JP5943292B2

JP5943292B2 - 液体吐出ヘッド、画像形成装置、液体吐出ヘッドの製造方法

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Publication number: JP5943292B2
Application number: JP2012061674A
Authority: JP
Inventors: 下田　達也; 達也下田; 橋本　憲一郎; 憲一郎橋本; 啓輔林
Original assignee: Ricoh Co Ltd
Current assignee: Ricoh Co Ltd
Priority date: 2012-03-19
Filing date: 2012-03-19
Publication date: 2016-07-05
Anticipated expiration: 2032-03-19
Also published as: US9033456B2; US20130241990A1; JP2013193296A

Description

本発明は液体吐出ヘッド、画像形成装置、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。

プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば液滴を吐出する液体吐出ヘッド（液滴吐出ヘッド）からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。

液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出するノズルが連通する液室の少なくとも一つの壁面を形成する変形可能な振動板部材と、振動板部材を変形させて液室内の液体を加圧する積層型圧電素子とを備える圧電型ヘッドが知られている。

この圧電型ヘッドにおける振動板部材として、電鋳で形成され、駆動手段が当接する厚肉部（島状の凸部）と、この凸部の周囲の薄肉部とを有し、島状の凸部の外表面を覆い、かつ、薄肉部の一部に到達する感光性樹脂層を形成することで、圧電素子の伸縮による縞状の凸部周縁での応力集中を緩和するようにしたものが知られている（特許文献２）。

特許第３８４７９９号公報特許第３３７４８９９号公報

上述したように、振動板部材は、ダイアフラム部で圧電素子の変位を個別液室に伝達させるとき、島状の凸部（厚肉部）周縁の薄肉部を同じ箇所で繰り返し変形させる必要がある。このとき、厚肉部と薄肉部の境目には、レジスト跡により形成されたピン角があり、圧電素子を変形させて振動板部材の薄肉部を変形伸縮させた際、ピン角に応力が集中してしまい、やがて薄肉部と厚肉部との境目に亀裂が生じ、圧電素子側に液体が漏れ出すという課題がある。

ここで、特許文献１に開示されているように、薄肉部の応力緩和に振動板部材の表面に感光性樹脂を塗布する工程が必要になって製造コストが高くなるという課題がある。

また、厚肉部を電鋳で形成する場合、薄肉部との境界部は厚肉部のオーバーハング部により上部より隠れてしまっていて感光性樹脂層の露光による硬化形成ができないという課題もある。

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、薄膜部材の厚肉部と薄肉部との境界部分における応力集中を低コストで緩和することを目的とする。

上記の課題を解決するため、本発明の請求項１に係る液体吐出ヘッドは、
少なくとも一部が電鋳膜であり、薄肉部と厚肉部とを有する薄膜部材を備え、
前記薄膜部材は、
前記薄肉部を形成する金属膜と、
前記金属膜上に形成された前記厚肉部を形成する第１電鋳膜と、を有し、
前記金属膜と前記第１電鋳膜との接合部を被覆する第２電鋳膜を有している
構成とした。

本発明によれば、厚肉部と薄肉部との境界部分における応力集中を低コストで緩和することができる。

本発明に係る液体吐出ヘッドの第１実施形態の説明に供する同ヘッドの外観斜視説明図である。図１のＡ―Ａ線に沿うノズル配列方向と直交する方向（液室長手方向）の断面説明図である。図１のＢ−Ｂ線に沿うノズル配列方向（液室短手方向）の断面説明図である。同ヘッドにおける薄膜部材である振動板部材の斜視説明図である。同振動板部材の要部断面説明図である。比較例の振動板部材の振動領域部分の要部断面説明図である。圧電素子の駆動に伴う振動板領域の変形動作の説明に供する説明図である。本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第１実施形態の説明に供する断面説明図である。本発明の第２実施形態に係る液体吐出ヘッドの振動板部材の振動領域部分の要部断面説明図である。本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第２実施形態の説明に供する断面説明図である。本発明の第３実施形態に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法の説明に供する断面説明図である。本発明の第４実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供するフィルタ部の断面説明図である。本発明の第４実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の説明に供する断面説明図である。本発明の第５実施形態に係る液体吐出ヘッドにおけるフィルタ部の断面説明図である。本発明の第５実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の説明に供する断面説明図である。本発明の第６実施形態に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法の説明に供する断面説明図である。本発明の第７実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供する断面説明図である。本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例の説明に供する機構部の側面説明図である。同機構部の要部平面説明図である。

以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの第１実施形態について図１ないし図３を参照して説明する。なお、図１は同ヘッドの外観斜視説明図、図２は図１のＡ―Ａ線に沿うノズル配列方向と直交する方向（液室長手方向）の断面説明図、図３は図１のＢ−Ｂ線に沿うノズル配列方向（液室短手方向）の断面説明図である。

この液体吐出ヘッドは、ノズル板１と、流路板（液室基板）２と、薄膜部材としての振動板部材３とを積層接合している。そして、振動板部材３を変位させる圧電アクチュエータ１１と、このヘッドのフレームを構成する共通流路部材としてフレーム部材２０とを備えている。

ノズル板１、流路板２及び振動板部材３によって、液滴を吐出する複数のノズル４に連なって通じる個別流路としても個別液室（加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。）６、個別液室６に液体を供給する流体抵抗部を兼ねた液体供給路７と、液体供給路７に連なる液体導入部８とを形成している。

そして、フレーム部材２０の共通流路としての共通液室１０から振動板部材３に形成したフィルタ部９を通じて、液体導入部８、液体供給路７を経て複数の個別液室６に液体を供給する。

ここで、ノズル板１は、ニッケル（Ｎｉ）の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法（電鋳）で製造したものを用いている。これに限らず、その他の金属部材、樹脂部材、樹脂層と金属層の積層部材などを用いることができる。ノズル板１には、各液室６に対応して例えば直径１０〜３５μｍのノズル４を形成し、流路板２と接着剤接合している。また、このノズル板１の液滴吐出側面（吐出方向の表面：吐出面、又は液室６側と反対の面）には撥水層を設けている。

流路板２は、単結晶シリコン基板をエッチングして、個別液室６、液体供給路７、液体導入部８などを構成する溝部を形成している。なお、流路板２は、例えばＳＵＳ基板などの金属板を酸性エッチング液でエッチングし、あるいはプレスなどの機械加工を行って形成することもできる。

振動板部材３は、流路板２の個別液室６の壁面を形成する壁面部材を兼ね、個別液室６に対応する部分に変形可能な振動領域３０を有している。

そして、この振動板部材３の個別液室６とは反対側に、振動板部材３の振動領域３０を変形させる駆動手段（アクチュエータ手段、圧力発生手段）としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ１１を配置している。

この圧電アクチュエータ１１は、ベース部材１３上に接着剤接合した複数の積層型圧電部材１２を有し、圧電部材１２にはハーフカットダイシングによって溝加工して１つの圧電部材１２に対して所要数の圧電柱１２Ａ、１２Ｂを所定の間隔で櫛歯状に形成している。

圧電部材１２の圧電柱１２Ａ、１２Ｂは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動圧電柱（駆動柱）１２Ａ、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動圧電柱（非駆動柱）１２Ｂとして区別している。

そして、駆動柱１２Ａを振動板部材３の振動領域３０に形成した島状の凸部３ａに接合している。また、非駆動柱１２Ｂを振動板部材３の凸部３ｂに接合している。

この圧電部材１２は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、駆動柱１２Ａの外部電極に駆動信号を与えるための可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのＦＰＣ１５が接続されている。

フレーム部材２０は、例えばエポキシ系樹脂或いは熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイト等で射出成形により形成し、図示しないヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室１０が形成されている。

このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動柱１２Ａに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動柱１２Ａが収縮し、振動板部材３の振動領域３０が下降して個別液室６の容積が膨張することで、個別液室６内に液体が流入し、その後駆動柱１２Ａに印加する電圧を上げて駆動柱１２Ａを積層方向に伸長させ、振動板部材３の振動領域３０をノズル４方向に変形させて個別液室６の容積を収縮させることにより、個別液室６内の液体が加圧され、ノズル４から液滴が吐出（噴射）される。

そして、駆動柱１２Ａに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材３の振動領域３０が初期位置に復元し、個別液室６が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室１０から液体供給路７を通じて個別液室６内に液体が充填される。そこで、ノズル４のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。

なお、このヘッドの駆動方法については上記の例（引き−押し打ち）に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。

次に、この液体吐出ヘッドにおける薄膜部材である振動板部材の詳細について図４及び図５を参照して説明する。図４は同振動板部材の斜視説明図、図５は同振動板部材の振動領域部分の要部断面説明図である。

振動板部材３の振動領域３０は、薄肉部（ダイアフラム部）３１を有し、薄肉部３１に駆動柱１２Ａを接合する島状の凸部３ａが設けられ、島状の凸部３ａの部分では厚肉部３２となっている。また、振動板部材３の振動領域３０の周囲も、非駆動柱１２Ｂと接合される凸部３ｂを含む厚肉部３２となっている。

ここで、図５に示すように、薄肉部３１を形成している第１層目３Ａは、電鋳膜などの金属膜４０で形成している。なお、金属膜４０は電鋳膜でなくとも他の金属膜でもよい。

また、第１層目とともに厚肉部３２を形成している第２層目３Ｂも、例えばＮｉなどの第１電鋳膜４１で形成している。

そして、第１層目３Ａをなす金属膜４０と第２層目３Ｂを形成する第１電鋳膜４１との接続部を被覆する第２電鋳膜４２を、金属膜４０及び第１電鋳膜４１の表面に形成している。

このように構成したので、第２電鋳膜４２が金属膜４０と第１電鋳膜４１との境界部、即ち薄肉部３１と厚肉部３２との境界部における応力を分散させて、応力集中を緩和することができる。

この点について、図６及び図７も参照して説明する。図６は比較例の振動板部材の要部断面説明図、図７は圧電素子の駆動に伴う振動板領域の変形動作の説明に供する説明図である。

図６に示す比較例は、本実施形態の第２電鋳膜４２を持たない構成であり、電鋳によって形成した第１層目３Ａとなる電鋳膜４０上に同じく電鋳によって形成した第２層目３Ｂとなる第１電鋳膜４１を積層形成したものである。この比較例の構成にあっては、薄肉部３１と厚肉部３２との境界部分にピン角部（９０°の角部）３４が形成される。

一方、ヘッドを駆動するときには、前述したように、例えば、図７（ａ）に示す初期状態から、図７（ｂ）に示すように駆動柱１２Ａを収縮させた後、図７（ｃ）に示すように駆動柱１２Ａを伸張させる。このとき、振動領域３０は、薄肉部３１と厚肉部３２（凸部３ａ、３ｂ）との境界部分で折れ曲がる。

そのため、比較例の構成のように、薄肉部３１と厚肉部３２との境界部分にピン角部３４が形成されていると、振動領域３０の変位を繰り返したときに、ピン角部３４に応力が集中し、図６に示すように、亀裂３５が生じて破損することがある。

これに対し、本実施形態では、薄肉部３１と厚肉部３２との境界部分では第２電鋳膜４２によってアール形状（角Ｒ形状）となるので、応力が分散されて、応力集中が緩和されるため、亀裂が生じて破損することが防止される。

また、本実施形態では、島状凸部３ａとなる第２層目３Ｂは第１電鋳膜４１で形成するため、電鋳によって、図５に示すように、所謂オーバーハング形状（オーバーハング部４１ａ）が生じる。

そのため、薄肉部３１と厚肉部３２との境界部（接続部）を従前のように感光性樹脂などで被覆しようとしても、光が届かず、硬化できないが、本実施形態のように電鋳で形成することで、確実に被覆することができる。

次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第１実施形態について図８を参照して説明する。図８は同方法の製造方法の説明に供する断面説明図である。

図８（ａ）に示すように、図示しない電鋳支持基板上に、電鋳を施して金属膜４０である電鋳膜４０Ａを形成し、凸部３ａ、３ｂなどを形成する部分が開口したレジストパターン５０１を形成し、電鋳を施して第１電鋳膜４１を形成する。

次いで、図８（ｂ）に示すように、レジストパターン５０１を除去する。

そして、図８（ｃ）に示すように電鋳を行なうことで、図８（ｄ）に示すように、第１電鋳膜４１及び電鋳膜４０Ａの全体に第２電鋳膜４２を形成する。

このとき、電鋳膜４０Ａと第１電鋳膜４１との境界部に形成されるピン角は、第２電鋳膜４２の成膜時に２面（垂直面と水平面）を電鋳材料（例えばＮｉ）に囲まれているため、電流がより集中してＮｉが電鋳され、ピン角部分にＮｉが集中する。それにより、ピン角にはアール部が形成される。

これにより、上述した第１実施形態における振動板部材を得ることができる。

次に、本発明の第２実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図９を参照して説明する。図９は同ヘッドの振動板部材の振動領域部分の要部断面説明図である。

本実施形態では、厚肉部３２（凸部３ａ、３ｂなど）を形成する第３電鋳膜４３と、第３電鋳膜４３の表面を覆い、薄肉部３１を形成する第４電鋳膜４４で振動板部材３を構成している。

このように構成しても、厚肉部３２と薄肉部３１との境界部にピン角部が形成されず、厚肉部３２と薄肉部３１との境界部をアール形状とすることができ、応力集中を緩和できる。

次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第２実施形態について図１０を参照して説明する。図１０は同製造方法の説明に供する断面説明図である。

図１０（ａ）に示すように、図示しない電鋳支持基板上に、凸部３ａ、３ｂなどを形成する領域が開口したレジストパターン５０１を形成し、電鋳を施して第３電鋳膜４３を形成する。

次いで、図１０（ｂ）に示すようにレジストパターン５０１を除去する。

その後、図１０（ｃ）に示すように電鋳を行なって、図１０（ｄ）に示すように、第３電鋳膜４３表面を覆い薄肉部３１となる第４電鋳膜４４を形成する。

これにより、上述した第２実施形態における振動板部材を得ることができる。

次に、本発明の第３実施形態に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法について図１１を参照して説明する。図１１は同ヘッド及び同製造方法の説明に供する断面説明図である。

まず、図１１（ａ）に示すように、図示しない電鋳支持基板上に、電鋳を施して電鋳膜４０Ａを形成し、凸部３ａ、３ｂなど形成する領域が開口したレジストパターン５０１を形成し、電鋳を施して第１電鋳膜４１を形成する。

次いで、図１２（ｂ）に示すように、レジストパターン５０１を除去する。

その後、図１２（ｃ）に示すように、電鋳膜４０Ａ上の第２電鋳膜４２を形成しない領域にレジストパターン５０２を形成して電鋳を行って、図１０（ｄ）に示すように第２電鋳膜４２を形成し、レジストパターン５０２を除去する。

このように、本実施形態では、前記第１実施形態において、薄肉部３１を形成する電鋳膜４０Ａの表面のうち厚肉部３２との接続部の被覆に必要な領域以外の領域には、第２電鋳膜４２を形成しないようにしている。

振動板部材３の薄肉部３１の厚みは振動領域３０の変位量に大きな影響を与えるため、厚みを必要最小限に抑え、かつ均一に形成することが好ましい。本実施形態では、不必要な部分には第２電鋳膜４２を設けずに振動板部材を形成でき、かつ薄肉部３１の厚さも電鋳膜４０Ａの膜厚精度で形成できるため、均一な膜厚で形成することが可能となる。

次に、本発明の第４実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図１２を参照して説明する。図１２は同ヘッドにおけるフィルタ部の断面説明図である。

液体吐出ヘッドでは、液体中の異物を除去するためにフィルタ部材が備えられる。前記第１実施形態のヘッドでは、前述したように、共通液室１０と液体導入部８との間の振動板部材３に、径の小さい孔が無数に形成されているフィルタ部材としてのフィルタ部９を設けている。

このフィルタ部９は、前記振動板部材３の一部であるので、前述した第１実施形態と同様に、薄肉部３１となる金属膜４０に多数のフィルタ孔６１を形成し、金属膜４０上に、フレーム部材２０と接合する凸部であって厚肉部３２を形成する第１電鋳膜４１を積層し、第１電鋳膜４１及び金属膜４０の表面を覆う第２電鋳膜４２を形成したものである。

このように、フィルタ領域６２を形成する薄肉部３１である金属膜４０と厚肉部３２を形成している第１電鋳膜４１との接続部が第２電鋳膜４２で覆われて、応力集中を緩和したフィルタ部（フィルタ部材）９が得られる。

なお、本実施形態では、フィルタ部材を振動板部材の一部で形成しているが、振動板部材と別部材で形成する場合も同様に実施できる。

次に、本発明の第４実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について図１３を参照して説明する。図１３は同製造方法の説明に供する断面説明図である。

本実施形態では、図１３（ａ）に示すように、図示しない電鋳支持基板上に、フィルタ孔となる部分に対応してレジストパターン５０３を形成して電鋳を行うことで、図１３（ｂ）にも示すようにフィルタ孔６１が形成された電鋳膜４０Ａを形成する。

そして、図１３（ｂ）に示すように、電鋳膜４０Ａ上に厚肉部を形成する領域が開口したレジストパターン５０４を形成し、電鋳を行って、厚肉部（凸部）となる第１電鋳膜４１を形成する。

次いで、図１３（ｃ）に示すように、電鋳膜４０Ａ上のレジストパターン５０４を除去する。

その後、図１３（ｄ）に示すように、再度、電鋳膜４０Ａ上のフィルタ領域（フィルタ孔６１が形成された領域）６２を覆うレジストパターン５０４を形成して、電鋳を行う。

これにより、図１３（ｅ）に示すように、電鋳膜４０Ａのフィルタ領域６２を除いて、電鋳膜４０Ａ及び第１電鋳膜４１の全体を覆う第２電鋳膜４２が形成されるので、レジストパターン５０４を除去する。

このようにして、前記第４実施形態に係るフィルタ部材が得られる。

次に、本発明の第５実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図１４を参照して説明する。図１４は同ヘッドにおけるフィルタ部の断面説明図である。

このフィルタ部９は、前記振動板部材３の一部であるので、前述した第２実施形態と同様に、フレーム部材２０と接合する凸部であって厚肉部３２を形成する第３電鋳膜４３と、第３電鋳膜４３の表面を覆い、薄肉部３１となる第４電鋳膜に多数のフィルタ孔６１を形成している。

このように、フィルタ領域６２を形成する薄肉部である第４電鋳膜４４と厚肉部３２を形成している第３電鋳膜４３との接続部がアール形状となって、応力集中を緩和したフィルタ部（フィルタ部材）９が得られる。

次に、本発明の第６実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について図１５を参照して説明する。図１５は同製造方法の説明に供する断面説明図である。

本実施形態では、図１５（ａ）に示すように、図示しない電鋳支持基板上に、厚肉部３２とする部分が開口したレジストパターン５０６を形成して電鋳を行うことで、第３電鋳膜４３を形成する。

次いで、図１５（ｂ）に示すように、レジストパターン５０６を除去する。

その後、図１５（ｃ）に示すように、電鋳支持基板上に、フィルタ孔６１となる部分に対応してレジストパターン５０７を形成して電鋳を行う。

これにより、図１５（ｄ）に示すようにフィルタ孔６１が形成された第４電鋳膜４４を形成し、レジストパターン５０７を除去する。

このようにして、前記第５実施形態に係るフィルタ部材が得られる。

次に、本発明の第７実施形態に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法について図１６を参照して説明する。図１６は同ヘッド及びその製造方法の説明に供する断面説明図である。

本実施形態は、前記第２実施形態において、例えばニッケルなどの比較的ヤング率が高い部材を厚肉部に使用し、銅などの比較的ヤング率が低い部材を薄肉部に使用している。なお、第２実施形態以外の実施形態にも適用できる。

このように、厚肉部と薄肉部で材料を異ならせることにより、非可動部分にヤング率の高い部材を使用して剛性を高め、かつ可動部分にヤング率の低い部材をして変位し易くすることができ、より変位効率の高い薄膜部材を得ることができる。

本実施形態の製造方法は、図１６（ａ）図示しない電鋳支持基板上に、厚肉部となる凸部などを形成する領域が開口したレジストパターン５０３を形成し、第１の材料（例えばニッケル）で電鋳を施して第３電鋳膜４３Ａを形成する。

次いで、図１６（ｂ）に示すようにレジストパターン５０１を除去する。

その後、図１６（ｃ）に示すように、第２の材料（例えば銅）で電鋳を行なって、図１６（ｄ）に示すように第３電鋳膜４３Ａ表面を覆い薄肉部となる第４電鋳膜４４Ａを形成する。

次に、本発明の第８実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図１７を参照して説明する。図１７は同ヘッドの振動領域部分の断面説明図である。

本実施形態は、前記第２実施形態において、第３電鋳膜４３Ｂは平均粒子径を粗くし、第４電鋳膜４４Ｂは平均粒子径を第３電鋳膜４３Ａよりも細かくしている。なお、第２実施形態以外の実施形態にも適用できる。

例えば、最初に薄膜部以外の平均粒子径を粗くする部分では、電流密度を低く設定する。それにより、原子の析出速度が結晶成長より遅く、平均粒子径が粗い部分（第３電鋳膜４３Ｂ）が形成される。

次に、薄肉部の平均粒子径を細かくする部分では、電流密度を高く設定する。それにより、原子の析出速度が結晶成長より速く、平均粒子径が細かい部分（第４電鋳膜４４Ｂ）が形成される。

この平均粒子径の細かい第４電鋳膜４４Ｂを形成するとき、平均粒子径の粗い第３電鋳膜４３Ｂ上ではアンカー効果が得られ、また薄肉部となる第４電鋳膜４４Ｂでは巣やピンホールが少なく、凹凸も少ない平面を得ることができる。

次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図１８及び図１９を参照して説明する。なお、図１８は同装置の機構部の側面説明図、図１９は同機構部の要部平面説明図である。

この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板２２１Ａ、２２１Ｂに横架したガイド部材である主従のガイドロッド２３１、２３２でキャリッジ２３３を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向（キャリッジ主走査方向）に移動走査する。

このキャリッジ２３３には、イエロー（Ｙ）、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）、ブラック（Ｋ）の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した記録ヘッド２３４を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。

記録ヘッド２３４は、それぞれ２つのノズル列を有し、一方の記録ヘッド２３４ａの一方のノズル列はブラック（Ｋ）の液滴を、他方のノズル列はシアン（Ｃ）の液滴を、他方の記録ヘッド２３４ｂの一方のノズル列はマゼンタ（Ｍ）の液滴を、他方のノズル列はイエロー（Ｙ）の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは２ヘッド構成で４色の液滴を吐出する構成としているが、１ヘッド当たり４ノズル列配置とし、１個のヘッドで４色の各色を吐出させることもできる。

また、記録ヘッド２３４のタンク２３５には各色の供給チューブ２３６を介して、供給ユニット２２４によって各色のインクカートリッジ２１０から各色のインクが補充供給される。

一方、給紙トレイ２０２の用紙積載部（圧板）２４１上に積載した用紙２４２を給紙するための給紙部として、用紙積載部２４１から用紙２４２を１枚ずつ分離給送する半月コロ（給紙コロ）２４３及び給紙コロ２４３に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド２４４を備え、この分離パッド２４４は給紙コロ２４３側に付勢されている。

そして、この給紙部から給紙された用紙２４２を記録ヘッド２３４の下方側に送り込むために、用紙２４２を案内するガイド２４５と、カウンタローラ２４６と、搬送ガイド部材２４７と、先端加圧コロ２４９を有する押さえ部材２４８とを備えるとともに、給送された用紙２４２を静電吸着して記録ヘッド２３４に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト２５１を備えている。

この搬送ベルト２５１は、無端状ベルトであり、搬送ローラ２５２とテンションローラ２５３との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向（副走査方向）に周回するように構成している。また、この搬送ベルト２５１の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ２５６を備えている。この帯電ローラ２５６は、搬送ベルト２５１の表層に接触し、搬送ベルト２５１の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト２５１は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ２５２が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。

さらに、記録ヘッド２３４で記録された用紙２４２を排紙するための排紙部として、搬送ベルト２５１から用紙２４２を分離するための分離爪２６１と、排紙ローラ２６２及び排紙コロ２６３とを備え、排紙ローラ２６２の下方に排紙トレイ２０３を備えている。

また、装置本体の背面部には両面ユニット２７１が着脱自在に装着されている。この両面ユニット２７１は搬送ベルト２５１の逆方向回転で戻される用紙２４２を取り込んで反転させて再度カウンタローラ２４６と搬送ベルト２５１との間に給紙する。また、この両面ユニット２７１の上面は手差しトレイ２７２としている。

さらに、キャリッジ２３３の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド２３４のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構２８１を配置している。この維持回復機構２８１には、記録ヘッド２３４の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材（以下「キャップ」という。）２８２ａ、２８２ｂ（区別しないときは「キャップ２８２」という。）と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード２８３と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け２８４などを備えている。

また、キャリッジ２３３の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け２８８を配置し、この空吐出受け２８８には記録ヘッド２３４のノズル列方向に沿った開口部２８９などを備えている。

このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ２０２から用紙２４２が１枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙２４２はガイド２４５で案内され、搬送ベルト２５１とカウンタローラ２４６との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド２３７で案内されて先端加圧コロ２４９で搬送ベルト２５１に押し付けられ、略９０°搬送方向を転換される。

このとき、帯電ローラ２５６に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト２５１が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト２５１上に用紙２４２が給送されると、用紙２４２が搬送ベルト２５１に吸着され、搬送ベルト２５１の周回移動によって用紙２４２が副走査方向に搬送される。

そこで、キャリッジ２３３を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド２３４を駆動することにより、停止している用紙２４２にインク滴を吐出して１行分を記録し、用紙２４２を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙２４２の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙２４２を排紙トレイ２０３に排紙する。

このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を安定して形成することができる。

なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、ＯＨＰ、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。

また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること（単に液滴を媒体に着弾させること）をも意味する。

また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、ＤＮＡ試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。

また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。

また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。

１ノズル板
２流路板
３振動板部材
４ノズル
６個別液室（個別流路、圧力室）
１０共通液室
１２圧電部材
２０フレーム部材
３０振動領域
３１薄肉部
３２厚肉部
４０金属膜
４１第１電鋳膜
４２第２電鋳膜
４３第３電鋳膜
４４第４電鋳膜
２３３キャリッジ
２３４ａ、２３４ｂ記録ヘッド

Claims

少なくとも一部が電鋳膜であり、薄肉部と厚肉部とを有する薄膜部材を備え、
前記薄膜部材は、
前記薄肉部を形成する金属膜と、
前記金属膜上に形成された前記厚肉部を形成する第１電鋳膜と、を有し、
前記金属膜と前記第１電鋳膜との接合部を被覆する第２電鋳膜を有している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
前記薄膜部材は、液滴を吐出するノズルが通じる液室の少なくとも１つの壁面を形成する振動板部材であることを特徴とする請求項１に記載の液体吐出ヘッド。
前記薄膜部材は、液体をろ過するフィルタ部材であることを特徴とする請求項１又は２に記載の液体吐出ヘッド。
少なくとも一部が電鋳膜であり、薄肉部と厚肉部とを有する薄膜部材を備え、
前記薄膜部材は、
前記厚肉部を形成する第３電鋳膜と、
前記第３電鋳膜の表面を被覆し、前記薄肉部を形成する第４電鋳膜と、を有する
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
前記第１電鋳膜と前記第２電鋳膜とが、もしくは前記第３電鋳膜と前記第４電鋳膜とが互いに異なる材料の電鋳膜で構成されていることを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
前記第１電鋳膜と前記第２電鋳膜とは互いに異なる平均粒子径の電鋳膜であり、もしくは、前記第３電鋳膜と前記第４電鋳膜とは互いに異なる平均粒子径の電鋳膜である
ことを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
請求項１ないし６のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
少なくとも一部が電鋳膜で形成された薄膜部材を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
金属膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記金属膜上に電鋳膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と、
前記レジストパターンが除去された状態で、前記金属膜と前記電鋳膜との接合部を被覆する電鋳保護膜を形成する工程と、を行い、前記薄膜部材を形成する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。