第1の発明は、冷蔵庫内で冷凍室の背面側に設けられ冷気を生成する冷却器と、前記冷却器の下方に配置した除霜ヒータと、前記冷却器を覆い、且つ、前記冷凍室を冷却した冷気が前記冷却器へ戻るための冷気戻り口を有する冷却器カバーを備えたものであって、前記冷却器カバーは庫内側の冷却器前側カバーと冷却器側の冷却器後側カバーで構成し、前記冷却器前方には前記冷却器前側カバーと前記冷却器後側カバーによる伝熱抑制空間を備え、前記冷気戻り口に除霜暖気ガイド部材を設けたもので、前記伝熱抑制空間と、前記冷却器を収納する冷却室とを連通する暖気回収穴を備え、前記暖気回収穴の面積は、前記伝
熱抑制空間の基本断面面積よりも小さくするものである。
これによって、冷気戻り口に除霜暖気ガイド部材を設けたことで、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱による対流は冷却器に行きやすくなり、冷却器に付着した霜を効率的に融解できるため、除霜ヒータの通電時間の減少が図れ、電気入力の低減による省エネとなる。この時、除霜時間の短縮により、非冷却運転時間短縮での温度上昇抑制や、除霜ヒータ自身の発熱による温度上昇抑制で、除霜時間後の冷却負荷量が減少するため除霜時間後の庫内冷却に要する圧縮機の運転回転数低減や運転時間短縮での省エネ効果も得ることが出来る。
さらに、除霜暖気ガイド部材によって、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱による対流が冷却器に行きやすくなるということは熱の庫内流入を抑制する効果もあるため、庫内の温度上昇を抑える働きもある。庫内に保存されている冷凍食品は、除霜時の暖気の庫内流入による霜焼けや熱の変動による影響で劣化していくが、除霜暖気ガイド部材による効果で長期間保存した場合でも食品の劣化を抑えることが出来る。
また、冷却器前側カバーと冷却器後側カバーで構成された伝熱抑制空間によって、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱による冷却器周囲の温度上昇に対しても、庫内への熱伝導を抑制することが出来るため、庫内の特に冷却器側に保存されている奥の食品への温度影響を低減できるため、食品の劣化を抑え長期保存を可能とする。
また、湿度の高い日本の生活環境では、ドア開閉時に高湿度の湿気が庫内に侵入し、冷却器からの伝熱で庫内の中でも特に温度が低くなる冷却器前面の冷却器カバーに霜として
付着し易い。そのため冷却器の性能の一つである除湿性能が十分発揮されないばかりか、冷却器カバーへの霜の付着を防止するため補助ヒータを必要とする場合があるが、伝熱抑制空間を設けたことによって、低温である冷却器からの熱影響を抑制し冷却器カバー表面の温度と庫内との温度差を小さくすることができるため、ドア開閉した場合や庫内に投入する際に食品に付着していた水分の昇華での湿気流入でも霜の付着を抑制できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記伝熱抑制空間の内部に断熱部材を配設したものである。
これにより、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱によって冷却器周囲は温度上昇するが、温度上昇した冷却器周囲から庫内への熱伝導を大幅に抑制することが出来る。よって、庫内の特に冷却器側に保存されている食品への温度影響を無くすことができるため食品の劣化を抑え、更なる長期保存が可能となる。
また、除霜時において、温度上昇した冷却器周囲から庫内への熱伝導を抑制できることは、除霜ヒータからの輻射熱を冷却室内に滞留させているということであり、冷却器自体の温度を効率的に上昇させることが出来、除霜時間の短縮や非冷却運転時間短縮での温度上昇抑制に伴い、更なる省エネを実現できる。
また、伝熱抑制空間の内部に断熱部材を配設し冷却器からの温度影響を低減するため、庫内には局部的に温度が低温となる箇所がなくなり、ドア開閉時等で庫内に侵入した水分による霜の付着を防止できるため製品の品質向上となる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記除霜暖気ガイド部材上端が冷却器下端よりも高い位置に配置したものである。
これにより、戻り冷気の冷却器に対する熱交換面積を大きく取ることができると共に、戻り冷気の通風抵抗を下げることで循環風量も増加でき、冷却器での熱交換量が増えて蒸発温度が上昇し、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
また、冷却器の熱交換量の向上と循環風量の増加によって、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器への着霜量も減らすことができる。これによって、冷却器の除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、風路の改善により冷却器の熱交換面積を大きく取れることは、冷却器に着霜させる面積を大きくすることであるため、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記除霜暖気ガイド部材を冷却器前側カバーと一体で構成したものである。
これにより、除霜暖気ガイド部材を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記除霜暖気ガイド部材を冷
却器後側カバーと一体で構成したものである。
これによって、除霜暖気ガイド部材を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、冷却器後側カバーでの構成にすることで金型の抜き勾配を含め形状の簡素化が可能となるため、更なる金型費の低減に繋がる。また、除霜暖気ガイド部材と冷却器後側カバーの2部品の管理から1部品の管理となるため、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、前記冷気戻り口は、冷却器側に風向ガイド部が設けられ、前記風向ガイド部は戻り口の入口に対し上方向に傾きを持つものである。
これによって、庫内側から見ると除霜ヒータに対して各風向ガイド部が重なるように見えるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にも除霜ヒータの赤熱は見えない。また、除霜時に除霜ヒータからの輻射熱の庫内流入を抑制する効果もあり、庫内の温度上昇を抑える。このとき、各風向ガイド部によって除霜時の輻射熱による暖気は冷却器側に流れるため、除霜効率の向上も図れ、除霜時間短縮による省エネ効果も図れる。
また、風向ガイド部と除霜暖気ガイド部材の傾きが上方向であるため、戻り冷気の吸込み風路の通風抵抗を下げることに加えて、流れの均一化も出来、冷却効率の向上で更なる省エネも図れる。
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、前記冷却器カバーの前記除霜ヒータ側と前記除霜ヒータ外郭の最短距離を60mm以上としたものである。
これによって、除霜時の除霜ヒータからの輻射熱によって、冷気戻り口を構成する冷却器カバー自体の温度上昇を抑制することが出来るため、着霜時など過度に除霜時間が延びた場合でも輻射熱による温度影響での変形等が発生することはない。また、最短距離を60mm以上としているため、除霜時のヒータからの暖気は冷却器側に流れ、庫内への流入を抑制しやすくする効果がある。
第8の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、前記除霜ヒータの中心は前記冷凍室底基本面よりも上に位置するものである。
これによって、冷凍室底基本面と一体となったドレンパンの形状を、略水平とすることが出来、除霜ヒータを設置するための無効空間を減少させることが可能となるため内容積の増加を図ることが出来る。また、ドレンパンの深さを浅く出来ることは、構成する部品を成型する際の金型費用を抑えることが出来るため、コストダウンにも繋がる。
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、前記冷却器後側カバーの前記冷却器側には、金属製の伝熱促進部材を備えたものである。
これによって、除霜時における除霜ヒータの輻射熱を冷却器の上部まで伝えることが出来るため、更なる除霜時間の短縮を図ることが出来る。また、伝熱促進部材が金属製であるため熱伝導率が高く、除霜ヒータからの熱を均一に伝えることが出来る。故に、冷却器に熱が均一に伝わるため、除霜効率の向上だけでなく霜残りの心配もない。
第10の発明は、第6から第9のいずれかの発明において、前記風向ガイド部と前記除霜暖気ガイド部材を連結させたものである。
これによって、除霜暖気ガイド部材と同方向の上向きに構成された風向ガイド部が一体となって連結風向ガイドを形成するため、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱による対流が更に冷却器に行きやすくなり、冷却器に付着した霜を効率的に融解できるため、除霜ヒータの通電時間の減少が図れ、電気入力の低減による省エネとなる。
また、除霜時に除霜ヒータからの輻射熱の庫内流入を抑制する効果も大きくなり、庫内の温度上昇を更に抑える働きがある。
また、第1の発明は、前記伝熱抑制空間と、前記冷却器を収納する冷却室とを連通する暖気回収穴を備えたものである。
これによって、伝熱抑制空間を構成する冷却器前側カバーと冷却器後側カバーの空間入口部分は、基本寸法では3mm以下であり、除霜暖気ガイド部材の効果も合わせると、除霜時における除霜ヒータからの輻射熱による対流で伝熱抑制空間内に侵入することは無いが、部品自体の成型寸法バラツキや製品組み立て時の嵌合バラツキによって、伝熱抑制空間内に暖気が進入する場合がある。このとき、伝熱抑制空間内に進入した暖気や、除霜ヒータからの輻射熱によって伝熱抑制空間内に存在する暖気が膨張し空間体積以上となった場合に庫内側へ流入することを抑制することが出来る。また、輻射熱による空間内の過度の温度上昇も抑えることが出来る。よって、庫内の特に冷却器側に保存されている食品への温度影響を無くすことができるため食品の劣化を抑え、更なる長期保存が可能となる。
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明において、前記暖気回収穴は、前記冷却器の基本熱交換部よりも外側に配設したものである。
これによって、冷蔵庫の冷却運転時に、冷却器と熱交換した冷気が暖気回収穴を通じて伝熱抑制空間内に侵入し、再び庫内からの戻り冷気と合流することでのショートサーキットを防止し、冷却器の熱交換効率低下を防止することが出来る。
また、第1の発明は、前記暖気回収穴の面積は、前記伝熱抑制空間の基本断面面積よりも小さくするものである。
これによって、部品自体の成型寸法バラツキや製品組み立て時の勘合バラツキによって、除霜時に除霜ヒータからの輻射熱による対流で伝熱抑制空間内に侵入した暖気は、空間内の温度上昇で圧力が上昇し、体積の大きい冷却室側の圧力よりも高くなるが、圧力差によって伝熱抑制空間内の暖気の一部は暖気回収穴から冷却室側に流れることとなる。そのため、伝熱抑制空間内の暖気は庫内側に流れ出ることないため、庫内の温度上昇を抑制することが出来る。
第12の発明は、第1から第11のいずれかの発明において、前記暖気回収穴を複数備えたものである。
これによって、除霜時に伝熱抑制空間内に滞留する暖気は圧力 差によって複数個の暖気回収穴から冷却室側に流れることとなるため、特に幅の広い冷蔵庫でも伝熱抑制空間内の圧力を均衡に保ち、よどみ低減が図れ、庫内への暖気流入と温度上昇を抑制することが出来る。
第13の発明は、第1から第12のいずれかの発明において、前記伝熱抑制空間の内部に伝熱部材を配設したものである。
これによって、除霜時に伝熱抑制空間内に高湿度の暖気が滞留した場合でも、冷却運転時に冷却された伝熱部材によって除霜時の除湿が可能となり、暖気回収穴を通じて冷却室及び庫内への暖気の流入を抑制することが出来る。故に、部分的な霜残りや氷残りが発生することも無く、製品信頼性の品質が高い冷蔵庫を提供することが出来る。
第14の発明は、第1から第13のいずれかの発明において、前記暖気回収穴の上端は前記伝熱抑制空間側に下方傾斜させたものである。
これによって、除霜時の伝熱抑制空間内に滞留した暖気は、上端側に傾斜されたガイド形状によって冷却室側に導かれやすくなる。
第15の発明は、第1から第14のいずれかの発明において、前記暖気回収穴の下端は前記冷却室側に上方傾斜させたものである。
これによって、除霜時の伝熱抑制空間内に滞留した暖気は、下端側の傾斜されたガイド形状によって冷却室側に導かれやすくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成及び差異がない部分については、詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の縦断面図である。図3は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図である。図4は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図である。
図1から図4に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填された硬質ウレタンフォームからなる断熱本体で、この冷蔵庫本体101の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室102の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部は引き出し式の図示しない扉により開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
上段冷凍室103と下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30から−25℃の低温で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、冷蔵温度帯と呼ばれる。また、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度
で設定されるので、冷凍温度帯と呼ばれる。また、上段冷凍室103は切替室として、ダンパ機構等を用いることで、冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで選択可能な部屋としても良い。
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部108と第二の天面部109で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室119内に配設することも出来る。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレンが使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質ウレタンフォームを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、ドアフレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の内部をくりぬき、風路とすることで材料の低減にもつながりコストダウンが可能となる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
次に、本実施の形態での冷却器周囲の構成について説明する。
冷蔵庫本体101の背面には冷却室123が設けられ、冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111、112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。冷却室123の前面庫内側には、冷凍室を冷却した冷気が冷却器へ戻るための冷気戻り口135を備えた冷却器107を覆う冷却器カバー120が配置されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器カバー120は、庫内側の冷却器前側カバー137と冷却器側の冷却器後側カバー138で構成されており、冷却器107前方には冷却器前側カバー137と冷却器後側カバー138によって構成される伝熱抑制空間139を備えている。伝熱抑制空間139は、冷却器カバー120の下部に備えた冷気戻り口135の上端から、下段冷凍室105への吐出口下端までの間で構成している。伝熱抑制空間139の高さは、冷却器107の上端までとすると伝熱抑制の効果はあるが、庫内容量やケース寸法とのバランスによって位置を決めるのが良い。本実施の形態では、除霜時の暖気の流れを考慮して、概ね、冷却器107の除霜ヒータに近い下側3段目までの下段冷凍室105への吐出口下端までとしている。また、伝熱抑制空間139の内部は空気層としている。
また、冷却器後側カバー138の冷却器側には、金属製の伝熱促進部材140を配置し
ている。本実施の形態では、コストを考慮して除霜時の伝熱促進用としてはt=8μmのアルミ箔を、上下寸法は冷却器107の下端から上端まで、左右寸法は冷却器107のフィン間から+15mm程度までの大きめの寸法で貼り付けることで、除霜時の伝熱を促進し除霜効率向上での除霜時間短縮効果を得ている。なお、更なる効果を得るために、冷却器107の背面側の内箱125にアルミ箔を配置しても良い。更には、アルミ箔よりも厚みが大きいアルミプレート板や、アルミよりも熱伝導率の高い材料(例えば銅)で構成すると伝熱促進としての効果を更に発揮する。
また、冷却器カバー120の冷気戻り口135には、除霜暖気ガイド部材141を設けている。除霜暖気ガイド部材141は庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度を付けており、本実施の形態では概ね、45°としている。このとき、除霜暖気ガイド部材141の上端である、除霜暖気ガイド部上端143は冷却器下端144よりも高い位置に配置している。これによって、庫内を循環した戻り冷気は冷却器107に対して熱交換面積を大きく取ることができるため、冷却器107での熱交換量が増え、冷却器107の能力向上を図ることができる。
更に冷却器カバー120の下部に冷気戻り口135を備え、冷気戻り口135には風向ガイド部122が設けられている。この風向ガイド部122の間隔は、5mmであり、指の侵入防止や、金型及び冷却器カバー120の強度確保に配慮している。なお、風向ガイド部122も庫内側から冷却器側に向かって、除霜暖気ガイド部材141と同方向の上向きの角度を付けている。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102、製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下方には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜ヒータとしてガラス管製のガラス管ヒータ132が設けられている。ガラス管ヒータ132の上方には、ガラス管ヒータ132を覆うカバーヒータ133が配置され、除霜時に冷却器107から滴下した水滴が除霜によって高温になったガラス管表面に直接落ちることで、ジュージューといった音が発生しないようにガラス管径および幅と同等以上の寸法としている。
ガラス管ヒータ132の下方には、冷却器107に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面である第四の仕切り部113の上面と一体となったドレンパン134が配置されている。
また、冷気送風ファン116前には冷却器前側カバー137で構成されたディフューザー(図示しない)が配置されており、冷気送風ファン116からの静圧の高くなった風を、そのままロスすることなく庫内へ吐出される。
ここで、第四の仕切り部113の上面と一体となったドレンパン134には、冷凍室下面に庫内側に向かって突起部136があり、冷却器カバー120の下部を引っ掛けて固定している。突起部136は、冷気戻り口135の下端とガラス管ヒータ132の間に配置されているため、庫内への赤熱も見えなくするとともに、庫内側から見たときに突起部136は冷却器カバー120の冷気戻り口下端に隠れるため、見栄えも良く外観品位の向上に繋がる。
ここで、近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。これにより従来に比して冷媒充填量を低減でき、低コストであると共に、可燃性冷媒が
万が一に漏洩した場合の漏洩量が少なくなり安全性をより向上できる。
本実施の形態では、冷媒にイソブタンを用いており、防爆対応として除霜時のガラス管ヒータ132の外郭であるガラス管表面の最大温度を規制している。そのため、ガラス管表面の温度を低減させるため、ガラス管を2重に形成された2重ガラス管ヒータを採用している。このほか、ガラス管表面の温度を低減させる手段としては、ガラス管表面に放熱性の高い部材(例えばアルミフィン)を巻きつけることも出来る。このとき、ガラス管を1重とすることで、ガラス管ヒータ132の外形寸法を小さく出来る。
除霜時の効率を向上させる手段としては、ガラス管ヒータ132に加えて、冷却器107に密着したパイプヒータを併用しても良い。この場合、パイプヒータからの直接の伝熱によって冷却器107の除霜は効率的に行われると共に、冷却器107の周囲のドレンパン134や冷気送風ファン116に付着した霜をガラス管ヒータ132で溶かすことが出来るため、除霜時間の短縮が図れ、省エネや除霜時間における庫内温度の上昇を抑制することが出来る。
なお、ガラス管ヒータ132とパイプヒータを組み合わせた場合、お互いのヒータ容量を適正化することで、ガラス管ヒータ132の容量を低くすることが可能となる。ヒータ容量を低くすると除霜時のガラス管ヒータ132の外郭の温度も低くすることが出来るため、除霜時の赤熱も抑制できる。
次に、冷蔵庫の冷却について説明する。例えば冷凍室が外気からの侵入熱およびドア開閉などにより、庫内温度が上昇して冷凍室センサ(図示せず)が起動温度以上になった場合に、圧縮機117が起動し冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特に外箱124に設置される放熱パイプ(図示せず)において、外箱124の外側の空気や庫内の硬質ウレタンフォーム126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内冷気と熱交換する。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱され、ガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に、冷蔵庫の除霜時について説明する。
冷蔵庫を冷却運転すると、時間経過と共に、ドア開閉時に侵入した空気中の水分や、庫内に投入された食品に付着している水分、さらに野菜室106に保存されている野菜からの水分等で冷却器107には、霜が付着する。この霜が成長を遂げると冷却器107と循環冷気との間で熱交換効率が低下し庫内を十分に冷却できず、最終的に鈍冷や不冷状態となる。よって、冷蔵庫では、冷却器に付着した霜を定期的に除霜する必要がある。
本実施の冷蔵庫でも、冷蔵庫を運転し、一定時間経過後に自動的に除霜を行っている。除霜時には、圧縮機117、冷気送風ファン116の運転を停止し、除霜ヒータであるガラス管ヒータ132を通電する。冷却器107は、冷却器107の内部に滞留している冷媒や冷却器107に付着した霜の融解によって、概ね、−30℃から0℃への顕熱変化、
0℃での潜熱変化、0℃からの顕熱変化を介し、昇温していく。ここで、冷却器に107は、除霜センサー(図示せず)が取り付けられており、所定の温度になるとガラス管ヒータ132の通電を停止するようにしている。本実施の形態では、除霜センサーが10℃を検知した時点でガラス管ヒータ132の通電を停止するようにしている。
このとき、ガラス管ヒータ132の通電によって、ガラス管表面が高温となり、輻射熱によって冷却器107や冷却器周囲の冷却器107の周囲のドレンパン134や冷気送風ファン116に付着した霜を溶かすことで、冷却器107をリフレッシュしている。
なお、例えば外気温5℃程度や以下の低外気では、冷却器107の霜が十分に除霜されていても、外気の影響で除霜時に除霜センサー(図示せず)の温度が十分に昇温しにくく、除霜時間が長くなる傾向にある。この場合には、0℃以上の顕熱変化の状態をみて、一定時間以上経過していれば除霜を終了する制御を組み合わせることも出来る。これによって、十分に除霜されているにもかかわらず、低外気での冷却器107の昇温不足で除霜時間が長くなってしまい、不必要なヒータ入力や庫内への輻射熱での昇温、更には、除霜時の冷却停止による昇温を抑制することが出来る。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
本実施の形態のように、野菜室106が下方に設置され、真ん中に下段冷凍室105が設置され、冷蔵室102が上方に設置された冷蔵庫のレイアウト構成が使い勝手と省エネの観点からよく用いられている。また、庫内容量の観点や、冷凍食品の使用量増加傾向に伴い、下段冷凍室105の庫内ケース寸法を大きく取って容量を向上させた冷蔵庫も発売されている。
このとき、庫内ケースを大きく取ると、背面の冷却器カバー120との寸法が小さくなり、除霜時の冷却器107や冷却室123内の温度上昇、更には、ガラス管ヒータ132からの輻射熱や対流によって、冷凍室内に保存されている冷凍食品の温度が影響を受ける。そのため、本実施の形態では、冷却器前側カバー137と冷却器後側カバー138によって構成された伝熱抑制空間139や、冷気戻り口135に設けた除霜暖気ガイド部材141で除霜時の庫内への熱影響を抑制している。本実施の形態では、伝熱抑制空間139の内部を空気層としており、ガラス管ヒータ132からの輻射熱による冷却器107周囲の温度上昇に対しても、庫内への熱伝導を抑制することが出来るため、庫内の特に冷却器側に保存されている食品への温度影響を低減できるため食品の劣化を抑え長期保存を可能とする。空気層の熱伝導率は、概ね、0.03W/mKであり、例えば庫内温度が−25℃で、除霜時の冷却室内温度が20℃まで上昇した場合でも空気層の断熱によって庫内温度は−17℃迄しか上昇しない。このとき、空気層の厚み、即ち伝熱抑制空間139の内部寸法は13.4mmである。よって除霜時においても、温度上昇は冷凍食品やアイスクリームが融解し品質劣化する−12℃以下であるため、長期保存でも品質劣化を抑制できる。
また、庫内食品への温度影響だけでなく、庫内の局部的に温度が低くなる箇所を無くすことができるため、ドア開閉時や食品投入時に食品に付着していた水分等から昇華した水分が、冷却器カバー120に霜として付着するのを防止する効果もある。これによって、冷却器107の除湿性能を確保できると共に、着霜防止の為の補助ヒータを使うこともない。
また、除霜時の庫内への温度影響を低減できるということは、除霜時における庫内負荷量を低減できる効果もある。よって、除霜時間後の冷却負荷量が減少するため除霜時間後の庫内冷却に要する圧縮機117の運転回転数低減や運転時間短縮での省エネ効果も得る
ことが出来る。
また、除霜暖気ガイド部材141を庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度で45°の傾きを付けて配置しているため、除霜時におけるガラス管ヒータ132からの輻射熱による対流は冷却器107に行きやすくなり、冷却器107に付着した霜を効率的に融解できるため、ガラス管ヒータ132の通電時間の減少が図れ、電気入力の低減による省エネとなる。この時、除霜時間の短縮により、非冷却運転時間短縮での温度上昇抑制や、除霜ヒータ自身の発熱による温度上昇抑制で、除霜時間後の冷却負荷量が減少するため除霜時間後の庫内冷却に要する圧縮機117の運転回転数低減や運転時間短縮での省エネ効果も得ることが出来る。
さらに、除霜暖気ガイド部材141により、除霜時におけるガラス管ヒータ132からの輻射熱による対流が冷却器107に行きやすくなることは、熱の庫内流入を抑制する効果もあり、庫内の温度上昇を抑える働きもある。庫内に保存されている冷凍食品は、除霜時の暖気の庫内流入による霜焼けや熱の変動による影響で劣化していくが除霜暖気ガイド部材141による効果で長期間保存した場合でも食品の劣化を抑えることが出来る。
本実施の形態では、除霜暖気ガイド部材141の角度を上向きに45°としたが、上向きの角度も、戻り冷気の流れ方や除霜時の暖気の流れ方、庫内容量や、金型等の物づくりし易さを考慮して角度を決めると良い。
また、除霜暖気ガイド部材141を冷却器後側カバー138と一体で構成しているため、除霜暖気ガイド部材141を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、冷却器後側カバー138での構成にすることで金型の抜き勾配を含め形状の簡素化が可能となるため、更なる金型費の低減に繋がる。また、除霜暖気ガイド部材141と冷却器後側カバー138の2部品の管理から1部品の管理となるため、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
なお、除霜暖気ガイド部材141の下端である除霜暖気ガイド部材下端131は、ドレンパン134の庫内側端面であるドレンパン庫内側端面130よりも冷却器側に位置している。これによって、除霜時に冷却器107に付着していた霜が融解された場合、冷却器後側カバー138を伝って滴下する除霜水を確実にドレンパン134内に落とすことが出来る。本実施の形態では、ドレンパン庫内側端面130と除霜暖気ガイド部材下端131の距離は、15.8mmとしている。これは、冷蔵庫の設置状況により、冷蔵庫が前側に15°傾いた場合でもドレンパン134内に除霜水の水滴が滴下する寸法である。実際、冷蔵庫の設置状態で前側に15°傾いた場合は、冷蔵庫自体が倒れてくる寸法であり、冷却器周囲を構成している部品の寸法バラツキを考慮しても、本実施の形態であれば滴下する除霜水を確実にドレンパン134内に落とすことが出来るため、庫内側へ水が浸入することがなく、製品として高品質の冷蔵庫を提供することが出来る。
一方、除霜暖気ガイド部材141を冷却器前側カバー137と一体で構成することも可能である。この場合も、冷却器後側カバー138と一体で構成する場合と同様の効果が得られる。本実施の形態では、除霜暖気ガイド部材141を冷却器後側カバー138と一体で構成したが、冷却器カバー120の構成形態や、ものづくりのし易さ、金型構成、コストなどを考慮して最良の形態を実施するのが望ましい。
また、冷却器カバー120下方の冷気戻り口135内に設けられた風向ガイド部122は、除霜暖気ガイド部材141と同方向の傾きを持たせ、庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度で配置している。これによって、庫内から見るとガラス管ヒータ132に
対して各風向ガイド部が重なるように見えるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にもガラス管ヒータ132の赤熱は見えない。本実施の形態では、風向ガイド部122の上向きの角度を金型の抜き勾配と同一にしているが、戻り冷気の流れ方や除霜時の暖気の流れ方を考慮して角度を決めると良い。
更に、除霜時におけるガラス管ヒータ132からの輻射熱による対流は、除霜暖気ガイド部材141を介して冷却器107に行きやすくなるため、庫内への暖気流入を更に抑制できると共に、除霜時の効率も向上できる。
また、風向ガイド部122と除霜暖気ガイド部材141が同方向の上向きの傾きであるため、冷却時の戻り冷気の吸込み通風抵抗を抑えることが可能であるので、循環風量も増加でき、冷却器107での熱交換量が増えて蒸発温度が上昇し、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。なお、冷却器107の熱交換量の向上と循環風量の増加によって、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器107への着霜量も減らすことができる。これによって、冷却器107の除霜周期を延ばす事が可能となり、ガラス管ヒータ132の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、除霜暖気ガイド部材141を冷却器後側カバー138の冷気戻り口135上端若しくは基本断面形状の下端と、冷却器下端の間に配置していること、即ち、除霜暖気ガイド部上端143が冷却器下端144よりも高い位置にあることで、戻り冷気と冷却器107の熱交換面積を大きく取れる。よって、冷却器107に着霜させる面積が大きくなり、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間を延ばす事が可能となり、ガラス管ヒータ132の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
なお、通風抵抗が低減されると、冷気送風ファン116は同一ファン電圧の場合に循環風量が増加される。図5に通風抵抗と風量の特性イメージ図を示す。図5のように、冷蔵庫の冷却性能において、ファンの特性より、通風抵抗が点1→点2のP1→P2に低減されると循環風量がQ1→Q2へと増加する。
更に、同一風量で性能が確保できる場合には、冷気送風ファン116のファン回転数を低減させることで同一風量を得ることが出来る。この場合、特性は、点2→点3に移動し、ファン回転数低下分の入力低減となり、電気入力としての省エネを図ることが出来る。更には、ファン回転数の低下によって冷気送風ファン116の風切り音の低減も図ることが出来るため、夜間等の周囲騒音が低く静寂な環境であっても、騒音を気にすることはない。
加えて、風向ガイド部122と除霜暖気ガイド部材141による庫内への暖気流入の抑制には、庫内への着霜防止も効果的である。庫内への暖気流入が多いと、特に庫内との連通になっている部分や、庫内天面への着霜が著しく発生し、長期使用時の時間経過と共に除霜時毎に着霜部分が滴下して、庫内ケースに落ちる可能性がある。本実施の形態の形状であれば、庫内への暖気流入の抑制が図れるため、冷蔵庫の概ね10年以上の使用時においても、着霜による信頼性を防止することが出来、品質の高位な冷蔵庫を提供することが出来る。
先述の伝熱抑制空間139、除霜暖気ガイド部材141、風向ガイド部122を適正に構成することで、除霜時の庫内熱影響の低減、除霜効率向上による更なる省エネ効果を発揮できる。
なお、本実施の形態では、構成された伝熱抑制空間内部を空気層としたが、例えば、断熱性能が高く熱伝導率の低い硬質ウレタンフォームや、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)、発泡ポリエチレンとする断熱部材142とすることで、更なる温度影響の低減が図れるため更なる効果を発揮できる。
また、風向ガイド部122のガラス管ヒータ132側の端面とガラス管ヒータ132のガラス管外郭との最短距離を60mm以上としたことで、除霜時のガラス管ヒータ132からの輻射熱によって、冷気戻り口135を構成する冷却器カバー120自体の温度上昇を抑制することが出来るため、着霜時など過度に除霜時間が延びた場合でも輻射熱による温度影響による変形等が発生することはない。また、最短距離を60mm以上としているため、除霜時のガラス管ヒータ132からの暖気は冷却器側に流れ、庫内への流入を抑制しやすくする効果がある。
なお、本実施の形態では、冷媒の種類をイソブタンとしているため、除霜時のガラス管ヒータ132のガラス管表面の温度は、摂氏394℃以下と規制している。また、本実施の形態で使用した冷却器カバー120および風向ガイド部122の材料は安価なPP(ポリプロピレン)を用いており、PPの耐熱溶融温度は、摂氏約200℃、発火温度は摂氏約440℃のものである。しかしながら、実使用時を考慮し、耐熱温度を摂氏135℃と設定している。即ち、最悪条件として考えて、ガラス管表面の温度:摂氏394℃、材料をPPとして耐熱温度の摂氏135℃以下となる寸法を計算し、上記の最短距離60mm以上としている。上記の計算には、ステファン=ボルツマンの法則をもって導いた。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器207と、冷却器207の下方に設けられたガラス管ヒータ232と、ガラス管ヒータ232下方にあり冷却器207に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン234と、下段冷凍室205を冷却した冷気が冷却器207へ戻るための冷気戻り口235を備えた冷却器207を覆う冷却器カバー220を配置している。
冷却器カバー220の冷気戻り口235には、除霜暖気ガイド部材241を設けられており、除霜暖気ガイド部材241は庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度を付け、本実施の形態では概ね、45°としている。また、冷却器カバー220の下部に設けられた冷気戻り口235には風向ガイド部222が設けられ、風向ガイド部222も庫内側から冷却器側に向かって、除霜暖気ガイド部材241と同方向の上向きの角度を付けている。
その中で、本実施の形態では、ガラス管ヒータ232の中心は第四の仕切り部213の上面となる下段冷凍室205の底基本面よりも上方とした位置に配置している。これにより、下段冷凍室下面と一体となったドレンパン234の形状を、略水平とすることが出来、ガラス管ヒータ232を設置するための無効空間を減少させることが可能となり内容積の増加を図ることが出来る。
また、ドレンパン234の深さを浅く出来ることは、構成する部品を成型する際の金型費用を抑えることが出来るため、コストダウンにも繋がる。また、冷蔵庫本体の外箱と内箱の内部とに密着してなる硬質ウレタンフォームを発泡する際の変形も抑えることができ、製品歩留まりを向上させ、廃棄費用の削減となるだけでなく、取り付け時の作業性も向
上するので外観品位の良い冷蔵庫を提供することが出来る。
このとき、冷却器カバー220下方の冷気戻り口235内に設けられた風向ガイド部222は、除霜暖気ガイド部材241と同方向の傾きを持たせ、庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度で配置している。これによって、庫内から見るとガラス管ヒータ232に対して各風向ガイド部が重なるように見えるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にも除霜時のガラス管ヒータ232からの赤熱を見えなくできるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にもガラス管ヒータ232の赤熱による使用者への不安感を与えることがない。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3による冷蔵庫の冷却室詳細断面図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器307と、冷却器307の下方に設けられたガラス管ヒータ332と、ガラス管ヒータ332下方にあり冷却器307に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン334と、下段冷凍室305を冷却した冷気が冷却器307へ戻るための冷気戻り口335を備えた冷却器307を覆う冷却器カバー320を配置している。
冷却器カバー320の冷気戻り口335には、除霜暖気ガイド部材341を設けられており、除霜暖気ガイド部材341は庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度を付け、本実施の形態では概ね、45°としている。また、冷却器カバー320の下部に設けられた冷気戻り口335には風向ガイド部322が設けられ、風向ガイド部322も庫内側から冷却器側に向かって、除霜暖気ガイド部材341と同方向の上向きの角度を付けている。
その中で、本実施の形態では、カバーヒータ333は前後方向で傾きを設けており、庫内側に対して背面側のカバーヒータ333端面を上げた構成としている。また、冷却器307は、パイプパターンを千鳥配列とし、庫内側に冷却パイプが傾くように冷却器307を取り付けている。
これにより、除霜時には、暖気の流れは最初背面側を中心に流れ、次にパイプ傾きによって庫内側へ向かう流れとなる。よって、冷気戻り口335へは行きにくく、且つ、除霜暖気ガイド部材341と風向ガイド部322によって庫内への暖気流入は抑制されるため、庫内温度の上昇低減に効果を発揮する。
なお、冷却器307の入口パイプを背面側にすることで、温度が低く着霜し易い部分を中心に除霜暖気の対流を生むことが出来るため、効率良く除霜することが出来る。
なお、カバーヒータ333の背面側を、上部に傾けることで、更なる除霜効率の向上が図れる。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4による冷蔵庫の冷却室詳細断面図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器407と、冷却器407の下方に設けられたガラス管ヒータ432と、ガラス管ヒータ432下方にあり冷却器407に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったド
レンパン434と、下段冷凍室405を冷却した冷気が冷却器407へ戻るための冷気戻り口435を備えた冷却器407を覆う冷却器カバー420を配置している。
冷却器カバー420の冷気戻り口435には、除霜暖気ガイド部材441を設けられており、除霜暖気ガイド部材441は庫内側から冷却器側に向かって、上向きの角度を付け、本実施の形態では概ね、45°としている。また、冷却器カバー420の下部に設けられた冷気戻り口435には風向ガイド部422が設けられ、風向ガイド部422も庫内側から冷却器側に向かって、除霜暖気ガイド部材441と同方向の上向きの角度を付けている。
その中で、本実施の形態では、風向ガイド部422と除霜暖気ガイド部材441を連結させ、連結風向ガイド445で構成している。
これによって、除霜暖気ガイド部材441と同方向の上向きに構成された風向ガイド部422が一体となって、大型の風向ガイド部となる連結風向ガイド445を形成するため、除霜時におけるガラス管ヒータ432からの輻射熱による対流が更に冷却器407に行きやすくなり、冷却器407に付着した霜を効率的に融解できるため、ガラス管ヒータ432の通電時間の減少が図れ、電気入力の低減による省エネとなる。
また、除霜時にガラス管ヒータ432からの輻射熱の庫内流入を抑制する効果も大きくなり、庫内の温度上昇を更に抑える働きがある。
また、連結風向ガイド445を冷却器前側カバー437若しくは、冷却器後側カバー438と一体に構成することで、材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。
(実施の形態5)
図9は本発明の実施の形態5による冷蔵庫の冷却室詳細断面図である。図10は本発明の実施の形態5による冷却器カバーの背面図である。図11は、本発明の実施の形態5による冷却器の基本熱交換部の説明図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9から図11に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器507と、冷却器507の下方に設けられたガラス管ヒータ532と、ガラス管ヒータ532下方にあり冷却器507に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン534と、下段冷凍室505を冷却した冷気が冷却器507へ戻るための冷気戻り口535を備えた冷却器507を覆う冷却器カバー520を配置している。
冷却器カバー520は、庫内側の冷却器前側カバー537と冷却器側の冷却器後側カバー538で構成されており、冷却器507前方には冷却器前側カバー537と冷却器後側カバー538によって構成される伝熱抑制空間539を備えている。伝熱抑制空間539は、冷却器カバー520の下部に備えた冷気戻り口535の上端から、下段冷凍室505への吐出口下端までの間で構成している。伝熱抑制空間539の高さは、冷却器507の上端までとすると伝熱抑制の効果はあるが、庫内容量やケース寸法とのバランスによって位置を決めるのが良い。本実施の形態では、除霜時の暖気の流れを考慮して、概ね、冷却器507の下側から3段目までとし、下段冷凍室505への吐出口下端までとしている。また、伝熱抑制空間539の内部は空気層としている。
そのため、除霜時にガラス管ヒータ532からの輻射熱によって冷却器507に付着していた霜は融解され、高湿の暖気となって自然対流により冷却室内を上昇していくが、こ
のとき、暖気の一部は庫内へと流入することとなるものの、伝熱抑制空間539によって庫内への流入を抑制し空間内部に流入させることが可能となる。特に日本の場合は、湿度の高い環境であり冷却器507に霜が付着し易く、冷凍室や冷蔵室からの戻り冷気が最初に冷却器507と熱交換し除湿される冷却器下部は、霜の付着が最も多いところである。故に、除霜時の初期段階では、除霜された暖気は冷却器周囲へと流れやすく庫内へと流入しやすい状態であるが、伝熱抑制空間539によって庫内への流入を抑制することが出来る。また更に、伝熱抑制空間539によってガラス管ヒータ532からの輻射熱による冷却器周囲の温度上昇に対しても、庫内への熱伝導を抑制することが出来るため、庫内の特に冷却器側に保存されている奥の食品への温度影響を低減できるため、食品の劣化を抑え長期保存を可能とする。
その中で、本実施の形態では、伝熱抑制空間539の内部と冷却室523とを連通にするための暖気回収穴546を設けている。通常、伝熱抑制空間539を構成する冷却器前側カバー537と冷却器後側カバー538の空間入口部分は、基本寸法では3mm以下であり、除霜暖気ガイド部材541の効果も合わせると、除霜時におけるガラス管ヒータ532からの輻射熱による対流で伝熱抑制空間539内に侵入することは無いが、部品自体の成型寸法バラツキや製品組み立て時の嵌合バラツキによって、伝熱抑制空間内に暖気が進入する場合がある。しかしながら、暖気回収穴546によって、伝熱抑制空間内に進入した暖気や、ガラス管ヒータ532からの輻射熱によって伝熱抑制空間内に存在する暖気が膨張し空間体積以上となった場合に、冷却室側へ暖気を排出することで庫内側への流入を抑制している。
なお、暖気回収穴546の位置はフィンアンドチューブで構成される冷却器基本熱交換部548の前方からの投影面よりも外側で連通するように位置している。これにより、冷却運転時にも冷気の主流外となるため、戻り冷気が冷却器507と熱交換し、吐出冷気となった後、暖気回収穴546を通じて再び戻り冷気と合流することでのショートサーキット防止、冷却器507の熱交換効率低下防止をすることができる。
ここで、暖気回収穴546の面積(Sk)は、伝熱抑制空間539の基本断面面積(Sd)よりも小さい関係にある。即ち、Sd>Skの関係である。また本実施の形態では、伝熱抑制空間539に複数個の暖気回収穴546を配設しており、除霜時に伝熱抑制空間内に滞留する暖気をよどみなく冷却室側へ排出できるようにしている。本実施の形態では、暖気回収穴546は冷却器507の両端部分に配置している。このとき、暖気回収穴546の面積は、n個の暖気回収穴とすると、Sknと表した場合、Sd>ΣSknとしている。暖気回収穴546から冷却室523への暖気回収は、除霜時にガラス管ヒータ532からの輻射熱によって流入した暖気が、空間内の温度上昇で圧力が上昇し、体積の大きい冷却室側の圧力よりも高くなるため、圧力差によって伝熱抑制空間内の暖気の一部が暖気回収穴546から冷却室側に流れるものであるため、伝熱抑制空間内の暖気は庫内側に流れ出ることなく、庫内の温度上昇を抑制することが出来、省エネ性に優れた冷蔵庫の提供が可能となる。更に、庫内の暖気流入による温度変動も低減できるため、温度変動に弱い冷凍食品などの食品の劣化を抑え長期保存を可能とする。
なお、本実施の形態の如く、暖気回収穴546を複数個とし、圧力均衡を保つように配設(例えば左右均等)することで、効率良く暖気回収ができ、よどみ低減が可能であるため、特に容量が大きく幅広い冷蔵庫で冷却器507の寸法が大きい場合でも効果を得ることが出来る。
なお、伝熱抑制空間539の内部に伝熱部材547を配設することで、伝熱抑制空間内部に滞留している暖気の除湿が可能となる。伝熱部材547は、金属製の材料を使用すると良い。本実施の形態では、コストを考慮してt=8μmのアルミ箔を貼り付けているが
、アルミ箔よりも厚みが大きいアルミプレート板や、アルミよりも熱伝導率の高い材料(例えば銅)で構成すると伝熱としての効果を更に発揮する。また、伝熱部材547に蓄熱材を使用してもよい。その場合は、除湿のみでなく、冷却運転時に冷却された蓄熱材により除霜時でも伝熱抑制空間内の温度は上昇しにくくなるため、庫内への温度上昇を著しく抑制することができ、食品の劣化を抑え、更なる長期保存が可能で、且つ、省エネ性に優れた冷蔵庫の提供が可能となる。
なお、本実施の形態では、暖気回収穴546の上端は伝熱抑制空間側に傾斜させ、また、下端は冷却室側に傾斜させている。これにより、除霜時に伝熱抑制空間内に滞留する暖気は自然対流での上昇気流で上部に流れるが、暖気回収穴546の上端と下端が傾斜しているため、風路抵抗が軽減され、よどみなく冷却室側へ排出できるようにしている。また、暖気回収穴546の上端と下端が傾斜しているため、構成する部品を成型する際の歩留まり向上が図れ、金型費用を抑えることでの、コストダウンにも繋がる。