以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明を適用した場合の移動通信システムの実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
[1 第1実施形態]
まず、本発明を適用した移動通信システムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
[1.1 移動通信システムの概要]
図1は、本実施形態における移動通信システム1の概略を説明するための図である。本図に示すように、移動通信システム1は、コアネットワーク3とホームネットワーク5から構成され、コアネットワーク3とホームネットワーク5とはブロードバンドアクセスネットワーク7を介して相互接続されている。ブロードバンドアクセスネットワーク7は、広帯域の通信を実現する有線アクセスネットワークであり、例えばADSLや光ファイバー等によって構築される。ただし、これに限らずWiMAXなどの無線アクセスネットワークであっても良い。
コアネットワーク3には、MME(Mobility Management Entity)10と、GW20と、SGW(Serving GW)30と、PGW(Packet data network GW)40とが配置されている。
MME10は、シグナリングを行うエンティティであり、移動局装置(UE)の位置管理及び伝送路の確立手続きを主導する位置管理装置である。伝送路としては、例えば、EPSベアラと呼ばれるUE毎に確立されるユーザIPパケットを転送する論理パスのことであり、特定のQoSレベル(例えば、保証ビットレートなど)を設定することができる。
GW20は、ホームネットワーク5内に設置されているHeNB70(Home eNodeB:ホーム基地局)と、コアネットワーク内装置との間でゲートウェイとして機能する。MME10とHeNB70間及びSGW30とHeNB70間の通信は、GW20を介して行われる。
SGW30は、PGW40とHeNB70間でパケットを転送するアクセス制御装置である。
PGW40は、インターネット等の外部PDN(Packet Data Network:パケット通信ネットワーク)と接続され、コアネットワーク3とそれらのPDNとを接続するゲートウェイとして機能するとともに、UE宛ての通信データをSGW30に転送するゲートウェイ装置である。なお、PGW40とSGW30とは物理的に同一ノードで構成される場合もある。
ホームネットワーク5は、ホームGW50と、情報端末60と、HeNB70(HeNB70a、70b)と、UE80とを含んで構成される。また、ホームネットワーク5は、ブロードバンドアクセスネットワーク7に接続している。
ホームGW50は、ホームネットワーク5とブロードバンドアクセスネットワーク7間のゲートウェイ装置であり、例えば、ADSLモデム内蔵ルータ等の従来のブロードバンドルータ装置である。また、ホームGW50は、ホームネットワーク5内の他の装置に割り当てるためのIPアドレスを管理しており、IPv6 Stateless Address Autoconfigurationプロトコル(IETF RFC4862)で規定されるルータ広告或いはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用いてホームネットワーク5内の装置に対してIPアドレスの割り当てを行う。
情報端末60は、ホームネットワーク5に接続されている情報端末であり、例えばプリンタやデジタルビデオレコーダなどである。
HeNB70はフェムトセルを形成するホーム基地局であり、3GPP LTE(Long Term Evolution)の基地局としてUE80を収容する。ここで、本実施形態におけるホームネットワーク5にはHeNB70aと、HeNB70bとを含んでいる。
UE80は、3GPP LTEの通信インタフェースを搭載する移動通信端末であり、HeNB70に接続している。
[1.2 装置構成]
続いて、各装置構成について図を用いて簡単に説明する。なお、PGW40及びGW20については、EPSを利用した移動通信システムにおける従来の装置と同様に構成されているため、その詳細な説明を省略する。
また、ホームGW50は、従来のブロードバンドルータ装置と同様に構成されているため、その詳細な説明を省略する。
[1.2.1 MMEの構成]
図2は、本実施形態におけるMME10の構成を示す。MME10は、制御部100に、送受信部110と、記憶部120とがバスを介して接続されている。
制御部100は、MME10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部120に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
送受信部110は、ルータもしくはスイッチに有線接続され、パケットの送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)等により送受信する。
記憶部120は、MME10の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部120には、サブスクリプションDB(データベース)122と、APN−IPアドレス変換DB124と、EPSベアラコンテキスト126とが記憶されている。
図3は、サブスクリプションDB122の一例を示した図であり、移動通信システム1で管理しているUEについて、そのUE識別子(例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identify:加入者識別情報)等から生成される「UE1」)と、許可CSG識別子リスト(例えば「CSG1」)と、接続可能APNリスト(例えば、「LIPA」)とを対応付けて記憶するデータベースである。
ここで、CSG(Closed Subscriber Group)識別子とは、HeNB70に割り当てられるグループ識別子であり、UE80のHeNB70へのアクセス可否は、サブスクリプションDB122の許可CSG識別子リストにしたがって判断される。なお、管理の効率性から、複数のHeNB70に同じCSG識別子を割り当て、アクセス権限の管理を集約することもできる。
また、APN(Access Point Name)とは、EPSにおいて、PDNを識別する識別子であり、ローカルIPアクセスを用いて接続されるホームネットワーク5もPDNとして、UE80は、APN(例えば、「LIPA」)によりホームネットワーク5への接続を要求できる。
そして、UEのローカルIPアクセスの可否は、接続先HeNB70が許可CSG識別子リストに含まれているか否かと、さらにローカルIPアクセスに使用するAPNが接続可能APNリストに含まれているかとによって決定される。
図4は、APN−IPアドレス変換DB124の一例を示した図である。ここで図4(a)と、図4(b)とは後述する実施形態におけるAPN−IPアドレス変換DB124の遷移を示しているものである。APN−IPアドレス変換DB124は、APN(「例えば、「LIPA」)と、グローバルeNB識別子(例えば、「HeNB1」)と、PGWアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)とを対応付けて管理し、APNとグローバルeNB識別子とを用いて、PGW(或いはPGWのサブセットであるL−PGW)のIPアドレスを解決するDBである。
MME10は、UE80が接続先HeNB70を切り替えた際に、切り替え先HeNB70に割り当てられているグローバルeNB識別子とローカルIPアクセス用APNとを用いて、APN−IPアドレス変換DB124を参照し、L−PGWアドレスを取得し、ローカルPDNコネクションの終端PGWの切り替え要否や、切り替え先L−PGWアドレスを取得する。
また、グローバルeNB識別子とは、移動通信システム1に接続される総ての基地局装置(HeNB70といったホーム基地局を含む)を一意に識別する識別子である。
図5及び図6は、EPSベアラコンテキスト126の一例を示した図である。図5(a)〜(d)、図6は後述する実施形態におけるEPSベアラコンテキスト126の遷移を示しているものである。
EPSベアラコンテキスト126は、UE識別子(例えば、「UE1」)と、接続しているAPN(例えば、「LIPA」)と、HoA(例えば「2001:100:200:300::5」)と、PGWアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、SGWアドレス(例えば、「2001:1::2」)と、eNBアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、S1−TEID(例えば、TEID1)と、セルID(例えば、「ECGI(E-UTRAN Cell Global Identifier)1」)とEPSベアラID(例えば、「EPSベアラ1」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されるEPSベアラのコンテキスト(設定情報)を管理する。
なお、HoA(Home Address)は、UEに割り当てられたIPアドレスを示す。また、S1−TEIDは、基地局(或いはHeNB70内のLTE基地局部720)とSGW間で確立される論理パスのIDであり、S1−TEIDはEPSベアラ毎に割り当てられる。
また、セルIDは、ホーム基地局も含めて個々のeNBが形成する無線セルを一意に識別する識別子である。なお、ホーム基地局の場合は、セルIDと前述のグローバルeNB識別子とは同一である。
[1.2.2 SGWの構成]
続いて、本実施形態におけるSGW30の構成を図7に示す。SGW30は、制御部300に、送受信部310と、パケット送受信部320と、ベアラ確立処理部330と、記憶部350とがバスを介して接続されている。
制御部300は、SGW30の全体を制御するための機能部である。制御部300は、記憶部350に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
送受信部310は、ルータもしくはスイッチに有線接続され、パケットの送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などにより送受信する。
パケット送受信部320は、具体的なデータ(パケット)を送受信する機能部である。上位層から受け取ったデータを、パケットとして分解し送信する。また、受信したパケットを上位層に渡す機能を実現する。
ベアラ確立処理部330は、EPSベアラを確立するための処理を実行する機能部である。
記憶部350は、SGW30の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部350にはEPSベアラコンテキスト352が記憶されている。
図8は、EPSベアラコンテキスト352の一例を示した図であり、状態の遷移に応じて(a)〜(d)が記載されている。EPSベアラコンテキスト352は、UE識別子(例えば「UE1」)と、APN(例えば「LIPA」)と、PGWアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、eNBアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、S1−TEID(例えば、TEID1)と、EPSベアラID(例えば、「EPSベアラ1」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されるEPSベアラのコンテキストを管理する。
[1.2.3 HeNBの構成]
続いて、本実施形態におけるHeNB70(70a、70b)の構成を図9に示す。HeNB70は、制御部700に、L−PGW部710と、LTE基地局部720と、記憶部750と、ホームネットワークインタフェース部730とがバスを介して接続されている。
ここで、ホームネットワーク5にはHeNB70aと、HeNB70bとを含んでおり、それぞれ同一の構成要素を含んでいる。すなわち、HeNB70aは、制御部700aに、L−PGW部710aと、LTE基地局部720aと、記憶部750aと、ホームネットワークインタフェース部730aとがバスを介して接続されており、HeNB70bは、制御部700bに、L−PGW部710bと、LTE基地局部720bと、記憶部750bと、ホームネットワークインタフェース部730bとがバスを介して接続されている。
以下、実施形態において、特に各装置の違いが必要と無い場合は包括的にHeNB70等として説明し、各装置の処理について特に違いを説明する必要がある場合には、HeNB70a、70bとして分けて記載する。
制御部700は、HeNB70の全体を制御するための機能部である。制御部700は、記憶部750に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
L−PGW部710は、前述のPGW40のサブセット(機能縮小版)として構成され、UE80との間でローカルPDNコネクションを確立し、ホームネットワーク5から受信したUE80宛ての通信データをLTE基地局部720を介してUE80に転送するパケットゲートウェイ装置として機能する。またUE80へのHoA割り当てを行う。
なお、本実施形態においては、L−PGW部710は、HeNB70に内蔵される機能部の一つとして説明するが、システムの構成によっては、パケットゲートウェイ装置として、HeNB70とは別のハードウェアとしても良い。
なお、PDNコネクションとは、PGW40とUE80との間で確立される論理パスであり、1つのPDNコネクション内に複数のEPSベアラを確立することができる。また、ローカルPDNコネクションとは、ローカルIPアクセスを利用するためにPGW40のサブセットであるL−PGW部710とUE80との間で同様に確立されるPDNコネクションである。
LTE基地局部720は、E−UTRAの基地局として機能し、UEを収容するための機能部である。また、LTE基地局部720には、外部アンテナが接続されている。
記憶部750は、HeNB70の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに記憶部750には、IPアドレスプール752と、EPSベアラコンテキスト754と、近隣キャッシュテーブル756とが記憶されている。
図10は、IPアドレスプール752の一例を示した図であり、ホームGW50がホームネットワーク5上に割り当てているIPアドレスプレフィックス(例えば、「2001:100:200:300::/64」)を記憶する。HeNB70は、ホームGW50から送信されるルータ広告を受信し、ルータ広告に含まれているIPアドレスプレフィックスをIPアドレスプール752内に記憶し、ローカルIPアクセスを利用するUE80に対しては、このIPアドレスプレフィックスを用いたIPアドレス(例えば、「2001:100:200:300::5/64」)をHoAとして割り当てる。
図11は、EPSベアラコンテキスト754の一例を示した図であり、状態の遷移に応じて(a)〜(c)が記載されている。EPSベアラコンテキスト754は、UE識別子(例えば「UE1」)と、APN(例えば「LIPA」)と、HoA(例えば、「2001:100:200:300::5」)と、SGWアドレス(例えば、「2001:1::2」)と、eNBアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、S1−TEID(例えば、TEID1)と、EPSベアラID(例えば、「EPSベアラ1」)とを対応付けて記憶し、UE毎に設定されるEPSベアラのコンテキストを管理する。
また、L−PGW部710は、UE宛ての通信データを転送する際に、EPSベアラコンテキストを参照し、eNBアドレスが記憶されている場合には、eNBアドレス宛てに転送し、eNBアドレスが記憶されていない場合には、SGWアドレス宛てに転送する。
図12は、近隣キャッシュテーブル756の一例を示した図であり、状態の遷移に応じて(a)(b)が記載されている。近隣キャッシュテーブル756は、ホームネットワーク5内の他装置のIPアドレス(例えば、「2001:100:200:300::1/64」)と、L2(レイヤー2)アドレスであるMACアドレス(例えば、「00:1E:11:22:33:11」)との対応付けを記憶する。
近隣キャッシュテーブル756は、HeNB70がIPパケットをホームネットワーク5内に送信する際に、送信先装置のIPアドレスから送信先装置のMACアドレスを解決するために用いられるもので、仮に送信先装置のMACアドレスが解決できなかった場合には、IPv6仕様で規定される近隣探索プロトコル(IETF RFC4861)又はIPv4仕様で規定されるARP(Address Resolution Protocol)を用いて近隣探索が行われ、送信先装置のMACアドレスを取得し、探索結果が逐次反映される。
ここで、近隣探索プロトコルでは、主に近隣探索と近隣広告との2種類のメッセージが定義されている。
近隣探索は、IPアドレスから対応するMACアドレスを取得するための問い合わせメッセージであり、通常はネットワーク内にマルチキャスト送信される。
また、近隣広告は、IPアドレスとMACアドレスとの対応を周囲の端末に報知するメッセージであり、近隣広告を受信した端末は、受信したIPアドレスとMACアドレスとの対応情報に基づいて、近隣キャッシュテーブルを更新する。
近隣広告には、SolicitedとUnsolicitedとの2種類の形式があり、前者は受信した近隣探索に対する応答に用いられる。また後者は、近隣探索の受信に関わらず周囲の端末に報知する場合に用いられる。さらに、近隣広告には、オプションフラグ情報を付加することができ、例えばOverrideフラグを用いることによって、近隣広告の送信端末が、近隣広告の受信端末の近隣キャッシュテーブルを強制的に上書きすることができる。
ホームネットワークインタフェース部730は、ホームネットワーク5内の他装置とパケット送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などにより送受信する。
[1.2.4. UEの構成]
続いて、移動局であるUE80の構成について説明する。UE80の具体的な一例としては、無線アクセスインタフェースを介して移動通信システムに接続する携帯端末や、PDA等の端末が想定される。UE80の構成は、図13に示すように、制御部800に、LTEインタフェース部810と、パケット送受信部820と、記憶部850と、ベアラ確立処理部830とがバスを介して接続されている。
制御部800は、UE80の全体を制御するための機能部である。制御部800は、記憶部850に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
LTEインタフェース部810は、UE80が基地局(通常のマクロ基地局或いはホーム基地局)に接続するための機能部である。また、LTEインタフェース部810には、外部アンテナが接続されている。
パケット送受信部820は、具体的なデータ(パケット)を送受信する機能部である。上位層から受け取ったデータを、パケットとして分解し送信する。また、受信したパケットを上位層に渡す機能を実現する。
記憶部850は、UE80の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。また、ベアラ確立処理部830は、EPSベアラを確立するための処理を実行する機能部である。
[1.2.5. 情報端末の構成]
続いて、情報端末60の構成について図14を用いて説明する。図14に示すように、情報端末60は、制御部600に、ホームネットワークインタフェース部610と、記憶部650とがバスを介して接続されている。
制御部600は、情報端末60の全体を制御するための機能部である。制御部600は、記憶部650に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
ホームネットワークインタフェース部610は、ホームネットワーク5内の他装置とパケット送受信を行う機能部である。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)等により送受信する。
記憶部650は、情報端末60の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部である。さらに、記憶部650には、近隣キャッシュテーブル652が記憶されている。
図15は、近隣キャッシュテーブル652の一例を示した図であり、状態の遷移に応じて(a)(b)が記載されている。近隣キャッシュテーブル652には、ホームネットワーク5に接続している他の装置のIPアドレス(例えば、「2001:100:200:300::5/64」)と、当該装置に割り当てられているMACアドレス(例えば、「00:1E:11:22:33:22」)との対応付けを記憶している。
[1.3 処理の説明]
次に、図1に示すネットワークにおいて、UE80がローカルIPアクセスに対応しているHeNB70間を移動するための手続きについて説明する。なお、UE80がローカルIPアクセスに対応しているHeNB70に接続するための基本的な処理については、非特許文献1及び非特許文献2に記載の規格に基づいて説明できるが、以下、詳細に本発明を適用しつつ図を用いて説明する。
なお、情報端末60は、ホームGW50からIPアドレス(ここでは、「2001:100:200:300::4/64」とする)が割り当てられているものとする。また、IPアドレス割り当ての方法は、ルータ広告による割当てでも良いし、ホームGW50内のDHCPサーバによる割り当てでもよい。
[1.3.1. HeNBの登録処理]
まず、HeNB70aは、移動通信システム1に対して、ローカルIPアクセスに対応している基地局としての基地局登録手続きを行う。このときの登録処理について、図16を用いて詳細に説明する。
HeNB70aは、ホームGW50との間でIPアドレス割り当て処理を行い、IPアドレスを取得する(S100)。HeNB70aに割り当てるIPアドレスは、ホームGW50がホームネットワーク5に割り当てているIPアドレスプレフィックス(ここでは、「2001:100:200:300::/64」とする)を用いたIPアドレスとし、IPアドレス割り当ての方法は、ホームGW50から送信されるルータ広告による割り当てであっても良いし、DHCPによる割り当てでもよい。
なお、ここでは、HeNB70aに「2001:100:200:300::2/64」が割り当てられるものとする。また、本IPアドレスは、HeNB70aのホームネットワークインタフェース部730に割り当てられるものとする。
次に、LTE基地局部720aは、S1設定要求をMME10に送信する(S102)。ここで、S1設定要求とは、LTE基地局部720とMME10間に通信経路を確立し、HeNB70を移動通信システム1の基地局として動作させるためのメッセージであり、HeNB70に割り当てられたグローバルeNB識別子(「HENB1」)と、CSG識別子(「CSG1」)とが含まれる。そしてMME10は、HeNB70aを基地局として登録し(S104)、S1設定応答を送信する(S106)。
次に、従来と異なり、L−PGW部710aは、ローカルIPアクセス登録要求をMME10に送信し、ローカルIPアクセス機能を提供するホーム基地局としての登録をMME10に要求する(S108)。
ローカルIPアクセス登録要求には、HeNB70aに割り当てられたグローバルeNB識別子(「HeNB1」)と、CSG識別子(「CSG1」)と、ローカルIPアクセス用APN(「LIPA」)と、L−PGWアドレスとしてHeNBアドレス(「2001:100:200:300::2」)とが含まれている。
MME10は、取得したグローバルeNB識別子と、APNと、HeNBアドレスとを用いて、図4(a)のAPN−IPアドレス変換DB124を作成し、ローカルIPアクセス用APNと、HeNB70aに割当てられているグローバルeNB識別子と、PGWアドレスとしてHeNBアドレスとを関連付けて記憶し(S110)、HeNB70aをローカルIPアクセス機能を提供するホーム基地局として登録する。
なお、PGWアドレス部分はPGW40のIPアドレスを記憶するためのものであるが、HeNB70aは内部にL−PGW部710aを含むため、HeNBアドレスをPGWアドレスとして記憶する。これにより、MME10は、UE80が接続しているHeNB70aのグローバルeNB識別子とAPNとを用いて、当該HeNB70a内部のL−PGW部710aのIPアドレスを解決できるようになる。
そして、MME10は、ローカルIPアクセス登録応答をHeNB70aに送信する(S112)。以上で、HeNB70aの登録処理を完了する。
なお、本実施形態においては、ホームネットワーク5内に複数HeNB70が設置されているので、それぞれのHeNB70は上述の登録処理を個別に行うものとする。各HeNB70には、ユニークなIPアドレスとグローバルeNB識別子とが割り当てられているため、ここでは、HeNB70aとHeNB70b(HeNB70b)の登録処理が完了した時点で、MME10のAPN−IPアドレス変換DB124は、図4(b)のように設定される。
[1.3.2. UEのアタッチ処理]
次に、UE80はHeNB70aを介してローカルIPアクセスのためのアタッチ処理を開始する。このときのアタッチ処理について、図17を用いて詳細に説明する。
UEは、上述した非特許文献1に規定された従来手法にしたがって、アタッチ要求をLTE基地局部720aに送信する(S120)。アタッチ要求には、UE識別子(「UE1」)とローカルIPアクセスでの接続を指示するためのAPN(「LIPA」)とが含まれる。
LTE基地局部720aは、受信したアタッチ要求に自身のCSG識別子(「CSG1」)と、グローバルeNB識別子(「HeNB1」)とを含めて、INITIAL UEメッセージとして、MME10に送信する(S122)。
MME10は、INITIAL UEメッセージに含まれているUE識別子を取り出し、従来方法にしたがって、ユーザ認証を行い、さらに、UEが接続しているHeNB70aに割り当てられているCSG識別子と接続先APNとを、サブスクリプションDB122で照合する(S124)。
これにより、UE80がHeNB70aに接続するアクセス権限を持つかどうか、さらにHeNB70a経由でローカルIPアクセスが利用できるかを確認する。仮にアクセス権限がない場合には、MME10はアタッチ拒否をLTE基地局部720a経由でUEに送信し、アタッチ処理が失敗したものとして、ここでアタッチ処理を終了する。
アクセス権限照合の結果、UE80のアタッチ要求が許可された場合には、次に説明するローカルPDNコネクション確立処理を行う。
[1.3.3 ローカルPDNコネクション確立処理]
ローカルPDNコネクション確立処理では、L−PGW部710aとUE80との間でローカルPDNコネクションを確立する。
まず、MME10は、S122で受信したINITIAL UEメッセージに含まれたグローバルeNB識別子とAPNとを用いて、APN―IPアドレス変換DB124に問い合わせを行い、HeNBアドレス(「2001:100:200:300::2」)を取得し、当該HeNB70aのL−PGW部710aをローカルPDNコネクションの終端PGWとして選択する(S126)。
そして、MME10はセッション確立要求をSGW30に送信する(S128)。セッション確立要求には、UE識別子(UE1)とL−PGWアドレスとしてのHeNBアドレスとAPN(「LIPA」)とEPSベアラID(「EPSベアラ1」)とが含まれる。
SGW30は、セッション確立要求を受信し、L−PGWアドレスに基づいてL−PGW部710aにセッション確立要求を送信する(S130)。セッション確立要求には、UE識別子とAPNとEPSベアラIDとが含まれる。
L−PGW部710aは、セッション確立要求を受信し、次に説明するHoA生成処理を行う(S132)。なお、HoA生成処理は、ホームGW50が利用可能なIPアドレス割り当て方法に応じて、以下のように複数の処理例がある。
[1.3.3.1 HoA生成処理(第1処理例)]
図18は、ホームGW50がルータ広告によるIPアドレス割り当てを行う場合のHoA生成処理を示した図である。
まず、L−PGW部710aは、UE80用にインタフェースIDを生成し、リンクローカルアドレスを生成する(S200)。リンクローカルアドレスは、同一リンク内でのみ有効なアドレスであり、上位64ビットが「FE80」で、下位64ビットにインタフェースIDを用いたアドレスである。
インタフェースIDに用いるビット列の生成方法としては、例えば、UE識別子からハッシュ関数などを用いてビット列を生成しても良いし、ランダムに生成したビット列を用いても良い。
なお、本実施形態(第1処理例)においては、インタフェースIDとして「5」が生成されるとする。また、IPv6仕様にしたがって、リンクローカルアドレスとして、生成したインタフェースIDを用いて「FE80::5」が生成されるとする。
次に、L−PGW部710aは、生成したリンクローカルアドレスの一意性を確認するために、IPv6仕様にしたがって、DAD(Duplicate Address Detection)処理を行い(S202)、アドレス重複が起きていないことを確認する。なお、アドレス重複が検出された場合には、異なるインタフェースIDを生成するものとする。
そして、L−PGW部710aは、ホームGW50から定期的に送信されるルータ広告を受信する(S204)。ルータ広告には、ホームGW50がホームネットワーク5に割り当てているIPアドレスプレフィックス(例えば、「2001:100:200:300::/64」)が含まれる。
次に、従来と異なり、L−PGW部710aは、受信したIPアドレスプレフィックスをIPアドレスプール752aに記憶し(S206)、さらに当該IPアドレスプレフィックスを用いてUE80に割り当てるHoAを生成する(S208)。これにより、ホームネットワーク5に存在する複数HeNB70に接続する各UE80には、共通のIPアドレスプレフィックスを用いたIPアドレスが割り当てられる。
従来は、PGW(或いはそのサブセットであるL−PGW)がUE毎にユニークなIPアドレスプレフィックスを割り当てるため、個々のPGWに、複数のIPアドレスプレフィックスをプールし、当該IPアドレスプレフィックスについての割当て権限を持たせていた。その場合に、UEが接続先PGWを切り替えると、UEに割り当てているIPアドレスプレフィックスについても切り替え先PGWへの権限移譲とそれに伴うIPルーティング経路制御情報の更新が必須となり、同一HoAの継続使用ができなかった。
しかし、本実施形態のように、ホームネットワーク5に割当てられているIPアドレスプレフィックス(すなわち、ホームGW50が割り当て権限を持つIPアドレスプレフィックス)を用いてUE80に割り当てるHoAを生成することによって、UE80が接続先HeNB70を切り替えた場合であっても、切り替え先がホームネットワーク5に接続されているHeNB70であれば、IPアドレスプレフィックスの権限移譲を行う必要もなく、またIPルーティング経路制御情報に対する変更も生じないため、UE80が当該HoAを継続して使用できることが保証される。
生成するHoAのネットワークプレフィックス部分(通常は、上位64ビット分)は、受信したIPアドレスプレフィックスを使用し、インタフェースID部分には、S200で生成したインタフェースIDを用いる。なお、本実施形態においては、HoAとして「2001:100:200:300::5」が生成されるとする。
L−PGW部710aは、生成したHoAについても、同様にDAD処理を行い、アドレス重複がないことを確認する(S210)。
次に、L−PGW部710aは、ProxyNA処理を開始し(S212)、Unsolicited近隣広告を送信する(S214)。
ProxyNA処理では、UE80の代理ノードとして、HeNB70aのMACアドレス(ここでは、ホームネットワークインタフェース部に割り当てられたMACアドレスである「00:1E:11:22:33:22」)とHoAとを含んだ近隣広告を送信し、近隣広告内のOverrideフラグはONに設定する。これにより、UE80宛てのパケットがHeNB70aに転送されるようになる。
最後に、L−PGW部710aは、生成したHoAを含めてEPSベアラコンテキスト754aを図11(a)のように設定し(S216)、HoA生成処理(第1処理例)を完了する。
なお、S204のルータ広告の受信及びS206のIPアドレスプレフィックスの記憶については、UE80の接続処理が開始される前(例えば、HeNB70aの電源ONに連動した初期化処理内など)に実行されてもよいし、L−PGW部710aは、S210のDAD処理が完了したのちに、ルータ探索をホームネットワーク5内に送信することによってホームGW50のルータ広告の送信を促しても良い。また、2台目以降のUEが同様に接続された場合には、IPアドレスプール752aに記憶しているIPアドレスプレフィックスを用いてHoAを生成してもよい。
[1.3.3.2 HoA生成処理(第2処理例)]
図19は、ホームGW50がDHCPによるIPアドレス割り当てを行う場合のHoA生成処理を示した図である。
まず、前述の第1処理例と同様に、L−PGW部710aは、UE80用にインタフェースID、リンクローカルアドレスを生成し(S220)、DAD処理を行う(S222)。
そして、L−PGW部710aは、ホームGW50との間でDHCP処理を行い(S224)、IPアドレスを取得し、取得したIPアドレスをHoAとする(S226)。なお、本実施形態(第2処理例)においては、HoAとして「2001:100:200:300::5」を取得したとする。
次に、L−PGW部710aは、DAD処理を実行し(S228)、他装置がHoAを用いていないことを確認する。
L−PGW部710aはさらに続けて、取得したHoAについてのProxyNA処理を開始し(S230)、Unsolicited近隣広告を送信する(S232)。
最後に、L−PGW部710aは、EPSベアラコンテキスト754aを図11(a)のように設定し(S234)、HoA生成処理(第2処理例)を完了する。
以上の手続きにより、UEのHoAが確定し、HoA生成処理を完了する。以下、再び、図17に戻り、次の処理の説明を進める。
L−PGW部710aは、セッション確立応答をSGW30に送信する(S134)。セッション確立応答には、生成したHoAが含まれる。
SGW30は、EPSベアラコンテキスト352を図8(a)のように設定し(S136)、セッション確立応答をMME10に送信する(S138)。セッション確立応答には、HoAとL−PGWアドレスとが含まれる。
セッション確立応答を受信したMME10は、EPSベアラコンテキスト126を図5(a)のように設定し(S140)、アタッチ許可を含んだINITIAL CONTEXT SETUP要求をLTE基地局部720aに送信する(S142)。
アタッチ許可には、APNとHoAとが含まれる。また、INITIAL CONTEXT SETUP要求には、アタッチ許可に加えて、L−PGWアドレスと、SGWアドレスとが含まれる。
LTE基地局部720aは、INITIAL CONTEXT SETUP要求を受信し、L−PGWアドレス及びSGWアドレスを取得したのち、アタッチ許可をUE80に送信する(S144)。
UE80は、アタッチ許可を受信し、HeNB70aへのアタッチ処理が完了したことを確認し、アタッチ完了をLTE基地局部720aに送信する(S146)。
LTE基地局部720aは、アタッチ完了を受信し、INITIAL CONTEXT設定応答をMME10に送信する(S148)。INITIAL CONTEXT設定応答には、基地局アドレスとしてのHeNBアドレスと、新たに生成したTEID(「TEID1」)と、UE80から受信したアタッチ完了とが含まれる。
MME10はINITIAL CONTEXT設定応答を受信し、UE80の接続先基地局の設定情報としてEPSベアラIDとHeNBアドレスとTEIDとを含んだベアラ変更要求をSGW30へ送信する(S150)。
SGW30は、ベアラ変更要求を受信し、さらにL−PGW部710aにベアラ変更要求を送信する(S152)。ベアラ変更要求にはHeNBアドレスとTEIDとが含まれる。
L−PGW部710aは、ベアラ変更要求に含まれているHeNBアドレスとTEIDとを取り出し、EPSベアラコンテキスト754aを図11(b)のように更新する(S154)。
これにより、UE80のローカルPDNコネクションが確立する。以後、L−PGW部710aは、UE80宛てのIPパケットをホームネットワーク5から受信した場合には、HeNB70aのEPSベアラコンテキスト754aを参照し、ENBアドレス(ここでは、HeNBアドレスである「2001:100:200:300::3」)とTEID1とで識別される論理パスを用いて、受信したIPパケットをHeNB70a内部のLTE基地局部720aに転送し、LTE基地局部720aは当該IPパケットをUE80に送信する。
また、UE80がIPパケットを送信した場合には、LTE基地局部720aがそれを受信し、S142のINITIAL CONTEXT SETUP要求で取得したL−PGWアドレスを用いて、L−PGW部710aに転送し、L−PGW部710aがホームネットワーク5に送出する。
L−PGW部710aは、さらに続けてベアラ変更応答をSGW30に送信し(S156)、SGW30はEPSベアラコンテキスト352を図8(b)のように更新し(S158)、ベアラ変更応答をMME10に送信する(S160)。
MME10は、ベアラ変更応答を受信し、EPSベアラコンテキスト126を図5(b)のように更新する(S162)。以上の手続きにより、UEのローカルPDNコネクション確立処理が完了する。
[1.3.4 HoA割り当て処理]
次に、ローカルPDNコネクションの確立が完了したUE80に対してHoA割り当て処理を開始する(S164)。なお、UE80の利用可能なIPアドレス割り当て方法に応じて、次に述べる2種類のIPアドレス割り当て処理のいずれかを行う。
また、UE80は、S146に記載のアタッチ完了においてHoAを既に取得しているが、非特許文献1に記載の方法にしたがって、以下に述べるIPv6仕様で規定されているIPアドレス取得方法に従った処理がなれるものとする。
[1.3.4.1 HoA割り当て処理(第1処理例)]
まず、HoA割り当て処理として第1処理例について説明する。図20は、UE80がルータ広告によるIPアドレス割り当てを利用する場合のHoA割り当て処理(第1処理例)を示した図である。
まず、UE80は、アタッチ完了で受信したHoAのうちインタフェースID部分を用いて、リンクローカルアドレス(例えば、「FE80::5」)を生成する(S300)。
そして、生成したリンクローカルアドレスについて、L−PGW部710aとの間でDAD処理を行い、アドレス重複がないことを確認する(S302)。さらに、UE80は、ルータ探索を送信し(S304)、デフォルトルータの検索を行う。
L−PGW部710aは、ルータ探索を受信し、ルータ広告を返信する(S306)。ルータ広告には、EPSベアラコンテキスト754aを用いて、前述のローカルPDNコネクション確立処理のS208或いはS226で生成したHoAのIPアドレスプレフィックス部分(すなわち「2001:100:200:300::/64」)が含まれ、さらに従来と異なり、オンリンクフラグをOFFに設定する。
オンリンクフラグとは、ルータ広告に含めることができる追加情報であり、ルータ広告に含まれているIPアドレスプレフィックスがオンリンク(すなわちルータ広告を送信しているリンクに当該プレフィックスが割り当てられている状態)であるか否かを示す情報である。
オンリンクフラグをOFFにすることにより、UE80は、HoAのIPアドレスプレフィックス部分が共通なIPアドレス宛にパケットを送信する場合においても、必ずデフォルトゲートウェイであるL−PGW部710aにパケットを送信するようになる。
UE80は受信したルータ広告に基づいて、L−PGW部710aをデフォルトルータとして設定し、さらに、ルータ広告に含まれているIPアドレスプレフィックスを取り出し、当該IPアドレスプレフィックス部分と前述のインタフェースID部分を用いて、IPアドレス(「2001:100:200:300::5/64」)を生成する(S308)。
さらに、UE80は、生成したHoAについてDAD処理を行い(S310)、アドレスの一意性を確認し、HoA割り当て処理(第1処理例)を終了する。
[1.3.4.2 HoA割り当て処理(第2処理例)]
次に、HoA割り当て処理として第2処理例について説明する。図21は、UE80がDHCPによるIPアドレス割り当てを利用する場合のHoA割り当て処理(第2処理例)を示した図である。
まず、前述のHoA割り当て処理(第1処理例)と同様に、UE80は、アタッチ完了で受信したHoAのうちインタフェースID部分を用いて、リンクローカルアドレスを生成し(S320)、生成したリンクローカルアドレスについて、L−PGW部710aとの間でDAD処理を行い、アドレス重複がないことを確認する(S322)。
さらに、UE80は、ルータ探索を送信し(S324)、デフォルトルータの検索を行う。
L−PGW部710aは、ルータ探索を受信し、ルータ広告を返信する(S326)。ルータ広告には、前述の第1処理例と同様に、IPアドレスプレフィックスが含まれ、オンリンクフラグをOFFに設定する。
UE80は受信したルータ広告に基づいて、L−PGW部710aをデフォルトルータとして設定し、さらにL−PGW部710aとの間でDHCPによるアドレス取得処理を行う(S328)。ここで、L−PGW部710aは、EPSベアラコンテキスト754aを参照し、前述のローカルPDNコネクション確立処理において生成或いは取得したHoAをUE80に割り当てる。
UE80は、HoAを取得し(S330)、取得したHoAについてDAD処理を行い(S332)、アドレスの一意性を確認し、HoA割り当て処理(第2処理例)を終了する。
以上の手続きにより、UE80へのHoA割り当て処理が完了し、UE80は、ローカルIPアクセスを用いた通信データの送受信が可能な状態になる。
なお、前述の2種類のHoA生成処理と、2種類のHoA割り当て処理とは、それぞれIPアドレスの設定方法として、ルータ広告を用いたIPv6 Address Autoconfigurationによるものと、DHCPによるものとの違いがあるが、HoA生成処理に用いるアドレス設定方法と、HoA割り当て処理に用いるアドレス設定方法とが一致している必要はない。
例えば、HoA生成処理においては、第1処理例に記載のルータ広告によるアドレス設定を行いながら、その後に実行されるHoA割り当て処理においては、第2処理例に記載の通り設定したアドレスをDHCPを用いてUEにアドレス割り当てを行うようにしてもよい。
[1.3.5 ユーザデータ送受信処理]
ローカルPDNコネクションが確立し、UE80へのHoA割り当てが完了すると、UE80はホームネットワーク5内の他装置とのユーザデータ送受信が可能となる。
以下、UE80が情報端末60とユーザデータの送受信をする場合を例に、ユーザデータ送受信処理について、図22を用いて説明する。
まず、UE80は、情報端末60宛てに上り通信データ(パケット)を送信する(S400)。ここで、通信データの送信先IPアドレスは情報端末(「2001:100:200:300::4」)であり、送信元IPアドレスはHoA(「2001:100:200:300::5」)である。
なお、送信先IPアドレスとHoAとが同一IPアドレスプレフィックスであるが、UE80は、S306或いはS326で受信したルータ広告内のオンリンクフラグがOFFに設定されているため、デフォルトゲートウェイ宛てに送信する。
上り通信データは、ローカルPDNコネクションを用いて、デフォルトゲートウェイであるL−PGW部710aに到着し、L−PGW部710aは、送信先IPアドレスである情報端末60のIPアドレスを用いて近隣キャッシュテーブル756aを参照する(S402)。
L−PGW部710aは、近隣キャッシュテーブル756aを参照し、情報端末60のIPアドレスが近隣キャッシュテーブル756aに存在しない場合には、ホームネットワーク5に近隣探索を送信し(S404)、情報端末60のMACアドレスを検索する。なお、近隣探索には、検索対象である情報端末60のIPアドレスが含まれる。
情報端末60及びホームGW50は、近隣探索を受信し、情報端末60が自身のMACアドレスとIPアドレスとを含んだSolicited近隣広告をL−PGW部710aに送信する(S406)。
L−PGW部710aは、情報端末60のMACアドレスを取得し、近隣キャッシュテーブル756aを図12(b)のように更新し(S408)、S400でUE80から受信した上り通信データを情報端末60に転送する(S410)。
なお、ここで、上り通信データの送信先IPアドレス及び送信元IPアドレスは変更しないが、送信先MACアドレスとして情報端末60のMACアドレスを付加し、さらに送信元MACアドレスとしてHeNB70aのMACアドレスを付加する。
上り通信データは、送信先MACアドレスと送信先IPアドレスとに基づいて情報端末60が受信する。
一方、情報端末60から下り通信データがUE80に送信される場合には、まず、情報端末60が、下り通信データの送信先IPアドレスであるHoAを用いて近隣キャッシュテーブル652を参照する(S412)。
情報端末60は、近隣キャッシュテーブル652を参照して、HoAが近隣キャッシュテーブル652に存在しない場合には、ホームネットワーク5に近隣探索を送信し(S414)、HoAに対応付けられているMACアドレスを検索する。なお、近隣探索には、HoAが含まれる。
L−PGW部710a及びホームGW50は、近隣探索を受信し、L−PGW部710aがHeNB70aのMACアドレスとHoAとを含んだSolicited近隣広告を情報端末60に送信する(S416)。なお、ここでOverrideフラグはONに設定する。
情報端末60は、HoAに対応するMACアドレスとしてHeNB70aのMACアドレスを取得し、近隣キャッシュテーブル652を図15(a)のように更新し(S418)、下り通信データを送信する(S420)。
なお、ここで、下り通信データの送信先IPアドレスはHoAとし、送信元IPアドレスは情報端末60のIPアドレスとし、送信先MACアドレスはHeNB70aのMACアドレスとし、送信元MACアドレスは情報端末60のMACアドレスとする。
下り通信データは、送信先MACアドレスに基づいてL−PGW部710aに到着し、送信先IPアドレスとEPSベアラコンテキスト754aとに基づいてL−PGW部710aがLTE基地局部720aを介してUE80に転送し(S422)、UE80が受信する。
なお、情報端末60とUE80とは、共通のIPアドレスプレフィックスが割り当てられているため、両方の端末は、仮想的に同一リンクに属している端末となる。したがって、ローカルPDNコネクションを介してL−PGW部710aが通信データをフォワードする場合であっても、通信データを搬送するIPパケットのヘッダ内に含まれるHopLimit(或いはIPv4であればTime To Live)は、変更しなくてもよい。
これにより、情報端末60及びUE80上で動作するアプリケーションは、互いに同一リンクに存在する装置として認識し、例えば、情報端末60がUPnP(Universal Plug & Play、登録商標)等の同一リンク上のサービス発見プロトコルを動作させることもできる。
次に、UE80の無通信状態が続き、前述の非特許文献1に記載のアイドルモード(具体的には、例えばECM_IDLE状態のように、基地局がUE80用に無線リソースを割り当てていない状態)に遷移したUE80が、HeNB70bのセルに移動し(以下、アイドルモードモビリティ処理と呼ぶ)、通信を再開するためにアクティブモード(例えば、ECM_CONNECTED状態)に遷移する場合の手続き(以下、サービスリクエスト処理と呼ぶ)について、以下に説明する。
[1.3.6 アイドルモードモビリティ処理]
本実施形態におけるUE80のアイドルモードモビリティ処理について、図23を用いて詳細に説明する。
まず、HeNB70aに接続しているUE80は、無通信状態が一定時間(例えば1分間以上など)続いたことを契機に、非特許文献1に記載の方法に従いアイドルモードに遷移する(S500)。
MME10は、UE80がアイドルモードに遷移するのを検出し、SGW30のEPSベアラコンテキスト352からUE80が接続している基地局に関する情報を削除するために、SGW30にアクセスベアラ解放要求を送信する(S502)。
SGW30は、アクセスベアラ解放要求を受信し、UE80がアイドルモードに遷移したと判定する。そして、従来と異なり、L−PGW部710aに対してアイドルモード時の追加処理を行うことを指示するために、L−PGW部710aにベアラ変更要求を送信する(S504)。ベアラ変更要求には、UEがアイドルモードへ遷移することを示すフラグが含まれる。
なお、本実施形態ではMME10がSGW30を一度介してL−PGW部710aにベアラ変更要求を送信しているが、直接L−PGW部710aにアクセスベアラ解放要求を送信することでアイドルモード時の追加処理を行うことを指示しても良い。
L−PGW部710aは、ベアラ変更要求でアイドルモードへの遷移が指示された場合には、以下に示すアイドルモード移行時の追加処理を行う。
まず、L−PGW部710aは、HoA宛ての通信データをL−PGW部710aに送信する情報端末60に対して、再度近隣探索を実行するように指示するために、HoA宛ての通信データに関するリダイレクト処理を開始する(S506)。なお、リダイレクト処理とは、RFC4861に定められた処理で、受信した通信データの適切な転送先を当該通信データの送信元に指示する処理である。具体的な処理内容については、後述のS604において説明する。この指示により、アイドルモードに遷移したUE80が他のHeNB70に移動した場合であっても、情報端末60は、適切な送信先L−PGW部710を選択できるようになる。
また、L−PGW部710aは、ホームネットワーク5内の情報端末60が、再度UE80と通信を開始する際には、必ず近隣探索の送信を行うように仕向けるために、情報端末60に近隣キャッシュテーブル652からHoAのエントリを削除すること直接指示してもよい。具体的な手段として、例えば、MACアドレスを含まないUnsolicited近隣広告を送信する(S508)。この指示によっても、アイドルモードに遷移したUE80が他のHeNB70に移動した場合であっても、情報端末60は、適切な送信先L−PGW部710を選択することができるようになる。
さらに、L−PGW部710aは、実行しているProxyNA処理について、UE80がアイドルモードに遷移している場合には、L−PGW部710aが受信する近隣探索に対して、近隣広告の送信で応答せずに、次に述べるサービスリクエスト処理を開始するように設定する(S510)。これにより、UE80がアクティブモードに復帰する前に情報端末60が、UE80宛ての通信データ送信を開始してしまうことを未然に防ぐことができる。
そして、L−PGW部710aは、EPSベアラコンテキスト754aを図11(a)に変更し(S512)、UE80が接続している基地局に関する情報(ENBアドレス及びS1−TEID)を削除する。そして、ベアラ変更応答をSGW30に送信する(S516)。
なお、S508において、Unsolicited近隣広告を受信した情報端末60は、近隣キャッシュテーブル652からHoAのエントリを削除し、近隣キャッシュテーブル652を更新する(S514)。
SGW30は、ベアラ変更応答を受信し、EPSベアラコンテキスト352を図8(a)に更新し(S518)、UE80が接続している基地局に関する情報が削除される。さらに、SGW30はアクセスベアラ解放応答をMME10に送信する(S520)。
なお、本実施形態では、L−PGW部710aがSGW30を一度介してMME10にアクセスベアラ解放応答を送信しているが、直接MME10にアクセスベアラ解放応答を送信しても良い。
MME10は、アクセスベアラ解放応答を受信し、同様にEPSベアラコンテキスト126を図6に変更する(S522)。
続いて、アイドルモードに遷移したUE80は、自身の移動等によって変化する近隣セルの電波強度等に基づいて、接続先としてHeNB70bの無線セルを再選択する(S524)。
なお、アイドルモード時には、UE80は各無線セル内で報知されるシステム情報(物理セルID、CSG識別子等を含む)を受信するだけであり、セル選択の結果をMME10等のネットワーク内装置には通知しない。また、UE80がさらに他の無線セルを選択した場合においても同様にネットワーク内装置には通知しない。
[1.3.7 サービスリクエスト処理]
次に、情報端末60からアイドルモードに遷移しているUE80への通信が行われる際に実行されるサービスリクエスト処理について、図24を用いて詳細に説明する。
なお、ここでは、情報端末60が、前述のS508で送信される近隣キャッシュテーブル652を削除するためのUnsolicited近隣広告に対応していない、或いは受信できなかったために、近隣キャッシュテーブル652内にHoAのエントリを保持し続けている場合を例に説明する。また、HoAのエントリが存在しない場合には、後述のS608から処理を行うものとする。
まず、図24のように、情報端末60は、近隣キャッシュテーブル652にしたがって、HoA宛ての下り通信データをL−PGW部710aに送信する(S600)。
L−PGW部710aは、通信データを受信し、送信先IPアドレスを用いてEPSベアラコンテキスト754aを参照する(S602)。そして、UE80がアイドルモードに遷移していることを検出し、従来と異なり、情報端末60に近隣探索を実行するように指示するために受信した通信データを含むリダイレクトメッセージを情報端末60に送信する(S604)。なお、リダイレクトメッセージには、適切な転送先としてHoAを指定する。
情報端末60は、リダイレクトメッセージを受信し、送信した通信データが適切に届けられなかったことを検出し、RFC4861に規定される従来の動作にしたがって、近隣キャッシュテーブル652内のHoAのエントリを削除(更新)する(S606)。そして、情報端末60は、改めてホームネットワーク5に近隣探索を送信し(S608)、HoAに対応付けられているMACアドレスを検索する。
HeNB70aのL−PGW部710a及びHeNB70bのL−PGW部710bは、それぞれ近隣探索を受信し、EPSベアラコンテキスト754を参照する(S610、S612)。
HeNB70aのL−PGW部710aは、EPSベアラコンテキスト754a内にHoAに対応付けられたUE80が記憶されていることを検出する。そして、EPSベアラコンテキスト754aにUE80が接続している基地局に関する情報(ENBアドレス及びS1−TEID)が記憶されていないことから、UE80がアイドルモードに遷移していると判断する。そして、即座に近隣広告の送信で応答せずに、MME10に対してUE80をアクティブモードに復帰させ、UE80と接続先LTE基地局部720との間での無線ベアラを確立させるために、UE識別子を含んだ下りパケット受信通知をSGW30に送信する(S614)。
一方、HeNB70bのL−PGW部710bは、EPSベアラコンテキスト754b内にUE80が記憶されていないため、当該近隣探索を破棄する。
SGW30は、下りパケット受信通知を受信し(S614)、MME10に同様に下りパケット受信通知を送信する(S616)。
なお、本実施形態では、L−PGW部710aは、SGW30を一度介してMME10に下りパケット受信通知を送信しているが、直接MME10に送信しても良い。
MME10は、下りパケット受信通知を受信し、UE80宛ての通信が開始されることを検出し、非特許文献1に記載のページング処理を行う(S618)。ページング処理では、アイドルモードのUE80が定期的にMME10に送信するトラッキングエリア情報に基づいて、当該トラッキングエリア情報に含まれる各基地局に対してUE識別子を含んだページングメッセージを送信する。
ページングメッセージは基地局によって各無線セルに送信され、UE80は、受信したページングメッセージ内に含まれているUE識別子に基づいて、自身が呼び出されていることを検出し、アイドルモードからアクティブモードに遷移し、選択したセル経由(ここでは、HeNB70bのセル)で応答する。
ページング処理が完了すると、LTE基地局部720bは、INITIAL UEメッセージをMME10に送信する(S620)。INITIAL UEメッセージには、UE80が接続しているLTE基地局部720bのCSG識別子(「CSG2」)と、セルID(「ECGI2」)とが含まれる。
ここで、MME10は、従来と異なり、受信したINITIAL UEメッセージに含まれているセルIDからグローバルeNB識別子(「HeNB2」)を生成し、UE80が接続しているAPNと、生成したグローバルeNB識別子とを用いてローカルPDNコネクションの終端であるL−PGW部710の切り替え処理(以下、ローカルPDNコネクション再配置処理と呼ぶ)を行うか否かを判定する再配置判定処理を実行する(S622)。その再配置判定処理について、以下、図25を用いて、説明する。
[1.3.7.1 再配置判定処理]
まず、MME10は、INITIAL UEメッセージに含まれているHeNB70bのグローバルeNB識別子と、CSG識別子とを抽出する(ステップS10)。
そして、サブスクリプションDB122に基づいて、UEがHeNB70b経由でローカルIPアクセスを利用するアクセス権限を持っているかを照合する(ステップS12)。なお、照合手続きは、前述のUE80のアタッチ処理におけるS124のアクセス権限照合と同様の判定処理を行う。
アクセス権限がある場合には(ステップS14;Yes)、グローバルeNB識別子とEPSベアラコンテキスト126に記憶しているAPNとを用いて、APN−IPアドレス変換DB124を参照し、PGWアドレスを取得(解決)する(ステップS16)。
一方、アクセス権限がない場合には(ステップS14;No)、従来の方法にしたがって、ローカルPDNコネクションを削除し(ステップS26)、処理を完了する。この場合、UE80はHeNB70b接続後にローカルIPアクセスを利用できない。
ステップS16においてPGWアドレスを取得した後、EPSベアラコンテキスト126に含まれているPGWアドレスと、新たに取得したPGWアドレスとを比較する(ステップS18)。
ここで、2つのPGWアドレスが異なる場合には(ステップS20;Yes)、ローカルPDNコネクションの終端であるL−PGW部710を変更する(具体的には、L−PGW部710aからL−PGW部710bへの変更)必要があると判断し、以下に説明するローカルPDNコネクション再配置処理を行うことを決定し、判定処理を終了する(ステップS22)。
他方、ステップS18において、2つのPGWアドレスが一致する場合には(ステップS20;No)、ローカルPDNコネクションの終端が同じであると判断し、そのまま判定処理を終了して従来の処理を実行することを決定する(ステップS24)。
なお、本実施形態においては、それぞれのHeNB70がL−PGW部710を備えているため、2つのPGWアドレスが一致するケースは存在しないが、例えば、L−PGW部710が独立した装置として設定され、複数のHeNB70から接続されている場合には、2つのPGWアドレスが一致することがある。その場合には、本発明実施形態のローカルPDNコネクション再配置処理は行わず、従来のサービスリクエスト処理を行うことを決定する。
[1.3.7.2 ローカルPDNコネクション再配置処理]
上記再配置判定処理により、ローカルPDNコネクションの再配置を行うことを決定した場合のローカルPDNコネクション再配置処理を、図26を用いて、詳細に説明する。
まず、MME10は、セッション確立要求をSGW30に送信する(S700)。ここで、セッション確立要求には、EPSベアラコンテキスト126に基づいて、UE識別子と、切り替え先L―PGWアドレスとしてのHeNB70bアドレスと、APNと、HoAと、EPSベアラID(「EPSベアラ1」)と、再配置フラグとが含まれる。
なお、HeNB70bアドレスは、前述の再配置判定処理のステップS16でAPN−IPアドレス変換DB124に基づいて取得したPGWアドレスを用いる。
また、再配置フラグは、EPSベアラコンテキスト352に既に設定されているローカルPDNコネクションの再配置を明示的に指示するフラグである。
SGW30は、セッション確立要求を受信し、再配置が指示されている場合には、既に当該UE80に関するEPSベアラコンテキスト352を設定済みとしてエラー処理するのではなく、新たに切り替え先であるL−PGW部710bにセッション確立要求を送信する(S702)。セッション確立要求は、UE識別子と、APNと、HoAと、EPSベアラIDと、再配置フラグとが含まれる。
なお、本再配置処理では、前述のローカルPDNコネクション確立処理のようにHoAを新規生成するのではなく、UE80が送受信する通信を継続できるようにハンドオーバ後も同一HoAを使用する必要がある。したがって、前述のS700及びS702でのセッション確立要求内にHoAを明示し、移動先であるHeNB70bのL−PGW部710bにUE80がアイドルモードに移行する前に使用していたHoAを通知する。
また、本実施形態では、MME10はSGW30を一度介してL−PGW部710bにセッション確立要求を送信しているが、直接L−PGW部710bに送信しても良い。
L−PGW部710bは、セッション確立要求を受信し、再配置が指示されている場合には、本セッション確立要求がローカルPDNコネクション再配置処理による要求であると判断する。
ただし、S702のセッション確立要求に再配置フラグを含める代わりに、セッション確立要求に明示的にHoAが含まれていることから、本セッション確立要求がアタッチ処理におけるセッション確立要求(S130)とは異なると判断し、ローカルPDNコネクション再配置処理による要求であると判断してもよい。
まず、受信したHoAのIPアドレスプレフィックスと、ホームネットワーク5に割当てられているIPアドレスプレフィックスとが一致するかを確認し、指定されたHoAがHeNB70bの管理管轄内アドレスであることを確認する(S704)。
なお、IPアドレスプレフィックスが一致するかどうかの確認は、例えば、HeNB70bがホームGW50から受信するルータ広告に含まれるIPアドレスプレフィックスとの比較によって行ってもよいし、ホームネットワークインタフェース部730bに割り当てられたIPアドレスのアドレスプレフィックスとの比較によって行ってもよい。
そして、L−PGW部710bは、ローカルPDNコネクション再配置処理中であることから、この時点ではProxyNA処理は開始せずに、図11(a)のEPSベアラコンテキスト754bを作成する(S706)。
従来は、ここでProxyNA処理が開始され、UE80の代わりに近隣広告の送信を開始してしまうため、UE80とLTE基地局部720との間で無線ベアラが確立される前に、情報端末60がUE80宛ての通信データを送信していたが、本実施形態では、この段階ではProxyNA処理を開始しないため、情報端末60からUE80宛ての通信データを受信することがなく、下り通信データのバッファリング処理が不要となる。
そして、L−PGW部710bは、UE80から送信される上り通信データを受信した場合には、当該データをすぐにホームネットワーク5には送信せずにバッファリング処理を開始するように設定し(S708)、HoAを含んだセッション確立応答をSGW30に送信する(S710)。
なお、S704において、IPアドレスプレフィックスの一致が確認できなかった場合には、指定されたHoAがHeNB70bの管理管轄外アドレスであると判断し、ハンドオーバ後に同一HoAによる通信の継続は不可能と判断する。そして、新たにHoAを生成し、セッション確立応答に含める。HoAの生成は、前述のS200〜S216或いはS220〜S234の記載のHoA生成処理を行う。
SGW30は、セッション確立応答を受信し、EPSベアラコンテキスト352を図8(c)のように更新し、切り替え前のL−PGWアドレスと切り替え先のL−PGWアドレスとをそれぞれ記憶する(S712)。そして、セッション確立応答をMME10に送信する(S714)。セッション確立応答には、切り替え先L―PGWアドレスと、HoAとが含まれる。
なお、本実施形態では、L−PGW部710bはSGW30を一度介してMME10にセッション確立応答を送信しているが、直接MME10に切り替え先L―PGWアドレスとHoAとを含めて送信しても良い。
MME10は、セッション確立応答を受信し、EPSベアラコンテキスト126を図5(c)のように更新し、SGW30と同様に、切り替え前のL−PGWアドレスと切り替え先のL−PGWアドレスとをそれぞれ記憶する。以上で、ローカルPDNコネクション再配置処理を完了する。
再び図24に戻り、サービスリクエスト処理の残りの処理を説明する。MME10は、INITIAL CONTEXT設定要求をLTE基地局部720bに送信する(S626)。INITIAL CONTEXT設定要求には、切り替え先L−PGWアドレスと、SGWアドレスとが含まれる。
なお、前述したHeNB70の登録処理において、セルIDとHeNB70bアドレスとは対応付けられて記憶されており、MME10は、S620で受信したINITIAL UEメッセージに含まれるHeNB70bのセルIDを用いて対応付けられているHeNB70bアドレスを解決し、INITIAL CONTEXT設定要求の送信先とする。また、上記解決されたHeNB70bのIPアドレスと、切り替え先L−PGWアドレスとが一致する場合には、INITIAL CONTEXT設定要求に切り替え先L−PGWアドレスを含める代わりに、ループバックアドレス(自身を示すIPアドレスで、IPv6の場合には、「::1」)を含めても良い。
LTE基地局部720bは、UE80との間で無線リソースの割り当て及び無線ベアラの確立を行い(S628)、INITIAL CONTEXT設定完了をMME10に送信する(S630)。INITIAL CONTEXT設定完了には、ENBアドレスとしてHeNB70bアドレスと、新たに生成したTEID2とが含まれる。なお、ここで、INITIAL CONTEXT設定要求内の切り替え先L−PGWアドレスとして、ループバックアドレスが含まれていた場合には、HeNB70bアドレスとして同様にループバックアドレスを含めても良い。
無線ベアラの確立が完了した後、MME10は、移動前HeNB70aのEPSベアラコンテキスト754aを削除するために、次に説明するローカルPDNコネクション削除処理を行い(S632)、さらに、MME10は、無線ベアラの確立完了に伴い、L−PGW部710bにProxyNA処理の開始を指示するためにローカルPDNコネクション設定処理(S634)を行う。
[1.3.7.3 ローカルPDNコネクション削除処理]
ここで、図24のS632におけるローカルPDNコネクション削除処理について、図27を用いて詳細に説明する。
まず、MME10は、移動前のHeNB70aのEPSベアラコンテキスト754aを削除するために、セッション削除要求をSGW30に送信する(S730)。セッション削除要求には、EPSベアラID(「EPSベアラ1」)が含まれる。
SGW30は、受信したセッション削除要求に含まれているEPSベアラIDに基づいて、EPSベアラコンテキスト352から切り替え前のPGWアドレスとしてHeNB70aのL−PGW部710aのIPアドレスを取得し、セッション削除要求をL−PGW部710aに送信する(S732)。セッション削除要求には、EPSベアラIDが含まれる。なお、本実施形態では、MME10は、SGW30を一度介してL−PGW部710aにセッション削除要求を送信しているが、直接L−PGW部710aに送信しても良い。
L−PGW部710aは、セッション削除要求を受信し、該当するUE80のEPSベアラコンテキスト754aを削除する(S734)。さらに、ProxyNA処理を停止し(S736)、それ以後、もしUE80宛ての通信データを受信した場合には、当該データを破棄する。そして、セッション削除応答をSGW30に送信する(S738)。
SGW30は、セッション削除応答を受信し、セッション削除応答をMME10に送信する(S740)。以上で、ローカルPDNコネクション削除処理を完了する。なお、本実施形態では、L−PGW部710aはSGW30を一度介してMME10にセッション削除応答を送信しているが、直接MME10に送信しても良い。
[1.3.7.4 ローカルPDNコネクション設定処理]
図28を用いて、本実施形態におけるローカルPDNコネクション設定処理を説明する。
まず、MME10は、UE80とLTE基地局部720b間の無線ベアラの確立完了に伴い、HeNB70bのEPSベアラコンテキスト754bにUE80の接続している基地局に関する情報(ENBアドレス及びS1−TEID)を設定するためにベアラ変更要求をSGW30に送信する(S800)。ここで、ベアラ変更要求には、EPSベアラIDと、移動先ENBアドレスとしてHeNB70bアドレス(或いはループバックアドレス)と、TEID2とが含まれる。
SGW30は、ベアラ変更要求を受信し、L−PGW部710bにベアラ変更要求を送信する(S802)。ここで、ベアラ変更要求には、EPSベアラIDと、移動先HeNB70bアドレス(或いはループバックアドレス)と、TEID2とが含まれる。なお、本実施形態では、MME10は、SGW30を一度介してL−PGW部710bにベアラ変更要求を送信しているが、直接L−PGW部710bに送信しても良い。
L−PGW部710bは、ベアラ変更要求を受信し、その時点でEPSベアラコンテキスト754bにENBアドレスとS1−TEIDとが未設定であることを確認し、受信したベアラ変更要求に移動先HeNB70bアドレスとTEID2とが含まれていることから、UE80とLTE基地局部720bとの間で無線ベアラの確立が完了し、L−PGW部710bからLTE基地局部720bを経由してUE80までのEPSベアラが確保されたことを通知するものであると判断する。
そして、ProxyNA処理が開始されていないことを検出し、ProxyNA処理を開始(S804)し、Unsolicited近隣広告をホームネットワーク5に送信する(S806)。また、HoAを含んだ近隣探索を受信した場合には、HeNB70bのMACアドレスを含んだ近隣広告を返信するように設定する。これにより、情報端末60は、UE80宛ての通信データの送信先としてL−PGW部710bを選択するようになる。
なお、情報端末60は、S608で送信した近隣探索に対する応答としてSolicited近隣広告ではなく、S806のUnsolicited近隣広告を受信することになるため、RFC4861の仕様にしたがって、再度近隣探索を送信する(S808)。その場合には、L−PGW部710bがSolicited近隣広告を情報端末60に返信する(S810)。
また、L−PGW部710bによるUnsolicited近隣広告送信(S806)よりも前に、S608で送信した近隣探索の再送タイマーの残存時間が消滅した場合には、情報端末60はS808と同様に近隣探索を送信するので、L−PGW部710bは、Solicited近隣広告で応答する(S810)。
情報端末60は、受信したSolicited近隣広告にしたがって、近隣キャッシュテーブル652を図15(b)に更新し(S812)、UE80宛ての通信データの送信が可能な状態になる。
L−PGW部710bは、図11(c)のようにEPSベアラコンテキスト754bを更新し(S814)し、L−PGW部710bがUE80宛ての通信データを受信した場合には、LTE基地局部720bに転送するように設定される。なお、HeNB70bアドレスとしてループバックアドレスが設定された場合においても、L−PGW部710bは、受信した通信データについて、ループバックアドレスを用いて自分自身をLTE基地局部720bとして転送するように設定されるため、同様の動作となる。
さらに、S708において設定したバッファリング処理を停止し、それまでバッファリングしていたUE80の上り通信データを含めて、ホームネットワーク5への通信データの転送を開始する(S816)。そして、L−PGW部710bは、ベアラ変更応答をSGW30に送信する(S818)。
なお、ProxyNA処理が開始された後の定常状態において、情報端末60からHoAを含んだ近隣探索が送信され、当該近隣探索を受信した場合には(S820)、L−PGW部710bがSolicited近隣広告を情報端末60に返信する(S822)。
SGW30は、ベアラ変更応答を受信し、新たにHeNB70bにEPSベアラコンテキストが設定されたことを確認し、EPSベアラコンテキスト352を図8(d)のように更新し(S824)、ベアラ変更応答をMME10に送信する(S826)。
MME10は、EPSベアラコンテキスト126を図5(d)のように更新し(S828)、ローカルPDNコネクション設定処理を完了する。以上で、サービスリクエスト処理が完了する。なお、本実施形態では、L−PGW部710bはSGW30を一度介してMME10にベアラ変更応答を送信しているが、直接MME10に送信しても良い。
以後、ホームネットワーク5から受信するUE80宛の通信データは、HeNB70bに送信されるようになり、UE80はアイドルモードに移行する前と同じIPアドレスを使い続けながら、ユーザデータ送受信処理を行う。なお、ユーザデータ送受信処理は、前述のS400〜S422と同様であるため説明を省略する。
このように本実施形態におけるサービスリクエスト処理では、従来のサービスリクエスト処理とは異なり、無線ベアラの確立を開始する前には、切り替え先L−PGWに対する事前処理としてローカルPDNコネクション再配置処理のみを行い、ProxyNA処理は開始しない。そして、無線ベアラが確実に確立した後に、ローカルPDNコネクション削除処理及びローカルPDNコネクション設定処理を行い、切り替え先L−PGWにProxyNA処理を開始するように指示する。
従来は、無線ベアラの確立が完了する前に、切り替え先L−PGWによるProxyNA処理が開始されるため、無線ベアラの確立完了まで切り替え先L−PGWによるバッファリング処理が必要となり、単一のL―PGWが複数のUEを同時管理することを加味すると、実装コストの観点から不利であった。
また、無線ベアラの確立手続きは、無線リソースの割り当て状況等によっては失敗する場合もあり、無線ベアラ確立が完了する前に、先行して切り替え先L−PGWがProxyNA処理を開始してしまうと、仮に無線ベアラの確立が失敗した場合には、大量に通信データを受信していたとしても当該通信データを破棄するしかなく、非効率であった。
本実施形態では、情報端末60からUE80宛ての通信データが切り替え先L−PGWに送信開始されるのは、無線ベアラの確立完了後になるため、切り替え先L−PGWは下り通信データのバッファリングを行う必要がなくなる。
また、本実施形態において、UE80がアイドルモードに遷移する際に、MME10は、L−PGWにUE80がアイドルモードに遷移することを通知する。そして、L−PGWは、ProxyNA処理を変更し、情報端末60からHoAについての近隣探索を受信した場合には、サービスリクエスト処理のみを開始し、近隣広告を情報端末60に即答しないように設定する。
これにより、情報端末60が、UE80宛ての通信データを、アイドルモードに遷移する前に接続していたL−PGW(710a)に送信してしまうことを未然に防ぎ、さらに情報端末60が近隣キャッシュテーブル652を更新するタイミングとUE80宛ての通信データを送信開始するタイミングとを、無線ベアラ確立後に遅らせることができるので、切り替え前L−PGW(710a)と切り替え先L−PGW(710b)での通信データの転送が不要となる。
さらに、本実施形態では、情報端末60によるアプリケーションの通信データ送信は、近隣広告によって送信先のMACアドレスを解決した後に初めて開始されることを利用し、UE80がアイドルモードに遷移した後にL−PGWがホームネットワーク5内の他の端末から通信データを受信した場合には、リダイレクト処理を行い、送信元端末に対して近隣探索を再度行うように促す。
これにより、L−PGWは近隣探索の受信のみをサービスリクエスト処理開始のトリガーにすればよく、L−PGWの処理を簡素化することができる。
また、非特許文献3に記載の従来技術のように、切り替え前L−PGWが、バッファリングしたUE80宛ての通信データを近隣広告の送信元に転送することもないため、悪意を持ったノードによってUE80宛ての通信データを盗み取られる危険性もない。
また、本実施形態では、前述のHoA生成処理により、ホームネットワーク5に接続されているHeNB70に接続しているUE同士が同じIPアドレスプレフィックスを共有できるので、従来のようにUE毎にユニークなIPアドレスプレフィックスを割り当てる方法に比べて、IPアドレス空間の効率的利用も実現できる。
さらに、これらの処理を行う際に、UEは、非特許文献1で規定されるUEの従来動作を行えばよく、既存のUEに対する仕様変更を最小限に抑えながら、ローカルIPアクセス利用時のホーム基地局間ハンドオーバを実現することができる。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、情報端末が1つの場合を例に説明したが、複数の情報端末がホームネットワーク5に接続されている場合においても、同様に機能するものとする。
また、本実施形態では、UE80の通信相手である情報端末60がホームネットワーク5内に存在する場合を例に説明したが、それに限らず、ホームネットワーク5外に存在する情報端末とUEとがホームGW50を介して通信を行う場合においても、同様に機能するものとする。
[2.第2実施形態]
続いて、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は、HeNBの構成を除いて、ネットワーク構成及び装置構成は上述の第1実施形態と同様であり、HeNBの構成以外の詳細説明は省略する。
[2.1 装置構成]
まず、装置構成について図を用いて簡単に説明する。上述したように、本実施形態において第1実施形態と異なる特徴となるHeNB72について説明する。
[2.1.1 HeNBの装置]
図29は、本実施形態におけるHeNB72の構成の一例を示した図であり、第1実施形態におけるHeNB70の構成とは、記憶部760(760a、760b)に近隣探索受信リスト(762a、762b)を記録している点が異なる。なお、第1実施形態と同様に、ホームネットワーク5にはHeNB72aと、HeNB72bとを含んでおり、それぞれ記憶部760a、760bを有している。特に各装置の違いが必要と無い場合は包括的にHeNB72として説明し、各装置の処理について説明する必要がある場合には、HeNB72a、72bとして分けて記載する。
図30は、近隣探索受信リスト762の一例を示した図であり、HeNB72がホームネットワーク5から受信した近隣探索に含まれている送信元IPアドレス(例えば、「2001:100:200:300::4」)と、送信元MACアドレス(例えば、「00:1E:11:22:33:44」)と、近隣探索ターゲットアドレス(例えば、「2001:100:200:300::5」)と、生存時間(例えば、「60秒」)とを対応付けて記憶する。
ここで、生存時間は、近隣探索を受信した際に、あらかじめ設定された時間(例えば、「60秒」)に設定され、以後タイマーが開始される。生存時間が経過した場合には、近隣探索受信リストから当該近隣探索に関する情報が削除される。
他の構成については、図9に記載の第1実施形態のHeNB70と同様であり、詳細説明は省略する。
[2.2 処理の説明]
まず、第1実施形態と同様に、UE80は、アタッチ処理及びローカルPDNコネクション確立処理を行い、さらにアイドルモードモビリティ処理を行う。本アタッチ処理と、本ローカルPDNコネクション確立処理と、本アイドルモードモビリティ処理とは第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
次に、アイドルモード状態のUE80への通信が開始され、サービスリクエスト処理を行う。ここで、本実施形態におけるサービスリクエスト処理では、第1実施形態と異なり、切り替え先であるHeNB72bのL−PGW部710bは、情報端末60から送信される近隣探索に含まれるHoAの保持を行なう。以下、本実施形態のサービスリクエスト処理について詳細に説明する。
[2.2.1 サービスリクエスト処理]
図31は、情報端末60からアイドルモードに遷移しているUE80への通信が行われる際に実行される本実施形態におけるサービスリクエスト処理を示したものである。
なお、ここでは、情報端末60が、近隣キャッシュテーブル652内にHoAのエントリを保持していない場合を例に説明する。HoAのエントリを保持している場合には、第1実施形態に記載のサービスリクエスト処理のS600からS606をあらかじめ行うものとする。また、第1実施形態で説明したサービスリクエスト処理と同一の処理については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
まず、情報端末60は、ホームネットワーク5に近隣探索を送信し(S1000)、HoAに対応付けられているMACアドレスを検索する。
HeNB72aのL−PGW部710a及びHeNB72bのL−PGW部710bは、それぞれ近隣探索を受信し、EPSベアラコンテキスト754a、754bを参照する(S1002、S1004)。
HeNB72aのL−PGW部710aは、EPSベアラコンテキスト754a内にHoAに対応付けられたUE80が記憶されていることを検出し、UEをアクティブモードにするために、UE識別子を含んだ下りパケット受信通知をSGW30に送信する(S1008)。
一方、第1実施形態と異なり、HeNB72bのL−PGW部710bは、EPSベアラコンテキスト754b内にUE80が記憶されていないため、図30のように近隣探索の送信元IPアドレスと、送信元MACアドレスと、近隣探索ターゲットアドレスとして問い合わせのあったHoAとを近隣探索受信リスト762bに記憶する(S1006)。
以後の処理は、第1実施形態のサービスリクエスト処理と同様に、SGW30が、下りパケット受信通知を受信し、MME10に同様に下りパケット受信通知を送信する(S616)。なお、本実施形態では、HeNB72bのL−PGW部710bはSGW30を一度介してMME10に下りパケット受信通知を送信しているが、直接MME10に送信しても良い。
そして、MME10は、ページング処理を開始し(S618)、第1実施形態と同様に、再配置判定処理と、ローカルPDNコネクション再配置処理と、ローカルPDNコネクション削除処理と(S620〜S632)、ローカルPDNコネクション設定処理とを続けて行う(S1020)。
ここで、本実施形態におけるローカルPDNコネクション設定処理について、以下に詳細に説明する。
[2.2.1.1 ローカルPDNコネクション設定処理]
図32は、本実施形態におけるローカルPDNコネクション設定処理を示したものである。なお、第1実施形態で説明したローカルPDNコネクション設定処理(図28)と同一の処理については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
まず、MME10は、第1実施形態におけるローカルPDNコネクション設定処理と同様に、ベアラ変更要求をSGW30に送信する(S1100)。
SGW30は、ベアラ変更要求を受信し、L−PGW部710bにベアラ変更要求を送信する(S1102)。なお、本実施形態では、MME10は、SGW30を一度介してL−PGW部710bにベアラ変更要求を送信しているが、直接L−PGW部710bに送信しても良い。
L−PGW部710bは、ベアラ変更要求を受信し、ProxyNA処理を開始(S1104)する。ここで、第1実施形態と異なり、まず、L−PGW部710bは、S1006において近隣探索受信リスト762bに近隣探索ターゲットアドレスとして記憶したHoAと、ローカルPDNコネクション再配置処理において取得したProxyNA処理を行うHoAとを比較し(S1106)、両者が一致した場合には、近隣探索受信リスト762bに記憶している近隣探索送信元IPアドレスと送信元MACアドレスとを用いてSolicited近隣広告を情報端末宛てに送信し(S1108)、当該HoAのエントリーを近隣探索受信リスト762bから削除する(S1110)。近隣広告には、HoAと、HeNB72bのMACアドレス(すなわち「00:1E:11:22:33:33」)とが含まれる。
情報端末60は、受信したSolicited近隣広告にしたがって、近隣キャッシュテーブル652を図15(b)に更新し(S1112)、UE80宛ての通信データの送信が可能な状態になる。
さらに、L−PGW部710bは、第1実施形態と同様に、ホームネットワーク5内にUnsolicited近隣広告を送信する(S1113)。また、HoAを含んだ近隣探索を受信した場合には、HeNB72bのMACアドレスを含んだ近隣広告を返信するように設定する。
L−PGW部710bは、図11(c)のようにEPSベアラコンテキスト754bを更新し(S1114)し、L−PGW部710bがUE80宛ての通信データを受信した場合には、LTE基地局部720bに転送するように設定される。
なお、HeNB72bのアドレスとしてループバックアドレスが設定された場合においても、L−PGW部710bは、受信した通信データを自身をLTE基地局部720bとして転送するように設定されるため、同様の動作となる。
以後の処理(S816〜S828)は、ローカルPDNコネクション設定処理の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
なお、S1006にて、L−PGW部710bが、近隣探索ターゲットアドレスとして問い合わせのあったHoAと近隣探索の送信元IPアドレスと送信元MACアドレスとを近隣探索受信リスト762bに記憶した後、生存時間が経過してもなお、当該HoAについてProxyNA処理を開始するベアラ変更要求を受信していない場合には、当該HoAは、L−PGW部710が管理するUEに割り当てられたIPアドレスではないと判断し、当該HoAに関するエントリーを近隣探索受信リストから削除する。
以上で、サービスリクエスト処理が完了し、ユーザデータ送受信処理が開始される。なお、ユーザデータ送受信処理は、前述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
このように、本実施形態では、切り替え先L−PGWが近隣探索にターゲットアドレスとして含まれているHoAと当該近隣探索の送信元IPアドレスと送信元MACアドレスとを記憶し、ローカルPDNコネクション設定処理において、当該近隣探索に対する応答として上記記憶したHoAと送信元アドレスとを用いて、Solicited近隣広告の送信を行う。
前述の第1実施形態では、ローカルPDNコネクション設定処理において、情報端末60が、S608で送信した近隣探索に対する応答としてSolicited近隣広告ではなく、Unsolicited近隣広告を受信する(S806)ため、RFC4861の仕様にしたがって、再度近隣探索を送信することになり、情報端末60の近隣キャッシュテーブル652が更新されるまでに追加遅延が生じていた。
しかし、本実施形態では、HeNB72が近隣探索受信リスト762を備えるため、情報端末60がS608で送信する近隣探索に対する応答としてSolicited近隣広告を送信する(S1110)ことができ、即座に情報端末60の近隣キャッシュテーブル652が更新される。これにより、情報端末60によるUE80宛ての通信データの送信が開始されるまでの時間を短縮することができる。
[3.第3実施形態]
続いて、本発明を適用した第3実施形態について説明する。本実施形態は、ネットワーク構成及び装置構成は上述の第1実施形態と同様であり、詳細説明は省略する。
[3.1 処理の説明]
第3実施形態における処理について説明する。まず、第1実施形態と同様に、UE80は、アタッチ処理及びローカルPDNコネクション確立処理を行う。本アタッチ処理と、本ローカルPDNコネクション確立処理とは第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
次に、UE80がローカルIPアクセスを用いた通信データの送受信を行いながら、HeNB70bにハンドオーバした場合の手続きについて、以下、詳細に説明する。
[3.1.1. ハンドオーバ処理]
本実施形態におけるUE80のハンドオーバ処理について、図33を用いて詳細に説明する。
まず、UE80は、上述の非特許文献1に記載の基地局間ハンドオーバ手続きにしたがって、移動元基地局であるHeNB70aとの間でハンドオーバ準備の処理を行う(S2000)。具体的には、UE80は、周辺のHeNB70及びeNBが形成するセルのリストと各セルの電波強度とをHeNB70aに送信し、HeNB70aは電波強度などを基準に移動先候補となるセルを決定する。
HeNB70aは、ハンドオーバ先となるHeNB70bを決定し、ハンドオーバRequiredをMME10に送信する(S2002)。ハンドオーバRequiredには、HeNB70bのグローバルeNB識別子(「HENB2」)と、CSG識別子(「CSG2」)とが含まれる。
MME10は、従来とは異なり、EPSベアラコンテキスト126を参照し、UE80の基地局間ハンドオーバに伴ってローカルPDNコネクション再配置処理を行うか否かを判定する再配置判定処理を実行する(S2004)。
なお、その再配置判定処理については、第1実施形態と同様であるために説明を省略する。
上記判定処理の結果、ローカルPDNコネクション再配置を行う必要があると判断された場合には、ローカルPDNコネクション再配置処理を行う(S2006)。なお本処理は、第1実施形態のローカルPDNコネクション再配置処理と同じであるため説明を省略する。
次に、MME10は、ハンドオーバ要求を移動先HeNB70bのLTE基地局部720bに送信する(S2008)。ハンドオーバ要求には、再判定処理内で記憶した切り替え先L−PGWアドレスと、SGWアドレスとが含まれる。
なお、前述したHeNB70の登録処理において、セルIDとHeNB70bアドレスとは対応付けられて記憶されており、MME10は、S2002で受信したハンドオーバRequiredに含まれるHeNB70bのセルIDを用いて対応付けられているHeNB70bアドレスを解決し、ハンドオーバ要求の送信先とする。
また、上記解決されたHeNB70bのIPアドレスと、切り替え先L−PGWアドレスとが一致する場合には、ハンドオーバ要求に切り替え先L−PGWアドレスを含める代わりに、ループバックアドレス(自身を示すIPアドレスで、IPv6の場合には、「::1」)を含めても良い。
LTE基地局部720bは、UE80の無線リソース割り当て等の事前処理を行い、ハンドオーバ要求確認をMME10に送信する(S2010)。ハンドオーバ要求確認には、ENBアドレスとしてHeNB70bアドレスと、新たに生成したTEID2とが含まれる。なお、ここで、ハンドオーバ要求内の切り替え先L−PGWアドレスとして、ループバックアドレスが含まれていた場合には、HeNB70bアドレスとして同様にループバックアドレスを含めても良い。
MME10は、ハンドオーバ命令をHeNB70aのLTE基地局部720aに送信する(S2012)。
LTE基地局部720aは、UE80に対してハンドオーバの実行を指示し、ハンドオーバを実行し(S2014)、UE80は移動先HeNB70bとの間で無線ベアラを確立する。
そして、HeNB70bのLTE基地局部720bは、UE80との間で無線ベアラを確立したことを契機に、ハンドオーバ通知をMME10に送信する(S2016)。ハンドオーバ通知には、HeNB70bのセルID(「ECGI2」)が含まれる。
MME10は、ハンドオーバ通知を受信し、MME10は、移動前HeNB70aのEPSベアラコンテキスト754aを削除するために、ローカルPDNコネクション削除処理(S2018)を行い、さらに無線ベアラの確立完了に伴い、L−PGW部710bにProxyNA処理の開始を指示するためにローカルPDNコネクション設定処理(S2020)を行う。
なお、ローカルPDNコネクション削除処理及びローカルPDNコネクション設定処理は、第1実施形態に記載のローカルPDNコネクション削除処理及びローカルPDNコネクション設定処理と同じであるために説明を省略する。
以上で、ハンドオーバ処理が完了する。以後、ホームネットワーク5から受信するUE80宛の通信データは、HeNB70bに送信されるようになり、UE80はハンドオーバ前と同じIPアドレスを使い続けながら、図22に示されたようにユーザデータ送受信処理を行う(S2030)。なお、ユーザデータ送受信処理は、前述のS400〜S422と同様であるため説明を省略する。
このように本実施形態におけるハンドオーバ処理では、従来のハンドオーバ処理とは異なり、UE80が移動先HeNBと無線ベアラの確立を開始する前には、切り替え先L−PGWに対する事前処理としてローカルPDNコネクション再配置処理のみを行い、ProxyNA処理は開始しない。そして、無線ベアラが確立した後に、ローカルPDNコネクション削除処理及びローカルPDNコネクション設定処理を行い、切り替え先L−PGWにProxyNA処理を開始するように指示する。
前述の第1実施形態及び第2実施形態は、UE80のアイドルモードモビリティ処理及びサービスリクエスト処理における接続先L−PGWの切り替えに関するものであり、本実施形態は、UE80のHeNB70間ハンドオーバ処理に関するものである。
しかしながら、無線ベアラの確立後に切り替え先L−PGWによるProxyNA処理が開始される点は共通であり、情報端末60からUE80宛ての通信データが切り替え先L−PGWに送信開始されるのは、無線ベアラの確立完了後になるため、切り替え先L−PGWは下り通信データのバッファリングを行う必要がなくなる。
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
本実施形態では、無線アクセス技術として3GPPが規定するE−UTRAを用いた場合を例に述べたが、これに限らず無線アクセス技術としてUTRAを用いても良い。
さらに、本実施形態では、ローカルPDNコネクション確立処理において、HeNB70のL−PGW部710と、SGW30との間でセッション確立要求と、セッション確立応答と、ベアラ変更要求と、ベアラ変更応答とを用いる場合を例にして述べたが、これに限らず、代わりにIETF RFC5213で規定されるProxy Mobile IPv6プロトコルに準じて、バインディング更新要求とバインディング更新応答とを用いて同等の処理を行っても良い。
さらに、本実施形態では、IPv6が用いられた場合を例に述べたが、それに限らずIPv4が用いられた場合にも、同様に適用できる。
さらに、本実施形態では、L−PGW部710でセッション確立要求及びベアラ変更要求に連動して開始されるProxyNA処理について、その開始判断が、L−PGW部710のEPSベアラコンテキスト754の状態と、受信したセッション確立要求内にHoAが含まれているか否かと、L−PGW部710がProxyNA処理を既に開始しているか否かとによって判断されるが、この開始判断を簡素化するために、MME10が送信するセッション確立要求及びベアラ変更要求内に、L−PGW部710にProxyNA処理を開始するように指示するフラグとしてProxyNA Indicationフラグを含めることによって、MME10が明示的に指示するようにしてもよい。
より具体的には、図17のS128とS130と、図28のS800とS802と、図32のS1100とS1102とに、ProxyNA Indicationを含めることによって、ProxyNA処理の開始を明示的に要求する。
さらに、本実施形態では、L−PGW部710は、UE80がアイドルモードに遷移していることを、EPSベアラコンテキスト754にUE80が接続している基地局に関する情報(ENBアドレス及びS1−TEID)が設定されていないことによって判定しているが、それに限らず、EPSベアラコンテキスト754内にアイドルモードに遷移していることを明示するフラグを新たに設けて、判定しても良い。
さらに、本実施形態では、MME10がAPN―IPアドレス変換DB124を記憶している場合を例にして述べたが、DNS(Domain Name System)のように、データベース部分を独立した装置としてコアネットワーク内に設置し、グローバルeNB識別子とAPNとを用いて対応するPGWアドレスを取得する際には、MME10が当該データベース装置に問い合わせを行う構成であってもよい。
具体的には、例えば、グローバルeNB識別子(「HENB1」)とAPN(「LIPA」)とから、「HENB1.LIPA.EXAMPLE.COM」といったFQDN(Fully Qualified Domain Name)を生成し、生成したFQDNを用いて、DNSを参照し、IPアドレスを取得するといった方法が考えられる。
さらに、本実施形態では、MME10がサブスクリプションDB122を記憶している場合を例にして述べたが、それに限らず、MME10がHSS(Home Subscriber System)などのユーザサブスクリプション情報を管理する外部DBに問い合わせを行い、サブスクリプション情報の取得を行い、それをもとにアクセス権限照合を行っても良い。
さらに、本実施形態では、HeNB70は、GW60を経由してSGW30及びMME10と接続される場合を例にして述べたが、これに限らず、HeNB70がSGW30及びMME10と直接接続される構成であってもよい。
さらに、本実施形態では、MME10とL−PGWとは、SGW30を介して接続される場合を例にして述べたが、これに限らず、SGW30を経由せずに、MME10とL−PGWとが接続される構成であってもよい。
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO((Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。