JP3779034B2 - β−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は酵素活性を有するポリペプチド、詳細には、微生物由来の遺伝子を発現させて得ることのできるβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キシロシルフラクトシドやラクトスクロースを始めとするフラクトフラノシル転移糖は、顕著な抗う蝕作用とビフィズス菌増殖促進作用を有し、蔗糖に代わる新しい甘味剤として、現在、食品分野や医薬品分野で大いに注目されている。フラクトフラノシル転移糖は、通常、蔗糖と澱粉糖や乳糖などを原料として用い、これらにβ−フラクトフラノシダーゼを作用させて製造される。斯界においては、これまでバチルス属やアルスロバクター属の微生物由来のβ−フラクトフラノシダーゼが頻用されてきたが、従来公知の微生物はいずれもβ−フラクトフラノシダーゼ産生能が低く、フラクトフラノシル転移糖を大規模に生産しようとすると、微生物を大量に培養しなければならないという問題がある。
【0003】
ところで、昨今の組換えDNA技術の進歩には目覚ましいものがある。今日では、全アミノ酸配列が解明されていない酵素であっても、これをコードする遺伝子を単離し、その塩基配列を解明できれば、その酵素をコードするDNAを含む組換えDNAを作製し、これを微生物や動植物の細胞に導入して得られる形質転換体を培養すれば、比較的容易に所望量の酵素が取得できるようになった。斯かる状況に鑑み、β−フラクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を突き止め、その塩基配列を解明するのが斯界の急務となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明の第一の課題は、組換えDNA技術を適用することにより、容易に大量生産可能なβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドを提供することにある。
【0005】
また、この発明の第二の課題は、斯かるポリペプチドをコードするDNAを提供することにある。
【0006】
加えて、この発明の第三の課題は、斯かるDNAを導入した形質転換体を提供することにある。
【0007】
さらに加えて、この発明の第四の課題は、斯かる形質転換体を用いるβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法を提供することにある。
【0008】
さらに加えて、この発明の第五の課題は、斯かるポリペプチドを用いるフラクトフラノシル転移方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決すべく、本発明者が鋭意研究したところ、部分アミノ酸配列として配列表における配列番号1及び2に示すアミノ酸配列の一部又は全部を有するβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドは、微生物由来の遺伝子を発現させることにより、所望量を容易に得られることが判明した。
【0010】
すなわち、この発明は、前記第一の課題を、微生物由来の遺伝子を発現させて得ることができ、部分アミノ酸配列として配列表における配列番号1及び2に示すアミノ酸配列の一部又は全部を有するβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドにより解決するものである。
【0011】
また、この発明は、前記第二の課題を、当該ポリペプチドをコードするDNAにより解決するものである。
【0012】
加えて、この発明は、前記第三の課題を、当該ポリペプチドをコードするDNAを導入してなる形質転換体により解決するものである。
【0013】
さらに加えて、この発明は、前記第四の課題を、当該ポリペプチドをコードするDNAを導入してなる形質転換体を培養する工程と、産生した該ポリペプチドを培養物から採取する工程を含んでなるβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法により解決するものである。
【0014】
さらに加えて、この発明は前記第五の課題を、当該ポリペプチドの存在下でフラクトフラノシル供与体とフラクトフラノシル受容体を反応させる工程を含んでなるフラクトフラノシル転移方法により解決するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明すると、この発明でいうポリペプチドとは、微生物由来の遺伝子を発現させて得ることができ、部分アミノ酸配列として配列表における配列番号1及び2に示すアミノ酸配列の一部又は全部を含んでなるβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチド全般を包含するものとする。この発明のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドは、通常、一部又は全部が解明されたアミノ酸配列を有しており、その一例として、例えば、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を含んでなるものが挙げられる。斯かるポリペプチドは、β−フラクトフラノシダーゼ活性に加えて、適宜のフラクトフラノシル供与体とフラクトフラノシル受容体間のフラクトフラノシル転移を触媒する作用を兼備し、次のような理化学的性質を有している。
(1) 分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると、分子量約44,000乃至54,000ダルトンを示す。
(2) 至適pH
40℃で10分間反応させると、約5.5乃至6.0に至適pHを示す。
(3) 至適温度
pH6.0で10分間反応させると、カルシウムイオン非存在下で45℃付近に、また、カルシウムイオン存在下で50℃付近に至適温度を示す。
(4) pH安定性
4℃で24時間インキュベートすると、pH約5.0乃至8.0で安定である。
(5) 温度安定性
pH6.0で1時間インキュベートすると、45℃付近まで安定である。
【0016】
ところで、斯界においては、ポリペプチドそのものの理化学的性質や宿主における発現効率を改善する目的で、人為的に、ポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸の1個又は2個以上を他のアミノ酸で置換したり、あるいは、N末端付近、C末端付近及び/又は中間部のアミノ酸の1個又は2個以上を欠落させたり、N末端及び/又はC末端に新たにアミノ酸を1個又は2個以上を付加することがある。この発明のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドにおいても、斯かるアミノ酸配列の変更は当然あり得ることである。また、同じ遺伝子を用いる場合であっても、それを導入する宿主の種類や形質転換体の培養条件によっては、宿主内酵素によるDNA発現後の修飾により、配列番号1乃至3に示すアミノ酸配列におけるN末端付近及び/又はC末端付近のアミノ酸の1個又は2個以上が欠落することがある。斯かる状況に鑑み、全体として配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列とは相違するアミノ酸配列を有するポリペプチドであっても、それがβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有し、かつ、部分アミノ酸配列として配列表における配列番号1及び2に示すアミノ酸配列の一部又は全部を含んでなるかぎり、当然、この発明に包含されるものとする。
【0017】
この発明のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドは、微生物由来の遺伝子を発現させることにより得ることができ、通常、宿主として、例えば、大腸菌、放線菌、枯草菌、酵母などの微生物を用い、斯かる宿主内でバチルス属の微生物由来の遺伝子、例えば、バチルス・スピーシーズV230株由来の遺伝子を発現させる。個々の遺伝子としては、例えば、配列表における配列番号4に示す塩基配列、より具体的には、配列番号5に示す塩基配列及びそれらの塩基配列に相補的な塩基配列のDNAを含んでなるもの、さらには、遺伝子の縮重を利用して、コードするアミノ酸配列を変えることなく、それらの塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他の塩基で置換したDNAを含んでなるものが挙げられる。さらには、遺伝子が宿主内で当該ポリペプチドの産生を発現し易くするために、当該ポリペプチドをコードするDNAにおける塩基の1個又は2個以上を他の塩基で適宜置換したり、適宜のエンハンサーやプロモーターを連結し得ることは言うまでもない。
【0018】
この発明で用いる遺伝子は、それが上述のような塩基配列のDNAを含んでなるかぎり、それが天然に由来するものであるか、あるいは、人為的に合成されたものであるかは問わない。天然の給源としては、例えば、バチルス・スピーシーズV230株を始めとするバチルス属の微生物が挙げられ、斯かる微生物の菌体からはこの発明のDNAを含む遺伝子が得られる。すなわち、斯かる微生物を栄養培地に植菌し、好気的条件下で約1日乃至3日間培養した後、培養物から菌体を採取し、リゾチームやβ−グルカナーゼなどの細胞壁溶解酵素や超音波で処理することにより当該DNAを含む遺伝子を菌体外に溶出させる。このとき、細胞壁溶解酵素にプロテアーゼなどの蛋白質加水分解酵素を併用したり、菌体を超音波処理する際、SDSなどの界面活性剤を共存させたり、凍結融解してもよい。斯くして得られる処理物に、例えば、フェノール抽出、アルコール沈澱、遠心分離、プロテアーゼ処理、リボヌクレアーゼ処理などの斯界における通常一般の方法を適用すれば目的とするDNAが得られる。一方、DNAを人為的に合成するには、例えば、配列表における配列番号4及び5に示す塩基配列に基づいて化学合成するか、配列番号3に示すアミノ酸配列をコードするDNAを自律増殖可能な適宜ベクターに挿入して組換えDNAとし、これを適宜宿主に導入して得られる形質転換体を培養し、培養物から菌体を採取し、その菌体から当該DNAを含むプラスミドを採取すればよい。なお、バチルス・スピーシーズV230株は岡山県の土壌から分離され、平成7年3月24日以降、茨城県つくば市にある国際寄託当局としての通商産業省、工業技術院、生命工学工業技術研究所に寄託番号『FERM BP−5054』で寄託されている
【0019】
斯かるDNAは、通常、組換えDNAの形態で宿主に導入される。組換えDNAは、通常、DNAと自律増殖可能なベクターを含んでなり、DNAが入手できれば、通常一般の組換えDNA技術により比較的容易に調製することができる。斯かるベクターの例としては、pBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pUB110、pTZ4、pC194、pHY300PLK、pHV14、TRp7、YEp7、pBS7などのプラスミドベクターやλgt・λC、λgt・λB、ρ11、φ1、φ105などのファージベクターが挙げられる。このうち、この発明のDNAを大腸菌で発現させるにはpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、λgt・λC及びλgt・λBが好適であり、また、枯草菌で発現させるにはpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1及びφ105が好適である。pHY300PLK、pHV14、TRp7、YEp7及びpBS7は、組換えDNAを2種以上の宿主内で増殖させる場合に有用である。
【0020】
ベクターへの挿入には、斯界において、通常一般の方法が採用され、具体的には、先ず、DNAを含む遺伝子と自律増殖可能なベクターとを制限酵素及び/又は超音波により切断し、次に、生成したDNA断片とベクター断片とを連結する。遺伝子及びベクターの切断にヌクレオチドに特異的に作用する制限酵素、とりわけ、II型の制限酵素、詳細には、Sau 3AI、Eco RI、HindIII、Bam HI、Sal I、Xba I、Sac I、Pst Iなどを用いれば、DNA断片とベクター断片を連結するのが容易となる。DNA断片とベクター断片を連結するには、必要に応じて、両者をアニーリングした後、生体内又は生体外でDNAリガーゼを作用させればよい。斯くして得られる組換えDNAは、適宜宿主に導入して形質転換体とし、これを培養することにより無限に複製可能である。
【0021】
このようにして得られる組換えDNAは、大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母を始めとする適宜の宿主微生物に導入することができる。宿主が大腸菌の場合には、宿主を組換えDNAとカルシウムイオンの存在下で培養すればよく、また、宿主が枯草菌の場合には、コンピテントセル法やプロトプラスト法を適用すればよい。形質転換体をクローニングするには、コロニーハイブリダイゼーション法を適用するか、適宜のフラクトフラノシル供与体とフラクトフラノシル受容体を含む栄養培地で培養し、フラクトフラノシル転移物を生成するコロニーを選別すればよい。
【0022】
斯くして得られる形質転換体は、栄養培地で培養すると、菌体内外に当該ポリペプチドを産生する。栄養培地には、通常、炭素源、窒素源、ミネラル、さらには、必要に応じて、アミノ酸やビタミンなどの微量栄養素を補足した通常一般の液体培地が使用され、個々の炭素源としては、例えば、澱粉、澱粉加水分解物、グルコース、果糖、蔗糖、トレハロースなどの糖質が、また、窒素源としては、例えば、アンモニア若しくはアンモニア塩、尿素、硝酸塩、ペプトン、酵母エキス、脱脂大豆、コーンスティープリカー、肉エキスなどの含窒素無機乃至有機物が挙げられる。形質転換体を斯かる栄養培地に植菌し、栄養培地を温度20乃至65℃、pH2乃至9に保ちつつ、通気撹拌などによる好気的条件下で約1乃至6日間培養すれば、当該ポリペプチドを含む培養物が得られる。この培養物は、酵素剤としてそのまま使用可能ではあるが、通常は使用に先立ち、必要に応じて、瀘過、遠心分離などにより当該ポリペプチドを菌体から分離し、超音波や細胞溶解酵素により菌体を破砕した後、瀘過、遠心分離などにより当該ポリペプチドを菌体又は菌体破砕物から分離し、精製する。精製には、酵素を精製するための通常の方法が採用でき、例えば、菌体又は菌体破砕物を除去した培養物に遠心分離、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル瀘過クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動などの1種又は2種以上を、適宜組合わせて適用すればよい。
【0023】
前述のとおり、この発明のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドは、フラクトフラノシル供与体とフラクトフラノシル受容体間のフラクトフラノシル転移を触媒するので、この発明のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドの存在下で、適宜のフラクトフラノシル供与体とフラクトフラノシル受容体を反応させれば、種々の有用なフラクトフラノシル転移物を得ることができる。フラクトフラノシル供与体として、通常、蔗糖、ラフィノース及びエルロースなどの分子内にβ−フラクトフラノシド結合を有する糖質が用いられ、また、フラクトフラノシル受容体として分子内にβ−フラクトフラノシド結合を有しない、例えば、キシロース、キシロオリゴ糖、ガラクトース、ガラクトオリゴ糖、乳糖、マルトース、マルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトオリゴ糖などの還元性糖質、トレハロース、ネオトレハロースなどの非還元性糖質、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、さらには、グリセロール、エチレングリコールなどのアルコールが用いられる。これらを適宜組合せて用いることにより、有用なフラクトフラノシル転移物であるキシロシルフラクトシド、エルロース、イソマルトフラクトシド、ラクトスクロース、フラクトシルトレハロースなどが得られる。
【0024】
反応条件としては、通常、フラクトフラノシル受容体1重量部に対してフラクトフラノシル供与体を約0.1乃至10重量部、望ましくは、約0.5乃至5重量部用い、これらを水性媒体に濃度10%(w/w)以上、望ましくは、20乃至60%(w/w)になるように溶解し、温度を約60℃以下、望ましくは、約5乃至55℃に、また、pHを約3.5乃至8.0、望ましくは、約4.5乃至6.5の範囲に設定して反応させる。ポリペプチドの量は反応の進行具合により適宜選択すればよく、通常、フラクトフラノシル供与体固形分の1g当り約0.1乃至50単位用いると、約0.1乃至100時間で反応が完結する。斯くして得られる反応物は、固形分当り、フラクトフラノシル転移物を約5%以上、通常、10%以上含む。
【0025】
反応物は、常法にしたがって濾過、遠心分離により不溶物を除去した後、活性炭やイオン交換樹脂による精製工程を経た後、濃縮してシラップにするか、必要とあらば、このシラップをさらに乾燥して粉末とする。フラクトフラノシル転移物の含量を高めるためには、例えば、斯かるシラップをインベルターゼ欠損酵母とともに培養して単糖類を除去するか、アルカリ溶液中で加熱処理して還元性糖質を分解するか、あるいは、膜濾過又はクロマトグラフィーにより夾雑物を分離すればよい。クロマトグラフィーを用いる方法としては、特開昭58−23799号公報及び特開昭58−72598号公報に開示された塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーが有用であり、この方法を適用するときには、所望量の高純度フラクトフラノシル転移物が最少のコストと労力で得られる。カラムクロマトグラフィーの方式としては、公知の固定床方式、移動床方式及び疑似移動床方式のいずれを適用してもよい。
【0026】
斯くして得られるフラクトフラノシル転移物は、良好な呈味と甘味に加えて、適度の粘度と保湿作用、さらには、顕著な抗う蝕作用、ビフィズス菌増殖促進作用及びミネラル吸収促進作用を有する。したがって、この発明によるフラクトフラノシル転移方法により得られるフラクトフラノシル転移物は、斯かる性質・作用を必要とする種々の飲食物、化粧品及び医薬品の甘味付け並びに呈味及び物性の改善に有用である。
【0027】
以下、実施例に基づき、この発明の実施の形態について説明する。なお、実施例で用いる手法自体は公知であり、例えば、ジェー・サムブルックら『モレキュラー・クローニング・ア・ラボラトリー・マニュアル』、第2版、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス発行などにも詳述されている。
【0028】
【実施例1】
〈DNAと形質転換体の調製〉
【0029】
【実施例1−1】
〈精製β−フラクトフラノシダーゼの調製〉
蔗糖1.0%(w/v)、ポリペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸二カリウム0.1%(w/v)、燐酸一ナトリウム・2水塩0.06%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水塩0.05%(w/v)、炭酸カルシウム0.3%(w/v)及び水からなる液体培地(pH7.0)を500ml容フラスコに100mlずつとり、120℃で15分間オートクレーブして滅菌し、冷却した後、バチルス・スピーシーズV230株(FERM BP−5054)を接種し、30℃で20時間回転振盪培養して種培養物を得た。
【0030】
10l容ジャーファーメンターに上記と同一組成の新鮮な培地を約7lとり、同様にして滅菌し、30℃まで冷却した後、種培養物を1%(v/v)接種し、30℃で20時間通気攪拌培養した。培養物を遠心分離したところ、β−フラクトフラノシダーゼを3.6単位/ml含む上清が6.3l得られた。この上清に硫酸アンモニウムを80%飽和になるまで加え、4℃で一夜静置した後、遠心分離してβ−フラクトフラノシダーゼを含む沈澱を採取した。
【0031】
この沈澱を5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、新鮮な同一緩衝液に対して一昼夜透析した後、遠心分離して上清210mlを採取した。この上清をあらかじめ5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)により平衡化しておいた東ソー製イオン交換クロマトグラフィー用ゲル『DEAE−トヨパール650』380mlのカラムに負荷し、0Mから0.5Mまで上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下にて10mM酢酸緩衝液(pH6.0)を通液し、塩化ナトリウム濃度0.1M付近で溶出した画分を採取した。
【0032】
この画分を1M硫酸アンモニウムと5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対して透析した後、遠心分離して上清を回収し、この上清をあらかじめ5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)により平衡化しておいた東ソー製疎水性カラムクロマトグラフィー用ゲル『ブチルトヨパール650』100mlのカラムに負荷し、1Mから0Mに下降する硫酸アンモニウムの濃度勾配下にて5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)を通液し、硫酸アンモニウム濃度0.1M付近で溶出した画分を採取した。
【0033】
その後、この画分を5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対して透析し、遠心分離し、得られた上清をあらかじめ5mM塩化カルシウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH6.0)により平衡化しておいた『DEAE−トヨパール650』10mlのカラムに負荷し、上記と同様にして分画したところ、比活性205単位/mg蛋白質の精製β−フラクトフラノシダーゼが14mg得られた。この精製β−フラクトフラノシダーゼをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動したところ、β−フラクトフラノシダーゼ活性を伴う蛋白質の実質的な単一バンドが観察された。
【0034】
なお、この発明において、β−フラクトフラノシダーゼ活性は、次のようにして測定した活性値(単位)で表示する。すなわち、基質としての蔗糖を5mM塩化カルシウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に0.1%(w/v)になるように溶解し、この水溶液5mlに被検試料を0.2ml加え、40℃で10分間反応させた後、ソモギー銅液0.2mlを加えて反応を停止させ、反応物の還元力をソモギー・ネルソン法により測定する。対照として、あらかじめ100℃で10分間加熱しておいて被検試料を上記と同様に処置して対照とした。β−フラクトフラノシダーゼ活性の1単位とは、上記条件下で反応させたときに、1分間に2マイクロモルのグルコースに相当する還元力を生成する酵素又はポリペプチドの量と定義する。
【0035】
【実施例1−2】
〈N末端アミノ酸配列〉
アプライド・バイオシステム製気相プロテイン・シーケンサ『473A型』を用い、常法にしたがって分析したところ、実施例1−1の方法により得た精製β−フラクトフラノシダーゼは、N末端に配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列を有していた。
【0036】
【実施例1−3】
〈部分アミノ酸配列〉
実施例1−1の方法により得た精製β−フラクトフラノシダーゼを適量とり、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)に対して4℃で18時間透析した後、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)を加えて蛋白質濃度を約1mg/mlとした。この水溶液を約1mlとり、リジルエンドペプチダーゼを20μg加え、30℃で60時間インキュベートして酵素を部分加水分解した。加水分解物をあらかじめ0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸により平衡化させておいた日本ミリポア・リミテッド製高速液体クロマトグラフィー用カラム『マイクロボンダパックC18』に負荷し、0%(v/v)から40%(v/v)に上昇する水性アセトニトリルの濃度勾配下、カラムに0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を0.9ml/分の流速で通液した。そして、通液開始から約77分後に溶出した画分を採取し、真空乾燥した後、50%(v/v)水性アセトニトリルを含む0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸に溶解した。その後、実施例1−2と同様に分析したところ、同画分に含まれるペプチド断片は配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を有していた。
【0037】
【実施例1−4】
〈染色体DNAの調製〉
500ml容フラスコに1%(w/v)ポリペプトン、0.5%(w/v)酵母エキス、0.5%(w/v)塩化ナトリウムおよび水からなる液体培地(pH7.0)を100mlずつとり、120℃で20分間オートクレーブして滅菌し、冷却した後、バチルス・スピーシーズV230株(FERM BP−5054)を接種し、27℃で24時間回転振盪培養した。
【0038】
培養物を遠心分離して菌体を分離し、適量のTES緩衝液(pH8.0)に浮遊させ、リゾチームを0.05%(w/v)加え、37℃で30分間インキュベートし、−80℃で1時間凍結した後、TSS緩衝液(pH9.0)を加え、60℃に予温したTES緩衝液/フェノール混液を加え、冷却し、遠心分離して上清を採取した。この上清に2倍容の冷エタノールを加え、染色体DNAを含む沈澱部を採取し、SSC緩衝液(pH7.1)に溶解し、リボヌクレアーゼ7.5μgとプロテアーゼ125μgをそれぞれ加え、37℃で1時間反応させた。反応物にクロロホルム/イソアミルアルコール混液を加えて染色体DNAを抽出し、抽出物に冷エタノールを加え、静置したところ、精製染色体DNAを含む沈澱が得られた。この沈澱を濃度約1mg/mlになるようにSSC緩衝液(pH7.1)に溶解し、−80℃で凍結した。
【0039】
【実施例1−5】
〈形質転換体BBF4の調製〉
実施例1−4の方法により得た精製染色体DNAの溶液を1mlとり、これに制限酵素Sau 3AIを約30単位加え、37℃で20分間反応させて染色体DNAを部分的に切断した後、蔗糖密度勾配超遠心法により約2,000乃至5,000塩基対からなるDNA断片を採取した。別途、プラスミドベクターBluescriptII SK(+)を制限酵素Bam HIにより切断し、そのベクター断片0.1μgとDNA断片1μgを宝酒造製『DNA Ligation Kit』を用いて連結した。得られた組換えDNAに東洋紡績製コンピテントセル『Epicurian Coli XLI−Blue』を30μl加え、氷冷下で30分間静置した後、42℃に加温し、SOCブロスを加え、37℃で1時間インキュベートして組換えDNAを大腸菌に導入した。
【0040】
斯くして得られた形質転換体を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトシドを50μg/ml含む寒天平板培地(pH7.0)に植菌し、37℃で18時間培養した後、培地上に形成された約2,000個のコロニーをアマシャム製ナイロン膜『Hybond−H+』上に固定した。別途、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列の第5乃至13番目に相当するAsp−Tyr−Lys−Glu−Asp−Tyr−Gly−Phe−Alaで表される配列に基づき、5´−GAYTAYAARGARGAYTAYGGNTTYGC−3´で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを化学合成し、同位体 32 Pで標識した後、これをプローブとしてナイロン膜上に固定した形質転換体のコロニーにハイブリダイズさせ、顕著な会合を示したコロニーを選別し、『BBF4』と命名した。
【0041】
この形質転換体BBF4をアンピシリン100μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.0)に植菌し、37℃で24時間回転振盪培養した。遠心分離により培養物から菌体を採取し、通常一般のアルカリ法により組換えDNAを菌体外に溶出させ、これを常法により精製し、分析したところ、形質転換体BBF4に含まれる組換えDNA、すなわち、『pBBF4』は約6,300塩基対からなり、図1に示す制限酵素切断部位を有していた。図1に見られるように、この組換えDNA pBBF4においては、当該ポペプチドをコードする1,365塩基対からなるDNAが制限酵素Eco RVによる切断部位の下流に連結していた。
【0042】
【実施例1−6】
〈塩基配列の決定〉
実施例1−5の方法により得た組換えDNA pBBF4を1μgとり、これにシーケンシング・プライマー0.02μgとアプライド・バイオシステム製シーケンシング・キット『エー・ビー・アイ・プリズム・レディー・リアクション・ターミネーター・サイクル・シーケンシング・キット』のプレミックス液9.5μlをそれぞれ加えた後、さらに適量の水を加えて全量を20μlとした。この混液に適量のミネラルオイルを重層した後、パーキン・エルマー製DNAサーマルサイクラー『PJ2000型』により96℃で30秒間、50℃で15秒間、さらに、60℃で4分間この順序で25回繰り返し反応させ相補鎖DNAを含む反応物を得た。その後、5%(w/v)セチルトリメチルアンモニウムブロマイドを含む0.5M食塩水を2.5μl加えて反応物を沈澱させ、通常一般のエタノール法により精製し、真空乾燥した。得られた粉状物に50mMEDTA 1μlとホルムアミド5μlを加えて溶解し、90℃で2分間インキュベートした後、急冷した。
【0043】
反応物をアプライド・バイオシステム製DNAシーケンシング・システム『373型』に装着した6%(w/v)ポリアクリルアミドゲル上に適量とり、電気泳動して反応物を分離し、解析したところ、相補鎖DNAは配列表における配列番号5に示す塩基配列を含んでいた。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列は配列表における配列番号3に示したとおりであり、そのアミノ酸配列と配列表における配列番号1及び2に示す部分アミノ酸配列を比較したところ、配列番号1に示す部分アミノ酸配列は配列番号3のアミノ酸配列における第1乃至21番目の配列に、また、配列番号2に示す部分アミノ酸配列は配列番号3のアミノ酸配列における第201乃至212番目の配列に一致した。このことは、本例のポリペプチドが配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を有するものであり、バチルス・スピシーズV230株においては、そのアミノ酸配列が配列表における配列番号4、詳細には、配列番号5に示す塩基配列のDNAによりコードされていることを示している。なお、配列表における配列番号5に示す塩基配列において、第361乃至456番目の塩基配列は、分泌型酵素一般に認められるシグナルペプチド領域であると推定される。
【0044】
【実施例2】
〈形質転換体を用いるポリペプチドの製造と理化学的性質〉
【0045】
【実施例2−1】
〈形質転換体によるポリペプチドの製造〉
蔗糖1.0%(w/v)、ポリペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸二カリウム0.1%(w/v)、燐酸一ナトリウム・2水塩0.06%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水塩0.05%(w/v)、炭酸カルシウム0.3%(w/v)及び水からなる液体培地を100mlずつ500ml容フラスコにとり、120℃で15分間オートクレーブして滅菌し、冷却し、pH7.0に調整した後、アンピシリンを50μg/ml加えた。この液体培地に実施例1−5の方法により得た形質転換体BBF4を接種し、37℃で20時間回転振盪培養して種培養物を得た。
【0046】
10l容ジャーファーメンターに上記と同一組成の新鮮な液体培地を約7lとり、同様にして滅菌し、37℃まで冷却し、pH調整し、アンピシリンを加えた後、種培養物を1%(v/v)接種し、20時間通気撹拌培養した。培養物を超音波処理して菌体を破砕し、遠心分離により不溶物を除去し、上清に硫酸アンモニウムを70%飽和になるように加え、4℃で24時間静置した後、遠心分離により沈澱を採取した。この沈澱を10mM燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、10mM燐酸緩衝液に対して4℃で24時間透析した後、透析内液中のβ−フラクトフラノシダーゼ活性を測定したところ、培養物1l当たり、約8単位のポリペプチドが産生していた。その後、この粗ポリペプチドを実施例1−1の方法により精製したところ、比活性205単位/mg蛋白質のポリペプチドが培養物1l当り約8mgの収量で得られた。
【0047】
対照として、大腸菌XLI−Blue株又はバチルス・スピーシーズV230株をアンピシリン無含有の上記と同一組成の液体培地を用いて、バチルス・スピーシーズV230株の場合、培養温度を30℃に設定した以外は上記と同様に培養し、処理した。培養上清の活性を測定したところ、バチルス・スピーシーズV230株のβ−フラクトフラノシダーゼ産生は培養物1l当り3.6単位程度であり、これは形質転換体BBF4に比較して有意に低いものであった。なお、宿主に用いた大腸菌XLI−Blue株は、β−フラクトフラノシダーゼを全く産生しなかった。
【0048】
【実施例2−2】
〈ポリペプチドの理化学的性質〉
【0049】
【実施例2−2(a)】
〈作用〉
基質として蔗糖、ラフィノース、エルロース、スタキオース、ラクトスクロース、キシロシルフラクトシド、マルトース、セロビオース、乳糖、イヌリン又はレバンのいずれかを2%(w/v)含む水溶液に、実施例2−1の方法により得たポリペプチドを基質固形分1g当り2単位ずつ加え、40℃、pH5.5で24時間反応させた。
【0050】
それぞれの反応物を適量とり、メルク製シリカゲル薄層クロマトグラフィー用ゲル『キーゼルゲル60』にスポットし、室温下、1−ブタノール/ピリジン/水混液(容量比7:3:1)により展開した後、乾燥させた。そして、反応物がフラクトースを含む場合には、0.2%(w/v)ナフトレゾルシノールを含む0.5N燐酸溶液を噴霧した後、110℃で5分間加熱し、また、反応物がフラクトース以外の糖質を含む場合には、20%(w/v)硫酸/メタノール混液を噴霧し、110℃で10分間加熱して発色させた。その結果、本例のポリペプチドは蔗糖、ラフィノース、エルロース、スタキオース、ラクトスクロース及びキシロシルフラクトシドにβ−フラクトフラノシダーゼ活性を発揮してフラクトースを遊離するものの、マルトース、セロビオース、乳糖、イヌリン及びレバンには実質的に作用しないことが判明した。
【0051】
さらに、フラクトフラノシル受容体として表1に示す単糖、オリゴ糖及びアルコールを用い、本例のポリペプチドによるフラクトフラノシル転移の特異性を調べた。すなわち、表1に示すいずれかのフラクトフラノシル受容体とフラクトフラノシル供与体としての蔗糖を重量比で等量混合し、これを10%(w/v)になるように溶解した水溶液に実施例2−1の方法により得たポリペプチドを蔗糖固形分1g当り2単位ずつ加え、40℃、pH5.5で24時間反応させた。そして、反応物を上記と同様の薄層クロマトグラフィーにより分離した後、0.2%(w/v)ナフトレゾルシノールを含む0.5N燐酸溶液を噴霧し、110℃で5分間加熱して発色させてフラクトフラノシル転移物を検出した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示す結果から明らかなように、本例のポリペプチドは、フラクトフラノシル供与体としての蔗糖からD−キシロース、D−ガラクトース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、マルトトリオース、パノース、乳糖、メリビオース、トレハロースへのフラクトフラノシル転移を触媒し、それぞれのフラクトフラノシル受容体に対応するフラクトフラノシル転移物を生成する。また、本例のポリペプチドは上記のような糖質に対してのみならず、D−キシリトール、D−ソルビトール、マルチトールを始めとする糖アルコールや、グリセロール、エチレングリコールなどのアルコールにも作用し、それぞれに対応するフラクトフラノシル転移物を生成する。
【0054】
【実施例2−2(b)】
〈分子量〉
実施例2−1の方法により得たポリペプチドをゲル濃度10%(w/v)のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、同時に泳動した分子量マーカーの移動度と比較して分子量を測定したところ、分子量は44,000乃至54,000ダルトンであった。なお、分子量マーカーには、ウサギ筋肉フォスフォリラーゼB(97,400ダルトン)、ウシ血清アルブミン(66,200ダルトン)、オボアルブミン(45,000ダルトン)、ウシカルボニックアンヒドラーゼ(31,000ダルトン)、大豆トリプシンインヒビター(21,500ダルトン)及び卵白リゾチーム(14,400ダルトン)を用いた。
【0055】
【実施例2−2(c)】
〈至適pH〉
常法により、pHの相違する20mM緩衝液中、40℃で10分間インキュベートしたところ、図2に示すように、本例のポリペプチドはpH5.5乃至6.0付近に至適pHを示した。
【0056】
【実験例2−2(d)】
〈至適温度〉
常法により、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)中で10分間インキュベートしたところ、図3に示すように、本例のポリペプチドは5mMカルシウムイオン存在下では50℃付近に、また、カルシウムイオンの非存在下では45℃付近に至適温度を示した。
【0057】
【実験例2−2(e)】
〈pH安定性〉
常法により、pHの相違する100mM緩衝液中、4℃で24時間インキュベートしたところ、図4に示すように、本例のポリペプチドはpH5.0乃至8.0付近まで安定であった。
【0058】
【実施例2−2(f)】
〈熱安定性〉
常法により、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)中で60分間インキュベートしたところ、図5に示すように、本例のポリペプチドは45℃付近まで安定であった。
【0059】
【実施例3】
〈形質転換体によるポリペプチドの製造〉
【0060】
【実施例3−1】
〈形質転換体BB5の作製〉
実施例1−5の方法により得た組換えDNA pBBF4を制限酵素Pst Iで切断し、宝酒造製『DNA Blunting Kit』を用いて切断部を平滑化した後、常法にしたがってアガロース電気泳動して当該ポリペプチドをコードする塩基配列を含む約2,800塩基対のDNA断片を得た。このDNA断片とあらかじめ制限酵素Sma Iで切断しておいた東洋紡績製プラスミドベクター『pHY300PLK』と宝酒造製『DNA Ligation Kit』を用いて連結した。得られた組換えDNAをシェーファーらが『プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ』、第73巻、2,151乃至2,155頁(1976年)に報告している方法に準じてプロトプラスト化したバチルス・ズブチリスISW1214株に加え、さらに、関口らが『アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー』、第46巻、1,617乃至1,621頁(1982年)に報告している方法に準じて形質転換した。斯くして得られた枯草菌を宿主とする形質転換体を『BBF5』と命名した。
【0061】
この形質転換体BBF5をテトラサイクリン10μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.0)に植菌し、30℃で24時間回転振盪培養した後、組換えDNAを実施例1−4と同様にして抽出し、精製し、分析したところ、形質転換体BBF5に含まれる組換えDNA、すなわち、pBBF5は約7,700塩基対からなり、図6に示すような制限酵素切断部位を有していた。
【0062】
【実施例3−2】
〈形質転換体によるポリペプチドの製造〉
蔗糖5.0%(w/v)、ポリペプトン1.0%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸二カリウム0.1%(w/v)、燐酸一ナトリウム・2水塩0.06%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水塩0.05%(w/v)、炭酸カルシウム0.3%(w/v)及び水からなる液体培地を500ml容フラスコに100mlずつとり、120℃で15分間オートクレーブして滅菌し、冷却し、pH7.0に調整した後、テトラサイクリンを10μg/ml加えた。この液体培地に実施例3−1の方法により得た形質転換体BBF5を接種し、30℃で24時間回転振盪培養して種培養物を得た。
【0063】
30l容ファーメンターに上記と同一組成の新鮮な液体培地を約19lとり、同様に滅菌し、30℃まで冷却し、pH調整し、テトラサイクリンを加えた後、種培養物1%(v/v)を接種し、24時間通気攪拌培養した。形質転換体BBF5が産生したポリペプチドの大部分は培養上清中に認められ、そのβ−フラクトフラノシダーゼ活性は45単位/mlであった。培養液をMF膜により濾過し、その濾液をUF膜により濃縮したところ、約800単位/mlのポリペプチド水溶液が820ml得られた。
【0064】
その後、実施例1−1と同様にしてポリペプチドを精製した後、実施例2−2の方法により理化学的性質を調べたところ、本例のポリペプチドは実施例2−1のものと同様の理化学的性質を有していた。
【0065】
【実施例4】
〈乳糖へのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体としての蔗糖とフラクトフラノシル受容体としての乳糖をそれぞれ20%(w/w)含む水溶液をpH5.5に調整し、これに実施例2−1の方法により得た粗ペプチドを蔗糖固形分1g当り1単位加え、55℃で16時間反応させた。反応物を90℃で30分間加熱してポリペプチドを失活させた後、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩して精製し、濃縮して、濃度75%(w/w)のシラップ状物を原料固形分当り95%の収率で得た。
【0066】
固形分当りラクトスクロースを37%含む本品は、良好な呈味と甘味に加えて、適度の保湿性を有しており、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0067】
【実施例5】
〈乳糖へのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体としての蔗糖を22%(w/w)とフラクトフラノシル受容体としての乳糖を18%(w/w)含む水溶液をpH6.0に調整し、これに実施例3−1の方法により得た粗ポリペプチドを蔗糖固形分1g当り1単位と、インベルターゼ欠損酵母を固形分当り湿重量で5%(w/w)になるようにそれぞれ加え、1N水酸化ナトリウム溶液によりpHを6乃至7に保ちながら35℃で20時間反応させた。反応物を90℃で30分間加熱してポリペプチドを失活させ、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮した後、真空乾燥し、粉砕して粉状物を原料固形分当り70%の収率で得た。
【0068】
固形分当りラクトスクロースを65%含む本品は、良好な呈味と甘味に加えて、適度の保湿性を有しており、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0069】
【実施例6】
〈マルトースへのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体としての蔗糖とフラクトフラノシル受容体としてのマルトースをそれぞれ20%(w/w)含む水溶液をpH5.5に調整し、これに実施例2−1の方法により得たポリペプチドを蔗糖固形分1g当り1単位加え、50℃で24時間反応させた。反応物を90℃で30分間加熱してポリペプチドを失活させ、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度75%(w/w)のシラップ状物を原料固形分当り95%の収率で得た。このシラップ状物は、固形分当り、エルロースを約28%含んでいた。
【0070】
その後、このシラップ状物を45%(w/w)まで濃縮した後、エルロース含量を高めるべく、ダウケミカル製アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂『ダウエックス50W×4(Ca型)』を用いるカラムクロマトグラフィーに供した。すなわち、同カチオン交換樹脂を内径5.4cmのジャケット付きステンレス製円筒管4本にカラム状に充填し、円筒管を直列に連結してカラム全長を20mとした後、カラム温度を40℃に保ちつつ、シラップ状物を樹脂に対して5%(v/v)負荷し、40℃の温水をSV0.2の流速で流して分画した。そして、エルロース高含有画分を採取し、常法にしたがって精製し、濃縮し、真空乾燥し、粉砕したところ、固形分当りエルロースを84%含む粉状物を原料固形分当り25%の収率で得た。
【0071】
本例のシラップ状物は良好な呈味と甘味に加えて、適度の保湿性を有しており、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。一方、本例の粉状物は還元性低く、呈味及び甘味良好なうえに、適度な保湿性と低う蝕性をも有しているので、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0072】
【実施例7】
〈キシロースへのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体として蔗糖30%(w/w)とフラクトフラノシル受容体としてのキシロースを15%(w/w)含む水溶液をpH5.5に調整し、これに実施例1−2の方法により得た粗ポリペプチドを蔗糖固形分1g当り0.5単位加え、50℃で40時間反応させた。反応物を90℃で30分間加熱してポリペプチドを失活させた後、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度75%(w/w)のシラップ状物を原料固形分当り95%の収率で得た。
【0073】
固形分当りキシロシルフラクトシドを35%含む本品は、良好な呈味と甘味に加えて、適度な粘度と保湿性、さらには、低う蝕性をも有しているので、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0074】
【実施例8】
〈キシロースへのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体としての蔗糖を30%(w/w)とフラクトフラノシル受容体としてのキシロースを15%(w/w)含む水溶液をpH6.0に調整し、これに実施例3−1の方法により得た粗ポリペプチドを蔗糖固形分1g当り0.5単位加え、50℃で40時間反応させた。反応物に水酸化ナトリウムを加えてpH10以上に保ちながら100℃で加熱した後、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度75%(w/w)のシラップ状物を原料固形分当り55%の収率で得た。
【0075】
固形分当りキシロシルフラクトシドを60%含む本品は、良好な呈味と甘味に加えて、適度な粘度と保湿性を有しており、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収促進剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0076】
【実施例9】
〈トレハロースへのフラクトフラノシル転移〉
フラクトフラノシル供与体としてのラフィノースを14%(w/w)とフラクトフラノシル受容体としてのトレハロースを10%(w/w)含む水溶液をpH5.5に調整し、これに実施例2−1の方法により得た粗ポリペプチドをラフィノース固形分1g当り0.4単位加え、50℃で40時間反応させた。反応物を90℃で30分間加熱してポリペプチドを失活させ、冷却し、常法にしたがって活性炭で脱色し、濾過し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮した後、真空乾燥し、粉砕して粉状物を原料固形分当り95%の収率で得た。
【0077】
固形分当りフラクトフラノシルトレハロースを20%含む本品は、良好な呈味と甘味に加えて、適度な粘度と保湿性を有しており、甘味剤、呈味改良剤、安定剤、ビフィズス菌増殖促進剤、ミネラル吸収剤などとして飲食物、化粧品、医薬品に有利に配合使用できる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、組換えDNA技術を適用することにより容易に大量生産可能なβ−フラクトフラノシダーゼ活性ポリペプチドを提供するものである。この発明のポリペプチドはアミノ酸配列の一部又は全部が明らかにされたポリペプチドであり、食品、化粧品、医薬品への配合使用を前提とするフラクトフラノシル転移物の製造に安心して使用し得るものである。斯くも有用なるポリペプチドは、形質転換体を用いるこの発明の方法により、所望量を容易に製造することができる。
【0079】
この発明は斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【0080】
【配列表】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による組換えDNA pGGF4の制限酵素切断地図である。
【図2】この発明による実施例のポリペプチドの至適pHを示す図である。
【図3】この発明による実施例のポリペプチドの至適温度を示す図である。
【図4】この発明による実施例のポリペプチドのpH安定性を示す図である。
【図5】この発明による実施例ポリペプチドの熱安定性を示す図である。
【図6】この発明による組換えDNA pBBF5の制限酵素切断地図である。
Claims (7)
- 配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列における1個又は2個以上のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加したアミノ酸配列を含むβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチド。
- 配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列か、又は、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列における1個又は2個以上のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加したアミノ酸配列を含むβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
- 配列表における配列番号4に示す塩基配列か、遺伝子の縮重に基づきコードするアミノ酸配列を変えることなく配列表における配列番号4に示す塩基配列における1個又は2個以上の塩基を他の塩基で置換した塩基配列又はそれらの塩基配列に相補的な塩基配列を含んでなる請求項2記載のDNA。
- 配列表における配列番号5に示す塩基配列若しくはその塩基配列に相補的な塩基配列を含んでなる請求項2又は3記載のDNA。
- 自律複製可能なベクターをさらに含んでなる請求項2乃至4のいずれかに記載のDNA。
- 請求項2乃至5のいずれかに記載のDNAを適宜の宿主に導入してなる形質転換体。
- 請求項6記載の形質転換体を培養する工程と、産生したβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドを培養物から採取する工程を含んでなるβ−フラクトフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
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