本発明の実施形態に係る高周波モジュールについて、図を参照して説明する。本実施形態では、高周波モジュールとして、それぞれに異なる周波数帯域を利用した第1、第2、第3の通信信号を送受信する高周波スイッチモジュールを例に説明する。図1は本実施形態の高周波モジュール10の主要構成を示す外観斜視図である。高周波モジュール10は、スイッチIC素子SWIC、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3を備えている。
高周波モジュール10は誘電体層を所定層数だけ積層してなる積層体11と、当該積層体11内に形成される回路素子および積層体の天面に実装される回路素子により形成される。この実装される回路素子により、スイッチIC素子SWIC、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3が実現される。そして、高周波モジュール10を構成する、これらスイッチIC素子SWIC、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3以外の構成要素が、積層体10の天面(実装面)、底面、および内部に形成された電極パターン(ビアホールを含む)により実現される。なお、積層体11の実装面上には絶縁性保護材12が形成されている。
次に、高周波モジュール10の具体的回路構成について説明する。図2は本発明の実施形態に係る高周波スイッチモジュール10の回路図である。
スイッチIC素子SWICは、単一の共通端子PIC0と、三個の個別端子PIC11,PIC12,PIC13を備え、グランドGNDに接続されている。スイッチIC素子SWICには駆動電圧Vddおよび制御電圧Vc1が印加されており、当該制御電圧Vc1を制御することで、単一の共通端子PICを三個の個別端子PIC11,PIC12,PIC13のいずれかに接続する。
スイッチIC素子SWICの共通端子PIC0は、アンテナ側電極パターンTanを介して高周波モジュール10のアンテナ側外部接続用ランドPanに接続している。このアンテナ側外部接続用ランドPanは、外部のアンテナANTに接続している。
スイッチIC素子SWICの第1個別端子PIC11は、第1の電極パターンTrc1を介して、第1のSAWデュプレクサSDP1のアンテナ側実装用電極Psc1に接続している。
第1のSAWデュプレクサSDP1は、アンテナ側ポートPsc1、送信信号入力側ポートPstx1、受信信号側ポートPsrx1を備える。なお、第1のSAWデュプレクサSDP1は、グランド接続用ポートも備える。
第1のSAWデュプレクサSDP1は、アンテナ側ポートPsc1と送信信号入力側ポートPstx1との間に配設された第1SAWフィルタと、アンテナ側ポートPsc1と受信信号出力側ポートPsrx1との間に配設された第2SAWフィルタとからなる。第1SAWフィルタは、第1通信信号の送信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。第2SAWフィルタは、第1通信信号の受信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。
第1のSAWデュプレクサSDP1の送信信号入力側ポートPstx1は、第1の送信側電極パターンTrt1を介して、高周波モジュール10の第1の送信側外部接続用ランドPMtx1に接続している。
第1のSAWデュプレクサSDP1の受信信号出力側ポートPsrx1は、第1の受信側電極パターンTrr1を介して、高周波モジュール10の第1の受信側外部接続用ランドPMrx1に接続している。
第2のSAWデュプレクサSDP2は、アンテナ側ポートPsc2、送信信号入力側ポートPstx2、受信信号側ポートPsrx2を備える。なお、第2のSAWデュプレクサSDP2は、グランド接続用ポートも備える。
第2のSAWデュプレクサSDP2は、アンテナ側ポートPsc2と送信信号入力側ポートPstx2との間に配設された第3SAWフィルタと、アンテナ側ポートPsc2と受信信号出力側ポートPsrx2との間に配設された第4SAWフィルタとからなる。第3SAWフィルタは、第2通信信号の送信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。第4SAWフィルタは、第2通信信号の受信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。
第2のSAWデュプレクサSDP2の送信信号入力側ポートPstx2は、第2の送信側電極パターンTrt2を介して、高周波モジュール10の第2の送信側外部接続用ランドPMtx2に接続している。
第2のSAWデュプレクサSDP2の受信信号出力側ポートPsrx2は、第2の受信側電極パターンTrr2を介して、高周波モジュール10の第2の受信側外部接続用ランドPMrx2に接続している。
第3のSAWデュプレクサSDP3は、アンテナ側ポートPsc3、送信信号入力側ポートPstx3、受信信号側ポートPsrx3を備える。なお、第3のSAWデュプレクサSDP3は、グランド接続用ポートも備える。
第3のSAWデュプレクサSDP3は、アンテナ側ポートPsc3と送信信号入力側ポートPstx3との間に配設された第5SAWフィルタと、アンテナ側ポートPsc3と受信信号出力側ポートPsrx3との間に配設された第6SAWフィルタとからなる。第5SAWフィルタは、第3通信信号の送信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。第6SAWフィルタは、第3通信信号の受信信号周波数帯域を通過帯域とし、それ以外の周波数帯域を遮断帯域とする。
第3のSAWデュプレクサSDP3の送信信号入力側ポートPstx3は、第3の送信側電極パターンTrt3を介して、高周波モジュール10の第3の送信側外部接続用ランドPMtx3に接続している。
第3のSAWデュプレクサSDP3の受信信号出力側ポートPsrx3は、第3の受信側電極パターンTrr3を介して、高周波モジュール10の第3の受信側外部接続用ランドPMrx3に接続している。
次に、上述の回路構成からなる高周波モジュール10の具体的な構造について説明する。図3は本実施形態に係る高周波モジュール10の積層図である。図4は本実施形態に係る高周波モジュール10の実装用ランドと外部接続用ランドとの位置関係を説明するための図である。図4(A)は、積層体11の実装面となる誘電体層PL1表面の実装用ランドパターンおよびスイッチIC素子SWIC、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の配置図である。図4(B)は積層体11の底面となる誘電体層PL12の外部接続用ランドの配置パターンを示す図である。図4(C)は、誘電体層PL1と誘電体層PL12とを重ね合わせて見た図である。なお、図3、図4の各層に記載の丸印は、層間を接続する導電性ビアホールである。
高周波モジュール10を構成する積層体11は、12層からなる誘電体層PL1−PL12を積層してなる。
積層体11の最上層となる誘電体層PL1の表面(積層体11の天面)には、スイッチIC素子SWIC、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3を実装するための実装用ランドが所定パターンで配置されている。なお、図3では、これらの素子とともに複数のディスクリート部品が実装されているが、本願発明の特徴に本質的に関係するものではないので、他の図には記載していない。
より具体的な誘電体層PL1の実装用ランドの配置パターンを説明する。
SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3は、同じ形状であり、上述の送信信号入力側ポート、受信信号出力側ポートおよびグランド接続用ポートに対応する実装用電極の配置パターンも同じである。したがって、これら実装用電極が実装される積層体11の実装用ランドの配置パターンも同じである。
その配置の一例としてSAWデュプレクサSDP1に対する実装用ランドの配置を説明する。図4(A)に示すように、SAWデュプレクサSDP1の筐体の長手方向に沿った二側辺の一方辺に沿って、送信信号入力側ポートPstx1用の実装用ランド、グランド接続用ポートPGNDの実装用ランドおよび受信信号出力側ポートPsrx1の実装用ランドがこの順で形成されている。また、前記長手方向に沿った二側辺の他方辺に沿って、グランド接続用ポートPGNDの実装用ランド、アンテナ側ポートPsc1の実装用ランド、グランド接続用ポートPGNDの実装用ランドがこの順で形成されている。さらに、短手方向に沿って、送信信号入力側ポートPstx1用の実装用ランドとグランド接続用ポートPGNDの実装用ランドとの間、グランド接続用ポートPGNDの実装用ランドとアンテナ側ポートPsc1の実装用ランドとの間、および受信信号出力側ポートPsrx1用の実装用ランドとグランド接続用ポートPGNDの実装用ランドとの間に、それぞれグランド接続用ポートPGNDの実装用ランドが形成されている。
そして、これらSAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3は、短手方向に沿って並ぶように配置されるので、これらに対する各実装用ランドパターンもSAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3毎に、短手方向に沿って配列形成されている。
この際、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の実装される向きが同じになるように、実装用ランドパターンが形成されている。
さらに、各SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドが、積層体11の長手方向に沿った一方の側辺近傍となり、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の短手方向が積層体11の長手方向と平行になるように、実装用ランドパターンが形成されている。
スイッチIC素子SWICの実装用ランドは、各SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の実装用ランド群に対して、受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランド群が配列された側と反対側の領域に形成されている。すなわち、スイッチIC素子SWICの実装用ランド群は、送信信号入力側ポートPstx1,Pstx2,Pstx3の実装用ランド群が配列された側である積層体11の長手方向に沿った他方の側辺近傍に形成されている。このように、スイッチIC素子SWICを、送信信号入力側ポート側に配置することにより、送信側と受信側のアイソレーションを向上することができる。
さらに、スイッチIC素子SWICの実装用ランド群における共通端子PICの実装用ランドは、SAWデュプレクサSDP1のアンテナ側ポートPsc1の実装用ランドの形成位置に近い短手方向に沿った側辺近傍となるように形成されている。すなわち、スイッチIC素子SWICの共通端子PIC0の実装用ランドは、各SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の送信信号入力側ポートPstx1,Pstx2,Pstx3に対して、極力遠い位置となるように、形成されている。
実装用ランドの配置パターンすなわちSAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の実装パターンをこのように設定することで、各SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の各送信信号入力側ポートPstx1,Pstx2,Pstx3、各受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3、アンテナ側ポートPsc1,Psc2,Psc3のそれぞれが、所定間隔で離間し、且つそれぞれの間にグランド接続用ポートPGNDが介する構成となる。これにより、各ポート間の干渉(不必要な電磁界結合)を抑圧し、高いアイソレーションを確保することができる。
受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドの形成位置には、誘電体層PL1−PL12を貫く導電性のビアホールが形成されている。
これらのビアホールにより、受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドと、積層体11の底面に形成された第1、第2、第3の受信側外部接続用ランドPMrx1,PMrx2,PMrx3とが、積層方向にほぼ最短距離で接続される。これにより、各実装用ランドと、各外部接続用ランドとを低損失に接続することができる。また、これらビアホールは、積層体11を平面視して、ほぼ等間隔に所定間隔を開けて配置されているので、ビアホール間のアイソレーションを確保することができる。また、積層方向に延びる短い電極となるので、誘電体層の面に平行に形成される後述の第1、第2、第3の電極パターンTrc1,Trc2,Trc3および第1、第2、第3の送信側電極パターンTrt1,Trt2,Trt3との干渉を抑制でき、送信系回路およびアンテナ側回路に対するアイソレーションをさらに高く確保することができる。
なお、理想的には、完全に直線状に誘電体層PL1−PL12を貫く導電性のビアホールを用いるのが良いが、途中の誘電体層にて、ビアホールの直径の数個分に相当する内層電極パターンで、上下のビアホールを電気的に接続するような構造であってもよい。この場合、送信信号入力側ポートPstx1,Pstx2,Pstx3に近づかないように内層電極パターンを形成するとよい。
誘電体層PL2には、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3用の内層グランド電極GNDiが形成されている。
誘電体層PL3には、スイッチIC素子SWIC用の内層グランド電極GNDiが形成されている。このように、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3用の内層グランド電極GNDiとスイッチIC素子SWIC用の内層グランド電極GNDiとを異なる層に形成することで、これら内層グランド電極間による不要な電磁界結合を防止でき、内層グランド電極を介して各送信信号や各受信信号が不要に伝送することを防止できる。
また、誘電体層PL3には、上述のスイッチIC素子SWICとSAWデュプレクサSDP1とを接続する第1の電極パターンTrc1、スイッチIC素子SWICとSAWデュプレクサSDP2とを接続する第2の電極パターンTrc2、スイッチIC素子SWICとSAWデュプレクサSDP3とを接続する第3の電極パターンTrc3が形成されている。
誘電体層PL4、PL5には、誘電体層PL3と同様に、スイッチIC素子SWIC用の内層グランド電極GNDiが形成されている。
また、誘電体層PL4,PL5,PL6,PL7には、高周波モジュール10を構成するインダクタ(回路図上は図示せず)を実現する内層電極パターンが形成されている。
誘電体層PL7には、上述のSAWデュプレクサSDP1と高周波モジュール10の第1の送信側外部接続用ランドPMtx1とを接続する第1の送信側電極パターンTrt1、SAWデュプレクサSDP2と高周波モジュール10の第1の送信側外部接続用ランドPMtx2とを接続する第2の送信側電極パターンTrt2、SAWデュプレクサSDP3と高周波モジュール10の第3の送信側外部接続用ランドPMtx3とを接続する第3の送信側電極パターンTrt3が形成されている。
この際、第1、第2、第3の送信側電極パターンTrt1,Trt2,Trt3は、送信信号入力側ポートPstx1,Pstx2,Pstx3の実装位置を起点として、受信信号側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランド側と反対側の方向へ延びるように形成される。これにより、受信系回路を構成する上述のビアホールとの間のアイソレーションを確保することができる。そして、これら第1、第2、第3の送信側電極パターンTrt1,Trt2,Trt3は、積層体11の短手方向に沿って、ほぼ全辺に亘って平行に形成されている。これにより、これら第1、第2、第3の送信側電極パターンTrt1,Trt2,Trt3についても、アイソレーションを向上させることができる。
また、これら第1、第2、第3の送信側電極パターンTrt1,Trt2,Trt3は、受信信号側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドに接続するビアホールに近づくことなく、離間するように形成されているので、送信側回路と受信側回路との間のアイソレーションを確保することもできる。
誘電体層PL8には、ビアホールのみが形成されている。
誘電体層PL9には、略全面に内層グランド電極GNDiが形成されている。
誘電体層PL10には、高周波モジュール10を構成するキャパシタ(回路図上は図示せず)を実現する内層電極パターンおよび上述のインダクタ用の配線パターンが形成されている。
誘電体層PL11には、略全面に内層グランド電極GNDiが形成されている。
積層体11の底面を構成する誘電体層PL12の底面側には、各種外部接続用ランドが形成されている。誘電体層PL12を平面視した中央には、外部グランド接続用ランドGNDが形成されている。
誘電体層PL12の長手方向に沿った一方の側辺(上述の受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドが配置される側の側辺)近傍には、当該長手方向に沿って、第3の受信側外部接続用ランドPMrx3、二つの外部グランド接続用ランドGND、第2の受信側外部接続用ランドPMrx2、二つの外部グランド接続用ランドGND、第1の受信側外部接続用ランドPMrx1、二つの外部グランド接続用ランドGNDが、この順で配設されている。この際、積層体11を積層方向に沿って見て、第3の受信側外部接続用ランドPMrx3と受信信号出力側ポートPsrx3の実装用ランドとが重なり合い、第2の受信側外部接続用ランドPMrx2と受信信号出力側ポートPsrx2の実装用ランドとが重なり合い、第1の受信側外部接続用ランドPMrx1と受信信号出力側ポートPsrx1の実装用ランドとが重なり合うように、各外部接続用ランドが形成されている。これにより、それぞれ対応する実装用ランドと外部接続用ランドとを、積層体11を貫通するビアホールのみで最短距離にて接続することができる。
誘電体層PL12の長手方向に沿った他方の側辺(上述の受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドが配置される側と反対側の側辺)近傍には、当該長手方向に沿って、第3の送信側外部接続用ランドPMtx3、外部グランド接続用ランドGND、第2の送信側外部接続用ランドPMtx2、外部グランド接続用ランドGND、第1の送信側外部接続用ランドPMrx1、制御電圧Vc1印加のための外部接続用ランド、駆動電圧Vdd印加のための外部接続用ランド、外部グランド接続用ランドGND、アンテナ側外部接続用ランドPanが、この順で配設されている。
第1の送信側外部接続用ランドPMrx1はビアホールを介して、誘電体層PL7の第1の送信側電極パターンTrt1に接続している。第2の送信側外部接続用ランドPMrx2はビアホールを介して、誘電体層PL7の第2の送信側電極パターンTrt2に接続している。第3の送信側外部接続用ランドPMrx3はビアホールを介して、誘電体層PL7の第3の送信側電極パターンTrt3に接続している。
誘電体層PL12の短手方向に沿った二辺には、外部グランド接続用ランドGNDのみが配設されている。
このように、第1、第2、第3の送信側外部接続用ランドPMtx1,PMtx2,PMtx3と第1、第2、第3の受信側外部接続用ランドPMrx1,PMrx2,PMrx3とが、積層体11の対向するに二辺に沿って離間して配置されることで、当該外部接続用ランドの配置パターンにおいて、送信系回路と受信系回路とのアイソレーションを確保することができる。
また、アンテナ側外部接続用ランドPanと第1、第2、第3の受信側外部接続用ランドPMrx1,PMrx2,PMrx3とが、積層体11の対向するに二辺に沿って離間して配置されることで、当該外部接続用ランドの配置パターンにおいて、アンテナ側回路と受信系回路とのアイソレーションを確保することができる。
また、第1、第2、第3の送信側外部接続用ランドPMrx1,PMrx2,PMrx3の内のアンテナ側外部接続用ランドPanに最も近い第1の送信側外部接続用ランドPMrx1とアンテナ側外部接続用ランドPanとの間に、制御電圧Vc1印加のための外部接続用ランド、駆動電圧Vdd印加のための外部接続用ランド、外部グランド接続用ランドGNDが配設されることで、アンテナ側回路と送信側回路とのアイソレーションも確保することができる。
また、上述のように、積層体11内においても、送信系回路およびアンテナ側回路(電極パターンおよびビアホール)と受信系回路(ビアホール)とが離間して配設されるので、積層体11内の構造においても、アンテナ側回路および送信系回路と、受信系回路とのアイソレーションを確保することができる。
また、上述の内層グランド電極GNDiおよび外部グランド接続用ランドGNDは、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3のグランド接続用ポートPGNDの実装用ランドに対して、積層方向に見て重なり合うように形成されており、これらのランドや電極は、ビアホールにより積層方向に沿って接続されている。このような構成とすることで、これらのグランド接続用ポートPGNDの実装用ランド、内層グランド電極GNDi、外部グランド接続用ランドGNDおよびこれらを接続するビアホール群により、アンテナ側回路および送信系回路と、受信系回路との間にグランドに接続する電極が配置されることになる。したがって、アンテナ側回路および送信系回路と受信系回路との間に、さらに高いアイソレーションを確保することができる。
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、高周波モジュール10の全体において、受信系回路と、送信系回路およびアンテナ側回路との間の干渉を抑圧し、高いアイソレーションを有する高周波モジュールを実現することができる。
なお、上述の説明では、第1、第2、第3の受信側外部接続用ランドPMrx1,PMrx2,PMrx3と受信信号出力側ポートPsrx1,Psrx2,Psrx3の実装用ランドとが積層方向から見て重なり合う構成を例に示した。しかしながら、これらは部分的に重なったり、近接する位置関係になったりしてもよい。
さらには、これらの受信系の実装用ランドと外部接続用ランドとの位置関係は、送信系回路に対して受信系回路の配線パターンが所定間隔以上空き、積層方向から見て重なり合わないように形成されていればよい。したがって、例えば、図5に示すように、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の実装位置はそのままで、SAWデュプレクサSDP1,SDP2,SDP3の配列方向と直交する方向に沿って受信系の外部接続用ランドが配列形成することも可能である。図5は本実施形態に係る他の構成の高周波モジュールの実装用ランドと外部接続用ランドとの位置関係を説明するための図である。図5(A)は、積層体の実装面となる誘電体層PL1A表面の実装用ランドパターン図である。図5(B)は積層体の底面となる誘電体層PL12Aの外部接続用ランドの配置パターンを示す図である。
また、上述の説明では、三個のSAWデュプレクサを用いた高周波モジュールを例に説明したが、他の個数のSAWデュプレクサを用いる場合であっても、上述の構成を適用することができる。
また、上述の説明では、積層体11の天面にSAWデュプレクサを実装する例を示したが、場合によっては積層体11の所定の中間層にSAWデュプレクサSDP等を実装するような構成であってもよい。