JP5616845B2 - 生体用Co基合金の製造方法 - Google Patents
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Description
まず、生体用Co基合金に添加する各元素の成分範囲(含有量)の限定理由について説明する。尚、単位は全て%と記載するが、他の明細書中の記載を含め、特に断りのない限り全て質量%のことを示す。
Crは、耐食性を確保する上で必須の元素であるが、その含有量が26%未満であると耐食性が劣化し、逆に30%を超えると加工性が劣化してしまう。従って、Crの含有量の範囲は26〜30%とした。
Moも、耐食性を確保する上で必要な元素であり、また、耐摩耗性の向上に寄与する元素でもある。しかしながら、その含有量が5%未満であると耐食性が劣化し、逆に8%を超えると加工性が劣化してしまう。従って、Moの含有量の範囲は5〜8%とした。
Cは、耐摩耗性の必要性や必要具合によって添加されるべき元素であるが、Cの含有量が0.20%を超えた場合には形成される炭化物によって延性が低下することがある。また、融点の低下によって、鍛造時の加熱で1250℃付近まで昇温したときに、合金の一部が溶融して鍛造ができなくなる場合がある。従って、Cの含有量を0.20%以下とした。尚、Cの含有量の好ましい上限は0.10%である。
Nは、Cと同様に侵入型の元素であるが、FCC相(面心立方晶)を安定させる効果と延性を上昇させる効果があるため、必須添加元素とした。しかしながら、Nの添加量(含有量)が0.05%未満では、そのNの添加効果(FCC相安定化効果)が顕著でなくなる。一方、0.25%を超えると、窒化物形成などの延性を低下させる現象の発生が懸念される。従って、Nの含有量の範囲は0.05〜0.25%とした。尚、FCC相安定化の点からはN含有量を0.10%以上とすることが望ましく、0.15%以上とすることが更に望ましい。
SiおよびMnは、生体用Co基合金を固溶強化し、強度を上げるととともに、熱間加工時およびその直後の空冷において、粒成長を幾分抑制する効果がある。その効果は0.5%未満では顕著ではなく、1.0%を超えるとF799合金の規格外となってしまう。従って、Si:0.5〜1.0%、および/または、Mn:0.5〜1.0%とした。
次に、以上説明した成分組成のCo基合金を用いて生体用Co基合金を製造する方法について説明する。通常、生体用Co基合金を鍛造により製造する場合は、一度の鍛造で行っており、結晶粒径の平均値を1.5〜15μm、FCC相の割合を面積率で90%以上とすることで、強度と延性の両方のバランスが良い生体用Co基合金を製造することができていたが、本発明の製造方法では二つの工程に分けて鍛造を行う。このように鍛造を二つの工程に分けて行うことにより、生体用Co基合金を、鍛造のみで最終的な3次元の複雑な仕上がり形状に近い形状にすることが可能となる。
まず、所定の成分組成のCo基合金を、鍛造前に加熱するが、その加熱温度は950℃〜1250℃とする。鍛造前の加熱温度の下限を950℃とした理由は、その温度が950℃未満では十分なFCC相が得られず、かつ、鍛造するには変形抵抗が高くなりすぎるからである。一方、鍛造前の加熱温度の上限を1250℃とした理由は、加熱温度が1250℃を超えると、Co基合金の炭素濃度によっては一部溶融するおそれがあり、また、鍛造温度まで下げるのに待ち時間が長くかかりすぎるからである。
第1工程終了後、Co基合金の表面に僅かに形成されたバリや余肉を、打ち抜きやレーザー加工などによって除去した後に第2工程を開始するが、まず、鍛造前を開始する前にCo基合金を加熱する。その加熱温度は850〜1050℃とし、加熱時間は5〜60分とする。鍛造前の加熱温度の下限を850℃とした理由は、加熱温度が850℃未満ではε相が生成されてしまう可能性があるからである。一方、鍛造前の加熱温度の上限を1050℃とした理由は、結晶粒径が粗大化するからである。
結晶粒径の平均値が1.5μm未満であると、強度は高くなるものの延性が低下する。一方、結晶粒径の平均値が15μmを超えると、人工骨に求められる強度が維持できない。従って、結晶粒径の平均値は1.5〜15μmとすれば良い。延性の点からは結晶粒径の平均値は3.0μm以上とすることが望ましく、5.0μm以上とすることがより望ましく、7.0μm以上とすることが更に望ましい。強度の点からは結晶粒径の平均値は13μm以下とすることが望ましく、10μm以下とすることがより望ましい。
FCC相は延性に富む相であり、延性を向上させる作用効果がある。FCC相の割合が面積率で90%未満であると、延性が低下して不十分となる。よって、FCC相の割合は面積率で90%以上とすれば良い。延性の点からは、FCCの割合は面積率で93%以上とすることが望ましい。尚、FCC相とは、面心立方格子の結晶構造を有する相のことである。
結晶粒径は以下に示すEBSP測定のイメージクオリティマップを用いて測定した。これは、上記Co基合金は非常に耐食性が高く、且つ、結晶粒径が微細なものもあるため、光学顕微鏡での組織観察が困難であったためである。上記イメージクオリティマップの組織写真上で、直線交切法にて粒径を測定し、5点以上の測定を行い、その平均切片長さを測定粒径(平均粒径)とした。
・装置: SEM JEOL JSM 5410
EBSP測定解析システム TSL 社OIM
解析ソフト OIMAnalysis
・測定条件: 測定面積50μmx50μm〜500μmx500μm
・測定間隔: 0.1〜0.4μm
上記EBSP測定にて、0.1〜0.4μmの測定点ごとにFCC相、ε相(HCP相)もしくはそれ以外の相(今回は殆どない)に自動で判定される。それを図示させるとある種の写真のごとくFCCとHCPの相別に表示させることができる。本実施例では、FCCの測定点数を全測定点数で割ってFCC率(面積率)、すなわちFCC相の割合とした。
φ6.5mmx25mmの平行部を有する引張り試験片を製作し、これを用いて引張り試験を行い、YS:降伏応力(0.2%耐力)、TS:抗張力(引張り強度)、伸び(EL)、絞り(RA)を測定した。このとき、0.2%耐力までは0.5%/minの引張り速度、0.2%耐力から以降破断するまでは10%/minの引張り速度とした。引張り試験機としては、島津200KN油圧式万能試験機を用いた。
Claims (2)
- 質量%で、Cr:26〜30%、Mo:5〜8%、C:0.20%以下(0%を含まない)、N:0.05〜0.25%を含有し、残部がCoおよび不可避的不純物からなる生体用Co基合金の製造方法であって、
前記成分組成のCo基合金を、950℃〜1250℃で加熱した後、この加熱温度以下であり且つ850℃〜1050℃の温度で、合計30%以上の加工歪みを加えて鍛造を行い、この鍛造終了後5秒以内に冷却を開始し、30℃/s以上の冷却速度で300℃以下になるまで冷却を行う第1工程と、
その第1工程終了後、Co基合金の表面のバリや余肉を除去した後に850〜1050℃で5〜60分間加熱し、その後、この加熱温度以下であり且つ850〜1000℃の温度で合計15%以下の加工歪みを加えて鍛造を行い、この鍛造終了後20秒以内に冷却を開始し、30℃/s以上の冷却速度で300℃以下になるまで冷却を行う第2工程とよりなることを特徴とする生体用Co基合金の製造方法。 - 前記生体用Co基合金が、質量%で、Si:0.5〜1.0%、および/または、Mn:0.5〜1.0%を含有する請求項1記載の生体用Co基合金の製造方法。
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