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JP2012209333A - リアクトル、およびリアクトルの製造方法 - Google Patents

リアクトル、およびリアクトルの製造方法 Download PDF

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JP2012209333A JP2011072252A JP2011072252A JP2012209333A JP 2012209333 A JP2012209333 A JP 2012209333A JP 2011072252 A JP2011072252 A JP 2011072252A JP 2011072252 A JP2011072252 A JP 2011072252A JP 2012209333 A JP2012209333 A JP 2012209333A
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Kohei Yoshikawa
浩平 吉川
Takahiro Onizuka
孝浩 鬼塚
Akinori Oishi
明典 大石
Yoshiaki Matsutani
佳昭 松谷
Hideo Tawara
秀男 俵
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】フィラーの含有量を低減できて、効率的に放熱することができるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル1Aは、巻線2wを巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを有する組合体10Aと、この組合体10Aの外周を覆う外側樹脂部5とを具えており、放熱用の冷却ベースに設置される。外側樹脂部5は、冷却ベースに近接する側に形成される放熱層51と、この放熱層51の冷却ベースと反対側に積層される保護層52とを具える。放熱層51は、樹脂を含む絶縁性材料から構成される。保護層52は、樹脂を含んで熱伝導率が放熱層51よりも低い絶縁性材料から構成される。放熱層51の形成領域は、外側樹脂部5における冷却ベースとの対向面から少なくとも冷却ベースに近接する側のコイル2の表面に至る領域である。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに用いられるリアクトルおよびそのリアクトルの製造方法に関するものである。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。このリアクトルは、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用される。そのリアクトルとして、例えば、特許文献1に示すものがある。
この特許文献1のリアクトルは、コイルとコイルが配置される磁性コアと、これらコイルと磁性コアとの組合体の外周を覆う外側樹脂部とを具える。外側樹脂部は、例えばエポキシ樹脂から構成されており、放熱性を高めるためにエポキシ樹脂にセラミックスフィラーが含有される。
特開2010−267932号公報
上述のように、フィラーを含有した樹脂で外側樹脂部を形成すると、放熱性を向上させることができるが、フィラーを多く含有するほど、外側樹脂部は脆くなり易い。そのため、フィラーの含有量を低減しつつも、フィラーの含有量の低減に伴う放熱性の低下を抑制することができるリアクトルが望まれていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、フィラーの含有量を低減できて、効率的に放熱することができるリアクトルを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記本発明リアクトルを生産性よく製造することができるリアクトルの製造方法を提供することにある。
本発明は、リアクトルの主たる放熱経路を一部に集約させる構成とすることで、上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体と、この組合体の外周を覆う外側樹脂部とを具えており、放熱用の冷却ベースに設置される。上記外側樹脂部は、上記冷却ベースに近接する側に形成される放熱層と、この放熱層の冷却ベースと反対側に積層される保護層とを具える。上記放熱層は、樹脂を含む絶縁性材料から構成される。上記保護層は、樹脂を含んで熱伝導率が上記放熱層よりも低い絶縁性材料から構成される。そして、上記放熱層の形成領域は、上記外側樹脂部における上記冷却ベースとの対向面から少なくとも上記冷却ベースに近接する側の上記コイル表面に至る領域である。
上記構成によれば、組合体の外周を覆う外側樹脂部を具えており、外側樹脂部における上記領域に、樹脂を含む絶縁性材料から構成される放熱層と、樹脂を含んで熱伝導率が放熱層よりも低く、かつ絶縁性材料から構成される保護層が形成されていることから、コイルの熱を効率よく放熱層に伝えられる。というのも、放熱層の方が保護層よりも熱伝導性に優れるため、組合体の放熱層に覆われている箇所の熱はもちろん、組合体の保護層に覆われている箇所の熱も、保護層よりも熱伝導性に優れる放熱層側に集約され易くなる。つまり、リアクトルの熱の放熱経路を放熱層側に集約させることができ、放熱層を介して、冷却ベースといった固定対象に熱を放出できるので、効率的に放熱することができる。
特に、放熱層は、外側樹脂部における上記領域に絶縁性材料により構成されることから、冷却ベースの設置面、つまり、冷却ベースにおいてリアクトルと対向する面が導電性材料から構成された場合でも、コイルと冷却ベースとの間を確実に絶縁できる。従って、放熱層を薄くすることができ、この点からも、コイルの熱を冷却ベースに放出し易く、本発明リアクトルは、放熱性に優れる。
上記のように、保護層が放熱層よりも熱伝導率の低い絶縁性材料からなる構成としても、放熱性を十分確保できるため、利用可能な外側樹脂部の材料の選択の自由度を高められる。例えば、保護層にフィラーを含有していない樹脂を利用することができる。その結果、外側樹脂部全体に利用されるフィラーの含有量を低減することができる。
本発明の一形態として、上記放熱層の形成領域は、上記対向面から上記コイルの中心軸の高さに至るまでの領域であることが挙げられる。
上記の構成によれば、放熱層の領域が上記の範囲であることで、冷却ベースに近接する側のコイルを覆うことができるので、リアクトルの放熱経路を冷却ベースに近い側に十分集約し易くでき、効率よく放熱することができる。
本発明の一形態として、上記放熱層を構成する絶縁性材料の熱伝導率が、1W/m・K以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、1W/m・K以上と高い熱伝導率を有する放熱層とすることで、放熱層側にリアクトルの熱の放熱経路を集約させ易くなる。
本発明の一形態として、上記放熱層は、セラミックスフィラーを含有するエポキシ系樹脂から構成されていることが挙げられる。
上記の構成によれば、セラミックスフィラーを含有するエポキシ系樹脂は、絶縁性および放熱性の双方に優れるため、この材料で放熱層を形成することで、リアクトルの放熱性をより向上させることができる。
本発明の一形態として、上記外側樹脂部の外周を覆うケースを具えることが挙げられる。
上記の構成によれば、外側樹脂部の外周にケースを具えることで、放熱層により放熱経路を冷却ベース側に集約するとともにケースを介してコイルの熱を放熱し易くなる。
本発明の一形態として、上記外側樹脂部の外周を覆うケースを具え、上記ケースは、上記リアクトルが冷却ベースに設置されるときに当該冷却ベースに接する設置面部と、上記設置面部とは別部材で、上記組合体の周囲を囲む側壁部とを具えることが挙げられる。
上記の構成によれば、上記設置面部と側壁部とを別部材で構成することで、両者を別材料で構成することができ、設置面部を側壁部よりも高熱伝導率の材料で形成することができる。そのため、放熱層により放熱経路を放熱層側に集約させたリアクトルの熱を、設置面部を介して冷却ベースといった固定対象にさらに放出し易くできる。
本発明の一形態として、上記コイルが、当該コイルの表面の少なくとも一部を覆って上記コイルの形状を保持する内側樹脂部を具えるコイル成形体であることが挙げられる。
上記の構成によれば、コイルの絶縁を確保しつつ外部環境から保護することができることに加えて、内側樹脂部によりコイルを伸縮しない状態に保持することで取り扱いを容易にすることができる。
本発明の第一のリアクトルの製造方法は、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体の外周の少なくとも一部に外側樹脂部を形成してリアクトルを製造する方法で、以下の工程を具える。
配置工程:上記組合体を成形型内に配置する。
部分充填工程:少なくとも上記成形型の底面側における上記コイルの表面と接触する高さまで、樹脂αを含む絶縁性材料Xからなる放熱層が形成されるように、上記成形型内に当該絶縁性材料Xを上記組合体が埋没しない高さまで充填する。
補充工程:上記部分充填工程後、上記成形型内に上記組合体が埋没する高さまで、樹脂βを含んで熱伝導率が前記絶縁材料Xよりも低い絶縁性材料Yからなる保護層が形成されるように、当該絶縁性材料Yを補充する。
硬化工程:上記成形型内の樹脂α、βを硬化させて上記外側樹脂部を形成する。
上記の方法によれば、成形型内に絶縁性材料Xを充填した後、充填した絶縁性材料Xよりも熱伝導率の低い絶縁性材料Yを補充するように、熱伝導率が異なる絶縁性材料X、Yを個々に成形型内に入れることで、個々の絶縁性材料X、Yからなる放熱層および保護層における所望の領域の形成が容易である。したがって、後述の第二の製造方法のように、フィラーを沈殿させる時間を短縮、或いは省略できることから、製造時間の短縮を図ることができ、この点から、上述の本発明リアクトルを生産性よく製造することができる。
本発明第一の製造方法の一形態として、前記絶縁性材料Xの熱伝導率が、1W/m・K以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、熱伝導率が1W/m・K以上の放熱層を形成することができるので、放熱性により優れるリアクトルを製造することができる。
本発明第一の製造方法の一形態として、上記部分充填工程において、絶縁性材料Xは、セラミックスフィラーを含有していることが挙げられる。
上記の構成によれば、絶縁性材料Xがセラミックスフィラーを含有することで、より放熱性の高いリアクトルを製造することができる。
本発明の第二のリアクトルの製造方法は、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体の外周の少なくとも一部に外側樹脂部を形成してリアクトルを製造する方法で、以下の工程を具える。
配置工程:上記組合体を成形型内に配置する。
充填工程:上記成形型内に、上記組合体が埋没するようにセラミックスフィラーと樹脂γとを含む絶縁性材料Zを充填する。
保持工程:上記充填工程後、上記樹脂γとフィラーとの比重差により、上記フィラーを上記成形型の底面側に沈降させて、上記成形型の底面から少なくとも当該底面側における上記コイルの表面までの領域に放熱層が形成されて、その放熱層上に、熱伝導率が前記放熱層よりも低い保護層が形成されるように保持する。
硬化工程:上記保持工程後、上記成形型内の樹脂γを硬化させて上記外側樹脂部を形成する。
上記の方法によれば、保持工程により、上記樹脂γとフィラーの比重差により、フィラーを成形型の底面側に沈降させることで、フィラーが底面側に偏在するようになり、上記底面側に、フィラーを多く含む絶縁性材料から構成される放熱層を、その放熱層上に、熱伝導率が放熱層よりも低い絶縁性材料から構成される保護層を一度に形成することができる。つまり、この方法によれば、成形型内に絶縁性材料Zを充填する工程が一度で済み、放熱層および保護層を形成する絶縁性材料をそれぞれ充填・補充する工程が不要であるため、工程数が少なくて済む。そのため、生産性よく上記本発明のリアクトルを製造することができる。
本発明第二の製造方法の一形態として、上記保持工程において、上記放熱層の熱伝導率が1W/m・K以上となるように保持することが挙げられる。
上記の構成によれば、熱伝導率が1W/m・K以上の放熱層を形成することができるので、放熱性により優れるリアクトルを製造することができる。
本発明リアクトルは、フィラーの含有量を低減しつつ、効率的に放熱することができる。
本発明リアクトルの製造方法は、外側樹脂部の形成時間の短縮を図ることができる、あるいは、外側樹脂部の形成工程数を低減することができるため、上記本発明のリアクトルを生産性よく製造することができる。
実施形態1に係るリアクトルを示す図であって、(A)は概略斜視図、(B)は(A)においてB−B線で切断した断面図である。 実施形態1に係るリアクトルにおける組合体の各構成の概略を示す分解斜視図である。 実施形態2に係るリアクトルを示す図であって、(A)は概略斜視図、(B)は(A)においてB−B線で切断した断面図である。 実施形態3に係るリアクトルに具わるケースの分解斜視図である。 実施形態4に係るリアクトルを示す図であって、(A)は概略斜視図、(B)は(A)においてB−B線で切断した断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ここでは、リアクトルについて先に説明し、続いてそのリアクトルの製造方法について説明する。なお、図中の同一符号は同一名称物を示す。
<<実施形態1>>
≪全体構成≫
<リアクトル>
リアクトル1Aは、図1、2に示すように、巻線2wを巻回してなるコイル2と、コイル2が配置される磁性コア3とを有する組合体10Aと、この組合体10Aの外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部5とを具える。磁性コア3は、コイル2に挿通された内側コア部31と、コイル2の外側に配置され、内側コア部31に連結される連結コア部32とを具え、これら両コア部31、32により閉磁路を形成する。以下、各構成を詳細に説明する。
《組合体》
[コイル]
コイル2は、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a、2bと、両コイル素子2a、2bを連結するコイル連結部2rとを具える。各コイル素子2a、2bは、互いに同一の巻数で、軸方向から見た形状(端面形状)がほぼ矩形状である。これら両コイル素子2a、2bは、各軸方向が平行するように横並びに並列されており、コイル2の他端側において巻線2wの一部がU字状に屈曲されてコイル連結部2rが形成されている。この構成により、両コイル素子2a、2bの巻回方向は同一となっている。
巻線2wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用している。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減できて電気絶縁性を高められる。両コイル素子2a、2bは、上記被覆平角線をエッジワイズ巻きにして、中空の角筒状に形成されている。巻線2wは、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、楕円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。平角線は、断面が円形状の丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを形成し易い。なお、各コイル素子を別々の巻線により作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとした形態とすることができる。
コイル2を形成する巻線の両端部は、コイル2の一端側においてターン形成部分から適宜引き延ばされて後述する外側樹脂部5の外部に引き出される。引き出された巻線の両端部は、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線2wの導体部分と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。ここでは、コイル2の軸方向に直交するように巻線2wの両端部を引き出しているが、引き出し方向は適宜選択することができる。
[磁性コア]
磁性コア3は、各コイル素子2a、2bがそれぞれ配置される一対の内側コア部31と、コイル2が配置されず、コイル2から露出されている一対の連結コア部32とを有する。ここでは、各内側コア部31はそれぞれ直方体状であり、各連結コア部32はそれぞれ、一対の台形状面を有する角柱状体である。磁性コア3は、離間して配置される両内側コア部31を挟むように連結コア部32が配置され、各内側コア部31の端面31eと連結コア部32の内端面32eとを接触させて環状に形成される(図2)。これら内側コア部31及び連結コア部32により、コイル2を励磁したとき、閉磁路を形成する。
内側コア部31は、磁性材料からなる磁性コア片31mと、代表的には非磁性材料からなるギャップ材31gとを交互に積層して構成された積層体であり、連結コア部32は、磁性材料からなる磁性コア片である。ギャップ材31g間において、磁性コア片31mが複数で構成されていてもよい。例えば、高さ方向(図1(B)の上下方向)、あるいは、一対の内側コア部31の並列方向(図1(B)の紙面に垂直な方向)の少なくとも一方向に磁性コア片31mを分割して、それら分割片を積層した構成してもよい。各磁性コア片31mは、絶縁被膜を具える軟磁性粉末を用いて作製した圧粉成形体、絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板を積層させた積層鋼板、あるいは、磁性粉末と樹脂とを含む混合物から構成される成形硬化体から構成することができる。
上記軟磁性粉末には、Fe、Co、Niといった鉄族金属粉末の他、Fe−Si、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Si−AlなどのFe基合金粉末、或いは希土類金属粉末、フェライト粉末などの他、軟磁性粉末に結合剤を混合した混合粉末が利用できる。軟磁性粉末に形成される絶縁被膜は、例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、又は硼素化合物などが挙げられる。上記結合剤は、例えば、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸が挙げられる。また、積層鋼板は、絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板を積層させた積層体からなるものである。さらに、成形硬化体の磁性粉末には、上述した軟磁性粉末と同様のものを利用することができ、純鉄粉末やFe基合金粉末といった鉄基材料からなる粉末が好適に利用できる。また、バインダとなる樹脂には、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂、または熱硬化性樹脂が利用でき、特に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。成形硬化体の構成材料に、アルミナやシリカといったセラミックスからなるフィラーを混合させてもよい。
各コア部31、32は、上述した構成材料から選択することができるので、内側コア部31の材質と連結コア部32の材質とを異ならせた形態とすることができる。例えば、内側コア部31を上記圧粉成形体や上記積層鋼板とし、連結コア部32を上記成形硬化体とすると、内側コア部31の飽和磁束密度を連結コア部32よりも高め易い。ここでは、磁性コア片31mおよび連結コア部32は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性粉末の圧粉成形体としている。
そして、上記ギャップ材31gは、インダクタンスの調性のために磁性コア片31mの間に配置される板状体である。このギャップ材31gの外形は適宜選択することができ、さらに上記磁性コア片31mとギャップ材31gの各対向面同士の面積(外形寸法)は、上記磁性コア片31mと同等であってもよいが、特にギャップ材31gの外形寸法が、磁性コア31mの外形寸法よりも小さいことが好ましい。そうすることで、磁性コア片31mの外周面から、ギャップ材31gが突出していないので、磁性コア片31mをコイル2に近接させることができ、コイル2からの熱が磁性コア片31mを通して効果的に放熱される。ここでは、ギャップ材31gの外形、および上記磁性コア片31mの外形は、上記筒状のコイル2の内周面の形状にそった形状であり、ギャップ材31gの外形寸法は、磁性コア片31mの外形寸法より少し小さくしている。
このギャップ材31gは、アルミナやガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなど、磁性コア片31mよりも透磁率が低い材料、代表的には非磁性材料からなるギャップ、またはエアギャップが挙げられる。或いは、セラミックスやフェノール樹脂などの非磁性材料に磁性粉末(例えば、フェライト、Fe,Fe−Si,センダストなど)が分散した混合材料で構成されるギャップが挙げられる。この混合材料は、比透磁率が1.1以上1.5未満であることが好ましい。また、硬質で、高剛性の材料で構成される場合、ギャップ長のばらつきが生じ難い。
そして、上述した磁性コア片31mとギャップ材31gの個数は、リアクトル1Aが所望のインダクタンスとなるように適宜選択するとよい。
上述した磁性コア片31mとギャップ材31gとは、接着剤により一体に固定してもよいし、絶縁性の粘着テープにより一体に固定してもよい。
磁性コア3では、内側コア部31の冷却ベース(図示せず、ここでは、図面において下方側)との対向面(以下、単に内側コア部31の対向面ともいう)と連結コア部32の冷却ベースとの対向面(以下、単に連結コア部32の対向面ともいう)とは、面一になっていてもよいし、本例のように、面一になっていなくてもよい。具体的には、リアクトル1Aを冷却ベースに設置したとき、連結コア部32の対向面(図1(B)において下面)が内側コア部31の対向面よりも突出している。また、連結コア部32の対向面は、コイル2において冷却ベースに近接する側の表面(以下、コイル対向面と呼ぶ。図1(B)において下面)と面一となるように、連結コア部32の高さ(リアクトル1を固定対象に設置した状態において、当該固定対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル2の軸方向に直交する方向であり、図1(B)において上下方向)の長さ)を調整してもよいし、本例のように連結コア部32の対向面がコイル対向面よりも突出するように連結コア部32の高さを調整してもよい。内側コア部31と連結コア部32の冷却ベースから遠隔側の表面(図1(B)において上面)は面一とし、磁性コア3は、リアクトル1Aを設置した状態において、側面から透視すると、Π状としてもよい。更に、磁性コア3を環状に組み立てた状態において、連結コア部32の側面(図2において紙面手前及び奥の面)は、内側コア部31の側面よりも外方に突出させることもできる。このような三次元形状の磁性コア3は、圧粉成形体とすることで形成が容易である上に、連結コア部32において内側コア部31よりも突出した箇所をも磁路に利用できる。
[インシュレータ]
さらに、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性と両者の位置決めの確実性を高めるために、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ4を具えていてもよい。インシュレータ4は、内側コア部31の外周に配置される周壁部41と、コイル2の端面(コイル素子のターンが環状に見える面)に当接される一対の枠状部42とを具えた構成が挙げられる。
周壁部41は、ここでは、一対の断面]状で構成され、各周壁部41は互いに接触せず、内側コア部31の外周面の一部のみに配置される構成とする。周壁部41は、内側コア部31の外周面の全周に沿って配置される筒状体とすることができるが、コイル2と内側コア部31との間の絶縁距離を確保することができれば、図2に示すように、内側コア部31の一部が周壁部41により覆われない形態としてもよい。なお、図2では、説明の便宜上、上記周壁部41は紙面手前側の内側コア部31に対してのみ示しているが、図2の紙面奥側の内側コア部31にも設けるものとする。また、ここでは、周壁部41は、表裏に貫通する窓部を具えるものを利用している。
内側コア部31の一部がボビンから露出されることで、ボビンの材料を低減することができる。上記窓部を有する周壁部41としたり、内側コア部31の全周が周壁部41により覆われない構成としたりすることで、内側コア部31と外側樹脂部5の構成材料である絶縁性材料との接触面積を大きくすることができる。
枠状部42は、平板状で、各内側コア部31がそれぞれ挿通される一対の開口部を有しており、内側コア部31を導入し易いように、内側コア部31の側に突出する短い筒状部を具える。一方の枠状部42には、コイル連結部2rが載置され、コイル連結部2rと連結コア部32との間を絶縁するためのフランジ部42fを具える。
インシュレータの構成材料には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁性材料が利用できる。
《外側樹脂部》
外側樹脂部5は、組合体10Aの形状保持および外部環境や機械的応力からの保護に加えて、コイル2の絶縁確保のために、概ね組合体10Aの外形に沿って形成されており、冷却ベースに近接する側に形成される放熱層51と、この放熱層51の冷却ベースと反対側に積層される保護層52とを具える。
[放熱層]
放熱層51は、外側樹脂部5における冷却ベースとの対向面から少なくとも冷却ベースに近接する側のコイル表面に至る領域に、樹脂αを含む絶縁性材料Xから構成されている。この形成領域の限定により、リアクトル1の熱の放熱経路を放熱層51側に集約することができ、放熱層を介して、冷却ベースといった固定対象に熱を放出できるので、効率的に放熱することができる。この形成領域は、コイル2の中心軸の高さに至るまでの領域であることが好ましい。そうすることで、冷却ベースに近接する側のコイル2を放熱層51で覆うことができるため、コイル2の放熱経路を冷却ベースに近い側に十分に集約し易くできる。絶縁性材料Xの熱伝導率が1W/m・K以上、特に2W/m・K以上である場合、効率的に放熱するためにより効果的である。
放熱層51を構成する絶縁性材料Xとして、樹脂αには、絶縁性と耐熱性に優れる樹脂、具体的にはエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられ、特にこれらの樹脂αにセラミックスからなるフィラーが含有されていることが好ましい。そうすることで、放熱層51の絶縁性に加えて熱伝導性を高めることができる。このセラミックスフィラーは、高熱伝導性であること、より特定的には、熱伝導率が20W/m・K以上、さらには50W/m・K以上、特に100W/m・K以上であることが望ましい。具体的なセラミックスフィラーとしては、アルミナ(20W/m・K〜30W/m・K程度)、窒化珪素(20W/m・K〜150W/m・K程度)、窒化アルミニウム(200W/m・K〜250W/m・K程度)、窒化硼素(50W/m・K〜65W/m・K程度)、および炭化珪素(50W/m・K〜130W/m・K程度)から選択される少なくとも1種が挙げられる。
絶縁性材料Xの樹脂αにフィラーが含有されている場合、その含有量は、上述のように放熱層51の熱伝導率が1W/m・K以上、さらには2W/m・K以上となる程度であることが好ましい。具体的には、70質量%以上であることが好ましい。そうすることで、放熱層51の熱伝導率を高めることができ、リアクトル1の熱、特にコイル2の熱を放熱し易くなる。一方、フィラーの含有量は、90質量%以下とすることで、放熱層51におけるフィラーの含有量が多くなりすぎず、放熱層51の割れを解消することができる。このような放熱層51の熱伝導率は、次述する保護層52の2倍以上、より好ましくは3倍以上であることが好適である。放熱層51と保護層52の熱伝導率の差が大きいことで、リアクトルにおける主たる放熱経路を放熱層51側に集約し易い。
[保護層]
保護層52は、放熱層51上に、樹脂βを含んで熱伝導率が放熱層51よりも低い絶縁性材料Yから構成されている。その形成領域は、組合体10Aが埋没する程度であればよい。そうすることで、組合体10Aを外部環境から保護できるとともに、コイル2の絶縁を確保することができる。
保護層52を構成する絶縁性材料Yとして、具体的な樹脂βには、放熱層51と同様の樹脂αを使用することができる。その場合、放熱層51と保護層52とが密着し易い。もちろん、放熱層51と異なる樹脂を使用してもよい。また、放熱層51と同様にフィラーを含有していてもよい。その含有量は、熱伝導率が放熱層51の熱伝導率未満となる程度であればよい。具体的には、放熱層51よりもフィラーの含有量は少なくすることが挙げられる。そうすることで、保護層52を放熱層51よりも熱伝導率を低くして、放熱層51側にリアクトルの放熱経路を集約させ易くすることができる上に、外側樹脂部5全体でフィラーの含有量を低減することができる。フィラーの含有量の低減を図るうえで、具体的な絶縁性材料Yにおけるフィラーの含有量は、絶縁性材料Xにおけるフィラーの含有量に対して半分以下とすることが好ましく、四分の一以下がより好ましい。このようにフィラーの含有量が少ない絶縁性材料の熱伝導率は、通常2W/m・K未満、さらに1W/m・K未満が多い。この保護層52は、フィラーを含有せず、樹脂βのみで構成されていてもよい。
[用途]
リアクトル1Aは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
<リアクトルの製造方法(I)>
上述したリアクトル1Aは、例えば、以下に示す配置工程→部分充填工程→補充工程→硬化工程の順に各工程を経て製造することができる。以下、各工程について説明する。
[配置工程]
配置工程では、コイル2と磁性コア3の組合体10Aを成形型内に配置する。まず、コイル2と磁性コア3を用意し、それらを図2に示すように組立て組合体10Aを作製する。その組合体10Aを成形型内に配置する。その際、適宜インシュレータ4などをコイル2と磁性コア3との間に介在させておいてもよい。
[部分充填工程]
部分充填工程では、放熱層51を形成するために、組合体10Aを成形型内に配置した後、樹脂αを含む絶縁性材料Xを成形型内に充填する。この絶縁性材料Xには、上述の材料を用いることができ、ここで充填する絶縁性材料Xの熱伝導率は、1W/m・K以上、特に2W/m・K以上であることが好ましい。この工程では、組合体10Aにおいて成形型の底面から少なくとも当該底面側に近接する側のコイル表面まで、絶縁性材料Xで満たす。充填する高さは、組合体10Aが埋没しない高さとし、コイル2の中心軸の高さ程度までとすることが好ましい。本例では、絶縁性材料Xとして、樹脂αにエポキシ樹脂を用い、その樹脂αにアルミナフィラーと硬化剤としてテトラヒドロメチル無水フタル酸を含有した材料を使用し、上記コイル表面と接する高さまで充填して放熱層51を形成する。ここでは、エポキシ樹脂の含有量を5質量%、アルミナフィラーの含有量を85質量%とした。なお、ここでは、エポキシ樹脂の硬化剤としてテトラヒドロメチル無水フタル酸を使用したが、この硬化剤は使用する樹脂の種類に合わせて適宜選択することができる。
[補充工程]
補充工程では、保護層52を形成するために、上記部分充填後、成形型内に成形体10Aが埋没する高さまで、樹脂βを含んで熱伝導率が絶縁性材料Xよりも低い絶縁性材料Yを補充する。この絶縁性材料Yには、絶縁性材料Xよりもフィラーの含有量が少ない点を除いて絶縁性材料Xと同様の材料を用いることができる。つまり、この樹脂βには、例えば、樹脂αを用いることができる。同様に、樹脂βの硬化剤、および樹脂βに含有するフィラーも絶縁性材料Xと同様の材料を用いることができる。フィラーの含有量が絶縁性材料Xよりも少なければ、絶縁性材料Xよりも熱伝導率を低くできる。勿論、樹脂βとその硬化剤を樹脂αとその硬化剤とは異なる材質としたり、樹脂βに含有するフィラーを絶縁性材料Xで用いたフィラーとは異なる材料としてもよい。本例では、絶縁性材料Yとして、樹脂βには樹脂αと同様のエポキシ樹脂を用い、硬化剤とフィラーも上記絶縁性材料Xと同様の材料を使用する。ここでは、絶縁性材料Yのフィラーの含有量は上記絶縁性材料Xにおける含有量の半分とした。
[硬化工程]
硬化工程では、外側樹脂部5を形成するために、絶縁性材料Xおよび絶縁性材料Yをそれぞれ上述のような高さまで充填した状態で、成形型内の樹脂α、βを硬化させる。この硬化工程では、硬化させる樹脂の種類に応じて適宜温度と時間を選択するとよい。本例では、150℃程度に保持した状態を4時間程度静置して、樹脂を硬化し、本例のリアクトル1Aが得られる。
本製造方法では、部分充填工程と補充工程でそれぞれ放熱層51、保護層52を形成するので、樹脂は粘度の制約を受けることなく種々選択することができる。つまり、放熱層51の樹脂αと保護層52の樹脂βとは、異種の樹脂や樹脂に充填する硬化剤などの添加物を異ならせたものを利用してもよい。例えば、放熱層51の樹脂αの粘度と保護層52の樹脂βの粘度とを異ならせてもよい。本例の場合、例えば、放熱層51の樹脂αの粘度を樹脂βの粘度よりも高くしてもよい。そうすることで、絶縁性材料Xに絶縁性材料Yが混合しにくく、放熱層51の構成材料は、略充填した絶縁性材料Xで占めるため、熱伝導率を調整しやすい。
部分充填工程および補充工程で成形型内に充填した樹脂α、βを上記硬化工程にて同時に硬化するため、放熱層51と保護層52とを同時に形成することができるうえに、放熱層51と保護層52とが界面を介することなく連続して形成することができる。また、部分充填工程後、補充工程前に樹脂αを硬化しておいてもよい。そうすることで、樹脂αに樹脂βが混合することなく放熱層51を形成することができる。
[その他の工程]
その他の工程として、放熱層51内および保護層52内、あるいは放熱層51と保護層52との間のボイドを除去するために真空引きして脱気処理するとよい。この脱気処理は、上記部分充填工程後から上記補充工程前までの間と、上記補充工程後から上記硬化工程前までの間とでそれぞれ行ってもよいし、上記補充工程後から上記硬化工程前までの間でのみ行ってもよい。前者の場合、放熱層51内および保護層52内、そして、放熱層51と保護層52との間のボイドを十分に除去し易くなるので好ましい。後者の場合、脱気処理の工程が少なくて手間がかからなくて済むので好ましい。
<リアクトルの製造方法(II)>
或いは、リアクトル1Aは、例えば、以下のようにしても製造することができる。本方法では、上記製造方法(I)のように、外側樹脂部の構成材料である絶縁性材料を二度に分けて充填せずに、絶縁性材料を成形型内に充填する工程を一度とし、充填後、硬化工程までの間に保持工程を具える点が上記製造方法(I)と異なる。つまり、本例では、配置工程→充填工程→保持工程→硬化工程の順に各工程を経てリアクトルを製造する。ここでは、上記製造方法(I)と異なる点である充填工程および保持工程について説明する。
[充填工程]
充填工程では、組合体10Aを成形型内に配置した後、セラミックスからなるフィラーと樹脂γとを含む絶縁性材料Zを組合体10Aが埋没するように充填する。ここで使用する樹脂γは、フィラーが成形型の底面側に沈降し易いような粘度(低粘度)を有するものを用いると、後述する保持工程において放熱層51を形成するのに短時間で形成し易くて、リアクトルの生産性を向上することができるので好ましい。本例では、樹脂γにはエポキシ樹脂を5質量%、アルミナフィラーを85質量%、この樹脂の硬化剤として酸無水物をそれぞれ用意して絶縁性材料Zを形成し、成形型内に充填した。
[保持工程]
保持工程では、絶縁性材料Zを成形型内に充填した後、直ちに上記樹脂γを硬化させるのではなく、樹脂γとフィラーとの比重差により、フィラーを成形型の底面側に沈降させて、成形型の底面から少なくとも当該底面側におけるコイルの表面までの領域に、放熱層51が形成されて、その放熱層51上に、熱伝導率が放熱層51よりも低い保護層52が形成される状態となるまで保持する。その際、放熱層51の熱伝導率が1W/m・K以上、特に2W/m・K以上となるまで保持することが好ましい。つまり、例えば、樹脂γにフィラーを均一に分散させた状態で絶縁性材料Zを硬化させた場合は、その熱伝導率が2W/m・K未満、あるいは1W/m・K未満であってもよい。保持する際は、恒温槽にて樹脂γが硬化しない温度で静置するとよい。ここでの保持時間は、使用する樹脂γや、形成する放熱層51の所望の形成領域に応じて適宜選択すればよい。本例では、60分程度保持して樹脂硬化前の放熱層51を形成した。
樹脂γとフィラーとの分離状態は、樹脂γによって、分離に掛かる時間が変化する。そこで、種々の原料を用いたテストピースを作製して所望の放熱層51の形成領域が形成される各静置時間を予め求めておき、以後、原料に応じた静置時間を適宜選択すると、生産性よくリアクトルを形成できる。
[その他の工程]
その他の工程として、本製造方法においても、充填工程で絶縁性材料Zを成形型内に充填した後、保持工程前に、絶縁性材料Z内のボイドを除去するための脱気処理として、真空引きするとよい。
上記製造方法(I)、(II)のいずれも、上記樹脂の硬化後、組合体10Aの外周を覆う箇所は、実質的に樹脂を含む絶縁性材料により構成されて、成形型の底面から少なくとも当該底面側に近接する側のコイル表面までの領域に放熱層51が形成され、放熱層51上で組合体10Aが埋没する領域まで保護層52が形成された外側樹脂部5を具えるリアクトル1Aが得られる。
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)外側樹脂部における冷却ベースに近い側で、冷却ベースに近い側のコイル表面と接するように放熱層を設け、放熱層の上に放熱層よりも熱伝導率の低い保護層を設けることで、リアクトルの放熱経路を放熱層に集約し易くすることができる。つまり、リアクトルの熱の放熱経路を放熱層側に集約させることができ、放熱層を介して、冷却ベースといった固定対象に熱を放出できるので、効率的に放熱することができる。
(2)保護層を構成する絶縁性材料Yのフィラーの含有量を放熱層の絶縁性材料Xよりも少なくしたので、リアクトル全体としてフィラーの含有量を低減することができる。そのため、コストを削減することができる。
(3)上述の製造方法(I)によれば、放熱層を構成する絶縁性材料Xと、保護層を構成する絶縁性樹脂Yとを個々に成形型内に入れることで、個々の絶縁性材料からなる放熱層および保護層における所望の領域の形成が容易である。したがって、フィラーを沈殿させる時間を短縮、或いは省略できることから、製造時間の短縮を図ることができ、この点から、上述の本発明リアクトルを生産性よく製造することができる。
(4)上述の製造方法(II)によれば、複数の絶縁性材料を用意する必要がなく、成形型内に絶縁性材料Zを充填する工程が一度で済み、放熱層および保護層を形成する絶縁性材料をそれぞれ充填・補充する工程が不要であるため、工程数が少なくて済む。そのため、生産性よく上記本発明のリアクトルを製造することができる。
<実施形態2>
実施形態2は、図3(A)、(B)に示すように、外側樹脂部5の外周にケース6Aを具える形態とする点が実施形態1と相違する。以下、実施形態1と相違する点について説明する。
[ケース]
本例のリアクトル1Bは、外側樹脂部5の外周に外部環境から保護することに加えて、冷却ベースから放熱し易くするためのケース6Aを具えている。ケース6Aの形状、大きさは、適宜選択することができるが、ここでは、外側樹脂部5の形状に概ね沿った有底の箱型形状とし、上部が開口されている。
ケース6Aの構成材料は、軽量で耐衝撃性に優れ、なおかつ熱伝導性に優れる材料であることが好ましい。具体的には、金属材料とすると、金属材料は一般に熱伝導率が高いことから、放熱性に優れたケース6Aとすることができる。具体的な金属としては、例えば、アルミニウム(熱伝導率:237W/m・K)やその合金、マグネシウム(熱伝導率:156W/m・K)やその合金、銅(398W/m・K)やその合金、銀(427W/m・K)やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304:16.7W/m・K)が挙げられる。上記アルミニウムやマグネシウム、及びその合金を利用すると、軽量なケース6Aとすることができ、リアクトルの軽量化に寄与することができる。特に、アルミニウムやその合金は、耐食性にも優れるため、車載部品には好適に利用することができる。上記金属は非磁性材料であるため、さらにケース外部への漏れ磁束を効果的に防止するという効果をも奏することができる。金属材料によりケース6Aを形成する場合、ダイキャストといった鋳造の他、プレス加工などの塑性加工により形成することができる。
或いは、ケース6Aの構成材料は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などの樹脂といった非金属材料とすると、これらの非金属材料は一般に電気絶縁性に優れるものが多いことから、コイル2とケース6Aとの間の絶縁性を高められる。また、これらの非金属材料は上述した金属材料よりも軽く、リアクトル1Bを軽量にできる。上記樹脂に上述した放熱層51と同様のセラミックスからなるフィラーを混合した形態とすると、放熱性を向上することができる。樹脂によりケース6Aを形成する場合、射出成形を好適に利用することができる。
ケース6Aを具える場合、リアクトル1Bの製造方法は、上述製造方法により製造された組合体10Aと外側樹脂部5の一体物をケース6Aの中に収納してリアクトル1Bを製造してもよいし、先にケース6Aの中に組合体10Aを配置して、その後、上述の製造方法に沿って外側樹脂部を形成してリアクトル1Bを製造してもよい。
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)外側樹脂部の外周に熱伝導性に優れる金属材料からなるケースを具えることで、冷却ベースにケースの底面を設置した場合、組合体の放熱経路をケースの底面側に具える放熱層により冷却ベース側に集約するとともにケースを介してコイルの熱を放熱し易くなる。
(2)ケースを具えることで、外部環境から組合体や外側樹脂部の保護を図ることができる。
<実施形態3>
実施形態3は、実施形態2と同様に外側樹脂部の外周にケースを具える形態とするが、ケースの構成が、図4に示すように設置面部60と側壁部61とを具え、設置面部60と側壁部61とが別部材で構成されている点が実施形態2と相違する。以下、図4を参照して実施形態2と相違する点について説明する。そのため、図4では、説明の便宜上ケース6Bの分解斜視図を示しているが、実際は図3に示す組合体10Aが、その外側に具わる放熱層51および保護層52を具える外側樹脂部5によりケース6B内に封止される。以下の説明において、組合体10Aとその構成部材について言及する場合は、図1または図3を参照する。
[ケース]
(設置面部)
設置面部60は、矩形板であり、リアクトルが固定対象に設置されるときに固定対象に接する。この設置面部60は、ケース6Bを組み立てたとき、内側に配置される一面に接着層62が形成されていてもよい。また、設置面部60は、四隅のそれぞれから突出したフランジ部600を有していてもよく、各フランジ部600にはそれぞれ、固定対象にケース6Bを固定するボルト(図示せず)が挿通されるボルト孔600hが設けられていてもよい。ボルト孔600hは、後述する側壁部61のボルト孔611hに連続するように設けられている。ボルト孔600h、611hは、ネジ加工が成されていない貫通孔、ネジ加工がされたネジ孔のいずれも利用でき、個数なども適宜選択することができる。
(側壁部)
側壁部61は、ケース6Bを組み立てたとき、上記組合体10Aの周囲を囲む矩形枠状体である。ここでは、側壁部61は、リアクトルを固定対象に設置したときに設置側となる領域が上記設置面部60の外形に沿った矩形状であり、開口側の領域がコイル2と磁性コア3との組合体10の外周面に沿った曲面形状である。コイル2の外周面と側壁部61の内周面とは近接しており、コイル2の外周面と側壁部61の内周面との間隔は、0mm超1.0mm以下程度と非常に狭い。また、ここでは、側壁部61の開口側の領域には、組合体10の連結コア部32の台形状面を覆うように配置される庇状部が設けられており、ケース6Bに収納された組合体10は、コイル2が露出され、磁性コア3は実質的にケース6Bの構成材料に覆われる。上記庇状部を具えることで、耐振動性の向上、ケース6B(側壁部61)の剛性の向上、その他、組合体10の外部環境からの保護や機械的保護を図ることができる。なお、上記庇状部は省略してもよい。
〔端子台〕
上記側壁部61の上部開口側の領域において、一方の連結コア部32の上方を覆う箇所は、端子金具8が固定される端子台610として機能する。
端子金具8は、コイル2を構成する巻線2wの端部に接続して、電源などの外部装置側と接続するための長方形状の板材であり、適宜な形状に屈曲されている。巻線2wの導体部分と端子金具8との接続には、TIG溶接などの溶接が利用できる。端子金具8の形状は、例示であり、適宜な形状のものが利用できる。
〔フランジ部〕
側壁部61の設置側の領域は、設置面部60と同様に、四隅のそれぞれから突出するフランジ部611を具え、各フランジ部611には、ボルト孔611hが設けられていてもよい。ボルト孔611hは、側壁部61の構成材料のみにより形成してもよいし、別材料からなる筒体を配置させて形成してもよい。例えば、側壁部61を樹脂により構成する場合、上記筒体は、例えば、真鍮、鋼、ステンレス鋼などの金属からなる金属管を利用すると、強度に優れることから、樹脂のクリープ変形を抑制することができる。ここでは、金属管を配置してボルト孔611hを形成している。
(材質)
ケース6Bの構成材料は、上述の実施形態2に記載のケース6Aの構成材料と同様の材料を使用でき、設置面部60及び側壁部61の構成材料は、同種の材料とすることができる。この場合、両者の熱伝導率は等しくなる。或いは、設置面部60及び側壁部61が別部材であることから、両者の構成材料を異ならせることができる。この場合、特に、設置面部60の熱伝導率が側壁部61の熱伝導率よりも大きくなるように、両者の構成材料を選択すると、設置面部60に配置されるコイル2及び磁性コア3の熱を冷却ベースといった固定対象に効率よく放出できる。ここでは、設置面部60をアルミニウムにより構成し、側壁部61をPBT樹脂により構成している。
(連結方法)
設置面部60と側壁部61とを一体に接続する手法は、種々の手法を利用することができる。例えば、適宜な接着剤を利用したり、ボルトといった締結部材を利用することができる。ここでは、設置面部60及び側壁部61にボルト孔(図示せず)を設け、ボルト(図示せず)をねじ込むことで、両者を一体化している。
[接着層]
設置面部60に接着層62を具える場合、コイル2におけるケース6Bの設置面側は接着層62と接触せず、接着層62に連結コア部32のコア設置面が接触することで組合体10Aを設置面部60に固定することができる。
接着層62を構成する材料は、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成されていることが好ましい。接着層62は、熱伝導率が高いほど好ましく、3W/m・K以上、特に10W/m・K以上、更に20W/m・K以上、とりわけ30W/m・K以上の材料により構成されることが好ましい。
接着層62の具体的な構成材料は、例えば、上記放熱層51と同様の絶縁性材料を利用することができる。これら構成材料は、放熱性に優れる。接着層62は、設置面部60に上記絶縁性材料を塗布などすることで、容易に形成できる。接着層62を接着剤により構成すれば、連結コア部32と接着層62との密着性を高められて好ましい。上記絶縁性材料により接着層62を形成する場合、例えば、スクリーン印刷を利用すると容易に形成することができる。
ここでは、接着層62は、アルミナからなるフィラーを含有するエポキシ系接着剤により形成されている(熱伝導率:3W/m・K)。また、接着層62は、上記接着剤の二層構造としてもよく、その場合、例えば一層の厚さを0.2mm、合計0.4mmとすることが挙げられる。接着層62は、連結コア部32の設置面が接着層62に十分に接触できる面積を有していれば特に形状は問わない。例えば、接着層62は、図4に示すようにコイル2のコイル設置面及び連結コア部32のコア設置面がつくる形状に沿った形状とすることができる。
[放熱層]
接着層62を具える場合、放熱層51は、連結コア32間では、少なくとも接着層62との対向面から少なくともコイル2の上記設置面側表面に至る領域に形成される。
このケース6Bを具える場合、リアクトルの製造方法は、上述の製造方法により製造された組合体10Aと外側樹脂部5の一体物をケース6Bの中に収納してリアクトルを製造してもよい。先にケース6Bの中に組合体10Aを配置してから、上述の製造方法に沿って外側樹脂部5を形成してリアクトルを製造してもよい。つまり、設置面部60に上記一体物あるいは組合体10Aを載せてから、当該一体物(組合体10A)を囲むように側壁部61を設置面部60に装着できる。
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)外側樹脂部の外周にケースを具え、冷却ベースにケースの底面を設置した場合、組合体の放熱経路をケースの底面側に具える放熱層により冷却ベース側に集約するとともにケースを介してコイルの熱を放熱し易くなる。特に、ケースの設置面部と側壁部とが別部材で構成されているため、設置面部と側壁部を別材料で構成することができ、設置面部を側壁部よりも熱伝導性に優れる材料で構成した場合、より効果的に放熱することができる。
(2)ケースの設置面部と側壁部とを別部材で構成し、組み合わせて一体とすることができるので、設置面部に組合体あるいは組合体と外側樹脂部との一体物を載せた後に組合体(上記一体物)を囲むように側壁部を設置面部に装着できる。
(3)ケースに接着層を具える場合、設置面部と側壁部とが別部材であるので、容易に設置面部に接着層を形成できる。そのうえ、設置面部に対する組合体の位置決めが容易である。
(4)ケースを具えることで、外部環境から組合体や外側樹脂部の保護を図ることができる。
<実施形態4>
実施形態4は、図5(A)、(B)に示すように、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する構成が、コイル2の表面を覆う内側樹脂部7cを具えるコイル成形体7とする点で実施形態1とは相違する。つまり、本例において、組合体10Dは、コイル成形体7と磁性コア3とを有する。以下、その相違点であるコイル成形体7について説明する。その他の構成については、実施形態1の構成と同様であるため説明を省略する。
[コイル成形体]
コイル成形体7は、コイル2の外周を覆う内側樹脂部7cを具える。この内側樹脂部7cの構成樹脂がコイル2の各コイル素子2a、2bの各ターン間に介在されて、当該構成樹脂により、コイル2の隣り合うターン間が絶縁されている。ここでは、内側樹脂部7cは、各コイル素子2a、2bをそれぞれ圧縮した所定の形状に保持している。コイル2は、この内側樹脂部7cにより、コイル2の四方の角部に概ね沿って覆われている。巻線2wの両端部が内側樹脂部7cの構成樹脂により覆われず露出されている。内側樹脂部7cにおいて両コイル素子2a、2bのターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、巻返し部2rを覆う箇所は、コイルの軸方向にせり出した形状である。
各コイル素子2a、2bの内周も内側樹脂部7cの構成樹脂により覆われており、コイル成形体3は、内側樹脂部7cの構成樹脂により形成される中空孔を有する。各中空孔にはそれぞれ、内側コア部31が挿通配置される。各内側コア部31がそれぞれ、コイル素子2a、2bの内周の適切な位置に配置されるように内側樹脂部7cの構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔の形状を内側コア部31の外形(ここでは直方体状)に合わせている。そのため、各コイル素子2a、2bの内周に存在する内側樹脂部7cの構成樹脂は、内側コア部31の位置決め部としても機能する。
その他に、コイル成形体は、例えば、コイルと、コイル内に挿通された内側コア部と、コイルの表面を覆ってその形状を保持すると共に、コイルと内側コア部とを一体に保持する内側樹脂部とを具える形態としてもよい。そうすることで、コイルと内側コア部とを一体に保持することができ、コイルと内側コア部とがばらばらにならず取り扱い易いため、リアクトルの生産性に優れる。
内側樹脂部7cの構成樹脂には、コイル成形体7を具えるリアクトル1Dを使用した際に、コイル2や磁性コア4の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能であり、かつ絶縁性に優れる材料が好適に利用できる。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。上記樹脂に、上述したセラミックスからなるフィラーを混合すると、絶縁性及び放熱性を更に高められる。
コイル成形体7は、金型に、コイル2と中子、或いはコイル2と内側コア部31とを配置し、コイル2を適宜圧縮した状態で内側樹脂部7の構成樹脂を金型内に充填して硬化させることで、製造することができる。例えば、特開2009−218293号公報に記載されるコイル成形体の製造方法を利用することができる。
[外側樹脂部]
外側樹脂部5は、コイル成形体7の外周を覆うように形成されている。つまり、巻線2wは、内側樹脂部7cにより絶縁を確保しているが、巻線2wが内側樹脂部7cから露出している箇所は、外側樹脂部5の構成樹脂により、絶縁を確保する構成としている。この外側樹脂部5も上述の実施形態と同様の放熱層51および保護層52を具えている。本例のようにコイル成形体7の場合、放熱層51は、図4の(B)に示すように、コイル成形体7の底面側において、コイル2が露出している面まで形成されている。
なお、実施形態4では、ケースを具えていない形態を説明したが、コイル成形体7を具える組合体10Dを実施形態2、3に示したケースに収納してもよい。
[作用効果]
上述した変形例によれば、以下の効果を奏する。
(1)放熱層により、リアクトルの熱を放熱層側に集約することができ、上述した実施形態1のリアクトルと同様に効率的に放熱することができることに加えて、内側樹脂部でコイルを覆っているため、外部環境からより保護することができる。
(2)内側樹脂部によりコイルの絶縁を確保することができるので、絶縁被覆のないコイルを使用することができ、その場合は絶縁被覆する工程を削減することができる。その上、インシュレータなどを省略することも可能で、部品点数の削減、およびこれらの部品を配置する工程の削減をも図ることができる。さらに、組み立ての際、コイルが伸縮せずコイルが取り扱い易い。したがって、生産性に更に優れる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用することができる。
1A、1B、1D リアクトル 10A、10D 組合体
2 コイル
2a、2b コイル素子
2r コイル連結部
2w 巻線
3 磁性コア 31 内側コア部 31e 端面 31m 磁性コア片
31g ギャップ材 32 連結コア部 32e 内端面
4 インシュレータ 41 周壁部 42 枠状部 42f フランジ部
5 外側樹脂部 51 放熱層 52 保護層
6A、6B ケース 60 設置面部 61 側壁部 62 接着層
600、611 フランジ部 600h、611h ボルト孔
610 端子台
7 コイル成形体 7c 内側樹脂部
8 端子金具

Claims (12)

  1. 巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体と、この組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを具え、放熱用の冷却ベースに設置されるリアクトルであって、
    前記外側樹脂部は、前記冷却ベースに近接する側に形成される放熱層と、この放熱層の冷却ベースと反対側に積層される保護層とを具え、
    前記放熱層は、樹脂を含む絶縁性材料から構成され、
    前記保護層は、樹脂を含んで熱伝導率が前記放熱層よりも低い絶縁性材料から構成され、
    前記放熱層の形成領域は、前記外側樹脂部における前記冷却ベースとの対向面から少なくとも前記冷却ベースに近接する側の前記コイル表面に至る領域であることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記放熱層の形成領域は、前記対向面から前記コイルの中心軸の高さに至るまでの領域であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記放熱層を構成する絶縁性材料の熱伝導率が、1W/m・K以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル。
  4. 前記放熱層は、セラミックスフィラーを含有するエポキシ系樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記外側樹脂部の外周を覆うケースを具えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記ケースは、
    前記リアクトルが冷却ベースに設置されるときに当該冷却ベースに接する設置面部と、
    前記設置面部とは別部材で、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを具えることを特徴とする請求項5に記載のリアクトル。
  7. 前記コイルが、当該コイルの表面の少なくとも一部を覆って前記コイルの形状を保持する内側樹脂部を具えるコイル成形体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクトル。
  8. 巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体の外周の少なくとも一部に外側樹脂部を形成してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記組合体を成形型内に配置する配置工程と、
    少なくとも前記成形型の底面側における前記コイルの表面と接触する高さまで、樹脂αを含む絶縁性材料Xからなる放熱層が形成されるように、前記成形型内に当該絶縁性材料Xを前記組合体が埋没しない高さまで充填する部分充填工程と、
    前記部分充填工程後、前記成形型内に、前記組合体が埋没する高さまで、樹脂βを含んで熱伝導率が前記絶縁性材料Xよりも低い絶縁性材料Yからなる保護層が形成されるように、当該絶縁性材料Yを補充する補充工程と、
    前記成形型内の樹脂α、βを硬化させて前記外側樹脂部を形成する硬化工程とを具えることを特徴とするリアクトルの製造方法。
  9. 前記絶縁性材料Xの熱伝導率が、1W/m・K以上であることを特徴する請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
  10. 前記部分充填工程において、前記絶縁性材料Xは、セラミックスフィラーを含有していることを特徴とする請求項8または9に記載のリアクトルの製造方法。
  11. 巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを有する組合体の外周の少なくとも一部に外側樹脂部を形成してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記組合体を成形型内に配置する配置工程と、
    前記成形型内に、前記組合体が埋没するようにセラミックスフィラーと樹脂γとを含む絶縁性材料Zを充填する充填工程と、
    前記充填工程後、前記樹脂γとフィラーとの比重差により、前記フィラーを前記成形型の底面側に沈降させて、前記成形型の底面から少なくとも当該底面側における前記コイルの表面までの領域に放熱層が、その放熱層上に、熱伝導率が前記放熱層よりも低い保護層が形成されるように保持する保持工程と、
    前記保持工程後、前記成形型内の樹脂γを硬化させて前記外側樹脂部を形成する硬化工程とを具えることを特徴とするリアクトルの製造方法。
  12. 前記保持工程において、前記放熱層の熱伝導率が1W/m・K以上となるように保持することを特徴とする請求項11に記載のリアクトルの製造方法。
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