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JP5626795B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

複層塗膜形成方法 Download PDF

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JP5626795B2 JP2011054349A JP2011054349A JP5626795B2 JP 5626795 B2 JP5626795 B2 JP 5626795B2 JP 2011054349 A JP2011054349 A JP 2011054349A JP 2011054349 A JP2011054349 A JP 2011054349A JP 5626795 B2 JP5626795 B2 JP 5626795B2
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Description

本発明は、3コート1ベーク方式で優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成せしめることができる方法及び該方法により形成された塗装物品に関する。
従来、自動車車体における塗膜形成方法としては、被塗物に電着塗装を施し、加熱硬化せしめた後、「中塗り塗料の塗装→焼き付け硬化→ベースコート塗料の塗装→クリヤー塗料の塗装→焼き付け硬化」を順次行なう3コート2ベーク方式により複層塗膜を形成せしめる方法が広く採用されている。
これに対し、省エネルギーの観点から、中塗り塗料の塗装後の焼き付け硬化工程を省略し、「中塗り塗料の塗装→ベースコート塗料の塗装→クリヤー塗料の塗装→焼き付け硬化」を順次行なう3コート1ベーク方式が検討されている。
しかしながら、上記3コート1ベーク方式では、中塗り塗膜とベース塗膜との混層が起こりやすいため、得られる塗膜の平滑性や鮮映性が低下したり、塗膜間における硬化剤の移行に伴う硬化バランスの変化によると推察される耐チッピング性の低下が生じたりするなどの問題がある。
上記問題に対し、例えば特許文献1には、3コート1ベーク方式において、中塗り塗料組成物が特定のポリエステル樹脂及び特定の硬化剤を含有する場合に、平滑性、鮮映性、耐チッピング性及び耐水性に優れた塗膜が得られることが記載されている。
WO2007/126107号公報
しかしながら、前記特許文献1で得られる塗膜においても、特に第1着色塗膜の硬化膜厚が薄い場合には耐チッピング性が不十分な場合があった。
本発明はこれらの点を考慮してなされたものであり、第1着色塗料、第2着色塗料及びクリヤー塗料を用いた3コート1ベーク方式の塗装方法において、優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成できる複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により塗装された物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、被塗物上に第1着色塗料、第2着色塗料及びクリヤー塗料を順次塗装する3コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法において、第1着色塗料として特定の水酸基含有ウレタン樹脂及び硬化剤を含有する着色塗料を使用する場合に、優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品を提供するものである。
1.
下記の工程(1)〜(4):
(1) 被塗物上に、ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる水酸基含有ウレタン樹脂(U)並びに硬化剤(C)を含有する第1着色塗料(X)を塗装して、未硬化の第1着色塗膜を形成する工程、
(2) 工程(1)で得られた未硬化の着色塗膜上に第2着色塗料(Y)を塗装して、未硬化の第2着色塗膜を形成する工程、
(3) 工程(2)で得られた未硬化の第2着色塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、ならびに
(4) 工程(1)〜(3)で形成された未硬化の第1着色塗膜、未硬化の第2着色塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことを特徴とする複層塗膜形成方法。
2.
前記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)が、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートである上記項1に記載の複層塗膜形成方法。
3.
前記その他のポリオール化合物(a2)が、下記一般式(1)で示されるポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)および下記一般式(2)で示されるポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の少なくとも一方のジオール化合物(a2−1)を含有する上記項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
Figure 0005626795
〔式(1)中、Rは炭素数3以上のアルキレン基を表し、mは2〜100の整数を表す。m個の繰り返し単位中の各Rは同一であっても互いに異なっていてもよい。〕
Figure 0005626795
〔式(2)中、複数個のRはそれぞれ独立に炭素数3以上のアルキレン基を表し、nは2〜100の整数を表す。〕
4.
前記ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1が1〜75mol%の範囲内であり、かつポリオール成分(a)の総量に対するジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1が10〜99mol%の範囲内であり、かつ上記Ca1とCa2−1との比Ca1/Ca2−1が1/99〜75/25の範囲内である上記項3に記載の複層塗膜形成方法。
5.
前記ポリイソシアネート化合物(b)が、脂環族ジイソシアネートである上記項1〜4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
6.
前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)の水酸基価が1〜100mgKOH/gの範囲内である上記項1〜5のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
7.
前記硬化剤(C)が、ブロック化ポリイソシアネート化合物である上記項1〜6のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
8.
前記第1着色塗料(X)がエポキシ樹脂を含有する上記項1〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
9.
前記第1着色塗料(X)を塗装して硬化させたときの第1着色塗膜の膜厚が2〜15μmである上記項1〜8のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
10.
前記第1着色塗料(X)の塗装後にプレヒートを行うことなく前記第2着色塗料(Y)を塗装する上記項1〜9のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
11.
上記項1〜10のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、第1着色塗料、第2着色塗料及びクリヤー塗料を用いた3コート1ベーク方式の塗装方法において、第1着色塗料として、上記特定の水酸基含有ウレタン樹脂及び硬化剤を含有する着色塗料を使用することで、優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成することができる。
以下、本発明の複層塗膜形成方法についてさらに詳細に説明する。
工程(1)
本発明の複層塗膜形成方法の工程(1)においては、被塗物上に、第1着色塗料(X)が塗装される。
上記被塗物としては、特に限定されないが、例えば、乗用車、トラック、オートバイおよびバス等の自動車車体の外板部、自動車部品、鉄道車両の外板部、道路標識並びにガードレール等を挙げることができる。これらのうち、自動車車体の外板部および自動車部品が好ましい。なかでも、優れた平滑性が要求される自動車車体のフード部およびルーフ部が好ましい。
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼および亜鉛合金(例えば、Zn−Al、Zn−NiおよびZn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂等の樹脂類並びに各種のFRP等のプラスチック材料;セメントおよびコンクリート等の無機材料等を挙げることができる。これらのうち、金属材料およびプラスチック材料が好ましく、金属材料が特に好ましい。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理および複合酸化物処理等の表面処理を施したものであってもよく、さらに、その上に塗膜を形成したものであってもよい。
塗膜形成を施した被塗物としては、基材に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜を形成したもの、および該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜を形成したもの等を挙げることができる。なかでも、基材に必要に応じて表面処理を施し、その上に電着塗料を塗装して下塗り塗膜を形成したものが好適である。電着塗料としては、カチオン性電着塗料が好ましい。
第1着色塗料(X)
第1着色塗料(X)はヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる水酸基含有ウレタン樹脂(U)並びに硬化剤(C)を含有する塗料組成物である。
〔水酸基含有ウレタン樹脂(U)〕
水酸基含有ウレタン樹脂(U)は、ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる。
〔ポリオール成分(a)〕
ポリオール成分(a)は、下記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなる。
〔ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)〕
ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)としては、例えば、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートおよびトリス(ヒドロキシブチル)イソシアヌレート等のトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、該トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン変性体、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジオール化合物およびジカルボン酸を、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートおよびジオール化合物の中の水酸基がジカルボン酸中のカルボキシル基に対し過剰な状態で反応させて得られるトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのエステル化物並びにヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物とジオール化合物とを、ジオール化合物中の水酸基がヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基に対し過剰な状態で反応させて得られる反応生成物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのなかでも、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン変性体が好ましく、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートがさらに好ましい。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1は、1〜75mol%の範囲内であることが好ましく、10〜65mol%の範囲内であることがより好ましく、20〜60mol%の範囲内であることがさらに好ましく、40〜50mol%の範囲内であることが特に好ましい。
〔その他のポリオール化合物(a2)〕
その他のポリオール化合物(a2)は、上記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)以外のポリオール化合物である。
その他のポリオール化合物(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリアルキレンポリオールおよびポリアクリルポリオール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのなかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、ポリエーテルポリオールおよび/又はポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイド等)の重合体又は共重合体、複素環式エーテル(例えば、テトラヒドロフラン等)の重合体又は共重合体並びにアルキレンオキサイドおよび複素環式エーテルの共重合体等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール(ブロック又はランダム共重合体)、ポリエチレン−テトラメチレングリコール(ブロック又はランダム共重合体)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレングリコール並びにグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオールおよび1,2,4−ブタントリオール等の多価アルコールを開始剤とし、該開始剤にアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイド等)を付加してなる化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートおよびホスゲン等の炭酸誘導体と、ポリオールとの反応により得られるポリカーボネートポリオールを使用することができる。
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパンおよびシクロヘキサンジメタノール等のジオール並びにトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、シクロヘキサン−1,2,3−トリメタノール、シクロヘキサン−1,2,4−トリメタノール、シクロヘキサン−1,3,5−トリメタノール、モノエタノールアミンとグリシドールとの反応生成物およびペンタエリスリトール等のトリオール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記ポリオールとしては、ジオールを使用することが好ましい。ジオールとしては、得られる塗膜の耐チッピング性の観点から、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび2−メチル−1,5−ペンタンジオールが好適に挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の「T−5650J」(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオール)、「T−4671」および「T−4672」(いずれもジオール成分:1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−ブタンジオール)並びに宇部興産社製の「UM−CARB90」(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール)および「UH−CARB200」(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオール)等を挙げることができる。
なかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、前記その他のポリオール化合物(a2)が、下記一般式(1)で示されるポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)および下記一般式(2)で示されるポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の少なくとも一方のジオール化合物(a2−1)を含有することが好ましい。なかでも、形成される塗膜の耐チッピング性の観点から、上記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)がより好ましい。
Figure 0005626795
式(1)中、Rは炭素数3以上のアルキレン基を表す。Rの炭素数は3以上であり、3〜6が好ましく、4〜5がより好ましい。mは2〜100の整数を表し、4〜80が好ましく、8〜40がより好ましい。m個の繰り返し単位中の各Rは、同一であっても互いに異なっていてもよい。
Figure 0005626795
式(2)中、複数個のRはそれぞれ独立に、炭素数3以上のアルキレン基を表す。Rの炭素数は3以上であり、3〜22が好ましく、4〜9がより好ましく、6〜9がさらに好ましい。nは2〜100の整数を表し、4〜80が好ましく、8〜40がより好ましい。
前記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)としては、例えば、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールおよびポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。
前記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、三洋化成社製の「ニューポールPP−1000」および「ニューポールPP−2000」、三菱化学社製の「PTMG650」、「PTMG1000」、「PTMG1500」、「PTMG2000」および「PTMG3000」並びにBASF−Japan社製の「POLYTHF1000S」等を挙げることができる。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)の含有割合Ca2−1−1は、10〜99mol%の範囲内であることが好ましく、20〜90mol%の範囲内であることがより好ましく、30〜80mol%の範囲内であることがさらに好ましく、40〜70mol%の範囲内であることが特に好ましい。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、前記ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1と、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)の含有割合Ca2−1−1との比Ca1/Ca2−1−1が、1/99〜75/25の範囲内であることが好ましく、10/90〜70/30の範囲内であることがより好ましく、15/85〜60/40の範囲内であることがさらに好ましく、30/70〜45/55の範囲内であることが特に好ましい。
上記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)の水酸基価は、得られる塗膜の耐水性の観点から、10〜180mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、30〜150mgKOH/gの範囲内であることがより好ましく、50〜120mgKOH/gの範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)の数平均分子量は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、400〜10,000の範囲内であることが好ましく、500〜5,000の範囲内であることがより好ましく、700〜2,500の範囲内であることがさらに好ましく、800〜1,500の範囲内であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。
具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」および「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:ジメチルスルホキシド、測定温度:40℃、流速:1mL/分の条件下で測定することができる。
前記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートおよびホスゲン等の炭酸誘導体と、炭素数3以上のアルキレン基を有するジオールとの反応により得られるポリカーボネートジオールを使用することができる。
該炭素数3以上のアルキレン基を有するジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、得られる塗膜の耐チッピング性の観点から、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび2−メチル−1,5−ペンタンジオールが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
上記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の「T−5650J」、「T−4671」および「T−4672」並びに宇部興産社製の「UH−CARB50」、「UH−CARB100」、「UH−CARB200」および「UH−CARB300」等を挙げることができる。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の含有割合Ca2−1−2は、10〜99mol%の範囲内であることが好ましく、20〜90mol%の範囲内であることがより好ましく、30〜80mol%の範囲内であることがさらに好ましく、40〜70mol%の範囲内であることが特に好ましい。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、前記ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1とポリオール成分(a)の総量に対する上記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の含有割合Ca2−1−2との比Ca1/Ca2−1−2は、1/99〜75/25の範囲内であることが好ましく、10/90〜70/30の範囲内であることがより好ましく、15/85〜60/40の範囲内であることがさらに好ましく、30/70〜45/55の範囲内であることが特に好ましい。
前記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の水酸基価は、得られる塗膜の耐水性の観点から、10〜240mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、30〜150mgKOH/gの範囲内であることがより好ましく、50〜120mgKOH/gの範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記ポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の数平均分子量は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、400〜10,000の範囲内であることが好ましく、500〜5,000の範囲内であることがより好ましく、800〜3,500の範囲内であることがさらに好ましく、1,500〜2,500の範囲内であることが特に好ましい。
また、ジオール化合物(a2−1)として、前記ポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)およびポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)を併用する場合、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1は、10〜99mol%の範囲内であることが好ましく、20〜90mol%の範囲内であることがより好ましく、30〜80mol%の範囲内であることがさらに好ましく、40〜70mol%の範囲内であることが特に好ましい。
また、得られる塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)の総量に対する前記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1と、ポリオール成分(a)の総量に対する上記ジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1との比Ca1/Ca2−1が、1/99〜75/25の範囲内であることが好ましく、10/90〜70/30の範囲内であることがより好ましく、15/85〜60/40の範囲内であることがさらに好ましく、30/70〜45/55の範囲内であることが特に好ましい。
〔ポリイソシアネート化合物(b)〕
ポリイソシアネート化合物(b)は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネート化合物(b)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのポリイソシアネートの誘導体等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートおよび2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)などの脂肪族ジイソシアネート並びに2,6−ジイソシアナトヘキサン酸2−イソシアナトエチル、1,6−ジイソシアナト−3−イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサンおよび2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)またはその混合物、メチレンビス(1,4−シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)およびノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート並びに1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタンおよび6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(1,4−フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物、ω,ω'−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼンおよび1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)又はその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート並びに1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネートまたはその混合物、4,4'−トルイジンジイソシアネートおよび4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4''−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼンおよび2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート並びに4,4'−ジフェニルメタン−2,2',5,5'−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどを挙げることができる。
また、前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、前記ポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)およびクルードTDIなどを挙げることができる。
上記ポリイソシアネート化合物(b)としては、得られる塗膜の耐チッピング性、耐水性、平滑性および鮮映性の観点から、脂環族ジイソシアネートおよび該脂環族ジイソシアネートの誘導体が好ましく、脂環族ジイソシアネートがより好ましい。
〔水酸基含有ウレタン樹脂(U)の製造方法〕
水酸基含有ウレタン樹脂(U)は、前記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる。
具体的には、例えば、上記ポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)とを、ポリイソシアネート化合物(b)中のイソシアネート基に対して、ポリオール成分(a)中の水酸基が過剰となるようにして反応させることにより得ることができる。
上記ポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との配合割合は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、ポリオール成分(a)中の水酸基のモル数とポリイソシアネート化合物(b)中のイソシアネート基のモル数との比OH/NCOが、51/49〜80/20の範囲内になるように調整することが好ましく、53/47〜70/30の範囲内がより好ましく、55/45〜65/35の範囲内がさらに好ましい。
上記ポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応は、従来から公知の方法によって行なうことができる。具体的には、例えば、水酸基およびイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤を反応溶媒として、上記ポリオール成分(a)およびポリイソシアネート化合物(b)を、好ましくは10〜170℃、より好ましくは20〜150℃の範囲内の温度で、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜8時間の範囲内で反応させることによって行なうことができる。
前記反応溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、トルエンおよびキシレン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記の反応においては、必要に応じて、触媒、反応停止剤および鎖延長剤等を使用することができる。
前記触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛およびテトラn−ブチルチタネート等の金属と有機および無機酸との塩、有機金属誘導体、トリエチルアミン等の有機アミン並びにジアザビシクロウンデセン系触媒等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記反応停止剤としては、例えば、モノアルコールおよびモノアミン等の単官能性の化合物並びにイソシアネートに対して異なる反応性を持つ2種の官能基を有する化合物等を使用することができる。
前記反応停止剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールおよびtert−ブチルアルコール等のモノアルコール、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンおよびジ−n−ブチルアミン等のモノアミン並びにモノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、アルカノールアミン類が反応制御し易いという点で好ましい。また、前記反応停止剤は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)の数平均分子量を調整するために使用することができる。
前記鎖延長剤としては、例えば、水およびポリアミン等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサンおよびイソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン、キシリレンジアミンおよびテトラメチルキシリレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミンおよびフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン並びにヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジドおよびフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、水酸基含有ウレタン樹脂(U)は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、水酸基価が1〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、10〜80mgKOH/gの範囲内であることがより好ましく、20〜50mgKOH/gの範囲内であることがさらに好ましい。
また、水酸基含有ウレタン樹脂(U)は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜70,000の範囲内であることがより好ましく、30,000〜50,000の範囲内であることがさらに好ましい。
また、水酸基含有ウレタン樹脂(U)は、得られる塗膜の耐チッピング性、平滑性および耐水性の観点から、数平均分子量が、2,000〜20,000の範囲内であることが好ましく、4,000〜16,000の範囲内であることがより好ましく、5,000〜12,000の範囲内であることがさらに好ましく、6,000〜9,900の範囲内であることが特に好ましい。
〔硬化剤(C)〕
硬化剤(C)は、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)中の官能基と反応して、本発明の塗料組成物を硬化し得る化合物である。硬化剤(C)と反応する該水酸基含有ウレタン樹脂(U)中の官能基としては、水酸基が好ましい。
硬化剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物およびカルボジイミド基含有化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、水酸基含有ウレタン樹脂(U)中の水酸基と反応し得るポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物およびアミノ樹脂が好ましく、得られる塗膜の耐チッピング性の観点から、ポリイソシアネート化合物および/又はブロック化ポリイソシアネート化合物がさらに好ましく、塗料の貯蔵安定性および塗装作業の容易性の観点から、ブロック化ポリイソシアネート化合物がさらに特に好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物である。具体的には、例えば、上記ポリイソシアネート化合物(b)の説明において記載したポリイソシアネート化合物を使用することができる。なかでも、得られる塗膜の平滑性の観点から、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物である。該ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物を、ブロック剤でブロックした化合物が好ましい。
前記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノールおよびヒドロキシ安息香酸メチルなどのフェノール系、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコールおよびラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール系、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびメトキシメタノールなどのエーテル系、ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系、ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムおよびシクロヘキサンオキシムなどのオキシム系、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチルおよびアセチルアセトンなどの活性メチレン系、ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノールおよびエチルチオフェノールなどのメルカプタン系、アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミドおよびベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミドおよびマレイン酸イミドなどのイミド系、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンおよびブチルフェニルアミンなどアミン系、イミダゾールおよび2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素およびジフェニル尿素などの尿素系、N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系、エチレンイミンおよびプロピレンイミンなどのイミン系、重亜硫酸ソーダおよび重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系並びにアゾール系の化合物等が挙げられる。
前記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾールおよび3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾールおよび2−フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体並びに2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記ブロック剤としては、得られる塗膜の耐チッピング性および平滑性向上の観点から、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤およびピラゾール又はピラゾール誘導体が好ましく、活性メチレン系のブロック剤が特に好ましい。
また、前記ブロック剤としては、1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸およびジメチロールプロピオン酸なども挙げられる。
本発明の複層塗膜形成方法において第1着色塗料(X)が、硬化剤(C)として、前記ポリイソシアネート化合物および/又はブロック化ポリイソシアネート化合物を含有する場合に、耐チッピング性に優れた塗膜を形成できる理由としては、以下の理由が推察される。
ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)中のヌレート構造と、該ポリイソシアネート化合物およびブロック化ポリイソシアネート化合物との親和性が高いため、ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)を含むポリオール成分(a)を用いて製造される水酸基含有ウレタン樹脂(U)とポリイソシアネート化合物および/又はブロック化ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤(C)との相溶性が高く、該水酸基含有ウレタン樹脂(U)と硬化剤(C)との反応によって形成されるウレタン結合が硬化塗膜中に比較的均一に存在するため、硬化塗膜全体に柔軟性が付与され、耐チッピング性に優れた塗膜が形成されると推察される。
また、前記アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。
アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミンおよびジシアンジアミド等が挙げられる。
アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびベンズアルデヒド等が挙げられる。
また、前記部分メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。
当該エーテル化に用いるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノールおよび2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましい。特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂並びに部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールおよびブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂がより好ましい。
また、上記メラミン樹脂は、重量平均分子量が400〜6,000であるのが好ましく、800〜5,000であるのがより好ましく、1,000〜4,000であるのがさらに好ましく、1,200〜3,000であるのが最も好ましい。
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」および「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
また、硬化剤(C)としてメラミン樹脂を使用する場合は、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸およびジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ2−エチルヘキシルリン酸およびジ2−エチルヘキシルリン酸等のアルキルリン酸エステル並びにこれらの酸とアミン化合物との塩等を触媒として使用することができる。
本発明の複層塗膜形成方法において第1着色塗料(X)における水酸基含有ウレタン樹脂(U)と硬化剤(C)との配合割合は、塗膜の耐チッピング性および耐水性向上の観点から、両者の合計量に基づいて、水酸基含有ウレタン樹脂(U)が30〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることがさらに好ましい。また、硬化剤(C)が5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%程度であることがさらに好ましい。
また、本発明の複層塗膜形成方法において第1着色塗料(X)は、さらに、顔料を含有する。
前記顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料および光輝性顔料等を挙げることができる。該顔料は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第1着色塗料(X)が、上記顔料を含有する場合、該顔料の配合量は、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、10〜120質量部の範囲内であることが好ましく、30〜90質量部の範囲内であることがより好ましく、40〜75質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック(導電性カーボンブラックを含む)、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料およびジケトピロロピロール系顔料などが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、酸化チタンおよびカーボンブラックが好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.01〜120質量部の範囲内であることが好ましく、1〜90質量部の範囲内であることがより好ましく、10〜75質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカおよびアルミナホワイト等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる塗膜の耐チッピング性の観点から、硫酸バリウムおよびタルクが好ましく、タルクがより好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、1〜30質量部の範囲内であることがより好ましく、5〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記光輝性顔料としては、具体的には、例えば、ノンリーフィング型もしくはリーフィング型アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、ガラスフレーク、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンまたは酸化鉄で被覆された酸化アルミニウムおよび酸化チタンまたは酸化鉄で被覆された雲母等が挙げられる。なかでも、アルミニウムが好ましい。
前記光輝性顔料はりん片状であることが好ましい。また、光輝性顔料の長手方向寸法は、1〜100μmの範囲内であることが好ましく、5〜40μmの範囲内であることがより好ましい。光輝性顔料の厚さは、0.001〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜2μmの範囲内であることがより好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、1〜40質量部の範囲内であることが好ましく、3〜20質量部の範囲内であることがより好ましく、5〜15質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また第1着色塗料(X)は、必要に応じて、さらに、硬化触媒、水酸基含有ウレタン樹脂(U)以外の樹脂、中空粒子、エラストマー粒子およびその他の塗料用添加剤等を配合することができる。
上記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛類、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅およびテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートなどの有機金属化合物、第三級アミン並びにりん酸化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第1着色塗料(X)が、上記硬化触媒を含有する場合、該硬化触媒の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.001〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.003〜3質量部の範囲内であることがより好ましく、0.005〜1質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)以外の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂等を使用することができる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテルおよびポリグリセリンポリグリシジルエーテル等の脂肪族型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の複層塗膜形成方法において第1着色塗料(X)は、形成される塗膜の耐水性および耐チッピング性の観点から、前記エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
前記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、「jER827」、「jER828」、「jER828EL」、「jER828XA」、「jER834」(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、「EPICLON840」、「EPICLON840−S」、「EPICLON850」、「EPICLON850−S」、「EPICLON850−CRP」、「EPICLON850−LC」(以上、DIC社製)、「エポトートYD−127」、「エポトートYD−128」(以上、東都化成社製)、「リカレジンBPO−20E」および「リカレジンBEO−60E」(以上、新日本理化社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、「jER806」、「jER807」(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、「EPICLON830」、「EPICLON830−S」、「EPICLON835」(以上、DIC社製)および「エポトートYDF−170」(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;「jER152」(ジャパンエポキシレジン社製)等のノボラック型エポキシ樹脂、「jERYX8000」、「jERYX8034」(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、「エポトートST−3000」(東都化成社製)、「リカレジンHBE−100」(新日本理化社製)「デナコールEX−252」(以上、ナガセケムテックス社製)および「SR−HBA」(阪元薬品工業社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂並びに「YED205」、「YED216M」、「YED216D」(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、「エポトートYH−300」、「エポトートYH−301」、「エポトートYH−315」、「エポトートYH−324」、「エポトートYH−325」(以上、東都化成社製)、「デナコールEX−211」、「デナコールEX−212」、「デナコールEX−212L」、「デナコールEX−214L」、「デナコールEX−216L」、「デナコールEX−313」、「デナコールEX−314」、「デナコールEX−321」、「デナコールEX−321L」、「デナコールEX−411」、「デナコールEX−421」、「デナコールEX−512」、「デナコールEX−521」、「デナコールEX−611」、「デナコールEX−612」、「デナコールEX−614」、「デナコールEX−614B」、「デナコールEX−622」、「デナコールEX−810」、「デナコールEX−811」、「デナコールEX−850」、「デナコールEX−850L」、「デナコールEX−851」、「デナコールEX−821」、「デナコールEX−830」、「デナコールEX−832」、「デナコールEX−841」、「デナコールEX−861」「デナコールEX−911」、「デナコールEX−941」、「デナコールEX−920」、「デナコールEX−931」(以上、ナガセケムテックス社製)、「SR−NPG」、「SR−16H」、「SR−16HL」、「SR−TMP」、「SR−PG」、「SR−TPG」、「SR−4PG」、「SR−2EG」、「SR−8EG」、「SR−8EGS」、「SR−GLG」、「SR−DGE」、「SR−DGE」、「SR−4GL」、「SR−4GLS」および「SR−SEP」(以上、阪元薬品工業社製)等の脂肪族型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、前記エポキシ樹脂は、形成される塗膜の耐チッピング性、耐水性および平滑性の観点から、エポキシ当量が110〜500の範囲内であることが好ましく、130〜350の範囲内であることがより好ましく、150〜250の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記エポキシ樹脂は、形成される塗膜の耐チッピング性、耐水性および平滑性の観点から、数平均分子量が170〜2,800の範囲内であることが好ましく、200〜800の範囲内であることがより好ましく、300〜500の範囲内であることがさらに好ましくは好ましい。また、該エポキシ樹脂は、形成される塗膜の耐チッピング性および耐水性の観点から、水酸基を有することが好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記エポキシ樹脂を含有する場合、該エポキシ樹脂の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、1〜30質量部の範囲内であることがより好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有重合性不飽和モノマーおよびその他の重合性不飽和モノマーをラジカル重合開始剤の存在下に共重合して得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。
前記アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましく、1,500〜100,000の範囲内であることがより好ましい。また、酸価は、5〜150mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、10〜75mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。さらに、水酸基価は10〜160mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、30〜120mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記アクリル樹脂を含有する場合、該アクリル樹脂の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、1〜30質量部の範囲内であることがより好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどの多価アルコールと、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸および無水トリメリット酸などの多価カルボン酸成分との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂等を挙げることができる。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、1,500〜70,000の範囲内であることがより好ましい。また、酸価は1〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、5〜50mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。さらに、水酸基価は10〜160mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、30〜120mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。
第1着色塗料(X)が、上記ポリエステル樹脂を含有する場合、該ポリエステル樹脂の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、1〜30質量部の範囲内であることがより好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
また、前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルブテンおよびイソプレン等から選ばれる少なくとも1種のオレフィン類のラジカル単独重合体又は共重合体並びに該オレフィン類と酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどの重合性不飽和単量体とのラジカル共重合体が挙げられる。
第1着色塗料(X)が、上記ポリオレフィン樹脂を含有する場合、該ポリオレフィン樹脂の配合量は、水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)の合計固形分100質量部を基準として、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、1〜30質量部の範囲内であることがより好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
前記塗料用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤および顔料分散剤等を使用することができる。
第1着色塗料(X)は、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)および硬化剤(C)、並びに、必要に応じて、顔料、硬化触媒、水酸基含有ウレタン樹脂(U)以外の樹脂およびその他の塗料用添加剤等を、公知の方法により、溶媒中で混合し、分散せしめることによって調整することができる。
上記溶媒としては、水および有機溶媒のいずれも使用することができる。該有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ペンタン、イソプロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
また第1着色塗料(X)の固形分は、通常5〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましく、15〜50質量%であるのが更に好ましい。
第1着色塗料(X)は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等により硬化電着塗膜上に塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらのうち、エアスプレー塗装、回転霧化塗装等の方法が好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装を行う場合には、第1着色塗料(X)の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常フォードカップNo.3粘度計において、20℃で15〜21秒、好ましくは17〜19秒程度の粘度範囲となる様に、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
第1着色塗料(X)を硬化させたときの膜厚の上限については平滑性及び鮮映性の観点から15μm以下が好ましく、13μm以下が好ましい。一方、下限については耐チッピング性及び耐候性の観点から2μm以上が好ましく、4μm以上が好ましい。このうち特に耐チッピング性、耐候性、平滑性および鮮映性のバランスの良い塗膜を得る観点から膜厚は5〜10μmが好適である。上記第1着色塗料(X)によって形成される第1着色塗膜は比較的薄い膜厚で塗装された場合でも優れた耐チッピング性を有する。
上記所望の膜厚は第1着色塗料(X)の塗布量を制御することによって得ることができる。
第1着色塗料(X)の塗装後は上記第2着色塗膜を塗装する前に、室温で1〜2分間のインターバルをおいてもよい。あるいは、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行ってもよい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60〜80℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、耐チッピング性に優れた第1着色塗膜を形成できるため、従来の3コート1ベーク方式に比べ、第1着色塗料(X)の塗装膜厚を薄くすることが可能であり、上記プレヒート(予備加熱)、エアブロー等を行わなくても第2着色塗料(Y)を塗装した後のタレや混層が生じにくく、平滑性、鮮映性及び耐チッピング性に優れた複層塗膜を形成することができる。このため、省エネルギーの観点から、本発明の複層塗膜形成方法は、第1着色塗料(X)の塗装と第2着色塗料(Y)の塗装との間に上記加熱工程を含まないことが好ましい。
工程(2)
以上に述べた工程(1)で形成される第1着色塗料(X)の未硬化塗膜(以下、「第1着色塗膜」という場合がある)上には、第2着色塗料(Y)が塗装され、未硬化の第2着色塗膜が形成される。
第2着色塗料(Y)は、水性塗料及び有機溶剤型塗料のいずれの形態であってもよい。なお、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水または水を主成分とする媒体(水性媒体)に、バインダー成分、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。上記第2着色塗料(Y)は、環境負荷を低減する観点から、水性塗料であることが好ましい。本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、該塗料組成物中における水の含有量は、10〜90質量%程度が好ましく、20〜80質量%程度がより好ましく、30〜70質量%程度がさらに好ましい。
第2着色塗料(Y)としては、一般に被塗物に優れた外観を付与することを目的とするものであって、例えば、基体樹脂及び架橋剤からなるバインダー成分を、必要に応じて顔料その他の添加剤と共に溶媒に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。
基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、架橋剤としては、ブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等を挙げることができる。これらの中でも得られる複層塗膜の外観、耐水性等の観点から、基体樹脂として水酸基含有樹脂を使用し、架橋剤としてメラミン樹脂を使用する熱硬化型水性塗料を好適に用いることができる。
第2着色塗料(Y)には、さらに必要に応じて顔料を配合することができる。
上記顔料としては、光輝性顔料、着色顔料、体質顔料等を使用することができる。なかでも、第2着色塗料(Y)が、上記顔料の少なくとも一種として光輝性顔料及び/又は着色顔料を含有することが好ましい。
該光輝性顔料としては、光干渉作用またはキラキラとした光輝感を有するりん片状粒子顔料が好ましく、例えば、アルミニウム、蒸着アルミニウム、銅、亜鉛、真鍮、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム、金属酸化物で被覆された雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化鉄で被覆した雲母状酸化鉄、ガラスフレーク、ホログラム顔料などが挙げられる。上記光輝性顔料は単独でもしくは二種以上を組合せて用いることができる。該光輝性顔料の長手方向寸法は、1〜100μmの範囲内であることが好ましく、5〜40μmの範囲内であることがより好ましい。光輝性顔料の厚さは、0.001〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜2μmの範囲内であることがより好ましい。また、該光輝性顔料の配合量は、上記第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100重量部あたり1〜50重量部が適当である。また溶剤としては有機溶剤及び/又は水を使用することができ、これに上記成分を混合し分散せしめることができる。
前記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン(アンスラキノン)系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記第2着色塗料(Y)が上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は、上記第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは3〜30質量部の範囲内であることが好適である。
前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
第2着色塗料(Y)が上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は、上記第2着色塗料(Y)中のバインダー成分の固形分100質量部を基準として、通常、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは3〜30質量部の範囲内であることが好適である。
また、第2着色塗料(Y)は、さらに必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を含有することができる。これらの塗料用添加剤は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。上記塗料用添加剤としては、例えば第1着色塗料(X)の説明において記載したものを使用することができる。
また、本発明の複層塗膜形成方法において第2着色塗料(Y)は、固形分濃度が18〜35質量%の範囲内であることが、形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から好ましく、さらに20〜30質量%であるのがより好ましく、23〜27質量%の範囲内であるのが更に好ましい。
第2着色塗料(Y)は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。
本発明の複層塗膜形成方法において、第2着色塗料(Y)を塗装して形成される第2着色塗膜の硬化した時の膜厚は、硬化時の膜厚で、5〜20μm、好ましくは6〜15μm、さらに好ましく葉7〜13μmの範囲であることが好ましい。上限値以下であることによって塗膜の外観、平滑性及び鮮映性に優れ、下限値以上であることによって発色性や隠蔽性に優れるためである。
工程(3)
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(2)で形成される第2着色塗料(Y)の塗膜(以下、「第2着色塗膜」という場合がある)上に、クリヤー塗料(Z)が塗装される。
上記第2着色塗膜は、クリヤー塗料(Z)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60〜80℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
また、上記第2着色塗膜は、クリヤー塗料(Z)を塗装する前に、室温で1〜2分間のインターバルをおいてもよい。
第2着色塗膜は、クリヤー塗料(Z)を塗装する前に、必要に応じて、上記プレヒート、エアブロー等を行うことにより、塗膜の固形分濃度が通常60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲内となるように調整することが好適である。
クリヤー塗料(Z)としては、自動車車体等の塗装用として公知の熱硬化性クリヤー塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂および架橋剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物および粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
前記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基およびシラノール基等を挙げることができる。
前記基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびフッ素樹脂などを挙げることができる。
前記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂およびエポキシ基含有化合物などを挙げることができる。
また、前記クリヤー塗料としては、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよい。
また、前記記クリヤー塗料組成物には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料および染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤および表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
クリヤー塗料組成物の基体樹脂/架橋剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等の組み合わせが好ましい。
クリヤー塗料(Z)は、第2着色塗料(Y)の塗膜面に、それ自体既知の方法、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。
クリヤー塗料(Z)は、通常、硬化膜厚で10〜80μm、好ましくは15〜60μm、より好ましくは20〜50μmの範囲内になるように塗装することができる。
また、クリヤー塗料(Z)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおく、あるいは40〜80℃程度で1〜60分間程度プレヒートする、もしくは被塗物の塗装面に常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を30秒間〜15分間吹き付けるエアブローを行うことができる。
工程(4)
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(1)〜(3)で形成される未硬化の第1着色塗膜、未硬化の第2着色塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜が、同時に加熱硬化せしめられる。
上記第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜の硬化は、通常の塗膜の焼付け手段、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱などにより、行うことができる。
加熱温度は、80〜180℃が好ましく、100〜170℃がより好ましく、120〜160℃がさらに好ましい。
また加熱時間は、10〜60分間が好ましく、15〜40分間がより好ましい。この加熱により、第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜の3層からなる複層塗膜を同時に硬化させることができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、工程(1)で得られた未硬化の着色塗膜にプレヒートを行なわなくても、平滑性、鮮映性及び耐チッピング性に優れた複層塗膜を形成することができる。このため、本発明の複層塗膜形成方法は、例えば、中塗り塗装ブースにおいて第1着色塗料(X)を塗装し、プレヒートを行うことなく、ベースコート塗装ブースにおいて第2着色塗料(Y)を塗装し、クリヤー塗装ブースにおいてクリヤー塗料(Z)を塗装する3コート1ベーク方式において、好適に用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、例えば、下記方法Iに従って、行うことができる。
方法I
下記の工程(1)〜(5):
(1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程、
(2) 中塗り塗装ブースにおいて、工程(1)で得られた硬化電着塗膜上に、第1着色塗料(X)を塗装して、未硬化の中塗り塗膜を形成する工程、
(3) ベースコート塗装ブースにおいて、工程(2)で得られた未硬化の中塗り塗膜にプレヒートを行うことなく、該未硬化の中塗り塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(4) クリヤー塗装ブースにおいて、工程(3)で得られた未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、ならびに
(5) 工程(2)〜(4)で形成された未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベースコート塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことからなることを特徴とする複層塗膜形成方法。
なお、上記ブースは、均一な塗装品質を確保するため、温度、湿度等の塗装環境を一定の範囲内に維持する設備であって、通常、塗装される塗料の種類ごとに分けられている。また、同一のブース内において、被塗物に塗着した塗料のタレ、ムラ等を防止するために、同一塗料が、2回に分けて塗装される場合がある。この場合、1回目の塗装が第1ステージ塗装、2回目の塗装が第2ステージ塗装と呼ばれる。
上記方法Iにおいて、第1着色塗料(X)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、2〜15μm、好ましくは4〜13μm、さらに好ましくは5〜10μmの範囲内であるのが好適である。また、第2着色塗料(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、5〜20μm、好ましくは6〜15μm、さらに好ましくは7〜13μm範囲内であるのが好適である。
また、上記クリヤー塗料組成物の塗装膜厚は、硬化膜厚として、10〜80μm、好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲内であるのが好適である。
また、本発明の複層塗膜形成方法は、ベースコート塗装ブースの第1ステージにおいて第1着色塗料(X)を塗装し、ベースコート塗装ブースの第2ステージにおいて第2着色塗料(Y)を塗装し、クリヤー塗装ブースにおいてクリヤー塗料を塗装する3コート1ベーク方式において、好適に用いることができる。この場合の塗膜形成方法は、例えば、下記方法IIに従って、行うことができる。
方法II
下記の工程(1)〜(5):
(1) 鋼板上に電着塗料を塗装し、加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程、
(2) ベースコート塗装ブースの第1ステージにおいて、工程(1)で得られた硬化電着塗膜上に、第1着色塗料(X)を塗装して、未硬化の第1ベースコート塗膜を形成する工程、
(3) ベースコート塗装ブースの第2ステージにおいて、工程(2)で得られた未硬化の第1ベースコート塗膜にプレヒートを行うことなく、該未硬化の第1ベースコート塗膜上に、第2着色塗料(Y)を塗装して、未硬化の第2ベースコート塗膜を形成する工程、
(4) クリヤー塗装ブースにおいて、工程(3)で得られた未硬化の第2ベースコート塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、ならびに
(5) 工程(2)〜(4)で形成された未硬化の第1ベースコート塗膜、未硬化の第2ベースコート塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
を順次行うことからなる複層塗膜形成方法。
上記方法IIの塗装方法においては、ベースコート塗装ブースの第1ステージ及び第2ステージで同一の塗料を使用する一般的な2ステージ塗装と異なり、第1ステージと第2ステージとで異なる塗料を使用する。
前記方法I及び方法IIの塗装方法のうち、方法IIは中塗り塗装ブースが不要であり、該中塗り塗装ブースの温度及び湿度を調整するためのエネルギーを削減できるという利点を有する。
また、本発明の複層塗膜形成方法は、前記プレヒートを行なわなくても、平滑性、鮮映性及び耐チッピング性に優れた複層塗膜を形成することができる。このため、本発明の複層塗膜形成方法は、第1着色塗料(X)及び第2着色塗料(Y)を同一の塗装ブース内で塗装するため、プレヒート用の設備を導入することが困難な上記方法IIにおいて、特に好適に用いることができる。
また、上記方法IIの工程(4)においては、工程(2)及び(3)で得られたベースコート塗膜に、前記プレヒート、エアブロー等を行うことができる。
上記方法IIにおいて、第1着色塗料(X)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、2〜15μm、好ましくは4〜13μm、さらに好ましくは5〜10μmの範囲内であるのが好適である。また、第2着色塗料(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、5〜20μm、好ましくは6〜15μm、さらに好ましくは7〜13μm範囲内であるのが好適である。
また、上記クリヤー塗料組成物の塗装膜厚は、硬化膜厚として、10〜80μm、好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲内であるのが好適である。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、3コート1ベーク方式の塗装方法において優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。特に中塗り塗料(本発明では第1着色塗料(X)と称した)を従来一般的に塗装されている膜厚に比べて薄い膜厚で塗装する3コート1ベーク方式においては耐チッピング性に加えて、優れた平滑性および鮮映性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。
本発明の複層塗膜形成方法において、第1着色塗料(X)を従来の中塗り塗料に比べて薄い膜厚で塗装した場合でも、優れた耐チッピング性を有する複層塗膜を形成できる理由としては、前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)が形成される塗膜に優れた柔軟性を付与するためと推察される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
〔トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン変性体の製造〕
(製造例1)
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管および滴下装置を備えた4つ口の反応容器に、「PLACCEL−M」(商品名、ダイセル化学工業社製、ε−カプロラクトン)456部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261部およびテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、攪拌しながら160℃まで加熱昇温した。同温度にておよそ4時間反応させて、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン変性体を得た。
〔水酸基含有ウレタン樹脂(U)の製造〕
(製造例2)
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管および滴下装置を備えた4つ口の反応容器に、メチルイソブチルケトン243部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(分子量261)20部、「ニューポールPP−1000」(商品名、三洋化成社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g)102部、N−メチル−2−ピロリドン24部およびジブチル錫ジラウレート0.016部を仕込み、攪拌しながら110℃まで加熱昇温した。次いで、液体の温度を110℃に維持しながら、メチレンビス(1,4−シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート40部を添加し、イソシアネート価が樹脂固形分基準で1.0mgNCO/g以下になるまで反応させた。次いで、メチルイソブチルケトン111部を添加し、固形分30%の水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)を得た。得られた水酸基含有ウレタン樹脂の水酸基価は44mgKOH/g、重量平均分子量は20,000、数平均分子量は5,000であった。
また、得られた水酸基含有ウレタン樹脂の、ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1は、以下のように計算した。
ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)のモル数
=20/261(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)
≒0.0766[mol]
ポリオール成分(a)のモル数
=20/261(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)+102/1000(「ニューポールPP−1000」)
≒0.0766+0.102
=0.1786[mol]
ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1
=0.0766/0.1786×100
≒43[mol%]
また、得られた水酸基含有ウレタン樹脂の、ポリオール成分(a)の総量に対するジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1は、以下のように計算した。
ジオール化合物(a2−1)の合計モル数
=102/1000(「ニューポールPP−1000」)
=0.102[mol]
ポリオール成分(a)の総量に対するジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1
=0.102/0.1786×100
≒57[mol%]
また、得られた水酸基含有ウレタン樹脂の、上記Ca1とCa2−1との比Ca1/Ca2−1は、上記の計算値より、43/57であった。
(製造例3〜27)
下記表1に示す配合とする以外、製造例1と同様にして合成し、固形分30%の水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−2)〜(U−26)を得た。
表1に、水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)〜(U−26)の原料組成(部)、ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1、ポリオール成分(a)の総量に対するジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1、該Ca1とCa2−1との比Ca1/Ca2−1、水酸基価、酸価、重量平均分子量および数平均分子量を示す。
Figure 0005626795
Figure 0005626795
Figure 0005626795
(注1)「PTMG−650」:商品名、三菱化学社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量650、水酸基価172mgKOH/g
(注2)「PTMG−1000」:商品名、三菱化学社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g
(注3)「PTMG−2000」:商品名、三菱化学社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量2,000、水酸基価56mgKOH/g
(注4)「UH−CARB50」:商品名、宇部興産社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量500、水酸基価224mgKOH/g
(注5)「UH−CARB100」:商品名、宇部興産社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g
(注6)「UH−CARB200」:商品名、宇部興産社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量2,000、水酸基価56mgKOH/g
(注7)「UH−CARB300」:商品名、宇部興産社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量3,000、水酸基価37mgKOH/g
(注8)「クラレポリオールP−510」:商品名、クラレ社製、ポリエステルジオール、数平均分子量500、水酸基価224mgKOH/g
(注9)「クラレポリオールP−1011」:商品名、クラレ社製、ポリエステルジオール、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g
(注10)「PEG−1000」:商品名、三洋化成社製、ポリエチレングリコール、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g
表1において、水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)〜(U−26)のうち、水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)〜(U−25)は、ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる水酸基含有ウレタン樹脂(U)に該当する。
〔塗料組成物の製造〕
(製造例28)
製造例1で得た水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)83部(樹脂固形分25部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、二酸化チタン顔料)50部、「カーボンMA−100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック顔料)1部、「MICRO ACE S−3」(商品名、日本タルク社製、タルク)5部およびメチルイソブチルケトン15部を混合した後、ペイントシェーカーで30分間分散させて顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト154部、製造例2で得た水酸基含有ウレタン樹脂溶液(U−1)150部(樹脂固形分45部)、「デスモジュール BL3370MPA」(商品名、住化バイエルウレタン社製、活性メチレンブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分70%)43部(樹脂固形分30部)および「デナコールEX−252」(商品名、ナガセケムテックス社製、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量213)10部を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、メチルイソブチルケトンを添加し、20℃におけるフォードカップNo.3による粘度18秒の第1着色塗料(X−1)を得た。
(製造例29〜58)
製造例28において、配合組成を下記表2に示す通りとする以外は、製造例28と同様にして、第1着色塗料(X−2)〜(X−31)を得た。
Figure 0005626795
Figure 0005626795
Figure 0005626795
(注11)「デスモジュール BL3175」(商品名、住化バイエルウレタン社製、メチルエチルケトオキシムブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分75%)
(注12)「スミジュール N3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物、固形分100%)
(注13)「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)
(注14)「デナコールEX−931」(商品名、ナガセケムテックス社製、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量471)
〔塗膜形成方法〕
製造例28〜58で得た第1着色塗料(X−1)〜(X−31)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
〔試験用被塗物の作製〕
30cm×45cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させて、試験用被塗物を作製した。
実施例1
上記試験用被塗物に、前記製造例28で得た第1着色塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が8μmとなるように静電塗装し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に上塗り着色ベースコート塗料組成物(商品名「WBC−713T」、関西ペイント社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系水性塗料組成物、以下「第2着色塗料(Y−1)」ということがある)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が9μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第2着色塗膜上にアクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料(商品名「マジクロンKINO−1210」関西ペイント株式会社製、以下「クリヤー塗料(Z−1)」ということがある)を硬化した時の膜厚が35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例2〜35、比較例1
実施例1において、第1着色塗料(X−1)に代えて下記表3に示した第1着色塗料のいずれかを用い、硬化した時の膜厚が下記表3に示す膜厚となるように塗装する以外は、実施例1と同様にして試験板を作製した。
実施例36
前記試験用被塗物に、前記製造例30で得た第1着色塗料(X−3)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が8μmとなるように静電塗装し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に上塗り着色ベースコート塗料組成物(商品名「TB−516」、関西ペイント社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤系塗料組成物、以下「第2着色塗料(Y−2)」ということがある)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が9μmとなるように静電塗装し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第2着色塗膜上にクリヤー塗料(Z−1)を硬化した時の膜厚が35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例37
前記試験用被塗物に、前記製造例30で得た第1着色塗料(X−3)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が8μmとなるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で2分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に前記第2着色塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が9μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第2着色塗膜上に前記クリヤー塗料(Z−1)を硬化した時の膜厚が35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
比較例2
前記試験用被塗物に、前記製造例58で得た第1着色塗料(X−31)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が8μmとなるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で2分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に前記第2着色塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化した時の膜厚が9μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第2着色塗膜上に前記クリヤー塗料(Z−1)を硬化した時の膜厚が35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
評価試験
上記実施例1〜37及び比較例1〜2で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表3に示す。
(試験方法)
平滑性:「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWc値を用いて評価した。Wc値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
鮮映性:「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWb値を用いて評価した。Wb値が小さいほど塗面の鮮映性が高いことを示す。
耐水性:試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を下記評価基準により調べた。評価A〜評価Cが合格を示し、評価Dが不合格であることを示す。
A:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない
B:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている
C:ゴバン目塗膜が95〜99個残存する
D:ゴバン目塗膜の残存数が94個以下である
耐チッピング性:飛石試験機(商品名「JA−400型」スガ試験機株式会社社製)の試片保持台に試験板を設置し、−20℃において、試験板から30cm離れた所から0.392MPa(4kgf/cm)の圧縮空気により、粒度7号の花崗岩砕石50gを30度の角度で試験板に衝突させた。その後、得られた試験板を水洗して乾燥し、塗面に布粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼着した。そして、上記テープを剥離し、塗膜のキズの発生程度等を目視で観察し評価した。
◎:キズは電着面及び素地の鋼板が露出していない
○:電着面及び素地の鋼板が露出するキズがあるが、その露出キズの割合が10%未満
×:電着面及び素地の鋼板が露出するキズがあり、その露出キズの割合が10%以上
Figure 0005626795

Claims (11)

  1. 下記の工程(1)〜(4):
    (1) 被塗物上に、ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)およびその他のポリオール化合物(a2)からなるポリオール成分(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応によって得られる水酸基含有ウレタン樹脂(U)並びに硬化剤(C)を含有する第1着色塗料(X)を塗装して、未硬化の第1着色塗膜を形成する工程、
    (2) 工程(1)で得られた未硬化の着色塗膜上に第2着色塗料(Y)を塗装して、未硬化の第2着色塗膜を形成する工程、
    (3) 工程(2)で得られた未硬化の第2着色塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、ならびに
    (4) 工程(1)〜(3)で形成された未硬化の第1着色塗膜、未硬化の第2着色塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を加熱することによって、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程、
    を順次行うことを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 前記ヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)が、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートである請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記その他のポリオール化合物(a2)が、下記一般式(1)で示されるポリエーテルジオール化合物(a2−1−1)および下記一般式(2)で示されるポリカーボネートジオール化合物(a2−1−2)の少なくとも一方のジオール化合物(a2−1)を含有する請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
    Figure 0005626795
    〔式(1)中、Rは炭素数3以上のアルキレン基を表し、mは2〜100の整数を表す。m個の繰り返し単位中の各Rは同一であっても互いに異なっていてもよい。〕
    Figure 0005626795
    〔式(2)中、複数個のRはそれぞれ独立に炭素数3以上のアルキレン基を表し、nは2〜100の整数を表す。〕
  4. 前記ポリオール成分(a)の総量に対するヌレート構造を有する環状ポリオール化合物(a1)の含有割合Ca1が1〜75mol%の範囲内であり、かつポリオール成分(a)の総量に対するジオール化合物(a2−1)の含有割合Ca2−1が10〜99mol%の範囲内であり、かつ上記Ca1とCa2−1との比Ca1/Ca2−1が1/99〜75/25の範囲内である請求項3に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 前記ポリイソシアネート化合物(b)が、脂環族ジイソシアネートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. 前記水酸基含有ウレタン樹脂(U)の水酸基価が1〜100mgKOH/gの範囲内である請求項1〜5のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  7. 前記硬化剤(C)が、ブロック化ポリイソシアネート化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  8. 前記第1着色塗料(X)がエポキシ樹脂を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  9. 前記第1着色塗料(X)を塗装して硬化させたときの第1着色塗膜の膜厚が2〜15μmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  10. 前記第1着色塗料(X)の塗装後にプレヒートを行うことなく前記第2着色塗料(Y)を塗装する請求項1〜9のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により形成された塗膜を有する物品。
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