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JP5583352B2 - 高周波焼入れ用鋼および静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品 - Google Patents

高周波焼入れ用鋼および静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品 Download PDF

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Description

本発明は高周波焼入れ用鋼および高周波焼入れ部品に関し、特に30KHz以下の周波数で高周波焼入れされる自動車および各種産業機器で使用されるシャフト等の軸状部品の素材として好適な鋼および該鋼を素材とする高周波焼入れ部品に関する。
自動車や産業機械で、高周波焼入れ・焼戻しを施して製造される部品のうち、静捩り破壊を起こしたり、捩り疲労破壊したりするものは、軸部を有する部品がほとんどである。
例えば、ドライブシャフト,アクスルシャフト,ステアリングシャフト,クランクシャフト等のシャフト部品や、モーターのシャフトや変速ギヤ用のシャフト等も相当する。
近年、製品のコンパクト化に対応するため、部品類を高強度化してサイズを小さくする方法が取られており、これらの高周波焼入れ部品においても同様である。そのため、色々な手法で高強度化する対策が取られている。
特許文献1は捩り疲労特性に優れた高周波焼入れ用鋼ならびに高周波焼入れ部品に関し、破壊の起点になると予想されるMnSの形状を制御し、さらに高周波焼入れのムラの原因となるフェライトの面積率と粒径を規定している。
特許文献2は高周波焼入れ部品に関し、衝撃曲げ特性および耐衝撃ねじり特性を向上させるため、高周波焼入れによる硬化深さを特定範囲に規定し、高周波焼入れ部組織をマルテンサイト率が90%以上の均一なマルテンサイト組織に規定することが記載されている。
特開2002−069566号公報 特開平10−36937号公報
しかしながら、特許文献1記載の高周波焼入れ用鋼は、MnSの形状を変えるために希土類金属であるCa,Zr,Mg、Yのいずれかを添加しなければならず経済性と製造性が悪い。また、フェライト量は鋼中の炭素含有量と組織形成時の冷却速度が密接に関係してくるために、化学成分ごとに精密なコントロールが必要である。
さらにフェライト粒微細化においてはフェライト核生成サイトの増大と均一分散が必要で、鍛造と圧延方法および微細析出物の析出状態をコントロールすることが必要であるが最適条件の選定は容易でない。
特許文献2記載の高周波焼入れ部品は、高周波焼入れした領域の板厚方向や径方向の深さと高周波焼入れして得られる組織とを所定のものとするため、部品形状に応じた高周波焼入条件を成分組成との関係において選定しなければならず、経済性と作業効率が低下する。
そこで、本発明は、高周波焼入れ用鋼および前記鋼を素材とする静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れる部品を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
1.高周波焼入後に得られる、内部硬さと硬化層深さ、焼入れ部の結晶粒径を規定し、硬度分布を最適化することで、静捩り破壊強度と捩り疲労強度を向上させることが可能である。
2.高周波焼入れ前の鋼素材の組織をパーライト主体とすると、高周波焼入れによる硬化層の深さが安定し、且つ、高周波焼入れ・焼戻し後の硬さのバラツキを抑えることが可能となる。
本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、1.質量%で、C:0.40〜0.55%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.60〜2.00%、P:0.030%以下、S:0.005〜0.060%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.35%以下、B:0.0005〜0.0080%、Ti:0.010〜0.035%、N:0.0050〜0.0100%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、初析フェライト体積率が15%未満のパーライト主体のミクロ組織を備えることを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
2.成分組成に、更に、質量%で、V:0.005〜0.4%、Nb:0.01〜0.10%の1種以上を含むことを特徴とする1記載の高周波焼入れ用鋼。
3.成分組成が、更に、下記(1)および(2)式を満足する事を特徴とする1または2に記載の高周波焼入れ用鋼。
0.80≦C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Mo/2+V/2≦1.00 ・・・(1)
1.11≦0.36×C+0.18×Si+0.27×Mn+0.30×Cr+0.43×Mo+135×B+0.24≦1.31 ・・・(2)
これらの式において各元素は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
4.1乃至3の何れか一つに記載の高周波焼入れ用鋼を素材とし、圧延、鍛造若しくは機械加工またはそれらの組み合わせにより軸部を有する部品形状とした後、前記軸部を高周波焼入れ・焼戻しにより有効硬化層深さ/半径の比が0.4〜0.6、焼入れ部の結晶粒度は粒度7.0以上とした、静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。
5.更に、高周波焼入れ・焼戻しをした後の硬さ分布が、下記(3)式を満足することを特徴とする4に記載の静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。
6.高周波焼入れ・焼戻しを施した部分に、更に、ショットピーニングを行うことを特徴とする、4または5に記載の静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。
本発明によれば、自動車,産業機械等で従来から使用されている、一般的には5KHz〜30KHzの高周波焼入れ・焼戻しの条件を変える事無く、優れた、静捩り破壊強度および捩り疲労特性を備えた部品を製造し、またその素材を提供する事が可能で産業上極めて有用である。
静捩り破壊試験用および捩り疲労試験用試験片の形状を示す図。
本発明に係る高周波焼入れ用鋼は、成分組成と高周波焼入れ前のミクロ組織(熱間圧延後のミクロ組織)を規定する。
[成分組成]説明において%は質量%とする。
C:0.40〜0.55%
Cは高周波焼入れにおいて硬度確保のために必要で、高周波焼入れ・焼もどし後の表面硬さを決定する。また、高周波焼入れ前の圧延あるいは鍛造ままの状態における組織形成にも影響する。
C含有量が0.40%に満たないと高周波焼入れ前組織がパーライト主体ではなく、フェライト・パーライト二相組織となり、フェライト分率が15%以上になるため、焼入れ深さのバラツキが大きくなるばかりでなく、高周波焼入れ・焼戻し後の表面硬さが低下して部品としての強度を確保できない。一方、0.55%を超えると焼入性が高くなりすぎるために、焼き割れが発生しやすくなるため、0.40〜0.55%とする。
Si:0.05〜0.50%
Siは脱酸元素である。Si添加量が0.05%未満の場合は脱酸の効果が十分得られず、内部に酸化物が残存して疲労強度が低下する。一方、0.50%を超えると硬さが上昇して靭性が低下するために静捩り破壊強度が低下するため、Si添加量は0.05〜0.50%とする。
Mn:0.60〜2.00%
Mnは焼入性を高める元素である。焼入性を確保するため、0.60%以上必要で、一方、2.00%を超えて添加すると、焼入性が高すぎて焼き割れを生じるため、Mn添加量は0.60〜2.00%とする。
P:0.030%以下
Pは粒界に偏析して粒界を脆化させる作用があり、0.030%を超えると顕著となるため、0.030%以下とする。不可避的不純物のため、製造コストに悪影響を与えない範囲で低減させることが望ましい。
S:0.060%以下
SはMnと結合してMnSを形成し、切削性を向上させるが、過剰なMnSは焼入れ性を低下させ、捩り疲労での破壊起点となって疲労強度を低下させるため、0.060%以下とする。不可避的不純物のため、製造コストに悪影響を与えない範囲で低減させることが望ましい。
Cr:0.05〜0.50%
Crは焼入性向上元素であり、その作用を得るため0.05%以上を添加する。一方、0.50%を超えると焼入性が高くなりすぎて焼き割れを起こしやすくなるため、0.05〜0.50%とする。
Mo:0.35%以下
Moは焼入性向上元素であり、添加するが、0.35%を超えると、焼き割れが発生しやすくなるため0.35%以下とする。
Ti:0.010〜0.035%
TiはNとの結合力が強く、Bよりも優先して結合し、Ti窒化物あるいはTi炭窒化物を形成する。Tiが0.010%未満の場合、固溶したNが残ってBNを形成して、Bの焼入れ性向上効果が得られない。一方、0.035%を超えて添加してもその効果は飽和するため、0.010〜0.035%とする。
B:0.0005〜0.0080%
Bは焼入性向上元素であり、高周波焼入れにおいて硬化層深さを増大させる。その効果を得るには0.0005%以上必要であるが、0.0080%を超えるとその効果は飽和するため0.0005〜0.0080%とする。
N:0.0100%以下
Nは、Tiと結合してTiNを形成させ、焼入れ性に寄与する固溶Bの確保を行う必要がある。Nが高いとTiと結合出来ずに残留する固溶Nが存在し、Bと優先して結合するために固溶Bの確保が難しくなる。安定して固溶Bを確保するためにはNは0.0100%以下である必要がある。よって、N含有量は0.0100%以下とした。
以上が本発明鋼の基本成分組成で、高周波焼入れ・焼戻し処理後において、優れた静捩り破壊強度および捩り疲労強度の部品が得られるが、更に、部品において静捩り破壊強度および捩り疲労強度を向上させる場合、Nb,Vの一種以上を添加する。
また、下記(1)、(2)式のパラメータ式を満足するように成分設計を行うとNb,Vの一種以上を添加した場合より、更に、捩り疲労強度を向上させることが可能である。(1)、(2)式のパラメータ式の効果は基本成分組成においても、更に基本成分組成にNb、Vの一種以上を添加した場合と同様に得られる。
Nb:0.01〜0.10%、V:0.0005〜0.4%の1種以上
NbおよびVはCと結合して微細析出する事により、内部の硬度を向上させ、静捩り破壊強度および捩り疲労強度の向上に寄与する。その効果が得られるのはNb:0.01%以上、V:0.0005%以上で、一方、Nb:0.10%超え、V:0.4%超えではその効果が飽和するため、上記範囲とする。
0.80≦C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Mo/2+V/2≦1.00 ・・・(1)
1.11≦0.36×C+0.18×Si+0.27×Mn+0.30×Cr+0.43×Mo+135×B+0.24≦1.31 ・・・(2)
これらの式において各元素は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
(1)式は内部硬度をコントロールするための成分設計指針を示す。内部硬度が低いと捩り疲労強度が低下しやすく、高いと加工性が悪くなる。強度と加工性のバランスを考慮した上で最も良好な特性の得るため、(1)式の値を0.801.00とする。
(2)式は30KHz以下の周波数を用いる一般的な高周波焼入れ条件において、有効硬化層深さの指標となる式で、捩り疲労強度の向上に、最適な有効硬化層深さ/半径とするため、(2)式の値を1.111.31とする。尚、本発明鋼の被削性を向上させるため、Pb、Ca等の快削元素を含有させてもよい。
[前組織]
本発明鋼は熱間圧延後、高周波焼入れ前のミクロ組織を初析フェライト体積率が15%未満のパーライト主体の組織とする。フェライト分率が15%以上となると、焼入れ深さのバラツキが大きくなるばかりでなく、高周波焼入れ・焼戻し後の表面硬さが低下して部品としての強度を確保できない。
本発明に係る高周波焼入れ用鋼を素材として、高周波焼入れ部品を製造する場合、一般的な高周波焼入れに用いられる、30KHz以下の周波数で焼入れして、1.有効硬化層深さ/半径の比を0.4〜0.6、2.焼入れ部の結晶粒度:粒度7.0以上とし、特に静捩り破壊強度を向上させる場合、後述するパラメータ式((3)式)を満足させるように、硬度分布と軸寸法(軸径)の関係を調整する。尚、本発明鋼は軸状の形状を有する部品の素材として好適であるが、限定するものではない。軸状の形状を有する部品でない場合は、以下の説明において、半径を板厚方向の深さとする。但し、(3)式は軸状部材を対象とする場合にのみ適用する。
捩り疲労強度は硬化層深さによって変わり、硬化層深さ/半径の値が0.4未満では、硬化層が薄くて、疲労亀裂が発生しやすく、一方、硬化層深さ/半径の値が0.6を超えると、部品内部から疲労亀裂が発生しやすくなるため、0.4〜0.6とする。
焼入れ部の結晶粒度が粒度7.0未満の場合、鋼中不純物による粒界の脆化が起こりやすくなり、粒界を起点とした疲労亀裂が発生しやすくなるため、焼入れ部の結晶粒度は粒度7.0以上とする。
静捩り破壊強度を向上させる場合、表層から中心までの硬度分布プロファイルを最適化することが有効で、(3)式を満足するように高周波焼入れ条件を制御する。また、部品での捩り疲労強度をさらに向上させたい場合は高周波焼入れ・焼戻しを行った部分にショットピーニングを行ってもよい。以下、本発明を実施例により比較例と対比し、その作用効果を詳細に説明する。
表1に示す化学成分を有する鋼を常法により溶解ー溶製ー熱間圧延し、直径40mmの丸棒鋼を調製した。表中、No.1〜31は、本発明範囲内の成分組成を有する開発鋼で、No.32〜46は本発明範囲外の成分組成を有する比較例である。No.47は従来鋼でJIS S45Cで、本発明範囲外の成分組成である。
得られた丸棒鋼を800mm長さに切断加工し、両端部それぞれ100mm長さ位置までを鍛造して60φとした後、さらに機械加工により、平行部が圧延ままのサイズである40mmφで300mm長さの丸棒試験片とし、高周波焼入れ・焼戻し処理を施し、静捩り破壊試験用および捩り疲労試験用試験片とした。図1に静捩り破壊試験用および捩り疲労試験用試験片の形状を示す。
高周波焼入れ・焼戻しは、全ての供試鋼で、周波数5KHz、移動速度9mm/秒で高周波焼入れを行い、その後160℃で2時間の焼戻しを行った。尚、用いた条件は、従来より、S45Cを素材とする部品で同じ軸径の部品で採用されている条件である。
尚、開発鋼No.32の鋼材については、上記高周波焼入れ条件で作成した試験片(No.32−1)に加えて、高周波焼入れ条件を変えた捩り試験片も作成した。
試験片No.31−2、31−3、31−4は、それぞれ周波数10KHz、30KHz、32KHzとし、送り速度を調整して、前記高周波焼入れ条件で作成したものと同等の硬度分布とした。
試験片No.31−5は、周波数は5KHzのままで送り速度を12mm/秒と速めて硬化層深さ/半径の比を本発明範囲よりも小さくした。
試験片No.31−6は、周波数は5KHzのままで送り速度を6mm/秒と遅くして硬化層深さ/半径の比を本発明よりも大きくした。
試験片No.32−2は、周波数32KHz、送り7mm/秒で焼入加熱時の最高到達温度を上げて、前記高周波焼入れ条件で作成したものと同等の硬度分布を保ちながら、結晶粒を大きくした。
試験片No.32−3は、周波数は5KHzのままで送り速度を12mm/秒と速めて硬化層深さ/半径の比を本発明範囲よりも小さくした。
試験片No.32−4は、周波数は5KHzのままで送り速度を6mm/秒と遅くして硬化層深さ/半径の比を本発明よりも大きくした。
高周波焼入れ、焼戻しを行った後、焼入れ層の結晶粒度を測定した。さらに、高周波焼入れされた軸部を切断し、ビッカース硬度試験機を用いて表面硬度、内部硬度、および断面の硬度分布を中心まで測定した。
有効硬化層深さはビッカース硬さで450HVの得られる深さを、断面の円周形状の表面で45°づつ位置を変えて8方向において調査した結果の平均を求めて、有効硬化層深さとした。硬化層深さムラは8方向のそれぞれにおいて求められる有効硬化層深さを比較して、最大値と最小値の差が0.2mm以上の場合を硬化層深さムラ有りとした。また、硬度分布の測定結果を用いて(3)式を計算した。
静捩り破壊試験は試験片の両端部(鍛造ままで60Φ)の一方の片端部を固定し、他方のつかみ部を1°/分で回転させて破断させて、最大トルクを求めて評価した。
捩り疲労試験は、試験片を固定し、両端部を反対方向に同一変位だけ捩ってトルクを加えて行い、1千万回の繰り返しの捩りでも破断しない最大トルクを疲労強度として評価した。
表2に高周波焼入れ・焼戻し後の試験片性状および静捩り破壊試験、捩り疲労試験の結果を示す。尚、供試鋼の高周波焼入れ前の組織は、いずれの供試鋼でも本発明の規定を満足していた。
No.1〜31−3の試験片は目標とする有効硬化層深さが得られ、高い静捩り破壊強度ならびに捩り疲労強度が得られていることが確認された。
特に、(1)式および(2)式を満足したNo.1、2、4、7、10〜13、15〜18、23〜31−3の試験片はより高い捩り疲労強度が得られており、(3)式を満足したNo.1〜3、5、6、8、10〜18、20〜31−3の試験片はより高い静捩り破壊強度が得られていた。
(1)、(2)、(3)式のすべてを満足したNo.1、2、10〜13、15〜18、23〜31−3の試験片は静捩り破壊強度および捩り疲労強度ともに、その他の試験片と比較してより高い値が得られた。
それに対し、比較例となる試験片No.32はC含有量が本発明範囲より低く、硬化層深さにムラが認められ、表面硬度も低い値だった。さらに硬化層深さも浅くなっていた。そのため、静捩り破壊強度が低く、捩り疲労強度も低い結果であった。
試験片No.33はC含有量が本発明の範囲を超えて多いため、焼入性が高すぎて焼き割れが発生し、静捩り破壊強度および捩り疲労強度は調査不可能であった。
試験片No.34はSi含有量が本発明の範囲よりも低いため製鋼での製造時に生成した酸化物が多く残って疲労起点となって、捩り疲労強度が低下した。
試験片No.35はSi含有量が本発明の範囲を超えて高く、内部硬さが高くなりすぎ、静捩り破壊強度が低下した。試験片No.36はMn含有量が本発明の範囲より低く、焼入性が低く、有効硬化層深さが浅くなりすぎて、静捩り破壊強度、および捩り疲労疲労強度ともに低下した。
試験片No.37はMn含有量が本発明範囲より高いために焼入性が高くて焼き割れが発生した。試験片No.38はP含有量が本発明の範囲より高くなったために粒界が脆くなり、静捩り破壊強度および捩り疲労強度がともに低下した。
試験片No.39はS含有量が本発明の範囲より高く、そのためにMnS介在物が多くなりすぎて、焼入性を低下させ、静捩り破壊強度が低下した。また、多量のMnSが存在したため捩り疲労強度の破壊起点となって捩り疲労強度が低下した。
試験片No.40はCr含有量が本発明範囲よりも低く、そのために焼入性が低下して内部硬さが低く、有効硬化層深さが浅いために静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
試験片No41はCr含有量が本発明範囲よりも高いために焼入性が高く、焼き割れが発生した。試験片No.42はMo含有量が本発明の範囲より高く、その結果、硬化層深さが深くなりすぎて、捩り疲労強度が低下した。
試験片No.43はB含有量が本発明の範囲より低く、焼入性が低下したために硬化層深さが浅くなり、静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
試験片No.44はTi含有量が本発明の範囲より低く、固溶したBが確保できずに焼入性が低下した。そのため硬化層深さが浅くなり、静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
試験片No.45はTi含有量が本発明の範囲より高いため、TiN介在物が多くて破壊起点となり、静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
試験片No.46はN含有量が本発明の範囲より高く、固溶したBが確保できずに焼入性が低下して硬化層深さが浅くなって、静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
従来鋼No.47はBが添加されていないために焼入性が低く、硬化層深さが浅くて、また結晶粒も大きかった。そのため静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。
また、開発鋼である試験片No.31を従来よりも高い周波数で高周波焼入れしたNo.31−4は結晶粒度が発明範囲よりも小さく、結晶粒が大きいために捩り疲労強度が低下した。硬化層深さを発明範囲より浅くしたNo.31−5および、発明範囲よりも硬化層深さを深くしたNo.31−6は静捩り破壊強度および捩り疲労強度が低下した。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.40〜0.55%、Si:0.15〜0.50%、Mn:0.60〜2.00%、P:0.030%以下、S:0.005〜0.060%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.35%以下、B:0.0005〜0.0080%、Ti:0.010〜0.035%、N≦0.0100%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、初析フェライト体積率が15%未満のパーライト主体のミクロ組織を備え、
    前記成分組成が、更に、下記(1)および(2)式を満足する事を特徴とする高周波焼入れ用鋼。
    0.80≦C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Mo/2+V/2≦1.00 ・・・(
    1)
    1.11≦0.36×C+0.18×Si+0.27×Mn+0.30×Cr+0.43
    ×Mo+135×B+0.24≦1.31 ・・・(2)
    これらの式において各元素は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
  2. 成分組成に、更に、質量%で、V:0.005〜0.4%、Nb:0.01〜0.10%の1種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の高周波焼入れ用鋼。
  3. 請求項1又は2に記載の高周波焼入れ用鋼を素材とし、圧延、鍛造若しくは機械加工またはそれらの組み合わせにより軸部を有する部品形状とした後、前記軸部を高周波焼入れ・焼戻しにより有効硬化層深さ/半径の比が0.4〜0.6、焼入れ部の結晶粒度は粒度7.0以上とした、静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。
  4. 更に、高周波焼入れ・焼戻しをした後の硬さ分布が、下記(3)式を満足することを特徴とする請求項に記載の静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。

  5. 高周波焼入れ・焼戻しを施した部分に、更に、ショットピーニングを行うことを特徴とする、請求項4に記載の静捩り破壊強度および捩り疲労強度に優れた高周波焼入れ部品。
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