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JP5918096B2 - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。より詳しくは、NHやHCなどの還元剤の存在下で排気中のNOxを還元する選択還元触媒を備えた排気浄化システムに関する。
従来、排気中のNOxを浄化する排気浄化システムの1つとして、NHやHC等の還元剤により排気中のNOxを選択的に還元する選択還元触媒を排気通路に設けたものが提案されている。例えば、尿素添加式の排気浄化システムでは、選択還元触媒の上流側からNHの前駆体である尿素水を供給し、この尿素水から排気の熱で熱分解又は加水分解することでNHを生成し、このNHにより排気中のNOxを選択的に還元する。このような尿素添加式のシステムの他、例えば、アンモニアカーバイトのようなアンモニアの化合物を加熱することでNHを生成し、このNHを直接添加するシステムも提案されている。以下では、尿素添加式のシステムについて説明する。
このような選択還元触媒には、排気中のNOxの還元に供されなかったNHを貯蔵する能力がある。すなわち、選択還元触媒に流入するNOx量に対し尿素水の供給量が多い場合、NOxの還元に供されずに余剰となったNHは選択還元触媒に貯蔵され、逆に選択還元触媒に流入するNOx量に対し尿素水の供給量が少ない場合、選択還元触媒に貯蔵されていたNHがNOxの還元に供される。したがって、尿素水の供給量を増減することにより、選択還元触媒におけるNHの貯蔵量を制御することができる。
NOx浄化の観点からは、選択還元触媒にできるだけ多くのNHが貯蔵されていることが好ましいものの、選択還元触媒で貯蔵できるNHの量には限界がある。選択還元触媒にこの限界量を超えるNHが供給されると、飽和したNHは下流側へ排出されてしまうこととなる。以下、これをNHスリップ又は還元剤スリップという。
特許文献1には、このようなNHスリップを抑制する技術が開示されている。選択還元触媒の最大NH貯蔵可能量は、選択還元触媒の温度が高くなるに従って小さくなることから、選択還元触媒の温度の上昇に伴ってNHは飽和しやすくなる。そこで、特許文献1の技術では、選択還元触媒の温度の上昇が予想される場合には、将来の選択還元触媒の予測温度に基づいて将来生じ得るNHスリップ量を算出し、この将来のNHスリップを相殺するように現在の尿素水の供給量を本来の供給量から低減している。
特表2009−510333号公報
しかしながら、選択還元触媒の温度が上昇しているからといって、直ちにNHスリップが発生するとはいえない。すなわち、選択還元触媒の温度が上昇すれば、その最大NH貯蔵可能量が低下するためNHスリップの発生の可能性は高くなるといえるが、このとき選択還元触媒に流入するNOx量が増加すればその分だけNHの消費量も増えるため、上述のような尿素水の供給量の低減処理を行わずともNHスリップが回避される場合もある。したがってこのような場合にまで尿素水の供給量を低減してしまうと、NHスリップを回避できても選択還元触媒のNOx浄化率が低下するおそれがある。
本発明は、還元剤スリップの発生を回避しかつNOx浄化率が低下しないように適切に選択還元触媒への還元剤の供給量を制御する内燃機関の排気浄化システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の内燃機関の排気浄化システム(例えば、後述の排気浄化システム2)は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気通路(例えば、後述の排気管11)に設けられ、還元剤によって排気中のNOxを浄化する選択還元触媒(例えば、後述の選択還元触媒23)と、前記選択還元触媒の上流に還元剤又はその前駆体を供給する還元剤供給装置(例えば、後述の尿素水噴射装置25)と、前記選択還元触媒の将来の温度上昇の推定に基づいて、前記選択還元触媒からの将来の還元剤スリップの発生を判定する第1判定手段(例えば、後述の抑制フラグ設定部556、図12のS14の実行に係る手段)と、前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、還元剤の供給量を所定の基準量(GUREA_BS)よりも低減させる供給量制御手段(例えば、後述の尿素水噴射制御部5)と、現在の選択還元触媒に供給されるNOx量を検出又は推定するNOx量取得手段(例えば、後述のNOxセンサ28、ECU3など)と、前記NOx量(VNOx)に基づいて、前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第2判定手段(例えば、後述の図7のスリップ判定部58、図12のS18の実行に係る手段)をさらに備え、前記供給量制御手段は、前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されている場合であっても、前記第2判定手段によって還元剤スリップが発生しないと判定された場合には還元剤の供給量を基準量から低減しないことを特徴とする。
(2)この場合、前記排気浄化システムは、前記選択還元触媒の上流に設けられた酸化機能を有する酸化触媒(例えば、後述の酸化触媒21)と、当該酸化触媒の温度を検出又は推定する酸化触媒温度取得手段(例えば、後述の排気温度センサ27、ECU3など)と、をさらに備え、前記第2判定手段は、前記NOx量(VNOx)及び前記酸化触媒の温度(TSCR)に基づいて前記選択還元触媒に流入するNO量及びNO量を算出し、これらNO量(QNO_IN)及びNO量(QNO2_IN)に基づいて前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定することが好ましい。
(3)この場合、前記排気浄化システムは、現在の選択還元触媒からの還元剤スリップ量を算出する還元剤スリップ量算出手段(例えば、後述の第1スリップ速度算出部581)と、前記NO量(QNO_IN)及びNO量(QNO2_IN)に基づいて前記選択還元触媒における還元剤消費量を算出する還元剤消費量算出手段(例えば、後述の消費速度算出部585)と、をさらに備え、前記第2判定手段は、前記還元剤スリップ量(V_SLIP1)と前記還元剤消費量(V_RED)とを比較することによって還元剤スリップの発生を判定することが好ましい。
(4)この場合、前記排気浄化システムは、現在の選択還元触媒の温度を検出又は推定する現在温度取得手段(例えば、後述の排気温度センサ27、ECU3など)と、前記機関の運転状態に基づいて前記選択還元触媒の将来の温度を推定する将来温度推定手段(例えば、後述の触媒温度予測部4)と、をさらに備え、前記還元剤の供給量の基準量(GUREA_BS)は、前記選択還元触媒の還元剤貯蔵量がその最大還元剤貯蔵可能量に又はその近傍に維持されるように、前記選択還元触媒の下流側の還元剤濃度に基づいて算出され、前記供給量制御手段は、前記現在の温度(TSCR)に基づいて現在の還元剤貯蔵可能量を算出し、前記将来の温度(TSCR_PRE)に基づいて算出された将来の還元剤貯蔵可能量を算出し、これら現在の還元剤貯蔵可能量と将来の還元剤貯蔵可能量との差(ΔST)に基づいて前記還元剤の基準量からの低減量(ΔST_UREA)を算出することが好ましい。
(5)この場合、前記排気浄化システムは、前記供給量制御手段によって還元剤の供給量が基準量から低減されていることを前提として前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第3判定手段(例えば、後述の図10のセレクタ63、図12のS20の実行に係る手段)と、前記第3判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、前記機関からのNOx排出量を増加させるNOx排出量増加手段(例えば、後述の吸気制御部6)と、をさらに備えることが好ましい。
(6)この場合、前記排気浄化システムは、前記選択還元触媒の最大還元剤貯蔵可能量の単位時間当りの変化量(dST_max)から、前記供給量制御手段によって還元剤の供給量を基準量から低減した場合に抑制される還元剤スリップ量の単位時間当りの量(V_ST)を減算することで、還元剤の低減時における選択還元触媒からの単位時間当りの還元剤スリップ量(V_SLIP2)を算出する低減時スリップ量算出手段(例えば、後述の第2スリップ速度算出部64)と、前記NOx量及び前記選択還元触媒の上流に設けられた酸化触媒の温度に基づいて前記選択還元触媒に流入するNO量及びNO量を算出し、これらNO量及びNO量に基づいて前記選択還元触媒における単位時間当りの還元剤消費量(V_RED)を算出する消費量算出手段(例えば、後述の消費速度算出部65)と、をさらに備え、前記第3判定手段は、前記還元剤の低減時の還元剤スリップ量(V_SLIP2)と前記還元剤消費量(V_RED)とを比較することによって前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定することが好ましい。
(7)この場合、前記排気浄化システムは、前記排気通路と前記機関の吸気通路(例えば、後述の吸気管12)とを連通し、排気の一部を前記吸気通路にEGRガスとして還流するEGR通路(例えば、後述のEGR管18)と、前記EGR通路に設けられ、EGR量を制御するEGR弁(例えば、後述のEGR弁19)と、をさらに備え、前記NOx排出量増加手段は、前記EGR弁を所定の基準開度(VO_BS)より閉弁側へ補正することで前記機関からのNOx排出量を増加させることが好ましい。
(8)この場合、前記排気浄化システムは、前記還元剤の低減時における選択還元触媒からの単位時間当りの還元剤スリップ量(V_SLIP2)から前記選択還元触媒において単位時間当りに消費される還元剤量(V_RED)を減算することで、単位時間当りに消費させる必要のある還元剤量(ΔNH3)を算出し、当該消費させる必要のある還元剤量に基づいて増加させる必要のあるNOx量(ΔNOx)を算出し、当該増加させる必要のあるNOx量に応じて閉側補正時の前記EGR弁の開度(VO_COR)を算出する補正開度算出手段(補正開度算出部62)をさらに備えることが好ましい。
(9)この場合、前記排気浄化システムは、前記機関の運転状態に基づいて、当該機関が加速運転状態であるか否かを判定する加速判定手段(例えば、後述の運転状態判定部557)をさらに備え、前記第1判定手段は、将来の選択還元触媒の温度から現在の選択還元触媒の温度を減算して得られる温度差が所定の閾値以上である場合、又は前記加速判定手段により加速運転状態であると判定された場合に、還元剤スリップが発生すると判定することが好ましい。
(10)この場合、前記第1判定手段は、前記加速判定手段により加速運転状態であると判定されてから所定時間が経過するまでは前記供給量制御手段による還元剤の供給量の低減を禁止し、前記所定時間が経過した後も加速運転状態であると判定された場合に前記供給量制御手段による還元剤の供給量の低減を許可することが好ましい。
(1)の発明によれば、選択還元触媒の将来の温度上昇の推定に基づいて将来の還元剤スリップの発生を判定し、還元剤スリップが将来発生すると判定されたことに応じて還元剤の供給量を所定の基準量よりも低減させることにより、選択還元触媒の温度上昇による還元剤スリップの発生を抑制できる。また、温度上昇に基づいて将来還元剤スリップが発生すると判定されている場合であっても、現在の選択還元触媒に供給されるNOx量に基づいて、上記将来よりも近い将来において還元剤スリップが発生しないと判定される場合には、上記還元剤の供給量の低減せずに、選択還元触媒に流入するNOxで選択還元触媒に貯蔵されている還元剤の消費を促すことにより、NOx浄化率の低下を防止しながら還元剤スリップの発生を抑制できる。
(2)の発明では、選択還元触媒の上流に酸化触媒を設けることにより、機関から排出されるNOをNOに酸化し、選択還元触媒に流入する排気のNO−NOx比を、NOx浄化率が最大となる最適比(約0.5)に近づけることができる。また、(2)の発明では、選択還元触媒において還元されるNOx量はその内訳(NO量及びNO量)に応じて変化するところ、選択還元触媒に流入するNO量及びNO量の算出を経て還元剤スリップを判定することにより、より正確に還元剤スリップの発生を判定できる。また、この還元剤スリップの発生を精度よく判定することで、NOx浄化率の低下を防止しかつ還元剤スリップの発生を抑制できるように、より適切なタイミングで上記還元剤の供給量を低減できる。
(3)の発明では、選択還元触媒における還元剤スリップ量と還元剤消費量とを別々に算出し、これらの比較に基づいて選択還元触媒における還元剤スリップの発生を判定することにより、より正確に還元剤スリップの発生を判定できる。
(4)の発明では、還元剤の供給量の基準量を、選択還元触媒の還元剤貯蔵量がその最大還元剤貯蔵可能量又はその近傍に維持されるような量とすることにより、選択還元触媒におけるNOx浄化率を高く維持できる。また、還元剤貯蔵量を定常的に最大にすると、例えば温度上昇によって最大還元剤貯蔵可能量が減少した場合、この最大還元剤貯蔵可能量の減少分と同じ量の還元剤が選択還元触媒から排出され得る。したがって、基準量をこのように設定することにより、現在の還元剤貯蔵可能量と将来の還元剤貯蔵可能量との差を、現在から将来までの間に排出され得る還元剤の量、すなわち還元剤スリップを回避するために減らすべき還元剤の量とすることができる。(4)の発明では、これを利用し、現在の還元剤貯蔵可能量と将来の還元剤貯蔵可能量との差に基づいて還元剤の基準量からの低減量を算出する。これにより、NOx浄化率の低下を防止しかつ還元剤スリップを回避するために必要最小限の低減量を、簡易かつ正確に算出できる。
(5)の発明では、還元剤の供給量を基準量から低減しても還元剤スリップが発生すると判定される場合には、機関からのNOx排出量を増加させることにより、確実に還元剤スリップの発生を抑制できる。
(6)の発明では、還元剤の低減時における選択還元触媒からの単位時間当りの還元剤スリップ量を算出し、単位時間当りの還元剤スリップ量と選択還元触媒における単位時間当りの還元剤消費量とを比較することによって還元剤スリップの発生を判定することにより、より確実に還元剤の低減時における還元剤スリップの発生を判定できる。またこれにより、選択還元触媒における還元剤スリップの発生を抑制できるように、より適切なタイミングでNOx排出量を増加させることができる。
(7)の発明では、EGR弁を基準開度より閉弁側へ補正することで機関からのNOx排出量を増加させることにより、容易かつ速やかにNOx排出量を増加でき、ひいてはより確実に還元剤スリップを抑制できる。
(8)の発明では、単位時間当りに選択還元触媒で消費させる必要のある還元剤量を算出し、この消費させる必要のある還元剤量から増加させる必要のあるNOx量を算出し、さらにこの増加させる必要のあるNOx量から閉側補正時のEGR弁の開度を算出することにより、還元剤スリップの発生を抑制できるように、適切な量だけNOx排出量を増加させることができる。
(9)の発明では、将来の選択還元触媒の温度と現在の選択還元触媒の温度差が所定の閾値以上である場合、又は加速運転状態である場合に還元剤スリップが発生すると判定することにより、適切なタイミングで還元剤の供給量を低減できる。
(10)の発明では、各種センサの出力遅れを考慮して、加速運転状態であると判定されてから所定時間が経過するまでは還元剤の供給量の低減を禁止する。これにより、加速運転状態となった後に排出される多量のNOxが十分に浄化されずにシステム外に排出されるのを防止できる。また、加速運転状態が継続すると、次第に選択還元触媒の温度が上昇し還元剤スリップが生じる可能性が高くなることから、(10)の発明では、所定時間が経過した後も加速運転状態であると判定された場合に還元剤の供給量の低減を許可する。これにより、NOx浄化率を悪化させることなく適切なタイミングで還元剤の供給量を低減し、還元剤スリップの発生を防止できる。
本発明の一実施形態に係るエンジン及びその排気浄化システムの構成を示す模式図である。 上記実施形態に係る触媒温度予測部の構成を示すブロック図である。 エンジントルクの値を予測する手順を示すフローチャートである。 エンジントルクの値を予測する手順を説明するためのタイムチャートである。 エンジントルクの値を予測する手順を説明するためのタイムチャートである。 上記実施形態に係る尿素水噴射装置による尿素水噴射量の決定に係るブロック図である。 上記実施形態に係る噴射量選択部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る低減量算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係るスリップ量予測部において算出される予測ストレージ量差を模式的に示す図である。 エンジンの新気量を所定の目標新気量に制御するためのEGR弁開度の決定に係るブロック図である。 上記実施形態に係る第2スリップ速度算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る尿素水噴射制御及び吸気制御の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関(以下「エンジン」という)1及びその排気浄化システム2の構成を示す模式図である。エンジン1は、リーンバーン運転方式のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。
排気浄化システム2は、エンジン1の排気管11に設けられた酸化触媒21と、排気管11に設けられ、排気中のPMを捕集するフィルタとしてのDPF22と、排気管11に設けられ、この排気管11を流通する排気中のNOxを還元剤としてのNHによって浄化する選択還元触媒23と、排気管11のうち選択還元触媒23の上流側に、NHの前駆体である尿素水を供給する尿素水噴射装置25と、排気管11を流通する排気の一部をEGRガスとして吸気管12内へ還流するEGR装置17と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)3とを含んで構成される。
EGR装置17は、排気管11のうち酸化触媒21の上流側と吸気管12とを連通するEGR管18と、このEGR管18に設けられEGRガスの流量(以下、「EGR量」という)を制御するEGR弁19とを含んで構成される。EGR弁19は、ECU3に接続されており、ECU3からの制御信号により動作し、この制御信号に応じてEGR管18を介して吸気管12内へ還流される排気の流量、ひいてはエンジン1の新気量を制御する。
尿素水噴射装置25は、尿素水タンク251と、尿素水噴射弁253とを備える。
尿素水タンク251は、尿素水を貯蔵するものであり、尿素水供給路254及び図示しないポンプを介して、尿素水噴射弁253に接続されている。この尿素水タンク251には、レベルセンサ255が設けられている。このレベルセンサ255は、尿素水タンク251内の尿素水の水位を検出し、この水位に略比例する検出信号をECU3に出力する。尿素水噴射弁253は、ECU3に接続されており、ECU3からの制御信号により動作し、この制御信号に応じて尿素水を排気管11内の選択還元触媒23の上流に噴射する。
酸化触媒21は、排気管11のうちDPF22よりも上流側に設けられ、選択還元触媒23に流入する排気のNO−NOx比が、当該触媒23におけるNOx浄化率が最も高くなる最適比(約0.5)になるように、排気中のNOの一部を酸化してNOに変換する。
DPF22は、排気管11のうち酸化触媒21よりも下流側に設けられ、排気がフィルタ壁の微細な孔を通過する際、排気中の炭素を主成分とするPMを、フィルタ壁の表面及びフィルタ壁中の孔に堆積させることによって捕集する。
選択還元触媒23は、NHが存在する雰囲気下で、排気中のNOxを選択的に還元する。具体的には、尿素水噴射装置25により尿素水を噴射すると、この尿素水は、排気の熱により熱分解又は加水分解されてNHが生成される。生成されたNHは、選択還元触媒23に供給され、これらNHにより、排気中のNOxが選択的に還元される。
ところで、選択還元触媒23は、尿素水から生成したNHで排気中のNOxを還元する機能を有するとともに、生成したNHを所定の量だけ貯蔵する機能も有する。本実施形態では、選択還元触媒23に貯蔵されたNH量をNHストレージ量といい、このストレージ量の限界を最大NHストレージ量という。このようにして吸着されたNHは、排気中のNOxの還元にも適宜消費される。このため、ストレージ量が大きくなるに従い、選択還元触媒におけるNOx浄化率は高くなる。また、エンジンから排出されたNOxの量に対し尿素水の供給量が少ない場合等には、貯蔵されたNHが、この尿素水の不足分を補うようにしてNOxの還元に消費される。ここで、選択還元触媒23において、最大NHストレージ量を超えてNHが生成された場合、生成されたNHは、選択還元触媒23の下流側へ排出される。以下では、選択還元触媒において飽和したNHがその下流側へ排出されることをNHスリップという。
なお、この選択還元触媒23の下流側には、選択還元触媒23から排出されたNHがシステム外へ排出されるのを抑制するスリップ抑制触媒24が設けられる。このスリップ抑制触媒24としては、選択還元触媒又は酸化触媒が用いられる。
ECU3には、エンジン1及び排気浄化システム2の状態を検出するためのセンサとして、NHセンサ26、排気温度センサ27、NOxセンサ28、エアフローメータ29、クランク角度位置センサ14、及びアクセル開度センサ15等が接続されている。
NHセンサ26は、排気管11のうち選択還元触媒23とスリップ抑制触媒24との間における排気のNH濃度[ppm]を検出し、検出値に略比例した検出信号VNH3をECU3に供給する。排気温度センサ27は、スリップ抑制触媒24の下流側の排気の温度[K]を検出し、検出値に略比例した検出信号TGASをECU3に供給する。NOxセンサ28は、選択還元触媒23に流入する排気のNOx濃度[ppm]を検出し、検出値に略比例した検出信号VNOxをECU3に供給する。エアフローメータ29は、吸気管12を流通する吸入空気量[mg/sec]を検出し、検出値に略比例した検出信号QAをECU3に供給する。
クランク角度位置センサ14は、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するとともに、所定のクランク角ごとにパルスを発生し、そのパルス信号をECU3に供給する。エンジン1の回転数NEは、このパルス信号に基づいてECU3により算出される。アクセル開度センサ15は、車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度」という)を検出し、検出値に略比例した検出信号APをECU3に供給する。ECU3では、このアクセル開度AP及びエンジン回転数NEに応じて、ドライバ要求トルクTRQが算出される。
酸化触媒21の温度TDOC[K]や選択還元触媒23の温度TSCR[K]など、排気管11内の各部分の現在の温度は、例えば排気温度TGAS、エンジン回転数NE、及び吸入空気量QAなどの入力に基づいて、ECU3にて図示しない処理により推定される。また、排気流量Gex[mg/sec]は、吸入空気量QAやエンジン回転数NEなどに基づいて、ECU3にて図示しない処理により推定される。
ECU3は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU3は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、エンジン1、尿素水噴射弁253、EGR弁19等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
以下、このECU3に構成された、排気系の温度予測に係る触媒温度予測部4と、尿素水の噴射制御に係る尿素水噴射制御部5と、吸気系の制御に係る吸気制御部6との構成について、順に説明する。
[触媒温度予測部4]
図2〜図5を参照して、触媒温度予測部4の構成について説明する。
図2は、触媒温度予測部4の構成を示すブロック図である。
触媒温度予測部4は、選択還元触媒の将来の温度、より具体的には現在から所定の予測時間TPRE後における選択還元触媒の温度の値である触媒予測温度TSCR_PREを推定する。
触媒温度予測部4は、運転パターン予測部41と、熱伝導モデル演算部42と、を備える。
運転パターン予測部41は、エンジン回転数、車速、及びドライバ要求トルクなど、車両の運転状態に関わるパラメータ(以下、これらパラメータを総称して「運転状態パラメータ」という)の現在の値に基づいて、エンジンのポート部の排気温度と直接的に相関のある内燃機関パラメータとしてのエンジンの発生トルク(以下、「エンジントルク」という)について、現在から予測時間T_PRE後までの値を推定する。
図3は、エンジントルクの値を予測する手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、運転パターン予測部41(図2参照)により実行される。
図4及び図5は、エンジントルクの値を予測する手順を説明するためのタイムチャートである。なおこれら図4及び図5に示す例では、現在の時刻をTとし、時刻T−1,T−2,T−3を現在よりも過去の時刻とし、時刻T,T,T,…,TN−1,Tを、将来の時刻とする。したがって、時刻T以前の実線で示す値は実値であり、時刻T以降の破線で示す値は運転パターン予測部による予測値である。
また、本実施形態では、図4及び図5において白丸で示すように、現在から予測時間T_PRE後までの時間をN分割し、各時刻における値を推定する。すなわち、エンジントルクの現在値をT_PRE_0とし、現在より後の時刻Tにおけるエンジントルクの予測値をTRQ_PRE_iとする。
先ず、S1では、現在の運転状態パラメータの値に基づいて、エンジントルクの現在値TRQ_PRE_0を推定し、S2に移る。
S2では、現在のエンジンが高負荷運転状態にあるか否か、より具体的にはS1で推定したエンジントルクの現在値TRQ_PRE_0がエンジントルク値に対する所定の閾値TRQ_THより大きいか否かを判定する。この判定がNOである場合にはS3に移り、この判定がYESである場合にはS4に移る。なお、このエンジンが高負荷運転状態であるか否かを判定するための閾値TRQ_THは、運転状態パラメータの値に応じて図示しない処理により逐次設定される。
S3では、S2において現在のエンジンが高負荷運転状態にないと判定されたことに応じて、エンジントルク値は予測時間T_PRE後まで、現在値TRQ_PRE_0から変化しないと推定する。すなわち、下記式に示すように、エンジントルクの予測値TRQ_PRE_1,…,TRQ_PRE_Nは、全て現在値TRQ_PRE_0と等しいと推定する(図4参照)。
TRQ_PRE_i=TRQ_PRE_0 (i=1,…,N)
一方、S4以降では、S2において現在のエンジンが高負荷運転状態にあると判定されたことに応じて、現在から予測時間T_PRE後へ向けて、現在値TRQ_PRE_0から減少するように、エンジントルク値を推定する(図5参照)。これは、長時間にわたりエンジントルク値を高い値に維持したり増加させ続けたりするように運転されることが一般的には稀であることから、現在のエンジンが高負荷運転状態にある場合には、その後エンジントルク値は、継続して運転できるような現在値よりも小さな値へ収束するように減少に転じる可能性が高いと判断できるからである。
より具体的には、先ずS4では、エンジントルク値が収束すると予測される値であるトルク収束値TRQ_CNVを推定し、S5に移る。このトルク収束値TRQ_CNVは、例えば、運転状態パラメータの現在値に基づいて、図示しないマップを検索することにより算出される。
S5では、現在から、エンジントルク値が上記トルク収束値TRQ_CNVに収束するまでの時間である収束時間T_CNVを推定し、S6に移る。この収束時間T_CNVは、例えば、運転状態パラメータの現在値に基づいて、図示しないマップを検索することにより算出される。
S6では、エンジントルクの現在値TRQ_PRE_0と上記収束時間T_CNV後における値であるトルク収束値TRQ_CNVとを、図4中破線で示すように所定の減少態様で補間することにより、現在から予測時間T_PRE後の間におけるエンジントルク予測値TRQ_PRE_1,…,TRQ_PRE_Nを推定する。この際、上記エンジントルクの現在値TRQ_PRE_0とトルク収束値TRQ_CNVとを補間する減少態様は、例えば、運転状態パラメータの現在値に基づいて設定される。
図2に戻って、熱伝導モデル演算部42は、エンジン1及びその排気を熱源と見立てた排気系の所定の熱伝導モデルに基づいて、現在から予測時間T_PRE後における選択還元触媒23の温度である触媒予測温度TSCR_PREを推定する。より具体的には、運転パターン予測部41により推定されたエンジントルクの現在から予測時間T_PRE後までの値TRQ_PRE_0,…,TRQ_PRE_Nに基づいてエンジン1のポート部の排気温度を予測し、この現在から予測時間T_PRE後までの間の排気温度の予測値を入力として、熱伝導モデルにより現在から予測時間T_PRE後における触媒予測温度TSCR_PREを推定する。なお、この熱伝導モデルとしては、例えば、本願出願人による特開2006−250945号公報や特許第4373909号などに記載されているような、ニュートンの冷却則に従って定式化された排気系のモデルなど、従来既知のものが用いられる。
[尿素水噴射制御部5]
図6〜図9を参照して、尿素水噴射制御部5の構成について説明する。
図6は、尿素水噴射装置による単位時間当りの尿素水の噴射量(以下、「尿素水噴射量」という)GUREA[mg/sec]の決定に係るブロック図である。尿素水噴射制御部5は、基準噴射量GUREA_BSを算出する基準噴射量算出部51と、基準噴射量からの低減量ΔST_UREAを算出する低減量算出部55と、噴射量選択部57と、を含んで構成される。図6に示すように、本実施形態の尿素水噴射制御部5では、基準噴射量GUREA_BSと、この基準噴射量から低減量を減算して得られる補正噴射量GUREA_CORとを算出し、噴射量選択部57によってこれら2つの噴射量のうち何れかを最終的な噴射量GUREAとして決定する。より具体的には、噴射量選択部57は、基本的には基準噴射量を最終的な噴射量とし、選択還元触媒においてNHスリップが発生すると判定した場合に適切なタイミングで尿素水の供給量を基準噴射量よりも低減させるべく補正噴射量を最終的な噴射量として決定する。以下、基準噴射量算出部51、低減量算出部55、噴射量選択部57の構成について、順に説明する。
基準噴射量算出部51は、選択還元触媒におけるNOx浄化率をできるだけ高く維持するため、選択還元触媒のNHストレージ量がそのときの選択還元触媒の最大NHストレージ量に又はその近傍に維持されるように、NHセンサ出力VNH3に基づいて基準噴射量GUREA_BSを算出する。より具体的には、基準噴射量算出部51は、本願出願人による国際公開第2009/128169又は特開2011−94592号公報などに記載されている既知のアルゴリズムに基づいて、上述のような基準噴射量GUREA_BSを算出する。
例えば、国際公開第2009/128169に記載されたアルゴリズムでは、基準噴射量算出部51は、それぞれ独立して算出した3つの入力(フィードフォワード噴射量GUREA_FF、フィードバック噴射量GUREA_FB、ストレージ補正入力GUREA_ST)を合算したものを基準噴射量GUREA_BSとする(下記式(1)参照)。
Figure 0005918096
ここで、記号(k)は、離散化した時間を示す記号であり、所定の制御周期ごとに検出又は算出されたデータであることを示す。すなわち、記号(k)が今回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであるとした場合、記号(k-1)は前回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであることを示す。なお、以下の説明においては、記号(k)を適宜、省略する。
上記式(1)において、フィードフォワード噴射量GUREA_FFは、当量比αが値1になるようにされた尿素水の噴射量に相当し、エンジンから排出され選択還元触媒に流入するNOx量に応じて算出される。ここで、尿素水の当量比αとは、対象とする選択還元触媒について、単位時間当りの尿素水の流入量(NHとして流入する分も含む)と、単位時間当りのNOxの流入量との比(尿素水流入量/NOx流入量)であり、流入するNOxに対し、このNOxを過不足なく還元できる量の尿素水が流入した場合、この当量比αは値1となる。すなわち、対象とする選択還元触媒に流入するNOxに対し、流入するNOxを還元するために必要な量の尿素水が供給されなかった場合、当量比αは値1より小さな値となり、流入するNOxを還元するために必要な量より多くの尿素水が供給された場合、当量比αは値1より大きな値となる。
上記式(1)において、フィードバック噴射量GUREA_FBは、NHセンサ出力VNH3が値0より大きな値に設定された目標値VNH3_TRGTに収束するように図示しないフィードバックコントローラによって算出された尿素水の噴射量に相当する。
上記式(1)において、ストレージ補正入力GUREA_STは、選択還元触媒のNHストレージ量の推定値が、そのときの最大NHストレージ量の推定値の近傍に設定された目標値に収束するように図示しないフィードバックコントローラによって算出された尿素水の噴射量に相当する。
また、例えば特開2011−94592号公報に記載されたアルゴリズムでは、基準噴射量算出部51は、それぞれ独立して算出した2つの入力(フィードフォワード噴射量GUREA_FF、スイッチング噴射量GUREA_SW)を合算したものを基準噴射量GUREA_BSとする(下記式(2)参照)。
Figure 0005918096
上記式(2)において、フィードフォワード噴射量GUREA_FFは、上記式(1)に示すものと同じである。また、上記式(2)において、スイッチング噴射量GUREA_SWは、NHセンサ出力に基づいて選択還元触媒においてNHスリップが発生したと判定されたことに応じてNHスリップを抑制すべく負の所定値に設定され、基準噴射量を減量側に補正する。その後スイッチング噴射量GUREA_SWは、NHストレージ量の推定値が最大NHストレージ量の推定値よりもやや小さな閾値を下回ったことに応じて正の所定値に設定され、基準噴射量を増量側に補正する。このようにNHセンサ出力に基づいて基準噴射量の減量側への補正と増量側への補正とを交互に繰り返すことにより、NHストレージ量は最大NHストレージ量の近傍に維持される。
基準噴射量算出部51は、以上のような上記式(1)又は(2)に基づいて基準噴射量GUREA_BSを算出する。その具体的な手順は、国際公開第2009/128169や特開2011−94592号公報などに記載されているので、ここではより詳細な説明は省略する。
図7は、噴射量選択部57の構成を示すブロック図である。
噴射量選択部57は、排気浄化システムの現在の状態を示すパラメータに基づいてNHスリップの発生を判定するスリップ判定部58と、スリップ判定部58における判定結果に基づいて尿素水の噴射量の低減の可否を判定する低減判定部59と、を備える。
スリップ判定部58は、選択還元触媒から単位時間当りに排出されるNH量(以下、「第1NHスリップ速度」という)V_SLIP1[mg/sec]を算出する第1スリップ速度算出部581と、選択還元触媒における単位時間当りのNH消費量(以下、「NH消費速度」という)V_RED[mg/sec]を算出する消費速度算出部585と、比較器584とを備える。スリップ判定部58は、これら第1NHスリップ速度V_SLIP1とNH消費速度V_REDとを比較器584で比較することによってNHスリップの発生を判定する。
第1スリップ速度算出部581は、NHセンサ出力VNH3に基づいてスリップ速度を算出するNHセンサベース算出部582と、選択還元触媒の温度TSCRに基づいてスリップ速度を算出する触媒温度ベース算出部583と、を備える。
NHセンサベース算出部582は、排気中のNH濃度に略比例したNHセンサ出力VNH3を排気流量Gexに基づいて単位変換し、単位時間当りに選択還元触媒から排出されるNH量QNH3[mg/sec]を算出する。さらにNHセンサベース算出部582は、下記式(3)に示すように、このNH量QNH3の差分値を算出し、これをNHセンサベーススリップ速度dQNH3[mg/sec]とする。
Figure 0005918096
触媒温度ベース算出部583は、触媒温度TSCRに基づいて所定のマップを検索することにより選択還元触媒の最大NHストレージ量の推定値ST_max[mg]を算出するとともに、下記式(4)に示すように、この最大NHストレージ量の推定値ST_maxの差分値を算出し、これを触媒温度ベーススリップ速度dST_max[mg/sec]とする。上述のように、本実施形態の尿素水噴射制御部5によれば、選択還元触媒には最大NHストレージ量又はその近傍にNHストレージ量を維持するような尿素水噴射制御が行われる。したがって、このような尿素水噴射制御が行われることを前提とすれば、上記触媒温度ベーススリップ速度dST_maxは、選択還元触媒から単位時間当りに排出されるNH量の推定値に相当する。
Figure 0005918096
第1スリップ速度算出部581は、それぞれ独立して算出された2つのスリップ速度dQNH3,dST_maxを比較し、大きい方を最終的な第1NHスリップ速度V_SLIP1として出力する。このように、複数の異なる手法でスリップ速度を推定し、そのうちの大きい方を用いることにより、より確実に過剰なNHスリップを抑制することができる。
消費速度算出部585は、単位変換部586と、NOx量算出部587と、反応モデル演算部588とを備え、これらによりNH消費速度V_REDを算出する。
単位変換部586は、選択還元触媒に流入する排気中のNOx濃度に略比例したNOxセンサ出力VNOxを排気流量Gexに基づいて単位変換し、単位時間当りに選択還元触媒に供給されるNOx量QNOx[mg/sec]を算出する。
NOx量算出部587は、NO/NO量算出部587aと、昇温時NOx浄化率算出部587bとを備え、これらにより、選択還元触媒に流入したNOxのうち選択還元触媒により還元可能なNO量に相当するNO還元可能量QNO_RED[mg/sec]及び還元可能なNO量に相当するNO還元可能量QNO2_RED[mg/sec]を算出する。
NO/NO量算出部587aは、選択還元触媒に供給されるNOx量QNOxと酸化触媒の温度TDOCに基づいて所定のマップを検索することにより、選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNO_IN[mg/sec]と、選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNO2_IN[mg/sec]とを算出する。酸化触媒の温度TDOCが高くなるほど、酸化触媒におけるNOの酸化効率は高くなる。したがって、酸化触媒の温度TDOCが高くなるほど、NO流入量QNO_INは小さくなり、NO流入量QNO2_INは大きくなる。
NOx浄化率算出部587bは、触媒温度TSCR及び空間速度SVなどのエンジンの運転状態に応じて変化するパラメータに基づいて所定のマップを検索することにより、選択還元触媒におけるNOx浄化率の推定値ηを算出する。ここで、選択還元触媒における排気の空間速度SVとしては、例えば排気流量Gex及び選択還元触媒の容積に基づいて算出されたものが用いられる。
上述のNO還元可能量QNO_RED及びNO還元可能量QNO2_REDは、下記式(5−1)、(5−2)に示すように、NO流入量QNO_IN及びNO流入量QNO2_INに、そのときの選択還元触媒のNOx浄化率ηを乗算することで算出される。
Figure 0005918096
反応モデル演算部588は、下記式(6−1)〜(6−3)に示すような反応の下で、NHによりNO及びNOが還元されると仮定することにより、上記NO還元可能量QNO_REDのNO、及びNO還元可能量QNO2_REDのNOを浄化するために選択還元触媒において消費されるNH量を推定し、これをNH消費速度V_RED[mg/sec]とする。
Figure 0005918096
比較器584は、第1NHスリップ速度V_SLIP1がNH消費速度V_REDより大きい場合には選択還元触媒においてNHスリップが発生すると判定し、第1NHスリップ速度V_SLIP1がNH消費速度V_RED以下である場合にはNHスリップは発生しないと判定する。
低減判定部59は、後述のスリップ抑制フラグF_SLIPが“1”でありかつスリップ判定部58によってNHスリップが発生すると判定された場合にのみ、尿素水の噴射量を基準噴射量GUREA_BSから低減する(すなわち、補正噴射量GUREA_CORを最終的な噴射量GUREAとして決定する)。すなわち、スリップ抑制フラグF_SLIPが“1”となっている場合であっても、スリップ判定部58によってNHスリップが発生すると判定されない限り、尿素水の噴射量が基準噴射量から低減されることはない。また、低減判定部59は、その他の場合、すなわちスリップ判定部58によってNHスリップは発生しないと判定された場合やスリップ抑制フラグF_SLIPが“0”である場合には、尿素水の噴射量を基準噴射量GUREA_BSから低減しない(すなわち、基準噴射量GUREA_BSを最終的な噴射量GUREAとして決定する)。
図8は、低減量算出部55の構成を示すブロック図である。
低減量算出部55は、スリップ量予測部551と、NH/尿素水変換部555と、抑制フラグ設定部556と、を備える。
スリップ量予測部551は、選択還元触媒の温度とその最大NHストレージ量とを関係付けるマップについて、現在の選択還元触媒の温度TSCRに基づいて算出した最大NHストレージ量から、触媒温度予測部4にて算出された触媒予測温度TSCR_PREに基づいて算出した最大NHストレージ量を減算し、これを予測ストレージ量差ΔST[mg]とする(図9参照)。上述のように、本実施形態では、選択還元触媒には最大NHストレージ量に近いNHストレージ量を維持するような制御が行われる。このような尿素水噴射制御が行われることを前提とすれば、予測ストレージ量差ΔSTは、現在から予測時間TPRE後までの間に選択還元触媒から排出され得るNH量に相当する。
スリップ量予測部551は、予測ストレージ量差ΔSTを予測時間TPREで除算することにより、予測ストレージ量差ΔSTを単位時間当りの量に変換し、この単位時間当りの量から、消費速度算出部585(図7参照)において算出されたNH消費速度V_REDを減算することにより、スリップ抑制速度V_ST[mg/sec]を算出する。このスリップ抑制速度V_STは、現在から予測時間TPRE後までの間にNHスリップが発生するのを回避するために、上記基準噴射量GUREA_BSに相当するNH供給量から低減する必要のあるNH量の単位時間当りの量に相当する。
NH/尿素水変換部555は、予め定められた尿素水の濃度及び上記スリップ抑制速度V_STに基づいて、NHの量に相当する上記スリップ抑制速度V_STを尿素水の量に換算し、これを低減量ΔST_UREA[mg/sec]とする。
抑制フラグ設定部556は、運転状態判定部557及び温度差判定部558からの出力に基づいて選択還元触媒の将来の温度上昇を推定し、この推定に基づいてスリップ抑制フラグF_SLIPの値を更新する。このスリップ抑制フラグF_SLIPは、将来にNHスリップが発生することを示すフラグである。なお、図7を参照して説明したように、スリップ抑制フラグF_SLIPが“0”である限り、尿素水の噴射量は基準噴射量から低減されることはない。したがってスリップ抑制フラグF_SLIPは、尿素水の噴射量の低減が禁止又は許可された状態であることを示すものとなっている。
運転状態判定部557は、エンジンの運転状態を示すパラメータ(エンジン回転数NE、及びドライバ要求トルクTRQなど)に基づいて、加速運転状態であるか否かを判定する。加速運転状態になると、排気温度が上昇するため、選択還元触媒の温度も上昇すると推定される。
温度差判定部558は、触媒予測温度TSCR_PREから現在の触媒温度TSCRを減算して得られる温度差と所定の正のスリップ判定閾値とを比較し、温度差がスリップ判定閾値以上である場合には温度上昇状態にあると判定し、温度差がスリップ判定閾値より小さい場合には温度上昇状態にないと判定する。
抑制フラグ設定部556は、運転状態判定部557により加速運転状態であると判定された場合又は温度差判定部558により温度上昇状態にあると判定された場合には、NHスリップが発生すると判定し、スリップ抑制フラグF_SLIPを“1”にセットする。これにより、尿素水の噴射量の低減が許可される。また、抑制フラグ設定部556は、加速運転状態でないと判定されかつ温度上昇状態でないと判定された場合には、NHスリップは発生しないと判定し、スリップ抑制フラグF_SLIPを“0”にセットする。これにより、尿素水の噴射量の低減が禁止される。
なお図8に示すように、抑制フラグ設定部556には、各種センサの出力遅れを考慮して、運転状態判定部557の出力を所定時間遅延させるディレイ回路559が設けられている。これにより運転状態判定部557によって加速運転状態であると判定されてから所定時間が経過するまでは尿素水の噴射量の低減は禁止され、所定時間が経過した後も加速運転状態であると判定された場合に尿素水の噴射量の低減が許可される。
以上のように、抑制フラグ設定部556は、図7を参照して説明したスリップ判定部58と同様に選択還元触媒におけるNHスリップの発生を判定する。ただし、スリップ判定部58は、選択還元触媒の温度TSCRやNOx量QNOxなど現在の排気浄化システムの状態を示すパラメータに基づいてNH3スリップの発生を判定しているのに対し、抑制フラグ設定部556は、触媒予測温度TSCR_PREのような現在から予測時間TPRE後の将来の排気浄化システムの状態を示すパラメータに基づいてNHスリップの発生を判定している点で異なる。
[吸気制御部6]
図10〜図12を参照して、吸気制御部6のうちエンジン1の新気量制御に係るブロックについて説明する。
図10は、エンジンの新気量を所定の目標新気量QNEW[mg/sec]に制御するためのEGR弁開度の決定に係るブロック図である。吸気制御部6は、基準開度VO_BSの算出に係る基準開度算出部61と、補正開度VO_CORの算出に係る補正開度算出部62、第2スリップ速度算出部64及び消費速度算出部65とを備え、セレクタ63によって基準開度VO_BS及び補正開度VO_CORのうち何れかを選択することで最終的なEGR弁開度VOを決定する。
基準開度算出部61は、エンジンの新気量の目標値である目標新気量QNEWを入力とし、この目標新気量QNEWに応じた適切なEGR弁開度を算出し、これを基準開度VO_BSとして出力する。この目標新気量QNEWは、車両の運転状態に応じて図示しない処理により決定される。
図11は、第2スリップ速度算出部64の構成を示すブロック図である。
第2スリップ速度算出部64は、最大NHストレージ量ST_maxの単位時間当りの変化量に相当する触媒温度ベーススリップ速度dST_maxを算出し(上述の図7の触媒温度ベース算出部583参照)、この触媒温度ベーススリップ速度dST_maxからスリップ抑制速度V_STを減算することにより第2スリップ速度V_SLIP2[mg/sec]を算出する(下記式(7)参照)。
Figure 0005918096
上記式(7)において、スリップ抑制速度V_STは、上述のようにNHスリップの発生を回避するために、基準噴射量に相当するNH供給量から低減する必要のあるNH量に相当する(上述の図8のスリップ量予測部551参照)。換言すれば、尿素水の供給量を基準噴射量から低減量ΔST_UREAだけ減量することにより、単位時間当りに排出されるNHの量は、スリップ抑制速度V_STだけ削減される。したがって、上記式(7)から算出される第2スリップ速度V_SLIP2は、尿素水の噴射量が基準噴射量から低減されていることを前提としている点で、第1スリップ速度V_SLIP1と異なる。すなわち、第1スリップ速度V_SLIP1は、尿素水の噴射量の低減時を基準噴射量から低減していないときにおけるスリップ速度であり、第2スリップ速度V_SLIP2は、尿素水の噴射量の低減時におけるスリップ速度である。
図10に戻って、消費速度算出部65は、図7を参照して説明した消費速度算出部585と同じ手順によりNH消費速度V_REDを算出する。
補正開度算出部62は、第2NHスリップ速度V_SLIP2と、NH消費速度V_REDと、目標新気量QNEWとに基づいて、上記基準開度VO_BSよりも閉じ側に補正された補正開度VO_CORを算出する。補正開度算出部62は、余剰NH量算出部621と、反応モデル演算部622と、追加新気量算出部623と、目標新気量補正部624と、開度算出部625とを含んで構成される。
余剰NH量算出部621は、下記式(8)に示すように、第2NHスリップ速度V_SLIP2からNH消費速度V_REDを減算することにより、低減時余剰NH量ΔNH3を算出する。ここで算出された低減時余剰NH量ΔNH3は、尿素水の噴射量を基準噴射量から低減させても選択還元触媒に現在流入するNOxのみでは消費しきれずに、その下流側へ排出され得るNHの単位時間当りの量に相当する。換言すれば、低減時余剰NH量ΔNH3は、選択還元触媒の温度が上昇する過程において、吸着されていたNHが排出されないようにするために、余分に消費させる必要のあるNHの単位時間当りの量に相当する。
Figure 0005918096
反応モデル演算部622は、上記式(6−1)〜(6−3)に示すような反応の下で、NHによりNO及びNOが還元されると仮定することにより、上記低減時余剰NH量ΔNH3のNHを消費するために必要なNOx量を算出し、これを追加NOx量ΔNOxとする。
追加新気量算出部623は、選択還元触媒に供給されるNOxを、上記追加NOx量ΔNOxに相当する分だけ追加するために必要な、新気量の追加量を算出し、これを追加新気量ΔQNEWとする。
目標新気量補正部624は、下記式(9)に示すように、目標新気量QNEWに追加新気量ΔQNEWを合算することにより、目標新気量の補正値に相当する補正新気量QNEW_CORを算出する。
Figure 0005918096
開度算出部625は、補正新気量QNEW_CORを入力とし、この補正新気量QNEW_CORに応じた適切なEGR弁開度を算出し、これを閉側補正開度VO_CORとして出力する。例えば加速運転状態に移行し、これに伴い選択還元触媒の温度が上昇すると、それまでに選択還元触媒に吸着されていたNHが排出されることで、上記低減時余剰NH量ΔNH3が正の値となり、結果として追加新気量ΔQNEWが正の値となる場合がある。このとき、補正新気量QNEW_CORは、補正される前の目標新気量QNEWよりも大きな値となるため、これにより補正開度VO_CORは、補正される前の目標新気量QNEWに応じて算出された基準開度VO_BSよりも閉じ側に補正される。
セレクタ63は、第2NHスリップ速度V_SLIP2とNH消費速度V_REDとを比較することによって尿素水の噴射量の低減時におけるNHスリップの発生を判定し、この判定結果に応じて基準開度VO_BSと閉側補正開度VO_CORとの何れかを選択し、EGR弁開度VOを決定する。
より具体的には、セレクタ63は、第2スリップ速度V_SLIP2がNH消費速度V_RED以下である場合、NHスリップは発生しないと判定し基準開度VO_BSを選択する。またセレクタ63は、第2スリップ速度V_SLIP2がNH消費速度V_REDより大きい場合、尿素水の噴射量を低減してもNHスリップが発生すると判定し、補正開度VO_CORを選択する。これにより、エンジンからのNOx排出量、ひいては選択還元触媒に流入するNOx量が増加し、これまでに貯蔵されていたNHの消費が促され、NHスリップが回避される。
図12は、排気浄化システムにおける尿素水噴射制御及び吸気制御の手順を示すフローチャートである。図12に示す処理は、ECUにより所定の制御周期ごとに実行される。
S11では、尿素水噴射制御に係る装置が正常であるか否かを判別する。より具体的には、例えば、尿素水噴射装置が正常であるか否か、各種触媒が劣化及び故障していないか否か、尿素水タンク内の尿素水の残量が規定値以上であるか否か、エンジン始動後の暖機が完了しているか否か、NHセンサ、NOxセンサ、排気温度センサなど各種センサが故障していないか否か、及びこれらセンサが活性に達しているか否か、各種触媒の温度が規定温度以上であるか否か、などが判別される。
S11の判別がNOであり、尿素水噴射装置が正常でないと判別された場合にはS12に移り、尿素水噴射制御を停止すべく尿素水噴射量を値0にし(GUREA=0)、S13に移る。S13では、EGR弁の開度を基準開度に設定し(VO←VO_BS)、この処理を終了する。
S11の判別がYESであり装置が正常であると判別された場合にはS14に移る。S14では、スリップ抑制フラグF_SLIPが“1”であるか否かを判別する。ここで、S14における判別がNOである場合には、さしあたってNHスリップが発生するおそれがないと判断し、S15に移る。S15では、上記式(1)又は(2)に基づいて基準噴射量GUREA_BSを算出し、これを尿素水噴射量GUREAに設定する(GUREA←GUREA_BS)。そして上記S13に移り、EGR弁の開度を基準開度に設定する。また、スリップ抑制フラグF_SLIPが“1”である場合、すなわち加速運転状態又は温度上昇状態である場合、NHスリップが発生するおそれがあると判断し、このNHスリップを抑制すべくS16に移る。
S16では、加速運転状態又は温度上昇状態であると判定されたことに応じて、基準噴射量GUREA_BSの増量側への補正を禁止する。すなわち、上記S15において基準噴射量GUREA_BSを算出するに際し、NHセンサ出力等に基づいて、基準噴射量がフィードフォワード噴射量GUREA_FFに対し増量側に補正される場合には、この増量側への補正を禁止する。
より具体的には、例えば上記式(1)に基づいて基準噴射量を算出する場合、フィードバック噴射量GUREA_FB及びストレージ補正入力GUREA_STに対し値0に上限値を設定し、基準噴射量がフィードフォワード噴射量GUREA_FFに対し増量側に補正されないようにする。また、上記式(2)に基づいて基準噴射量を算出する場合、スイッチング噴射量GUREA_SWに対し値0に上限値を設定し、基準噴射量がフィードフォワード噴射量GUREA_FFに対し増量側に補正されないようにする。
S17では、基準噴射量からの低減量ΔST_UREAを算出し、S18に移る。S18では、第1スリップ速度V_SLIP1がNH消費速度V_REDより大きいか否かを判別する。この判別がNOの場合、すなわち第1スリップ速度V_SLIP1がNH消費速度V_RED以下である場合、尿素水噴射量を基準噴射量から低減せずともNHスリップは発生しないと判断しS15に移る。この判別がYESの場合、すなわち第1スリップ速度V_SLIP1がNH消費速度V_REDより大きい場合、尿素水噴射量を基準噴射量から低減しなければNHスリップが発生すると判断し、S19に移る。S19では、基準噴射量GUREA_BSから低減量ΔST_UREAを減算することによって補正噴射量GUREA_CORを算出し、これを尿素水噴射量GUREAに設定する(GUREA←GUREA_COR)。
S20では、第2スリップ速度V_SLIP2がNH消費速度V_REDより大きいか否かを判別する。この判別がNOの場合、すなわち第2スリップ速度V_SLIP2がNH消費速度V_RED以下である場合、尿素水噴射量の低減のみによってNHスリップの発生は回避できると判断しS13に移る。この判別がYESの場合、すなわち第2スリップ速度V_SLIP2がNH消費速度V_REDより大きい場合、尿素水噴射量の低減に加え、さらにNOx排出量を増加しなければNHスリップの発生は回避できないと判断し、S21に移る。S21では、EGR弁の開度を基準開度より閉じ側に補正し(VO←VO_COR)、この処理を終了する。
上記実施形態では、NHを還元剤とし、かつこの前駆体としての尿素水を供給する尿素添加式の排気浄化システムに、本発明を適用した例を示したが、これに限るものではない。例えば、尿素水を供給しこの尿素水からアンモニアを生成せずに、直接NHを供給してもよい。また、NHの前駆体としては、尿素水に限らず他の添加剤を用いてもよい。
また、NOxを還元するための還元剤はNHに限るものではない。すなわち、上記実施形態では、NHを還元剤としてNOxを浄化する所謂NH−選択還元触媒を備えた排気浄化システムに本発明を適用した例を示したが、これに限るものではない。例えば、HCを還元剤としてNOxを浄化する所謂HC−選択還元触媒を備えた排気浄化システムにも本発明を適用できる。
1…エンジン(内燃機関)
11…排気管(排気通路)
12…吸気管(吸気通路)
18…EGR管(EGR通路)
19…EGR弁
2…排気浄化システム
21…酸化触媒
23…選択還元触媒
25…尿素水噴射装置(還元剤供給装置)
27…排気温度センサ(酸化触媒温度取得手段、現在温度取得手段)
28…NOxセンサ(NOx量取得手段)
3…ECU(NOx量取得手段、酸化触媒温度取得手段、現在温度取得手段)
4…触媒温度予測部(将来温度推定手段)
5…尿素水噴射制御部(供給量制御手段)
55…低減量算出部
551…スリップ量予測部
555…NH/尿素水変換部
556…抑制フラグ設定部(第1判定手段)
557…運転状態判定部(加速判定手段)
558…温度差判定部
57…噴射量選択部
58…スリップ判定部(第2判定手段)
581…第1スリップ速度算出部(還元剤スリップ量算出手段)
585…消費速度算出部(還元剤消費量算出手段)
6…吸気制御部(NOx排出量増加手段)
62…補正開度算出部(補正開度算出手段)
63…セレクタ(第3判定手段)
64…第2スリップ速度算出部(低減時スリップ量算出手段)
65…消費速度算出部(消費量算出手段)

Claims (10)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、還元剤によって排気中のNOxを浄化する選択還元触媒と、
    前記選択還元触媒の上流に還元剤又はその前駆体を供給する還元剤供給装置と、
    前記選択還元触媒の将来の温度上昇の推定に基づいて、前記選択還元触媒からの将来の還元剤スリップの発生を判定する第1判定手段と、
    前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、還元剤の供給量を所定の基準量よりも低減させる供給量制御手段と、
    現在の選択還元触媒に供給されるNOx量を検出又は推定するNOx量取得手段と、を備えた内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記NOx量に基づいて、前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第2判定手段と、
    現在の選択還元触媒の温度を検出又は推定する現在温度取得手段と、
    前記機関の運転状態に基づいて前記選択還元触媒の将来の温度を推定する将来温度推定手段と、をさらに備え、
    前記供給量制御手段は、前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されている場合であっても、前記第2判定手段によって還元剤スリップが発生しないと判定された場合には還元剤の供給量を基準量から低減せず、
    前記供給量制御手段は、前記現在の温度に基づいて現在の還元剤貯蔵可能量を算出し、前記将来の温度に基づいて算出された将来の還元剤貯蔵可能量を算出し、これら現在の還元剤貯蔵可能量と将来の還元剤貯蔵可能量との差に基づいて前記還元剤の基準量からの低減量を算出することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 内燃機関の排気通路に設けられ、還元剤によって排気中のNOxを浄化する選択還元触媒と、
    前記選択還元触媒の上流に還元剤又はその前駆体を供給する還元剤供給装置と、
    前記選択還元触媒の将来の温度上昇の推定に基づいて、前記選択還元触媒からの将来の還元剤スリップの発生を判定する第1判定手段と、
    前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、還元剤の供給量を所定の基準量よりも低減させる供給量制御手段と、
    現在の選択還元触媒に供給されるNOx量を検出又は推定するNOx量取得手段と、を備えた内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記NOx量に基づいて、前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第2判定手段と、
    前記供給量制御手段によって還元剤の供給量が基準量から低減されていることを前提として前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第3判定手段と、
    前記第3判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、前記機関からのNOx排出量を増加させるNOx排出量増加手段と、をさらに備え、
    前記供給量制御手段は、前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されている場合であっても、前記第2判定手段によって還元剤スリップが発生しないと判定された場合には還元剤の供給量を基準量から低減しないことを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  3. 内燃機関の排気通路に設けられ、還元剤によって排気中のNOxを浄化する選択還元触媒と、
    前記選択還元触媒の上流に還元剤又はその前駆体を供給する還元剤供給装置と、
    前記選択還元触媒の将来の温度上昇の推定に基づいて、前記選択還元触媒からの将来の還元剤スリップの発生を判定する第1判定手段と、
    前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されたことに応じて、還元剤の供給量を所定の基準量よりも低減させる供給量制御手段と、
    現在の選択還元触媒に供給されるNOx量を検出又は推定するNOx量取得手段と、を備えた内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記NOx量に基づいて、前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定する第2判定手段と、
    前記機関の運転状態に基づいて、当該機関が加速運転状態であるか否かを判定する加速判定手段と、をさらに備え、
    前記供給量制御手段は、前記第1判定手段によって還元剤スリップが発生すると判定されている場合であっても、前記第2判定手段によって還元剤スリップが発生しないと判定された場合には還元剤の供給量を基準量から低減せず、
    前記第1判定手段は、前記加速判定手段により加速運転状態であると判定されてから所定時間が経過するまでは前記供給量制御手段による還元剤の供給量の低減を禁止し、前記所定時間が経過した後も加速運転状態であると判定された場合に前記供給量制御手段による還元剤の供給量の低減を許可することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記選択還元触媒の上流に設けられた酸化機能を有する酸化触媒と、当該酸化触媒の温度を検出又は推定する酸化触媒温度取得手段と、をさらに備え、
    前記第2判定手段は、前記NOx量及び前記酸化触媒の温度に基づいて前記選択還元触媒に流入するNO量及びNO量を算出し、これらNO量及びNO量に基づいて前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  5. 現在の選択還元触媒からの還元剤スリップ量を算出する還元剤スリップ量算出手段と、
    前記NO量及びNO量に基づいて前記選択還元触媒における還元剤消費量を算出する還元剤消費量算出手段と、をさらに備え、
    前記第2判定手段は、前記還元剤スリップ量と前記還元剤消費量とを比較することによって還元剤スリップの発生を判定することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  6. 前記還元剤の供給量の基準量は、前記選択還元触媒の還元剤貯蔵量がその最大還元剤貯蔵可能量に又はその近傍に維持されるように、前記選択還元触媒の下流側の還元剤濃度に基づいて算出されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  7. 前記選択還元触媒の最大還元剤貯蔵可能量の単位時間当りの変化量から、前記供給量制御手段によって還元剤の供給量を基準量から低減した場合に抑制される還元剤スリップ量の単位時間当りの量を減算することで、還元剤の低減時における選択還元触媒からの単位時間当りの還元剤スリップ量を算出する低減時スリップ量算出手段と、
    前記NOx量及び前記選択還元触媒の上流に設けられた酸化触媒の温度に基づいて前記選択還元触媒に流入するNO量及びNO量を算出し、これらNO量及びNO量に基づいて前記選択還元触媒における単位時間当りの還元剤消費量を算出する消費量算出手段と、をさらに備え、
    前記第3判定手段は、前記還元剤の低減時の還元剤スリップ量と前記還元剤消費量とを比較することによって前記選択還元触媒からの還元剤スリップの発生を判定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  8. 前記排気通路と前記機関の吸気通路とを連通し、排気の一部を前記吸気通路にEGRガスとして還流するEGR通路と、
    前記EGR通路に設けられ、EGR量を制御するEGR弁と、をさらに備え、
    前記NOx排出量増加手段は、前記EGR弁を所定の基準開度より閉弁側へ補正することで前記機関からのNOx排出量を増加させることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  9. 前記還元剤の低減時における選択還元触媒からの単位時間当りの還元剤スリップ量から前記選択還元触媒において単位時間当りに消費される還元剤量を減算することで、単位時間当りに消費させる必要のある還元剤量を算出し、当該消費させる必要のある還元剤量に基づいて増加させる必要のあるNOx量を算出し、当該増加させる必要のあるNOx量に応じて閉側補正時の前記EGR弁の開度を算出する補正開度算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  10. 前記第1判定手段は、将来の選択還元触媒の温度から現在の選択還元触媒の温度を減算して得られる温度差が所定の閾値以上である場合、又は前記加速判定手段により加速運転状態であると判定されてから前記所定時間が経過した後も加速運転状態であると判定された場合に、還元剤スリップが発生すると判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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