JP5673335B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
さらに、薄型の面発光という特性を利用した、様々なデザイン性に富んだ照明器具の提案もなされている。通常、電極の一方は反射型電極が用いられることが一般的だが、近年、両方の電極に透過性の材料を用いたものが提案され始めている。
光と物質の相互作用を扱う場合、光の電磁場の振動1回あたりの吸収量が基準となる。このため、物質の光の吸収を定義する量として、消衰係数κが定義されている。一般にκの値が大きいほど光の吸収は大きくなるため、κの値の小さい材料を選択することは、光吸収性の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する上で重要である。
特許文献2には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の第一陰極と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含有する電子輸送性保護層と、無機酸化物または無機窒化物の第二陰極を積層することで光透過性を有し、かつ電子注入性、輸送性に優れる陰極構造が提案されている。しかしながらこの技術は、第二陰極に使用されるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属が、時間経過と共に有機発光層へ拡散し、素子の効率や寿命を低下させる問題があった。
また、特許文献3では、陰極とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属からなる電子注入層の間に、膜厚が5〜10nmの電子輸送性有機物質からなる陰極バッファ層を設けることで、たとえばITOからのトンネンル注入効果を発現させる技術が開示されている。
しかしながら特許文献3の技術は、たとえばスパッタリング方式によるITOの成膜時に、陰極バッファ層がスパッタリングによるダメージを緩和しきれず、陰極と陽極がショートするなどの問題から、駆動寿命を著しく低下させるものであった。
また、リチウムからなる電子注入層と有機発光層の間に、リチウムと結合して金属錯体を形成しうる配位子を有する層を設けることで、リチウムの拡散を抑制させる技術が、特許文献4に開示されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動電圧と発光効率が改良された、陰極側から発光する、もしくは陽極側、陰極側の両面から発光する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくは該アルカリ土類金属化合物からなる第2の層と、
標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物を含有する有機電子輸送材料からなる第3の層と、
有機電子輸送材料のみからなる第4の層と、がこの順で積層されたユニットを有し、
前記第1の層の前記第2の層と接する面と反対側の面の表面粗さRaが、1nm以上10nm以下であることを特徴とする。
前記第1の層の前記第2の層と反対側の面に、補助電極が積層されていることを特徴とする。
前記第1の層の前記第2の層と反対側の面に、有機材料からなる有機層または無機材料からなる無機層が積層され、
前記有機層又は無機層の前記第2の層と反対側の面に透明導電性層が積層されることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機層及び前記無機層が、一定のパターン形状を有していることを特徴とする。
前記透明導電性層の前記有機層又は無機層との反対側の面に、補助電極が積層されていることを特徴とする。
前記第2の層のアルカリ金属もしくはアルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物と、前記第3の層に含有されるアルカリ金属もしくはアルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物とが同一であることを特徴とする。
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成の一部を示した概略断面図である。
図1に示すように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に有機EL素子と言う)は、厚さが0.1〜30nmであり、光波長550nmにおける消衰係数が5.0以下の金属を含有する第1の層(以下、金属層11という)と、標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくは該アルカリ土類金属化合物からなる第2の層12と、標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物を含有する有機電子輸送材料からなる第3の層13と、有機子輸送材料のみからなる第4の層14と、がこの順で積層されたユニット10を有することを特徴とする。
さらには、金属層11の第2の層と接する面と反対側の面の表面粗さが1nm以上10nm以下であること、金属層11の第2の層12と反対側の面に、有機材料からなる有機層または無機材料からなる無機層15が積層され、さらに有機層または無機層15の第2の層12と反対側の面に透明導電性層16が積層されていること、該有機層及び無機層15が一定のパターンを有していること、該透明導電性層16の有機層または無機層15と反対側の面に補助電極17が積層されていること、を特徴とする。
[有機EL素子]
まず、面発光体の一例である本発明の有機EL素子の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する内容は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
はじめに、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第3の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第2の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第1の層)。
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第2の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第3の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第4の層)。
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第3の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第2の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第1の層)/有機層/透明導電性層
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第3の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第2の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第1の層)/無機層/透明導電性層
(v)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第3の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第2の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第1の層)/有機層/透明導電性層/補助電極
(vi)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(第4の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する電子輸送層(第3の層)/アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属のいずれかからなる電子注入層(第2の層)/消衰係数5.0以下の厚さ0.1〜30nmの金属層(第1の層)/無機層/透明導電性層/補助電極
本発明の有機EL素子はトップエミッション型または両面エミッション型の構成を取ることが好ましい。
発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
本発明の電子注入陰極は、光波長550nmにおける消衰係数5.0以下で厚さ0.1〜30nmの金属層である。
さらには、発光層からみて反対側に、有機材料からなる有機層または無機材料からなる無機層、さらに透明導電性層、さらに補助電極までで陰極として機能させる場合もある。
《金属層(第1の層11)》
本発明の金属層を構成する材料としては、光波長550nmにおける消衰係数κの値が5.0以下である。
光波長550nmにおける消衰係数が5.0以下の金属材料としては、以下のものが挙げられる。例えば、銀(Ag:消衰係数3.32)、金(Au:消衰係数2.32)、銅(Cu:消衰係数2.86)、パラジウム(Pd:消衰係数3.85)、ニッケル(Ni:消衰係数3.32)、ロジウム(Rh:消衰係数5.02)、白金(Pt:消衰係数3.71)、タンタル(Ta:消衰係数1.83)、チタン(Ti:消衰係数3.34)、鉄(Fe:消衰係数3.35)、クロム(Cr:消衰係数4.42)、タングステン(W:消衰係数2.49)、モリブデン(Mo:消衰係数3.51)等、または、これらの混合物が挙げられる。
光波長550nmにおける消衰係数としてより好ましくは、4.0以下であり、さらに好ましくは3.5以下であり、金、銀、銅などが好ましい。
金属層には、仕事関数を調整するなどの目的で、必要に応じて異種の金属もしくは金属酸化物を混合して用いることもできる。例えば銀の場合、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、インジウム、亜鉛、錫、酸化モリブデン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化タングステン、三酸化インジウム、などを混合することは好ましい。
金属は薄膜になると、膜ではなく粒の集合体として観察されることがある。成膜方法や条件により、粒が密ではなく疎となると、金属膜表面は粗く観察され、導電性、電子注入性も大幅に低下する。そのため、本発明の金属層の第2の層と接する面と反対側の面の表面粗さRaは、1nm以上10nm以下であることが好ましく、より好ましくは6nm以下である。金属層の表面粗さRaを1nm以上10nm以下としたのは、1nm未満であると、金属薄膜を構成する粒子同士の距離が接近もしくはその表面が接する状態を形成し易くなり、10nmを超えると個々の粒子が単独で存在するいわゆる島状の構造をとり易くなるためである。
ここで、表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、原子間力顕微鏡で測定される。微細な探針で試料表面を走査し、ナノスケールの凹凸形状を三次元的に計測し、粗さ曲線から、基準長さ内の値を抜き、この値の平均値から実際の曲線までの距離の絶対値を合計して平均した値として定義される。
本発明に係るアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、金属イオン(Mn+)/金属(M)系の標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴なアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはこれらの化合物であることを特徴とする。
ここで、本発明に係るMn+/M系の標準電極電位E°は、温度25℃、溶質の活量がすべて1の水溶液中における、標準水素電極に対する電極電位であり、例えば「改定第3版 化学便覧 基礎編II」(日本化学会編)のII−474ページ、表12・46の値を参考にできる。
本発明に係る、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の金属イオン(Mn+)/金属(M)系の標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴なアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはこれらの化合物を構成する金属としては、具体的には、カリウム(−2.925(V))、カルシウム(−2.840(V))、ナトリウム(−2.714(V))、マグネシウム(−2.356(V))、ルビジウム(−2.924(V))、バリウム(−2.92(V))、ストロンチウム(−2.89(V))等を挙げることができる。
本発明のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはこれらの化合物を構成する金属として好ましくはカリウムである。標準電極電位が−3Vよりも卑な元素、例えば、セシウム(−3.027(V))やリチウム(−3.045(V))などは電子注入性を高める効果は有するものの、そのもの自身が酸化され易いため、生産適合性が低い欠点を有している。
本発明に係る、標準電極電位が−3Vvs.SHEより貴であるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含有する有機電子輸送層を構成する有機電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェニルピリジン誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
該有機電子輸送性材料として好ましくは、フェニルピリジン誘導体を挙げることができる。
該有機電子輸送層に含有される標準電極電位が−3Vvs.SHEより貴であるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物の添加量は、該有機電子輸送層全体の5〜50体積%であることが好ましく、特に好ましくは10〜30体積%であることが好ましい。
該有機電子輸送材料のみからなる該有機電子輸送層は、前記標準電極電位が−3Vvs.SHEより貴であるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含有する有機電子輸送層を構成する有機電子輸送材料と同様のものを用いることができる。
該有機電子輸送材料のみからなる該有機電子輸送層材料は、SHEより貴であるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含有する有機電子輸送層を構成する有機電子輸送材料と同一であることがより好ましい。
また、有機電子輸送材料のみからなる有機電子輸送層の膜厚は、正孔と電子の再結合が発光層で効率よく行われるために、必要に応じて調整することができる。
本発明に係り、必要に応じて金属層の外側(電子輸送層の反対側)に積層される、有機材料からなる有機層または無機材料からなる無機層は、さらにその外側に積層される透明導電性層の成膜時に発生する、金属層から発光層へのダメージを緩和することができる材料、および膜厚であれば、特に制限はない。
特に、ITOをスパッタリング方式により成膜する場合、特にITO粒子のターゲットからの打ち込みを吸収し、金属層から内側に入りこむのを抑制する機能を有する、という点で金属酸化物が好ましい。また、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)に代表される金属錯体や、有機電子輸送性モノマー、ポリマーなども用いることができる。
また、該有機層、無機層は、金属層の電子注入性、導電性に応じ、一定のパターンを設けて成膜することもできる。発光面積に応じ、金属層の面方向の導電性が不足する場合は、非常に微細なスルーホールを該有機層、または無機層に設け、後述する透明導電性層から直接コンタクトすることで、導電性を確保し、かつ成膜時のダメージも実質的にないものとすることができる。
上記一定のパターンとしては、ストライプ状、格子状、ドットパターン等が挙げられる。
本発明の金属層は極めて薄いために、基材として硬いガラスなどではなくフレキシブル性のあるプラスチックなどを用いる場合など、様々な外的要因によって化学的、物理的破壊がなされる場合がある。
また前述のように、必要な発光面積を確保する場合、金属層の導電性を補う必要性が生じる。このような場合、透明導電性層をさらに成膜し、金属層に直接コンタクトすることで導電性を担保し、かつ、さらに強固な膜を薄膜金属層の外側へ積層することで、物理的強度も増加するため好ましい。
透明導電性層としては、例えばスパッタリング方式で成膜されたITOが好ましく用いられる。
本発明の有機EL素子は、金属層上、もしくは透明導電性層上に該金属層もしくは透明導電膜のシート抵抗を下げる目的で補助電極を設けることができる。
補助電極を形成する材料としては、金、白金、銀、銅、アルミ等の抵抗が低い金属が好ましい。
補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。
パターンとしては格子状、ストライプ状、ハニカム状など特に制限はなく、本発明の補助電極の線幅は透明導電性層の開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、ピッチは500μm以上であることが好ましく、補助電極の厚さは導電性の観点から、1μ以上であることが好ましい。
本発明の発光層は、発光材料として燐光発光化合物が含有されていることを特徴とする。
発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。また、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
個々の発光層の膜厚としては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
各発光層は複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
次に、発光材料について説明する。
発光材料としては、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
燐光発光材料とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光材料の発光の原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
陽極としては、前述の透明導電性を構成する材料を用いても良いし、金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いることもできる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
[ボトムエミッション型有機EL素子の作製]
有機EL素子101〜111は発光面積が5cm×5cmとなるように作製した。
<有機EL素子101の作製>
(陽極の形成)
透明なガラス基板の上に厚さ100nmとなる条件でITOをスパッタ法で成膜、パターニングして、ITO層から成る陽極を形成した。次いで、ITO層を設けた基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(正孔注入層〜電子輸送層の形成)
このITO層を設けた基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、タンタル製抵抗加熱ボードにα−NPD(Bis[N-(1-naphthyl)-N-pheny]benzidine)、下記に示すホスト化合物H4、下記に示すドーパント化合物Ir−4、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1,O8)-(1,1'-Biphenyl-4-olato)aluminum)、Alq3、フッ化カリウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。
まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒でITO層上に膜厚20nmの正孔注入/正孔輸送層を設けた。
更に、前記ホスト化合物H4の入った前記加熱ボードとIr−4の入ったボードをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるH4と発光ドーパントであるIr−4の蒸着速度が100:6になるように調節し、膜厚30nmの発光層を設けた。
次いで、BAlqの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。更に、Alq3の入った前記加熱ボードを通電して加熱し蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚35nmの電子輸送層(第4の層)を設けた。
(電子注入層の形成)
次に、フッ化カリウムの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒で膜厚1nmのフッ化カリウム層を形成し、電子注入層(第2の層)を設けた。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、アルミニウムを蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で100nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
〈保護層(無機防湿膜)の形成〉
作製された有機EL素子を使用し、蒸着法で、5×10−1Paの真空下にて、保護層(無機防湿膜)形成材料として窒化ケイ素を使用し、陽極の取り出し電極及び陰極の取り出し電極の一部を除いて、陰極の上に陽極の取り出し電極を除いた部分の水平投影面積に対して45%(有機化合物層である発光層の水平投影面積に対しては129%)になるようにして厚さ100nmの保護層(無機防湿膜)をパターン成膜で形成した。
〈絶縁層(接着剤の塗設)の形成〉
引き続き、保護層の水平投影面積に合わせ保護層上に厚さ40μmの絶縁層(接着剤層)を陽極及び陰極の取り出し電極の部分を除き塗設した。尚、接着剤として、大日本インキ株式会社製エポキシ樹脂EPICLON850と、日本化成株式会社製接着付与剤ヒッタイトS、及び日本油脂株式会社製有機過酸化物パークミルHを、この順で100/3/1(重量部)で混合したものを用いた。
〈ガラス封止部材の保護層(無機防湿膜)への固定〉
引き続き、ガラス封止部材として厚さ0.7mmのガラスを使用し、保護層(無機防湿膜)の上に塗設した絶縁層(接着剤)の上にガラス封止部材を、0.9×10−0Paで真空引きしながら、押圧0.1MPaで貼合した後、大気圧80℃環境下にて3時間放置して貼着し固定した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子101と同様な方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、アルミニウムを蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で35nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子102を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子101と同様な方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、アルミニウムを蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で25nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子103を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子101と同様な方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、アルミニウムを蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で15nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子104を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子1051と同様な方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、アルミニウムを蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で10nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子105を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子101と同様な方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.2〜0.4nm/秒で100nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子106を封止した。
(陽極〜発光層の形成)
陽極〜発光層までは有機EL素子101と同様の方法で成膜した。
(電子輸送層(第4の層)の形成)
Alq3の入った前記加熱ボードを通電して加熱し蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚5nmの電子輸送層を設けた。
(アルカリ金属含有電子輸送層(第3の層)の形成)
Alq3の入った前記加熱ボードを通電して加熱し、また同時にフッ化カリウムの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度の比がAlq3:フッ化カリウム=1:0.2になるように調整し、フッ化カリウムの成膜速度0.1nm/秒で、膜厚30nmのアルカリ金属を20体積%ドープした電子輸送層を設けた。
(電子注入層の形成)
次に、フッ化カリウムの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒で膜厚1nmのフッ化カリウム層を形成し、電子注入層を設けた。
(陰極の形成〕
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.02〜0.03nm/秒で33nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子107を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子107と同様の方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.02〜0.03nm/秒で25nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101同様にして、有機EL素子108を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子107と同様の方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.02〜0.03nm/秒で15nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子109を封止した。
(陽極〜電子注入層の形成)
陽極〜電子注入層までは有機EL素子107と同様の方法で成膜した。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.02〜0.03nm/秒で10nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子110を封止した。
(陽極〜電子輸送層の形成)
陽極〜電子輸送層までは有機EL素子107と同様の方法で成膜した。
(アルカリ金属含有電子輸送層(第3の層)の形成)
Alq3の入った前記加熱ボードを通電して加熱し、また同時にフッ化リチウムの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度の比がAlq3:リチウム=1:0.2になるように調整し、フッ化カリウムの成膜速度0.1nm/秒で、膜厚30nmのアルカリ金属を20体積%ドープした電子輸送層を設けた。
(電子注入層の形成)
次に、フッ化リチウムの入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒で膜厚1nmのフッ化カリウム層を形成し、電子注入層を設けた。
(陰極の形成)
次いで、基板を5×10−5Paまで減圧した第2真空糟に移動し、銀を蒸着速度0.02〜0.03nm/秒で33nmの膜厚となるまで蒸着した。
(素子の封止)
封止は有機EL素子101と同様にして、有機EL素子107を封止した。
上記作製した各有機EL素子について、下記の方法に従って評価を行った。
(電圧の測定)
上記で作製した各有機EL素子に対し、陽極側と陰極側の両側の正面輝度の和が1000cd/m2となるときの電圧を各有機EL素子の電圧を測定し、比較となる有機EL素子101の駆動電圧を100とした時の相対値を求めた。
なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。得られた電圧の相対値100に近いほど、また100より小さいほど、好ましい結果であることを表わす。
また、両側の正面輝度の和が1000cd/m2となるときの両側の輝度の比を求めた。
上記作製した各有機EL素子に対し、2.5mA/cm2定電流を流したときの外部取り出し量子効率(%)を測定した。
なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。このとき、外部取り出し量子効率は有機EL素子の両側から測定した輝度(両面合計輝度[Cd/m2])の合計値から算出した。
得られた外部取り出し量子効率(%)の測定結果を基に、有機EL素子101の外部取り出し量子効率(%)を100としたときの相対値を求め、これを発光効率の尺度とした。尚、外部量子効率の相対値が大きいほど発光効率が高く、好ましい結果であることを表す。
以上により得られた結果を、表1に示す。
実施例1に記載の有機EL素子106に関し、陰極の構成を表2に示すものに変更した以外は、有機EL素子101と同様にして有機EL素子201〜211を作製した。さらに、陰極の構成のみを、前記有機EL素子とは別に、石英ガラス上に加熱蒸着成膜した単膜試料を用意した。
作製した有機EL素子を、実施例1と同様の評価を行った。また、石英ガラス単膜試料に関して、原子間力顕微鏡による表面粗さRaの評価を行った。結果を表2に示す。
また、当該陰極層の表面粗さRaが10nm以下の場合に特に優れていることもわかる。
さらに、有機EL素子101、106、205、211について、70℃の恒温糟で500時間保存した後、有機EL素子の駆動電圧、輝度、発光画素の目視評価を行ったところ、駆動電圧はいずれも保存前に対し+7%以内、かつ輝度は±3%以内と電気特性の変化は極めて小さかった。また発光画素のエッジ部分が暗くなったり、黒点の発生はいずれも確認できなかった。
実施例1で作製した有機EL素子105、110、及び実施例2で作製した有機EL素子205、211と各々電子注入層まで同一の条件で素子を作製し、陰極層の形成後、線幅100μm、2mmピッチのストライプ状(これは、蒸着後に100μm幅で2mm間隔の補助電極ができるということ)の蒸着用マスクを用い、アルミニウムを膜厚100nmとなるように蒸着した以外は同様に有機EL素子を作製し、各々の有機EL素子を順に301、302、303、304とした。さらにこれらの有機EL素子から、陰極層の膜厚を5nmとした以外は同様の有機EL素子を作製し、各々の有機EL素子を順に、311、312,313,314とした。
作製した有機EL素子の駆動電圧、及び発光効率を実施例1と同様に測定した。また、有機EL素子の透過率も測定した。透過率の測定は、日本電色工業株式会社製、NDH−5000型ヘーズメーターによって行った。結果を表3に示す。
実施例1で作製した有機EL素子105,110、及び実施例2で作製した有機EL素子205,211と各々電子注入層まで同一の条件で有機EL素子を作製し、陰極層を形成した後、各々の有機EL素子を第1真空糟へ移動し、三酸化モリブデン(MoO3)の入った前記加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.13nm/秒で膜厚30nmのMoO3層を形成し、スパッタ緩衝層(無機層)を設けた。
次いで、各有機EL素子を高周波(RF)スパッタ装置のチャンバー内へ搬送し、ITOをターゲットとして酸素とアルゴンの混合気体(酸素比率2.2体積%)を導入しながら、RF出力300W、基板とITOターゲット間の距離17.8mmの条件で、2.2×10−1Paの圧力のもと、発光エリア部電極取り出し部までパターン化されたマスクを用いて、180秒間スパッタリングを行い膜厚135nmのパターン化されたITO薄膜(透明導電性層)を前記MoO3層(無機層)上に成膜した。有機EL素子105に前記変更を加えた有機EL素子を401、有機EL素子110に前記変更を加えた有機EL素子を402、有機EL素子205に前記変更を加えた有機EL素子を403、有機EL素子211に前記変更を加えた有機EL素子を404、とした。
さらに、有機EL素子401〜404に対し、各々の陰極層の膜厚を5nmとした以外は同様の有機EL素子を作製し、各々の有機EL素子を順に、411、412,413,414とした。
作製した有機EL素子の駆動電圧、及び発光効率、有機EL素子の透過率を実施例3と同様に測定した、結果を表4に示す。
実施例1で作製した有機EL素子105,110、及び実施例2で作製した有機EL素子205,211と各々電子注入層まで同一の条件で有機EL素子を作製し、陰極層は、各々使用材料は表5に示す通り同一で膜厚を3mmとなるように成膜した。
次に各々の有機EL素子を第1真空糟へ移動した後、線幅2mm、200μmピッチのストライプ状(これは、幅が2mmの膜が、200μmの間隔をおいて成膜される、ということ)の蒸着用マスクを用い、加熱ボートに充填したAlq3を膜厚150nmとなるように蒸着し、スパッタ緩衝層(無機層)を成膜した。その後、実施例4と同様に、RFスパッタ装置のチャンバー内へ搬送し、ITOをスパッタリングにより135nmの膜厚となるよう成膜を行い、透明導電性層を設けた。有機EL素子105に前記変更を加えた有機EL素子を501、有機EL素子110に前記変更を加えた有機EL素子を502、有機EL素子205に前記変更を加えた有機EL素子を503、有機EL素子211に前記変更を加えた有機EL素子を504、とした。
作製した有機EL素子の駆動電圧、及び発光効率、有機EL素子の透過率を実施例1と同様に測定した、結果を表5に示す。
実施例4で作製した有機EL素子411、412,413,414に関し、金属薄膜陰極層を3nmとなるようにし、かつMoO3層(無機層)の上層に、実施例3と同様にして線幅100μm、2mmピッチのストライプ状(これは、蒸着後に100μm幅で2mm間隔の補助電極ができるということ)の蒸着用マスクを用い、アルミニウムを膜厚100nmとなるように蒸着して補助電極を形成した以外は同様に有機EL素子を作製した。有機EL素子411に前記変更を加えた有機EL素子を601、有機EL素子412に前記変更を加えた有機EL素子を602、有機EL素子413に前記変更を加えた有機EL素子を603、有機EL素子414に前記変更を加えた有機EL素子を604、とした。
作製した有機EL素子の駆動電圧、及び発光効率、有機EL素子の透過率を実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
実施例1で作製した有機EL素子110に関し、アルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくは該アルカリ土類金属化合物からなる層(第2の層)と、アルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物を含有する有機電子輸送材料からなる層(第3の層)の、アルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくは該アルカリ土類金属化合物を、表7に示す化合物に入れ替えた以外は同様にして有機EL素子701〜703を作製した。
作製した有機EL素子の駆動電圧、及び発光効率、有機EL素子の透過率を実施例3と同様に測定した。また、両面の正面の初期輝度の和が10000cdとなる時の、両面の輝度の比を求めた。さらに、正面側の初期輝度が1000cdとなる時の電流値に継続して有機EL素子を駆動し続け、輝度が500cdとなるまでの時間を測定した。結果を表7に示す。
11 第1の層(金属層、陰極)
12 第2の層(電子注入層)
13 第3の層(電子輸送層)
14 第4の層(電子輸送層)
15 有機層または無機層
16 透明導電性層
17 補助電極
Claims (6)
- 厚さが0.1〜30nmであり、光波長550nmにおける消衰係数が5.0以下の金属を含有する第1の層と、
標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくは該アルカリ土類金属化合物からなる第2の層と、
標準電極電位が−3Vvs.SHEよりも貴であるアルカリ金属もしくは該アルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物を含有する有機電子輸送材料からなる第3の層と、
有機電子輸送材料のみからなる第4の層と、がこの順で積層されたユニットを有し、
前記第1の層の前記第2の層と接する面と反対側の面の表面粗さRaが、1nm以上10nm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記第1の層の前記第2の層と反対側の面に、補助電極が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記第1の層の前記第2の層と反対側の面に、有機材料からなる有機層または無機材料からなる無機層が積層され、
前記有機層又は無機層の前記第2の層と反対側の面に透明導電性層が積層されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記有機層及び前記無機層が、一定のパターン形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記透明導電性層の前記有機層又は無機層との反対側の面に、補助電極が積層されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記第2の層のアルカリ金属もしくはアルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物と、前記第3の層に含有されるアルカリ金属もしくはアルカリ金属化合物、またはアルカリ土類金属もしくはアルカリ土類金属化合物とが同一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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