JP5942122B2 - 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 - Google Patents
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5942122B2 JP5942122B2 JP2012155902A JP2012155902A JP5942122B2 JP 5942122 B2 JP5942122 B2 JP 5942122B2 JP 2012155902 A JP2012155902 A JP 2012155902A JP 2012155902 A JP2012155902 A JP 2012155902A JP 5942122 B2 JP5942122 B2 JP 5942122B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- acid
- polyamide resin
- polyamide
- fiber reinforced
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Polyamides (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Moulding By Coating Moulds (AREA)
Description
特許文献7には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とウンデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合したポリアミドが開示されている。特許文献8には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合したポリアミドが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1〜8に開示されているような、従来のポリアミド樹脂組成物では、未だ十分な特性が得られているとは言えず、改善の余地がある。
また従来において、ポリアミド樹脂の強度を向上させるために、ガラス繊維等の繊維状強化材を配合することが知られており、チョップドストランド等の短繊維を押出機で混練した繊維強化ポリアミド樹脂組成物がある。これに対し、近年の更に高度な機械的強度等の要求に応える方法として、例えば、連続した強化繊維を引きながら溶融したポリアミド樹脂に含浸させる、プルトルージョン法によって得られる長繊維強化ポリアミド樹脂組成物が検討されている。しかしながら、このような長繊維強化ポリアミド樹脂において、樹脂成分がポリアミド66では、押出時及び成形時の流動性が十分でない場合があり、成形品の表面外観が悪化する場合があるという問題を有している。このような問題は長繊維強化ポリアミド樹脂組成物に特有の問題であり、成形加工性及び表面外観性の改善が切望されている。
さらに、本発明が解決しようとする課題は、バイオマス由来の原料で構成されるユニットの割合(バイオマスプラスチック度)が高く、環境負荷を低減し得るポリアミド樹脂組成物、及びこれを用いた成形品を提供することを目的とする。
(A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット中における重量平均繊維長が当該長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットの長さと実質上同一である(B)繊維状強化材100〜250質量部と、
を、含有する長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔2〕
前記(B)繊維状強化材が5〜20μmの平均繊維径を有するガラス繊維である、前記〔1〕に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔3〕
ペレット長が5〜30mmである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔4〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔5〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位におけるトランス異性体比率が65〜80モル%である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔6〕
アミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}が、0.0以上0.5未満である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔7〕
前記(b)炭素数8以上のジアミンがデカメチレンジアミンである、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔8〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔9〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、セバシン酸及び/又はドデカン二酸である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔10〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、イソフタル酸である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔11〕
前記(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンが、炭素数4〜7の脂肪族ジアミンである、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔12〕
JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、50℃/minで再度冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が、10℃以下である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔13〕
前記共重合ポリアミド(A)の全構成単位の含有量の合計100モル%に対し、前記(c)上記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位の含有量が、5.0モル%以上22.5モル%以下である、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔14〕
前記共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度が25%以上である、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔15〕
無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を、さらに含む、前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
〔16〕
前記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
〔17〕
成形品中に、前記(B)繊維状強化材が1mm以上の重量平均繊維長で分散してなる、前記〔16〕に記載の成形品。
〔18〕
自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品である、前記〔16〕に記載の成形品。
さらに、本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、共重合ポリアミドにおいてバイオマス由来の原料で構成されるユニットの割合(バイオマスプラスチック度)が高いため、環境負荷を低減できる。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、
(A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット中における重量平均繊維長が、当該長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットの長さ(以下、単にペレット長と記載する場合もある。)と実質上同一である(B)繊維状強化材100〜250質量部と、
を、含有している。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット(以下、単に、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物と記載する場合がある。)に含まれる(A)共重合ポリアミド(以下、共重合ポリアミド(A)と記載する場合がある。)は、下記成分(a)からなる単位、下記成分(b)からなる単位及び下記成分(c)からなる単位を含有する。
(a)脂環族ジカルボン酸。
(b)炭素数8以上のジアミン。
(c)後述する(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1主の共重合成分。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を構成する(A)共重合ポリアミドに含まれる(a)脂環族ジカルボン酸(以下「脂環式ジカルボン酸」とも記される。)としては、特に限定されないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。(a)脂環族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などが挙げられる。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を構成する(A)共重合ポリアミドに含まれる(b)炭素数8以上のジアミンとしては、炭素数8以上のジアミンであれば特に限定されないが、例えば、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などの置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでも、芳香族ジアミンでもよい。本実施形態に用いる(b)炭素数8以上のジアミンにおける炭素数は、8〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットに含まれる(A)共重合ポリアミドを構成する(c):(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分(以下、(c)共重合成分と記載する場合がある。)は、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸、(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン、並びに(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
組み合わせる例としては、(c−1)、(c−2)及び(c−3)の中から自由に組み合わせることができ、例えば、(c−1)から2種類を用いてもよいし、(c−2)や(c−3)から2種類を組み合わせてもよいし、(c−1)から1種類及び(c−2)から1種類のように組み合わせても構わない。
(c)共重合成分からなる単位の含有量を前記範囲とすることで、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該共重合ポリアミド(A)を含む本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、高温剛性、表面外観及び耐衝撃特性に優れる。
本実施形態に用いる(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
中でも、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性などの観点で、セバシン酸及び/又はドデカン二酸が好ましい。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、表面外観などの観点で、特に、イソフタル酸が好ましい。
前記(a)脂環族ジカルボン酸の割合が、50〜100モル%であることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該共重合ポリアミド(A)を含む本実施形態のポリアミド樹脂組成物ペレットは、高温剛性、表面外観及び耐衝撃特性に優れる。
本実施形態に用いる(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンとしては、前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンであれば特に限定されず、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンなどが挙げられる。
前記多価脂肪族アミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)を得る際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。具体的には、重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
本実施形態に用いる(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重(縮)合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
中でも、アミノカルボン酸としては、低吸水、靭性の観点で、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などがより好ましい。
本実施形態において、共重合ポリアミド(A)を重合する際に、上記(a)〜(c)成分以外に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、及びモノアミンが好ましい。
また、共重合ポリアミド(A)を重合する際に、上記(a)〜(c)成分以外に末端封止剤をさらに添加することにより、共重合ポリアミド中に末端封止剤からなる単位が形成される。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(異性体比率)
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)において、(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度は、25%以上であることが好ましい。バイオマスプラスチック度とは、共重合ポリアミド(A)のうち、バイオマス由来の原料にて構成される単位の割合を意味し、下記実施例に記載する方法により算出することができる。より好ましいバイオプラスチック度としては30%以上である。
本実施形態の共重合ポリアミドのバイオマスプラスチック度の上限値は、特に限定されないが、80%以上になると共重合ポリアミドの長鎖モノマーが多くなり、融点の低下を招来するおそれがあるため、80%よりも低いことが好ましい。
バイオマス由来の原料としては、特に限定されないが、例えば、ひまし油の主成分であるリシノレイン酸トリグリセライドから合成することができる、セバシン酸、デカメチレンジアミン及び11−アミノウンデカン酸や、ひまわり種子の成分から合成することができる、アゼライン酸や、セルロースから合成することができる、ペンタメチレンジアミン、γ−アミノ酪酸等が挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の分子量は、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とする。
共重合ポリアミド(A)の25℃の硫酸相対粘度ηrを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の熱溶融重合時の添加物としてのジアミン及び末端封止剤の添加量、並びに重合条件を制御する方法などが挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の融解ピーク温度(融点)Tpm-1は、耐熱性の観点から、好ましくは280℃以上が好ましく、より好ましくは280℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上330℃以下であり、さらにより好ましくは310℃以上325℃以下である。
融解ピーク温度Tpm-1が330℃以下である共重合ポリアミド(A)は、押出、成形などの溶融加工における熱分解などを抑制することができるため好ましい。
共重合ポリアミド(A)の融解ピーク温度(融点)Tpm-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
本実施形態において、共重合ポリアミド(A)の、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーは、JIS−K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。具体的には、以下のとおり測定することができる。
測定装置としては、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いることができる。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とする。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れるピークを融解ピーク温度Tpmとする。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとする。続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する。
このときに現れる、最も高温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-2とする。
なお、このときに現れる吸熱ピークが1つの場合は、該吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1及びTpm-2(Tpm-1=Tpm-2)とする。さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とする。
共重合ポリアミド(A)において、融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が小さいほど、共重合ポリアミド(A)中で(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分が熱力学的に安定な構造をとることを意味する。
融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が前記範囲内である共重合ポリアミド(A)は、可塑化時間安定性に優れる。また、該共重合ポリアミド(A)を含むポリアミド樹脂組成物ペレットは、表面外観及び連続生産性に優れる。
共重合ポリアミド(A)において、融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲とし、更に、共重合ポリアミド(A)中の(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を65〜80モル%の範囲内に制御する方法が挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記融解ピーク温度(融点)Tpm-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)における融解ピーク温度Tpm-1と融解ピーク温度Tpm-2との差(Tpm-1−Tpm-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記結晶化ピーク温度Tpc-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記結晶化ピーク温度Tpc-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)において、結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が小さいほど、結晶化速度が速く、共重合ポリアミドの結晶構造が安定であることを意味する。
共重合ポリアミド(A)における結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が前記範囲内であると、低ブロッキング性、離型性の観点から好ましい。
共重合ポリアミド(A)における結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。また、(Tpc-1−Tpc-2)を小さくし、共重合ポリアミド(A)を安定な結晶構造にするためには、共重合ポリアミド(A)の構成成分である(a)〜(c)成分の炭素数を偶数とすることや、炭素鎖を直鎖状とすることや、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上9未満とすることが好ましい。
共重合ポリアミド(A)の結晶化エンタルピーを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上とし、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法が挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のガラス転移温度Tgは、好ましくは90℃以上170℃以下であり、より好ましくは90℃以上140℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上140℃以下である。該ガラス転移温度Tgを90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、共重合ポリアミド(A)から表面外観のよい成形品を得ることができる。
共重合ポリアミド(A)のガラス転移温度Tgを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)において、結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が大きいほど、結晶化できる温度範囲が広く、共重合ポリアミド(A)の結晶構造が安定であることを意味する。
結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が140℃以上である共重合ポリアミド(A)は、低ブロッキング性、離型性に優れる。結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)の上限は、特に限定されないが、例えば、300℃以下である。
また、(Tpc-1−Tg)を大きくし、共重合ポリアミド(A)を安定な結晶構造にするためには、共重合成分(a)〜(c)成分の炭素数を偶数とすることや、炭素鎖を直鎖状とすることや、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上9未満とすることが好ましい。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のポリマー末端は、以下のように分類し、定義される。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシル末端、3)封止剤による末端、及び4)その他の末端である。
共重合ポリアミド(A)のポリマー末端とは、ジカルボン酸とジアミンとがアミド結合により重合したポリマー鎖の末端部分を意味する。前記共重合ポリアミド(A)のポリマー末端は、これら1)〜4)の末端のうちの1種以上である。
2)カルボキシル末端は、カルボキシル基(−COOH基)が結合したポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に添加した末端封止剤、例えば、カルボン酸又はアミンにより封止されたポリマー末端である。
4)その他の末端は、上記の1)〜3)に分類されないポリマー末端であり、特に限定されないが、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端や、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
共重合ポリアミド(A)におけるアミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比を0.0以上0.5未満とすることにより、共重合ポリアミド(A)の強度、靭性、熱時安定性及び耐加水分解性や、該共重合ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物ペレットの色調及び耐衝撃性を維持したまま、該ポリアミド樹脂組成物の熱劣化による色調の低下をより一層抑制することができる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)において、炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、低吸水性の観点から8以上であり、好ましくは8.2以上9未満である。
該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、共重合ポリアミド(A)のアミノ基濃度を示す指標である。
該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を前記範囲内とすることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れた共重合ポリアミド(A)、並びに高温剛性、表面外観及び耐衝撃特性に優れた共重合ポリアミド組成物ペレットを提供できる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した(a)脂環族ジカルボン酸と、(b)炭素数8以上のジアミンと、(c)所定の共重合成分とを重合させる工程を含む、共重合ポリアミドの製造方法が挙げられる。
本実施形態の共重合ポリアミドの製造方法としては、末端封止剤を添加する工程を含む。末端封止剤は、共重合時に添加することが好ましい。
1)ジカルボン酸、ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
中でも、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましく、熱溶融重合法により共重合ポリアミド(A)を製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、共重合ポリアミド(A)の構成成分に適した重合条件で製造することが好ましい。例えば、該熱溶融重合法における重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法などが挙げられる。このような製造方法により得られる共重合ポリアミド(A)は、上述したトランス異性体比率等の特性を満たすことができる。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、上述した(A)ポリアミド100質量部と、(B)繊維状強化材(以下、繊維状強化材(B)と記載することもある。)100〜250質量部を含有する。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、上述した(A)共重合ポリアミド100質量部と、(B)繊維状強化材(以下、繊維状強化材(B)と記載することもある。)100〜250質量部を含有する。
(B)繊維状強化材の種類としては特に制約はなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、高融点(高軟化点)の樹脂繊維等が挙げられる。
これらの中でも、加工性、成形性、及び経済性の観点から、ガラス繊維が好ましく用いられる。これらの繊維状強化材は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理としては、特に限定されないが、例えば、カップリング剤やフィルム形成剤を用いることができる。
前記カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられる。
これらの中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシラン及びエポキシシランが、経済性に優れ、取り扱い易いため、好ましく用いられる。
これらの中でも、経済性と性能が優れる観点から、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物が好ましい。
例えば、上記カップリング剤及びフィルム形成剤の有機溶媒溶液又は懸濁液を、いわゆるサイジング剤として表面に塗布するサイジング処理;ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レーディミキサー、V型ブレンダー等を用いて塗布する乾式混合;スプレーにより塗布するスプレー法;インテグラルブレンド法;ドライコンセントレート法等が挙げられる。
また、これらの方法を組合せた方法(例えば、カップリング剤とフィルム形成剤の一部をサイジング処理により塗布した後、残りのフィルム形成剤をスプレーする方法等)も挙げられる。
これらの中でも、経済性に優れるという観点から、サイジング処理、乾式混合、スプレー法及びこれらを組合せた方法が好ましい。
前記「重量平均繊維長とペレット長とが実質上同一」とは、後述のようにしてペレット中の(B)繊維状強化材の重量平均繊維長を測定した際の重量平均繊維長が、ペレットの長さの0.9〜1.1倍であることを言うものとする。
(B)繊維状強化材は、本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットの長さ方向に平行配列していることが好ましい。
ペレット長が5mmよりも短いと、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物としての強度発現が十分ではなく、30mmより長いと、成形時のホッパーでの分級やブリッジを起しやすく、取扱い性が悪くなる。
成形品中に分散している(B)繊維状強化材の重量平均繊維長が1mm以上であれば、成形品の補強効果が発揮され、特に高温雰囲気下の剛性改善効果や、一定荷重下での経時的変形量が減少することで破壊に至るまでの耐久性に優れ、更には衝撃性が飛躍的に改善される。
また、射出成形品における流動方向と直角方向の機械的特性や成形収縮率の異方性や反りが小さくなり、部品設計上の利点となる。
(B)繊維状強化材の平均繊維径は、顕微鏡法により測定することができる。例えば、用いるガラス繊維の断面を顕微鏡を用いて写真撮影し、ガラス繊維断面の直径を計測する方法により測定し、当該測定値から、下記式(I)により平均繊維径を算出する。
平均繊維径=ガラス繊維直径の合計/ガラス繊維の数 ・・・(I)
例えば、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレット、又は長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて成形した成形品を、ポリアミド樹脂組成物の分解温度以上で加熱し、残ったガラス繊維を、顕微鏡を用いて写真撮影し、ガラス繊維の長さを計測する方法により測定することができる。
顕微鏡法によって得られた測定値から、数平均繊維長及び重量平均繊維長を計算する方法としては、下記式(I)、式(II)が挙げられる。
数平均繊維長=ガラス繊維長さの合計/ガラス繊維の数 ・・・(I)
重量平均繊維長=ガラス繊維長さの2乗和/ガラス繊維長さの合計 ・・・(II)
(B)繊維状強化材の配合割合を上記範囲内にすることにより、優れた機械的強度が得られ、かつ押出性及び成形性に支障をきたす傾向を抑えることができる。
前記造核剤としては、以下に制限されないが、例えば、添加によりポリアミド樹脂組成物の、結晶化ピーク温度を上昇させたり、結晶化ピークの補外開始温度と補外終了温度との差を小さくしたり、得られる成形品の球晶を微細化又はサイズの均一化させたりする効果が得られる物質のことを意味する。造核剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデンなどが挙げられる。
造核剤は、造核剤効果の観点で、タルク、窒化ホウ素が好ましい。
また、造核剤効果が高いため、数平均粒径が0.01〜10μmである造核剤が好ましい。
前記潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミド挙げられる。
潤滑剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤をさらに含有することができる。
前記フェノール系熱安定剤としては、特に制限されないが、例えば、ヒンダートフェノール化合物が挙げられる。
フェノール系熱安定剤、特にヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に耐熱性や耐光性を付与する性質を有する。
フェノール系熱安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、フェノール系熱安定剤としては、耐熱エージング性向上の観点から、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]が好ましい。
前記リン系熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、特に限定されないが、例えば、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フェニルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)メチルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)2−エチルヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)イソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)イソトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)シクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ベンジルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)エチルセロソルブペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ブチルカルビトールペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)オクチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,4−ジ−t−オクチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2−シクロヘキシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)フェニルペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物中のリン系熱安定剤の含有量が上記の範囲内の場合、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
前記アミン系熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩としては、特に限定されないが、好ましくは銅塩である。
銅塩としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる好ましい銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、かつ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を抑制可能なポリアミド樹脂組成物が得られる。
ポリアミド樹脂組成物中の銅塩の含有量が上記範囲内の場合、ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
特に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくはヨウ化カリウム及び臭化カリウム、並びにこれらの混合物であり、より好ましくはヨウ化カリウムである。
一方、上記のハロゲン/銅が40/1以下である場合、ポリアミド樹脂組成物の靭性等の機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため好適である。
前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂やエラストマー成分等が挙げられる。
これらのエラストマー成分は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、ニグロシン等の染料、酸化チタン及びカーボンブラック等の顔料、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、及びチタン等の金属粒子、並びにマイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、及びカラーフレーク状ガラス等のメタリック顔料などからなる群より選ばれる少なくとも1種の着色剤が挙げられる。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットには、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられる添加剤を含有させることもできる。該添加剤としては、特に限定されないが、例えば、難燃剤、フィブリル化剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、展着剤等が挙げられる。
上述した材料を用いて、本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを製造する方法としては、プルトルージョン法(引き抜き成形法)が好ましく用いられる。
引き抜き成形は、基本的には連続した強化用繊維を引きながら樹脂を含浸するものであり、溶融した樹脂を入れた含浸浴の中を繊維を通し含浸する方法、クロスヘッドダイの中を繊維を通しながら押出機等からクロスヘッドダイに樹脂を供給し含浸させ、ストランド状に形成させる方法等の公知の方法が利用できる。このストランドを引き取る際に冷却固化させた後、ペレタイズすることによって長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
かかる方法により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットは、ペレット長を5〜50mmにペレタイズするのが好ましい。
なお、前記方法により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット中の(B)繊維状強化材は、ペレットの長さ方向に平行配列し、(B)繊維状強化材の重量平均繊維長はペレットと実質上同一の長さとなる。
上述した材料の配合方法としては、公知の押出技術を用いることができる。前記押出機の設定温度を、上述の共重合ポリアミド(A)の融解ピーク温度Tpm-1+30℃以下とする方法が好ましい。
例えば、溶融混練温度は、樹脂温度にして250〜375℃程度が好ましい。溶融混練時間は、1〜30分程度が好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物ペレットを構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
具体的には、混合方法は、例えば、(A)共重合ポリアミドと(B)繊維状強化材、必要に応じてその他の材料を、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し、溶融混練機に供給し、混練する方法や、減圧装置を備えた単軸又は2軸押出機で溶融状態にした(A)ポリアミドに、サイドフィダーから(B)繊維状強化材、必要に応じてその他の材料を配合する方法等が挙げられる。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを成形し、成形品を得る方法としては、特に限定されず、公知の成形方法を用いることができる。
例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法が挙げられる。
本実施形態の成形品は、上述の長繊維強化共重合ポリアミド樹脂組成物ペレットから得られるので、耐熱性、成形性、高温剛性、低吸水性、耐衝撃性、及び表面外観に優れる。したがって、本実施形態の成形品は、自動車部品、電気及び電子部品、家電部品、OA機器部品、携帯機器部品、産業機器部品、日用品及び家庭品などの各種部品として、また、押出用途などに好適に用いることができる。中でも、本実施形態の成形品は、自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品として好適に用いられる。
携帯機器部品としては、特に限定されないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、携帯ゲーム機器、デジタルカメラなどの筐体、及び構造体などが挙げられる。
また、本実施形態の成形品は、表面外観に優れるので、成形品表面に塗装膜を形成させた成形品としても好ましく用いられる。塗装膜の形成方法は公知の方法であれば特に限定されず、例えば、スプレー法、静電塗装法などの塗装によることができる。また、塗装に用いる塗料は、公知のものであれば特に限定されず、メラミン架橋タイプのポリエステルポリオール樹脂塗料、アクリルウレタン系塗料などを用いることができる。
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の原料として用いた、(A)共重合ポリアミド、(B)繊維状強化材を下記に示す。
(1)製造例1に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとセバシン酸とを重合させたポリアミド(PA−1)
(2)製造例2に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとイソフタル酸とを重合させたポリアミド(PA−2)
(3)製造例3に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とオクタメチレンジアミンとイソフタル酸とを重合させたポリアミド(PA−3)
(4)製造例4に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合させたポリアミド(PA−4)
(5)製造例5に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとセバシン酸とを重合させたポリアミド(PA−5)
(6)製造例6に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合させたポリアミド(PA−6)
(7)製造例7に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,10−ジアミノデカンとを重合させたポリアミド(PA−7)
(8)製造例8に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとε−カプロラクタムとを重合させたポリアミド(PA−8)
(9)製造例9に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと11−アミノウンデカン酸とを重合させたポリアミド(PA−9)
(10)製造例10に記載の、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを重合させたポリアミド66(PA−10)
(11)比較製造例1に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタムとを重合させたポリアミド(PA−11)
(12)比較製造例2に記載の、ポリアミド9T(PA−12)
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)
商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(イーストマンケミカル社製)
(2)セバシン酸(C10DC)
商品名:セバシン酸TA(伊藤製油社製)
(3)イソフタル酸(IPA)(和光純薬工業社製)
(4)テレフタル酸(TPA)(和光純薬工業社製)
(5)アジピン酸(ADA)(和光純薬工業社製)
(1)1,10−ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)(C10DA)(東京化成工業製)
(2)1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)(C6DA)(東京化成工業製)
(3)オクタメチレンジアミン(C8DA)(東京化成工業社製)
(4)1,12−ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)(C12DA)(東京化成工業製)
(5)1,9−ジアミノノナン(ノナメチレンジアミン)(C9DA)(東京化成工業製)
(6)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MC8DA) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業製)
(2)11−アミノウンデカン酸(11AU)(アルドリッチ社製)
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物に含有させる(B)繊維状強化材を示す。
(B1)ガラス繊維ロービング(商品名:ER4301H、重慶国際複合材料有限公司製、平均繊維径:17μm、TEX数:1200TEX)
(B2)ガラス繊維チョップドストランド(商品名:T275H、日本電気硝子(株)製、平均繊維径:10μm、繊維カット長3mm、断面形状は円形)
(1)共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量
共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により以下のように定量した。製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドのペレットを約5質量%の濃度になるように重ヘキサフルオロイソプロパノールに加熱して溶解し、日本電子製核磁気共鳴分析装置JNM ECA−500を用いて1H−NMRの分析を行い積分比を計算することによって、共重合ポリアミドを構成する(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸からなる単位、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位、(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンからなる単位、(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位の含有量を決定した。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドの脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性化率を以下のようにして求めた。
共重合ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、得られた溶液を用い、1H−NMRを測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、1H−NMR測定における、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppm及び1.86ppmのピーク面積との比率から共重合ポリアミドの脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を求めた。
トランス異性体比率を下記表2に示した。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドの、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーを、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて以下のとおり測定した。該測定は、窒素雰囲気下で行った。
まず、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。
このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpmとした。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとした。
続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。このときに現れるもっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-2とした。
さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とした。
融解ピーク温度Tpm-1、融解ピーク温度Tpm-2を下記表2に示す。
融解ピーク温度Tpmと、融解ピーク温度Tpm-1との差を算出し、下記表2に示す。
融解ピーク温度Tpm-1と、融解ピーク温度Tpm-2との差を算出し、下記表2に示す。
20℃/minで冷却したときの結晶化ピーク温度をTpc-1、50℃/minで冷却したときの結晶化ピーク温度Tpc-2を下記表2に示す。
結晶化ピーク温度をTpc-1と、結晶化ピーク温度をTpc-2との差を算出し、下記表2に示す。
20℃/minで冷却したときの結晶化エンタルピーを下記表2に示す。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドのガラス転移温度を、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて以下のとおり測定した。
まず、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させた。得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。当該測定サンプル10mgを用いて、昇温速度20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度Tgを測定した。
ガラス転移温度Tgを下記表2に示す。
また、前記(3)で求めた結晶化ピーク温度をTpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差を算出し、下記表2に示す。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドの25℃における硫酸相対粘度ηrを、JIS−K6920に準じて測定した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、得られた溶解液を用いて25℃の温度条件下で硫酸相対粘度ηrを測定した。
25℃における硫酸相対粘度ηrの値を、下記表2に示す。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するアミノ末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド3.0gを90質量%フェノール水溶液100mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.025Nの塩酸で滴定を行い、該滴定結果に基づきアミノ末端量(μ当量/g)を求めた。終点はpH計の指示値から決定した。
(7)カルボキシル末端量([COOH])
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するカルボキシル末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、該滴定結果に基づきカルボキシル末端量(μ当量/g)を求めた。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定した。
上記(6)、(7)において得られた値から、([NH2]/([NH2]+[COOH])を算出した。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドにおいて、アミド基1個あたりの炭素数の平均値(炭素数/アミド基数)を計算により求めた。具体的には、分子主鎖中に含まれる炭素数を分子主鎖中に含まれるアミド基数で割り返すことにより炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を求めた。該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を、共重合ポリアミドにおけるアミノ基濃度を示す指標とした。
製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドにおいて、バイオマス由来の原料にて構成されるユニットの質量%をバイオマスプラスチック度として算出した。
具体的には、ひまし油を原料としている、セバシン酸、1,10−ジアミノデカン、11−アミノウンデカン酸を、バイオマス由来の原料とした。
そして、製造例及び比較製造例で得られた共重合ポリアミドにおいて、セバシン酸又は1,10−ジアミノデカンに由来するユニットの割合を算出し、当該割合をバイオマスプラスチック度とした。
尚、ポリアミドの重合においては、アミド結合の形成の際に、ジアミン中の2つの水素原子と、ジカルボン酸中の2つの酸素原子と、2つの水素原子とから、2モルの水分子が生成することを考慮して算出した。
装置は、日精樹脂(株)製「FN3000」射出成形機と可塑化用スクリューの圧縮比が1.8で逆流防止リングとスクリューのクリアランスが5mmの長繊維用スクリューを用いた。
シリンダー温度を各々の実施例及び比較例で用いた共重合ポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃、充填時間が約1秒になるよう射出圧力、射出速度を適宜調整し、金型温度はポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度に応じて80〜120℃の範囲で適宜設定した。100ショットまで成形を行い、ISO試験片を得た。
得られた成形体(ISO試験片)の外観の評価は、堀場(株)製、ハンディ光沢度計「IG320」を用いてグロス値を測定した。グロス値は20〜30ショットISO試験片のグロス平均値と90〜100ショットISO試験片のグロス平均値をそれぞれ評価した。また外観安定性は下記方法により求めた。
外観安定性=(20〜30ショットISO試験片のグロス平均値)−(90〜100ショットISO試験片のグロス平均値)
上記の数値差が小さいほど、外観安定性に優れるものと判断した。
上記外観安定性試験で得られた20〜25ショットISO試験片を用いて、ISO 179に準じてシャルピー衝撃強さ測定した。
測定値はn=6の平均値とした。
上記外観安定性試験と同様の方法で得られたISO試験片を用いて、ISO178に準じて、周囲温度23℃、80℃、120℃雰囲気下で曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。また、23℃で測定した曲げ弾性率に対する120℃で測定した曲げ弾性率の割合(%)を剛性保持率とし、この値が大きければ大きいほど高温剛性に優れているものと判断した。
上記高温剛性評価試験で得られたISO試験片を、磁器るつぼに入れ、電気マッフル炉(ヤマト科学製FP−31型,設定温度600℃)を用いて試験片を燃焼させた。
燃焼後のガラス繊維をスライドガラス上に移し、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、任意に選んだガラス繊維400本の長さを測定した値から、下記式(II)により算出した。
重量平均繊維長=ガラス繊維長さの2乗和/ガラス繊維長さの合計 ・・・(II)
以下、共重合ポリアミドの製造例、比較製造例を示す。
併せて上記の測定項目を実施したので、説明する。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ジカルボン酸:CHDA650g(3.78モル)、セバシン酸:C10DC85g(0.42モル)及びジアミン:C10DA720g(4.18モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この均一水溶液にジアミン:C10DA17g(0.10モル)を追添した。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで加温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内(以下単に「槽内」とも記す。)の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の355℃)−50℃(ここでは305℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の355℃)−50℃(ここでは305℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
ジカルボン酸、ジアミン及びカプロラクタムとして、下記表1に記載の化合物及び量を用い、また、樹脂温度の最終温度を下記表1に示す温度にした以外は、製造例1に示した方法と同様にしてポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
得られた共重合ポリアミド(PA−2〜PA−9、PA−11)中の各構成単位の含有量を、1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ジカルボン酸:ADA620g(5.33モル)、ジアミン:C6DA780g(5.33モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで加温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内(以下単に「槽内」とも記す。)の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約210℃であった。)。槽内の圧力を約18kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の295℃)−30℃(ここでは265℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の295℃)−30℃(ここでは265℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約355℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度は約355℃のまま、槽内を真空装置で約53.3kPa(400torr)の減圧下に30分維持し、ポリアミド共重合体(PA−10)を得た。その後、得られたポリアミド共重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドのペレットを得た。得られた共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
ポリアミド9T(以下、「PA9T」と略記する)を、特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法を参考に製造した。
その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナメチレンジアミン単位及び2−メチルオクタメチレンジアミン単位[1,9−ノナメチレンジアミン単位:2−メチルオクタメチレンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
下記表1に記載の原料と蒸留水1500gとを内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に入れ(不均一スラリー状態)、窒素で置換した。100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃で恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応させた。
次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、PA9Tを得た。
得られた共重合ポリアミド(PA−12)中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
(実施例1)
二軸押出機(Coperion社製ZSK25)を用い、ポリアミド(A1)をフィードホッパーより供給し、シリンダー設定温度:共重合ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1+20℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、押出機内で溶融混練した。
溶融したポリアミド樹脂を、長繊維強化樹脂製造装置((株)神戸製鋼所製KOSLFP−212)の含浸ダイに供給した。
この含浸ダイに3本のガラス繊維ロービング(B1)の束を導入し、ダイ内で樹脂溶融混練物が含浸したガラス繊維ロービング(B1)の束をダイノズルから連続的に引き抜いて、1本のストランド状にして、そのストランドを水冷バス中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
ストランドの引取速度は30m/分であり、得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットの長さは10mm、前記ペレット中の繊維状強化材であるガラス繊維含有量は50質量%であった。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、高温剛性の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
各原料組成を下記表3に示す割合となるようにした以外は、実施例1と同様にして、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、高温剛性の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
各原料組成を下記表3に示す割合となるようにした。
また引取速度とペレタイザー回転数を変更して、ポリアミド樹脂組成物ペレットの長さを20mmにした。その他の条件は実施例1に記載した方法と同様にして、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、高温剛性の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
上記製造例4で得られた共重合ポリアミド(PA−4)を、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.2質量%に調整した。
ポリアミド樹脂組成物の製造例には、押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルにサイドフィード口1を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。該二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを、上記製造例又は比較製造例により製造した共重合ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1+20℃に設定した。また、該二軸押出機において、スクリュー回転数300rpm、吐出量25kg/hとした。
下記表3に示す割合となるように、(A)共重合ポリアミドを上流側供給口より前記二軸押出機に供給し、押出機上流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口1より、(B2)ガラス繊維を供給した。
紡口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたペレットの長さは3mm、ペレット中のガラス繊維の重量平均繊維長は0.30mmであった。
得られたガラス短繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、高温剛性の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及びこれを用いた成形品は、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野等において、産業上の利用可能性がある。
Claims (18)
- (A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット中における重量平均繊維長が当該長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットの長さと実質上同一である(B)繊維状強化材100〜250質量部と、
を、含有する長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。 - 前記(B)繊維状強化材が5〜20μmの平均繊維径を有するガラス繊維である、請求項1に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- ペレット長が5〜30mmである、請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(a)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位におけるトランス異性体比率が65〜80モル%である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- アミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}が、0.0以上0.5未満である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(b)炭素数8以上のジアミンが、デカメチレンジアミンである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、セバシン酸及び/又はドデカン二酸である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、イソフタル酸である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンが、炭素数4〜7の脂肪族ジアミンである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、50℃/minで再度冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が、10℃以下である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記共重合ポリアミド(A)の全構成単位の含有量の合計100モル%に対し、前記(c)上記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位の含有量が、5.0モル%以上22.5モル%以下である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 前記共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度が25%以上である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を、さらに含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット。
- 請求項1乃至15のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
- 成形品中に、前記(B)繊維状強化材が1mm以上の重量平均繊維長で分散してなる、請求項16に記載の成形品。
- 自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品である、請求項16又は17に記載の成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012155902A JP5942122B2 (ja) | 2012-07-11 | 2012-07-11 | 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012155902A JP5942122B2 (ja) | 2012-07-11 | 2012-07-11 | 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014015592A JP2014015592A (ja) | 2014-01-30 |
JP5942122B2 true JP5942122B2 (ja) | 2016-06-29 |
Family
ID=50110576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012155902A Expired - Fee Related JP5942122B2 (ja) | 2012-07-11 | 2012-07-11 | 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5942122B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6363875B2 (ja) * | 2014-05-21 | 2018-07-25 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ペレット、ペレットの製造方法、樹脂成形品、および、メッキ層付樹脂成形品の製造方法 |
JP6447041B2 (ja) * | 2014-11-18 | 2019-01-09 | 東レ株式会社 | ポリアミド樹脂成形品の製造方法 |
JP6939572B2 (ja) * | 2016-02-04 | 2021-09-22 | 宇部興産株式会社 | ポリアミド樹脂組成物 |
WO2018062139A1 (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | ダイセルポリマー株式会社 | 樹脂組成物 |
CN115791885B (zh) * | 2022-11-25 | 2024-07-05 | 巨石集团有限公司 | 玻纤增强结晶性树脂复合材料中树脂含量的测定方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005298663A (ja) * | 2004-04-12 | 2005-10-27 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 樹脂製自動車内装部品 |
JP5636220B2 (ja) * | 2009-07-24 | 2014-12-03 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体 |
JP5523247B2 (ja) * | 2009-08-18 | 2014-06-18 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド組成物及びポリアミド組成物からなる成形体 |
JP5490648B2 (ja) * | 2009-09-04 | 2014-05-14 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド組成物を含む自動車部品 |
JP5714834B2 (ja) * | 2010-04-14 | 2015-05-07 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド組成物及びポリアミド組成物からなる成形体 |
-
2012
- 2012-07-11 JP JP2012155902A patent/JP5942122B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014015592A (ja) | 2014-01-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5497921B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP5964964B2 (ja) | ポリアミド、ポリアミド組成物及び成形品 | |
JP6039945B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP5942229B2 (ja) | ポリアミド及びポリアミド組成物 | |
WO2014109300A1 (ja) | ポリアミド組成物及び成形品 | |
JP5942122B2 (ja) | 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレット及び成形品 | |
JP5942109B2 (ja) | ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体 | |
JP2015129243A (ja) | ポリアミド組成物及び成形品 | |
JP5965230B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP5997526B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP5997525B2 (ja) | 共重合ポリアミド組成物及び成形品 | |
JP6034074B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP5959325B2 (ja) | ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体 | |
JP6067254B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
WO2015029780A1 (ja) | 吸水時の振動性と外観に優れた高融点ポリアミド樹脂組成物 | |
JP6042121B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP6042114B2 (ja) | 共重合ポリアミド及び共重合ポリアミド組成物 | |
JP6042110B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP6013813B2 (ja) | 共重合ポリアミド組成物及び成形品 | |
WO2016031257A1 (ja) | ポリアミド、ポリアミドの製造方法、ポリアミド組成物、ポリアミド組成物成形品及びその製造方法 | |
JP2022051850A (ja) | ポリアミド組成物及び成形品 | |
JPWO2016031257A1 (ja) | ポリアミド、ポリアミドの製造方法、ポリアミド組成物、ポリアミド組成物成形品及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150320 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160204 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160314 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20160401 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160413 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160523 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5942122 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |