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JP5824074B2 - バイオエタノールの製造方法及び製造システム - Google Patents

バイオエタノールの製造方法及び製造システム Download PDF

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Description

本発明は、バイオエタノールの製造方法及び製造システムに関する。
バイオマスを原料として製造されるバイオエタノール(バイオマスエタノールともいう。)は、エネルギーとしての再生可能性、及びカーボンニュートラル性といった観点から、燃料用バイオエタノール等のエネルギー源として期待されている。すなわち、バイオエタノールは再生可能エネルギーのひとつとして世界各国で生産量及び消費量ともに拡大している。バイオエタノールは、主に、化石燃料と混合され、輸送用車両の液体燃料として利用されている。
現在、実用化に至っているバイオエタノールの製造方法においては、その原料として糖質又はデンプン質を多く含む植物バイオマスが主に利用されており、例えば、コーン、廃蜜糖(モラセス)、キャッサバ、甜菜、小麦、米、ジャガイモ等が利用されている。例えば、デンプンはアミラーゼ類で容易に加水分解され、グルコース(ブドウ糖)等に変換できる。グルコースは、エタノール発酵菌である酵母(多くの場合、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))により容易にエタノールに変換される。また、廃糖蜜は、その主成分がショ糖、グルコース(ブドウ糖)、フラクトース(果糖)であり、これらの糖質も同様に、エタノール発酵菌である酵母(多くの場合、サッカロマイセス・セレビシエ)により容易にエタノールに変換される。
一方、上記のような糖質又はデンプン質を多く含む植物バイオマスは、生物の食料や工業素材としても重要な農産物資源であり、食用原料や工業原料としても用いられる。そのため、原料利用の点で競合してしまうという問題がある。そこで、これらに代わるバイオエタノール原料が求められている。
例えば、特許文献1には、食糧と競合しない木材及び草本等のリグノセルロース系バイオマスを原料としたエタノール製造方法が開示されている。また、特許文献2には、キャッサバ残渣の中でもスターチ含有量が低く、リグノセルロース含有量が高い残渣を原料としたバイオエタノールの製造方法が開示されている。
特開2011−45277号公報 国際公開第2010/034220号
キャッサバは、スターチ(デンプン)又はバイオエタノールの原料として広く用いられている。今日、バイオエタノールの製造において使用されるキャッサバ原料は、生イモ、キャッサバチップ、ペレット等のスターチ含有量の高いものであり、食用原料や工業原料と競合している。一方、スターチ抽出後に残る大量のキャッサバ残渣は家畜の餌として使用されている以外は、廃棄されている素材であり、これらをバイオエタノールの原料として有効利用できれば、キャッサバの有効利用面からも他のエネルギーに頼らない環境負荷軽減の面からも意義が大きい。しかしながら、キャッサバ残渣は、エタノール変換が容易ではないリグノセルロース及びペクチン等の食物繊維の含有量が高いため、キャッサバ残渣を原料としたバイオエタノールの製造は未だ実用化されていない。
燃料用バイオエタノールの製造では、低コスト化が必須であり、規模メリットを追求するため、実用化されているコーン原料及びモラセス原料では、大規模プロセス、及び連続蒸留法等が採用されている。
また、発酵モロミ中のエタノール含有量が低濃度であると、蒸留プロセスのコストが嵩むため、低コスト化が困難である。そこで、例えば、原料の仕込み濃度を高くするなどして、発酵モロミ中のエタノール含有量を高濃度にする方法が理想的である。しかしながら、キャッサバ残渣は、上記のとおり、リグノセルロース及びペクチン等の食物繊維の含有量が高いため、仕込み濃度を高くすると、スラリーの混合撹拌及び移送等が困難となり、大規模プロセスの適用が極めて困難である。
特許文献2に記載の製造方法は、キャッサバ残渣に含まれるセルロース及びヘミセルロースを酵素分解してグルコース及びキシロースを得て、これをエタノール発酵の基質とし、エタノールを製造するものである。しかしながら、特許文献2に記載の製造方法は、大規模プロセスへの適合が不充分であり、また得られる発酵モロミの性状が連続蒸留法に供することのできるものではなく、実用的には十分なものではない。
一方、キャッサバ残渣に含まれるスターチは、リグノセルロース及びペクチン等の食物繊維分に抱合されて存在している。セルラーゼ等の酵素処理、又は物理的な破壊によりこれらの食物繊維分を分解してスターチを遊離させれば、エタノール発酵の基質として有効である。しかしながら、単に食物繊維分を分解したキャッサバ残渣を原料としてエタノール発酵した場合、得られる発酵モロミの性状が連続蒸留法に供することのできるものではないとの問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、実用化されている既存の製造プロセスへの適合性が高く、かつコストの低減が可能なバイオエタノールの製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、上記製造方法に適したバイオエタノールの製造システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、キャッサバ残渣原料を発酵して得られる発酵モロミの粘性及び不溶性夾雑物(発酵モロミ中に残存する未分解の懸濁物)含有量を充分に低減させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、キャッサバ残渣の粉砕物と水とを加熱及び加圧しながら混合し、上記粉砕物を水和させる水和工程と、水和した上記粉砕物に、加水分解酵素としてセルラーゼ及びグルコアミラーゼを添加して発酵原料を得る酵素添加工程と、上記発酵原料から、エタノール発酵菌によるエタノール発酵により、発酵モロミを得る発酵工程と、を備える、バイオエタノールの製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、上記各工程を備えることにより、エタノール発酵で得られる発酵モロミの粘度が充分低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物(例えば、未分解のスターチ分及び食物繊維分等)の含有量が充分低下する。すなわち、発酵途中の発酵液の混合及び撹拌が比較的容易となるため、撹拌及び混合のための特殊な機能を備えた発酵装置等が不要である。したがって、このような特殊な発酵装置等を備えない既存の製造プロセスへの適合性が高い。また、発酵後に得られる発酵モロミの粘度及び不溶性夾雑物含有量が充分低いため、連続蒸留法に供することができる。加えて、キャッサバ残渣を原料としているにも関わらず、原料を高濃度で仕込むことも可能である。上記製造方法はこのような利点を有していることから、実用化に耐え得るコスト低減が可能である。
上記製造方法は、発酵モロミからエタノールを連続蒸留する蒸留工程を更に備えていてもよい。
上記粉砕物の平均粒径は、乾燥状態で0.1mm以下であることが好ましい。平均粒径がこの範囲にあると、発酵モロミの粘度がより一層低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量がより一層低下する。
上記加水分解酵素の添加前に、水和した上記粉砕物とα−アミラーゼとを反応させることが好ましい。すなわち、デンプンを水和した後、α−アミラーゼと反応させることにより、デンプンを加水分解して液化する。これにより、得られるスラリーの粘度がより一層低下することに加え、グルコアミラーゼによる糖化がより効率よく進む。
上記加水分解酵素として、更にペクチナーゼを添加することが好ましい。ペクチナーゼの添加により、発酵モロミの粘度がより一層低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量がより一層低下する。また、エタノール発酵効率がより一層向上し、エタノールをより高濃度で含有する発酵モロミが得られる。
上記エタノール発酵菌は、クルイベロマイセス・マーキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)及びサッカロマイセス・セレビシエの少なくとも一方であることが好ましい。
上記発酵工程で得られる発酵モロミの粘度は、400mPa・s以下であることが好ましい。また、発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量は、90g/L以下であることが好ましい。さらに、発酵モロミの物質移動容量係数kaは、9×10−3/秒以上であることが好ましい。
本明細書において、「粘度」は、回転式粘度計VS−10(RION社製)、及びVT−04(RION社製)により測定した値で表記する。具体的には、測定サンプルを40℃に加温し粘度を測定する。測定の際に使用するローターは、粘度が測定限界範囲に入るよう、サンプルによって高粘度用ローター、中粘度用ローター、低粘度用ローターを適宜使い分ければよい。
本明細書において、「発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量」は、発酵モロミを3000rpmで10分間遠心分離した後、上清を捨て、残渣を発酵モロミと同様量の水で3回洗浄した後、105℃で2日間乾燥させたときの残渣の質量(g)を、発酵モロミの容量(L)で除した値である。
本明細書において、「物質移動容量係数ka」は、溶存酸素を除去した発酵モロミ2.5Lを450rpmで撹拌しながら、発酵モロミに空気を10L/分の速度で通気したときの発酵モロミ中の溶存酸素濃度C(ppm)を経時的に測定し、ka=−ln(1−C/C)/tで求められる値である。ここで、Cは飽和溶存酸素量(ppm)である。
本発明はまた、キャッサバ残渣を粉砕する粉砕機と、該粉砕機に第1のラインを介して接続され、キャッサバ残渣の粉砕物と水を混合する混合タンクと、該混合タンクに第2のラインを介して接続され、粉砕物と水の混合物を加熱及び加圧しながら混合するジェットクッカと、該ジェットクッカに第3のラインを介して接続され、水和した上記混合物を発酵原料としてエタノール発酵菌によりエタノール発酵を行う発酵槽と、を備える、バイオエタノールの製造システムを提供する。
上記製造システムは、上述の各構成を有することから、キャッサバ残渣からバイオエタノールの製造を一貫して行うことができる。このため、大規模プロセスへの適応が可能であり、充分にコストが低減された実用的な製造システムの提供が可能である。
上記製造システムは、上記発酵槽に第4のラインを介して接続され、上記エタノール発酵で得られる発酵モロミからエタノールを蒸留により分離する連続蒸留塔を更に備えていてもよい。
本発明によれば、キャッサバ残渣を原料とした実用的なバイオエタノールの製造方法が提供される。この製造方法は、実用化されている既存の製造プロセスへの適合性が高く、かつコストの低減が可能である。これまでにキャッサバ残渣を原料とした燃料用バイオエタノールの製造方法で実用化されたものはない。本発明の製造方法によれば、キャッサバ残渣を原料としているにも関わらず、原料を高濃度で仕込むことができ、発酵時間を短縮することができ、かつ連続蒸留法を採用することが可能である。また、本発明によれば、上記製造方法に適したバイオエタノールの製造システムが提供される。
バイオエタノールの製造システムの一実施形態を示す説明図である。 キャッサバ残渣の粒径と累積篩下量とをプロットしたグラフである。 酵素反応液の粘度と不溶性夾雑物の含有量とをプロットしたグラフである。 ポリガラクチュロナーゼ活性と酵素反応液の粘度とをプロットしたグラフである。 発酵モロミの粘度を示すグラフである。 発酵モロミの粘度を示すグラフである。 発酵モロミ中のエタノール含有量を示すグラフである。 発酵液の発酵前粘度と発酵モロミ中のエタノール含有量とをプロットしたグラフである。 発酵モロミから得た不溶性夾雑物の凍結乾燥物及び上清中のスターチ及び繊維成分含有量(無水物換算値)を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について、より詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<バイオエタノールの製造方法>
本実施形態に係るバイオエタノールの製造方法は、キャッサバ残渣を原料としてエタノールを製造するものであり、水和工程、酵素添加工程及び発酵工程を少なくとも備える。また、キャッサバ残渣を粉砕する粉砕工程、キャッサバ残渣の粉砕物と水を混合して原料混合物を調製する混合工程、又は上記発酵工程で得られる発酵モロミからエタノールを連続蒸留する蒸留工程を更に備えていてもよい。
〔キャッサバ残渣〕
上記製造方法において用いられるキャッサバ残渣は、キャッサバ(学名:Manihot esculenta)に含まれるスターチを利用した後に排出される残渣であればよい。キャッサバ残渣としては、例えば、キャッサバからスターチを抽出した残渣(「キャッサバパルプ」とも呼ばれる。)、キャッサバに含まれるスターチの分解物(すなわち、グルコース)を基質としてエタノールを製造した後の残渣、キャッサバピールが挙げられる。これらの中でも、繊維分に抱合されているスターチ量がより高いことから、キャッサバパルプが好ましい。
キャッサバパルプは、通常、タピオカデンプン(キャッサバスターチ)を製造した残渣として排出される。具体的には、まず、収穫したキャッサバ生イモを洗浄した後、皮むきする。皮むきされたキャッサバを粗砕し、次いで、デンプン粒を抽出するために粗砕物を細かく摩砕する。摩砕物に加水して晒し、篩器でデンプン粒を濾し取り、篩器上に残存した製品デンプンでない残渣分をキャッサバパルプとして分離する。キャッサバパルプは篩器から、湿潤状態で排出される。湿潤状態で排出されたキャッサバパルプを、そのままバイオエタノール製造原料として用いることができる。また、キャッサバパルプの保存性を高めるために、これを乾燥させて水分含有量を減少させたドライキャッサバパルプを、エタノール製造原料として用いることもできる。
キャッサバパルプとしては、無水物質量(キャッサバパルプの無水物換算の質量)全量に対して、スターチを40〜70質量%、かつ食物繊維を15〜50質量%含むものが好ましく、スターチを50〜70質量%、かつ食物繊維を15〜40質量%含むものがより好ましい。
〔粉砕工程〕
粉砕工程では、キャッサバ残渣を物理的に粉砕するのが好ましい。粉砕に用いられるキャッサバ残渣は、残渣として排出された状態のまま水分含有量をコントロールしていない生キャッサバ残渣であってもよく、乾燥させて水分含有量を減少させたドライキャッサバ残渣であってもよい。ドライキャッサバ残渣は、通常、キャッサバ残渣を風乾させて得られる風乾物である(例えば、キャッサバ残渣を自然環境下に十分時間放置した状態の乾燥物)。ドライキャッサバ残渣の水分含有量は、全質量基準で、通常、7質量%〜18質量%である。本明細書では、水分含有量がこの範囲外、すなわち、全質量基準で18質量%を超える場合は、生キャッサバ残渣と呼ぶ。
粉砕加工の容易さという観点からは、ドライキャッサバ残渣を用いることが好ましい。
キャッサバ残渣の粉砕には、粉砕機及び擂潰機等を使用することができる。粉砕機及び擂潰機等を使用することで、キャッサバ残渣の粉砕効率が向上する。粉砕の方式としては、衝撃式、摩砕式、カッティング式、臼式 コロイドミル等が挙げられる。これらの中でも、低コストで粉砕することが可能であり、また既存の製造プロセスとの適合性に優れるため、衝撃式の粉砕機を使用することが好ましい。具体的には、例えば、マキノ式粉砕機(衝撃式;DD−3−30、槙野産業株式会社製)を挙げることができる。
キャッサバ残渣の粉砕物の平均粒径は、乾燥状態で、0.30mm以下であることが好ましく、0.20mm以下であることがより好ましく、0.15mm以下であることが更に好ましく、0.10mm以下であることが特に好ましい。平均粒径をこのように小さくすることによって、水和工程における操作性がより一層向上し、より高濃度の原料を仕込むことができると共に、発酵工程で得られる発酵モロミの粘度がより一層低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量がより一層低下する。平均粒径の下限に特に制限はないが、平均粒径が小さくなると粉砕機の消費エネルギーが大きくなることから、0.08mm以上であることが好ましい。なお、乾燥状態の粉砕物とは、水分含有量が、粉砕物の全量を基準として、15質量%以下のものを意味する。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、目開きの異なる篩(例えば、目開き1mm、0.5mm、0.3mm、0.15mm、0.1mm及び0.075mmの篩)を用いて、その目開きを通過する粉砕物の粉砕物全体に対する質量割合を測定し、当該質量割合が50%となる目開きの値である。以下、「d50値」とも称する。また、上記測定は、例えば、電磁篩AS200(Retsch社製)、篩としてZ8801(JIS規格、東京スクリーン)を用いて行うことができる。
〔混合工程〕
混合工程では、キャッサバ残渣の粉砕物と水を混合して、原料混合物(混合スラリー)を調製する。混合工程で得られた混合スラリーを水和工程に供することにより、水和効率が向上する傾向にある。
ドライキャッサバ残渣の粉砕物の場合、粉砕物に水を添加してから混合スラリーを得ることが好ましい。このとき、混合スラリー中のキャッサバ残渣の粉砕物の無水物質量(粉砕物の無水物換算の質量)と水の質量との比率(質量比)が、1:4〜1:2.5となるように水を添加することが好ましい。ここでいう水の質量は、キャッサバ残渣の粉砕物に含まれる水と、添加した水の合計量である。上記質量比がこの範囲にあると、得られる発酵モロミ中のエタノール濃度が充分に高くなり(例えば、8v/v%以上)、連続蒸留を効率よく行うことができるため、より一層製造コストを低下させることができる。同様の観点から、上記質量比は、1:3〜1:2.5であることがより好ましい。生キャッサバ残渣の場合でも、上記質量比が上記範囲内になるように水を添加してもよい。
混合スラリーにおける、混合スラリーの全量に対する固形分の質量割合(「固形原料質量濃度」ともいう。)は、通常、18%以上であり、22.5%以上であることが好ましい。固形原料質量濃度の上限としては、例えば、26%以下とすることができる。本実施形態に係る製造方法は、このように高濃度で原料を仕込むことが可能であるため、製造コストをより一層低減できる。
〔水和工程〕
水和工程では、キャッサバ残渣の粉砕物と水とを加熱及び加圧しながら混合し、粉砕物を水和させて水和スラリーを得る。混合工程を行う場合は、混合スラリーを加熱及び加圧しながら混合し、粉砕物を水和させて水和スラリーを得る。混合工程を行わない場合は、キャッサバ残渣の粉砕物に水を添加して水添粉砕物を得て、水添粉砕物を加熱及び加圧しながら混合し、粉砕物を水和させて水和スラリーを得てもよい。水和工程を経ることにより、キャッサバ残渣に含まれるスターチ及びリグノセルロース類が充分に水和され、後述の加水分解酵素及びα−アミラーゼによる加水分解反応が進行し易くなる。
混合スラリー又は水添粉砕物を得た後、これらを加熱及び加圧しながら混合するまでの時間としては、例えば、混合スラリー又は水添粉砕物を所定時間静置した後、加熱及び加圧しながら混合してもよく、混合スラリー又は水添粉砕物を得た後、直ちに加熱及び加圧しながら混合してもよい。発酵モロミの粘度がより一層低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量がより一層低下することから、混合スラリー又は水添粉砕物を所定時間静置することが好ましい。静置する時間は、例えば、1時間以上とすることができ、3時間以上が好ましく、通常、15時間以下である。
加熱及び加圧は、加圧水蒸気を混合スラリー又は水添粉砕物に直接あてて行うことが好ましい。蒸煮温度は、例えば、キャッサバデンプンの糊化温度が約60℃であることから、60℃以上とすることができ、80℃以上とすることが好ましく、85℃以上とすることがより好ましく、90℃以上とすることが更に好ましい。蒸煮温度の上限は、例えば、110℃以下とすることができ、105℃以下とすることが好ましく、100℃以下とすることがより好ましく、95℃以下とすることが更に好ましい。加圧水蒸気の圧力は、200KPa以上とすることが好ましく、240KPa以上とすることがより好ましい。また、圧力の上限としては、例えば、500KPa以下とすることができ、450KPa以下とすることが好ましく、250KPa以下とすることがより好ましい。
加熱及び加圧時の温度及び圧力の組み合せとしては、温度が90℃〜95℃で圧力が240KPa〜250KPaであることが好ましい。これにより、発酵モロミの粘度がより一層低下し、発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量がより一層低下し、かつ発酵モロミの蒸留のし易さを表す指標となる物質移動容量係数がより高くなる。加熱及び加圧する時間は、例えば、1分〜20分である。加熱及び加圧する時間は、スターチが水和するのに十分な時間を確保できるとの観点から、1分〜5分であることが好ましく、1分〜2分であることがより好ましい。
キャッサバ残渣の粉砕物と水とを加熱及び加圧しながら混合し、粉砕物を水和させる処理は、ジェットクッカ(スチームクッカとも称される)装置を用いて行うことが好ましい(ジェットクッカ処理)。ジェットクッカは密閉配管内で加圧した生蒸気を処理対象物(混合スラリー又は水添粉砕物)に直接噴射することにより処理対象物を加熱蒸煮する装置である。処理対象物供給装置、生蒸気供給及び吹込装置、加熱・蒸煮後処理対象物を一定時間保持するホールディングチューブ及び背圧弁から構成され、生蒸気吹込み後に処理対象物を強力に撹拌混合する目的でスタティックミキサ等配管内に邪魔板様の混合装置が取り付けられることもある。また通常、加熱・蒸煮処理対象物の温度を一定に制御するために処理対象物の供給速度、蒸気吹込み量、背圧を一定に調節する装置が付加される。
ジェットクッカ処理においては、処理対象物として混合スラリーを用いることが好ましい。混合スラリーを用いることで、加熱時の温度むらが生じにくくなる。
ジェットクッカ処理によれば、処理対象物が供給装置によりジェットクッカに供せられ、加圧された生蒸気が噴射される。この操作により処理対象物は配管内で急激な加熱を受け温度が上昇することで、キャッサバ残渣の細胞成分の崩壊とスターチの水和(糊化)が瞬時に発生する。ジェットクッカ処理は、スチームを直接処理対象物へ注入しスチームの持つ高い熱量を処理対象物に直接伝達して加熱することができるため、加熱に要する時間をきわめて短くすることができる。また、スタティックミキサを使用する場合、混合効果で均一な加熱を達成することができる。したがって、タンクを利用した加熱容器での加熱蒸煮に比べ設備負荷を大幅に低減できる。
ジェットクッカ処理においては、出口を背圧弁等で加圧され保温等の処置がされた配管(ホールディングチューブ)内を通過させる操作を行うことが好ましい。これにより、処理対象物を一定時間加圧高温に保持することができ、キャッサバ残渣の細胞成分の崩壊とスターチの水和(糊化)をより進行させることができる。また、処理対象物が後述のα−アミラーゼを含む場合、糊化したスターチの加水分解が行われるため、上記操作により処理対象物の液化をより一層進行させることができる。
使用できるジェットクッカとしては、ノリタケクッカ(NCP−100/50−3/3、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
〔α−アミラーゼによる液化〕
本実施形態に係る製造方法では、セルラーゼ及びグルコアミラーゼ等の加水分解酵素を添加する前に、水和スラリーとα−アミラーゼとを反応させることが好ましい。水和スラリー中では、スターチが水和しているため、α−アミラーゼによるスターチの加水分解反応が生じる。この加水分解反応により、スターチの液化が進み、液化スラリーが得られる。液化スラリーは水和スラリーよりも粘度がより一層低下しているため、混合及び移送がより一層容易となる。また、スターチの分解が進んでいることから、グルコアミラーゼによる糖化の効率がより一層向上し、エタノール発酵菌がエタノール発酵の基質として利用できる糖の含有量がより一層増加する。
α−アミラーゼは、1,4−α−D−グルカングルカノヒドラーゼ、又はグリコゲナーゼとも称され、デンプン又はグリコーゲンの1,4−α−結合を不規則に切断し、多糖及びオリゴ糖を生み出す酵素である。
α−アミラーゼとしては、例えば、至適温度が90℃以上の耐熱性α−アミラーゼを使用することが好ましい。耐熱性α−アミラーゼを使用すると、例えば、キャッサバ残渣に含まれるスターチの糊化温度(60℃)より高い温度で作用させることができるため、液化の効率が向上する。また、水和工程において液化を進行させることが可能となる。
α−アミラーゼとしては、例えば、Liquozyme(240 Kiro Novo Unit(KNU)/g,Novozymes社製)、SPEZYME Fred−L(15,100 Liquefon Units/g,Genencor社製)を使用することができる。
α−アミラーゼを添加するタイミングは特に限定されるものではなく、セルラーゼ及びグルコアミラーゼ等の加水分解酵素を添加する前に、水和スラリーとα−アミラーゼとを反応させることができればよい。例えば、キャッサバ残渣の粉砕物にα−アミラーゼを添加してもよく、キャッサバ残渣の粉砕物に水を添加した水添粉砕物にα−アミラーゼを添加してもよく、キャッサバ残渣の粉砕物と水を混合して得られる混合スラリーにα−アミラーゼを添加してもよく、水和スラリーにα−アミラーゼを添加してもよい。
本実施形態において、α−アミラーゼは、水に予め混合し、キャッサバ残渣の粉砕物に水と共に添加することが好ましい。
α−アミラーゼの添加量は、例えば、Liquozyme(240KNU/g,Novozymes社製)の場合、ドライキャッサバ残渣の粉砕物1gあたり、0.12KNUとすることが好ましく、0.24KNUとすることがより好ましい。
〔酵素添加工程〕
酵素添加工程では、水和スラリー、又はα−アミラーゼとの反応を行った場合は液化スラリーに、加水分解酵素としてセルラーゼ及びグルコアミラーゼを添加して発酵原料を得る。
グルコアミラーゼは、グルカン1,4−α−グルコシダーゼとも称され、糖鎖の非還元末端の1,4−α結合を分解してブドウ糖を産生する。グルコアミラーゼとしては、市販のグルコアミラーゼ製剤を使用することができる。例えば、市販のSpirizyme Fuel(Novozymes社製:750 アミログルコシダーゼU(AGU)/g)を好適に使用することができる。
セルラーゼは、β−1,4−グルカン(例えば、セルロース)のグリコシド結合を加水分解する酵素である。セルラーゼとしては、例えば、エンドグルカナーゼ(エンド型のセルラーゼ)、エキソグルカナーゼ(エキソ型のセルラーゼ)、ヘミセルラーゼ(エンド型及びエキソ型)、その他のβ−グルカナーゼ及びβ−グルコシダーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものとすることができる。セルラーゼとしては、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ(エンド型及びエキソ型)、その他のβ−グルカナーゼ及びβ−グルコシダーゼを全て含むものが好ましい。
セルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤を使用することができる。より好ましくは、市販のバイオエタノール生産用のセルラーゼ製剤である。市販のバイオエタノール生産用のセルラーゼ製剤はセルラーゼ(エンド型及びエキソ型)、ヘミセルラーゼ(エンド型及びエキソ型)及びβ−グルコシダーゼ活性を全て含んでいる。
セルラーゼとしては、例えば、市販のAccellerase(登録商標)DUET(Genencor社:エンドグルカナーゼ活性:2400−3000CMC U/g、キシラナーゼ活性(ABX):>3600ABX U/g、ベータグルコシダーゼ活性(pNPG):>400pNPG U/g)を好適に使用することができる。
グルコアミラーゼの作用により水和スラリー又は液化スラリー中のスターチ(スターチ分解物)が糖化され、エタノール発酵菌が摂取し得る糖にまで分解される。また、水和スラリー又は液化スラリー中のリグノセルロース類は、エンド型のセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エキソ型のセルラーゼの作用により加水分解され、この加水分解物はエキソ型のセルラーゼ、ヘミセルラーゼによってオリゴマーまで分解され、続いてβ−グルコシダーゼによって単糖にまで糖化され、エタノール発酵菌が摂取し得る糖にまで分解される。なお、本実施形態においては、必ずしもリグノセルロース類はエタノール発酵菌が摂取し得る糖にまで分解する必要はなく、キャッサバ残渣に由来するリグノセルロース類の分解を進め、リグノセルロース類に抱合されて存在しているスターチを遊離できる程度に分解すればよい。
セルラーゼの添加量は、DUET(Genencor社:エンドグルカナーゼ活性:2400〜3000CMC U/g、キシラナーゼ活性:>3600ABX U/g、ベータグルコシダーゼ活性:>400pNPG U/g)を使用する場合、キャッサバ残渣の乾燥質量に対して、7mg/g以上であることが好ましい。この量以上であれば、発酵モロミの粘度が充分に低下する。セルラーゼの添加量の上限に特に制限はないが、セルラーゼの使用量を低減し、製造コストを低減する観点から、例えば、20mg/gとすることができる。
グルコアミラーゼの添加量は、例えばSpirizyme Fuel(Novozymes社製:750AGU/gを使用した場合、キャッサバ残渣の乾燥質量に対して、0.10AGU/g以上であることが好ましく、0.19AGU/g以上であることがより好ましく0.29AGU/g以上であることが更に好ましい。グルコアミラーゼの添加量の上限に特に制限はないが、酵素の使用量を低減し、製造コストを低減する観点から、例えば、0.39AGU/g以下とすることができる。
また、上記加水分解酵素として、水和スラリー又は液化スラリーに更にペクチナーゼを添加することが好ましい。
ペクチナーゼは、ポリガラクチュロン酸(ペクチン)を分解する酵素群の総称である。ペクチナーゼとしては、例えば、ポリガラクチュロナーゼ(エンド−ポリガラクチュロナーゼ、エキソポリガラクチュロナーゼ)、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、及びペクチンメチルエステラーゼからなる群より選択される少なくとも1種を含むものとすることができる。ペクチナーゼとしては、ポリガラクチュロナーゼ(エンド−ポリガラクチュロナーゼ、エキソポリガラクチュロナーゼ)、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、及びペクチンメチルエステラーゼを全て含むものとしてもよい。
ペクチナーゼを添加することにより、キャッサバ残渣に由来するペクチンが分解され、遊離するスターチの量がより一層増加するため、発酵効率が向上する。また、発酵モロミの粘度がより一層低下し、かつ発酵モロミ中の不溶性夾雑物の量がより一層低下する点でも好ましい。
キャッサバ残渣に由来するペクチンは、各種ペクチナーゼで低分子化されるが、本発明者らは、ポリガラクチュロナーゼ活性が粘度低下に大きく寄与することを見出した。したがって、ペクチナーゼとして、ポリガラクチュロナーゼ活性の高いものを用いることが好ましい。
ペクチナーゼとしては、市販のペクチナーゼ製剤を使用することができる。市販のペクチナーゼ製剤としては、例えば、スミチームSPG、スミチームPXG、スミチームPTE、スミチームSPC及びスミチームAP2(いずれも新日本化学工業株式会社製)が挙げられ、中でもポリガラクチュロナーゼ活性が高いためスミチームSPGが好ましい。
ペクチナーゼの添加量は、キャッサバ残渣の乾燥質量に対して、ポリガラクチュロナーゼ活性が42U/g以上であることが好ましく、126U/g以上であることがより好ましく、253U/g以上であることが更に好ましい。ペクチナーゼの添加量の上限に特に制限はないが、酵素の使用量を低減し、製造コスト低減する観点から、例えば、379U/g以下とすることができる。
発酵原料におけるセルラーゼ、グルコアミラーゼ及びペクチナーゼによる酵素反応は、エタノール発酵菌を添加する前に、水和スラリー又は液化スラリーに含まれる酵素反応の基質の全てを反応させきってもよいが、基質の全てが反応する前に、次工程の発酵工程を開始してもよい(並行複発酵)。
並行複発酵においては、セルラーゼ、グルコアミラーゼ及びペクチナーゼの酵素反応によりセルロース及びスターチから分解産出されるグルコースは、水和スラリー又は液化スラリーに溶出される段階で、エタノール発酵菌の基質として、増殖及びエタノール発酵に使用される。発酵効率を向上させる観点からは、発酵工程(並行複発酵)を開始する前に酵素反応を進めておくことが好ましい。この場合、酵素反応効率をより一層向上させる観点から、酵素反応の際の水和スラリー又は液化スラリーの温度を、エタノール発酵菌の発酵温度より高く、かつ加水分解酵素の失活温度より低い温度にすることが好ましく、具体的には、40℃〜60℃にすることが好ましく、50℃〜60℃にすることがより好ましい。酵素反応の時間としては、特に制限はないが、水和スラリー又は液化スラリーの撹拌効率に応じて通常1〜5時間である。
発酵原料の温度がエタノール発酵菌の発酵可能な温度に低下した時点からエタノール発酵菌の添加を行うのが好ましい。使用するエタノール発酵菌の形態としては、例えば、乾燥処理品、ケーキ状、種々の原料で前培養された発酵モロミが挙げられる。添加量は使用する微生物種類、生菌量、目標とする発酵所用時間によって適宜決定すればよい。例えば、エタノール発酵菌として酵母を使用し、発酵モロミを添加する場合は、発酵液の5体積%の添加量で良好な発酵が行われる。
〔発酵工程〕
発酵工程では、発酵原料(加水分解酵素を添加した水和スラリー又は液化スラリー)から、エタノール発酵菌によるエタノール発酵により、発酵モロミを得る。
発酵原料には、エタノール発酵菌以外の添加物を更に添加してもよい。このような添加物としては、例えば、窒素源である尿素、硫酸アンモニウム及びアンモニア等が挙げられる。
エタノール発酵菌としては、サッカロマイセス属、クルイベロマイセス属、ピキア属、ザイモモナス属の酵母又は細菌を好適に使用できる。これらの酵母及び細菌の中でも、クルイベロマイセス・マーキシアヌス及びサッカロマイセス・セレビシエが好ましい。特に、エンド型ポリガラクチュロナーゼを菌体外に分泌することから、クルイベロマイセス・マーキシアヌスがより好ましい。これらの酵母及び細菌は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
発酵工程におけるエタノール発酵菌の使用量、発酵温度、pH、発酵時間等の条件としては特に制限はなく、公知の条件を適宜選択して用いることができるが、例えば、サッカロマイセス・セレビシエの場合、発酵温度は25℃〜35℃であることが好ましい。クルイベロマイセス・マーキシアヌスの場合、発酵温度は30℃〜48℃であることが好ましく、40℃〜45℃であることがより好ましい。pHは、エタノール発酵菌の種類に依らず、pH3.5〜6.0であることが好ましく、pH4.5〜6.0であることがより好ましい。pHは発酵効率に影響を与える因子の一つであるが、キャッサバ残渣を原料としている本実施形態の製造方法では、pH4.0を切るpH領域においてもエタノール発酵の渋滞が目立たない。また、本実施形態の製造方法によれば、短時間の発酵で充分量のエタノール(例えば、発酵モロミ中のエタノール濃度が8v/v%)を製造することができる。したがって、発酵時間は、例えば、キャッサバパルプスラリーの場合でも、24時間〜48時間とすることができる。
エタノール発酵菌の接種方法としては、種培養で増殖した種菌を遠心分離により回収して、水和スラリー又は液化スラリーに添加する方法でもよく、回分発酵によってエタノール生産に使用したエタノール発酵菌を回収し、新規な回分発酵に繰り返し接種する方法であってもよい。
本実施形態の発酵モロミの粘度は、通常、400mPa・s以下であり、好ましくは200mPa・s以下であり、より好ましくは50mPa・s以下である。粘度の下限に特に制限はなく、低ければ低い程よいが、通常2mPa・s以上である。
本実施形態の発酵モロミのエタノール濃度は、発酵モロミの全体積を基準として、通常、8v/v%以上であり、より好ましくは9v/v%以上である。本実施形態の発酵モロミは、エタノール濃度が高いため、連続蒸留法に適している。
本実施形態の発酵モロミの不溶性夾雑物の含有量は、通常、90g/L以下であり、好ましくは80g/L以下であり、より好ましくは70g/L以下であり、更に好ましくは60g/L以下である。不溶性夾雑物の含有量の下限に特に制限はなく、低ければ低い程よいが、通常50g/L以上である。
本実施形態の発酵モロミの物質移動容量係数kaは、9×10−3/秒以上であることが好ましく、10×10−3/秒以上であることがより好ましく、12×10−3/秒以上であることが更に好ましく、13×10−3/秒以上であることが更により好ましく、13.5×10−3/秒以上であることが特に好ましい。物質移動容量係数kaは高い程良く、特に上限はないが、通常25×10−3/秒以下である。
物質移動容量係数kaは、物質移動のし易さを表し、kは液側物質移動容量係数であり、aは気液界面積である。kaは液粘度の増大とともに減少する傾向にある。即ち、高粘性の液体では気泡が合一してaが低下するためにkaが低下する傾向にある。また、不溶性夾雑物が懸濁した液体ではkaは懸濁物濃度の増大によって気泡が合一するのでkaは低下する傾向にある。
〔蒸留工程〕
蒸留工程では、発酵モロミからエタノールを連続蒸留する。本実施形態に係る発酵モロミは、粘度が低く、かつ不溶性夾雑物の含有量が低いため、連続蒸留に供することができる。
蒸留工程には、種々の蒸留装置を使用することができる。蒸留操作には回分蒸留と連続蒸留がある。連続蒸留装置には棚段塔型と充填物塔型がある。連続蒸留装置は理論的には回分蒸留装置を積み並べたことに相当する。
キャッサバ残渣を原料として得られる発酵モロミは、原料に由来する不溶性夾雑物(例えば、デンプン系の物質、リグノセルロース系の物質及びポリガラクチュロン酸(ペクチン)等の固形物、可溶化しているがデンプン系、リグノセルロース系及びポリガラクチュロン酸系等の食物繊維成分由来の高分子等、エタノール発酵のために接種された微生物、エタノール発酵中に増殖したエタノール発酵菌等)の含有量が比較的多いため、塔の閉塞を起こしにくいモロミ塔で、まず、エタノールを含む揮発性成分を蒸発分離することが好ましい。モロミ塔としては、不溶性夾雑物による塔内構造物の閉塞を起こしにくいため、棚段塔型が好ましい。
棚段塔型連続蒸留装置としては、トレイ(蒸留棚)として、泡鐘トレイ(バブルキャップトレイ)、多孔板トレイ(シーブトレイ)、バルブトレイ、バッフルトレイ、スーパーフラックトレイ、リップルトレイ、マックスフラックトレイ、デュアルフロートレイを備えるものが挙げられる。中でも、泡鐘トレイ(バブルキャップトレイ)型、バルブトレイ型及び多孔板トレイ(シーブトレイ)型の棚段塔が好ましく、気液接触効率が良く、設備製造コストの点で優れ、補修性が良く、飛沫の同伴性が少ないとの観点からは、多孔板トレイ(シーブトレイ)型の棚段塔がより好ましい。
本実施形態に係る蒸留装置は、モロミ塔から回収したエタノールを含む溶液を更に濃縮する濃縮塔と呼ばれる精留装置を更に備えていてもよい。モロミ塔から回収したエタノールを含む溶液は、フィード液である発酵モロミのエタノール濃度の蒸発組成に匹敵するエタノール濃度の溶液である。
本実施形態に係る蒸留装置は、蒸留装置又は精留装置で濃縮された含水エタノールを脱水する脱水器を更に備えていてもよい。脱水器における脱水操作としては、水の吸着剤を用いる水吸着法、水とエタノール以外の第三の溶媒を用いる共沸法が挙げられる。
本実施形態に係る発酵モロミは、粘度が充分に低く、かつ不溶性夾雑物の含有量が充分に低いことから、例えば、蒸留塔に投入する前に、発酵モロミから遠心分離又は濾過等により不溶性固形分を除去することなく、発酵モロミを蒸留工程に供することができる。これにより大規模プロセスへの適用がより一層容易となる。
蒸留塔の理論段数、蒸留温度、発酵モロミの投入速度等の条件としては特に制限はなく、公知の条件を適宜選択して用いることができる。
<バイオエタノールの製造システム>
本実施形態に係るバイオエタノールの製造システムは、キャッサバ残渣を粉砕する粉砕機と、キャッサバ残渣の粉砕物を移送する第1のライン(ライン原料から)を介して粉砕機に接続され、粉砕物を水と混合する混合タンクと、粉砕物及び水の混合物を移送する第2のライン(ライン11)を介して混合タンクに接続され、混合物を加熱及び加圧しながら混合するジェットクッカと、混合物から得られた水和スラリー又は液化スラリーを移送する第3のライン(ライン12)を介してジェットクッカに接続され、水和スラリー又は液化スラリーを原料としてエタノール発酵菌によりエタノール発酵を行う発酵槽と、を少なくとも備える。上記製造システムは、エタノール発酵により得られた発酵モロミを移送する第4のライン(ライン13)を介して発酵槽に接続され、発酵モロミからエタノールを蒸留により分離する連続蒸留塔(モロミ塔)を更に備えることが好ましい。また、モロミ塔に接続された濃縮塔及び脱水器を更に備えることがより好ましい。
図1は、バイオエタノールの製造システムの一実施形態を示す説明図である。図1に示すバイオエタノールの製造システム100は、粉砕機1と、混合タンク2と、ジェットクッカ3と、発酵槽4と、蒸留塔(モロミ塔)5と、濃縮塔6と、脱水器7とを備える。
粉砕機1は、キャッサバ残渣の投入部と、キャッサバ残渣を粉砕する粉砕部と、キャッサバ残渣の粉砕物を移送するライン11と接続された導出部と、を備える。粉砕部では、粉砕物の平均粒径が、乾燥状態で、好ましくは0.30mm以下、より好ましくは0.20mm以下、更に好ましくは0.15mm以下、特に好ましくは0.10mm以下となるように粉砕することが好ましい。このような粉砕機1としては、上述した粉砕機及び擂潰機等を使用することができる。粉砕物はライン11を通して連続的に混合タンク2へ移送される。
混合タンク2は、ライン11を介して粉砕機1と、及びライン12を介してジェットクッカ3と接続されている。混合タンク2は、水及び酵素(α−アミラーゼ)を投入する投入口を更に備えていてもよい。粉砕物、水及びα−アミラーゼの混合は、例えば、撹拌、捏和等により行うことができる。得られる混合物はライン12を通して連続的にジェットクッカ3へ移送される。
ジェットクッカ3は、ライン12を介して混合タンク2と、及びライン13を介して発酵槽4と接続されている。ジェットクッカ3は、ライン12を通して移送される混合物を加熱及び加圧しながら混合し、得られる水和スラリー又は液化スラリーを連続的に送り出し、ライン13を通して発酵槽4へと移送する。
発酵槽4は、ライン13を介してジェットクッカ3と接続されている。発酵槽4は、ライン14を介して蒸留塔(モロミ塔)5と更に接続されていてもよい。発酵槽4において水和スラリー又は液化スラリーを発酵原料としてエタノール発酵菌によりエタノール発酵が行われる。エタノール発酵により得られる発酵モロミは、ライン14を通して蒸留塔5へと移送される。このとき、ライン14を加熱する加熱装置を更に備えていてもよい。蒸留塔5は、好ましくは棚段型蒸留塔及び充填型蒸留塔等の連続蒸留方式の蒸留塔である。
バイオエタノールの製造システム100は、ライン15を介して蒸留塔5と接続された濃縮塔6、及びライン16を介して濃縮塔6と接続された脱水器7を有していてもよい。濃縮塔6は、ライン15を通して移送される蒸留分離されたエタノールを更に濃縮する。濃縮されたエタノールは、ライン16を通して脱水器7へと移送され、脱水器7でエタノールから水分を除去して、無水エタノールが得られる。無水エタノールは、最終的にライン17を通して回収される。濃縮塔6及び脱水器7は、汎用されている装置を好適に利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[バイオエタノールの製造1]
〔キャッサバパルプの粉砕及び平均粒径の測定〕
キャッサバパルプ(キャッサバのスターチ抽出残渣)を乾燥させ、ドライキャッサバパルプを調製した。ドライキャッサバパルプの成分組成の分析値を下記表1及び表2に示す。
Figure 0005824074
Figure 0005824074
マキノ式粉砕機(衝撃式;DD−3−30、槙野産業株式会社製)を使用し、スクリーンの穴径0.35mm、0.6mm及び1.0mmで、上記ドライキャッサバパルプを粉砕した。得られた粉砕物の平均粒径を、以下の方法で測定した。
電磁篩AS200(Retsch社製)を使用し、100gの上記粉砕物を目開き1mmの篩にかけて篩を通過した粉砕物の質量を測定し、1mm篩通過率(%)を求めた。目開き0.5mm、0.3mm、0.15mm、0.1mm及び0.075mmの篩について同様に篩通過率(%)を求め、横軸に目開き(粒径)、縦軸に篩通過率(累積篩下量)をプロットした。図2にプロットの例を示す。プロットした曲線から、累積篩下量が50%になる目開きの値を求め(図2中、破線と横軸との交点)、この値を平均粒径(d50)とした。スクリーンの穴径0.35mm、0.6mm及び1.0mmのときの粉砕物の平均粒径を表3に示す。
Figure 0005824074
なお、スクリーンの穴径0.35mm、0.6mm及び1.0mmでの粉砕物のかさ密度は、それぞれ、1.14g/cm、1.00g/cm及び0.73g/cmであった。また、粉砕物50gに対して150gの水を加えて均一に混合した後30分間放置したスラリーのかさ密度は、スクリーンの穴径0.35mm、0.6mm及び1.0mmでの粉砕物について、それぞれ、0.50g/cm、0.42g/cm及び0.34g/cmであった。
〔液化スラリーの調製〕
スクリーンの穴径0.35mmで粉砕したドライキャッサバパルプに対して、用水及び耐熱性α−アミラーゼ(0.24KNU/g、Novozymes社製)を下記表4に示した組成で添加し、混合して原料混合物(混合スラリー)を得た。この混合スラリーを、ジェットクッカ(NCP−25/20−3/3、株式会社ノリタケカンパニーリミテッド)を使用し、下記表4に示した条件(処理速度(100L/時間)、蒸煮温度(℃)、圧力(Pa)、及び保持時間(分))で処理し、液化スラリーを得た。ジェットクッカ後の粘度も合わせて表4に示す。
Figure 0005824074
スクリーンの穴径0.60mmで粉砕したドライキャッサバパルプに対して、用水及び耐熱性α−アミラーゼ(0.24KNU/g、Novozymes社製)を下記表5に示した組成で添加し、混合して混合スラリーを得た。この混合スラリーを、ジェットクッカ(NCP−25/20−3/3、株式会社ノリタケカンパニーリミテッド)を使用し、下記表5に示した条件(処理速度(100L/時間)、蒸煮温度(℃)、圧力(Pa)、及び保持時間(分))で処理し、液化スラリーを得た。ジェットクッカ後の粘度も合わせて表5に示す。
Figure 0005824074
スクリーンの穴径1.0mmで粉砕したドライキャッサバパルプに対して、同様の操作により液化スラリーの調製を試みたが、圧損が大きかったため、混合スラリーをジェットクッカへ導入することができなかった。
また、比較として、上記混合スラリー(試験No.8)を、ジェットクッカに代えて、オートクレーブ(TOMY社製)を使用して、加熱を行い(同時に、混合は行っていない)、水和及び液化させて液化スラリーを得た。オートクレーブの際の温度は95℃、大気圧下、加熱の時間は90分とした。
〔エタノール発酵酵母の選択〕
クルイベロマイセス・マーキシアヌスは、ペクチナーゼの1種であるポリガラクチュロナーゼを産生する。そこで、NBRCに寄託されているクルイベロマイセス・マーキシアヌス16株について、ペクチナーゼ活性の高い株をスクリーニングした。
ペクチナーゼ活性のスクリーニングは、非特許文献(J. Clin. Microbiol.,6(4),pp.379−386,1977年)に記載の方法を参考に実施した。
使用した培地の組成を以下に示す。
PEC培地:ポリガラクツロン酸ナトリウム30g、酵母エキス5g、塩化カルシウム10w/v%水溶液6ml、BTB指示薬(0.1v/v%)10mlを蒸留水で1Lになるように調製した。
YA培地:ポリガラクツロン酸10g、酵母エキス10g、寒天15g、塩化カルシウム10w/v%水溶液6ml、BTB指示薬(0.1v/v%)10mlを蒸留水で1Lになるように調製した。
SSA培地:PEC培地1Lに寒天3gを添加した。
スクリーニングを3回繰り返した結果を表6〜8に示す。表6〜8中の各記号の意味は次のとおりである。
○ :コロニー形成有り
× :コロニー形成なし
△ :コロニー形成不明確
△○ :コロニー形成は明確でないが、プレートの凹状変形(くぼみ)が確認された
○○ :コロニー周辺の培地プレートの凹状変形(くぼみ)が確認された
○◎ :コロニー周辺の培地にクリアゾーン(ハロー)が形成された
液状化:培地プレートが液状化した
Figure 0005824074
Figure 0005824074
Figure 0005824074
6N塩酸処理下でもハローを形成したクルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株をエタノール発酵試験に使用した。また、サッカロマイセス・セレビシエはバイオエタノール製造実績がある経済産業省特許酵母である凝集性酵母株サッカロマイセス・セレビシエF−5株(微工研菌寄第12807号)を用いた。
〔酵素〕
<ペクチナーゼの選択>
ペクチナーゼとして、スミチームSPG、スミチームPXG、スミチームPTE、スミチームSPC及びスミチームAP2(いずれも新日本化学工業株式会社製)を使用し、酵素剤を作用させた後の粘度及び不溶性夾雑物の含有量を比較した。
なお、セルラーゼとして、Accellerase(登録商標)DUET(Genencor社製)(エンドグルカナーゼ活性:2400−3000CMC U/g、キシラナーゼ活性:>3600ABX U/g、ベータグルコシダーゼ活性:>400pNPG U/g))、グルコアミラーゼとして、Spirizyme Fuel(商品名)(Novozymes製)(750AGU/g)を使用した。
キャッサバパルプの粉砕物(スクリーンの穴径0.35mmで粉砕):水=1:3(質量比)の混合物に、耐熱性αアミラーゼLiquozymeをキャッサバパルプの質量を基準として0.1質量%になるように添加し、水和及び液化して液化スラリーを調製した。200gの液化スラリーに、セルラーゼ349μL、グルコアミラーゼ12.2μL、及び固形分質量あたり0.1質量%のペクチナーゼを添加し、50℃、26時間、180rpmで振とうさせた。得られた酵素反応液の粘度及び不溶性夾雑物の含有量を測定した。不溶性夾雑物の含有量は、酵素反応液20mlを3000rpm、10分間遠心分離した後、上清を捨て、不溶性残渣を3回水で洗浄した後、105℃で2日間乾燥させたときの乾燥不溶性残渣(不溶性夾雑物)の質量及び酵素反応液の容量から算出した。
ペクチナーゼを使用した試験全てにおいて、ペクチナーゼ未使用の試験と比べて、酵素反応後の粘度が低下した(表9)。また、酵素反応後の粘度と不溶性夾雑物の含有量との間に相関が認められた(図3)。したがって、粘度を低下させるために、不溶性夾雑物の含有量を減らすことが重要である。
また、同じペクチナーゼ使用率で粘度の低下が大きかったのは、スミチームSPGであった(表9)。ペクチナーゼ製剤中に含まれるポリガラクチュロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ活性の中で、粘度と相関があったのは、ポリガラクチュロナーゼ活性であった(図4)。
Figure 0005824074
<セルラーゼ及びペクチナーゼの添加量>
セルラーゼとして、Accellerase(登録商標)DUET(Genencor社製)、グルコアミラーゼとして、Spirizyme Fuel(商品名)(Novozymes製)、及びペクチナーゼとして、スミチームSPG(新日本化学工業株式会社製)(ポリガラクチュロナーゼ活性として150000U/g)を使用した。
ドライキャッサバパルプの粉砕物(スクリーンの穴径0.35mmで粉砕)800gと水2400mlを混合後、混合物に耐熱性αアミラーゼLiquozymeをキャッサバパルプの質量を基準として0.1質量%になるように添加し、90℃、180分加熱し、液化スラリーを得た。500mlのフラスコに150gの液化スラリーを入れ、以下の表10に示す窒素源(尿素)、グルコアミラーゼ(Spirizyme)、セルラーゼ(DUET)、及びクルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株を添加し、40.5℃、105rpmの条件下で振とうして、前培養及び本培養を行った。42時間後、発酵モロミの粘度及び不溶性夾雑物の含有量を測定した。
Figure 0005824074
試験名Cel(X1)と比較して、セルラーゼの添加量を3倍にしたCel(X3)は粘度及び不溶性夾雑物の含有量ともに低下した。セルラーゼの添加量を5倍にしたCel(X5)、及び10倍にしたCel(X10)についても、Cel(X1)と比較して粘度及び不溶性夾雑物の含有量ともに低下した。一方、Cel(X3)、Cel(X5)及びCel(X10)の間で、粘度及び不溶性夾雑物の含有量に大きな差はなかった(表10)。
ドライキャッサバパルプの粉砕物(スクリーンの穴径0.35mmで粉砕)800gと水2400mlを混合後、混合物に耐熱性αアミラーゼLiquozymeをキャッサバパルプの質量を基準として0.1質量%になるように添加し、90℃、180分加熱し、液化スラリーを得た。500mlのフラスコに150gの液化スラリーを入れ、以下の表11に示す窒素源(尿素)、グルコアミラーゼ(Spirizyme)、セルラーゼ(DUET)、ペクチナーゼ(スミチームSPG)、及びクルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株を添加し、40.5℃、105rpmの条件下で振とうし、前培養及び本培養を行った。42時間後、発酵モロミの粘度及び不溶性夾雑物の含有量を測定した(表12)。
Figure 0005824074
Figure 0005824074
Cel(X3)+Pec(X1/3)、Cel(X3)+Pec(X1)、Cel(X3)+Pec(X2)、及びCel(X3)+Pec(X3)の間で粘度には大きな差はなかった。また、ペクチナーゼの添加量が同じ場合、セルラーゼの添加量が多い方が粘度及び不溶性夾雑物の含有量が低かった(表12)。
〔エタノール並行複発酵〕
エタノール発酵菌として、クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株、及びサッカロマイセス・セレビシエF−5株を用い、エタノール発酵を行った。セルラーゼとして、Accellerase(登録商標)DUET(Genencor社製)、グルコアミラーゼとして、Spirizyme Fuel(商品名)(Novozymes製)、及びペクチナーゼとして、スミチームSPG(新日本化学工業株式会社製)を使用した。
<150g発酵スケール>
ドライキャッサバパルプの粉砕物(スクリーンの穴径0.35mmで粉砕)800gと水2400mlを混合後、混合物に耐熱性αアミラーゼLiquozymeをキャッサバパルプの質量を基準として0.1質量%になるように添加し、90℃、180分加熱し、液化スラリーを得た。
クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株の場合、液化スラリー150gに対し、下記表13に示す組成で、尿素、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、及びペクチナーゼ、蒸留水を添加し(全量155ml)、40.5℃、105rpmの条件で、前培養(種培養)を行った。その後、液化スラリー150gに対し、下記表13に示す組成で、尿素、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ及び前培養液15mlを添加し、全量170mlとした。40.5℃、105rpmの条件で、エタノール発酵を行った。サッカロマイセス・セレビシエF−5株の場合、液化スラリー150gに対し、下記表13に示す組成で、硫安(硫酸アンモニウム)、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、及びペクチナーゼ、蒸留水を添加し(全量155ml)、32℃、105rpmの条件で、前培養を行った。その後、液化スラリー150gに対し、下記表13に示す組成で、硫酸アンモニウム、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ及び前培養液15mlを添加し、全量170mlとした。32℃、105rpmの条件で、エタノール発酵を行った。41時間後の発酵液の粘度と不溶性夾雑物の含有量を表14に示す。
Figure 0005824074
Figure 0005824074
クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株は、菌体からポリガラクチュロナーゼを分泌すること、及び発酵温度が高く酵素反応が進みやすいことから、サッカロマイセス・セレビシエF−5株よりも発酵モロミの粘度が低かった(表14)。また、ペクチナーゼを添加することによりさらに粘度が低くなり、不溶性夾雑物の含有量も低くなった(表14)。サッカロマイセス・セレビシエF−5株でも、ペクチナーゼを添加することで発酵モロミの粘度は低下した(表14)。
<5L発酵装置>
以下の表15及び表16に示す組成で、クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株を使い、発酵温度40℃、回転数は最初の24時間は400〜450rpm、その後250rpmとしてエタノール発酵を行った。表15の2kgスケールのエタノール発酵には、試験No.2、No.3、No.4、No.6、No.8、No.11の条件で前処理した液化スラリーを用いた。表16の3kgスケールのエタノール発酵には、オートクレーブ、試験No.4+ペクチナーゼの条件で前処理した液化スラリーを用いた。
Figure 0005824074
Figure 0005824074
<30L発酵装置>
以下の表17に示す組成で、クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株を使い、発酵温度40℃、回転数は140rpmでエタノール発酵を行った。表17の20kgスケールのエタノール発酵には、試験No.4、No.6の条件で前処理した液化スラリーを用いた。
Figure 0005824074
以下の表18に示す組成で、サッカロマイセス・セレビシエF−5株を使い、発酵温度32℃、回転数は300rpmでエタノール発酵を行った。表18の20kgスケールのエタノール発酵には、試験No.3の条件で前処理した液化スラリーを用いた。
Figure 0005824074
20kgスケールでのエタノール発酵を67時間行った時点で発酵モロミの粘度を測定した。サッカロマイセス・セレビシエF−5株でもペクチナーゼを添加することで粘度はクルイベロマイセスと同程度に低下した(図5)。
〔前処理条件とエタノール濃度及び粘度との関係〕
上記種々の前処理条件を施した原料を用い、上記した条件で5L発酵装置を用いてエタノール発酵を行った。エタノール発酵中の培地を経時的に採取し、エタノール濃度を測定した。エタノール濃度の測定は、ガスクロマトグラフィーにより行った。また、エタノール発酵を67時間行った後の発酵モロミについて、粘度を測定した。粘度の測定は、回転式粘度計を使った測定方法により行った。
図6に粘度の測定結果を示した。キャッサバパルプの粉砕をスクリーンの穴径0.60mmで行った粉砕物に比べて、粉砕をスクリーンの穴径0.35mmで行った粉砕物は粘度が顕著に減少していた(図6(A))。なお、粉砕をスクリーンの穴径1.0mmで行った粉砕物は、高濃度で仕込んだ場合に液化スラリーを得ることができなかった。
ジェットクッカを使用し、加熱及び加圧しながら混合して液化スラリーを調製した場合、オートクレーブを使用し、加熱して液化スラリーを調製した場合と比べて、粘度が顕著に減少していた(図6(B))。また、液化スラリーにペクチナーゼを添加した場合、ペクチナーゼを添加しなかった場合と比べて、粘度が顕著に減少していた(図6(C))。
図7にエタノール濃度の測定結果を示した。キャッサバパルプの粉砕をスクリーンの穴径0.60mmで行った粉砕物に比べて、粉砕をスクリーンの穴径0.35mmで行った粉砕物はエタノール濃度の立ち上がりも早く、また、定常状態に達したときのエタノール濃度も顕著に増加していた(図7(A))。このときのエタノール濃度は8.0体積%(v/v%)を超えており、蒸留コストを充分に低減できるレベルであった。
ジェットクッカを使用し、加熱及び加圧しながら混合して液化スラリーを調製した場合、オートクレーブを使用し、加熱して液化スラリーを調製した場合と比べて、エタノール濃度の立ち上がりも早く、また、定常状態に達したときのエタノール濃度も顕著に増加していた(図7(B))。また、液化スラリーにペクチナーゼを添加した場合、ペクチナーゼを添加しなかった場合と比べて、定常状態に達したときのエタノール濃度が顕著に増加していた(図7(C))。
ジェットクッカを使用し、液化スラリーの調製条件を表4に示すように変えたときのエタノール濃度の測定結果を図7(D)に示した。混合スラリーを3時間又は15時間静置してからジェットクッカに供給したNo.6及びNo.8の条件では、定常状態に達したときのエタノール濃度が高かった。
〔粘度とエタノール濃度との関係〕
クルイベロマイセス・マーキシアヌスNBRC 0482株により、上記した条件で5L発酵装置を用いて48時間エタノール発酵を行った。エタノール発酵前の液化スラリーの粘度が低い程、発酵後のエタノール濃度が高かった(図8)。すなわち、発酵液の粘度低下により、エタノール発酵も促進された。
〔発酵モロミの物質移動容量係数;ka〕
得られた発酵モロミについて、気液間の物質移動容量係数(ka)を求めた。気液間の物質移動容量係数は、液体と気体の間の物質の移動し易さを表す目安となるため、発酵モロミの蒸留のし易さを表す指標として用いることができる。
キャッサバ残渣から得られた発酵モロミ、及びサトウキビ廃糖蜜(モラセス)から得られた発酵モロミを物質移動容量係数の測定に用いた。モラセスから得られた発酵モロミは、モラセス希釈液(FS濃度163.5g/L相当)を使用し、1.6Lの発酵スケールで、発酵温度32℃、振とう条件125rpmでサッカロマイセス・セレビシエF−5株によりエタノール発酵して得られた発酵モロミを使用した。
発酵モロミを水で二倍希釈した後、希釈前の体積になるまで減圧蒸留を行い、エタノールを除去した。この発酵モロミを物質移動容量係数の測定に用いた。
発酵モロミ2.5Lを直径150mmの5Lジャーに加え、温度を60℃とした。次に、発酵モロミに窒素ガスを通気し、溶存酸素を除去した。その後、発酵モロミを450rpmで撹拌しながら、空気を10L/分の速度で通気し、発酵モロミ中の溶存酸素濃度を経時的に測定した。溶存酸素濃度をC(ppm)、飽和溶存酸素量をC(ppm)とすると、ka=−ln(1−C/C)/tである。空気の通気を開始してからの時間t(秒)に対して、ln(1−C/C)をプロットし、傾きからkaを求めた。それぞれの発酵モロミについて、この操作を3回繰り返し、3回の結果の平均値をkaとした(表19)。
Figure 0005824074
表19中、試験No.4及び試験No.6は表4に記載の条件で液化スラリーを調製した場合であり、試験No.4+pectinase及び試験No.3+pectinaseは試験No.4又は試験No.3でペクチナーゼを更に添加した場合であり、オートクレーブは上記の条件で液化スラリーを調製した場合である。モラセス1及び2は、モラセスを原料としてエタノール発酵を行った発酵モロミで同様の試験を行ったものである。
本発明の製造方法により得られた発酵モロミは、モラセスと同等の物質移動容量係数を示した(表19)。モラセスは、連続蒸留法によるバイオエタノールの蒸留が可能である。モラセスと同程度の物質移動容量係数を有することから、本発明の製造方法により得られた発酵モロミも連続蒸留法への適用が可能である。
〔スターチ及び食物繊維成分量〕
表4に記載の試験No.4の条件でエタノール発酵を行い、発酵モロミ中の不溶性夾雑物及び上清に含まれるスターチ及び食物繊維成分量を測定した。不溶性夾雑物は上述の方法で乾燥させて乾燥不溶性残渣として得た(ただし、105℃乾燥の代わりに凍結乾燥を行った)。図9にこの結果を示す。図9(A)は、スターチ含量を測定した結果を示したものである。スターチは、不溶性夾雑物には存在せず(検出下限以下)、全て上清に遊離され、かつエタノール発酵に使用されたことがわかる。一方、セルロース(図9(B))、ヘミセルロース(図9(C))及びリグニン(図9(D))は、エタノール発酵開始直後に不溶性夾雑物中の含有量が減少するものの、その後はほぼ一定の含有量で維持されていることがわかる。
この結果は、本発明の製造方法は、キャッサバ残渣に含まれるリグノセルロースを糖化してエタノール発酵の基質として使用するというよりも、むしろ、リグノセルロースに抱合されているスターチを遊離させ、スターチを糖化してエタノール発酵の基質として使用するものであることを示している。本発明の製造方法は、このような機構に基づいているため、これまで実用化が困難であったキャッサバ残渣を原料としているにも関わらず、原料を高濃度で仕込むことができ、発酵時間を短縮することができ、かつ連続蒸留法を採用することができ、実用化に耐え得るコスト低減が可能となる。
[バイオエタノールの製造2]
〔キャッサバパルプの粉砕及び平均粒径の測定〕
[バイオエタノールの製造1]〔キャッサバパルプの粉砕及び平均粒径の測定〕と同様にして、スクリーンの穴径0.35mmでキャッサバパルプを粉砕した。得られた粉砕物の平均粒径(d50)は、0.089mmであった。
〔液化スラリーの調製〕
[バイオエタノールの製造1]〔液化スラリーの調製〕と同様にして、下記表20に示す条件で液化スラリーを調製した。なお、ペクチナーゼは添加していない。
Figure 0005824074
〔発酵モロミの粘度及び物質移動容量係数ka〕
[バイオエタノールの製造1]<5L発酵装置>と同様の条件で、試験No.2−1〜2−5の液化スラリーに対して、エタノール発酵を行った。エタノール発酵を67時間行った時点で、得られた発酵モロミについて、[バイオエタノールの製造1]と同様にして、粘度及び物質移動容量係数kaを測定した(表21)。
Figure 0005824074
本発明の製造方法により得られた発酵モロミは、充分に粘度が低く、かつモラセスと同等の物質移動容量係数を示した(表21)。また、液化スラリー調製の際の蒸煮温度が90〜95℃の時、物質移動容量係数が高く、連続蒸留法への適用により適している。
本発明に係るバイオエタノールの製造方法は、キャッサバ残渣を原料とし、市場における競争力を有する程度にまで製造コストを低減することができる。また、既存の製造プロセスへの適合性が高いという利点を有する。本発明の製造方法は、キャッサバからデンプンを抽出したキャッサバ残渣及びキャッサバチップからエタノールを製造した後のキャッサバ残渣等を有効に利用して、バイオエタノールを製造することができるため、産業上極めて有用である。
1…粉砕機、2…混合タンク、3…ジェットクッカ、4…発酵槽、5…蒸留塔(モロミ塔)、6…濃縮塔、7…脱水器、11,12,13,14,15,16,17…ライン、100…バイオエタノールの製造システム。

Claims (9)

  1. キャッサバ残渣の粉砕物と水とから、混合スラリー又は水添粉砕物を調製し、加圧した生蒸気を前記混合スラリー又は前記水添粉砕物に直接噴射することにより前記混合スラリー又は前記水添粉砕物を加熱蒸煮することで、前記混合スラリー又は前記水添粉砕物を加熱及び加圧しながら混合し、前記粉砕物を水和させる水和工程と、
    水和した前記粉砕物に、加水分解酵素としてセルラーゼ及びグルコアミラーゼを添加して発酵原料を得る酵素添加工程と、
    前記発酵原料から、エタノール発酵菌によるエタノール発酵により、物質移動容量係数k aが9×10 −3 /秒以上である発酵モロミを得る発酵工程と、を備える、バイオエタノールの製造方法。
  2. 前記発酵モロミからエタノールを連続蒸留する蒸留工程を更に備える、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記粉砕物の平均粒径が、乾燥状態で0.1mm以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記加水分解酵素の添加前に、水和した前記粉砕物とα−アミラーゼとを反応させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記加水分解酵素として、更にペクチナーゼを添加する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記エタノール発酵菌が、クルイベロマイセス・マーキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces erevisiae)の少なくとも一方である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記発酵モロミの粘度が、400mPa・s以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記発酵モロミ中の不溶性夾雑物の含有量が、90g/L以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. キャッサバ残渣を粉砕する粉砕機と、
    該粉砕機に第1のラインを介して接続され、キャッサバ残渣の粉砕物と水を混合する混合タンクと、
    該混合タンクに第2のラインを介して接続され、粉砕物と水の混合物を加熱及び加圧しながら混合するジェットクッカと、
    該ジェットクッカに第3のラインを介して接続され、水和した前記混合物を発酵原料としてエタノール発酵菌によりエタノール発酵を行う発酵槽と、
    前記発酵槽に第4のラインを介して接続され、前記エタノール発酵で得られる発酵モロミからエタノールを蒸留により分離する連続蒸留塔と、を備え、
    前記発酵モロミの物質移動容量係数k aが9×10 −3 /秒以上である、バイオエタノールの製造システム。
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