以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図11は、本発明に係るアクティブマトリクス基板及びそれを備えた液晶表示パネルの実施形態1を示している。具体的に、図1は、本実施形態の液晶表示パネル50の斜視図であり、図2は、図1中のII−II線に沿った液晶表示パネル50の断面図である。また、図3は、液晶表示パネル50を構成するアクティブマトリクス基板20aの平面図である。さらに、図4〜図9は、図3中の領域Ra〜Rfをそれぞれ拡大した平面図である。また、図10は、アクティブマトリクス基板20aを構成する単位回路4の等価回路図である。
液晶表示パネル50は、図1及び図2に示すように、互いに対向するように設けられたアクティブマトリクス基板20a及び対向基板30と、アクティブマトリクス基板20a及び対向基板30の間に表示媒体層として設けられた液晶層40と、アクティブマトリクス基板20a及び対向基板30を互いに接着すると共に、アクティブマトリクス基板20a及び対向基板30の間に液晶層40を封入するために枠状に設けられたシール材45とを備えている。
アクティブマトリクス基板20a、対向基板30及びそれらを備えた液晶表示パネル50では、図1に示すように、シール材45(図2参照)の内側に画像表示を行う表示領域Dが矩形状に規定され、表示領域Dの周囲に額縁領域Fが枠状に規定されている。また、アクティブマトリクス基板20aの額縁領域Fには、図1及び図3に示すように、表示領域Dの図中の下辺に沿うと共に、対向基板30から突出するように基板端側に端子領域Tが規定されている。さらに、アクティブマトリクス基板20aの端子領域Tの中央部には、図1及び図3に示すように、表示領域Dの図中の下辺に沿うように、駆動用ICを実装するための実装領域Mが規定されている。ここで、表示領域Dの対角寸法は、例えば、3.68型(9.33cm程度)である。
アクティブマトリクス基板20aは、図2及び図3に示すように、ガラス基板などの透明基板10と、表示領域Dにおいて、透明基板10上に下地膜11及びゲート絶縁膜13を介して図3中の横方向に互いに平行に延びるように設けられた複数(例えば、960本)のゲート信号線14cと、各ゲート信号線14cを覆うように設けられた無機絶縁膜からなる層間絶縁膜15と、表示領域Dにおいて、層間絶縁膜15上に各ゲート信号線14cと直交する方向(図3中の縦方向)に互いに平行に延びるように設けられた複数(例えば、1620本(=540×3))のソース信号線16aと、各ゲート信号線14c及び各ソース信号線16aの交差部分毎、すなわち、画像の最小単位である各副画素毎にそれぞれ設けられた複数のTFT(Thin Film Transistor、不図示)と、各TFTを覆うように設けられた有機絶縁膜からなる保護絶縁膜17と、表示領域Dにおいて、保護絶縁膜17上にマトリクス状に設けられ、各TFTにそれぞれ接続された複数の画素電極18aと、各画素電極18aを覆うように設けられた配向膜(不図示)とを備えている。ここで、副画素のサイズは、例えば、28.25μm×84.75μmである。
各副画素毎に設けられたTFTは、例えば、下地膜11上に島状に設けられた半導体層と、その半導体層を覆うように設けられたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上にその半導体層の一部と重なるように設けられたゲート電極と、そのゲート電極を覆うように設けられた層間絶縁膜15と、層間絶縁膜15上に設けられ、互いに離間するように配置されたソース電極及びドレイン電極とを備え、後述するスイッチ回路のTFT5と実質的に同じ構成になっている。ここで、上記ゲート電極は、ゲート信号線14cの各副画素毎の一部又は側方への突出部である。また、上記ソース電極は、ソース信号線16aの各副画素毎の一部又は側方への突出部である。さらに、上記ドレイン電極は、保護絶縁膜17に形成されたコンタクトホール(不図示)を介して画素電極18aに接続されている。
ゲート信号線14cは、図3に示すように、その両端がゲート制御回路1に接続されている。
ゲート制御回路1は、図3に示すように、表示領域Dの図中の左辺及び右辺に沿って、モノリシックに形成されている。また、ゲート制御回路1の近傍には、図3に示すように、レベルシフタ回路、バッファ回路、保護回路などの付属回路2がモノリシックに形成されている。ここで、このゲート信号線14cの両端から駆動させる構成により、画素アレイの高解像度化に伴って懸念されるクロストーク(シャドーイング)を抑制することができる。
ソース信号線16aは、図3及び図4に示すように、額縁領域Fで接続信号線16bとなり、接続信号線16bがソース制御回路3に接続されている。
ソース制御回路3は、図4に示すように、一列に配列された複数の単位回路4を備えている。ここで、単位回路4は、図4に示すように、隣り合う3本のソース信号線16a毎にモノリシックに形成され、それらの3本のソース信号線16aに接続信号線16bを介して接続されている。また、ソース制御回路3は、図3、図4及び図7に示すように、各単位回路4が表示領域Dの一辺(図3中の下辺)の一方端側(図3中の左側)から中央部(図3中の中心線C参照)に向けて表示領域Dに順にシフト量Va(例えば、0.75μm)ずつ近づくように配列された第1配列部3aと、各単位回路4が表示領域Dの一辺(図3中の下辺)の中央部(図3中の中心線C参照)から他方端側(図3中の右側)に向けて表示領域Dから順にシフト量Vb(例えば、0.75μm)ずつ離れるように配列された第2配列部3bとを備えている。これにより、中央部に配置する単位回路4は、両端部に配置する単位回路4よりも201.75μm(=0.75μm×(540/2−1))だけ表示領域D側に近づくことになる。また、シフト量Va及びシフト量Vbは、任意でよいが、接続信号線16b及び後述するビデオ信号線8の引き回しが中心線Cに対して左右対称になる方が効率的である。また、シフト量Va及びシフト量Vbは、単位回路4を構成する配線やTFTの大きさ(数μm〜数10μm)と比べて小さいので、単位回路4同士の配線を連結するために、既存の単位回路のレイアウトに対して大幅な修正を加える必要がない。
単位回路4は、図10に示すように、ビデオ信号線8からの表示用のソース信号をRGBの色要素毎に振り分けるためのスイッチ回路部4aと、スイッチ回路部4a及びビデオ信号線8の間に設けられた保護回路部4cと、スイッチ回路部4a及び保護回路部4cの間に設けられ、スイッチ回路部4aに検査用の信号を適宜入力するための検査回路部4bとを備えている。なお、本実施形態では、スイッチ回路部4a、検査回路部4b及び保護回路部4cを備えた単位回路4を例示したが、検査回路部4b及び保護回路部4cの少なくとも一方を省略してもよい。
スイッチ回路部4aは、赤色表示用のソース信号線16aR、緑色表示用のソース信号線16aG及び青色表示用のソース信号線16aBにそれぞれ接続された3つのTFT5(図2参照)を備えている。
TFT5は、図2に示すように、下地膜11上に島状に設けられた半導体層12aと、半導体層12aを覆うように設けられたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に半導体層12aの一部と重なるように設けられたゲート電極14aと、ゲート電極14aを覆うように設けられた層間絶縁膜15と、層間絶縁膜15上に設けられ、互いに離間するように配置されたソース電極(16b)及びドレイン電極16cとを備えている。
半導体層12aは、ゲート電極14aに重なるように設けられたチャネル領域(不図示)と、チャネル領域を挟んで互いに離間するように設けられたソース領域及びドレイン領域(不図示)とを備えている。なお、半導体層12aのチャネル領域とソース領域及びドレイン領域との間には、LDD(Lightly Doped Drain)領域が設けられていてもよい。
TFT5のソース電極(16b)は、図2に示すように、ゲート絶縁膜13及び層間絶縁膜15の積層膜に形成されたコンタクトホール15aを介して半導体層12aのソース領域に接続されていると共に、接続信号線16bの一部になっている。
TFT5のドレイン電極16cは、図2に示すように、ゲート絶縁膜13及び層間絶縁膜15の積層膜に形成されたコンタクトホール15bを介して半導体層12aのドレイン領域に接続されていると共に、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール15cを介してビデオ信号線8を構成する配線層14bに接続されている。ここで、TFT5のソース電極(16b)及びドレイン電極16cは、例えば、アルミニウムやクロムなどの低い電気抵抗を有する金属材料により形成されている。
ここで、図3に示すように、ソース制御回路3の表示領域Dの図中の下辺に沿う長さは、表示領域Dの図中の下辺の長さよりも短くなっている。具体的には、ソース信号線16aのピッチが28.25μmであるのに対して、ソース制御回路3を構成する単位回路4のピッチPa(図5参照)が28.25μmの3倍の84.75μmよりも短い82.50μmであるので、ソース制御回路3の表示領域Dの一辺(図3中の下辺)に沿う長さが44.6mm(=82.5μm×540)程度となり、表示領域Dの一辺(図3中の下辺)の長さが45.8mm程度(=28.25μm×1620)となる。なお、本実施形態において、ピッチは、例えば、図5に示すように、隣り合う各構造単位における中心線間の距離である。なお、ピッチは、基本的に隣り合う各構造単位における中心線間の距離であるが、隣り合う各構造単位において所定の位置(例えば、各構造単位の一方端)を設定して、その設定された所定の位置の間の距離であってもよい。そのため、複数の接続信号線16bは、その全体の輪郭形状がソース制御回路3側に向けて略扇状に絞られように設けられている。また、ソース制御回路3の近傍には、図3に示すように、レベルシフタ回路、バッファ回路、保護回路などの付属回路2がモノリシックに形成されている。
端子領域Tに沿う額縁領域Fには、図1及び図3に示すように、複数の単位回路4から表示領域Dの一辺(図中の下辺)に所定角度θa(0°<θa<90°、図5参照)で交差する方向にピッチPb(図5参照)で互いに平行に延びた後に、表示領域Dの一辺に直交する方向に屈曲し、その方向に互いに平行に延びて実装領域Mに到達するように複数のビデオ信号線8がそれぞれ設けられている。
ここで、図5に示すように、単位回路4のピッチをPaとし、所定角度θaで延びるビデオ信号線8のピッチをPbとすると、
sinθa=Pb/(Pa+Va/tanθa)…(式1)
という関係式が成立する。
なお、単位回路(4)がシフトしない場合(図11中のアクティブマトリクス基板120参照)には、
sinθb=Pb/Pa…(式2)
という関係式が成立する。
したがって、上記(式1)及び(式2)において、ピッチPa及びPbがそれぞれ同じであれば、単位回路4のシフト量Vaが存在することにより、所定角度θaをθbよりも小さくすることができる。
ビデオ信号線8は、図2、図5、図6、図8及び図9に示すように、例えば、タングステンやタンタルなどの高い耐食性を有する金属材料により形成された配線層14bを備えている。
また、実装領域Mにおいて、ビデオ信号線8(配線層14b)の端部には、図1、図2、図6及び図9に示すように、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール15dを介して、金属導電層16d及び透明導電層18bが順に積層されることにより、端子7が設けられている。
ビデオ信号線8は、図2に示すように、対向基板30から突出する領域まで層間絶縁膜15及び保護絶縁膜17の積層膜に覆われているので、ビデオ信号線8の腐食を抑制することができるだけでなく、対向基板30となる基板を分断する際に基板端面が接触しても、ビデオ信号線8の損傷を抑制することができる。なお、ビデオ信号線8の損傷を抑制するために、保護絶縁膜(17)は、アクティブマトリクス基板20aの全面に設けてもよいが、後工程において、剥がれて異物になることを避けるために、端子領域Tの不要な部分の保護絶縁膜(17)は、予め除去しておいた方がよい。また、この保護絶縁膜17を有機絶縁膜により形成する構成は、例えば、凹凸状の反射電極を有する画素電極を形成する場合、ピクセル・オン・パッシベーション構造を有する高開口率の画素設計の場合などに有効である。
なお、本実施形態では、複数のビデオ信号線8が中心線Cに対して対称に設けられた配線構造を例示したが、複数のビデオ信号線8は、中心線Cに対して非対称であってもよい。また、複数のビデオ信号線8の互いに平行に延びる配線構造については、単純に直線からなる平行線でなくてもよい。例えば、配線長を揃える目的で小さな蛇行を繰り返しながら実装領域Mに向かって互いに平行(並行)に延伸していく配線構造であってもよい。また、複数のビデオ信号線8は、位置調整を目的として、任意の短い区間でそれぞれ変形されたりしていてもよい。例えば、複数のビデオ信号線8は、図9に示すように、短い斜めの配線区間をそれぞれ有していても、巨視的にはそれぞれの延伸方向が同一方向であってもよい。すなわち、本明細書では、「平行線」と「平行に延びる」とは、異なる概念であり、「平行に延びる」は、「平行線」を含むより広い範囲の概念とする。
対向基板30は、例えば、ガラス基板などの透明基板(不図示)と、透明基板上に格子状に設けられたブラックマトリクス(不図示)と、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層などの複数の着色層(不図示)と、ブラックマトリクス及び各着色層を覆うように設けられた共通電極(不図示)と、共通電極上に柱状に設けられた複数のフォトスペーサ(不図示)と、共通電極及び各フォトスペーサを覆うように設けられた配向膜(不図示)とを備えている。
液晶層40は、例えば、電気光学特性を有するネマチックの液晶材料などにより構成されている。
上記構成の液晶表示パネル50では、各副画素において、ゲート制御回路1からのゲート信号がゲート信号線14cを介してゲート電極に送られて、TFTがオン状態になったときに、実装領域Mに実装された駆動用ICからのソース信号がビデオ信号線8、ソース制御回路3、接続信号線16b及びソース信号線16aを介してソース電極に送られて、半導体層及びドレイン電極を介して、画素電極18aに所定の電荷が書き込まれる。このとき、液晶表示パネル50では、アクティブマトリクス基板20aの各画素電極18aと対向基板30の共通電極との間に電位差が生じ、液晶層40に所定の電圧が印加される。そして、液晶表示パネル50では、各副画素において、液晶層40に印加する電圧の大きさによって液晶層40の配向状態を変えることにより、液晶層40の光透過率を調整して、表示領域Dで画像表示が行われる。
次に、本実施形態の液晶表示パネル50を製造する方法について説明する。ここで、本実施形態の液晶表示パネル50の製造方法は、アクティブマトリクス基板製造工程、対向基板製造工程及び液晶注入工程を備える。
<アクティブマトリクス基板製造工程>
まず、ガラス基板などの透明基板10上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜又はそれらの積層膜などを厚さ50nm程度で成膜して、下地膜11を形成する。
続いて、下地膜11が形成された基板全体に、例えば、CVD法により、真性アモルファスシリコン膜を厚さ50nm程度で成膜した後に、レーザー光の照射などのアニール処理により多結晶化してポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜に対して、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理及びレジストの剥離処理を行うことにより、半導体層12aなどを形成する。
その後、半導体層12aなどが形成された基板全体に、例えば、CVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜又はそれらの積層膜などを厚さ100nm程度で成膜して、ゲート絶縁膜13を形成する。
さらに、ゲート絶縁膜13が形成された基板全体に、例えば、スパッタリング法により、タングステン膜などの金属膜を厚さ300nm程度で成膜した後に、その金属膜に対して、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理及びレジストの剥離処理を行うことにより、ゲート信号線14c、ゲート電極14a及び配線層14bなどを形成する。
続いて、ゲート信号線14cなどが形成された基板上の半導体層12aなどに対して、ゲート電極14aをマスクとしてリンなどの不純物を注入することにより、半導体層12aなどにチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を形成する。
さらに、半導体層12aのチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域が形成された基板全体に、例えば、CVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜又はそれらの積層膜などの無機絶縁膜を厚さ700nm程度で成膜した後に、その無機絶縁膜及びその下層のゲート絶縁膜13に対して、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理及びレジストの剥離処理を行うことにより、コンタクトホール15a、15b、15c及び15dを有する層間絶縁膜15を形成する。
そして、層間絶縁膜15が形成された基板全体に、例えば、スパッタリング法により、アルミニウム膜などの金属膜を厚さ350nm程度で成膜した後に、その金属膜に対して、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理及びレジストの剥離処理を行うことにより、ソース信号線16a、接続信号線(ソース電極)16b、第1配線部(ドレイン電極)16c及び金属導電層16dなどを形成して、TFT5及びそれを備えたソース制御回路3を形成する。このとき、各副画素毎に配置するTFT、及びゲート制御回路1も同時に形成される。
さらに、ソース信号線16aなどが形成された基板全体に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、アクリル系の感光性樹脂膜を厚さ2μm程度で塗布した後に、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像及びポストベークを行うことにより、コンタクトホールを有する保護絶縁膜17を形成する。
そして、保護絶縁膜17が形成された基板全体に、例えば、スパッタリング法により、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜を厚さ100nm程度で成膜した後に、その透明導電膜に対して、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理及びレジストの剥離処理を行うことにより、画素電極18a及び透明導電層18bを形成する。
最後に、画素電極18aなどが形成された基板全体に、例えば、スピンコート法、スリットコート法又は印刷法により、ポリイミド系の樹脂膜を塗布した後に、その塗布膜に対して、焼成及びラビング処理を行うことにより、配向膜を形成する。
以上のようにして、本実施形態のアクティブマトリクス基板20aを製造することができる。
<対向基板製造工程>
まず、ガラス基板などの透明基板の基板全体に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、黒色に着色された感光性樹脂を塗布した後に、その塗布膜を露光及び現像することにより、ブラックマトリクスを厚さ1μm程度に形成する。
続いて、上記ブラックマトリクスが形成された基板全体に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、赤色、緑色又は青色に着色された感光性樹脂を塗布した後に、その塗布膜を露光及び現像することにより、選択した色の着色層(例えば、赤色層)を厚さ1μm〜3μm程度に形成する。そして、他の2色についても同様な工程を繰り返して、他の2色の着色層(例えば、緑色層及び青色層)を厚さ1μm〜3μm程度に形成する。
さらに、上記各着色層が形成された基板全体に、例えば、スパッタリング法により、ITO膜などの透明導電膜をマスクを用いて厚さ100nm程度で成膜することにより、共通電極を形成する。
そして、上記共通電極が形成された基板全体に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、アクリル系の感光性樹脂膜を厚さ4μm程度で塗布した後に、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像及びポストベークを行うことにより、フォトスペーサを形成する。
最後に、上記フォトスペーサが形成された基板全体に、例えば、スピンコート法、スリットコート法又は印刷法により、ポリイミド系の樹脂膜を塗布した後に、その塗布膜に対して、焼成及びラビング処理を行うことにより、配向膜を形成する。
以上のようにして、本実施形態の対向基板30を製造することができる。
<液晶注入工程>
まず、例えば、上記対向基板製造工程で製造された対向基板30の表面に、UV(ultraviolet)硬化及び熱硬化の併用型樹脂などからなるシール材45を枠状に印刷した後に、シール材45の内側に液晶材料(40)を滴下する。
続いて、液晶材料(40)が滴下された対向基板30と、上記アクティブマトリクス基板製造工程で製造されたアクティブマトリクス基板20aとを、減圧下で貼り合わせた後に、その貼り合わせた貼合体を大気圧に開放することにより、その貼合体の表面及び裏面を加圧する。
さらに、上記貼合体に挟持されたシール材45にUV光を照射した後に、その貼合体を加熱することによりシール材45を硬化させる。
最後に、シール材45を硬化させた貼合体を、例えば、ダイシングにより分断することにより、その不要な部分を除去する。
以上のようにして、本実施形態の液晶表示パネル50を製造することができる。
次に、本実施形態の実施例におけるビデオ信号線8の終点の位置と、比較例におけるビデオ信号線108の終点の位置との差異について説明する。ここで、図11は、アクティブマトリクス基板20aによる効果を示す説明図である。なお、図11では、アクティブマトリクス基板20a及び120において、ビデオ信号線8及び108の始点の位置が互いに一致している。
実施例のアクティブマトリクス基板20aでは、ピッチPaを82.5μmとし、ピッチPbを8μmとすると、上記(式1)により、θaが5.1°となった。
比較例のアクティブマトリクス基板120では、ピッチPaを82.5μmとし、ピッチPbを8μmとすると、上記(式2)により、θbが5.6°となった。
ここで、図11に示すように、アクティブマトリクス基板20a及び120において、表示領域Dとソース制御回路3及び103との間の距離Laを290μmと共通にし、同一の駆動用ICが実装されることを想定し、ビデオ信号線8及び108の図中の横方向に絞る距離Lbを13300μmと共通にすると、ビデオ信号線8及び108の終点の位置の差異Lxは、約120μmとなるので、実施例のアクティブマトリクス基板20aでは、ソース制御回路3を構成する各単位回路の配列を単なる横並びでなく徐々に表示領域D側にシフトさせることにより、ビデオ信号線8の終点の位置を比較例のアクティブマトリクス基板120よりも120μm程度、表示領域D側に近づくことが確認された。
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板20a及びそれを備えた液晶表示パネル50によれば、画像表示を行う矩形状の表示領域Dと、駆動用ICが実装される実装領域Mとの間の額縁領域Fに設けられたソース制御回路3を構成する複数の単位回路4の全てが各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順に表示領域D側にシフト量Vaでずれて配列されているので、各ビデオ信号線8の表示領域Dの一辺に交差する所定角度θaが、ソース制御回路を構成する各単位回路が表示領域Dの一辺に対して平行に配列された場合よりも小さくなる。これにより、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20aにおいて、端子領域Tが配置する額縁領域Fに設けられた各ビデオ信号線8の実装領域Mにおける端部、すなわち、端子7の位置が表示領域D側に寄り、表示領域Dと実装領域Mとの間隔が狭くなるので、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を狭くすることができる。したがって、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20a及びそれを備えた液晶表示パネル50において、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を可及的に狭くすることができる。
《発明の実施形態2》
図12は、本実施形態のアクティブマトリクス基板20bの平面図である。なお、以下の各実施形態において、図1〜図11と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記実施形態1では、第1配列部3a及び第2配列部3bからなるソース制御回路3を備えたアクティブマトリクス基板20aを例示したが、本実施形態では、第1配列部3a、第2配列部3b及び第3配列部3cからなるソース制御回路3を備えたアクティブマトリクス基板20bを例示する。
アクティブマトリクス基板20bでは、図12に示すように、ソース制御回路3を構成する第1配列部3a及び第2配列部3bの間に第3配列部3cを備え、それに伴ってビデオ信号線8の形状が異なっているだけで、その他の構成が上記実施形態1のアクティブマトリクス基板20aと実質的に同じになっている。
ソース制御回路3を構成する第3配列部3cでは、図12に示すように、各単位回路4(不図示)が表示領域Dの下辺と平行に配列されている。
図12に示すように、複数(例えば、540本)のビデオ信号線8のうち、第1配列部3aの各単位回路4に接続された複数(例えば、245本)のビデオ信号線8は、図中の右斜め下方向に互いに平行に延びた後に、図中の下方向に互いに平行に延びて実装領域Mに到達するように設けられ、第3配列部3cの左側の各単位回路4に接続された複数(例えば、25本)のビデオ信号線8は、図中の左斜め下方向に互いに平行に延びた後に、図中の下方向に互いに平行に延びて実装領域Mに到達するように設けられ、第3配列部3cの右側の各単位回路4に接続された複数(例えば、25本)のビデオ信号線8は、図中の右斜め下方向に互いに平行に延びた後に、図中の下方向に互いに平行に延びて実装領域Mに到達するように設けられ、第2配列部3bの各単位回路4に接続された複数(例えば、245本)のビデオ信号線8は、図中の左斜め下方向に互いに平行に延びた後に、図中の下方向に互いに平行に延びて実装領域Mに到達するように設けられている。
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板20bによれば、画像表示を行う矩形状の表示領域Dと、駆動用ICが実装される実装領域Mとの間の額縁領域Fに設けられたソース制御回路3の第1配列部3a及び第2配列部3bを構成する複数の単位回路4が各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順に表示領域D側にシフト量Vaでずれて配列されているので、各ビデオ信号線8の表示領域Dの一辺に交差する所定角度θaが、ソース制御回路を構成する各単位回路が表示領域Dの一辺に対して平行に配列された場合よりも小さくなる。これにより、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20bにおいて、端子領域Tが配置する額縁領域Fに設けられた各ビデオ信号線8の実装領域Mにおける端部、すなわち、端子7の位置が表示領域D側に寄り、表示領域Dと実装領域Mとの間隔が狭くなるので、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を狭くすることができる。したがって、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20bにおいて、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を可及的に狭くすることができる。
《発明の実施形態3》
図13は、本実施形態のアクティブマトリクス基板20cの平面図である。
上記実施形態1及び2では、複数の接続信号線16bがその全体の輪郭形状が絞られるように設けられたアクティブマトリクス基板20a及び20bをそれぞれ例示したが、本実施形態では、複数の接続信号線16bが互いに平行に延びるように設けられたアクティブマトリクス基板20cを例示する。
アクティブマトリクス基板20cでは、図13に示すように、複数のソース信号線16aにそれぞれ接続された複数の接続信号線16bが互いに平行に延び、それに伴ってソース制御回路3の第1配列部3a及び第2配列部3bが図中の横方向に延長され、ソース制御回路3に隣り合う付属回路2が省略されていると共に、ビデオ信号線8の形状が異なっているだけで、その他の構成が上記実施形態1のアクティブマトリクス基板20aと実質的に同じになっている。また、アクティブマトリクス基板20cでは、図13に示すように、表示領域Dのソース制御回路3との間の比較的空いている領域Rx及びRyに、表示用の種々の回路や配線、及び位置合わせ用のマークなどを設けてもよい。
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板20cによれば、上記実施形態1と同様に、ソース制御回路3を構成する複数の単位回路4の全てが各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順に表示領域D側にシフト量Vaでずれて配列されているので、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20cにおいて、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を可及的に狭くすることができる。
《発明の実施形態4》
図14は、本実施形態のアクティブマトリクス基板20dの平面図である。また、図15及び図16は、図14中の領域Rg及びRhをそれぞれ拡大した平面図である。
上記各実施形態では、配線層14bを備えたビデオ信号線8が設けられたアクティブマトリクス基板20a〜20cをそれぞれ例示したが、本実施形態では、第1配線部16e及び第2配線部14cを備えたビデオ信号線8が設けられたアクティブマトリクス基板20dを例示する。
アクティブマトリクス基板20dでは、図14に示すように、第1配列部3a及び第2配列部3bを構成する各単位回路4に接続されたビデオ信号線8が第1配線部16e及び第2配線部14cを備えているだけで、その他の構成が上記実施形態2のアクティブマトリクス基板20bと実質的に同じになっている。また、アクティブマトリクス基板20dでは、例えば、ゲート信号線14cの本数が1280本であり、ソース信号線16aの本数が2160本(=720×3)であり、副画素のサイズは、例えば、28.6μm×85.8μmであり、表示領域Dの対角寸法は、例えば、4.96型(12.60cm程度)である。
第1配列部3aの図14中の左側、及び第2配列部3bの図14中の右側の各単位回路4に接続されたビデオ信号線8は、図14、図15及び図16に示すように、表示領域Dの図14中の下辺に所定角度θa(図5参照)で交差する方向にピッチPb(図5参照)で互いに平行に延びた後に、表示領域Dの図14中の下辺に直交する方向に屈曲する第1配線部16eと、第1配線部16eに層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール(不図示)からなる第1配線切替部6aを介して接続された第2配線部14cとを備えている。ここで、互いに隣り合う複数の第1配線切替部6aは、図15に示すように、複数の単位回路4の配列ピッチPaと同じピッチ(例えば、83.25μm)で各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順にシフト量Vc(例えば、0.75μm)で表示領域D側にずれて配列されている。
また、第1配列部3aの図14中の右側、及び第2配列部3bの図14中の左側の各単位回路4に接続されたビデオ信号線8は、図14、図15及び図16に示すように、表示領域Dの図14中の下辺に所定角度θa(図5参照)で交差する方向にピッチPb(図5参照)で互いに平行に延びた後に、表示領域Dの図14中の下辺に直交する方向に屈曲する第1配線部16eと、第1配線部16eに層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール(不図示)からなる第2配線切替部6bを介して接続された第2配線部14cとを備えている。ここで、互いに隣り合う複数の第2配線切替部6bは、図16に示すように、複数の単位回路4の配列ピッチPaよりも狭いピッチ(例えば、45μm)で表示領域Dの一辺(図14中の下辺)と平行に配列されている。
第1配線部16eは、例えば、アルミニウムやクロムなどの低い電気抵抗を有する金属材料により形成され、TFT5のドレイン電極16cの延長部分である。
第2配線部14cは、TFT5のゲート電極14aと同一材料(例えば、タングステンやタンタルなどの高い耐食性を有する金属材料)で同一層に形成されている。また、第2配線部14cの端部には、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール(15d、図2参照)を介して、金属導電層(16d、図2参照)及び透明導電層(18b、図2参照)が順に積層されることにより、端子(7、図2参照)が設けられている。
複数の第1配線切替部6a及び複数の第2配線切替部6bは、図14、図15及び図16に示すように、シール材45の図14中の下辺にそれぞれ重なるように設けられている。
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板20dによれば、上記実施形態2と同様に、ソース制御回路3の第1配列部3a及び第2配列部3bを構成する複数の単位回路4が各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順に表示領域D側にシフト量Vaでずれて配列されているので、3辺フリー構造を有するアクティブマトリクス基板20dにおいて、端子領域Tに沿う額縁領域Fの幅を可及的に狭くすることができる。
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板20dによれば、各々、ビデオ信号線8の第1配線部16c及び第2配線部14bを互いに接続するための複数の第1配線切替部6aが、複数の単位回路4の配列ピッチPaと同じピッチで各ビデオ信号線8の所定角度θaで延びる方向に沿う順に表示領域D側にずれて配列されているので、第1配線切替部6aにおける形状を除いて、第1配線部16eと第2配線部14cとがほぼ一直線の配線となるように接続されることにより、狭額縁化に適したビデオ信号線8の直線状の引き回しを実現することができる。
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板20dによれば、複数の第1配線切替部6a及び複数の第2配線切替部6bがアクティブマトリクス基板20d及び対向基板30の間のシール材45の一辺に重なるように設けられているので、各ビデオ信号線8の第1配線部16eを外部環境から保護することができ、アルミニウムやクロムなどの低い電気抵抗で腐食し易い金属材料を用いて第1配線部16eを形成しても、第1配線部16eの腐食を抑制することができる。
なお、上記各実施形態では、表示領域Dの中心線Cに対して左右対称の配線構造を有するアクティブマトリクス基板を例示したが、本発明は、表示領域Dの中心線Cに対して左右非対称の配線構造を有するアクティブマトリクス基板にも適用することができる。
また、上記各実施形態では、表示パネルとして、液晶表示パネルを例示したが、本発明は、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル、無機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、電子ペーパーなどの他の表示パネルにも適用することができ、また、パネルの小型化が要望されるモバイル用途の表示パネルだけでなく、テレビジョンや電子看板などのモニター用途の大型の表示パネルなどにも適用することができる。
また、上記各実施形態では、各画素が3つの副画素(赤、緑及び青)を有する液晶表示パネルを例示したが、本発明は、各画素が4つ以上の副画素(例えば、赤、緑、青及び黄や赤、緑、青及び白など)を有する表示パネルにも適用することができる。
また、上記各実施形態では、画素電極に接続されたTFTの電極をドレイン電極としたアクティブマトリクス基板を例示したが、本発明は、画素電極に接続されたTFTの電極をソース電極と呼ぶアクティブマトリクス基板にも適用することができる。