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JP5915285B2 - 状態検出装置、電子機器、測定システム及びプログラム - Google Patents

状態検出装置、電子機器、測定システム及びプログラム Download PDF

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JP5915285B2 JP2012058204A JP2012058204A JP5915285B2 JP 5915285 B2 JP5915285 B2 JP 5915285B2 JP 2012058204 A JP2012058204 A JP 2012058204A JP 2012058204 A JP2012058204 A JP 2012058204A JP 5915285 B2 JP5915285 B2 JP 5915285B2
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Description

本発明は、状態検出装置、電子機器、測定システム及びプログラム等に関する。
従来、種々のセンサーを有する機器をユーザーの身体に装着することで、当該ユーザーの状態(例えば運動状態等)を検出する手法が広く用いられている。そのような機器としては、ユーザーの心拍情報を検出する心拍計や、歩行や走行時の歩数等を推定する歩数計が考えられる。
近年の歩数計では、歩数のカウントだけではなく、ユーザーの移動速度や移動距離といった情報も推定している。速度や距離の推定精度を向上させようとした場合、ユーザーの状態(具体的には歩行状態であるか走行状態であるか)を推定することが好ましい。例えば、距離を歩数×歩幅で算出する場合には、歩幅として適切な値を用いる必要があるが、一般的に歩行状態と走行状態では歩幅が異なってくるためである。これは歩幅以外のパラメーターを用いて速度等を推定する場合も同様であり、歩行状態でのパラメーターと走行状態でのパラメーターを切り替えることで推定結果の精度向上が期待できる。
また、速度や距離以外においても歩行状態と走行状態の判別が有効なケースは考えられる。例えば、ユーザーの消費カロリーを計算する場面等では、運動負荷により算出手法(例えば算出式)を変更する必要がある。
その他にも、歩行状態と走行状態とでその内容を切り替えることが望ましい処理は種々考えられるため、歩行走行判定を正確に行うことへの要求は大きい。
歩行状態であるか走行状態であるかを、ユーザーに入力させる装置は以前からあったが、運動状態の切り替わり時に入力が必要になるなど、ユーザーの利便性等の点から問題があるため、近年ではシステムによる自動判定が行われるようになっている。
特開2011−221798号公報 特開2008−77368号公報
特許文献1では、歩行走行のステップに該当するパルス信号の時間間隔を測定することで歩行状態と走行状態の判定を行っている。また、特許文献2ではステップに該当するパルスを処理する場合に、異なる周波数帯域を通過させることのできるフィルターを使って、より低い周波数で検出される歩行と、高い周波数で検出される走行とを判定している。
特許文献1及び特許文献2の手法は、どちらも歩行状態では走行状態に比べてステップの時間間隔が長いという考え方に基づいている。しかし、歩行と走行のピッチは人により大きく異なるものである。歩行状態でも非常にステップの時間間隔が短い場合(極端な例では競歩等)があり得るし、走行状態でもステップの時間間隔が比較的長い場合(例えばストライド走法等)もある。よって、ステップの時間間隔に立脚した手法では、誤判定を行う危険がある。
本発明の幾つかの態様によれば、加速度センサーからの加速度検出値に基づいて、歩行状態と走行状態を適切に判定する状態検出装置、電子機器、測定システム及びプログラム等を提供することができる。
本発明の一態様は、加速度センサーからの加速度検出値を取得する取得部と、前記加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定する判定部と、を含み、前記判定部は、所与の判定期間において、第1の軸における前記加速度検出値の正負の符号が反転したか否かを検出し、前記符号が反転した場合には前記走行状態と判定し、前記符号が反転しなかった場合には前記歩行状態と判定する状態検出装置に関係する。
本発明の一態様では、加速度センサーからの加速度検出値に基づいて歩行状態か走行状態かを判定する際に、第1の軸における加速度検出値の正負の符号が反転したか否かに基づいて処理を行う。これにより、容易な処理により判定が可能になるとともに、ピッチ(ステップ周波数)等を用いる手法に比べて判定の精度を向上させること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記判定部は、前記第1の軸として設定された重力方向に対応する方向の軸での前記加速度検出値に基づいて、前記走行状態と前記歩行状態を判定してもよい。
これにより、重力方向に基づいた判定が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記判定部は、前記第1の軸における前記加速度検出値に基づいて、前記第1の軸において前記重力方向に対応する前記符号が正であるか負であるかの判定を行い、前記所与の判定期間において、少なくとも1回、前記重力方向に対応する前記符号とは異なる前記符号の前記第1の軸における前記加速度検出値が検出された場合に、前記走行状態と判定してもよい。
これにより、重力方向に対応した正負の符号を検出するとともに、当該符号とは異なる符号を持つ値が検出されたか否かにより判定を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記判定部は、前記所与の判定期間のうち第1の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が正であり、前記所与の判定期間のうち前記第1の期間に続く第2の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が負である場合、或いは、前記第1の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が負であり、前記第2の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が正である場合に、前記走行状態と判定してもよい。
これにより、判定期間において正の期間と負の期間の両方があるか否かに基づいて、正負の符号の反転を検出すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記判定部は、前記所与の判定期間として設定された歩行又は走行における1ステップの長さ以上の期間において、前記加速度検出値に基づいて前記走行状態と前記歩行状態を判定してもよい。
これにより、1ステップの長さに基づいて判定期間を設定できるため、誤判定を抑止すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記加速度検出値に基づいて、前記歩行状態又は前記走行状態での速度情報を演算する速度情報演算部を含んでもよい。
これにより、歩行状態と走行状態の判定とともに、速度情報の演算等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部は、前記加速度検出値の大きさの平均値をSとし、速度情報演算用パラメーターをa,bとした場合に、前記速度情報TをT=aS+bにより演算してもよい。
これにより、加速度検出値の平均値に基づいた処理ができるため、歩数を用いる手法等に比べて速度推定の精度向上等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部は、前記加速度検出値の少なくとも1つの座標軸成分の絶対値に対応する値の積算値をIとし、速度情報演算用パラメーターをc,d,eとした場合に、前記速度情報rをr=cI+dI+eにより演算してもよい。
これにより、加速度検出値の積算値に基づいた処理ができるため、歩数を用いる手法等に比べて速度推定の精度向上等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部は、第1のタイミングでの前記加速度検出値を表す第1の加速度ベクトルと、第2のタイミングでの前記加速度検出値を表す第2の加速度ベクトルとが成す角に対応する角度情報θと、速度情報演算用パラメーターに基づいて、前記速度情報を演算してもよい。
これにより、加速度検出値を表す加速度ベクトルの角度情報に基づいた処理ができるため、歩数を用いる手法等に比べて速度推定の精度向上等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部は、前記角度情報θの積算値をθsumとし、前記速度情報演算用パラメーターをm,nとした場合に、前記速度情報VをV=mθsum+nにより演算してもよい。
これにより、角度情報の積算値に基づいた処理が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部は、前記判定部において前記走行状態であると判定された場合には、走行用パラメーターを前記速度情報演算用パラメーターとして設定し、前記判定部において前記歩行状態であると判定された場合には、歩行用パラメーターを前記速度情報演算用パラメーターとして設定してもよい。
これにより、歩行状態か走行状態かの判定の結果に基づいて、速度情報の演算に用いられるパラメーターを切り替えることができるため、運動状態に応じた適切な速度情報の演算等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記速度情報演算部で演算された前記速度情報に基づいて、前記歩行状態又は前記走行状態での移動距離情報を演算する距離情報演算部を含んでもよい。
これにより、歩行状態と走行状態の判定とともに、距離情報の演算等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、上記の状態検出装置と、前記加速度センサーと、を含む電子機器に関係する。
また、本発明の一態様では、心拍の検出、及び前記電子機器の被検体の胸部への固定に用いられる複数の端子を含み、前記加速度センサーは、互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸での前記加速度検出値を取得する3軸加速度センサーであり、前記複数の端子により前記電子機器が前記被検体に固定された場合に、前記Z軸の方向が前記歩行状態又は前記走行状態における進行方向に対応する方向となり、前記判定部は、前記Y軸での前記加速度検出値に基づいて、前記走行状態と前記歩行状態を判定してもよい。
これにより、電子機器として心拍計を用いる際に、歩行状態か走行状態かの判定に用いる座標軸をあらかじめ定めておくこと等ができるため、処理負荷の軽減等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、上記の状態検出装置を含む測定システムに関係する。
また、本発明の他の態様は、加速度センサーからの加速度検出値を取得する取得部と、前記加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定する判定部として、コンピューターを機能させ、前記判定部は、所与の判定期間において、第1の軸における前記加速度検出値の正負の符号が反転したか否かを検出し、前記符号が反転した場合には前記走行状態と判定し、前記符号が反転しなかった場合には前記歩行状態と判定するプログラムに関係する。
図1(A)は本実施形態の電子機器をユーザーの胸部に装着した例、図1(B)は本実施形態の状態検出装置の構成例。 図2(A)〜図2(D)は歩行状態での加速度検出値の例。 図3(A)〜図3(D)は走行状態での加速度検出値の例。 走行状態のユーザーの動きと加速度検出値の対応を説明する図。 図5(A),図5(B)は本実施形態の電子機器のハードウェア構成例。 本実施形態の処理に用いる座標軸と重力方向との関係図。 本実施形態の電子機器をユーザーの胸部に装着する例。 歩行走行判定期間の設定例。 加速度検出値の平均値とステップ周波数及び速度の関係を示す図。 速度情報の演算に用いられる軸の数と相関係数の関係図。 加速度検出値の積算値と速度情報の関係図。 加速度検出値により表されるベクトルと角度情報の例。 積算角度と速度情報の関係図。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。従来、ユーザーが装着したセンサー(特に加速度センサー)からのセンサー情報に基づいて、ユーザーの状態(特に歩行状態と走行状態)を検出する手法が知られている。
例えば歩数計等の装置では、検出した歩数に基づいて歩行走行時の移動速度や移動距離を推定することが考えられる。これは例えば、距離=歩数×歩幅、速度=距離/所要時間等から求めればよい。しかし、歩数が全く同じであったとしても歩行か走行かで移動距離や速度が異なることは当然に理解されることである。つまり、ここでは歩幅の値を運動状態に応じて適切に切り替えなければ、速度等の正確な推定は困難である。
また、歩数によらずに(例えば後述するように加速度センサーからの加速度検出値や、加速度ベクトルの角度変化等)から速度等を推定する場合であっても、推定に用いられるパラメーター等を変更することで推定精度の向上が期待できる。その他、歩数計以外の処理においても、歩行状態と走行状態の判定が有効であるケースは多い。
しかし、従来広く用いられてきた手法は、歩行状態は走行状態に比べて、歩行走行のステップの時間間隔が長い(或いはステップ周波数が低い)という仮定に基づいていた。しかし、歩行時のステップの時間間隔はユーザーによって異なるものである。さらに、走行時のステップの時間間隔はピッチ走法を好むか、ストライド走法を好むかといったことでユーザーにより(或いは同一ユーザーであっても地面の状況等により)大きく異なる。つまり、ステップの時間間隔やステップ周波数について、歩行と走行を切り分ける閾値等を明確に設定することは困難であり、誤判定の危険性を否定できない。
そこで本出願人は、ステップの時間間隔によらない歩行走行判定の手法を提案する。具体的には、走行状態においては一方の足の着地から他方の足の着地の間に、両足がともに接地していない瞬間があるのに対して、歩行状態においてはどのタイミングにおいても、右足と左足の少なくとも一方は必ず接地しているという事実(これは仮定ではない)に基づいて処理を行う。
つまり、走行状態では重力に逆らって接地面から浮き上がることになるため、1ステップの中で重力方向とは逆方向の加速度が現れるのに対して、歩行状態ではそのようなことはないということになる。本実施形態では重力方向と逆方向の加速度が検出されたか否かに基づいて歩行走行判定を行う。
さらに具体的には、重力方向に対応した座標軸(重力方向に一致してもよいが、それに限定されない。詳細は後述する)を考え、加速度センサーからの加速度検出値の当該座標軸成分の符号に基づいて判定処理を行えばよい。なお、加速度検出値とは加速度センサーからのセンサー情報により表される値であり、加速度センサーが1軸であれば当該軸での加速度値を表すスカラーとなる。ただし、加速度センサーはN軸(Nは2以上の整数であり、例えばN=3)であることが一般的であり、その場合の加速度検出値はN次元ベクトルとなる。以下、「所与の座標軸における加速度検出値」等の表現をした場合には、N次元ベクトルの成分のうち、当該軸に対応する成分(スカラー量)を表すものとする。ただし、上記「所与の座標軸」は加速度センサーに設定された座標系での軸に限定されず、座標変換処理を行う場合には、変換後の座標系に含まれる座標軸を指してもよいものとする。また、座標軸を限定せず「加速度検出値」という用語を用いた場合には、基本的にはN次元ベクトル或いはN個のスカラー量の集合を表すものとするが、その前後の文脈において対象としている座標軸が明確である場合にはこの限りではない。
重力方向に対応した座標軸における加速度検出値は、重力加速度に対応する成分が支配的である(ノイズやユーザーの動きによる信号に比べて十分大きい)。よって、加速度検出値のこの座標軸における成分の符号の変化に基づいて、重力方向と逆方向の加速度を検出し、検出結果から歩行走行判定を行う。
歩行状態での実測値の例を図2(A)〜図2(D)、走行状態での実測値の例を図3(A)〜図3(D)に示す。図2(A)、図2(B)、図2(C)はそれぞれ加速度検出値のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分の時間変化を表し、図2(D)は3軸の合成加速度(例えば二乗和の平方根)の時間変化を表す。走行状態でも同様である。
X,Y,Zの各軸は後述する図5(A)に示したものとする。水平方向(進行方向或いはそれに直交する方向)であるZ軸、X軸の成分は、歩行走行による信号値が小さいため、ユーザーのふらつき等による信号の影響を受けやすく、状態判定には適さない。また、合成加速度も必ず非負となるため本実施形態の手法では用いない。よって、本実施形態の処理に用いる座標軸は図2(B),図3(B)で示した重力方向に対応する軸(ここではY軸)となる。歩行状態と走行状態でのY軸における加速度検出値の違いは図2(B),図3(B)から明確であり、歩行状態では符号の反転がない(ここでは必ず正)となるのに対して、走行状態では走行状態では符号が反転する(ここでは正が支配的ではあるが負の値もとる)ことになる。本実施形態の手法はこの違いに基づいて歩行状態か走行状態かの判定を行う。
走行状態での、加速度検出値の重力方向に対応する軸成分の時間変化について、ユーザーの運動との関係を示したものが図4である。図4のA1〜A8に示したように、走行状態では、まず身体が沈み込んで右足による踏み上げを開始する(A1)。そして、身体は前傾し右足による推進が開始され(A2)、右足での推進が終了するタイミングに対応して、ユーザーの右足が地面から離れ始める(A3)。そして、両足ともに接地していない期間(A4)を経て、左足が接地し(A5)、左足による推進及び右足の振り出しを行って(A6)、左足の推進を終了し、左足が地面から離れ始める(A7)。A8では振り出している足が異なるだけで、A4と同様に両足ともに接地していないタイミングとなる。
図4のグラフに示したとおり、A1〜A8等の周期的な運動に対応して、加速度検出値も周期性を持つことになり、A3のタイミングでは信号値が小さくなり、A4〜A5に対応する期間の前後において負の値をとることになる。A5〜A6にかけていったん信号値が増加した後、再び減少に転じ、A7〜A8の前後で負の値をとる。つまり、走行状態では1ステップ(例えば一方の足の着地から他方の足の着地まで等)の間に1回負の値(広義には重力加速度に対応する符号とは異なる符号の値)をとることになる。
以下、状態検出装置やそれを含む電子機器等のシステム構成例について述べた後、加速度検出値に基づく具体的な歩行走行判定手法を説明する。ここでは、判定に用いる座標軸の設定処理について述べた後、座標軸設定後の処理について2つの手法を説明する。さらに、本実施形態の手法と、加速度センサーを用いた速度推定手法を組み合わせる場合(例えば、両方の手法を実行する歩数計等を実現する場合)を考慮して、速度推定手法についても説明する。速度推定手法において用いられる種々のパラメーターは、歩行状態と走行状態とで異なるパラメーターに切り替えるものとしてもよい。
2.状態検出装置等のシステム構成例
図1(A)に本実施形態の状態検出装置を含む電子機器900をユーザー10が胸部に装着している例を示す。なお図1(A)では、電子機器900を胸部に装着しているが、胸部以外の位置に装着していてもよい。例えば、ユーザー10の手や足等、歩行や走行時に動きの大きい部位に電子機器900を装着することで、胸部等への装着時に比べてセンサー情報の信号値を大きくすることができる。
次に、図1(B)に本実施形態の状態検出装置100及びこれを含む電子機器900(又は測定システム)の詳細な構成例を示す。
状態検出装置100は、取得部110と、速度情報演算部130と、記憶部150と、判定部160と、距離情報演算部170を含む。また、状態検出装置100を含む電子機器900の例としては、加速度センサー200や、後述する図5(A)に図示するアンテナ部300、無線通信部400などを含む歩数計などが挙げられる。なお、状態検出装置100及びこれを含む電子機器900は、図1(B)の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素(例えば速度情報演算用のキャリブレーション処理を行うキャリブレーション処理部等)を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。また、本実施形態の状態検出装置100の一部又は全部の機能は、アンテナ部300及び無線通信部400と通信により接続されたサーバーにより実現されてもよい。
取得部110は、加速度センサー200から加速度検出値を取得する。取得部110は、加速度センサー200との通信を行うインターフェース部であり、バス等を利用するものであってもよい。
速度情報演算部130は、加速度検出値に基づいて、速度情報を演算する。ここで速度情報とは、速度そのものであってもよいし、速度を求めるための情報(例えば速度の基準値に対する倍率等)であってもよい。
記憶部150は、速度情報を求める際に用いる係数等のパラメーターを記憶するとともに、各部のワーク領域となるものであり、その機能はRAM等のメモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
判定部160は、ユーザーの運動状態を判定する。具体的には、加速度検出値の所与の座標軸成分の符号に基づいて、歩行状態と走行状態の判定を行う。詳細は後述する。
距離情報演算部170は、歩行又は走行に伴うユーザーの移動距離を表す距離情報を演算する。ここで距離情報とは、距離そのものであってもよいし、距離を求めるための情報(例えば移動距離の基準値に対する倍率等)であってもよい。
なお、取得部110と、速度情報演算部130と、判定部160と、距離情報演算部170は、各種プロセッサー(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
そして、加速度センサー200は、例えば外力によって抵抗値が増減する素子等で構成され、三軸の加速度情報を検知する。但し、本実施形態における加速度センサー200の軸数は、三軸に限定されるものではない。
次に、図5(A)、図5(B)を用いて電子機器900のハードウェア構成例を示す。図5(A)は電子機器900に含まれる第1の電子基板700の表面を、図5(B)は第1の電子基板700の裏面を示している。なお、図示するに当たって混同を避けるため、図5(A)及び図5(B)では、電子機器900を表す枠から第1の電子基板700を表す枠を離して描画しているが、実際には両者は一致している。後述する第2の電子基板800についても同様である。
まず、本実施形態の電子機器900は、状態検出装置100と加速度センサー200と、無線通信部400と、アンテナ部300と、電池500(電池ソケット)と、を含んでもよい。ただし、電子機器900は図5(A)、図5(B)の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば電子機器900として歩数計と心拍計を一体形成した装置を考えれば、電子機器900は図5(B)の600−1、600−2に示した心拍測定電極端子を含んでもよい。この場合には、2つの心拍測定用電極端子600−1及び600−2は、心臓を挟み込むような位置に装着される。
ここで、無線通信部400は、状態検出装置100とアンテナ部300の通信に関する制御を行う。無線通信部400は、各種プロセッサー(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
また、アンテナ部300は、高周波エネルギーを電波(電磁波)として空間に放射(送信)、あるいは逆に空間の電波(電磁波)を高周波エネルギーへ相互に変換(受信)する装置である。なお、本実施形態のアンテナ部300は、少なくとも送信機能を有している。さらに、アンテナ部300は、電子機器900に対して、1つまたは複数設けられ、例えばアンテナ部300が複数設けられる場合には、各アンテナの口径が異なっていてもよい。
しかし、加速度センサー200とアンテナ部300とを同じ基板に実装する場合には、アンテナ部300が発する電波(電磁波)の影響により、加速度センサー200の検出結果に誤差が生じることがある。そのため、従来は、加速度センサー200とアンテナ部300とをそれぞれ別の基板上に離して設置し、加速度センサー200の検出結果に誤差が生じないようにしていた。しかし、この場合には、各基板の厚みにより、電子機器900が大きくなり、これを運動中に胸部等に付けると、運動の妨げになる等の問題があった。
そこで、本実施形態では図5(A)及び図5(B)に示すように、状態検出装置100と、加速度センサー200と、無線通信部400と、電池500は、第1の電子基板700に実装され、加速度センサー200は、無線通信部400の第1の方向DR1側に実装され、アンテナ部300は、無線通信部400の第2の方向DR2側に実装されてもよい。
これにより、加速度センサー200とアンテナ部300とを離して実装すること等が可能になり、加速度センサー200の検出結果にアンテナ部300が発する電波を要因とする誤差が生じにくくすること等が可能になる。なお、加速度センサー200とアンテナ部300を離して実装できればよいため、DR1とDR2を入れ替える等、種々の変形実施が可能である。
さらに、状態検出装置100と、加速度センサー200と、無線通信部400と、アンテナ部300と、電池500とを1枚の基板上に実装して、電子機器900をよりコンパクトにすること等が可能となる。これにより、運動中に胸部等に電子機器900を装着しても、運動の妨げにならないようにすること等が可能になる。
また、電子機器900において、アンテナ部300は、無線通信部400の第1の方向側に取り付けられる第2の電子基板800に実装されてもよい。
なお、第2の電子基板800の裏面の基板パターンは排除しておくことが望ましい。また、第2の電子基板800は、図5(A)及び図5(B)に示すように、第1の電子基板700の端に重ねて配置されることが望ましい。但し、これに限定されず、例えば、第2の電子基板800を第1の電子基板700と一部のみ重ねて配置するなどしてもよい。
これにより、加速度センサー200とアンテナ部300とをより離して実装すること等が可能になり、加速度センサー200の検出結果にアンテナ部300が発する電波を要因とする誤差がより生じにくくすること等が可能になる。
また、電子機器900において、状態検出装置100と加速度センサー200と無線通信部400は、第1の電子基板700の表面に実装され、電池500は、第1の電子基板700の裏面に実装されてもよい。
これにより、電子機器900をさらに薄くすること等が可能となる。
3.加速度検出値に基づく歩行走行判定
次に加速度検出値に基づいて歩行走行判定を行う手法について説明する。まず、判定に用いる座標軸の設定手法について述べた後、加速度検出値の当該座標軸成分に基づいた2つの判定手法について説明する。
3.1 重力方向に対応した座標軸の設定
上述したように、本実施形態の歩行走行判定では重力方向を基準として考え、重力方向とは逆方向の加速度が検出されたか否かに基づいて処理を行う。重力方向には1Gの重力加速度が常に働いており、ユーザーの運動等に起因する外乱は重力加速度に比べて十分に小さい(例えば0.1〜0.2G程度で、0.3Gを超えることは考えにくい)。よって、重力方向に一致するように設定した座標軸での加速度検出値は、重力加速度(+1G)の影響で正の値が支配的となり、負の値が現れる場合とはノイズ等により現れたものではなく、ユーザーが実際に飛び上がるような動きを行った場合であると推定できる。ここでは歩行状態と走行状態を問題としている以上、負の値が現れた場合には走行状態であると判定することになる。
しかし、本実施形態の歩行走行判定に用いる座標軸は、当該座標軸における加速度検出値の符号変化が、ノイズ等の外乱によるものか、実際の走行運動を反映したものかを区別可能であればよい。つまり、座標軸における重力加速度による成分が、ノイズ等の外乱成分に対して十分大きければ(ノイズマージンが十分大きければ)、当該座標軸を本実施形態での歩行走行判定に用いることに問題はないことになり、結果として座標軸は重力方向に一致するものに限定されない。
そこで本実施形態では、重力方向との成す角度が所与の閾値以下である座標軸を処理に用いてもよいものとする。図6に例を示す。なお図6では平面的に描かれているが、実空間での処理が必要である以上、座標軸は3次元空間において規定されるものである。図6に示したように、重力方向には1Gの重力加速度と、0.3G程度のノイズ(経験的に得られた値よりも大きい値を想定)が働くことになる。なお、ノイズについては図6では重力方向のものを示したが、重力方向と逆方向にも働く(−0.3G〜+0.3G程度の範囲でばらつく)ものである。
ここで、重力方向との成す角度がφである座標軸を考えると、重力加速度の当該座標軸成分はcosφ(G)となる。また、上述した0.3Gのノイズとは、重力方向での成分を観測した結果、経験的に得られた値である。よって、ノイズを表す加速度ベクトルは、重力方向と一致する場合もあれば、一致しない場合もあり、一致しない場合には当該ベクトルを重力方向へ射影したベクトルの大きさが0.3Gであるということになる。つまり、座標軸の設定次第では0.3Gよりも大きいノイズが検出される可能性は否定できず、ノイズを表す加速度ベクトルと設定した座標軸が一致する場合に、当該座標軸で検出されるノイズは最大値をとる。
つまり、図6に示したように、重力方向との成す角度がφである座標軸を考えた場合、最大y(G)の大きさのノイズが発生する可能性を考慮しなくてはならず、yは下式(1)で与えられる。
Figure 0005915285
ここでノイズマージンとしては重力加速度による成分と、ノイズ成分との差分値を考えればよく、重力方向と一致する座標軸を設定した場合には1−0.3=0.7(G)となる。よって、重力方向との成す角度がφである座標軸でのノイズマージンnmは下式(2)となる。
Figure 0005915285
nmが少なくとも正の値となるφでなければ、本実施形態の処理に用いる座標軸として設定することは好ましくない。よって、nm>0としてφを求めることでφとして57°程度の値を設定することができる。しかし、本実施形態ではnmとしてある程度大きい値を持たせることで、外乱に対する強度を確保するものとする。具体的には、φ=45°として、重力方向との成す角度が45°以下である座標軸を設定する。
なお、本実施形態では重力加速度の成分とは逆方向の成分の有無を検出できればよく、重力加速度の成分が座標軸の正方向に現れる必要はない。よって、重力方向と逆方向を基準にしてもよく、その場合には当該方向との成す角度が45°以下である座標軸を設定してもよいことになる。これは、重力方向との成す角度φの範囲を0°〜180°で考えた場合、φが135°以上の場合に相当する。つまり、重力方向とその逆方向を基準としてそれぞれ45°の角度範囲を考えてもよいし、重力方向のみを基準としてその45°以下又は135°以上の角度範囲を考えてもよい。
加速度センサーの加速度検出値は、当該センサーに設定された座標系(以下、センサー座標系)での値として取得される。例えば3軸加速度センサーであれば、互いに直交する3つの軸からなる座標系がセンサー座標系となる。つまり、重力方向に対して上述した角度範囲にある座標軸を処理に用いることができる以上、センサー座標系の少なくとも1つの軸は本実施形態での処理に用いてよいことが想定される。つまり、センサー座標系のうち最適な軸を選択し、その座標軸での加速度検出値をそのまま処理に用いることができ、センサー座標系から歩行走行判定の解析用の座標系(以下、解析座標系)への変換を行わなくてもよい。
よって、本実施形態の電子機器900として、加速度センサー200を搭載したスマートフォンが用いられる場合等、電子機器900の装着姿勢の自由度が非常に大きい場合であっても、座標軸の選択処理を行えば十分であり、解析座標系への座標変換は必須とはならない。
以上の説明では重力方向に対する角度により座標軸を設定したがこれに限定されるものではない。なぜなら、角度を用いるためには重力方向を推定する必要があるため、場合によっては処理負荷が増大しかねないからである。よって、角度ではなくセンサー座標系の各軸での加速度検出値に基づいて、本実施形態で用いる座標軸を選択してもよい。具体的には、加速度検出値に基づいて各軸での重力加速度の成分を推定し、その推定値と所与の閾値との比較処理を行えばよく、重力加速度の成分の値が閾値よりも大きい軸を、重力方向に対応する座標軸として選択する。閾値としては重力方向との成す角度が45°とした場合の理想的な値を設定すれば、上述した角度による設定手法と同様のノイズマージンを設定することができる。そして、図6に示したようにその場合での重力加速度の成分はcosφでのφ=45°とすればよく、1/√2(G)で与えられる。
また、図5(A)、図5(B)に示したように、心拍計としての処理を行う電子機器900では、2つの心拍測定用電極端子600−1,600−2が心臓を挟み込むような位置に装着される必要がある等、その装着姿勢の自由度が小さい。例えば、図7に示したように胸部に装着したバンド80に電極を兼ねた接続部610−1と610−2が設けられ、600−1及び600−2を当該接続部に接続することでユーザー10に固定される電子機器900(心拍計)を考える。その場合、装着姿勢としては600−1と610−1を接続し600−2と610−2を接続する第1の姿勢と、600−1と610−2を接続し600−2と610−1を接続する第2の姿勢の2通りを考えればよく、第2の姿勢は第1の姿勢に対して鉛直方向で180度反転している。この場合、図5(A)に示したように、第1の姿勢においてセンサー座標系のうち1つの軸を重力方向(或いはその逆方向)に対応させておけば、第2の姿勢で装着されたとしても当該軸は重力方向の逆方向(或いは重力方向)に対応することになる。つまり、このように姿勢の自由度が低いケースでは、装置の設計の段階で歩行走行判定に用いる座標軸が確定しており、選択処理すら必要としない構成とすることも可能である。
なお、以上の説明では処理に用いる座標軸を、角度或いは加速度検出値に基づいてセンサー座標系の中から選択するケース、或いは設計時等に確定させておくケースについて述べたが、これに限定されるものではない。例えば、センサー座標系から解析座標系への座標変換処理を行い、変換後の解析座標系のうち1つの軸を重力方向に対応させるようにしてもよい。
座標変換を行った場合には、座標変換を行わない場合に比べて処理負荷が重くなり、その点では好ましくない。しかし、後述する速度情報演算の一実施形態のように、他の処理において重力方向を基準として座標変換処理が行われる場合も想定される。その場合には、歩行走行判定において座標変換を行ったとしても、システム全体として処理負荷が増大するわけではないため、解析座標系のうちの1軸を処理に用いる座標軸としてもよい。その際にも、選択される座標軸は重力方向と一致するものに限定されず、上述の条件を満たす程度のずれは許容される。
3.2 第1の手法
歩行状態と走行状態の判定手法について具体的に述べる。第1の手法では、まず設定された座標軸における重力加速度の成分が正方向に現れるか、負方向に現れるかを検出する。上述した手法では、判定に用いる座標軸として重力方向(及び重力方向に対するずれが条件を満たすもの)だけでなく、重力方向の逆方向(及びそれに対するずれが条件を満たすもの)が設定されることを許容している。よって、当該軸での加速度検出値は重力加速度の成分が支配的であることはわかっていても、その符号が正であるか負であるかは確定していない。
そこで第1の手法では、所与の長さ(例えば1秒等)の重力方向判定期間を設定し、当該期間での加速度検出値に基づいて重力方向(重力加速度の座標軸成分)の符号を特定する。具体的には、設定された重力方向判定期間における加速度検出値の積算値の符号を、重力方向の符号とすればよい。図3(B)に示したように、処理に用いる座標軸での加速度検出値は、大部分で重力加速度に対応した符号を持つことになり、且つその値も大きいのに対して、重力方向と符号の異なる加速度は短時間しか現れず値も小さい。よって、重力方向判定期間の長さを適切に設定すれば、加速度検出値の積算値の符号は重力方向を表す符号と一致する。
重力方向判定期間としては、1ステップ中に重力方向とは逆方向の加速度が現れる期間よりも十分長い期間を設定すればよい。この条件が満たされない場合には、例えば図3(B)のB1で示した期間のように、局所的に逆方向の加速度が支配的な期間での積算処理を行う可能性があり、誤判定につながる。その点、B1に示した期間よりも十分長い期間を設定できれば、重力方向判定期間が1ステップ中のどのタイミングで開始されるかによらず、重力方向が支配的となるため、誤判定の可能性を抑止できる。重力方向判定期間の長さの上限については、精度等の面からは特に限定はないため、他の処理との関係等、システム上許容される値を設定しておけばよい。
そして、歩行走行判定は所与の歩行走行判定期間を設定し、当該歩行走行判定期間において重力方向と異なる符号を持つ加速度検出値が現れるか否かを検出すればよい。ここで歩行走行判定期間の長さは、1ステップごとに歩行走行判定を行いたいのであれば、1ステップの長さに相当する期間となる。よって、2歩ごとや3歩ごとに判定を行えばよいのであれば、2ステップの長さ、或いは3ステップの長さが歩行走行判定期間となる。
なお、図8に示したようにある歩行走行判定期間と、次の歩行走行判定期間を重なるように設定してもよい。図8のT1〜T8はそれぞれ1ステップの長さに対応する。例えば、M1(T4終了時等)での判定にはT1〜T4を用い、M2(T5終了時等)での判定にはT2〜T5を用いることで、判定期間を長くしつつ、判定結果の出力は1ステップごとに行うことができる。ただし、例えばT4では実際には歩行状態であったとしても、T1〜T3のいずれかで走行状態であればM1での出力は走行状態となってしまう等のケースが考えられる。つまり、走行状態から歩行状態に移行しても判定結果への反映にタイムラグが生じる、或いは走行状態の谷間での短い歩行状態が検出できない等の可能性があるため、図8のような歩行走行判定期間を設定する場合にはその点を考慮するとよい。
また、歩行走行判定期間の下限には注意する必要があり、ここでは1ステップの長さ以上とする。1歩ごとよりも細かい単位での歩行走行判定はメリットが大きくないということもあるが、なにより図3(B)に示したように1ステップより短い期間では、走行状態であっても重力方向とは異なる符号の加速度検出値が現れない可能性があるためである。よって、そのステップが走行状態であったとしても、図3(B)のB2に示したような期間を歩行走行判定期間とした場合には、逆方向に対応する符号の加速度検出値は現れないため、歩行状態と判定されてしまう。つまり、歩行走行判定期間は、走行状態である場合に確実に逆方向に対応する符号が現れる程度に長い期間を設定する必要があり、その下限は1ステップの長さとなる。
なお、重力方向の判定のタイミング、回数等は自由に設定できる。例えば、電子機器900の装着にあわせて1回重力方向を判定し、判定結果をその後計測が継続している間は使用し続けるものとしてもよい。或いは歩行走行判定を行うたびに重力方向の判定を行ってもよい。例えば、歩行走行判定期間の一部(例えば前半部分)と重なるように重力方向判定期間を設定し、そこでの重力方向の判定結果に基づいて歩行走行判定を行ってもよい。その場合、重力方向判定期間と重なる歩行走行判定期間では、歩行走行判定を行わないものとしてもよいし、データを保持しておいて重力方向の確定後判定を行うものとしてもよい。その他、重力方向の判定タイミング等は種々の手法により設定することができる。
以上の手法により、重力方向と逆方向の符号の加速度検出値が現れた場合には走行状態と判定し、現れなかった場合には歩行状態と判定する。ただし、1回の判定タイミングでの判定結果をそのまま出力するものには限定されない。例えば複数回(3回等)の判定結果を保持しておき、それらの結果を統合して最終的な出力としてもよい。例えば、直近3回分の判定結果を保持し、2回又は3回同一の状態と判定された場合に、その状態を出力するような多数決判定を行ってもよい。
3.3 第2の手法
上述の手法では、重力方向の符号を検出するものとしたが、それに限定されるものではない。第2の手法では、重力方向の正負は特に考慮せず、加速度検出値の符号が歩行走行判定期間において反転するか否かに基づいて判定を行う。
ここでの歩行走行判定期間は、走行状態である場合に符号の反転が確実に現れるだけの期間を設定すればよく、第1の手法と同様に1ステップの長さ以上の期間となる。
走行状態では、図3(B)に示したように符号が判定するタイミングがあるのに対して、歩行状態では、加速度検出値の符号は正の場合も負の場合もあるが、図2(B)に示したようにその一方のみが現れ反転することはない。
また、上述したように1ステップの長さ以上の期間を歩行走行判定に用いているため、走行状態において符号が反転しないというケースも考えなくてよい。なぜなら、十分長い歩行走行判定期間において、重力方向と逆方向に対応する符号の加速度検出値のみが現れたとしたら、それは上方への推進力を得続けていることになってしまい、人間の運動としては不合理だからである。
なお、第2の手法においても複数回の判定結果を統合する処理(多数決判定等)を行ってもよい。
4.速度の推定
次に加速度センサーからの加速度検出値に基づいて、ユーザーの移動速度や距離を推定する手法について説明する。上述したように、歩数×歩幅により移動距離を求め、距離/所要時間により移動速度を求めることは可能であるが、歩行と走行を判別できたとしてもそこから正確に歩幅を推定することは容易ではない。よってここでは、歩数に依存しない速度情報の演算手法について説明する。
具体的には、加速度検出値の値そのものから求める手法と、加速度検出値に対応する加速度ベクトルの角度変化から求める手法について述べる。この場合、加速度検出値の値そのもの、或いは加速度ベクトルの角度変化は、歩行状態と走行状態とでその値が異なることが想定される。つまり、以下の手法は運動状態の違いをある程度反映できるため、本実施形態の歩行走行判定とともに用いられない場合であっても、歩幅に基づく手法に比べれば精度よく速度等を推定できる。
以上のことより、本実施形態の状態検出装置100では、歩行走行判定と速度等の推定は独立に行われてもよい。ただし、判定部160での歩行走行判定の結果に基づいて、速度情報演算部130での速度情報演算処理を変更してもよく、具体的には速度情報演算処理に用いられるパラメーター等を運動状態に応じて変更してもよい。
また、以下の手法を用いる場合に、加速度センサー200の装着位置の自由度は高くすることができる。通常、脚部や腕部に比べて、胸部や腰部等は歩行走行時の動きが少ないため、当該部位に加速度センサー200を装着した場合には加速度検出値も小さくなり、正確な速度推定が困難であった。しかし、以下の手法は胸部等に加速度センサー200を設けるようなケースにも対応することができる。
4.1 加速度検出値の平均値に基づく手法
まず、加速度検出値の平均値に基づく手法について説明する。歩行ピッチ(ステップ周波数に対応)や速度の種々の組み合わせにおいて歩行運動を行った場合の、加速度検出値の平均値の例を図9に示す。図9からわかるように、速度が一定の場合には、所定時間での加速度検出値の平均値はステップ周波数によらずほぼ一定の値となる。また、速度が大きくなるほど、加速度検出値の平均値も大きくなる傾向にある。
ここでの、加速度検出値の平均値算出手法は種々考えられる。上述したように、加速度センサー200がN軸加速度センサーであれば、加速度検出値はN次元ベクトルとなる。図9では例えば、N=3(X,Y,Zの3軸)として、下式(3)により加速度検出値の大きさ(ベクトルの大きさ)Vaを求め、所与の期間内の各タイミングで求められたVaの平均値を用いることを想定している。ただし、下式(3)以外の手法により加速度検出値の平均値を求めてもよい。
Figure 0005915285
図9より、加速度検出値の平均値と移動速度との間には高い相関があると考えられるため、その関係が求まれば加速度検出値の平均値に基づいて速度情報を演算することが可能になる。ここでは、加速度検出値の平均値をS、速度情報(ここでは速度そのものを想定)をTとした場合に、1次式T=aS+bを想定し、速度情報演算用パラメーターa,bを適切に設定することで速度情報を演算する。
a,bとしては複数のユーザーを対象とした場合にも、ある程度の精度を確保できる汎用的な値を設定しておいてもよい。しかし、ユーザーごとに個人差があるため、共通パラメーターを用いたのでは精度の面で限界がある。そのため、場合によってはユーザーごとに異なる値を設定してもよく、そのためにキャリブレーション処理を行ってもよい。a,bという2つの未知数を決定する必要があるため、(S,T)の異なる2つの組み合わせを取得する必要がある。例えば、ユーザーに既知の距離(例えば100m)を、異なる2つの速度で歩行させ、その情報を用いればよい。この場合、加速度センサー200の情報からSは取得できるし、歩行が既知の距離で行われた以上、当該距離を所要時間で除算することで速度Tも取得できる。つまり、未知数2つに対して、a,bの関係式が2つ取得できるため、aとbは一意に決定可能となる。
なお、歩行状態か走行状態かに応じてaとbの組み合わせを変更してもよい。その場合、歩行時には歩行用パラメーターa1,b1を用い、走行時には走行用パラメーターa2,b2を用いる。この際、キャリブレーションを行うのであれば、歩行による異なる速度の2回の運動に基づいてa1,b1を決定し、走行による異なる速度の2回の運動に基づいてa2,b2を決定することが考えられる。
4.2 座標軸成分の絶対値に対応する値に基づく手法
加速度検出値の平均値を用いる場合には、上式(3)に示したように平方根演算が必要になり、さらに平均値を求めるために除算が必要となるため、計算量が大きいという問題点がある。
ここでは、平方根演算や除算を伴わない速度情報の演算手法について説明する。また、この手法では加速度センサー200の1又は複数の軸(例えば3軸)のうち少なくとも1つの座標軸成分を用いれば速度情報の演算が可能であるため、さらなる計算量の削減効果が期待できる。ただし、図10に示したように処理に用いる軸数が多くなるほど精度は高まる。図10の相関係数は、演算した速度情報と実際のユーザーの移動速度との相関値を表すものであり、相関係数が大きくなるほど、速度推定値と実際のユーザーの移動速度とが近似していることを示している。また、A,B,Cは異なる3人のユーザーによる試行結果を表す。
速度情報演算部130は、加速度センサー200の少なくとも一つの座標軸成分における加速度検出値を所与の期間積算して積算値Iを求める。積算値Iと速度情報との関係を表したものが図11であり、P1等の四角形の点が実際に計測した結果を表している。図11からわかるように、Iと速度情報は、S1で示した曲線によりその関係を良好に表すことができる。
よってここでは、速度情報rをr=cI+dI+eの関係式に従って求める。ここでの速度情報rは、速度そのものであってもよいし、基準的な速度に対する比率等に相当する情報であってもよい。rが比率等の情報である場合には、例えば基準速度をV、推定速度をVとすれば、V=rV等の式から速度そのものを求めることになる。
なお、c,d,e(及びV)は使用する軸数や積算処理を行う所定の期間に応じて、異なる値が設定されることが望ましい。さらに、ユーザーの個人差を考慮すれば、使用するユーザー毎に適した値が設定されることが望ましい。その場合には、ユーザーの実測値に基づいてキャリブレーション処理を行ってもよい。また、運動状態(特に歩行状態か走行状態か)に応じてc,d,e(及びV)の値を切り替えてもよい点は、上述のa,bと同様である。
なお、加速度検出値の座標軸成分は常に正(或いは常に負)の値であるとは限らない。よって、積算処理の対象となる第1の加速度検出値と、第2の加速度検出値の符号が異なる場合には、お互いが打ち消しあって積算値が小さくなってしまい適切な速度推定が行えない。そこで積算処理は加速度検出値の座標軸成分そのものではなく、その絶対値に対応する値を用いて行うとよい。ここでは積算対象の符号が全て一致(或いは0を含んでもよい)すればよいことに鑑みれば、絶対値に対応する値とは、加速度検出値の絶対値そのものであってもよいし、必ず非負の値となる加速度検出値を偶数乗した値でもよい。
また、処理に用いる座標軸の数を少なくする(例えば1軸のみ用いる)場合には、速度推定の精度を確保するために、当該軸における加速度検出値の大きさがある程度大きい必要がある。特に胸部や腰部に加速度センサー200を装着する場合には、水平方向での加速度検出値は非常に小さくなることから、処理に用いる座標軸は重力方向に対応する軸とすることが望ましい。その場合、重力方向からのずれがある程度(例えば歩行走行判定において上述したように45度程度)許容されるのであれば、センサー座標系の軸のうち重力方向(或いはその逆方向)に最も近いものを選択すれば足りる。しかし、より精度を求める場合には、重力方向(或いはその逆方向)からのずれを極力抑える必要があり、センサー座標系に含まれる軸がその条件を満たす保証はない。よって、場合によっては解析座標系への座標変換を行ってもよく、その際には解析座標系のうち1軸は重力方向等からのずれが、精度確保という観点から考えて十分な程度小さいものとするとよい。
また、処理に用いる座標軸の数を増やす場合にも、重力方向に対応する軸を優先的に用いるとよい。複数の軸を用いる場合の積算値Iは、各軸で求めた積算値の総和としてもよいし、他の手法により求めてもよい。
4.3 加速度ベクトルの角度変化に基づく手法
また、加速度検出値ではなく、当該加速度検出値に対応する加速度ベクトルの角度変化に基づいて速度情報の演算を行ってもよい。具体的には、第1のタイミングでの加速度検出値に対応する第1の加速度ベクトルと、第2のタイミングでの加速度検出値に対応する第2の加速度ベクトルの成す角度に対応する角度情報を取得し、取得した角度情報に基づいて速度情報を演算する。
加速度センサー200が3軸加速度センサーである場合には、加速度検出値は3次元空間上のベクトルに対応することになり、これを加速度検出値に対応する加速度ベクトルとする。図12に第1、第2の加速度ベクトルと角度情報の具体例を示す。時刻ST1で取得された加速度検出値から、対応する加速度ベクトルV1が決定され、時刻ST2で取得された加速度検出値から、対応する加速度ベクトルV2が決定される。ここで、第1の加速度ベクトルとしてV1,第2の加速度ベクトルとしてV2を考えれば、角度情報とはV1とV2の成す角度であり、V1=(x1,y1,z1)、V2=(x2,y2,z2)とすれば、角度情報θは下式(4)で求められる。
Figure 0005915285
ただし、角度情報はこれに限定されるものではなく、数学的にこれと等価な情報であればよい。例えば、角度情報として上式(4)で求められるθの補角を用いてもよい。その場合、角度情報の値、或いは後述する積算角度の値が上式(4)のθを用いた場合に比べて大きくなるため、後述するパラメーターm,nの値を小さくする等の処理が必要となる。或いは、V1とV2の内積等を角度情報としてもよい。
また、角度情報とはV1とV2のなす角度を近似する情報であってもよい。例えば、システム内では角度情報を整数型として求めてもよい。角度情報の値を浮動小数点数を用いて表現すれば、精度よく角度情報を求めることができるが、浮動小数点数での演算は処理負荷が高い。そこで、整数型の指標値を角度情報として用いることで処理負荷を軽減してもよい。単純には、V1とV2のなす角度の小数点以下を切り捨てた値がδ度(δは整数)の場合に、角度情報をδとすることが考えられる。ただし、この場合には1度単位でしか角度を表現できないため、実際の角度と、角度情報により表される値とに誤差が生じ、速度推定の精度低下等につながる。よって何らかの変換を行ってもよく、例えば0.5度を1とする整数型の指標値を角度情報としてもよい。この場合、20という指標値は10度を表すことになり、0.5度単位での角度の表現が可能になる。また、角度情報は上述のものに限定されず、実際の角度に対応した情報であればよい。
角度情報θに基づいて速度情報を求める処理の詳細について説明する。例えば、移動中にユーザーの体が左右にぶれるなどして、ユーザーが瞬間的に加速してしまうことがある。この際、ある時刻において求められた角度情報のみから速度推定処理を行う場合には、ユーザーの体がぶれなかった時と比べて、速度情報が誤ってより大きく推定されてしまうことがある。そのため、ある時刻のみの角度情報だけではなく、所与の期間内に取得された角度情報を速度推定処理に用いることができれば、このような誤差の発生を防ぐことができると期待できる。
そこで、速度情報演算部130は、所与の期間内に得られた角度情報θにより表される値を積算して積算角度θsumを求め、V=mθsum+nの関係式から速度情報Vを求めてもよい。速度情報が積算角度の1次式で表されることは、実験的に求められたものである。具体例を図13に示す。図13は積算角度と速度実測値の関係を表すグラフである。各系列データは、被験者I、H、F、Kの4人それぞれの歩行時のデータ(I_WALK、H_WALK、F_WALK、K_WALK)と、走行時のデータ(I_RUN、H_RUN、F_RUN、K_RUN)を表している。図13からわかるように、1人のユーザーデータに着目した場合、歩行時には積算角度と速度は所与の直線によりその関係が良好に表され、走行時には歩行時とは別の直線によりその関係が良好に表される。具体的には相関係数0.98〜0.99といった高い相関を示す。
なお、m,nとして汎用の値(例えば図13でいえば歩行時にTR1、走行時にTR2の直線に対応するm,n)を用いてもよいし、ユーザーごとに異なる値を設定してもよい点、実測値等に基づいてキャリブレーション処理を行ってm,nを決定してもよい点は上述の例と同様である。図13等からわかるように、本手法では歩行状態と走行状態とで典型的なm,nの値が異なることがわかっているため、判定部160での判定結果に基づいて、歩行状態か走行状態かに応じてm,nの値を切り替えることが望ましい。
以上の本実施形態では、状態検出装置100は図1(B)に示したように、加速度センサー200からの加速度検出値を取得する取得部110と、加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定する判定部160を含む。そして判定部160は、所与の判定期間において、第1の軸における加速度検出値の正負の符号が反転したか否かを検出し、正負の符号が反転した場合には走行状態と判定する。また、正負の符号が反転しなかった場合には歩行状態と判定する。
ここで、所与の判定期間とは、歩行状態と走行状態を区別可能となる期間であり、本実施形態では正負の符号の反転を見る以上、歩行状態では符号の反転が考えにくく、且つ走行状態では符号の反転の可能性が非常に高い期間となればよい。なお、所与の判定期間は状態検出装置100の内部で設定されるものであってもよいし、外部機器から設定されるものであってもよいし、製造時等にあらかじめ値が確定されていてもよい。
これにより、正負の符号の判定に基づいて歩行状態か走行状態かの判定ができる。従来のようにステップ周期(ステップ周波数)を用いた閾値判定では、ユーザーの個人差や運動状況等により、適切な閾値が変動する、或いは閾値付近での誤判定の可能性が高くなる等の問題があったが、本実施形態ではそのような処理が不要となるため、従来手法に比べて判定精度の向上が可能となる。
また、判定部160は、第1の軸として設定された重力方向に対応する方向の軸での加速度検出値に基づいて、走行状態と歩行状態を判定してもよい。
これにより、重力方向を基準とした処理が可能になる。上述したように、本実施形態ではユーザーが地面から浮き上がっているか(接地していない瞬間があるか)否かに基づいて歩行走行判定を行うものであるから、重力方向を基準とすることで適切な判定が可能となる。なお、第1の軸が重力方向に限定されないことは上述した通りである。座標軸を設定した場合に、重力加速度の当該座標軸成分が十分大きければよいため、重力方向からの所与の範囲のずれは許容されるし、重力方向の逆方向を基準とし、当該方向及び当該方向から所与の範囲ずれる方向の軸を用いてもよい。
また、判定部160は、第1の軸における加速度検出値の符号に基づいて、第1の軸において重力方向に対応する符号が正であるか負であるかの判定を行ってもよい。そして、所与の判定期間において、少なくとも1回、重力方向に対応する符号とは異なる符号の第1の軸における加速度検出値が検出された場合に、走行状態と判定する。
これにより、重力方向に対応する符号を検出した上で、当該符号と異なる符号を持つ加速度検出値が取得された場合に走行状態と判定することが可能になる。上述したように、処理に用いる座標軸は重力加速度の成分が支配的であれば十分であるため、当該重力加速度の成分が正の値に現れても負の値に現れてもよい。つまり、重力方向が正であるか負であるかわからない以上、判定期間での加速度検出値の符号を見てもそれが、重力方向に沿った方向のものか、逆方向に沿った方向のものかは判別できない。よって、まず重力方向の符号を確定させ、それに基づいて処理を行うことで、上述の基準に従って設定された座標軸での加速度検出値による歩行走行判定が可能になる。
また、判定部160は、所与の判定期間のうち第1の期間での第1の軸における加速度検出値の符号が正であり、所与の判定期間のうち第1の期間に続く第2の期間での第1の軸における加速度検出値の前記符号が負である場合に走行状態と判定してもよい。また、第1の期間での第1の軸における加速度検出値の符号が負であり、第2の期間での第1の軸における加速度検出値の符号が正である場合に、走行状態と判定してもよい。
ここで、第1の期間及び第2の期間は判定期間に含まれる期間であり、第2の期間の開始タイミングは第1の期間の終了タイミングと同時、或いはそれよりも遅いタイミングであるものとする。また、第1の期間と第2の期間の和集合が判定期間と一致してもよいし、判定期間に第1の期間にも第2の期間にも含まれない期間があってもよい。
これにより、判定期間において加速度検出値の符号が反転したか否かに基づいて、歩行走行判定を行うことが可能になる。このようにすれば、重力方向が正であるか負であるかを判定部160等は認識する必要がなく、容易に判定を行うことができる。
また、判定部160は、所与の判定期間として設定された歩行又は走行における1ステップの長さ以上の期間において、加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定してもよい。
これにより、判定期間を1ステップの長さ以上の期間とした処理が可能になる。図2(B)に示したように、歩行状態であればどのような期間を設定したとしても、符号の反転は考えにくいため、判定期間の長さに対する制約は特にない。しかし、図3(B)に示したように、走行状態での加速度検出値の符号の正から負、負から正への反転は1ステップに1回ずつであると想定される。よって、1ステップの長さよりも短い期間では走行状態にありながら符号の反転が起こらない可能性があり好ましくない。よって、判定期間は1ステップの長さ以上とするとよく、これにより誤判定の可能性を抑止できる。
また、状態検出装置100は図1(B)に示したように、加速度検出値に基づいて、歩行状態又は走行状態での速度情報を演算する速度情報演算部130を含んでもよい。
ここで、速度情報とは速度そのもの(例えばm/s等の単位で表される)であってもよいし、速度に対応するその他の情報(例えば基準速度に対する倍率等)であってもよい。
これにより、歩行走行判定とともに、ユーザーの移動速度を演算することが可能になる。歩行走行判定を行う状況とは、ユーザーが歩行又は走行を行っていると考えられる状況に他ならないのであるから、その際の移動速度に関する情報はユーザーにとって自己の状態を表すものとして有用である。
また、速度情報演算部130は、加速度検出値の平均値をSとし、速度情報演算用パラメーターをa,bとした場合に、速度情報TをT=aS+bにより演算してもよい。
これにより、加速度検出値の平均値に基づいた速度情報の演算が可能になる。なお、加速度検出値は、加速度センサー200の軸の数に対応した成分を持つベクトルが考えられるが、ここでは上式(3)のようにその二乗和の平方根をとり、当該値の所与の期間での平均値をSとして用いる。この手法では精度を出すことが難しい歩幅推定を行う必要がないため、歩幅を用いる手法に比べて速度情報の精度向上が期待できる。
また、速度情報演算部130は、加速度検出値の少なくとも1つの座標軸成分の絶対値に対応する値の積算値をIとし、速度情報演算用パラメーターをc,d,eとした場合に、速度情報rをr=cI+dI+eにより演算してもよい。
ここで、絶対値に対応する値とは、対象となる座標軸成分の絶対値そのものであってもよいし、座標軸成分を偶数乗した値であってもよい。また、積算値とは、処理対象となる期間での絶対値に対応する値を足しあわせた値である。なお、積算値は単純加算により求められてもよいし、1ではない係数をかけた上での加算処理であってもよい。
これにより、平方根演算や除算を行わずに速度情報の演算ができるため、加速度検出値の平均値を用いた場合に比べて計算量を削減すること等が可能になる。
また、速度情報演算部130は、第1のタイミングでの加速度検出値を表す第1の加速度ベクトルと、第2のタイミングでの加速度検出値を表す第2の加速度ベクトルとが成す角に対応する角度情報θと、速度情報演算用パラメーターに基づいて、速度情報を演算してもよい。具体的には、角度情報θの積算値をθsumとし、速度情報演算用パラメーターをm,nとした場合に、速度情報VをV=mθsum+nにより演算してもよい。
これにより、角度情報に基づいた速度情報の演算が可能になる。この場合にも歩数に依存しない手法であるため、精度よく速度情報を演算することができる。なお、ユーザーが異なったり、同一ユーザーであっても運動状態が異なったりすることで、角度情報により表される軌跡が変化する。よって、角度情報は速度情報の演算だけにとどまらず、ユーザーの判別や、運動状態の判別等に用いてもよい。
また、速度情報演算部130は、判定部160において走行状態であると判定された場合には、走行用パラメーターを速度情報演算用パラメーターとして設定してもよい。また、速度情報演算部130は、判定部160において歩行状態であると判定された場合には、歩行用パラメーターを速度情報演算用パラメーターとして設定してもよい。
これにより、歩行状態か走行状態かに応じて速度情報の演算に用いるパラメーターを切り替えることが可能になり、切り替えない場合に比べて精度よく速度情報を演算することができる。
また、状態検出装置100は図1(B)に示したように、速度情報演算部130で演算された速度情報に基づいて、歩行状態又は走行状態での移動距離情報を演算する距離情報演算部170を含んでもよい。
これにより、速度情報だけではなく、移動距離に相当する距離情報を取得することも可能になる。なお、距離情報は速度情報に対して、距離情報の算出対象となっている期間の長さを乗算することで求められる。速度情報が速度そのものを表していれば、距離情報は距離そのもの(例えばメートル等の単位で表される)となるし、速度情報が基準速度に対する倍率等であれば、距離情報は基準距離に対する倍率等の情報となる。
また、以上の本実施形態は、上記の状態検出装置100と、加速度センサー200を含む電子機器900にも適用できる。
これにより、状態検出装置100と加速度センサーの両方を含む機器を実現できる。電子機器900は図5(A)、図5(B)に示したような心拍計等であってもよいし、加速度センサー200を搭載したスマートフォン等であってもよい。
また、電子機器900は図5(B)に示したように、心拍の検出、及び前記電子機器の被検体の胸部への固定に用いられる複数の端子(600−1,600−2)を含んでもよい。そして、加速度センサー200は図5(A)に示したように、互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸での加速度検出値を取得する3軸加速度センサーである。また、図7に示したように複数の端子により電子機器900が被検体に固定された場合に、Z軸の方向が歩行状態又は走行状態における進行方向に対応する方向となる。この場合に、判定部160は、Y軸での加速度検出値に基づいて、走行状態と歩行状態を判定する。
これにより、図5(A),図5(B)に示した心拍計に本実施形態の手法を適用することができる。心拍計では、心拍の測定精度を高めるために、測定用端子と心臓の相対位置が限定されるため、被検体(ユーザー)の装着姿勢の自由度が高くない。特に図5(A)、図5(B)のケースでは、特定の面をユーザー側に向けた上で、2点で支持されることになるため、その姿勢は第1の姿勢と、そこから上下方向が反転した第2の姿勢しかとることができない。よって、加速度センサー200の軸のうち特定の軸(図5(A)ではY軸)を第1の姿勢で重力方向(或いはその逆方向)に対応させれば、第2の姿勢をとったとしても当該特定の軸は重力方向の逆方向(或いは重力方向)に対応することになる。よって、電子機器900をスマートフォン等で実現するケースでは、加速度センサー200の軸のうち処理に用いる軸を選択する処理(例えば角度や加速度検出値に基づく処理)が必要であったのに対し、ここでは設計、製造時に定めた特定の軸を選択処理なしでそのまま用いることができ、処理負荷の軽減等が可能になる。
また、以上の本実施形態は、上記の状態検出装置を含む測定システムにも適用できる。
これにより、本実施形態の処理を行う測定システムを実現することができる。この測定システムでは、状態検出装置100が加速度センサー200、或いはユーザーと空間的に近い位置に設けられる必要はない。例えば、ユーザーは加速度センサー200、及び加速度センサー200からの加速度検出値をネットワークに対して送信する通信部を有する機器を装着するだけで、その他の機器を考慮しないものとしてもよい。その際には状態検出装置100はネットワークに接続された他のシステム(PCであってもよいし、サーバーシステムであってもよい。またサーバーシステムは複数のサーバーから構成されてもよい)により実現されることが考えられる。なお、処理結果はユーザーに対して提示されることが一般的であるから、表示部等を有するシステムと連動してもよい。状態検出装置100に相当するシステムの前までユーザーがいけるのであれば(例えばグラウンドに併設された休憩施設等のPCが状態検出装置100となる場合等)、当該システムの表示部を用いればよい。また、状態検出装置100がサーバーシステム等である場合には、当該サーバーシステムに対してリクエストを送信し、処理結果をレスポンスとして取得するクライアント装置の表示部を利用すればよい。そのようなクライアント装置は種々考えられ、PC等であってもよいし、ユーザーが運動中に情報を確認する場合には、スマートフォンや腕時計型デバイス、ヘッドマウントディスプレイ等、装着が容易なものが考えられる。
なお、本実施形態の状態検出装置100等は、その処理の一部または大部分をプログラムにより実現してもよい。この場合には、CPU等のプロセッサーがプログラムを実行することで、本実施形態の状態検出装置100等が実現される。具体的には、情報記憶媒体に記憶されたプログラムが読み出され、読み出されたプログラムをCPU等のプロセッサーが実行する。ここで、情報記憶媒体(コンピューターにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(DVD、CD等)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリー(カード型メモリー、ROM等)などにより実現できる。そして、CPU等のプロセッサーは、情報記憶媒体に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち、情報記憶媒体には、本実施形態の各部としてコンピューター(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピューターに実行させるためのプログラム)が記憶される。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また状態検出装置、電子機器、測定システム等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10 ユーザー、100 状態検出装置、110 取得部、130 速度情報演算部、
150 記憶部、160 判定部、170 距離情報演算部、
200 加速度センサー、300 アンテナ部、400 無線通信部、500 電池、
600 心拍測定用電極端子、610 接続部、700 第1の電子基板、
800 第2の電子基板、900 電子機器

Claims (16)

  1. 加速度センサーからの加速度検出値を取得する取得部と、
    前記加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定する判定部と、
    を含み、
    前記判定部は、
    所与の判定期間において、第1の軸における前記加速度検出値の正負の符号が反転したか否かを検出し、前記符号が反転した場合には前記走行状態と判定し、前記符号が反転しなかった場合には前記歩行状態と判定することを特徴とする状態検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記判定部は、
    前記第1の軸として設定された重力方向に対応する方向の軸での前記加速度検出値に基づいて、前記走行状態と前記歩行状態を判定することを特徴とする状態検出装置。
  3. 請求項2において、
    前記判定部は、
    前記第1の軸における前記加速度検出値に基づいて、前記第1の軸において前記重力方向に対応する前記符号が正であるか負であるかの判定を行い、
    前記所与の判定期間において、少なくとも1回、前記重力方向に対応する前記符号とは異なる前記符号の前記第1の軸における前記加速度検出値が検出された場合に、前記走行状態と判定することを特徴とする状態検出装置。
  4. 請求項1又は2において、
    前記判定部は、
    前記所与の判定期間のうち第1の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が正であり、前記所与の判定期間のうち前記第1の期間に続く第2の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が負である場合、或いは、
    前記第1の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が負であり、前記第2の期間での前記第1の軸における前記加速度検出値の前記符号が正である場合に、前記走行状態と判定することを特徴とする状態検出装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記判定部は、
    前記所与の判定期間として設定された歩行又は走行における1ステップの長さ以上の期間において、前記加速度検出値に基づいて前記走行状態と前記歩行状態を判定することを特徴とする状態検出装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記加速度検出値に基づいて、前記歩行状態又は前記走行状態での速度情報を演算する速度情報演算部を含むことを特徴とする状態検出装置。
  7. 請求項6において、
    前記速度情報演算部は、
    前記加速度検出値の大きさの平均値をSとし、速度情報演算用パラメーターをa,bとした場合に、前記速度情報TをT=aS+bにより演算することを特徴とする状態検出装置。
  8. 請求項6において、
    前記速度情報演算部は、
    前記加速度検出値の少なくとも1つの座標軸成分の絶対値に対応する値の積算値をIとし、速度情報演算用パラメーターをc,d,eとした場合に、前記速度情報rをr=cI+dI+eにより演算することを特徴とする状態検出装置。
  9. 請求項6において、
    前記速度情報演算部は、
    第1のタイミングでの前記加速度検出値を表す第1の加速度ベクトルと、第2のタイミングでの前記加速度検出値を表す第2の加速度ベクトルとが成す角に対応する角度情報θと、速度情報演算用パラメーターに基づいて、前記速度情報を演算することを特徴とする状態検出装置。
  10. 請求項9において、
    前記速度情報演算部は、
    前記角度情報θの積算値をθsumとし、前記速度情報演算用パラメーターをm,nとした場合に、前記速度情報VをV=mθsum+nにより演算することを特徴とする状態検出装置。
  11. 請求項7乃至10のいずれかにおいて、
    前記速度情報演算部は、
    前記判定部において前記走行状態であると判定された場合には、走行用パラメーターを前記速度情報演算用パラメーターとして設定し、前記判定部において前記歩行状態であると判定された場合には、歩行用パラメーターを前記速度情報演算用パラメーターとして設定することを特徴とする状態検出装置。
  12. 請求項6乃至11のいずれかにおいて、
    前記速度情報演算部で演算された前記速度情報に基づいて、前記歩行状態又は前記走行状態での移動距離情報を演算する距離情報演算部を含むことを特徴とする状態検出装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の状態検出装置と、
    前記加速度センサーと、
    を含むことを特徴とする電子機器。
  14. 請求項13において、
    心拍の検出、及び前記電子機器の被検体の胸部への固定に用いられる複数の端子を含み、
    前記加速度センサーは、
    互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸での前記加速度検出値を取得する3軸加速度センサーであり、前記複数の端子により前記電子機器が前記被検体に固定された場合に、前記Z軸の方向が前記歩行状態又は前記走行状態における進行方向に対応する方向となり、
    前記判定部は、
    前記Y軸での前記加速度検出値に基づいて、前記走行状態と前記歩行状態を判定することを特徴とする電子機器。
  15. 請求項1乃至12のいずれかに記載の状態検出装置を含むことを特徴とする測定システム。
  16. 加速度センサーからの加速度検出値を取得する取得部と、
    前記加速度検出値に基づいて走行状態と歩行状態を判定する判定部として、
    コンピューターを機能させ、
    前記判定部は、
    所与の判定期間において、第1の軸における前記加速度検出値の正負の符号が反転したか否かを検出し、前記符号が反転した場合には前記走行状態と判定し、前記符号が反転しなかった場合には前記歩行状態と判定することを特徴とするプログラム。
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