るくぼみの端部に合致する弧の形状で形成された少なくとも1つの電極を有する複数のナノニードルセンサを採用する。
ナノセンサは、直径又は非球状ビーズ若しくは粒子について長径で測定して0.1、1、5、10又は20マイクロメートルのうちの1つに満たないビーズ又は粒子を検出するために設計されたセンサである。あるいは、センサは、前記ビーズ若しくは粒子、又は反応生成物若しくは副生成物(反応は、前記ビーズ又は粒子に付随する成分を含む)に付随する部分に対する感受性を有してよい。前記部分は、DNA断片、水素イオン、或いは対イオンであり得、よって前記ビーズ若しくは粒子又は前記ビーズ若しくは粒子に結合或いは付随する部分に付随し得るその他のイオンを含み得る。ナノセンサは、ナノブリッジ、ナノニードル又はISFETセンサを含むことができる。ナノニードルは、電極の活性エリア間の局所環境の導電性を測定するように配置された2つの電極を含む、インピーダンス測定センサであってよい。「ナノブリッジ」は、抵抗デバイスのことであり、これは、前記抵抗デバイスの活性エリアの近傍の電荷に応答し得るセンサを含んでよく、前記抵抗デバイスは、半導体デバイスをさらに含んでよい。
いくつかの実施形態では、ナノニードルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「ポリヌクレオチド抽出増幅及び配列決定のための一体型システム及び方法」との表題の米国特許仮出願第61/389,490号に記載されるように、pHセンサとして機能する。
センサは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,932,034号に記載されるような組み込み事象に付随する過渡的な特性を検出するために用いてよい。
本明細書で開示するデバイスの実施形態では、複数の磁性ビーズのうちの1つを部分的に取り囲み、かつ該ビーズのすぐ近傍にある活性エリアを有する複数のナノブリッジセンサを採用する。例えば、活性エリアの半径は、磁性ビーズの半径に満たなくてよい。
デバイスの実施形態では、複数のナノブリッジセンサを、ポリヌクレオチドへのヌクレオチドの組み込みを測定するために適合させ、ナノブリッジセンサはそれぞれ、活性エリア及び導電性素子を有する。活性エリアの仕事関数と一致する仕事関数を有する導電性素子。
本発明のいくつかの実施形態では、センサは、それぞれのセンサの場所にてナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ、ChemFET、ナノワイヤFET、カーボンナノチューブFET、その他の型の電荷、導電性若しくはpH検出センサ、又は異なる型のセンサの組み合わせであってよく、ここで、ビーズ又はコロニーは、配列決定反応のために置かれていてよい。個別のセンサは、電荷、導電性若しくはpHのような単一の様相のみを用いて検出してよいか、又は個別のセンサは、電荷とpHとの両方に応答するように1つより多い様相を用いて検出してよい。センサは、同様の情報を提供することがあるか、又は相補的な情報を提供する。例えば、センサの場所でのあるセンサはpHの変化に対して応答し、センサの場所での別のセンサは導電性の変化に対して応答してよい。いくつかの実施形態では、1つのセンサはpH、導電性又は電荷の局所的な変化を検出してよく、別のセンサは参照として用いられる。一実施形態では、参照センサは、いずれの試薬とも接触しないように配置され、温度、電源電圧などの変化を補償するために用いてよい。
電荷濃度の変化は、ナノブリッジ、ナノニードル若しくはFETのいずれかであり得るセンサに直接付着したDNAとDNAとの結合を含む他の原因に起因することがあるか、又は荷電cDNA、RNA、タンパク質、脂質、炭水化物の結合に起因することがある。電荷の変化は、酵素反応、又は1つのセンサの感知領域内及び別のセンサの感知領域内で大部分が生じるように十分に局在化され得る任意のその他の化学反応に起因することもある。
いくつかの実施形態では、ナノニードルセンサとナノブリッジセンサと磁性保留構造との組み合わせを用いる。ナノニードル構造体は、磁性アレイ素子を作り上げる磁性構造体の下に置かれるか、又はナノニードル構造体は、磁性アレイ素子を作り上げる磁性構造体の上面に置くことができる。他の実施形態では、ナノニードルは、磁性アレイ素子を作り上げる磁性構造体に対して直交して又はいくらかの他の角度で置くことができる。
いくつかの実施形態では、ナノニードルセンサは、DNA重合事象により生じるイオンによるインピーダンス変化を測定してよい。
他の実施形態では、ナノニードルは、DNAの組み込みによるインピーダンス表面変化を測定する。DNAのそれぞれの塩基は、負電荷を有する。塩基が付加されるにつれ、電荷はさらに負になる。このさらなる電荷は、DNAでコーティングされたビーズの表面の導電性を変化させることができる正の対イオンを誘引する。このインピーダンス変化は、DNAと結合する分子にも起因することがある。電荷は固定された分子(ビーズと結合したDNA)に付随するので、局所流体環境は、重合条件から変化する。例えば、ある緩衝液を塩基組み込みのために用いることができ、第2緩衝液を、以前の測定からの導電性変化を測定するために用いることができる。
いくつかの実施形態では、ナノニードルセンサは、ビーズに付着した鋳型DNAに塩基が付加されるにつれての前記ビーズのインピーダンス変化を測定するように構成される。他の実施形態では、前記DNA鋳型は、基体若しくは前記基体上のコーティングに付着若しくは付随してよいか、又はデバイス電極若しくは前記電極上のコーティングに付着若しくは付随してよい。性能を改善するために、その他のインピーダンスを低減することが望ましい。
センサインピーダンスは、他のインピーダンスにより支配されてよい。例えば、電極間のバルク試薬及びビーズに付随するデバイ層のインピーダンスは、ナノニードルの電極と、DNAと結合するビーズとの間の物理的整列が良好でないならば、ビーズに付随するデバイ層を通してのインピーダンスと比べて大きくてよい。例えば、バルク試薬のインピーダンスが電極間の全インピーダンスの90%を構成し、ビーズ上のDNA及びその付随する対イオンのインピーダンスが電極間の全インピーダンスの10%を構成するならば、DNA及び付随する対イオンのインピーダンスの1%の変化は、電極間の全インピーダンスの0.1%の変化をもたらす。電極間のバルク試薬のインピーダンスは、バルク溶液のイオン濃度が高いならば、ビーズに付随するデバイ層を通してのインピーダンスに対して小さくてよい。
図16は、ビーズを有するナノニードルセンサの単純化した回路1600を概略的に示す。センサは、寄生容量1614及び寄生抵抗(図示せず)を有してよい。センサは、それぞれの電極1612に付随する2重層容量1610をさらに有してよい。ビーズ1606と結合、付着又は付随するDNA又はその他の試料に付随する対イオンに起因する抵抗は、バルク流体1602に起因する抵抗、ビーズ1606の表面上の電荷に付随する対イオンを通しての導電性からの抵抗、及びセンサ1608の表面上の電荷に付随する対イオンを通しての導電性からの抵抗と並列であってよい。複雑さを加え得る回路のさらなる部分は、2重層容量1610とビーズ1606の表面上の電荷に付随する対イオンを通しての導電性からの抵抗との間の抵抗(図示せず)、及びセンサ1608の表面上の電荷に付随する対イオンを通しての導電性からの抵抗を含む。
よって、いくつかの実施形態では、両方の電極とビーズとの間の距離を最小限にすることが望ましい。他の実施形態では、できる限り多くのビーズから対イオンを測定して、前記ビーズの表面全体のできる限り多くから平均を取ることを可能にすることが望ましい。いくつかの実施形態では、前記電極を、前記ビーズの対向する両側に配置して、前記ビーズの表面全体にわたって可能な限り一様な様式で電流が流れることを可能にすることが望ましいことがある。他の実施形態では、可能な限り小さくない電極を有することが望ましく、そのことにより、前記電極から発せられる電流路の電流密度が、電流密度が最小である電流路中の点での電流路よりも著しく高くない。例えば、電極を無限に小さく作製できるならば、前記無限に小さい電極から発せられる電流密度は、無限に大きくなる。別の例では、電極は、前記ビーズの対向する両端に球状キャップを含み、球状キャップにより形成される円の円周は、前記ビーズの大円の長さの半分である。最大電流密度は、球状キャップにて2倍高い。なぜなら、これは、球状キャップの間の中間の大円であるからである。いくつかの実施形態では、ビーズの表面にわたる最大電流対最小電流の比は2対1であってよい。他の実施形態では、ビーズの表面にわたる最大電流対最小電流の比は、2対1〜3対1、3対1〜4対1、4対1〜6対1、6対1〜9対1、9対1〜15対1、15対1〜30対1、又は30対1〜100対1であってよい。
いくつかの実施形態では、電極は、半導体技術を用いて製作され、ビーズに隣接する電極のエリアの高さは、電極の厚さと等しい。電極をビーズから、0.1デバイ長〜0.3デバイ長、0.3デバイ長〜1.0デバイ長、1.0デバイ長〜3.0デバイ長、3.0デバイ長〜10.0デバイ長又は10.0デバイ長〜100デバイ長のような少しの距離離して保持することが望ましいことがある。デバイ長は、前記ビーズと前記電極とのデバイ長の相加組み合わせであるとみなされる。あるいは、電極は、ビーズの大円の円周の半分の画分である長さを有することが望ましいことがある。前記画分は、前記ビーズの大円の円周の半分の0.01〜0.03、前記ビーズの大円の円周の半分の0.03〜0.1、前記ビーズの大円の円周の半分の0.1〜0.3、前記ビーズの大円の円周の半分の0.3〜0.75であってよい。いくつかの実施形態では、システムは、電極とビーズとの間の距離を維持し、ビーズの大円の円周の半分の画分であるように電極を製作する。
いくつかの実施形態では、ビーズと結合、付着又は付随するDNAに付随する対イオンを通過する測定電流の部分を最大限にするために、バルク試薬を通過する電流を低減することが望ましいことがある。その結果、いくつかの実施形態では、ビーズの近傍のバルク試薬の容積を物理的に低減して、そのことにより、DNA対イオンからのインピーダンス貢献を最大限にすることが望ましい。他の実施形態では、DNA対イオンの測定のための電極の近傍にビーズを保留する構造体の表面積を最小限にすることが望ましい。さらなる実施形態では、ビーズ及び又はDNA対イオンの測定のための電極の近傍にビーズを保留する構造体の表面(複数可)のゼータ電位を最小限にすることが望ましい。
ナノニードル構造は、ナノニードルのアレイ中に製作してよく、多数のDNA単分子又はコロニーが同時に配列決定されることを可能にする。
図17に示すように、ナノニードルセンサ構造体1700は、シリコン基体1701を用いて製作してよく、前記基体にエッチングされた800nmの深さのチャネル1702を有してよい。200nmの厚さの酸化ケイ素層1703を基体上に製作し、その後、80nmの厚さの導電性p+シリコン層1704、その後、30nmの厚さの酸化ケイ素層1705、その後、80nmの厚さの導電性p+シリコン層1706、その後、20nmの厚さの酸化ケイ素層1707を製作してよい。チャネルは、構造体を製作した後に創出してよい。構造体は、酸化物層又はレジスト層が、最終構造体において保留され得る全ての区分を覆うように作製してよい。化学ウェットエッチング、プラズマエッチング、気相エッチングを利用して、構造体の下からシリコン又はその他の類似の基体を除去してよい。構造体の導電性の先端を、次いで、イオンミリング工程を用いて露出させてよい。
全ての厚さは、材料が変動するのと同様に、変動してよい。基体中のチャネルは、あるいは、酸化物層を用いて製作し、レジスト層はチャネルの容積内にあってよい。酸化物及び導体の層を、次いで、酸化物及びレジストの上面に製作してよく、構造体をアンダーエッチングする必要性をなくする。図18は、図17に概略的に描くものと同様の様式で製作した一端ナノニードルアレイを説明する。
図19に示すように、このような構造体は、基体1903に形成されたチャネル1902の両側にセンサ1901を有してよい。ポリメラーゼ及び又は標的DNA1904は、センサの活性エリアに付着してよい。センサ自体を用いて、ポリメラーゼ及び若しくは標的DNAを、センサの活性エリアに電気泳動及び又は誘電泳動により局在化させてよい。標的DNAは、単一2本鎖、1本鎖DNA標的若しくは環状化DNA標的であってよいか、又は局所増幅を、PCT/US2011/054769に記載されるように、センサの活性エリア上の場所で行ってよい。図20は、図19に概略的に描くものと同様の様式で製作した、かみ合わせナノニードルアレイを説明する。
ヌクレオチド又はプローブ1905を次いで提供して、合成プロセスによる配列決定又はライゲーションプロセスによる配列決定を始めてよい。
ナノニードル又はナノブリッジのいずれかの感度を改善するために、局所増幅器を提供してよい。増幅器は、BJT又はFETのいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、増幅器は、それぞれのセンサについて1つの増幅器回路、又は同じ増幅器を共有する複数のセンサとともに用いる。他の実施形態では、いくらかの増幅はそれぞれのセンサに付随し、さらなる増幅及び又はその他の関連する回路構成は、異なるセンサ間で共有又は多重化される。センサは、狭い構造体として製作することができ、両側がpHの変化又は導電性の変化にアクセスできるように構造体の下にエッチングできる。デバイスの表面は粗くてよく、試料分子の結合のための表面積を大きくすることを可能にする。ナノニードルの電極に付随する表面は、金若しくは白金であってよいか、又は表面積及び付随する2重層容量を増加させるために白金黒、酸化イリジウム若しくはPpy/PSSであってよい。
イオンの電気濃縮を行って、ナノニードル又はナノブリッジセンサの活性エリアに対する必要に応じてDNA、ポリメラーゼ、プライマー、ヌクレオチド及びその他の試薬を濃縮してよい。前記濃縮により、試料のより多くがそれぞれのセンサに付着又は付随でき、ゲノム全体の増幅の必要性をやわらげる。
ビーズ上のDNAのインピーダンスの最適測定を妨げ得る別の因子は、ビーズの表面のゼータ電位を伴うデバイ層に起因する対イオン、及び又はセンサの表面のゼータ電位を伴うデバイ層に起因する対イオンを含む。これらの対イオンは、ビーズ上のDNAの対イオンに付随する所望の電流と直列及び又は並列であり得る電流をもたらすことがある。さらに、ゼータ電位が変動するにつれ、デバイ長及び付随する対イオンの数は、調和して変動し得る。前記ゼータ電位は、pH、塩濃度及びその他の様々な因子の変化を含む緩衝液条件の変化とともに変動し得る。前記調和した変動は、よって、DNAの測定を混乱させ得る。よって、ゼータ電位を最小限にし、かつ緩衝液条件の変動とともにゼータ電位の変動を最小限にすることが望ましい。
いくつかの実施形態では、センサは、シリコンを用いて製作してよい。二酸化ケイ素は、pH7〜9のような重合活性のために典型的に有用なpHにて著しい大きさのゼータ電位を有する。しかし、窒化ケイ素のゼータ電位の大きさは、二酸化ケイ素のものより著しく小さい。よって、いくつかの実施形態では、シリコンセンサデバイスと、シリコンセンサデバイスと接触し得る任意の成分との間の界面にて窒化ケイ素を用いて、そのことにより、ゼータ電位、及び付随するデバイ層中にあり得る対イオンによる付随する電流を最小限にする。
いくつかの実施形態では、コーティングをセンサの表面の上に塗布する。シリコン、二酸化ケイ素、PDMS、Topaz(商標)若しくはその他の様々なポリマー又はそれらの組み合わせのセンサを製作してよく、ここで、前記電極及び又はコーティングは、TiO2、ZrO2又はインジウムスズ酸化物、BaTiO3のような材料を含んで、ゼータ電位及び得られるデバイ層を著しく低減できる。他の実施形態では、PEG(ポリエチレングリコール)、PTFE、ポリLリシン、アクリレート、メチルセルロース、n−ドデシル−B−D−マルトシド、アクリルアミド、フッ素化アルカン鎖、又はその他の架橋若しくは部分架橋ポリマーのような表面コーティング(複数可)を組み込んでゼータ電位を改変するか、或いは表面コーティングの組み合わせを用いて、ゼータ電位及び付随するデバイ長を同様に最小限にする。他の実施形態では、ゼータ電位の大きさは、イオン化可能なシラノール基の数を減少させるトリメチルクロロシランのような化合物を用いてシラノール基を保護することにより低減される。
いくつかの実施形態では、感知されるDNAが付着したビーズのゼータ電位を低減することにより、前記ゼータ電位によるビーズの表面に付随する対イオンに起因する、付随する電流を低減することが望ましい。よって、いくつかの実施形態では、実際の重合について予想されるpHレベルにて低いゼータ電位を有する材料のビーズを製作することが望ましいか、又はビーズは、実際の重合について予想されるpHレベルにて低いゼータ電位を有する材料でコーティングされてよく、例えばPEG(ポリエチレングリコール)、PTFE、ポリLリシン、アクリレート、メチルセルロース、n−ドデシル−B−D−マルトシド、アクリルアミド、フッ素化アルカン鎖、又はその他の架橋若しくは部分架橋ポリマーを用いてゼータ電位を改変するか、又は表面コーティングの組み合わせを用いて、ゼータ電位及び付随するデバイ長を同様に最小限にできる。
いくつかの実施形態では、緩衝液試薬に起因し得るpHの変動を最小限にすることが望ましく、イオン濃度を最小限にすることが同時に望ましいことがある。結果として、一定のpHを維持しながら、ほとんど緩衝能力がない試薬を用いることが望ましい。緩衝液は、いくつかの場合では、アッセイ又は方法の一部として脱気してよい。前記緩衝液は、次いで、緩衝液試薬にCO2が溶解するので、pH変化の対象となることがある。いくつかの実施形態では、CO2と緩衝液試薬との間の相互作用を制限することが望ましいことがある。よって、大気気体を除外し、窒素、アルゴン若しくは他の精製気体のようなCO2を含まない他の気体、又はCO2若しくは前記試薬緩衝液に溶解し、よってイオン濃度及び若しくはpHを変化させる他の気体を含有しない気体の混合物を提供することが望ましいことがある。
いくつかの実施形態では、システムは、産業用ガスボンベのような外部気体源を含む。いくつかの実施形態では、前記ガスボンベは、流体が滞留する装置に対して外部である。他の実施形態では、産業用ガスボンベは、装置内の区画内に配置される。他の実施形態では、再生可能金属酸化物システム、Kraftプロセスシステム、活性炭システム、Systec AF(登録商標)又はPoridex(商標)のようなメンブレンを用い得るメンブレンシステムのようなCO2気体洗浄装置/脱気装置/気泡除去装置を用いる。前記CO2気体洗浄装置/脱気装置/気泡除去装置は、前記装置内に築いてよいか、又は前記装置に対して外部であってよい。
いくつかの実施形態では、ナノニードルセンサのようなセンサのためのセンサ電極をビーズの近傍に持ってきて、ナノニードル電極とビーズとの間のバルク試薬容積の量を最小限にすることが望ましいことがある。一実施形態は、図2A、2B及び2Cに示すようなくぼみに保持されたビーズを有することがある。くぼみは、基体上に蒸着された材料で形成されてよく、くぼみを形成する材料は、前記材料上に形成されたナノニードル電極対を有してよい。電極は、くぼみの端部、よって、ビーズの端部に合致する弧で形成されてよい。いくつかの実施形態では、前記くぼみは、1つの側面又は2つの側面上の流体に完全にアクセス可能であってよいか、或いは前記くぼみは、1.0未満の幅対深さの比を有してよいか、又は1.0〜0.9、0.9〜0.8、0.8〜0.7、0.7〜0.6、0.6〜0.5、0.5〜0.4、0.4〜0.3、0.3〜0.2、0.2〜0.1若しくは0.1〜0.01の幅対深さの比を有してよい。
いくつかの実施形態では、くぼみは、ビーズの近傍にある試薬の容積を最小限にする。くぼみは、ビーズの形状に合致するように形作られてよく、そのことにより、くぼみの底は、電極の高さにてくぼみの横断面より狭い。他の実施形態では、電極は、さらなる材料の層で覆われ、そのことにより、くぼみの有効深さは、ビーズの直径の半分よりも大きく、ビーズの近傍のバルク試薬の容積をさらに低減する。
電極は、よって、ビーズの表面に触れることがあるか、又はビーズ若しくは粒子及びそれと付着若しくは結合したDNAの表面のデバイ長内であってよい。いくつかの実施形態では、電極は、ビーズの半径と同様の半径を有する曲線に電極が従うように曲がっており、電極とビーズとの間のよりよいカップリングを可能にする。このようなデバイスは、バルク試薬溶液によるナノニードル電極間の全インピーダンスに対する最小限の影響及びビーズ若しくは粒子の表面と付着若しくは結合したDNA又はDNAの付近の対イオンによる最大限の影響を可能にする。
いくつかの実施形態では、ナノニードルは、ビーズ又はその他の試料保留の仕組みに合うように形作られたセンサの活性エリアを有する。これは、例えば、弧に形作られてよく、弧の曲線は、ビーズの曲線に整列するように配向されてよい。これは、ナノニードル対の一方のナノニードルが、弧の内半径がより大きい直径を有し、同じ重心を有するように前記ナノニードル対の他方のナノニードルからはずれているか又はそれよりも「短い」ように構成されるナノニードルを有してよい。前記ずれは、ナノニードル対に付随する感知領域の容積を増加でき、感知領域に付随する場の向き、よって感知領域の向きをさらに変化させて、感知領域が、基体と平衡よりもむしろビーズの中心の方を向くようにする。
図21Aの概略側面図及び図21Bの概略上面図に示すような代替の実施形態では、1つの電極2105を、基体2102と直接、又は前記基体上の別の層に付着させてよく、前記基体からの単離を可能にする。ナノニードルの第2電極2105を、ビーズ若しくは粒子2101を一定の場所に配置するために利用されるセンサの誘電2113部分上に付着させてよい。ビーズ又は粒子2101は、よって、両方の電極2101、2105と接触し、ビーズ若しくは粒子に付随するデバイ長内の対イオン及びビーズ若しくは粒子と付着若しくは結合するDNAに起因するインピーダンスに対向して、ナノニードル電極間の全インピーダンスに対するバルク試薬溶液の影響を最小限にする。
いくつかの実施形態では、一方又は両方の電極は、電極(複数可)とビーズとの間のインピーダンスがより低く、より規則的になるように、前記電極がビーズの曲線に合致するように製作してよい。曲率は、くぼみの端部と境を接してよいか、又は界面の面積がより大きくなり、電流密度がより低くなるようにくぼみの端部からわずかにより遠くてよい。
図21Cに示すようなさらなる実施形態では、ビーズ又は粒子2101は、基体2102上の場所に保持されてよい。ナノニードル2100の第1電極2105Aは、基体2102に直接、又は前記基体2102に接着した接着層(図示せず)に付着してよい。誘電層2114を、次いで、前記第1電極2105Aを覆うように製作してよい。ナノニードル2100の第2電極2105Bを、次いで、誘電2114及びナノニードル2100の前記第1電極2105Aの上方に製作してよい。第2電極2105Bはより短くてよく、そのことにより、ビーズ又は粒子の曲線に合致する。長さの違いは、ビーズ又は粒子2101の直径、並びに2つの電極2105及び電極2105間の誘電2114の厚さの関数である。この様式で、電極2105は、ビーズ若しくは粒子2101と接触してよいか、又はビーズ若しくは粒子2101の非常に近傍であってよく、そのことにより、ビーズ若しくは粒子2101に付随するデバイ長内の対イオン及びビーズ若しくは粒子2101と付着又は結合したDNAに起因するインピーダンスが、バルク試薬のインピーダンスより大きくなる。
さらなる実施形態では、電極を、前記電極がくぼみの端部と境を接しないように製作するが、あるいは、電極のすぐ近傍の電流密度が低減されるように端部から短い距離で製作してよい。
図22Aでは、ナノニードル2200を側面図で概略的に説明し、ここで、前記ナノニードル2200は、誘電2203内のくぼみのそれぞれの側に電極2205を有し、ここで、ビーズ2201は基体2202上に保留されてよく、前記電極2205に対する金属化2204を用いてよい。図22Aに示すように、誘電材料2203は、ビーズ2201の直径の半分と同様の厚みであってよく、くぼみの幅は、ビーズ2201の直径よりわずかに大きいが、ビーズ2201が、両方の電極2205に関して前記ビーズ2201のデバイ長内になることをまだ可能にするようなものであってよい。誘電2203の前記厚さは、ビーズ2201の保留を可能にする厚さであってよく、前記ビーズ2201を、両方の電極2205の前記ビーズ2201のデバイ長内に維持する。
図22Bでは、ナノニードル2200を側面図で概略的に説明し、ここで、ナノニードル2200は、誘電2203内のくぼみのそれぞれの側に電極2205を有し、ここで、ビーズ2201は、基体2202の上方に保留され、電極2205に対する金属化2204が用いられる。図22Aに示すように、誘電材料2203は、ビーズ2201の直径の半分に満たなくてよく、誘電材料2203の厚さは、ビーズの直径の4分の1〜3分の1である可能性があり、くぼみの幅は、ビーズ2201が基体2202の上方に懸架されるようにビーズ2201の直径に満たなくてよい。ビーズ2202と電極2205との近接さは、ビーズ2201が両方の電極2205のビーズ2201のデバイ長内になるようにビーズ2202と電極2205との間の空間的近接さを維持する。
図22Cでは、ナノニードル2200を上面図で概略的に説明し、ここで、ナノニードル2200は電極2205を有し、これらの電極は、誘電材料2203内のくぼみの直径がビーズ2201の直径よりも小さいことの結果としてビーズに対する近接さを維持するように曲がっており、そのことにより、ビーズは、接触点に対応する弧にわたってすぐ近傍に保持されるか、又はビーズ2201と電極2205との間の近傍に保持される。
図22Dは、図22B及び図22Cのものと同様であるが、ビーズ2201への実質的な流体アクセスを有するナノニードル構造2200の透視3次元図である。ビーズ2201は、基体2202の上方に懸架されて保持され、代わりに電極2205Aに対して保持され、これらの電極は、誘電材料2203の上方にあり、ここで、電極2205A及び誘電材料2203は、ビーズ2201デバイ長のデバイ長内であるが、ビーズ2201の曲率と一致するように曲がっていないように形作られており、そのことにより、ビーズと電極2205及び又は誘電材料2203との間に線接触を有する代わりに、ビーズ2201と電極又は誘電材料2203との間に3又は4点の接触がある。図23Dは、ビーズ2201をナノニードル構造2200中の場所に保留するための力を印加する磁石2208も描く。
ナノニードルは、ナノブリッジチャネルの長さを増加させ、同時に幅を減少させるために、2重らせん又は曲がりくねったパターンであるように構成されてよい。幅が広すぎる感知領域は、比較的低いインピーダンスを有し、他の領域よりも例えばビーズの中心と比較してビーズの端部にて、局所電荷密度の変化が小さい感知領域のエリアを有し得る。「幅が広すぎる」感知領域は、よって、インピーダンスの変化がより小さいこともある。なぜなら、感知領域の一部だけが、電荷の局所変化をもたらす結合又は反応の影響を著しく受けることがあるからである。これとは対照的に、長すぎて薄すぎるナノニードルは、良好なシグナル対ノイズで感知するにはいずれの電流変化も小さすぎるほど大きいインピーダンスを有し得る。よって、ナノブリッジセンサに付随するチャネルの幅及び長さは、前記ナノブリッジセンサが意図する具体的な用途のために調整する必要がある。
いくつかの実施形態では、ナノニードルは、単一ナノニードルの一部としていくつかの活性領域を有するように製作される。活性領域は、単一試料に関して様々な場所にあって、試料領域からのいくつかの異なるエリアの平均をもたらし、そのことにより、試料領域の場所の変動、例えばセンサに対するビーズのわずかな位置合わせ不良又は表面の搭載密度の変動が、センサについてのシグナル対ノイズに与える影響が少なくなる。
流動電位は、Quinkeにより1859年に最初に観察され、毛管における公知の現象である。これはなかでも流体の流速、ゼータ電位及び導電性の関数である。よって、電圧をナノニードルに印加してよく、流速又は電極間の距離の変動は、ナノブリッジに印加されたバイアスの空間的又は時間的な変動をもたらし得る。
他の実施形態では、ナノニードル電極を、流体の流れと平行に配向させることが望ましく、そのことにより、電極が前記流体の流れと直交するならばそうであるようなナノニードルの電極間に印加される変動流動電位の可能性がなくなる。
いくつかの実施形態では、駆動回路からのDCバイアスレベルからの影響又はチップセンサ内の漏れが出力シグナルに影響を与えることを妨げるために、ナノニードルは、局所コンデンサ又は一方若しくは両方の電極に付随するコンデンサと連結される。
さらなる代替の実施形態では、図23に示すようなナノブリッジセンサ構造体2300を、前記ナノニードルセンサの代わりに用いる。ナノブリッジセンサは、環状化又は直鎖状DNA、直鎖状又はヘアピンプライマー、ナノブリッジについて記載したポリメラーゼを用いることを含んでナノニードルと同じ様式で用いてよく、アレイとして製作してよい。
ナノブリッジセンサ構造体2300は、基体2360、誘電絶縁体2310、2つの高ドープ半導体領域2304A及び2304B、低ドープ半導体活性エリア領域2305、前記半導体活性エリア領域2305を覆ってよく、かつ前記半導体活性エリア領域2305の上にさらなる誘電コーティング2350を有していてもよいさらなる金属化層2340を含む、シリコンオンインシュレータデバイスを含んでよい。
いくつかの実施形態では、ナノブリッジは、電荷の局所変化を感知する。フローセルと境を接するナノブリッジの表面の表面電荷の変化は、フローセル中の第2層の電荷の変化に起因し得る。ナノブリッジの表面上の電荷のこれらの変化は、次いで、ナノブリッジにおける電荷分布を変化させ、よってナノブリッジの導電性を変化させ得る。電荷変化を有するナノブリッジ表面のエリアは、よって、ナノブリッジの付随する容積におけるコンダクタンスの変化を有することがあるが、ナノブリッジの他の表面エリアは、表面電荷の変化を有さず、よって、その付随する容積のコンダクタンスの変化を有さないことがある。半導体材料の型に依存して、ナノブリッジは、(n又はp型)、ナノブリッジ半導体材料中のドーピングの量及び均一性、及びナノブリッジの表面上の電荷の符号(正又は負)で構築され、電荷の変化が表面電荷の量又は密度において増加又は減少するかは、コンダクタンスを増加又は減少させ得る。
いくつかの実施形態では、デバイ長内にあるビーズ上の電荷の変化は、2重層の両方の層に局所的に存在する電荷の量又は濃度の対応する変化を引き起こす。電荷の量の前記変化は、局所的イオン濃度と直接、よって表面層容量及びデバイ長内の試薬のコンダクタンスとも関係する。電荷の前記変化は、表面層の相対的電荷及びビーズ上の電荷変化に依存して、増加又は減少のいずれかであり得る。
クローンビーズの配列決定のためのいくつかの実施形態では、ナノブリッジセンサを用いる。ナノブリッジセンサは、ナノニードルと同様の様式で用いてよい。
代替の実施形態では、ナノブリッジは、局所温度変化を検出し、よって、温度センサとして部分的に作用する。
代替の実施形態では、ナノブリッジは、温度センサ及び/又はpHセンサとして作動するように構成して、ヌクレオチド組み込みを検出できる。この方法は、「DNAの配列決定のための熱及びpH測定」との表題の米国特許出願第20080166727号(これは、本明細書にその全体が組み込まれている)にさらに記載されている。
本発明は、pH及び/又は温度検出に基づくポリヌクレオチド配列決定のための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、pH及び/又は温度変化の視覚的又は光学的検出を可能にする色素又は量子ドットをさらに用いてよい(又は代わりに用いてよい)。このモニタリングにより、バルク溶液のモニタリングが可能になるか、又はそれぞれのコロニーに付随する容積の局所的モニタリングが可能になるか、又はバルク溶液とそれぞれのコロニーに付随する容積の両方をモニタリングすることが可能になることがある。
他の実施形態では、ナノブリッジセンサのアレイは、下部にエッチングされ、そのことにより、チャネルサイズをさらに最小限にし、DNA配列決定反応に起因する電荷と相互作用する表面積を最大限にする。他の実施形態では、ナノブリッジセンサのアレイは、下部にエッチングされないか、又はより堅固な構造をもたらすように部分的にエッチングされることがある。なおさらなる実施形態では、ナノブリッジセンサのアレイは、一方の側、次いで他方の側に交互に配置された電位増幅器のような電位機構を用いて、センサが互いに両側から挟みこまれる櫛形構成に配置されるように構成される。別の実施形態では、ナノブリッジセンサのアレイは、増幅器のような電位機構が、全てセンサアレイの一方の側に配置されるように配置される。
いくつかの実施形態では、ナノブリッジセンサは、感知チャネルの幅及び長さが感知用途についての最適な感度のために整列されるように構成される。変動は、試料領域の間隔及びサイズ、所望の部分の検知に伴う電荷、並びに感知領域と局所増幅器との間のナノブリッジの導電性部分のような非感知領域におけるナノブリッジのインピーダンス又はその他の付随するインピーダンスと関係し得る。
いくつかの実施形態では、センサは、ナノブリッジセンサ2400であり、ここで、図24A、図24B及び図24Cに示すように、活性エリアは、活性エリアがビーズ又は粒子2401を部分的に取り囲むように製作され、ビーズ又は粒子2401のすぐ近傍にある。センサは、基体2402を含んでよく、基体の上に誘電及び又は半導体材料の層2403を塗布してよい。ナノブリッジの活性エリア2405は、該活性エリアがビーズ又は粒子2401を大部分取り囲むように製作してよい。金属化ライン2404は、半導体材料の高ドープ領域2404A(これは次いでナノブリッジの活性エリア2405と界面を接する)に接続されてよい。図24Aは、「輪状」ナノブリッジの側面図であり、活性エリア2405の内部部分は、ビーズ又は粒子及び該ビーズ又は粒子と結合し得るDNAのデバイ長内である。活性エリアは、ビーズ又は粒子のデバイ長に部分的又は完全に含まれていてよく、その結果、活性エリア全体のインピーダンスは、ビーズ若しくは粒子と結合又は付随する電荷の変化並びに/或いはヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体の組み込み事象に応答して変化する。輪及び付随する支持構造体2403の直径は、ビーズが輪の中に密接にはまるようなサイズであってよい。
あるいは、図24Bに示すように、輪状及び支持構造体2400は、ビーズ又は粒子2401の直径より小さいサイズであってよく、そのことにより、ビーズは、特に磁場により保持される場合に、ナノブリッジの活性エリア2405の輪の上に休止でき、輪が確実にビーズ又は粒子2401及び該ビーズ又は粒子と結合するDNAのデバイ長内になるようにする。図24Cは、輪状構造体を用いて実行されるナノブリッジ2400の上面図であり、ナノニードルの活性エリア2405の上のビーズ2401と、活性エリア2405のインピーダンスを測定するための手段を提供する電気導体2404とのオーバーラップを示す。
いくつかの実施形態では、ナノブリッジセンサの形状は、磁性又は常磁性粒子とのより大きい相互作用が得られるように最適化される。前記ナノブリッジセンサは、らせん、曲がりくねった若しくはその他の非直線状の形状、又はナノブリッジのチャネルを通して電流が流れるための狭いチャネルを保留しながらより大きい表面積が得られるように変動する横断面を有する形状に形作られていてよい。
電気導体2404は、ナノブリッジの重度ドープ領域(図示せず)に接続されてよく、該領域は、次いで、ナノブリッジの活性エリア2405に電気的接続を提供する。あるいは、ナノブリッジの電気導体2404は、オーム接続を有するナノブリッジの活性エリア105に、仕事関数がナノブリッジの活性エリア2405の仕事関数と一致するようにナノブリッジ電気導体2404を製作することにより直接接続してよい。アルミニウムの仕事関数の値は、軽度ドープシリコンの仕事関数の値に近いが、完全に一致しない。より完全な一致を創出するために、アルミニウム合金を代わりに利用してよい。
流動電位は、Quinkeにより1859年に最初に観察され、毛管における周知の現象である。これはなかでも流体の流速、ゼータ電位及び導電性の関数である。よって、電圧をナノブリッジISFET又は他のchemFETセンサに印加してよく、流速又は電極間の距離の変動は、ナノブリッジに印加されたバイアスの空間的又は時間的な変動をもたらし得る。
いくつかの実施形態では、センサの感受性エリアに印加されるバイアス電圧の変動を低減するために、アレイにおける異なるナノブリッジ又はISFETセンサの間に製作され得る参照電極を用いることが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、参照電極は、ナノブリッジ又はISFETのアレイの基体上のアレイナノブリッジ又はISFETにおけるそれぞれのナノブリッジ又はISFETの中間に製作される。前記電極は、前記ナノブリッジ又はISFETアレイの製作物の一部として金属化により相互接続されてよい。他の実施形態では、前記電極のセットは、前記ナノブリッジ又はISFETアレイの製作物の一部として金属化により相互接続される。他の実施形態では、参照電極は、一定若しくは変動する数のナノブリッジ又はISFETセンサがナノブリッジ又はISFETアレイにおけるそれぞれのナノブリッジ又はISFETの間になるように製作される。さらなる実施形態では、バイアス電圧の差は、ソフトウェア又はファームウェアにより補償でき、ここで、電圧バイアスの影響が測定、マッピングされ、前記マップを用いてナノブリッジ又はISFETのアレイからのシグナルレベルの変動が補償される。
いくつかの実施形態では、参照電極を用いて、センサ電極、或いはナノブリッジ及び/若しくはナノニードルのアレイ又はChemFETであり得るセンサデバイスの活性エリアに対して試薬流体を偏らせる。いくつかの実施形態では、参照電極は、センサデバイスの一部であるように構成される。さらなる実施形態では、複数の参照電極があり、ここで、1又は複数の参照電極は、センサデバイスに付随するフローセルの一部であるか、又は該フローセルに付随する。他の実施形態では、2以上の参照電極は、センサデバイスに付随する。いくつかの実施形態では、複数の参照電極は、アレイのメンバーの全てにて実質的に同様の試薬電圧を維持する(このことは、センサアレイの表面にわたって著しい抵抗を可能にするように流体の厚さが十分に薄いフローセルでは難しいことがある)。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのさらなる電極を用いて、フローセル中のバルク試薬溶液を偏らせてよい。この電極は、試料及び/又はその他の試薬を濃縮するために他の時に用いる同じ電極(複数可)であってよい。いくつかの実施形態では、電極(複数可)に印加される電圧を用いて、応答曲線における最適な点での検出器を偏らせて、例えば、利得の量を最適にするための適当なオフセットをもたらしてよく、これは、アナログデジタル変換器の利用可能なダイナミックレンジ内の最大のシグナルをもたらすことができ、よって、A/D量子化エラーを最小限にできる。
いくつかの実施形態では、バイアスレベルを配列反応が進行するにつれて改変してよく、センサの近傍の電荷の量が変化する。いくつかの実施形態では、センサを用いて読み取りを行った後にバイアスレベルを変化させ、その後、センサを再び読み取ることにより、バイアス電圧を変化させることに起因するいずれの非線形性又は予期されないオフセットも観察でき、ソフトウェアにより補償できる。いくつかの実施形態では、正電荷をビーズ若しくはコロニーに又はビーズ若しくはコロニーの付近にもたらして、センサが適当なレベルまで偏るようにしてよい。
いくつかの実施形態では、複数の参照電極を、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ又はChemFETセンサとともに用いてよい。
ChemFETのような電子的センサは、いくつかのpHセンサがそうであるのと同様に、広いダイナミックレンジを有するように設計してよい。これらは、代わりに、より小さいダイナミックレンジであるが、より高い感度を有するように設計してよい。一実施形態では、活性領域を偏らせるさらなる素子をシステムに含めることにより、センサのダイナミックレンジとセンサの感度をともに最適化する。前記素子は、1又は複数の参照電極であってよく、ここで、可変電圧を、参照電極(複数可)とセンサ(複数可)(例えばChemFET又はナノブリッジ)の活性エリアとの間に印加してよい。電圧の調節は、センサと相互作用する電荷の量の広い変化にもかかわらず、高い感度検出を可能にする。例えば、センサは、標的DNAが100塩基対長である配列決定反応とともに働くように最適化してよい。あるいは、標的DNAが1000塩基対長であるならば、センサは、センサのダイナミックレンジ内ではもはや働かなくてよい。よって、参照電極(複数可)と活性エリアとの間の電圧を、センサがそのダイナミックレンジ内で働くように調節してよい。配列決定反応の経過中に伸長されたプライマーが500塩基対まで伸長されるならば、センサは、ここでもまたもはやそのダイナミックレンジ内ではなくなることがある。参照電圧をここでもまた改変して、センサをそのダイナミックレンジ内にすることができる。さらに又はあるいは、バックゲートをほぼ同じ様式で用いてよい。さらなる改良では、バックゲートを分けて、センサアレイの異なるエリアについてバックゲートの異なる区分があるようにしてよい。多くの区分があってよく、そのことにより、それぞれのセンサについて個別のバックゲートを有することが可能になる、プライマーが伸長される異なる配列依存速度についての補償が可能になる。
いくつかの実施形態では、参照電圧(複数可)は、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ又はChemFETセンサを用いる場合に変化させる。
いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ組み込みの測定を行って、DNA標的の配列を決定する。組み込みのプロフィールが適性に捕捉され測定されることを確実にするために、例えば連続ホモポリマーに組み込まれた塩基の数を決定するために、複数の測定が典型的に必要になることがある。このような測定は、PPi又はヒドロニウムイオンのような組み込み反応の副生成物を測定してよい。センサの大きいアレイのために、このような測定は、非常に高いデータ収集速度を要求することがあり(このことはセンサの感度に挑戦することがある)、配列決定データに付随する所望のエラー率をもたらす不十分なシグナル対ノイズを妨げる。位相エラー、よって読み取り長さに付随するエラーと、どの塩基がそしていくつの塩基が組み込まれたかを正確に測定することに付随するエラーとを交換することに伴う困難性が存在することがある。このことは、センサの正確性のために低いイオン濃度と、ポリメラーゼが位相エラーなく正確に機能するためにより高い濃度とが必要であることの結果であり得る。よって、いくつかの実施形態では、2以上の異なる試薬条件を配列決定中に用い、ここで、試薬条件のうち少なくとも1つのセットは、ポリメラーゼ正確性及び位相散逸を最小限にすることのために最適化され、第2試薬は、例えば非常に低いイオン強度を有することにより検出のために最適化される。組み込み事象とは別にセンサを読み取ることは、配列決定データの正確性及び読み取り長さを改善できる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ組み込み事象を捕えるために高いデータ速度で読み取ることをセンサがもはや強いられないが、代わりに1回ほど少ないことが可能な少数の回数で読み取ってよいので、より少ないデータが要求される。電子機器は、センサノイズが著しく低減されることを可能にするのに十分に長いことが可能な時定数も有することがある。さらに、いくつかの実施形態では、データ要求が低減されていることにより、データ処理ハードウェア、データ転送要求及びデータ保存要求を単純化できる。
いくつかの実施形態では、読み取り緩衝液は、ポリメラーゼ酵素のための使用のために最適であり得るよりも低いイオン濃度のものであってよい。いくつかの実施形態では、読み取り緩衝液のイオン濃度は、組み込み緩衝液のイオン濃度の3分の1であってよいか、又は他の実施形態では、読み取り緩衝液のイオン濃度は、組み込み緩衝液のイオン濃度の3分の1〜10分の1、組み込み緩衝液の濃度の10分の1〜30分の1、組み込み緩衝液のイオン濃度の30分の1〜100分の1、又は組み込み緩衝液のイオン濃度の100分の1〜1000分の1のイオン濃度であってよい。
いくつかの実施形態では、組み込み緩衝液及び読み取り緩衝液のpHは、実質的に同じpHであってよい。他の実施形態では、組み込み緩衝液及び読み取り緩衝液のpHは顕著に異なっていてよく、例えば組み込み緩衝液のpHは、ポリメラーゼ酵素の最適な活性及び又は正確性のために最適化され、例えばpH8.5であるが、読み取り緩衝液は、読み取り緩衝液の導電性を最小限にするpH、例えばpH7.0(例えばOH−及びH+の濃度が10−7モルで同じである)である。いくつかの実施形態では、最小限の読み取り緩衝液導電性のための最適pHは、OH−の移動性がH+のものより低いので、pH7.0よりわずかに高い。よって、いくつかの実施形態では、読み取り緩衝液のpHは、pH6.5〜pH8.0、pH6.8〜pH7.5又はpH7.0〜pH7.2であるが、組み込み緩衝液のpHは、pH7.5〜pH9.0、pH8.0〜pH8.8又はpH8.3〜pH8.5である。
いくつかの実施形態では、異なる試薬緩衝液を、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ又はChemFETセンサとともに用いる。
いくつかの実施形態では、それぞれのセンサの読み取りノイズを低減するために、積分器をセンサとともに組み込んで、それぞれのセンサに与えられる時間の量を最大限にする。積分器は、アレイ中のそれぞれのセンサに付随するコンデンサを含んでよい。他の実施形態では、センサは、電流は流れないが、むしろ化学サイクル中の電荷の蓄積がある容量センサとして構成される。いくつかの実施形態では、一体型デバイス又は容量デバイスのいずれか、センサは、それぞれの画素についての局所増幅電子機器を有してよい。他の実施形態では、電荷は、CCDと同様の様式で読出しポートに移動する。
いくつかの実施形態では、積分器はセンサの一部として用いられ、ここで、該センサは、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ又はChemFETセンサを含む。
それぞれのデバイスに付随する1又は複数の読出しポートがあってよい。いくつかの実施形態では、デバイスのそれぞれの隅に読出しポートがあってよい。他の実施形態では、デバイスの反対の側に沿って多くのポートがあってよく、読出し速度の低減及びそれに伴うシグナル対ノイズの改善が可能になる。他の実施形態では、読出し回路構成は、アレイを列又は行に分けることができる。他の実施形態では、読出し回路構成は、チャネル支持又はチャネル分離機構の下方に配置できる。さらなる実施形態では、複数のセットの読出し回路構成があり、ここで、センサのアレイは、複数のサブアレイに分けられ、複数のセットの読出し回路構成は、読出し回路構成がチャネル支持又はチャネル分離機構と一致するように配置される。いくつかの実施形態では、最小限の試薬容積を有するフローセルを用いることが望ましいことがある。よって、フローセルの高さは可能な限り短いことが望ましい。例えば、フローセルは、300ミクロン以下の高さ、100ミクロン以下の高さ、又は50ミクロン以下の高さであることが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、1平方センチメートル以上(10平方センチメートルほど大きい可能性がある)であり得る半導体デバイスを用いることが望ましいことがある。センサチップの幅の著しい量を覆うために十分な幅を有するフローセルは、フローセルの一方又は両方の主要表面の他方の表面に対する平坦さ(特に一方の表面が成形プラスチック部分若しくはPDMS又は類似のポリマー部分であるならば)により機械公差について著しい困難性を有することがある。その結果、支持柱、チャネル又はその他の支持形状を用いて、平坦さの公差が所望の公差を超えて崩壊又は拡張することを妨げることが望ましいことがある。
いくつかの実施形態では、システムは、Fin FETと同様の様式で配置されるブリッジセンサのようなセンサを用いることにより、チャネルの2又は3つの側面にアクセスでき、例えばチャネルの表面と結合したDNAのような周囲と相互作用できる。センサチャネルは、チャネルの水平横断面よりも大きい基体に垂直な鉛直寸法を有してよい。このようなデバイスは、試料にアクセスできる単一表面だけを有するデバイスよりも大きい感度を有し得る。
他の実施形態では、平面状又は研磨平面状電極を用いて得ることができるものよりも大きい表面積をもたらす材料を用いることが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、白金黒、白金金属海綿又は白金めっき白金、白金めっきチタン、白金めっきイリジウム、白金めっきニオビウム、白金めっきタンタル、白金めっきジルコニウム若しくは電極材料としてのその他の白金めっき金属であり得る白金めっき金属を用いることが望ましいことがある。前記電極は、参照電極であってよいか、又はナノニードルの一部としての電極であってよい。他の実施形態では、電極表面は、白金金属族の他のメンバー:パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム又はオスミウムで製作され、これらは、白金と同じ様式で用いて、平面状又は研磨電極が形成するよりもかなり大きい表面積を有する電極表面を形成できる。
いくつかの実施形態では、白金めっきのプロセスは、王水、HCl及びHNO3を利用する可能性がある支持材料の清浄と、その後の塩化白金酸及び酢酸鉛を利用し得るめっきプロセスとを含んでよい。
他の実施形態では、電極表面は、酸化イリジウム、硝酸チタン又はポリピロール/ポリ(スチレンスルホン酸)導電性ポリマーを含んでよい。前記酸化イリジウムの製作は、標準的なフォトリソグラフィプロセスを用いるスパッタリングにより実行してよい。Malleoら(Review of Scientific Instruments 81、016104)は、白金黒について240倍高く、酸化イリジウムについて75倍高く、ポリピロール/ポリ(スチレンスルホン酸)導電性ポリマーについて790倍高い、光沢のある白金電極と比べた異なる材料の有効界面容量の増加について記載している。
いくつかの実施形態では、より大きい表面積を有するセンサを、ナノニードルセンサ、ナノブリッジセンサ、ISFETセンサ又はChemFETセンサとともに用いる。
いくつかの実施形態では、ナノニードル、ナノブリッジ、ChemFET又はISFETは、シリコン、石英ガラス、ガラス又はその他の同様の材料のような基体の表面上にセンサが創出されるように製作される。他の実施形態では、センサを、基体の上方に垂直又は水平に隆起するように製作して、そのことによりセンサが流体及び試薬にアクセスしやすくなるようにする。流体及び試薬へのアクセスしやすさがより大きいことは、配列決定反応が生じるために必要な時間を減少させ、用いる試薬の濃度がより低いことを可能にし、センサの活性エリアに付随する表面積を増加することによりセンサの感度を増加させることができる。
いくつかの実施形態では、電極(複数可)は、Zhaoら(59〜73頁 SPIE Vol 5219 Nanotubes and Nanowires)に記載されるような視射角蒸着を採用できる傾斜回転蒸着アプローチを用いて製作してよいか、又はその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,046,097号に記載されるPVD法を用いて製作してよい。
図26は、ナノニードル配列決定反応の1回の運転からのデータを示し、ここで、運転データは拡大して、塩基組み込みの直線プロットに対して示す。組み込まれるべきでないdNTPは、以前のデータとほとんどオーバーラップするように示され、複数の組み込み塩基データは、かなり良好な直線性を有するように(R2=0.9974)示される。
代替の実施形態では、システム又は方法は、酵素反応のような単分子反応の速度論を検出する。いくつかの実施形態では、反応は、ハイブリダイゼーション反応であってよく、そのことにより、ハイブリダイゼーションプローブと付着したビーズ又は粒子は、センサの上方の場所に保持されることができ、ハイブリダイゼーション反応に起因する1又は複数のセンサの近傍の電荷の変化を測定できる。代替の実施形態では、ハイブリダイゼーションプローブをセンサ上又はセンサの近傍に付着させてよく、そのことにより、ハイブリダイゼーション反応の進行に起因する電荷の変化を測定できる。いくつかの実施形態では、電場を用いて、ハイブリダイゼーションプローブが付着する、ビーズ若しくは粒子上にあるか、又は前記センサ上若しくはセンサの近傍にあり得る容積へ試薬溶液からDNAを濃縮してよい。前記電場は、DC場、AC場又はそれらの組み合わせであってよい。
いくつかの実施形態では、アンプリコンへのdNTPの組み込み及び/又はより高い移動性を有するピロホスフェート及びヒドロニウムイオンの遊離に起因する導電性の変化又は存在する電荷の変化をモニタリングするための1又は複数のセンサを用いることにより、リアルタイムPCR反応をモニタリングする。代替の実施形態では、等温反応増幅標的DNAを、アンプリコンへのdNTPの組み込みに起因する導電性の生じた変化により検出する。他の実施形態では、センサは、サンドイッチアッセイが抗原を捕捉し、検出抗体にプローブDNAオリゴが付着し、そのことによりリアルタイムPCRアッセイが、以前に記載するような導電性又は電荷の変化の検出により、抗原の存在及び量を検出及び定量できるイムノPCR反応の進行をモニタリングする。別の実施形態では、等温反応は、対象の抗原を検出及び定量する。
いくつかの実施形態では、タンパク質検出は、反応の直接測定により、サンドイッチアッセイの測定により、又はアプタマーを用いる測定により、又はセンサと結合、付着若しくは付随し得る標的に付随する対イオンの変化若しくは電荷の変化のその他の適当な方法により実行してよい。
別の実施形態では、1若しくは複数のセンサと結合しているか又は該センサの近傍にある核酸アプタマーを用いて、標的の存在及び量を検出する。アプタマーは、標的と結合して電荷を変化させてよく、これは、以前に記載したように、前記センサにより検出できる。代替の実施形態では、アプタマーは、前記1又は複数のセンサ上に付着するか又は該センサの近傍に付着し、導電性の増加を、標的との結合の結果として検出する。
さらなる実施形態では、平滑末端ライゲーションを、リガンドの3’端と5’端とで異なる結合試薬を有するリガンドを用いて行ってよい。ナノニードルの電極を、結合のための相補的試薬とコンジュゲートさせてよく、例えば、リガンドの3’端はチオール基を有してよく、1つの電極は、金で製作されてよく、リガンドの5’端は、PNA配列を有してよく、第2電極は、前記PNA配列の相補体を有してよい。DNAの鎖を、次いで、ナノニードルのエリアに電気泳動により及び又は誘電泳動により濃縮してよく、ここで、前記DNA鎖は、1つの電極に付随している一方の端、及びナノニードルの第2電極に付随している他方の端と結合してよい。ポリメラーゼ及びプライマーは、DNA鎖と結合してよいか、又は後で導入されてよい。組み込み事象の測定は、次いで、DNAに付随する対イオンのかなり大きい導電性と組み合わせたDNAのインピーダンスの直接測定に起因してよい。
いくつかの実施形態では、ナノブリッジ又はナノニードルであり得るセンサデバイスは、デジタル出力データを生じる。前記デジタル出力は、なかでもUSB2、USB3、Firewire、Gige、シングルリンク若しくはデュアルリンクDVI、HDMI(登録商標)、S/PIF、ADATライトパイプ、AES3、MADI−X、I2S、AC’97、MC’97、McASP、S−Video、ATM、SONET、SDH、UTP、STP、AUI、HDLC、802.1、ARP、VLAN、HDLC、ATM、Frame Relay、Q in Q、PPP、BSC、DDCMP、Banyan、CDMA2000、DECnet、CDPD、FUNI、CDMA、X.25、GPRS、GR−303、H.323、NFS、ISDNSS7、TCIP、UMTS、WAP、XNS、MDLP、Infinibandを含む、いくつかの出力物理/データリンク/プロトコールフォーマットのいずれを含んでもよい。
前記出力は、MPEG1、MPEG2、MPEG4、DVA、AVI、MOV、MPG、Video CD、RM、WMA、WMV、WAV、FLC、FLI、BMP、PCX、TGA、TIF、JPG、PCT、GIF、Flash、QuickTime、MP3又はそれらのシーケンスのような圧縮フォーマットであってよい。
前記センサデバイスは、1つより多いデジタルI/O接続を有するように構成され、1つより多い出力フォーマットを有してよい。例えば、1つのデジタル接続を用いて前記センサの作動を制御してよく、1又は複数のデジタル接続は、センサが一部分である装置の一部であり得るさらなるデバイスまでセンサからデータを送る。前記さらなるデバイスは、データ保存デバイスであってよいか、又は計算デバイスであってよい。前記さらなるデバイスは、GPU、又はGPUアレイのようなGPUのセットであってよい。
前記データは、前記センサからハードディスクまで直接、前記センサから固体ドライブまで直接、又は前記センサからGPUまで直接、又は前記センサからGPUクラスタ、GPUブレード若しくはGPUサーバ、CPU又はGPU若しくはCPUに付随するメモリまで直接転送してよい。いくつかの実施形態では、装置又はシステムは、1より多いセンサを有してよい。このような装置又はシステムでは、データを1より多いセンサから蓄積し、そこからハードディスク、固体ドライブ、GPU、GPUブレード、GPUサーバ、GPUクラスタ、CPU又はGPU若しくはCPUに付随するメモリまで直接送ってよい。
いくつかの実施形態では、単一センサは、1より多いデジタル出力を有してよい。他の実施形態では、デジタル出力を、固体ドライブ又はGPU若しくはCPUに付随するメモリのようなシステムの別の部分に直接接続されるように構成してよく、ここで、システムの2以上の部分は、MCM(マルチチップモジュール)又はSIP(システムインパッケージ)の一部であってよい。前記MCMは、ラミネートMCM、蒸着MCM、セラミック基体MCM又はチップ積層MCMであってよい。センサはMCMの一部であってよいか、又は前記MCMとは別であってよい。前記センサを、前記センサを除去して第2センサを利用できるように構成してよい。前記センサは、ソケットを用いて相互連結してよい。前記ソケットは、PGA(ピングリッドアレイ)用のゼロ挿入力ソケット、LGA(ラングリッドアレイ(Lan Grid Array))ソケット又はスロットケット(slotket)であってよい。
データは、CAM(コンテントアドレッサブルメモリ)又は3元CAMのようなDNAマッピングにおける選択可能な数のエラーを許容するCAMメモリにおけるデータと比較してよい。前記CAMメモリは、TLB(変換索引バッファ)のものと同様の様式で多重レベルを有してよく、ここで、前記CAM又はTLBのうちの1つのレベルは、前記CAM又はTLBの別のレベルより速くかつ小さくてよい。
ナノニードル又はナノブリッジのいずれかの感度を改善するために、局所増幅器を用いてよい。増幅器は、BJT又はFETのいずれかであってよい。センサは、狭い構造体として製作してよく、両側がpH、導電性又は局所電荷の変化にアクセスできるように該構造体の下にエッチングされることができる。デバイスの表面は粗くてよく、試料分子の結合のためにより大きい表面積を可能にする。イオンの電気的閉じ込めは、以下にさらに記載するようにして実行してよい。
本発明のいくつかの実施形態では、画像センサアレイは、CMOS活性ピクセルイメージアレイにおけるものと同様の増幅器の設計を用いてよい。これらは、必要なシグナル対ノイズ、及び積分回路を用いるならばグローバルシャッタ等価物が必要であるかどうかに応じて3つのトランジスタ、4つのトランジスタ、5つのトランジスタ又は6つのトランジスタ回路を含んでよい。前記増幅器構造は、前記画像センサアレイと1対1の対応で配置してよく、多重センサ用の一般的な増幅器を利用して他で可能であるよりも著しくよいシグナル対ノイズをもたらす可能性がある。
一体型システム
本発明は、所望の反応又は結合が生じ得る容積に試料及び試薬を局在化させるための方法及びシステムをさらに提供する。本発明のこの態様は、ゲノム全体の増幅の必要性を除くか又は低減させ、よって、必要なカバー範囲を低減する。
いくつかの実施形態では、DNAシーケンサは、ワークフローのより多くの部分が自動化されているより大きいシステムの一部であってよい。自動化され得るワークフローのこれらの部分は、細胞溶解、DNA精製、DNA増幅、DNAライブラリー調製、コロニー作製、配列決定、1次分析及び塩基召集、参照に対する配列のマッピング、並びに遺伝子疾患又はその他の遺伝学的特徴が存在するかの決定を含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、フローサイトメータ又は所望の若しくは所望でない細胞の親和性の引き出しを利用する、血液からの癌細胞のような細胞を選別するための手段を含む、さらなる機能性を有してよい。
複数の試料を単一チップにおいて処理することが望ましいことがある。なぜなら、多くのプロジェクトは、チップの収容力の全体を要求しないからである。その他のプロジェクトは、チップの収容力を超える単一試料を有することがある。いくつかの実施形態では、個別のチューブ、一連のチューブ、96ウェルプレート、384ウェルプレートなどの中の1又は複数の試料を装置に導入できる。いくつかの実施形態では、装置での寿命を延長するために、試料ウェルを密閉できる。他の実施形態では、プレートを冷却して試料寿命を増加させてよい。他の実施形態では、ロボットピペッターによりソフトウェアにより選択可能な様式で試料にアクセスできる。
増幅の前に、単クローンビーズを創出するために、単一DNA断片をビーズに搭載する必要がある。典型的に、DNA濃度を決定し、次いで、平均1断片未満がそれぞれのビーズと結合するように希釈された形でビーズに導入する。多くのビーズはゼロのDNA断片を有し、単一断片を有するものはほとんどなく、少数が2以上の断片を有する。定量のために必要な工程は、別の装置及び別の処理を頻繁に要求する。
一実施形態では、ハイブリダイゼーションに基づく引出しにより標的濃度を創出する。引き出しビーズのような固体支持体は、制御された数の結合部位を用いて機能化してよい。いくつかの実施形態では、これらは、DNAプライマー相補体である。未増幅試料は、それぞれの端にライゲーションされた既知のプライマーを有することがある。いくつかの実施形態では、プライマーは、引き出しビーズ上のDNAとハイブリダイズできる。ハイブリダイゼーション部位が完全に占められた後に、残存DNAを洗い流し、ビーズと結合したDNAを、その後、変性させて、既知の量のDNAを遊離させてよい。
別の実施形態では、それぞれのDNA断片にライゲーションしたプライマーは、プライマー相補体と結合し、インターカレート色素の蛍光検出を用いて検出される。プライマーの長さは既知であるので、シグナルレベルは、断片の数に比例する。別の実施形態では、ポリメラーゼ及び付随するdNTPを導入して、完全長2本鎖DNAを創出できる。プライマーシグナルからの情報と組み合わせる場合に、全長インターカレート色素シグナルレベルは、よって、平均断片長の決定を可能にする。
別の実施形態では、誘電泳動を用いてDNAを濃縮する。濃縮中又は濃縮後に、電流を測定してDNA濃度を決定する。別の実施形態では、濃縮したDNAを、上記のようにインターカレート色素の使用により定量する。別の実施形態では、DNAの濃度を、吸光度により直接決定する。吸光度の決定は、例えば、260nmの光を生じる光源を用いてよい。
一実施形態では、試料を非常に希釈し、かつ/又は小容積の試料試薬を作製し、ビーズに搭載する。DNAは、いくつかのビーズと結合し、次いで、仮想リアクタ中で増幅されて、DNAを有するビーズを創出する。配列決定プライマーは、試料DNAにライゲーションされた相補体よりも短くてよい。配列は既知であるので、正しいdNTPを加えて検出できる。一実施形態では、複数のdNPTを同時に加える。例えば、全てのdNTPを加えるならば、ポリメラーゼは、断片の端まで伸長して、大きいシグナルを生じる。前記大きいシグナルは、増幅プロセスの一部として生じることができる。このことにより、ビーズが最小限の増幅を有していたとしても、DNAを有するビーズの数を検出して計数することが可能になり得る。いくつのビーズがシグナルを有するかを知ることにより、理想的な数の単クローンビーズを生じるために適正な希釈を算出することが可能になる。
同様に、電流、光学的シグナル又は試料中のDNAの濃度を示すその他のシグナルを用いて行われた測定を用いて、システムにおいてDNAを最適に利用するために必要であれば希釈レベルを決定してよい。
いくつかの実施形態では、希釈は、コロニーを適性に作製するために必要である。同様に、希釈は、細孔の目詰まりを防ぎ、逆に、DNA鎖が細孔を占めるデューティサイクルを最適化するためにナノ細孔システムについて必要になることがある。希釈は、エマルジョンPCRシステム、ブリッジPCRシステム、ナノ細孔配列決定システム又は単分子光学システムの一部として実行してよい。
他の実施形態では、濃縮は、システムの一部として実行してよく、誘電泳動、ハイブリダイゼーション、エタノール沈殿又は他の方法で実行してよく、DNAの濃度を増加させて、エマルジョンPCRシステム、ブリッジPCRシステム、ナノ細孔配列決定システム又は単分子光学システムを改善するために用いてよい。
1次システムは、決定を行うためのソフトウェア又はハードウェアを用いて鋳型DNAの濃度を決定してよく、次いで、必要に応じて濃縮又は希釈のいずれかを行った後に、増幅又は配列決定であり得る前記システムにおける次の適当な工程において前記鋳型DNAを利用してよい。前記決定工程は、以前の較正工程を利用してもよく、これは、既知の濃度のDNAを含む標準物質を用いてよいか、又は初期は未知の濃度のDNA(濃度は別のシステムにより決定する)を用いてよい。決定された濃度を、前記1次システムに入力、転送、又は通信してよい。前記1次システムは、較正のために必要な任意の値を1次システムに局所的に保存してよいか、或いはより大きいシステムの一部又は別のコンピュータ又はデータベースに保存してよい。前記較正情報は、較正の時間、オペレータ、較正のために利用した試料若しくは標準物質、又は適当であると決定され得るその他の情報のようなさらなる情報も含んでよい。
多くの現在のシステムは、プロトコールのために十分なDNAを得るためにゲノム全体の増幅を用いる。典型的な増幅法は、縮合プライマー及びPCR、ランダムヘキサマー及び等温増幅又はゲノムDNAの増幅のためのその他の方法を用いることがある。前記増幅は、ゲノムDNAを1000倍以上に増幅できる。この増幅は、偏りを導入でき、時間及び資源のさらなるコストである。試料を増幅する必要性を低減又は除くことができることが望ましい。一実施形態では、搭載されるビーズを密に詰まった床に封入し、該床を横切るように試料をポンピングする。試料を、ビーズ床を複数回通るようにポンピングして、試料が結合するためのさらなる機会を与えることができる。容積に対する高い表面積により、最小限の試料を用いることができる。ビーズをその後フローセルに移し、そのことにより、ビーズは磁性アレイによりその場所に保持され、局所コロニーをビーズ上にPCR又は等温増幅により創出できる。
別の実施形態では、試料は、エマルジョンフリーナノリアクタの現存する電極を用いて増幅領域において濃縮される。一実施形態では、電極は、単一平面状で確立され得る。別の実施形態では、電極は、仮想リアクタの平面と平行な第2平面に加えてよい。他の実施形態では、AC及びDC電圧入力の混合が予想される。
他の実施形態では、ゲノム全体の増幅又はエキソーム、ゲノムの保存領域、がんパネル若しくは対象のその他の標的を標的にする増幅のような標的増幅を、一体型システム内のサブシステムの一部として実行してよい。前記標的増幅は、増幅プロセスの一部として異なる試料のためのバーコードも組み込んでよい。増幅されたDNAは、次いで、本明細書で説明するようにしてその濃度を決定した後に、一体型システムの一部であり得るクローン配列決定サブシステム及び方法を用いて、後続の配列決定のためのクローン増幅を受ける。あるいは又はさらに、DNAは、前記一体型システムの一部であり得る単分子配列決定サブシステム及び方法を用いて直接配列決定される。
多くのプロジェクトは、配列決定チップ又はフローセルを完全に使用することを要求しないので、多重の試料を、単一チップ又はフローセルの異なる部分又はエリアに搭載することが望ましいことがある。一実施形態では、チップ又はフローセルアセンブリに一体化されたバルブを用いて、チップ又はフローセル上の壁により分けられた別々の区域に試料を向ける。このようなバルブは、流体路に一体化されたPDMSバルブであってよい。別の実施形態では、別々の入力及び出力を有する別々の区域があってよい。別の実施形態では、局所電場を用いて、チップ又はフローセル上の別々の区域に試料を向けてよい。正の場を印加してDNAを所望の領域に誘引し、負の場を印加して、所望しない領域からDNAを反発させる。別の実施形態では、電磁石を用いて別々の区域に試料を向けて、磁性又は常磁性ビーズの位置決めを制御してよい。別の実施形態では、セルフシールポートを用いて試料を個別のレーンに送達してよい。セルフシールポートは、ゴムの隔壁及び針を含むことができる。
別の実施形態では、試料は、異なる時点にて注入でき、新しいビーズ及びビーズの場所は、前記センサについて以前に決定したものに対してセンサシグナルを用いて区別でき、ここで、ビーズの場所は、以前は空である。
さらなる実施形態では、エレクトロウェッティング又はオプトエレクトロウェッティングを用いて、チップ又はフローセルの区別された別の領域に試料を送達する。
いくつかの実施形態では、試薬用の容器を必要であれば冷却してよく、例えば試料、ポリメラーゼ、ホスファターゼ又はその他の酵素を含有する試薬は、例えば摂氏約4度まで冷却することが必要なことがある。
いくつかの実施形態では、試薬容器からバルブマニホールドまで導くラインに含有される試薬の量は、配列決定反応を行うために必要であるものに比べて著しい容積を含有してよい。例えば新しい配列決定運転の開始時にこの試薬を廃棄する必要性を妨げるために、試薬容器と界面を接するところから、バルブマニホールドに侵入するところまで又はその付近までラインを冷却することが望ましいことがある。配列決定又は別の反応が生じるフローセルに試薬が侵入するところから、フローセル及びバルブマニホールドが異なる温度、例えばそれぞれ摂氏約4度及び摂氏20〜40度にて作動することを可能にするように十分にバルブマニホールドが分かれているいくつかの実施形態では、バルブマニホールドも冷却することが望ましいことがある。
いくつかの実施形態では、1より多い配列決定の方法ができるシステムを用いることが望ましいことがあり、ここで、配列決定のための1つの方法、プロセス又はサブシステムは、1つの型の情報を提供し、第2の方法、プロセス又はサブシステム配列決定は、第2の型の情報を提供してよい。例えば、いくつかの実施形態では、情報の型がDNA試料の構造を明らかにする1つの方法を提供することが望ましいことがあり、そのことにより、単純反復配列、短いタンデム反復、マイクロサテライト、ミニサテライト、様々な数のタンデムリピート、散在反復、例えばLINE反復、SINE反復、例えばAlu反復、直列反復若しくは逆方向反復又はゲノム若しくはDNAのその他の所望の1若しくは複数の配列の適正で完全な集合を妨げ得る他の型の反復配列のような反復配列の長さにわたって延びる配列読み取りが可能になる。いくつかの実施形態では、高い正確性で配列を決定する必要がない、例えばDNAの構造を明らかにできる配列決定のための方法、プロセス又はサブシステムを用いることが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、例えばメイトペア配列決定又はストロボ配列決定によりいくつかのシステムにおいて行われることと同様に、多くの塩基で隔てられた読み取りの関連を有することが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、例えば単一ヌクレオチド多型を検出するために非常に高い正確性を有するが、読み取りの長い配列決定長さが必要でない配列決定読み取りを提供する、配列決定のための方法、プロセス又はサブシステムを用いることが望ましい。いくつかの実施形態では、例えばトランスクリプトーム全体の分析のために必要であるような、低い正確性で多くの短い読み取りを提供する能力を提供する、配列決定のための方法、プロセス又はサブシステムを用いることがさらに望ましいことがある。
いくつかの実施形態では、単一試料について異なる方法を用いて、例えば、単一ヌクレオチド多型と単一試料からの構造再編成との両方を検出できるようにすることが望ましい。いくつかの実施形態では、単一システム内で、精製核酸を2つ以上の分割量に分けることが望ましく、これらは次いで、増幅を含み得る異なる対応するライブラリー調製方法、サブシステム又はプロセスを有し、異なる所望の配列決定方法、サブシステム又はプロセスのために適当な異なる増幅方法、サブシステム及びプロセスを利用してよい。異なる分割量のサイズ、濃度又は容積は、同様、同じ又は異なってよく、異なる所望の配列決定の結果をもたらすために利用できる異なる配列決定及び/又はライブラリー調製方法(複数可)、サブシステム(複数可)又はプロセス(複数可)について適当なように異なってよい。いくつかの実施形態では、異なる分割量について方法は異なっていてよいが、用いるサブシステムは同じであり、かつ又は異なる方法について用いるサブシステムは、同じサブシステムであってよく、ここで、第1のある方法を用い、次いで、第2以降の後続の方法(複数可)を、同じサブシステムを用いて行ってよい。例えば、異なる配列決定方法について異なる断片長さを用いることが望ましいことがあり、ここで、例えば長い断片は、配列構造を決定するために望ましいことがあり、(より)短い断片は、単一ヌクレオチド多型の決定のために望ましいことがある。よって、試料の異なる分割量を異なる平均断片長さに断片化することが望ましいことがあり、ここで、ある分割量の平均断片長さは別の分割量よりもより長いことがあり、著しくより長い可能性がある。いくつかの実施形態では、断片化の方法は、同じであってよく、例えば音波発生装置を用いてよいが、音波発生装置が前記分割量に対してエネルギーを印加する時間及び/又は音波発生装置が前記分割量に対して印加する力のレベルは異なっていてよく、そのことにより、2以上の分割量における試料の断片化のレベルが異なることがあり、実質的に異なる可能性があり、得られる断片の長さが異なることがあり、著しく異なる可能性がある。他の実施形態では、単一システムを用いて、長い断片と短い断片とを作製することが望ましいことがある。さらなる実施形態では、長い断片にとって適当なサイズにDNAを断片化し、分割量を除去し、残存DNAを、前記短い断片のために適当なサイズにさらに断片化することが望ましいことがある。
他の実施形態では、核酸試料のある分割量は、単一ヌクレオチド多型を決定するためのゲノムDNAであってよく、第2分割量は、トランスクリプトームが所望されるRNAであってよい。増幅方法、サブシステム又はプロセスは、ゲノムDNAとRNAとについて異なることがあり、ここで、RNAからcDNAへの変換を行ってよく、増幅プロトコールは、異なる分割量について異なってよい。なぜなら、単一ヌクレオチド多型のための増幅のために必要な正確性は、RNAからcDNAへの変換及び前記cDNAの後続の増幅のために必要な正確性よりかなり高いからである。いくつかの実施形態では、トランスクリプトーム分析のためのcDNAの増幅のために、単一ヌクレオチド多型分析のためのゲノムDNAの増幅のためよりも低い濃度及び/又はより安価な試薬を用いることが望ましいことがある。さらなる実施形態では、トランスクリプトーム分析のためのcDNAの増幅のために、単一ヌクレオチド多型分析のためのゲノムDNAの増幅のためよりも短いサイクル時間を用いることが望ましいことがあり、このことは、答えるための時間を速くして、前記ゲノムDNA単一ヌクレオチド多型分析により後で用いることができる同じ配列決定サブシステムを用いてトランスクリプトーム分析を始めることを可能にする。異なる配列決定方法、サブシステム又はプロセスを用いる後続の分析のための核酸材料の分離の任意のその他の組み合わせも構想できる。
いくつかの実施形態では、異なる型の配列決定検出方法、サブシステム又はプロセスを用いる。例えば、あるサブシステムは、Churchらにより米国特許第5,795,782号において、Haneckらにより米国特許第8,137,569号において、Korlachらにより米国特許第7,361,466号において、及びClarkらにより米国特許出願第2011/0177498号(これらはそれぞれ、本明細書に参照によりその全体が組み込まれている)に記載されるような単分子配列決定を用いてよく、これは、低い正確性を有することがあり、非常に長い配列読み取りを有することがあるが、別のサブシステムは、McKernanらにより米国特許出願第2009/0181385号において、Balasubramanianにより米国特許第6,833,246号において、Nyrenらにより米国特許第6,210891号において、Bridgehamらにより米国特許第7,282,370号において、Williamsらにより米国特許第7,645,596号において、Rothbergらにより米国特許第7,948,015号において、Toumazouらにより米国特許第8,114,591号において、及びMiyaharaらにより米国特許第7,888,013号(これらはそれぞれ、本明細書に参照によりその全体が組み込まれている)に記載されるような合成による配列決定の光学的又は電気化学的検出を用いることがある。よって、いくつかの実施形態では、単一のシステムは、少なくとも2つの異なる検出サブシステムを有してよく、ここで、前記2つの異なる検出サブシステムは、異なる配列決定方法、配列決定検出方法又は配列決定プロセスを用いてよく、前記異なる配列決定方法、配列決定検出方法又は配列決定プロセスは、同じ試料若しくは異なる試料について同じ時間に行ってよいか、又は同じ試料若しくは異なる試料について異なる時間に行ってよい。
例示的な一体型システムを、添付の図面に示す。
図1Aは、完全配列決定システム100を描き、これは、外部計算デバイス102及び一体型システム104を含んでよい。一体型システムは、棚モジュール110を含んでよく、これは、流体インタフェースサブシステム116、配列決定/試料調製カードのセット112及びそれぞれの配列決定/試料調製カード112上に個別配列決定サブシステム114をさらに含んでよい。配列決定/試料調製120の概略は、ライブラリー調製122、再利用可能磁性アレイ124を含み、再利用可能磁性アレイ124は、配列決定データ128をもたらす配列検出器126をさらに含んでよい。
図1Bは、完全ライブラリー調製サブシステム130を描き、これは、試料細胞入力131、未断片化ゲノムDNA133をもたらす細胞溶解及びタンパク質除去132を含み、未断片化ゲノムDNA133は、断片化及び分離サブシステム134への入力であり得、該サブシステム134は、次いで、断片化ゲノムDNA136を出力でき、断片化ゲノムDNA136は、ビーズのセット135とともに仮想ウェルアレイ137まで増幅のために輸送され、次いで、ビーズ富化モジュール139中で場138を用いて、増幅していないビーズのセットから、増幅したビーズのセットへ前記ビーズを分離してよい。
図1Cは、入力未断片化ゲノムDNA及び断片化ビーズ142(これは、前記未断片化ゲノムDNAを断片化できる断片化サブシステム144への入力である)を含むゲノムDNA断片化及び分離システム140を概略的に説明する。断片化DNAは、ポンプ又は電極147からのポンピング又は電気泳動力を用いてチャネル146においてサイズにより分離でき、次いで、前記分離チャネル146からの出力に、流体出力148を介して移動させて、前記断片化DNA149を出力してよい。
図1Dは、溶解区分152、タンパク質除去区分154及び増幅区分156を含む、PDMSライブラリー調製モジュール150の実施形態を示す。
様々な実施形態を上で記載したが、これらは、例によってのみ示され、限定しないことが理解されるべきである。記載される方法及び/又は概略がある特定の事象及び/又はフローパターン及び/又は化学反応がある特定の順序で生じることを示す場合、ある特定の事象及び/又はフローパターン及び/又は化学反応の順序は、改変できる。実施形態を具体的に示して記載したが、形及び又は詳細を様々に変化させることができると理解される。
様々な実施形態を、具体的な特徴及び/又は構成成分の組み合わせを有するように記載したが、上で論じた任意の特徴及び/又は構成成分の組み合わせを有する他の実施形態が可能であり得る。