本発明の実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置の一例について説明する。
(全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10の装置本体10Aの上部には、複数枚の読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する自動原稿搬送装置12と、1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス43と、自動原稿搬送装置12によって搬送され又はプラテンガラス43に載せられた読取原稿Gの被読取面GA(図6、7参照)を読み取る画像読取装置の一例としての原稿読取装置14とが設けられている。また、装置本体10Aの中央部には、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部71が設けられている。なお、図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示し、矢印Hは水平方向を示している。
装置本体10Aの上下方向中央側には、互いに異なった色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニット30が設けられている。さらに、画像形成ユニット30の上側には、図中矢印A方向に循環駆動しながら各色の画像形成ユニット30で形成されたトナー画像が転写される無端状の中間転写ベルト32が設けられている。なお、画像形成ユニット30が画像形成部の一例に相当するものである。
画像形成ユニット30としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー各色に対応して4つの画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kが設けられており、最初に中間転写ベルト32に転写されるイエロー(Y)のトナー画像が形成される画像形成ユニット30Yの位置が高く、最後に中間転写ベルト32に転写される黒(K)のトナー画像が形成される画像形成ユニット30Kの位置が低くなるように、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは水平方向(矢印H方向)に対して傾斜した状態で並べられている。
これらの4つの画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、基本的に、同じ部材で構成されている。なお、以下の説明では、各色を区別する場合には符号に各色に対応する文字(Y、M、C、K)を付加し、特に区別しない場合には各色に対応する文字を省略する。
図2に示すように、各色の画像形成ユニット30には、図示しない駆動手段によって回転する像保持体34が設けられており、さらに、この像保持体34の表面を帯電する一次帯電用の帯電部材36が設けられている。
また、帯電部材36に対して像保持体34の回転方向の下流側には、帯電部材36によって表面が帯電した像保持体34の表面に各色に対応した光を露光して静電潜像を形成する露光装置40が設けられ、露光装置40に対して像保持体34の回転方向の下流側には、像保持体34の表面に形成された静電潜像を各色のトナーで現像し、トナー画像として可視化する現像器42が設けられている。
なお、図1に示すように、中間転写ベルト32の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器42に、各色のトナーを供給するトナーカートリッジ38Y、38M、38C、38Kが設けられている。そして、黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ38Kは、使用頻度に合わせて、他のカラーのトナーカートリッジ38Y、38M、38Cと比較して大型化されている。
一方、図2に示すように、中間転写ベルト32を挟んで像保持体34の反対側には、像保持体34の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト32に転写するための一次転写部材46が設けられている。さらに、像保持体34から中間転写ベルト32に転写されずに像保持体34の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置44が、像保持体34の表面に接して、一次転写部材46に対して像保持体34の回転方向の下流側に設けられている。
この構成により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット30(Y、M、C、K)に個別に設けられた露光装置40(Y、M、C、K)に各色の画像データが順次出力される。さらに、これらの露光装置40(Y、M、C、K)から画像データに応じて出射された光は、対応する像保持体34の表面を露光し、像保持体34の表面には静電潜像が形成される。像保持体34の表面に形成された静電潜像は、現像器42(Y、M、C、K)によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像として現像される。
さらに、像保持体34の表面に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像は、各色の画像形成ユニット30(Y、M、C、K)の上方に傾斜して配置される中間転写ベルト32上に、一次転写部材46によって多重に転写されるようになっている。
ここで、図1に示すように、中間転写ベルト32は、中間転写ベルト32に駆動力を付与する駆動ロール48と、回転すると共に中間転写ベルト32を裏面から支持する支持ロール50と、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール54と、第1従動ロール56と、第2従動ロール58とに予め定められた張力で巻き掛けられている。
さらに、中間転写ベルト32の表面を清掃するクリーニング装置52が、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール48の反対側に設けられており、このクリーニング装置52は、装置本体10Aの前側(ユーザが立つ正面側)に設けられたフロントカバー(図示省略)を開放することで、装置本体10Aに脱着自在とされている。
また、水平方向(矢印H方向)に対して予め定められた角度だけ傾斜した状態で配置された中間転写ベルト32の低位側の端部には、中間転写ベルト32上に一次転写されたトナー画像を記録媒体としての記録シートPに二次転写するための二次転写部材60が、支持ロール50とで中間転写ベルト32を挟むように配置されている。つまり、二次転写部材60と支持ロール50とで挟んだ位置が、記録シートPへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。
支持ロール50及び二次転写部材60の上方には、二次転写部材60によってトナー画像が転写されると共に搬送経路62に沿って搬送される記録シートPにトナー画像を定着させる定着装置64が設けられている。定着装置64は、記録シートPの画像面側に配置された加熱ロールと、記録シートPを加熱ロールに向けて加圧する加圧ロールとで構成されている。
さらに、定着装置64に対して記録シートPの搬送方向の下流側(以下単に「搬送方向下流側」という)には、トナー画像が定着した記録シートPを搬送する搬送ロール66が設けられ、搬送ロール66の搬送方向下流側には、記録シートPの搬送方向を切り替える切替ゲート68が設けられている。また、切替ゲート68の搬送方向下流側には、一の方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内される記録シートPを第1排出部69に排出する第1排出ロール70が設けられている。
さらに、切替ゲート68の搬送方向下流側には、他の方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内され搬送ロール73により搬送される記録シートPを第2排出部72に排出する第2排出ロール74と、記録シートPを第3排出部76に排出する第3排出ロール78が設けられている。
一方、二次転写部材60に対して記録シートPの搬送方向の上流側(以下単に「搬送方向上流側」という)には、記録シートPが収容される給紙部80、82、84、86が設けられ、各給紙部80、82、84、86には、サイズの異なる記録シートPが収容されている。
さらに、各給紙部80、82、84、86には、収容された記録シートPを各給紙部80、82、84、86から搬送経路62に持ち出す給紙ロール88が設けられ、給紙ロール88の搬送方向下流側には、記録シートPを1枚ずつ搬送する搬送ロール90及び搬送ロール92が設けられている。また、搬送ロール92の搬送方向下流側には、記録シートPを一端停止させ、予め定められたタイミングで二次転写位置へ送り出す位置調整ロール94が設けられている。
一方、記録シートPの両面に画像を形成させるために、記録シートPを反転させて搬送する両面用搬送ユニット98が二次転写位置の側方に設けられており、両面用搬送ユニット98には、搬送ロール73を逆転させることで搬送される記録シートPが送り込まれる反転経路100が設けられている。そして、反転経路100に沿って複数の搬送ロール102が設けられ、これらの搬送ロール102によって搬送された記録シートPは表裏が反転された状態で、再度位置調整ロール94へと搬送される構成となっている。
また、両面用搬送ユニット98の隣りには、折り畳み式の手差給紙部106が設けられている。そして、開放された折り畳み式の手差給紙部106から給紙される記録シートPを搬送する給紙ロール108及び搬送ロール110、112が設けられており、搬送ロール110、112で搬送された記録シートPは、位置調整ロール94に搬送されるようになっている。
次に、自動原稿搬送装置12の構成について説明する。
図3に示すように、自動原稿搬送装置12は、複数枚の読取原稿Gが上面に積載される原稿台13と、原稿台13から読取原稿Gを1枚ずつ送り出す送出ロール15と、送出ロール15により送り出された読取原稿Gを更に下流側まで搬送する第1搬送ロール17と、を有している。
また、自動原稿搬送装置12は、原稿台13から送り出された読取原稿Gが最初に搬送される第1搬送路19を有している。第1搬送路19には、1枚ずつに分離された読取原稿Gを下流側のロールまで搬送する第2搬送ロール21、読取原稿Gを更に下流側のロールまで搬送すると共にループ形成を行う第3搬送ロール23、一旦、停止した後に読み込みタイミングを合わせて回転を再開し、原稿読取装置14に対して読取原稿Gの先端位置調整を施しながら読取原稿Gを供給する位置調整ロール25、読み取り中の読取原稿Gの搬送を補助する補助ロール27、及び読み取られた読取原稿Gを更に下流に搬送する第4搬送ロール29が設けられている。なお、第1搬送路19には、搬送される読取原稿Gを案内するガイド部材が設けられているが、図示を省略している。
第4搬送ロール29の下流側には、第2搬送路31が設けられており、第2搬送路31の下流側には、読み取りが終了した読取原稿Gを排出部33へ排出させる排出ロール35が設けられている。
一方、第2搬送路31の下流側から第3搬送ロール23に向かって、第2搬送路31を経由した読取原稿Gを反転させるための第3搬送路37が形成されている。そして、第2搬送路31と第3搬送路37との分岐位置には、読取原稿Gの搬送経路を第2搬送路31又は第3搬送路37に切り替える切替ゲート39が設けられている。
ここで、送出ロール15は、図示しないモータを含む駆動手段で上昇又は下降が行われるようになっており、画像形成装置10の待機中には上昇して退避位置に保持され、読取原稿Gの搬送中には下降して原稿台13上の最上位の読取原稿Gを搬送する。また、送出ロール15および第1搬送ロール17は、クラッチ機構(図示省略)の連結によって回転し読取原稿Gの搬送を行う。
第1搬送ロール17、第2搬送ロール21、及び第3搬送ロール23は、停止している位置調整ロール25に読取原稿Gの先端を突き当ててループを形成する。位置調整ロール25では、ループ形成中に、位置調整ロール25に噛み込んだ読取原稿Gの先端位置を調整する。この読取原稿Gのループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、読み込み中における読取原稿Gのずれ(スキュー)が抑制される。そして、読み込みの開始タイミングに合わせて、停止されていた位置調整ロール25が回転を開始することで、読取原稿Gの読み取りが開始される。
切替ゲート39は、読取原稿Gの片面の読み取りを開始するときに端部が上側に配置され、第4搬送ロール29を経由した読取原稿Gを排出部33に排出するように切り替えられる。一方、切替ゲート39は、読取原稿Gの両面を順次読み取るときには、読取原稿Gを反転させるために第3搬送路37に読取原稿Gを導くように端部が下降する。これにより、読取原稿Gは、第3搬送路37を経由して再度第1搬送路19に導かれる。
次に、原稿読取装置14の構成について説明する。
原稿読取装置14は、自動原稿搬送装置12の下部に設けられた筐体41の上部にプラテンガラス43が取り付けられている。プラテンガラス43は、読取原稿Gを静止させた状態で載せる第1プラテンガラス43Aと、搬送中の読取原稿Gを読み取るための光の透過部を形成する第2プラテンガラス43Bとで構成されている。
また、原稿読取装置14は、読取原稿Gの被読取面GA(図6参照)の画像を読み込むために発光する発光素子61と、発光素子61から出射された光を読取原稿Gの被読取面GAに導く導光部材65と、導光部材65から出射され被読取面GAで反射された光を反射する第1ミラー75と、が取り付けられた第1キャリッジ18と、第1キャリッジ18の第1ミラー75から入射された光を結像部20へ導く第2ミラー45A及び第3ミラー45Bが取り付けられた第2キャリッジ22と、を有している。なお、結像部20は、読取手段の一例に相当する。
第1キャリッジ18は、初期位置である第2プラテンガラス43Bの下(読取原稿Gの搬送面の下)に停止し、又は第1プラテンガラス43Aの全体に亘って読取原稿Gの被読取面GA(図7参照)に沿って移動しながら、発光素子61の発光により読取原稿Gに光Lを照射して、読取原稿Gで反射された光Lを第2キャリッジ22に導く。なお、第1キャリッジ18の詳細な構成については後述する。
第2キャリッジ22は、第1キャリッジ18の第1ミラー75から入射された光Lを下方へ反射する第2ミラー45Aと、第2ミラー45Aで反射された光Lを矢印X方向に折り返す第3ミラー45Bとを有している。
結像部20は、第3ミラー45Bによって折り返された光L(光学像)を結像する結像用レンズ24と、結像用レンズ24によって結像された光学像を光電変換する光電変換素子26とを有しており、光電変換素子26によって変換された電気信号(画像信号)は、光電変換素子26と電気的に接続された画像処理装置28に送られる。画像処理装置28では電気信号が画像処理され、前述の制御部71(図1参照)によって、露光装置40(図2参照)へ、その画像処理された画像信号が送られるようになっている。
ここで、まず、第1プラテンガラス43Aに載せられた読取原稿Gの画像を読み取る場合には、第1キャリッジ18と第2キャリッジ22とが、移動距離2:1の割合で移動方向(矢印X方向)に移動する。このとき、第1キャリッジ18の発光素子61から読取原稿Gの被読取面GA(図7参照)に光Lが照射されると共に、被読取面GAで反射された光Lが第2キャリッジ22に導かれ、光Lは、第2ミラー45A、第3ミラー45Bの順に反射されて結像用レンズ24に導かれる。そして、結像用レンズ24に導かれた光Lは、光電変換素子26の受光面に結像される。なお、第2キャリッジ22の移動距離が第1キャリッジ18の移動距離の半分となっていることで、読取原稿Gの被読取面GAから光電変換素子26までの光Lの光路長は変化しない。
光電変換素子26は1次元のセンサであり、移動方向(矢印X方向)と交差する方向における読取原稿Gの1ライン分を処理している。原稿読取装置14では、移動方向と交差する方向の1ラインの読み取りが終了した後、移動方向に第1キャリッジ18を移動させて読取原稿Gの次のラインを読み取る。これを読取原稿Gの全体に亘って実行することで、1ページの読み取りが完了する。なお、以後の説明では、第1キャリッジ18及び第2キャリッジ22の移動方向を副走査方向と記載し、移動方向と交差する方向を主走査方向と記載する。
一方、第2プラテンガラス43B上で読取原稿Gの画像を読み取る場合には、自動原稿搬送装置12によって搬送される読取原稿Gが第2プラテンガラス43Bの上を通過する。このとき、第1キャリッジ18と第2キャリッジ22は、原稿読取装置14の一方端(図3の左端)に示す実線の読み取り位置に停止した状態にある。この読み取り位置において、まず、搬送されてきた読取原稿Gの1ライン目で反射された光Lが結像用レンズ24で結像され、光電変換素子26によって画像が読み込まれる。即ち、1次元のセンサである光電変換素子26によって主走査方向の1ライン分を処理した後、搬送される読取原稿Gの次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。そして、読取原稿Gの後端が第2プラテンガラス43Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って読取原稿Gの1ページの読み取りが完了する。
(要部構成)
次に、第1キャリッジ18の構成について説明する。
図4に示すように、第1キャリッジ18は、主走査方向(矢印Y方向)に間隔をあけて対向配置された2枚の側板55A、55Bの上部に、主走査方向を長手方向として副走査方向(矢印X方向)に間隔をあけて配置された板金である第1ホルダー51及び第2ホルダー53の両端部が取り付けられて構成されている。また、側板55A、55Bには、第3ホルダー47、第4ホルダー49が取り付けられている。ここで、第1ホルダー51は、上方部材の一例に相当する。
第1ホルダー51及び第2ホルダー53の上面は、第1キャリッジ18の上面を形成しており、読取原稿Gの被読取面GA(図6参照)と対向配置される。なお、側板55Aと側板55Bの主走査方向の配置間隔は、読取原稿G(図1参照)の主走査方向の画像形成領域の幅よりも大きくなっている。
第1ホルダー51は、副走査方向の断面がL字状となっており、第1キャリッジ18の上面としての上壁51Aと、第1キャリッジ18の副走査方向(移動方向)前方の側壁51Bとで構成されている。上壁51Aの端部は、下方側へ向けて折り曲げられている。また、第1ホルダー51の内側で側壁51Bの下部には、主走査方向を長手方向として副走査方向の断面が逆レ字状のブラケット57の一方の平面部57Aがネジ77で固定されている。
図5に示すように、ブラケット57の他方の傾斜配置された平面部57Bには、主走査方向を長手方向とする回路基板59A上に光源の一例である発光素子61が主走査方向に沿って列状に複数並べられた発光部59が取り付けられている。回路基板59Aは、端部に接続されたフレキシブル基板63を介して制御部71(図1参照)から給電されるようになっている。なお、本実施形態では、発光素子61としてLED(Light Emitting Diode)素子を用いている。
ここで、画像形成装置10の制御部71(図1参照)には、発光部59を駆動させるための光源駆動回路(図示省略)が内蔵されている。この光源駆動回路は、各発光素子61から読取原稿G(図1参照)に照射される光の光量を調整する抵抗器を備えている。そして、光源駆動回路は、発光素子61の発光のオン及びオフを制御するための光源駆動信号、及び光の光量を調整するための調整信号に基づいて発光部59を駆動するようになっている。
図6に示すように、各発光素子61は、読取原稿Gの被読取面GAに対して予め定められた角度で傾斜配置されている。これにより、発光素子61から読取原稿Gに向けて出射された光は、読取原稿Gの被読取面GAに対して予め定められた傾斜方向から入射して散乱されるため、読取原稿Gの被読取面GAに対して垂直に光を入射した場合に比べて、読取原稿Gの下地(白)での正反射が抑えられ、画像の輝度差(コントラスト)の低下が抑えられている。
また、第1キャリッジ18内には、各発光素子61の発光面と対向して、主走査方向を長手方向とする導光体の一例に相当する導光部材65が配設されている。導光部材65は、一例として、アクリル樹脂を直方体状に成形したものであり、主走査方向の両端部が側板55A、55Bで支持されている。また、導光部材65は、指向性を有する光を少なくとも主走査方向に拡散させると共に、発光素子61から出射された光を読取原稿G(図1参照)の読取位置近くまで導くようになっている。
これにより、導光部材65の発光素子61と対向する面とは反対側の光出射面65Aでは、発光部59の発光素子61からの光が内部で全反射して出射するようになっており、光出射面65Aにおける光量分布のばらつきが抑えられている。導光部材65の他の材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等がある。
導光部材65の光出射面65Aには、透光性を有する拡散板67が接合されている。拡散板67は、一例としてアクリル樹脂で構成されており、拡散板67の光の出射面には、導光部材65の光出射面65Aから入射した光を拡散させる凹凸(図示省略)が形成されている。この凹凸パターンの形状を変化させることより、拡散板67から出射した光は、円形又は楕円形に整形される。なお、拡散板67の他の材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ガラス等がある。
一方、拡散板67から副走査方向へ予め定められた距離だけ離間した位置には、拡散板67から出射された光を反射して読取原稿Gの読取位置(被読取面GA)まで導く反射板79が配置されている。反射板79は、主走査方向を長手方向とする鏡面体であり、光の反射面とは反対側の面が第2ホルダー53の傾斜面に固定されている。
また、導光部材65及び拡散板67よりも下方側には、読取原稿Gで反射された光を第2キャリッジ22の第2ミラー45A(図3参照)に導く第1ミラー75が設けられている。第1ミラー75は、側板55A、55B(図4参照)に形成された穴部に両端部が挿通されて保持されている。
第1キャリッジ18において、各発光素子61から出射された光Lは、導光部材65の内部を全反射しながら進み拡散板67で拡散される。ここで、読取原稿Gの被読取面GAで反射され第1ミラー75に向かう光Lの光軸を光軸LTとすると、拡散板67で拡散された光Lの一部は、第2プラテンガラス43Bを通って光軸LTの一方側から読取原稿Gに照射され、光Lの残りは、反射板79で反射された後に第2プラテンガラス43Bを通って光軸LTの他方側から読取原稿Gに照射される。そして、読取原稿Gに照射された光Lは、読取原稿Gの被読取面GAで反射された後に第1ミラー75で反射されて、図3に示すように、第2キャリッジ22から結像用レンズ24を経て光電変換素子26で結像され、画像情報の読み取りが行われる。なお、図6において、光軸LTが、読取原稿Gの被読取面GAからの反射光を結像部20に導く光路の光軸の一例に相当する。
次に、導光部材65の詳細について説明する。なお、図7以降では、ブラケット57及び側板55Aの図示を省略した部分図で説明する。
図7(b)に示すように、導光部材65は、発光素子61(図7(a)参照)からの光Lが入射する光入射面65Bと、光Lが出射する光出射面65Aと、厚さ方向で上方(読取原稿G側(図7(a)参照))に位置する上側面65Cと、上側面65Cと対向すると共に上側面65Cの下方に位置する下側面65Dとを有している。上側面65C及び下側面65Dは、光Lが全反射するように予め表面粗さが設定されており、導光部材65全体が無色で透明となっている。
ここで、本実施形態では、JIS−K−7361−1:1997のプラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法(第1部:シングルビーム法)によって測定された光の透過率が80%以上であるものを透明な部材と規定している。なお、導光部材65は、透明な部材であることが望ましいが、光の透過率が80%以下のものを用いてもよい。
また、導光部材65の上側面65C及び下側面65Dの表面粗さは、一例として、JIS−B−0601の算術平均粗さRaで計測される表面粗さで0.1μm以下となるように設定することが望ましい。導光部材65の上側面65Cから読取原稿Gへの光Lの再反射を抑えるという点では、上側面65Cの表面粗さを0.1μmよりも粗くして、外側から入射する光Lを散乱させることも一つの手段として考えられるが、この場合、導光部材65内部での全反射に影響を与えるため、表面粗さの上限を設定しておく必要がある。なお、導光部材65をRa0.1μm以下の表面粗さに仕上げる方法としては、例えば、射出成形を用いれば良い。
ここで、導光部材65が透明であるため、図7(b)に示すように、導光部材65では、上側面65Cに入射角α(臨界角よりも小さな角度)で入射した光LCが、上側面65Cにおいて屈折角βで屈折すると共に導光部材65内部を透過し、下側面65Dで再び屈折して、下側面65Dよりも下方へ進むことになる。
一方、図7(a)に示すように、導光部材65は、光入射面65Bから光出射面65Aまでの上側面65Cの一部が、導光部材65の上方にある第1ホルダー51(上壁51A)に対して光軸LT側に突出しており、被読取面GAからの反射光が入射すると共に透過するように配置されている。なお、導光部材65は、第1ホルダー51に対して全体が光軸LT側に突出している必要は無く、被読取面GAからの反射光が入射して透過するように、少なくとも光入射面65Bから光出射面65Aまでの上側面65Cの一部が第1ホルダー51の端部51Cから突出していればよい。
次に、第1ホルダー51の端部51Cの位置について説明する。
図8には、第1キャリッジ18の副走査方向の断面図、及び読取原稿Gの読み取り位置X0を中心として、読取原稿Gの被読取面GAに照射される光L(LA、LB含む)の副走査方向における相対強度の変化をシミュレーションにより算出した結果のグラフが示されている。
光Lの副走査方向の強度分布のグラフでは、読み取り位置X0が強度分布中心となっており、読み取り位置X0から副走査方向に位置が離れるほど相対強度が低下している。ここで、読み取り位置X0での光Lの相対強度を100%として、読み取り位置X0から相対強度が10%となる位置X3までの距離W1を算出したところ、W1=12mmであった。また、読み取り位置X0から相対強度が7%となる位置X4までの距離W2を算出したところ、W2=15mmであった。
相対強度が10%以上となる領域では読取原稿Gで反射された光Lの強度が高いため、仮にこの領域(相対強度が10%以上となる領域)内に上方部材が設けられていると、上方部材の上面で光の再反射がおこり、前述のように、光電変換素子26(図1参照)において画像の輝度差(コントラスト)の低下が生じることになる。このため、本実施形態の第1キャリッジ18では、読み取り位置X0を通る光軸LTから第1ホルダー51の上面端部までの距離(ここでは水平距離dとする)をd=W1=12mmとしている。なお、水平距離dは12mm以上であることが望ましいが、さらに水平距離d≧15mmとして、相対強度が7%以下となるように設定するとよい。水平距離dの上限値は、第1キャリッジ18における第1ホルダー51の設置領域に基づいて決定される。
一方、副走査方向で読み取り位置X0から反射板79側では、反射板79が第1ホルダー51の端部51Cよりも光軸LTに近い配置となっているが、反射板79の取り付け位置については、拡散板67から出射された光LBの反射状態に基づいて設定されるため、光軸LTから反射板79までの距離が12mm以内であってもよい。
次に、第1キャリッジ18における光Lの進行について説明する。なお、ここでは、第1プラテンガラス43A上に読取原稿Gがある場合について説明する。
図7(a)に示すように、第1プラテンガラス43A上に読取原稿Gが載せられて読み取り動作が開始されると、第1キャリッジ18が副走査方向(矢印X方向)に移動すると共に発光素子61が発光する。そして、発光素子61から出射された光Lは、予め定められている発散角で拡がりながら光入射面65Bから導光部材65内部に入射する。導光部材65の内部では、光Lが臨界角より大きい角度で進むため、光Lは上側面65C及び下側面65Dで全反射しながら光出射面65Aへ進むことになる。
続いて、導光部材65の光出射面65Aから出射された光Lは、拡散板67で拡散され、一部が光LAとして読取原稿Gに向かって進むと共に、残りが光LBとして反射板79に向かって進み、反射板79で反射される。光LA及び光LBは、それぞれ第1プラテンガラス43Aに入射して屈折すると共に読取原稿Gの被読取面GAにおける読み取り位置X0に照射される。なお、読み取り位置X0は、読取原稿Gに照射された光Lの強度分布の中心位置であり、光軸LT上にある。
続いて、読取原稿Gの読み取り位置X0で反射され拡散光となった光Lのうち、光軸LTに沿って進む光Lは、読取原稿Gの表面から第1ミラー75に向かい、第1ミラー75で反射される。そして、図3に示すように、第2キャリッジ22から結像用レンズ24を経て光電変換素子26で結像される。
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、光Lが上側面202Aで反射する導光部材202を用いた第1比較例と、本実施形態との差異について説明する。
図9(a)には、本実施形態の第1キャリッジ18との第1比較例である第1キャリッジ200が示されている。第1キャリッジ200は、発光素子61から出射された光Lを読取原稿Gに導く直方体状の導光部材202を有している。なお、第1キャリッジ200は、本実施形態の第1キャリッジ18において、導光部材65が導光部材202に置き換えられたものであるため、導光部材202の他の部材については同じ符号を付与して説明を省略する。また、光Lの反射経路を分かり易くするため、発光素子61から読み取り位置X0までの光Lの光路の図示を省略する。
導光部材202は、内部で光Lを全反射するものの、読取原稿G側に位置する上側面202Aが本実施形態の導光部材65の表面よりも粗く不透明となっており、上側面202Aに入射する光Lが反射されるものである。
ここで、第1キャリッジ200では、読み取り位置X0に照射された光Lが読取原稿Gで反射されて拡散光となる。この拡散された光Lのうち、光軸LTに沿って第1ミラー75に向かう光Lは、第1ミラー75で反射される。また、拡散板67から出射され反射板79で反射された光LFは、読取原稿Gの被読取面GAに照射されると共に、矢印X方向で読み取り位置X0から反射板79側にずれた反射位置X1で反射されて拡散光となる。この拡散された光LFのうち拡散板67に向かう光は、拡散板67を透過して導光部材202内に入射するが、導光部材202の発光素子61側の端面から外側へ出射されるため、読み取りには影響を与えない。
一方、導光部材202から出射されると共に拡散板67で拡散され、読取原稿Gに直接向かう光Lの一部は、光LGのように、矢印X方向で読み取り位置X0から導光部材202側にずれた反射位置X2に向かうと共に、反射位置X2で反射されて拡散光となる。この拡散された光LGのうち、導光部材202の上側面202Aに向かう光LGは、上側面202Aが粗く不透明となっているために上側面202Aで反射され、再度、読取原稿Gの被読取面GAに照射されることになる。
読取原稿Gに再び照射された光LGは、読取原稿G上の画像からの反射光(拡散光)の強度を変動させ、特に、画像の黒塗り部の周縁において、読取原稿Gの下地(白)からの反射光の強度と画像(黒)からの反射光の強度との差を低下させる。これにより、光電変換素子26(図3参照)で光電変換された画像では、読取原稿Gの下地と画像との輝度差(コントラスト)が低下し、画像の輪郭がぼやけるといった現象が生じることになる。
次に、図9(b)に示すように、本実施形態の第1キャリッジ18について説明する。なお、光Lの反射経路を分かり易くするため、発光素子61から読み取り位置X0までの光Lの光路の図示を省略する。
第1キャリッジ18では、前述のように、読取原稿Gで反射された拡散光のうち、光軸LTに沿って第1ミラー75に向かった光Lが第1ミラー75で反射される。また、拡散板67から出射されて反射板79で反射された光LDは、読取原稿Gの被読取面GAに照射されると共に、矢印X方向で読み取り位置X0から反射板79側にずれた反射位置X1で反射されて拡散光となる。この拡散された光LDのうち、拡散板67に向かう光LDは、拡散板67を透過して導光部材65内に入射するが、光入射面65Bから外側へ出射されるため、読み取りには影響を与えない。
一方、導光部材65から出射されると共に、拡散板67で拡散されて読取原稿Gに直接向かう光Lの一部は、光LEのように、矢印X方向で読み取り位置X0から導光部材65側にずれた反射位置X2で反射されて拡散光となる。この拡散された光LEのうち、導光部材65の上側面65Cに向かう光LEは、導光部材65が透明であるため上側面65Cで反射されず、上側面65Cに臨界角よりも小さな角度で入射すると共に屈折して導光部材65内部を透過し、下側面65Dから下側へ進むことになる。これにより、光LEが読取原稿Gの被読取面GAに再び照射されることが抑えられ、読取原稿G上の画像からの反射光(拡散光)の強度の変動が小さくなる。そして、光電変換素子26(図3参照)で光電変換された画像における輝度差(コントラスト)の低下が小さくなる。
次に、導光部材65を用いると共に第1ホルダー212の端部212Aを本実施形態よりも光軸LTに近づけた第2比較例と、本実施形態との差異について説明する。
図10(a)には、本実施形態の第1キャリッジ18との第2比較例である第1キャリッジ210が示されている。なお、前述した第1比較例である第1キャリッジ200(図9(a)参照)と基本的に同じ部品には、同じ符号を付与してその説明を省略する。また、光Lの反射経路を分かり易くするため、発光素子61から読み取り位置X0までの光Lの光路の図示を省略する。
第1キャリッジ210は導光部材65を有しており、第1キャリッジ200(図9(a)参照)の第1ホルダー51に換えて第1ホルダー212が設けられた構成となっている。第1ホルダー212は、主走査方向を長手方向、副走査方向(矢印X方向)を幅方向とし、副走査方向の断面がL字状の板金で構成されている。また、第1ホルダー212の上面は、第1キャリッジ210の上面を形成すると共に読取原稿Gと対向配置され、上面の端部212Aが下方側へ向けて折り曲げられている。
第1キャリッジ210では、読み取り位置X0を通る光軸LTから第1ホルダー212の上面の端部212Aまでの水平距離d=W3=9mmとなっている。つまり、第1ホルダー212の上面の端部212Aは、本実施形態の第1ホルダー51の上面端部51Cに比べて読み取り位置X0に近づいている。
ここで、第1キャリッジ210では、読み取り位置X0に照射された光Lが読取原稿Gで反射されて拡散光となる。この拡散された光Lのうち、光軸LTに沿って第1ミラー75に向かう光Lは、第1ミラー75で反射される。
一方、導光部材65から出射されると共に拡散板67で拡散されて読取原稿Gに直接向かう光Lのうち、光LG(図9(a)参照)の拡散角よりも大きい拡散角度で出射された光LHは、矢印X方向で反射位置X2(図9(a)参照)よりも光軸LTから離れる側にずれた反射位置X5で反射されて拡散光となる。この拡散された光LHは、第1ホルダー212が導光部材65に近づけて配置されているため、第1ホルダー212の上面で反射され、読取原稿Gの被読取面GAに再び照射されることになる。これにより、読取原稿Gの下地(白)からの反射光の強度と画像(黒)からの反射光の強度との差が低下し、読取原稿Gの下地と画像との輝度差(コントラスト)が低下して、画像の輪郭がぼやけるといった現象が生じることになる。
次に、図10(b)に示すように、本実施形態の第1キャリッジ18について説明する。なお、光Lの反射経路を分かり易くするため、発光素子61から読み取り位置X0までの光Lの光路の図示を省略する。
第1キャリッジ18では、前述のように、読取原稿Gで反射された拡散光のうち、光軸LTに沿って第1ミラー75に向かった光Lが第1ミラー75で反射される。また、導光部材65から出射されると共に拡散板67で拡散されて読取原稿Gに直接向かう光Lのうち、光LE(図9(b)参照)の拡散角よりも大きい拡散角度で出射された光LKは、矢印X方向で反射位置X2(図9(b)参照)よりも外側にずれた反射位置X5で反射されて拡散光となる。ここで、光Lの相対強度が10%より大きくなる読み取り位置X0から位置X3までの範囲に第1ホルダー51が配置されていないため、拡散された光LKは、第1ホルダー51に照射されず、導光部材65の上側面65Cに臨界角よりも小さな角度で入射すると共に屈折して導光部材65内部を透過し、下側面65Dから下側へ進む。
なお、仮に、拡散された光LKの一部が第1ホルダー51の上面に到達したとしても、光Lの相対強度が10%以下となる範囲に第1ホルダー51が配置されているため、第1ホルダー51上面で反射して被読取面GAに再び照射される光の強度は、読取原稿Gの読み取りにほとんど影響を与えないほど小さくなる。
このように、本実施形態の第1キャリッジ18では、光LKが再び読取原稿Gの被読取面GAに照射されることが抑えられ、読取原稿G上の画像からの反射光(拡散光)の強度の変動が小さくなる。そして、光電変換素子26(図3参照)で光電変換された画像における輝度差(コントラスト)の低下が小さくなる。
また、本実施形態の第1キャリッジ18では、第1ホルダー51の端部51Cの位置を光軸LTから離すことだけで読取原稿Gの被読取面GAへの再度の照射光が低減するので、第1ホルダー51の上面に光の反射を抑える表面処理を施す必要が無くなり、表面処理を行った物を用いる場合に比べて、安価な構成となる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
図11に示すように、屈曲部132Aが形成された第1ホルダー132を有する第1キャリッジ130を用いてもよい。屈曲部132Aは、上面端部が水平面に対して下方側へ鋭角(傾斜角度θ)に曲げられた部位である。ここで、第1キャリッジ130では、反射位置X2よりも読み取り位置X0側にある反射位置X6で反射された光LMが、屈曲部132Aで反射して導光部材65に進み、導光部材65内部を透過する。このように、反射された光LMを導光部材65側に導く導光手段を設けてもよい。
また、第1キャリッジ18は、第1ホルダー51が導光部材65の上方に無く、導光部材65全体が露出したものであってもよい。
導光部材65の他の材料として、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等を用いる他に、全反射すると共に光の透過率が80%以上となる樹脂材料を用いてもよい。また、各実施形態は、第1プラテンガラス43A上での読取原稿Gの読み取りに限らず、第2プラテンガラス43B上での読み取りであってもよい。