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JP5849926B2 - 引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法 - Google Patents

引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法に関する。
特許文献1には、発明者らにより、鋳型を要しない画期的な連続鋳造方法として、自由鋳造方法が提案されている。特許文献1に示したように、溶融金属(溶湯)の表面(すなわち湯面)にスタータを接触させた後、当該スタータを引き上げると、スタータに追従して溶湯も導出される。ここで、湯面近傍に設置された形状規定部材を介して、溶湯を導出し、冷却することにより、所望の断面形状を有する鋳物を連続鋳造することができる。
通常の連続鋳造方法では、鋳型によって断面形状とともに長手方向の形状も規定される。とりわけ、連続鋳造方法では、鋳型内を凝固した金属(すなわち鋳物)が通り抜ける必要があるため、鋳造された鋳物は長手方向に直線状に延びた形状となる。
これに対し、自由鋳造方法における形状規定部材は、鋳物の断面形状のみを規定し、長手方向の形状は規定しない。そして、形状規定部材は、湯面に平行な方向(すなわち水平方向)に移動可能であるから、長手方向の形状が様々な鋳物が得られる。例えば、特許文献1には、長手方向に直線状でなく、ジグザグ状あるいは螺旋状に形成された中空鋳物(すなわちパイプ)が開示されている。
特開2012−61518号公報
発明者は以下の課題を見出した。
特許文献1に記載の自由鋳造方法の例では、溶湯がアルミニウム合金であって、スタータがアルミニウム合金よりも融点の高い鋼により構成されている。そのため、スタータを溶湯に接触させてから、スタータと溶湯とが化合(結合)して当該溶湯を導出できるようになるまで、の時間が長くなってしまう。それにより、特許文献1に記載の自由鋳造方法では、坩堝(保持炉)内の溶湯の温度が低下してしまうため、精度の高い鋳物を鋳造することができない、という問題があった。
本発明は、上記を鑑みなされたものであって、保持炉内の溶湯の温度の低下を抑制することにより、精度の高い鋳物を鋳造することが可能な引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る引上式連続鋳造装置は、アルミニウム又はその合金の溶湯を保持する保持炉と、前記保持炉に保持された前記溶湯の湯面から前記溶湯を導出する導出部と、前記湯面近傍に設置され、前記導出部によって導出される前記溶湯が通過することにより、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材と、前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却する冷却部と、を備え、前記導出部は、前記溶湯と接触する導出部材と、前記導出部材を駆動する駆動部と、を有し、前記導出部材は鋳鉄によって構成されているものである。それにより、導出部材(スタータ)を溶湯に接触させてから、導出部材と溶湯とが化合(結合)して当該溶湯を導出できるようになるまで、の時間を短縮して、保持炉内の溶湯の温度の低下を抑制することができるため、精度の高い鋳物を鋳造することができる。
前記導出部材を構成する前記鋳鉄の組成は、Cが2.0質量%以上4.2質量%以下、Siが1.7質量%以上4.3質量%以下、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.2質量%未満、残りがFeであることが好ましい。
前記導出部材を加熱する加熱部をさらに備えることが好ましい。それにより、導出部材を溶湯に接触させてから、導出部材と溶湯とが化合して当該溶湯を導出できるようになるまで、の時間をさらに短縮して、保持炉内の溶湯の温度の低下をさらに抑制することができるため、さらに精度の高い鋳物を鋳造することができる。
前記導出部材は、前記加熱部により500℃以下、30分以内で加熱されることが好ましい。それにより、導出部材の表面に形成される酸化膜を少なくして導出部材と溶湯とを化合しやすくすることができる。
前記加熱部によって加熱された前記導出部材に向けてエアブローすることで当該導出部材の表面酸化膜を除去する酸化膜除去部をさらに備えることが好ましい。それにより、導出部材の表面に形成される酸化膜を除去することができるため、導出部材と溶湯とをさらに化合しやすくすることができる。
本発明の一態様に係る引上式連続鋳造方法は、保持炉に保持されたアルミニウム又はその合金の溶湯の湯面に導出部材を接触させるステップと、前記導出部材により前記溶湯を導出して、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材を通過させるステップと、前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却するステップと、を備え、前記導出部材は鋳鉄によって構成されているものである。それにより、導出部材(スタータ)を溶湯に接触させてから、導出部材と溶湯とが化合(結合)して当該溶湯を導出できるようになるまで、の時間を短縮して、保持炉内の溶湯の温度の低下を抑制することができるため、精度の高い鋳物を鋳造することができる。
前記導出部材を構成する前記鋳鉄の組成は、Cが2.0質量%以上4.2質量%以下、Siが1.7質量%以上4.3質量%以下、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.2質量%未満、残りがFeであることが好ましい。
前記導出部材を前記湯面に接触させる前に当該導出部材を加熱するステップをさらに備えることが好ましい。それにより、導出部材を溶湯に接触させてから、導出部材と溶湯とが化合して当該溶湯を導出できるようになるまで、の時間をさらに短縮して、保持炉内の溶湯の温度の低下をさらに抑制することができるため、さらに精度の高い鋳物を鋳造することができる。
前記導出部材を500℃以下、30分以内で加熱することが好ましい。それにより、導出部材の表面に形成される酸化膜を少なくして導出部材と溶湯とを化合しやすくすることができる。
加熱された前記導出部材に向けてエアブローすることで当該導出部材の表面酸化膜を除去するステップをさらに備えることが好ましい。それにより、導出部材の表面に形成される酸化膜を除去することができるため、導出部材と溶湯とをさらに化合しやすくすることができる。
本発明により、保持炉内の溶湯の温度の低下を抑制することにより、精度の高い鋳物を鋳造することが可能な引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法を提供することができる。
実施の形態1に係る自由鋳造装置の断面図である。 内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの平面図である。 スタータSTの加熱温度と表面酸化膜の厚さとの関係を示す図である。 スタータSTの加熱時間と表面酸化膜の厚さとの関係を示す図である。 加熱後のスタータSTを示す断面写真である。 スタータSTの材質と溶湯の温度低下度合との関係を示す図である。 スタータSTの材質と鋳造される鋳物の肉厚ばらつきとの関係を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る自由鋳造装置(引上式連続鋳造装置)について説明する。図1は、実施の形態1に係る自由鋳造装置の断面図である。図1に示すように、実施の形態1に係る自由鋳造装置は、溶湯保持炉101、内部形状規定部材102a、外部形状規定部材102b、支持ロッド103、104、アクチュエータ105、冷却ガスノズル106、及び、スタータSTを備えている。
溶湯保持炉101は、アルミニウムやその合金の溶湯M1を収容し、所定の温度に保持する。図1の例では、鋳造中に溶湯保持炉101へ溶湯を補充しないため、鋳造の進行とともに溶湯M1の表面(つまり湯面)は低下する。他方、鋳造中に溶湯保持炉101へ溶湯を随時補充し、湯面を一定に保持するような構成としてもよい。本実施の形態では、溶湯M1がアルミニウム合金である場合を例に説明する。
内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bは、例えばセラミックスやステンレスなどからなり、湯面近傍に配置されている。図1の例では、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bが湯面に接触するように配置されている。しかしながら、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bは、それらの下側(湯面側)の主面が湯面に接触しないように設置されてもよい。具体的には、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの下側の主面と湯面との間に所定の(例えば0.5mm程度の)ギャップを設けてもよい。
内部形状規定部材102aは、鋳造する鋳物M3の内部形状を規定し、外部形状規定部材102bは、鋳造する鋳物M3の外部形状を規定する。図1に示した鋳物M3は、水平方向の断面(以下、横断面と称す)の形状が管状の中空鋳物(つまりパイプ)である。すなわち、より具体的には、内部形状規定部材102aは、鋳物M3の横断面の内径を規定し、外部形状規定部材102bは、鋳物M3の横断面の外径を規定する。
図2は、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの平面図である。ここで、図1の内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの断面図は、図2のI−I断面図に相当する。図2に示すように、外部形状規定部材102bは、例えば矩形状の平面形状を有し、中央部に円形状の開口部を有している。内部形状規定部材102aは、円形状の平面形状を有し、外部形状規定部材102bの開口部の中央部に配置されている。内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の間隙が、溶湯が通過する溶湯通過部102cとなる。このように、内部形状規定部材102a、外部形状規定部材102b、溶湯通過部102cから形状規定部材102が構成されている。
図1に示すように、溶湯M1は、スタータ(導出部材)STと化合(結合)した後、その表面膜や表面張力により外形を維持したままスタータSTに追従して引き上げられ、溶湯通過部102cを通過する。ここで、溶湯の表面膜や表面張力によってスタータST(又は、スタータSTによって導出された溶湯M1が凝固して形成された鋳物M3)に追従して湯面から引き上げられた溶湯を保持溶湯M2と呼ぶ。また、鋳物M3と保持溶湯M2との界面が凝固界面である。
支持ロッド103は、内部形状規定部材102aを支持し、支持ロッド104は、外部形状規定部材102bを支持する。支持ロッド103、104により、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの位置関係を維持することができる。ここで、支持ロッド103をパイプ構造とし、これに冷却ガスを流し、さらに内部形状規定部材102aに吹出孔を設ければ、内側からも鋳物M3を冷却することができる。
アクチュエータ105には、支持ロッド103、104がともに連結されている。アクチュエータ105によって、支持ロッド103、104は、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの位置関係を維持したまま、上下方向(鉛直方向)及び水平方向に移動可能である。このような構成により、鋳造の進行による湯面の低下とともに、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bを下方向に移動させることができる。また、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bを水平方向に移動させることができるため、鋳物M3の長手方向の形状を自由に変化させることができる。
冷却ガスノズル(冷却部)106は、スタータSTや鋳物M3に冷却ガス(空気、窒素、アルゴンなど)を吹き付け、冷却するためのものである。スタータSTに連結された引上機(駆動部;不図示)により鋳物M3を引き上げつつ、冷却ガスによりスタータSTや鋳物M3を冷却することにより、凝固界面近傍の保持溶湯M2が順次凝固し、連続的に鋳物M3が形成されていく。なお、スタータSTと引上機とにより導出部とも称す。
ここで、スタータSTは鋳鉄により構成されている。なお、スタータSTを構成する鋳鉄の組成は、Cが2.0質量%以上4.2質量%以下、Siが1.7質量%以上4.3質量%以下、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.2質量%未満、残りがFeである。
鋳鉄により構成されたスタータSTは、高融点の鋼で構成されたスタータよりも融点が低いため、アルミニウム合金の溶湯M1と化合(結合)しやすい。したがって、スタータSTを溶湯M1に接触させてから、スタータSTと溶湯M1とが化合(結合)して当該溶湯M1を導出できるようになるまで、の時間は短縮される。それにより、保持炉内の溶湯の温度の低下が抑制されるため、精度の高い鋳物の鋳造が可能になる。
なお、スタータSTが溶湯M1と同じアルミニウム合金により構成された場合、当該スタータSTと溶湯M1とは速やかに化合する。しかしながら、このスタータSTは、溶湯M1と同じく低融点であるため、変形してしまう可能性がある。それにより、鋳造する鋳物M3の肉厚ばらつきが大きくなってしまう可能性がある。つまり、精度の高い鋳物の鋳造ができない可能性がある。一方、本実施の形態のようにスタータSTが鋳鉄により構成された場合、このような問題は生じない。
次に、実施の形態1に係る自由鋳造方法について説明する。
まず、スタータSTを降下させ、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の溶湯通過部102cを通して、スタータSTの先端部を溶湯M1の湯面に接触させる。
スタータSTと溶湯M1とが化合(結合)する所定期間経過後、所定の速度でスタータSTの引き上げを開始する。ここで、スタータSTが湯面から離間しても、溶湯M1は、表面膜や表面張力によってスタータSTに追従して湯面から引き上げられ(導出され)保持溶湯M2を形成する。図1に示すように、保持溶湯M2は、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の溶湯通過部102cに形成される。つまり、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとにより、保持溶湯M2に形状が付与される。
次に、スタータST(及び鋳物M3)は、冷却ガスノズル106から吹き出される冷却ガスにより冷却される。それにより、保持溶湯M2が上側から下側に向かって順に凝固し、鋳物M3が成長していく。このようにして、鋳物M3を連続鋳造することができる。
このように、本実施の形態にかかる自由鋳造装置では、スタータSTが、鋼よりも低融点の鋳鉄によって構成されているため、アルミニウム又はその合金の溶湯M1と化合(結合)しやすい。したがって、本実施の形態にかかる自由鋳造装置は、スタータSTを溶湯M1に接触させてから、スタータSTと溶湯M1とが化合(結合)して溶湯M1を導出できるようになるまで、の時間を短縮することができる。それにより、本実施の形態にかかる自由鋳造装置は、保持炉内の溶湯の温度の低下を抑制することができるため、精度の高い鋳物を鋳造することができる。
さらに、本実施の形態にかかる自由鋳造装置では、スタータSTが、アルミニウム又はその合金の溶湯M1よりも高融点の鋳鉄によって構成されているため変形しにくい。したがって、本実施の形態にかかる自由鋳造装置は、鋳造する鋳物M3の肉厚ばらつきを抑制することができる。
<自由鋳造装置の第1の変形例>
本実施の形態にかかる自由鋳造装置は、スタータSTを加熱する加熱部をさらに備えてもよい。あるいは、この加熱部は、自由鋳造装置の外部に別途設けられていてもよい。
加熱部は、スタータSTを溶湯M1に接触させる前に当該スタータSTを加熱する。それにより、スタータSTを溶湯M1に接触させてから、スタータSTと溶湯M1とが化合して当該溶湯M1を導出できるようになるまで、の時間はさらに短縮される。それにより、保持炉内の溶湯の温度の低下がさらに抑制されるため、さらに精度の高い鋳物M3の生成が可能になる。
なお、スタータSTは、加熱部によって500℃以下、30分以内で加熱されることが好ましい。それにより、スタータSTの表面に形成される酸化膜を少なくしてスタータSTと溶湯M1とを化合しやすくすることができる。
図3は、スタータSTの加熱温度と、スタータSTの表面に形成される酸化膜の厚さと、の関係を示す図である。なお、図3の例では、スタータSTの加熱時間は30分である。
図3に示すように、加熱温度が高くなるほど酸化膜の厚さは厚くなる。特に、加熱温度が500℃を超えると酸化膜の厚さは3μmを超えてしまい、スタータSTと溶湯M1とが化合しづらくなってしまう。したがって、スタータSTの加熱温度は500℃以下であることが好ましい。
図4は、スタータSTの加熱時間と、スタータSTの表面に形成される酸化膜の厚さと、の関係を示す図である。なお、図4の例では、スタータSTの加熱温度は530℃である。
図4に示すように、加熱時間が長くなるほど酸化膜の厚さは厚くなる。特に、加熱時間が30分を超えると酸化膜の厚さは3μmを超えてしまい、スタータSTと溶湯M1とが化合しづらくなってしまう。したがって、スタータSTの加熱時間は30分以内であることが好ましい。
<自由鋳造装置の第2の変形例>
本実施の形態にかかる自由鋳造装置は、スタータSTを加熱する加熱部に加え、加熱されたスタータSTに向けてエアブローする酸化膜除去部をさらに備えてもよい。あるいは、加熱部及び酸化膜除去部は、自由鋳造装置の外部に別途設けられていてもよい。
酸化膜除去部は、加熱部によって加熱されたスタータSTに向けてエアブローすることでスタータSTの表面酸化膜を除去する。ここで、上記したように、スタータSTを500℃以下、30分以内で加熱すれば、スタータSTの表面に形成される酸化膜は3μm以下と薄くなる。それにより、酸化膜除去部は、スタータSTの表面酸化膜を容易に除去することが可能になる。
図5は、加熱後のスタータSTを示す断面写真である。なお、図5の例では、鋳鉄により構成されたスタータSTは500℃、30分で加熱されている。
図5に示すように、スタータSTを500℃以下、30分以内で加熱すれば、スタータSTの表面に形成される酸化膜は脆くなっている。それにより、酸化膜除去部は、スタータSTの表面酸化膜を容易に除去することが可能になる。
続いて、図6及び図7を用いて、本実施の形態にかかる自由鋳造装置の効果についてさらに詳細に説明する。
図6は、スタータSTの材質と、スタータST近傍の溶湯M1の温度低下度合と、の関係を示す図である。図6の例では、スタータSTの材質が鋳鉄、表面酸化膜が除去された鋳鉄、鋼、アルミニウム合金である場合のそれぞれの溶湯M1の温度低下度合を示している。なお、鋳鉄の組成は、Cが3.0質量%、Siが2.0質量%、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.20質量%未満、残りがFeである。鋼の組成は、Cが0.15質量%未満、Siが1.0質量%未満、Mnが2質量%未満、残りがFeである。アルミニウム合金の組成は、Cuが0.3質量%、Siが6.5質量%、Mgが0.3質量%、Znが0.5質量%未満、Feが0.5質量%未満、Mnが0.3質量%、残りがAlである。また、図6の例では、アルミニウム合金の溶湯M1が700℃を示す。
図6に示すように、鋳鉄製のスタータSTが用いられた場合の溶湯M1の温度低下度合は、アルミニウム合金製のスタータSTが用いられた場合の溶湯M1の温度低下度合と同等程度であり、鋼製のスタータSTが用いられた場合の溶湯M1の温度低下度合よりも小さい。なお、表面酸化膜が除去されれば、溶湯M1の温度低下度合はさらに小さくなる。
図7は、スタータSTの材質と、鋳造される鋳物M3の肉厚ばらつきと、の関係を示す図である。図7の例では、スタータSTの材質が鋳鉄、表面酸化膜が除去された鋳鉄、鋼、アルミニウム合金である場合にそれぞれ鋳造される鋳物M3の肉厚ばらつきを示している。なお、鋳鉄、鋼、アルミニウム合金のそれぞれの組成については、図6の場合と同様であるため、その説明を省略する。
図7に示すように、鋳鉄製のスタータSTが用いられた場合の鋳物M3の肉厚ばらつきは、鋼製のスタータSTが用いられた場合の鋳物M3の肉厚ばらつきと同等程度であり、アルミニウム合金製のスタータSTが用いられた場合の鋳物M3の肉厚ばらつきよりも小さい。
つまり、鋳鉄製のスタータSTが用いられた場合、アルミニウム合金製のスタータSTと同等程度に溶湯M1の温度低下が抑えられるとともに、鋼製のスタータSTと同等程度に鋳物M3の肉厚ばらつきが抑えられる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
101 溶湯保持炉
102 形状規定部材
102a 内部形状規定部材
102b 外部形状規定部材
102c 溶湯通過部
103、104 支持ロッド
105 アクチュエータ
106 冷却ガスノズル
M1 溶湯
M2 保持溶湯
M3 鋳物
ST スタータ

Claims (10)

  1. アルミニウム又はその合金の溶湯を保持する保持炉と、
    前記保持炉に保持された前記溶湯の湯面から前記溶湯を導出する導出部と、
    前記湯面近傍に設置され、前記導出部によって導出される前記溶湯が通過することにより、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材と、
    前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却する冷却部と、を備え、
    前記導出部は、
    前記溶湯と接触する導出部材と、
    前記導出部材を駆動する駆動部と、を有し、
    前記導出部材は鋳鉄によって構成される、引上式連続鋳造装置。
  2. 前記導出部材を構成する前記鋳鉄の組成は、Cが2.0質量%以上4.2質量%以下、Siが1.7質量%以上4.3質量%以下、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.2質量%未満、残りがFeである、請求項1に記載の引上式連続鋳造装置。
  3. 前記導出部材を加熱する加熱部をさらに備えた請求項1又は2に記載の引上式連続鋳造装置。
  4. 前記導出部材は、前記加熱部により500℃以下、30分以内で加熱される、請求項3に記載の引上式連続鋳造装置。
  5. 前記加熱部によって加熱された前記導出部材に向けてエアブローすることで当該導出部材の表面酸化膜を除去する酸化膜除去部をさらに備えた請求項3又は4に記載の引上式連続鋳造装置。
  6. 保持炉に保持されたアルミニウム又はその合金の溶湯の湯面に導出部材を接触させるステップと、
    前記導出部材により前記溶湯を導出して、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材を通過させるステップと、
    前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却するステップと、を備え、
    前記導出部材は鋳鉄によって構成される、引上式連続鋳造方法。
  7. 前記導出部材を構成する前記鋳鉄の組成は、Cが2.0質量%以上4.2質量%以下、Siが1.7質量%以上4.3質量%以下、Mnが0.9質量%未満、Pが0.2質量%未満、Sが0.2質量%未満、残りがFeである、請求項6に記載の引上式連続鋳造方法。
  8. 前記導出部材を前記湯面に接触させる前に当該導出部材を加熱するステップをさらに備えた、請求項6又は7に記載の引上式連続鋳造方法。
  9. 前記導出部材を500℃以下、30分以内で加熱する、請求項8に記載の引上式連続鋳造方法。
  10. 加熱された前記導出部材に向けてエアブローすることで当該導出部材の表面酸化膜を除去するステップをさらに備えた、請求項8又は9に記載の引上式連続鋳造方法。
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