JP5714241B2 - α−グルコシダーゼとその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
<HPLC分析条件>
カラム:Shodex Sugar KS−801(昭和電工)
カラム温度:60℃
溶離液:水
流 速:0.5ml/分
検 出:示差屈折計
<GLC分析条件>
試 料:反応物を常法によりトリメチルシリル化(TMS化)したもの
カラム:2%Silicon OV−17 Chromosorb W/AW−DMCS 80〜100メッシュ (内径3mm×長さ2m)
昇温プログラム:160℃(2分維持) → 320℃(7.5℃/分で昇温)
検 出:水素炎イオン化検出器(FID)
上記HPLC分析において二糖の分離が不十分な場合、GLC分析により求めたイソマルトースと他の二糖と割合に基づきHPLCで求めた二糖の含量を比例配分して反応液中のイソマルトースを定量する。なお、イソマルトース生成活性1単位は、上記反応条件下において、マルトースから1分間に1μmolのイソマルトースを生成する酵素量と定義する。
(1)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において、62,000±5,000ダルトン;
(2)至適pH
35℃、2時間反応の条件下で、pH6.5乃至7.0;
(3)至適温度
pH6.0、2時間反応の条件下で40℃;
(4)pH安定性
6℃、24時間保持の条件下で、pH4.5乃至10の範囲で安定;
(5)温度安定性
pH6.0、2時間保持の条件下、Ca2+イオン非存在下において40℃以下で安定;
1mM Ca2+イオン存在下において45℃以下で安定;
マルトース(商品名「サンマルト シロ」、株式会社林原商事販売)1%(w/v)、酵母エキス(商品名「酵母エキスS」、日本製薬株式会社販売)0.1%(w/v)、ポリペプトン(商品名「ポリペプトン」、日本製薬株式会社販売)0.5%(w/v)、リン酸水素二カリウム0.1%(w/v)、リン酸二水素ナトリウム0.06%(w/v)、硫酸マグネシウム0.05%(w/v)、硫酸第一鉄0.001%(w/v)、硫酸マンガン0.001%(w/v)、炭酸カルシウム0.3%(w/v)及び脱イオン水からなる液体培地(pH6.5)を500ml−容三角フラスコに300ml入れたものを16本調製し、121℃、20分間滅菌した後、予め同培地で培養したラクトバチルス・ラムノサス JCM2772の種培養液1.5%(v/v)を無菌的に添加し、240rpmで撹拌しながら27℃で65時間培養した。
実験1で得た培養液約4.8Lを遠心分離して菌体約40gを集め、一旦、−30℃で凍結した。この凍結菌体に1mM塩化カルシウムを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)560mlを添加して解凍した後、氷冷しつつ、超音波ホモジナイザー(モデルUH−600、株式会社エスエムテー製)を用いて破砕した。得られた菌体破砕懸濁液を遠心分離し、上清を回収して菌体破砕抽出液とした。次いで、菌体破砕抽出液に80%飽和になるよう硫安を添加溶解し、一晩放置して塩析し、生じた沈澱を遠心分離にて回収し、10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に対して透析した。透析液中の不溶物を遠心分離にて除去した後、予め同緩衝液で平衡化したTSK−GEL DEAE−5PWカラム(株式会社東ソー製)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー(ゲル容量55ml)に供したところ、α−グルコシダーゼは陰イオン交換体に吸着しなかったものの、大半の非吸着蛋白質とは遅れて溶出した。非吸着画分からα−グルコシダーゼ活性画分を回収し、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に透析し、Resource Sカラム(アマシャム・ファルマシア・バイオテック株式会社製)を用いた陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量6ml)に供した。α−グルコシダーゼは陽イオン交換体に吸着し、食塩濃度0Mから0.5Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、食塩濃度約0.05Mで溶出した。得られたα−グルコシダーゼ活性画分を濃縮し、α−グルコシダーゼ精製標品とした。精製工程を表1にまとめた。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(5乃至20%(w/v)濃度勾配)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社製)の移動度と比較することにより分子量を測定したところ、当該α−グルコシダーゼの分子量は62,000±5,000ダルトンであることが判明した。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品を用い、α−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性に及ぼすpH及び温度の影響を活性測定法に準じてそれぞれ調べた。これらの結果を図1(至適pH)及び図2(至適温度)に示す。本発明のα−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性の至適pHは、35℃、2時間反応の条件下でpH6.5乃至7.0であった。また、至適温度はpH6.0、2時間反応の条件下で40℃であることが判明した。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品を用い、α−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性のpH安定性及び温度安定性を調べた。pH安定性は、酵素を各pHの緩衝液中で6℃、24時間保持した後、pHを6.0に調整し、残存するイソマルトース生成活性を測定することにより求めた。温度安定性は、1mM塩化カルシウム添加又は無添加の20mM酢酸緩衝液(pH6.0)を用い、酵素溶液を各温度に2時間保持し、水冷した後、残存するイソマルトース生成活性を測定することにより求めた。これらの結果を図3(pH安定性)及び図4(温度安定性)に示す。図3から明らかなように、本発明のα−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性はpH4.5乃至10の範囲で安定であることが判明した。また、図4から明らかなように、本発明のα−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性は、Ca2+イオン非存在下(図4における符号●)では40℃以下で安定であり、1mM Ca2+イオン存在下(図4における符号○)では45℃以下で安定であることが判明した。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品を用い、本発明のα−グルコシダーゼのイソマルトース生成活性に及ぼす金属イオンの影響を、濃度1mMの各種金属塩存在下で活性測定することにより調べた。結果を表2に示す。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品を用い、常法により本酵素のN末端アミノ酸配列を、プロテインシーケンサー(モデル「Procise492HT」、アプライドバイオシステムズ社製)にて15残基分析したところ、配列表における配列番号1で示されるアミノ酸配列、すなわち、スレオニン−アスパラギン−スレオニン−アルギニン−トリプトファン−トリプトファン−リジン−グリシン−グルタミン酸−イソロイシン−バリン−チロシン−グルタミン−バリン−チロシン を有していることが判明した。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品を適量とり、10mMトリス塩酸緩衝液(pH9.0)に対して4℃で18時間透析した後、同緩衝液を加えて蛋白濃度約0.1mg/mlとした。この溶液を約100μlとり、リジルエンドペプチダーゼ(和光純薬株式会社販売)2μgを加えて、30℃、18時間保持することにより酵素蛋白を加水分解した。加水分解物を予め0.065%(v/v)トリフルオロ酢酸で平衡化させておいたHPLC用カラム(商品名『マイクロRPC C2/C18 SC2.1/10』、直径2.1mm×長さ100mm、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に注入し、流速0.1ml/分、室温の条件下、0.065%(v/v)トリフルオロ酢酸から0.055%(v/v)トリフルオロ酢酸−80%(v/v)アセトニトリル溶液までの160分間のアセトニトリル濃度のリニアグラジエントで通液し、ペプチド断片を溶出させ分画した。ペプチド断片の溶出は波長214nmの吸光度を測定することにより検出した。保持時間約32分、約45分及び約60分に溶出した3種のペプチド断片P1、P2及びP3を分取し、それぞれのアミノ酸配列を実験3−5と同じ方法で分析したところ、それぞれ配列表における配列番号2、3及び4で示されるアミノ酸配列を有していた。
本発明のα−グルコシダーゼをコードするDNAをラクトバチルス・ラムノサス JCM2772からクローニングし、自律複製可能な組換えDNAの作製、α−グルコシダーゼをコードするDNAの塩基配列の決定、及び、形質転換体の調製を行った。
実験1と同じ方法でラクトバチルス・ラムノサス JCM2772を培養し、培養液約4mlを遠心分離して、培養菌体約2mgを得た。回収した菌体から『ディーエヌイージー・ティシュー・キット』(キアゲン社製)を用い、キットに添付された説明書記載の方法に従ってゲノムDNAを調製し、20μgを得た。調製したゲノムDNAの濃度は50μg/mlとした。
α−グルコシダーゼのN末端アミノ酸配列(配列表における配列番号1で示されるアミノ酸配列)の第5乃至第11番目のアミノ酸配列に基づき、センスプライマーとして配列表における配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成し、同酵素の内部部分アミノ酸配列である配列表における配列番号4で示されるアミノ酸配列の第11乃至第16番目のアミノ酸配列に基づき、アンチセンスプライマーとして配列表における配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。これらのプライマーを用い、実験4−1で得たゲノムDNAを鋳型とし、KOD−プラス−DNAポリメラーゼ(東洋紡製)をPCR酵素とし、PCR装置(商品名「GeneAmpPCRSystem 9700」、PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて常法によりPCR増幅を行ったところ、約1,200bpのDNA断片が増幅された。このDNA断片をクローニングベクターpCR−Script Cam SK+(ストラタジーン社製)の制限酵素Srf Iサイトにクローニングし、得られた組換えDNAを用い大腸菌XL10−Gold Kanを形質転換した。形質転換体からプラスミドを調製して調べたところ、目的とする約1,200bpのDNA断片を有していた。その組換えDNAを「pCRRM1」と命名した。
ラクトバチルス・ラムノサス JCM2772由来α−グルコシダーゼのN末端アミノ酸配列(配列表における配列番号1で示されるアミノ酸配列)における第1乃至第6番目のアミノ酸配列に基づき、また、遺伝子の5´末端側に制限酵素Nde I認識部位を作製すべく、センスプライマーとして配列表における配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。また、配列表における配列番号10で示されるアミノ酸配列における第551乃至第558番目のアミノ酸配列に基づき、また、遺伝子の3´末端側にヒスチジン残基(His)6残基からなるヒスチジンタグ(His−tag)と制限酵素Eco RI認識部位を作製すべく、アンチセンスプライマーとして配列表における配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。これらのプライマーを用い、実験4−1で得たゲノムDNAを鋳型とし、KOD−プラス−DNAポリメラーゼ(東洋紡製)をPCR酵素とし、PCR装置(商品名「GeneAmpPCRSystem 9700」、PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて常法によりPCR増幅を行った。増幅されたDNAをポリエチレングリコール沈澱により精製し、クローニングベクターpCR−Script Cam SK(+)(ストラタジーン社製)の制限酵素Srf I認識部位に挿入し、得られた組換えDNAを用いて大腸菌XL10−Gold Kanを形質転換した。得られた形質転換体より市販のキット(商品名「QIAquick gel extraction kit」キアゲン社製)を用いて組換えDNAを調製し、この組換えDNAを制限酵素Nde I及びEco RIで消化した。前記市販のキットを用いてNde I−Eco RI断片を調製し、同じ制限酵素の組み合わせで予め消化しておいた発現ベクター(商品名「pRSET A」、インビトロジェン社製)に市販のキット(商品名「Ligation High」、東洋紡製)を用いて挿入した。得られた反応物を用いて大腸菌XL10−Gold Kanを形質転換した。形質転換体からプラスミドを調製して調べ、目的とする約1,700bpのDNA断片を有するものを選択した。選択した形質転換体が有する組換えDNAを「pRS−RMHT」と命名した。組換えDNA、pRS−RMHTを用いて発現用宿主大腸菌BL21(DE3)(ノバジェン社製)を形質転換し、形質転換体『RS−RMHT』を調製した。
実験4−3で得た形質転換体RS−RMHTを、TB培地(トリプトン 1.2%、酵母エキス 2.4%、グリセリン 0.4%、リン酸2水素1カリウム 17mM、リン酸水素2カリウム 72mM、pH6.8、アンピシリン 100μg/ml含有)を100mlずつ入れた500ml容三角フラスコ2本に植菌し、27℃で18時間培養した。得られた培養物を、常法に従い、遠心分離して菌体を回収した。次いで、菌体を、0.3M食塩を含有する50mMリン酸緩衝液(pH7.9)に懸濁し、リゾチームを0.75mg加えて−80℃で凍結させ、25℃で融解した後、25℃で1時間振トウした。超音波破砕法により細胞からの全抽出物を調製した。超音波破砕法は、菌体を20mM酢酸緩衝液(pH6.5)に懸濁した後、その菌体懸濁液を氷水中で冷却しながら超音波ホモジナイザー(モデルUH−600、株式会社エスエムテー製)で細胞破砕することによって行い、その破砕物の遠心分離上清を全細胞抽出物とした。全細胞抽出液の総α−グルコシダーゼ活性(イソマルトース生成活性)は約3,610単位であった。
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼの精製標品を各種糖質に作用させ、基質特異性を調べた。
下記の表5に示す30種の糖質を用いてα−グルコシダーゼの基質特異性を調べた。各糖質を基質として終濃度2%となるように20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、基質固形物1グラム当たりα−グルコシダーゼを2.5単位ずつ加え、35℃で16時間反応させた。100℃で10分間保持して反応を停止させた後、それぞれの基質から生成した反応物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(以下、「TLC」と略称する)に供し、それぞれの糖質に対する酵素作用の有無及び生成する糖質を確認した。TLCにおいて、用いた基質以外の反応生成物のスポットが認められるものを「作用する」(+)、反応生成物が認められないものを「作用しない」(−)と判定した。結果を表4に示す。
<TLC分析条件>
TLCプレート:シリカゲルアルミニウムプレート(商品名『シリカゲル
60F254』、10×20cm、メルク社製)
展開溶媒:n−ブタノール、ピリジン、水混液(容量比6:4:1)
展開方法:上昇法、2回展開
検出方法:硫酸−メタノール法
実験5−1の結果を踏まえ、当該酵素のマルトオリゴ糖及びイソマルトオリゴ糖への作用をより詳細に検討した。純度95%以上の試薬級のマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース又はイソパノース(いずれも株式会社林原生物化学研究所販売)をそれぞれ終濃度1%(w/v)になるように20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解したものを基質溶液とし、実験2の方法で得たα−グルコシダーゼ精製標品をイソマルトース生成活性として基質固形物1グラム当たり4.5単位ずつ加え、35℃で4時間反応させた。100℃で10分間保持して反応を停止させた後、それぞれの基質から生成した反応物の糖組成をHPLCとGLCを併用して測定した。HPLCの分析条件を以下に示す。また、結果を表5に示す。
<HPLC分析条件>
カラム:MCIGEL CK04SS(Ag型)(三菱化学株式会社製)
内径10mm×長さ200mmのカラムを2本連結して使用した。
カラム温度:80℃
溶離液:水
流 速:0.4ml/分
検 出:示差屈折計
実験2の方法で得たα−グルコシダーゼの精製標品を用い、本発明のα−グルコシダーゼによるマルトースからのイソマルトースの生成に及ぼす基質濃度の影響を調べた。マルトースを、終濃度1、5、10、20、30又は40質量%となるように2mM塩化カルシウムを含む100mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解したものをそれぞれ基質溶液とし、実験2の方法で得た精製酵素標品をイソマルトース生成活性として基質固形物1グラム当たり2.3単位加え、35℃で48時間反応させた。反応終了後、100℃で10分間保持して酵素を失活させた後、各反応液の糖組成当たりのイソマルトース含量を前述したイソマルトース生成活性測定法と同じ方法で測定した。結果を表6に示す。
実験1で用いた液体培地を30L−容ジャーファーメンターに約20L入れ、120℃、20分間滅菌した後、ラクトバチルス・ラムノサス JCM2772の種培養液2%(v/v)を無菌的に添加し、通気撹拌しながら27℃で60時間培養した。培養液約18Lから遠心分離して菌体を集め、これを20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1.5Lに懸濁し、細胞破砕機ダイノミル(ベッコーフェン製)を用いて破砕した。得られた菌体破砕懸濁液を遠心分離し、上清を回収して菌体破砕抽出液とした。菌体破砕抽出液のイソマルトース生成活性を測定し培養液1ml当たりの活性に換算したところ、約0.01単位/ml−培養液であった。菌体破砕抽出液は、陰イオン交換体としてセパビーズ FP DA−13を用いた以外は実験2の方法に準じて陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの段階まで精製し、α−グルコシダーゼ部分精製酵素標品として総イソマルトース生成活性で約110単位を得た。
実験4−4で用いた液体培地を30L−容ジャーファーメンターに約20L入れ、120℃、20分間滅菌した後、実験4−3で得た形質転換体RS−RMHTの種培養液1%(v/v)を無菌的に添加し、通気撹拌しながら27℃で60時間培養した。培養液約18Lから遠心分離して菌体を集め、これを20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1.5Lに懸濁し、細胞破砕機ダイノミル(ベッコーフェン製)を用いて破砕した。得られた菌体破砕懸濁液を遠心分離し、上清を回収して菌体破砕抽出液とした。菌体破砕抽出液は、実験2の方法に準じて硫安塩析・透析し、α−グルコシダーゼ粗酵素標品としてイソマルトース生成活性を総活性で約310,000単位得た。
試薬級マルトース(商品名「マルトースHHH」、マルトース純度99.9%以上、株式会社林原生物化学研究所販売)を濃度30質量%になるよう水に溶解し、pHを6.0に調整した後、実施例1の方法で調製した本発明のα−グルコシダーゼを固形物1グラム当たり3単位加え、48時間反応させ、95℃で30分間保持して反応を停止させた。この操作により糖組成当たりイソマルトースを63%含有する反応液が得られた。この反応液を常法にしたがい濾過、活性炭による脱色、イオン交換樹脂による脱塩を行い、さらに濃縮して固形物濃度70質量%のイソマルトース含有シラップを得た。本品の糖組成は、グルコース13.9%、マルトース4.6%、イソマルトース62.2%、その他のオリゴ糖19.3%であった。本品は、甘味料、発酵用炭素源、試薬、化学品、医薬品の原料及び中間体などとして有利に利用できる。
実施例3の方法で得たイソマルトース含有シラップを原糖液とし、イソマルトース含量を高めるため強酸性カチオン交換樹脂(商品名「アンバーライトCR−1310」Na+型、オルガノ株式会社製)を用いたカラムクロマトグラフィーを行った。すなわち、前記樹脂を内径12.5cmのジャケット付きステンレスカラム10本に充填し、これらカラムを直列に接続して樹脂層全長を16mとした。カラム内温度を40℃に維持しつつ、前記シラップを樹脂量に対して1.5%(v/v)加え、これに40℃の温水をSV0.2で流して分画し、溶出液の糖組成をHPLCでモニターしながらイソマルトース高含有画分を採取した。得られたイソマルトース高含有画分を常法により精製し、濃縮して固形物濃度75%のシラップを得た。本品の糖組成は、グルコース1.7%、マルトース6.9%、イソマルトース88.3%、その他のオリゴ糖3.1%であった。本品は、甘味料、発酵用炭素源、試薬、化学品、医薬品の原料及び中間体などとして有利に利用できる。
トウモロコシ澱粉を濃度約33%の澱粉乳とし、これに炭酸カルシウムを0.1%加え、pH6.0に調整し、耐熱性α−アミラーゼ(商品名「スピターゼHS」、ナガセケムテックス株式会社製)を澱粉質量当たり0.2%加え、95℃で15分間反応させ、次いで120℃で20分間オートクレーブし、さらに、約55℃に急冷して液化澱粉溶液を得た。この液化澱粉溶液に大豆β−アミラーゼを澱粉1グラム当たり4単位、及び、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を澱粉1グラム当たり200単位になるよう加え、pH5.0、温度50℃で36時間反応させた。この反応液に、α−アミラーゼ(商品名「ネオスピターゼ PK2」、ナガセケムテックス株式会社製)を澱粉1グラム当たり5単位加えて温度50℃で12時間反応させ、95℃で30分間保持して反応を停止させた。この操作により糖組成当たりマルトースを80.3%含有する反応液が得られた。次いで、反応液の温度を35℃に、pHを6.0に調整した後、実施例1の方法で調製した本発明のα−グルコシダーゼを固形物1グラム当たり2.5単位加え、48時間反応させ、95℃で30分間保持して反応を停止させた。この操作により糖組成当たりイソマルトースを57.1%含有する反応液が得られた。この反応液を常法にしたがい濾過、活性炭による脱色、イオン交換樹脂による脱塩を行い、さらに濃縮して固形物濃度70質量%のイソマルトース含有シラップを得た。本品の糖組成は、グルコース15.3%、マルトース4.0%、イソマルトース55.1%、その他のオリゴ糖25.6%であった。本品は、甘味料、発酵用炭素源、試薬、化学品、医薬品の原料及び中間体などとして有利に利用できる。
ラクトバチルス・ラムノサス JCM2772を実施例1と同様の方法で培養し、培養液を遠心分離することによりα−グルコシダーゼ活性を発現した湿菌体150gを得た。次いで、この湿菌体を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解した2.5%アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社販売)溶液150mlに混練した。得られた菌体を含むスラリーを、マグネティックスターラーで攪拌した0.1M塩化カルシウム溶液に、水面より約20cmの高さから連続的に滴下し、直径約2mmの球状のゲル化物を調製した。これを0.1M塩化カルシウム溶液中に約2時間保持した後、吸引濾過してアルギン酸固定化菌体を回収した。この固定化菌体はα−グルコシダーゼ活性を発現していることから、カラムに充填するなどして固定化α−グルコシダーゼとしてイソマルトースの製造に有利に利用できる。
●:Ca2+イオン非存在下
○:1mM Ca2+イオン存在下
図5において、
白抜き矢印:α−グルコシダーゼをコードするDNA
T7:T7プロモーター
pUC ori:pUC由来複製開始点
Ampr:アンピシリン耐性遺伝子
His−tag:ヒスチジンタグ
Claims (9)
- 下記(1)乃至(3)の基質特異性とともに、下記(a)乃至(e)の理化学的性質を有するα−グルコシダーゼ:
(1)マルトオリゴ糖に作用し、加水分解反応によりグルコースを生成する;
(2)マルトースに作用し、グルコシル転移反応によりイソマルトースとともにマルトトリオースを生成する;及び
(3)マルトースからパノース及びイソマルトトリオースを生成しない;
(a)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において、62,000±5,000ダルトンを示す;
(b)至適pH
35℃、2時間反応の条件下で、pH6.5乃至7.0;
(c)至適温度
pH6.0、2時間反応の条件下で40℃;
(d)pH安定性
6℃、24時間保持の条件下で、pH4.5乃至10の範囲で安定;及び
(e)温度安定性
pH6.0、2時間保持の条件下、Ca2+イオン非存在下において40℃以下で安定;
1mM Ca2+イオン存在下において45℃以下で安定。 - 配列表における配列番号10で示されるアミノ酸配列か、配列表における配列番号10で示されるアミノ酸配列において、α−グルコシダーゼの活性を保持する範囲で1個又は2個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したアミノ酸配列を有する請求項1記載のα−グルコシダーゼ。
- 請求項2記載のα−グルコシダーゼをコードするDNA。
- 配列表における配列番号9で示される塩基配列か、又は配列表における配列番号9で示される塩基配列において、コードするα−グルコシダーゼの活性を保持する範囲で1乃至6個の塩基が欠失、置換又は付加した塩基配列を有する請求項3記載のDNA。
- 請求項3又は4記載のDNAと自律複製可能なベクターを含んでなる組換えDNA。
- 請求項5記載の組換えDNAを適宜の宿主細胞に導入してなる形質転換体。
- ラクトバチルス属に属し、請求項1又は2記載のα−グルコシダーゼ産生能を有する微生物を、栄養培地で培養して前記α−グルコシダーゼを生成せしめ、これを採取することを特徴とするα−グルコシダーゼの製造方法。
- 請求項6記載の形質転換体を培養し、培養物から請求項2記載のα−グルコシダーゼを採取することを特徴とする組換え型α−グルコシダーゼの製造方法。
- マルトースを含有する溶液に、請求項1又は2記載のα−グルコシダーゼを作用させることによりイソマルトースを生成せしめ、これを採取することを特徴とするイソマルトースの製造方法。
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