JP5826464B2 - 加工顔料の製造方法、および顔料分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)前記顔料を処理する際に、1個以上の酸基と1個以上の芳香環とを有する化合物aをさらに使用する上記の加工顔料の製造方法。
(2)前記化合物aが、前記顔料の骨格と同一の骨格、或いは、前記顔料の骨格に類似の骨格、或いは、前記顔料を構成するいずれかの骨格と同一の骨格を有する上記の加工顔料の製造方法。
(3)前記顔料を処理する際に、酸基を有するα,β−不飽和結合含有単量体を少なくとも構成成分とするアニオン型重合体である樹脂Bをさらに使用する上記の加工顔料の製造方法。
(4)前記顔料が、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、インディゴ系、ジケトピロロピロール系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アンタンスロン系、ジオキサジン系、インダスレン系、ベンツイミダゾロン系、アゾメチン系、アンスラキノン系およびアゾ金属錯体系からなる群から選択された1種である上記の加工顔料の製造方法。
(5)前記それぞれの酸基が、独立して、カルボン酸基、リン酸基およびスルホン酸基の少なくともいずれかである上記の加工顔料の製造方法。
(1)前記顔料分散剤が、ポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリスチレンアクリル系、ポリアクリルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエーテルリン酸エステル系およびポリエステルリン酸エステル系の少なくともいずれかである上記の顔料分散体。
(2)塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、インクジェットインク、文具用インク、湿式トナー、繊維原着、画像表示ディスプレー用カラー、コーティング剤またはUVコーティング剤のいずれかに用いられる着色剤である上記の顔料分散体。
<顔料>
まず、使用される顔料について説明する。顔料は従来公知のものが使用されるが、特に好ましくは、有機顔料である。
有機顔料としては、溶性アゾ、不溶性アゾ、ジスアゾなどのアゾ系;シアニン系;銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、それらの塩素化物、臭素化物などのフタロシアニン系;キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドンなどのキナクリドン系;インディゴ系;ジケトピロロピロール、ジクロロジケトピロロピロール、ジメチルジケトピロロピロールなどのジケトピロロピロール系;ペリレン系;ペリノン系;イソインドリン系;イソインドリノン系;キノフタロン系;アンタンスロン系;ジオキサジン系;インダスレン系;ベンツイミダゾロン系;アゾメチン系;アンスラキノン系;ニッケルアゾなどのアゾ金属錯体系の赤系、青系、黄系、緑系、紫系、橙系、黒系の顔料が挙げられる。また、これらの顔料のうち2種以上の固溶体であってもよく、これらの各種の構造結晶体を使用できるが、これらの構造を有する顔料であれば特に限定されない。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッドが挙げられ、下記のナンバーのものが使用できる。すなわち、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などである。
次に、顔料を被覆する樹脂Aについて説明する。本発明に用いる樹脂Aは、アミノ基を有するα,β−不飽和結合含有単量体と、酸基を有するα,β−不飽和結合含有単量体とを少なくとも構成成分として得られるアニオンカチオン型重合体である。該樹脂Aは、顔料、好ましくは微粒子化された顔料表面を被覆する。この被覆は、樹脂Aの構造中のアミノ基と酸基とがイオン結合を形成して樹脂同士が結合することによって、また、必要に応じて、後述する酸基を有する化合物aを併用した場合は、上記に加えて該化合物a中の酸基と樹脂A中のアミノ基とがイオン結合を形成することによってなされるため、微粒子を構成する被覆された樹脂Aは油性液媒体に不溶のものになる。この結果、該樹脂Aを被覆することで、その顔料は、安定性、微粒子形状、熱安定性を持つものとなる。
樹脂Aの酸基、樹脂B或いは化合物aの各酸基の酸性度をそれぞれ、pKa(A酸)、pKa(B酸)、pKa(a酸)、樹脂Aのアミノ基、樹脂Aまたは樹脂Bの酸基を中和するアルカリ物質、の塩基性度をそれぞれ、pKa(Aアミノ)、pKa(中和アルカリ)とすると、次の関係が成り立つ方が好ましい。
pKa(a酸)<pKa(A酸)=pKa(B酸)
pKa(Aアミノ)>pKa(中和アルカリ)
以上のようにして、本発明に使用される樹脂Aを得る。
続いて、本発明で用いる化合物aについて、説明する。本発明の製造方法では、顔料と樹脂Aとを用いて加工顔料を得る際に、他の化合物として、酸基と芳香環とをそれぞれ1つ以上有する化合物aを使用することが好ましい。この化合物aは、その構造中の芳香環によって顔料に著しく吸着して、顔料表面を酸性にするものであり、その構造中の酸基によって顔料表面に酸基を導入するものである。この化合物aにより導入された顔料表面の酸基は、樹脂Aのアミノ基とイオン結合するように働く。また前記したように、樹脂A中のアミノ基と酸基とがイオン結合して樹脂同士が結合し、さらに、上記した化合物aによって導入された顔料表面の酸基と樹脂A中のアミノ基とが結合することで、樹脂Aは、より強固に顔料との被覆を形成することができる。
例えば、モノスルホン化銅フタロシアニン、テトラスルホン化銅フタロシアニン、スルホン化ジメチルジケトピロロピロール、スルホン化ジケトピロロピロール、スルホン化ジメチルキナクリドン、スルホン化ジメチルキナクリドン、スルホン化ジクロロキナクリドン、スルホン化臭素化銅フタロシアニン、スルホン化塩素化銅フタロシアニン、スルホン化アゾ化合物などである。また、顔料類似構造としては、特開2001−271004号公報、特開2005−097562号公報、特開2006−232867号公報、特開2006−265528号公報、特開2006−299050号公報、特開2006−321979号公報、特開2007−023266号公報、特開2004−91497号公報などに記載のスルホン化化合物;それらを構成する構造の一部のスルホン酸基を導入したものが挙げられる。これらは、原料にスルホン酸基を有するものを使用したり、得られた顔料を硫酸に溶解させてスルホン化させたり、亜硫酸ガスにてスルホン化させたりすることで得ることができる。
次に、本発明において、顔料の処理の際に必要に応じて使用される樹脂Bについて説明する。樹脂Bは、本発明で必須の樹脂Aともに添加する他の樹脂であって、酸基を有するアニオン型重合体であり、1種以上を使用できる。これは、樹脂Aだけではそのイオン結合が多く、結合した樹脂Aによる皮膜が硬くなり過ぎる場合に、樹脂Bにクッション剤的な役割を果させるといった目的で添加するものである。さらには、他の官能基の表面導入や、樹脂Aだけからなる皮膜では量が少ないときに使用して樹脂量を増加させることで顔料分を下げる目的で、また、顔料表面に樹脂由来の官能基を付与することを目的として添加するものである。
樹脂Aと樹脂Bの比率においては、特に限定されず、その構造中における酸基とアミノ基の量によって一概には言えないが、総樹脂量を100とした場合に、質量基準で、例えば、A:B=100:0〜1:99、好ましくは、A:B=100:0〜40:60である。
本発明の加工顔料を得る方法としては、以下の2つが挙げられる。
(1)微細化された顔料、またはその水ペースト、さらに、必要に応じて化合物aを添加した顔料または水ペーストを、その酸基またはアミノ基を中和して得られる樹脂Aの水溶液、さらに必要に応じてその酸基を中和して得られる水溶液の樹脂Bを使用して、顔料を水性分散する。その後、樹脂の酸基をアルカリ物質で中和している場合は酸物質を、樹脂Aのアミノ基を酸性物質で中和している場合は、アルカリ物質を加えて、pHを変化させることで樹脂を析出させ、顔料を樹脂で被覆する方法。
上記した方法(1)で用いる顔料には、微細化された顔料を用いるが、微細化の方法(微細化工程)は特に限定されない。例示すると、ニーダー、押出し機、ボールミルなどの従来公知の混練機によって、常温でまたは加熱して30分〜60時間、好ましくは1時間〜12時間混練する。また必要に応じて、その系中に微細化するための微細なメディアとして炭酸塩、塩化物塩を併用して、さらに潤滑的などに行うためにグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの粘性のある溶剤を併用して行うことが好ましい。塩は、顔料に対して1倍〜30倍、好ましくは2倍〜20倍の量を使用する。顔料の水ペーストは、この得られた顔料と塩などの複合物を水に析出させ、十分に塩などを除去することで得られる。
上記のようにして得られた単独の微細化顔料は、目的の色度に合わせ、主顔料と1種または2種以上の補色顔料と組み合わせて微細化されてもよく、また、微細化された個々の顔料を同時に脱塩して混合物のペーストとしてもよい。
これらの添加は、顔料を微細化する際に予め、または、顔料をある程度微細化した後に添加する、または、樹脂Aのみ添加した状態で顔料を微細化した後、樹脂Bを入れてさらに混練する方法などが取れる。その後、目的の微粒子形状にした後、水に出して塩を除去したり、酸性水やアルカリ水に出して樹脂を析出させつつ塩を除去したりして行う。より好ましい方法としては、顔料と、化合物aとを入れて混練し、顔料がある程度微細化された後、樹脂Aを入れて混練し、さらに樹脂Bを入れて混練するほうがよい。このようにすれば、顔料に化合物aが吸着した後、樹脂Aが化合物aの酸基を介して顔料とイオン結合をし、さらに樹脂Bにて処理されることとなるからである。この方法では、次いで、前記したように、ろ過、洗浄、乾燥して加工顔料を得ることができる。
本発明の加工顔料は、以上の2つの方法で得ることができる。
この際に使用する分散剤としては、ポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリスチレンアクリル系、ポリアクリルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテルリン酸エステル系、ポリエステルリン酸エステル系が使用でき、その構造であれば特に限定されない。
[合成例1]
攪拌機、逆流コンデンサー、温度計、窒素導入管、滴下装置を取り付けた反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテル100部、工業用エタノール100部添加し、湯浴にて80℃に加温した。別容器にスチレン(以下、Stと略記)50部、アクリル酸ブチル70部、メタクリル酸(以下、MAAと略記)40部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(以下、DMAEMAと略記)40部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略記)2.8部仕込んで開始剤をモノマーに溶解させた。
この中和前の樹脂溶液をサンプリングし、分子量をGPCで測定したところ、その数平均分子量で8,300であった。またこの樹脂中の理論酸価は127.3mgKOH/g、理論アミン価は71.4mgKOH/gである。これをアニオンカチオン型重合体−1(樹脂Aに該当)とする。
表1に示すモノマー組成で、合成例1と同様にして、樹脂Aであるアニオンカチオン型重合体−2〜−4を得た。得られた樹脂の組成、性状を表1に示す。
攪拌機、逆流コンデンサー、温度計および窒素導入管を取り付けた反応容器に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、DMDGと略記)200部、ヨウ素5.0部、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、V−70と略記)24.2部、BzMA120部、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略記)30部およびN−ヨードコハク酸イミド(以下、NISと略記)0.1部を仕込んで、窒素バブリングしながら45℃で4時間重合させて第1ブロック部を合成した。サンプリングし固形分を測定し、不揮発分から換算した重合転化率は100%であった。また、GPCでの可視光検出機(以下、RIと略記)におけるMnは7,400であり、PDIは1.22であった。
また、この樹脂中の理論酸価は97.8mgKOH/g、理論アミン価は35.7mgKOH/gである。これをアニオンカチオン型重合体−5とする(樹脂Aに該当)。
[合成例6〜8]
合成例1と同様にして、樹脂Bであるアニオン型重合体−1〜−3を得た。得られた樹脂の組成、性状を表2に示す。
合成例5と同様の反応装置にDMDGを200部、ヨウ素5.0部、V−70を24.2部、BzMAを130部、MMAを30部およびNISを0.1部仕込んで、窒素バブリングしながら45℃で4時間重合させて第1ブロック部を合成した。サンプリングし固形分を測定し、不揮発分から換算した重合転化率は100%であった。また、GPCでのRIにおけるMnは7,300であり、PDIは1.24であった。
また、この固形分(樹脂)中の理論酸価は130.4mgKOH/gである。これをアニオン型重合体−4(樹脂Bに該当)とする。
[配合例1]
市販のジケトピロロピロール系赤色顔料(C.I.P.R.254)100部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を3Lのニーダーに投入し、温度が80℃〜100℃を保つように調整し、8時間磨砕して、混練物R−1を得た。得られた混練物R−1の800部を2,000部の水に投入し、4時間、高速攪拌した。次いで、ろ過、洗浄を行い、混合顔料の水ペースト(顔料純分29.3%)を得た。これを混練物R−1と称す。
配合例1に、さらにモノスルホン化ジケトピロロピロール(平均スルホン酸基量0.5個/1分子)5部を加えて、同様にして混練物R−2を得た。固形分は顔料純分で23.5%であった。
市販のニッケルアゾ系黄色顔料(C.I.P.Y.150)100部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を3Lのニーダーに投入し、温度が80℃〜100℃を保つように調整し、8時間磨砕して、混練物Y−1を得た。この混練物Y−1を用い、配合例1と同様の方法で水ペーストを得た。固形分は、顔料純分で30.2%であった。
市販のブロム化フタロシアニン系緑色顔料(C.I.P.G.36)100部、分散剤として、特開2001−271004号公報の合成例に記載のアントラキノン系化合物(化学式1)6部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を3Lのニーダーに投入し、温度が100℃〜120℃を保つように調整し、8時間磨砕して、混練物G−1を得た。そして、配合例1と同様にして後処理した。固形分は、顔料純分で37.2%であった。
市販のε型フタロシアニン系青色顔料(C.I.P.B.15:6)100部、モノスルホン化銅フタロシアニン5部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を3Lのニーダーに投入し、温度が100℃〜120℃を保つように調整し、8時間磨砕して、混練物B−1を得た。そして、配合例1と同様にして後処理を行った。固形分は、顔料純分で24.1%であった。
市販のジオキサジン系紫色顔料(C.I.P.V.23)100部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を3Lのニーダーに投入し、温度が60℃〜80℃を保つように調整し、8時間磨砕して、混練物V−1を得た。配合例1と同様にして処理して、固形分が顔料純分で32.6%の水ペーストを得た。
配合例1〜6の水ペーストを、そのまま乾燥、粉砕して、樹脂処理の無い比較顔料を作成した。
配合例1で得た混練物R−1を100部、合成例1で得たアニオンカチオン型重合体−1(樹脂A)を7.1部、水39.4部を加え、ディスパーにて混合攪拌した。次いで、ガラス瓶にビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを500部充填させ、ペイントコンディショナーにて5時間分散させ、顔料を微分散させた。これをメンブランフィルターにてろ過して粗大粒子を除去し、プレ水性顔料分散液を得た。このとき、TEM観察による一次粒子の平均粒子径は約46nmであった。
配合例2で得た、PR−254混練物を100部、合成例2で得たアニオンカチオン型重合体−2(樹脂A)を5.6部、水を11.9部添加して、実施例1と同様にして3時間分散した。次いで、合成例6で得たアニオン型重合体−1(樹脂B)を5.74部添加してさらに2時間分散した。次いで、実施例1と同様にして、プレ水性顔料分散液を得た。この時の平均粒子径は45nmであった。これを実施例1と同様にして析出させ、加温攪拌、乾燥、粉砕して、本実施例の加工顔料R−2を得た。
実施例1または2と同様にして、下記表3の如き構成の加工顔料をそれぞれ得た。
市販のアンスラキノニール系赤色顔料(C.I.P.R.177)100部、ジエチレングリコール200部、食塩700部を、3Lのニーダーに投入し、予備的に混合攪拌させ、次いで、アニオンカチオン型重合体−2(樹脂A)を23.8部添加して、温度が80℃〜100℃に保たれるように調整し、8時間磨砕した。次いで、水2,000部に酢酸6部を溶解させた浴に、高速攪拌しながらこの混練物を徐々に添加して、樹脂を析出させた。次いで、ろ過してイオン交換水でよく洗浄した後、乾燥して粉砕した。この平均粒子径は32nmであった。これを加工顔料R−5とする。
[実施例10]
アクリル樹脂ワニス50部に、先に得た加工顔料R−1を15部、ポリエステルポリアミド系分散剤を10部、およびPGMAcを25部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、本発明の顔料分散体を得た。上記のアクリル樹脂ワニスには、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=70/15/15のモル比で重合させて得られたものであり、その分子量12,000、酸価97.8mgKOH/gであり、固形分40%のPGMAc溶液を用いた。また、上記のポリエステルポリアミド系分散剤には、12−ヒドロキシステアリン酸を開始剤とするポリカプロラクトンとポリエチレンイミンの反応生成物(固形分46%)を用いた。
実施例1の加工顔料に変えて、それぞれ、加工顔料R−2、R−3、R−4、R−5、Y−1、G−1、B−1、V−1をそれぞれ用いた以外は実施例10と同様にして、実施例11〜13、15〜18、参考例14の各色の顔料分散体を得た。
上記のようにして得た、実施例及び参考例の各色の顔料分散体の顔料の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は、凡そ40〜55nmであり、加工顔料を得る中間段階でのプレ水性顔料分散液における粒子径と同等になるまで微分散されていることが確認できた。また、それぞれの顔料分散体の粘度を測定した。顔料分散体の粒子径と粘度を表4にまとめた。
比較例1〜6で得た樹脂処理していない各顔料を用いた以外は実施例10と同様にして、比較顔料分散体をそれぞれに得た。得られた各色の顔料分散体の顔料の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は凡そ30〜50nmであり、混練後の微細化された粒子径を与える微分散された顔料分散体であることを確認した。また、粘度も低粘度あった。
実施例10において、顔料として、加工顔料R−1に変えて加工顔料B−1を使用し、溶剤として、PGMAcに変えてブチルカルビトールアセテートを使用し、分散剤を、ポリウレタン系分散剤(ポリカプロラクトン、ジメチルアミノエチルアミン、トルエンジイソシアネート、トリメチロールプロパンの反応生成物)に変えた以外は実施例10と同様にして、顔料分散体B−2を得た。得られた顔料分散体は、平均粒子径は52nmであり、粘度は26.0mPa・sであった。
実施例19において、溶剤を酢酸ブチルとブタノール(91/10質量比)に変え、分散剤をBYK−2001(アミン価を持ったアクリル系ブロック共重合体)に変えた以外は、実施例19と同様にして、顔料分散体B−3を得た。得られた顔料分散体は、平均粒子径は48nmであり、粘度は20.3mPa・sであった。
実施例10〜19で得た本発明の顔料分散体を、画像表示用ディスプレー用カラー(着色剤)として使用して、それぞれRGBのカラーフィルターを作成した。得られたカラーフィルターは、優れた分光カーブ特性を有し、耐光性、耐熱性などの堅牢性に優れ、コントラストや光透過性にも優れた性質を有し、画像表示として優れた性質を示した。特に、このカラーフィルター板を270℃、10分間加温したところ、すべての顔料分散体において、その加温前と加温後のコントラストの保持率はすべて80%であり、優れた耐熱性となり、熱にも耐えうる微粒子化状態を得ることができた。
実施例20の顔料分散体B−3を250部、アクリル樹脂溶液を250部、エタノールを286部、メチルシクロヘキサンを60部混合攪拌して、インキを作成した。上記アクリル樹脂溶液としては、メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/アクリロイロキシエチルフタレート/メタクリル酸ラウリル共重合体を、エタノール/シクロヘキサン混合溶媒(固形分40%)に溶解したものを用いた。得られたインキの粘度は5.9mPa・sであり、50℃で1週間保存しても粘度変化は4.3%と低く、顔料の沈降も見られなかった。次に、このインキを繊維束の芯を有するペン体に詰めてポリエチレンフィルムに筆記したところ、良好に筆記できた。
実施例19の顔料分散体B−2を100部、応用例2で使用したアクリル樹脂溶剤250部および添加溶剤をブトキシカルビトールアセテートに変えて346部を混合攪拌してインキを作成した。次いでこの100部を、エトキシプロパノール20部、ベンジルアルコール5部を加えてインク化して、インクジェット印刷機にて印刷したところ、良好な印刷物が得られた。
Claims (9)
- ニーダー、押出し機、ボールミルなどの混練機で微細化処理して微粒子状にした有機顔料を、少なくとも樹脂Aと化合物aでさらに処理することで、少なくとも該樹脂Aと化合物aにて被覆されてなる加工顔料を得る際に、
上記樹脂Aとして、アミノ基を有するα,β−不飽和含有単量体、および、酸基を有するα,β−不飽和結合含有単量体を構成成分とするアニオンカチオン型重合体を用い、
上記化合物aとして、1個以上のカルボン酸基、スルホン酸基またはリン酸基のいずれかの酸基と、1個以上の芳香環とを有する化合物(但し、酸基を有するモノマーのポリマー、または酸基を有さないモノマーを酸基を有する重合開始剤によって重合したポリマーである場合を除く)を用い、かつ
有機顔料表面に導入した上記化合物aの酸基を介して、上記樹脂Aと有機顔料が結合して、樹脂Aと化合物aにて有機顔料が被覆されるように、
上記微粒子状にした有機顔料として、上記微細化処理時に顔料表面に上記化合物aを吸着させてなる有機顔料を用い、該有機顔料を含む水ペースト、或いは、上記微粒子状にした有機顔料に、さらに上記化合物aを添加した水ペースト、のいずれかを、
上記樹脂Aの酸基またはアミノ基を中和して得られる樹脂Aを含有した水系液媒体中で、混合攪拌および/または水性分散させた後、樹脂Aを析出させて、樹脂Aと化合物aにて有機顔料を被覆させる工程を有することを特徴とする加工顔料の製造方法。 - 前記化合物aが、C.I.ナンバーの顔料構造に、スルホン酸基、カルボン酸基またはリン酸基を導入したものである請求項1に記載の加工顔料の製造方法。
- 前記化合物aの酸基が、スルホン酸基である請求項1又は2に記載の加工顔料の製造方法。
- 前記樹脂Aを含有した水系液媒体中に、酸基を有するα,β−不飽和結合含有単量体を少なくとも構成成分とするアニオン型重合体である樹脂Bをさらに添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工顔料の製造方法。
- 前記有機顔料が、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、インディゴ系、ジケトピロロピロール系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アンタンスロン系、ジオキサジン系、インダスレン系、ベンツイミダゾロン系、アゾメチン系、アンスラキノン系およびアゾ金属錯体系からなる群から選択された1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工顔料の製造方法。
- 前記樹脂Aの酸基が、カルボン酸基、リン酸基またはスルホン酸基の少なくともいずれかであり、かつ、該樹脂Aの酸基よりも前記化合物aの酸基が強酸基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の加工顔料の製造方法。
- 前記有機顔料と前記樹脂Aとの比率が、質量基準で、50/50〜99/1になるようにする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加工顔料の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の加工顔料の製造方法で加工顔料を得た後に、得られた加工顔料を、顔料分散剤によって油性の有機溶剤を主成分とする液媒体中に分散することを特徴とする顔料分散体の製造方法。
- 前記顔料分散剤が、ポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリスチレンアクリル系、ポリアクリルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエーテルリン酸エステル系およびポリエステルリン酸エステル系の少なくともいずれかである請求項8に記載の顔料分散体の製造方法。
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