図1は、本発明に係る半導体装置の一実施形態を示すブロック図である。
まず、本実施形態の半導体装置10の概要について述べる。
図1に示す半導体装置10は、電流出力のアナログ照度センサICであり、例えば、液晶画面の輝度調整を行うための照度データを出力することができる。また、照度データに応じて、液晶ディスプレイやキーパッドの輝度を調整することによって、セットの低消費電力化や画面の視認性向上を実現することが可能となる。
次に、半導体装置10の特長について述べる。
第1の特長は、小型面実装パッケージ(3.0[mm]×1.6[mm])を採用している点である。第2の特長は、視感度に近い分光感度特性(ピーク感度波長:560[nm](typ.))を有する点である。第3の特長は、明るさに比例した電流出力を行う点である。第4の特長は、駆動電圧2.4〜5.5[V]の広範囲で動作可能な点である。第5の特長は、シャットダウン機能を内蔵している点である。第6の特長は、電流出力ゲインを3段階に制御可能な点である。第7の特長は、1.8[V]ロジック入力インターフェイスに対応している点である。第8の特長は、感度ばらつきが小さい(±15%)という点である。
なお、半導体装置10は、携帯電話、液晶テレビ、プラズマテレビ、ノートパソコン、携帯ゲーム機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーション、PDA[Personal Digital/Data Assistant]、液晶ディスプレイなどの電子機器に搭載され、周囲の照度を検出する手段として好適に用いることができる。
上記の特徴を有する本実施形態の半導体装置10は、図1に示す通り、受光部11と、電流増幅部12と、ロジック部13と、を集積化して成る。
受光部11は、視感度に近い分光感度特性を示す受光手段であり、本実施形態では、複数のフォトダイオードを有して成る。
電流増幅部12は、受光部11で得られた光電流を増幅して出力信号を生成する手段であり、ロジック部13の制御に応じて、そのゲインを3段階(H/M/L)に変更することが可能である。
ロジック部13は、GC1端子及びGC2端子の入力電圧に応じて、装置内部の動作モード(シャットダウンモード/Hゲインモード/Mゲインモード/Lゲインモード)を設定するための論理回路である。
また、本実施形態の半導体装置10は、外部との電気的接続を確立する手段として、6本の外部端子(1ピン〜6ピン)を有して成る。
図2は、外部端子のピン番号、端子名、入出力等価回路、及び、機能を示した対応表である。
IOUT端子(1ピン)は、明るさに応じた検出電流を出力する端子であり、GNDとの間に外付けの抵抗RLを接続して使用される(図1を参照)。なお、IOUT端子とVCC端子(3ピン)との間、及び、IOUT端子とGND端子(2ピン)との間には、それぞれ静電保護用ダイオードが接続されている。
GND端子(2ピン)は、GND端子である。
VCC端子(3ピン)は、電源電圧端子である。
NC端子(4ピン)は、通常時には用いられないノンコネクト端子であり、通常時にはオープン、若しくは、GNDと短絡しておくことが望ましい。
GC1端子(5ピン)及びGC2端子(6ピン)は、1.8[V]ロジックインターフェイスに対応したモード設定端子であり、各々の信号経路には、静電保護用抵抗が接続されている。また、GC1端子及びGC2端子とVCC端子との間、及び、GC1端子及びGC2端子とGND端子との間には、それぞれ静電保護用ダイオードが接続されている。
なお、半導体装置10は、図3に示す小型面実装パッケージ(3.0[mm]×1.6[mm])とされており、パッケージ上面の光学設計については、図4に示すように、パッケージ上面の中央部分に受光エリアX(0.25[mm]×0.3[mm])が設けられている。従って、少なくとも図4中の円形部分Yで示す範囲に光が当たるように、セット設計を行うことが望ましい。
図5は、上記構成から成る半導体装置10の電気的特性を示す表である。なお、図6に示す電気的特性は、特に指定のない限り、VCC=3[V]、周囲温度Ta=25[℃]での数値を示している。
次に、受光部11の構成及び動作について詳細に説明する。
図6は、受光部11の一構成例を示す回路図である。
図6に示す通り、本構成例の受光部11は、フォトダイオードPDv1、PDv2、PDv3と、フォトダイオードPDir1、PDir2、PDir3と、ダイオードD1、D2と、定電流源I1、I2と、を有して成る。
フォトダイオードPDv1、PDv2、PDv3のカソードは、いずれも電源電圧VCCの印加端に接続されている。フォトダイオードPDv1、PDv2、PDv3のアノードは、それぞれ、トランジスタQv1、Qv2、Qv3のエミッタに接続されている。トランジスタQv1、Qv2、Qv3のコレクタは、それぞれ、トランジスタQir1、Qir2、Qir3のコレクタに接続されている。トランジスタQir1、Qir2、Qir3のエミッタは、それぞれ、フォトダイオードPDir1、PDir2、PDir3のカソードに接続されている。フォトダイオードPDir1、PDir2、PDir3のアノードは、いずれも接地端に接続されている。ダイオードD1のアノードは、電源電圧VCCの印加端に接続されている。ダイオードD1のカソードは、トランジスタQv1、Qv2、Qv3のベースに接続される一方、定電流源I1を介して接地端にも接続されている。ダイオードD2のカソードは、接地端に接続されている。ダイオードD2のアノードは、トランジスタQir1、Qir2、Qir3のベースに接続される一方、定電流源I2を介して電源電圧VCCの印加端にも接続されている。
フォトダイオードPDv1、PDv2、PDv3はいずれも、P型不純物拡散層(L/I層)と、その下層に形成されたN型不純物拡散層(B/L層)とのPN接合から成り、そのピーク感度波長λp1は、約600[nm]に設計されている。このように、半導体チップの浅い領域でPN接合を形成することにより、可視光領域にピーク感度波長λp1を有する光電変換素子を形成することができる。
図7は、単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで生成される光電流の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
一方、フォトダイオードPDir1、PDir2、PDir3はいずれも、N型不純物拡散層(B/L層)と、P型基板(Psub)とのPN接合から成り、そのピーク感度波長λp2は、約860[nm]に設計されている。このように、半導体チップの深い領域でPN接合を形成することにより、赤外光領域にピーク感度波長λp2を有する光電変換素子を形成することができる。
図8は、単位面積の赤外光検出用フォトダイオードPDirで生成される光電流の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
上記構成から成る受光部11において、トランジスタQv1のコレクタとトランジスタQir1のコレクタとの接続ノードからは、フォトダイオードPDv1で生成される光電流iv1からフォトダイオードPDir1で生成される光電流iir1を差し引いた差分電流ia1が引き出される。
すなわち、上記構成から成る受光部11では、可視光検出用のフォトダイオードPDv1と赤外光検出用のフォトダイオードPDir1とを直列に接続することにより、各々生成される光電流iv1、iir1の差分演算を行う第1受光ユニットが形成されている。
なお、フォトダイオードPDv1、PDir1は、図9で示す通り、互いの受光面積比が第1の比率(図9の例では、PDv1:PDir1=25.6:11.7)となるように、チップ上面に配置されている。
図10は、光電流iv1、光電流iir1、及び、差分電流ia1の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
また、上記構成から成る受光部11において、トランジスタQv2のコレクタとトランジスタQir2のコレクタとの接続ノードからは、フォトダイオードPDv2で生成される光電流iv2からフォトダイオードPDir2で生成される光電流iir2を差し引いた差分電流ia2が引き出される。
すなわち、上記構成から成る受光部11では、可視光検出用のフォトダイオードPDv2と赤外光検出用のフォトダイオードPDir2とを直列に接続することにより、各々生成される光電流iv2、iir2の差分演算を行う第2受光ユニットが形成されている。
なお、フォトダイオードPDv2、PDir2は、図9で示す通り、互いの受光面積比が第2の比率(図9の例では、PDv2:PDir2=25.6:4.5)となるようにチップ上面に配置されている。このように、第2受光ユニットでは、第1受光ユニットに比べて、可視光成分から赤外光成分を差し引く際の減算比率が低減されている。
図11は、光電流iv2、光電流iir2、及び、差分電流ia2の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
また、上記構成から成る受光部11において、トランジスタQv3のコレクタとトランジスタQir3のコレクタとの接続ノードからは、フォトダイオードPDv3で生成される光電流iv3からフォトダイオードPDir3で生成される光電流iir3を差し引いた差分電流ia3が引き出される。
すなわち、上記構成から成る受光部11では、可視光検出用のフォトダイオードPDv3と赤外光検出用のフォトダイオードPDir3とを直列に接続することにより、各々生成される光電流iv3、iir3の差分演算を行う第3受光ユニットが形成されている。
なお、フォトダイオードPDv3、PDir3は、図9で示す通り、互いの受光面積比が第3の比率(図9の例では、PDv2:PDir2=30.5:1.7)となるようにチップ上面に配置されている。このように、第3受光ユニットでは、第2受光ユニットに比べて、可視光成分から赤外光成分を差し引く際の減算比率がさらに低減されている。
図12は、光電流iv3、光電流iir3、及び、差分電流ia3の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
受光部11で得られた差分電流ia1、ia2、ia3は、次段の電流増幅部12で合算して増幅され、光源の明るさに応じた検出電流としてIOUT端子から出力される。
上記したように、本実施形態の半導体装置10は、可視光検出用のフォトダイオードPDv1〜PDv3で各々生成される光電流iv1〜iv3と、赤外光検出用のフォトダイオードPDir1〜PDir3で各々生成される光電流iir1〜iir3との差分演算を行う受光ユニットを複数具備し、各々の差分演算結果(差分電流ia1、ia2、ia3)を合算して出力信号を生成する構成であって、上記複数の受光ユニットは、互いに異なる比率で、光電流の差分演算を行う構成とされている。
このような構成とすることにより、例えば、赤外光成分を多く含む光を照射するハロゲンランプを光源として用いた場合、第1受光ユニットでは、可視光成分から赤外光成分を差し引いた差分演算結果がマイナスとなって、差分電流ia1がゼロとなってしまうが、赤外光成分の減算比率を第1受光ユニットよりも低減した第2受光ユニットや第3受光ユニットでは、差分演算結果がマイナスとならず、差分電流ia2、ia3が何らかの電流値を持って出力される。また、さらに多くの赤外光成分を含む光を照射する白熱灯を光源として用いた場合、第2受光ユニットの差分電流ia2もゼロとなってしまうが、赤外光成分の減算比率を最も低減した第3受光ユニットの差分演算結果はマイナスとならず、差分電流ia3が何らかの電流値を持って出力される。一方、赤外光成分をあまり含まない光を照射する蛍光灯や白色LEDを光源として用いた場合には、第1〜第3受光ユニットでの差分演算結果がいずれもプラスとなり、全ての差分電流ia1〜ia3が何らかの電流値を持って出力される。
すなわち、差分電流ia1〜ia3の合計電流(ia1+ia2+ia3)に着目した場合、本実施形態の半導体装置10は、光源の種類に応じて赤外光成分の減算比率を自動的に切り替えているように動作する。
従って、本実施形態の半導体装置10であれば、第1〜第3受光ユニットの差分演算比率(本実施形態の例に即して言えば、フォトダイオードPDv1〜PDv3とフォトダイオードPDir1〜PDir3との受光面積比率)を適宜調整しておくことにより、光源の種類に依らず、一定の照度に対して一定の出力を行うことが可能となる。
図13は、差分電流ia1、ia2、ia3の合計電流(ia1+ia2+ia3)の大きさを示す図であり、上から順に、蛍光灯、白熱灯、ハロゲンランプ、白色LEDを光源としたときの電流値(蛍光灯を光源としたときに単位面積の可視光検出用フォトダイオードPDvで得られる光電流を1とした比率)が示されている。
図13に示すように、本実施形態の半導体装置10では、光源の種類に依らず、一定の照度に対して一定の出力が行われる。
なお、本実施形態の半導体装置10において、フォトダイオードPDv1〜PDv3、及び、フォトダイオードPDir1〜PDir3は、第1〜第3受光ユニット毎に、互いの受光面積比が異なる値とされている。このような構成とすることにより、第1〜第3受光ユニットの差分演算比率を容易に調整することができる。
また、本実施形態の半導体装置10において、フォトダイオードPDv1〜PDv3、及び、フォトダイオードPDir1〜PDir3は、第1〜第3受光ユニット毎の光学特性(指向性など)が同一となるように、チップの上面に配置されている(先出の図9を参照)。特に、一部のフォトダイオード(図9の例に即して言えば、面積比の大きいフォトダイオードPDv1、PDir1、PDv2、PDv3)は、第1〜第3受光ユニット毎の光学特性(指向性など)が同一となるように、チップ上面の異なる位置に分割して配置されている。このような構成であれば、半導体装置10に対していずれの方向から光が入射された場合であっても、正確な照度測定を行うことが可能となる。
また、本実施形態の半導体装置10において、受光部11は、フォトダイオードPDv1〜PDv3の両端電位差を一定に維持する第1バイアス回路(ダイオードD1、トランジスタQv1〜Qv3、及び、定電流源I1)と、フォトダイオードPDir1〜PDir3の両端電位差を一定に維持する第2バイアス回路(ダイオードD2、トランジスタQir1〜Qir3、及び、定電流源I2)と、を有して成る。このような構成であれば、フォトダイオードPDv1〜PDv3、及び、フォトダイオードPDir1〜PDir3の両端電位差をほぼゼロ値(ダイオードD1(D2)の順方向降下電圧とトランジスタQv1〜Qv3(Qir1〜Qir3)のベース・エミッタ間電圧との差分値)に維持することができるので、半導体装置10が高温になっても、フォトダイオードPDv1〜PDv3、及び、フォトダイオードPDir1〜PDir3のリーク電流を低減することが可能となる。
次に、電流増幅部12の構成及び動作について詳細に説明する。
図14は、電流増幅部12の一構成例を示す回路図である。
図14に示すように、本構成例の電流増幅部12は、電流増幅段AMP1〜AMP4を有して成る。
電流増幅段AMP1は、受光部11から入力される差分電流ia1、ia2、ia3を各々増幅し、これを合算して増幅電流ibを生成する手段であり、npn型バイポーラトランジスタQ11〜Q16を有して成る。
トランジスタQ11のコレクタは、差分電流ia1の入力端に接続されている。トランジスタQ11、Q12のベースは、いずれもトランジスタQ11のコレクタに接続されている。トランジスタQ11、Q12のエミッタは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタQ11、Q12のエミッタ面積比は、1:16とされている。すなわち、トランジスタQ11、Q12により、差分電流ia1を16倍に増幅して出力するカレントミラーアンプが形成されている。
トランジスタQ13のコレクタは、差分電流ia2の入力端に接続されている。トランジスタQ13、Q14のベースは、いずれもトランジスタQ13のコレクタに接続されている。トランジスタQ13、Q14のエミッタは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタQ13、Q14のエミッタ面積比は、1:16とされている。すなわち、トランジスタQ13、Q14により、差分電流ia2を16倍に増幅して出力するカレントミラーアンプが形成されている。
トランジスタQ15のコレクタは、差分電流ia3の入力端に接続されている。トランジスタQ15、Q16のベースは、いずれもトランジスタQ15のコレクタに接続されている。トランジスタQ15、Q16のエミッタは、いずれも接地端に接続されている。、トランジスタQ15、Q16のエミッタ面積比は、1:16とされている。すなわち、トランジスタQ15、Q16により、差分電流ia3を16倍に増幅して出力するカレントミラーアンプが形成されている。
なお、トランジスタQ12、Q14、Q16のコレクタは、いずれも増幅電流ibの出力端に接続されている。従って、増幅電流ibは、上記3系統のカレントミラーアンプで各々得られるミラー電流の合計値(=(ia1+ia2+ia3)×16)となる。
電流増幅段AMP2は、電流増幅段AMP1から入力される増幅電流ibをさらに増幅して増幅電流icを生成する手段であり、pnp型バイポーラトランジスタQ21〜Q23と、スイッチS21、S22と、を有して成る。
トランジスタQ21のコレクタは、増幅電流ibの入力端(電流増幅段AMP1の出力端)に接続されている。トランジスタQ21、Q22のエミッタは、いずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ23のエミッタは、スイッチS22を介して電源ラインに接続されている。トランジスタQ21、Q22、Q23のベースは、いずれもトランジスタQ21のコレクタに接続される一方、スイッチS21を介して電源ラインにも接続されている。トランジスタQ22、Q23のコレクタは、いずれも増幅電流icの出力端に接続されている。トランジスタQ21、Q22、Q23のエミッタ面積比は、1:1:9とされている。すなわち、トランジスタQ21、Q22、Q23により、増幅電流ibを1倍或いは10倍に増幅して出力するカレントミラーアンプが形成されている。
電流増幅段AMP3は、電流増幅段AMP2から入力される増幅電流icをさらに増幅して増幅電流idを生成する手段であり、npn型バイポーラトランジスタQ31〜Q34と、スイッチS31、S32と、を有して成る。
トランジスタQ31、Q33のコレクタは、増幅電流icの入力端(電流増幅段AMP2の出力端)に接続されている。トランジスタQ31、Q32のエミッタは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタQ33のエミッタは、スイッチS31を介して接地端に接続されている。トランジスタQ31、Q32、Q33のベースは、いずれもトランジスタQ31のコレクタに接続される一方、スイッチS32を介して接地端にも接続されている。トランジスタQ32のコレクタは、増幅電流idの出力端に接続されている。トランジスタQ34のコレクタは、切替制御回路SWの増幅電流検出端に接続されている。トランジスタQ34のエミッタは、接地端に接続されている。トランジスタQ34のベースは、トランジスタQ31のベースに接続される一方、トランジスタQ34のコレクタにも接続されている。トランジスタQ33、Q31、Q32のエミッタ面積比は、9:1:α(ただし、α=12.25〜28であり、デフォルトでは、α=17.5)とされている。すなわち、トランジスタQ31、Q32、Q33により、増幅電流icをα倍或いはα/10倍に増幅して出力するカレントミラーアンプが形成されている。
電流増幅段AMP4は、電流増幅段AMP3から入力される増幅電流idをさらに増幅して増幅電流ieを生成する手段であり、pnp型バイポーラトランジスタQ41、Q42と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタQ43、Q44と、スイッチS41〜S44と、を有して成る。
トランジスタQ41のコレクタは、スイッチS41を介して増幅電流idの入力端(電流増幅段AMP3の出力端)に接続されている。トランジスタQ41、Q42のエミッタは、いずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ41、Q42のベースは、いずれもトランジスタQ41のコレクタに接続される一方、スイッチS42を介して電源ラインにも接続されている。トランジスタQ41、Q42のエミッタ面積比は、1:23とされている。すなわち、トランジスタQ41、Q42により、増幅電流idを23倍に増幅して出力する第1カレントミラーアンプが形成されている。
トランジスタQ43のドレインは、スイッチS43を介して増幅電流idの入力端(電流増幅段AMP3の出力端)に接続されている。トランジスタQ43、Q44のソースはいずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ43、Q44のゲートは、いずれもトランジスタQ43のドレインに接続される一方、スイッチS44を介して電源ラインにも接続されている。トランジスタQ43、Q44のソース面積比は、1:23とされている。すなわち、トランジスタQ43、Q44により、増幅電流idを23倍に増幅して出力する第2カレントミラーアンプが形成されている。
なお、トランジスタQ42のコレクタとトランジスタQ44のドレインは、いずれもIOUT端子に接続されている。従って、半導体装置10の検出電流(増幅電流ie)は、上記した第1、第2カレントミラーアンプで各々得られるミラー電流の合計値となる。
次に、上記構成から成る電流増幅部12のゲイン切替について詳細に説明する。
ロジック部13は、GC1端子及びGC2端子から、レベルシフタ回路LSを介して入力される2ビットのゲインコントロール信号に基づいて、電流増幅部12の動作モードを4通りに可変制御する機能を備えている。
図15は、GC1端子及びGC2端子を用いたモード設定の論理値表である。
GC1端子及びGC2端子の入力電圧がいずれもローレベルであるときには、半導体装置10がシャットダウンモードとなる。シャットダウンモードでは、スイッチS21、S32、S42、S44がオン状態とされ、電流増幅段AMP2〜AMP4のゲインがゼロとなるので、電流増幅部12のトータルゲインもゼロとなる。ただし、シャットダウンモード時であっても、電流増幅段AMP1のゲインは16倍に固定されている。このような構成であれば、シャットダウンモードからの起動時間(ウェイクアップタイム)を短縮することが可能となる。ただし、シャットダウンモード時の消費電流低減を優先するのであれば、電流増幅段AMP1のゲインを低減しても構わない。
GC2端子の入力電圧がローレベルで、GC1端子の入力電圧がハイレベルであるときには、半導体装置10がHゲインモードとなる。Hゲインモードでは、スイッチS22がオン状態とされて、電流増幅段AMP2のゲインが10倍に設定される。また、スイッチS31がオフ状態とされて、電流増幅段AMP3のゲインが17.5倍(デフォルト)に設定される。従って、電流増幅部12のトータルゲインは、64400倍となる。
GC2端子の入力電圧がハイレベルで、GC1端子の入力電圧がローレベルであるときには、半導体装置10がMゲインモードとなる。Mゲインモードでは、スイッチS22がオフ状態とされて、電流増幅段AMP2のゲインが1倍に設定される。また、スイッチS31がオフ状態とされて、電流増幅段AMP3のゲインが17.5倍(デフォルト)に設定される。従って、電流増幅部12のトータルゲインは、6440倍となる。
GC1端子及びGC2端子の入力電圧がいずれもハイレベルであるときには、半導体装置10がLゲインモードとなる。Lゲインモードでは、スイッチS22がオフ状態とされて、電流増幅段AMP2のゲインが1倍に設定される。また、スイッチS31がオン状態とされて、電流増幅段AMP3のゲインが1.75倍(デフォルト)に設定される。従って、電流増幅部12のトータルゲインは、644倍となる。
このように、GC1端子及びGC2端子を用いて、3段階のゲイン切替制御を行うことにより、低照度から高照度まで幅広い入力ダイナミックレンジで、線形性の高い検出動作を行うことが可能となる。
図16は、電流増幅段AMP3の一変形例を示す回路図である。
本変形例の電流増幅段AMP3は、先出のトランジスタQ31、Q32、Q33のほかに、npn型バイポーラトランジスタQ35と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN31〜N34と、スイッチS33、S34と、を有して成る。
トランジスタQ31、Q32、Q35のエミッタはいずれも接地端に接続されている。トランジスタQ33のエミッタは、スイッチS33の共通端に接続されている。スイッチS33の第1選択端は、トランジスタQ33のベースに接続されている。スイッチS33の第2選択端は、接地端に接続されている。トランジスタQ31、Q32、Q33、Q35のベースは、いずれもトランジスタQ35のコレクタに接続されている。トランジスタQ31のコレクタは、トランジスタN31のソースに接続されている。トランジスタQ32のコレクタは、トランジスタN33のソースに接続されている。トランジスタQ33のコレクタは、トランジスタN34のソースに接続されている。トランジスタQ35のコレクタは、トランジスタN32のソースに接続されている。トランジスタN31〜N34のゲートは、いずれもトランジスタN31のドレインに接続されている。トランジスタN31のドレインは、増幅電流icの入力端に接続されている。トランジスタN32のドレインは、電源ラインに接続されている。トランジスタN33のドレインは、増幅電流idの出力端に接続されている。トランジスタN34のドレインは、スイッチS34の共通端に接続されている。スイッチS34の第1選択端は、電源ラインに接続されている。スイッチS34の第2選択端は、トランジスタN31のドレインに接続されている。
上記構成から成る電流増幅段AMP3において、半導体装置10が先述のHゲインモード或いはMゲインモードであるときには、スイッチS33、S34の共通端と第1選択端が導通され、カレントミラーアンプのミラー比が8:β(ただし、β=98〜224であり、デフォルトでは、β=140)に設定される。このとき、トランジスタQ33のコレクタは、電流増幅段AMP3から回路的に切り離される。一方、半導体装置10が先述のLゲインモードであるときには、スイッチS33、S34の共通端と第2選択端が導通され、カレントミラーアンプのミラー比が80:βに設定される。
また、本変形例の電流増幅段AMP3では、カレントミラーアンプがカスコード接続とされているので、増幅電流idの電源電圧依存性を低減することが可能となる。
次に、レベルシフタ回路LSの構成及び動作について詳細に説明する。
図17は、レベルシフタ回路LSの一構成例を示す回路図である。
図17に示すように、本構成例のレベルシフタ回路LSは、GC1端子及びGC2端子に入力される2ビットのゲインコントロール信号のレベルシフトを行い、各々をロジック部13に正転出力する手段であり、インバータINV1〜INV4を有して成る。
インバータINV1は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1a、N1bと、抵抗R1と、を有して成る。インバータINV2は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP2と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN2と、を有して成る。
トランジスタP1のソースは、電源ラインに接続されている。トランジスタP1のドレインは、抵抗R1を介して、トランジスタN1aのドレインに接続されている。トランジスタN1aのソースは、トランジスタN1bのドレインに接続されている。トランジスタN1bのソースは、接地端に接続されている。トランジスタP1、N1a、N1bのゲートはいずれも、静電保護用抵抗Resd1を介して、GC1端子に接続されている。トランジスタP2のソースは、電源ラインに接続されている。トランジスタN2のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP2、N2のゲートは、いずれもトランジスタN1aのドレインに接続されている。トランジスタP2、N2のドレインは、いずれもゲインコントロール信号の正転出力端GC1Aとして、ロジック部13(不図示)の信号入力端に接続されている。
従って、GC1端子から静電保護用抵抗Resd1を介して入力されるゲインコントロール信号は、インバータINV1、INV2を介してレベルシフトされた後、正転出力端GC1Aからロジック部13に出力される。
インバータINV3、INV4についても、上記と同様の構成から成り、GC2端子から静電保護用抵抗Resd2を介して入力されるゲインコントロール信号は、インバータINV3、INV4を介してレベルシフトされた後、正転出力端GC2Aからロジック部13に出力される。
なお、半導体装置10では、GC1端子及びGC2端子に入力されるゲインコントロール信号のハイレベル電圧として1.8[V]が想定されており、電源電圧VCCの入力範囲としては、2.4〜3.6[V]が設定されている(先出の図5を参照)。
ここで、ゲインコントロール信号がハイレベルとされたときには、インバータINV1を形成するトランジスタP1をオフし、トランジスタN1a、N1bをオンすることで、次段のインバータINV2にローレベルの信号を伝達する必要がある。
しかしながら、電源電圧VCCとして3.6[V]が入力されている場合には、ゲインコントロール信号がハイレベル(1.8[V])とされたときでも、トランジスタP1のゲート・ソース間電圧が1.8[V]となるため、トランジスタP1を完全にオフすることができず、トランジスタP1、N1a、N1bを介して貫通電流が流れる形となる。
そこで、本構成例のレベルシフタ回路LSは、トランジスタP1のオン抵抗を高くするように素子設計(例えば、チャネル幅W/チャネル長L=3/300)を行うとともに、トランジスタP1のドレインとトランジスタN1aのドレインとの間に、電流制限用の抵抗R1を挿入した構成(抵抗型レベルシフタ)とされている。
このような構成とすることにより、トランジスタP1を完全にオフさせることができない場合でも、トランジスタP1、N1a、N1bを介して流れる貫通電流を低減し、次段のインバータINV2にローレベルの信号を伝達することが可能となる。
なお、トランジスタP1のオン抵抗については、ゲインコントロール信号のハイレベル電圧がさらに低下した場合や、電源電圧VCCがさらに上昇した場合でも、トランジスタP1のリーク電流を充分に低減し得るように、適切な素子設計を行うことが望ましい。
また、上記構成から成るレベルシフタ回路LSの論理反転スレッショルド電圧は、トランジスタN1a、N1bのオンスレッショルド電圧Vthで決まるが、この論理反転スレッショルド電圧は高い方がよい。そのため、トランジスタN1a、N1bとしては、よりオンスレッショルド電圧Vthの高い高耐圧素子(HV系)を用いることが望ましい。
次に、電流増幅段AMP3のゲイン微調整(トランジスタQ32のレーザリペアトリミング)について詳細に説明する。
図18は、トランジスタQ32の一構成例を示す回路図である。
図18に示すように、電流増幅段AMP3のカレントミラーアンプを形成するトランジスタQ32は、7つのnpn型バイポーラトランジスタQa、Qb、Qc、Qd、Qe、Qf、Qxと、6つのスイッチSa、Sb、Sc、Sd、Se、Sfと、を有して成る。
トランジスタQa〜Qf、Qxのコレクタは、いずれもトランジスタN33のソースに接続されている。トランジスタQa〜Qf、Qxのベースは、いずれもトランジスタQ31のベースに接続されている。トランジスタQa〜Qfのエミッタは、それぞれ、スイッチSa〜Sfを介して、接地端に接続されている。トランジスタQxのエミッタは、直接接地端に接続されている。トランジスタQa〜Qf、Qxのエミッタ面積比は、2:4:8:16:32:64:98とされている。
ヒューズ回路FSは、6ビットのヒューズ(不図示)がレーザリペアトリミングによって溶断されているか否かに応じて、スイッチSa〜Sfのオン/オフ制御を行い、延いては、トランジスタQ32のエミッタ面積の微調整を行う。なお、いずれのヒューズも溶断されていないデフォルト状態では、スイッチSa、Sc、Seがオンとされ、スイッチSb、Sd、Sfがオフとされる。従って、デフォルト状態におけるトランジスタQ31、Q32のエミッタ面積比は、8:140(=1:17.5)となる。
また、電流増幅段AMP3の入力端には、ゲイン調整の評価に際して試験電流を流すためのパッドT1が設けられている。すなわち、電流増幅段AMP3のゲイン調整を行う際には、まず、パッドT1から試験電流を与えて、IOUT端子に現れる出力電流をモニタして目標値からのずれを測定し、そのずれを最小限とするように、ヒューズ回路FSのレーザリペアトリミングを行えばよい。
上記したように、本実施形態の半導体装置10であれば、電流増幅段AMP3のゲインをレーザリペアトリミングによって微調整することができるので、照度に対する感度ばらつきを大幅に低減(素子:±20%→±2%、トータル:±35%→±15%)することが可能となる。
なお、パッドT1は、半導体装置10のパッケージング後には、装置外部に現れない内部パッドであり、ウェハレベル(未パッケージ段階)でのゲイン調整時のみ用いられる。このような構成とすることにより、半導体装置10の完成品については、不要なピン数の増大を招かずに済む。
また、本構成例では、スイッチSa〜Sfのオン/オフ制御に用いる6ビット信号の保持機構として、ヒューズ回路FSを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、不揮発性メモリを用いても構わない。
次に、電流増幅段AMP4におけるカレントミラーアンプの切替制御について、先出の図14を参照しながら、詳細に説明する。
先述した通り、電流増幅段AMP4は、pnp型バイポーラトランジスタQ41、Q42で形成された第1カレントミラーアンプと、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタQ43、Q44で形成された第2カレントミラーアンプと、を並列に具備して成り、切替制御回路SWは、電流増幅段AMP4に入力される増幅電流id(図14の例に即して言えば、増幅電流idと同等の挙動を示すモニタ電流im)を監視し、その電流値に応じて第1、第2カレントミラーアンプの切替制御を行う構成とされている。
なお、本実施形態の半導体装置10において、切替制御回路SWは、モニタ電流imの電流値に応じた比率で、電流増幅段AMP4に入力される増幅電流idを第1、第2カレントミラーアンプに分配供給することにより、第1、第2カレントミラーアンプの切替制御を行う構成とされている。より具体的に述べると、切替制御回路SWは、モニタ電流imの電流値が小さければ、入力電流が比較的小さい領域で出力電流の線形性が高くなる第1カレントミラーアンプに対して、より多くの増幅電流idを分配供給し、逆に、モニタ電流imの電流値が大きければ、入力電流が比較的大きい領域で出力電流の線形性が高くなる第2カレントミラーアンプに対して、より多くの増幅電流idを分配供給する。
このような構成とすることにより、電流増幅段AMP4全体として見れば、そのゲイン(カレントミラーアンプのミラー比)を常に所望値に維持することができるので、幅広い照度範囲で出力信号の線形性を良好に維持することが可能となる。
特に、切替制御回路SWは、図19に示すように、第1、第2カレントミラーアンプの切替制御に際して、各々に分配供給する入力電流を相補的に、かつ、緩やかに増減させる構成とされている。このような構成とすることにより、カレントミラーアンプの切替制御に伴うノイズの発生を防止することが可能となる。
ただし、第1、第2カレントミラーアンプの切替制御に関しては、上記の手法に限定されるものではなく、モニタ電流imの電流値が所定の閾値に達しているか否かに応じて、ロジック的に増幅電流idの供給経路を切り替える構成としても構わない。
次に、半導体装置10の出力飽和リミッタ機能について説明する。
図20Aは、出力飽和リミッタ回路の一構成例を示す回路図である。
図20Aに示す通り、本実施形態の電流増幅部12は、IOUT端子と電流増幅段AMP2の入力端(増幅電流ibの入力端)との間に、出力飽和リミッタ回路LMを有して成る。出力飽和リミッタ回路LMは、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP51と、抵抗R51と、を有して成る。トランジスタP51のソースは、抵抗R51を介してIOUT端子に接続されている。トランジスタP51のドレイン及びゲートは、いずれも電流増幅段AMP2の入力端(増幅電流ibの入力端)に接続されている。
上記構成から成る電流増幅部12において、増幅電流ieが過大となり、A点電圧VAがB点電圧VBよりも所定値(トランジスタP51のゲート・ソース間降下電圧Vgs+抵抗R51の降下電圧)だけ高くなると、出力飽和リミッタ回路LMを介して、IOUT端子から電流増幅段AMP2の入力端に電流が流れ込む。すなわち、増幅電流ibは、電流増幅段AMP2の入力端とIOUT端子の双方から引き込まれる形となるので、電流増幅段AMP2に入力される増幅電流ibの分配量が減少する。その結果、電流増幅段AMP2、AMP3で各々生成される増幅電流ic、idがいずれも減少するので、電流増幅段AMP4で生成される増幅電流ieが減少する。このような帰還が掛かることにより、トランジスタQ42のコレクタ電圧は、所定の上限値にリミットされるので、トランジスタQ42が飽和に至ることはなく、出力飽和時の不要な電流増加(電源ラインからチップ基板に流れるリーク電流)を防止することが可能となる。
なお、出力飽和リミッタ回路LMは、図20Bで示すように、IOUT端子と電流増幅段AMP4の入力端(増幅電流idの入力端)との間に挿入しても構わない。このような構成とすることにより、出力の発振を招きにくくなるので、安定した電流増幅を行うことが可能となる。ただし、出力飽和リミッタ回路LMに流れる電流を極力小さく抑えるためには、上記のように、IOUT端子と電流増幅段AMP2の入力端(増幅電流ibの入力端)との間に、出力飽和リミッタ回路LMを挿入する方が望ましい。また、出力飽和リミッタ回路LMを形成するトランジスタとしては、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP51に代えて、pnp型バイポーラトランジスタを用いても構わない。また、出力飽和時の不要な電流増加防止よりも、出力の発振回避を優先するのであれば、図20Cで示すように、出力飽和リミッタ回路LMを取り除いても構わない。
次に、検出電流の電源電圧依存性を改善するための技術について、詳細に説明する。
半導体装置10の電源入力範囲は、2.4〜5.5[V]と広く設定されているため、IOUT端子から出力される検出電流(増幅電流ie)については、その電源電圧依存性をできる限り小さく抑えることが望ましい。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、電流増幅部12を形成する電流増幅段AMP1〜AMP4のカレントミラーアンプをいずれもカスコード接続としている。
なお、先出の図20A〜図20Cでは、電流増幅段AMP2、AMP3、AMP4のカレントミラーアンプを各々カスコード接続とした回路例が示されている。
電流増幅段AMP2は、トランジスタQ21、Q22のほかに、pnp型バイポーラトランジスタQ24と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP21〜P23とを有して成る。トランジスタQ21、Q22、Q24のエミッタは、いずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ21、Q22、Q24のベースは、いずれもトランジスタQ24のコレクタに接続されている。トランジスタQ21のコレクタは、トランジスタP21のソースに接続されている。トランジスタQ22のコレクタは、トランジスタP23のソースに接続されている。トランジスタQ24のコレクタは、トランジスタP22のソースに接続されている。トランジスタP21〜P23のゲートは、いずれもトランジスタP21のドレインに接続されている。トランジスタP21のドレインは、増幅電流ibの入力端に接続されている。トランジスタP22のドレインは、接地端に接続されている。トランジスタP23のドレインは、増幅電流icの出力端に接続されている。
電流増幅段AMP3は、トランジスタQ31、Q32のほかに、npn型バイポーラトランジスタQ35と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN31〜N33とを有して成る。なお、各素子の接続関係については、先出の図16でも述べた通りであるため、重複した説明は割愛する。また、図示されていない電流増幅段AMP1の各カレントミラーアンプについても、電流増幅段AMP3と同様の構成とすればよい。
電流増幅段AMP4の第1カレントミラーアンプは、トランジスタQ41、Q42のほかに、pnp型バイポーラトランジスタQ45と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP41〜P43と、を有して成る。トランジスタQ41、Q42、Q45のエミッタは、いずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ41、Q42、Q45のベースは、いずれもトランジスタQ45のコレクタに接続されている。トランジスタQ41のコレクタは、トランジスタP41のソースに接続されている。トランジスタQ42のコレクタは、トランジスタP43のソースに接続されている。トランジスタQ45のコレクタは、トランジスタP42のソースに接続されている。トランジスタP41〜P43のゲートは、いずれもトランジスタP41のドレインに接続されている。トランジスタP41のドレインは、増幅電流idの入力端に接続されている。トランジスタP42のドレインは接地端に接続されている。トランジスタP43のドレインは、増幅電流ieの出力端(IOUT端子)に接続されている。なお、図示されていない電流増幅段AMP4の第2カレントミラーアンプについても、第1カレントミラーアンプと同様の構成とすればよい。
このようなカスコード型のカレントミラーアンプを採用することにより、電流増幅段AMP1〜AMP4で各々生成される増幅電流ib〜ieの電源電圧依存性を改善することができるので、最終的にIOUT端子から出力される検出電流(増幅電流ie)の電源電圧依存性を3%/V程度まで低減することが可能となる。
次に、半導体装置10に集積化されたバイポーラトランジスタの光補正について、詳細な説明を行う。
図21は、バイポーラトランジスタの光電流補正を説明するための回路図である。
半導体装置10のチップ上面は、受光部11の受光エリアを除いてアルミニウムで遮光されているが、半導体装置10のチップ側面は、ダイシング時の断面がむき出しとなっており、特段の遮光処理が施されていない。そのため、チップ側面からの入射光(特に赤外光)がpnp型バイポーラトランジスタのベースとチップ基板との間、並びに、npn型バイポーラトランジスタのコレクタとチップ基板との間に各々付随する寄生フォトダイオードによって受光され、電流増幅部12のゲイン(延いては照度検出精度)に悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、寄生フォトダイオードに流れる電流分を補填する光電流補正回路CLを追加するとともに、バイポーラトランジスタの素子レイアウトに工夫を凝らすことで、回路動作の安定化が図られている。
まず、pnp型バイポーラトランジスタの光電流補正について、電流増幅段AMP2を例に挙げて詳細に説明する。
先述したように、pnp型バイポーラトランジスタについては、ベースとチップ基板との間に寄生フォトダイオードが付随する。図21の例では、トランジスタQ21〜Q24の共通ベースとチップ基板との間に寄生フォトダイオードが付随しており、これにチップ側面からの入射光が当たると、トランジスタQ21〜Q24の総エミッタ面積に比例した光電流(45×ipd)が流れる。
そこで、光電流補正回路CL1は、トランジスタQ21〜Q24の共通ベースに対して上記の光電流より大きい補填電流を流し込み、寄生フォトダイオードに流れる光電流をキャンセルする構成とされている。具体的に述べると、光電流補正回路CL1は、pnp型バイポーラトランジスタQ61〜Q63を有して成る。トランジスタQ61、Q62のエミッタは、電源ラインに接続されている。トランジスタQ63のエミッタは、トランジスタQ63のコレクタに接続されている。トランジスタQ61のコレクタは、トランジスタQ21〜Q24の共通ベースに接続されている。トランジスタQ61〜Q63のベースはいずれも、トランジスタQ62のコレクタに接続されている。トランジスタQ61、Q62、Q63のエミッタ面積比は、6:1:1とされている。
上記構成から成る光電流補正回路CL1では、トランジスタQ61〜Q63の共通ベースとチップ基板との間に寄生フォトダイオードが付随しており、これにチップ側面からの入射光が当たると、トランジスタQ61〜Q63の総エミッタ面積に比例した光電流(8×ipd)が流れる。この光電流は、トランジスタQ61、Q62から成るカレントミラーアンプによって6倍に増幅され、補填電流(48×ipd)としてトランジスタQ21〜Q24の共通ベースに流し込まれる。従って、トランジスタQ21〜Q24の共通ベースとチップ基板との間に付随する寄生フォトダイオードに流れる光電流(45×ipd)を補填電流(48×ipd)によって相殺することができるので、電流増幅部12のゲイン(延いては、周囲照度の検出精度)を安定に維持することが可能となる。
なお、上記構成から成る光電流補正回路CL1では、相殺すべき光電流よりも大きい補填電流を流しているが、その余剰分については、カスコード接続されたトランジスタQ24を介して接地端に流すことができるので、回路動作に支障が生じることはない。
次に、npn型バイポーラトランジスタの光電流補正について、電流増幅段AMP3を例に挙げて詳細に説明する。
先述したように、npn型バイポーラトランジスタについては、コレクタとチップ基板との間に寄生フォトダイオードが付随する。図21の例では、トランジスタQ31、Q32のコレクタとチップ基板との間に各々寄生フォトダイオードが付随しており、これらにチップ側面からの入射光が当たると、トランジスタQ31、Q32の各コレクタ面積に比例した光電流が流れる。
ここで、npn型バイポーラトランジスタから成るカレントミラーアンプにおいて、トランジスタQ31、Q32のエミッタ面積比とコレクタ面積比が互いに一致している場合には、下記の(1)式で示すように、特段の光補正回路を設けなくても、増幅電流icをミラー増幅して増幅電流idを生成する過程の中で、寄生フォトダイオードの光電流(8×ipd、100×ipd)は、互いにキャンセルされる。
id={ic−(8×ipd)}×100/8+(100×ipd)
=100/8×ic … (1)
一方、トランジスタQ31、Q32のエミッタ面積比とコレクタ面積比が互いに一致していない場合には、電流増幅段AMP3にも、光電流補正回路CL2を設ける必要が生じる。例えば、トランジスタQ31、Q32のエミッタ面積比が1:10で、コレクタ面積比が1:1の場合、何ら光電流補正を施さなければ、増幅電流idは、下記の(2)式となり、本来生成するべき電流値を得ることができなくなる。
id={ic−(1×ipd)}×10+(1×ipd)
=10×ic−9×ipd … (2)
そこで、図22に示すように、ダミーのnpn型バイポーラトランジスタQ64から成る光電流補正回路CL2を設けて、トランジスタQ32のコレクタから補填電流(9×ipd)を引き込むことにより、光電流のずれ分(9×ipd)を補填電流(9×ipd)によって相殺することができるので、電流増幅部12のゲイン(延いては、周囲照度の検出精度)を安定に維持することが可能となる。
なお、半導体装置10の作り込みに際しては、電流増幅段AMP1〜AMP4を形成するバイポーラトランジスタと、光電流補正回路CL1、CL2を形成するバイポーラトランジスタの両方に対して、チップ側面からの入射光が均一に照射されるように、レイアウト的に配慮を行うことが必要である。
例えば、1単位のエミッタ面積を有するバイポーラトランジスタをn個並べることで、n単位のエミッタ面積を有するバイポーラトランジスタを形成する場合には、図23で模式的に示したように、電流増幅段AMP1〜AMP4を形成するバイポーラトランジスタ(図中では白丸で描写)と、光電流補正回路CL1、CL2を形成するバイポーラトランジスタ(図中では黒丸で描写)を所定の素子配置エリア内で均一に分散して配置することにより、半導体装置10に対して、いずれの方向から光が入射された場合でも、寄生フォトダイオードに流れる電流を均一化することができ、延いては、上記した光電流補正の効果を高めることが可能となる。
次に、MOS電界効果トランジスタ及び静電保護素子の高耐圧化について説明する。
電源電圧VCCの5.5[V]入力に対応するため、半導体装置10では、装置に集積化される全てのMOS電界効果トランジスタ(ロジック部12、レベルシフタ回路LS、フューズ回路FS、電流増幅段AMP1〜AMP4を形成するMOS電界効果トランジスタ及びスイッチなど)を高耐圧化(HV化)している。なお、これらの素子の高耐圧化については、P形不純物拡散領域とN型不純物拡散領域との距離や、素子とアイソレーション層との距離を大きく設計することにより、比較的容易に実現することができる。
また、半導体装置10では、MOS電界効果トランジスタの高耐圧化に伴い、静電保護素子についても、高耐圧素子(シュリンク版)を用いている。
また、その他のレイアウトに関して、半導体装置10では、従来サイズのチップ基板に上記で説明した追加の回路群を集積化するため、レーザーリペアアライメントマークやマスクバージョンのシュリンク、ロケットマークの削減などを行っている。
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。