以下、本発明に係る一実施形態の液晶表示装置を具体的に説明する。
液晶TVが台頭する中、自発光でない液晶ディスプレイは、白表示時は、如何に照明装置からの光を透過し、黒表示時は如何に光を遮断するかが重要である。本実施形態は、黒表示時において斜めから見たときに輝度を低減し、同時に色付きを無くす液晶表示装置に関するものである。
まず、黒表示時に斜め方向から見た場合、何故輝度が上昇し、色付きが生じるかについて説明する前に、図3を用いて定義を示す。照明装置からの光60が入射し、液晶素子で光が変調され、表示面10Dから光が出射する時、表示面10Dの法線方向を80N、水平方向を70H、垂直上下方向を70Vとし、視認方向80Vの表示面10Dへの射影を80Aとすると、水平方向70Hとの成す角を方位角81としてφで示し、法線方向80Nと視認方向80Vとの成す角を極角θで示す。
次に、直交する一対の偏光板において、極角θ、方位角φを、θ≠0°、φ≠0°,180°±90°として、光漏れの理由について考える。図4.1に示すように2枚の偏光板の吸収軸11BAと12BA(または透過軸11BTと12BT)を直交させた場合、偏光板の法線方向から入射した光は、入射側の偏光板で直線偏光となり、出射側の偏光板により吸収され、黒表示をすることができる。一方、図4.2に示すように、斜め方向から見た場合(θ≠0°、φ≠0°,180°±90°)は、反対側の偏光板の透過軸と平行な成分を有し、反対側の偏光板で光が完全には遮断されずに光漏れを生じる。更に、直交する偏光板間に平行配向の液晶層が配置された場合、液晶層の光学軸が入射側偏光板の吸収軸に平行であれば液晶層の影響を受けないが、液晶層の光学軸がずれる、若しくは2枚の偏光板が直交からずれると液晶層の影響を受けることが我々の検討で判明した。
これらの偏光状態を理解する為には、ポアンカレ球表示を使用すると非常にわかり易い。ポアンカレ球表示については、[非特許文献1]応用物理学会光学懇話会編「結晶光学」森北出版株式会社出版1984年第1版第4刷発行、第5章p102〜163に開示されている。ストークスパラメータS0、S1、S2、S3は、光の進行方向に対し垂直な面でx、y軸をとり、その電界振幅をそれぞれEx,Eyとし、ExとEyの相対的位相差をδ(=δy−δx)とすると、下記の式(1)のようになる。
完全偏光の場合は、S0
2=S1
2+S2
2+S3
2となる。また、これをポアンカレ球上に表示すると、図5に示すようになる。つまり、空間直交座標系の各軸にS1,S2,S3軸を取り、偏光状態を表すS点は、強度S0の半径とする球面上に位置する。ある偏光状態Sの点を取り、緯度La及び経度Loを用いて表示すると、完全偏光の場合はS0
2=S1
2+S2
2+S3
2であるため、半径1の球を考えると、下記の式(2)のようになる。
ここで、ポアンカレ球上では、上半球は右回りの偏光、下半球は左回りの偏光、赤道上は直線偏光、上下両極はそれぞれ右円偏光、左円偏光が配置される。
図4.2の状態をポアンカレ球上で考えると図6に示すようになる。ここで、図6は、方位角φ=45°、θ=60°で見た場合で、図6.1はS1−S3面への、図6.2はS1−S2面への射影を示す。光の入射側の偏光透過軸11BTの偏光状態は200T、吸収軸11BAに偏光成分を持つ直線偏光は200A、出射側の偏光透過軸12BTは201T、吸収軸12BAに偏光成分を有する直線偏光は201Aで示される。つまり、200Tと201Aの距離311が光漏れとなる。従って、200Tの偏光状態を201Aの偏光状態へ、変換300を行うことで光漏れを無くす事ができる事がわかる。
図6は、偏光層のみの理想状態を考えたが、通常の偏光板は、偏光層の両側に支持基材が配置されており、その支持基材が通常トリアセチルセルロース(TAC)から成る。TACは複屈折性を有する為、斜め方向から光が入射し、出射する場合、偏光状態が変化する。複屈折性媒体による偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、入射光に関する値(方位角、視野角)で決まる特定の軸の回りに、その複屈折性媒体の物性値(屈折率、厚さ)及び入射光に関する値(方位角、視野角)で決まる斜め方向の複屈折性を表す傾斜リタデーションにより特定の角度回転させることで表される。
以上より、垂直入射では偏光状態に影響を受けないが斜め入射時に支持基材の影響を受けて偏光状態が変化する。ここで、図7に示す光学的な層構成で偏光状態の変化を考える。液晶層15の両側に偏光板11,12が配置され、入射側偏光板11の内側には支持基材11C、出射側偏光板12は内側に支持基材12Cが配置されている。ここで、液晶層の光学軸15Sは、入射側偏光板11の吸収軸11BAに垂直、透過軸11BTに平行で、出射側偏光板12の吸収軸12BAに平行、透過軸12BTに垂直に配置し、これをe−modeと呼び、上下偏光板の軸が90°回転している場合、つまり、液晶層の光学軸15Sは、入射側偏光板11の吸収軸11BAに平行、透過軸11BTに垂直で、出射側偏光板12の吸収軸12BAに垂直、透過軸12BTに平行に配置した場合をo−modeと呼ぶ。また、通常は、偏光層11B、12Bの外側に図1に示すように支持基材11A、12Aが配置されるが偏光状態を考える上では必要無い為に省略した。
この図7の構成について、ポアンカレ球上で偏光状態の変化を図8.1を用いて考える。以下断りが無い場合には、各物性値は波長550nm光の値として考える。図6と同様に方位角φ=45°、視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、偏光層11Bの透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、支持基材11Cにより偏光状態202に変換される。更に、液晶層15により偏光状態203に変換301される。更に出射側偏光板12の支持基材12Cによって偏光状態204に変換される。ここで、出射側の偏光層12Bの吸収軸12BAに一致する偏光状態は201Aであり、偏光状態204と201Aの距離310分だけ光が漏れることになる。
更には、図8.1では、550nmの光について考えたが、図8.2で図7の構成について、可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。図6と同様に方位角φ=45°、視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、支持基材11Cにより偏光状態212R,G,Bに変換される。更に、液晶層15により、偏光状態213R,G,Bに変換される。更に出射側偏光板12の支持基材12Cにより偏光状態214R,G,Bに変換される。ここで、出射側の偏光層12Bの吸収軸12BAに一致する偏光状態は201Aであり、214R,G,Bと201Aを見ればわかる通り、波長により光の漏れ量が異なる事が分かった。従って斜めから見た場合、色付きが生じることが理解できる。
本実施形態に係る液晶表示装置の構成を図1に示す。光入射側の第一の偏光板11を備えた第一基板13ともう一方の第二の偏光板12を備えた第二基板14間のそれぞれの吸収軸が略垂直で、液晶分子が前記基板に略平行且つ、前記第一の偏光層の吸収軸に略垂直あるいは略平行方向に配向され、前記第一の基板に対して平行な方向に電界を印加することにより前記液晶分子が前記第一の基板に対して平行な面内で回転する液晶層15と、前記第一基板又は前記第二基板のいずれか一方の基板の前記液晶層に近い側に、各画素に対向して一対の電極を有するマトリクス駆動の電極群が設けられ、背面照明装置が配置されている。
図1左は、液晶層15の光学軸が偏光層11Bの吸収軸に略垂直であるe−modeの場合を示している。この場合、光学補償部材17、18は液晶層15と偏光層11Bの間に挟持され、支持基材としての役割も兼ねる。
図1は偏光板支持基材11A、12Aおよび基板13、14を含むが、これらは偏光状態を考える場合無視できる。これらを省略し、各部材の基板平行面内の遅相軸方向を明示した光学的構成図を考えると、図9のようになる。光学補償部材17および18の遅相軸は入射側偏光板吸収軸に直交もしくは平行のどちらでも良いが、図9では直交となるよう例示した。このような光学的構成において、斜め方向からの光漏れをカラーフィルタ16,光学補償部材17および18により低減する方法を考える。
図10にポアンカレ球を用いて偏光状態変化を示す。図10.1において、方位角φ=45°、視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、偏光層11Bの透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、光学補償部材17により偏光状態517に変換417される。次に、光学補償部材18により偏光状態201Aに変換418される。液晶層15による偏光状態変換は201Aを中心とした回転変換415で表現される。よって、偏光状態が201Aである場合、偏光状態変換は生じない。このように550nmの光についてのみ考えた場合、液晶層の影響が排され、良好な黒表示が得られることとなる。
これに対し、図10.2に可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。光学補償部材17によって変換された光は光学補償部材17の波長分散特性により偏光状態617R,617G,617Bのように広がりを持つ。その後、光学補償部材18によって偏光状態617Gは光学補償部材18により偏光状態201Aに変換されるが、617R,617Bは光学補償部材18の波長分散特性により偏光状態618R,618Bに変換される。さらに、偏光状態618R,618Gは液晶層によって偏光状態615R,615Bに変換される。ここまでで理解できる通り、この状態では光学補償部材の波長分散特性により赤、青、緑各色で光漏れ量が異なり、斜めから見た場合、色付きが生じる。ここで、カラーフィルタ16のRthを各色で独立に制御すると、偏光状態615R,615Bは偏光状態616R,616Bに変換され、カラーフィルタ16のRthを考慮しない場合と比較して、斜め色付きを抑えることが可能となる。
図10.2では光学補償部材17、18と液晶層15の関係で、カラーフィルタ16の青画素はRth(B)>0nmとなっている。これに対し、光学補償部材17、18の組合せを変更し、液晶層Reを小さくした場合を考える。図11.1において、方位角φ=45°、視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、図10.1同様に550nmの光についてのみ考えた場合、液晶層の影響が排され、良好な黒表示が得られることとなる。
これに対し、図11.2に可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。光学補償部材17によって変換された光は光学補償部材17の波長分散特性により偏光状態617R,617G,617Bのように広がりを持つ。その後、光学補償部材18によって偏光状態617Gは光学補償部材18により偏光状態201Aに変換されるが、617R,617Bは光学補償部材18の波長分散特性により偏光状態618R,618Bに変換される。さらに、偏光状態618R,618Gは液晶層によって偏光状態615R,615Bに変換される。ここで、カラーフィルタ16のRthを各色で独立に制御すると、偏光状態615R,615Bは偏光状態616R,616Bに変換される。この場合、カラーフィルタ16の青画素はRth(B)<0nmとなる。
ここで、図10.2及び図11.2で示すように、カラーフィルタの赤(R)画素領域の偏光状態615RはS3方向成分が正である。よって、赤色の光漏れを低減するには、赤画素のRth(R)が式(3)を満足する必要がある。
上記のように、偏光層11Bの吸収軸と、光学補償部材17および18の遅相軸が略垂直である場合であって、カラーフィルタに入射する550nm付近の光が偏光状態201Aに近くなるように光学補償部材17及び18等の光学定数が決定されている場合には、赤(R)画素領域の偏光状態615Rは、S3方向成分が正となる傾向にある。したがって、赤色の光漏れを低減するために、赤画素のRth(R)を0nmよりも大きくすることで赤色の光漏れを低減できる。
これに対し、カラーフィルタの青画素領域の偏光状態615Bは光学補償部材の組合せによってS3成分は正にも負にも変化するが、液晶層の偏光状態変化415が201Aを中心とした回転変換である為、その回転変換の半径は光学補償部材の組合せ、波長分散特性により、Rth(B)は、式(4)で示すような範囲となる。
ここで、Nz1は光学補償部材17におけるNz係数であり、Nz2は光学補償部材18におけるNz係数であり、Nz1≧1、かつ、Nz2≦0を満たす。
ここまでは斜め方向の黒輝度を低減し、その条件下で色付きの低減を図る方法を示してきた。これに対し、図12では斜め方向の色付きを大幅に低減することが可能な方法に関して説明する。図12.1を見てわかる通り、図10の場合と同様の構成を考える。
図10.2ではカラーフィルタの緑画素領域はRthが0nmに近いものとして図示していたが、ここで、赤、緑、青各色の光漏れが同程度になるようカラーフィルタの赤、緑、青画素領域のRthを正、もしくは負の値に調節する。つまり、図12.2に示すように偏光状態616R,616G,616Bと201Aとの距離が略同一(半径320の円上)となるようすれば、光漏れ量が均一になり、色付きを大幅に低減することが可能となる。
以上のように、光学補償部材、液晶層の波長分散特性に合せてカラーフィルタのRthを独立に制御することにより、これまで以上に斜め方向の黒輝度、色付き低減両立を図ることが可能となる。さらにカラーフィルタのRthを独立に制御することにより斜め方向の色付きを大幅に低減した構成が可能になる為、光学補償部材のみで位相補償を検討した場合と比較し、選択の幅を広げることが可能になる。
次に、図1左において、光学補償部材17および18の遅相軸が入射側偏光板吸収軸に平行な場合を考える。図1は偏光板支持基材11A、12Aおよび基板13、14を含むが、これらは偏光状態を考える場合無視できる。これらを省略し、各部材の基板平行面内の遅相軸方向を明示した光学的構成図を考えると、図13のようになる。
このような光学的構成において、斜め方向からの光漏れをカラーフィルタ16,光学補償部材17および18により低減する方法を考える。
図14にポアンカレ球を用いて偏光状態変化を示す。図14.1において、方位角φ=45°、視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、偏光層11Bの透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、光学補償部材17により偏光状態517に変換417される。次に、光学補償部材18により偏光状態201Aに変換418される。液晶層15による偏光状態変換は201Aを中心とした回転変換415で表現される。よって、偏光状態が201Aである場合、偏光状態変換は生じない。このように550nmの光についてのみ考えた場合、液晶層の影響が排され、良好な黒表示が得られることとなる。
これに対し、図14.2に可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。光学補償部材17によって変換された光は光学補償部材17の波長分散特性により偏光状態617R,617G,617Bのように広がりを持つ。その後、光学補償部材18によって偏光状態617Gは光学補償部材18により偏光状態201Aに変換されるが、617R,617Bは光学補償部材18の波長分散特性により偏光状態618R,618Bに変換される。さらに、偏光状態618R,618Gは液晶層によって偏光状態615R,615Bに変換される。ここまでで理解できる通り、この状態では光学補償部材の波長分散特性により赤、緑、青各色で光漏れ量が異なり、斜めから見た場合、色付きが生じる。ここで、カラーフィルタ16のRthを各色で独立に制御すると、偏光状態615R,615Bは偏光状態616R,616Bに変換され、カラーフィルタ16のRthを考慮しない場合と比較して、斜め色付きを抑えることが可能となる。
図14からわかる通り、光学補償部材の遅相軸が入射側偏光板吸収軸に垂直な場合は、平行な場合とで偏光状態変化は大きく異なり、S3方向で考えれば、正負が逆転している。よって、カラーフィルタの赤画素領域の偏光状態615RはS3方向成分が負である為、赤色の光漏れを低減するには、赤画素のRth(R)が式(5)を満足する必要がある。
このように光学補償部材の遅相軸が入射側偏光板吸収軸に平行な場合でも、光漏れ低減の原理は垂直な場合と同様である。よって、図12で説明した通り、平行な場合でも、偏光状態616R,616G,616Bと201Aとの距離が略同一となるようすれば、光漏れ量が均一になり、色付きを大幅に低減することが可能となる。
次に、図1右のo−modeについて考える。o−modeでは、液晶層15の光学軸が偏光層11Bの吸収軸に略平行となっている。この場合、光学補償部材17,18は液晶層15と偏光層12Bの間に挟持され、支持基材としての役割も兼ねる。
図15にその光学的構成を示す。ここでは、光学補償部材17および18の遅相軸が入射側偏光板吸収軸に平行な場合を考える。この場合の偏光状態変化をポアンカレ球により図16に示す。図16.1で示された通り、o−modeにおいては偏光層11Bの透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなる。液晶層15による偏光状態変換は200Tを中心とした回転変換415で表現される。よって、偏光状態が200Tである場合、つまり、偏光層11Bの吸収軸11BAと液晶層の遅相軸15Sが略平行である場合、偏光状態変換は生じない。次に、光学補償部材17により偏光状態517に変換417される。更に、光学補償部材18により偏光状態201Aに変換418される。このように550nmの光についてのみ考えた場合、液晶層の影響が排され、良好な黒表示が得られることとなる。
これに対し、図16.2に可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。e−modeで説明した通り、光学補償部材17,18には波長分散特性がある。よって、これを補償するようカラーフィルタのRthを独立に制御する。まず、このカラーフィルタ16により、偏光状態616R,616G,616Bのように偏光状態変換される。その後、光学補償部材17により偏光状態617R,617G,617Bへ、光学補償部材18により偏光状態618R,618G,618Bと偏光状態変換される。これにより光学補償部材の波長分散特性を補償することが可能となり、カラーフィルタ16のRthを考慮しない場合と比較して、斜め色付きを抑えることが可能となる。
この場合、赤色の光漏れを低減するには、赤画素のRth(R)が式(6)を満足する必要がある。
次に、図1右において、光学補償部材17および18の遅相軸が入射側偏光板吸収軸に直交な場合を考える。図1は偏光板支持基材11A、12Aおよび基板13、14を含むが、これらは偏光状態を考える場合無視できる。これらを省略し、各部材の基板平行面内の遅相軸方向を明示した光学的構成図を考えると、図17のようになる。
図18にポアンカレ球を用いて偏光状態変化を示す。図18.1で示された通り、o−modeにおいては偏光層11Bの透過軸11BTを透過した光の偏光状態は200Tとなる。液晶層15による偏光状態変換は200Tを中心とした回転変換415で表現される。よって、偏光状態が200Tである場合、つまり、偏光層11Bの吸収軸11BAと液晶層の光学軸15Sが略平行である場合、偏光状態変換は生じない。次に、光学補償部材17により偏光状態517に変換417される。更に、光学補償部材18により偏光状態201Aに変換418される。このように550nmの光についてのみ考えた場合、液晶層の影響が排され、良好な黒表示が得られることとなる。
これに対し、図18.2に可視光領域(B:450nm,G:550nm,R:620nm)に関する偏光状態変化を示す。ここでは、一般的な3原色カラーフィルタに関する偏光状態変化を考える為、上記のような可視光波長を選択した。e−modeで説明した通り、光学補償部材17,18には波長分散特性がある。よって、これを補償するようカラーフィルタのRthを独立に制御する。まず、このカラーフィルタ16により、偏光状態616R,616G,616Bのように偏光状態変換される。その後、光学補償部材17により偏光状態617R,617G,617Bへ、光学補償部材18により偏光状態618R,618G,618Bと偏光状態変換される。これにより光学補償部材の波長分散特性を補償することが可能となり、カラーフィルタ16のRthを考慮しない場合と比較して、斜め色付きを抑えることが可能となる。
この場合、赤色の光漏れを低減するには、赤画素のRth(R)が式(7)を満足する必要がある。
これまでe−mode、o−modeの2種類、その中でさらに光学補償部材17、18の遅相軸方向を直交、平行とした場合2種類の全4種類は、略同一の視角性能を有すると考えられてきた。しかし、偏光状態変換はそれぞれ異なっており、液晶層、光学補償部材の波長分散特性による赤、緑、青色光の偏光状態もまた大きく異なっている。つまり、CFのRthによって波長分散特性を補償するには、それぞれの場合において、上記のように条件を変更する必要がある。これにより、斜め視野における液晶層や光学補償部材の影響を低減し、斜め方向の黒輝度および色付きの低減を両立できる。なお、Rth(B)については、偏光層11Bの吸収軸と、光学補償部材17および18の遅相軸が略平行である場合も略垂直である場合と同様に、Nz1≦0、かつ、Nz2≧1を満たして、式(4)の範囲とすることで、青色の漏れ光を低減することができる。
以上述べた考え方の詳細な例は、以下実施例に示す。
以下に具体的な実施例を示して、本発明の内容をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例においては、[非特許文献3]に開示されている4×4マトリクス法を用いた光学シミュレーションを用いて数値計算し検討した結果も含まれる。ここで、シミュレーションにおいては、一般的構成を想定し、通常のバックライトに使用されている3波長冷陰極管の分光特性、赤、緑、青の3原色カラーフィルタの分光透過特性、偏光板偏光層としては、日東電工製1224DUの分光特性を使用した。さらに、液晶層に含まれる液晶分子としては、異常光屈折率1.573、常光屈折率1.484のネマティック液晶を想定し、液晶層の厚みは3.7μmとした。また、光学補償部材の波長分散はポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ノルボルネン系材料等、あるいは液晶性高分子材料のものを用いたがこれらに限定されるものではない。
また、上述の実施形態においてはカラーフィルタが一軸性を有して、そのRthを調整することで斜め方向の黒輝度および色付きの低減の両立を実現しているが、Rthを調整する材料としては、メラミン樹脂、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物等が知られているがこれらに限定されるものではない。
また上記の実施形態においては、第一基板と第二基板間に光学補償部材を配置することも想定しているが、このような技術は例えば、[特許文献9]特開平2005−3733号公報等において開示されている。我々の検討によると、このような技術の課題の一つは表面の平坦性にある。第一基板と第二基板間に光学補償部材を配置した場合、光学補償部材の表面に凹凸があると、これが液晶層厚みのばらつきとなり、面内表示むらやコントラスト低下を招く。しかし、我々の検討によると、[特許文献3]特開2001−056476号公報で提案されているようなフリンジフィールド電界を用いたIPSモードでは、液晶層厚みばらつきに対して、面内表示むらやコントラスト低下が生じにくいため、第一基板と第二基板間に光学補償部材を配置する技術と容易に組み合わせることが可能である。
更に、光学補償部材および偏光層が、基板上に材料が塗布され、配向処理が行われることにより形成されてもよい。ただしこの場合、実施例中で示した構成は変化する場合がある。具体的には、偏光層は基板の液晶層側に配置される場合が考えられる。また、実施例中では図1を構造例として示しているが、図2等のような構造でも問題は無い。本発明は、光学的構成に重きを置くものであり、本発明で示した光学的構成が実現されれば、本発明の効果は達成可能である。このため実施例中では、適宜光学的構成を示している。
液晶セルや電極構造、基板、偏光板の偏光層、及び照明装置はIPSとして従来から用いられるものがそのまま適用できる。本発明は、光学部材の仕様、構成に関するものである。
液晶層に対して電圧無印加時における液晶層光学軸の基板に対する小さい方の角度(プレチルト角)は、実施例において示すシミュレーションでは0°としたが、±3°の範囲では本実施例で示した傾向に大きな差は生じなかった。ただし、プレチルト角0°の場合が最も良好な特性を示した。
ここで用いられる用語の説明を行う。・略垂直:小さい方のなす角が88°〜90°・略平行:小さい方のなす角が0°〜2°・略水平:小さい方のなす角が0°〜3°・e−mode:第一の偏光板11の吸収軸11BAと電圧無印加時の液晶分子の配向軸15Sの方向が略垂直の場合。・o−mode:第一の偏光板11の吸収軸11BAと電圧無印加時の液晶分子の配向軸15Sの方向が略水平(小さい方のなす角が0°〜2°)の場合。・nx:基板平行面内における遅相軸方向の屈折率・ny:基板平行面内における進相軸方向の屈折率・nz:厚さ方向の屈折率・d:光学補償部材の厚さ・Re:基板平行面内のリタデーション。Re=(nx−ny)d・Rth:厚さ方向のリタデーション。Rth=((nx+ny)/2−nz)d・Nz係数:Nz=(nx−nz)/(nx−ny)・複屈折性を有する:ReまたはRthの絶対値が約10nmより大きい場合。・略等方性を有する:ReおよびRthの絶対値が約10nm以下の場合。・ポジティブa−plate:nx>ny≒nz・ネガティブa−plate:nx≒nz>ny・ポジティブc−plate:nz>nx≒ny・ネガティブc−plate:nx≒ny>nz・Rth(R):カラーフィルタ赤(R)画素の、透過率最大値を示す波長RでのRth・Rth(G):カラーフィルタ赤(G)画素の、透過率最大値を示す波長GでのRth・Rth(B):カラーフィルタ赤(B)画素の、透過率最大値を示す波長BでのRth
また、本実施例ではこの一軸異方性光学補償部材を使用しているが、我々の検討では必ずしもポジティブa−plateや、ネガティブa−plate、ポジティブc−plate、ネガティブc−plateである必要はなく、これらのNz係数であるNzが、ポジティブa−plateは0.8<Nz<1.2、ネガティブa−plateは−0.2<Nz<0.2、ポジティブc−plateはNz<−5、ネガティブc−plateはNz>5と考えても問題はない。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図9に示す。本実施例では光学補償部材17としてのNz係数であるNz1が、Nz1=1(Nz≧1)、光学補償部材18としてのNz係数であるNz2が、Nz2=−1(Nz≦0)の光学補償部材を使用する。ここで使用するNz≧1、Nz≦0の光学補償部材は0<Nz<1と比較して容易に作製できる為、材料選択時にも選択肢が非常に広い。よって、この範囲の光学補償部材を使用することで、様々な材料を使用することが可能である。
ここで、評価指標を定める必要がある。本発明は、黒表示時の視野角を変化させたときの輝度変化や色度変化の低減が目的である為、それぞれの評価指標を導入する。
輝度変化の指標としては、視野角を変化させたときの透過率最大値を導入する。ここで透過率とは、入射光波長400〜700nmにおいて視感度を考慮して求めたものである。図19によりこれを説明する。同図は、光学補償部材の仕様が異なる三種類の液晶表示装置において、黒表示時の透過率視野角特性を評価したもので、方位角を固定して、極角のみを変化させた場合である。同図により、仕様3が最も輝度変化の特性が良好となる。ここで、それぞれの仕様における透過率最大値を比較しても同様の結果が得られることが分かる。451T1,451T2,451T3はそれぞれ仕様1,2,3の透過率最大値である。このように、透過率最大値が小さいならば、視野角変化に伴う輝度変化も小さいと言える。図7のような光学補償部材を配置しない構成をとった場合、黒表示時の最大透過率はおよそ1.2%程度であった。
次に、色度変化の指標としてはΔu´v´を導入する。図20に説明図を示す。図20は図7の構成において、黒表示時の色をu´v´色度図にプロットしたものであり、全方位角,全極角方向から見た全ての色度座標をプロットしている。結果として、同図に示す楕円領域が得られる。視野角変化に伴う色度変化を低減することは、同図における楕円領域を小さくすることに相当する。そこで、この楕円長軸の長さを評価指標とする。これがΔu´v´である。図7のような光学補償部材を配置しない構成をとった場合、黒表示時のΔu´v´はおよそ0.13程度であった。
これに対し、光学補償部材17としてNz1=1、光学補償部材18としてNz2=−1の光学補償部材を使用し、カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合の最大透過率を図21に、Δu´v´を図22に示す。このように、最大透過率とΔu´v´はトレードオフの関係にあり、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが130nm、光学補償部材18のReが30nmのときで、最大透過率が0.29%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが115nm、光学補償部材18のReが45nmのときで、Δu´v´は0.18となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたときの最大透過率を図23に、Δu´v´を図24に示す。1例として、Rth(R)を5nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.29%以下となる領域を図25に示す。Rth(R)が15,25,35,45nmの場合に関しても、図26,27,28,29に示す。この中でRth(R)=5nm,Rth(G)=−20nm,Rth(B)=0nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.13%と最も性能良好であった。これらの図において示されるように、Rth(R)が、0nmよりも大きく50nmよりも小さい範囲において、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.29%以下となるような条件が存在する。また、Rth(R)は、好適には、5nm以上35nm以下である。また、上記のようなNz係数の範囲において、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)を適宜調整する場合にも、Rth(R)が0nmよりも大きく50nmよりも小さい範囲において、最大透過率やΔu´v´を低減できる。なお、上記のようなNz係数の範囲以外となる場合においても、同様にRth(R)を0nmよりも大きく50nmよりも小さくすることでの範囲で、最大透過率やΔu´v´を低減でき、Rth(R)を5nm以上35nm以下とするのが好適である。このことは、図17のような光学的構成をとる場合においても同様である。なお、図13や図15のような光学的構成をとる場合においても、同様に、Rth(R)を、0nmよりも小さく−50nmよりも大きい範囲として、Rth(R)は、−5nm以下−35nm以上とするのが好適である。
次に、Rth(R)=5nm,Rth(G)=−20nm,Rth(B)=0nmに固定し、光学補償部材のReを変化させたとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.29%以下となる領域を図30に示す。このように、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、これまで使用できなかった広範囲の光学補償部材を使用できるようになる。
本実施例の概略構造を図1左に、e−modeの光学的構成の概略を図9に示す。ここで、本実施例では光学補償部材としてNz=0.5(0.4<Nz<0.6)の1つの光学補償部材を使用するため、図1左および図9においては光学補償部材17と18とが表示されているが、本実施例では1つの光学補償部材である。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材のReが250nmのときで、最大透過率が0.10%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材のReが260nmのとき、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.09%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.10%以下となる領域を図31に示す。1例として、Rth(R)を10nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=10nm,Rth(G)=0nm,Rth(B)=15nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.08%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、0nm<Rth(B)≦30nmとすることでΔu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図9に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=0.7(0.5<Nz1<1)、光学補償部材18としてNz2=−6(Nz2<0.5)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが185nm、光学補償部材18のReが5nmのときで、最大透過率が0.17%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが170nm、光学補償部材18のReが8nmのときで、Δu´v´は0.16、最大透過率は0.07%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.17%以下となる領域を図32に示す。1例として、Rth(R)を10nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=10nm,Rth(G)=−10nm,Rth(B)=5nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.08%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦30nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図9に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=6(Nz1>0.5)、光学補償部材18としてNz2=0.3(0<Nz2<0.5)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが9nm、光学補償部材18のReが155nmのときで、最大透過率が0.11%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが9nm、光学補償部材18のReが160nmのときで、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.11%以下となる領域を図33に示す。1例として、Rth(R)を10nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=10nm,Rth(G)=0nm,Rth(B)=10nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.09%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、0nm<Rth(B)≦25nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1右に、o−modeの光学的構成を図17に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=1(Nz1>0.5)、光学補償部材18としてNz2=−1(Nz2<0.5)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが95nm、光学補償部材18のReが50nmのときで、最大透過率が0.23%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが110nm、光学補償部材18のReが40nmのときで、Δu´v´は0.14、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.10%以下となる領域を図34に示す。1例として、Rth(R)を10nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=10nm,Rth(G)=−5nm,Rth(B)=0nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.09%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦30nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の概略構造を図1右に、o−modeの光学的構成の概略を図17に示す。本実施例では光学補償部材としてNz=0.5(0.4<Nz<0.6)の1つの光学補償部材を使用するため、図1右および図17においては光学補償部材17と18とが表示されているが、本実施例では1つの光学補償部材である。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材のReが245nmのときで、最大透過率が0.12%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材のReが260nmのとき、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.10%以下となる領域を図35に示す。1例として、Rth(R)を10nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=10nm,Rth(G)=−5nm,Rth(B)=−30nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.07%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、−50nm≦Rth(B)≦0nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図13に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=−1(Nz1≦0)、光学補償部材18としてNz2=1(Nz2≧1)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが30nm、光学補償部材18のReが120nmのときで、最大透過率が0.30%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが45nm、光学補償部材18のReが110nmのときで、Δu´v´は0.18、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.30%以下となる領域を図36に示す。1例として、Rth(R)を−40nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−40nm,Rth(G)=20nm,Rth(B)=−5nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.15%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦40nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
なお、図1左の構造、図9のe−modeの光学的構成をとる場合には、光学補償部材17としてNz1≧1、光学補償部材18としてNz2≦0の光学補償部材を使用する。このような範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦40nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の概略構造を図1左に、e−modeの光学的構成の概略を図13に示す。本実施例では光学補償部材としてNz=0.5(0.4<Nz<0.6)の1つの光学補償部材を使用するため、図1左および図13においては光学補償部材17と18とが表示されているが、本実施例では1つの光学補償部材である。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材のReが245nmのときで、最大透過率が0.12%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材のReが260nmのとき、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.12%以下となる領域を図37に示す。1例として、Rth(R)を−25nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−25nm,Rth(G)=15nm,Rth(B)=−5nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.11%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、−30nm≦Rth(B)≦0nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図13に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=0.3(0<Nz1<0.5)、光学補償部材18としてNz2=6(Nz2>0.5)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが190nm、光学補償部材18のReが5nmのときで、最大透過率が0.20%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが165nm、光学補償部材18のReが9nmのときで、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.07%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.20%以下となる領域を図38に示す。1例として、Rth(R)を−30nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−30nm,Rth(G)=10nm,Rth(B)=0nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.08%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦30nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1左に、e−modeの光学的構成を図13に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=−6(Nz1<0.5)、光学補償部材18としてNz2=0.7(0.5<Nz2<1)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが8nm、光学補償部材18のReが150nmのときで、最大透過率が0.13%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが8nm、光学補償部材18のReが160nmのときで、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.13%以下となる領域を図39に示す。1例として、Rth(R)を−25nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−25nm,Rth(G)=15nm,Rth(B)=−5nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.12%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、−25nm≦Rth(B)≦0nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の構造を図1右に、o−modeの光学的構成を図15に示す。本実施例では光学補償部材17としてNz1=−1(Nz1<0.5)、光学補償部材18としてNz2=1(Nz2>0.5)の光学補償部材を使用する。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材17のReが35nm、光学補償部材18のReが120nmのときで、最大透過率が0.22%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材17のReが45nm、光学補償部材18のReが110nmのときで、Δu´v´は0.17、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.22%以下となる領域を図40に示す。1例として、Rth(R)を−15nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−15nm,Rth(G)=20nm,Rth(B)=10nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.13%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、|Rth(B)|≦30nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
本実施例の概略構造を図1右に、o−modeの光学的構成の概略を図15に示す。本実施例では光学補償部材としてNz=0.5(0.4<Nz<0.6)の1つの光学補償部材を使用するため、図1右および図15においては光学補償部材17と18とが表示されているが、本実施例では1つの光学補償部材である。カラーフィルタ層のRthを考慮しない(0nm)場合、Δu´v´が0.13以下となる中で最大透過率が最も小さくなる場合は、光学補償部材のReが250nmのときで、最大透過率が0.11%となる。これに対し、最大透過率を優先した場合、光学補償部材のReが260nmのとき、Δu´v´は0.15、最大透過率は0.10%となる。光学補償部材を上記数値に固定し、カラーフィルタ層のRthを変化させたとき、ここで、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.11%以下となる領域を図41に示す。1例として、Rth(R)を−15nmとした。図からもわかる通り、カラーフィルタ層のRthを変化させることで、最大透過率、Δu´v´の低減を両立することが可能となる。この中でRth(R)=−15nm,Rth(G)=5nm,Rth(B)=30nmのとき、Δu´v´が0.13以下、最大透過率が0.06%と最も性能良好であった。上記の範囲のNz係数となる光学補償部材を用いる場合に、他の値(光学補償部材17,18のRe値や液晶分子の光学定数など)が適宜調整される範囲においては、0nm≦Rth(B)≦50nmとすることで、Δu´v´や最大透過率を低減できる。
なお、上記の実施例2以降の各実施例においても、Rth(R)は実施例1で述べたような値をとる。したがって、赤画素と青画素の厚さ方向リタデーションが与えられて、赤画素と青画素の漏れ光が低減されつつ、青の漏れ光と赤の漏れ光のバランスがとられて色つきも低減されることとなる。上記の各実施形態における緑画素の厚さ方向リタデーションRth(G)は、上述したように550nmの光については液晶層の影響が排されるように光学補償部材等が設けられるため漏れ光は少なくなるが、赤や青との漏れ光とのバランスを考慮して|Rth(G)|≦30nmとするのが望ましい。特に、複数の光学補償部材を用いる場合には、Rth(R)とRth(B)とを調整するのみでは、色つきを低減するのが困難となるため、5nm≦|Rth(G)|≦40nmの範囲とするのが望ましい。