JP5699096B2 - 感光性組成物、パターンおよびパターンを有する表示装置 - Google Patents

Description

本発明は、表示装置に用いる光散乱機能を有するパターンを形成するための感光性組成物、パターンおよびパターンを有する表示装置に関するものである。

従来、自発光型ではなく白色光のバックライトを使用するフルカラーの表示装置は、当該バックライトと光シャッターとで主に構成されている。例えば、液晶表示装置は、バックライトとしてＬＥＤや冷陰極管等の光源と導光板と光学シートとを備えており、光シャッターとして液晶パネルを備えている。上記液晶パネルは、二枚の偏光板と一対の基板と当該基板間に封入された液晶層とからなり、上記一対の基板にはそれぞれ、ＴＦＴパターンと赤・緑・青（Ｒ・Ｇ・Ｂ）色のカラーフィルタ（ＣＦ）とが設けられている。ところが、光源から出射された白色光は、カラーフィルタで当該色以外の光が吸収されるため、１／３程度しか透過しない。つまり、上記構成では白色光の利用効率が低い。

それゆえ、光の利用効率を向上させるために、青色光のバックライトを使用し、液晶パネルと、青色光を吸収して赤色光を発光する赤色蛍光体と、青色光を吸収して緑色光を発光する緑色蛍光体とを備えた液晶表示装置が提案されている（特許文献１，２）。上記構成ではカラーフィルタで吸収される光が少なくなるので光の利用効率が向上する。さらに、蛍光体の側面に反射層を形成することにより、横方向（透明基板に平行な方向）に出射された光を反射させて透明基板から出射させ、光の利用効率を向上させた液晶表示装置も提案されている（特許文献５）。

ところが、上記各構成では、赤色蛍光体から出射される赤色光、および緑色蛍光体から出射される緑色光の配向特性がランバーシアン（光強度分布）を示すのに対して、青色光は蛍光体を透過させずに直進若しくは反射させて用いるため、青色光は配向特性がランバーシアンを示さない。つまり、青色光の配向特性は、赤色光および緑色光の配向特性と異なる。従って、上記液晶表示装置における正面方向に対する斜め方向の色度変化が大きくなることによって表示品位が低下する。

そこで、青色光を、光散乱機能を有する散乱層に透過させることにより、液晶表示装置における正面方向に対する斜め方向の色度変化を低減させ、これにより表示品位を向上させた液晶表示装置が提案されている（特許文献３，４）。

そして近年、上記散乱層を形成するための組成物が種々検討されており、例えば特許文献６には、カルボン酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物とオレフィン性含有不飽和化合物との共重合体、光散乱性物質、多官能モノマー、および光重合開始剤を含有する感放射線性組成物が提案されている。

特開２０００−１３１６８３（２０００年 ５月１２日公開） 特開２００３−５１８２ （２００３年 １月 ８日公開） 特開２００９−１１５９２５（２００９年 ５月２８日公開） 特開２００９−２４４３８３（２００９年１０月２２日公開） 特開２０１０−６６４３７ （２０１０年 ３月２５日公開） 特開２００１−３１６４０８（２００１年１１月１３日公開）

しかしながら、特許文献６に記載されている感放射線性組成物は、反射光を効率よく散乱し、正面輝度の高い面照明を実現することを目的としている（段落〔０００６〕等に記載）ため、表示装置における正面方向と斜め方向とで色度変化（色のシフト）が生じないようにすることについては特段の考慮がなされていない。つまり、特許文献６に記載されている感放射線性組成物では、光源から出射された青色光を広角度に散乱させる光散乱機能について、特段の考慮がなされていない。

また、表示装置に用いられる、アクリルフィラー等を含んでなる従来の光散乱膜は、当該光散乱膜を透過した光の散乱角度の幅が１０〜３０度程度と狭い。このため、従来の光散乱膜は、青色光を広角度に散乱させることができないという問題点を有している。

表示装置における正面方向（発光面に対する法線方向）と斜め方向とで色度変化（色のシフト）が生じないようにするためには、青色光の配向特性もランバーシアン（光強度分布）を示す必要がある。また、パターンを効率的に作成するには、拡散層を形成する組成物がフォトリソグラフィー特性を有している必要がある。即ち、感光性組成物を用いて形成されるパターン（散乱層）が、光源から出射された青色光を広角度に散乱させる光散乱機能を有する必要がある。それゆえ、表示品位を向上させるために、表示装置に用いるのに好適な、フォトリソグラフィー特性を有し、かつ、青色光を広角度に散乱させる光散乱特性を有する感光性組成物、つまり、上記光散乱機能に優れたパターンを形成するための感光性組成物が求められている。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、表示装置に用いる光散乱機能を有するパターンを形成するための感光性組成物を提供することにある。また、他の目的は、上記感光性組成物を用いて形成してなる光散乱機能を有するパターン、およびパターンを有する表示装置を提供することにある。

本発明に係る感光性組成物は、上記の課題を解決するために、表示装置に用いる光散乱機能を有するパターンを形成するための感光性組成物であって、ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤を含み、上記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量に占めるＴｉＯ_２フィラーの割合が、１０〜３５質量％の範囲内であることを特徴としている。

上記の構成によれば、ＴｉＯ_２フィラーが光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂に、即ち、ネガ型感光性樹脂に分散されるので、フォトリソグラフィー特性と光散乱特性とが両立された感光性組成物を得ることができる。即ち、表示装置に用いるのに好適な、フォトリソグラフィー特性を有し、かつ、ＴｉＯ_２フィラーによって青色光を入射角よりも広角度に散乱させる光散乱特性を有する感光性組成物を提供することができる。

また、本発明に係るパターンは、上記の課題を解決するために、上記感光性組成物を用いて形成してなっている。さらに、本発明に係る表示装置は、上記の課題を解決するために、上記パターンを有している。

上記の構成によれば、青色光の配向特性がランバーシアン（光強度分布）を示すので、正面方向と斜め方向とで色度変化（色のシフト）が生じない、表示品位が向上された表示装置を提供することができる。

本発明に係る感光性組成物によれば、表示装置に用いるのに好適な、フォトリソグラフィー特性を有し、かつ、ＴｉＯ_２フィラーによって青色光を入射角よりも広角度に散乱させる光散乱特性を有する感光性組成物を提供することができるという効果を奏する。また、本発明に係るパターン並びに本発明に係る表示装置によれば、青色光の配向特性がランバーシアン（光強度分布）を示すので、正面方向と斜め方向とで色度変化（色のシフト）が生じない、表示品位が向上された表示装置を提供することができるという効果を奏する。

本発明に係る表示装置の一例を示すものであり、概略の構成を示すブロック図である。 本発明に係る表示装置の他の一例を示すものであり、概略の構成を示すブロック図である。 上記表示装置の要部の一例を示すものであり、概略の構成を示す断面図である。 上記表示装置が備える色変換基板の一例を示すものであり、概略の構成を示す断面図である。 上記表示装置が備える色変換基板の他の一例を示すものであり、概略の構成を示す断面図である。 上記表示装置が備える色変換基板のさらに他の一例を示すものであり、概略の構成を示す断面図である。 本発明の実施例１におけるパターンが示す光強度分布を、表示装置における正面方向の光強度を「１」としたときの相対値で示したグラフである。 比較例１におけるパターンが示す光強度分布を、表示装置における正面方向の光強度を「１」としたときの相対値で示したグラフである。 上記表示装置の要部の一例を示すものであり、概略の構成を示す（ａ）は断面図であり、（ｂ）は視認側から見た平面図である。 上記表示装置の要部の他の一例を示すものであり、概略の構成を示す（ａ）は断面図であり、（ｂ）は視認側から見た平面図である。

本発明の一実施形態について、感光性組成物、パターン、表示装置の順に、以下に詳しく説明する。

〔感光性組成物〕
本発明に係る感光性組成物は、ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤を含み、上記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量に占めるＴｉＯ_２フィラーの割合が、１０〜３５質量％の範囲内である。以下、各構成について説明する。

＜ＴｉＯ_２フィラー＞
ＴｉＯ_２フィラーは、青色光を散乱させる光散乱機能を発揮することができる粒径や形状であればよく、従って当該粒径や形状は特に限定されないものの、具体的には、平均粒径は１００〜１，０００ｎｍの範囲内であることがより好ましく、１５０〜２５０ｎｍの範囲内であることがさらに好ましい。平均粒径が１００ｎｍ未満であると、光散乱機能を発揮し難くなる場合がある。平均粒径が１，０００ｎｍを超えると、青色光がパターンを透過し難くなる場合がある。

また、ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量に占めるＴｉＯ_２フィラーの割合は、１０〜３５質量％の範囲内であることが好ましく、２０〜３０質量％の範囲内であることがより好ましい。ＴｉＯ_２フィラーの割合が１０質量％未満であると、光散乱機能を発揮し難くなる。ＴｉＯ_２フィラーの割合が３５質量％を超えると、青色光がパターンを透過し難くなる。

＜光重合性（メタ）アクリルモノマー＞
光重合性（メタ）アクリルモノマーは、エチレン性不飽和基を含む官能基であるアクリロイル基（−ＣＨ＝ＣＨ−ＣＯ−）またはメタクリロイル基（−ＣＨ＝Ｃ（ＣＨ_３）−ＣＯ−）を分子内に有し、光重合可能な（メタ）アクリルモノマーであればよい。光重合性（メタ）アクリルモノマーは、アルカリ可溶性樹脂と共にネガ型感光性樹脂を構成する。

上記光重合性（メタ）アクリルモノマーは、具体的には、単官能の（メタ）アクリルモノマーおよび多官能の（メタ）アクリルモノマーから選ばれる少なくとも一種であればよい。つまり、上記光重合性（メタ）アクリルモノマーは、単官能の（メタ）アクリルモノマーからなっていてもよく、多官能の（メタ）アクリルモノマーからなっていてもよく、単官能の（メタ）アクリルモノマーおよび多官能の（メタ）アクリルモノマーの混合物からなっていてもよい。

上記単官能の（メタ）アクリルモノマーとしては、具体的には、例えば、（メタ）アクリルアミド、メチロール（メタ）アクリルアミド、メトキシメチル（メタ）アクリルアミド、エトキシメチル（メタ）アクリルアミド、プロポキシメチル（メタ）アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル（メタ）アクリルアミド、Ｎ−メチロール（メタ）アクリルアミド、Ｎ−ヒドロキシメチル（メタ）アクリルアミド、（メタ）アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸、ｔ−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル（メタ）アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、ブチル（メタ）アクリレート、２−エチルヘキシル（メタ）アクリレート、シクロヘキシル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、２−フェノキシ−２−ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピル（メタ）アクリレート、２−（メタ）アクリロイルオキシ−２−ヒドロキシプロピルフタレート、２−（メタ）アクリロイルオキシエチル−２−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、ジメチルアミノ（メタ）アクリレート、グリシジル（メタ）アクリレート、２，２，２−トリフルオロエチル（メタ）アクリレート、２，２，３，３−テトラフルオロプロピル（メタ）アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ（メタ）アクリレート等が挙げられる。これら単官能の（メタ）アクリルモノマーは、単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。

上記多官能の（メタ）アクリルモノマーとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ（メタ）アクリレート、ジエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、テトラエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、プロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ブチレングリコールジ（メタ）アクリレート、ネオペンチルグリコールジ（メタ）アクリレート、１，６−ヘキサングリコールジ（メタ）アクリレート、トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート、グリセリンジ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールジ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールトリ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ（メタ）アクリレート、２，２−ビス（４−（メタ）アクリロキシジエトキシフェニル）プロパン、２，２−ビス（４−（メタ）アクリロキシポリエトキシフェニル）プロパン、２−ヒドロキシ−３−（メタ）アクリロイルオキシプロピル（メタ）アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ（メタ）アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ（メタ）アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ（メタ）アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ（メタ）アクリレート、ウレタン（メタ）アクリレート（即ち、トリレンジイソシアネート）、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレートとの反応物、メチレンビス（メタ）アクリルアミド、（メタ）アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとＮ−メチロール（メタ）アクリルアミドとの縮合物、ビスフェノールＡジグリシジルエーテルの（メタ）アクリル酸付加物等が挙げられる。また、多官能の（メタ）アクリルモノマーとして、トリアクリルホルマールも用いることができる。これら多官能の（メタ）アクリルモノマーは、単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。

上記例示の光重合性（メタ）アクリルモノマーのうち、２−（メタ）アクリロイルオキシエチル−２−ヒドロキシプロピルフタレート、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピル（メタ）アクリレート、ビスフェノールＡジグリシジルエーテルの（メタ）アクリル酸付加物がより好ましく、２−メタクリロイルオキシエチル−２−ヒドロキシプロピルフタレート、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレート、ビスフェノールＡジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物がさらに好ましい。

＜アルカリ可溶性樹脂＞
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性水溶液に可溶な樹脂であればよく、従ってその構造は特に限定されないものの、具体的には、樹脂の可溶性の指標である酸価が５０〜２５０ｍｇＫＯＨ／ｇの範囲内であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が５０ｍｇＫＯＨ／ｇ未満であると、アルカリ性水溶液に溶解し難くなる場合がある。アルカリ可溶性樹脂の酸価が２５０ｍｇＫＯＨ／ｇを超えると、耐アルカリ性が低下する場合がある。また、アルカリ可溶性樹脂は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有していてもよい。

上記アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。つまり、アルカリ可溶性樹脂は、これらモノマーのうちの少なくとも一種類を重合してなる重合体または共重合体である。

上記不飽和カルボン酸類としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸；マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸、および、これらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。

上記アクリル酸エステル類としては、具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−ｔ−オクチル等の直鎖状または分岐鎖状アルキルアクリレート；シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、２−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等の脂環式アルキルアクリレート；クロルエチルアクリレート、２，２−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、２−ヒドロキシエチルアクリレート、５−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アリールアクリレート（例えばフェニルアクリレート等が挙げられる）等が挙げられる。

上記メタクリル酸エステル類としては、具体的には、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ｎ−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ｓｅｃ−ブチルメタクリレート、ｔ−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖状または分岐鎖状アルキルメタクリレート；シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、２−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート等の脂環式アルキルメタクリレート；グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリレート；２−ヒドロキシエチルメタクリレート、４−ヒドロキシブチルメタクリレート、５−ヒドロキシペンチルメタクリレート、２，２−ジメチル−３−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート；フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等の環状エーテル基含有メタクリレート；ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート等のアリールメタクリレート；等が挙げられる。

上記アクリルアミド類としては、具体的には、例えば、アクリルアミド、Ｎ−アルキルアクリルアミド（アルキル基は炭素数１〜１０であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ｔ−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる）、Ｎ−アリールアクリルアミド（アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる）、Ｎ，Ｎ−ジアルキルアクリルアミド（アルキル基は炭素数１〜１０であることが好ましい）、Ｎ，Ｎ−アリールアクリルアミド（アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる）、Ｎ−メチル−Ｎ−フェニルアクリルアミド、Ｎ−ヒドロキシエチル−Ｎ−メチルアクリルアミド、Ｎ−２−アセトアミドエチル−Ｎ−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。

上記メタクリルアミド類としては、具体的には、例えば、メタクリルアミド、Ｎ−アルキルメタクリルアミド（アルキル基は炭素数１〜１０であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、ｔ−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる）、Ｎ−アリールメタクリルアミド（アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる）、Ｎ，Ｎ−ジアルキルメタクリルアミド（アルキル基としては、例えばエチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる）、Ｎ，Ｎ−ジアリールメタクリルアミド（アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる）、Ｎ−ヒドロキシエチル−Ｎ−メチルメタクリルアミド、Ｎ−メチル−Ｎ−フェニルメタクリルアミド、Ｎ−エチル−Ｎ−フェニルメタクリルアミド等が挙げられる。

上記アリル化合物としては、具体的には、例えば、アリルエステル類（例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等が挙げられる）、アリルオキシエタノール等が挙げられる。

上記ビニルエーテル類としては、具体的には、例えば、アルキルビニルエーテル（例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、１−メチル−２，２−ジメチルプロピルビニルエーテル、２−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる）、ビニルアリールエーテル（例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−２，４−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等が挙げられる）等が挙げられる。

上記ビニルエステル類としては、具体的には、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。

上記スチレン類としては、具体的には、例えば、スチレン、アルキルスチレン（例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等が挙げられる）、アルコキシスチレン（例えばメトキシスチレン、４−メトキシ−３−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等が挙げられる）、ハロゲンスチレン（例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、２−ブロム−４−トリフルオロメチルスチレン、４−フルオロ−３−トリフルオロメチルスチレン等が挙げられる）等が挙げられる。

アルカリ可溶性樹脂を構成するこれらモノマーは、単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。

上記例示のモノマーのうち、メタクリル酸、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレートがより好ましく、メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとベンジルメタクリレートとの組み合わせ、および、メタクリル酸とメチルメタクリレートとイソブチルメタクリレートとの組み合わせがさらに好ましい。つまり、アルカリ可溶性樹脂は、これらモノマーを重合してなる重合体または共重合体であることがより好ましい。

尚、酸価が５０〜２５０ｍｇＫＯＨ／ｇの範囲内であれば、アルカリ可溶性樹脂は、上記例示のモノマーのうち、少なくとも一種類と、他のモノマーとを含むモノマー組成物を共重合してなる共重合体であってもよい。

アルカリ可溶性樹脂の製造方法、つまり、上記モノマーの重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の重合方法を採用することができる。また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量（Ｍｗ）は、特に限定されないものの、５，０００〜８０，０００の範囲内であることがより好適である。

＜光重合開始剤＞
光重合開始剤は、前記光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂（但し、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有していている場合）を光重合させることができる開始剤であればよく、従来公知の光重合開始剤を用いることができ、特に限定されるものではない。

上記光重合開始剤としては、具体的には、例えば、１−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、２−ヒドロキシ−２−メチル−１−フェニルプロパン−１−オン、１−〔４−（２−ヒドロキシエトキシ）フェニル〕−２−ヒドロキシ−２−メチル−１−プロパン−１−オン、１−（４−イソプロピルフェニル）−２−ヒドロキシ−２−メチルプロパン−１−オン、１−（４−ドデシルフェニル）−２−ヒドロキシ−２−メチルプロパン−１−オン、２，２−ジメトキシ−１，２−ジフェニルエタン−１−オン、ビス（４−ジメチルアミノフェニル）ケトン、２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オン、２−ベンジル−２−ジメチルアミノ−１−（４−モルフォリノフェニル）−ブタン−１−オン、エタノン，１−［９−エチル−６−（２−メチルベンゾイル）−９Ｈ−カルバゾル−３−イル］，１−（ｏ−アセチルオキシム）、２，４，６−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、４−ベンゾイル−４’−メチルジメチルスルフィド、４−ジメチルアミノ安息香酸、４−ジメチルアミノ安息香酸メチル、４−ジメチルアミノ安息香酸エチル、４−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、４−ジメチルアミノ−２−エチルヘキシル安息香酸、４−ジメチルアミノ−２−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、１−フェニル−１，２−プロパンジオン−２−（ｏ−エトキシカルボニル）オキシム、ｏ−ベンゾイル安息香酸メチル、２，４−ジエチルチオキサントン、２−クロロチオキサントン、２，４−ジメチルチオキサントン、１−クロロ−４−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、２−クロロチオキサンテン、２，４−ジエチルチオキサンテン、２−メチルチオキサンテン、２−イソプロピルチオキサンテン、２−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、１，２−ベンズアントラキノン、２，３−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、２−メルカプトベンゾイミダール、２−メルカプトベンゾオキサゾール、２−メルカプトベンゾチアゾール、２−（ｏ−クロロフェニル）−４，５−ジフェニルイミダゾール二量体、２−（ｏ−クロロフェニル）−４，５−ジ（メトキシフェニル）イミダゾール二量体、２−（ｏ−フルオロフェニル）−４，５−ジフェニルイミダゾール二量体、２−（ｏ−メトキシフェニル）−４，５−ジフェニルイミダゾール二量体、２−（ｐ−メトキシフェニル）−４，５−ジフェニルイミダゾール二量体、２，４，５−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、２−クロロベンゾフェノン、４，４’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン（即ち、ミヒラーズケトン）、４，４’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン（即ち、エチルミヒラーズケトン）、４，４’−ジクロロベンゾフェノン、３，３−ジメチル−４−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−ｎ−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−ｔ−ブチルエーテル、アセトフェノン、２，２−ジエトキシアセトフェノン、ｐ−ジメチルアセトフェノン、ｐ−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、ｐ−ｔ−ブチルアセトフェノン、ｐ−ジメチルアミノアセトフェノン、ｐ−ｔ−ブチルトリクロロアセトフェノン、ｐ−ｔ−ブチルジクロロアセトフェノン、α，α−ジクロロ−４−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、２−メチルチオキサントン、２−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−４−ジメチルアミノベンゾエート、９−フェニルアクリジン、１，７−ビス−（９−アクリジニル）ヘプタン、１，５−ビス−（９−アクリジニル）ペンタン、１，３−ビス−（９−アクリジニル）プロパン、ｐ−メトキシトリアジン、２，４，６−トリス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−メチル−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−［２−（５−メチルフラン−２−イル）エテニル］−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−［２−（フラン−２−イル）エテニル］−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−［２−（４−ジエチルアミノ−２−メチルフェニル）エテニル］−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−［２−（３，４−ジメトキシフェニル）エテニル］−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−（４−メトキシフェニル）−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−（４−エトキシスチリル）−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２−（４−ｎ−ブトキシフェニル）−４，６−ビス（トリクロロメチル）−ｓ−トリアジン、２，４−ビス−トリクロロメチル−６−（３−ブロモ−４−メトキシ）フェニル−ｓ−トリアジン、２，４−ビス−トリクロロメチル−６−（２−ブロモ−４−メトキシ）フェニル−ｓ−トリアジン、２，４−ビス−トリクロロメチル−６−（３−ブロモ−４−メトキシ）スチリルフェニル−ｓ−トリアジン、２，４−ビス−トリクロロメチル−６−（２−ブロモ−４−メトキシ）スチリルフェニル−ｓ−トリアジン等が挙げられる。また、光重合開始剤として、市販品である「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ＯＸＥ０２」，「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ＯＸＥ０１」，「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ３６９」，「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ６５１」，「ＩＲＧＡＣＵＲＥ ９０７」（商品名：何れもＢＡＳＦ社製）、「ＮＣＩ−８３１」（商品名：ＡＤＥＫＡ製）等も用いることができる。

上記例示の光重合開始剤のうち、例えば前記光重合性（メタ）アクリルモノマーが２−（メタ）アクリロイルオキシエチル−２−ヒドロキシプロピルフタレート、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピル（メタ）アクリレート、ビスフェノールＡジグリシジルエーテルの（メタ）アクリル酸付加物である場合には、２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オンがより好ましい。

光重合開始剤の添加量は、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂（但し、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有していている場合）の種類や割合に応じて設定すればよく、特に限定されないものの、前記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量（１００質量％）に対して、０．５〜１０質量％の範囲内であることがより好ましい。

＜有機溶剤＞
有機溶剤は、前記光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂を必要な濃度で均一に溶解させることができる溶剤であればよく、従来公知の有機溶剤を用いることができ、特に限定されるものではない。

上記有機溶剤としては、例えば、飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン溶剤、ラクトン類、ケトン類、多価アルコール類、環式エーテル類、エステル類、或いは、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物；上記多価アルコール類または上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の、モノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物；等の多価アルコール類の誘導体等を用いることができる。上記多価アルコール類の誘導体のうち、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル（ＰＧＭＥ）、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート（ＰＧＭＥＡ）、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートがより好ましい。

上記飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖状、分岐状または環状の炭化水素が挙げられ、具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数３から１５の分岐状の炭化水素；シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカヒドロナフタレン、ｐ−メンタン、ｏ−メンタン、ｍ−メンタン、ジフェニルメンタン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、１，４−テルピン、１，８−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ロンギホレン等の環状の炭化水素；等が挙げられる。

上記芳香族炭化水素としては、具体的には、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等が挙げられる。また、芳香族炭化水素として、縮合多環式炭化水素を用いることもできる。縮合多環式炭化水素とは、二つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに一つだけ供給してできる縮合環の炭化水素であり、二つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素としては、５員環と６員環との組み合わせ、または、二つの６員環の組み合わせが挙げられる。５員環と６員環とを組み合わせた炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、二つの６員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタリン（テトラリン）、およびデカヒドロナフタリン（デカリン）等が挙げられる。

上記テルペン溶剤は、極性基として酸素原子、カルボニル基またはアセトキシ基等を有している。当該テルペン溶剤としては、具体的には、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−１−オール、テルピネン−４−オール、ジヒドロターピニルアセテート、１，４−シネオール、１，８−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー等が挙げられる。

上記ラクトン類としては、具体的には、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。

上記ケトン類としては、具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−ｎ−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、２−ヘプタノン等が挙げられる。

上記多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。

上記環式エーテル類としては、具体的には、例えば、ジオキサン等が挙げられる。

上記エステル類としては、具体的には、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。

これら有機溶剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて混合溶剤として用いてもよい。

上記例示の有機溶剤のうち、例えば前記光重合性（メタ）アクリルモノマーが２−（メタ）アクリロイルオキシエチル−２−ヒドロキシプロピルフタレート、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピル（メタ）アクリレート、ビスフェノールＡジグリシジルエーテルの（メタ）アクリル酸付加物である場合には、多価アルコール類の誘導体がより好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル（ＰＧＭＥ）、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート（ＰＧＭＥＡ）、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートがさらに好ましい。

有機溶剤の使用量は、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の種類や割合に応じて設定すればよく、特に限定されないものの、前記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量（１００質量％）に対して、３〜２０質量％の範囲内であることがより好ましい。

＜感光性組成物の製造方法＞
前記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤を互いに混合すると共に、ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量に占めるＴｉＯ_２フィラーの割合を、１０〜３５質量％の範囲内に調節することにより、本発明に係る感光性組成物が得られる。ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤の混合順序は特に限定されないものの、混合の容易さから、有機溶剤にＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、およびアルカリ可溶性樹脂を添加して混合することがより好ましい。また、混合方法としては、例えば、ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤を容器に入れて攪拌し、大まかに混合した後、３本ロールミル等の分散機や混合機を用いてさらに混合する方法が挙げられるが、均一に混合してＴｉＯ_２フィラーを均一に分散させることができる方法であればよく、特に限定されるものではない。

そして、ＴｉＯ_２フィラーの割合および平均粒径、並びに、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の組成を本発明の範囲内で最適化することにより、目的とする光散乱特性を有するパターンを形成するのに好適な、フォトリソグラフィー特性を備えた感光性組成物が得られる。

〔パターン〕
上記感光性組成物に含まれる光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂（但し、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有していている場合）を重合させることにより、つまり、フォトリソグラフィー特性を備えた上記感光性組成物を例えば透明基板に塗布し、乾燥、露光および現像して被膜とすることにより、本発明に係る光散乱機能を有するパターンを効率的に形成することができる。

感光性組成物の塗布方法としては、例えば、アプリケーターを用いた方法が挙げられるものの、感光性組成物の粘度に応じて均一な厚さに塗布することができる方法であればよく、特に限定されるものではない。また、塗布時の温度や湿度等の塗布条件は、感光性組成物の組成等に応じて適宜設定すればよい。

塗布した感光性組成物の乾燥方法としては、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて加熱する（ベーク処理する）方法が挙げられるものの、感光性組成物全体を均一に加熱して有機溶剤を充分に揮発させることができる方法であればよく、特に限定されるものではない。また、加熱温度や加熱時間等の乾燥条件は、有機溶剤の種類や感光性組成物の膜厚等に応じて適宜設定すればよい。

乾燥した感光性組成物の露光方法としては、例えば、所望するパターンに対応するマスクを介して、超高圧水銀灯等の硬化用光源を用いて光照射する方法が挙げられるものの、感光性組成物全体を均一に露光することができる方法であればよく、特に限定されるものではない。また、光の種類や強度、照射時間等の露光条件は、光重合開始剤の種類や感光性組成物の膜厚等に応じて適宜設定すればよい。

露光後の感光性組成物の現像方法としては、例えば、炭酸ナトリウム（Ｎａ_２ＣＯ_３）水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液をスプレーして現像（スプレー現像）する方法が挙げられるものの、硬化していない部分のアルカリ可溶性樹脂を充分に溶解させることができる方法、つまり、感光性組成物を除去することができる方法であればよく、特に限定されるものではない。また、アルカリ性水溶液の種類や濃度、現像時間等の現像条件は、アルカリ可溶性樹脂の種類や感光性組成物の膜厚等に応じて適宜設定すればよい。

露光後の感光性組成物を現像することにより、硬化物である被膜、つまり、本発明に係る光散乱機能を有する所望のパターンが効率的に得られる。本発明に係るパターンは、例えば表示装置の散乱層として好適に使用することができる。そして、本発明に係るパターンは、フォトリソグラフィーにより形成することができるので、表示装置の製造方法において、散乱層を形成する前に形成した他のパターン（下地）と高精度でアライメントができ、それゆえ、高精細に当該パターンを形成することができる。

本発明に係る感光性組成物を用いて形成してなる上記パターンとしての被膜の膜厚は、本発明に係る表示装置の散乱層として使用するのに好適な、５〜２０μｍの範囲内であることがより好ましく、５〜１５μｍの範囲内であることがさらに好ましく、７〜１２μｍの範囲内であることが特に好ましい。被膜の膜厚を上記範囲内にすることにより、青色光の配向特性およびフォトリソグラフィー特性を両立させることができる。また、上記パターンとしての被膜は、本発明に係る表示装置の散乱層として使用するのに好適な、下記物理的性質を備えていることがより好ましい。即ち、ヘイズメーターを用いて測定したヘイズは、９０％以上であることがより好ましく、全光線透過率および拡散透過率は、３０％以上であることがより好ましい。また、分光変角色差計を用いて測定した青色光の配向特性は、計算上のランバーシアン（光強度分布）と比較して、表示装置の表示品位として見た場合に商品として許容することができる±５％の範囲内のずれに納まっていることがより好ましい。従って、視認角度は、±８０度であることがより好ましい。尚、ランバーシアンとは、発光面に対する法線方向（θ＝０）の光強度をＩ０としたときに、式「Ｉ（θ）＝Ｉ０×COSθ」で示される光強度分布（Ｉ（θ））を指す。

本発明に係るパターンは、後述するように、本発明に係る表示装置の散乱層として、赤色蛍光体および緑色蛍光体と共に色変換基板を構成することによって使用される。赤色蛍光体から出射される赤色光、および緑色蛍光体から出射される緑色光は、配向特性がランバーシアン（光強度分布）を示す。従って、表示装置における正面方向と斜め方向とで色のシフトが生じないようにするには、青色光の配向特性もランバーシアンを示す必要がある。本発明に係るパターンである散乱層は、光散乱機能を有しており、配向特性がランバーシアンを示すので、表示装置における正面方向に対する斜め方向の色度変化を低減させ、これにより表示装置の表示品位を向上させることができる。

〔表示装置〕
本発明に係る表示装置は、例えば、図１に示すように、バックライト１と、光シャッター２と、色変換基板３とで少なくとも構成されているディスプレイデバイス（表示部）を有している。尚、ディスプレイデバイス（表示部）の製造方法、および、表示装置の製造方法は、従来公知の製造方法を採用することができ、特に限定されるものではない。

バックライト１は、いわゆるエッジライト型であり、青色ＬＥＤや青色冷陰極管等を有する光源１１と、導光板１２とで構成されている。導光板１２は、その端面に光源１１から出射された青色光が入射されると、当該青色光を導光して光シャッター２側表面から出射する機能を有している。当該導光板１２の光シャッター２側表面には、例えばプリズム形状を有する光学シート（図示しない）が設けられている。これにより、当該導光板１２は、指向性の高い平行の青色光を出射することができる。

また、本発明に係る表示装置は、例えば、図２に示すように、バックライト１が複数の光源１１…で構成されたいわゆる直下型であるディスプレイデバイスを有していてもよい。この表示装置では、光源１１…は光シャッター２に対向するように配置されるので、指向性の高い青色ＬＥＤを有していることがより好ましい。

上記光シャッター２は、例えば、液晶パネルや透過型ＭＥＭＳ（微小電子機械システム； Micro Electro Mechanical System）で構成されており、バックライト１から出射された青色光が入射されると、その透過率を制御して色変換基板３側、即ち、視認側に出射する機能を有している。

上記光シャッター２が液晶パネルである場合について更に説明する。図３および図９（ａ）に示すように、光シャッター２である液晶パネルは、バックライト１側から、光源側偏光板２１、光源側基板２２、液晶層２３、視認側基板２４、および視認側偏光板２５がこの順に積層されることによって構成されている。そして、当該液晶パネルは、上記一対の基板２２・２４間に封入された液晶層２３に電圧を印加することにより、液晶パネルに入射された青色光の透過率を任意に制御するようになっている。

図３に示すように、上記色変換基板３は、透明基板３１と、光シャッター２を介して入射される青色光を波長変換する蛍光体３２・３３と、光シャッター２を介して入射される青色光を散乱させる散乱層３４とを少なくとも備えている。つまり、本発明に係る表示装置は、青色光を出射する光源１１を用い、蛍光体３２・３３によって青色光を赤色光および緑色光に変換して使用すると共に、光源１１からの青色光をそのまま青色光として使用するようになっている。色変換基板３の具体的な構成について、図４〜６を参照しながら更に説明する。尚、説明の便宜上、紙面において、図４〜６に示す色変換基板３の上下は、図３に示す色変換基板３の上下と逆になっている。

図４に示すように、色変換基板３は、可視光の領域で実質的に透明な例えばガラス等の材料からなる透明基板３１、光シャッター２を介して入射される青色光を赤色光に波長変換して透明基板３１側に出射する赤色蛍光体３２、光シャッター２を介して入射される青色光を緑色光に波長変換して透明基板３１側に出射する緑色蛍光体３３、および、光シャッター２を介して入射される青色光を散乱させて透明基板３１側に出射する散乱層３４を備えている。上記赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４は、透明基板３１に対して規則的に配列されることによって画素を構成するパターンを形成しており、ディスプレイデバイスとして表示可能となっている。

より具体的には、視認側から見た平面図である図９（ｂ）に示すように、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３、および、散乱層３４は、透明基板３１に対して格子状に順番に配列されることによって画素を構成するパターンを形成している。一つの画素を構成する個々の赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３、および、散乱層３４の大きさおよび形状は、通常、３０〜１２０μｍ×９０〜３６０μｍ程度の長方形（図９（ａ）中、矢印で示す視認側から見た大きさおよび形状）であるものの、特に限定されるものではない。

上記赤色蛍光体３２および緑色蛍光体３３を構成する蛍光体材料は、有機蛍光体材料、無機蛍光体材料、ナノ蛍光体材料等の各種蛍光体材料の中から、当該蛍光体３２・３３の厚さ（膜厚）、蛍光体材料を励起する青色光の吸収率、蛍光体３２・３３から出射される赤色光または緑色光の透過率等の各種条件を考慮して適宜選択すればよい。蛍光体材料は、青色光を受光すると励起して、励起光である赤色光または緑色光を発生して透明基板３１側に出射する。有機蛍光体材料としては、例えば、ローダミンＢ等のローダミン系色素等の赤色蛍光色素、クマリン６等のクマリン系色素等の緑色蛍光色素が挙げられる。無機蛍光体材料としては、例えば、ＣｄＳｅ、ＺｎＳ等が挙げられる。ナノ蛍光体材料としては、例えば、ＣｄＳｅやＺｎＳ等からなるナノ粒子を、例えばシリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂、（メタ）アクリル系樹脂等の実質的に透明樹脂からなるバインダ内に均一に拡散してなる材料が挙げられる。

上記散乱層３４は、本発明に係るパターンであり、本発明に係る感光性組成物に含まれる前記光重合性（メタ）アクリルモノマー等を硬化してなる膜状の硬化物（被膜）で構成されている。散乱層３４は、赤色蛍光体３２および緑色蛍光体３３の配向特性と実質的に同一の配向特性を備えていることが望ましい。尚、本発明において「実質的に同一の配向特性」とは、表示装置の表示品位が商品として許容することができる状態である配向特性を指す。

また、上記赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の側面（透明基板３１に対して平行でない面）部には、反射層３５が必要に応じて形成されている。反射層３５は、透明基板３１から出射されない例えば横方向（透明基板３１に対して平行な方向）等に向かう光を反射させて透明基板３１から出射させる機能を有している。これにより、光の利用効率をより向上させることができる。

さらに、上記赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の間（透明基板３１上における隙間）には、必要に応じてブラックマトリクス（図示しない）が形成されていてもよい。ブラックマトリクスで赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の間を埋めることにより、出射される光のクロストークを防止することができる。また、ブラックマトリクスを形成する替わりに、図９（ａ）に示すように、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４に形成されている反射層３５を互いに繋げてクロストークを防止してもよい。

尚、上記赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の形状は、その側面部に反射層３５が形成されている場合には、入射される青色光に平行な断面が透明基板３１側に開いた台形状となる形状であることが望ましいものの、その側面部に反射層３５が形成されていない場合には、当該断面が台形状となる形状に限定されるものではなく、例えば長方形状となる形状であってもよい。

本発明に係る感光性組成物を用いて形成してなる本発明に係るパターン、即ち、散乱層３４は、光散乱機能を有している。つまり、本発明に表示装置は、上記パターンを有している。上記赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の膜厚、つまり、パターンの膜厚は、特に限定されるものではないが、３〜２０μｍの範囲内であることがより好ましく、５〜１０μｍの範囲内であることがさらに好ましい。膜厚が３μｍ未満である場合には、散乱層３４が充分な光散乱機能を有しない場合がある。膜厚が２０μｍを超える場合には、色変換基板３が分厚くなる場合がある。

上記の構成によれば、正面方向と斜め方向とで色度変化（色のシフト）が生じない、表示品位が向上された表示装置を提供することができる。

図５に示すように、色変換基板３は、透明基板３１と、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４との間に、低屈折率層３６を更に備えていてもよい。上記低屈折率層３６は、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４から出射された光のうち、例えば横方向（透明基板３１に対して平行な方向）等に向かう光（浅い角度で出射された光）を反射させて反射層３５側に戻して再反射させ、透明基板３１から出射させる機能を有している。これにより、光の利用効率をより向上させることができる。

図６に示すように、色変換基板３は、透明基板３１と、低屈折率層３６との間に、カラーフィルタ３７を更に備えていてもよい。上記カラーフィルタ３７は、赤色フィルタ３７ａ、緑色フィルタ３７ｂ、青色フィルタ３７ｃ、およびブラックマトリクス３７ｄからなっている。上記赤色フィルタ３７ａ、緑色フィルタ３７ｂおよび青色フィルタ３７ｃは、各々、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４から出射される光が入射される位置に配設されており、入射された光の色純度を向上させて透明基板３１側に出射するようになっている。また、赤色フィルタ３７ａおよび緑色フィルタ３７ｂは、透明基板３１側から入射される外光に含まれている青色光を除去することにより、赤色蛍光体３２および緑色蛍光体３３における不要な励起光の発生を抑制する機能も有している。青色フィルタ３７ｃは、透明基板３１側から入射される外光に含まれている青色光以外の光を除去することにより、散乱層３４における当該光の散乱を抑制する機能も有している。ブラックマトリクス３７ｄは、赤色フィルタ３７ａ、緑色フィルタ３７ｂおよび青色フィルタ３７ｃの間を埋めるようにして形成されており、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４から出射される光のクロストークを防止するようになっている。これにより、表示品位をより向上させることができる。

さらに、図１０（ａ），（ｂ）に示すように、色変換基板３は、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の間を埋めるようにして形成されたブラックマトリクス３７ｄを備える構成であってもよい。当該構成においては、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４の側面部には反射層３５が形成されておらず、入射される青色光に平行な断面が長方形状となっている。上記ブラックマトリクス３７ｄは、赤色蛍光体３２、緑色蛍光体３３および散乱層３４から出射される光のクロストークを防止するようになっている。これにより、表示品位をより向上させることができる。

以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の構成にのみ限定されるものではない。

〔実施例１〕
ＴｉＯ_２フィラー（平均粒径２００ｎｍ）と、光重合性（メタ）アクリルモノマーとしての２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレートと、アルカリ可溶性樹脂としてのベンジルメタクリレート（ＢＺＭＡ）／メタクリル酸（ＭＡＡ）／グリシジルメタクリレート（ＧＭＡ）共重合体と、光重合開始剤としての２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オンと、有機溶剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル／プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶剤とを、重量比がこの順に３０：４０：３０：３：１００になるようにして容器に入れて攪拌し、大まかに混合した後、３本ロールミルを用いてさらに混合した。これにより、ＴｉＯ_２フィラーが均一に分散された感光性組成物を製造した。

上記ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体は、ＢＺＭＡとＭＡＡとＧＭＡとを重量比７５：１６．８：８．２（ＧＭＡはＭＡＡのグリシジル化物であるので、ＢＺＭＡとＭＡＡとの重量比は７５：２５）で共重合してなる共重合体を用いた。ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体の重量平均分子量（Ｍｗ）は１０，０００であり、酸価は１３１ｍｇＫＯＨ／ｇであった。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル／プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを重量比１：１で混合してなる混合溶剤を用いた。

得られた感光性組成物を、温度２３℃、湿度４０％の塗布条件下で、アプリケーターを用いてソーダガラスからなるガラス基板に塗布した。そして、塗布した感光性組成物を、ホットプレート上で１１０℃、３分間加熱する（ベーク処理する）ことにより、上記混合溶剤を揮発させた。これにより、膜厚が８μｍの塗布膜を得た。

その後、上記塗布膜に、スペース幅が３０μｍに形成されているクロムマスクを介して、超高圧水銀灯（伯東（株）製；ＭＡＴ−２５００）を用いて３，０００ｍＪ／ｃｍ^２で光照射して露光を行った。露光後、上記塗布膜に、濃度０．５％のＮａ_２ＣＯ_３水溶液を３０℃で３０秒間スプレーして現像（スプレー現像）することにより、硬化していない部分の塗布膜を除去した。これにより、硬化物である被膜、つまり、光散乱機能を有する膜厚が８μｍのパターンを得た。

得られたパターンの幅（スペース幅）を確認したところ、３５．９μｍであり、パターン再現性は良好であった。従って、光散乱機能を有するパターンを、フォトリソグラフィーにより形成することが可能であることが判った。

上記パターンが備える物理的性質、つまり評価結果は、以下の通りであった。即ち、ヘイズメーター（日本電色工業（株）製；ＮＤＨ２０００）を用いて測定したヘイズは９１．４％であり、全光線透過率は３３．３％であり、拡散透過率は３０．４％であった。また、分光変角色差計（日本電色工業（株）製；ＧＣ５０００）を用いて測定した青色光の配向特性は、図７に示すように、計算上のランバーシアン（光強度分布）と実質的に一致した。視認角度は±８０度であった。尚、図７は、横軸を受光角度（度）、縦軸を光強度（強度(a.u.)と記す）とし、パターンが示す光強度分布を、表示装置における正面方向（発光面に対する法線方向、受光角度＝０度）の光強度を「１」としたときの相対値で示したグラフである。

従って、本発明に係る感光性組成物を用いて形成してなるパターンは、表示装置における正面方向に対する斜め方向の色度変化を低減させ、これにより表示装置の表示品位を向上させることができることが判る。

感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。尚、表１では、パターン再現性が良好である場合を「○」、不良である（または塗布膜が硬化しない）場合を「×」と記している。また、パターンの配向特性が実質的にランバーシアンを示している場合を「○」、示していない場合を「×」、配向特性を確認できなかった場合を「−」と記している。

〔実施例２〕
ＴｉＯ_２フィラー、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレート、ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体、２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オン、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテル／プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶剤を、重量比がこの順に１０：５０：４０：３：１００になるようにした以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、感光性組成物およびパターンを製造した。得られた感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

〔実施例３〕
光重合性（メタ）アクリルモノマーとして、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレートの替わりにビスフェノールＡジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物を用いた以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、感光性組成物およびパターンを製造した。得られた感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

〔実施例４〕
アルカリ可溶性樹脂として、ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体の替わりにメチルメタクリレート（ＭＭＡ）／イソブチルメタクリレート（ＩＢＭＡ）／メタクリル酸（ＭＡＡ）共重合体を用いた以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、感光性組成物およびパターンを製造した。上記ＭＭＡ／ＩＢＭＡ／ＭＡＡ共重合体は、ＭＭＡとＩＢＭＡとＭＡＡとを重量比５０：２５：２５で共重合してなる共重合体を用いた。ＭＭＡ／ＩＢＭＡ／ＭＡＡ共重合体の重量平均分子量（Ｍｗ）は１４，９００であり、酸価は１７１ｍｇＫＯＨ／ｇであった。得られた感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

〔実施例５〕
光重合性（メタ）アクリルモノマーとして、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレートとビスフェノールＡジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物とを重量比１：１で混合して用いた以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、感光性組成物およびパターンを製造した。得られた感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

〔実施例６〕
ＴｉＯ_２フィラー、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレート、ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体、２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オン、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテル／プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶剤を、重量比がこの順に３５：４０：２５：３：１００になるようにした以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、感光性組成物およびパターンを製造した。得られた感光性組成物の組成およびパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

〔比較例１〕
ＴｉＯ_２フィラーの替わりにアクリルフィラー（積水化成品工業（株）製；ＳＳＸ−１０２、平均粒径２μｍ）を用いた以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、比較用の感光性組成物および比較用のパターンを製造した。但し、塗布膜の膜厚は２０μｍとし、露光時の光強度は６，０００ｍＪ／ｃｍ^２とした。上記比較用のパターンの膜厚は２０μｍであった。

得られたパターンの幅（スペース幅）を確認したところ、４０．９μｍであり、パターン再現性は良好であった。しかしながら、実施例１と同様にして測定した青色光の配向特性は、図８に示すように、計算上のランバーシアン（光強度分布）と全く一致しなかった。視認角度は±３０度であり狭かった。得られた比較用の感光性組成物および比較用のパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

比較例１の比較用のパターンは、ＴｉＯ_２フィラーを用いていないため、フォトリソグラフィーにより形成することが可能であったものの、充分な光散乱機能を有していなかった。つまり、０度方向の透過率は高かったものの、−８０〜−５度および５〜８０度方向の０度方向に対する透過率の比は低く、従って、充分な光散乱機能を有していなかった。

〔比較例２〕
ＴｉＯ_２フィラー、２−ヒドロキシ−３−フェノキシプロピルアクリレート、ＢＺＭＡ／ＭＡＡ／ＧＭＡ共重合体、２−メチル−１−〔４−（メチルチオ）フェニル〕−２−モルフォリノプロパン−１−オン、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテル／プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶剤を、重量比がこの順に４０：３０：３０：３：１００になるようにした以外は、実施例１の操作と同一の操作を行うことにより、比較用の感光性組成物および比較用のパターンを製造した。得られた比較用の感光性組成物および比較用のパターンの評価結果をまとめて表１に示した。

比較例２の比較用のパターンは、ＴｉＯ_２フィラーの割合が３５質量％を超えていたことによって露光時の光が塗布膜の内部まで届かなかったため、表面部分は硬化したものの、内部は硬化しなかった。従って、現像時にパターン形成部分の塗布膜まで除去されてしまい、パターンを形成することができなかった。

尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

本発明に係る感光性組成物、パターンおよびパターンを有する表示装置は、当該表示装置を備えた様々な電化製品の製造に好適に利用することができる。

１ バックライト
２ 光シャッター
３ 色変換基板
１１ 光源
１２ 導光板
２１ 光源側偏光板
２２ 光源側基板
２３ 液晶層
２４ 視認側基板
２５ 視認側偏光板
３１ 透明基板
３２ 赤色蛍光体
３３ 緑色蛍光体
３４ 散乱層
３５ 反射層
３６ 低屈折率層
３７ カラーフィルタ

Claims (6)

1. 表示装置に用いる光散乱機能を有するパターンを形成するための感光性組成物であって、
   ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマー、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および有機溶剤を含み、
   上記ＴｉＯ_２フィラー、光重合性（メタ）アクリルモノマーおよびアルカリ可溶性樹脂の合計量に占めるＴｉＯ_２フィラーの割合が、１０〜３５質量％の範囲内であることを特徴とする感光性組成物。
2. 上記光重合性（メタ）アクリルモノマーが、単官能の（メタ）アクリルモノマーおよび多官能の（メタ）アクリルモノマーから選ばれる少なくとも一種の（メタ）アクリルモノマーである、請求項１に記載の感光性組成物。
3. 上記アルカリ可溶性樹脂の酸価が５０〜２５０ｍｇＫＯＨ／ｇの範囲内である、請求項１または２に記載の感光性組成物。
4. 請求項１〜３の何れか一項に記載の感光性組成物を用いて形成してなる、光散乱機能を有するパターン。
5. 膜厚が３〜２０μｍの範囲内である、請求項４に記載のパターン。
6. 請求項４または５に記載のパターンを有する表示装置。

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