以下、本発明に係る撮影用電子機器および撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、撮影用電子機器が放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector:FPD)である場合について説明するが、たとえばデジタルカメラ等でもよく、本発明は、撮影用電子機器が放射線画像撮影装置である場合に限定されない。
[撮影用電子機器の例としての放射線画像撮影装置の構成例について]
まず、撮影用電子機器の例として、放射線画像撮影装置1の構成例について説明する。図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて構成されている。本実施形態では、筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、内蔵電源であるキャパシター24(図2や後述する図4参照)の状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の反対側の蓋部材2Cに、放射線画像撮影装置1が外部装置と信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置41(後述する図4参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込まれるようにして設けられている。
なお、例えば図3に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクター39に、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCを接続し、ケーブルCa等を介して外部装置との信号等の送受信を有線方式で行うように構成することも可能である。
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やキャパシター24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されており、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
図示を省略するが、基板4の検出部P上には、フォトダイオード等からなる複数の撮像素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されており、各撮像素子7にスイッチ手段としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8や走査線5、信号線6、バイアス線9等が接続されている。また、シンチレーター3が、基板4の検出部Pに対向するように設けられるようになっている。
放射線画像撮影装置1の回路構成を、図4に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態では、複数の撮像素子7が基板4上に二次元状に配列されて検出部Pが形成されている。また、各撮像素子7の第2電極7bにはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。そして、バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各撮像素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧を印加するようになっている。
走査駆動手段15では、電源回路15aからゲートドライバー15bに配線15cを介してオン電圧やオフ電圧が供給され、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、各撮像素子7からの画像データの読み出し処理等を行うようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されており、読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。
そして、例えば、各撮像素子7からの画像データの読み出し処理の際には、ゲートドライバー15bからオン電圧が印加された走査線5に接続されているTFT8がオン状態になり、オン状態になったTFT8に接続されている撮像素子7から信号線6に電荷が放出され、放出された電荷が読み出し回路17の増幅回路18で電荷電圧変換される。
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路19で、撮像素子7から電荷が放出される前後の増幅回路18からの出力値の差分を算出し、算出した差分をアナログ値の画像データとして出力する。そして、出力されたアナログ値の画像データが、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて出力され、記憶手段23に順次保存される。このようにして、各撮像素子7からの画像データの読み出し処理が順次行われる。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたマイクロコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。
また、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、前述した電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、インジケーター40(図1参照)等も接続されている。
また、制御手段22には、制御手段22や走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのキャパシター24が接続されている。
放射線画像撮影装置1では、このように、内蔵電源として、リチウムイオンキャパシターや電気二重層キャパシター(電気二重層コンデンサー等ともいう。)等のキャパシター(capacitor)24が用いられている。そして、本実施形態では、キャパシター24としてリチウムイオンキャパシター(LIC)が用いられている。
[放射線画像撮影装置のキャパシター部分の構成等について]
次に、撮影用電子機器としての放射線画像撮影装置1のキャパシター24の近傍に設けられた各機能部の構成等について説明する。図5は、図4におけるコネクター39からキャパシター24を経て制御手段22に至る部分の構成等を表すブロック図である。
なお、図5では、放射線画像撮影装置1のコネクター39と充電装置BCのコネクターCとが接続された状態でキャパシター24の充電が行われる状態が示されている。充電装置BCとしては、放射線画像撮影装置1の充電に使用されるクレードルを用いることも可能であり、また、他の充電装置を用いることも可能である。
図5に示すように、本実施形態では、コネクター39とキャパシター24の間には、キャパシター24の充電が行われる際に、充電装置BCからキャパシター24に供給される充電電流Iを制御してキャパシター24の充電制御を行う充電制御回路80が設けられている。なお、この充電制御回路80は、充電装置BC側に設けられていてもよい。
本実施形態では、充電制御回路80は、撮影用電子機器である放射線画像撮影装置1のキャパシター24の充電の仕方を、図6に示すように、充電電流Iが一定になるように充電を行う定電流充電を行った後、充電電圧Vが一定になるように充電を行う定電圧充電に切り替えるようになっている。
具体的には、充電制御回路80は、キャパシター24に充電されている充電電圧V(図6の右側の目盛りおよび破線参照)が予め設定された目標電圧V0よりも小さい場合には、キャパシター24に供給する充電電流Iの電流値が一定になるように制御して定電流充電を行う。そして、キャパシター24の充電電圧Vが目標電圧V0に達すると、充電制御回路80は、今度は、キャパシター24に対する充電の仕方を定電圧充電に切り替える。
上記のように定電流充電を行って、検出したキャパシター24の充電電圧Vが目標電圧V0に達したとしても、キャパシター24の内部抵抗等による電圧降下が存在するため、キャパシター24の実際の充電電圧Vは、実際には目標電圧V0には達していない。そこで、充電制御回路80は、充電の仕方を切り替えた後の定電圧充電時には、キャパシター24の充電電圧Vが目標電圧V0を維持するように充電電流Iを制御しながら定電圧充電を行う。
そして、本実施形態では、充電制御回路80は、キャパシター24に供給する充電電流Iが次第に減衰して非常に小さくなり、予め設定された閾値以下になった時点で、キャパシター24の充電を終了するようになっている(図6の時刻t1参照)。
また、図5に示すように、キャパシター24と制御手段22との間には、放射線画像撮影装置1用の電源生成回路25が設けられている。
電源生成回路25は、通常の状態、すなわち放射線画像撮影装置1が充電装置BCに接続されていない非充電時には、キャパシター24から供給される電力を、制御手段22やセンサーパネルSPにおける走査駆動手段15や読み出し回路17、バイアス電源14(図4参照)等の各機能部に供給する際に、各機能部で要求される適切な状態に電力を生成して供給するようになっている。
また、キャパシター24の充電時には、電源生成回路25は、充電制御回路80を介して充電装置BCからキャパシター24に供給される充電電流Iの一部が電源生成回路25にも供給されるようになっている。そして、電源生成回路25は、供給されたこの充電電流Iの一部を、制御手段22等の各機能部で必要な形の電流に変換して供給するようになっている。
[推定手段や撮影禁止電圧設定手段等について]
本実施形態では、前述した放射線画像撮影装置1の制御手段22が、推定手段や撮影禁止電圧設定手段としても機能するように構成されている。以下、推定手段や撮影禁止電圧設定手段等としての制御手段22における処理構成等について説明する。
なお、推定手段や撮影禁止電圧設定手段を、制御手段22とは別体に形成することも可能である。
[推定手段での推定処理について]
以下、まず、推定手段としての制御手段22でのキャパシター24の容量Cの推定処理について説明する。
推定手段としての制御手段22は、上記のようにしてキャパシター24に対して充電が行われる際に、キャパシター24に充電されている充電電圧Vの変化を監視し、充電電圧Vの変化に基づいてキャパシター24のその時点での容量Cを推定するようになっている。キャパシター24の容量Cの推定方法の例について、以下、具体的に説明する。
本実施形態では、前述したように、充電時に、充電制御回路80は、最初に定電流充電を行う。推定手段としての制御手段22は、この定電流充電の際に、キャパシター24の容量Cの推定処理を行うようになっている。
前述したように、充電制御回路80からキャパシター24に供給される充電電流Iの一部が電源生成回路25に供給される。以下では、電源生成回路25に供給される充電電流Iの一部を、充電の際に放電される電流という意味で放電電流Idという。また、充電制御回路80がキャパシター24に対して定電流充電を行う際に予め設定される一定の電流の電流値を充電電流設定値Icsetという。
この場合、定電流充電時に、充電制御回路80から出力された充電電流設定値Icsetのうち、放電電流Id分が電源生成回路25に供給され、キャパシター24には供給されないため、キャパシター24には、
Ic=Icset−Id …(1)
の電流Icが供給されることになる。
その際、放射線画像撮影装置1のキャパシター24に対して定電流充電を行う場合には、充電制御回路80から出力される充電電流設定値Icsetは、予め一定の電流値が設定される。また、定電流充電の際に、放射線画像撮影装置1内の各機能部で消費される電力は一定の値になるため、充電制御回路80から電源生成回路25に供給される上記の放電電流Idの値も一定の電流値になる。
そのため、予め放電電流Idの大きさが分かっていれば、放電電流Idの値と設定された充電電流設定値Icsetの値とを上記(1)式に代入することで、実際にキャパシター24に供給されている電流Icの大きさが分かる。
一方、本実施形態では、図5に示すように、キャパシター24に充電されている充電電圧Vの情報が、推定手段としての制御手段22に入力されるようになっている。なお、図5では、充電電圧Vの情報をキャパシター24から直接入手する場合が示されているが、例えば充電制御回路80が検出したキャパシター24の充電電圧Vの情報を制御手段22に送信するように構成することも可能である。
そして、制御手段22は、上記のように充電制御回路80が定電流充電を行う際に、所定時間ΔTthが経過した時点での上記の充電電圧Vの上昇分ΔVに基づいて、キャパシター24の現状での容量Cを算出して推定するようになっている。
なお、本実施形態では、制御手段22を構成するマイクロコンピューターでソフトウエア的に処理してキャパシター24の容量Cを推定するように構成されているが、例えば、制御手段22のFPGAの部分に推定手段としての機能を有する回路を構築する等して、この推定処理をハードウエア的に行うように構成することも可能である。
[推定方法1]
具体的には、制御手段22は、放射線画像撮影装置1が充電装置BCに接続されて定電流充電が開始された時点でのキャパシター24の充電電圧Vを読み取って、充電電圧V1として記憶する。また、その時点で、経過時間ΔTのカウントをリセットした後、経過時間ΔTのカウントを開始する。
そして、図7に示すように、経過時間ΔTが所定時間ΔTthになった時点、すなわち所定時間ΔTthが経過した時点で、キャパシター24に充電されている充電電圧Vを読み取って、充電電圧V2として記憶する。制御手段22は、この充電電圧V2を記憶すると、
ΔV=V2−V1 …(2)
の演算を行って、上記の充電電圧Vの上昇分ΔVを算出する。
この所定時間ΔTthの間にキャパシター24に供給された電流Icは、上記(1)式に示したように充電電流設定値Icsetから放電電流Id分だけ減少した電流Ic(すなわちIcset−Id)であるため、キャパシター24には、上記の所定時間ΔTthの間に、
Q=Ic×ΔTth
=(Icset−Id)×ΔTth …(3)
の電荷Qが供給されることになる。
そのため、C=Q/ΔVの関係から、キャパシター24の容量Cは、
C=Ic×ΔTth/(V2−V1)
=(Icset−Id)×ΔTth/(V2−V1) …(4)
の演算を行うことにより算出することができる。
そこで、制御手段22は、充電電流設定値Icsetおよび放電電流Idの各値、或いはそれらの差分Icset−Idの値を予めメモリーに記憶しておく。そして、上記の充電電圧V1、V2を読み取る前や後に、メモリーから上記の各値Icset、Id或いは差分Icset−Idを読み出す。
そして、制御手段22は、それらの値を上記(4)式に代入して、キャパシター24の容量Cを算出し、算出して推定したキャパシター24の容量Cをメモリーに保存するようになっている。
なお、充電電流設定値Icsetおよび放電電流Idの各値、或いはそれらの差分Icset−Idの値を、充電を行うごとに放射線画像撮影装置1に入力するように構成することも可能である。
また、この算出したキャパシター24の容量Cは、後述する撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22による撮影禁止電圧Vnpの設定処理に用いられる。その際、設定処理の直近の推定処理で推定されたキャパシター24の容量Cをそのまま撮影禁止電圧Vnpの設定処理に用いるように構成することも可能であり、また、例えば、過去10回等の所定回数の推定処理でそれぞれ推定されたキャパシター24の容量Cの移動平均を算出し、算出した移動平均の値をキャパシター24の容量Cとして撮影禁止電圧Vnpの設定処理に用いるように構成することも可能である。
[推定方法2]
また、キャパシター24に対する定電流充電を行う際に、キャパシター24が故障しているか否かを調べるために、例えば図8(A)に示すように、充電制御回路80からキャパシター24に対して低い電流値の定電流I1を流して定電流充電を行いながら、その間にパルス状に高い電流値の定電流I2を数回供給してキャパシター24の故障検知処理を行うように構成されている場合がある。
このように構成されている場合には、この故障検知処理の際にキャパシター24に対してパルス状の定電流I2が供給されることを利用してキャパシター24の容量Cの推定処理を行うように構成することが可能である。
この場合、図8(A)に示したように高い値の定電流I2をパルス状に供給すると、キャパシター24の充電電圧Vは、図8(B)に示すように上昇していく。
そして、キャパシター24に供給される電流が低い電流I1から高い電流I2に切り替わる瞬間の充電電圧VをVn−1とし、その時点でキャパシター24に蓄えられている電荷量をQn−1、キャパシター24の内部抵抗をr、容量をCとすると、それらと電流I1との間には、
Vn−1=Qn−1/C+r×I1 …(5)
の関係が成り立っている。
また、キャパシター24に供給される電流が低い電流I1から高い電流I2に切り替えられた後、所定時間Δtが経過した時点での充電電圧VをVnとし、その時点でキャパシター24に蓄えられている電荷量をQnとすると、
Qn=Qn−1+I2×Δt …(6)
Vn=Qn/C+r×I2 …(7)
の関係が成り立つ。
そこで、所定時間Δt間の充電電圧Vの上昇分ΔVを計算すると、上記の(5)式から(7)式を用いて、
ΔV=Vn−Vn−1
=(Qn/C+r×I2)−(Qn−1/C+r×I1)
=(Qn−Qn−1)/C+r×(I2−I1)
=(Qn−1+I2×Δt−Qn−1)/C+r×(I2−I1)
∴ΔV=I2×Δt/C+r×(I2−I1) …(8)
が成り立つ。
そのため、内蔵電源14の容量Cは、上記(8)式を変形して、
C=I2×Δt/{ΔV−r×(I2−I1)} …(9)
として算出することができる。
この場合、定電流I1、I2の値や所定時間Δtは既知であるため、キャパシター24の内部抵抗rが既知であれば、検出された充電電圧Vn−1およびVnから上昇分ΔVを算出して上記(9)式に代入することにより、キャパシター24の容量Cを算出することができる。
また、本実施形態のように、キャパシター24としてリチウムイオンキャパシターを用いる場合、リチウムイオンキャパシターの内部抵抗rは数mΩと非常に小さい。そのため、上記(9)式においてr≒0と見なすと、キャパシター24の容量Cは、定電流I2と所定時間Δtと充電電圧Vの上昇分ΔVとを用いて、
C=I2×Δt/ΔV …(10)
の演算を行うことで算出することが可能となる。
また、図8(A)に示したように、この処理では高い値の定電流I2がパルス状に複数回繰り返して供給されるため、図8(B)に示すように、充電電圧Vの上昇分ΔVを複数回検出することが可能となる。そのため、例えば、複数回分の上昇分ΔVの平均値を算出して上記(10)式に適用し、或いは、各回ごとに上昇分ΔVに基づいて容量Cをそれぞれ算出してそれらの平均値を算出することで、キャパシター24の容量Cを的確に算出することが可能となる。
そして、この場合も、推定手段としての制御手段22は、上記のパルス状の高い電流I2の値や、キャパシター24の内部抵抗rを0と近似しない場合(上記(9)式を用いる場合)には内部抵抗rの値や低い電流I1の値を予めメモリーに記憶しておく。或いは、充電を行うごとに入力されるようにする。
そして、充電電圧Vの上昇分ΔVを検出する前や後に、メモリーから上記の各値を読み出す。そして、制御手段22は、それらの値を上記(9)式や(10)式に代入して、キャパシター24の容量Cやそれらの平均値を算出し、算出して推定したキャパシター24の容量Cや平均値をメモリーに保存するようになっている。
なお、この場合も、過去10回等の所定回数の充電の際に行った推定処理でそれぞれ推定されたキャパシター24の容量Cや平均値の移動平均を算出し、算出した移動平均の値をキャパシター24の容量Cとして撮影禁止電圧Vnpの設定処理に用いるように構成することも可能である。
また、推定手段(制御手段22)でのキャパシター24の容量Cの推定処理における推定方法は、上記の推定方法1や推定方法2の場合に限定されず、キャパシター24の容量Cを的確に推定することができる推定方法であれば、他の推定方法を採用することも可能である。
[撮影禁止電圧Vnpの設定処理について]
次に、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22での撮影禁止電圧Vnpの設定処理について説明する。
撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、上記のようにして推定手段(制御手段22)が算出して推定したキャパシター24の容量Cに応じて、1回の撮影ごとにキャパシター24の残存電圧Vが低下する残存電圧Vの低下分δVを算出し、算出した残存電圧Vの低下分δVに基づいて、キャパシター24の残存電圧Vに対して撮影禁止電圧Vnp(図18参照)を可変させて設定するようになっている。
本実施形態では、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、この撮影禁止電圧Vnpの設定処理を、上記のように推定手段として制御手段22がキャパシター24の充電の際にキャパシター24の容量Cを推定した直後に行うように構成されている。
すなわち、本実施形態では、撮影禁止電圧Vnpの設定処理は、キャパシター24に対する充電が行われるごとに行われるようになっている。そして、次にキャパシター24の充電が行われるまでは、撮影禁止電圧Vnpは変更されないようになっている。
しかし、この他にも、例えば、撮影禁止電圧設定手段が撮影禁止電圧Vnpの設定処理を撮影ごとに行うように構成することも可能であり、また、次のキャパシター24の充電まで待たずに、撮影禁止電圧Vnpを状況に応じて適宜変更するように構成することも可能である。
本実施形態では、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、以下のようにして1回の撮影ごとにキャパシター24の残存電圧Vが低下する残存電圧Vの低下分δV(以下、単に1回の撮影ごとの残存電圧Vの低下分δVという。)を算出するようになっている。
すなわち、1回の撮影ごとに放射線画像撮影装置1の各機能部で消費される電荷量の総和、すなわち1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量をQcとすると、Q=CVの関係から、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVは、推定処理で算出されたキャパシター24の容量Cを用いて、
Qc=C・δV …(11)
∴δV=Qc/C …(12)
で算出される。
そこで、本実施形態では、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを記憶しておき、上記のようにして推定手段(制御手段22)がキャパシター24の容量Cを算出して推定すると、その容量Cの値と電荷量Qcの値とを上記(12)式に代入して残存電圧Vの低下分δVを算出するようになっている。
そして、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、算出した残存電圧の低下分δV、或いはそれに所定の電圧値を加算した残存電圧の値を、システムシャットダウン電圧Vssd(図18参照)に加算して、撮影禁止電圧Vnpを算出するようになっている。本実施形態では、制御手段22は、このようにして撮影禁止電圧Vnpを算出すると、それを、既にメモリーに保存されている以前の撮影禁止電圧Vnpに上書き保存して設定するようになっている。
このように、本実施形態では、Q=CVの関係を用いて1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVを算出するが、撮影用電子機器に備えられている内蔵電源では、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVと、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcとの関係が、上記(11)式のような比例関係にならないものが多い。
それに対して、本実施形態のように、内蔵電源としてリチウムイオンキャパシター(LIC)や電気二重層キャパシター等のキャパシター24を用いれば、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVと、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcとの関係が、上記(11)式に示したような比例関係になる。
そのため、本実施形態のように、キャパシター24の容量Cと1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcとを用いて、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVを容易にかつ精度良く算出することが可能となる。また、そのため、キャパシター24の残存電圧Vに対して、撮影禁止電圧Vnpを的確に設定することが可能となる。
なお、本実施形態のように、算出した残存電圧Vの低下分δV、或いはそれに所定の電圧値を加算した残存電圧の値を、システムシャットダウン電圧Vssdに加算して、撮影禁止電圧Vnpを算出して設定する代わりに、過放電保護電圧Vod或いは残存電圧Vの下限値Vmin(図18参照)に加算して、撮影禁止電圧Vnpを算出して設定するように構成することも可能である。
[制御手段での撮影許容・禁止処理について]
次に、制御手段22での撮影許容・禁止処理について説明する。
制御手段22は、上記のように、撮影禁止電圧設定手段が撮影禁止電圧Vnpをキャパシター24の現状での容量Cに応じて可変させて設定すると、放射線画像撮影装置1の使用中にキャパシター24の残存電圧Vを撮影ごとに監視し、キャパシター24の残存電圧Vと撮影禁止電圧Vnpとを対比するようになっている。
そして、制御手段22は、キャパシター24の残存電圧Vが撮影禁止電圧Vnpより高い電圧値である場合には、ユーザーが放射線画像撮影装置1を操作したり或いは後述するコンソール58(図10や図11参照)等の上位システムから撮影要求信号が送信されたりして撮影要求があると、撮影を行うことを許容する。
すなわち、電源生成回路25から走査駆動手段15や読み出し回路17(図4参照)等の各機能部に必要な電力を供給させ、各機能部が撮影に向けての各処理を行うことを許容するようになっている。
一方、制御手段22は、キャパシター24の残存電圧Vが撮影禁止電圧Vnp以下の電圧値である場合には、ユーザーが放射線画像撮影装置1を操作したり或いは上位システムから撮影要求信号が送信されたりして撮影要求があっても、その撮影要求を受け付けず、撮影を行うことを禁止するようになっている。
そして、本実施形態では、この場合、制御手段22は、インジケーター40(図1参照)を点滅させたり、コンソール58にキャパシター24を充電することを要求する表示を行う等して、ユーザーに対してキャパシター24の充電を要求する通知を行うようになっている。
次に、本実施形態に係る撮影用電子機器としての放射線画像撮影装置1の作用について説明する。
前述したように、従来の撮影用電子機器では、撮影禁止電圧Vnpを設定する際、充電や放電が繰り返されて内蔵電源が経年的に劣化して1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVが増大することを見越して、劣化後の内蔵電源の増大した低下分δVを見積もって撮影禁止電圧Vnpを設定していた。
そのため、撮影禁止電圧Vnpがシステムシャットダウン電圧Vssdから比較的高い電圧値に設定されてしまい、例えば撮影用電子機器が新品で内蔵電源がまだ劣化してしない場合には、内蔵電源の残存電圧Vが撮影禁止電圧Vnpからシステムシャットダウン電圧Vssdまで低下するまでの間に、まだ数枚撮影を行うことができる余裕があるにもかかわらず、撮影が禁止されてしまった。
それに対し、本実施形態では、上記のように、推定手段で、内蔵電源としてのキャパシター24に対する定電流充電が行われる際に、キャパシター24に充電されている充電電圧Vの変化ΔVに基づいて、現状でのキャパシター24の容量Cを算出して推定する。
そして、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22で、推定したキャパシター24の容量Cに応じて1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVを算出し、それに基づいて、撮影禁止電圧Vnpを現状のキャパシター24の容量Cに応じて可変させて設定する。
キャパシター24が新品でキャパシター24がまだ劣化していない場合には、キャパシター24の容量Cは、キャパシター24が劣化した場合に比べて大きな値になる。そのため、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVは、この相対的に大きな容量Cに応じて相対的に小さくなる。また、キャパシター24が経年劣化により容量Cが低下した場合には、1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVは、その劣化して低下したキャパシター24の容量Cに応じて相対的に大きくなる。
そして、本実施形態では、キャパシター24の容量Cがこのように変動する中で、充電を行うごとにキャパシター24の容量Cの推定処理を行って、現状でのキャパシター24の容量Cを推定する。そして、推定した現状でのキャパシター24の容量Cに応じて、現状での1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δVを的確に算出し、それに基づいて撮影禁止電圧Vnpを可変させて設定する。
そのため、キャパシター24の現状での劣化の度合に応じて、キャパシター24がまだ劣化しておらず容量Cが大きい場合には、撮影禁止電圧Vnpは相対的に小さくなり、また、キャパシター24が経年劣化により容量Cが低下した場合には、撮影禁止電圧Vnpは相対的に大きくなるように可変される。
このように、本実施形態では、上記のように例えば撮影用電子機器が新品で内蔵電源がまだ劣化してしない場合には、図9に示すように、撮影禁止電圧Vnpをより低い値に適切に設定して、キャパシター24の残存電圧Vの上限値Vmaxから撮影禁止電圧VnpまでのレンジRaを拡大することが可能となる。
そのため、1回の充電で撮影することができる撮影枚数を多くすることが可能となり、1回の充電あたりの撮影効率を向上することが可能となる。また、1回の充電あたりの撮影効率が向上するため、頻繁にキャパシター24の充電を行う必要がなくなり、撮影用電子機器(本実施形態では放射線画像撮影装置1)をユーザーにとって使い勝手が良いものとすることが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る撮影用電子機器(放射線画像撮影装置1)によれば、内蔵電源としてキャパシター24を用い、キャパシター24の経年劣化により変動するキャパシター24の容量Cを充電時ごとに推定し、推定した現状でのキャパシター24の容量Cに応じて撮影禁止電圧Vnpを可変させる。
そのため、キャパシター24の現状での劣化の度合に応じて、キャパシター24の残存電圧Vの上限値Vmaxから撮影禁止電圧VnpまでのレンジRaを最大限に拡大することが可能となり、1回の充電で撮影することができる撮影枚数をより多くすることが可能となる。
そのため、1回の充電あたりの撮影効率を向上することが可能となるとともに、頻繁にキャパシター24の充電を行う必要がなくなるため、撮影用電子機器(放射線画像撮影装置1)をユーザーにとって使い勝手が良いものとすることが可能となる。
[変形例]
なお、前述したように、キャパシター24の残存電圧Vがシステムシャットダウン電圧Vssd(図9や図18参照)まで低下すると、撮影用電子機器の各機能部は、シャットダウンされる前に必要な処理を行う。そして、それらの処理のために必要な電荷量は、予め分かっている。そのため、上記の撮影禁止電圧Vnpだけでなく、システムシャットダウン電圧Vssdをも可変させて設定するように構成することも可能である。
すなわち、上記(12)式と同様に、撮影用電子機器の各機能部がシャットダウン前に行う処理に必要な電荷量の総和Q*を、推定処理で推定した現状でのキャパシター24の容量Cで除算することで、すなわち、
δV*=Q*/C …(13)
の演算を行うことで、現状の状態で、撮影用電子機器の各機能部がシャットダウン前に必要な処理を行うことで低下するキャパシター24の残存電圧Vの低下分δV*を算出することができる。
そして、その残存電圧Vの低下分δV*やそれに所定の電圧値を加算した値を過放電保護電圧Vodに加算することで、システムシャットダウン電圧Vssdを可変させて設定することが可能となる。
そして、システムシャットダウン電圧Vssdを可変させて設定することで、キャパシター24の現状での劣化の度合に応じて、キャパシター24の残存電圧Vの上限値Vmaxから撮影禁止電圧VnpまでのレンジRaをさらに拡大することが可能となり、1回の充電あたりの撮影効率をより向上させることが可能となる。なお、同様にして、キャパシター24の現状での容量Cに応じて過放電保護電圧Vodをも可変させて設定するように構成することも可能である。
一方、上記の実施形態では、撮影禁止電圧Vnpの設定処理において上記(12)式に代入される、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量(すなわち1回の撮影ごとに放射線画像撮影装置1の各機能部で消費される電荷量の総和)Qcを、ある決まった値とすることを前提として説明した。
しかし、撮影条件によっては、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを可変させた方がよい場合もある。以下、このような場合の例について説明する。
ここで、まず、撮影用電子機器としての放射線画像撮影装置1を用いて撮影を行うための撮影システムの構成例について説明する。図10は、本実施形態に係る撮影システムの構成例を示す図である。図10では、撮影システム100が、撮影室R1やその前室R2(操作室等ともいう。)内に構築されている場合が示されている。
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1をカセッテ保持部(カセッテホルダ等ともいう。)51aに装填可能なブッキー装置51が設置されている。なお、図10では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されている。
そして、この場合は、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCaを接続した状態で、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51に装填して用いることができる。
撮影室R1には、図示しない被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。また、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するためのアクセスポイント53を備えた中継器54が設けられている。
中継器54は、放射線源52からの放射線の照射を制御する放射線発生装置55や、前室R2に設けられたコンソール58と接続されている。
前室R2には、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続、或いは内蔵されている。
そして、コンソール58では、後述するように、中継器54やケーブルCa等を介して放射線画像撮影装置1に対してこれから行われる撮影の撮影方式等を通知することができるようになっている。すなわち、本実施形態では、コンソール58が、撮影用電子機器である放射線画像撮影装置1に撮影方式等を通知する上位システムに相当する。
また、コンソール58は、撮影が終了して、放射線画像撮影装置1から画像データ等が送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像を表示したり、画像データ等に対して画像処理を行って放射線画像を生成するようになっている。
また、図11は、本実施形態に係る撮影システムの別の構成例を示す図である。図11では、撮影システム200が、回診車201上に構築されており、システム全体が搬送可能に構成されている場合が示されている。
この場合の撮影システム200は、例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合に、図11に示すように、病室R3に持ち込むことができるようになっている。そして、放射線画像撮影装置1をベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いるようになっている。
この場合、放射線画像撮影装置1を、図3に示したようにケーブルCaを接続して用いることも可能であるが、ケーブルが撮影の邪魔になる場合も多い。そのため、このような場合には、放射線画像撮影装置1にケーブルCaを接続しない状態で撮影が行われる場合が多い。
なお、この場合、放射線源52としてポータブルの放射線源52Pが用いられ、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
ところで、図10に示した撮影システム100において撮影を行う場合、ケーブルCaや中継器54等を介して、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間、或いは放射線画像撮影装置1とコンソール58と放射線発生装置55との間で信号のやり取りを行いながら撮影を行うように構成することができる。
以下、このように、少なくとも放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で信号のやり取りを行い、両者が連携して撮影を行う方式を、連携方式という。
この場合、通常、放射線画像撮影装置1は、まず、各撮像素子7(図4参照)内に残存する電荷を除去するための各撮像素子7のリセット処理を開始する。リセット処理では、例えば図12に示すように、ゲートドライバー15b(図4参照)から走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧をそれぞれ印加して、各TFT8を順次オン状態としながら、各撮像素子7内に残存する電荷を各信号線6に放出させる。
なお、走査線5の最初のラインL1から最終ラインLxまで順次オン電圧を印加して行われるリセット処理を、以下、1面分のリセット処理Rmという。
そして、図13に示すように、1面分のリセット処理Rmの最中に、放射線技師により曝射スイッチ56(図10参照)が操作されると、放射線発生装置55から放射線画像撮影装置1に照射開始信号が送信される。放射線画像撮影装置1の制御手段22は、照射開始信号が送信されてきた時点で行っている1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、各撮像素子7のリセット処理を終了する。
そして、ゲートドライバー15bから全ての走査線5にオフ電圧を印加させて全てのTFT8をオフ状態として、放射線の照射により各撮像素子7内で発生した電荷を各撮像素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。制御手段22は、それと同時に、放射線発生装置55に対してインターロック解除信号を送信する。放射線発生装置55は、中継器54を介して放射線画像撮影装置1からインターロック解除信号を受信すると、放射線源52から放射線を照射させる。
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、インターロック解除信号を送信して電荷蓄積状態に移行させた後、所定時間が経過すると、図14に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各撮像素子7から画像データDをそれぞれ読み出す画像データDの読み出し処理を行うようになっている。なお、図14中の斜線は、その期間に放射線が照射されたことを表す。
連携方式では、以上のようにして撮影が行われる。
一方、図11に示した撮影システム200において撮影を行う場合、上記のように、少なくとも放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で信号のやり取りを行いながら撮影を行うことができない。そのため、放射線源52P(図11参照)から放射線が照射されたことを、放射線画像撮影装置1が自ら検出して撮影を行わなければならない。
以下、このように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で信号のやり取りを行わず、すなわち両者が連携せず、放射線画像撮影装置1が自ら放射線の照射を検出して撮影を行う方式を、非連携方式という。
非連携方式で撮影を行う場合には、いくつかの方法で放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射を検出するように構成することが可能であるが、以下では、そのうちの1つの方法を例に挙げて説明する。
具体的には、例えば、上記の連携方式の場合のように撮影前に各撮像素子7のリセット処理(図12等参照)を行う代わりに、例えば図15に示すように、撮影前に、図14に示した画像データDの読み出し処理と同様にゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各撮像素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することが可能である。
なお、撮影直後に読み出される上記の本画像としての画像データDと区別して、以下では、この撮影前の読み出し処理で読み出される画像データを画像データdという。また、図15中において、1フレームとは、検出部P(図4参照)上に二次元状に配列された1面分の各撮像素子7から画像データdの読み出し処理を行う期間をいう。
このように撮影前に画像データdの読み出し処理を行うと、図16に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図16では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、図17に示すように、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる(図17の時刻t1参照)。
そこで、制御手段22で放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが、例えば図17に示すように予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図16に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して電荷蓄積状態に移行させる。そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加させて本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
非連携方式では、例えば以上のようにして撮影が行われる。
以上のように、連携方式と非連携方式とでは、撮影の際に各機能部で行われる処理が異なる。
すなわち、連携方式では、撮影前に、各撮像素子7のリセット処理を行う。各撮像素子7のリセット処理では、各読み出し回路17(図4参照)での画像データの読み出し動作等が行われないため、1回の撮影ごとに放射線画像撮影装置1の各機能部で消費される電荷量の総和Qc、すなわち1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcは、相対的に小さくなる。
それに対し、非連携方式では、撮影前から、各読み出し回路17(図4参照)で画像データdの読み出し動作が行われる等するため、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcは相対的に大きくなる。
そこで、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを、例えば撮影が連携方式で行われるか非連携方式で行われるかに応じて撮影ごとに設定するように構成することが可能である。
具体的には、例えば、撮影禁止電圧設定手段としての制御手段22は、撮影が連携方式で行われる場合の上記の電荷量Qcと、撮影が非連携方式で行われる場合の上記の電荷量Qcとを予めメモリーに保存しておき、放射線技師から放射線画像撮影装置1に入力があったり、或いはコンソール58から撮影方式の指示があった時点で、適切な電荷量Qcを読み出して、上記(12)式の演算に用いるように構成される。
このように構成すれば、撮影方式等に応じて変わり得る1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを適切に可変させて撮影禁止電圧Vnpを可変させて設定することが可能となる。そのため、キャパシター24の残存電圧Vの上限値Vmaxから撮影禁止電圧VnpまでのレンジRa(図9参照)を撮影方式等に応じて最大限に拡大することが可能となり、上記の実施形態に係る有益な効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
一方、放射線画像撮影装置1を用いて被写体である患者の身体を撮影するような場合、例えば1回の撮影で患者の胸部等を1回撮影して1枚の放射線画像を撮影する場合が多いが、例えばいわゆる長尺撮影のように、1回の撮影で、放射線画像撮影装置1を移動させながら、例えば患者の頭部や胸部、腹部等を複数回撮影し、複数枚の放射線画像を合成して1枚の放射線画像を生成させる場合もある。
このような場合には、1回の撮影で1枚の放射線画像を撮影する場合よりも、1回の撮影で複数枚の放射線画像を撮影する場合の方が、当然、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcが大きくなる。
そこで、撮影方法として上記の長尺撮影のような撮影が行われる場合があることを考慮して、例えば、上位システムであるコンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、これから行われる撮影についての1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを通知するように構成することが可能である。
また、例えば、放射線画像撮影装置1で、各撮影方法と1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcとをそれぞれ対応付けたテーブルを備えるように構成する。そして、上位システムであるコンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、これから行われる撮影に関する撮影方法を通知する。
そして、放射線画像撮影装置1で、通知された撮影方法に対応する、1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを割り出して、前述した1回の撮影ごとのキャパシター24の残存電圧Vの低下分δV(上記(12)式参照)を算出するように構成することも可能である。
このように構成すれば、撮影システム100、200において、撮影方法が変わる場合にも、それに応じて1回の撮影でキャパシター24から消費される電荷量Qcを適切に可変させて撮影禁止電圧Vnpを可変させて設定することが可能となる。そのため、キャパシター24の残存電圧Vの上限値Vmaxから撮影禁止電圧VnpまでのレンジRa(図9参照)を撮影方法に応じて最大限に拡大することが可能となり、上記の実施形態に係る有益な効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
なお、上記の実施形態や変形例では、主に、撮影用電子機器が放射線画像撮影装置1である場合について説明したが、デジタルカメラ等の種々の撮影用電子機器についても、本発明を適用することが可能である。また、それらの撮影用電子機器を用いた撮影システムについても、本発明を適用することが可能である。