JP5916824B2 - 磁気記録媒体および磁気記録媒体用磁性塗料組成物 - Google Patents
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Description
そこで磁性層の耐久性向上のために、従来検討されてきたように磁性層の結合剤として用いる樹脂の力学物性を高めることが考えられる。しかるに上記の通り、磁性層の耐久性向上のために結合剤の力学物性を高めようとするほど強磁性粉末の分散性は低下する傾向にある。即ち、近年求められている磁性層の更なる耐久性向上を強磁性粉末の分散性向上とともに達成することは、従来行われてきたような結合剤による対応では、困難である。
また、磁性層の耐久性に関しては、上記化合物は結合剤として使用される樹脂ほど高分子化合物ではないため、磁性層において可塑剤的な作用を奏しているのではないかと考えている。より詳しくは、磁性層を単に高強度化するのみでは、磁性層が脆くなり破断しやすくなると考えられるが、上記化合物が可塑剤的な作用を奏し、磁性層に適度な伸びやすさを付与することが、磁性層の耐久性向上に寄与しているのではないかと、本発明者は推察している。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
磁性層に、上記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が1,000以上20,000未満の範囲である化合物を更に含む磁気記録媒体、
に関する。
上記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が1,000以上20,000未満の範囲である化合物と、
強磁性粉末と、
結合剤と、
溶媒と、
を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物、
に関する。
上記磁気記録媒体の磁性層に含まれる化合物は、強磁性粉末の分散性向上に寄与することができる。更に、上記化合物を含む磁性層は、優れた耐久性(より詳しくは、傷が付きにくい優れた耐傷性)を示すことができる。
上記磁気記録媒体用磁性塗料組成物は、本発明の一態様にかかる磁気記録媒体の磁性層を形成するための磁性層形成用塗布液として、または磁性層形成用塗布液の調製のために、用いることができる。
(一般式(1)の詳細)
一般式(1)は、以下の通りである。
上記化合物は、一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が1,000以上20,000未満である。このように、一般に磁性層に用いられる結合剤よりも低分子量の化合物であることが、可塑剤的な作用を奏することに寄与しているのではないかと、本発明者らは推察している。この点から、上記化合物の重量平均分子量は、12,000以下であることがより好ましく、9,000以下であることがより好ましい。また、一般式(1)で表される化合物は、先に記載したA1を含むため通常の低分子化合物よりは分子量が大きい。この点から一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量は1,000以上であり、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。なお本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算で求められる値をいうものとする。
以上説明した上記化合物は、公知の方法で合成することができる。合成方法の一例としては、例えば、
母核構造にエポキシ基が2つ以上置換した多官能エポキシ化合物とA1をもたらすポリマーとの開環付加反応により、上記A1および水酸基を有する開環付加体を得る工程;
上記開環付加体を酸無水物により変性することにより、開環付加体の水酸基の少なくとも1つを上記Zで表される1価の置換基に転換し酸無水物変性体を得る工程;
を含む合成方法を挙げることができる。
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体および組成物に含まれる結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常用いられている各種の樹脂を、何ら制限なく用いることができる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、より好ましいものは、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。
以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。結合剤含有量は、強磁性粉末100質量部に対して、例えば5〜50質量部の範囲、好ましくは10〜30質量部の範囲とすることができる。
強磁性粉末は、好ましくは、平均粒子サイズが50nm以下である。平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末は、近年求められている高密度記録に対応し得る強磁性粉末であるが、高度に分散させることは容易ではない。これに対し、上記化合物と併用することにより、50nm以下の平均粒子サイズを有する強磁性粉末の分散性を向上することが可能となる。なお磁化の安定性の観点からは、平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。粒子写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記組成物に以上説明した成分とともに含まれる溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性および強磁性粉末の表面への結合剤の吸着の点からは、ケトン類を含有する有機溶媒(ケトン溶媒)を用いることが好ましい。溶媒全量に対するケトン溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、100質量%であってもよい。
上記磁気記録媒体および組成物は、以上説明した成分に加えて、公知の添加剤の1種以上を任意に含むこともできる。また、上記組成物は、公知の添加剤を添加して磁性層形成用塗布液として用いることもできる。 そのような添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなど、塗布型磁気記録媒体形成に通常用いられる各種添加剤を挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
以下、上記磁気記録媒体の構成および製造工程について、更に詳細に説明する。
磁性層は、磁性層形成用塗布液を非磁性支持体の表面に直接、または非磁性支持体上に設けられた非磁性層等の他の層の表面に塗布し乾燥させ、必要に応じて加熱等の処理を施すことにより、形成することができる。磁性層に含まれる各種成分および磁性層の形成に使用可能な組成物については、先に記載した通りである。
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。
上記磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有することもできる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmであることが好ましい。
磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであり、一般には10nm〜150nmであり、好ましくは20nm〜120nmであり、更に好ましくは30nm〜100nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、上記化合物、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層形成用塗布液、非磁性形成用層塗布液またはバックコート層形成用塗布液を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径と充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。磁気記録媒体の製造工程の詳細については、例えば特開2010−24113号公報段落0051〜0057を参照できる。また、必要に応じて、特開2012−74097号公報段落0055に記載されているように、乾燥工程やカレンダー処理とは別に加熱処理を実施することもできる。
また、下記の重量平均分子量は、GPCにより測定しポリスチレン換算値として求めた。
下記合成方法により目的の化合物が得られたことは、1H−NMR、GPC、酸価測定により確認した。
(工程A)ポリエステル(A−1)の合成
500mL3口フラスコにn−オクタン酸(和光純薬株式会社製)16.8g、ε−カプロラクトン(ダイセル工業化学株式会社製プラクセルM)100g、モノブチルすずオキシド(和光純薬株式会社製)(BuSn(O)OH)6.0gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(A-1)(pCL15−Oct)を得た。合成スキームを以下に示す。
500mL3口フラスコにトリグリシジルイソシアヌレート(東京化成工業株式会社製)11.6g、ジメチルドデシルアミン(東京化成工業株式会社製)(0.62g)、およびポリエステル(A−1)200gを混合し、110℃で3時間加熱して、開環付加体(B−1)を得た。合成スキームを以下に示す。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水コハク酸(東京化成株式会社製)11.7gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物1のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
工程Cを以下のように変更した点以外、化合物1の合成と同様の工程を実施し、下記化合物2のシクロヘキサノン30%溶液を得た。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水フタル酸17.3gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物1のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
(工程A)ポリエステル(A−2)の合成
500mLの3口フラスコにn−オクタン酸63.2g、ε−カプロラクトン200g、モノブチルすずオキシド(BuSn(O)OH)22.3gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(A-2)(pCL4−Oct)を得た。合成スキームを以下に示す。
500mL3口フラスコにトリメチロールプロパン トリグリシジル エーテル(東京化成工業株式会社製)24.9g、ジメチルドデシルアミン(1.9g)、およびポリエステル(A−2)200gを混合し、110℃で3時間加熱して、開環付加体(B−2)を得た。合成スキームを以下に示す。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水コハク酸35.1gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物3のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
工程Cを以下のように変更した点以外、化合物3の合成と同様の工程を実施し、下記化合物4のシクロヘキサノン30%溶液を得た。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水フタル酸51.9gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物4のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
(工程A)ポリエステル(A−3)の合成
500mLの3口フラスコにn−オクタン酸19.2g、δ−バレロラクトン100g、モノブチルすずオキシド(BuSn(O)OH)3.4gを混合し、160℃で1時間加熱した。δ−バレロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、ポリエステル(A-3)(pVL15−Oct)を得た。合成スキームを以下に示す。
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(東京化成工業株式会社製)11.5g、ジメチルドデシルアミン(0.58g)、およびポリエステル(A−3)200gを混合し、110℃で3時間加熱して、開環付加体(B−3)を得た。合成スキームを以下に示す。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水コハク酸10.8gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物5のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
ポリエステルとしてポリエステル(A−1)(pCL15−Oct)を用いた点以外は化合物5の合成と同様の工程を実施し、下記化合物6のシクロヘキサノン30%溶液を得た。
(工程B)開環付加体(B−4)の合成
ポリエステルとしてポリエステル(A−3)pVL15−Oct)を用いて、以下の方法により開環付加体(B−4)を得た。
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(東京化成工業株式会社製)12.5g、ジメチルドデシルアミン(0.62g)、およびポリエステル(A−3)200gを混合し、110℃で3時間加熱して、開環付加体(B−4)を得た。
合成スキームを以下に示す。
工程Bの反応後の反応液を65℃まで放冷した後、シクロヘキサノン中に無水コハク酸11.7gを含有するシクロヘキサノン溶液200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、更にシクロヘキサノンを添加し、下記化合物7のシクロヘキサノン30%溶液を得た。合成スキームを以下に示す。
500mL3口フラスコにn−オクタン酸(和光純薬株式会社製)4.2g、ε−カプロラクトン(ダイセル工業化学株式会社製プラクセルM)100g、モノブチルすずオキシド(和光純薬株式会社製)(BuSn(O)OH)0.74gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(A-4)(pCL60−Oct)を得た。合成スキームを以下に示す。
<組成物の処方>
強磁性板状六方晶フェライト粉末:100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:160kA/m(2000Oe)
平均板径:20nm
平均板状比:2.7
BET比表面積:60m2/g
σs:46A・m2/kg(46emu/g)
表1に記載の化合物:10部
ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン(登録商標)UR4800、官能基:SO3Na、官能基濃度:70eq/t、重量平均分子量7,0000):4部
塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104、重量平均分子量5,5000):10部
α−Al2O3(平均粒子サイズ0.1μm):8部
カーボンブラック(平均粒子サイズ:0.08μm):0.5部
シクロヘキサノン:110部
上記の各成分をオープンニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁気記録媒体用磁性塗料組成物を得た。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
ステアリン酸アミド0.2部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):2.5部
上記で調製した組成物を0.5mL取り出し、メチルエチルケトン(MEK)/シクロヘキサノン=6/4(体積比)混合溶液で25倍に希釈して評価用分散液を調製した。この分散液の波長450nmにおける透過率を、(株)島津製作所製UV−3600を用いて測定し、下記評価基準により評価した。分散性が低く液中で強磁性粉末が凝集ないし沈降しているほど、液(上澄み液)の透過率は高くなるため、透過率が低いほど分散性が良好であると判断することができる。
A:透過率が0〜5.0%
B:透過率が5.1%以上
<耐久性評価用フィルムの作製>
・表1に記載の化合物:10部
・ポリウレタン系樹脂:(東洋紡績株式会社製バイロン(登録商標)UR4800):4部
・塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104):10部
を混合して得た混合液を10℃以下に冷却した。冷却後の混合液に、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)溶液 5.0質量部(固形分2.5部、トルエン1.25部、メチルエチルケトン(2−ブタノン)1.25部)を添加した後、固形分が22%になるようにシクロヘキサノンを添加し溶解させた。
上記の方法で調製したフィルム作製用組成物をベースフィルム(東レ社製トレリナ(登録商標)フィルム3000)に300μmのギャップを持つドクターブレードを用いて塗布し、140℃、30分の条件で真空乾燥した。得られた乾燥フィルムを室温に冷却した後、100℃2日の条件でアニールした。アニール後のフィルムを室温に冷却した後、ベースフィルムを剥がし、耐久性評価用フィルムを得た。
(破断エネルギーの測定)
得られた耐久性評価用フィルムを、幅6.35mm、チャック間距離50mmになるように切り出した。東洋精機社製ストログラフ(TOYOSEIKI STROGRAPH V1−C)のチャック間距離を50mmにセットし、切り出したフィルム試料を配置し、試験速度を50mm/minとしてフィルム引張試験を実施し、試験中の伸び率および応力を測定した。
フィルムが破断した際の荷重(kgf)を破断加重とし、得られた破断荷重÷フィルム断面積(μm2)×9.8の計算で得られた値を破断応力(MPa)、破断時の伸び率を破断伸びとして求めた。
破断エネルギーは、測定された伸びを横軸、応力を縦軸にとり得られた伸び−応力曲線の、破断伸びおよび破断応力の交点を終点とする領域の積分値として求められる。
破断エネルギーが高いほど、フィルム強度が高い耐久性に優れることを意味する。
<非磁性層塗布液の調製>
非磁性粉体(αFe2O3 ヘマタイト):80部
平均長軸長 0.15μm
BET法による比表面積 52m2/g
pH 6
タップ密度 0.8
DBP吸油量 27〜38g/100g
表面処理剤 Al2O3、SiO2
カーボンブラック:20部
平均粒径 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン系樹脂:19部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=100eq/ton
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
ステアリン酸:1部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
カーボンブラック(平均粒径40nm):85部
カーボンブラック(平均粒径100nm):3部
ニトロセルロース:28部
ポリウレタン樹脂:58部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(日本ポリウレタン工業社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860部
トルエン:240部
上記の非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.0μmになるように、さらにその直後にその上に乾燥後の磁性層の厚さが0.1μmになるように、厚さ5μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.001μmの、予めコロナ処理を施してベース表面を親水性にしたポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に、上記で調製した磁気記録媒体用磁性塗料組成物の同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、やはり予めコロナ処理を施したベース面に上記のバックコート層用塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、その後金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い、1/2mm幅にスリットして磁気テープを作製した。
上記磁気テープの磁性層表面の耐傷性試験を、水平直線往復摺動方式による自動摩擦摩耗解析装置(Triboster TS501:協和界面科学社製)を用い、接触子:3mmΦ、球荷重:3g、速度:3mm/秒、測定回数:10往復の条件で実施した。試験後の磁性層表面を光学顕微鏡(倍率:100〜500倍)で観察し、以下の評価基準で耐傷性を評価した。
A:磁性層表面に傷は見られない
B:磁性層表面に微小な傷が見られる
C:磁性層表面に深い傷が見られ、削られた成分が磁性層表面に堆積している
以上の結果から、本発明によれば、強磁性粉末の分散性向上と磁性層の耐久性向上をともに達成可能であることが確認された。
Claims (19)
- 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層に、下記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が1,000以上20,000未満の範囲である化合物を更に含む磁気記録媒体;
一般式(1)中、A1は、1価の重合体基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、R11は、水素原子または1価の置換基を表し、mは2以上の整数を表し、複数存在するR1、R2、A1、R11は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、A2は水酸基または−O−R3−Zで表される1価の置換基を表し、R3は単結合または2価の連結基を表し、Zは1価の酸性基を表し、複数存在するA2のうちの少なくとも1つは−O−R3−Zで表される1価の置換基を表し、Xはm価の連結基を表す。 - 前記結合剤は、重量平均分子量が20,000〜120,000の範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 一般式(1)中、Zで表される1価の酸性基は、カルボキシル基、カルボキシル塩基、スルホン酸基、またはスルホン酸塩基である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 一般式(1)中、A1は、ポリエステル構造を有する1価の重合体基を表す請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 一般式(1)中、Xで表されるm価の連結基は、環状構造および分岐構造からなる群から選ばれる構造を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキレン基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記強磁性粉末は、平均粒子サイズが10nm以上50nm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記化合物を、強磁性粉末100質量部あたり0.5〜50質量部含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記結合剤は、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル系樹脂からなる群から選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 下記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が1,000以上20,000未満の範囲である化合物と、
強磁性粉末と、
結合剤と、
溶媒と、
を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物;
一般式(1)中、A1は、1価の重合体基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、R11は、水素原子または1価の置換基を表し、mは2以上の整数を表し、複数存在するR1、R2、A1、R11は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、A2は水酸基または−O−R3−Zで表される1価の置換基を表し、R3は単結合または2価の連結基を表し、Zは1価の酸性基を表し、複数存在するA2のうちの少なくとも1つは−O−R3−Zで表される1価の置換基を表し、Xはm価の連結基を表す。 - 前記結合剤は、重量平均分子量が20,000〜120,000の範囲である請求項10に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 一般式(1)中、Zで表される1価の酸性基は、カルボキシル基、カルボキシル塩基、スルホン酸基、またはスルホン酸塩基である請求項10または11に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 一般式(1)中、A1は、ポリエステル構造を有する1価の重合体基を表す請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 一般式(1)中、Xで表されるm価の連結基は、環状構造および分岐構造からなる群から選ばれる構造を含む請求項10〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立にアルキレン基である請求項10〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 前記強磁性粉末は、平均粒子サイズが10nm以上50nm以下である請求項10〜15のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 前記化合物を、強磁性粉末100質量部あたり0.5〜50質量部含む請求項10〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 前記結合剤は、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル系樹脂からなる群から選択される請求項10〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
- 前記溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項10〜18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
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