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JP4966301B2 - 1液型歯科用接着性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科医療分野において使用される1液型歯科用接着性組成物に関するものであり、詳しくは、コンポジットレジン(歯の窩洞部分に充填される修復材料)や矯正用ブラケットを歯質に接着するための歯科用接着材或いは、これらの接着材を使用する前の歯質前処理材として使用される1液型歯科用接着性組成物に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯の修復には、メタクリレート化合物のような重合性単量体とフィラーとを主成分として含むコンポジットレジンと呼ばれる歯科用修復材料が用いられているが、近年では操作簡便性から、光重合開始剤が配合された光硬化性コンポジットレジンが広く用いられている。このコンポジットレジンは、一般に、歯の窩洞に充填された後に重合硬化されるが、この材料自体は歯牙への接着性を持たないため、コンポジットレジン用の歯科用接着材が併用される。この接着材には、硬化に際して発生する内部応力、即ち、歯質とコンポジットレジンとの界面に生じる引っ張り応力に打ち勝つだけの接着強度が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用によりコンポジットレジンが脱落する可能性があるのみならず、歯質とコンポジットレジンの界面で隙間を生じ、そこから細菌が進入して歯髄に悪影響を与える恐れがあるためである。
一方、歯列矯正用ブラケットも、歯科用接着材により歯質に接着される。このブラケット用接着材も、同様にその簡便性から、光硬化性のものが用いられるようになっている。光硬化性のブラケット用接着材は、歯面上にてブラケットの位置を決めたあと、任意のタイミングで光硬化させて接着でき、操作性に優れているという利点がある。その接着方法としては、ブラケットの所定の面にブラケット用接着材を塗布し、この塗布面を歯面に密着させた後、光硬化させる方法が一般的である。
しかしながら、コンポジットレジン用或いはブラケット用に使用される歯科用接着材は、主として酸性基含有重合性単量体、重合性単量体及び重合開始剤を構成成分とするものであるが、何れも、歯牙に対する接着性が十分でないという問題がある。そこで、コンポジットレジンやブラケットを歯質に対してしっかりと固定させるために、コンポジットレジン用接着材またはブラケット用接着材を歯質に塗布する前に、以下のような2段階での歯質前処理;
(1)リン酸、クエン酸、マレイン酸等の酸の水溶液(エッチング処理剤)を歯質表面に塗布して、硬い歯質をエッチングする、
(2)エッチング処理後、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等の両親媒性モノマー及び有機溶媒などを主成分とする液(浸透促進剤、プライマーとも呼ばれる)を塗布して、歯質の中へ浸透促進剤を浸透させる、
が一般に行われている。
即ち、歯の硬組織はエナメル質と象牙質からなり、臨床的には双方への接着が必要である。一般に、エナメル質における接着は、酸水溶液による脱灰によって生成する粗な面に接着材が浸透して硬化するというマクロな機械的嵌合であると言われているのに対し、象牙質における接着は、脱灰によって歯質表面に露出したスポンジ状のコラーゲン繊維の微細な隙間に接着材が浸透して硬化するミクロな機械的嵌合であると言われている。しかし、コラーゲン繊維への浸透はエナメル質表面ほど容易でないため、上記のようなエッチング処理を行ってエナメル質に対する接着性を向上させた後、浸透促進剤(プライマー)による浸透処理を行って象牙質に対する接着性を向上させるわけである。
このように、従来技術においては、エナメル質と象牙質の双方に対して良好な接着を得るために、歯科用接着材を塗布する前に2段階の前処理が必要であり、操作が煩雑であるという問題があった。
この操作の煩雑さの軽減を目的として、エナメル質や象牙質に対する脱灰機能(エッチング能)と象牙質に対する浸透性とを併せもつプライマー組成物は既に知られている(例えば特許文献1,特許文献2参照。)。
特開平6−9327号公報 特開平6−24928号公報
即ち、上記のプライマー組成物は、歯質脱灰性と象牙質に対する親和性を有するリン酸基、カルボン酸基等の酸性基を有する重合性単量体と、歯質脱灰に必用な水を主成分とするものであり、セルフエッチング性に加えて象牙質に対する浸透性を有するものであり、1段階の前処理で酸水溶液によるエッチング処理と象牙質への浸透促進処理の両方を行うことができるというものである。特に、特許文献2のプライマー組成物には、鉄化合物等の多価イオンを溶出する多価金属化合物が配合されており、特に高い接着強度を得ることができる。
なお、前述した浸透促進剤や上記のプライマー組成物自体には、通常、重合開始剤は配合されていないが、その上に塗布されるコンポジットレジン用接着材またはブラケット用接着材が光硬化反応する際に、該接着材で生じたラジカルが作用することにより、浸透促進剤中或いはプライマー組成物中に含まれる重合性単量体が重合硬化し、これにより、上記接着材が歯質に強固に接着固定することになる。
また、本出願人は、先に、前処理を必要としない簡便な操作で、エナメル質、象牙質双方に高い接着強度を与える歯科用接着材を提案した(特許文献3参照)。
特開平10−236912号公報
この歯科用接着材は、重合性単量体の一部として、上記プライマー組成物で使用されているような酸性基含有重合性単量体に加えて、歯質脱灰に必用な水と重合開始剤を含有しており、さらに、多価金属イオン溶出性を有するフィラー(例えばフルオロアルミノシリケートガラス)が配合されている。即ち、この歯科用接着材は、前述したプライマー組成物と同様の機能(歯質に対する脱灰機能や象牙質への浸透促進機能)を有していると同時に、その硬化に際して、重合性単量体のラジカル重合に加えて、酸性基含有重合性単量体、水および多価金属イオン溶出性フィラーの作用によるイオン架橋も併せて生じ、ラジカル重合とイオン架橋との相乗作用によりエナメル質、象牙質双方に高い接着強度を与え、この結果、この上にコンポジットレジンを強固に接着固定することが可能となるのである。
しかしながら、前述した特許文献1に開示されているプライマー組成物は、高い接着強度を確保するという点で未だ不満足であり、例えば、コンポジットレジンや矯正用ブラケットなどの接着固定に使用する歯科用接着材を高強度で歯質表面に固定させるという観点から、さらに高い接着強度が求められている。
また、特許文献2のプライマー組成物や特許文献3の接着材のように、イオン架橋を利用したものは、コンポジットレジンや矯正用ブラケットの歯質に対する接着強度を向上させることができるのであるが、保存安定性が悪いという問題がある。
即ち、多価イオン溶出性を有する多価イオン金属化合物やフィラーを酸性基含有重合性単量体と混合してワンパッケージの状態で保存するとゲル化を生じてしまい、このため、酸性基含有重合性単量体とを含む液と上記の金属化合物やフィラーを含む液との2液を調製し、ツーパッケージの形態で保存しておき、歯科医師が臨床に使用する直前にその場でかかる2液を混合して使用しなければならないという必要があった。このような使用時の混合は、歯科医師等にとって極めて煩雑な作業であり、また混合操作や混合時間など、混合条件には操作者によりある程度のばらつきは避けられず、習熟度を要する等の問題があった。
従って本発明の目的は、イオン溶出性の多価金属成分を含有しており、高い接着強度を確保することができ、しかも、ワンパッケージの形態で保存しておくことができ、歯質に対するエッチング処理能及び象牙質に対する浸透促進性を有している前処理材、特にコンポジットレジン或いは矯正ブラケット用接着材用の前処理材として使用可能な1液型歯科用接着性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前処理材を用いての処理を行うことなくコンポジットレジン用或いは矯正ブラケット用の歯科用接着材として使用可能であり、しかもワンパッケージの形態で保存しておくことが可能な1液型歯科用接着性組成物を提供することにある。
本発明者らは、多価イオン溶出性を有する化合物を含有する歯科用接着材組成物について鋭意研究を重ねた結果、希釈溶媒として揮発性の水溶性有機溶媒を使用し、さらに、多価金属イオン溶出性フィラーから溶出する多価金属イオンの量及び水溶性有機溶媒の量が一定の条件を満足するような組成とすることにより、高い接着強度を確保することが可能となるばかりか、優れた保存安定性を得ることができ、使用直前に2液を混合するような操作を必要とせず、ワンパッケージの形態で保存可能な1液型歯科用接着性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
(A)酸性基含有重合性単量体を5質量%以上含む重合性単量体成分;
(B)多価金属イオン溶出性フィラー;
(C)揮発性の水溶性有機溶媒;
(D)水;
を含有し、
前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)は、該フィラーから溶出する多価金属イオン量が、前記重合性単量体成分(A)1g当り1.0〜7.0meqとなるような量で配合され、
前記揮発性有機溶媒(C)は、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り30〜150質量部の範囲で且つ下記式(I):
α≧20・X …(I)
式中、αは、前記水溶性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)
100質量部当りの配合量であり、
Xは、前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)から溶出する多価金属イオン量であって、前記重合性単量体成分(A)1g当りの量(meq)を示す数である、
で表される条件を満足するような量で配合され、
前記水(D)は、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り3〜30質量部の量で配合されていることを特徴とする1液型歯科用接着性組成物が提供される。
本発明の1液型歯科用接着性組成物は、歯質に対する脱灰機能や該歯質(特に象牙質)への浸透促進機能に優れているため、歯科用接着材を塗布する前のエッチング処理と浸透促進処理との2段の前処理を一段階で行う歯質前処理材として使用することができる。また、さらに(E)光重合開始剤を配合することにより、歯質前処理材による前処理を行うことなく、歯科用接着材としてそのまま使用することができる。
本発明の1液型歯科用接着性組成物においては、
(1)さらに、(F)多価金属イオン非放出性無機充填剤を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り、2〜20質量部含んでいること、
(2)前記重合性単量体成分(A)中の酸性基含有重合性単量体が、リン酸基を含有する重合性単量体であること、
(3)前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)は、該フィラー0.1gを10重量%マレイン酸水溶液10mlに加えて23℃で24時間保持したときの多価金属イオン溶出量が、5.0〜500meq/g−フィラーを示すものであること、
(4)前記多価金属イオン溶出性フィラーの平均粒子径が、0.01〜5μmであること、
が好適である。
また、本発明の1液型歯科用接着性組成物においては、例えば前処理剤の使用形態であれば、その上に塗布される歯科用接着材或いは歯科用修復材料(コンポジットレジン)などの重合性組成物の硬化反応時に、酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分が重合硬化する。そして、この硬化反応に加えて、酸性基含有重合性単量体由来の酸性基、水、および多価金属イオン溶出性フィラーの作用によるポリマー鎖のイオン架橋も合わせて生じ、重合硬化とイオン架橋との相乗効果により、エナメル質、象牙質双方に対して、強固な接着力が発揮され、例えばコンポジットレジンや歯列矯正用ブラケットを歯質に対して強固に接着固定することが可能となる。
さらに、本発明の1液型歯科用接着性組成物において、最大の特徴は、多価金属イオン溶出性フィラーから溶出する多価金属イオンの量が所定量となるように調整されていると同時に、溶出する多価金属イオンが揮発性の水溶性有機溶媒(希釈溶媒)によって適当な濃度範囲に調整されている点にあり、これにより、保存時におけるイオン結合によるゲル化の程度が問題のないレベルに抑制され、ワンパッケージでの保存が可能となっている。しかも、揮発性の水溶性有機溶媒を用いて溶出した多価金属イオンを希釈しているため、使用時には、この組成物を歯面に塗布した後にエアブローすることにより、該水溶性有機溶媒を容易に揮散させることができ、短時間で多価金属イオンによるイオン結合が強固なものとなるように濃縮することができ、その後のラジカル重合による接着と、重合した酸性基含有重合性単量体のイオン架橋による接着との相乗効果はほとんど損なわれることなく発揮され、エナメル質、象牙質双方に対して高い接着強度を確保することが可能となる。
本発明の1液型歯科用接着性組成物は、基本成分として、(A)重合性単量体成分、(B)多価金属イオン溶出性フィラー、(C)揮発性の水溶性有機溶媒及び(D)水を含有するものであり、ワンパッケージの形態で保存される1液型の歯質前処理材として使用されるが、さらに(E)光重合開始剤を配合して、コンポジットレジンや歯列矯正用ブラケット等を歯質に接着固定するための歯科用接着材として使用することもでき、また、何れの用途に使用される場合にも、歯科の分野において、それ自体公知の各種配合剤を配合することができる。
<重合性単量体成分(A)>
本発明において、重合性単量体成分(A)(以下、単に「単量体成分」と呼ぶ)は、この接着性組成物の上に施される各種材料、例えば歯列矯正用ブラケットやコンポジットレジンを接着固定するために使用される歯科用接着材、或いはコンポジットレジン等に対する接着性を付与するために使用される成分であるが、歯質に対するエッチング処理能を発現させるため、少なくとも重合性単量体成分(A)中の5質量%以上は、酸性基含有重合体(A1)であることが必要である。即ち、酸性基含有重合体(A1)の量が少ない場合には、この接着性組成物は、歯質に対して十分なエッチング処理能を示さないため、歯質に対して十分な接着強度を確保するためには歯質の前処理が必要となってしまうからである。
また、単量体成分(A)は、全てが酸性基含有重合体(A1)であってもよいが、接着界面の強度及び前処理材の歯質に対する浸透性を調節し、歯質に対してより優れた接着強度及び接着耐久性を得る為に、酸性基を有しない重合性単量体(A2)を更に含むのが好適である。
例えば、単量体成分(A)中の酸性基含有重合体(A1)の含有割合は、本発明の接着性組成物を歯質前処理材として使用するときには、5〜80質量%、特に20〜70質量%の範囲にあることが望ましく、歯科用接着材として使用する時には、5〜50質量%、特に10〜30質量%の範囲にあることが好適であり、何れの場合も、残部が酸性基を含有していない重合性単量体(A2)である。即ち、何れの場合も、酸性基含有重合性単量体(A1)の配合量が少ないと、エナメル質に対する接着強度が低下する傾向があり、逆に多いと象牙質に対する接着強度が低下する傾向がある。尚、歯科用接着材として使用する場合には、それ自体にコンポジットレジンや歯列矯正ブラケットなどに対して十分な接着性を持たせるため、酸性基を含有していない重合性単量体(A1)の使用量が、歯質用前処理材として使用する場合よりも多くなっている。
酸性基含有重合性単量体(A1):
本発明において、酸性基含有重合性単量体(A1)は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を持つ化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。
このような単量体(A1)が分子中に有している酸性基としては次に示すようなものを挙げることができる。
酸性基の例;
Figure 0004966301
また、単量体(A1)が分子中に有している重合性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、エチニル基、スチリル基のようなものを挙げることができる。
本発明において、上記のような酸性基及び重合性不飽和基を分子中に有している重合性単量体(A1)の具定例としては、下記式で表される化合物が代表的である。
酸性基含有重合体(A1)の代表例;
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
但し上記化合物中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
また、上記の化合物以外にも、ビニル基に直接ホスホン酸基が結合したビニルホスホン酸類や、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸等を酸性基含有重合体(A1)として使用することができる。
挙げることができる。
上記で例示した酸性基含有重合体(A1)は、それぞれ単独で又は二種以上を混合して用いることができるが、これらの中でも分子内における酸の価数が2価以上の化合物(多塩基酸化合物)を使用することが、後述する多価金属イオン溶出性フィラー(B)から放出される多価金属イオンとのイオン結合性を高め、強固な接着強度を得るという観点から好ましい。このような多塩基酸化合物は、分子内に1価の酸基を2個以上有するものであってもよいし、2価以上の酸基を分子中に少なくとも1個有するものであってもよい。但し、このような多塩基酸化合物のみを酸性基含有重合性単量体(A1)として用いた場合、強度向上の観点からは好ましいが、1液状態での保存安定性は若干低下する傾向がある。従って、多塩基酸化合物と、分子内における酸の価数が1価の酸性化合物とを併用することが、接着強度と保存安定性とを両立させる上で、より好適である。
また、酸性基含有重合性単量体(A1)として上記のように多塩基酸化合物と1価酸性化合物とを併用する場合、何れの化合物も、酸性基としてリン酸系の酸基(例えば、−O−P(=O)(OH)、(−O−)P(=O)OH等)を含有しているものであることが最も好適である。このような組み合わせで酸性基含有重合性単量体(A1)が使用されている系では、歯質に対する脱灰作用(主に酸性度の強いリン酸系の酸基によるものと思われる)が高いばかりでなく、本質的に歯質等に対する結合力も高く、特に高い接着強度が得られ、更に1液状態での保存安定性も良好なものが得られる。
さらに、硬化速度の観点からは、酸性基含有重合性単量体(A1)は、重合性不飽和基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基を有する化合物であることが好適である。
酸性基を含有していない重合性単量体(A2):
単量体(A1)と併用され得る酸性基を含有していない重合性単量体(A2)は、酸性基を含有しておらず且つ分子中に少なくとも一つの重合性不飽和基を有しているという条件を満足している限り、公知の化合物を何等制限無く使用できる。かかる重合性単量体が有している重合性不飽和基としては、前述した単量体(A1)で例示したものと同様のものを挙げることができるが、特にアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましい。
このような重合性単量体(A2)の代表例としては、以下の(メタ)アクリレート系単量体を挙げることができ、これらは1種単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
1.モノ(メタ)アクリレート系単量体;
メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、
2−シアノメチル(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
アリル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
グリセリルモノ(メタ)アクリレート
2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート等。
2.多官能(メタ)アクリレート系単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、
2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、
ウレタン(メタ)アクリレート、
エポキシ(メタ)アクリレート等。
また、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を混合して用いることも可能である。このような他の重合性単量体としては、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン系化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物;などを挙げることができる。これらの他の重合性単量体は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
また、本発明において、重合性単量体(A2)として疎水性の高い重合性単量体を用いる場合には、併せて2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の両親媒性の単量体を使用することが好適である。このような両親媒性の単量体の併用により、本発明の接着性組成物の必須成分である水の分離を防止し、組成の均一性を確保することができ、安定して高い接着強度を得ることができるからである。
<多価金属イオン溶出性フィラー(B)>
本発明において用いられる多価金属イオン溶出性フィラー(以下、単に多価金属フィラーと呼ぶ)は、接着層の機械的強度を向上させる為のフィラーとしての機能と共に、酸性基含有重合性単量体の重合物とイオン架橋させる為の多価金属イオンを溶出させる機能を有する。既に述べたように、本発明においては、重合硬化とイオン架橋との相乗効果により高い接着強度を確保することができるのであり、このようなイオン架橋の形成のために、成分(B)として多価金属フィラーを使用するわけである。
本発明においては、この接着性組成物中に多価金属フィラー(B)から溶出する多価金属イオンの量が、前述した単量体成分(A)1g当たり、1.0〜7.0meqとなるように調整されていることが重要である。即ち、単量体成分(A)1g当たりの多価金属イオン溶出量が上記範囲に調整されていることにより、適度なイオン架橋により歯質との界面に強固な接着層を形成することが可能となるのである。多価金属イオンの溶出量が、上記範囲よりも少ない場合には、イオン架橋が不十分になり、歯質に対する接着強度が低下してしまう。また、上記範囲よりも多い場合には、酸性基含有重合体(A1)による歯質脱灰力が低下するばかりか、ワンパッケージでの保存安定性を確保するために必要な揮発性の水溶性有機溶媒(C)の量が多量となってしまい、接着性組成物を歯質表面に塗布し、エアブロー処理を行った後に歯質との界面部分に存在する接着性成分が不足しがちとなり、何れの場合においても接着強度が低下する原因となる。
ここで、多価金属イオンとは、前記重合性単量体(A1)が有している酸性基と結合可能な2価以上の金属イオンのことであり、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ランタノイド等が代表的である。特に接着強度の観点から、少なくともアルミニウム等の3価のイオンを含有していることが好ましい。
また、多価金属フィラー(B)は、上記の多価金属イオンを上述した範囲内で溶出し得る限り、ナトリウム等の一価の金属イオンを含有していても良いが、一価の金属イオンをあまり多量に含有していると多価金属イオンのイオン架橋性にも影響するため、一価の金属イオンは、できるだけ含有量が少ないのが好ましく、通常は、一価金属イオン含量が、多価金属イオンの含有量の10モル%以下、特に5モル%以下のものが好適である。
尚、本発明において、多価金属フィラー(B)から接着性組成物中に溶出する多価金属イオン量(meq)は、溶出した多価金属イオンによる単量体(A)成分とのイオン結合量を、単量体成分(A)1g当りのミリ当量に換算して表したものであり、単量体成分(A)1g当りの各多価金属イオン濃度(mmol/g)にそれぞれの金属イオンの価数をかけて得られる値の総和である。また、各イオン濃度はICP発光分光分析や原子吸光分析等で測定することができる。
また、多価金属フィラー(B)からの多価金属イオンの溶出は、通常、接着性組成物を調整後、室温(23°C)にて3時間〜12時間ほどで全て溶出される。故に、上記多価金属イオン量とは、室温(23°C)にて調整24時間後の多価金属イオン量と実質的に等しく、多価金属フィラー(B)成分中に含まれる総多価金属イオン量と接着性組成物中の単量体成分(A)含量とから算出することができる。
本発明において使用する多価金属フィラー(B)は、前述した範囲の量の多価金属イオンを溶出し得るものであれば特に限定されないが、多価金属イオンが、該多価金属イオンと同時に溶出可能なカウンターアニオンの塩として含まれている場合、溶出−解離したカウンターアニオンが接着強度に悪影響を与える恐れがある。従って、本発明では、多価金属イオンのカウンターアニオンが同時に溶出しないような多価金属フィラー(B)を用いるのが好ましい。このような条件を満足する多価金属フィラーとしては、鎖状、層状、網様構造の骨格を有するガラス類において、その骨格の隙間に多価金属イオンを含有したものを挙げることができる。
上記のようなガラス類としては、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスなどの酸化物ガラス成分を含有するものや、フッ化ジルコニウムガラス等のフッ化物ガラス成分を含有するものが好適である。即ち、これらの成分を含有するガラス類からなる多価金属フィラー(B)は、多価金属イオンを溶出させた後は、網様構造を有する多孔性の粒子となり、接着性組成物の硬化物強度を向上させる作用を有する。
本発明においては、特に硬化体強度の向上の点でアルミノシリケートガラスからなる多価金属フィラー(B)がより好適に使用され、さらには、歯質を強化するフッ化物イオンを接着後に徐々に放出するという所謂フッ素徐放性を有するフルオロアルミノシリケートガラスからなる多価金属フィラー(B)が最も好適に用いられる。
多価金属フィラー(B)における多価金属イオンの溶出特性は、該フィラー中に含まれる各種元素の配合比で制御することができる。例えば、アルミニウム、カルシウム等の多価金属イオンの含有率を多くすればこれらの溶出量は一般に多くなるし、また、ナトリウムやリンの含有率を変えることにより多価金属イオンの溶出量を変えることもできるので、多価金属イオンの溶出特性を比較的容易に制御することができる。
また、多価金属フィラー(B)の溶出特性は、一般に知られている方法を用いて制御することもでき、代表的な方法として、多価金属フィラー(B)を酸で処理することにより、フィラー表面の多価金属イオンをあらかじめ除去し、溶出特性を制御する方法が知られている。この方法に用いられる酸は塩酸、硝酸等の無機酸、マレイン酸、クエン酸等の有機酸など一般的に知られている酸が用いられる。酸の濃度、処理時間等は除去するイオンの量によって適宣決定すればよい。
また、本発明において多価金属フィラー(B)として好適な上記フルオロアルミノシリケートガラスは、歯科用セメント、例えば、グラスアイオノマーセメント用として使用される公知のものが使用できる。一般に知られているフルオロアルミノシリケートガラスは、イオン質量%で表して、下記の組成を有している。
珪素;10〜33%、特に15〜25%
アルミニウム;4〜30%、特に7〜20%
アルカリ土類金属;5〜36%、特に8〜28%
アルカリ金属;0〜10%、特に0〜10%
リン;0.2〜16%、特に0.5〜8%
フッ素;2〜40%、特に4〜40%
酸素;残量
また、上記のアルカリ土類金属中のカルシウムの一部又は全部を、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムで置き換えたものも好適である。さらに、上記のアルカリ金属はナトリウムが最も一般的であるが、その一部または全部をリチウム、カリウム等で置き換えたものも好適である。更に必要に応じて、上記アルミニウムの一部をチタン、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン等で置き換えたガラスを多価金属フィラー(B)として使用することも可能である。
本発明に用いられる多価金属フィラー(B)の粒子形状は特に限定されず、通常の粉砕により得られるような粉砕形粒子、あるいは球状粒子でもよく、必要に応じて板状、繊維状等の粒子を混ぜることもできる。
また、上述した多価金属フィラー(B)は、該フィラーが均質に分散された接着性組成物を容易に製造できるという観点から、例えばレーザ回折散乱法で測定した体積換算での平均粒子径(D50)が0.01μm〜5μm、特に0.05μm〜3μm、最も好適には0.1μm〜2μmの範囲にあるのがよい。更に、多価金属イオン溶出量を前述した範囲に容易に調整できるという観点から、該フィラー0.1gを、10重量%マレイン酸水溶液10ml中に温度23°Cで24時間浸漬保持した時に溶出した多価金属イオンの量が、5.0〜500meq/g−フィラー、特に10〜100meq/g−フィラーであるものが好適である。この時の多価金属イオン量も、ICP発光分光分析や原子吸光分析等で測定することができる。なお、上記の条件下における24時間後の多価金属イオンの溶出量を、以下、「24時間溶出イオン量」ともいう。
<水溶性有機溶媒(C)>
本発明においては、上述した量で使用される多価金属フィラー(B)から溶出する多価金属イオンに由来するゲル化を防止し、保存安定性を向上させるために、揮発性の水溶性有機溶媒(C)を使用する。即ち、この水溶性有機溶媒(C)によって、溶出する多価金属イオンを特定の濃度に希釈することにより、この組成物を、全ての成分が配合された1液状態(即ち、ワンパッケージの形態)で保存することが可能となるのである。
このような水溶性有機溶媒(C)は、前述した単量体成分(A)100質量部当り30〜150質量部の範囲で且つ、下記式(I):
α≧20・X …(I)
式中、αは、前記水溶性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)
100質量部当りの配合量であり、
Xは、前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)から溶出する多価金属イオン量であって、前記重合性単量体成分(A)1g当りの量(meq)を示す数である、
で表される条件を満足するような量で配合されていることが必要である。即ち、水溶性有機溶媒(C)の配合量が30質量部未満では、この接着性組成物の歯質への浸透性が低下し、十分な接着力が得られなくなり、その配合量が150質量部を越えると、過度のエアブローをしなければ有機溶媒が歯面に残留するようになり十分な接着力が得られなくなるばかりか、接着成分の濃度が希薄となっている為、エアブロー処理後に歯質表面に残る処理層中の接着成分が不足しがちとなり、接着強度が低下する。
また、この水溶性有機溶媒(C)の配合量が30〜150質量部の範囲にあったとしても、式(1)の条件を満足していない場合には(即ち、α<20・Xの場合)、多価金属イオンの希釈の程度が低く、このため、ゲル化を生じてしまい、この結果、全ての成分が配合されたワンパッケージの形態での保存が不可能となる。
本発明においては、特に歯質に対して高い接着強度を得るという観点からは、上記の水溶性有機溶媒(C)の配合量は、60〜100質量部の範囲とすることが好ましく、さらに、保存安定性を高めるという観点からは、この配合量は、下記式(II):
α≧25・X …(II)
式中、α及びXは、式(I)で示した通り、
を満足しているのがよい。
また、本発明の接着性組成物は、歯質用前処理材或いは歯科用接着材の何れの用途に適用される場合にも、この組成物を歯質表面に塗布後、エアブローによって水溶性有機溶媒(C)を揮発させる。即ち、水溶性有機溶媒(C)の揮発により、歯面に有効成分が濃縮され、酸性基含有重合性単量体と多価金属イオン間でのイオン架橋が促進され、歯質表面に対して優れた接着強度を得ることができるわけである。従って、本発明において使用する水溶性有機溶媒(C)は、水溶性を有していると同時に、室温で揮発性を有するものでなければならない。
尚、本明細書において、「揮発性」とは、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃における蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。また、「水溶性」とは、20℃での水への溶解度が20g/100ml以上であることを言う。
このような揮発性の水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する毒性を考慮すると、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンが好ましい。
<水(D)>
本発明において、成分(D)の水は、各種成分を均一に分散させるための溶媒としての機能を有すると同時に、歯質の脱灰や、酸性基含有重合性単量体(A1)と多価金属フィラー(B)とのイオン結合の促進の為に必要である。この水は、貯蔵安定性及び医療用成分に有害な不純物を実質的に含まない蒸留水や脱イオン水が好適に使用される。
このような成分(D)の水の添加量は、前記単量体成分(A)100質量部当り、3〜30質量部、特に5〜25質量部である。水の添加量がこの範囲よりも少ないと、歯質の脱灰やイオン架橋が不十分となり、高い接着強度を得ることができない。また、上記範囲よりも多量に使用されると、この接着性組成物を歯面に塗布した後のエアブローによる除去性が低減し、歯面に水が多く残存するようになり、十分な接着力が得られなくなる。
<光重合開始剤(E)>
本発明の接着性組成物は、既に述べたように、歯質用前処理材や歯科用接着材として使用することができるが、歯科用接着材として使用する場合には、それ自体を硬化させるために、光重合開始剤(E)を配合することが必要である。
このような光重合開始剤(E)としては、そのもの自身が光照射によってラジカル種を生成する化合物や、このような化合物に重合促進剤を加えた混合物が使用される。
それ自身が光照射にともない分解して重合可能なラジカル種を生成する化合物としては、以下のものを例示することができる。
α−ジケトン類;
カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、
ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、
3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等。
チオキサントン類;
2,4−ジエチルチオキサントン等。
α−アミノアセトフェノン類;
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等。
アシルフォスフィンオキシド誘導体;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等。
また、上記した重合促進剤としては、第三級アミン類、バルビツール酸類、メルカプト化合物などが使用される。その具体例は以下の通りである。
第三級アミン類;
N,N−ジメチルアニリン、
N,N−ジエチルアニリン、
N,N−ジ−n−ブチルアニリン、
N,N−ジベンジルアニリン、
N,N−ジメチル−p−トルイジン、
N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、
p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、
m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、
p−ジメチルアミノアセトフェノン、
p−ジメチルアミノ安息香酸、
p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、
p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、
N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、
N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、
N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、
p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、
p−ジメチルアミノスチルベン、
N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、
4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、
N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、
トリブチルアミン、
トリプロピルアミン、
トリエチルアミン、
N−メチルジエタノールアミン、
N−エチルジエタノールアミン、
N,N−ジメチルヘキシルアミン、
N,N−ジメチルドデシルアミン、
N,N−ジメチルステアリルアミン、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等。
バルビツール酸類;
5−ブチルバルビツール酸、
1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等。
メルカプト化合物;
ドデシルメルカプタン、
ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等
このような光重合開始剤(E)の配合量は、この接着性組成物を硬化できるだけの有効量であれば特に限定されず、適宜設定すれば良いが、一般的には、単量体成分(A)100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部の範囲とするのがよい。0.01質量部未満では重合が不十分になり易く、10質量部を越えると、生成重合体の強度が低下し好ましくない。
<無機充填材(F)>
本発明の接着性組成物には、硬化後の前処理層或いは接着材層の強度を高めるために、無機充填剤(F)を添加することができる。この無機充填材(F)は、多価金属イオンを溶出するものではない点で、前述した多価金属フィラー(B)と区別されるものであり、シリカ、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・アルミナなどの複合無機酸化物からなるものが好適に使用される。
このような無機充填剤(F)の粒径は特に制限されないが、好ましくは1次粒径が5μm以下、より好ましくは0.001〜1μm、もっとも好ましくは0.01〜0.5μmである。また、粒子形状は何ら制限されず、不定形、球状の何れであってもよい。
これらの無機充填剤(F)は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することで重合性単量体成分(A)とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性をさらに向上させることができる。
このような疎水化に使用されるシランカップリング剤としては、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、
トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
ヘキサメチルジシラザン、
などが好適に用いられる。
これらの無機充填剤(F)の添加量は、通常、単量体成分(A)100質量部当り、2〜20質量部の範囲、特に5〜10質量部の範囲が好適である。この範囲よりも少ない場合には、強度向上効果が十分に得られず、この範囲よりも多量に使用されると、粘度が上昇し、歯質への浸透性が阻害され歯質接着強度の向上効果が十分に得られなくなる。
<その他の配合剤>
本発明の1液型歯科用接着性組成物には、その性能を低下させない範囲で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。また、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を、必要に応じて選択して使用することもできる。
また、本発明の接着性組成物は、前処理材として用いた場合、これを歯質表面に塗布したとき、この塗布面は接着材やコンポジットレジンなどで覆われるため、硬化時に空気中の酸素の影響を殆ど受けず、空気中の酸素が接着力に影響を及ぼすものでは無いが、この組成物中に溶存する酸素による硬化阻害などを最小限に抑えるために、前出の第三級アミンを添加することもできる。
<接着性組成物>
本発明の1液型歯科用接着性組成物は、多価金属イオンの溶出によるゲル化が有効に抑制され、保存安定性に優れているため、上述した各成分を所定量で混合し、1液の状態、即ち、ワンパッケージの形態で保存されて使用に供される。即ち、使用に際して、各成分を混合する面倒な操作は必要でなく、歯科医師などの労力を軽減し、しかも、安定して一定の接着強度を確保することができる。各成分の混合方法は、歯質用前処理材や歯科用接着材で採用されている公知の方法に従えばよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合すればよい。
このようにして得られる本発明の接着性組成物において、例えば前述した光重合開始剤(E)が配合されていないタイプのものは、歯質前処理材として使用され、歯科治療分野における歯質への接着対象物の接着力を向上させることができる。本発明の接着性組成物を前処理材として使用した場合には、歯質のエッチング処理及び歯質への浸透促進処理という2段の前処理を、この前処理材のみで一段で行うことができる。
即ち、本発明の接着性組成物は、セルフエッチングプライマー組成物として、コンポジットレジンやブラケットの他、補綴物の歯質への接着に際して利用できる。例えば、コンポジットレジン用接着材またはブラケット用接着材、補綴物用接着材の塗布前に、歯質に塗布して使用すればよい。ここで、コンポジットレジン用接着材やブラケット用接着材、或いは補綴物用接着材は、化学重合型のものであっても良いが、中でもコンポジットレジン用接着材やブラケット用接着材は操作簡便性等から、光重合開始剤が配合された光硬化型のものが好ましい。こうした光硬化型のコンポジットレジン用接着材またはブラケット用接着材としては、従来公知のものが何ら制限無く利用できるが、例えばコンポジットレジン用接着材としては、特開平6−9327号公報、特開平6−24928号公報、特開平8−319209号公報等に記載のものが利用できる。また、ブラケット用接着材としては、例えば、特表2005−529637号公報、特表2004−510796号公報、特開平5−85912号公報等に記載のものが利用できる。或いは、後述するようなコンポジットレジンをブラケット用接着材として用いても良い。
また、上記のような前処理材として使用される本発明の接着性組成物は、歯質の修復部に対して、歯科用接着材を施さないで使用されるコンポジットレジンの充填前にも良好に使用できる。この使用態様は、コンポジットレジンが光硬化型である場合において、特に優れた操作性が得られて好ましい。具体的には、歯面に対して前処理材を塗布し、これを光硬化させることなく、その塗布面に光硬化型コンポジットレジンを充填して光硬化することで、該光硬化型コンポジットレジンだけでなく、その下層の前処理材層も同時に光硬化させる態様として実施される。この場合、前処理材の光硬化及び光硬化型コンポジットレジンの光硬化の2回の光照射を必要としていたものに対し、1回の光照射で該光硬化型コンポジットレジンの歯質への接着が可能になり、操作性が大きく改善される。この態様に使用する光硬化型コンポジットレジンとしては、例えば、
特開2005−089729号公報、特開2001−139411号公報、特開2000−026226号公報、特開平10−114616号公報、特開平06−157230号公報等に開示されている。
また、本発明の接着性組成物は、前述した光重合開始剤(E)を配合して、歯科用接着材として、コンポジットレジンや歯列矯正用ブラケットなどの接着固定に使用することもできる。このような接着材として使用した場合には、歯質の前処理は、この接着材自体で行われるため、前処理材を使用する必要はなく、歯科医等の労力を一層軽減し、しかもバラツキがなく安定して一定の接着強度を確保することができる。
以下本発明を実験例により具体的に説明するが、本発明はこれら実験例により何等制限されるものではない。
尚、実験例(I)は、本発明の接着性組成物を歯質用前処理材として使用したときの効果を示すものであり、実験例(II)は、本発明の接着性組成物を歯質用前処理材として使用したときの効果を示すものである。
各実験例中に示した、略称、略号、接着強度測定方法、保存安定性評価方法、及び多価金属イオン量測定方法については以下の通りである。
重合性単量体成分(A)
[酸性基含有重合性単量体(A1)]
PM:
2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートとの2:1の混合物
MDP:
10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10:
11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
4−META:
4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸
[酸性基を含有しない重合性単量体(A2)]
D26E:
2,2′−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン
BisGMA:
2,2′−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
3G:
トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:
2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:
メチルメタクリレート
AAEM:
2−メタクリルオキシエチルアセチルアセテート
多価金属フィラー(B)
MF1:
製造例1で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:10meq/g−フィラー)
MF2:
製造例2で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:25meq/g−フィラー)
MF3:
製造例3で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:50meq/g−フィラー)
揮発性の水溶性有機溶媒(C)
Et−OH:
エチルアルコール
IPA:
イソプロピルアルコール
アセトン
重合開始剤(E)
CQ:
カンファーキノン
DMBE:
p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DMPT:
N,N−ジメチル−p−トルイジン
MDEOA:
メチルジエタノールアミン
TPO:
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
BDTPO:
ビス(2,6−ジメトキシベンソイル)−2,4,6−トリメチルフェニルホスフィンオキサイド
TAZ:
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン
IMDPI:
4−メチルフェニル−4′−イソプロピルフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
重合禁止剤
HQME:
ハイドロキノンモノメチルエーテル
BHT:
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
無機充填剤(F)
Si−Ti:
粒径0.08μmの球状シリカ−チタニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)
F1:
粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
F2:
粒径0.4の球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)と、粒径0.08μmの球状シリカ−チタニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)との質量比70:30の混合物
F3:
粒径6μmの粉砕石英(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)と、前記非晶質シリカ(F1)との質量比70:30の混合物
コンポジットレジン接着強度測定方法
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注水下、#600のエメリーペーパーで唇面(labial face)に平行になるようにエナメル質平面まで削り出したエナメル質接着強度試験用歯を作製した。また、同様に、象牙質平面まで削り出した象牙質接着強度試験用歯を作製した。
次に、上記の各試験用歯の削りだされた面に、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで直径8mmの貫通孔の開いたパラフィンワックス(厚さ0.5mm)を上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。
歯質用前処理材としての評価を行う実験例(I)では、上記の模擬窩洞内に、各実験で調製された接着性組成物(前処理材)を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次いで、その上に後述する製造例で調製された歯科用コンポジットレジンを充填し、可視光線照射器(トクヤマデンタル社製パワーライト)により30秒間光照射して、接着試験片を作製した。
また、接着材としての評価を行う実験例(II)では、この模擬窩洞内に各実験で調製された接着性組成物(接着材)を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に、上記と同様、可視光線照射器にて10秒間光照射し接着材を硬化させた。次いで、その上に歯科用コンポジットレジン(パルフィークエステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片を作製した。
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4つの試験片について、引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を、エナメル質或いは象牙質に対する接着強度として、コンポジットレジンの接着強度を評価した。
歯列矯正ブラケットの接着強度測定方法
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、唇面を歯面研磨剤(ネオ製薬株式会社製)で研磨し、水道水で洗浄後圧縮空気を吹き付けて乾燥させた。
実験例(I)での各実験で調整された接着性組成物(前処理材)を、上記の研磨面に塗布し、20秒放置後圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。この前処理材の塗布面に、金属製矯正ブラケット(中切歯用、デンツプライ三金製)の接着基部(面積;10.5mm)に矯正用接着材を塗布したものを圧接し、はみ出した余剰の接着材をピンセットの先で除去した。その後、ブラケットの近心及び末端側を20秒ずつ可視光線照射器(トクヤマデンタル社製パワーライト)で光照射して接着試験片を作製した。
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、0.50mmの丸ステンレスワイヤーをブラケットウイングにループ連結し、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙と矯正ブラケットの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4つの試験片について、引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を、歯列矯正ブラケットの接着強度とした。
保存安定性評価方法
接着性組成物を調整後、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存した後、この組成物を用いて、上記した接着強度測定方法と同様の方法を用いて接着強度を測定し、37℃保存前の組成物の接着強度(初期接着強度)と比較した。
多価金属イオン量測定方法
各成分を配合して接着性組成物を調製し、24時間攪拌した後、100mlのサンプル管に接着性組成物を0.2g計り取り、イソプロパノールを用いて1%に希釈した。この希釈液を、ICP(誘導結合型プラズマ)発光分光分析を用いて、重合性単量体成分(A)1g当りのAl、La、Caイオン濃度(mmol/g)を測定した。得られた各イオン濃度にそれぞれのイオン価数をかけた値の総和を計算することで、(A)成分1gに対するイオン架橋量、即ち、多価金属イオン量(meq)を求めた。
なお、本実験例(I)及び(II)で使用したフィラーから溶出する多価金属イオンは上記したAl、La、Caイオン以外のものは検出されなかった。
製造例1:多価金属フィラーMF1の製造
フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、トクヤマデンタル社製)を、湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山社製)を用いて平均粒径0.5μmまで粉砕し、得られた粉末1gに対して、20gの5.0N塩酸を使用し、粒子表面を40分間処理して多価金属フィラー(多価金属イオン溶出性フィラー)MF1を得た。
得られた多価金属フィラーMF1の0.1gを、温度23℃、10重量%マレイン酸水溶液10ml中に24時間浸漬保持し、溶出した多価金属イオンの量をICP(誘導結合型プラズマ)発光分光分析を用いて分析した結果、この多価金属フィラーMF1の24時間溶出イオン量は10meq/g−フィラーであった。
製造例2:多価金属フィラーMF2の製造
5.0N塩酸での処理時間を20分間とした以外は製造例1と全く同様にして、多価金属フィラーMF2を得た。ICP発光分光分析の結果、この多価金属フィラーMF2の24時間溶出イオン量は25meq/g−フィラーであった。
製造例3:多価金属フィラーMF3の製造
塩酸での処理を全く行わなかった以外は製造例1(或いは製造例2)と全く同様にして、多価金属フィラーMF3を得た。ICP発光分光分析の結果、この多価金属フィラーMF3の24時間溶出イオン量は50meq/g−フィラーであった。
製造例4:コンポジットレジンおよびブラケット用接着材の製造
6.0gの重合性単量体(BisGMA)と4.0gのトリエチレングリコールジメタクリレート(3G)との混合液に対して、0.03gのカンファーキノン(CQ)、0.05gのp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMBE)及び重合禁止剤[0.01gのハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)並びに0.003gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)]を加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスを調製した。
得られたマトリックス3.8gと、6.2gの非晶質シリカ(F1)をメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することでフィラー充填率62%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。その組成を表1に示す。
同様に、表1に示す組成比で、コンポジットレジンCR2〜CR9を調製した。
また、表1に示す組成で、上記と同様にブラケット用接着材OB1〜OB4を調製した。
なお調製したコンポジットレジンおよび矯正用接着材は全て遮光容器で保存した。
Figure 0004966301
<実験例(I)>
以下の実験例(I)での実験は、本発明の接着組成物を歯質前処理材として用いたときの評価を行うものである。
実験No.1
下記処方:
重合性単量体(A1):
3.0gのPM
重合性単量体(A2):
2.4gのBisGMA
1.6gの3G
3.0gのHEMA
多価金属フィラー(B):
1.5gのMF1
水溶性有機溶媒(C):
8.5gのイソプロパノール(IPA)
成分(D):
2.0gの蒸留水
その他の成分:
0.003gのBHT(重合禁止剤)
に従い、上記各成分を3時間以上かけて攪拌混合して前処理材として使用する接着性組成物を調製した。
コンポジットレジンとしてCR1を用い、上記で得られた接着性組成物について、コンポジットレジンの初期接着強度(エナメル質接着強度及び象牙質接着強度)を測定し、さらに、保存安定性を評価するために、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存後のエナメル質、象牙質接着強度を測定した。
上記接着性組成物の組成を表2に、評価結果を表3に示す。
尚、表3中のXは、(A)成分1g当りの多価金属イオンの溶出量を示す値である。
実験No.2〜26、比較実験No.1〜7
実験No.2〜26では、実験No.1の方法に準じ、表2に示す組成の接着性組成物を調製し、実験No.1と同様の評価を行い、その結果を表3に示した。
また、比較実験No.1〜7では、実験No.1の方法に準じ、表4に示す組成の接着性組成物を調製し、実験No.1と同様の評価を行い、その結果を表5に示した。
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
実験No.1〜26は、各成分が本発明の接着性組成物の条件を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においてもエナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度が得られている。また、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存した場合においても組成物がゲル化することなく、歯質に対する接着性能も維持されており、良好な保存安定性を有していることがわかる。
これに対して、比較実験No.1は、多価金属フィラー(B)が配合されておらず、また比較実験No.2では多価金属フィラー(B)は配合されているが、イオン溶出量が本発明の条件を満たしておらず、いずれの場合も象牙質に対する接着力が十分でなく、37℃1ヶ月保存後の接着力が大幅に低下している。
また、比較実験No.3、4は、揮発性の水溶性有機溶媒(C)の配合量が本発明の条件を満足しておらず(配合量αが20・Xよりも少ない)、初期の歯質接着強度は良好であるものの、37℃に放置後1日〜5日経過時点で、ゲル化した。
比較実験No.5は、揮発性の水溶性有機溶媒(C)の配合量が本発明の条件(30〜150質量部)を超えた量で配合されたものであり、十分な象牙質接着強度が得られなかった。
比較実験No.6は、揮発性の水溶性有機溶媒(C)の配合量が本発明の条件を満足しているものの、酸性基含有重合性単量体(A1)の含有量が本発明の条件を満足しておらず、エナメル質、象牙質共に十分な接着強度が得られなかった。
比較実験No.7は、多価金属フィラー(B)が配合されておらず、その代わりに金属イオン非溶出性の無機フィラーを配合したものであるが、象牙質の接着強度が十分でなく、37℃1ヶ月保存後の接着力が大幅に低下した。
実験No.27〜32、比較実験No.8、9
表6記載の接着性組成物について、製造例4で作製されたブラケット用接着材を用い、各接着性組成物調製直後の矯正ブラケットの接着強度、及び37℃のインキュベーター内で前処理材を1ヶ月間保存後の矯正ブラケットの接着強度を評価した。評価結果を表6に示す。
Figure 0004966301
実験No.27〜32は、各成分が本発明の条件を満足するように調製された接着性組成物についての評価であるが、いずれの場合においても高い矯正ブラケット接着強度が得られている。また、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存した場合においても接着性能も維持されており、良好な保存安定性を有していることがわかる。
これに対して、比較実験No.8は、比較実験No.1の組成物についての評価であり、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存した後の接着強度が大幅に低下している。また、比較実験No.9では、比較実験No.6と同様に十分な接着強度が得られていない。
<実験例(II)>
以下の実験例(II)での実験は、本発明の接着組成物を歯科用接着材として用いたときの評価を行うものである。
実験No.1
下記処方:
重合性単量体(A1):
1.5gのPM
重合性単量体(A2):
5.0gのD26E
3.0gのHEMA
多価金属フィラー(B):
1.5gのMF2
水溶性有機溶媒(C):
5.0gのアセトン
成分(D):
1.5gの蒸留水
重合開始剤(E):
0.1gのCQ
その他の成分:
0.15gのDMBE
に従い、上記各成分を3時間以上かけて攪拌混合して歯科用接着材として使用する接着性組成物を調製した。
上記で得られた接着性組成物について、コンポジットレジンの初期接着強度(エナメル質接着強度及び象牙質接着強度)を測定し、さらに、保存安定性を評価するために、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存後のエナメル質、象牙質接着強度を測定した。
上記接着性組成物の組成を表7に、評価結果を表9に示す。
尚、表9中のXは、(A)成分1g当りの多価金属イオンの溶出量を示す値である。
実験No.2〜28、比較実験No.1〜19
実験No.2〜28では、上記の実験No.1の方法に準じ、表7或いは表8に示す組成の接着性組成物を調製し、実験No.1と同様の評価を行い、その結果を表9或いは表10に示した。
また、比較実験No.1〜19では、上記実験No.1の方法に準じ、表11に示す組成の接着性組成物を調製し、実験No.1と同様の評価を行い、その結果を表12に示した。
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
Figure 0004966301
実験No.1〜28の接着性組成物は、各成分が本発明の条件を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においてもエナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度が得られている。また、37℃のインキュベーター内で1ヶ月間保存した場合においても接着材がゲル化することなく、歯質に対する接着性能も維持されており、良好な保存安定性を有していることがわかる。
これに対して、比較実験No.1〜8は揮発性の水溶性有機溶媒(C)の配合量が本発明で規定する条件を満足しない場合であるが(α<20X)、調製直後における初期の歯質接着強度は良好であるものの、37℃に放置後1日〜5日経過時点で接着材がゲル化した。
比較実験No.9は、酸性基含有重合性単量体(A1)が配合されておらず、比較実験No.10は、単量体成分(A)中の酸性基含有重合性単量体(A1)の量が5質量%に満たないが、いずれの場合においても、歯質脱灰力が不足する為、接着強度が低下している。
比較実験No.11は、多価金属フィラー(B)が配合されておらず、比較実験No.12は、多価金属フィラー(B)は配合されているが、多価金属イオンの溶出量が少ない。何れの場合も、イオン架橋が不十分になり、歯質に対する接着強度が低下している。
比較実験No.13は、多価金属イオンの溶出量が多すぎる場合であり、歯質脱灰力が低下すると供に、1液で保存可能とする為に必要な揮発性の有機溶媒の必要量(C)が多くなる為、エアブロー処理後の接着材層となる有効成分が不足しがちとなり、接着強度が低下している。
比較実験No.14は、水(D)が配合されておらず、比較実験No.15は水(D)の配合量が少なく、いずれの場合においても歯質脱灰力が不足する為、接着強度が低下している。また、比較実験No.16は、水(D)の配合量が多すぎる場合であるが、接着材自体の強度が不足する為、接着強度の低下を生じている。
比較実験No.17は、揮発性の水溶性有機溶媒(C)が添加されていない場合であるが、歯質への浸透性が不足する為、初期接着強度が低下すると供に、37℃に放置後1日〜5日経過時点で組成物がゲル化している。また、比較実験No.18は、揮発性有機溶媒の添加量が少ない場合(30質量部未満)であるが、歯質への浸透性が不足するため接着強度が低下している。さらに、比較実験No.19は、揮発性有機溶媒(C)の添加量が多すぎる場合であるが、エアブロー処理後、接着材層となる有効成分が不足する為、接着強度が低下している。

Claims (7)

  1. (A)酸性基含有重合性単量体を5質量%以上含む重合性単量体成分;
    (B)多価金属イオン溶出性フィラー;
    (C)揮発性有機溶媒;
    (D)水;
    を含有し、
    前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)は、該フィラーから溶出する多価金属イオン量が、前記重合性単量体成分(A)1g当り1.0〜7.0meqとなるような量で配合され、
    前記揮発性有機溶媒(C)は、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り30〜150質量部の範囲で且つ下記式(1):
    α≧20.X …(1)
    式中、αは、前記揮発性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)
    100質量部当りの配合量であり、
    Xは、前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)から溶出する多価金属イオン量であって、前記重合性単量体成分(A)1g当りの量(meq)を示す数である、
    で表される条件を満足するような量で配合され、
    前記水(D)は、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り3〜30質量部の量で配合されていることを特徴とする1液型歯科用接着性組成物。
  2. 歯科用接着材塗布前の歯質前処理材として使用される請求項1に記載の1液型歯科用接着性組成物。
  3. さらに(E)光重合開始剤を含み、歯質前処理材を用いることなく歯科用接着材として使用される請求項1に記載の1液型歯科用接着性組成物。
  4. さらに、(F)多価金属イオン非放出性無機充填剤を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り、2〜20質量部含んでなる請求項1に記載の1液型歯科用接着性組成物。
  5. 前記重合性単量体成分(A)中の酸性基含有重合性単量体が、リン酸基を含有する重合性単量体である請求項1記載の1液型歯科用接着性組成物。
  6. 前記多価金属イオン溶出性フィラー(B)は、該フィラー0.1gを10重量%マレイン酸水溶液10mlに加えて23℃で24時間保持したときの多価金属イオン溶出量が、5.0〜500meq/g−フィラーを示すものである請求項1に記載の1液型歯科用接着性組成物。
  7. 前記多価金属イオン溶出性フィラーの平均粒子径が、0.01〜5μmである請求項1に記載の1液型歯科用接着性組成物。
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