しかしながら、特許文献1の加炭材は、材料がゴム廃棄物に限られるため、材料の入手の手間とコストが比較的高い問題がある。また、材料を熱分解する必要があるため、熱源の燃料コストが嵩む問題がある。
そこで、本発明の課題は、材料の入手の手間とコストを削減でき、また、製造時の燃料コストを削減できる加炭材と、その製造方法及び製造設備を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の加炭材は、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕及び選別して得た可燃性材料を成形してなることを特徴としている。
上記構成によれば、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕及び選別して得た可燃性材料が、加炭材の材料に用いられる。可燃性材料は、廃紙や廃木材等の木質材料や、廃プラスチック等の合成樹脂材料を含んで構成され、炭素を含む成分で形成される。したがって、可燃性材料を成形してなる加炭材は、銑鉄や鋼の炭素含有量の調整に有効に利用できる。ここで、自動車系廃棄物とは、使用済自動車を解体して生じた廃棄物をいう。特に、使用済自動車からフロン等のエアコン冷媒を除去し、主要な金属部品を回収した後に残る樹脂、ガラス及びゴムを主体とする廃棄物であって、シュレッダーにより粉砕された所謂自動車系シュレッダーダストを用いることができる。一方、建設系廃棄物とは、建築物や土木構造物を解体して生じた廃棄物をいう。自動車系の廃棄物のうち、自動車系シュレッダーダストは、従来、再利用の用途が実質的に存在せず、埋立てによる最終処分に付されていた。このような自動車系シュレッダーダストを用いて加炭材を製造することにより、自動車系の廃棄物の有効な再利用を行うことができる。ここで、建設系廃棄物は、解体された構造物の違いによって成分に差が生じやすい一方、自動車系廃棄物は、解体された自動車の違いによる成分の差が比較的少ない。したがって、自動車系廃棄物と建設系廃棄物との両方を材料に用いることにより、成分の比較的安定した加炭材が得られる。このように、本発明の加炭材は、流通量の多い自動車系廃棄物と建設系廃棄物を材料に用いるので、材料の入手の手間とコストを削減できる。
一実施形態の加炭材は、上記可燃性材料が40mm以下の粒径を有する。
上記実施形態によれば、可燃性材料が40mm以下の粒径を有するので、成形される際に良好な成形性が得られる。詳しくは、可燃性材料が40mm以下の粒径を有するので、成形の際の加熱により、可燃性材料に含まれる合成樹脂等の溶解成分が十分に溶解して、良好な成形性が得られる。ここで、粒径が40mm以下とは、JIS Z 8801−1に準拠して目開きが40mmの金属製網篩を、全て通過することをいう。特に、可燃性材料は、良好な保形性が得られる点で、粒径が30mm以下であるのが好ましい。詳しくは、可燃性材料が30mm以下の粒径を有することにより、成形の際に溶解した溶解成分が、可燃性材料に含まれる木質材料等の非溶解成分の相互間に十分に回り込むので、成形された加炭材は良好な保形性が得られる。
一実施形態の加炭材は、上記可燃性材料を40〜70wt%含有する。
上記実施形態によれば、可燃性材料を40〜70wt%含有することにより、十分な炭素量を有する加炭材が得られる。
本発明の加炭材の製造方法は、建設系廃棄物と自動車系廃棄物の両方を破砕する破砕工程と、
上記建設系廃棄物と自動車系廃棄物を破砕してなる被処理物を選別し、可燃性材料を抽出する選別工程と、
上記可燃性材料を成形する成形工程と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕して選別し、これにより得られた可燃性材料を成形して、加炭材を作成する。可燃性材料は、廃紙や廃木材等の木質材料や、廃プラスチック等の合成樹脂材料を含んで構成され、炭素を含む成分で形成される。したがって、可燃性材料を成形してなる加炭材は、銑鉄や鋼の炭素含有量の調整に有効に利用できる。ここで、自動車系廃棄物とは、使用済自動車を解体して生じた廃棄物をいう。特に、使用済自動車からフロン等のエアコン冷媒を除去し、主要な金属部品を回収した後に残る樹脂、ガラス及びゴムを主体とする廃棄物であって、シュレッダーにより粉砕された所謂自動車系シュレッダーダストを用いることができる。一方、建設系廃棄物とは、建築物や土木構造物を解体して生じた廃棄物をいう。自動車系の廃棄物のうち、自動車系シュレッダーダストは、従来、再利用の用途が実質的に存在せず、埋立てによる最終処分に付されていた。このような自動車系シュレッダーダストを用いて加炭材を製造することにより、自動車系の廃棄物の有効な再利用を行うことができる。ここで、建設系廃棄物は、解体された構造物の違いによって成分に差が生じやすい一方、自動車系廃棄物は、解体された自動車の違いによる成分の差が比較的少ない。したがって、自動車系廃棄物と建設系廃棄物との両方を材料に用いることにより、成分の比較的安定した加炭材が得られる。このように、本発明の加炭材の製造方法は、流通量の多い自動車系廃棄物と建設系廃棄物を材料に用いるので、材料の入手の手間とコストを削減できる。また、材料を乾留又は燃焼することなく加炭材を製造するので、製造時の燃料コストを削減できる。
また、本発明の加炭材の製造方法は、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕及び選別したもののうち、40mm以下の粒径を有する可燃性材料を用いるのが好ましい。可燃性材料が40mm以下の粒径を有することにより、成形される際に良好な成形性が得られる。詳しくは、可燃性材料が40mm以下の粒径を有するので、成形の際の加熱により、可燃性材料に含まれる合成樹脂等の溶解成分が十分に溶解して、良好な成形性が得られる。ここで、粒径が40mm以下とは、JIS Z 8801−1に準拠して目開きが40mmの金属製網篩を、全て通過することをいう。特に、可燃性材料は、良好な保形性が得られる点で、粒径が30mm以下であるのが好ましい。詳しくは、可燃性材料が30mm以下の粒径を有することにより、成形の際に溶解した溶解成分が、可燃性材料に含まれる木質材料等の非溶解成分の相互間に十分に回り込むので、成形された加炭材は良好な保形性が得られる。
一実施形態の加炭材の製造方法は、投入された建設系廃棄物及び自動車系廃棄物を、150mm以下の寸法に破砕する第1破砕工程と、
長手方向の両側に鋸状の係止歯が設けられた短冊状の複数の篩体を、水平面に対して傾斜させた姿勢で上下前後に揺動駆動し、篩体に対して長手方向の下端から落下する重量物と、上記係止歯により傾斜方向の上側に送られて篩体の長手方向の上端から落下する軽量物と、上記篩体を通過する細粒物とに選別する揺動選別機により、上記第1破砕工程からの被処理物を重量物、軽量物、細粒物に選別する第1選別工程と、
上記第1選別工程で選別された重量物から、不燃物を手選別により除去する第2選別工程と、
上記第2選別工程からの被処理物を、50mm以下の粒径に破砕する第2破砕工程と、
上記第1選別工程からの細粒物と、上記第2破砕工程からの被処理物とを合流させて、これらの被処理物から金属を除去する金属除去工程と、
上記金属除去工程からの被処理物を、比重差及び粒径に応じて高比重物、低比重物、細粒物に選別する第3選別工程と、
上記第3選別工程からの低比重物を、3〜5mmの目開きを有して振動駆動される可撓性の篩により選別する第4選別工程と、
上記第4選別工程の篩残留分を、30mm以下の目開きを有する篩により選別する第5選別工程と、
上記第4選別工程の篩通過分である可燃性材料と、上記第5選別工程の篩通過分である可燃性材料とを混合する混合工程と、
上記混合工程で混合された可燃性材料を加熱し、押出成形により棒状体に成形する成形工程と
を備える。
上記実施形態によれば、第1破砕工程で、投入された建設系廃棄物と自動車系廃棄物の両方を、150mm以下の寸法に破砕する。第1破砕工程では、固定刃と、回転駆動される破砕刃との作用により破砕を行う回転式破砕機を用いることができ、特に、二軸破砕機を用いるのが好ましい。第1選別工程では、揺動選別機により、上記第1破砕工程からの被処理物を、重量物、軽量物、細粒物に選別する。揺動選別機としては、長手方向の両側に鋸状の係止歯が設けられた短冊状の複数の篩体を、水平面に対して傾斜させた姿勢で上下前後に揺動駆動するものを用いる。この揺動選別機は、篩体に供給される被処理物を、篩体に対して長手方向の下端から落下する重量物と、上記係止歯により傾斜方向の上側に送られて篩体の長手方向の上端から落下する軽量物と、上記篩体を通過する細粒物とに選別する。上記篩体の被処理物が投入される側には、傾斜方向の下側から上側に向かって、軽量物を搬送する風を形成するのが好ましい。第2選別工程では、上記第1選別工程で選別された重量物から、不燃物を手選別により除去する。第2破砕工程では、上記第2選別工程からの被処理物を、50mm以下の粒径に破砕する。第2破砕工程での被処理物破砕は、ハンマー式破砕機を用いるのが好ましい。金属除去工程では、上記第1選別工程からの細粒物と、上記第2破砕工程からの被処理物とを合流させて、これらの被処理物から金属を除去する。金属除去工程では、過電流を用いた電磁誘導により、主に非鉄金属を除去し、特に、アルミニウムを除去する。第3選別工程では、上記金属除去工程からの被処理物を、比重差及び粒径に応じて高比重物、低比重物、細粒物に選別する。第4選別工程では、上記第3選別工程からの低比重物を、3〜5mmの目開きを有して振動駆動される可撓性の篩により選別する。第5選別工程では、上記第4選別工程で篩に残留した被処理物を、30mm以下の目開きを有する篩により選別する。混合工程では、上記第4選別工程の篩通過分である可燃性材料と、上記第5選別工程の篩通過分である可燃性材料とを混合する。成形工程では、上記混合工程で混合された可燃性材料を加熱し、押出成形により棒状体に成形する。成形工程の押出成形は、被処理物をスクリュー型の押出手段により圧縮して成形孔を通過させるスクリュー式成形機を用いることができる。また、押出成形は、成形孔を有する円盤状又は円筒状のリングダイと、リングダイに対して相対回転する押圧ローラとの間に被処理物を供給し、被処理物を押圧ローラでリングダイの成形孔に押し込んで成形するリングダイ式成形機を用いることができる。
本発明の加炭材の製造設備は、建設系廃棄物と自動車系廃棄物の両方を破砕する破砕装置と、
上記破砕装置で破砕してなる被処理物を選別し、可燃性材料を抽出する選別装置と、
上記可燃性材料を成形する成形装置と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、破砕装置により、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕し、選別装置により、上記破砕装置で破砕してなる被処理物を選別して可燃性材料を抽出し、成形装置により、上記可燃性材料を成形する。可燃性材料は、廃紙や廃木材等の木質材料や、廃プラスチック等の合成樹脂材料を含んで構成され、炭素を含む成分で形成される。したがって、可燃性材料を成形してなる加炭材は、銑鉄や鋼の炭素含有量の調整に有効に利用できる。ここで、自動車系廃棄物とは、使用済自動車を解体して生じた廃棄物をいう。特に、使用済自動車からフロン等のエアコン冷媒を除去し、主要な金属部品を回収した後に残る樹脂、ガラス及びゴムを主体とする廃棄物であって、シュレッダーにより粉砕された所謂自動車系シュレッダーダストを用いることができる。一方、建設系廃棄物とは、建築物や土木構造物を解体して生じた廃棄物をいう。自動車系の廃棄物のうち、自動車系シュレッダーダストは、従来、再利用の用途が実質的に存在せず、埋立てによる最終処分に付されていた。このような自動車系シュレッダーダストを用いて加炭材を製造することにより、自動車系の廃棄物の有効な再利用を行うことができる。ここで、建設系廃棄物は、解体された構造物の違いによって成分に差が生じやすい一方、自動車系廃棄物は、解体された自動車の違いによる成分の差が比較的少ない。したがって、自動車系廃棄物と建設系廃棄物との両方を材料に用いることにより、成分の比較的安定した加炭材が得られる。このように、本発明の加炭材の製造設備は、流通量の多い自動車系廃棄物と建設系廃棄物を材料に用いて加炭材を製造するので、材料の入手の手間とコストを削減できる。また、材料を乾留又は燃焼することなく加炭材を製造できるので、製造時の燃料コストを削減できる。
また、本発明の加炭材の製造設備は、選別装置が、自動車系廃棄物と建設系廃棄物の両方を破砕及び選別したもののうち、40mm以下の粒径を有する可燃性材料を選別し、この可燃性材料を成形装置が成形するのが好ましい。40mm以下の粒径を有する可燃性材料を用いることにより、成形装置で成形する際に良好な成形性が得られる。詳しくは、可燃性材料が40mm以下の粒径を有するので、成形の際の加熱により、可燃性材料に含まれる合成樹脂等の溶解成分が十分に溶解して、良好な成形性が得られる。ここで、粒径が40mm以下とは、JIS Z 8801−1に準拠して目開きが40mmの金属製網篩を、全て通過することをいう。特に、可燃性材料は、良好な保形性が得られる点で、粒径が30mm以下であるのが好ましい。詳しくは、可燃性材料が30mm以下の粒径を有することにより、成形の際に溶解した溶解成分が、可燃性材料に含まれる木質材料等の非溶解成分の相互間に十分に回り込むので、成形された加炭材は良好な保形性が得られる。
一実施形態の加炭材の製造設備は、投入された建設系廃棄物及び自動車系廃棄物を、150mm以下の寸法に破砕する第1破砕装置と、
長手方向の両側に鋸状の係止歯が設けられた短冊状の複数の篩体を、水平面に対して傾斜させた姿勢で上下前後に揺動駆動し、篩体に対して長手方向の下端から落下する重量物と、上記係止歯により傾斜方向の上側に送られて篩体の長手方向の上端から落下する軽量物と、上記篩体を通過する細粒物とに選別するように形成され、上記第1破砕装置からの被処理物を重量物、軽量物、細粒物に選別する第1選別装置と、
上記第1選別装置で選別された重量物から、不燃物が手選別により除去される第2選別ラインと、
上記第2選別ラインからの被処理物を、50mm以下の粒径に破砕する第2破砕装置と、
上記第1選別装置からの細粒物と、上記第2破砕装置からの被処理物とを合流させて、これらの被処理物から金属を除去する金属除去装置と、
上記金属除去装置からの被処理物を、比重差及び粒径に応じて高比重物、低比重物、細粒物に選別する第3選別装置と、
上記第3選別装置からの低比重物を、3〜5mmの目開きを有して振動駆動される可撓性の篩により選別する第4選別装置と、
上記第4選別装置の篩残留分を、30mm以下の目開きを有する篩により選別する第5選別装置と、
上記第4選別工程の篩通過分である可燃性材料と、上記第5選別工程の篩通過分である可燃性材料とを混合する混合装置と、
上記混合装置で混合された可燃性材料を加熱し、押出成形により棒状体に成形する成形装置と
を備える。
上記実施形態によれば、第1破砕装置が、投入された建設系廃棄物と自動車系廃棄物の両方を、150mm以下の寸法に破砕する。第1破砕装置としては、固定刃と、回転駆動される破砕刃との作用により破砕を行う回転式破砕機を用いることができ、特に、二軸破砕機を用いるのが好ましい。第1選別装置は、上記第1破砕装置からの被処理物を、重量物、軽量物、細粒物に選別する。第1選別装置は、長手方向の両側に鋸状の係止歯が設けられた短冊状の複数の篩体を、水平面に対して傾斜させた姿勢で上下前後に揺動駆動するように構成される。この第1選別装置は、篩体に供給される被処理物を、篩体に対して長手方向の下端から落下する重量物と、上記係止歯により傾斜方向の上側に送られて篩体の長手方向の上端から落下する軽量物と、上記篩体を通過する細粒物とに選別する。上記篩体の被処理物が投入される側には、傾斜方向の下側から上側に向かって、軽量物を搬送する風を形成するのが好ましい。第2選別ラインでは、上記第1選別装置で選別された重量物から、不燃物が手選別により除去される。第2破砕装置は、上記第2選別ラインからの被処理物を、50mm以下の粒径に破砕する。第2破砕装置としては、ハンマー式破砕機を用いるのが好ましい。金属除去装置は、上記第1選別装置からの細粒物と、上記第2破砕装置からの被処理物とが合流されてなる被処理物から金属を除去する。金属除去装置としては、過電流を用いた電磁誘導により、主に非鉄金属を除去し、特に、アルミニウムを除去するものを用いるのが好ましい。第3選別装置は、上記金属除去装置からの被処理物を、比重差及び粒径に応じて高比重物、低比重物、細粒物に選別する。第4選別装置は、上記第3選別装置からの低比重物を、3〜5mmの目開きを有して振動駆動される可撓性の篩により選別する。第5選別装置は、上記第4選別装置の篩に残留した被処理物を、30mm以下の目開きを有する篩により選別する。混合装置は、上記第4選別装置の篩通過分である可燃性材料と、上記第5選別装置の篩通過分である可燃性材料とを混合する。成形装置は、上記混合装置で混合された可燃性材料を加熱し、押出成形により棒状体に成形する。成形装置としては、被処理物をスクリュー型の押出手段により圧縮して成形孔を通過させるスクリュー式成形機を用いることができる。また、成形装置としては、成形孔を有する円盤状又は円筒状のリングダイと、リングダイに対して相対回転する押圧ローラとの間に被処理物を供給し、被処理物を押圧ローラでリングダイの成形孔に押し込んで成形するリングダイ式成形機を用いることができる。
以下、本発明の加炭材と、その製造方法及び製造設備の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の加炭材の製造設備としてのリサイクル設備を示すブロック図である。このリサイクル設備は、自動車系廃棄物と建設系廃棄物を処理して、製鉄や製鋼において銑鉄や鋼の炭素含有量を調整するために用いられる加炭材を製造するものである。また、このリサイクル設備は、自動車系廃棄物と建設系廃棄物を処理して得た材料のうち、加炭材の製造に用いない材料を用いてRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel;廃紙及びプラスチック燃料)を製造するものである。図1に示すように、このリサイクル設備1は、破砕・選別ライン2と、手選別ライン3と、金属除去ライン4と、比重差選別ライン5と、粒径選別・塩ビ除去ライン6と、加炭材成形ライン7と、RPF成形ライン8とを備える。
本実施形態のリサイクル設備1は、自動車系廃棄物として、自動車シュレッダーダストを、加炭材とRPFの材料に用いる。自動車シュレッダーダストは、廃自動車から有用な部品を取り除いて破砕し、主要な金属が除去されて残ったものであり、合成樹脂を多く含むが、寸法や材質が多様であるため、有効な利用方法が確立されていない。本実施形態のリサイクル設備1によれば、この自動車シュレッダーダストと共に、建設系廃棄物を共通のラインで処理することにより、加炭材とRPFに使用できる原料を製造することが可能となる。
図2は、破砕・選別ライン2と手選別ライン3を示す模式図である。破砕・選別ライン2は、自動車系廃棄物である自動車シュレッダーダストと、建築物や土木構造物を解体して生じた建設系廃棄物とを受け入れ、これらの自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物とを破砕し、破砕した被処理物を、重量物と軽量物と細粒物に分別する。破砕・選別ライン2には、自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物とが混在した状態で投入される。建設系廃棄物は、大型かつ高比重の不燃物であるコンクリートや石やガラス等を含む瓦礫が、予め除去されている。
破砕・選別ライン2では、まず、リサイクル設備1に搬入されてヤードに載置された自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物が、粗破砕機11に投入される。粗破砕機11は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、主に、多様な寸法の物質が混在する建設系廃棄物の粗破砕が行われる。粗破砕機11により、自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物が、実質的に150mm以下の寸法に破砕される。この粗破砕機11が第1破砕装置に該当し、この粗破砕機11による破砕工程が、第1破砕工程に該当する。粗破砕機11は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容して構成されている。ロータは、長手方向に複数組配列された回転刃を有し、回転刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗破砕機11として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
粗破砕機11によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤ12で搬送され、振動篩機13に導かれる。振動篩機13は、粗破砕された被処理物に付着している砂や土等の細粒物を分離する。図3は、振動篩機13を示す断面図である。この振動篩機13は、支持フレーム106に弾性体107によって傾斜方向に支持された箱状の筺体101と、この筺体101の上部に接続体108で接続された起振機109を備える。筺体101は、傾斜方向の上方の端部に被処理物の投入口102が形成され、筺体101の傾斜方向の下端面に、篩体を通過しないで残留した大径物の大径物排出口104が形成されている。筺体101の底面には、複数の櫛歯105,105,105,・・・が配列されてなる篩体が設けられており、篩体の下方には、篩体を通過した細粒物を排出する細粒物排出口103が形成されている。図4(a)は、篩体を形成する櫛歯105を示す断面図であり、図4(b)は櫛歯105の平面図である。櫛歯105は、短手方向の断面において略中央が屈曲し、く字状を成している。この櫛歯105は、長手方向に延在する支持部105aと、支持部105aの延在方向と直角に突出した複数の櫛歯部105b,105b,105b,・・・を有する。櫛歯部105bは、平面視において、先端に向かうに伴って幅が狭まる鋭角三角形状を成しており、隣り合う櫛歯部105b,105bの間隔が、最大で30mmに設定されている。この櫛歯105が、断面視において、一方の櫛歯部105bの先端が、他方の屈曲部の上方に位置するように順次配列されて、篩部が形成されている。篩部を形成する複数の櫛歯105,105,105,・・・は、筺体101の対向する両側壁の間を掛け渡すように、上記両側壁の内側面に両端が固定されている。この振動篩機13は、上記筺体101が起振機により振動駆動され、この筺体101の投入口102から、被処理物が内部に投入される。被処理物は、筺体101の振動によって篩体上に導かれ、振動によって分離した細粒物が、櫛歯105の櫛歯部105bの相互間に形成される隙間を通過して落下する。こうして篩体を通過した細粒物が、細粒物排出口103から排出される。篩体上に残留した被処理物は、振動によって筺体101内を傾斜方向の下向き送られ、下端の大径物排出口104から排出される。大径物排出口104から排出された大径物は、揺動選別機14に送られる。一方、振動篩機13で分離された細粒物は、細粒物コンベヤ81に送られ、上記揺動選別機14で選別される細粒物と合流して搬送される。
振動篩機13で細粒物が除去された被処理物は、コンベヤで搬送され、揺動選別機14に供給される。揺動選別機14は、被処理物を、軽量物と、重量物と、細粒物に分別する。軽量物は、かさ比重が比較的小さいものであり、主に、シート状又は板状の紙や布、及び、繊維屑等の可燃物が多くを占める。また、シート状又は薄板状の合成樹脂物質が含まれる。重量物は、かさ比重が比較的大きいものであり、木片や、合成樹脂製の容器やボトル等の可燃物が含まれる。また、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等の不燃物が含まれる。細粒物は、真比重が比較的大きくて小径のものであり、金属の粒や、陶器の粒や、土砂等が含まれる。
揺動選別機14は、図5の縦断面図に示すように、フレーム120に支持されて長手方向の一端が他端よりも下方に位置するように傾斜したケーシング111と、ケーシング111内に長手方向に傾斜して設置され、下方から上方に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板116と、ケーシング111内の複数の短冊状篩板116の上方に、短冊状篩板116に沿って下方から上方に向かって矢印W1で示すように送風する送風機125を備える。ケーシング111は、上部の長手方向の中央に設けられた投入口112と、下部の長手方向の一端側に設けられた重量物排出口113と、下部の長手方向の中央に設けられた細粒物排出口114と、この細粒物排出口114よりも上方に位置して長手方向の他端側に設けられた軽量物排出口115を有する。
短冊状篩板116は、パンチングボードや格子盤で形成された短冊状スクリーン119と、短冊状スクリーン119の長手方向の両側縁に設けられた鋸歯部材117を有する。短冊状スクリーン119は、10mm以上25mm以下の直径の円又は四角形状の複数の篩孔119aが設けられている。鋸歯部材117は、一端側から他側に向かう緩やかな上り傾斜部118aと、一端側から他端側に向かう急角度の下り傾斜部118bとで形成された鋸歯118を有している。この短冊状篩板116は、ケーシング111に取り付けられた偏心軸受ユニット130,140によって揺動可能に支持されている。
上記短冊状篩板116の一端側を支持する偏心軸受ユニット130に駆動力が入力される一方、上記短冊状篩板116の他端側を支持する偏心軸受ユニット140は、短冊状篩板116の揺動時に従動するように形成されている。駆動側の偏心軸受ユニット130は、モータで回転駆動される円形状の偏心板131と、偏心板131の外周を取り囲む短円筒形状の偏心旋回部材132と、偏心板131と偏心旋回部材132との間に介在された転がり軸受とを有する。偏心板131は駆動軸133に固定され、この駆動軸133には、他の短冊状篩板116の偏心軸受ユニット130が共通して固定されている。従動側の偏心軸受ユニット140は、駆動側の偏心軸受ユニット130の偏心板131及び偏心旋回部材132と同様に構成された偏心板141及び偏心旋回部材142を有している。偏心板141は、フレーム120に対して回動自在に支持された支持軸143に対して固定されている。駆動側の偏心軸受ユニット130は、駆動軸133がモータで回転駆動されると、偏心板131が駆動軸133回りに偏心回転し、これ伴って偏心旋回部材132が揺動軸133を中心に偏心旋回する。これにより、偏心旋回部材132に連結された短冊状篩板116が上下前後に揺動する。各短冊状篩板116は、隣接する短冊状篩板116に対して180度の位相差を有するように設定されている。したがって、ある短冊状篩板116が最上点に位置するときには、それに隣接する短冊状篩板116が最下点に位置するようになる。
揺動選別機14が作動すると、上記構成の短冊状篩板116が揺動駆動され、投入口112からケーシング111内へ被処理物が投入される。投入された被処理物は、揺動駆動される短冊状篩板116によって解され、被処理物に含まれる土砂や釘等の細粒物122が、篩孔119aから下方に落下し、細粒物排出口114から排出される。被処理物のうち、繊維屑、紙、木片、プラスチックシート等の軽量物123は、揺動駆動される短冊状篩板116からの力を受け、鋸歯118の上り傾斜部118aを滑り、鋸歯118の下り傾斜部118bで受け継がれながら傾斜上方に搬送される。搬送された軽量物123は、短冊状篩板116の他端から落下し、軽量物排出口115から排出される。被処理物のうち、金属片、陶器片、金物、空き缶、PETボトル、ブロック、石及び靴等の重量物121は、傾斜した短冊状スクリーン119上で転がり又は滑りながら下方に移動し、短冊状篩板116の一端から落下し、重量物排出口113から排出される。このように、短冊状篩板116を傾斜上方に搬送される軽量物123は、主に、繊維屑や紙やプラスチックのフィルム等のような非反発性のものである。一方、短冊状篩板116を傾斜下方に移動する重量物121は、主に、金属や石や硬質プラスチック等の反発性のものである。
送風機125は、ケーシング111の投入口112から投入される被処理物を空気流でほぐすとともに、例えばテープやシート等の軽量物123を、短冊状篩板116上で他端側に吹き飛ばして選別を促進する。
こうして、揺動選別機14により、被処理物が、重量物121と、細粒物122と、軽量物123とに分別される。すなわち、この揺動選別機14は第1選別装置に該当し、この揺動選別機14による選別工程は、第1選別工程に該当する。
揺動選別機14で選別された細粒物122は、細粒物コンベヤ81に送られ、振動篩機13で選別された細粒物と合流して搬送される。
揺動選別機14で選別された軽量物123は、軽量物コンベヤ82,83に送られ、この軽量物コンベヤ82,83の乗継箇所に配置された磁選機15によって金属が除去される。金属が除去された軽量物は、矢印Bで示すように粒径選別・塩ビ除去ライン6に送られる。
揺動選別機14で選別された重量物121は、図2に示す手選別ライン3に送られる。手選別ラインでは、重量物121である被処理物が作業用コンベヤに載置され、まず、作業用コンベヤの始端の近傍に配置された磁選機21により、磁性体が除去される。磁選機21で除去された磁性体は、磁性体ヤード22に収集される。重量物121から磁性体が除去された被処理物は、作業用コンベヤで搬送される間に、選別者によって、磁性体以外の不燃物が選別されて除去される。このように、手選別ライン3は第2選別ラインに該当し、手選別ライン3による工程は、第2選別工程に該当する。選別者の手選別によって除去された不燃物は、夫々の種類に応じて、陶磁器ヤード23と、アルミ缶ヤード24と、ペットボトルヤード25と、ビン類ヤード26に収集される。作業用コンベヤを流れるに伴って不燃物が除去された被処理物は、作業用コンベヤの終端に配置された粒度調整機27に投入される。
粒度調整機27は、投入口に連なる処理室の内側に、回転軸の周りに揺動自在に支持され、上記回転軸によって揺動しながら回転駆動される複数の揺動ハンマーを備える。この粒度調整機27は、揺動しながら回転する上記揺動ハンマーにより、被処理物を破砕し、概ね50mm以下の粒径に調整する。すなわち、粒度調整機27は第2破砕装置に該当し、この粒度調整機27による粒径の調整は、第2破砕工程に該当する。粒度調整機27で破砕されて粒度が50mm以下に調整された被処理物は、振動コンベヤ28で搬送される。振動コンベヤ28は、起振機によって振動する搬送面に被処理物を載置し、被処理物に振動を与えて搬送する。被処理物は、粒度調整機27による処理に伴って温度上昇しており、この被処理物の熱を、振動コンベヤ28による振動で迅速に拡散させることにより、被処理物の温度を低下させる。これにより、樹脂を含む被処理物の発火を防止する。振動コンベヤ28で搬送されつつ降温した被処理物は、矢印Aで示すように、細粒物コンベヤ81に送られる。粒度調整機27で破砕された被処理物は、上記振動篩機13で分離された細粒物と、上記揺動選別機14で選別された細粒物と合流して搬送される。
細粒物コンベヤ81によって搬送される振動篩機13からの細粒物と、揺動選別機14からの細粒物と、手選別ライン3からの被処理物は、定量供給機16に導かれる。この定量供給機16は、被処理物が投入される箱状の貯留部と、この貯留部の下部から送り方向に延出して設けられたベルトコンベヤと、ベルトコンベヤの貯留部からの延出部に、上記ベルトコンベヤの搬送面に対向して配置され、回転軸をベルトコンベヤの搬送面の幅方向に向けて配置された撹拌ローラを備える。この定量供給部16は、細粒物コンベヤ81で貯留部に投入されて貯留する被処理物を、ベルトコンベヤにより、単位時間当たりに一定量搬出する。貯留部からの延出部に配置された撹拌ローラが、ベルトコンベヤの搬送面の移動方向と反対方向に回動することにより、貯留部の被処理物を、ベルトコンベヤの搬送面に均一に排出するように構成されている。定量供給部16から搬出された被処理物は、矢印Cで示すように金属除去ライン4に送られる。
図6は、金属除去ライン4を示す模式図である。金属除去ライン4では、破砕・選別ライン2と手選別ライン3から導かれた被処理物から、鉄等の強磁性の金属と、アルミニウム等の非鉄金属を除去する。この金属除去ライン4による工程は、金属除去工程に該当する。この金属除去ライン4で用いられる吊下型磁選機31、ドラム磁選機32及びアルミ選別機35が、金属除去装置に該当する。
破砕・選別ライン2の定量供給機16から供給された一定量の細粒物は、ベルトコンベヤの終端部に吊り下げられた吊下型磁選機31により、鉄等の強磁性体が除去される。吊下型磁選機31は、外周に巻き回されて回転駆動される無端ベルトと、この無端ベルトの内側に配置されて磁力を発生する磁力部を備える。上記磁力部の磁力によってベルトコンベヤ上の被処理物に含まれる強磁性体を吸引し、吸引した強磁性体を上記無端ベルトで回動方向に搬送して除去するように構成されている。
吊下型磁選機31を通過した被処理物は、ドラム磁選機32に投入される。図7は、ドラム磁選機32を示す断面図である。ドラム磁選機32は、ケーシング130内に、磁力を発生する半円状の磁力部131と、この磁力部131の外側に同心状に配置されて回転駆動されるドラム132を備える。ケーシング130の上部の投入口135から投入された被処理物は、ドラム132の周面の上記磁力部131が内蔵された側に沿って移動する。投入された被処理物のうち、磁力部131の磁力により吸引された鉄等の強磁性体がドラム132と共に回動し、他の被処理物から分離される。強磁性体が分離除去された被処理物は、ケーシング130の幅方向において磁力部131が内蔵された側の下方に落下し、ケーシング130の下部の磁力部131側に設けられた非磁性体出口136から排出される。一方、被処理物から分離された強磁性体は、磁力部131の磁力が及ばない領域に達すると、ドラム132から離脱すると共に、ドラム132の回転力により、矢印F1で示すように、幅方向において磁力部131と反対側に移動する。この強磁性体は、ケーシング130の下部の磁力部131と反対側に設けられた強磁性体出口137から排出されるように構成されている。このドラム磁選機32によって鉄等の強磁性体が除去された被処理物は、振分供給機33に導かれる。上記ドラム磁選機32によって回収された強磁性体は、磁性物容器34に回収される。振分供給機33は、被処理物を収容する単一の収容器と、この収容器の下部に設けられた2つの搬出スクリューコンベヤとを備える。振分供給機33の収容器に収容された被処理物は、2つのスクリューコンベヤにより、実質的に同量の被処理物が、2つのアルミ選別機35,35に夫々導かれる。
図8は、アルミ選別機35を示す断面図である。アルミ選別機35は、ケーシング140内に、一端に投入された被処理物を他端に向かって搬送するベルトコンベヤ141を備える。ケーシング140の一端側には、被処理物をベルトコンベヤ141の一端に投入するフィーダ153が設けられている。ケーシング140の他端側には、被処理物から分離されたアルミニウムや銅や亜鉛等の非鉄金属を排出する非鉄金属排出口151と、非鉄金属が分離除去された被処理物を排出する被処理物排出口152を有する。ベルトコンベヤ141は、一端側のプーリ143と他端側のプーリ144に無端ベルト142が巻回されて成り、他端側のプーリ143には、同心状に配置されたマグネットドラム146が内蔵されている。マグネットドラム146は、外径部に、極性が交互に異なるように配置された複数の永久磁石を有し、プーリ143よりも高速で回転駆動されるように構成されている。このアルミ磁選機35に導かれた被処理物は、フィーダ153によってベルトコンベヤ141上に載置される。被処理物がベルトコンベヤ141の他端側に搬送されると、回転するマグネットドラム146の磁界の影響により、被処理物中の非鉄金属に渦電流が生じる。この渦電流により非鉄金属に生じた磁界と、マグネットドラム146の磁界との間に生じる反発力により、矢印F2で示すように、非鉄金属がプーリ143の接線方向に弾き飛ばされる。非鉄金属は、プーリ143から遠い側の非鉄金属排出口151から排出され、アルミ収容器36に収容される。非鉄金属が弾き飛ばされて除去された被処理物は、プーリ143の下方に落下し、被処理物排出口152から排出される。アルミ選別機35でアルミニウム等の非鉄金属が除去された被処理物は、コンベヤで搬送され、矢印Dで示すように比重差選別ライン5に送られる。
図9は、比重差選別ライン5を示す模式図である。矢印Dで示すように金属除去ライン4から導かれた被処理物は、振分供給機41に投入される。振分供給機41は、投入された被処理物を貯留する貯留部と、この貯留部の下部から2方向に延出する2つのスクリューコンベヤを備える。貯留部内の被処理物が、2つのスクリューコンベヤで振り分けられ、2つの振動フィーダ42,42によって2つの比重差選別機43,43へ夫々導かれる。これらの比重差選別機43,43により、被処理物が、高比重物、低比重物及び細粒物に選別される。この比重差選別機43が第3選別装置に該当し、この比重差選別機43による工程が、第3選別工程に該当する。
図10は、比重差選別機43を模式的に示す断面図である。比重差選別機43は、上部に被処理物の投入口162と排気口164を有すると共に、下部に軽量物排出口165と細粒物排出口166と重量物排出口167と給気口163を有するケーシング161と、このケーシング161内に配置され、一端を他端よりも下方に位置するように傾斜して揺動駆動される揺動網ユニット170と、ケーシング161内に給気口163を介して風を送る送風機168を有する。揺動網ユニット170は、1mm以上10mm以下の寸法の網目を有し、長手方向断面において、一端側の緩やかな傾斜角度の長辺と、他端側の急峻な傾斜角度の短辺とを交互に繰り返して形成された波状の波状網体171と、この波状網体171の両側に立設されて被処理物を波状網体171の延在方向に導くガイド壁172を有する。なお、波状網体171は、この波状網体171を通過して収集される細粒物の粒径に応じて、網目の寸法が1mm以上5mm以下であるのが好ましい。揺動網ユニット170は、波状網体171の一端の下部に設けられた揺動軸173を支点として、波状網体171の他端の下部に連結されて矢印R2周りに駆動されるクランク機構175により、矢印Lで示すように揺動駆動される。送風機168で生成される風は、矢印W2で示すように給気口163からケーシング161内に供給され、揺動網ユニット170の波状網体171を通過して上方に流れて、上部の排気口164からケーシング161の外部に排出される。比重差選別機43が作動すると、揺動網ユニット170が揺動駆動すると共に送風機168がケーシング161内に送風する状態で、投入口162に被処理物が投入される。投入された被処理物は、揺動網ユニット170の波状網体171上に落下し、揺動網ユニット170の揺動運動により、軽量物が波状網体171上を傾斜の下方に向かって移動し、矢印176で示すように軽量物排出口165から排出される。被処理物のうちの細粒物は、揺動網ユニット170の波状網体171を通過し、矢印177で示すように細粒物排出口166から排出される。被処理物のうちの重量物は、波状網体171の揺動運動によって、波状網体171の上を傾斜の上方に向かって移動し、矢印178で示すように重量物排出口167から排出される。比重差選別機43内の粉塵を含む空気は、矢印179で示すように、排気口164から外部へ排出される。
比重差選別機43の排気口164は、サイクロンセパレータ47に接続されており、サイクロンセパレータ47の下流に設けられたブロワ49によって比重差選別機43のケーシング161内の空気が導かれる。この比重差選別機43内の空気に含まれる粉塵が、上記サイクロンセパレータ47で収集され、軽量物コンベヤ85で搬送されて、矢印Eで示すように粒径選別・塩ビ除去ライン6に送られる。サイクロンセパレータ47から吸引された空気は、バグフィルタ48で塵が除去され、ブロワ49に吸引されて大気に排出される。
上記比重差選別機43で分別された重量物は、金属片、陶器片及び小石等であり、手選別コンベヤ44に導かれ、手選別により金属類や非金属類に選別される。選別された重量物は、重量物ヤード45に分類して載置され、材質に応じて再利用や最終処分に付される。比重差選別機43で分別された細粒物は、ガラス、陶器及び瓦礫等の微小な粒であり、コンベヤで搬送されて細粒物ヤード46に載置される。比重差選別機43で分別された軽量物は、プラスチック片の可燃物が主体であり、軽量物コンベヤ85で搬送され、矢印Eで示すように粒径選別・塩ビ除去ライン6に送られる。
図11は、粒径選別・塩ビ除去ライン6を示す模式図である。粒径選別・塩ビ除去ライン6は、被処理物から、加炭材の材料と、RPFの材料とを選別すると共に、被処理物から塩素系樹脂を除去する。矢印Eで示すように比重差選別ライン5から送られた被処理物は、コンベヤにより波動式篩機51へ投入される。
図12は、波動式篩機51を示す断面図である。波動式篩機51は、可撓性を有する篩体により、5mm以下の小径物を効果的に選別するものである。この波動式選別機51は、縦断面が概ね平行四辺形を有する筺体181が、支持フレーム182上に弾性体183を介して支持されている。筺体181は、縦断方向の一端から他端に向かって傾斜して支持されており、傾斜方向の上側の上端部に、被処理物の投入口184が設けられている。筺体181の下側部は、略全面が開口して、篩通過物である小径物を排出する小径物排出口186になっている。筺体181の傾斜方向の下側の上端部には、篩上に残留した大径物を排出する大径物排出口185が設けられている。筺体181の上部には、振動を発生する起振機188が設けられている。筺体181内には、可撓性の篩体190が、投入口184の下部から大径物排出口185の下部に亘って配置されている。篩体190は、ウレタンゴム等のエラストマーで形成された網体であり、5mmの目開きを有する。なお、篩体190を形成する網体は、エラストマーの繊維を織って形成してもよく、エラストマーの膜に多数の透孔を設けて形成してもよい。この篩体190は、筺体181内に設置された複数の増幅アーム191で支持されている。増幅アーム191は、筺体181内の横断方向に掛け渡された支持梁192に、先端が大径物排出口185側を向くように取り付けられている。筺体181内には、縦断方向に支持梁が複数個設置されており、この支持梁192の各々に、複数の増幅アーム191が横断方向に並んで取り付けられている。
波動式篩機51が作動すると、起振機188によって筺体181が振動し、この振動が、筺体181の内側面に固定された支持梁192に伝達される。支持梁192の振動が増幅アーム191で増幅され、この増幅アーム191の先端で支持する篩体190に伝達され、篩体190が振動して撓みと伸長が繰り返される。この状態で、筺体181の投入口184から被処理物が投入され、投入された被処理物は、振動して撓みと伸長を繰り返す篩体190によって跳躍と落下を繰り返しながら、筺体181内を傾斜方向の下側に移動する。被処理物は、跳躍と落下を繰り返しながら篩体190上を移動する過程で、5mm以下の小径物が分離され、篩体190の網目や透孔を通過する一方、5mm以上の小径物が篩体190上に残留する。この波動式篩機51によれば、撓みと伸長を繰り返す篩体190により、被処理物に跳躍と落下を繰り返し行わせるので、被処理物が水分を含んでいても、篩体190への付着や目詰まりを起こすことなく、透孔に小径物を通過させて選別を行うことができる。篩体190を通過した小径物は、筺体190の小径物排出口186から排出され、第1材料ヤード52に収集される。第1材料ヤード52に収集される5mm以下の小径物は、可燃性樹脂、木質屑及び紙屑等の可燃性材料が主要成分である。篩体190上に残留した大径物は、大径物排出口185から排出される。波動式篩機51で分離された大径物は、矢印Bで示す破砕・選別ライン2からの軽量物と共に、定量供給機53に送られる。このように、波動式篩機51は第4選別装置に該当し、この波動式篩機51を用いた工程は、第4選別工程に該当する。ここで、波動式篩機51の篩体190の目開きは、5mm以下3mm以上の範囲のいずれの大きさでもよい。
定量供給機53に一時貯留された被処理物は、単位時間当たりに一定量が排出され、コンベヤを介して選別フィーダ54に供給される。選別フィーダ54は、被処理物を受け入れるトラフと、トラフから被処理物が投入され、先端を下方に向けて傾斜配置された篩体と、篩体を振動する起振機とを備える。篩体は、互いに平行に配列された複数の棒部材の基端部を、幅方向に延在する固定部材に固定してなる櫛歯部材が、階段状に複数個配置されて形成されている。櫛歯部材の棒部材の相互間は、間隔が30mmに設定されている。篩体上に投入された被処理物は、篩体の振動によって解され、30mm以下の粒径の小径物が、篩部材の櫛歯部材の隙間を透過して落下し、被処理物から除去される。小径物が除去された被処理物が、選別フィーダ54から光学式選別機56へ導かれる。選別フィーダ54で選別された30mm以下の小径物は、第2材料ヤード55へ収集される。第2材料ヤード55に収集される小径物は、可燃性樹脂、木質屑及び紙屑等の可燃性材料が主要成分である。このように、選別フィーダ54は第5選別装置に該当し、この選別フィーダ54を用いた工程は、第5選別工程に該当する。
図13は、光学式選別装置56を示す模式図である。光学式選別装置56は、被処理物が載置される搬送コンベヤ201と、この搬送コンベヤ201の終端部の近傍に配置され、被処理物に電磁波としての近赤外線を照射し、その反射波を受ける光学ユニット202と、被処理物に圧縮空気を噴射する噴射部としてのエアガン203と、光学ユニット202及びエアガン203に接続された制御部204を備える。エアガン203は、圧縮空気を供給するコンプレッサユニット205に接続されている。光学ユニット202は、搬送コンベヤ201上の軽量物に近赤外線を照射する電磁波照射部としての照射部206と、軽量物で反射された近赤外線の反射波を受ける反射波検出部としての近赤外線カメラ207を有する。照射部206は、搬送コンベヤ201のベルトの進行方向の前後から近赤外線を照射する一対のランプが、搬送コンベヤ201のベルトの幅方向に複数個配列されて形成されている。照射部206の各対のランプの間に、直下からの近赤外線を受光するように、近赤外線カメラ207のレンズが配置されている。
被処理物が搬送コンベヤ201で搬送され、光学ユニット202の下方に達すると、光学ユニット202の照射部206が近赤外線を被処理物に照射し、照射された近赤外線が被処理物で反射してなる反射波を、近赤外線カメラ207のレンズが受ける。近赤外線カメラ207は、近赤外線の反射波を受け、近赤外線の反射波の波長及び強度を表す情報を制御部204に出力する。制御部204は、近赤外線カメラ207から入力された情報に基づき、個々の被処理物からの反射波の波長及び強度を解析し、スペクトル分布のパターンに基づいて被処理物の材料を判別する。判別された材料が、塩化ビニル等の塩素系樹脂であると、制御部204は、この被処理物を除去する。すなわち、塩素系樹脂の被処理物が搬送コンベヤ201の終端に達するタイミングで、制御部204がエアガン203に作動信号S2を出力してエアガン203を作動させ、圧縮空気を塩素系樹脂の被処理物に向けて噴射する。塩素系樹脂の被処理物は、圧縮空気を受けて吹き飛ばされて、搬送コンベヤ201の終端から遠い側に設けられた回収室208に回収される。塩素系樹脂以外の被処理物は、搬送コンベヤ201の終端から下方に落下して、搬送コンベヤ201の終端に近い側に設けられた回収室209に回収される。光学式選別装置56で分別された塩素系樹脂は、塩ビ収容器57に収容され、最終処分される。塩素系樹脂が分別除去された被処理物は、RPF材料として、RPF材料ヤード58に収集される。このRPF材料は、可燃性樹脂、木屑及び紙屑等の可燃性材料が主要成分である。
上記粒径選別・塩ビ除去ライン6で選別され、第1材料ヤード52及び第2材料ヤード55に収集された可燃性材料である小径物を材料として、加炭材成形ライン7により、加炭材を製造する。図14は、加炭材成形ライン7を示す模式図である。加炭材成形ライン7は、第1材料ヤード52及び第2材料ヤード55の小径物が投入される定量供給機61を備える。定量供給機61は、上部に被処理物が投入される開口を有するホッパと、ホッパ内に設けられて被処理物を撹拌する撹拌羽根と、ホッパの下端に設けられてホッパ内の被処理物を排出するスクリューコンベヤを有する。定量供給機61のホッパに投入された第1材料ヤード52の小径物と第2材料ヤード55の小径物は、撹拌羽根で撹拌されて混合される。このように、定量供給機61は混合装置に該当し、この定量供給機61を用いた工程は混合工程に該当する。定量供給機61で混合された小径物、すなわち可燃性材料は、所定量が加炭材成形機66に供給され、成形工程が行われる。
加炭材成形機66は、2軸型のスクリュー式成形機であり、平行に配列された2つのスクリューにより材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行うものである。この加炭材成形機66は、2つのスクリューを収容する処理室と、処理室の端面にスクリューの先端と対向して配置され、押出ノズルとヒータを内蔵した押出面板を備える。この加炭材成形機66は、供給された材料である可燃性材料を、2つのスクリューで混練しながら処理室に導き、処理室内で材料を混練及び圧縮する。処理室で混練及び圧縮された可燃性材料は、混練及び圧縮により発生する摩擦熱と、押出面板のヒータの熱によって、溶解成分であるプラスチックが溶解する。この溶解したプラスチックが、可燃性材料の非溶解成分である廃紙や廃木材等の木質材料と、他の材料とのバインダとなり、押出ノズルから押し出されて棒状に成形される。加炭材成形機66の押出ノズルから押し出された棒状体は、押出面板に隣接して設置されたカッターで所定長さに切断され、加炭材が完成する。加炭材成形機66で製造された加炭材は、コンベヤで搬送され、第1製品ヤード67に載置される。この加炭材成形ライン7の加炭材成形機66は、材料の押し出し工程を行い、可燃性材料の溶解成分をバインダとして、非溶解性の他の材料を固形化して加炭材を製造するものであれば、他の成形機であってもよい。加炭材成形機としては、スクリュー式成形機の他に、リングダイ式成形機を用いることができる。また、第1材料ヤード52の小径物と、第2材料ヤード55の小径物は、定量供給機61で混合したが、他の方法で混合してもよい。例えば、小径物は、ヤードで重機によって混合してもよい。
図15は、RPF成形ライン8を示す模式図である。このRPF成形ライン8は、上記粒径選別・塩ビ除去ライン6で選別され、RPF材料ヤード58に収集されたRPF材料を用いて、RPFを製造する。粒径選別・塩ビ除去ライン6のRPF材料ヤード58に収集されたRPF材料は、粒径が30mmを超える可燃性材料が主要成分である。RPF材料ヤード58のRPF材料は、破砕機71に投入され、30mm以下の粒径に破砕される。破砕機71で破砕されたRPF材料は、コンベヤで搬送され、コンベヤから除荷される位置に配置された磁選機72によって磁性体が除去される。磁選機72で分別された磁性体は磁性体容器73に収容され、最終処分される。磁選機72で磁性体が分別除去されたRPF材料は、定量供給機74に投入されて貯留される。定量供給機74に貯留されたRPF材料は、所定量が切り出され、RPF成形機75に投入される。このRPF成形機75は、2軸型のスクリュー式成形機であり、平行に配列された2つのスクリューにより材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行うものである。RPF成形機75は、2つのスクリューを収容する処理室と、処理室の端面にスクリューの先端と対向して配置され、押出ノズルとヒータを内蔵した押出面板を備える。このRPF成形機75は、供給された材料を2つのスクリューで混練しながら処理室に導き、処理室内で材料を混練及び圧縮する。処理室で混練及び圧縮された材料は、混練及び圧縮により発生する摩擦熱と、押出面板のヒータの熱によってプラスチック等の溶解成分が溶解し、この溶解した溶解成分が、非溶解成分である紙屑や木屑のバインダとなり、押出ノズルから押し出されて棒状に成形される。RPF成形機75の押出ノズルから押し出された棒状体は、押出面板に隣接して設置されたカッターで所定長さに切断され、RPFが完成する。RPF成形機75で成形されてなるRPFは、水冷式の冷却コンベヤ76で搬送される過程で冷却され、第2製品ヤード77に収集される。このRPF成形ライン8のRPF成形機75は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、溶解成分をバインダとして、非溶解成分である木屑や紙屑等を固形化してRPFを製造するものであれば、他の成形機であってもよい。RPF成形機としては、スクリュー式成形機の他に、リングダイ式成形機を用いることができる。
表1は、上記実施形態の製造方法及び製造設備により製造された加炭材の実施例の組成を示す表である。表2は、実施例の加炭材の工業分析結果である。この実施例の加炭材は、略同じ質量の建設系廃棄物と自動車系廃棄物をリサイクル設備1に投入して製造されたものである。実施例の加炭材は、低位発熱量が6600Mcal/tであり、高位発熱量が6900Mcal/tであった。これらによれば、実施例の加炭材は、製鉄や製鋼用の加炭材として十分に使用できるといえる。
上記実施形態の製造方法では、投入した自動車系廃棄物と建設系廃棄物を、粗破砕機11で150mm以下の寸法に破砕し、揺動選別機14で重量物121と細粒物122と軽量物123に選別し、粒度調整機27で50mm以下に破砕し、金属除去ライン4により金属を除去し、比重差選別機43により高比重物、低比重物及び細粒物に選別して低比重物を取り出し、波動式篩機51により抽出した粒径が5mm以下の小径物と、選別フィーダ54により抽出した粒径が30mm以下の小径物とで可燃性材料を作製したが、自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物を材料として30mm以下の粒径の可燃性材料を得るのであれば、各工程における破砕寸法と選別粒径は他の値でもよい。また、自動車シュレッダーダストと建設系廃棄物を材料とする可燃性材料の粒径は、40mm以下でもよい。また、上記実施形態では、自動車系廃棄物と建設系廃棄物を材料として加炭材と共にRPFを製造したが、RPFは製造しなくてもよい。