JP5835659B2 - タンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜 - Google Patents
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Description
ウィルスクリアランス指数R=log((V1×T1)/(V2×T2))
V1 工程処理前の容量 T1 工程処理前のウィルス力価
V2 工程処理後の容量 T2 工程処理後のウィルス力価
(1)最大孔径10〜100nm
(2)グロブリン透過速度A>0.0015×最大孔径(nm)2.75
(3)グロブリン透過速度B/グロブリン透過速度A>0.2
(1)疎水性高分子と親水性高分子を含んでなり、粒子径20nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜厚部分の内周近傍と外周近傍に捕捉層を有し、膜厚部分が内周近傍から外周近傍にかけて密−疎−密な構造からなること、及び粒子径10nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜厚部分に金コロイドが捕捉されないことを特徴とするタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(2)前記内周近傍および外周近傍に存在する捕捉層の厚みが、1〜15μmであることを特徴とする(1)に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(3)前記内周近傍および外周近傍が、それぞれ中空糸膜の内表面および外表面から膜厚の30%までの範囲を指すことを特徴とする(1)に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(4)前記内周近傍および外周近傍が、それぞれ中空糸膜の内表面および外表面から膜厚の1〜30%の範囲を指すことを特徴とする(3)に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(5)前記内周近傍および外周近傍に存在する捕捉層の孔径が、10〜40nmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(6)内径が150〜400μm、膜厚が50〜100μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(7)疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(8)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(9)タンパク質溶液からウィルスを分離するために使用される膜であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
(10)純水の透過速度が10〜400L/(h・m2・bar)であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
本発明の多孔質中空糸膜は、粒子径20nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜断面の濾過方向に対して、中空糸膜の内周近傍と外周近傍に2つの捕捉層が存在すること、及び粒子径10nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜厚部分に金コロイドが捕捉されないことを特徴とする。「2つの捕捉層」とは、内周近傍と外周近傍のそれぞれに金コロイドを捕捉する層があることを意味する。具体的には、図1にあるような構造が「2つの捕捉層を持つ構造」である。
(1)IVIGをPBSで0.25%となるよう希釈し、pHを6.8に調整した。
(2)乾燥状態の中空糸膜にこの溶液を導入し、1.0barの濾過圧で、120分にわたって定圧濾過した。
(3)濾過開始から終了まで、20分、40分、60分、80分、100分、120分のポイントで濾過時間、濾液回収量を記録した。
紡糸・後処理によって得られた中空糸膜バンドルを使用して、中空糸膜水分率を次式[1]により算出した。
中空糸膜水分率[%]=100×(W1+W2)/W1 [1]
ここで、W1は紡糸・後処理によって得られた中空糸膜バンドルの重量(g)、W2はこの中空糸膜バンドルを、120℃の乾熱オーブンで2時間にわたって乾燥した絶乾状態の中空糸膜バンドルの重量(g)である。
中空糸膜を約30cmの長さに切断し、両末端をパラフィンフィルムで束ねて中空糸膜束を作製した。この中空糸膜束の両端をパイプ(スリーブ)に挿入し、ウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、両末端がスリーブで固定された両端開口ミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が30〜50cm2になるよう適宜設定した。
ポリ塩化ビニル製チューブ(約15cm長)の一方の端部に円筒状チップを、他方の端部に側管つき円筒状チップを装着した。この、両端にチップのついたポリ塩化ビニル製チューブに、約15cmの長さに切断した中空糸膜1本から5本を挿入し、中空糸膜内腔を塞がないように両端のチップ部分をシリコーン接着剤で固めた。この外筒つきミニモジュールは、端部のチップ部分から中空糸膜内腔へ液を導入することで中空糸膜の内腔から外壁方向への濾過(内−外濾過)ができる上、側管から液を導入することで外壁から内腔方向への濾過(外−内濾過)を行うこともできる。
モジュールの膜面積は中空糸膜の内周近傍の径を基準として求めた。次式[2]によってモジュールの膜面積A[m2]が計算できる。
A=n×π×d×L [2]
ここで、nは中空糸膜の本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径[m]、Lはモジュールにおける中空糸膜の有効長[m]である。
ミニモジュールの末端スリーブ2箇所(それぞれ内腔流入口、内腔流出口と称する)に回路を接続し、ミニモジュールへの液体の流入圧とミニモジュールからの液体の流出圧を測定できるようにした。純水を加圧タンクに入れて25℃に保温し、濾過圧が1.0bar程度になるようレギュレーターで圧力を制御しながら、ミニモジュールの内腔流入口に純水を導入して中空糸膜の内腔に純水を満たした。内面流出口に接続した回路(圧力測定点よりも下流)を鉗子で封じて流れを止め、モジュールの内腔流入口から入った純水を全濾過するようにした。引き続きミニモジュールへ純水を送り、30秒にわたって濾過を行い、膜の馴化を行った。馴化処理中の濾液は廃棄した。その後、中空糸膜外面から得られる濾液量を2分間にわたって回収し、その量を測定した。また、濾過実施時の内腔流入口側圧力Pi、内腔流出口側圧力Poを測定し、次式[3]で膜間圧力差(TMP)ΔPを得た。
ΔP=(Pi+Po)/2 [3]
濾過時間t[h]、TMPΔP[bar]、ミニモジュールの膜面積A[m2]、濾液量V[L]から次式[4]により純水Flux[L/(h・m2・bar)]を得た。
純水Flux=V÷t÷A÷ΔP [4]
日水製薬(株)社から市販されているダルベッコPBS(−)粉末「ニッスイ」9.6gを蒸留水に溶解して全量を1000mLとし、PBSを得た。この緩衝液で、田辺三菱製薬(株)社から市販されている献血ヴェノグロブリン−IHヨシトミを希釈し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でpHが6.8になるよう調整した。希釈、pH調整後の免疫グロブリン濃度は0.25%になるように調整した(以下この溶液をIVIG/PBSと略記する)。外筒つきミニモジュールの末端チップ2箇所(それぞれ内腔流入口、内腔流出口と呼称する)に回路を接続し、中空糸膜内腔への液導入出を可能にした。液導入側には液の流入圧を測定できるようにした。液導出側は鉗子で封じて流れを止め、モジュールの内腔流入口から入った液が全量濾過されるようにした。IVIG/PBSを加圧タンクに入れて25℃に保温し、濾過圧が1.0barになるようレギュレーターで圧力を制御しながら、外筒つきミニモジュールの内腔に導入した。中空糸膜外面から得られる濾過液は、チップの側管から回収した。濾液は、濾過開始から10分、20分、40分、60分、80分、100分、120分、の各時点(濾過開始からn分の時点をTnと呼称する)で容器を換えて受けた。この際、各画分の濾液回収量は、各点で重量を測定した。この際、各画分の濾液回収量は、電子天秤に表示された値から読み取った。Tn時点までのスループットTPn[L/m2]は、次式[5]で算出した。
TPn=Wn÷1.0÷A÷1000 [5]
ここで、Wは濾過開始n分時点の画分までの濾液回収量の総計[g]、1.0はIVIG/PBSの密度[g/cc]、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
上記の濾過試験で得た濾過時間Tn、その濾過時間の時点までのスループットTPnの数値を、パソコン上の表計算ソフト(マイクロソフト・エクセル)に入力し、「30L/m2濾過するまでにかかる時間」を算出した。
上記濾過試験で得た各画分の濾液、および被濾過液であるIVIG/PBSから、次式[6]で免疫グロブリン透過率Pを算出した。
P=100[%]×(濾液中のタンパク濃度)/(被濾過液IVIG/PBSのタンパク濃度) [6]
ここで、被濾過液IVIG/PBSのタンパク濃度および濾液中のタンパク濃度は280nmの吸光度を測定し、既知濃度の免疫グロブリン溶液で作成した検量線から濃度を算出した。
(1)試験用ファージ液の調製
既述の手法で調製したPBSで、シグマアルドリッチジャパン(株)社から市販されているAlbumin from bovine serum(製品番号A2153)を、0.1重量%となるよう溶解して0.1重量% BSA溶液(以下単にBSA溶液と称する)を得た。凍結保存した濃厚なφX174含有液(力価1〜10×109pfu/mL)を解凍し、このBSA溶液で100倍に希釈した。さらに、0.1μm孔径のメンブレンフィルターで濾過、凝集成分などを除去して試験用ファージ液とした。
外筒つきミニモジュールの末端チップ2箇所(それぞれ内腔流入口、内腔流出口と称する)に回路を接続し、中空糸膜内腔への液導入出を可能にした。液導入側には液の流入圧を測定できるようにした。液導出側は鉗子で封じて流れを止め、モジュールの内腔流入口から入った液が全量濾過されるようにした。試験用ファージ液を加圧タンクに入れて25℃に保温し、濾過圧が1.0barになるようレギュレーターで圧力を制御しながら、外筒つきミニモジュールの内腔に導入した。中空糸膜外面から得られる濾過液を、チップの側管から回収した。濾過は、中空糸膜面積1m2あたり300Lの濾液が得られるまで実施した。
10mM濃度のMgSO4水溶液に、660nmでの吸光度が4.0となるように大腸菌を懸濁させておいた(以下E.Coli液と称する)。また、寒天培地、トップアガーを準備し、あらかじめ50℃に暖めておいた。特にトップアガーは、流動性を保っておくよう注意した。試験用ファージ液をBSA溶液で適当に希釈した液10μLと、E.Coli液50μLを混和し、37℃で20分インキュベートして大腸菌にファージを感染させた。インキュベート完了後、この混合液全量を、トップアガー3mLと混和し、速やかに全量を寒天培地上に展開した。寒天培地上でトップアガーが完全に固化した後、37℃で2〜4時間インキュベートした。インキュベート完了後、寒天培地上のプラーク数をカウントし、希釈倍率を考慮して試験用ファージ液の力価(以下Tpreと略記する)[pfu/mL]を算出した。同様の手法で濾液のファージ力価(以下Tpostと略記する)を得た。
次式[7]により中空糸膜のファージクリアランス指数を算出した。ここで、Tpre[pfu/mL]とは評価用中空糸膜に導入した試験用ファージ液の力価であり、Tpost[pfu/mL]とは試験用ファージ液を評価用中空糸膜で濾過して得られた濾液のファージ力価である。
ファージクリアランス指数[LRV]=log10(Tpre/Tpost) [7]
上記と同様の方法で、中空糸膜面積1m2あたりの濾過量が200Lを超えた時点から濾液を回収し、この回収濾液を使用して上記の方法によりファージクリアランス指数を求めた。
(1)金コロイド分散液の調製
市販の10nmまたは20nm金コロイド均一液(シグマ社製)(微量のクエン酸含有、安定剤、分散剤は非含有)6mlと2.0%牛血清アルブミン(ナカライテスク社製)水溶液3mlを混合した後、0.4%グルタチオン(還元型)水溶液3mlを添加した。
ミニモジュールに、調製した10nmまたは20nm金コロイド分散液を1barの加圧下で濾過した。金コロイド分散液を10L/m2濾過した後に同量の蒸留水で再度濾過した。膜の断面について光学顕微鏡(キーエンス社製VHX−1000)を用いて、倍率500倍で金コロイドの捕捉状態を観察した。
前記20nmの金コロイドの捕捉試験を実施した膜を、光学顕微鏡を用いて500倍で観察した。金コロイドにより染まった部分の厚みを画像から求めた。具体的には、定規で任意に5点測定して平均値を捕捉層の厚みとした。
また、捕捉層の位置を以下の方法で測定した。20nmの金コロイドの捕捉試験を実施した膜を、光学顕微鏡を用いて500倍で観察した。内周近傍の捕捉層については、内表面から金コロイドにより染まった部分(最も内側)までの半径方向の距離を定規で5点測定して平均値を求め、これを後述する膜厚の測定で得られた膜厚で除して、位置を百分率で求めた。外周近傍の捕捉層については、外表面から金コロイドにより染まった部分(最も外側)までの半径方向の距離を定規で5点測定して平均値を求め、これを同様に膜厚で除して、位置を百分率で求めた。
前記11.(2)で濾過した10nmの金コロイド液を走査型電子顕微鏡(キーエンス社製VE−9800)を用いて10万倍で、n=50個の粒子サイズを測定し、その中から最大粒子サイズを求めた。この最大粒子サイズを緻密層の最小孔径とした。
次に、最大孔径はバブルポイント法で求めた。具体的には、片端を接着封止した中空糸膜モジュールをPorous Materials社製Galwickに浸漬し、中空側から加圧し、気泡が一定間隔で確認された圧力から、最大孔径を算出した。
最大孔径(nm)=28.6×15.9÷圧力値(bar)
中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon−V−12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
ミニモジュールの中空部側に加圧エアーを送り込み、中空糸膜がバーストする圧力(MPa)を読み取った。装置の能力上、最大加圧値は0.82MPaであり、この圧力でもバーストしない場合は、>0.82MPaという表記とした。
PES(BASF社製Ultrason(商品名)E6020P 還元粘度0.59)20重量部、BASF社製PVP(Luvitec(商品名)K90PH)6重量部、三菱化学社製NMP33.3重量部、三井化学社製TEG40.6999重量部、和光純薬工業製酢酸銅0.0001重量部を55℃で6時間にわたって混合、溶解し均一な溶液を得た。この際、系内は減圧、窒素送入を数回繰り返して窒素置換し、密閉した状態で溶液の調製を行った。溶液調製後、55℃で常圧−0.09MPaまで減圧した後、溶媒等が揮発して溶液組成が変化しないようにすぐに系内を密封して30分放置して脱泡を行った。さらに、溶液はタンクからノズルをつなぐ流路に設けられた減圧部分で連続的に脱泡された後、ノズルに導入した。この際、流路の温度は55℃、減圧部分の減圧度は常圧−0.050MPaであった。
BASF社製PVPを(Luvitec(商品名)K85PH)に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(B)を得た。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(B)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは4μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは11μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から17%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から25%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は12nm、最大孔径は36nmであった。中空糸膜(B)の詳細と評価結果を表1に示す。
ドラフト比を17.0に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(C)を得た。乾燥工程における中空糸膜表面の最高到達温度は60℃、乾燥中空糸膜の水分率は3.1%であった。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(C)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは5μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは12μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から19%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から26%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は11nm、最大孔径は36nmであった。中空糸膜(C)の詳細と評価結果を表1に示す。
捲上げ速度/引取り速度の比を1.20に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(D)を得た。乾燥工程における中空糸膜表面の最高到達温度は60℃、乾燥中空糸膜の水分率は3.6%であった。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周近傍及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周近傍及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(D)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは3μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは11μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から18%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から24%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は12nm、最大孔径は37nmであった。中空糸膜(D)の詳細と評価結果を表1に示す。
ドラフト比を3.5、捲上げ速度/引取り速度の比を1.15に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(E)を得た。乾燥工程における中空糸膜表面の最高到達温度は60℃、乾燥中空糸膜の水分率は2.9%であった。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(E)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは3μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは11μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から17%の位置、外周近傍の捕捉層は外表面から25%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は12nm、最大孔径は36nmであった。中空糸膜(E)の詳細と評価結果を表1に示す。
PESを住友ケムテック社製スミカエクセル(登録商標)5200P(還元粘度0.52)に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(F)を得た。乾燥工程における中空糸膜表面の最高到達温度は60℃、乾燥中空糸膜の水分率は3.6%であった。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(F)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは5μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは12μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から19%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から25%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は12nm、最大孔径は36nmであった。中空糸膜(F)の詳細と評価結果を表1に示す。
ポリスルホン系高分子をPSf(アモコ社製P−3500:還元粘度0.6)にした以外は実施例1と同様にして中空糸膜(G)を得た。10nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは捕捉されていなかった。また、20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉されていた。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、内周及び外周近傍は膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが、中央部は膜構造が疎であることが確認された。SEM観察を行ったところ、中空糸膜(G)の膜厚部分の中心領域は実質的に均質な構造、膜厚部分にマクロボイドを実質的に持たない構造であった。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは5μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは12μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から18%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から26%であった。さらに、捕捉層の最小孔径は11nm、最大孔径は36nmであった。中空糸膜(G)の詳細と評価結果を表1に示す。
ドラフト比を17.0、捲上げ速度/引取り速度の比を1.23に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(H)を得た。10nmまたは20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、20nmの金コロイドは内周及び外周近傍に捕捉され、さらには10nmの金コロイドも外周近傍に捕捉されていた。内周近傍に存在する捕捉層の厚みは6μm、外周近傍に存在する捕捉層の厚みは13μmであった。また、内周近傍に存在する捕捉層は内表面から17%の位置、外周近傍に存在する捕捉層は外表面から24%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は9nm、最大孔径は35nmであった。
また、純水フラックスは31L/(h・m2・bar)であり、実施例に比べて大きく低下し、免疫グロブリン透過率も93%と低くなった。これらの結果から、ドラフト比が大き過ぎると、適度な配向のレベルを越え、膜の孔が変形してしまい、10nm金コロイドの捕捉、フラックスの低下、有用タンパク質の透過性の低下が引き起こされた可能性がある。
免疫グロブリン透過率が95%を下回ると、濾過によるタンパク質ロスが大きくなり、生産性が低下することとなり、実用的ではない。中空糸膜(H)の詳細と評価結果を表1に示す。
ドラフト比を2.0、捲上げ速度/引取り速度の比を0.98に変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜(I)を得た。10nmまたは20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、10nmの金コロイドは捕捉されておらず、一方20nmの金コロイドは外周近傍にのみ捕捉されていた(図2)。また、透過型電子顕微鏡で観察したところ、外周近傍のみ膜構造が密(黒色及び灰色部)であったが(図10)、内周近傍や中央部は膜構造が疎であることが確認された(図7、図8及び図9)。外周近傍に存在する捕捉層の厚みは9μmであった。外周近傍に存在する捕捉層は外表面から25%の位置であった。さらに、捕捉層の最小孔径は13nm以上、最大孔径は42nmであった。
また、中空糸膜面積1m2あたりの濾過負荷量300L時点のバクテリオファージφX174のクリアランス指数(以下φX174−CL300と略記する)を測定した結果、3.1と低く、ウィルス除去膜として不十分な性能であった。これらの結果から、ドラフト比が小さすぎると、中空糸膜の外周近傍の配向及び内周近傍の配向が同時に発生せず、それぞれが緻密な膜構造に導かれなかったため、外周近傍にしか金コロイドの捕捉層は発現せず、ウィルスの除去効果が十分に発揮されなかった可能性がある。中空糸膜(I)の詳細と評価結果を表1に示す。
特許文献6における実施例1(PESは住友ケムテック社製スミカエクセル4800P:還元粘度0.48を使用)に記載の中空糸膜を中空糸膜(J)とした。20nmの金コロイド捕捉試験を実施した膜断面を光学顕微鏡によって観察した結果、20nmの金コロイドはどこにも捕捉されていなかった。
また、中空糸膜面積1m2あたりの濾過負荷量300L時点のバクテリオファージφX174のクリアランス指数を測定した結果、3.5と低く、ウィルス除去膜として不十分な性能であった。
これらの結果から、還元粘度が低い疎水性高分子、換言すると分子量が低い疎水性高分子を用いると中空糸膜製膜時に均質な構造が形成されず、ファージクリアランスが低下した可能性がある。中空糸膜(J)の詳細と評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 疎水性高分子と親水性高分子を含んでなり、粒子径20nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜厚部分の内周近傍と外周近傍に捕捉層を有し、膜厚部分が内周近傍から外周近傍にかけて密−疎−密な構造からなること、粒子径10nmの金コロイド粒子を定圧濾過した時、膜厚部分に金コロイドが捕捉されないこと、及び純水の透過速度が10〜400L/(h・m 2 ・bar)であることを特徴とするタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 前記内周近傍および外周近傍に存在する捕捉層の厚みが、1〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 前記内周近傍および外周近傍が、それぞれ中空糸膜の内表面および外表面から膜厚の30%までの範囲を指すことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 前記内周近傍および外周近傍が、それぞれ中空糸膜の内表面および外表面から膜厚の1〜30%までの範囲を指すことを特徴とする請求項3に記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 前記内周近傍および外周近傍に存在する捕捉層の孔径が、10〜40nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 内径が150〜400μm、膜厚が50〜100μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- 親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
- タンパク質溶液からウィルスを分離するために使用される膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のタンパク質含有液処理用多孔質中空糸膜。
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