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JP5617461B2 - リアクトル、およびリアクトルの製造方法 - Google Patents

リアクトル、およびリアクトルの製造方法 Download PDF

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JP5617461B2 JP2010204180A JP2010204180A JP5617461B2 JP 5617461 B2 JP5617461 B2 JP 5617461B2 JP 2010204180 A JP2010204180 A JP 2010204180A JP 2010204180 A JP2010204180 A JP 2010204180A JP 5617461 B2 JP5617461 B2 JP 5617461B2
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Description

本発明は、車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に用いられるリアクトルおよびそのリアクトルの製造方法に関するものである。特に、部品点数が少なく簡易な構成で磁性コアが劣化し難いリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。このリアクトルは、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用される。そのリアクトルの構造として、例えば、特許文献1に示すものがある。
この特許文献1のリアクトルは、一つのコイルと、このコイルの内周に配置される内側コア部、上記コイルの外側に配される外側コア部、及びコイルの両端部を覆って内側コア部と外側コア部を連結する連結コア部を具えた断面E-E状の磁性コア、所謂ポット型コアとを具える。内側コア部は圧粉成形体からなり、外側コア部及び連結コア部は樹脂と磁性粉末の成形硬化体からなる。この成形硬化体は、軟磁性粉末(鉄粉など)とバインダ樹脂(エポキシ樹脂など)とを混合して混合流体を作製し、この混合流体を成形型に流し込んで成形・硬化させる射出成形や注型成形などで得られる。
特開2009−033051号公報
上述したリアクトルの外周面は、成形硬化体の鉄粉と樹脂とから構成されるため、一部の鉄粉が空気と触れて腐食し、磁性コアの磁気特性が劣化する虞がある。ここで、上記コイルと磁性コアとの組合体をケースに収納して、外側コア部及び連結コア部を空気と遮断すれば、鉄粉を防食できると考えられるが、通常ケースは開口部を有し、その開口部における鉄粉の防食対策が必要となる。この防食対策として、開口部をケースと同様の素材からなる蓋などで覆うことが考えられる。ところが、蓋を用いると部品点数の増加を招く。また、ケースに蓋を設けても、開口部の鉄粉を完全に空気と遮断することは極めて難しい。というのも、ケースの開口部を隙間なく封止できて、なおかつ、蓋と磁性コアとの間に空間が生じないように蓋を設計することが非常に困難だからである。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、部品点数が少なく簡易な構成で磁性コアが劣化し難いリアクトルを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記本発明リアクトルを生産性よく製造できるリアクトルの製造方法を提供することにある。
本発明は、ケースから独立した蓋に相当する被覆部材を別途用意してケースに装着するのではなく、磁性コアの製造時、磁性コアの表面に磁性コアと同時に形成可能で、なおかつ磁性コアの樹脂と同様の樹脂を含む表面層を具える構成とすることで上記の目的を達成する。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、開口部およびこの開口部に対向する底面を有して前記コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースとを具えている。上記磁性コアの少なくとも上記ケースの開口部側は、磁性粉末と樹脂とを含む成形硬化体から構成されている。また、上記磁性コアにおける上記ケースの開口部側の表面には、上記磁性粉末を防錆するための表面層を具えている。そして、上記表面層は、上記磁性コアの樹脂と同様の樹脂からなる樹脂部を有し、この樹脂部が上記磁性コアの樹脂と界面を介することなく連続して形成されている。
本発明のリアクトルによれば、磁性コアにおいてケースの開口部側の表面に磁性粉末を防錆するための表面層を具えることで、磁性粉末が空気に接触して腐食することを防止することができる。また、表面層自体は磁性コアと界面を介することなく連続して形成されているので、リアクトルの作動時に伴うヒートサイクルに対して表面層が剥離しにくくなる。さらに、別途蓋に相当する被覆部材などを設ける場合のように、被覆部材と磁性コアとの間に空気がほとんど残存することがない。したがって、本発明のリアクトルは、コイルの外周が磁性コアにより覆われ、かつ開口部を有するケースを具えた構成でありながら、磁性粉末が腐食し難く、リアクトルの磁気特性が劣化し難い。
また、磁性コアと界面を介することなく連続して形成されている表面層が、磁性コアに空気を接触させないための所謂封止部材に相当するので、別途被覆部材などを設ける必要がなく、それに伴い部品点数を削減できる。
本発明の一形態として、上記樹脂部は、上記磁性コアの樹脂の一部で構成されていることが挙げられる。
上記の構成によれば、樹脂部を形成するために成形硬化体を構成する樹脂以外の樹脂を別途用意する必要がないうえ、表面層と磁性コアとをより密着させた状態とすることができ、表面層と磁性コアとを界面を介さずに連続して形成しやすくなる。
本発明の一形態として、上記表面層は、上記磁性粉末が含まない樹脂部からなることが挙げられる。
上記の構成によれば、表面層中に磁性粉末が含有されないので、磁性粉末が空気に接触することを実質的になくすことができる。
本発明の一形態として、上記成形硬化体がコイルの外周の少なくとも一部を覆い、上記成形硬化体における上記磁性粉末の分布は、上記ケースの開口部側が粗、底面側が密とされていることが挙げられる。
上記の構成によれば、磁性粉末の分布は、ケースの開口部側が粗で、底面側が密となっているので、樹脂はケースの開口側に多く偏在していることになる。つまり、上記表面層の磁性粉末の含有量が減り、反対に樹脂の含有量が増加するので、より磁性粉末が含まれない表面層を容易に形成しやすい。
また、熱伝導率の高い磁性粉末がケースの底面側に偏在するので、ケースの底面をリアクトルの設置面側とする際、ケースの底面側に冷却ベースなどの冷却手段を設ければ、コイルの熱を放熱し易くなる。
本発明の一形態として、上記磁性コアは、上記コイル内に挿通された内側コア部と、上記コイルの外周を覆い上記成形硬化体から構成される連結コア部とを具え、上記内側コア部と連結コア部とは、上記成形硬化体の樹脂により一体化されていることが挙げられる。
上記の構成によれば、内側コア部と連結コア部とを、上記成形硬化体の樹脂により一体にするため、接着剤が不要なので接着工程が無く、連結コア部の形成と同時に磁性コアを形成できる。そのうえ、連結コア部の形成と同時に表面層をも形成できる。したがって、連結コア部の形成、磁性コアの形成、表面層の形成が同時に行えるため、リアクトルの生産性が向上する。
本発明の第一のリアクトルの製造方法は、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルが配置される磁性コアとの組合体を、開口部およびこの開口部に対向する底面を有するケースに収納してリアクトルを製造する方法で、以下の工程を具える。
収納工程:上記コイルを上記ケースに収納する。
充填工程:上記収納工程後、上記コイルの外周を覆うように上記磁性コアを構成する磁性粉末と樹脂を含む混合物をケース内に充填する。
保持工程:上記充填工程後、上記磁性粉末と樹脂との比重差により、上記磁性粉末を上記ケースの底面側に沈降させて、混合物の表面部に内部よりも磁性粉末の含有量が少ない表面層が形成されるように保持する。
硬化工程:上記保持工程後、上記樹脂を硬化させる。
上記の方法によれば、保持工程により、磁性粉末と樹脂との比重差により、磁性粉末をケースの底面側に沈降させるので、磁性コアを構成する樹脂がケースの開口部側に偏在するようになり、混合物の表面部に内部よりも磁性粉末の含有量が少ない表面層を形成することできる。そして、次工程の硬化工程により、磁性コアと表面層とを同時に形成することができる。それにより、磁性コアと表面層とが界面を介することなく連続して形成することができる。したがって、磁性粉末が腐食し難く、それに伴う劣化が生じ難い磁性コアを具えるリアクトルを製造することができる。
また、この方法によれば、磁性コアの形成および表面層の形成に際し、ケース内に混合物を一度充填すれば、表面層を形成するために追加の部材を充填する工程が不要である。そのうえ、別途被覆部材を用意したり、設置したりする必要がないので、生産性よくリアクトルを製造することができる。
本発明の第二のリアクトルの製造方法は、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルが配置される磁性コアとの組合体を、開口部およびこの開口部に対向する底面を有するケースに収納してリアクトルを製造する方法で、以下の工程を具える。
収納工程:上記コイルを上記ケースに収納する。
充填工程:上記収納工程後、上記コイルの外周を覆うように上記磁性コアを構成する磁性粉末と樹脂を含む混合物をケース内に充填する。
補充工程:上記充填工程後、上記混合物の樹脂が硬化する前に、上記混合物を構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらに上記ケース内に補充する。
硬化工程:上記保持工程後、上記ケース内の樹脂を硬化させる。
上記の方法によれば、充填工程後に、上記混合物が硬化する前に、補充工程で混合物を構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらに補充するので、磁性粉末が含有されていない表面層の形成をより確実にかつ短時間でできる。また、充填工程および補充工程の両工程で充填した樹脂を同時に硬化させるので、磁性コアと表面層とを同時に形成することができる。そのため、磁性コアと表面層とが界面を介することなく連続して形成することができ、磁性コアと表面層との間に空気が残存することがない。したがって、磁性粉末が腐食し難く、それに伴う劣化が生じ難い磁性コアを具えるリアクトルを製造することができる。
また、この方法によれば、別途被覆部材を用意したり、設置したりする必要がないので、生産性よくリアクトルを製造することができる。
本発明の方法の一形態として、上記磁性コアは、圧粉成形体からなる内側コア部と、上記混合物からなる連結コア部とを具え、上記充填工程前に、上記コイル内に上記内側コア部を配置してから、上記充填工程で、上記コイル及び内側コア部の組物の外周を覆うように上記混合物を上記ケース内に充填することが挙げられる。
上記の構成によれば、内側コア部と連結コア部との接合にあたり、上記混合物の樹脂により両者を一体にできるため、接着剤が不要となり、接着工程が無くなる。そのうえ、連結コア部の形成と同時に表面層を形成することができる。また、内側コア部を圧粉成形体で構成すれば、リアクトルの渦電流損失を低減することができる。通常、圧粉成形体は、磁性粉末を絶縁被膜で覆った被覆磁性粉末を圧縮成形して構成されているため、磁性粉末同士は絶縁されているからである。この損失の低減は、コイルに高周波の電力が供給される場合に特に有効である。
本発明リアクトルは、磁性コアにおけるケースの開口部側の表面に、表面層を具えることで、磁性粉末を防錆することができる。また、表面層自体は磁性コアと界面を介することなく連続して形成されているので、リアクトルの作動時に伴うヒートサイクルに対して表面層が剥離することがなく、さらに、別途蓋に相当する被覆部材などを設ける場合のように、被覆部材と磁性コアとの間に空気が残存することがない。したがって、磁性コア自体が劣化し難く、それによって磁気特性が劣化し難い。
本発明リアクトルの製造方法は、磁性コアにおけるケースの開口部側には、磁性コアを構成する樹脂と同様の樹脂部を有し、磁性粉末の含有量が内部に比べて少ない表面層を磁性コアと同時に形成することができる。それにより、別途被覆部材を用意したり、設置したりする必要がなくなり、部点数が少なく簡易な構成で磁性コアの磁気特性が劣化しないリアクトルを製造することができる。また、リアクトルの製造工程が簡略化できるため、生産性にも優れる。
実施形態1に係るリアクトルの概略を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は図1(A)においてB−B線で切断した断面図である。 実施形態1に係るリアクトルの構成部材を説明するための概略分解図である。 実施形態2に係るリアクトルの概略断面図である。 変形例1に係るリアクトルをコイルの軸方向に沿って切断した断面図である。 変形例1に係るリアクトルに具えるコイル成形体の概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。ここでは、リアクトルについて図1、2を参照して説明し、続いてそのリアクトルの製造方法について説明する。なお、図中の同一符号は同一名称物を示す。
<<実施形態1>>
<リアクトル>
図1に示すように、リアクトル1αは、巻線2wを巻回してなる一つのコイル2と、コイル2が配置される磁性コア3とを具える所謂ポット型リアクトルであり、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4を更に具える。磁性コア3は、コイル2内に挿通された内側コア部31と、コイル2の外周に配置され、内側コア部31に連結される連結コア部32とを具え、これら両コア部31,32により閉磁路を形成する。連結コア部32は、磁性粉末と樹脂とを含む成形硬化体から構成されており、コイル2は、実質的に全外周を連結コア部32により覆われてケース4に封止されている。そして、磁性コア3においてケース4の開口部側の表面に、表面層5が設けられている。以下、各構成を詳細に説明する。
[コイル]
コイル2は、1本の連続する巻線を螺旋状に巻回してなる円筒状体である。巻線2wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、電気絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用している。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減できて絶縁性を高められる。コイル2は、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されている。円筒状とすることで、エッジワイズ巻きであっても比較的容易にコイルを形成できる。巻線2wには、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。本例では、一連の巻線で単一のコイル2を形成しているが、一対の螺旋体が並列され、一連の巻線の一部を屈曲して形成した連結部を有するコイルとしてもよい。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、ターンから適宜引き延ばされて後述する連結コア部32を経て表面層5の外部に引き出され、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線2wの導体部分と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。ここでは、コイル2の軸方向に平行するように巻線2wの両端部を引き出しているが、引き出し方向は適宜選択することができる。
本例では、当該リアクトル1αを設置対象に設置したとき、コイル2の軸方向がケース4の底面40に直交するように、コイル2がケース4内に収納された形態(以下、この配置形態を縦型形態と呼ぶ)である。
[磁性コア]
磁性コア3は、コイル2内に挿通された円柱状の内側コア部31と、コイル2と内側コア部31との組物の外周を覆うように形成された連結コア部32とを具える。そして、コイル2の軸方向に沿って切断した磁性コア3の断面形状が、二つのEを組み合せて形成されるE−E形状である所謂ポット型コアである。リアクトル1αでは、内側コア部31の構成材料と、連結コア部32の構成材料とを同種の材料としてもよいし異種の材料でもよい。特に、両者を異種の材料として両コア部31、32の磁気特性が異なることが好ましい。具体的には、内側コア部31は、連結コア部32よりも飽和磁束密度が高く、連結コア部32は、内側コア部31よりも透磁率が低くするとよい。
{内側コア部}
内側コア部31は、コイル2の内周面の形状に沿った円柱状の外形を有している。そして、内側コア部31におけるコイル2の軸方向の長さ(以下、単に長さと呼ぶ)は、適宜選択することができる。本例では、内側コア部31の長さがコイル2よりも若干長く、内側コア部31の両端面及びその近傍がコイル2の端面から突出している。また、コイル2と同じ長さでもよいし、コイル2よりも若干短くすることもできる。内側コア部31の長さがコイル2の長さと同等以上であると、コイル2がつくる磁束を内側コア部31に十分に通過させられる。そして、内側コア部31におけるコイル2からの突出長さも適宜選択することができる。本例のように、内側コア部31においてコイル2の一端面から突出する突出長さを他端面からの突出長さよりも大きくしてもよいし、内側コア部31においてコイル2の両端面から突出する突出長さが同じにしてもよい。特に、上述した縦型形態では、本例のようにコイル2の一端面から突出する内側コア部31の一端面をケース4の底面40に接触させて内側コア部31をケース4に配置すると内側コア部31をケース4に安定して配置できるため、連結コア部32を形成し易い。
このような内側コア部31は、絶縁被膜を具える軟磁性粉末を用いて作製した圧粉成形体、絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板を積層させた積層鋼板、あるいは、磁性粉末と樹脂とを含む混合物から構成される成形硬化体から構成することができる。
(圧粉成形体)
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を具える軟磁性粉末や、軟磁性粉末に加えて適宜結合剤を混合した混合粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。圧粉成形体は、三次元形状体を簡単に形成でき、例えば、コイルの内周面の形状に適合した外形を有する内側コア部を容易に形成できる。また、圧粉成形体は、磁性粉末間に絶縁物が存在することで、磁性粉末同士が絶縁されて、渦電流損失を低減でき、コイルに高周波の電力が通電される場合であっても、上記損失を少なくすることができる。
上記軟磁性粉末は、Fe,Co,Niといった鉄族金属粉末の他、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金粉末、或いは希土類金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。特に、Fe基合金粉末は、フェライトなどの磁性材料に比較して、飽和磁束密度が高い圧粉成形体を得易い。軟磁性粉末に形成される絶縁被膜は、例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、又は硼素化合物などが挙げられる。結合剤は、例えば、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸が挙げられる。この結合剤は、上記焼成により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。圧粉成形体は、公知のものを利用してもよい。
圧粉成形体の飽和磁束密度は、軟磁性粉末の材質や、上記軟磁性粉末と上記結合剤との混合比、種々の被膜の量などを調整することで変化させることができる。例えば、飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を用いたり、結合剤の配合量を低減して軟磁性材料の割合を高めたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。その他、成形圧力を変える、具体的には成形圧力を高くすることでも飽和磁束密度を高められる傾向にある。所望の飽和磁束密度となるように軟磁性粉末の材質の選択や成形圧力の調整などを行うとよい。
(積層鋼板)
積層鋼板は、絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板を積層させた積層体からなるものである。例えば、内側コア部に電磁鋼板を用いると、圧粉成形体を用いる場合と比較して飽和磁束密度が高い磁性コアを得易い。
(成形硬化体)
成形硬化体は、磁性粉末と樹脂とを含む混合物から構成される。この成形硬化体は、代表的には、射出成形、注型成形により形成することができる。射出成形は、磁性材料からなる磁性粉末と流動性のある樹脂とを混合し、この混合物を、所定の圧力をかけて成形型に流し込んで成形した後、上記樹脂を硬化させる。注型成形は、射出成形と同様の混合物を得た後、この混合物を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させる。
上記いずれの成形手法も、磁性粉末には、上述した軟磁性粉末と同様のものを利用することができる。特に、軟磁性粉末は、純鉄粉末やFe基合金粉末といった鉄基材料からなる粉末が好適に利用できる。鉄基材料は、フェライトなどに比較して飽和磁束密度や透磁率が高い材料であることから、樹脂の含有割合が高い場合でも、ある程度の飽和磁束密度や透磁率を有するコアが得られる。軟磁性材料からなる粒子の表面に燐酸鉄などからなる被膜を具える被覆粉末を利用してもよい。これら磁性粉末は、平均粒径が1μm以上1000μm以下、更に10μm以上500μm以下、特に30μm以上150μm以下の粉末が利用し易い。
また、上記いずれの成形手法も、バインダとなる樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。常温硬化性樹脂、或いは低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。成形硬化体は、圧粉成形体や電磁鋼板と比較して、非磁性である樹脂が比較的多く存在する。
成形硬化体の構成材料に磁性粉末及びバインダとなる樹脂に加えて、アルミナやシリカといったセラミックスからなるフィラーを混合させてもよい。磁性粉末に比較して比重が小さい上記フィラーを混合することで、磁性粉末の偏在を抑制して、全体に磁性粉末が均一的に分散した連結コア部を得易い。また、上記フィラーが熱伝導性に優れる材料から構成される場合、放熱性の向上に寄与することができる。上記フィラーを混合する場合、磁性粉末とフィラーとの合計含有量は、連結コア部を100体積%とするとき、20体積%〜70体積%が挙げられる。
成形硬化体の透磁率や飽和磁束密度は、磁性粉末とバインダとなる樹脂との配合を変えることで調整することができる。例えば、磁性粉末の配合量を減らすと、透磁率が低い成形硬化体が得られる。
例えば、内側コア部に成形硬化体を用いると、連結コア部と同種材料となり、その場合、磁性コアが全て同じ材料から構成される形態とすることができるので、内側コア部と連結コア部とを同時に形成することができる。つまり、両コア部は一体化された部材とすることができる。また、両コア部を同時に形成せず、内側コア部を予め成形することもでき、その場合、透磁率や飽和磁束密度を適宜選択することができ、同様の材料で、両コア部の磁気特性を異ならせることもできる。したがって、例えば、内側コア部の方が連結コア部よりも飽和磁束密度を高く、そして、連結コア部の方が内側コア部よりも透磁率を低くすることができる。
ここでは、上述した圧粉成形体から構成される内側コア部31を使用する。そして、内側コア部31をギャップ材やエアギャップが介在していない中実体としているが、ギャップ材やエアギャップを適宜介在させた形態とすることができる。例えば、内側コア部31を複数の分割片で構成し、各分割片を接着剤により接合することで一体化する形態とすることができる。
{連結コア部}
連結コア部32は、内側コア部31と共に閉磁路を形成すると共に、コイル2と内側コア部31との組物の外周を覆い、両者をケース4に封止する封止材としても機能する。
この連結コア部32を構成する材料は、上述したような磁性粉末と樹脂とを含む成形硬化体からなる。つまり、この成形硬化体には、上記内側コア部で説明した成形硬化体の材料と同じ磁性粉末と樹脂が利用できる。そして、このリアクトル1αでは、ケース4の底面40から開口側に至って、その磁性粉末と樹脂とを含む成形硬化体が存在し、この成形硬化体が連結コア部32を構成する。この連結コア部32を構成する磁性粉末は、ケース4の開口側から底面40に亘って均一に分布していてもよいが、ケース4の開口側が粗に、底面40側が密となるように分布されていてもよい。この場合、熱伝導率の高い磁性粉末がケースの底面側に偏在するので、ケースの底面をリアクトルの設置面側とする際、ケースの底面側に冷却ベースなどの冷却手段を設ければ、コイルの熱を放熱し易くなる。また、この連結コア部32と上記内側コア部31とは接着剤を介在することなく、連結コア部32の構成樹脂により接合されている。従って、磁性コア3は、その全体に亘って接着剤やギャップ材を介することなく一体化された部材である。
本例では、連結コア部32は、平均粒径75μm以下の鉄基材料であって、絶縁被膜を具える被覆粉末とエポキシ樹脂との混合物を用いて作製した成形硬化体から構成されている。
また、連結コア部32は、コイル2と内側コア部31との組物の実質的に全周を覆う形態を示すが、磁性コア3は、コイル2におけるケース4の開口部側に配置される領域の上部を少なくとも覆うように存在すれば、コイル2の一部が磁性コア3に覆われていない形態(但し、ケース4には覆われた形態)とすることができる。
そして、本例のように、内側コア部31に圧粉成形体を、連結コア部32には成形硬化体を用いるといったように、両コア部31、32を異種材料から形成すれば、内側コア部31は、連結コア部32よりも飽和磁束密度が高く、連結コア部32は、内側コア部31よりも透磁率が低くすることができる。つまり、内側コア部31の飽和磁束密度が高いことで、一定の磁束を得る場合、例えば、磁性コアの全体が単一種の材料で構成されて、内側コア部と連結コア部との双方の飽和磁束密度が等しいリアクトルと比較して内側コア部の断面積を小さくできる。そのため、内側コア部の外周に設けるコイルの外径をも小さくでき、リアクトルを更に小型にできる。また、コイルの外径を小さくできることでコイルを構成する巻線を短くでき、コイルの抵抗を下げられる。そのため、損失の低減を図ることができる。コイルの小型化や損失の低減を考慮すると内側コア部の飽和磁束密度は、連結コア部よりも大きいほど好ましく、上限は特に設けない。また、連結コア部の透磁率が内側コア部よりも低いことで、所定のインダクタンスを十分に満たすことができる。
≪磁気特性≫
内側コア部31の飽和磁束密度は、1.6T以上、更に1.8T以上、とりわけ2T以上が好ましい。また、内側コア部31の飽和磁束密度は、連結コア部32の飽和磁束密度の1.2倍以上、更に1.5倍以上、とりわけ1.8倍以上であることが好ましい。内側コア部31が連結コア部32に対して相対的に十分に高い飽和磁束密度を有することで、内側コア部31の断面積を小さくできる。また、内側コア部31の比透磁率は、50以上1000以下、特に、100〜500程度が好ましい。
連結コア部32の飽和磁束密度は、0.5T以上内側コア部の飽和磁束密度未満が好ましい。また、連結コア部32の比透磁率は、5以上50以下、特に5〜30程度が好ましい。連結コア部32の比透磁率が上記範囲を満たすことで、磁性コア3全体の平均透磁率が大きくなり過ぎることを防止して、例えば、ギャップレス構造とすることができる。
ここでは、内側コア部31の飽和磁束密度が1.8T、比透磁率が250であり、連結コア部32の飽和磁束密度が1T、比透磁率が10である。飽和磁束密度や比透磁率が所望の値となるように、内側コア部31及び連結コア部32の構成材料を調整するとよい。
[ケース]
上記コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4は、リアクトル1αを設置対象(図示せず)に配置したときに当該リアクトル1αの設置側となる底面40と、底面40から立設される側壁41とを具え、底面40と対向する側が開口した矩形の箱体である。
ケース4の形状、大きさは、適宜選択することができる。例えば、上記組合体10に沿った円筒形としてもよい。また、ケース4の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金といった非磁性材料で、かつ導電性材料が好適に利用できる。導電性を有する非磁性材料からなるケースは、ケース外部への漏れ磁束を効果的に防止できる。また、アルミニウムやマグネシウム、その合金といった軽量な金属からなるケースは、樹脂よりも強度に優れる上に、軽量であることから、軽量化が望まれる自動車部品に好適である。ここでは、ケース4は、アルミニウムにより構成されている。
その他、本例で使用するケース4は、側壁41の内周面にコイル2の回転を抑制すると共に、コイル2の挿入時にガイドとして機能するガイド突起部42と、ケース4の内周面の一角に突出して巻線2wの端部の位置決めに利用される位置決め部43と、ケース4の内周面において底面40から突出してコイル2を支持し、ケース4に対するコイル2の高さを位置決めするコイル支持部(図示せず)とを具える。ガイド突起部42、位置決め部43、コイル支持部を具えるケース4を利用することで、ケース4内の所望の位置にコイル2を精度良く配置でき、引いては、コイル2に対する内側コア部31の位置も精度良く決められる。ガイド突起部42などを省略してもよいし、別部材を用意して、これら別部材をケースに収納して、コイル2の位置決めなどに利用してもよい。特に、この別部材を連結コア部32の構成材料と同様の材料からなる成形硬化体とすると、連結コア部32の形成時に容易に一体化できる上に、当該別部材を磁路に利用することができる。また、ケース4は、リアクトル1αを設置対象(図示せず)にボルトにより固定するためのボルト孔44hを有する取付部44を具える。取付部44を有することで、ボルトによりリアクトル1αを設置対象に容易に固定することができる。
[表面層]
表面層5は、上記磁性コア3を構成する磁性粉末を防錆するためのもので、磁性コア3におけるケース4の開口部側の表面に設けられ、後述するように磁性粉末の平均粒径以上の厚みを有し、かつ磁性粉末の含有量が少ない、あるいは全くない層である。この表面層5は、上記磁性コア3を構成する樹脂と同様の樹脂よりなる樹脂部を具え、磁性コア3と界面を介することなく連続して形成されている。ここでいう防錆するとは、磁性コアの磁気特性に実質的に劣化を生じない程度に樹脂部で磁性粉末を覆うことをいう。つまり、全ての磁性粉末が樹脂部で覆われて外気に露出しないことが最良であるが、ごく微量(数粒程度)の磁性粉末が外気に露出程度は許容する。そして、界面を介することなく連続して形成とは、表面層を構成する樹脂部と磁性コアを構成する樹脂の硬化反応が少なくとも部分的に重複して生じることで、両樹脂が結合されていることを言う。つまり、両者は密着して一体化された状態である。この両者の境界線は見られないことが特に好ましい。
この表面層5を構成する材料は、上述したように上記磁性コア3を構成する樹脂と同様の樹脂からなる樹脂部を有していればよく、特に本例のように、上記磁性コア3の樹脂の一部で構成、つまり、上記磁性コア3を構成する樹脂を共用すれば、上述したように磁性コア3と界面を介することなく連続して形成し易くなるのでより好ましい。そして、この表面層5内には、上記磁性粉末を含まないことが一層好ましい。ここでいう、同様の樹脂とは、磁性コア3を構成する樹脂と全く同じ組成の樹脂はもちろん含むが、例えば、磁性コア3を構成する樹脂と組成は異なるが、ベース樹脂となっている樹脂が共通する樹脂でもよい。具体的には、エポキシ樹脂などが挙げられる。
さらに、表面層5の厚さは、上述したように上記磁性粉末を防錆することができる程度有していればよい。具体的には、磁性コアの開口部側の表面から上記磁性粉末の平均粒径以上の深さで、かつ、磁性粉末が所定の視野面積当たり10個以下(ゼロを含む)含まれる領域の深さを表面層5の厚さとする。この磁性粉末の数は、表面層5の縦断面を顕微鏡にて観察し、以下に示す方法により磁性コアの開口部側の表面から磁性粉末の平均粒径以上の所定の深さまでの領域において、断面に露出する磁性粉末の個数を数えることで求める。より具体的には、一つの検査視野を「磁性粉末の平均粒径の10倍」×「磁性粉末の平均粒径の10倍」とし、断面の幅方向(深さ方向と直交する方向)に離れて3つ以上の視野を採る。そして、各視野毎に磁性粉末の個数を数えて、その個数の平均値を求める。その平均値を、当該視野を採った深さ領域における磁性粉末の数とする。上記検査は、理論上、視野数を多数とするほど上記平均値を所定の値に収束させることができるため、その収束値をこの検査視野を採った深さ領域における磁性粉末の数とすることが好ましい。次に、上記検査視野を断面の深さ方向に適宜な間隔でずらして同様の検査を繰り返し行い、同様に検査視野を採った深さ領域における磁性粉末の数を求める。ある深さ領域における検査視野と次の深さ領域における検査視野とは隣接してもよいし、部分的に重複してもよい。この検査は、上記平均値が10個を超えるまで繰り返し行う。そして、その平均値が10個以内である検査視野の深さを表面層5の厚さとする。上記の検査を行うには、縦断面の画像から磁性粉末と樹脂部の領域をコンピュータで認識して自動計測してもよいし、必要に応じて縦断面の原画像に二値化処理などの画像処理を施してもよい。本例の場合、平均粒径75μmの磁性粉末を用いているので、750μm角の検査視野で磁性コアの表面から深さ方向に磁性粉末の個数を求める。磁性コアの断面における幅方向の視野数を3つとして上記の検査を行ったところ、表面層5の厚さは約2mmであった。なお、この表面層5の厚みは、通常、0.1〜5.0mm程度である。このような表面層5の厚さとすることで、磁性コアに劣化が生じることを防止し易く、表面層5が過度に厚くならない。
上述したような表面層5は、後述する製造方法にて形成することができる。
(その他の構成要素)
コイル2と磁性コア3との間の絶縁性、コイル2(特に、巻線2wの端部側)と表面層5との間の絶縁性をより高めるために、コイル2において磁性コア3に接触する箇所や表面層5に接触する箇所には、絶縁物を介在させることが好ましい。例えば、コイル2の内・外周面に絶縁性テープを貼り付けたり、絶縁紙や絶縁シートを配置したり、コイル2を形成する巻線2wの一部に絶縁性チューブを配置したりすることが挙げられる。また、内側コア部31の外周に絶縁性材料からなるボビン(図示せず)を配置してもよい。ボビンは、内側コア部31の外周を覆う筒状体が挙げられる。筒状体の両端縁から外方に延設される環状のフランジ部を具えるボビンを利用すると、コイル2の端面と連結コア部32との間の絶縁性を高められる。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。
[リアクトルの大きさ]
ケース4を含めたリアクトル1αの容量を0.2リットル(200cm)〜0.8リットル(800cm)程度とすると、車載部品に好適に利用することができる(ここでは280cm)。
[用途]
リアクトル1αは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
<リアクトルの製造方法(I)>
上述したリアクトル1αは、例えば、以下に示す収納工程→充填工程→保持工程→硬化工程の順に各工程を施して製造することができる。以下、各工程について説明する。
[収納工程]
収納工程では、コイル2をケース4内に収納する。本例のように内側コア部31が圧粉成形体からなる場合、その他電磁鋼板からなる場合、次工程の充填工程前、例えば、この収納工程時において、コイル2および内側コア部31を用意し、図2に示すようにコイル2内に内側コア部31を挿通して、コイル2と内側コア部31との組物を作製する。この組物は、次工程の充填工程前であればいつ作製してもよい。また、上述のようにコイル2と内側コア部31との間に適宜絶縁物を配置させてもよい。そして、上記組物をケース4内に収納する。この組物をケース4内に収納する際、上述したケース4内に設けられたガイド突起部42などを利用すると、当該組物をケース4内の所定の位置に精度良く配置することができる。一方で、内側コア部31が連結コア部32と同様に成形硬化体から形成される場合は、この収納工程ではコイル2をケース4に収納する。
[充填工程]
充填工程では、上記組物をケース4内に収納した後、磁性コア部3を構成する磁性粉末と樹脂とを含む混合物をケース4内に充填する。本例では、磁性コア3のうち連結コア部32を構成する磁性粉末と、連結コア部32と表面層5とに共通の樹脂との混合物を上記ケース4に充填する。この工程により、上記組物の外側は上記混合物で覆われる。
上記磁性粉末と樹脂との混合物(樹脂硬化前のもの)において、磁性粉末の含有量が20〜60体積%で、樹脂が40〜80体積%程度とすることで、上述のように比透磁率が5〜50の連結コア部32を形成できると共に、表面層5を形成できる。また、ここで使用する樹脂は、磁性粉末がケースの底面側に、樹脂がケースの開口側に偏在しやすいような粘度を持つものを用いると、上記表面層5を形成するのに短時間で形成し易く、その上磁性粉末が実質的に含有されていない表面層5を形成し易くなって好ましい。本例では、上記磁性粉末にリン酸塩被膜を有する純鉄粉を40体積%、樹脂にはビスフェノールA型のエポキシ樹脂を60体積%、この樹脂の硬化剤として酸無水物をそれぞれ用意して混合物を形成し、ケース4内に充填した。本例のように、連結コア部32の樹脂と表面層5の樹脂とが同質の樹脂であると、連結コア部32と表面層5とが密着し易い。なお、ここでは、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂の硬化剤として酸無水物を使用したが、この硬化剤は使用する樹脂の種類に合わせて適宜選択することができる。
[保持工程]
保持工程では、上記磁性粉末と樹脂とを含む混合物をケース4に充填した後、直ちに上記樹脂を硬化させるのではなく、磁性粉末と樹脂との比重差により、磁性粉末をケース4の底面側に沈降させて、混合物の表面部に内部よりも磁性粉末の含有量が少ない表面層が形成される状態となるまで、より好ましくは、実質的に磁性粉末を含まない表面層5が形成される状態となるまで、恒温槽にて上記樹脂が硬化しない温度に保持して静置する。本例では、20〜30分程度保持して、2mm程度の表面層5を形成した。
ここでの保持時間は、使用する樹脂や、形成する表面層の所望の膜厚に応じて適宜選択すればよい。特に、上記表面層に実質的に磁性粉末を含まないようにするまで保持しておくことが好ましいが、本例のように縦型形態の場合、コイル2の両端面および外周を覆うように磁性粉末が存在して、十分な磁路が形成されることが必要である。
上記磁性粉末と樹脂の分離状態は、例えば、上記樹脂が透明である場合、ケース4の開口部から上記粉末の色を目視により確認することで把握できる。そして、目視確認しながら、静置する時間を調整してもよい。なお、磁性粉末や使用する樹脂によって、分離に掛かる時間が変化する。そこで、種々の原料を用いたテストピースを作製して各静置時間を予め求めておき、以後、原料に応じた静置時間を適宜選択すると、生産性よくリアクトルを形成できる。また、テストピースの作製時に透明なケースを用いると、上述のようにケースの開口部から上記混合物の表面を目視確認することに加えて、ケース4の外部から上記混合物を容易に目視確認できる。
[硬化工程]
硬化工程では、上記保持工程後、上述のような表面層5が形成された状態で樹脂を硬化させる。この硬化工程では、硬化させる樹脂の種類に応じて適宜温度と時間を選択するとよい。本例では、80℃程度に保持した状態を2時間程度、その後120℃程度に保持した状態を2時間程度、そして、150℃程度に保持した状態で4時間程度静置して、樹脂を硬化し、本例のリアクトル1αが得られる。
[その他の工程]
その他の工程として、上記充填工程にて上記磁性粉末と樹脂との混合物をケース4に充填した後、上記保持工程前に、混合物内のボイドを除去するための脱気処理として、真空引きしてもよい。そうすることで、混合物内のボイドを除去できて連結コア部32の所望の磁気特性が得易く好ましい。
<リアクトルの製造方法(II)>
或いは、リアクトル1αは、例えば、以下のようにしても製造することができる。本方法では、上記製造方法(I)で施した保持工程を行わず、充填工程後に、充填工程で充填した上記混合物が硬化する前に、磁性コアを構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらに補充する補充工程を具える点が上記製造方法(I)と異なる。つまり、本例では、収納工程→充填工程→補充工程→硬化工程の順に各工程を施してリアクトルを製造する。ここでは、上記製造方法(1)と異なる点である補充工程について説明する。
[補充工程]
補充工程では、表面層5を形成するために、充填工程後、充填工程でケース4内に充填した磁性粉末と樹脂との混合物が硬化する前に、上記混合物を構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらにケース4に補充する。表面層5を構成する樹脂は、ここでは、上記連結コア部32で用いた樹脂と同じ樹脂を使用する。そうすることで、後工程の硬化工程により樹脂を硬化させると、表面層5と連結コア部32とが界面を介することなく連続して形成され易くなる。また、表面層5の樹脂は、連結コア部32で用いた樹脂と同じ樹脂に添加粒子を混ぜ合わせた混合樹脂でもかまわない。例えば、添加粒子として高熱伝導性のセラミックス粒子を用いれば、表面層5の放熱性を向上することができる。
本製造方法では、保持工程により磁性粉末と樹脂とを分離して表面層5を形成する必要はないので、樹脂は粘度の制約を受けることなく種々選択することができる。つまり、連結コア部32の樹脂と表面層5の樹脂とは、異種の樹脂や樹脂に充填する硬化剤などの添加物を異ならせたものを利用することができる。例えば、連結コア部32を構成する磁性混合物の樹脂の粘度と表面層5を構成する樹脂の粘度とを異ならせてもよい。本例のように、表面層5を連結コア部32と分けて形成する場合、上述の保持工程が不要であるため、例えば、連結コア部32を構成する樹脂の粘度を高くすることができる。そうすることで、磁性粉末が底面側に沈降して樹脂が上記ケースの開口側に偏在しにくくなり、磁性粉末が均一に分散された連結コア部32を得易いので、十分な磁路を形成し易い。そのうえ、上記補充工程で補充した樹脂が、連結コア部32を構成する樹脂に混合し難くなり、上記磁性粉末が実質的に含有されていない表面層5を形成し易くなる。
また、補充工程では、上述したように、磁性粉末を含まない樹脂を補充するので、磁性粉末が実質的に含有されていない表面層5をより確実にかつ短時間で形成することができる。さらに、上記充填工程および補充工程でケース4内に充填した樹脂を上記硬化工程にて同時に硬化するため、表面層5と磁性コア3とを同時に形成することができるうえに、表面層5と磁性コア3とに界面を介することなく連続して形成することができる。
[その他の工程]
その他の工程として、本製造方法でも、混合物内および表面層5内、あるいは混合物と表面層5との間のボイドを除去するために真空引きして脱気処理するとよい。この脱気処理は、上記充填工程後から上記補充工程前までの間と、上記補充工程後から上記硬化工程前までの間とでそれぞれ行ってもよいし、上記補充工程後から上記硬化工程前までの間でのみ行ってもよい。前者の場合、混合物内および表面層5内、そして、混合物と表面層5との間のボイドを十分に除去しやすくなるので好ましい。また、後者の場合、脱気処理の工程が少なくて手間がかからなくて済むので好ましい。
上記製造方法(I)、(II)のいずれも、上記樹脂の硬化後、コイル2の外周を覆う箇所は、実質的に磁性粉末と樹脂との混合物により構成され、ケース4の開口部から露出する表面からある程度の厚さの領域は、実質的に樹脂(連結コア部の樹脂と同じ樹脂)により構成されたリアクトル1αが得られる。
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)磁性コアにおけるケースの開口部側の表面に、磁性コアの樹脂と同様の樹脂からなる樹脂部を有する表面層を具えることで、磁性粉末が空気と接触し難くなり、磁性粉末が腐食するのを防止することができる。そして、磁性コアの形成と同時に表面層を形成することができるので、磁性コアと表面層は界面を介することなく連続して形成される。そのため、リアクトルの作動時にヒートサイクルを受けても、表面層が剥離することがない。したがって、別途蓋に相当する被覆部材を設ける必要もないうえに、別途被覆部材を設ける場合のように、その被覆部材と磁性コアとの間に空気が残存することがない。以上から、磁性粉末が空気に接触することで腐食することを抑制することができ、磁性コアの磁気特性が劣化し難い。
(2)上述した製造方法によれば、磁性コアにおけるケースの開口部側の表面に、磁性コアの樹脂と同様の樹脂からなる樹脂部を有する表面層を、磁性コアの樹脂と界面を介することなく連続した状態で形成することができる。また、その表面層は、磁性コアと同時に形成することができる。
(3)上述した製造方法(I)で製造されるリアクトルは、磁性粉末の分布は、ケースの開口部側が粗で底面側が密な磁性コアが形成される。したがって、ケースの底面側に高熱伝導率の磁性粉末が偏在するので、ケースの底面を冷却手段に設置すると、放熱性に優れる。
(4)また、上述した製造方法(II)で製造されるリアクトルは、充填工程後に、上記混合物が硬化する前に、補充工程で混合物を構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらに補充するので、磁性粉末が実質的に含有されていない表面層の形成をより確実にかつ短時間でできる。
(5)上述のように磁性コアの製造にあたり、接着剤を一切用いない接着剤レス構造とすることができる。また、リアクトルは、内側コア部を圧粉成形体とすることで、飽和磁束密度の調整を簡単に行える上に、複雑な三次元形状であっても容易に形成できることからも、リアクトルは生産性に優れる。
(6)内側コア部の飽和磁束密度が連結コア部よりも高いことで、単一種の材料により構成されて磁性コア全体の飽和磁束密度が均一的である磁性コアと同じ磁束を得る場合、内側コア部の断面積(磁束が通過する面)を小さくできる。また、リアクトルは、内側コア部の飽和磁束密度が高いと共に、連結コア部の透磁率が低いことで、ギャップ材を有していないギャップレス構造とすることができる。そして、ギャップレス構造であることで、コイルと内側コア部とを近付けて配置することができる。さらに、リアクトルは、内側コア部の外形が、円筒状のコイルの内周面の形状に沿った円柱形状であることで、コイルと内側コア部とを更に近付け易い。以上から、リアクトルを小型にできる。
(7)その他、リアクトルは、ケースを具えることで、コイルと磁性コアとの組合体を粉塵や腐食といった外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができる。また、表面層は、磁性コア(連結コア部)やコイルの外部環境からの保護材、機械的な保護材としても機能することができる。
<<実施形態2>>
実施形態2は、図3に示すように、ケース4の底面40に対してコイル2の軸方向が平行となるように、コイル2及び内側コア部31がケース4に収納された形態(以下、この配置形態を横型形態と呼ぶ)とする点が実施形態1と相違する。以下、実施形態1と相違する点について説明する。
本例のリアクトル1βの磁性コア3は、内側コア部31と連結コア部32からなり、その内側コア部31はコイル2の向きに合わせて、その軸方向がケース4の底面40と平行になってコイル2内に挿通されている。そして、上記内側コア部31の両端面がケースの側壁41に接しないように、コイル2と内側コア部31の組物は、その組物の外周が連結コア部32で覆われて一体に形成されている。また、図3では、連結コア部32中に上記組物が浮いたように示されているが、実際は、コイル支持部(図示せず)を介して上記組物はケース4に支持されている。このコイル支持部を設けることで、コイル2および内側コア部31の位置決めが容易になる。このコイル支持部は、ケース4の底面40から開口側に突出してコイル2または内側コア部31を支持し、ケース4に対するコイル2の高さを位置決めするように形成されていてもよいし、ケース4の側面(図3に対し紙面に垂直方向に位置する側面)からコイル2に向かって突出するように形成されていてもよい。そして、このコイル支持部は、ケース4に一体に形成したものでもよいし、別途形成したものでもよい。コイル支持部の素材は、ケース4と同様の素材から形成されていてもよいし異なっていてもよい。前者の場合、その支持部からもコイルの熱を放熱させることができる。そして、後者の場合、例えば、連結コア部32の構成材料と同様の材料からなる成形硬化体で、例えばブロック状のコイル支持部を形成することが挙げられる。そうすると、コイル支持部は連結コア部32の形成時に容易に一体化できるうえに、磁路に利用することができる。
この実施形態2のリアクトル1βも、実施形態1のリアクトル1αと同様に、上述した製造方法(I)、(II)により容易に製造することができる。
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本例のように横型形態でも同様に、連結コア部を覆ってケースの開口側から露出する表面層を具えることで、連結コア部を構成する樹脂から磁性粉末が露出して腐食するのを防止することができる。
(2)リアクトルを上記製造方法Iで製造すれば、連結コア部を構成する磁性粉末がケースの底面側に沈降して偏在するようになる。そして、本例のようにリアクトルが横型形態であると、上述した縦型形態に比べてケースの底面の設置面積が大きくなるので、その底面に冷却手段などを設けると、より放熱性を高めることができる。
(3)また、リアクトルが横型形態なので、連結コア部を構成する磁性粉末がケースの底面側に偏在してもコイルの両端部および外周を覆うように磁性粉末が存在し易くなるので磁路を形成し易い。つまり、磁性粉末がケースの底面に偏在しすぎても磁路を形成することができるので、磁性粉末がケースの底面に偏在しすぎることに伴い、磁性粉末が実質的に含有されていない表面層を形成し易い。
(変形例1)
変形例1は、図4、5に示すように、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する構成が、コイル2の表面を覆う内側樹脂部60を具えるコイル成形体6とする点で実施形態1、2とは相違する。以下、その相違点であるコイル成形体6について説明する。その他の点については、実施形態1、2の構成と同様であるため説明を省略する。
[コイル成形体]
コイル成形体6は、例えば、コイル2と、コイル2内に挿通された内側コア部31と、コイル2の表面を覆ってその形状を保持すると共に、コイル2と内側コア部31とを一体に保持する内側樹脂部60とを具える形態が挙げられる。
また、コイル成形体は、コイルと、コイルの表面を覆ってその形状を保持する内側樹脂部とを具え、この内側樹脂部は、内側コア部が挿通配置される中空孔を具える形態でもよい。この形態では、内側コア部がコイル内の適切な位置に配置されるように内側樹脂部の構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔の形状を内側コア部の外形に合わせると、コイル内に存在する内側樹脂部の構成樹脂を内側コア部の位置決め部として機能させられる。従って、このコイル成形体におけるコイル内の所定の位置に、内側コア部を容易に挿入配置することができる。
巻線2wの両端部を除き、コイル2の概ね全体が上記内側樹脂部60により覆われた形態とすると、コイル2の実質的に全周と磁性コア3との間に内側樹脂部60が介在するため、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高められる。或いは、コイル2のターン形成部分の一部が内側樹脂部60から露出された形態とすると、コイル成形体6の外形が凹凸形状となることから、連結コア部32の樹脂との接触面積が増え、コイル成形体6と連結コア部32との密着性を高められる。コイル2が露出されない程度に内側樹脂部60の外形を凹凸形状とすると、内側樹脂部60の介在により、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高められる上に、密着性にも優れる。内側樹脂部60の厚さは、例えば、1mm〜10mm程度が挙げられる。
上記内側樹脂部60の構成樹脂は、コイル成形体6を具えるリアクトル1γを使用した際に、コイル2や磁性コア3の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な絶縁性材料が好適に利用できる。例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。また、上記構成樹脂として、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合したものを利用すると、コイルの熱を放出し易く、放熱性に優れるリアクトルが得られる。また、この内側樹脂部により、コイルを自由長よりも圧縮した状態に保持して、コイルの長さを適宜調整したコイル成形体6とすることができる。
上記コイル成形体6は、金型に、コイル2と中子、或いはコイル2と内側コア部31とを配置し、コイル2を適宜圧縮した状態で上記内側樹脂部60の構成樹脂を金型内に充填して硬化させることで、製造することができる。例えば、特開2009−218293号公報に記載されるコイル成形体の製造方法を利用することができる。
[作用効果]
このようなコイル成形体を利用することで、コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる上に、リアクトルの組立時にコイルの外形が内側樹脂部により保持されていることでコイルを取り扱い易く、リアクトルの生産性に優れる。特に、コイルと内側コア部とを内側樹脂部により一体に成形したコイル成形体を利用すると、コイルと内側コア部とがばらばらにならず取り扱い易く、かつ同時にケースに収納できるため、リアクトルの生産性に更に優れる。特に、内側樹脂部がコイルを圧縮状態に保持するコイル成形体を利用すると、コイルの軸方向の長さを短くでき、リアクトルを更に小型にできる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。本発明リアクトルの製造方法は、上記本発明リアクトルの製造に好適に利用することができる。
1α、1β、1γ リアクトル
10 組合体
2 コイル 2w 巻線
3 磁性コア
31 内側コア部 32 連結コア部
4 ケース
40 底面 41 側壁 42 ガイド突起部 43 位置決め部
44 取付部 44h ボルト孔
5 表面層
6 コイル成形体
60内側樹脂部

Claims (9)

  1. 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、開口部およびこの開口部に対向する底面を有して前記コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースとを具えるリアクトルであって、
    前記磁性コアの少なくとも前記ケースの開口部側は、鉄族金属またはFe基合金の磁性粉末と樹脂とを含む成形硬化体から構成され、
    前記磁性コアにおける前記ケースの開口部側の表面には、前記磁性粉末を防錆するための表面層を具え、
    前記表面層は、前記磁性コアの樹脂と同様の樹脂からなる樹脂部を有し、この樹脂部が前記磁性コアの樹脂と界面を介することなく連続して形成されているリアクトル。
  2. 前記樹脂部は、前記磁性コアの樹脂の一部で構成されている請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記表面層は、前記磁性粉末を含まない樹脂部からなる請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記成形硬化体がコイルの外周の少なくとも一部を覆い、
    前記成形硬化体における前記磁性粉末の分布は、前記ケースの開口部側が粗、底面側が密とされている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記磁性コアは、前記コイル内に挿通された内側コア部と、前記コイルの外周を覆い前記成形硬化体から構成されて前記内側コア部に接合される連結コア部とを具え、
    前記内側コア部と連結コア部とは、前記成形硬化体の樹脂により一体化されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記表面層の厚みが、0.1mm以上5.0mm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルが配置される磁性コアとの組合体を、開口部およびこの開口部に対向する底面を有するケースに収納してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記コイルを前記ケース内に収納する収納工程と、
    前記収納工程後、前記コイルの外周を覆うように前記磁性コアを構成する鉄族金属またはFe基合金の磁性粉末と樹脂とを含む混合物をケース内に充填する充填工程と、
    前記充填工程後、前記磁性粉末と樹脂との比重差により、前記磁性粉末を前記ケースの底面側に沈降させて、混合物の表面部に内部よりも磁性粉末の含有量が少ない表面層が形成されるように保持する保持工程と、
    前記保持工程後、前記樹脂を硬化させる硬化工程とを具えるリアクトルの製造方法。
  8. 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルが配置される磁性コアとの組合体を、開口部およびこの開口部に対向する底面を有するケースに収納してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記コイルを前記ケース内に収納する収納工程と、
    前記収納工程後、前記コイルの外周を覆うように前記磁性コアを構成する鉄族金属またはFe基合金の磁性粉末と樹脂とを含む混合物をケース内に充填する充填工程と、
    前記充填工程後、前記混合物の樹脂が硬化する前に前記混合物を構成する樹脂と同様の組成で、磁性粉末を含まない樹脂をさらに前記ケース内に補充する補充工程と、
    前記補充工程後、前記ケース内の樹脂を硬化させる硬化工程とを具えるリアクトルの製造方法。
  9. 前記磁性コアは、圧粉成形体からなる内側コア部と、前記混合物からなる連結コア部とを具え、
    前記充填工程前に、前記内側コア部を前記コイル内に配置してから、前記充填工程で、前記コイル及び内側コア部の組物の外周を覆うように前記混合物を前記ケース内に充填する請求項または請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
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