以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1の全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
図1に示すように、第1実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mの外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写部としての転写ローラ8と、定着装置9とを備える。
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の帯電電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像を単色(通常はブラック)のトナーを用いて現像して、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着装置9は、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
定着装置9の詳細については後述する。
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍の装置本体Mに回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラ対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbとを備える。
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサ(不図示)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、転写ニップNにおいて未印刷面に対してトナー画像が転写される。
第3搬送路L3の端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラ対53によって装置本体Mの外部に排紙する。
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置される。
次に、本実施形態のプリンタ1における特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。図2Aは、第1実施形態のプリンタ1における定着装置9の各構成要素を説明するための断面図であって、第2磁束遮蔽部材78が配置される部分における断面図である。図2Bは、第1実施形態のプリンタ1における定着装置9の各構成要素を説明するための断面図であって、第1磁束遮蔽部材77が配置される部分における断面図である。図3は、図2A及び図2Bに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。図4は、図2A及び図2Bに示す加熱ユニット70を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。図5Aは、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成を示す模式図であって、センターコア73が遮蔽位置に位置する場合を説明する図である。図5Bは、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成を示す模式図であって、センターコア73が非遮蔽位置に位置する場合を説明する図である。図6は、図5Aにおける第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成の拡大図である。図7は、本実施形態におけるセンターコア回転部155に関連する構成を説明する図である。
図2A及び図2Bに示すように、定着装置9は、加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接(当接)される加圧回転体9bと、ヒータ96と、加熱ユニット70と、複数の温度センサ95と、を備える。
加熱回転体9aは、環状に形成される。環状の加熱回転体9aには、円筒状の加熱回転体9aが含まれる。加熱回転体9aは、その周方向である第1周方向R1に回転可能に構成される。詳細については後述するが、加熱回転体9aは、後述する加熱ユニット70を用いることで、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH;induction heating)により発熱される。
加熱回転体9aは、加熱側ローラ91と、加熱側ローラ91から所定距離だけ離間(垂直方向下方側に離間)して配置される定着側ローラ92と、加熱側ローラ91と定着側ローラ92とに掛け渡された加熱回転ベルト93と、を備える。
加熱側ローラ91について説明する。図2A及び図2Bに示すように、加熱側ローラ91は、円筒状に形成される。加熱側ローラ91は、第1周方向R1に直交する方向D2に延びるように形成される第1回転軸J1を中心に、矢印の方向に回転可能に構成される。加熱側ローラ91は、第1回転軸J1方向に延びるように形成される。第1周方向R1に直交する直交方向D2は、第1周方向R1に直交する方向であると共に、用紙Tの搬送方向D1と直交する方向でもある。本実施形態においては、第1周方向R1に直交する直交方向D2を「用紙幅方向D2」ともいう。
加熱側ローラ91は、加熱側ローラ本体911と、第1回転軸J1と同軸の不図示の軸部材と、を有する。加熱側ローラ本体911は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される離型層と、を有する。
加熱側ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱(IH)により発熱される構成とすることができる。また、加熱側ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱されない構成とすることもできる。
加熱側ローラ本体911の円筒状の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱される構成とする場合には、鉄等の強磁性材料により構成された金属管を用いることができる。また、加熱側ローラ本体911の円筒状の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱されない構成とする場合には、アルミニウム等の非磁性体により構成された金属管を用いることができる。
本実施形態においては、加熱側ローラ本体911の円筒状の金属部材は、強磁性材料である鉄により構成された金属管を用いることにより、電磁誘導加熱により発熱される構成としている。なお、加熱側ローラ91には、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93(後述)から熱が伝達され得る。
本実施形態においては、加熱側ローラ本体911は、直径が30mm程度で厚さが0.3mm程度の鉄(強磁性材料)の金属管の外周面に、厚さ20μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで形成している。
加熱側ローラ91は、後述する加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、その基材が強磁性材料により構成されることで、基材が強磁性材料により構成される後述する加熱回転ベルト93と共に、加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束の磁路を形成する。これは、強磁性材料で形成される加熱側ローラ91の基材の透磁率が、周辺の空気部分の透磁率よりも高いためである。そして、誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を形成する加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93に沿って通過する(導かれる)。
加熱側ローラ91の軸部材(不図示)は、加熱側ローラ本体911の両端部から第1回転軸J1方向の外側それぞれに突出して形成されている。加熱側ローラ91の軸部材(不図示)は、定着装置9のケースやその他の部材により回転可能に支持される。これにより、加熱側ローラ91は、第1回転軸J1を中心に回転可能となっている。
定着側ローラ92について説明する。図2A及び図2Bに示すように、定着側ローラ92は、円筒状に形成される。定着側ローラ92は、加熱側ローラ91に対向して配置される。定着側ローラ92は、加熱側ローラ91の垂直方向下方側に加熱側ローラ91から所定距離だけ離間して配置される。定着側ローラ92は、用紙幅方向D2に延びるように形成される第2回転軸J2を中心に、矢印の方向に回転可能に構成される。定着側ローラ92は、第2回転軸J2方向に延びるように形成される。なお、第2回転軸J2は、第1回転軸J1に平行である。
定着側ローラ92は、定着側ローラ本体921と、第2回転軸J2と同軸の不図示の軸部材と、を有する。定着側ローラ本体921は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、を有する。なお、定着側ローラ92には、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93(後述)から熱が伝達され得る。
本実施形態においては、定着側ローラ本体921は、直径が27mm程度で厚さが2mm程度のアルミニウムの金属管の外周面に、厚さ9mm程度のシリコンスポンジゴム等からなる弾性層を設けることで構成される。
定着側ローラ92の軸部材(不図示)は、定着側ローラ本体921の両端部から第2回転軸J2方向の外側それぞれに突出して形成されている。定着側ローラ92の軸部材(不図示)は、定着装置9のケースやその他の部材により回転可能に支持される。これにより、定着側ローラ92は、第2回転軸J2を中心に回転可能となっている。
加熱回転ベルト93について説明する。図2A及び図2Bに示すように、加熱回転ベルト93は、環状(無端ベルト状)に形成される。加熱回転ベルト93は、第1周方向R1に回転可能に構成される。加熱回転ベルト93は、加熱側ローラ91と定着側ローラ92とに掛け渡される。加熱回転ベルト93の内周面には、加熱側ローラ91の外周面と、定着側ローラ92の外周面とが当接する。加熱回転ベルト93は、耐熱性を有する。
本実施形態においては、加熱回転ベルト93は、基材がニッケル等の強磁性材料により形成される。加熱回転ベルト93は、厚さが35μm程度のニッケル(強磁性材料)からなる金属ベルトの外周面に、厚さが0.3mm程度のシリコンゴムの弾性層を設け、更に、この弾性層の外周面に、肉厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂製の耐熱性フィルムからなる離型層を設けることで構成される。
加熱回転ベルト93は、後述する加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、その基材が強磁性材料により構成されることで、基材が強磁性材料により構成される加熱側ローラ91と共に、加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束の磁路を形成する。これは、強磁性材料で形成される加熱回転ベルト93の基材の透磁率が、周辺の空気部分の透磁率よりも高いためである。そして、誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を形成する加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93に沿って通過する(導かれる)。
加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91には、後述する誘導コイル71により発生された加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91を通過する磁束により、電磁誘導によって渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91は、後述する加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
加圧回転体9bについて説明する。図2A及び図2Bに示すように、加圧回転体9bは、環状に形成される。加圧回転体9bの環状には、円筒状が含まれる。加圧回転体9bは、その周方向である第2周方向R2に回転可能に構成される。加圧回転体9bは、加熱回転体9aと定着ニップFを形成する。定着ニップFは、用紙Tを挟み込むと共に、用紙Tを搬送する。
本実施形態においては、加圧回転体9bは、加圧ローラにより構成される。加圧ローラ9bは、円筒状に形成される。加圧ローラ9bは、加熱回転体9aの垂直方向下方側に定着側ローラ92に対向して配置される。加圧ローラ9bは、用紙幅方向D2に延びるように形成される第3回転軸J3を中心に、加圧ローラ9bの周方向である第2周方向R2に回転可能に構成される。加圧ローラ9bは、第3回転軸J3方向に延びるように形成される。
加圧ローラ9bは、その外周面が、加熱回転ベルト93の外周面(外面)に当接するように配置される。具体的には、加圧ローラ9bは、加熱回転ベルト93を介して定着側ローラ92を押圧するように配置される。そして、加圧ローラ9bは、加熱回転ベルト93の一部を、定着側ローラ92との間に挟み込む。加圧ローラ9bは、定着側ローラ92と加熱回転ベルト93の一部を挟み込んで、加熱回転ベルト93と定着ニップFを形成する。
加圧ローラ9bは、加圧ローラ本体941と、第3回転軸J3と同軸の不図示の軸部材と、を有する。加圧ローラ本体941は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、を有する。
本実施形態においては、加圧ローラ9bは、直径が46mm程度のアルミニウムの金属管の外周面に、厚さ2mm程度のシリコンゴム等の弾性層を設け、更に、この弾性層の表面に厚さ50μm程度のPFAやPTFE等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで構成される。
加圧ローラ9bの軸部材(不図示)は、加圧ローラ本体941の両端部から第3回転軸J3方向の外側それぞれに突出して形成されている。加圧ローラ9bの軸部材(不図示)は、定着装置9のケースやその他の部材により第3回転軸J3を中心に回転可能に支持される。
また、加圧ローラ9bの軸部材(不図示)には、加圧ローラ9bを回転駆動させる回転駆動部(不図示)が接続される。この回転駆動部により、加圧ローラ9bが第2周方向R2に所定速度で回転駆動されると共に、加圧ローラ9bの回転に従動して、加圧ローラ9bの外周面に当接する加熱回転ベルト93が第1周方向R1に回転される。加熱回転ベルト93が回転されることにより、加熱回転ベルト93の内周面に当接する加熱側ローラ91及び定着側ローラ92は、加熱回転ベルト93の回転に従動して回転される。
ヒータ96は、加圧ローラ9bの内部における径方向の略中央に配置される。ヒータ96は、加圧ローラ9bの第3回転軸J3方向の両端部において、不図示の支持部材を介して定着装置9における不図示の支持部材に固定される。ヒータ96は、加圧ローラ9bを加熱する。このヒータ96は、例えば、ハロゲンヒータで構成される。
定着ニップFに搬送される用紙Tは、定着装置9における通紙領域内を通過して搬送された場合に、トナー画像が定着される。「通紙領域」とは、用紙Tの搬送方向D1に直交する用紙幅方向D2において定着ニップFに搬送される用紙Tが加熱回転ベルト93と加圧ローラ9bとに挟まれて通過する領域のことである。通紙領域は、加熱回転体9a及び加圧ローラ9bにおける用紙幅方向D2の中央を基準として、当該プリンタ1において使用可能な用紙Tの最大サイズ(最大幅)に対応して形成(設定)される。
図3に示すように、本実施形態の定着装置9においては、用紙幅方向D2における最大長さ(最大幅)の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合における通紙領域として、最大通紙領域901を設定する。例えば、加熱回転ベルト93の外周面及び加圧ローラ9bの外周面には、A3サイズの用紙Tにおける短辺が用紙幅方向D2に平行な状態(A3サイズ縦)で、A3サイズの用紙Tが定着ニップFに搬送される場合においてA3サイズの用紙Tが載置される領域である最大通紙領域901が形成(設定)される。最大通紙領域901は、プリンタ1ごとにそれぞれ設定される。
加熱回転ベルト93の外周面には、図3に示すように、加熱回転体9aにおける最大通紙領域901として、最大領域としての加熱側最大通紙領域901aが形成(設定)される。具体的には、加熱回転ベルト93の外周面には、用紙幅方向D2において最大長さの用紙T、例えば、A3サイズ縦の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合において、A3サイズ縦の用紙Tが載置される加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)が形成(設定)される。
加圧ローラ9bの外周面には、図3に示すように、加熱回転ベルト93の加熱側最大通紙領域901aに対応して、加圧回転体9bにおける最大通紙領域901として、加圧側最大通紙領域901bが形成(設定)される。具体的には、加圧ローラ9bの外周面には、用紙幅方向D2において最大長さの用紙T、例えば、A3サイズ縦の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合において、A3サイズ縦の用紙Tが載置される加圧側最大通紙領域901b(最大通紙領域901)が形成(設定)される。
最大長さ(最大幅)の用紙Tが加熱側最大通紙領域901aに載置されて通過する場合、用紙Tの用紙幅方向D2おける外縁に対応する位置は、加熱側最大通紙領域901aの外縁である加熱側最大領域外縁901e、901eとなる。つまり、最大長さの用紙Tは、加熱側最大領域外縁901e、901eの内側の領域である加熱側最大通紙領域901aに載置されて搬送される。
なお、用紙幅方向D2において加熱側最大領域外縁901e、901eに対応する位置を「最大領域外縁対応位置731e、731e」という。また、加熱側最大通紙領域901aにおける用紙幅方向D2に平行な方向の長さを、「最大通紙幅W1」という。加熱側最大通紙領域901aの内側を通過して搬送される各サイズの用紙Tにおける用紙幅方向D2の長さは、各用紙Tにおける「通紙幅」である。
また、用紙Tが定着ニップFに搬送される場合における通紙領域よりも外側の用紙Tが載置されない領域を「非通紙領域」という。本実施形態においては、例えば、用紙幅方向D2における最大長さの用紙Tが定着ニップFに搬送される場合における用紙Tが載置されない領域(最大通紙領域901の外側の領域)を「最大非通紙領域903」という。
また、本実施形態の定着装置9においては、用紙幅方向D2における最小長さ(最小幅)の用紙Tが定着ニップFに搬送される場合における用紙Tが通過する通紙領域として、最小通紙領域902を設定する。例えば、加熱回転ベルト93の外周面及び加圧ローラ9bの外周面には、A5サイズの用紙Tにおける短辺が用紙幅方向D2に平行な状態(A5サイズ縦)で、A5サイズの用紙Tが定着ニップFに搬送される場合におけるA5サイズの用紙Tが載置される領域である最小通紙領域902が形成(設定)される。最小通紙領域902は、プリンタ1ごとにそれぞれ設定される。
加熱回転ベルト93の外周面には、加熱回転体9aにおける最小通紙領域902として、加熱側最小通紙領域902aが形成(設定)される。加圧ローラ9bの外周面には、加熱回転ベルト93の加熱側最小通紙領域902aに対応して、加圧側最小領域902bが形成(設定)される。
最小長さ(最小幅)の用紙Tが加熱側最小通紙領域902aに載置されて通過する場合、用紙Tの用紙幅方向D2おける外縁に対応する位置は、加熱側最小通紙領域902aの外縁である加熱側最小領域外縁902e、902eとなる。つまり、最小長さの用紙Tは、加熱側最小領域外縁902e、902eの内側の領域である加熱側最小通紙領域902aに載置されて搬送される。
なお、用紙幅方向D2において加熱側最小領域外縁902e、902eに対応する位置を「最小領域外縁対応位置732e、732e」という。また、加熱側最小通紙領域902aにおける用紙幅方向D2に平行な方向の長さを、「最小通紙幅W2」という。
加熱ユニット70について説明する。図2A、図2B及び図4に示すように、加熱ユニット70は、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、を備える。誘導コイル71は、加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間すると共に、加熱回転ベルト93の外周面(外面)に沿って配置される。誘導コイル71は、平面視(図2A、図2B及び図4における上方から視た場合)において、用紙幅方向D2に長い形状に線材を巻き回して形成される。
誘導コイル71は、用紙Tの加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)において電磁誘導加熱(IH)により所定の発熱量を発生させるため、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93の長さよりも長く形成される。
誘導コイル71は、銅製のリッツ線の線材を用紙幅方向D2に延びるように配置すると共に加熱回転ベルト93の周方向に沿って並ぶように配置した状態で巻き回して形成される。誘導コイル71は、加熱回転ベルト93における加熱側ローラ91に掛け渡された部分(加熱側ローラ91の垂直方向の上方側の略半周の外周面に掛け渡された部分)の外周面に対向して配置される。
図2A、図2B及び図3に示すように、誘導コイル71は、第1回転軸J1方向(用紙幅方向D2)に延びるように形成される中央領域718を囲むように線材を巻き回して形成される。中央領域718は、加熱回転ベルト93の垂直方向の最も上方に位置する部分(搬送方向D1における略中央)の上方側において、誘導コイル71の線材が配置されない用紙幅方向D2(第1回転軸J1方向)に長い領域である。なお、本実施形態においては、中央領域718には、後述するセンターコア73における垂直方向の下方側の部分が配置されている。
誘導コイル71の内周縁は、中央領域718を囲むように巻き回して形成される。そして、誘導コイル71は、線材を用紙幅方向D2に延びるように配置した状態で、誘導コイル71の内周縁から加熱回転ベルト93の周方向に沿って並ぶように巻き回して形成される。
誘導コイル71の外周縁は、加熱回転ベルト93の加熱側ローラ91に掛け渡された部分の下方側の部分(加熱側ローラ91の垂直方向の略中央の外周面に掛け渡された部分の近傍)の外周面に対向して巻き回して形成される。
本実施形態においては、誘導コイル71は、耐熱性の樹脂材料により形成された支持部材(図示せず)の上に、線材が巻き回されて固定される。支持部材は、加熱回転ベルト93の加熱側ローラ91に掛け渡された部分の外周面(外面)に沿うような半円筒形状に形成され、加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して配置される。
誘導コイル71は、不図示の誘導加熱用回路部に接続される。誘導コイル71には、誘導加熱用回路部から所定周波数の交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91を発熱させるための磁束を発生させる。
図2A及び図2Bに示すように、誘導コイル71は、基材が強磁性材料である加熱回転ベルト93、加熱側ローラ91及び磁性体コア部72(後述)が配置された領域を通るように、磁束を発生させる。これにより、誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト93、加熱側ローラ91及び磁性体コア部72(後述)により形成された磁束の経路である磁路に導かれる。
磁路は、誘導コイル71により発生された磁束が周回方向R3に周回するように、加熱回転ベルト93、加熱側ローラ91及び磁性体コア部72(後述)により形成される。周回方向R3とは、誘導コイル71の内周縁の内側と外周縁の外側とを通り誘導コイル71の線材の部分を囲むように周回する方向である。誘導コイル71により発生された磁束は、磁路を通過する。
誘導コイル71により発生された磁束は、誘導コイル71の内周縁の内側における線材が配置されない部分である中央領域718に対して、用紙Tの搬送方向D1の下流側及び上流側において互いに対称に周回方向R3に周回する2つの磁路を通過する2つの磁束を主体として構成される。
そして、用紙Tの搬送方向D1において下流側及び上流側に互いに対称に周回する2つの磁束は、後述するセンターコア73において合流する。誘導コイル71により発生された2つの磁束の方向は、用紙Tの搬送方向D1における下流側及び上流側に形成される2つの磁束が互いに対向する部分において、互いに同じ方向である。
誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部(不図示)から所定周波数の交流電流が印加されるため、交流電流のプラス又はマイナスへの周期的な変動により、その大きさ及び方向が変化する。加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91には、この磁束の変化により誘導電流(渦電流)が発生する。
磁性体コア部72は、周回方向R3に周回する磁路(図8A参照)を形成する。磁性体コア部72は、誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、強磁性材料を主体として形成されるため、誘導コイル71により発生される磁束の経路である磁路を形成する。これは、強磁性材料を主体として形成される磁性体コア部72の透磁率が周辺の空気部分の透磁率よりも高いためである。そして、誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を形成する磁性体コア部72を通過し、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91に導かれる。
また、磁性体コア部72は、誘導コイル71の内周縁の内側の線材が配置されない部分である中央領域718に対して対称に、用紙Tの搬送方向D1の上流側及び下流側に2つの磁路を形成する。
図2A及び図2Bに示すように、磁性体コア部72は、第2コアとしてのセンターコア73と、複数の第1コアとしての複数のアーチコア74と、サイドコア75と、第1磁束遮蔽部材77と、第2磁束遮蔽部材78と、を有する。
センターコア73、複数のアーチコア74及びサイドコア75は、例えば、フェライト粉末を焼結して成形される強磁性材料からなるフェライト製の磁性体コアである。
センターコア73は、用紙幅方向D2に視た場合に、加熱回転体9aの垂直方向の上方側において、定着装置9における用紙Tの搬送方向D1における略中央に配置される。
複数のアーチコア74及びサイドコア75それぞれは、センターコア73に対して、用紙Tの搬送方向D1における下流側及び上流側に対をなしてそれぞれ配置される。センターコア73、一対の複数のアーチコア74、74、一対のサイドコア75、75、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93は、磁路の周回方向R3において並んで配置される。
センターコア73の詳細について説明する。センターコア73は、図2A及び図2Bに示すように、周回方向R3において、後述するアーチコア74と加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93との間における磁路(図8A参照)を形成する。センターコア73は、中央領域718の近傍(誘導コイル71の内周縁に配置される線材711Aの近傍)に配置される。具体的には、センターコア73は、加熱回転ベルト93における搬送方向D1の中央において、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93に対して垂直方向の上方側に配置される。
センターコア73は、加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト93の外周面に対向する。センターコア73は、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面に対向する外周面(外面)を有する。
また、図2Aから図5Bに示すように、センターコア73は、用紙幅方向D2と平行なコア回転軸としてのセンターコア回転軸J4を中心に回転可能に構成される。
センターコア73は、図5Aから図6に示すように、センターコア回転軸J4方向(用紙幅方向D2)に長い円筒形状に形成される。センターコア73は、用紙幅方向D2において、最大長さの用紙Tの最大通紙幅W1よりも長く形成される。
センターコア73は、図3に示すように、用紙幅方向D2において、加熱側最大通紙領域901aに対応する最大通紙領域対応領域731と、加熱側最小通紙領域902aに対応する最小通紙領域対応領域732と、最大非通紙領域903に対応する最大非通紙領域対応領域733と、を有する。
図5Aから図6に示すように、センターコア73は、用紙幅方向D2における両端に配置される2つの突出部734、734を有する。2つの突出部734、734は、センターコア73における最大領域外縁対応位置731e、731eそれぞれから用紙幅方向D2の外側に突出する。なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、センターコア73における両端に配置される2つの突出部734、734については、2つの突出部734、734の構成が同じであるため、一方の突出部734について説明する。
突出部734は、センターコア73における最大非通紙領域対応領域733の部分である。突出部734は、用紙幅方向D2において、最大領域外縁対応位置731eに位置される部分からセンターコア73の外縁であるセンターコア外縁734aまでの長さを有している。
ここで、突出部734における用紙幅方向D2の長さは、センターコア73がフェライトの粉体を押し固めて焼成するため、製造上のバラツキを有しており、精度の高い寸法を得ることが難しい。
そのため、本実施形態においては、センターコア73は、製造上の長さのバラツキを考慮した上で、最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2の外側に突出する突出部734を有するように長く形成される。つまり、センターコア73は、少なくとも最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2の外側に突出するように長く製造される。例えば、センターコア73における突出部734は、フェライトの収縮率などを考慮すると共に安全係数を乗じることなどにより、用紙幅方向D2における長さのバラツキの範囲を把握した上で、最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2の外側に突出するように長く形成される。
突出部734(センターコア73の最大非通紙領域対応領域733)における外周面は、後述する第1磁束遮蔽部材77により全部が覆われる。また、センターコア73の最大通紙領域対応領域731における外周面は、後述する第2磁束遮蔽部材78により一部が覆われる。
センターコア73は、センターコアシャフト735に支持される。センターコアシャフト735は、用紙幅方向D2に延びるように形成される。センターコアシャフト735は、センターコア73の内周側における中空部に、センターコア73を貫通した状態でセンターコア73に固定されている。
センターコアシャフト735は、センターコア73の両端部から用紙幅方向D2の外側それぞれに突出する。センターコアシャフト735の両端部は、定着装置9における装置ケースやその他の部材に回転可能に支持される。これにより、センターコア73は、センターコアシャフト735と一体的に回転可能である。
第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78について説明する。図2Aから図6に示すように、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の外周面(外面)の一部を覆うように配置される。第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、薄板状に形成される。
第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、非磁性体材料であり、且つ、導電率が高い導電部材により形成される。第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78としては、無酸素銅などが用いられる。
第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、その薄板状に形成された面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流で貫通した磁束に対して逆方向の磁束を発生させる。そして、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。また、導電率が高い導電性部材を用いることで誘導電流によるジュール発熱を抑制し、効率よく磁束を低減させ又は遮蔽することができる。第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78が高い導電性を得るためには、例えば、固有抵抗の小さい材料を選定することや、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78の厚みを厚くする等の方法が有効である。具体的には、第2磁束遮蔽部材78の板厚は、0.5mm以上が好ましく、本実施形態においては、例えば1mmである。
なお、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、磁束を低減させる部材である。そのため、第1磁束遮蔽部材77を「第1磁束低減部材77」ともいい、第2磁束遮蔽部材78を「第2磁束低減部材78」ともいう。
第2磁束遮蔽部材78について説明する。図5A及び図5Bに示すように、第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の最大通紙領域対応領域731において、センターコア73の外周面の一部を覆うように配置される。第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の外周面(外面)に沿って取り付けられている。第2磁束遮蔽部材78は、薄板状に形成され、全体として円弧状に湾曲している。第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の外周面の部分に埋め込んだ状態で、センターコア73の外周面に沿って配置される。なお、第2磁束遮蔽部材78は、例えば、シリコン系接着剤等を用いることによりセンターコア73の外周面に貼り付けられていてもよい。
図5Aに示すように、第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の用紙幅方向D2において離間して配置される2つの遮蔽板781、781を有する。2つの遮蔽板781、781それぞれは、センターコア73における用紙幅方向D2の中央に対して互いに対称の形状となっている。2つの遮蔽板781、781それぞれは、センターコア73における用紙幅方向D2の中央に最小通紙幅W2をあけた状態で、センターコア73における用紙幅方向D2の両端部側に離間した状態で配置される。
なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、2つの遮蔽板781、781については、2つの遮蔽板781、781が同じ構成であるため、一方の遮蔽板781について説明する。
図6に示すように、遮蔽板781は、平面視で階段状に形成される。遮蔽板781は、センターコア73の用紙幅方向D2における中央側において、センターコア73の周方向における長さが短く形成される。遮蔽板781は、センターコア73の用紙幅方向D2における端部側において、センターコア73の周方向における長さが長く形成される。遮蔽板781は、用紙幅方向D2における用紙Tの通紙領域の長さに対応した用紙幅方向D2に所定の長さを有する階段状に形成される。
遮蔽板781は、最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2における最大通紙領域対応領域731の内側に延びるように配置される。詳細には、遮蔽板781は、最大領域外縁対応位置731eから最小領域外縁対応位置732eにわたって用紙幅方向D2に延びるようにしてセンターコア73の外周面に沿って配置される。
遮蔽板781は、用紙幅方向D2における一方側の端縁である外縁781Aと、外縁781Aとは反対側の端縁である内縁781Bとを有する。
遮蔽板781の外縁781Aは、センターコア73の外周面における最大領域外縁対応位置731eに位置される。遮蔽板781の内縁781Bは、センターコア73の外周面における最小領域外縁対応位置732eに位置される。
第2磁束遮蔽部材78は、無酸素銅などの金属部材により形成されるため、加工される寸法において高い精度により形成することができる。つまり、第2磁束遮蔽部材78は、製造上のバラツキを有するセンターコア73と比べて、用紙幅方向D2における長さの精度が高い。
そのため、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781の外縁781Aを、センターコア73の最大領域外縁対応位置731eに精度よく位置させることができる。また、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781の内縁781Bを、最小領域外縁対応位置732eに精度よく位置させることができる。また、階段状の遮蔽板781における用紙幅方向D2の段差部分を、用紙Tにおける各サイズの用紙幅方向D2の長さに対応させて精度よく位置させることができる。これにより、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781は、用紙幅方向D2において、センターコア73の最大通紙領域対応領域731の外周面を、用紙Tのサイズに応じた精度よい長さで覆うことができる。
図5A及び図5Bに示すように、第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の外周面に取り付けられているため、センターコア73と一体的にセンターコア回転軸J4を中心に回転可能に構成される。センターコア73は、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向して誘導コイル71が発生させた磁束を低減させ又は遮蔽する遮蔽位置(図5A参照)と、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向せずに誘導コイル71が発生させた磁束を低減させ又は遮蔽しない非遮蔽位置(図5B参照)とに第2磁束遮蔽部材78を配置可能に回転可能に構成される。
図5Aに示すように、センターコア73が回転することにより、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向する位置(遮蔽位置)に位置する場合には、第2磁束遮蔽部材78は、加熱回転ベルト93とセンターコア73との間を通過する誘導コイル71が発生させた磁束を低減させ又は遮蔽する(図8B参照)。
一方、図5Bに示すように、図5Aに示される状態からセンターコア73が180°回転することにより、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93から最も離間した位置(非遮蔽位置)に位置した場合には、第2磁束遮蔽部材78は、加熱回転ベルト93の外周面と対向しない位置に位置される。これにより、第2磁束遮蔽部材78により誘導コイル71が発生させた磁束が低減されず又は遮蔽されないため、センターコア73を中心として一対のサイドコア75及び一対のアーチコア74により磁路が形成され、磁束は、加熱回転ベルト93や加熱側ローラ91に導かれる(図8A参照)。
本実施形態においては、センターコア73の周方向において、その外周長に占める第2磁束遮蔽部材78の長さの割合は、センターコア73における用紙幅方向D2の位置によって異なっている。ここで、センターコア73の外周長に占める第2磁束遮蔽部材78の長さの割合を被覆率とすると、被覆率は、センターコア73における用紙幅方向D2の中央側においては小さく、センターコア73における用紙幅方向D2の中央側よりも外側(両端側)においては大きい。図5Aに示すように、例えば、第2磁束遮蔽部材78における被覆率を、用紙Tの各サイズに対応するように3段階に設定する。
用紙Tのサイズ(通紙幅)への対応は、センターコア73を回転させて、第2磁束遮蔽部材78の位置を変更することにより、誘導コイル71が発生させた磁束を部分的に低減させ又は遮蔽することで実現される。具体的には、用紙Tのサイズ(通紙幅)に応じてセンターコア73の回転角(回転変位量)を異ならせることにより、誘導コイル71が発生させた磁束の遮蔽量を調整する。
本実施形態においては、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781が階段状に形成されるため、センターコア73の回転角度を調整することで、用紙Tのサイズ応じて、加熱回転ベルト93に対面する遮蔽板781の長さを調整することができる。これにより、用紙幅方向D2における用紙Tの長さ(サイズ)に対応した被覆率で、加熱回転ベルト93に対面する遮蔽板781の長さを調整する。そして、用紙Tのサイズ応じて、各サイズの用紙Tの通紙領域の外側の領域において誘導コイル71が発生させた磁束を低減させ又は遮蔽する量を調整することができる。
第1磁束遮蔽部材77の詳細について説明する。図6に示すように、第1磁束遮蔽部材77は、第2磁束遮蔽部材78と別部材である。第1磁束遮蔽部材77は、用紙幅方向D2において第2磁束遮蔽部材78と連続して隙間なく並んで配置される。
図6に示すように、第1磁束遮蔽部材77は、薄板状で筒状に形成される。第1磁束遮蔽部材77は、突出部734の外周面における全部を覆うように配置される。詳細には、第1磁束遮蔽部材77は、突出部734の外周面における周方向の全域にわたって覆っている。第1磁束遮蔽部材77は、突出部734の外周面における用紙幅方向D2の全域にわたって覆っている。
そして、第1磁束遮蔽部材77は、用紙幅方向D2における最大領域外縁対応位置731eよりも外側の領域において磁束を低減させ又は遮蔽する。
第1磁束遮蔽部材77は、突出部734における最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2における外側に延びるようにして突出部734の外周面に沿って配置される。
第1磁束遮蔽部材77は、用紙幅方向D2における内側の端縁である内縁770Aと、第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aとは反対側の端縁である外縁770Bと、を有する。
第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aは、最大領域外縁対応位置731eに位置される。ここで、最大領域外縁対応位置731eには、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781の外縁781Aと、第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aと、が位置している。つまり、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、最大領域外縁対応位置731eにおいて第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aと第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781の外縁781Aとが位置した状態で、用紙幅方向D2に連続して隙間なく配置されている。
また、第1磁束遮蔽部材77の外縁770Bは、センターコア73のセンターコア外縁734aよりも用紙幅方向D2における外側に位置される。
第1磁束遮蔽部材77の用紙幅方向D2における長さは、センターコア73における製造上のバラツキを考慮して、突出部734における用紙幅方向D2の長さ以上に設定される。また、第1磁束遮蔽部材77の用紙幅方向D2における長さは、センターコア73と共に回転した場合において他の部材に接触しない長さに設定される。
また、図6に示すように、第1磁束遮蔽部材77は、円筒状に形成されており、中空部771と、中空部771の外郭を形成する内周面772と、を有する。第1磁束遮蔽部材77の中空部771には、センターコア73の突出部734を挿入可能である。
第1磁束遮蔽部材77は、その内縁770Aが最大領域外縁対応位置731eに位置された状態で、センターコア73における突出部734の外周面に取り付けられる。
具体的には、第1磁束遮蔽部材77は、その中空部771に突出部734を挿入させて、突出部734の外周面を覆うように配置される。言い換えると、突出部734に第1磁束遮蔽部材77を被せることで、第1磁束遮蔽部材77の内周面772が突出部734の外周面に対向した状態で、突出部734の外周面の全部は、第1磁束遮蔽部材77により覆われる。
例えば、第1磁束遮蔽部材77は、シリコン系の接着剤等によりその内周面772が突出部734の外周面に直接的に取り付けられる。なお、本実施形態においては、第1磁束遮蔽部材77を突出部734の外周面に直接的に取り付ける構成としているが、これに制限されない。例えば、第1磁束遮蔽部材77を第2磁束遮蔽部材78に継ぎ合わせて連結する構成としてもよい。
第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73又は第2磁束遮蔽部材78に取り付けられているため、センターコア73及び第2磁束遮蔽部材78と一体的にセンターコア回転軸J4を中心に回転可能に構成される。ここで、第1磁束遮蔽部材77は、突出部734の外周面における周方向の全域にわたって覆っている。そのため、第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73の回転角度によらずに、加熱回転ベルト93の外周面に対向して配置される。これにより、第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73の回転角度によらずに突出部734において磁束を低減させ又は遮蔽する。
センターコア73、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、センターコア73の内側に固定されたセンターコアシャフト735がセンターコア回転部155により回転駆動されることで一体的に回転される。
図7に示すように、センターコア回転部155は、回転駆動部158と、ギア機構156と、を有する。回転駆動部158は、例えば、ステッピングモータ等により構成される。また、ギア機構156には、回転駆動部158の出力軸158Aに接続される第1ギア156Aと、第1ギア156Aに噛み合う第2ギア156Bと、により構成されるウォームギアが用いられる。
センターコア回転部155は、回転駆動部158からの回転駆動力をギア機構156に伝達することにより、センターコアシャフト735を回転駆動する。そして、センターコア回転部155は、センターコア73、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78を一体的に回転させる。
センターコア回転部155は、不図示のセンターコア回転制御部により、プリンタ1に受け付けられた用紙Tのサイズに関する情報であるサイズ情報に基づいて、不図示の記憶部に記憶される用紙Tのサイズ情報に対応する情報を参照して、センターコア回転部155を制御する。なお、記憶部には、センターコア回転部155の回転駆動部158の動作量に関する情報が記憶される。例えば、記憶部には、用紙Tのサイズ情報に対応するセンターコア73の回転角度(基準位置からの回転変位量)が記憶される。これにより、用紙サイズ(用紙幅)に応じて、磁路を通過する磁束の遮蔽量を調整する。
また、センターコア73の回転角度(基準位置からの回転変位量)を検知するため、センターコアシャフト735の一方の端部側には、回転位置検知部159が配置される。回転位置検知部159は、スリット付ディスク159Aと、回転位置検知センサ159Bとを備える。
スリット付ディスク159Aは、略円形の板状に形成され、センターコアシャフト735の端部側に固定される。スリット付ディスク159Aには、所定のスリットが形成される。回転位置検知センサ159Bは、スリット付ディスク159Aが回転する際に、スリット付ディスク159Aのスリットの部分が通過したことを検知可能な位置に位置される。回転位置検知センサ159Bは、スリット付ディスク159Aのスリットを検知することで、センターコア73の回転位置(回転角度)を検知する。回転位置検知センサ159Bは、例えば、フォトインタラプタにより構成される。
一対の複数のアーチコア74、74の詳細について説明する。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、図2A及び図2Bに示すように、周回方向R3において、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト93とは反対側(誘導コイル71の外側)の磁路(図8A参照)を形成する。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、誘導コイル71により発生される磁束の外方側への漏れを低減して、磁束を加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93に導くことができる。
一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、誘導コイル71の線材の部分を挟んで加熱回転ベルト93の外周面に対向して配置される。一対の複数のアーチコア74、74は、用紙Tの搬送方向D1においてセンターコア73を挟むようにして、用紙Tの搬送方向D1における下流側及び上流側に対をなして配置される。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、加熱回転ベルト93の周方向に沿うように延びるアーチ状に形成される。
一対の複数のアーチコア74、74は、用紙Tの搬送方向D1においてセンターコア73に対して、用紙Tの搬送方向D1における下流側及び上流側において対称の形状を有している。
具体的には、一対の複数のアーチコア74、74は、用紙幅方向D2に視た場合に、用紙Tの搬送方向D1における下流側に配置される複数の下流側アーチコア741と、用紙Tの搬送方向D1における上流側に配置される複数の上流側アーチコア745とを有する。
本実施形態においては、下流側アーチコア741は、下流側水平部742と、下流側傾斜部743とを有する。下流側水平部742は、用紙幅方向D2に視た場合に、センターコア73から用紙Tの搬送方向D1の下流側に所定距離だけ離間した位置から用紙Tの搬送方向D1の下流側に水平に所定距離だけ延びるように形成される。下流側傾斜部743は、用紙幅方向D2に視た場合に、下流側水平部742におけるセンターコア73とは反対側から連続して用紙Tの搬送方向D1の下流側に傾斜して直線状に延びるように形成される。下流側傾斜部743は、誘導コイル71の用紙Tの搬送方向D1の下流側における外周縁の外側近傍に向かうように延びている。
また、上流側アーチコア745は、上流側水平部746と、上流側傾斜部747とを有する。上流側水平部746は、用紙幅方向D2に視た場合に、センターコア73から用紙Tの搬送方向D1の上流側に所定距離だけ離間した位置から用紙Tの搬送方向D1の上流側に水平に所定距離だけ延びるように形成される。上流側傾斜部747は、用紙幅方向D2に視た場合に、上流側水平部746におけるセンターコア73とは反対側から連続して用紙Tの搬送方向D1の上流側に傾斜して直線状に延びるように形成される。上流側傾斜部747は、誘導コイル71の用紙Tの搬送方向D1の上流側における外周縁の外側近傍に向かうように延びている。
また、複数のアーチコア74それぞれは、図4に示すように、用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置される。複数のアーチコア74それぞれは、最大通紙領域901に対応する全域において、用紙幅方向D2に互いに所定間隔をあけて並んで配置される。複数のアーチコア74それぞれは、搬送方向D1に視た場合に、用紙幅方向D2において所定幅を有して構成される。
複数のアーチコア74それぞれが用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置されることで、誘導コイル71により発生される磁束は、用紙幅方向D2における複数のアーチコア74それぞれの間の空気部分をほとんど通過せずに、複数のアーチコア74それぞれにより形成された複数の磁路を通過する。
このように、複数のアーチコア74それぞれは、用紙幅方向D2に離間して周回方向R3において周回する複数の磁路を形成する。
なお、用紙幅方向D2に離間して複数のアーチコア74それぞれを通った磁束は、センターコア73又は後述するサイドコア75が用紙幅方向D2に長く構成されるため、センターコア73又はサイドコア75により構成される磁路により用紙幅方向D2に均一化されるように分散又は合流された後に、加熱回転ベルト93に導かれる。
一対のサイドコア75、75の詳細について説明する。一対のサイドコア75、75それぞれは、図2A及び図2Bに示すように、周回方向R3において、一対の複数のアーチコア74、74それぞれと加熱回転ベルト93との間における磁路(図8A参照)を形成する。一対のサイドコア75、75それぞれは、加熱回転体9aに対して、用紙Tの搬送方向D1の下流側及び上流側において対をなして配置される。一対のサイドコア75、75それぞれは、磁路の周回方向R3において、一対の複数のアーチコア74、74それぞれに隣り合うように配置される。
一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71の外周縁に配置される線材711Bの外側の近傍に配置される。一対のサイドコア75、75それぞれは、加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト93の外周面に対向して配置される。一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面に対向する面を有する。また、一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2に長い略直方体形状に形成される。
一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2において、最大通紙領域901に対応する領域よりも長く形成される。一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2の両端部近傍それぞれにおいて、耐熱性の樹脂材料により形成された不図示のコアホルダにより支持されて固定される。
このように構成されることで、一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71により発生される磁束を加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93に誘導して、誘導コイル71の外周縁の外側への磁束の漏れを低減することができる。
温度センサ95について説明する。温度センサ95は、加熱側ローラ91又は加熱回転ベルト93の温度を検知する。本実施形態においては、図2A及び図2Bに示すように、温度センサ95は、加熱側ローラ91の内側に配置される。温度センサ95は、加熱側ローラ91の内周面に当接又は近接して配置される。なお、温度センサ95は、加熱回転ベルト93の外周面に対向して非接触の状態で配置されていてもよい。
温度センサ95は、用紙幅方向D2において、所定間隔ごとに複数配置される。複数の温度センサ95それぞれは、最大通紙領域の全域において、用紙幅方向D2に並んで配置される。これにより、複数の温度センサ95は、加熱側ローラ91の用紙幅方向D2における複数箇所の内周面の温度を検知する。温度センサ95は、例えば、赤外線温度センサから構成される。
次に、図1から図9を参照して、本実施形態における定着装置9を含むプリンタ1の動作について説明する。図8Aは、センターコア73(第2磁束遮蔽部材78)が非遮蔽位置に位置する場合において、周回方向R3における磁路を通過する磁束について説明するための図である。図8Bは、センターコア73が遮蔽位置に位置する場合において、周回方向R3における磁路を通過する磁束について説明するための図である。図9は、第1磁束遮蔽部材77が磁束を低減させ又は遮蔽する場合において、周回方向R3における磁路を通過する磁束について説明するための図である。
本実施形態において、プリンタ1は、電源がONされると、電源部(図示せず)から帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、プリンタ制御部(図示せず)、定着装置9それぞれに電力が供給される。そして、プリンタ制御部からの制御信号により帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、定着装置9がそれぞれ制御される。
具体的には、本実施形態のプリンタ1において、レジストローラ対80から送り出された用紙Tは、第1搬送路L1を通って感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNへ搬送される。このように用紙Tが感光体ドラム2へ向かって搬送されるとき、まず、帯電部10が、感光体ドラム2の表面全体を帯電させると共に、レーザスキャナユニット4が、レーザ光源(図示せず)から感光体ドラム2へ向けてレーザ光を照射し、感光体ドラム2の表面に形成すべき画像に対応した静電潜像を形成する。
続けて、現像器16は、帯電したトナーを現像ローラ17により感光体ドラム2へ供給する。これにより、感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。
続いて、転写ローラ8は、感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNを通過する用紙Tに、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を転写する。
そして、トナー画像が転写された用紙Tは、第2搬送路L2を通って定着装置9へ向けて搬送される。具体的には、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9の加熱回転ベルト93と加圧ローラ9bとにより形成される定着ニップFへ向けて搬送される。
例えば、プリンタ1が最大サイズの用紙T(例えば、A3サイズ縦の用紙T)を印刷する印刷命令を受け付けた場合には、センターコア回転制御部(不図示)は、プリンタ1に受け付けられた用紙Tのサイズ情報(用紙Tの用紙幅方向D2における長さの情報)に基づいて、記憶部(不図示)を参照してセンターコア回転部155を制御する。これにより、図5B及び図8Aに示すように、第2磁束遮蔽部材78は、最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、非遮蔽位置に位置されるように回転移動される、又は、非遮蔽位置を維持する。
これにより、最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、第2磁束遮蔽部材78は、加熱回転ベルト93の外周面に対向しない位置に位置される。従って、第2磁束遮蔽部材78は、最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、磁束を低減せず又は遮蔽しない。
また、例えば、プリンタ1が最小サイズの用紙T(例えば、A5サイズ縦の用紙T)を印刷する印刷命令を受け付けた場合には、センターコア回転制御部(不図示)は、プリンタ1に受け付けられた用紙Tのサイズ情報(用紙Tの用紙幅方向D2における長さの情報)に基づいて、記憶部(不図示)を参照してセンターコア回転部155を制御する。これにより、図5A及び図8Bに示すように、センターコア73は、用紙幅方向D2における最小通紙領域対応領域732よりも外側の領域であって最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、第2磁束遮蔽部材78が磁束を遮蔽するように遮蔽位置に回転移動する、又は、遮蔽位置を維持する。
これにより、最小通紙領域対応領域732よりも外側の領域であって最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、第2磁束遮蔽部材78は、加熱回転ベルト93の外周面に対向する位置に位置される。従って、第2磁束遮蔽部材78は、最小通紙領域対応領域732よりも外側の領域であって最大通紙領域対応領域731の内側の領域において、磁束を低減させ又は遮蔽する。
また、例えば、最小サイズの用紙T(例えば、A5サイズ縦の用紙T)よりも大きいサイズの用紙Tであって最大サイズの用紙T(例えば、A3サイズ縦の用紙T)よりも小さいサイズの用紙Tを印刷する印刷命令を受け付けた場合には、記憶部(不図示)を参照してセンターコア回転部155を制御する。これにより、用紙Tのサイズに対応してセンターコア73の回転角度を調整することで、第2磁束遮蔽部材78による磁束の遮蔽量を調整する。
具体的には、第2磁束遮蔽部材78の遮蔽板781は、用紙Tの用紙幅方向D2の長さに対応した階段状に形成されている。そのため、センターコア73の回転角度を調整することにより、第2磁束遮蔽部材78における加熱回転ベルト93に対向する面の用紙幅方向D2の長さを用紙Tの用紙幅方向D2に対応させて変化させることができる。これにより、用紙Tのサイズに対応して、磁束の遮蔽量を調整することができる。
また、最大通紙領域対応領域731の外側の領域においては、第1磁束遮蔽部材77によりセンターコア73の外周面の全部が覆われている。そのため、最大通紙領域対応領域731の外側の領域においては、第1磁束遮蔽部材77は、加熱回転ベルト93の外周面に対向する位置に位置される。従って、第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73の突出部734が配置される最大通紙領域対応領域731の外側の領域において、用紙Tのサイズに対応するセンターコア73の回転角度によらずに磁束を低減させ又は遮蔽する。
次に、加熱回転ベルト93が回転される。具体的には、プリンタ制御部(不図示)から出力された所定の制御信号を定着装置9が受信した場合、電源部から駆動制御部(不図示)への電力の供給が開始される。駆動制御部への電力の供給が開始されると、回転駆動部(不図示)により加圧ローラ9bが回転駆動される。加圧ローラ9bの回転駆動に伴って加熱回転ベルト93は、従動して回転される。そして、加熱回転ベルト93の回転により、加熱側ローラ91及び定着側ローラ92は、従動して回転される。また、複数の温度センサ95は、加熱側ローラ91の内周面の複数箇所の温度の検知を開始する。
プリンタ制御部(不図示)から出力された所定の制御信号を定着装置9が受信した場合、駆動制御部(不図示)への電力の供給と同時に、定着装置9は、加熱動作を開始する。定着装置9の加熱動作は、加熱ユニット70による誘導加熱動作と、ヒータ96による加熱動作とにより行われる。
具体的には、プリンタ制御部はプリンタ1における電源ON信号又は画像形成指示情報等を受信した場合、プリンタ制御部(不図示)は、誘導加熱用回路部(不図示)に対し、誘導加熱動作を開始させる指示をする。例えば、プリンタ制御部(不図示)は、温度センサ95によって検知される加熱側ローラ91の温度に基づいて、誘導加熱用回路部を制御する。
これにより、誘導コイル71には、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93を発熱させるための磁束を発生させる。
誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部から所定周波数の交流電流が誘導コイル71に印加されるため、その大きさ及び方向が変化する。
ここで、強磁性材料を主体として形成される加熱回転ベルト93、加熱側ローラ91及び磁性体コア部72により、誘導コイル71の内周縁の内側と外周縁の外側とをつなぐように周回方向R3に周回する磁路が形成される。そのため、誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト93、加熱側ローラ91及び磁性体コア部72により形成された磁路を通過する。
具体的には、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向しない領域に対応する用紙幅方向D2における領域においては、図8Aに示すように、誘導加熱用回路部(不図示)により印加される交流電流がプラスの場合には、例えば、誘導コイル71によって発生された磁束は、加熱回転ベルト93における加熱側ローラ91に掛け渡された部分及び加熱側ローラ91を通りサイドコア75へ導かれ、サイドコア75を通ってアーチコア74へ導かれる。
そして、用紙幅方向D2に離間して複数のアーチコア74それぞれを通った磁束は、センターコア73が用紙幅方向D2に長く構成されるため、センターコア73により構成される磁路により用紙幅方向D2に均一化されるように分散又は合流された後に、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91に導かれる。
一方、誘導加熱用回路部により印加される交流電流がマイナスの場合には、例えば、誘導コイル71によって発生された磁束は、交流電流がプラスの場合における方向とは反対方向であって、加熱回転ベルト93の加熱側ローラ91に掛け渡された部分及び加熱側ローラ91、センターコア73、アーチコア74及びサイドコア75を通り加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91へ導かれる。
そして、磁路を通過する磁束の大きさと方向が変化することにより、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91の垂直方向の上方側の部分には、電磁誘導により渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91は、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向しない領域に対応する用紙幅方向D2における領域において、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
一方、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向する領域に対応する用紙幅方向D2における領域においては、図8B及び図9に示すように、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、その面に垂直な磁束が貫通することによる誘導電流で逆方向の磁束を発生させる。そして、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、錯交磁束(垂直な貫通磁束)をキャンセルする磁束を発生させることで磁路を通過する磁束を低減させ又は遮蔽する。これにより、加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91は、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向する領域に対応する用紙幅方向D2における領域において、電磁誘導加熱(IH)による発熱が低減され又は抑制される。
特に、第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73の突出部734の周方向における外周面の全部を覆うように配置されているため、センターコア73の回転角度によらずに、最大領域外縁対応位置731eよりも用紙幅方向D2の外側の領域(最大非通紙領域対応領域733)において磁束を低減させ又は遮蔽する。
これにより、センターコア73の用紙幅方向D2の長さにバラツキがある場合においても、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)よりも外側の領域(最大非通紙領域903)において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇されることを抑制することができる。
また、例えば、プリンタ1が最小サイズの用紙T(例えば、A5サイズ縦の用紙T)を定着する場合において、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とが連続して配置された状態で、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、加熱回転ベルト93に対向している。
ここで、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、金属部材により形成されており、用紙幅方向D2において精度よい長さに形成される。そのため、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、用紙Tの各サイズに応じた領域を精度よく覆うように配置されることができる。これにより、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とを隙間なく連続して配置される。従って、用紙Tの各サイズに応じて用紙Tの通紙領域の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
このように、各サイズの用紙Tに定着動作を行う場合において、各サイズの用紙Tに応じたセンターコア73の回転角度を調整することにより、第2磁束遮蔽部材78が用紙Tのサイズに応じて加熱回転ベルト93の加熱側最大通紙領域901aの内側における発熱量を調整すると共に、第1磁束遮蔽部材77が加熱回転ベルト93の加熱側最大通紙領域901aの外側の領域における発熱量を低減させ又は抑制する。従って、用紙Tの各サイズに対応した用紙Tの通紙領域の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
次に、定着装置9は、定着ニップFにおいて所定の定着温度に加熱される。具体的には、加熱回転ベルト93の回転により、加熱回転ベルト93における電磁誘導加熱(IH)により発熱された部分は、定着装置9における加熱回転体9a(加熱回転ベルト93)と加圧ローラ9bとにより形成される定着ニップFに向けて順次移動される。また、加熱回転ベルト93に当接する定着側ローラ92及び加圧ローラ9bには、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93の熱が伝達される。
また、加圧ローラ9bの内部において、前記プリンタ制御部からヒータ96へ出力される制御信号をONとすることで前記電源部からヒータ96への電力の供給が開始されて、ヒータ96が発熱し、ヒータ96による加圧ローラ9bの加熱が開始される。
定着装置9は、定着ニップFにおいて、所定の温度になるように、温度センサ95に検知される加熱側ローラ91の内周面の温度に基づいて、誘導加熱用回路部(不図示)及びヒータ96を制御している。このように、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93及び加熱側ローラ91、並びに、ヒータ96により加熱された加圧ローラ9bは、定着ニップFにおいて所定の温度になるように加熱される。
ここで、本実施形態においては、センターコア73が回転することにより、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93は、第2磁束遮蔽部材78が用紙Tの各サイズの通紙領域に対応して、通紙領域よりも外側の領域であって加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の内側の領域において過度に加熱されないように調整されている。
具体的には、例えば、最大サイズの用紙T(例えば、A3サイズ縦の用紙T)に画像を形成する場合には、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の内側の領域においては、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向しない位置に位置される。そのため、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93は、定着装置9による発熱動作の開始により、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の全域にわたって発熱される。また、最大サイズの用紙Tにおいて、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域においては、第1磁束遮蔽部材77により磁束が遮蔽され、加熱回転ベルト93や加熱側ローラ91の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、例えば、最小サイズの用紙T(例えば、A5サイズ縦の用紙T)に画像を形成する場合には、加熱側最小通紙領域902a(最小通紙領域902)の内側の領域においては、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転ベルト93の外周面に対向しない位置に位置される。そのため、加熱側ローラ91及び加熱回転ベルト93は、定着装置9による発熱動作の開始により、加熱側最小通紙領域902a(最小通紙領域902)の全域にわたって発熱される。また、最小サイズの用紙Tにおいて、加熱側最小通紙領域902a(最小通紙領域902)の外側から加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の内側の領域においては、第2磁束遮蔽部材78により磁束が抑制または遮蔽される。更に、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域においては、第1磁束遮蔽部材77により磁束が遮蔽される。これにより、加熱側最小通紙領域902a(最小通紙領域902)の外側において、加熱回転ベルト93や加熱側ローラ91の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
このように、用紙Tの各サイズに対応して、用紙幅方向D2における用紙Tの通紙領域の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することが抑制することができる。
次に、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9における定着ニップFに導入される。そして、定着ニップFにおいて、トナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
次に、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78をセンターコア73に取り付ける手順について簡単に説明する。
まず、作業者は、第2磁束遮蔽部材78をセンターコア73の外周面に取り付ける。具体的には、遮蔽板781の外縁781Aをセンターコア73の外周面における最大領域外縁対応位置731eに位置させると共に遮蔽板781の内縁781Bをセンターコア73の外周面における最小領域外縁対応位置732eに位置させた状態で、第2磁束遮蔽部材78をセンターコア73の外周面に、例えば接着剤などで取り付ける。
次に、作業者は、第1磁束遮蔽部材77をセンターコア73の突出部734の外周面に取り付ける。
図6に示すように、第1磁束遮蔽部材77は、円筒状に形成される。そのため、作業者は、第2磁束遮蔽部材78をセンターコア73の外周面に接着剤で取り付けた後に、第1磁束遮蔽部材77をセンターコアシャフト735の端部側からセンターコア73の外周面に沿うように挿入していく。そして、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とを用紙幅方向D2において隙間なく連続させて配置した状態で、第1磁束遮蔽部材77の内周面をセンターコア73の外周面に、例えば接着剤などで取り付ける。このように、突出部734の外周面は、第1磁束遮蔽部材77をセンターコア73の突出部734に被せることにより、その外周面の全部が覆われる。
そのため、作業者は、第1磁束遮蔽部材77の中空部771に突出部734を挿入するだけで、第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aを最大領域外縁対応位置731eに位置させることが可能である。これにより、突出部734の外周面を容易に覆うことができる。従って、第1磁束遮蔽部材77を取り付けるための組み立て性が良好である。
特に、本実施形態のように第1磁束遮蔽部材77を円筒状に形成することにより、簡易な構成で、突出部734の外周面を覆うことができる。そのため、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域(最大非通紙領域対応領域733)において、簡易な構成で加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態におけるプリンタ1においては、加熱回転体9aと、加圧回転体9bと、加熱回転体9aと加圧回転体9bとにより形成され、シート状の被転写材Tを挟み込むと共に記録媒体である用紙Tを搬送する定着ニップFと、加熱回転体9aの外周面に形成され、用紙幅方向D2における最大長さの用紙Tが定着ニップFに搬送される場合における用紙Tが載置される領域である加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)と、加熱回転体9aの外周面に沿って配置される誘導コイル71と、磁路を形成する磁性体コア部72であって、誘導コイル71における線材の部分を挟んで加熱回転体9aの外周面に対向する1又は複数のアーチコア74と、磁路の周回方向において1又は複数のアーチコア74と並んで誘導コイル71の内周縁の近傍に配置され、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転体9aの外周面に対向する面を有すると共に、用紙幅方向D2において最大長さの用紙Tよりも長く、最大領域外縁対応位置731eから直交方向D2の外側に突出する突出部734を有して形成されるセンターコア73と、突出部734における最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2における外側に延びるように配置されると共に、突出部734の外周面における全部又は一部を覆うように配置されて磁束を低減させ又は遮蔽する第1磁束遮蔽部材77と、を有する磁性体コア部72と、を備える。
そのため、センターコア73の突出部734の外周面の全部を覆うことにより、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)に対応する最大通紙領域対応領域731よりも外側において磁束を低減させ又は遮蔽することができる。これにより、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)よりも外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇されることを抑制することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、磁性体コア部72は、用紙幅方向D2において第1磁束遮蔽部材77と並んで最大領域外縁対応位置731eから用紙幅方向D2における内側に延びるように配置されると共に、センターコア73における最大通紙領域対応領域731においてセンターコア73の外周面における一部を覆うように配置されて磁束を低減させ又は遮蔽する第2磁束遮蔽部材78を有しており、センターコア73は、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転体9aの外周面に対向して磁束を低減させ又は遮蔽する遮蔽位置と、第2磁束遮蔽部材78が加熱回転体9aの外周面に対向せずに磁束を低減せず又は遮蔽しない非遮蔽位置とに配置可能に、用紙幅方向D2と平行なセンターコア回転軸J4を中心に第2磁束遮蔽部材78と一体的に回転可能に構成される。
そのため、加熱回転体9aの加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)においては、センターコア73及び第2磁束遮蔽部材78が回転することにより、用紙Tのサイズに対応して適正な温度になるように調整することができる。更に、第1磁束遮蔽部材77は、加熱回転体9aの加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)よりも外側の領域において磁束を低減させ又は遮蔽する。これにより、用紙Tの各サイズに対応して適正な温度になるように調整しつつ、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)よりも外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、第1磁束遮蔽部材77は、用紙幅方向D2において第2磁束遮蔽部材78と連続して配置される。そのため、用紙幅方向D2において第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とを隙間のない状態で配置することができる。これにより、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とで覆われる連続した領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。従って、用紙Tの各サイズに対応して、用紙幅方向D2における各サイズの用紙Tの通紙領域の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、別部材である。そのため、第2磁束遮蔽部材78を最大通紙領域対応領域731に位置決めして配置した後に、第1磁束遮蔽部材77を最大通紙領域対応領域731の外側の領域(最大非通紙領域対応領域733)において、センターコア73の外周面を覆うように配置することができる。これにより、第1磁束遮蔽部材77を配置する簡易な構成により、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)よりも用紙幅方向D2の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、金属部材により形成されており、用紙幅方向D2において精度よく形成される。そのため、用紙Tの各サイズに応じた領域を精度よく覆うことができる。従って、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とで覆われる連続した領域である用紙Tの各サイズに対応した通紙領域の外側の領域において、加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、第1磁束遮蔽部材77は、突出部734を挿入可能な中空部771を有し、突出部734に中空部771を挿入させることで突出部734の外周面を覆うように配置される。そのため、第1磁束遮蔽部材77の中空部771に突出部734を挿入するだけで、突出部734の外周面を容易に覆うことができる。従って、第1磁束遮蔽部材77を取り付けるための組み立て性が良好である。特に、本実施形態のように第1磁束遮蔽部材77を円筒状に形成することにより、簡易な構成で突出部734の外周面を覆うことができる。これにより、加熱回転体9aにおける加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域(最大非通紙領域対応領域733)において、簡易な構成で加熱回転体9aの温度が過度に上昇することを抑制することができる。
また、熱容量の小さい加熱回転ベルト93を電磁誘導加熱(IH)により発熱させる構成とすることができる。これにより、定着装置9は、ウォームアップ時間の短縮(急速な加熱)が可能となる。
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態における第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成を示す断面図である。図11は、第2実施形態における第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成を示す斜視図である。
第2実施形態においては、第1磁束遮蔽部材77が係合部775を有する点及び第2磁束遮蔽部材78が被係合部785を有する点において、第1実施形態における定着装置9とは異なる。
図10及び図11に示すように、第2実施形態における第1磁束遮蔽部材77は、2つの係合部775、775を有する。2つの係合部775、775それぞれは、第1磁束遮蔽部材77における内縁770Aの端面において用紙幅方向D2の外側に窪む凹状に形成される。2つの係合部775、775それぞれは、センターコア73の周方向に沿う方向において互いに離間して配置される。
また、第2実施形態における第2磁束遮蔽部材78は、第1磁束遮蔽部材77における2つの係合部775、775それぞれに係合される2つの被係合部778、778を有する。2つの被係合部778、778は、遮蔽板781における外縁781Aの端面において用紙幅方向D2の外側に突出する凸状に形成される。2つの被係合部778、778それぞれは、センターコア73の周方向に沿う方向において互いに離間して配置される。
第1磁束遮蔽部材77は、2つの係合部775、775それぞれを対応する2つの被係合部778、778それぞれに係合することで第2磁束遮蔽部材78に取り付けられる。これにより、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、用紙幅方向D2に隙間なく連続して配置される。
第1磁束遮蔽部材77は、2つの係合部775、775それぞれが2つの被係合部778、778それぞれに係合するため、第2磁束遮蔽部材78に対して相対的に回転しない。
次に、第2実施形態における第1磁束遮蔽部材77をセンターコア73に装着する手順ついて説明する。
図11に示すように、作業者は、センターコア73の外周面に第2磁束遮蔽部材78を取り付けた状態で、第1磁束遮蔽部材77を第2磁束遮蔽部材78に連結させる。
ここで、第1磁束遮蔽部材77の係合部775、775は、第2磁束遮蔽部材78の被係合部778、778に係合可能に構成される。従って、第1磁束遮蔽部材77の係合部775、775を第2磁束遮蔽部材78の被係合部785、785に係合させるだけで、センターコア73の突出部734の外周面を覆うように第1磁束遮蔽部材77を容易に配置させることができる。
また、第1磁束遮蔽部材77の係合部775、775を第2磁束遮蔽部材78の被係合部785、785に係合させるだけで、接着剤を用いずに第1磁束遮蔽部材77を第2磁束遮蔽部材78に取り付けることが可能である。そのため、組み立て性が良好である。接着剤を用いずに第1磁束遮蔽部材77を第2磁束遮蔽部材78に取り付ける構成としては、例えば、係合部775、775を被係合部785、785に圧入することにより係合する構成等がある。
また、第2磁束遮蔽部材78の用紙幅方向D2おける長さの精度が高いため、第1磁束遮蔽部材77の係合部775、775を第2磁束遮蔽部材78の被係合部785、785に係合させるだけで、第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aは、第2磁束遮蔽部材78の外縁781Aにより用紙幅方向D2において位置決めされる。そのため、第1磁束遮蔽部材77は、用紙幅方向D2において第2磁束遮蔽部材78に連続して隙間なく配置される。更に、第1磁束遮蔽部材77は、センターコア73の用紙幅方向D2の長さをセンターコア73のバラツキを考慮して設定することで、用紙幅方向D2の全域においてセンターコア73の突出部734の外周面を確実に覆うように配置される。
第2実施形態のプリンタ1によれば、第1実施形態で示した効果の他に、次のような効果が奏される。
第2実施形態のプリンタ1においては、第1磁束遮蔽部材77は、係合部775を有し、第2磁束遮蔽部材78は、係合部775に係合される被係合部778を有し、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、係合部775が被係合部778に係合することで連続して配置される。
そのため、第1磁束遮蔽部材77の係合部775を第2磁束遮蔽部材78の被係合部785に係合させるだけで、第1磁束遮蔽部材77を第2磁束遮蔽部材78に容易に取り付けることができる。
また、第1磁束遮蔽部材77の係合部775、775を第2磁束遮蔽部材78の被係合部785、785に係合させるだけで、第1磁束遮蔽部材77の内縁770Aは、第2磁束遮蔽部材78の外縁781Aにより用紙幅方向D2において位置決めされる。そのため、センターコア73の用紙幅方向D2の長さをセンターコア73のバラツキを考慮して設定することで、第1磁束遮蔽部材77をセンターコア73の突出部734の外周面を用紙幅方向Dにおいて確実に覆うように配置することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12は、第3実施形態における第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78に関連する構成を示す断面図である。
第3実施形態においては、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とが一体的な1つの部材により構成される点において、第1実施形態における定着装置9とは異なる。
図12に示すように、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、一体的な1つの一体磁束遮蔽部材76で構成される。つまり、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78は、一体的に成形される。第3実施形態における一体磁束遮蔽部材76は、最大領域外縁対応位置731eにおいて第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とが連続している。
そのため、一体磁束遮蔽部材76は、加熱回転体9aにおける加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の内側の領域において用紙Tの各サイズに応じて用紙Tの通紙領域の外側における磁束を低減させ又は遮蔽することができると共に、加熱回転体9aにおける加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域(最大非通紙領域903)において突出部734の外周面を覆うことにより磁束を低減させ又は遮蔽することができる。
また、一体磁束遮蔽部材76は、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とが別部材として構成される場合と比べて、2つの部材をセンターコア73に取り付ける必要がないため、組み立て性を向上させることができる。また、一体磁束遮蔽部材76として構成することにより、2つの部材で構成される場合と比べて、部品点数を低減することができる。
第3実施形態のプリンタ1によれば、第1実施形態で示した効果の他に、次のような効果が奏される。
第2実施形態のプリンタ1においては、第1磁束遮蔽部材77と第2磁束遮蔽部材78とは、一体的な1つの一体磁束遮蔽部材76である。そのため、1つの一体磁束遮蔽部材76をセンターコア73に取り付けることにより、第1磁束遮蔽部材77及び第2磁束遮蔽部材78を同時に取り付けることができる。そのため、組み立て性が向上する。また、部品点数を低減することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、加熱回転体9aを、加熱側ローラ91と、定着側ローラ92と、加熱側ローラ91と定着側ローラ92とに掛け渡された加熱回転ベルト93と、により構成しているが、これに制限されない。例えば、加熱回転体9aを、筒状の加熱ローラにより構成してもよい。
また、前述の実施形態においては、センターコア73が円筒状に形成されているが、これに制限されない。例えば、センターコア73は、円柱状に形成されていてもよい。
また、前述の実施形態においては、サイドコア75が略直方体形状に形成されているが、これに制限されない。例えば、サイドコア75は、用紙幅方向D2に長い円筒形状又は円柱形状に形成されていてもよい。
また、前述の実施形態においては、第1磁束遮蔽部材77を中空部771を有する筒状に形成することにより、突出部734の外周面の全部を覆うように配置する構成としているが、これに制限されない。例えば、第1磁束遮蔽部材77を平面視において略方形状の板状に形成することにより、突出部734の外周面をその周方向の一部を覆うように配置する構成としてもよい。この場合には、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域において第1磁束遮蔽部材77が磁束を低減させ又は遮蔽するようにセンターコア73の回転角度を調整することで、加熱側最大通紙領域901a(最大通紙領域901)の外側の領域において、加熱回転体9の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、プリンタ以外に、コピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。