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JP5858517B2 - 有機デバイスの製造方法 - Google Patents

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JP5858517B2
JP5858517B2 JP2011160823A JP2011160823A JP5858517B2 JP 5858517 B2 JP5858517 B2 JP 5858517B2 JP 2011160823 A JP2011160823 A JP 2011160823A JP 2011160823 A JP2011160823 A JP 2011160823A JP 5858517 B2 JP5858517 B2 JP 5858517B2
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謙司 河野
山木 健之
健之 山木
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Description

本発明は、有機デバイスの製造方法関する。
近年、発光素子や発電素子などのデバイスとして、有機材料から構成される有機層を備える有機デバイスが注目を集めている。例えば有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧で高輝度の面発光が可能であること等の理由により、フラットパネルディスプレイ、液晶表示装置用バックライト、照明用の光源などとして活用可能な次世代光源として注目を集めている。有機エレクトロルミネッセンス素子は、一般的に支持基板上に陽極、有機発光層、陰極が順次積層した構造を有し、また必要に応じて電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層層、正孔注入層なども備えている。
このような有機デバイスを構成する層は、物理蒸着法、スパッタリング法などの蒸着法で形成されるのが一般的である。しかし、近年、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機デバイスの大面積化、低コスト化、製造工程の簡便化などのために、転写法や貼り合わせ法などにより有機デバイスを構成する層を形成することが試みられてきている。
例えば特許文献1には、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するにあたり、基板A上に少なくとも1層以上の有機層Aがウエットプロセスで形成されていて、かつ、基板B上に少なくともp型の正孔輸送層またはn型の電子輸送層を含む有機層Bをあらかじめ形成しておき、転写法または貼合法で前記有機層A上へ前記有機層Bを形成することが開示されている。
特開2009−76241号公報
しかし、有機層を転写法により形成する場合には、有機層を構成する有機材料を予め膜状に形成する必要があり、更にこの膜状の有機材料を欠けや残留などが生じることなく転写する必要がある。これらが同時に満たされることは難しく、このため、転写法を利用して有機デバイスを歩留まりよく製造することは難しかった。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、転写法を利用して有機デバイスを歩留まりよく製造することができる有機デバイスの製造方法提供することを目的とする。
本発明に係る有機デバイスの製造方法は、次のステップを含む;
前記有機デバイスの一部を構成する中間部材を準備するステップ;
離型層を備える転写用部材を準備するステップ;
有機材料と、この有機材料が溶解すると共に前記離型層に対して親和性を有する溶媒とを含有する塗布液を準備するステップ;及び
前記塗布液を前記転写用部材における前記離型層上に塗布成膜することで前記離型層上に有機層を形成し、続いて前記有機層を前記離型層上から前記中間部材上に転写するステップ。
本発明において、前記離型層がシリコーン系材料から形成されていることが好ましい。
本発明において、前記離型層の表面の水の接触角が90°以上であることが好ましい。
本発明において、前記溶媒が、前記有機材料が溶解する第一の溶媒と前記離型層に対し親和性を有する第二の溶媒とを含有する混合溶媒であり、
前記第一の溶媒の溶解度パラメータと、前記第二の溶媒の溶解度パラメータとが、いずれも10以下であり、
前記第一の溶媒と前記第二の溶媒との沸点の差が20℃以内であることが好ましい。
本発明に係る有機デバイスの製造装置は、離型層を備える転写用部材の前記離型層上に、有機材料と、この有機材料が溶解すると共に前記離型層に対して親和性を有する溶媒とを含有する塗布液を塗布する塗布部と、
前記離型層上の前記塗布液を加熱することで前記溶媒を揮発させることにより前記離型層上に有機層を形成する加熱部と、
有機デバイスの一部を構成する中間部材に前記離型層上の前記有機層を押圧することで前記有機層を前記離型層上から前記中間部材上へ転写する転写部とを備える。
本発明によれば、転写法を利用して有機デバイスを歩留まりよく製造することができる。
(a)乃至(c)は、本発明の実施の形態の一態様を示す概略の断面図である。 (a)乃至(c)は、本発明の実施の形態の別の態様を示す概略の断面図である。 (a)乃至(c)は本発明で得られる有機デバイスの構成の例を示す概略の断面図である。 本発明の一実施形態に係る有機デバイスの製造装置を示す概略図である。
<有機デバイスの構成>
本実施形態では、有機デバイス1の一例として、有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。この有機デバイス1は、例えば第一の電極3、一層又は複数層の有機層4、第二の電極5が、順次積層している構造を有している。有機デバイス1は有機層4として少なくとも発光層43を備える。更に有機デバイス1は有機層4として、必要に応じてホール注入層41、ホール輸送層42、電子ブロック層、ホールブロック層、電子輸送層44、電子注入層等、適宜の層を備える。例えば有機デバイス1は第一の電極3(陽極)/ホール注入層41/ホール輸送層42/発光層43/電子輸送層44/電子注入層/第二の電極5(陰極)という積層構造を有する。基材2はこの基材2上に積層される層を支持する機能を有する。場合によっては有機デバイス1は基材2、第二の電極5、一層又は複数層の有機層4、第一の電極3が、順次積層した構造を有してもよい。また有機デバイス1は基材2を備えず、例えば第二の電極5がこの第二の電極5の上に積層される層を支持する機能を発揮してもよい。
本実施形態では、有機デバイス1は例えば図3(a)に示されるように基材2上に第一の電極3、ホール輸送層42、発光層43、電子輸送層44、第二の電極5を備え、これらの層がこの順に積層して形成されることで得られる。また、有機デバイス1は例えば図3(b)に示されるように基材2上に第二の電極5、電子輸送層44、発光層43、ホール輸送層42、第一の電極3を備え、これらの層がこの順に積層して形成されることで得られる。また、有機デバイス1は例えば図3(c)に示されるように第二の電極5上に電子輸送層44、発光層43、ホール輸送層42、第一の電極3を備え、これらの層がこの順に積層して形成されることで得られる。
基材2は、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ等の樹脂、フッ素系樹脂等から任意の方法によって作製されたプラスチックフィルムやプラスチックシートなどの、可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成される。また、基材2はガラスなどの剛性を有する材料から形成されてもよい。
本実施形態において,第一の電極3は陽極として機能する。本実施形態において、陽極は発光層43にホールを注入するための電極である。陽極の材料としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、これらの混合物などが用いられることが好ましい。特に仕事関数が4eV以上の材料が用いられることが好ましい。このような陽極の材料の具体例としては、金などの金属;CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム−亜鉛酸化物)等;PEDOT、ポリアニリン等の導電性高分子;任意のアクセプタ等でドープされた導電性高分子;カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料などが挙げられる。
第一の電極3は、例えば前記のような材料が基材2の表面上に真空蒸着法、スパッタリング法、塗布法等の適宜の手法で成膜されることで形成される。
第一の電極3に光透過性が要求される場合には、第一の電極3の光透過率が70%以上であることが好ましい。第一の電極3のシート抵抗は数百Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であれば更に好ましい。
第一の電極3の厚みは、この第一の電極3の光透過率、シート抵抗等の特性が上記のように調整されるためには、材料によって異なるが、500nm以下であることが好ましく、10〜200nmの範囲であれば更に好ましい。
本実施形態において,第二の電極5は陰極として機能する。本実施形態において、陰極は、発光層43に電子を注入するための電極である。陰極の材料は、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、これらの混合物などが好ましい。陰極の材料の仕事関数が5eV以下であれば特に好ましい。このような陰極の材料の具体例としてはアルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属等、及びこれらと他の金属との合金が挙げられ、更に具体的にはナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/LiF混合物等が挙げられる。陰極の材料として、アルミニウム、Al/Al23混合物なども使用可能である。陰極の発光層43側の面上にはアルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、金属酸化物などから形成される電子注入層が重ねられていてもよく、また陰極は金属等の導電材料から形成される1層以上の層から構成されてもよい。このような電子注入層と陰極の積層構造としては、例えばアルカリ金属/Alの積層、アルカリ金属のハロゲン化物/アルカリ土類金属/Alの積層、アルカリ金属の酸化物/Alの積層などが挙げられる。陰極が光反射性の電極である場合には、透明な陰極と光反射性の層とが組み合わされることで光反射性の陰極が構成されてもよい。
陰極が光透過性の電極として形成される場合には、陰極がITO、IZOなどに代表される透明な電極材料から形成されてもよい。この場合、陰極が基材2上に形成されてもよい。
第二の電極5と直接重なる有機層4にはリチウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属がドープされてもよい。
第二の電極5は、例えば前記のような材料が真空蒸着法、スパッタリング法、塗布法等の適宜の手法で成膜されることで形成される。
第二の電極5が光反射性の電極である場合には第二の電極5の光透過率が10%以下であることが好ましい。一方、第二の電極5が光透過性の電極である場合には、第二の電極5の光透過率が70%以上であることが好ましい。
第二の電極5の厚みは、第二の電極5の光透過率等の特性が適宜調整されるためには、材料によって異なるが、500nm以下であることが好ましく、100〜200nmの範囲でれば更に好ましい。
尚、上述のとおり第二の電極5は基材2上に形成されてもよい。また、第二の電極5がその上に積層される層を支持する機能を発揮する場合には、第二の電極5が導電性を有する金属板、金属箔、金属フィルムなどから構成されてもよい。
有機層4としては、次に示す発光層43、ホール輸送層42、ホール注入層41、電子輸送層44などが挙げられる。有機デバイス1はこれらの有機層4のうち少なくとも発光層43を備える。
<発光層>
発光層43は、陰極または電子輸送層44から発光層43に注入される電子と陽極又はホール輸送層42から発光層43に注入されるホールとが発光層43内で再結合することで発光する層である。発光層43の材料としては、有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として知られる任意の材料が使用可能である。このような発光層43の材料としては、特に制限されないが、好ましくはカルバゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、フルオレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、各種蛍光色素等が挙げられる。発光層43の材料として前述の材料系およびその誘導体を始めとするものが挙げられる。これらの化合物から選択される二種以上が併用されてもよい。
発光層43の材料として、マトリクスとなるホスト材料と、発光を担うドーパント材料(ゲスト材料)とが組み合わせれて用いられてもよい。ホスト材料としては、構造的には特に制限はないが、代表的には前述のカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するものなどが挙げられる。ドーパント材料としては、前記化合物に代表される蛍光発光を生じる化合物のみならず、スピン多重項からの発光を示す材料系、例えば燐光発光を生じる燐光発光材料、例えば、イリジウム錯体化合物、白金錯体化合物、オスミウム錯体化合物や希土類錯体化合物など、およびそれらからなる部位を分子内の一部に有する化合物も好適に用いることができる。
本実施形態において特に好ましい発光層43の材料の例としては、フルオレン誘導体である2,7-bis(4'-hexyl-[1,1'biphenyl]-4-yl)-9,9'-spirobi[fluorene](BHBPSF)、4,4'-(9,9'-spirobi[fluorene]-2,7-diyl)bis(N,N-diphenylaniline)(SFBDPA)、2,7-bis(4-(9H-carbazol-9-yl)phenyl)-9,9'-spirobi[fluorene](SFP-Cz);ポリフルオレン誘導体であるPoly[{9,9-dihexyl-2,7-bis(1-cyanovinylene)fluorenylene}-alt-co-{2,5-bis(N,N'-di-phenylamino)-1,4-phenylene}];カルバゾール誘導体であるPoly(9-vinylcarbazole)が、挙げられる。
ホスト材料とゲスト材料とが組み合わされる場合、本実施形態において特に好ましいホスト材料としては、カルバゾール誘導体である1,3-Bis(carbazol-9-yl)benzene(m-CP)、4,4'-Bis(carbazol-9-yl)biphenyl(CBP)、4,4'-Bis(carbazol-9-yl)-2,2'-dimethylbiphenyl(CDBP)、2,2'-bis(4-(carbazol-9-yl)phenyl)-biphenyl(BCBP);並びにDibenzo{[f,f']-4,4',7,7'-tetraphenyl}diindeno[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]perylene(DBP)などが挙げられる。また本実施形態において特に好ましいゲスト材料としては、Tris(2-phenylpyridine)iridium(III)(Ir(ppy)3)、Tris[2-(p-tolyl)pyridine]iridium(III)(Ir(mppy)3)などが挙げられる。
<ホール輸送層>
ホール輸送層42の材料は、例えばホール輸送性を有する化合物の群から選定される。この種の化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4'-bis[N-naphthyl-N-phenylamino]-biphenyl(α−NPD)、N,N'-bis(3-methylphenyl)-(1,1'-biphenyl)-4,4'diamine(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNBなどを代表例とするトリアリールアミン系化合物;カルバゾール基を含むアミン化合物;フルオレン誘導体を含むアミン化合物など;、並びにこれらの基を導入した高分子化合物などが挙げられる。これらの材料は、電子ブロック層の材料としても用いられ得る。本実施形態において特に好ましいホール輸送層42の材料としては、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、2,2'-bis(4-(carbazol-9-yl)phenyl)-biphenyl(BCBP)が挙げられる。
<ホール注入層>
ホール注入層41の材料としては、特に限定されず、一般に知られる任意のホール注入材料が用いられ得る。ホール注入層41の材料の好ましい例としては、銅フタロシアニン(CuPc)やトリアリールアミン誘導体などの低分子量の有機化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などの高分子材料が挙げられる。なお、ホー輸送層に用いられる材料であって、ホールの注入性が良いものであれば、これに用いても構わない。本実施形態において特に好ましい例として、N4,N4'-(biphenyl-4,4'-diyl)bis(N4,N4',N4'-triphenylbiphenyl-4,4'-diamine)(TPT1)が挙げられる。
<電子輸送層>
電子輸送層44の材料は、例えば電子輸送性を有する化合物の群から適宜選定される。この種の化合物としては、特に制限されず、一般に知られる任意の電子輸送材料が用いられ得る。電子輸送層44の材料として特に電荷輸送性の高い材料が使用されることが好ましい。このような電子輸送層44の材料の例としては、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、テトラジン誘導体、オキサジアゾール誘導体等のヘテロ環を有する化合物、フォスフィンオキサイド化合物などが挙げられる。これらの材料は、ホールブロック層の材料としても用いられ得る。
<材料種>
これらの有機層4を構成する有機材料は、各有機層4に相応しい特性を有するのであれば、上記の材料に限られない。また、この有機材料としては、低分子材料、オリゴマー材料、デンドリマー材料、高分子材料などが使用されることができ、またこれらの混合物が使用されることもできる。特に本実施形態では転写法への適用が困難な低分子材料が使用される場合でも、転写法により有機層4を効率良く、且つ歩留まりよく形成することができるという利点がある。尚、ここでは低分子材料とは、分子量が1200以下の材料をいう。低分子材料の分子量分布は単一分散(単分散)であることが好ましい。また有機層4を構成する有機材料には、この有機材料の特性が阻害されない範囲で造膜性を向上させる物質が添加されていてもよい。
<製法>
本実施形態では、有機デバイス1における一層又は複数層の有機層4のうち少なくとも一つが、図1,2に示されるような転写法により形成される。有機デバイス1が複数の有機層4を備える場合に全ての有機層4が転写法で形成されてもよい。
転写法により有機層4が形成されるにあたっては、離型層7を備える転写用部材9が使用される。転写用部材9は、例えばシート状の基材(ドナー基材6)と、このドナー基材6上に形成されている離型層7とを備える。
ドナー基材6は柔軟性を有するシート状の部材であることが好ましい。ドナー基材6として、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ等の樹脂、フッ素系樹脂等から任意の方法によって作製されたプラスチックフィルムやプラスチックシートなどの、可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成される。また、基材2を備える有機デバイス1が製造される場合において、基材2が可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成される場合は、ドナー基材6は可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成されてもよく、ガラスなどの剛性を有する材料から形成されてもよい。すなわち、基材2とドナー基材6とのうち少なくとも一方が可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成されることが好ましい。特に、基材2が剛性を有する材料から形成され或いは可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成されると共に、ドナー基材6が可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成されることが好ましい。
離型層7は、有機層4の転写時における転写用部材9からの有機層4の剥離性を向上する機能を有する。
離型層7は適宜の材質から形成され得るが、シリコーン系材料から形成されることが好ましく、特にポリ(モノメチルシロキサン)などのシロキサンから構成されることが好ましい。この場合、有機材料から形成される有機層4が、離型層7から容易に剥離しやすくなる。
離型層7は、例えば次に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有するシリコーン組成物から形成される。
(A)下記一般式(I)で表わされる加水分解性オルガノシランを有機溶媒または水に分散されたコロイド状シリカ中で、X1モル当量に対し水0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解することで調製される溶液。
SiX4−k …(I)
(式中、R3は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、kは0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)
(B)平均組成式が下記式(II)で表わされ、その分子中に少なくともシラノ−ル基を含有するポリオルガノシロキサン。
Si(OH)(4−a−b)/2 …(II)
(式中、R4は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)
(C)硬化触媒。
(A)成分は、例えば有機溶媒あるいは水に分散されたコロイド状シリカに、一般式(I)で表される加水分解性基含有オルガノシランの1種または2種以上が加えられ、この加水分解性基含有オルガノシランがコロイド状シリカ中の水あるいは別途添加された水の存在下で部分加水分解されることで、調製される。
一般式(I)で表される加水分解性基含有オルガノシランにおいて、一般式(I)中のR3は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基などの鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基のようなアリール基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換炭化水素基;およびγ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基などの置換炭化水素が挙げられる。これらの中でも合成の容易さ、あるいは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基が好ましい。加水分解性基であるXとしては、例えばアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。このうち、入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー溶液が調製されやすくなることからアルコキシ基が好ましい。
このような一般式(I)で表される加水分解性基含有オルガノシランとしては、一官能性(k=3)、二官能性(k=2)、三官能性(k=1)、及び四官能性(k=0)の、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中でも入手の容易さ、およびシリカ分散オルガノシランオリゴマ−溶液が調製されやすいことから、アルコキシシラン類が好ましい。アルコキシシラン類のうち、テトラアルコキシシラン(k=0)としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが例示され、オルガノトリアルコキシシラン(k=1)としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシランなどが例示される。また、ジオルガノジアルコキシシラン(k=2)としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示され、トリオルガノアルコキシシラン(k=3)としてはトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソブチルメトキシシラなどが例示される。さらに一般にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノシラン化合物もアルコキシシラン類に含まれる。
(A)成分においては、一般式(I)で表される加水分解性基含有オルガノシラン全体のうち三官能性(k=1)の化合物の割合が50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であれば更に好ましく、70モル%以上であれば最も好ましい。この場合、シリコーン組成物の塗膜硬度が十分に高くなると共に、このシリコーン組成物が乾燥硬化性に優れるようになる。
(A)成分中のコロイド状シリカによって、シリコーン組成物から形成される硬化被膜の硬度が向上し、この硬化被膜の平滑性、耐クラック性が改善する。このコロイド状シリカとしては、水分散性を有するコロイド状シリカ、及びアルコールなどの非水系の有機溶媒分散性を有するコロイド状シリカが挙げられる。一般にこの様なコロイド状シリカは固形分としてのシリカを20〜50質量%含有している。また、水分散性コロイド状シリカが使用される場合、この水分散性コロイド状シリカ中の水は後述するように硬化剤として機能し得る。水分散性コロイド状シリカは、通常は水ガラスから調製される。このようなコロイド状シリカとして市販品が容易に入手される。また有機溶媒分散コロイド状シリカは水分散性コロイド状シリカの水が有機溶媒と置換されることで容易に調製される。このような有機溶剤分散コロイド状シリカとして、市販品が容易に入手される。有機溶剤分散コロイド状シリカにおける有機溶媒の種類としては、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル等の低級脂肪族アルコ−ル類;エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、酢酸エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のエチレングリコ−ル誘導体;ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル等のジエチレングリコ−ルの誘導体及びジアセトンアルコ−ル等が挙げられる。これらの有機溶媒のうち一種のみが用いられ、或いは二種以上が併用され得る。また、これらの親水性の有機溶剤と共に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシムなどが併用されてもよい。
(A)成分中においてコロイド状シリカはシリカ固形分として5〜95質量%の範囲で含有されるのが好ましく、より好ましくは10〜90質量%であり、最も好ましくは20〜85質量%の範囲である。例えば、その含有量が5質量%未満であると所望の被膜硬度が得られず、また95質量%を超えるとシリカの均一分散が困難となり(A)成分がゲル化するなどの不都合をまねくことがある。
(A)成分におけるシリカ分散オリゴマーは、通常、加水分解性基含有オルガノシランがコロイド状シリカの存在下で部分加水分解することで得られる。加水分解性オルガノシランを部分加水分解させるに当たっての水の使用量は、加水分解性基(X)1モル当量に対して水0.001〜0.5モルとなる範囲であることが好ましい。例えば、水の使用量が0.001モル未満だと十分な部分加水分解物が得られず、0.5モルを越えると部分加水分解物の安定性が悪くなるからである。この部分加水分解する方法は特に限定されず、加水分解性オルガノアルコキシシランとコロイド状シリカとを混合して、必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加水分解反応は常温で進行する。なお、部分加水分解反応を促進させるため60〜100℃に加温してもよく、さらに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタル酸、グリコ−ル酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸および無機酸を触媒に用いてもよい。
(A)成分は長期的に安定して性能を得るためには、液のpHを2.0〜7.0、好ましくは2.5〜6.5、より好ましくは3.0〜6.0にするとよい。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が(I)式中の置換基X1モル当量に対し0.3モル以上で(A)成分の長期的な性能低下が著しい。(A)成分のpHがこの範囲外にあるときは、この範囲より酸性側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加して調整すれば良く、塩基性側のときも塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いて調整すれば良い。なお、その調整方法は特に限定されるものではない。
次に(B)成分について説明する。上述したように、この(B)成分は平均組成式:R4 aSi(OH)b(4-a-b)/2(式中、R4は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)で表すことができる分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンである。
式中R4としては上記(I)式中のR3と同じものが例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基、より好ましくはメチル基およびフェニル基である。また式(II)中のaおよびbはそれぞれ上記の関係を満たす数であり、aが0.2未満またはbが3を超えると硬化被膜にクラックを生じるなどの不都合があり、また、aが2を超え4以下の場合またはbが0.0001未満では硬化がうまく進行しない。このようなシラノ−ル基含有ポリオルガノシロキサンはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれらに対応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で加水分解することで得ることができる。シラノ−ル基含有ポリオルガノシロキサンを得るのに、アルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解した場合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る場合がある。つまりシラノ−ル基と極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノシロキサンが得られる事もあるが、この様なポリオルガノシロキサンを用いても差支えない。
(C)成分である硬化触媒は、上記のように(A)成分と(B)成分との縮合反応を促進し、被膜を硬化させるものである。このような触媒としては、アルキルチタン酸塩、オクチル酸錫およびジブチル錫ジラウレ−ト、ジオクチル錫ジマレ−ト等のカルボン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエ−ト、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミンのようなアミン類;N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン等が例示されるが、この他に(A)成分と(B)成分の縮合反応に有効なものであれば特に制限はない。
(A)成分および(B)成分の配合割合は、(A)成分1〜99質量部に対して(B)成分99〜1質量部であり、より好ましくは(A)成分5〜95質量部に対して(B)成分95〜5質量部、最も好ましくは(A)成分10〜90質量部に対して(B)成分90〜10質量部である。(A)成分が1質量部未満であると常温硬化性に劣り、また十分な被膜硬度が得られない。一方、99質量部を超えると硬化性が不安定でかつ良好な塗膜が得られないことがある。
また、(C)成分である硬化触媒の添加量は(A)成分および(B)成分の合計量を100としてそれに対して0.0001〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜8質量%であり、最も好ましくは0.0007〜5質量%である。0.0001質量%未満だと常温で硬化しない。また、10質量%を越えると耐熱性、耐候性が悪くなる。
(A)成分のシリカ分散オリゴマーに含有される加水分解性基と(B)成分のシラノ−ル基とは、(C)成分の硬化触媒存在下で、常温もしくは低温加熱することにより縮合反応して硬化被膜を形成する。従って、このシリコーン組成物は常温で硬化するときにも湿度の影響をほとんど受けない。また加熱処理により縮合反応を促進して硬化被膜を形成することができる。
このシリコーン組成物は、取扱いの容易さから各種有機溶媒で希釈して使用できる。このとき使用する有機溶媒の種類は、(A)成分あるいは(B)成分の一価炭化水素基の種類もしくは分子量の大きさによって選定することができるものであって、その有機溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル等の低級脂肪族アルコ−ル類;エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、酢酸エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のエチレングリコ−ル誘導体;ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル等のジエチレングリコ−ルの誘導体及びトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム、ジアセトンアルコ−ル等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用することができる。
シリコーン組成物が、下記式(VI)に示す平均組成を有する直鎖状ポリシロキサンジオールを更に含有することも好ましい。
H(R7 2SiO)mOH ・・・・・・(VI)
この式(VI)中のmは、m≧3であり、好ましくは10〜100である。また、式中のR7はR3と同様のものを示すものである。この直鎖状ポリシロキサンジオールは末端OH基以外の反応基を有していないため、反応性に比較的乏しい分子である。そのため、シリコーン組成物に配合された直鎖状ポリシロキサンジオールは、コーティング材中での完全な相溶性に欠け、超微粒子として分散しているので、容易に塗膜表面に配位、単分子層を形成するが、最終的には末端OH基がバルク樹脂と縮合反応し、塗膜表面に固定化される。その結果、R7基表面に極在化し、第1コート層との剥離性を向上させる効果を奏する。式中のmが比較的小さいものは相溶性に優れるため、塗膜表面で層を形成するだけではなく、バルクに取り込まれ事で塗膜に柔軟性を与え、クラック防止効果にもつながる。上記直鎖状ポリシロキサンジオールの含有量は、シリコーン組成物においてシリコーンを縮合ケイ素化合物として換算した質量及びシリカ質量の和に対して、0.1〜100質量%であることが好ましい。上記直鎖状ポリシロキサンジオールの含有量が0.1質量%未満であると、剥離性の発現が弱く、100質量%を越えると塗膜の硬化阻害を起こす要因となるためである。
シリコーン組成物は、下記一般式(VII)で表され、且つR9が置換もしくは非置換の炭素数1〜9の1価炭化水素基である少なくとも1種の第1の(メタ)アクリル酸エステルと、下記一般式(VII)で表され、且つR9がエポキシ基、グリシジル基またはそれらを含む炭化水素基である少なくとも1種の第2の(メタ)アクリル酸エステルと、下記一般式(VII)で表され、且つR9がアルコキシシリル基もしくはハロゲン化シリル基を含む炭化水素基である少なくとも1種の第3のアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルと、を共重合させてなるアクリル樹脂共重合体を更に含有することも好ましい。このアクリル樹脂共重合体は、シリコーン組成物の塗膜の靱性を改善する作用を発揮する。
CH2=CR8(COOR9)・・・・・・・(VII)
(式中、R8は水素原子またはメチル基を表す。)
このアクリル樹脂共重合体は、上述したように、上記第1、第2及び第3の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体である。第1の(メタ)アクリル酸エステルは、(VII)式中のR9が炭素数1〜9の置換または非置換の1価の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基のようなアリール基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化炭化水素基;2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ炭化水素基;などであるものの内の少なくとも1種以上である。また、第2の(メタ)アクリル酸エステルは、(VII)式中のR9がエポキシ基、グリシジル基またはそれらを含む炭化水素基、例えば、γ−グリシドキシプロピル基であるものの内の少なくとも1種である。第3の(メタ)アクリル酸エステルは(VII)式中のR9がアルコキシシリル基もしくはハロゲン化シリル基を含む炭化水素基、例えば、トリメトキシシリルプロピル基、ジメトキシメチルシリルプロピル基、モノメトキシジメチルシリルプロピル基、エトキシジメチルシリルプロピル基、トリクロロシリルプロピル基、ジクロロメチルシリルプロピル基、クロロジメチルシリルプロピルであるものの内の少なくとも1種である。このアクリル共重合体は、上記第1、第2及び第3の(メタ)アクリル酸エステル中、それぞれ少なくとも1種、合計少なくとも3種以上を含む(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であり、上記第1、第2及び第3の(メタ)アクリル酸エステル中からさらに1種あるいは2種以上、あるいは上記以外の(メタ)アクリル酸エステルの中から選ばれたさらに1種あるいは2種以上を含む共重合体であっても構わない。
上記第1の(メタ)アクリル酸エステルにより、シリコーン組成物の塗膜の靱性が改善する。このためには、R9の置換あるいは非置換炭化水素基がある程度以上の体積を持つことが望ましく、炭素数が2以上であることが好ましい。第3の(メタ)アクリル酸エステルが使用される場合、塗膜硬化時にアクリル樹脂共重合体と(A)成分及び(B)成分との間に化学結合させるものであって、これによりアクリル樹脂共重合体が塗膜中に固定化される。第3の(メタ)アクリル酸エステルには、シリコーン組成物を構成する成分間の相溶性を改善する効果もある。
このアクリル樹脂共重合体の分子量は、(A)成分及び(B)成分との相溶性に大きく関わる。このアクリル樹脂共重合体のポリスチレン換算平均分子量が5万を越えると、相分離し、塗膜が白化することがある。従って、このアクリル樹脂共重合体のポリスチレン換算平均分子量は5万以下であることが望ましい。また、アクリル樹脂共重合体のポリスチレン換算平均分子量の下限は1000であることが望ましい。分子量が1000未満だと、塗膜の靱性が下がり、クラックが生じやすくなる傾向があり、好ましくない。アルコキシシリル基またはハロゲン化シリル基を持つ第3の(メタ)アクリル酸エステルは、共重合体中の単量体モル比率で2〜50質量%の範囲であることが望ましい。2質量%未満では、このアクリル樹脂共重合体と(A)成分及び(B)成分との相溶性が悪く、塗膜が白化することがある。また、50質量%を越えると、アクリル樹脂共重合体と(A)成分及び(B)成分との結合密度が高くなりすぎ、アクリル樹脂共重合体を添加することによる靱性の改善が十分に発揮されない。このアクリル樹脂共重合体の合成方法として、公知の有機溶媒中での溶液重合、乳化重合、懸濁重合によるラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等が採用され得る。
このアクリル重合共重合体の含有量は、シリコーン組成物においてシリコーンを縮合ケイ素化合物として換算した質量及びシリカ質量の和に対して、0.1〜100質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、靱性の発現が弱く、100質量%を越えると塗膜の硬化阻害を引き起こしてしまうからである。
離型層7は、ドナー基材6上にシリコーン組成物を塗布乾燥することにより形成される。シリコーン組成物の塗布方法としては特に限定されるものではなく、例えばグラビアロールコーター、グラビアオフセットロールコーター、マイクログラビアロールコーター、絞りロールコーター、エアーナイフコーター、リバースロールコーター、バーコーター、ダイコーター、ファウンテンコーター、コンマーター、スプレー、ディッピング、フロー等の各種塗装方法から選択され得る。この際、シリコーン組成物には必要に応じてレベリング剤が添加されてもよい。乾燥条件はドナー基材6の耐熱温度によって適宜決定すればよく、例えば室温乾燥でもよい。また離型層7の厚みには特に制限はないが、例えば0.1〜20μmの範囲であり、特に転写時の転写用部材9の変形に対して離型層7がクラックを生じることなく追随するためには0.1〜15μmが望ましい。なお、剥離性やクラック防止性、柔軟性を改善するためにシリコーン組成物が上記直鎖状ポリシロキサンジオールやアクリル樹脂共重合体が含有している場合には、離型層7の厚みを比較的厚くすることができ、例えば厚みが0.1〜50μmの範囲であればよく、特に転写時の転写用部材9の変形に対して離型層7がクラックを生じることなく追随するためには0.1〜30μmがより望ましい。
離型層7の表面の水の接触角は90°以上であることが好ましい。この場合、離型層7上に形成される有機層4が転写時に離型層7から更に剥離しやすくなる。離型層7を上記のようにシリコーン組成物で形成し、且つ離型層7を形成する際にシリコーン組成物の反応を充分に進行させれば、離型層7の表面の水の接触角を90°以上とすることは容易である。
また、離型層7の表面の水の接触角は90°以上とするためには、離型層7を形成する前に予めドナー基板6の表面に適宜の親水化処理を施しておくことも好ましい。この場合、ドナー基板6の親水化処理が施された表面上に離型層7を形成すると、離型層7を構成する分子中の親水基とドナー基板6の親水化処理された表面とが引き付け合い、このため離型層7内の表面側で親水基の密度が低下すると共に疎水基の密度が増大するようになり、これにより離型層7の表面の疎水性が向上してその水の接触角が大きくなる。
また、離型層7の表面の水の接触角は90°以上とするためには、離型層7を形成する際、ドナー基板6上にシリコーン組成物を塗布乾燥して塗膜を形成し、この塗膜を有機溶媒を含む雰囲気中に曝露させながらシリコーン組成物の反応を進行させて離型層7を形成することも好ましい。雰囲気中に含有させる有機溶媒は、離型層7を形成するために使用されるシリコーン組成物中の有機溶媒と同じであることが好ましい。この場合、シリコーン組成物の反応が促進され、これにより離型層7の表面の疎水性が向上してその水の接触角が大きくなる。
有機デバイス1における有機層4が転写法により形成される場合には、まず有機層4が転写用部材9の離型層7上に形成される。有機層4の厚みは、この有機層4の材質や機能などに応じて適宜設定される。
有機層4を形成するにあたり、まず有機層4を構成する有機材料と、この有機材料が溶解すると共に離型層7に対して親和性を有する溶媒とを含有する塗布液10が調製される。
有機材料が溶解すると共に離型層7に対して親和性を有する溶媒は、有機材料が溶解する第一の溶媒と離型層7に対して親和性を有する第二の溶媒とを含む混合溶媒であることが好ましい。この場合、有機材料が溶解すると共に離型層7に対して親和性を有する溶媒における、有機材料の溶解性と離型層7に対する親和性が容易に調整され得る。
混合溶媒の調製に使用される有機材料が溶解する第一の溶媒は、有機材料の種類に依存するものであり、特に限定されないが、その好ましい具体例としては、クロロホルム、1,2−ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒やテトラヒドロフランなどのフラン系溶媒が挙げられる。
混合溶媒の調製に使用される離型層7に対して親和性を有する第二の溶媒は、離型層7の組成に依存するものであり、特に限定されないが、離型層7がシリコーン系材料から形成される場合の第二の溶媒の好ましい例としてはアルコール類、ケトン類、低級アルキルアセテート類、フッ素系溶媒などが挙げられる。
更に、第一の溶媒と第二の溶媒との沸点の差は小さくことが好ましく、特にこの沸点の差が20℃以内であることが好ましい。この場合、後述するように有機層4の成膜性が向上する。
また、第一の溶媒の溶解度パラメータと、第二の溶媒の溶解度パラメータとが、いずれも10以下であることも好ましい。この場合、第一の溶媒と前記第二の溶媒の相溶性が高くなり、均一性の高い混合溶媒が得られるようになる。このため、混合溶媒の全体に亘ってこの混合溶媒が有機材料の溶解性を発揮すると共に離型層に対する親和性を発揮し、これにより有機層4の成膜性が更に向上する。
混合溶媒の特に好ましい例として、第一の溶媒としてクロロホルム(沸点61.0℃、溶解度パラメータ9.3)を含有すると共に第二の溶媒としてアセトン(沸点56.1℃、溶解度パラメータ10.0)を含有する混合溶媒、第一の溶媒としてクロロホルム(沸点61.0℃、溶解度パラメータ9.3)を含有すると共に第二の溶媒として酢酸エチル(沸点79.5℃、溶解度パラメータ9.0)を含有する混合溶媒、第一の溶媒としてクロロホルム(沸点61.0℃、溶解度パラメータ9.3)を含有すると共に第二の溶媒としてメチルエチルケトン(沸点79.5℃、溶解度パラメータ9.3)を含有する混合溶媒、第一の溶媒としてテトラヒドロフラン(沸点66.0℃、溶解度パラメータ9.1)を含有すると共に第二の溶媒としてアセトン(沸点56.1℃、溶解度パラメータ10.0)を含有する混合溶媒、第一の溶媒としてジクロロメタン(沸点40.0℃、溶解度パラメータ9.7)を含有すると共に第二の溶媒としてアセトン(沸点56.1℃、溶解度パラメータ10.0)を含有する混合溶媒などが挙げられる。
混合溶媒中の第一の溶媒と第二の溶媒との割合は特に制限されないが、前者対後者の体積比率が2:1〜1:2の範囲であることが好ましく、1:1〜1:2の範囲であれば更に好ましい。
塗布液10中の有機材料の含有量は特に制限されず、塗布液10中に有機材料が均一に溶解し、有機層4の成膜性が良好となるように適宜設定される。
この塗布液10が離型層7上に塗布されることで、塗膜(湿潤塗膜)が形成される。離型層7上への塗布液10の塗布方法は特に制限されず、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法等の適宜の手法が採用され得る。
離型層7上に形成された湿潤塗膜から溶媒を揮発させることで有機層4が形成される。この場合、常温下で湿潤塗膜から溶媒を揮発させてもよく、湿潤塗膜を加熱することで湿潤塗膜から溶媒を揮発させてもよい。湿潤塗膜を加熱する場合の加熱温度等の加熱条件は、溶媒の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば第一の溶媒としてクロロホルム(沸点61.0℃)を含有すると共に第二の溶媒としてアセトン(沸点56.1℃)を含有する混合溶媒が用いられる場合には、60〜100℃で0.5〜3分間加熱することが好ましい。
このように離型層7上に有機層4が形成されると、離型層7上に湿潤塗膜が形成される際には塗布液10中の溶媒が有機材料が溶解させると共にこの溶媒が離型層7に対して親和性を有することから、むらが少なく均一性の高い湿潤塗膜が形成され得る。この湿潤塗膜から溶媒が揮発されることで、離型層7上にむらが少なく均一性の高い有機層4が形成される。
塗布液10中の溶媒が第一の溶媒と第二の溶媒とを含む混合溶媒である場合には第一の溶媒と第二の溶媒との沸点が近いことが好ましく、特に上記のとおり沸点の差が20℃以内であることが好ましい。この場合、湿潤塗膜から溶媒が揮発する過程において、第一の溶媒に比べて第二の溶媒が過剰に揮発することで湿潤塗膜が離型層7から弾かれてしまったり、第二の溶媒に比べて第一の溶媒が過剰に揮発することで有機材料が凝集してしまったりすることが抑制される。これにより、離型層7上に形成される有機層4のむらが更に抑制され、この有機層4の均一性が更に向上する。
上記のように転写部材上に有機層4を形成する一方で、有機デバイス1の一部を構成する中間部材8も用意する。この中間部材8に、転写用部材9上の有機層4が転写される。
中間部材8は、有機デバイス1の一部を構成する部材であって、転写用部材9上の有機層4が積層されるべき構造を有すればよい。中間部材8としては、例えば基材2及びこの基材2の上に重ねられている第一の電極3を備える部材;基材2、この基材2の上に重ねられている第一の電極3及びこの第一の電極3の上に重ねられている一層又は複数層の有機層4(転写用部材9上の有機層4とは異なる有機層4)を備える部材;基材2及びこの基材2の上に重ねられている第二の電極5を備える部材;基材2、この基材2の上に重ねられている第二の電極5及びこの第二の電極5の上に重ねられている一層又は複数層の有機層4(転写用部材9上の有機層4とは異なる有機層4)を備える部材などが挙げられる。また有機デバイス1が基材2を備えず、第二の電極5がこの第二の電極5の上に積層される層を支持する機能を発揮する場合には、中間部材8は第二の電極5のみからなる部材;第二の電極5及びその上に重ねられている一層又は複数層の有機層4(転写用部材9上の有機層4とは異なる有機層4)を備える部材などであってもよい。
図1に示す態様では中間部材8は基材2及びこの基材2の上に重ねられている第一の電極3を備える部材である。
このような中間部材8上に転写用部材9上の有機層4(図1に示す態様ではホール注入層41)が重ねられると共に押圧されることで、転写用部材9上の有機層4が中間部材8上に転写される。この際、有機層4の転写が促進されるためには、転写用部材9がこの転写用部材9から有機層4が離れやすくなるような適切な温度に保持されると共に、中間部材8がこの中間部材8に有機層4が密着しやすくなるような適切な温度に保持されることが好ましい。この転写時の中間部材8と転写用部材9の好ましい温度はこれらの部材及び有機層4の構成に依存するが、中間部材8よりも転写用部材9の温度の方が高いことが好ましく、例えば中間部材8が140℃、転写用部材9が80℃にそれぞれ保持されることが好ましい。
このように転写用部材9上の有機層4が中間部材8上に転写される際、基材2とドナー基材6とのうち少なくとも一方が可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成される場合には、中間部材8と転写用部材9のうち少なくとも一方を湾曲させながらこれらを押圧することが可能となる。そのため、転写用部材9上の有機層4が中間部材8上に更に転写されやすくなる。
ホール注入層41が積層された中間部材8には、更にその上に有機層4であるホール輸送層42、発光層43、電子輸送層44などが積層され、更にその上に第二の電極5が重ねられる。これにより図3(a)に示されるような有機エレクトロルミネセンス素子1が得られる。有機層4の上に別の有機層4を重ねる際(例えばホール注入層41の上にホール輸送層42を重ねる際)には、中間部材8に有機層4が重ねられることで構成される部材を新たな中間部材8とみなし、この新たな中間部材8を用いて上述の方法を繰り返してもよい。
図2に示す態様では、図1に示す場合と同様のドナー基材6と離型層7とを備える転写用部材9における離型層7の表面上に有機層4として電子輸送層44が、上述のものと同じ手法により形成されている。、
一方、中間部材8は第二の電極5のみから構成されている。この場合の第二の電極5はその上に積層される層を支持する機能を発揮し、例えば導電性を有する金属板、金属箔、金属フィルムなどから構成される。
この場合も、中間部材8上に転写用部材9上の有機層4(図2に示す態様では電子輸送層44)が重ねられると共に押圧されることで、転写用部材9上の有機層4が中間部材8上に転写される。この際、図1に示す場合と同様に有機層4の転写が促進されるためには、転写用部材9がこの転写用部材9から有機層4が離れやすくなるような適切な温度に保持されると共に、中間部材8がこの中間部材8に有機層4が密着しやすくなるような適切な温度に保持されることが好ましい。
電子輸送層44が積層された中間部材8には、更にその上に有機層4である発光層43、ホール輸送層42、ホール注入層41などが積層され、更にその上に第一の電極3が重ねられる。これにより図3(c)に示されるような有機エレクトロルミネセンス素子1が得られる。有機層4の上に別の有機層4を重ねる際(例えば電子輸送層44の上に発光層43を重ねる際)には、中間部材8に有機層4が重ねられることで構成される部材を新たな中間部材8とみなし、この新たな中間部材8を用いて上述の方法を繰り返してもよい。
上述の手法により、有機デバイス1における一層又は複数層の有機層4が形成される。有機デバイス1が複数の有機層4を備える場合には、そのうち一部の有機層4が上述の方法により形成されてもよく、全ての有機層4が上述の方法により形成されてもよい。すなわち、例えば基材2上の第一の電極3上に有機層4として電子輸送層44、発光層43、ホール輸送層42が順次形成される場合には、これらの有機層4のうち一部の有機層4が上述の方法により形成されてもよく、全ての有機層4が上述の方法により形成されてもよい。複数の有機層4のうち一部の有機層4が上述の方法により形成される場合には、残りの有機層4は例えば蒸着法などの公知の方法により形成されてもよい。
次に、上述の方法により有機デバイス1を作製するための装置について説明する。
図4に、有機デバイス1の製造装置の一態様の概略構成が示されている。この装置は、長尺な転写用部材9を搬送する搬送部(第一搬送部)、中間部材8を搬送する搬送部(第二搬送部)、転写用部材9へ塗布液10を塗布する塗布部、転写用部材9を加熱する加熱部(第一加熱部17)、中間部材8を加熱する加熱部(第二加熱部18)、並びに中間部材8に転写用部材9の離型層7上の有機層4を押圧することで有機層4を離型層7上から中間部材8上へ転写する転写部とを備える。
本態様では、第一搬送部は転写用部材9を巻回した状態で保持すると共にこの転写用基材2を繰り出す繰出機11と、繰出機11から繰り出された転写用部材9を巻き取る巻取機12と、この繰出機11と巻取機12との間における転写用部材9の搬送経路上に設けられている押圧ロール13とを備える。これにより、転写用部材9は繰出機11から繰り出され、押圧ロール13に支えられながらこの押圧ロール13の下方を通過し、更に巻取機12にて巻き取られるように搬送される。転写用部材9は、この転写用部材9が押圧ロール13の下方を通過する際に離型層7の表面が下方に向くように搬送される。尚、第一搬送部の構成は本態様には限られない。例えば第一搬送部がループ状の転写用部材9を回転させながら搬送させるものであってもよい。
一方、本態様では第二搬送部は、この第二搬送部が長尺な中間部材8を押圧ロール13の下方において転写用部材9の更に下方を通過するように搬送するように構成される。本態様では第二搬送部はコロコンベア14で構成される。第一搬送部と第二搬送部とは、それぞれ転写用部材9と中間部材8とを、両者の搬送速度が同期するように搬送する。尚、第二搬送部の構成は本態様には限られない。例えば中間部材8における基材2が可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成され、中間部材8が全体として可撓性を有すれば、第二搬送部が本態様における第一搬送部と同様に中間部材8をロール・トゥ・ロール方式で搬送するものであってもよい。また第二搬送部が中間部材8を保持固定しながら移動するように駆動するスライド駆動装置により構成されていてもよい。
本態様において塗布部は、塗布ノズル15及び塗布ロール16を備える。塗布ノズル15は塗布ロール16上へ塗布液10を供給するように構成される。塗布ロール16は繰出機11と押圧ロール13との間において転写用部材9の離型層7と対向するように配置される。この塗布ロール16は転写用部材9の移動に従って回転し、それに伴って塗布ロール16上の塗布液10が転写用部材9の離型層7上に塗布される。
本態様において第一加熱部17は、この第一加熱部17によって塗布ロール16と押圧ロール13との間で転写用部材9が加熱されるように構成される。第一加熱部17としては、例えば電熱器、赤外線ヒータ等の適宜のヒータが採用され得る。第一加熱部17の出力は、この第一加熱部17により転写用部材9が加熱されることでこの転写用部材9上の塗布液10から溶媒が揮発して有機層4が形成され、或いは更に転写用部材9の温度が有機層4の転写に適した温度まで加熱されるように、適宜調整される。
本態様において第二加熱部18は、この第二加熱部18によって押圧ロール13の下方を通過する前の中間部材8が加熱されるように構成される。第二加熱部18としては、例えば電熱器、赤外線ヒータ等の適宜のヒータが採用され得る。第二加熱部18の出力は、この第二加熱部18によって中間部材8が有機層4の転写に適した温度まで加熱されるように、適宜調整される。
本態様において転写部は、第一搬送部における押圧ロール13で構成される。押圧ロール13と、第二搬送部により搬送される中間部材8との間には適度な間隔があけられ、これにより押圧ロール13に支えられている転写部材上の有機層4が中間部材8上に押圧されて中間部材8上に転写される。この際、有機層4が歩留まりよく転写されるためには、押圧ロール13から中間部材8に線圧ではなくある程度幅のある面圧がかけられることが好ましく、そのためには押圧ロール13は適度な可撓性を有することが好ましい。このため押圧ロール13の外周面はエラストマーなどの可撓性材料から形成されることが好ましい。
このように構成される装置を用いて有機デバイス1が作製される場合、まず長尺な中間部材8と、長尺な転写用部材9が用意される。本態様においては、中間部材8は長尺な基材2と、この基材2上に形成されている複数の第一の電極3とを備える。第一の電極3は基材2の長手方向に沿って並ぶように形成されている。第一の電極3は塗布法、蒸着法等の適宜の手法により形成される。また、長尺な転写用部材9は、可撓性を有するフィルム状又はシート状の部材から形成される長尺なドナー基材6と、このドナー基材6上に形成されている離型層7とを備え、全体として可撓性を有する。
この転写用部材9が第一搬送部にセットされると共に中間部材8が第二搬送部にセットされ、第一搬送部が転写用部材9を搬送すると共に第二搬送部が中間部材8を搬送する。
第一搬送部により搬送される転写用部材9の離型層7上には、塗布部により塗布液10が塗布されて湿潤塗膜が形成される。このとき、塗布ノズル15から間欠的に塗布液10が塗布ロール16へ供給されることで、中間部材8上にはその長手方向に沿った複数箇所に湿潤塗膜が間隔をあけて形成される。続いて転写用部材9が第一加熱部17により加熱されることで湿潤塗膜中の溶媒が揮発し、これにより有機層4が形成される。更に転写用部材9は第一加熱部17によって加熱されることで有機層4の転写に適した温度に加熱される。
一方、第二搬送部により搬送される中間部材8は第二加熱部18によって有機層4の転写に適した温度に加熱されてから押圧ロール13の下方を通過する。
転写用部材9が押圧ロール13の下方を通過する際、押圧ロール13からかけられる押圧力によって転写用部材9上の有機層4が中間部材8上に押圧される。これにより有機層4が中間部材8上に転写される。このとき有機層4が中間部材8の第一の電極3上に転写されるように、転写用部材9の搬送のタイミング及び速度と、中間部材8の搬送のタイミング及び速度とが同期される。
有機層4が転写された中間部材8は、更に第一搬送部により搬送されて次工程へ送られる。次工程においては、本態様により転写された有機層4の上に第二の電極5が積層され、或いはこの有機層4の上に一層又は複数層の有機層4が重ねられてから更に第二の電極5が積層される。これより有機デバイス1が得られる。
本態様においては中間部材8は長尺の基材2と複数の第一の電極3を備えるが、例えば中間部材8は更に第一の電極3上に一層又は複数層の有機層4(本態様により転写される有機層4とは異なる有機層4)を備えてもよい。また、中間部材8は長尺な基材2と複数の第二の電極5を備えてもよく、更にこの第二の電極5上に一層又は複数層の有機層4(本態様により転写される有機層4とは異なる有機層4)を備えてもよい。また、中間部材8は基材2を備えず、長尺な第二の電極5のみからなる部材であってもよい。また、中間部材8は基材2を備えず、長尺な第二の電極5と、その上に積層されている一層又は複数層の有機層4(本態様により転写される有機層4とは異なる有機層4)を備えてもよい。
尚、本実施形態では有機デバイスとして特に有機エレクトロルミネッセンス素子に関して説明されているが、本発明の対象となるのは有機エレクトルミネッセンス素子には限らず、一層又は複数層の有機層を備えるのであれば、種々の発光素子や発電素子などの有機デバイスが対象となる。
(ホール注入層の形成)
ドナー基材6として、厚み200μmのポリイミドフィルムを用意した。このドナー基材6に、以下の方法で厚み2μmの離型層7を形成し、これにより転写用部材9を得た。
(A−1溶液の調整)
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計を取りつけたフラスコ中に、IPA分散コロイド状シリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:IPA−ST、粒子径10〜20nm、固形分30%、水分0.5%、)を100質量部と、メチルトリメトキシシランを68質量部と、水10.8質量部とを投入して攪拌しながら65℃の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い、冷却して(A)成分を得た。このものは、室温で48時間放置したときの固形分が36%であった。ここで得た(A)成分を(A−1)と称する。なお(A−1)の調製条件は以下の通りである。
・加水分解性基1当量のメチルトリメトキシシランに対する水のモル数−−0.4モル。
・(A)成分の固形分中のシリカ分含水率−−47.3質量%。
・n=1の加水分解性オルガノシランのモル%−−100モル%。
(B−1溶液の調整)
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコ中にメチルトリイソプロポキシシラン220質量部(1モル)とトルエン150質量部を秤取り、その混合溶液中に攪拌しながら、1%塩酸水溶液108質量部を20分で滴下してメチルトリイソプロポキシシランを加水分解した。滴下終了から40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し静置して2層分離させた。塩酸を含んだ下層の水/イソプロピルアルコールの混合液を分液除去し、次いで残ったトルエンの樹脂溶液中の塩酸を水洗除去し、さらにトルエン減圧除去した後、得られた反応物をイソプロピルアルコールで希釈して、平均分子量(Mw)約2000のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンのイソプロピルアルコール40質量%溶液を得た。ここで得た(B)成分を(B−1)と称する。
(シリコーンコーティング材の調製、及び離型層の形成)
(A)成分である(A−1)を70質量部、(B)成分である(B−1)を30質量部、(C)成分としてN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを1部混合してシリコーンコーティング材を得た。このシリコーンコーティング材をバーコーター塗装機でドナー基材6上に、硬化塗膜厚が2μmになるように塗布し、次いで150℃で30分間硬化させた。これにより転写用部材9を得た。
この転写用部材9における離型層7表面の水の接触角を自動接触角計(協和界面科学社製)を用いθ/2法により測定した結果、95°であった。
また、テトラヒドロフランとアセトンとを1:2の体積比で混合して得られる混合溶媒に、ホール注入材料であるN4,N4'-(biphenyl-4,4'-diyl)bis(N4,N4',N4'-triphenylbiphenyl-4,4'-diamine)(TPT1)を5mg/mlの割合で溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、露点−76℃以下、酸素濃度1ppm以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(ホール注入層41)を形成した。
一方、基材2として厚み200μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム製テオネックスQ65FA)を用意した。この基材2上にITOターゲット(東ソー製)を用いてスパッタ処理を施し、続いてアルゴン雰囲気下150℃で2時間アニール処理を施した。これにより基材2と、厚さ300nmのITO膜(スズドープ酸化インジウム)からなるシート抵抗18Ω/□の第一の電極3とを備える中間部材8(第一の中間部材8)を得た。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第一の中間部材8の第一の電極3上に転写用部材9上のホール注入層41を重ねた。更にこの第一の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第一の中間部材8を80℃、転写用部材9を150℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上のホール注入層41が第一の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。このホール注入層41と第一の中間部材8とで構成される部材を、第二の中間部材8とした。
(ホール輸送層の形成)
上記ホール注入層41の形成時と同じ構成の転写用部材9を用意した。また、クロロホルムとアセトンとを1:2の体積比で混合して得られる混合溶媒に、ホール輸送材料である2,2'-bis(4-(carbazol-9-yl)phenyl)-biphenyl(BCBP)を2mg/mlの濃度となるように溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、上記ホール注入層41の形成時と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(ホール輸送層42)を形成した。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第二の中間部材8のホール注入層41上に転写用部材9上のホール輸送層42を重ね、更にこの第二の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第二の中間部材8を70℃、転写用部材9を140℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上のホール輸送層42が第二の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。このホール輸送層42と第二の中間部材8とで構成される部材を、第三の中間部材8とした。
(発光層の形成)
上記ホール注入層41の形成時と同じ構成の転写用部材9を用意した。また、ホスト材料である2,2'-bis(4-(carbazol-9-yl)phenyl)-biphenyl(BCBP)とゲスト材料であるTris[2-(p-tolyl)pyridine]iridium(III)(Ir(mppy)3)とからなる発光層材料を用意した。発光層材料全体に対するゲスト材料の割合は6質量%とした。この発光層材料を、ジクロロメタンとアセトンとを1:1の体積比で混合して得られる混合溶媒に2.5mg/mlの濃度となるように溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、上記ホール注入層41の形成時と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(発光層43)を形成した。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第三の中間部材8のホール輸送層42上に転写用部材9上の発光層43を重ね、更にこの第三の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第三の中間部材8を83℃、転写用部材9を138℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上のホール輸送層42が第三の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。このホール輸送層42と第三の中間部材8とで構成される部材を、第四の中間部材8とした。
(電子輸送層の形成)
上記ホール注入層41の形成時と同じ構成の転写用部材9を用意した。また、ジクロロメタンとアセトンとを1:1の体積比で混合して得られる混合溶媒に、電子輸送材料である2,2',2"-(1,3,5-Benzinetriyl)-tris(1-phenyl-1-H-benzimidazole(TPBi)を5mg/mlの割合で溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、上記ホール注入層41の形成時と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(電子輸送層44)を形成した。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第四の中間部材8の発光層43上に転写用部材9上の電子輸送層44を重ね、更にこの第四の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第四の中間部材8を82℃、転写用部材9を140℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上の電子輸送層44が第四の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。
(電子注入層及び第二の電極の形成)
上記電子輸送層44上に、真空蒸着法によりフッ化リチウムを堆積させることで電子注入層を形成した。更にこの電子注入層上に真空蒸着法によりアルミニウムを堆積させることで厚み80nmの第二の電極5を形成した。
これにより、発光特性の良好な有機デバイス1(有機エレクトロルミネッセンス素子)が歩留まりよく得られた。
(電子輸送層の形成)
ジクロロメタンとアセトンとを1:1の体積比で混合して得られる混合溶媒に、電子輸送材料である2,2',2"-(1,3,5-Benzinetriyl)-tris(1-phenyl-1-H-benzimidazole(TPBi)を5mg/mlの濃度となるように溶解させることで、塗布液10を調製した。
実施例1と同じ方法及び条件で転写用部材9を作製した。この転写用部材9を、露点−76℃以下、酸素濃度1ppm以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(電子輸送層44)を形成した。
一方、第二の電極5として厚み200μmの銅シートを用意した。この第二の電極5を中間部材8(第一の中間部材8)とした。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第一の中間部材8の第二の電極5上に転写用部材9上の電子輸送層44を重ね、更にこの第一の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第一の中間部材8を83℃、転写用部材9を139℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上の電子輸送層44が第一の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。この電子輸送層44と第一の中間部材8とで構成される部材を、第二の中間部材8とした。
(発光層の形成)
上記電子輸送層44の形成時と同じ構成の転写用部材9を用意した。また、ホスト材料であるbis(4-(N-carbazolyl)phenyl)phenylphosphine oxide(BCPO)とゲスト材料であるTris[2-(p-tolyl)pyridine]iridium(III)(Ir(mppy)3)とからなる発光層材料を用意した。発光層材料全体に対するゲスト材料の割合は1質量%とした。この発光層材料を、ジクロロメタンとアセトンとを1:1の体積比で混合して得られる混合溶媒に、7.5mg/mlの割合で溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、上記電子輸送層44の形成時と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(発光層43)を形成した。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第二の中間部材8の電子輸送層44上に転写用部材9上の発光層43を重ね、更にこの第二の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第二の中間部材8を81℃、転写用部材9を140℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上の発光層43が第二の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。この発光層43と第二の中間部材8とで構成される部材を、第三の中間部材8とした。
(ホール輸送層の形成)
上記電子輸送層44の形成時と同じ構成の転写用部材9を用意した。また、クロロホルムとアセトンとを1:2の体積比で混合して得られる混合溶媒に、ホール輸送材料である2,2'-bis(4-(carbazol-9-yl)phenyl)-biphenyl(BCBP)を2mg/mlの濃度となるように溶解させることで、塗布液10を調製した。
転写用部材9を、上記電子輸送層44の形成時と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で80℃に加熱しながら、その離型層7上に塗布液10を膜厚が30nmになるようにバーコーターで塗布し、更に80℃で1分間乾燥することによって有機層4(ホール輸送層42)を形成した。
上記と同じドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で第三の中間部材8の発光層43上に転写用部材9上のホール輸送層42を重ね、更にこの第三の中間部材8及び転写用部材9を一対の加熱ローラ間に通すことで第三の中間部材8を75℃、転写用部材9を142℃に加熱しながら、これらを加圧した。これにより、転写用部材9上のホール輸送層42が第三の中間部材8上に、転写用部材9への残存が生じることなく転写された。
(ホール注入層及び第一の電極の形成)
上記ホール輸送層42上に、真空蒸着法により酸化モリブデンを堆積させることでホール注入層41を形成した。更にこのホール注入層41上に真空蒸着法により金を堆積させることで厚み20nmの第一の電極3を形成した。
これにより、発光特性の良好な有機デバイス1(有機エレクトロルミネッセンス素子)が歩留まりよく得られた。
1 有機デバイス
4 有機層
7 離型層
8 中間部材
9 転写用部材
10 塗布液
17 加熱部(第一加熱部)

Claims (5)

  1. 次のステップを含む有機デバイスの製造方法;
    前記有機デバイスの一部を構成する中間部材を準備するステップ;
    離型層を備える転写用部材を準備するステップ;
    有機材料と、この有機材料が溶解する第一の溶媒と、前記離型層に対して親和性を有する第二の溶媒とを含有するとともに、前記第一の溶媒と前記第二の溶媒との体積比率が1:1〜1:2である塗布液を準備するステップ;及び
    前記塗布液を前記転写用部材における前記離型層上に塗布成膜することで前記離型層上に有機層を形成し、続いて前記有機層を前記離型層上から前記中間部材上に転写するステップ。
  2. 前記第一の溶媒の沸点が66.0℃以下であり、前記第二の溶媒の沸点が79.5℃以下である請求項1に記載の有機デバイスの製造方法。
  3. 前記第一の溶媒の溶解度パラメータと、前記第二の溶媒の溶解度パラメータとが、いずれも10以下であり、
    前記第一の溶媒と前記第二の溶媒との沸点の差が20℃以内である請求項1又は2に記載の有機デバイスの製造方法。
  4. 前記離型層がシリコーン系材料から形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機デバイスの製造方法。
  5. 前記離型層の表面の水の接触角が90°以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機デバイスの製造方法。
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