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JP5495688B2 - 粉液型歯科用硬化性材料の硬化速成化補助剤及びこれを用いた粉液型歯科用硬化性材料キット - Google Patents

粉液型歯科用硬化性材料の硬化速成化補助剤及びこれを用いた粉液型歯科用硬化性材料キット Download PDF

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JP5495688B2 JP2009214867A JP2009214867A JP5495688B2 JP 5495688 B2 JP5495688 B2 JP 5495688B2 JP 2009214867 A JP2009214867 A JP 2009214867A JP 2009214867 A JP2009214867 A JP 2009214867A JP 5495688 B2 JP5495688 B2 JP 5495688B2
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Description

本発明は、粉液型歯科用硬化性材料の硬化速成化補助剤および該硬化速成化補助剤を用いた歯科用硬化性材料キットに関する。
歯科治療の分野において、メチルメタクリレート(以下「MMA」と略す)等の低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とする液材と、ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略す)等の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材とからなる粉液型歯科用硬化性材料が使用されている(例えば、特許文献1〜3)。この粉液型歯科用硬化性材料には、上記液材及び/又は粉材に、複数の構成成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が、成分を分けて配合されており、使用時にこれら液材と粉材とを混合することによりラジカルが発生し、上記低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体のラジカル重合が始まる。
上記ラジカル重合の結果得られた硬化体は、非架橋有機樹脂の作用により、無機フィラーを含有する硬化体と比較して高靭性の利点がある。また、単量体の主成分は、単官能の低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体であるため、上記硬化体の高靭性はさらに良好になる。これらから、該粉液型歯科用硬化性材料は、高靭性が求められる歯科臨床用途に大変有用であり、動揺歯固定、矯正用ブラケットの接着・保定、人工歯の接着等に使用する接着性レジンセメントや、破接した義歯の補修等に使用する即時重合レジン等として商品化されている。
ところで、上記低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体は前記したとおり単官能であるため、その重合性は低く、これのみを重合させようとしても、十分な重合率で硬化しなかったり、重合に長時間を要する。非架橋有機樹脂の粉材は、前記低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体の液材に膨潤または溶解してペースト粘度を増加させるため、これに伴って単量体のラジカル重合性は高まるが、それでも満足できるレベルにはほど遠い。
すなわち、液材と粉材を混合してから、硬化が粗方終了するまでの硬化時間は、依然、3分〜10分程度は要する。このうち、液材に粉材を膨潤または溶解し、ペースト粘度が塗布に適当な状態に保たれる、前半の0.5〜2分程度までは適度な操作余裕時間が確保できるとして、むしろこの材料の利点と捉えられている。しかし、適用箇所への塗布に困難な状態に増粘した後、十分な強度に硬化するまでの残余の時間は、使用用途によっては作業の効率性を大きく低下させる原因であった。例えば、義歯床材料の補修では、補修部分に液材と粉材の混合ペーストを塗布して破断片を接合させた後、該混合ペーストが硬化するまでは破断片を手で保持しておく必要があり、この時間が長くなることはとても不便であった。同様に、歯科矯正治療における歯面へのブラケットの接着でも、多数の歯を処理することを勘案すると、歯面から脱落しなくなるまでの該ブラケットの保持時間が長いことは、治療の大幅な遅延を引き起こしていた。
なお、極短時間で重合する材料(家庭用瞬間接着材等)として、α−シアノアクリレート系単量体を空気中の水分等を利用しアニオン重合させるものが知られている。そうして、係るシアノアクリレート系単量体と、他の重合性モノマー、安定化剤、開始剤、顔料、および充填材を含む歯科用組成物が提案されている(特許文献4)。しかし、この技術は、粉体および液体等の複数包装を混合して硬化反応を開始させる硬化性材料の操作上の不便さを解消するために、各成分を一包装にしているものである。したがって、この一包装形態の歯科用組成物にシアノアクリレート系単量体が使用されていても、前記粉液型歯科用硬化性材料に対して、該シアノアクリレート系単量体を応用容易ということには何ら繋がらない。
特開2007−77071号公報 特開2000−53727号公報 特開2006−83101号公報 特表2002−531476号公報
以上説明したように、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体に非架橋有機樹脂を膨潤または溶解させて使用される粉液型歯科用硬化性材料は、使用用途によっては、適用箇所に塗布してからの硬化時間が長すぎ、治療作業の効率性を低下させる原因になっており、その改善が望まれていた。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果、α−シアノアクリレート系単量体を含んでなる速硬化性材料を応用すれば、前記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(I)i)低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とし、かつ水酸基を有するラジカル重合性単量体を含んでなる液材、及びii)上記i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、該i)液材及びii)粉材には2種以上の成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が成分を分けて配合されてなる粉液型歯科用硬化性材料、並びに
(II)α−シアノアクリレート系単量体を含んでなる速硬化性材料からなる、前記i)液材及びii)粉材との混合ペースト層に用いる硬化速成化補助剤を組み合わせてなる歯科用硬化性材料キットである。
本発明の硬化速成化補助剤は、粉液型歯科用硬化性材料において、液材と粉材とを混合し適用箇所にペーストを塗布してから、その上に上塗り(さらには混和)すれば、その硬化時間を大幅に迅速化できる。したがって、義歯床材料の補修や、歯科矯正治療での歯面へのブラケットの接着等では、該義歯床材料やブラケットの保持時間を短縮でき、作業を効率化できる。
本発明は、粉液型歯科用硬化性材料の硬化速成補助剤として、α−シアノアクリレート系単量体を含む速硬化性材料を使用する。前記したとおり、α−シアノアクリレート系単量体は、雰囲気の水分を利用して高速でアニオン重合が進行する単量体であり、これを含有する速硬化性材料を、該粉液型歯科用硬化性材料における液材と粉材の混合ペースト層に上塗り、または該ペースト層と混和させると、空気中の水分等により直ぐに硬化する。
本発明において、硬化速成化補助剤を適用する粉液型歯科用硬化性材料は、i)低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とする液材、及びii)上記i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、該i)液材及びii)粉材には2種以上の成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が成分を分けて配合されてなる形態をしている。こうした形態の粉液型歯科用硬化性材料に対する、本発明の硬化速成化補助剤の使用態様は以下のとおりである。
すなわち、まず、上記i)液材とii)粉材とを混合し、非架橋有機樹脂が低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体に膨潤または溶解し塗布に適当なペーストに増粘したならば、これを筆等により歯科治療の適用箇所に塗布する。次いで、本発明の硬化速成補助剤を、できるだけ速やかに、該塗布面の一部または全面に対してヘラ・筆、マイクロブラシ等用いて上塗りする。マイクロピペット等を用いて硬化速成補助剤の必要量を定量的に塗布面に付着させ、ヘラ・筆を用いて展延し上塗りしても良い。これにより、該硬化速成補助剤の上層はもちろん、該硬化速成補助剤が浸透したi)液材とii)粉材との混合ペースト層の表層部も、速やかに硬化し、これら硬化速成補助剤の上層や混合ペースト層の表層部の硬化体に支持されて、該混合ペースト層全体の形状保持性が高まる。その結果、歯科治療の操作性が改善される。
さらに、ペースト層全体をより強固に固めたい場合には、上記混合ペースト層の表面に硬化速成補助剤を上塗りした後、ヘラ・筆で撫ぜる操作を何回か繰返し、該硬化速成補助剤を混合ペースト層と所望の程度に混和させるのが好ましい。この場合、混合ペースト層に混和した状態で、α−シアノアクリレート系単量体が直ぐに硬化し、これにより該ペースト層は一気に増粘し、前記表層部だけでなく層全体の硬化時間が大幅に短縮され、前記歯科治療の操作性に関する有利さを一層に向上させることができる。
例えば、粉液型歯科用硬化性材料が即時重合レジンであり、破断した義歯床の補修に用いる場合であれば、義歯床の補修部分に前記混合ペースト層を塗布し、そこに破断片を圧接し、その周壁の接合境界に沿って硬化速成補助剤を上塗りし(さらには下層のペースト層と混和すれば)良い。圧接する破断片が小片の場合には、斯様に接合境界部分だけに硬化速成補助剤を上塗りする使用態様でも、該破断片は接合した状態に大抵は維持でき、手による保持等の面倒さを解消できる。
粉液型歯科用硬化性材料が接着性レジンセメントであり、歯科矯正用ブラケットを歯牙表面に接着させる場合であれば、予め歯牙の被着面をエッチング材を使用し適宜処理した後、該被着面か、或いはブラケットの裏面に前記混合ペースト層を塗布し、該ブラケットを歯牙の被着面に圧接する。この圧接によりブラケットの外周には混合ペーストがはみ出すから、この食出部の表面に本発明の硬化速成補助剤を上塗りし(さらには下層のペースト層と混和すれば)良い。これにより、ブラケットはその外周部で素早く固定され、ブラケットの裏面の混合ペースト層が硬化するまでの長時間、該治具を手で保持する必要性がなくなる。同様に、粉液型歯科用硬化性材料の接着性レジンセメントを動揺歯の固定に用いる場合も、その固定部分をエッチング処理し、そこに前記混合ペースト層を塗布し、該塗布面の全面、或いは部分的に本発明の硬化速成補助剤を上塗りして素早く仮固定を行い、手による保持時間を短くすれば良い。
なお、この硬化速成補助剤の上塗りは、前述の粉液型歯科用硬化性材料を義歯床の補修に用いる場合であれば、破断片の接合境界部分だけでなく、破断片の接合面全体に対して施しても良い(義歯床が大きく破断し、破断片が大型の場合は、この態様の方が有利である)。同じく、歯科矯正用ブラケットの歯牙表面への接着に用いる場合であれば、硬化速成補助剤は、前記食出部分でなく、ブラケットの裏面に塗布された混合ペースト全体に上塗りしても良い。
この他、本発明の硬化速成補助剤は、i)液材とii)粉材の混合ペーストを適用箇所に塗布した後に上塗りするのではなく、予め、該混合ペーストと混合してから適用箇所への塗布に供しても良い。この場合、硬化速成補助剤を混合した時点から、混合ペーストの硬化速度は急速に高まり、操作余裕時間は極端に短くなるため注意を要する。硬化速成補助剤を混合してから、数秒〜1分程度の間に適用箇所への塗布を終えるようにするのが好ましい。
粉液型歯科用硬化性材料におけるi)液材とii)粉材の混合ペースト層に対する、硬化速成補助剤の上塗り割合は、特に制限されるものではなく、所望の物性が得られるように適宜に決定すれば良い。硬化速成補助剤の使用量が少なすぎると硬化速成効果が低下し、多すぎるとその部分の靭性が低下することになるため、硬化速成補助剤の上塗り部分を対象にして、塗布された混合ペースト100質量部に硬化速成補助剤1〜200質量部、より好ましくは5〜100質量部を上塗りするのが良好である(混合ペーストや硬化速成補助剤に、有機溶媒が含有されている場合、該有機溶媒の重量は除いた質量)。この使用割合は、前記した予め、硬化速成補助剤を混合ペーストと混合してから適用箇所への塗布する態様でも同じである。
硬化速成補助剤(速硬化性材料)の特徴的成分であるα−シアノアクリレート系単量体は、従来公知のものが制限なく使用できる。具体的に例示すると、メチルα−シアノアクリレート、エチルα−シアノアクリレート、プロピルα−シアノアクリレート、ブチルα−シアノアクリレート、シクロヘキシルα−シアノアクリレート等のアルキルおよびシクロアルキルα−シアノアクリレート;アリルα−シアノアクリレート、メタリルα−シアノアクリレート、シクロヘキセニルα−シアノアクリレート等のアルケニルおよびシクロアルケニルα−シアノアクリレート;プロパンギルα−シアノアクリレート等のアルキニルα−シアノアクリレート;フェニルα−シアノアクリレート、トルイルα−シアノアクリレート等のアリールα−シアノアクリレート;メトキシエチルα−シアノアクリレート、エトキシエチルα−シアノアクリレート等のアルコキシα−シアノアクリレート;フルフリルα−シアノアクリレート等の複素環基を有するα−シアノアクリレート;トリメチルシリルメチルα−シアノアクリレート、トリメチルシリルエチルα−シアノアクリレート、トリメチルシリルプロピルα−シアノアクリレート、ジメチルビニルシリルメチルα−シアノアクリレート等のシリル基を有するα−シアノアクリレートが挙げられる。このうちメチルα−シアノアクリレート、エチルα−シアノアクリレート、シクロヘキシルα−シアノアクリレート等のアルキルおよびシクロアルキルα−シアノアクリレートを用いるのが、本発明の効果が良好に発揮できる他、純度の高いものが得られまた保存安定性が良いことから特に好ましい。これらのα−シアノアクリレートは1種類でもよく、また、複数種類を混合して使用してもよい。
これらのα−シアノアクリレート系単量体の大部分は常温液体の性状であるため、上記速硬化性材料は、該α−シアノアクリレート系単量体のみで構成しても良いが、有機溶媒や常温液状のラジカル重合性単量体により希釈しても良い。係る希釈用の有機溶媒は、α−シアノアクリレートが比較的安定に保管可能であるものが望ましく、アセトン、 等のケトン類や酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類が好適である。ラジカル重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等の低級アルキル(メタ)アクリレートが好適である。
硬化速成化補助剤の塗布時に、粉液型歯科用硬化性材料の粉材を構成する非架橋有機樹脂の液材への溶解性等を損なわない観点から、有機溶媒は含まない方が好ましく、速硬化性材料は、α−シアノアクリレート系単量体のみから構成するか、低級アルキル(メタ)アクリレートで希釈するのが特に好ましい。
更に、本発明の硬化速成補助剤には、二酸化硫黄、p-トルエンスルホン酸等のアニオン重合禁止剤;PMMA、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート等の増粘剤;フタール酸ブチル等の可塑剤;各種有機または無機フィラー、香料、顔料、染料等を本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。また、粉液型歯科用硬化性材料に含有される化学重合型ラジカル重合開始剤の構成成分を含有させることもできる。
硬化速成補助剤において、α−シアノアクリレート系単量体の含有量は、特に制限されるものではないが、十分な硬化性を付与する観点から、硬化速成補助剤全体に対して5〜100質量%が好ましく、25〜100質量%であるのがより好ましい。
次に、i)低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とする液材、及びii)上記i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなる粉液型歯科用硬化性材料について説明する。
液材の主成分である低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、アルキル鎖の炭素数が4以下のものであり、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが例示される。アルキル鎖の炭素数が5以上の場合は、硬化体の強度が不足する。
液材には、上記低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体以外に、本発明の歯科用硬化性材料の物性を損ねない範囲であれば、他のラジカル重合性単量体を含んでも良い。その含有量は、一般的には、低級アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して200質量部以下、好ましくは50質量部以下の範囲である。
このような他のラジカル重合性単量体としては、分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基を有すものであれば従来公知のものを使用でき、このような重合性不飽和基としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基、スチリル基等を例示できる。他のラジカル重合性単量体を具体的に示すと、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート、2−メタクリロキシエチルアセトアセテート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を1つ有する(メタ)アクリレート系単量体類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を複数有する脂肪族系(メタ)アクリレート系単量体類;2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等の重合性不飽和基を複数有する芳香族系(メタ)アクリレート系単量体類;11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート等の酸性基含有(メタ)アクリレート系単量体類;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の塩基性基含有(メタ)アクリレート系単量体類;6−メタクリロイルオキシヘキシル2−チオウラシル−5−カルボキシレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の接着性(メタ)アクリレート系単量体類;ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基として(メタ)アクリルアミド基を有す単量体類;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、αメチルスチレン誘導体類;等が挙げられる。生体への為害性の観点からは、(メタ)アクリレート系重合性単量体を用いるのが好ましい。このような他のラジカル重合性単量体は、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
他のラジカル重合性単量体の中でも、α−シアノアクリレート系単量体と併用するのが特に好ましいのは、求核性基を有するラジカル重合性単量体である。求核性基としては、Swain−Scottの求核性パラメーターnCHI(J.Am.Chem.Soc.,90巻.17号.319頁.1968年)が0〜12の範囲のものであれば特に限定されず、例えば、水酸基、アミノ基(1,2,3級)、チオール基、スルファニル基、ホスフィン基、等が挙げられ、このうち水酸基、1,2,3級アミノ基、スルファニル基が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するラジカル重合性単量体、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有するラジカル重合性単量体、及び6−メタクリロイルオキシヘキシル2−チオウラシル−5−カルボキシレート等のスルファニル基を有するラジカル重合性単量体等である。これらの求核性基を有するラジカル重合性単量体は、該求核性基がα−シアノアクリレートのアニオン重合による硬化性を高めるため、粉液型歯科用硬化性材料における液材と粉材の混合ペーストに含有されたならば、この部分においてゲル化を促進し、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体のラジカル重合性を一層に高め、その硬化時間をさらに短縮化する効果を発揮する。
このうち水酸基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。また、アミノ基を有するラジカル重合性単量体は、酸性基含有(メタ)アクリレート系単量体等の酸性成分が配合される系では併用しないようにするのが好ましい。
このような、求核性基を有するラジカル重合性単量体の含有量は、低級アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して0.001〜100質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
その他、液材には、保存安定性や環境光安定性を向上させるため必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシャリイブチルフェノール等の重合禁止剤を少量含有させるのが好ましい。
粉材の主成分である非架橋有機樹脂は、前記液材の主成分である低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体に膨潤または溶解する作用を有する。これにより液材と粉材の混合ペーストが増粘し、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体のラジカル重合性が促進される。併せて、この成分は、歯科用硬化性材料の硬化体の靭性を高める作用も有する。
このような非架橋有機樹脂は、架橋構造を持たない構造の樹脂からなる粒子であって、従来公知の非架橋型の合成樹脂または天然樹脂を何ら制限なく使用できる。具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体等の(メタ)アクリレート類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリスチレン類等の樹脂粒子を例示できる。
歯科用硬化性材料を硬化させて得られる硬化体が高靭性である観点から、非架橋有機樹脂は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体等の、低級(アルキル鎖の炭素数が4以下)アルキル(メタ)アクリレート系単量体の重合体が特に好ましい。
これら非架橋有機樹脂の平均粒径は、特に制限されないが、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体へのなじみの良さを考慮すると200μm以下であることが好ましく、筆積み性を考慮すると1〜100μmであるのが特に好ましい。尚、非架橋有機樹脂の形状も特に限定されず、球状、異形状あるいは不定形でもよい。
粉材には、上記非架橋有機樹脂の他に、強度調節剤として、架橋型有機樹脂や無機粒子等の他の粉末を含有させても良い。架橋型有機樹脂や無機粒子を添加した場合は、得られる硬化体の靭性が低くなる場合があるので、その含有量は、一般的には、非架橋有機樹脂100質量部に対して70質量部以下、好ましくは0.01〜50質量部、更に好ましくは1〜30質量部の範囲である。
無機粒子としては、石英、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ゾルゲルシリカ等のシリカ類;沈降ジルコニア、ゾルゲルジルコニア等のジルコニア類;沈降チタニア、ゾルゲルチタニア等のチタニア類;シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ等の複合酸化物類;ケイ酸カルシウム、タルク等のケイ酸塩類等が挙げられる。これらのうちジルコニア類やシリカ−ジルコニア等は、X線像映性付与剤としても好適に機能する。
架橋型有機樹脂としては、架橋型のポリメチルメタクリレートやポリスチレン等が挙げられる。
また、これらの他の粉末は、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体とのなじみを良くする目的で疎水化処理を施したものでも良い。疎水化処理する方法も特に制限されるものではなく、公知の無機・有機粒子の疎水化処理方法に従って行えばよく、トリメトキシビニルシラン等のシランカップリング剤による処理;オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンによる処理;ヘキサアルキルジシラザン処理;シリコーンオイル処理等が挙げられる。
上記粉液型歯科用硬化性材料には、2種以上の成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が、前記i)液材及びii)粉材に成分を分けて配合される。こうした化学重合型ラジカル重合開始剤は、2種以上の成分からなり、これらが混合された際にラジカルが発生するタイプの公知のラジカル重合開始剤が制限なく使用できる。具体的には、有機過酸化物/アミン化合物、有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩からなるレドックス型の重合開始剤;酸(好適には酸性基含有重合性単量体)/酸と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤;及び(チオ)バルビツール酸誘導体/第二銅イオン/ハロゲン化合物からなる重合開始剤等が使用できる。これらは、必要に応じて複数を組合せて使用することができる。
上記のうちでも、有機過酸化物/アミン化合物、有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩等の有機過酸化物とアミン化合物とを組合わせたものが、上記アミン化合物が求核性基を有するため、前記液材に含有させる他のラジカル重合性単量体として、求核性基を有するものを配合した場合と同様の効果が発揮され、α−シアノアクリレートのアニオン重合による硬化性が高まるため好適である。ここで、有機過酸化物としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ジt−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。また、アミン化合物としては、アミノ基がアリール基に結合した第二級又は第三級アミン化合物類が好ましく、具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン等が好ましい。
化学重合型ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性単量体の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲であり、0.1〜7重量部の範囲がより好ましい。上記有機過酸化物とアミン化合物とを組合わせたレドックス型重合開始剤を用いる場合、アミン化合物の使用量は、低級アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
粉液型歯科用硬化性材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて様々な任意成分を含有させることができる。このような任意成分としては、重合触媒の助触媒等の重合促進剤、色素類、顔料等が挙げられる。また、N,N−ジメチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルミン等の求核性基を有する化合物を含有させておくことで、前記液材に含有させる他のラジカル重合性単量体として、求核性基を有するものを配合した場合と同様の効果が発揮され、α−シアノアクリレートのアニオン重合による硬化性が高まるため好適である。
これらの任意成分は、前記i)液材およびii)粉材のいずれかに、該材料中での安定性や分散性等を勘案して、より適した方に配合すれば良い。
これらの粉液型歯科用硬化性材料の使用は、使用直前に、上記i)液材とii)粉材とを、混和法または筆積み法により混合してペースト化し筆を用いて適用箇所に塗布すれば良い。液材と粉材の混合割合は、一般的には、i)液材の100質量部に対して、ii)粉材が1〜500質量部である。この混合比で液材と粉材とを混合したペースト中において、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体100質量部に対し、非架橋有機樹脂が1〜500質量部、ラジカル重合開始剤0.01〜25質量部が含有されるように、液材および粉材の組成を調製するのが好ましい。さらには、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体100質量部に対し、非架橋有機樹脂が10〜250質量部、ラジカル重合開始剤が0.1〜10質量部が含有されるように調製するのがより好ましい。混合ペースト中において、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体に対する非架橋有機樹脂の含有量が少なすぎると機械的強度やペーストの粘度上昇が不足し、逆に多すぎても得られるペースト性状が悪く操作性が低下する。
本発明の硬化速成補助剤は、上記粉液型歯科用硬化性材料と組合せて、歯科用硬化性材料キットの製品形態にするのが好ましい。より詳細には、(I)i)低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とする液材、及びii)上記i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、該i)液材及びii)粉材には2種以上の成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が成分を分けて配合されてなる粉液型歯科用硬化性材料、並びに
(II)請求項1記載の硬化速成補助剤
を組み合わせてなる歯科用硬化性材料キットである。なお、上記キット形態では、化学重合型ラジカル重合開始剤は、i)液材及びii)粉材に成分を分けて配合させているが、場合によっては該化学重合型ラジカル重合開始剤の構成成分は、これらi)液材及びii)粉材とは別包装にすることも可能である。
また、上記粉液型歯科用硬化性材料が、歯科矯正用ブラケットの歯牙表面への接着や動揺歯固定等に使用される接着性レジンセメントである場合、該歯科用硬化性材料を適用する歯面には、先に、エッチング処理するのが接着強度向上の観点から好ましいため、上記歯科用硬化性材料キットには、係るエッチング剤を構成部材として加えるのが好ましい。こうしたエッチング剤としては、リン酸および水を含むリン酸エッチング剤、酸性基を有するラジカル重合性単量体及び水を含んでなるセルフエッチングプライマー等が挙げられる。セルフエッチングプライマーとしては、特願平05−261215公報、特願平07−118498公報、特願平07−300207公報、特願平07−176479公報、特願平08−343334公報、特願平09−056677公報、特願2001−069855公報、特願2001−289846公報、特願2002−367079公報、特願2003−206802公報等に記載の従来公知のプライマー組成物を適宜選択して使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を(1)に、エナメル質接着強度の測定法を(2)に示した。
(1)使用した化合物とその略称
[ラジカル重合性単量体]
MMPS;2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MMA;メチルメタクリレート
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HBMA;2−ヒドロキシブチルメタクリレート
UDMA;1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサンと1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,4,4−トリメチルヘキサンの混合物
D2.6E;2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン]
[アリールボレート塩]
PhBTEOA;テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩
[バナジウム化合物]
BMOV;ビス(マルトラート)オキソバナジウム(4価)
[非架橋有機樹脂]
PMMA1;平均粒径30μm、比表面積0.4m/g、重量平均分子量25万の非架橋球状ポリメチルメタクリレート
PMMA2;PMMA1をボールミル処理して得た、平均粒径30μm、比表面積1.5m/gの非架橋球状ポリメチルメタクリレート
[重合開始剤]
BPO;過酸化ベンゾイル
DMPT;ジメチルアミノ−p−トルイジン
DMBE;N,N−ジメチル安息香酸エチル
実施例1
表1に示した組成1の粉材および液材からなる(I)歯科用硬化性材料を使用した。(II)硬化速成補助剤として、50質量部のメチルα−シアノアクリレートと50質量部のMMAの混合溶液を使用した。
上記(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材とをヘラを使用して、粉材1.3質量部と液材1.0質量部の割合で5秒間混合した。2枚のアクリル板(5cm×5cm×5mm)を用意し、その一辺の縁部(端から5mm幅)に、上記粉材と液材の混合ペーストを各盛り付け(1g)、それぞれのアクリル板を、粉材と液材の混和開始から20秒後に、該混合ペーストを盛り付けた縁部が重なるように圧接して保持した。直ちに、2枚のアクリル板を重ねた接合部周辺にはみ出した混合ペーストの食出部表面に、(II)硬化速成補助剤0.1gをマイクロピペットを用いて載せヘラを用いて展延して上塗りした。
(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から40秒後に、アクリル板の保持を解除し、2枚のアクリル板の片側を持ち持ち上げたところ、2枚のアクリル板は接合していた。
Figure 0005495688
比較例1
実施例1において、2枚のアクリル板を重ねた接合部周辺にはみ出した混合ペーストの食出部表面に(II)硬化速成補助剤の上塗りをしない以外は同様に実施した。
(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から45秒後にアクリル板の保持を解除し、2枚のアクリル板の片側を持ち持ち上げたところ、2枚のアクリル板は持ち上げた際に分離し、接合は不十分であった。
同様の試験を繰り返し、今度は(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から200秒後にアクリル板の保持を解除したが、この場合も2枚のアクリル板は分離した。さらに、(I)歯科用硬化性材料1の粉材と液材の混和開始から220秒後に保持を解除したところ、2枚のアクリル板は接合していた。
これらの結果から、(II)硬化速成補助剤の上塗りしない場合、2枚のアクリル板が接合するまでの保持が必要な時間は、(I)歯科用硬化性材料1の粉材と液材の混和開始から220秒後もかかることが判った。
実施例2
実施例1において、2枚のアクリル板を重ねた接合部周辺にはみ出した混合ペーストの食出部表面に、(II)硬化速成補助剤0.1gをマイクロピペットを用いて載せヘラで展延し、さらに数回ヘラで食出部分上を撫で返し、硬化速成補助剤と混合ペースト層を十分に混和させた。
(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から35秒後に、アクリル板の保持を解除し、2枚のアクリル板の片側を持ち持ち上げたところ、2枚のアクリル板は接合していた。
実施例3
表1に示した組成2の粉材および液材からなる(I)歯科用硬化性材料を使用した。(II)硬化速成補助剤として、50質量部のメチルα−シアノアクリレートと50質量部のMMAの混合溶液を使用した。
特開2004−43427号公報の実施例1に記載の歯科用プライマー(P1)(20質量部のPMと0.2質量部のBMOVと30質量部の水と3質量部のDMEMと10質量部のイソプロピルアルコールと35質量部のアセトンおよび2質量部のD2.6Eの混合物からなる組成)を抜去ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面全面に塗布し、20秒放置後、エアブロー処理した。
上記(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材とをヘラを使用して、粉材1.3質量部と液材1.0質量部の割合で5秒間混合した。歯科用金属ブラケット(スーパーメッシュ スタンダード エッジワイズ ブラケット、仕様018(上顎、中切歯)、トミー株式会社製)のベース面(面積:12mm)に、上記粉材と液材の混合ペーストを盛り付け(0.025g)、粉材と液材の混和開始から20秒後に、前記歯科用プライマー処理した抜去ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接し保持した。直ちに、ブラケットの外周にはみ出した混合ペーストの食出部分に、(II)硬化速成補助剤0.01gをマイクロピペットを用いて載せヘラで展延し、さらに数回ヘラで食出部分上を撫で返し、硬化速成補助剤と混合ペースト層を十分に混和させた。
(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から40秒後に、中切歯とブラケットの接着面が重力方向と水平となるように歯を垂直に立て、ブラケットのピンセットによる保持を解除した場合にブラケットのドリフト(重力方向にブラケットが歯面を滑り落ちること)が観察されなくなるまでの時間を測定した。ブラケットのドリフトは、(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から50秒後に観察されなくなった。すなわち、歯を垂直に立てた後((I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から40秒後)、ブラケットを圧接した位置に保持しておくのに必要な時間は10秒間でしかなかった。
実施例4
実施例3において、(I)歯科用硬化性材料として組成3の粉材および液材からなるものを使用する以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。ブラケットは、保持を解除した直後からドリフトしなかった(ドリフト時間40秒)。
この結果から明らかなように、歯を垂直に立てた瞬間から、ブラケットは、圧接した位置に保持しておく必要がないものであった。組成3の(I)歯科用硬化性材料は、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体以外にHEMAを5質量部含むものであり、このことから求核性基を有する(メタ)アクリレート系単量体を配合することにより、硬化速成化補助剤による硬化性の向上がさらに高まったことが確認できた。
実施例5
実施例3において、(I)歯科用硬化性材料として組成4の粉材および液材からなるものを使用する以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。
ブラケットのドリフトは、(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から40秒後に観察されなくなった。すなわち、歯を垂直に立てた瞬間から、ブラケットは、圧接した位置に保持しておく必要がないものであった。
実施例6
実施例3において、(I)歯科用硬化性材料として組成1の粉材および液材からなるものを使用する以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。ブラケットは、保持を解除した直後からドリフトしなかった(ドリフト時間40秒)。
この結果から明らかなように、歯を垂直に立てた瞬間から、ブラケットは、圧接した位置に保持しておく必要がないものであった。
実施例7
実施例3において、(II)硬化速成補助剤として、50質量部のエトキシエチルα−シアノアクリレートと50質量部のMMAの混合溶液からなるものを使用する以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。
ブラケットのドリフトは、(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から50秒後に観察されなくなった。すなわち、ブラケットを圧接した位置に保持しておくのに必要な時間は10秒間でしかなかった。
実施例8
実施例3において、中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接した後のブラケットの外周にはみ出した、混合ペーストの食出部分にマイクロピペットを用いて載せる(II)硬化速成補助剤の量を0.01gから0.001gに変更する以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。ブラケットのドリフト時間は55秒であった。
この結果から明らかなように、歯を垂直に立てた後、ブラケットを圧接した位置に保持しておくのに必要な時間は15秒であった。
比較例2
実施例3において、中切歯の唇面の非切削エナメル質面にブラケットを圧接した後のブラケットの外周にはみ出した混合ペーストの食出部分の表面に、(II)硬化速成補助剤を上塗り・混和しない以外は同様に実施して、ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接したブラケットのドリフト時間を測定した。ブラケットのドリフト時間は80秒であった。
この結果から明らかなように、歯を垂直に立てた後、ブラケットを圧接した位置に保持しておくのに必要な時間は40秒にも及んだ。
実施例9
表1に示した組成2の粉材および液材からなる(I)歯科用硬化性材料を使用した。(II)硬化速成補助剤として、50質量部のメチルα−シアノアクリレートと50質量部のMMAの混合溶液を使用した。
上記(I)歯科用硬化性材料の粉材の0.13gと液材の0.10gとを、ヘラを使用し5秒間混合した。得られた混和ペーストに0.09gの上記(II)硬化速成補助剤を更に添加し、5秒間混和した。実施例3で用いたのと同じ歯科用金属ブラケットのベース面に、上記(II)硬化速成補助剤を配合した(I)歯科用硬化性材料の混合ペーストを盛り付け(0.025g)、粉材と液材の混和開始から30秒後に、前記実施例3と同様の方法で歯科用プライマー処理した抜去ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接し保持した。
(I)歯科用硬化性材料の粉材と液材の混和開始から40秒後に、中切歯とブラケットの接着面が重力方向と水平となるように歯を垂直に立て、ブラケットのドリフト時間を測定したところ、ブラケットは、保持を解除した直後からドリフトしないものであった(ドリフト時間40秒)。すなわち、歯を垂直に立てた時から、ブラケットは、圧接した位置に保持しておく必要がないものであった。
実施例10
組成1〜4の(I)歯科用硬化性材料について、その粉材1.3質量部と液材1.0質量部とを、ヘラを使用して5秒間各混合した。次いで、実施例3で用いたのと同じ歯科用金属ブラケットのベース面に、上記粉材と液材の混合ペーストを夫々盛り付け(0.025g)、粉材と液材の混和開始から20秒後に、前記歯科用プライマー処理した抜去ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接した。直ちに、ブラケットの外周にはみ出した混合ペーストの食出部分に、(II)硬化速成補助剤0.01gをマイクロピペットを用いて載せヘラで展延し、さらに数回ヘラで食出部分上を撫で返し、硬化速成補助剤と混合ペースト層を十分に混和させた。このようにして各接着試験片を作製した。
それぞれの接着試験片について、37℃の水中に24時間浸漬した後、万能試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード1mm/minにてせん断接着強さを測定した。なお、試験片数は5とした。結果は、組成1は16.6±3.8PMaであり、組成2は16.7±3.2PMaであり、組成3は16.9±4.2PMaであり、組成4は16.6±2.9であった。
実施例11
歯科用金属ブラケットのベース面に、実施例7と同じ方法で調整した、(II)硬化速成補助剤を配合した(I)歯科用硬化性材料の混合ペーストを盛り付け(0.025g)、粉材と液材の混和開始から30秒後に、歯科用プライマー処理した抜去ヒト中切歯の唇面の非切削エナメル質面に圧接し保持して接着試験片を作製する以外は、実施例8と同様に実施した。そのせん断接着強さを測定したところ、16.2±4.6PMaであった。

Claims (3)

  1. (I)i)低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とし、かつ水酸基を有するラジカル重合性単量体を含んでなる液材、及びii)上記i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、該i)液材及びii)粉材には2種以上の成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が成分を分けて配合されてなる粉液型歯科用硬化性材料、並びに
    (II)α−シアノアクリレート系単量体を含んでなる速硬化性材料からなる、前記i)液材及びii)粉材との混合ペースト層に用いる硬化速成化補助剤を組み合わせてなる歯科用硬化性材料キット。
  2. (I)ii)粉材の主成分である、i)液材に膨潤または可溶性の非架橋有機樹脂が、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体の重合体である請求項1記載の粉液型歯科用硬化性材料キット。
  3. 化学重合型ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物とアミン化合物とを組合わせたレドックス型ラジカル重合開始剤である請求項1又は2に記載の粉液型歯科用硬化性材料キット。
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