JP5942537B2 - 脱脂体の製造方法および焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
焼結体の製造には、まず、金属粉末と有機バインダーとを混合、混練し、この混練物(コンパウンド)を成形して成形体を得る。次いで、得られた成形体を脱脂、焼成して焼結体が得る。
得られた焼結体の機械的特性や磁気特性を左右するのは、脱脂状態の良否である。脱脂とは、成形体から有機バインダーを除去することをいうが、この除去が成形体全体で均一に行われるか否かが、最終的に得られる焼結体の機械的特性や磁気特性の観点から重要である。そこで、脱脂状態を左右する脱脂工程を最適化することが求められている。
また、脱脂の均一性を重視した場合、脱脂工程に要する時間が著しく長くなることが懸念される。このため、脱脂体の均一性を確保しつつ、より短時間で脱脂を行うことが重要な課題となっている。
さらに、金属粉末の粒径が小さい場合、有機バインダーの分解成分が円滑に排出されず、脱脂不良になることがあった。
本発明の脱脂体の製造方法は、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とする磁性金属粉末と、3種類以上の成分を含む有機バインダーと、を含む成形体に脱脂処理を施して脱脂体を得る脱脂体の製造方法であって、
前記有機バインダーは、含有率の多い方から2種類の前記成分として、1気圧での分解温度がTH[℃]である第1バインダー成分と、1気圧での分解温度が前記TH未満のTL[℃]である第2バインダー成分と、を含むものであり、
前記脱脂処理は、
前記成形体を圧力50kPa以上の不活性ガス含有雰囲気において(TL−30℃)未満でかつ100℃以下の温度で加熱する第1の脱脂昇温過程と、
前記第1の脱脂昇温過程後、前記成形体を圧力10 −4 Pa以上10kPa以下の減圧雰囲気において(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する第2の脱脂昇温過程と、
前記第2の脱脂昇温過程後、前記成形体を圧力50kPa以上の不活性ガス含有雰囲気において(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する第3の脱脂昇温過程と、
を有することを特徴とする。
これにより、脱脂の均一化が図られるとともに、脱脂をより短時間で完了させることができるので、磁気特性に優れた焼結体を製造可能な脱脂体を効率よく製造することができる。
これにより、昇温過程において、第2バインダー成分と第1バインダー成分との間で、分解に至るまでの時間に十分な時間差を設けることができ、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
前記第1バインダー成分および前記第2バインダー成分は、前記3成分の中から選択されることが好ましい。
本発明の脱脂体の製造方法では、前記不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点は、65℃以上105℃以下であることが好ましい。
これにより、成形体を形成するための組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性が高められるため、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
これにより、磁性金属粉末の酸化、変性等を抑えつつ、成形体周辺のガス交換を行うことによって有機バインダーの分解成分を効率よく排出することができる。
本発明の脱脂体の製造方法では、前記磁性金属粉末の平均粒径が3μm以上15μm以下であることが好ましい。
これにより、磁性金属粉末の著しい凝集や成形時の圧縮性の低下を避けることができるので、十分に緻密で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
前記第1の焼成昇温過程後、前記脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する第2の焼成昇温過程と、
前記第2の焼成昇温過程後、前記脱脂体を1050℃以上1600℃未満の温度で加熱する第3の焼成昇温過程と、を有することを特徴とする。
これにより、均一で磁気特性に優れた焼結体を効率よく製造することができる。
これにより、減圧雰囲気下において被処理物の汚染や急激な温度低下を抑えつつ冷却することができるので、焼結体の汚染、割れ、変形等の発生を抑えることができる。
<組成物>
まず、本発明の脱脂体の製造方法に用いる成形体およびこの成形体の製造に用いる組成物について説明する。
このうち、磁性金属粉末は、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とするものである。
一方、有機バインダーは、磁性金属粉末の粒子同士を結着させるものであり、1気圧での分解温度がTH[℃]である第1バインダー成分と、1気圧での分解温度がTL[℃](ただし、TLはTH未満)である第2バインダー成分と、を含むものである。なお、有機バインダー中に3種類以上の成分が含まれている場合、その含有率の多い方から2種類の成分のうち、1気圧での分解温度が高い方を第1バインダー成分とし、低い方を第2バインダー成分とする。そして、第1バインダー成分の1気圧での分解温度をTH[℃]とし、第2バインダー成分の1気圧での分解温度をTL[℃](ただし、TLはTH未満である。)とする。
(磁性金属粉末)
磁性金属粉末としては、前述したように、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とする粉末が用いられる。主成分とは、磁性金属粉末を構成する磁性金属材料に最も多く含まれ、かつ、その含有率が50質量%超である元素のことである。したがって、磁性金属材料には、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金等が挙げられる。具体的には、純鉄、フェライト系ステンレス鋼、センダスト、パーマロイ、スーパーマロイ、パーメンジュール、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr、Fe−Al−Cr、Fe−Si−Cr等が挙げられる。
これらの中でもパーメンジュール(Fe−Co−V系合金)が好ましく用いられる。Fe−Co−V系合金は、飽和磁束密度が特に高いことから、優れた磁気特性を有する磁性金属焼結体を実現することができる。
本発明に用いられる磁性金属粉末の平均粒径は、好ましくは3μm以上15μm以下とされ、より好ましくは5μm以上12μm以下とされ、さらに好ましくは6μm以上9μm以下とされる。このような粒径の磁性金属粉末は、著しい凝集や成形時の圧縮性の低下を避けつつ、十分に緻密で寸法精度の高い焼結体を製造可能なものとなる。なお、平均粒径が前記下限値未満である場合、磁性金属粉末が凝集し易くなり、成形時の圧縮性が著しく低下するおそれがある。一方、平均粒径が前記上限値を超える場合、磁性金属粉末の粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、最終的に得られる焼結体の緻密化が不十分になるおそれがある。
また、質量基準で累積量が10%になるときの粒径D10は、1.5μm以上7μm以下であるのが好ましく、2μm以上5μm以下であるのがより好ましい。
さらに、質量基準で累積量が90%になるときの粒径D90は、10μm以上30μm以下であるのが好ましく、15μm以上25μm以下であるのがより好ましい。
上述したような粒度分布を有する磁性金属粉末は、焼結体を製造したときに均一で磁気特性および機械的特性に優れた磁性金属焼結体を製造可能なものである。
有機バインダーは、前述したように、1気圧での分解温度がTH[℃]である第1バインダー成分と、1気圧での分解温度がTL[℃](ただし、TLはTH未満)である第2バインダー成分と、を含むものである。したがって、各成分は、選択される組み合わせにおける分解温度の大小関係に応じて、第1バインダー成分にも第2バインダー成分にもなり得る。なお、分解温度は、昇温に伴って重量減少を開始する温度であり、例えば熱重量分析、示差熱分析、またはこれらの双方により特定することができる。
不飽和グリシジル基含有重合体は、不飽和グリシジル基含有モノマーを繰り返し単位として含むポリマーである。不飽和グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、イタコン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、本発明で用いられる不飽和グリシジル基含有重合体には、これらの不飽和グリシジル基含有モノマーのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。また特にグリシジル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
これらのエチレン系不飽和エステル化合物モノマーの中でも、特に、酢酸ビニルおよびアクリル酸メチルの少なくとも一方を含むものが好ましく用いられる。
また、不飽和グリシジル基含有重合体は、前述したような不飽和グリシジル基含有モノマーの他に、非極性α−オレフィン系モノマーを含むのが好ましい。非極性α−オレフィン系モノマーを繰り返し単位として含むことにより、不飽和グリシジル基含有重合体は、スチレン系樹脂のようなオレフィン系樹脂との親和性に富んだものとなる。その結果、不飽和グリシジル基含有重合体は、前述したように磁性金属粉末の粒子に対して親和性を有するだけでなく、他のバインダー成分に対しても親和性を有するものとなるため、磁性金属粉末と他のバインダー成分との間で安定的に存在し得るものとなる。その結果、脱脂体(成形体)の成形性の向上、保形性の低下を特に抑制することができる。
非極性α−オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、それらの中でもエチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。
また、本発明に用いられる不飽和グリシジル基含有重合体のメルトマスフローレート(190℃)は、2[g/10min]以上10[g/10min]以下程度であるのが好ましく、3[g/10min]以上8[g/10min]以下程度であるのがより好ましい。このようなメルトマスフローレートの不飽和グリシジル基含有重合体は、成形型への充填性に優れることから、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。なお、メルトフローレートは、JIS K 6922−2に規定の方法に準じて測定温度190℃、測定荷重2.16kgで測定することができる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体を構成する繰り返し単位としては、前述したように、不飽和グリシジル基含有モノマーが挙げられ、必要に応じてエチレン系不飽和エステル化合物モノマーや非極性α−オレフィン系モノマー等が添加される。
さらに、不飽和グリシジル基含有重合体としては、その引張強さが4MPa以上25MPa以下程度であるものが好ましく用いられ、5MPa以上20MPa以下程度であるものがより好ましく用いられる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体の重量平均分子量は、上述したようなメルトフローレート等を考慮して適宜設定されるが、一例として、1万以上40万以下であるのが好ましく、3万以上30万以下であるのがより好ましい。
スチレン系樹脂は、有機バインダーに適度な機械的強度を付与し、成形体の保形性を高める。このため、特に寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
スチレン系樹脂としては、スチレンモノマーを繰り返し単位として含む重合体や共重合体が挙げられ、ホモポリマーのポリスチレンが好ましく用いられる。
スチレン系樹脂としては、その軟化点が不飽和グリシジル器含有重合体の軟化点より高く、かつ、90℃以上150℃以下のものが好ましく用いられ、100℃以上140℃以下のものがより好ましく用いられる。スチレン系樹脂の重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、磁性金属粉末と有機バインダーとをより均一に混合することができ、組成物の成形性をより高めることができる。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を得ることができる。
ワックス類は、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性を高める。その結果、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、ワックス類としては、その軟化点が30℃以上100℃以下のものが好ましく用いられ、50℃以上95℃以下のものがより好ましく用いられる。
フタル酸エステルは、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性を高める。その結果、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いられる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体に対するフタル酸エステルの比率は、30質量%以上80質量%以下程度であるのが好ましく、40質量%以上70質量%以下程度であるのがより好ましい。比率を前記範囲内に設定することにより、組成物に適度な流動性を付与しつつ、保形性の低下を抑制することができる。
また、有機バインダーには、上記4種以外に前述したその他の成分を含んでいてもよい。
飽和脂肪酸の炭素数は、12以上20以下程度であるのが好ましい。これにより、成形性を特に高めることができる。
また、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸のような飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
また、アルコール類としては、例えば、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等が挙げられ、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等が好ましく用いられる。
また、シリコーン系滑剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびその変性物、カルボキシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、αオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等が挙げられる。
また、不飽和グリシジル基含有重合体に対するその他の成分の質量比は、0.005以上0.3以下であるのが好ましく、0.01以上0.2以下であるのがより好ましい。
なお、組成物は、上記の成分の他に、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
また、組成物中における有機バインダーの含有率は、磁性金属粉末100質量部に対して1質量部以上50質量部以下程度とするのが好ましく、3質量部以上30質量部以下程度とするのがより好ましい。これにより、組成物は、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を確実に製造可能なものとなる。
次いで、本発明の脱脂体の製造方法および焼結体の製造方法について説明する。
脱脂体の製造方法は、磁性金属粉末と有機バインダーとを混練して混練物を得る混練工程と、得られた混練物を所望の形状に成形する成形工程と、得られた成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、を有する。また、焼結体の製造方法は、上記脱脂体の製造方法により製造された脱脂体を焼成する焼成工程を有する。以下、各工程について順次説明する。
混練物は、上述した磁性金属粉末、有機バインダー等を混練して調製されるが、この混練には、例えば、加圧または双腕ニーダー式混練機、ロール式混練機、バンバリー型混練機、1軸または2軸押出機等の各種混練機を用いることができる。
混練工程における混練温度は、有機バインダーの各成分の軟化点に応じて適宜設定される。例えば、不飽和グリシジル基含有重合体やワックス類はポリスチレンより軟化点が低いので、初期の混練温度は、軟化点が最も低い成分のみが軟化し、それより軟化点が高い成分は軟化しない温度に設定されるのが好ましい。これを軟化点の低い側から繰り返すことにより、成分ごとに成分を軟化させることができる。これにより、磁性金属粉末と有機バインダーとを混練する際の成分の偏在が抑制されることとなり、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
なお、全体の混練時間は、15分以上210分以下程度であるのが好ましい。
なお、平均粒径は、レーザー回折法により、質量基準で累積量が50%になるときの粒径として求められる。
次に、得られた混練物の成形を行う。これにより、所望の形状、寸法の成形体を製造する。
成形方法としては、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法等が用いられる。製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。
また、得られた成形体に対して、必要に応じ、機械加工、レーザー加工等の後加工を施すようにしてもよい。
なお、本発明に供される成形体は、上述した混練工程および成形工程を経て製造されたものに限定されず、いかなる方法で製造されたものでもよい。
次に、得られた成形体に対して脱脂処理を施す。これにより、成形体中に含まれるバインダーを除去(脱脂)して、脱脂体が得られる。
図1は、脱脂工程および後述する焼成工程中に含まれる昇温過程および降温過程を示す工程図である。
具体的には、本発明における脱脂処理は、成形体を(TL−30℃)未満の温度で加熱する第1の脱脂昇温過程と、第1の脱脂昇温過程後、成形体を(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する第2の脱脂昇温過程と、第2の脱脂昇温過程後、成形体を(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する第3の脱脂昇温過程と、を有している。以下、各脱脂昇温過程について説明する。
第1の脱脂昇温過程では、成形体を(TL−30℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、有機バインダーは温められるものの、大部分は分解まで至らないと考えられる。このため、有機バインダーの変性を抑制しつつ、成形体の温度の均一化が図られる。
第1の脱脂昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間以上15時間以下程度とされ、より好ましくは1時間以上10時間以下程度とされる。なお、本脱脂昇温過程では、上記温度が最高温度であり、この最高温度を上記加熱時間続けてもよく、一部の時間だけ最高温度で加熱し、それ以外の時間はそれより低い温度で加熱するようにしてもよい。これは、後述する他の昇温過程でも同様である。
なお、上述したように、本脱脂昇温過程における加熱温度は有機バインダーの各成分の組成に応じて適宜設定されるが、加熱温度の一例としては100℃以下とされる。
また、脱脂工程は脱脂装置内に被処理物を載置して行うが、この際、セラミックス製の敷板の上に被処理物を並べることにより、被処理物の取り扱いが容易になるとともに、多数の被処理物に対して効率よく均一に脱脂処理を施すことができる。
また、敷板上に被処理物を載置する場合、できるだけ等間隔でかつ配置密度が均一になるように、格子状等の配置パターンが採用される。これにより、熱容量のバラツキが抑えられ、脱脂処理の均一化が図られる。
筐体の材質は、熱容量、熱伝導、耐熱性(耐変形性、耐分解性等)、被処理物との非反応性等を考慮して選択されるが、例えばカーボンが挙げられる。
第2の脱脂昇温過程では、成形体を(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、第2バインダー成分の分解が開始される一方、第1バインダー成分はあまり分解しないと考えられる。このため、2つの成分の間で分解の進行度合いに差が生じることとなり、第2バインダー成分が優先的に除去される。これにより、多量のバインダー成分が突発的に分解するのではなく、少量のバインダー成分が徐々に分解、除去されるという脱脂挙動が実現されることとなり、突発的な分解に伴う成形体(脱脂体)の変形、割れ等の不具合が発生し難くなる。すなわち、第2バインダー成分が優先的に除去されると、成形体には第2バインダー成分が通過した跡に微小な経路が形成されるため、その後の昇温過程において、本昇温過程で形成された経路を介して第1バインダー成分が円滑に排出される。したがって、第2の脱脂昇温過程を経ることにより、最終的に寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
また、第2の脱脂昇温過程における加熱雰囲気としては、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に減圧雰囲気であるのが好ましく、不活性ガス含有雰囲気の減圧雰囲気であるのがより好ましい。これにより、第2バインダー成分の分解を促進するとともに、上記範囲内でも加熱温度を下げることができる。その結果、脱脂工程の短時間化が図られるとともに、第2バインダー成分が軟化し難くなり、脱脂体の変形、割れ等の不具合の発生を抑制することができる。
また、上述したように、本脱脂昇温過程における加熱温度は有機バインダーの各成分の組成に応じて適宜設定されるが、加熱温度の一例としては、第1の脱脂昇温過程における加熱温度よりも高く、かつ、50℃以上350℃以下とされる。
第3の脱脂昇温過程では、成形体を(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、第1バインダー成分の分解が開始されると考えられる。前述したように第1バインダー成分は、成形体(脱脂体)中に形成された経路を経て排出されるため、ムラなく除去される。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
また、第3の脱脂昇温過程における加熱雰囲気としては、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、窒素ガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、成形体(脱脂体)周辺のガス交換を行うことによって有機バインダーの分解成分を効率よく排出することができる。なお、ガス交換の効率という観点からは、不活性ガスの封じ切りではなく、成形体の配置空間に不活性ガスを継続的に供給(フロー)するようにするのが好ましい。
この場合、雰囲気圧力は、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)またはそれより高圧であるのが好ましい。
また、TH−TLは10℃以上200℃以下であるのが好ましく、30℃以上150℃以下であるのがより好ましい。分解温度の差が前記範囲内になるよう第2バインダー成分の組成と第1バインダー成分の組成とを設定することにより、上述したように、昇温過程においてバインダー成分が分解に至るまでの時間に十分な時間差を設けることができ、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を得ることができる。
上述したような昇温過程の後、脱脂体を冷却する。この冷却は大気開放による自然冷却であってもよいが、冷却ガスを充填した空間での自然冷却や、冷却ガスを吹き付ける、あるいは循環させることによる強制冷却であってもよい。
冷却ガスとしては、昇温過程におけるガスであってもよいが、好ましくは不活性ガスが用いられ、より好ましくは窒素ガスが用いられる。これらのガスを用いることにより、磁性金属粉末の酸化や変性が抑えられるとともに、脱脂装置内の酸化や汚染も抑えることができる。
また、上記のような脱脂処理後に、得られた脱脂体に対して、例えば、ばり取りや、溝等の微小構造の形成等の目的で、各種後加工を施してもよい。
なお、成形体中のバインダーは、脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
また、昇温過程を上記のようにしたことにより、脱脂の効率が向上し、より短時間で脱脂を完了することができる。したがって、上記脱脂体を短時間で製造することができる。
次いで、焼成工程について説明する。脱脂体に焼成処理を施すことにより、磁性金属粉末を焼結させ、焼結体が得られる。
焼成工程では脱脂体を加熱するが、本発明では3つの焼成昇温過程を含んでいる。具体的には、脱脂体を750℃未満の温度で加熱する第1の焼成昇温過程と、第1の焼成昇温過程後、脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する第2の焼成昇温過程と、第2の焼成昇温過程後、脱脂体を1050℃以上1600℃未満の温度で加熱する第3の焼成昇温過程と、を有している。以下、各焼成昇温過程について説明する。
第1の焼成昇温過程では、脱脂体を750℃未満の温度で加熱する。この温度域では、脱脂体中に残存している有機バインダーを除去するとともに、脱脂体の温度の均一化を図られる。したがって、この温度域で一定時間加熱されることにより、後述する焼成昇温過程における焼結の進行の均一化を図ることができる。なお、加熱温度は有機バインダーの組成に応じて上記範囲内で適宜設定されるが、一例として500℃以上750℃未満とされるのが好ましい。
また、第1の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に減圧雰囲気であるのが好ましく、不活性ガスの減圧雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、脱脂体周辺のガス交換および真空排気を行うことによって有機バインダーの分解成分を効率よく排出することができる。
第2の焼成昇温過程では、脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する。この温度域では、磁性金属粉末の焼結が開始される。また、磁性金属粉末に含まれる酸素原子と有機バインダーの分解成分に含まれる炭素原子とが結合し、気化して排出される反応も開始される。その結果、磁性金属粉末の還元に伴う焼結性の向上と、有機バインダーの分解成分の排出とが同時に進行することとなり、最終的に得られる焼結体の機械的特性や磁気特性等の向上に寄与する。
また、第2の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、アルゴンガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、磁性金属粉末を効率よく焼結させることができる。
この場合、雰囲気圧力は、大気圧以上であってもよいが、コスト等を考慮した場合、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)であるのが好ましい。
第3の焼成昇温過程では、脱脂体を1050℃以上の温度で加熱する。この温度域では、磁性金属粉末が最終的な焼結状態に至り、焼結体が製造される。なお、最高加熱温度は磁性金属粉末の組成に応じて適宜設定されるが、一例として1050℃以上1400℃以下程度とされる。
また、第3の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、アルゴンガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、上述したのと同様の効果が得られる。
この場合、雰囲気圧力は、大気圧以上であってもよいが、コスト等を考慮した場合、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)であるのが好ましい。
上述したような昇温過程の後、焼結体を冷却する。この降温過程は特に限定されないが、第1の焼成降温過程とその後の第2の焼成降温過程とを有するのが好ましい。
第1の焼成降温過程では、焼結体を減圧雰囲気に置く。これにより、焼結体と酸素ガスや窒素ガスとの接触が防止され、焼結体の汚染を防ぐことができる。併せて、焼成装置内の汚染も防ぐことができる。また、減圧雰囲気に置くことによって、焼結直後の焼結体の温度が急激に低下するのを防止することができる。これにより、焼結体の汚染、割れ、変形等の発生を抑えることができる。なお、必要に応じて、焼結体に熱を加えながら温度を徐々に下げるようにしてもよい。
また、減圧雰囲気における圧力は、特に限定されないが、好ましくは10−4Pa以上10kPa以下程度とされ、より好ましくは10−3Pa以上1kPa以下程度とされる。これにより、適度な降温速度と焼結体の汚染の防止とを両立することができ、高品質な焼結体を短時間で製造することができる。
第1の焼成降温過程における冷却時間は、特に限定されないが、好ましくは1分以上1時間以下程度とされ、より好ましくは3分以上30分以下程度とされる。
第2の焼成降温過程では、焼結体を不活性ガス雰囲気に置く。これにより、雰囲気との熱交換によって焼結体の冷却が進行することとなる。また、不活性ガスを用いることにより、焼結体の酸化や焼成装置内の汚染を防ぐことができる。またこの場合、焼結体の配置空間に不活性ガスを継続的に供給(フロー)または循環させることにより、熱交換効率を高めるようにすればよい。
本焼成降温過程において常温まで冷却することにより、その後、焼結体が大気に触れたとしても酸化のおそれが少なくなる。
得られる焼結体の相対密度は、例えば、95%以上、好ましくは96%以上となることが期待される。このような焼結体は、焼結密度が高く、かつ外観および寸法精度に優れたものとなる。
なお、得られた焼結体に対して、例えば、機械加工(切削加工、プレス加工、研磨加工等)、放電加工、レーザー加工、エッチング等の各種後加工を施してもよい。このような後加工を施すことにより、ばり取りを行ったり、寸法精度のさらなる向上を図ったりすることができる。
HIP処理の条件としては、例えば、温度が850℃以上1100℃以下、時間が1時間以上10時間以下とされる。
また、加圧圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。
上記のようにして得られた焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、その用途としては、各種構造部品、各種医療用構造体等が挙げられる。
図2に示すヨークケース1は、平面視における中心部を貫通する貫通孔101を備えた円環状の板状体であるケース本体10と、ケース本体10の外縁および内縁のそれぞれに設けられ、ケース本体10より厚さがそれぞれ厚くなっている縁部11と、ケース本体10の外縁と内縁との間で内縁に沿って等間隔に配列し、ケース本体10より厚さが厚くなっている12個のコア12と、ケース本体10の外縁と内縁との間に点在し、ケース本体10を貫通する複数の貫通孔13と、を有している。
そこで、焼結後のヨークケース1に対して、検査ゲージによる寸法検査を行う。検査ゲージを用いることにより、ヨークケース1の各部の寸法をそれぞれ測定することなく、ヨークケース1の寸法が設計値に収まっているか否かを短時間で検査することができる。
図3に示す検査ゲージ2は、円環状の板状体であるゲージ本体20と、ゲージ本体20の内側にゲージ本体20の一方の面から突出するよう設けられた凸部21と、ゲージ本体20の外縁に沿って等間隔に配列し、ゲージ本体20を貫通する貫通孔22と、を有している。
また、梱包ケース4に防錆紙41を被せた状態で、これらを袋5に収納するようにしてもよい。これにより、焼結体3を外気との接触から隔離し、焼結体3の酸化、変質等を抑制することができる。なお、袋5としては、例えばポリエチレン製のものが挙げられ、必要に応じてアルミラミネート加工が施されたものが用いられる。
1.焼結体の製造
(実施例1)
まず、49質量%Fe−49質量%Co−2質量%V系合金(パーメンジュール)で構成された磁性金属粉末を用意した。この磁性金属粉末について、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、日機装株式会社製、HRA9320−X100)により平均粒径を測定した。その結果、D10は3.2μm、D50は8.1μm、D90は19.9μmであった。
次いで、磁性金属粉末とバインダー粉末とフタル酸エステルとを混合し、加圧ニーダーにて混練温度160℃で30分間混練した。この混練は窒素ガス雰囲気中で行った。なお、磁性金属粉末100質量部に対するバインダー成分の添加量は7.5質量部とした。
次いで、得られたペレットを用い、材料温度:190℃、射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm2)という成形条件で、射出成形機にて成形を行った。これにより、成形体を得た。
次に、得られた脱脂体に対して、表1に示す条件で焼成処理を施した。これにより、焼結体を得た。得られた焼結体は、図2に示すように、円環状をなす板状体(ヨークケース)であり、その外径は35mm、内径は10mm、最大厚さ5mmであった。
有機バインダーとして表1、2に示す組成のものを用いるとともに、脱脂条件および焼成条件を表1、2に示すようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
(比較例1〜6)
有機バインダーとして表1、2に示す組成のものを用いるとともに、脱脂条件および焼成条件を表1、2に示すようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
<不飽和グリシジル基含有重合体>
・GMA−1:E−GMA−VA共重合体(分解温度310℃)
・GMA−2:E−GMA共重合体
・GMA−3:E−GMA−MA共重合体(分解温度280℃)
<スチレン系樹脂>
・PS:ポリスチレン(重量平均分子量10000)(分解温度350℃)
・PW−1:パラフィンワックス(分解温度260℃)
・PW−2:パラフィンワックス(分解温度230℃)
<フタル酸エステル>
・DBP :フタル酸ジブチル
また、不飽和グリシジル基含有重合体のメルトフローレートは、GMA−1が7g/10min、GMA−2が3g/10min、GMA−3が7g/10minであった。
2.1 焼結密度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により密度を測定した。また、測定された焼結密度と、磁性金属粉末の真密度から、焼結体の相対密度を算出した。
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外観を以下の評価基準にしたがって評価した。
<外観の評価基準>
◎:割れ、欠損および変形の発生数が3個以下である。
○:割れ、欠損および変形の発生数が4個以上10個以下である。
△:割れ、欠損および変形の発生数が11個以上50個以下である。
×:割れ、欠損および変形の発生数が51個以上である。
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外径をマイクロメーターで測定した。そして、測定値の平均値について、JIS B 0411(金属焼結品の普通許容差)に規定の「幅の普通許容差」に基づき、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:等級が精級である(許容差±0.05mm以下)。
○:等級が中級である(許容差±0.05mm超±0.1mm以下)。
△:等級が並級である(許容差±0.1mm超±0.2mm以下)。
×:許容外である。
以上の評価結果を表1、2に示す。
なお、各焼結体について、各コアに導電を巻き付け、形成されたコイルに電流を流すことによって各コアの磁気特性を測定、比較した。その結果、各実施例で得られた焼結体は、いずれも各比較例で得られた焼結体に比べて磁気特性が高いことが認められた。具体的には、鉄損および保磁力が小さく、磁束密度が大きいことが認められた。そして、これらの磁気特性は、焼結密度が高いものほど優れていることが認められた。
また、パーメンジュールに代えて、純鉄、珪素鋼、センダストおよびパーマロイを用いた場合にも、上記パーメンジュールの場合の実施例と同様の傾向が認められた。
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、図2に示すヨークケースの各コア表面のビッカース硬度を測定した。そして12個の測定値の分布幅を算出し、これを各焼結体で比較した。
その結果、各実施例で得られた焼結体のビッカース硬度の分布幅は、いずれも各比較例で得られた焼結体のビッカース硬度の分布幅に比べて狭かった。このことから、各実施例で得られた焼結体は、いずれも各比較例で得られた焼結体に比べて均一性が高いことが認められた。
次いで、この12本のピンを駆動したときの駆動力をそれぞれ測定した。その結果、駆動力の分布幅についても、各実施例で得られたヨークケースはいずれも各比較例で得られたヨークケースよりも狭かった。
Claims (12)
- Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とする磁性金属粉末と、3種類以上の成分を含む有機バインダーと、を含む成形体に脱脂処理を施して脱脂体を得る脱脂体の製造方法であって、
前記有機バインダーは、含有率の多い方から2種類の前記成分として、1気圧での分解温度がTH[℃]である第1バインダー成分と、1気圧での分解温度が前記TH未満のTL[℃]である第2バインダー成分と、を含むものであり、
前記脱脂処理は、
前記成形体を圧力50kPa以上の不活性ガス含有雰囲気において(TL−30℃)未満でかつ100℃以下の温度で加熱する第1の脱脂昇温過程と、
前記第1の脱脂昇温過程後、前記成形体を圧力10 −4 Pa以上10kPa以下の減圧雰囲気において(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する第2の脱脂昇温過程と、
前記第2の脱脂昇温過程後、前記成形体を圧力50kPa以上の不活性ガス含有雰囲気において(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する第3の脱脂昇温過程と、
を有することを特徴とする脱脂体の製造方法。 - TH−TLが10℃以上200℃以下である請求項1に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記有機バインダーは、不飽和グリシジル基含有重合体、ポリスチレンおよびワックス類の3成分を含み、
前記第1バインダー成分および前記第2バインダー成分は、前記3成分の中から選択される請求項1または2に記載の脱脂体の製造方法。 - 前記不飽和グリシジル基含有重合体に対するワックス類の比率は、100質量%超150質量%以下である請求項3に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点は、65℃以上105℃以下である請求項3または4に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記有機バインダーは、前記第1バインダー成分および前記第2バインダー成分以外の成分としてフタル酸エステルを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記第1の脱脂昇温過程における不活性ガス含有雰囲気は、窒素ガス含有雰囲気である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記第2の脱脂昇温過程における減圧雰囲気は、不活性ガス含有雰囲気の減圧雰囲気である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記第3の脱脂昇温過程における不活性ガス含有雰囲気は、窒素ガス含有雰囲気である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法。
- 前記磁性金属粉末の平均粒径が3μm以上15μm以下である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法。
- 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の脱脂体の製造方法により製造された脱脂体を750℃未満の温度で加熱する第1の焼成昇温過程と、
前記第1の焼成昇温過程後、前記脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する第2の焼成昇温過程と、
前記第2の焼成昇温過程後、前記脱脂体を1050℃以上1600℃未満の温度で加熱する第3の焼成昇温過程と、を有することを特徴とする焼結体の製造方法。 - 前記第3の焼成昇温過程後、減圧雰囲気中で前記脱脂体を冷却した後、不活性ガスを継続的に供給する雰囲気中で前記脱脂体を冷却する請求項11に記載の焼結体の製造方法。
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