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JP5501826B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、R−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法に関する。
希土類焼結磁石は、原料金属を溶解し、鋳型に注湯して得られたインゴットを粉砕、成形、焼結、熱処理、加工の粉末冶金技術を用いて製造されるが、その中でR−Fe−B系希土類焼結磁石(RはYを含む希土類元素のうち一種または二種以上)は、高性能磁石として注目されている。しかし、インゴットを粉砕して得られた希土類焼結磁石用合金粉末は、化学的に非常に活性であるため、大気中において極めて急激に酸化し、磁気特性の劣化を招いてしまう。
また、希土類焼結 磁石用合金粉末は、急激な酸化により発熱するだけでなく甚だしい場合は、発火してしまうため安全性の面でも問題があった。従来は、このような急激な酸化を防止する方法として、窒素、アルゴン等の不活性ガス中に長時間放置し表面を安定化する処理が行われていたが、処理に長時間を要するため量産性に問題があった。更に、希土類焼結磁石用合金粉末は吸湿性があり、大気中に放置すると大気中の水分を吸着し、製造された希土類焼結磁石の特性を劣化させるという問題点があった。
この問題に関し、特開昭61−114505号公報では、R−Fe−B系(RはYを含む希土類元素のうち一種または二種以上)合金粉末と有機溶媒との混合物を作成し、この混合物を磁場中にて圧縮し、有機溶媒をろ過して得た成形体を乾燥、焼結および熱処理する永久磁石の製造方法が提案されている。この製造方法によれば、湿式で成形するため酸化、水分の吸着の問題が解決される。
特開昭61−114505号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、確かに含有酸素量の低下はなされるものの、トルエン、アルコールといった有機溶媒を用いると1週間程度の比較的短時間の内に溶媒に浸漬した微粉あるいは成形体の酸素量が増加し、得られる焼結体の特性が劣化し易いという問題点があることが判明した。
そこで、本発明は微粉および成形体の酸化および水分の吸着を防止するとともに、その保存性を向上して高い磁気特性を有する希土類焼結磁石、およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る希土類焼結磁石の製造方法は、R−Fe−B系(RはYを含む希土類元素のうち一種または二種以上)希土類焼結磁石用原料体を乾式で微粉砕し、微粉砕粉末を以下の構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を含む有機溶媒中に回収し、粉末と前記有機溶媒との混合物を得、これに配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を水素雰囲気で仮焼して仮焼体を得、得られた仮焼体を焼結することを特徴とする。
また、請求項に係る希土類焼結磁石の製造方法は、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法であって、前記成形体を仮焼するまで前記有機溶媒で湿潤状態に保持することを特徴とする。
また、請求項に係る希土類焼結磁石の製造方法は、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法であって、前記成形体を仮焼するまで非酸化性又は還元性雰囲気中で保持することを特徴とする。
更に、請求項に係る希土類焼結磁石の製造方法は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法であって、希土類焼結磁石用原料粉末と前記有機溶媒との混合物の成形キャビティ内への充填を加圧しつつ行うことを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法によれば、磁石粉末を粉砕し、粉砕された磁石粉末を構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を含む有機溶媒中に回収し、その混合物に配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を焼結するので、成形体の酸化および水分の吸着を防止するとともに、その保存性を向上して高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
また、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法によれば、有機溶媒が混入された磁石粉末の成形体を、焼結前に水素雰囲気で仮焼することにより、磁石粒子の含有する炭素量を予め低減させることができる。その結果、焼結後の磁石の主相と粒界相との間に空隙を生じさせることなく、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となり、保磁力が低下することを防止できる。
また、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法によれば、成形体を仮焼するまで有機溶媒で湿潤状態に保持するので、成形体の酸化をより確実に防止することが可能となる。
また、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法によれば、成形体を仮焼するまで非酸化性又は還元性雰囲気中で保持するので、成形体の酸化をより確実に防止することが可能となる。
更に、請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法によれば、残留磁束密度を向上させ、高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
本発明に係る永久磁石を示した全体図である。 本発明に係る永久磁石の粒界付近を拡大して示した模式図である。 本発明に係る永久磁石の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。 本発明に係る永久磁石の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
以下、本発明に係る永久磁石及び永久磁石の製造方法について具体化した実施形態について以下に図面を参照しつつ詳細に説明する。
[永久磁石の構成]
先ず、本発明に係る永久磁石1の構成について説明する。図1は本発明に係る永久磁石1を示した全体図である。尚、図1に示す永久磁石1は円柱形状を備えるが、永久磁石1の形状は成形に用いるキャビティの形状によって変化する。
本発明に係る永久磁石1としては例えばNd−Fe−B系磁石を用いる。また、図2に示すように、永久磁石1は磁化作用に寄与する磁性相である主相11と、非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のMリッチ相12(Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。)とが共存する合金である。図2は永久磁石1を構成するNd磁石粒子を拡大して示した図である。
ここで、主相11は化学量論組成であるNdFe14B金属間化合物相(Feは部分的にCoで置換しても良い)が高い体積割合を占めた状態となる。一方、Mリッチ相12は同じく化学量論組成であるMFe14B(Feは部分的にCoで置換しても良い)よりMの組成比率が多い金属間化合物相(例えば、M2.0〜3.0Fe14B金属間化合物相)からなる。また、Mリッチ相12には磁気特性向上の為、Co、Cu、Al、Si等の他元素を少量含んでも良い。
そして、永久磁石1において、Mリッチ相12は、以下のような役割を担っている。
(1)融点が低く(約600℃)、焼結時に液相となり、磁石の高密度化、即ち磁化の向上に寄与する。(2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーションサイトを減少させ保磁力を高める。(3)主相を磁気的に絶縁し保磁力を増加する。
従って、焼結後の永久磁石1中におけるMリッチ相12の分散状態が悪いと、局部的な焼結不良、磁性の低下をまねくため、焼結後の永久磁石1中にはMリッチ相12が均一に分散していることが重要となる。
また、Nd−Fe−B系磁石の製造において生じる問題として、焼結された合金中にα−Feが生成することが挙げられる。原因としては、化学量論組成に基づく含有量からなる磁石原料合金を用いて永久磁石を製造した場合に、製造過程で希土類元素が酸素と結び付き、化学量論組成に対して希土類元素が不足する状態となることが挙げられる。さらに、α−Feが、焼結後も磁石中に残存すれば、磁石の磁気特性の低下をもたらす。
そして、上述した永久磁石1におけるNdやMを含む全希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多い範囲内であることが望ましい。具体的には、各成分の含有量はNd:25〜37wt%、M:0.1〜10.0wt%、B:1〜2wt%、Fe(電解鉄):60〜75wt%とする。永久磁石1中の希土類元素の含有量を上記範囲とすることによって、焼結後の永久磁石1中にMリッチ相12を均一に分散することが可能となる。また、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石1中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。
尚、永久磁石1中の希土類元素の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、Mリッチ相12が形成され難くなる。また、α−Feの生成を十分に抑制することができない。一方、永久磁石1中の希土類元素の組成が上記範囲より多い場合には、保磁力の増加が鈍化し、かつ残留磁束密度が低下してしまい、実用的ではない。
また、本発明では、粉砕時の磁石粉末中におけるNdやMを含む全希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)である。そして、後述のようにM−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされるMを含む有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を有機溶媒に添加し、湿式状態で粉砕後の磁石粉末に添加する。その結果、有機金属化合物添加後の磁石粉末に含まれる希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多い範囲内となる。また、有機溶媒を用いて添加することによって、Mを含む有機金属化合物を有機溶媒中で分散させ、Nd磁石粒子の粒子表面にMを含む有機金属化合物を均一付着することが可能となり、焼結後の永久磁石1においてMリッチ相12を均一に分散することが可能となる。
ここで、上記M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)の構造式を満たす有機金属化合物として金属アルコキシドがある。金属アルコキシドとは、一般式M(OR)(M:金属元素、R:有機基、n:金属又は半金属の価数)で表される。また、金属アルコキシドを形成する金属又は半金属としては、Nd、Pr、Dy、Tb、W、Mo、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sb、Y、lanthanideなどが挙げられる。但し、本発明では特に、希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbを用いる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、炭素数4以上のアルコキシド等が挙げられる。但し、本発明では後述のように低温分解で残炭を抑制する目的から、低分子量のものを用いる。また、炭素数1のメトキシドについては分解し易く、取扱いが困難であるので、特に炭素数が2〜6のアルコキシドであるエトキシド、メトキシド、イソプロポキシド、プロポキシド、ブトキシドなどを用いることが好ましい。
以上のように本発明では、有機金属化合物を粉砕後の磁石粉末に対して添加することによって希土類元素の含有量を増加させる。この方法では、粉砕前に磁石原料に含まれる希土類元素の含有量を予め化学量論組成に基づく含有量よりも多くする方法と比較して、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しない利点がある。従って、粉砕後に磁石組成を変更する必要がない。
また、圧粉成形により成形された成形体を適切な焼成条件で焼成すれば、Mが主相11内へと拡散浸透(固溶化)することを防止できる。それにより、本発明では、Mを添加したとしてもMによる置換領域を外殻部分のみとすることができる。その結果、結晶粒全体としては(すなわち、焼結磁石全体としては)、コアのNdFe14B金属間化合物相が高い体積割合を占めた状態となる。それにより、その磁石の残留磁束密度(外部磁場の強さを0にしたときの磁束密度)の低下を抑制することができる。
また、有機金属化合物を有機溶媒に混入して磁石粉末に湿式添加すると、後に真空乾燥等を行うことによって有機溶媒を揮発させたとしても有機金属化合物や有機溶媒等の有機化合物が磁石内に残留することとなる。そして、Ndと炭素との反応性が非常に高いため、焼結工程において高温までC含有物が残ると、カーバイドを形成する。その結果、形成されたカーバイドによって焼結後の磁石の主相と粒界相(Ndリッチ相)との間に空隙が生じ、磁石全体を緻密に焼結できずに磁気性能が著しく低下する問題がある。しかしながら、本発明では焼結前に後述の水素仮焼処理を行うことによって、磁石粒子の含有する炭素量を予め低減させることができる。
また、主相11の結晶粒径は0.1μm〜5.0μmとすることが望ましい。尚、主相11とMリッチ相12の構成は、例えばSEMやTEMや3次元アトムプローブ法により確認することができる。
また、MとしてDy又はTbを用いれば、磁石粒子の粒界にDy又はTbを偏在化することが可能となる。そして、粒界に偏在されたDyやTbが粒界の逆磁区の生成を抑制することで、保磁力の向上が可能となる。また、DyやTbの添加量が従来に比べて少なくすることができ、残留磁束密度の低下を抑制することができる。
[永久磁石の製造方法1]
次に、本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法について図3を用いて説明する。図3は本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。
先ず、所定分率のNd−Fe−B(例えばNd:26.7wt%、Fe(電解鉄):72.3wt%、B:1.0wt%)からなる、インゴットを製造する。その後、インゴットをスタンプミルやクラッシャー等によって200μm程度の大きさに粗粉砕する。若しくは、インゴットを溶解し、ストリップキャスト法でフレークを作製し、水素解砕法で粗粉化する。
次いで、粗粉砕した磁石粉末を、(a)酸素含有量が実質的に0%の窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気中、又は(b)酸素含有量が0.0001〜0.5%の窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気中で、ジェットミル41により微粉砕し、所定サイズ以下(例えば0.1μm〜5.0μm)の平均粒径を有する微粉末とする。尚、酸素濃度が実質的に0%とは、酸素濃度が完全に0%である場合に限定されず、微粉の表面にごく僅かに酸化被膜を形成する程度の量の酸素を含有しても良いことを意味する。
一方で、ジェットミル41で微粉砕された微粉末に添加する有機金属化合物溶液を作製する。ここで、有機金属化合物溶液には予め希土類元素を含む有機金属化合物を添加し、溶解させる。尚、溶解させる有機金属化合物としては、M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を用いる。また、溶解させる希土類元素を含む有機金属化合物の量は特に制限されないが、前記したように永久磁石に含まれる希土類元素の含有量が化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多くなる範囲とするのが好ましい。
続いて、ジェットミル41で微粉砕された微粉末に対して上記有機金属化合物溶液を添加する。それによって、磁石原料の微粉末と有機金属化合物溶液とが混合されたスラリー42を生成する。尚、ジェットミル41で微粉砕された微粉末を上記有機金属化合物溶液中に回収することによって、磁石原料の微粉末と有機金属化合物溶液とが混合されたスラリー42を生成しても良い。尚、有機金属化合物溶液の添加は、窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気で行う。
その後、生成したスラリー42を、成形装置50において形成されたキャビティ54に対して注入する。図3に示すように、成形装置50は、円筒状のモールド51と、モールド51に対して上下方向に摺動する下パンチ52と、同じくモールド51に対して上下方向に摺動する上パンチ53とを有し、これらに囲まれた空間がキャビティ54を構成する。また、成形装置50には一対の磁界発生コイル55、56がキャビティ54の上下位置に配置されており、磁力線をキャビティ54に充填されたスラリー42に印加する。印加させる磁場は例えば1MA/mとする。
そして、圧粉成形を行う際には、スラリー42をキャビティ54に注入する前から、磁界発生コイル55、56によってキャビティ54に対して磁場が印加された状態とする。その状態で、先ず、キャビティ54に対して磁場が印加された状態でスラリー42をキャビティ54に注入する。その後、下パンチ52及び上パンチ53を駆動し、キャビティ54に充填されたスラリー42に対して矢印61方向に圧力を加え、成形する。それによって、加圧と同時にキャビティ54に充填されたスラリー42に対して、加圧方向と平行な矢印62方向に磁界発生コイル55、56によってパルス磁場を印加する。その結果、所望の方向に磁場を配向させる。尚、磁場を配向させる方向は、スラリー42から成形される永久磁石1に求められる磁場方向を考慮して決定する必要がある。また、成形装置50はスラリー42をキャビティ54に充填しつつ、加圧することが望ましい。それによって、残留磁束密度や最大エネルギ−積を高い値とすることが可能となる。
尚、上記成形工程では、キャビティ54にスラリー42を注入した後に、磁界発生コイル55、56によってキャビティ54内のスラリー42に対して磁場を印加する構成としても良い。そのような構成としても、加圧と同時にキャビティ54に充填されたスラリー42に対して、加圧方向と平行な矢印62方向に磁界発生コイル55、56によってパルス磁場を印加することが可能となる。また、加圧方向に対して印加方向が垂直となるように磁界発生コイル55、56を配置しても良い。
次に、成形装置50により湿式状態で圧粉成形することにより形成された成形体71を焼結炉に挿入し、水素雰囲気において200℃〜900℃、より好ましくは400℃〜900℃(例えば600℃)で数時間(例えば5時間)保持することにより水素中仮焼処理を行う。尚、成形体71は、焼結炉に挿入するまでは、有機溶媒による湿潤状態で、且つ非酸化性または還元性雰囲気のガス中で保存することが望ましい。尚、仮焼中の水素の供給量は5L/minとする。この水素中仮焼処理では、有機金属化合物を熱分解させて、仮焼体中の炭素量を低減させる所謂脱カーボンが行われる。また、水素中仮焼処理は、仮焼体中の炭素量が1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下とする条件で行うこととする。それによって、その後の焼結処理で永久磁石1全体を緻密に焼結させることが可能となり、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
続いて、水素中仮焼処理によって仮焼された成形体71を焼結する焼結処理を行う。焼結処理では、所定の昇温速度で800℃〜1180℃程度まで昇温し、2時間程度保持する。この間は真空焼成となるが真空度としては10−4Torr以下とすることが好ましい。その後冷却し、再び600℃で2時間熱処理を行う。そして、焼結の結果、永久磁石1が製造される。
[永久磁石の製造方法2]
次に、本発明に係る永久磁石1の他の製造方法である第2の製造方法について図4を用いて説明する。図4は本発明に係る永久磁石1の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
先ず、所定分率のNd−Fe−B(Nd:26.7wt%、Fe(電解鉄):72.3wt%、B:1.0wt%)からなる、インゴットを製造する。その後、インゴットをスタンプミルやクラッシャー等によって200μm程度の大きさに粗粉砕する。若しくは、インゴットを溶解し、ストリップキャスト法でフレークを作製し、水素解砕法で粗粉化する。それによって、粗粉砕磁石粉末81を得る。
次いで、粗粉砕磁石粉末81をビーズミルによる湿式法で所定範囲の粒径(例えば0.1μm〜5.0μm)に微粉砕するとともに溶媒中に磁石粉末を分散させ、スラリー82を作製する。尚、湿式粉砕は磁石粉末0.5kgに対してトルエン4kgを溶媒として用いる。また、湿式粉砕中に磁石粉末に対して、希土類元素を含む有機金属化合物を添加する。それにより、希土類元素を含む有機金属化合物を磁石粉末と共に溶媒中で分散させる。尚、溶解させる有機金属化合物としては、M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を用いる。また、添加する希土類元素を含む有機金属化合物の量は特に制限されないが、前記したように永久磁石に含まれる希土類元素の含有量が化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多くなる範囲とするのが好ましい。
尚、詳細な分散条件は以下の通りである。
・分散装置:ビーズミル
・分散メディア:ジルコニアビーズ
また、粉砕に用いる溶媒は有機溶媒であるが、溶媒の種類に特に制限はなく、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサンなどの低級炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族類、ケトン類、それらの混合物等が使用できる。
その後、生成したスラリー82を、成形装置50において形成されたキャビティ54に対して注入し、湿式成形を行う。尚、以降の成形工程、水素仮焼工程及び焼結工程は図3を用いて既に説明した第1の製造方法における製造工程と同様であるので説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態に係る永久磁石1の第1の製造方法では、磁石粉末と構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を含む有機溶媒との混合物に配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を焼結するので、成形体の酸化および水分の吸着を防止するとともに、その保存性を向上して高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
また、永久磁石1の第1の製造方法では、磁石粉末を粉砕し、粉砕された磁石粉末を構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を含む有機溶媒中に回収し、その混合物に配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を焼結するので、成形体の酸化および水分の吸着を防止するとともに、その保存性を向上して高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
また、永久磁石1の第2の製造方法では、磁石原料を構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を含む有機溶媒を用いて湿式粉砕し、その混合物に配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を焼結するので、成形体の酸化および水分の吸着を防止するとともに、その保存性を向上して高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
また、有機金属化合物を含む有機溶媒が添加された磁石を、焼結前に水素雰囲気で仮焼することにより、有機金属化合物を熱分解させて磁石粒子中に含有する炭素を予め焼失(炭素量を低減)させることができ、焼結工程でカーバイドがほとんど形成されることがない。その結果、焼結後の磁石の主相と粒界相との間に空隙を生じさせることなく、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となり、保磁力が低下することを防止できる。また、焼結後の磁石の主相内にαFeが析出することなく、磁石特性を大きく低下させることがない。
また、成形装置50により湿式成形された成形体を、仮焼するまで、有機溶媒による湿潤状態で、且つ非酸化性又は還元性雰囲気中で保持するので、成形体の酸化をより確実に防止することが可能となる。
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
また、磁石粉末の粉砕条件、混練条件、仮焼条件、焼結条件などは上記実施例に記載した条件に限られるものではない。
また、水素仮焼工程については省略しても良い。
1 永久磁石
11 主相
12 Mリッチ相

Claims (4)

  1. R−Fe−B系(RはYを含む希土類元素のうち一種または二種以上)希土類焼結磁石用原料体を乾式で微粉砕し、微粉砕粉末を以下の構造式
    M−(OR)
    (式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
    で示される有機金属化合物を含む有機溶媒中に回収し、粉末と前記有機溶媒との混合物を得、これに配向磁場を印加して粉末を配向させたまま湿式成形し、得られた成形体を水素雰囲気で仮焼して仮焼体を得、得られた仮焼体を焼結することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記成形体を仮焼するまで前記有機溶媒で湿潤状態に保持することを特徴とする請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記成形体を仮焼するまで非酸化性又は還元性雰囲気中で保持することを特徴とする請求項に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 希土類焼結磁石用原料粉末と前記有機溶媒との混合物の成形キャビティ内への充填を加圧しつつ行うことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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