JP4317966B2 - α−グルコシダーゼ遺伝子を含有する組換えベクター、形質転換体およびそれを用いたα−グルコシダーゼの製造方法 - Google Patents
α−グルコシダーゼ遺伝子を含有する組換えベクター、形質転換体およびそれを用いたα−グルコシダーゼの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質に作用して糖受容体へのα−1,3−結合、またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素の遺伝子に関するものであり、より具体的には、例えば澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質の非還元末端グルコース部の3位に、グルコース単位をα−1,3−結合する糖転移活性を有し、α−1,3−結合を分子内に含む糖類、特にニゲロース(3-O-α-D-グルコピラノシルグルコース)等のオリゴ糖を生成する活性を有する糖転移酵素の遺伝子に関するものである。
【0002】
更に本発明は、該遺伝子を含む組換えプラスミド、該プラスミドにより形質転換された生物(微生物、動植物細胞など)、該形質転換体を用いた糖転移酵素の製造方法、該組換え酵素を用いた糖類の製造方法、特にニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトース等のニゲロオリゴ糖の製造方法および遺伝子組換えによって得られる上記転移酵素に関するものである。
【0003】
本発明の糖転移酵素は分子内にα−1,3−結合を含む糖類、特にニゲロオリゴ糖を製造するうえで産業上重要な酵素であり、本発明によって得られた形質転換体は本酵素を著量に生産し、これら酵素を用いる産業界(食品、医薬など)に大いに貢献するものである。
【0004】
【従来の技術】
オリゴ糖はその構成単糖、結合様式及び立体構造に応じ、従来から甘味料、医薬品、酵素の検定用基質、あるいは種々の薬品中間体などの用途に使用されている。天然のものに加え、これまでマルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、カップリングシュガー等のオリゴ糖が開発されている。
【0005】
近年、ニゲロース(3-O-α-D-グルコピラノシルグルコース)、ニゲロシルグルコース(3-O-α-D-グルコピラノシルマルトース)等のα−1,3−結合を分子中に有するニゲロオリゴ糖について、免疫賦活活性(特許文献1)等の生理活性を有することが明らかにされた。また機能性食品素材(特許文献2)としての用途についても注目され、本糖の安価な供給が望まれている。
【0006】
従来からα−1,3−結合のオリゴ糖は酒、蜂蜜、麹汁、ビール等に含まれることが知られているが、天然には極く僅かにしか存在しない。また本糖の生産方法としてはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) の菌糸中に含まれる3-O-α-D-グルコピラノシルグルコースを構成糖として含むニゲランを部分酸加水分解する方法、あるいはα−1,3−結合、α−1,4−結合を有するエルシノエ(Elsinoe) 属微生物産生の特種な多糖エルシナンをα-アミラーゼで酵素分解(特許文献3)する方法が知られているが、本糖の安価な供給には至っていない。また一般に利用可能な澱粉分解物等の基質から本糖を酵素的または化学的に取得しようとする試みに関しても、公知のα-グルコシダーゼによる縮合、転移反応では本糖は極く僅かしか生成しないほか(非特許文献1)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)の酵素による、マルトースからニゲロースの生成についても学術報告はあるものの、その生成量は少なく実用上の価値は少なかった。
【0007】
ところで本発明者らは先に、アクレモニウム(Acremonium)属に属するある種の菌株が、コージビオース、ニゲロース、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質は水解するが、ショ糖やトレハロースは実質的に水解せず、かつα−1,3−結合へのグルコース転移反応またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移反応を選択的に触媒する糖転移酵素を産生することを見いだしており、該酵素を用いて、適当な基質、特にマルトオリゴ糖に作用させ、α−1,3−結合を分子内に含むニゲロース等のオリゴ糖を高収率で製造する方法を提案している(特許文献4)。
【0008】
ニゲロース等のオリゴ糖の大量生産の為には、本酵素の大量取得が望まれる。従来の菌株育種方法は、主として、紫外線や変異誘発剤によって得られる糖転移酵素生産菌の変異株を選抜する方法に限られていたため、安定な変異体を単離するのが困難な場合もある。また、従来法による育種の場合、好まざる形質変化を伴うことも多い。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−52834号公報
【特許文献2】
特開平3−22958号公報
【特許文献3】
特開昭55−19004号公報
【非特許文献1】
フジモト、H.、ニシダ、H.、及びアジサカ、K. 、:Agric.Biol.Chem.、52、1345- 、1988
【特許文献4】
特開平7−59559号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記糖転移酵素の大量生産のためには、本酵素の遺伝子を取得し、遺伝子工学的にそれを生産することが望まれる。さらに、遺伝子を取得出来れば変異体を作成することにより、活性の高い酵素を得ることができ、更には蛋白工学の技術を用いて、耐熱性、耐pH性の向上、反応速度が増大された酵素を得ることも期待できる。
【0011】
このような状況下、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する上記糖転移酵素の部分アミノ酸配列情報をもとに、当該酵素の生産菌アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum IFO30538)から調製したcDNAより当該酵素をコードする遺伝子を取得することに成功し、さらに酵母等の微生物での発現にも成功した。本発明はそれらの知見に基づいて完成されたものである。従って本発明は該酵素の遺伝子を提供するものである。さらに、該遺伝子を含む組換えベクター、該ベクターにより形質転換された生物、該形質転換体を用いた組換え糖転移酵素及びその製造法、該組換え糖転移酵素を用いた、α1→3結合を分子内に含む糖類、特にニゲロオリゴ糖の製造方法を提供するものである。
【0012】
本発明は以下の通りである。
(請求項1)以下の(a)若しくは(b)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、または配列番号1に示される塩基配列番号104〜2851の塩基配列からなるDNA。
(b)(a)に示すDNAと相補的な配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA配列。
(請求項2)請求項1に記載の(a)若しくは(b)のDNAからなる遺伝子を含む組換えベクター。
(請求項3)ベクターが、酵母で機能するベクターである請求項2記載の組換えベクター。
(請求項4)酵母で機能するベクターがピチア属(Pichia属)、サッカロミセス属(Saccharomyces属)またはシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces属)に属する宿主で機能するベクターである請求項3に記載の組換えベクター。
(請求項5)ベクターが、カビで機能するベクターである請求項2記載の組換えベクター。
(請求項6)カビで機能するベクターが、リゾープスニベウス(Rhizopus niveus)またはリゾープスデルマー(Rhizopus delemar)で機能するベクターである請求項5に記載の組換えベクター。
(請求項7)請求項2〜6のいずれか一項に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(請求項8)宿主が、微生物、酵母またはカビである請求項7に記載の形質転換体。
(請求項9)宿主が酵母であり、組換えベクターが請求項3または4記載の組換えベクターである請求項7に記載の形質転換体。
(請求項10)宿主がカビであり、組換えベクターが請求項5または6記載の組換えベクターである請求項7に記載の形質転換体。
(請求項11)請求項7〜10のいずれか一項に記載の形質転換体を培養し、糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする酵素の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による糖転移酵素遺伝子は、糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。さらに、この転移酵素活性を有するタンパク質(糖転移酵素)は、コージビオース、ニゲロース、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質は水解するが、ショ糖やトレハロースは実質的に水解しない。より具体的には、配列番号2のアミノ酸番号1〜916で示されるアミノ酸配列またはアミノ酸番号26〜916で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列(該アミノ酸配列またはその1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列)を有し、かつ例えば、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質の非還元末端グルコース部の3位に、グルコース単位をα−1,3−結合する糖転移活性を有し、α−1,3−結合を分子内に含むニゲロース(3-O-α-D-グルコピラノシルグルコース)等のオリゴ糖を生成する活性を有する糖転移酵素をコードするDNA配列である。
【0014】
本発明によるベクター(プラスミド)は、上記のDNA配列を含む組換えプラスミドであり、本発明による形質転換体は上記の組換えプラスミドにより形質転換された細胞(微生物、動植物細胞等)である。
【0015】
本発明による糖転移酵素の製造方法は、上記の形質転換細胞を培養し、この培養物中から、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質に作用して糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質を採取することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明による組換え糖転移酵素は上記遺伝子の発現産物である。すなわち、本発明による糖転移酵素は、配列番号2のアミノ酸番号1〜916で示されるアミノ酸配列またはアミノ酸番号26〜916で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質に作用して糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質である。
【0017】
更にまた、本発明によるα−1,3−結合を分子内に含む糖類、特にニゲロオリゴ糖の製造方法は、上記組換え糖転移酵素を、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質と接触させる工程を含んでなるものである。
【0018】
[糖転移酵素遺伝子]
上述のように、本発明による糖転移酵素遺伝子は、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質に作用して糖受容体へのα−1,3−(またはα−1,3−およびα−1,4−)結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA配列であり、α−1,3−結合への転移反応を触媒する糖転移酵素の部分アミノ酸配列情報をもとに、当該酵素の生産菌アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum IFO30538)から調製したcDNAより当該酵素をコードする遺伝子を取得することに成功し、さらに酵母等の微生物での発現にも成功することによって決定されたものである。
【0019】
[糖転移酵素遺伝子のクローニング]
アクレモニウム(Acremonium) より得られるα−1,3−結合(またはα−1,3−およびα−1,4−結合)をもたらす糖転移酵素にはそれぞれが分子量が異なる2つのサブユニットから成ることが明らかにされている。特定の蛋白質をコードする遺伝子を単離する場合、蛋白質の部分アミノ酸配列を決定し、その縮重コドンからなる混合オリゴヌクレオチドをプロープとして遺伝子ライブラリーから単離することが可能である。また、本発明において実施したようなPCRにより単離することも可能である。しかしながら、本酵素のように酵素が2種類のサブユニットからなるヘテロオリゴマー分子である場合、2つのサブユニットがそれぞれ異なる遺伝子に独立してコードされる可能性がある。また、それらがひとつの遺伝子から由来するにしても2つのサブユニットをコードする領域が構造遺伝子のなかでどのような位置関係となっているかなどその構造については予測ができない。
【0020】
本発明者らは、まず酵素のペプチドマップを明らかにした。そして、いくつかの部分アミノ酸配列を決定した。さらにゲノムDNAを鋳型とするPCRによる部分断片の取得の後、その断片情報をもとにプライマーを設計した。そして、設計したプライマーを用いたRT-PCR, RACE(Rapid Amplify cDNA end)法を用いcDNAのクローニングに成功し、遺伝子構造を解析することによってこれら2つのサブユニットが同一の遺伝子にコードされることを明らかにした。すなわち、α1→3結合をもたらす糖転移酵素は、それをコードする遺伝子から1つのポリペプチドとして生成された。
【0021】
[糖転移酵素をコードする遺伝子を含むDNA断片]
本発明による糖転移酵素をコードしている遺伝子を含むDNA断片の具体例としては、図1に示される制限酵素地図で表されるDNA断片が挙げられる。
この断片は、アクレモニウムAcremonium属に属する菌体、より好ましくはアクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum) IFO30538より調製されるmRNAを鋳型としたRT-PCR, RACE(Rapid Amplify cDNA end)法より単離することができる。本発明による糖転移酵素遺伝子は、配列番号2(糖転移酵素遺伝子から推定されるアミノ酸配列およびそれをコードするDNAの塩基配列)のアミノ酸番号1〜916もしくはアミノ酸番号26〜916で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ上記の酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA配列である。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による糖転移酵素をコードするDNA配列の好ましい具体例としては、配列番号1に示される塩基配列の104番目から2851番目(配列番号2におけるアミノ酸番号1〜916に相当)までの塩基配列および塩基配列の179番目から2851番目(配列番号2におけるアミノ酸番号26〜916に相当)が挙げられる。
【0023】
さらに本発明による糖転移酵素をコードするDNA配列の好ましい具体例としては、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、または配列番号1に示される塩基配列番号179〜2851の塩基配列からなるDNAと相補的な配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を挙げることができる。
【0024】
また、本発明は、糖転移酵素をコードするDNA配列と相補的なDNAとして、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、または配列番号1に示される塩基配列番号179〜2851の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を包含する。
【0025】
本発明において、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、例えば、90%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより低いDNA同士がハイブリダイズされない条件が挙げられる。
【0026】
蛋白質のアミノ酸配列が与えられば、それをコードする塩基配列は、いわゆるコドン表を参照して決定することができる。よって配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする種々の塩基配列を適宜選択することが可能である。本発明の好ましい態様において、配列番号2のアミノ酸番号1〜916または26〜916に示されるアミノ酸配列をコードするDNA配列 とは、配列番号1に示される塩基配列の104番から2851番または179から2851番の配列を有するもの、およびその縮重関係にあるコドンが使用されている部分以外は同一の塩基配列を有し且つ上記のアミノ酸をコードする塩基配列、更には該配列において1もしくは複数(たとえば1もしくは数個)のコドンが置換、欠失、挿入もしくは付加された塩基配列をも包含するものである。配列番号1に示される塩基配列の104番から2851番または179から2851番までの配列を有するDNA断片は塩基配列が決定されていることから、そのDNA断片を取得する一つの手段は核酸合成の手法たとえば、DNA/RNAシンセサイザー(モデル392,アプライドバイオシステムズ)を用い、そのマニュアルに記載の方法に従って製造することができる。またこの配列は、前記したアクレモニウム(Acremonium)属に属する菌体、より好ましくはアクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum)IFO30538から遺伝子工学的な手法を用いて得ることが出きる。例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook、 Maniatis ら、 Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989))などに記載の方法で好ましく行なうことができる。具体的な方法は、後記する実施例に詳細に説明されている。
【0027】
[糖転移酵素]
本発明による糖転移酵素は、以下の活性を保持することを特徴とするものである。すなわち、コージビオース、ニゲロース、澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質は水解するが、ショ糖やトレハロースは実質的に水解しない。さらに、糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を高い選択性をもって触媒する活性を有する。α−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移は実質的に生じないか、生じたとしても、極僅かである。また、反応条件により、α−1,3−結合のグルコース転移のみを触媒する場合と、α−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する場合とがある。
【0028】
より具体的には、例えば澱粉及びその分解物の中から選ばれた基質の非還元末端グルコース部の3位に、グルコース単位をα−1,3−結合してα−1,3−結合を分子内に含むニゲロース(3-O-α-D-グルコピラノシルグルコース)等のオリゴ糖を生成する活性により特徴付けられる。従って本発明による糖転移酵素は、澱粉及びその分解物から、α−1,3−結合を分子内に含むニゲロース(3-O-α-D-グルコピラノシルグルコース)等のオリゴ糖を生成することができる。
【0029】
本発明の一つの態様による糖転移酵素のアミノ酸配列は、具体的には、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜916のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換、または欠失、若しくは両末端への付加がなされたものであって、且つ上記した糖転移酵素活性を依然として保持する、改変された配列を包含するものとする。その改変配列における糖転移酵素活性の保持とは、その活性を利用した実際の使用態様において、配列番号2に示される配列を全て有するポリペプチドと、同一の条件でほぼ同様の利用が可能な程度の活性が維持されていることをいうものとする。このような改変された配列は、配列番号2に示されている配列を参照すれば、当業者であれば格別の困難なしに選択し、製造可能であることは明らかである。
【0030】
さらに、本発明の別の態様によれば、配列表の配列番号2のアミノ酸番号26番から916番までに示されるアミノ酸配列が提供される。この配列は、本酵素が培地に分泌される過程で、1〜25番に存在するペプチドが切断されることにより得られる場合のものであり、培地中に回収される酵素は、天然体であっても組換え体であっても実質的にこの配列を含む(上記改変配列を包含する)ものである。従って、本発明のもう一つの態様による糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号26〜916のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換、または欠失、若しくは両末端への付加がなされたものであって、且つ上記した糖転移酵素活性を依然として保持する改変された配列を包含するものとする。
【0031】
なお、後述のように本発明遺伝子を酵母で分泌発現させた場合、この酵素タンパク質は糖鎖が結合した形で得られ、糖鎖の切断によって糖鎖のない酵素タンパク質とすることができるが、これらも糖転移酵素活性を保持している限り本発明の酵素に包含される。
【0032】
アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium imuplicatum) IFO30538の菌体の培養にあたっては、培地に菌体を接種し、常法に従い培養すればよい。培地中には、資化しうる炭素源及び窒素源を適量含有せしめると好ましい。この炭素源窒素源については、特に制限はないが、例えば、コーングルテン、大豆粉、コーンスティープリカー、カザミノ酸、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等が挙げられる。
【0033】
一方炭素源としては、α1→4グルコシド結合を有するポリサッカライドまたはオリゴサッカライド、例えば澱粉やその分解物、加工物やマルトース、マルトオリゴ糖などの資化し得るマルトオリゴ糖が挙げられる。中でも、マルトース、マルトオリゴ糖などが好ましい。その他に、リン酸、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Co2+、Na+、K+等の無機塩や、さらに有機微量栄養源を適宜培地中に添加することもできる。
【0034】
[糖転移酵素をコードする遺伝子の発現/糖転移酵素の製造]
1)発現ベクター
本発明による糖転移酵素をコードするDNA断片を、宿主細胞内で複製可能であるか、あるいは染色体に組み込まれかつ同遺伝子が発現可能な状態で含むDNA分子、特に発現ベクターの形態として宿主細胞の形質転換を行なえば、宿主細胞において本発明による糖転移酵素を産生させることができる。
【0035】
従って、本発明によれば、さらに本発明による糖転移酵素をコードする遺伝子を含んだDNA分子、特に発現ベクターが提供される。このDNA分子は、ベクター分子に本発明による糖転移酵素をコードするDNA断片を組み込むことによって得ることが出きる。本発明の好ましい態様によれば、このベクターはプラスミドである。
【0036】
本発明によるDNA分子の作成は、前掲のMolecular Cloning:A Laboratory Manualに記載の方法に準じて行なうことが出きる。
【0037】
本発明において利用されるベクターは、使用する宿主細胞の種類を勘案しながら、ウイルス、プラスミド、コスミドベクターなどから適宜選択できる。例えば、宿主細胞が枯草菌の場合はpUB系のプラスミド、大腸菌の場合はλファージ系のバクテリオファージ、pBR、pUC系のプラスミド、酵母の場合はYEp、YCp系、YIP系のベクター、あるいはpLeu4、pPPLeu4、pJPLeu系(特開平4−218382号公報に記載)などが挙げられる。
【0038】
このプラスミドは形質転換体の選択マーカーを含むのが好ましく、選択マーカーとしては薬剤耐性マーカー、栄養要求マーカー遺伝子を使用することができる。
【0039】
さらに、本発明による発現ベクターとしてのDNA分子は、糖転移酵素遺伝子の発現に必要なDNA配列、例えばプロモーター、ターミネーター、リボゾーム結合部位、転写終結シグナルなどの転写調節信号、翻訳調節信号などを有しているのが好ましい。
【0040】
プロモーターとしては、枯草菌においてはズブチリシン、SPAC等のプロモーター、酵母ではアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、酸性フォスファターゼ(PHO)、ガラクトース遺伝子(GAL)、グリセルアルデビド3リン酸脱水素酵素遺伝子(GAP)等のプロモーターが好ましく用いることができる。配列番号2に示しているアミノ酸配列のアミノ酸番号1番から916番までの配列にはシグナルペプチド(アミノ酸番号1番〜25番)を含んでおり、後記する実施例で示すようにこの配列をそのまま、酵母由来のプロモーター、ターミネーターに挿入し酵母に導入して分泌発現をさせることが出きる。シグナルペプチドの使用は、培養上清からの精製も容易になるので好ましい。また、シグナルペプチドを酵母由来のもの(たとえばインベルターゼシグナル、酸性フォスファターゼシグナル、λ-ファクターシグナルなど)に置き換えることも好ましい。また、大腸菌においては、一般に慣用されるlacプロモーターを用いたところ目的の酵素は発現されなかったが、プロモーターとしてラクトースオペロン(lac )、トリプトファンオペロン(trp )等を用い、シャペロニンを同時に発現させる等の工夫をすれば発現が可能になることも考えられる。
【0041】
2) 形質転換体/培養
本発明によれば、更に上記の発現ベクターを適当な宿主細胞に導入した形質転換細胞、および形質転換細胞を培養して培養物から糖転移酵素を得る糖転移酵素の製造法が提供される。
【0042】
形質転換細胞の培養は、使用宿主細胞に関して一般的な方法を用いることができ、通常1〜4日程度の培養により細胞内または細胞外の培養物中に糖転移酵素が生成蓄積される。培養条件(培地、pH、温度等)に関しては、例えば、細菌では25〜37℃、酵母では25〜30℃、真核細胞では37℃程度が一般的であり、たとえば遺伝子発現実験マニュアル(講談社)等を参照することができる。
【0043】
宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌等の細菌、カンディダ・ウチリス(Candida utilis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia Pastoris)等の酵母以外に、リゾープス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾープス・デルマー(Rhizopus delemar)や高等真核生物(例えばCHO細胞など)を用いることができる。枯草菌としてはパチルス(Bacillus)属に属する微生物を用いることが好ましい。該属には蛋白質を菌体外へ分泌する株(たとえば、パチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)など)が存在することが知られている。またプロテアーゼを殆ど分泌しない株も知られており、このような株を宿主として用いることも好ましい。本発明においては、宿主細胞として酵母、糸状菌または細菌が好ましいが、酵母や糸状菌がより好ましく、特にピチア・パストリス(Pichia Pastoris)やリゾープス・デルマー(Rhizopus delemar)が好ましい。後記する実施例に示すように、ピチア・パストリス(Pichia Pastoris)やリゾープス・デルマー(Rhizopus delemar)を宿主としてこの遺伝子を発現させたところ、培地及びペリプラズム中に高い酵素活性が認められた。
【0044】
かくして調製された形質転換体の産生する組換え糖転移酵素の単離・精製には、公知の分離、精製方法を適当に組み合わせて行なうことが出きる。これらの分離、精製方法としては例えば塩沈殿、溶媒沈殿のような溶解性の差を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過およびSDS−ポリアクリル電気泳動のような分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーのような電荷の差を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーのような疎水性の差を利用する方法、さらに等電点電気泳動のような等電点の差を利用する方法等が挙げられる。具体的には、例えば実施例7に記載のように糖転移酵素を精製できるが、一般的な分離・精製法に関しては例えば蛋白質・酵素の基礎実験法(南江堂)等を参照することができる。
【0045】
[α−1,3−結合を分子内に含む糖類の製造]
本発明によれば、上記の組換え糖転移酵素を用いたα−1,3−結合を分子内に含む糖類、特にニゲロース等のオリゴ糖の製造方法が提供される。すなわち、本発明によるオリゴ糖の製造法は、上述のような本発明による糖転移酵素を、澱粉およびその分解物から選択される基質に作用させることを特徴とするものである。ここで澱粉の分解物とは、アミロース及びアミロペクチンの分解物の他、マルトオリゴ糖等をも包含するものである。基質としては澱粉、アミロースおよび/またはアミロペクチンの分解物、マルトオリゴ糖等をそれぞれ単独で用いても構わないが、α−1,3−結合を分子内に含むニゲロース等のオリゴ糖の製造法の好ましい態様によれば、本発明による組換え糖転移酵素とデンプン分解物、更に好ましくはマルトオリゴ糖と混合し、接触させることにより、α−1,3−結合を分子内に含むオリゴ糖(通常は種々の重合度の混合物)を効率よく製造することができる。
【0046】
本発明の糖転移酵素の好ましい基質であるデンプン分解物のグルコース重合度は特に制限されないが、たとえば、α−1,3−結合を分子内に含むオリゴ糖をシロップとして使用するのが一般的である食品の場合には、重合度は2〜10程度、特定重合度・高純度品を使用することを要求される医薬用途の場合には、所望のオリゴ糖重合度・純度に適した基質の重合度・種類を選択すれば良い。
【0047】
本発明の糖転移酵素と基質との混合割合は、酵素の形態(乾物、溶液など)やその他の反応条件によって大きく変化するが、通常糖転移酵素1Uに対して基質0.0005〜0.5g、好ましくは糖転移酵素1Uに対して基質0.001〜0.1gである。また反応条件に関しては、通常pH4〜10、好ましくは6〜9、温度30〜65℃、好ましくは40〜60℃、反応時間3〜96時間、好ましくは12〜48時間である。
【0048】
基本的には、得られるオリゴ糖の重合度は、糖受容体となる基質のグルコース重合度に依存し、重合度の大きい基質を使用しても反応時間を長くすれば重合度の小さいオリゴ糖を得ることもできるが、重合度の小さいオリゴ糖を糖受容体として含む基質を使用すれば、短時間でより効率的にα−1,3−結合含有の低重合オリゴ糖を得ることができることはいうまでもない。
【0049】
生成したα−1,3−結合を分子内に含む目的のオリゴ糖は、通常の糖の分離精製法、たとえば脱色、脱塩、濃縮糖を適宜組み合わせることにより精製することができる。オリゴ糖の分離・精製の一般的方法に関しては、例えば澱粉・関連糖質実験法(学会出版センター)等を参照することができる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、これは本発明を更に具体的に説明するためのものであり、本発明が以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。また、操作手順は特に記載しない限りMolecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook、 Maniatis ら、 Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989))に記載の方法に従った。また、以下の実施例に於て使用される本発明糖転移酵素に特異的な活性測定方法は、本発明者らが以前用いた方法に従った(特開平7−59559号公報)。この活性測定方法の概要を示せば、以下の通りである。
【0051】
<HPLCを用いた糖転移酵素の測定方法>
特開平7−59559号公報に従い、酵素液0.2mLに対して2%マルトース(20mM リン酸ナトリウム pH7.0に溶解したもの)0.4mLと40℃で1時間反応させた。100℃5分で反応を停止した後、30U/mLのグルコアミラーゼ(生化学工業、1M酢酸ナトリウムpH4.5に溶解したもの)0.1mLと40℃、2時間反応させた。このサンプルについても100℃、5分で反応を停止した後、以下の条件のHPLCで分析した。
カラム:Aminex HPX-42A(Bio-Rad)
移動相:超純水カラム温度:80℃
流速:0.6ml/min.
検出器:RI
上記条件下で、ピーク面積で全糖中1%のニゲロシルグルコースを生成する酵素濃度を、1U/mLと便宜的に定義した。
【0052】
<本酵素のα-グルコシターゼとしての活性測定方法>
特開平7−59559号公報と同様に行なった。即ち、試験管にあらかじめ1.0mLの0.1Mリン酸緩衝液pH7.0、および0.5mLの基質溶液(20mM PNPG(シグマ)水溶液)を加え37℃、5分間加熱を行なった。その後、酵素溶液0.5mLを加え37℃で15分間反応させた後、2.0mLの0.2M Na2CO3溶液を加えて反応を停止させた。この溶液について400nmの吸収の変化を測定し生成したp-ニトロフェノールの量を測定し、1分間に1μMのp-ニトロフェノールを生成する活性を1unitと定義した。
【0053】
[実施例1] 糖転移酵素の精製および部分アミノ酸配列の決定
菌体の培養、および酵素精製は以下の方法で行った。
(1)菌体の培養
コーンスターチ(日本食品化工(株)製)0.5%(w/v)、シェフトンD(シェフィールド製)0.75%(w/v)、リン酸水素二カリウム0.1%(w/v)、炭酸ナトリウム1.0%(w/v)および水からなる液体培地をpH8.0に調整し、500ml容三角フラスコに100ml入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却したこの液体培地に、アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum) IFO30538株を接種し、28℃、130rpmで24時間培養したものを種培養液とした。
【0054】
上記と同じ組成の培養液を4L調製し、5L容三角フラスコに1Lずつ入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却したこの液体培地に、種培養液5%(v/v)を接種し、28℃、130rpmで96時間培養した。除菌した培養液中の本酵素活性は、0.003単位/mlであった。
【0055】
(2)酵素の精製
(1)で得られた培養液を、4℃の冷却下で、10000rpmで遠心分離して、菌体を除いた上清約4Lを得た。この上清をPM−10膜(ミリポア製)を用いて200mlまで濃縮し、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて緩衝化したDEAE−トヨパール650Mを充填したカラム(2.6φ×45cm)にのせ、同緩衝液にて未吸着のタンパク質が溶出し終わるまで洗浄した。その後、0→1Mの食塩濃度のリニアグラディエントにて酵素を溶出した。得られた活性画分を、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)、続いて2M硫安を含む同緩衝液に対して透析し、PM−10膜を用いて10mlまで濃縮した。この酵素溶液を2M硫安を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて緩衝化したブチル−トヨパール650Mを充填したカラム(1.6φ×60cm)にのせ、同緩衝液にて未吸着のタンパク質が溶出し終わるまで洗浄した。その後、2→0Mの硫安濃度のリニアグラディエントにて酵素を溶出した。活性画分を回収し、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した後、PM−10膜を用いて2mlまで濃縮した。この酵素溶液を20mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて緩衝化したトヨパールHW−55Fを充填したカラム(1.6φ×95cm)にのせ、同緩衝液にて酵素を溶出した。活性画分を回収し、PM−10膜を用いて2mlまで濃縮し、精製酵素標品とした。得られた精製酵素標品の総活性量は5.6単位、比活性は8.0単位/mgタンパク質であった。
得られた精製酵素標品は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において単一のタンパク質染色バンドを示し、高度に精製された標品であることを示した。
【0056】
アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum) IFO30538株の糖転移酵素はSDS−PAGEでヘテロダイマーであり、分子量は約60000と約51000であった。糖転移酵素の部分アミノ酸配列分析をリジルエンドペプチダーゼにより消化後、逆相液体高速クロマトグラフィーを用い各ペプチドを分離し、またN末端アミノ酸配列分析をエドマン分解の方法により行なった。約100μgの精製酵素をマイクロチューブ中にとり乾燥し、これに110mgの尿素加え、さらに25μLの10mMのEDTAを含む0.5M トリス緩衝液pH7.5を直接加え、2分間激しく撹拌した。この操作を尿素が溶解するまで繰り返した。尿素溶解後、全量を300μLになるよう10mMのEDTAを含む0.5M トリス緩衝液pH7.5で調整し、これに3.2μLの2−メルカプトエタノールを加え、一晩マイクロチューブのヘッドスペースを窒素ガスで置換する。
【0057】
これに、4.8μLの4−ビニルピリジンを加え、さらに暗所にて2時間ヘッドスペースを窒素ガスで置換する。2μLの酢酸を加えペプチドの修飾反応を止める。得られた反応用液を一晩透析により、20mM トリス緩衝液 pH8.0に置換する。この溶液を乾燥後、これに37mgの尿素を加え、100μLの0.1M トリス緩衝液(pH8.0)で尿素を完全に溶解する。ここに200pmolのリジルエンドペプチダーゼを加え、37℃でペプチドを消化させ、24時間後さらに同量のリジルエンドペプチダーゼを加え、37℃、24時間ペプチドを消化させた。
【0058】
その消化物をC18カラム(資生堂 CAPCELL PAK C18 Φ4.6X150mm )を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーにより分離し、7種類のペプチド断片を得た。ペプチドの溶出溶媒としてはA溶媒(0.1%トリフルオロ酢酸)、B溶媒(0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/ 精製水 8:2)を用い、溶出はB溶媒に関し、0〜100%の直線濃度勾配で1mL/minの流速で90分間溶出させることにより行なった。得られた断片化ペプチド(AC-64, AC-66, AC-67, AC-69, AC-72, AC-74, AC-76)についてのアミノ酸配列決定試験を、気相ペプチドシークエンサーProcise 491(アプライドバイオシステム)を用いマニュアルに従って自動エドマン分解法により行なった。
【0059】
以下に得られた部分アミノ酸配列を記す。
AC-64: AIDIRYRLLDYMYTA
AC-66: ACNAYGDDLEELILE
AC-67: YWNNEFALFFDKDEG
AC-69: YGYRDVFEVAEVVY
AC-72: VRALVDHLHENDQH
AC-74: PAVAYVESDT
AC-76: VGXXLGDNLSNXXQYXE
なお、AC-64, AC-67, AC-72, AC-74の部分アミノ酸配列を基にそれぞれセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを設計した。
【0060】
実施例
1.全RNAの単離およびPoly(A)+RNAの精製
上記(1)に記載されている方法に従いアクレモニウム(Acremonium)の菌体を取得した。菌体20gを液体窒素により凍結した後RNA Extraction Kit(PharmaciaBiotech)を用いてトータルRNAを抽出した。
【0061】
0.2mgの全RNA 50μlに等量のElution buffer(20mM Tris-HCl pH7.5, 2mM EDTA, 0.2% SDS)を加えた後、100μlのOligotex dT30〈Super〉(宝酒造)を加え、65℃、5分間保持し、さらに氷中にて3分間保持した。20μlの5M NaClを加え、37℃にて10分間保持した後、遠心分離し沈殿を250μlのWash buffer(10mM Tris-HCl pH7.5, 1mM EDTA, 0.1% SDS, 0.5M NaCl)で懸濁した。遠心分離後、沈殿を100μlのTE緩衝液で懸濁し、65℃にて10分間、さらに氷中にて3分間保持した。遠心分離後、上清をエタノール沈殿し、得られた沈殿を風乾後10μlの水に溶解させた。
【0062】
2.RT−PCR(Reverse Transcription PCR)
アクレモニウム(Acremonium)の菌体より精製したPoly(A)+RNA 500ngからSUPERSCRIPT Preamplification System for First Strand cDNA Synthesis(LIFETECHNOLOGIES)を使用し、逆転写反応を行った。ただし、oligo-d(T) primerの代わりに3'-A P (5'- GGCCACGCGTCGACTAGTACTTTTTTTTTTTTTTTTT-3')を用いた。
【0063】
3.3'−RACE法(rapid amplification of cDNA 3'-end)
3'−RACEは、Frohman, M.A.らの方法に従い行った(M.A.Frohman, M.K.Dush, and G.R.Martin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,85, 8998-9002(1988))。鋳型として実施例2のRT-PCR産物を、プライマーとしてAC-64p(センスプライマー, 5'- tatagccaggcaaacattccc-3')3'-AUAP(abridged universal amplification primer、5'-GGCCACGCGTCGACTAGTAC-3')および3'-A Pを使用し、94℃, 1分間−50℃, 2分間−72℃, 3分間の反応を30サイクル行った。その結果、約2000bpのcDNA断片が増幅した。本断片をFRAG1と命名し塩基配列の解析を行った。
【0064】
4.5'−RACE法(rapid amplification of cDNA 5'-end)
5'−RACEは、Frohman, M.A.らの方法に従い行った(M.A.Frohman, M.K.Dush, and G.R.Martin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,85, 8998-9002(1988))。mRNAを15ユニットのterminal transferase(Invitrogen)と添付緩衝液を用いて、mRNAの5'側にオリゴ(dT)を付加した。これを鋳型に5'-AUAP(5'-GACTCGAGTCGACATCG-3')および5'-A P(5'-GACTCGAGTCGACATCGTTTTTTTTTTTTTTTTT-3')をセンスプライマーとして、 AC-67pRV (5'- tagggcgaattcgttgttcca -3')をアンチセンスプライマーとして行った。その結果、約1.3kbの増幅断片FRAG-2を得,塩基配列の解析を行った。上記プライマーを用いた5'-RACEの条件を以下に示す。PCRの条件は95℃30秒、55℃1分、72℃1分 で30サイクル行なった。
【0065】
5.アクレモニウム(Acremonium)由来α−グルコシダーゼ cDNAの取得
アクレモニウム(Acremonium)より精製したPoly(A)+RNA 500ngを鋳型として、5'-RACEで得られた塩基配列から設計したAC-1p(5'-gtcgacgtcgaccgataactgtct-3')およびAUAPをプライマーとしてRT−PCRを行ったところ、約3000bpのcDNAを得た。本cDNAの塩基配列を解析したところ、全塩基配列は2978bpであり、103bpの5'非翻訳領域と127bpの3'非翻訳領域が存在していた。得られた塩基配列より、タンパク質のアミノ酸配列は916残基であった。また、得られた塩基配列は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のα−グルコシダーゼと約47%、シゾサッカロミセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)由来と45%のホモロジーが確認されたことから、このcDNAをアクレモニウム(Acremonium)由来のα−グルコシダーゼ遺伝子と同定した。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum )α-グルコシダーゼ cDNAの遺伝子の制限酵素地図。
【図2】アクレモニウム・インプリカタム(Acremonium implicatum )からのα-グルコシダーゼ cDNAのクローニングストラティジー。
Claims (11)
- 以下の(a)若しくは(b)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、または配列番号1に示される塩基配列番号104〜2851の塩基配列からなるDNA。
(b)(a)に示すDNAと相補的な配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するヘテロダイマータンパク質をコードするDNA。 - 請求項1に記載の(a)若しくは(b)のDNAからなる遺伝子を含む組換えベクター。
- ベクターが、酵母で機能するベクターである請求項2記載の組換えベクター。
- 酵母で機能するベクターがピチア属(Pichia属)、サッカロミセス属(Saccharomyces属)またはシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces属)に属する宿主で機能するベクターである請求項3に記載の組換えベクター。
- ベクターが、カビで機能するベクターである請求項2記載の組換えベクター。
- カビで機能するベクターが、リゾープスニベウス(Rhizopus niveus)またはリゾープスデルマー(Rhizopus delemar)で機能するベクターである請求項5に記載の組換えベクター。
- 請求項2〜6のいずれか一項に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
- 宿主が、微生物、酵母またはカビである請求項7に記載の形質転換体。
- 宿主が酵母であり、組換えベクターが請求項3または4記載の組換えベクターである請求項7に記載の形質転換体。
- 宿主がカビであり、組換えベクターが請求項5または6記載の組換えベクターである請求項7に記載の形質転換体。
- 請求項7〜10のいずれか一項に記載の形質転換体を培養し、糖受容体へのα−1,3−結合のグルコース転移またはα−1,3−およびα−1,4−結合のグルコース転移を触媒する糖転移酵素活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする酵素の製造方法。
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