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JP5482915B2 - メタマテリアル、電気装置、および、メタマテリアルを備えた電気装置 - Google Patents

メタマテリアル、電気装置、および、メタマテリアルを備えた電気装置 Download PDF

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Description

この発明は、メタマテリアル、電気装置、および、メタマテリアルを備えた電気装置に関する。
アンテナの歴史は古く、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、および、逆Fアンテナなど数多くの公知技術がある。通常のアンテナは、λ/4の長さの線路を、棒または板状にしたり、フィルム上またはプリント基板上に導電体で形成したりすることで、構成される。また、小型化のために、ミアンダ状に折り曲げて形成したり、誘電体を使って波長短縮したり、多層構造で立体的に形成したりする方法もある。
さらに、セラミックス用いたチップタイプのアンテナもある(たとえば、特開平9−162625号公報(以下「特許文献1」という))。メタマテリアルを用いたものでは、マッシュルーム構造と呼ばれる、表面にスリットを入れた構造が提案されている(たとえば、特表2009−535942号公報(以下「特許文献2」という)および特表2010−502131号公報(以下「特許文献3」という))。
特開平9−162625号公報 特表2009−535942号公報 特表2010−502131号公報
たとえば、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆる、ワンセグ放送を受信するためのモノポールアンテナは、機器の外側に、伸縮可能なロッドタイプとして設けられる。また、携帯電話のアンテナは、プリント基板上に構成されることも多い。チップアンテナは、基板上にマウントされる。
図75は、ケース3001が樹脂で形成される場合の従来のアンテナ3000の配置を示す図である。図75を参照して、携帯電話などの基板3300の上にアンテナ3000が形成される場合、携帯電話の外側のケース3001が樹脂であれば、電波を通すため問題はない。
図76は、ケース4001が金属で形成される場合を示す図である。図76を参照して、ケース4001が金属であったり、導電性の樹脂であったりすると、電波を通さないため、内部の基板4300の上にアンテナ4000を形成したとしても、アンテナ4000として機能させることができない。
また、上述の特許文献1から特許文献3までで示したアンテナについても、電波を通さないケースの内部に形成された場合、アンテナとして機能させることができない。
図77は、金属のケース4001の一部のケース4002が樹脂で形成される場合を示す図である。ケース4001が電波を通さない場合、第1の方法として、金属のケース4001の一部分のケース4002の部分だけ電波を通す樹脂にして、電波が遮断されないようにする。たとえば、最近のノートPC(Personal Computer)では、金属の天板の一部を樹脂にして、そこにアンテナを形成している。
図78は、金属のケース4001の外部にアンテナ4100を配置する場合を示す図である。図78を参照して、ケース4001が電波を通さない場合、第2の方法として、アンテナ4100を機器の外側に設けるようにする。
アンテナ4100を機器の外側に付ければ、アンテナ4100の機能的には問題はない。しかし、その場合、アンテナ4100が邪魔となったり、アンテナ4100を出すのが面倒であったりといったこともあるため、消費者のニーズに合わないといった問題があった。このため、やはり、内蔵アンテナが望まれる。
上述したように、金属のケース4001の一部を樹脂にした場合、強度および放熱の性能が落ちたり、部分的に質感が変わるため、デザイン上、好まれなかったりといった問題がある。
また、樹脂に置き換える部分は、必要最小限に抑えられるので、狭いスペースにアンテナを搭載しなければならず、小型のアンテナが必要になり、利得を犠牲にすることもある。さらに、数多くの無線規格が乱立する中、アンテナの必要本数も増えてきており、アンテナの搭載位置が不足してきている。
金属のケースの一部を電磁気的に分離できれば、この分離された部分をアンテナとして機能させることができるので、上述のような問題は解決される。
この発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、特定領域を他の領域と電磁気的に分離することが可能なメタマテリアルおよび電気装置を提供することである。
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、メタマテリアルは、電磁界の所定の共振波長に対して絶対値が1未満の誘電率および絶対値が1を超える透磁率を発現可能であり、深さ方向の一定の範囲に導電層を有する部品(たとえば、金属層のみ、表皮深さ未満の金属層+絶縁体層)の導電層を流れる電流の共振波長近傍の成分を遮断させる遮断領域(たとえば、高インピーダンス領域、反射領域)を、導電層の特定領域を他の領域と区画する区画領域に形成するように配置され、特定領域の少なくとも一部は、電磁波を放射可能である。
部品の深さ方向の一定の範囲とは、部品の一方の面からの深さがたとえばa〜b(部品の厚さをtとすると、0≦a<b≦t)の範囲をいう。たとえば、a=0、b=tの場合、導電層が、部品の厚さの全ての範囲を占める。a=0、b<tの場合、導電層が、部品の一方の面から深さbまでの範囲を占める。a>0、b<tの場合、導電層が、部品の一方の面から深さaまでの層と他方の面から深さt−bまでの層とに挟まれた範囲を占める。a>0、b=tの場合、導電層が、部品の他方の面から深さt−aまでの範囲を占める。
好ましくは、導電層は、導電層の材料に応じた表皮深さ未満の厚さである。特定領域の電磁波を放射可能な部分は、特定領域の導電層の表面に形成される。
特定領域は、部品の輪郭(部品の端部、スリットが設けられている場合、スリットの輪郭)に接する。特定領域の電磁波を放射可能な部分は、部品の輪郭に接した部分の特定領域の導電層の端面(たとえば、特定領域に接して設けられるスリット部に露出する導電層の端面、部品の端部に設けられた特定領域の導電層の端面)に形成される。
この発明の他の局面によれば、電気装置は、深さ方向の一定の範囲に導電層を有する部品(たとえば、金属層のみ、表皮深さ未満の金属層+絶縁体層)を備える。導電層は、導電層の特定領域を他の領域と電磁気的に遮断する領域を含む。
好ましくは、電気装置は、電磁界の所定の共振波長に対して絶対値が1未満の誘電率および絶対値が1を超える透磁率を発現可能なメタマテリアルをさらに備える。メタマテリアルは、導電層を流れる電流の共振波長近傍の成分を遮断させる遮断領域(たとえば、高インピーダンス領域、反射領域)を、特定領域を他の領域と区画する区画領域に形成するように配置される。特定領域の少なくとも一部は、電磁波を放射可能である。
部品の深さ方向の一定の範囲とは、部品の一方の面からの深さがたとえばa〜b(部品の厚さをtとすると、0≦a<b≦t)の範囲をいう。たとえば、a=0、b=tの場合、導電層が、部品の厚さの全ての範囲を占める。a=0、b<tの場合、導電層が、部品の一方の面から深さbまでの範囲を占める。a>0、b<tの場合、導電層が、部品の一方の面から深さaまでの層と他方の面から深さt−bまでの層とに挟まれた範囲を占める。a>0、b=tの場合、導電層が、部品の他方の面から深さt−aまでの範囲を占める。
好ましくは、導電層は、導電層の材料に応じた表皮深さ未満の厚さである。特定領域の電磁波を放射可能な部分は、特定領域の導電層の表面に形成される。
好ましくは、特定領域は、部品の輪郭(部品の端部、スリットが設けられている場合、スリットの輪郭)に接する。特定領域の電磁波を放射可能な部分は、部品の輪郭に接した部分の特定領域の導電層の端面(たとえば、特定領域に接して設けられるスリット部に露出する導電層の端面、部品の端部に設けられた特定領域の導電層の端面)に形成される。
好ましくは、特定領域には、給電点が設けられる。導電層を流れる電流は、給電点から給電された電流である。特定領域は、給電点から給電されるアンテナである。
さらに好ましくは、部品は、外部に対して内部を遮蔽するように成型された筐体の一部を構成する。メタマテリアルは、筐体の内部に設けられる。筐体の内部に設けられ、給電点に給電するとともに特定領域で共振した共振波長近傍の電磁波を処理する回路(たとえば、同調回路、増幅回路、出力回路など)をさらに備える。
好ましくは、電気装置は、メタマテリアルを挟んで特定領域と反対側に配置される接地部品をさらに備える。
好ましくは、電気装置は、区画領域の給電点の近くの一部に、メタマテリアルに替えて設けられる接地部をさらに備える。
好ましくは、電気装置は、所定の機能(カメラ機能など)を有する所定機能部(カメラユニットなど)をさらに備える。メタマテリアルは、所定機能部が所定位置に取り付けられることによって、メタマテリアルが遮断領域を区画領域に形成するような位置に配置されるように、所定機能部に予め組み込まれる。
好ましくは、特定領域の一方の面には、電磁波が入射される。導電層を流れる電流は、特定領域の一方の面に入射された電磁波により生じる電流である。特定領域は、入射された電磁波の波長の電磁波を他方の面から放射する。
好ましくは、メタマテリアルは、積層セラミックコンデンサまたはチップコイルで構成される。
好ましくは、特定領域は、部品の一部がスリットおよび接地部の少なくともいずれかによって区画された領域である。特定領域の少なくとも一部は、電磁波を放射可能である。
この発明に従えば、部品の特定領域がアンテナとして機能する。その結果、導電層を有する部品の一部をアンテナとして機能させることができる。
さらに好ましくは、スリットによる部品の開口部が絶縁部品で塞がれる。この発明に従えば、絶縁部品によって、開口部が補強される。その結果、部品にスリットを設けたとしても強度を確保することができる。
さらに好ましくは、絶縁部品に、接地部が設けられる。この発明に従えば、絶縁部品の一部として接地部が設けられる。その結果、接地部を効率よく形成することができる。
さらに好ましくは、接地部の位置によって、特定領域の共振周波数が調整可能である。スリットは、打ち抜き加工で形成すると、コストを安く製造することができる。しかし、この場合、スリットのサイズで共振周波数を調整できない。この発明に従えば、スリットを形成した後であっても、後で設ける接地部の位置によって共振周波数を調整することができる。その結果、コストを上げることなく、共振周波数を調整可能とすることができる。
さらに好ましくは、スリットは、コの字形であり、特定領域は、コの字の内側の領域である。
好ましくは、電気装置は、携帯端末、PC、ビデオ、テレビ、冷蔵庫もしくはエアコン等の電気機器、自動車もしくは電車等の輸送機器、または、電気錠付住宅用ドア等の建築設備機器である。
この発明に従えば、特定領域が、他の領域と電磁気的に遮断される。このため、特定領域を他の領域と電磁気的に分離することが可能なメタマテリアルおよび電気装置を提供することができる。
また、特定領域が、電磁界の共振波長の成分との共振において、区画領域の外と分離される。このため、部品の特定領域を他の領域と電磁気的に分離することが可能なメタマテリアルおよび電気装置を提供することができる。
また、特定領域が、給電点から給電されたときに、区画領域の外と電磁気的に分離されて、電磁界の共振波長近傍の成分と共振するアンテナとして機能する。このため、部品の一部をアンテナとして機能させることができる。
また、一方の面からの電磁波を他方の面に通過させる電気窓としての特定領域を、導電層を有する平面に形成することができる。
コンデンサ型共振器300の概略の外観図である。 図1に示すII−II線断面図である。 共振周波数においてコンデンサ型共振器300で形成される共振回路を説明するための図である。 コンデンサ型共振器300で生じる比透磁率の周波数特性の一例を示す図である。 コイル型共振器100を用いた負の誘電率を持つメタマテリアルを示す図である。 図5に示すメタマテリアルの比透磁率を示す図である。 図5に示すメタマテリアルの比誘電率を示す図である。 コイル型共振器100を用いた負の透磁率を持つメタマテリアルを示す図である。 図8に示すメタマテリアルの比透磁率を示す図である。 図8に示すメタマテリアルの比誘電率を示す図である。 最外部の内部電極が直接接続されているコンデンサ型共振器とコイル型共振器とを示す図である。 図11に示す共振器群の比誘電率を示す図である。 図11に示す共振器群の比透磁率を示す図である。 第1の実施の形態に係るメタマテリアルを示す図である。 図14に示す共振器群の比誘電率を示す図である。 図14に示す共振器群の比透磁率を示す図である。 第2の実施の形態のメタマテリアルにおいて、コンデンサ型共振器の構成を変えた構成を示す図である。 第2の実施の形態のメタマテリアルの概略図である。 第2の実施の形態に係るメタマテリアルの構成を示す図である。 ユニット600の斜視図である。 ユニット600をy方向から見た側面図である。 ユニット700の斜視図である。 ユニット700の側面図である。 ユニット800の斜視図である。 ユニット800の側面図である。 ユニット800の上面図である。 ユニット900の斜視図である。 ユニット900の正面図である。 ユニット900の側面図である。 第5の実施の形態に係るユニット900の作成方法を説明するための図である。 第6の実施の形態に係るユニット1000の構造を示す図である。 スプリットリング型共振器1210および半波長共振器1220を組み合わせたメタマテリアルと、信号線路200と、グランド220との位置関係を模式的に示した図である。 図32に示すメタマテリアルが、負の誘電率を示すときの、電荷および電界の様子を模式的に示す図である。 図32に示すメタマテリアルが、負の透磁率を示すときの、磁界の様子を模式的に示す図である。 図34のメタマテリアルとは共振器の配置が異なるメタマテリアルと、信号線路200と、グランド220との位置関係を模式的に示した図である。 図35に示すメタマテリアルが、負の誘電率を示すときの電界の集中する領域を説明するための図である。 図35に示すメタマテリアルが、負の透磁率を示すときの磁界の集中する領域を説明するための図である。 透磁率μおよび誘電率εの値の範囲ごとの伝送線路上の電磁波の伝達を示す図である。 第7の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを示す図である。 第7の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナをより詳しく示す図である。 第7の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを形成する構造の例を示す図である。 メタマテリアルを用いない場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの構造を示す図である。 メタマテリアルを用いない場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの結果を示す図である。 メタマテリアルを用いた場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの構造を示す図である。 メタマテリアルを用いた場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの結果を示す図である。 第9の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。 第10の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを形成する構造の例を示す図である。 第10の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを形成する構造の一部を詳細に示す図である。 第10の実施の形態に係るメタマテリアル2100Cを用いたアンテナのシミュレーションの結果を示す図である。 第7の実施の形態から第9の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。 第11の実施の形態に係るメタマテリアを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。 第12の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。 第13の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。 第14の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。 第15の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第16の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。 第17の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。 第18の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第19の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第20の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナをスマートフォンに適用する場合の例を示す第1の図である。 第20の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナをスマートフォンに適用する場合の例を示す第2の図である。 第20の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナをスマートフォンに適用する場合の例を示す第3の図である。 第20の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナをスマートフォンに適用する場合の例を示す第4の図である。 第21の実施の形態に係るメタマテリアルを用いた電気窓の構造を説明するための図である。 第21の実施の形態に係るメタマテリアルを用いた電気窓の機能を説明するための図である。 第22の実施の形態に係るメタマテリアルを用いた電気窓を製品に適用する場合の例を示す図である。 第23の実施の形態に係るスリットを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第24の実施の形態に係るスリットを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第25の実施の形態に係るスリットを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 第26の実施の形態に係るスリット2900Uを用いたアンテナの構造を説明するための図である。 図70の矢視A−Aを示す図である。 第26の実施の形態に係るスリットを用いたアンテナの構造の斜視図である。 従来のスロットアンテナを同じ金属平板に複数設ける場合を説明するための図である。 第27の実施の形態に係るスリットを用いたアンテナを同じ金属平板に複数設ける場合を説明するための図である。 ケースが樹脂で形成される場合の従来のアンテナの配置を示す図である。 ケースが金属で形成される場合を示す図である。 金属のケースの一部のケースが樹脂で形成される場合を示す図である。 金属のケースの外部にアンテナを配置する場合を示す図である。 第28の実施の形態に係るメタマテリアルを用いて金属線路を電気的に遮断するための構造を説明するための図である。 第28の実施の形態に係るメタマテリアルを用いて金属線路を電気的に遮断するための構造の側面図である。 第28の実施の形態に係るメタマテリアルを用いて金属線路を電気的に遮断するための構造の正面図である。 第28の実施の形態に係るメタマテリアルを用いて金属線路を電気的に遮断するための構造の上段部の詳細を示す三面図である。 第28の実施の形態に係るメタマテリアルを用いて金属線路を電気的に遮断するための構造の下段部の詳細を示す三面図である。 第29の実施の形態に係るメタマテリアルの構造を説明するための図である。 第29の実施の形態に係るメタマテリアルの三面図である。 第29の実施の形態に係るメタマテリアルをスマートフォンに搭載した状態の概略を示す平面図である。 第29の実施の形態に係るメタマテリアルをスマートフォンに搭載した状態の概略を示す斜視図である。
[左手系メタマテリアルを実現する上での課題]
近年、メタマテリアル(metamaterial)と称されるデバイスが注目されている。このメタマテリアルとは、自然界に存在する物質が有さないような電磁気的あるいは光学的な特性をもつ人工物質である。このようなメタマテリアルの代表的な特性として、負の透磁率(μ<0)、負の誘電率(ε<0)、あるいは負の屈折率(透磁率および誘電率がいずれも負の場合)が挙げられる。なお、μ<0かつε>0の領域、またはμ>0かつε<0の領域は「エバネッセント解領域」とも称され、μ<0かつε<0の領域は「左手系領域」とも称される。
μ<0かつε<0である左手系メタマテリアルは、負の誘電率と負の透磁率を同時に実現するため、負の誘電率を持つ素子と、負の透磁率を持つ素子とを周期配置して作られる。
左手系メタマテリアルには、大きく分けて、回路系と共振系とがある。共振系において、負のμを実現する手段としては、例えば、スプリットリング共振器(SRR:Split Ring Resonator)がある(例えば、「左手系メタマテリアル」(日経エレクトロニクス1月2日号、日経BP社、2006年1月2日、p.75−81)参照)。
一方、負のεを実現する手段としては、電磁波の波長に対して十分長い金属細線がある。この金属細線によれば、プラズマ周波数が下がり、負のεが実現される。"Low Frequency Plasmons in thin-wire structures"(J B Pendry他, J. Phys.: Condens. Matter Vol.10 (1998)4785-4809)には、金属細線のアレイにより負のεを実現できることが記載されている。また、特表2008−507733号公報には、周期格子のワイヤが負の誘電率となるとの記述がある。
また、電磁波の波長λの半分の長さの金属細線が、電磁波との共振によって負の誘電率を発生することも知られている。
負のεの実現のために電磁波の波長に対して十分長い金属細線を用いる方法では、メタマテリアルを小型化できない。そこで、電磁波の波長λの半分の長さの金属線を用いることが考えられる。
しかしながら、λ/2長の金属線を負のμを実現するための共振器と組み合わせて左手系メタマテリアルを実現しようとした場合、λ/2長の金属線は、一種の共振器であるので、負のμを実現するための共振器との間で干渉を起こすおそれがある。そして、その結果、金属線と共振器との組み合わせは、負のεおよび負のμを同時に発現しないおそれがある。
上述した課題を解決するための、負の誘電率および負の透磁率を同時に発現することが可能なメタマテリアルの実施の形態を以下に記載する。
[共振器について]
本発明に係る左手系メタマテリアルは、共振器を組み合わせた共振系のものである。そこで、まず、本発明の左手系メタマテリアルを構成する共振器について説明する。
(多層コンデンサ型共振器)
本実施の形態において用いられる共振器の1つに、複数の電極を含む多層コンデンサ型共振器がある。この共振器には、当該電極間に生じる静電容量(キャパシタンス)を主体とした共振回路が形成される。この共振回路は、共振器の周辺に配置された信号線路に交流電流が流れることで発生する電磁波の特定の周波数成分に感受性をもち、この周波数成分の電磁波を受けて電気的な共振現象を生じ得る。この共振現象によって、負の透磁率が発現する。
ここで、メタマテリアルとしての機能である透磁率の共振を生じさせるためには、各共振器の電流の伝搬方向における長さが、対象とすべき周波数における電磁波の波長λに対して、少なくともλ/4より短い必要がある。さらに、各共振器の電流の伝搬方向における長さは、λ/20以下であることが好ましい。
共振器としては、複数の平板電極を絶縁物(誘電体)を積層して形成された積層コンデンサなどを用いることができる。以下では、積層コンデンサを用いて共振器を実現する構成について例示する。この構成によれば、市販されている積層セラミックコンデンサなどの積層コンデンサを用いて、容易に共振器を構成できる。ただし、本発明に係る共振器を構成するための専用に設計された電極部材を用いてもよい。
図1は、コンデンサ型共振器300の概略の外観図である。図1を参照して、コンデンサ型共振器300は、非磁性体である外装部10により覆われている。なお、外装部10としては、テフロン(登録商標)などの樹脂材料が適している。このコンデンサ型共振器300は、所定の周波数成分を含む電流が流れる信号線路200に近接して配置されることで、当該電流が発生する電磁波の特定の周波数成分(共振周波数)を受けて共振を生じる。また、コンデンサ型共振器300の信号線路200に接する面とは反対側の面には、グランド220が配置される。
コンデンサ型共振器300内での共振によって、コンデンサ型共振器300に磁束が発生し、負の透磁率が発現する。
なお、コンデンサ型共振器300が負の透磁率を発現する、すなわちメタマテリアルとしての機能である負の透磁率を発揮するためには、コンデンサ型共振器300の信号線路200における電流の伝搬方向における長さl’が、共振周波数における電磁波の波長λに対して、少なくともλ/4より短い必要がある。さらに、コンデンサ型共振器300の長さlは、λ/20以下であることが好ましい。
以下では、コンデンサ型共振器300の一例として、長さl’=1.6mm、幅W=0.8mm、高さH=1.2mmの8層の内部電極を有する積層コンデンサを用いる場合について例示する。なお、信号線路200と積層コンデンサとの距離h=0.2mm、積層コンデンサとグランドの距離h’=0.2mmとする。
ここで、λ/4=長さl’=1.6mmとすると、λ=6.4mmとなり、これは、空気中では周波数fmax=46.875GHzに相当する。従って、このコンデンサ型共振器300をλ/4以下のピッチで並べると、ギガヘルツ帯においてメタマテリアルとして用いることができる。当然のことながら、適用すべき周波数領域に応じて、共振器の長さlを適宜設計することができる。
次に、図1および図2を参照して、コンデンサ型共振器300の構造について説明する。図2は、図1に示すII−II線断面図である。
図1を参照して、信号線路200に電流が流れることによって、信号線路200を中心とした円周方向に交流の磁界が発生する。すなわち、磁界の磁力線は、信号線路200を中心とする同心円となる。また、信号線路200には電流が流れる際に電位が発生するので、信号線路200とグランド220との間には交流の電界が発生する。
図2を参照して、コンデンサ型共振器300は、各々が比誘電率の高い絶縁物であるスペーサ6を介して互いに対向する第1内部電極4および第2内部電極5をそれぞれ複数含む。複数の第1内部電極4は、第1外部電極2と電気的に接続されており、複数の第2内部電極5は、第2外部電極3と電気的に接続されている。このように、コンデンサ型共振器300では、平板状の複数の内部電極4,5が積層されており、隣接する第1内部電極4と第2内部電極5との間には、その電極の面積、電極間の距離、スペーサ6の比誘電率などによってその値が定まる静電容量(キャパシタンス)が生じる。
コンデンサ型共振器300を構成する第1内部電極4および第2内部電極5の各電極面は、磁界の磁力線に対して実質的に平行となるように配置される。それとともに、第1外部電極2および第2外部電極3の各電極面が、第1外部電極2および第2外部電極3の各電極面とは異なる面において、磁界の磁力線に対して実質的に平行となるように配置される。すなわち、図2に示すように、信号線路200を流れる電流によって生じる磁界の磁力線が紙面前後方向に発生している場合において、コンデンサ型共振器300は、第1内部電極4および第2内部電極5の電極断面長手方向が紙面左右方向と一致し、かつ第1外部電極2および第2外部電極3の電極断面長手方向が紙面上下方向と一致するように配置される。
コンデンサ型共振器300が図2に示すような位置関係を保って配置されることで、所定の周波数成分に対して図3に示すような共振回路が形成され、この共振回路によって、負の透磁率が発現する。
図3は、共振周波数においてコンデンサ型共振器300で形成される共振回路を説明するための図である。
図3を参照して、その電極面が磁界の磁力線に対して実質的に平行となるように配置される第1内部電極4および第2内部電極5、ならびに第1外部電極2および第2外部電極3は、その経路長さに応じたコイル(インダクタ)として作用する。
コンデンサ型共振器300では、第1内部電極のうち最上層の電極4aと、第1外部電極2と、第1内部電極のうち最下層の電極4bとは互いに電気的に接続されており、これらを含む電流経路が形成される。同様に、第2内部電極のうち最上層の電極5aと、第2外部電極3と、第2内部電極のうち最下層の電極5bとも互いに電気的に接続されており、これらを含む電流経路が形成される。ここで、電極4aと電極5aとの間の静電容量(キャパシタンスC1)と、電極4bと電極5bとの間の静電容量(キャパシタンスC2)とを介して、両電流経路は互いに電気的に接続され、キャパシタンスC1,C2と各電極によって生じるインダクタンスL1〜L6とを含む共振回路が形成される。したがって、本実施の形態に従うコンデンサ型共振器300は、キャパシタンス(C1+C2)と、インダクタンス(L1+L2+L3+L4+L5+L6)とによって定まる共振周波数をもち、この共振周波数の電磁波が入射することで、透磁率共振が発現する。
なお、コンデンサ型共振器300では、隣接する内部電極の間の各々で静電容量が発生するが、最上位の静電容量および最下位の静電容量を除いた他の静電容量は、この共振回路の形成への影響は小さい。これは、共振を起こす循環経路の最外層に電流が集中するためである。
図4は、コンデンサ型共振器300で生じる比透磁率の周波数特性の一例を示す図である。なお、図4に示す変化特性は、シミュレーションによって算出されたものである。ここで、比透磁率とは、真空の透磁率に対する透磁率の比を表す。
図4を参照して、コンデンサ型共振器300は、その1つの共振周波数として約4.9GHzをもち、その前後で比透磁率が大きく変動し、負の透磁率が生じることが分かる。
上述の説明では、第1内部電極4および第2内部電極5、ならびに第1外部電極2および第2外部電極3の各電極面が磁界の磁力線に対して実質的に平行となるように配置されることで、メタマテリアルとしての機能である負の透磁率を発現させることができることについて述べた。ここで、「実質的に平行」とは、各電極面が磁界の磁力線と直交する状態を除外する意味であり、各電極面が磁界の磁力線とまったく平行である状態以外にも、磁力線に対して所定角度をもつ状態をも含む。実用上は、コンデンサ型共振器300で発現する負の透磁率の大きさが適用アプリケーションなどの要求を満足できる値であれば、「実質的に平行」とみなすことができる。
(コイル型共振器)
次に、本実施の形態のメタマテリアルに用いられるもう1つの種類の共振器である、コイル型共振器について説明する。コンデンサ型共振器が負の透磁率を発現するものであったのに対し、コイル型共振器は、中心軸が電界方向に対して平行(磁界に対して直角)になるように配置されたとき、負の誘電率を実現できる。また、中心軸が電界方向に対し直角(磁界方向に対して平行)になるように配置されたコイル型共振器は、負の透磁率を実現できる。
まず、コイル型共振器を用いて負の誘電率を発現するメタマテリアルの構成を図5を参照して説明する。図5は、コイル型共振器を用いて負の誘電率を発現するメタマテリアルの構成を説明するための図である。
図5を参照して、メタマテリアルは、コイル型共振器100と外装部10とを備える。コイル型共振器100は、非磁性体である外装部10により覆われている。コイル型共振器100は、信号線路200と、グランド220との間に配置されている。グランド220は、コイル型共振器100の信号線路200に接する面とは反対側の面にある外装部10の面に配置される。
信号線路200には、所定の周波数成分を含む電流が流れる。本実施の形態においては、信号線路200は、ストリップラインであるとする。ただし、信号線路200は、電流を流す導体の一例であって、導体の形態はこれに限られるものではない。
コイル型共振器100は、金属線を周回したものである。コイル型共振器100の全長(金属線の全長)は、信号線路200を流れる電流の波長の半分程度である。ここでは、信号線路200を流れる電流の周波数はGHz帯であり、コイル型共振器100の長さは、28mmである。
図5では、コイル型共振器100として、中心軸110を中心に巻かれている、すなわち、ばね形状を有するものを示した。ただし、コイル型共振器100の形状は、図5に示した、円筒面に沿うように巻かれたものに限られない。例えば、コイル型共振器100は、四角柱に沿って巻かれたような形状であってもよい。あるいは、コイル型共振器100は、球面に沿って巻かれたような形状であってもよい。
コイル型共振器100は、上述のような長さおよび形状を有していればよい。コイル型共振器100としては、金属線を巻いたコイルなどを利用できる。コイル型共振器100としては、既成のもの(例えば、既成のコイル)を用いてもよいし、専用に作成したものを用いてもよい。
外装部10は、コイル型共振器100の位置を固定する。外装部10としては、テフロン(登録商標)などの樹脂材料が適している。ただし、外装部10は、コイル型共振器100の位置を固定する支持部材の一例であり、コイル型共振器100は、他の部材により固定されていてもよい。
コイル型共振器100の中心軸110は、信号線路200を流れる電流が作る電界、より詳しくは、信号線路200とグランド220との間に生じる電界に対して平行である。すなわち、外装部10は、中心軸110が電界に平行になるように、コイル型共振器100を固定する。言い換えると、コイル型共振器100は、電界の勾配に沿って、コイルの両端の電位に差があるように、配置される。
図5に示す例では、中心軸110を、信号線路200からグランド220に向かう方向にとっている。すなわち、中心軸110は、グランド220面に直交し、かつ、信号線路200を貫通する。この配置により、中心軸110は、信号線路200を流れる電流が作る電界に平行(信号線路200を流れる電流が作る磁界に垂直)になっている。
信号線路200に対して、コイル型共振器100は、信号線路200を流れる電流が発生する電場の特定の周波数(共振周波数)成分を受けて、共振を生じる。
コイル型共振器100の電磁的性質を図6および図7に示す。図5に示すメタマテリアルが示す比透磁率および比誘電率をそれぞれ図6、図7に示す。ここで、比誘電率とは真空の誘電率に対する誘電率の比を表し、比透磁率とは真空の透磁率に対する透磁率の比を表わす。図7に示すように、図5のメタマテリアルは、2.6GHz付近で負の誘電率を示す。一方、比透磁率は、図6に示すように、常に正である。
以上のとおり、波長の1/2の長さのコイル状の金属線によって、負の誘電率が発現することが分かる。このようにコイル状の金属線を用いたメタマテリアルは、直線状の金属線を用いて負の誘電率を実現するメタマテリアルに比べ、小型にできる。
次に、ばね状の金属線を用いて負の透磁率(μ)を持つメタマテリアルを実現する例について説明する。負のμを持つメタマテリアルは、図5に示したコイル型共振器100と同様の長さおよび形状のコイル型共振器100を、その中心軸110が磁界に平行になるように置くことで実現される。このように配置されたコイル型共振器100が、負の透磁率を示すことを、図8から図10を参照して、以下、説明する。
図8は、コイル型共振器を用いて負の誘電率を発現するメタマテリアルの構成を説明するための図である。図8に示すメタマテリアルは、図6に示すコイル型共振器100をY軸周りに90度回転して、コイル型共振器100の中心軸が、信号線路200を流れる電流により生じる磁界と平行(信号線路200を流れる電流が作る電界に垂直)になるように配置したものである。
図8に示すメタマテリアルが示す比透磁率および比誘電率をそれぞれ図9、図10に示す。図9に示すように、図8のメタマテリアルは、2.6GHz付近で負の透磁率を示す。一方、図10に示すように、比誘電率は常に正である。
このように中心軸方向を変えることにより、同じ構造のコイル型共振器100が、負の誘電率を示す場合も、負の透磁率を示す場合もあることが分かる。なお、中心軸方向が磁界方向および電界方向に対して非直交になるように配置されたコイル型共振器100は、負の誘電率および透磁率を同時に示す。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るメタマテリアルとして、コイル型共振器と、コンデンサ型共振器とを並べて配置したものを説明する。
これらの共振器の組み合わせが、左手系メタマテリアルとなる、すなわち、負の透磁率および負の誘電率を同時に発現するためには、各共振器の配置および構造が重要となる。まず、コイル型共振器が負の誘電率を発現し、コンデンサ型共振器が負の透磁率を発現するよう、各共振器を配置しなければならない。さらに、共振器同士が不適切な干渉を起こさないように、共振器の構造にも配慮する必要がある。
コイル型共振器が負の誘電率を発現するためには、コイル型共振器を、その軸が電界方向(z方向とする)に平行となるように配置すればよい。一方、コンデンサ型共振器については、コンデンサ型共振器が負の透磁率を発現するように、その内部極板が、磁界方向に平行、すなわち、z方向を法線とする平面(x−y平面)に平行となるように配置すればよい。
以上の配置の条件に加えて、コンデンサ型共振器は、最外部の2枚の内部電極が逆相、すなわち、それぞれの内部電極に蓄えられる電荷の符号が逆、という条件を満たすことが好ましい。これは、コンデンサ型共振器とコイル型共振器とが干渉することを避けるためである。以下、図11から図16を参照して、このことについて、さらに詳しく説明する。
図11は、最外部の内部電極が直接接続されているコンデンサ型共振器とコイル型共振器とを示す図である。これらの共振器は、近接して配置されている。ただし、コイル型共振器およびコンデンサ型共振器はお互いに電気的に接触していない。コイル型共振器は、電界中に置かれているので、両端に異なる符号の電荷が現れる。図11においては、上端に正の電荷(図11の+)を、下端に負の電荷(図11の−)が現れている状況を示している。反共振の周波数では、両端の電荷の符号が反転し、逆向きの電界ベクトルが発生し、負の誘電率が発現する。
一方、コンデンサ型共振器の図11における最上面の電極と最下面の電極とは、外部電極によって最上面の電極により電気的に直接接続されているので、同符号の電荷を蓄えることになる。図11では、最上面の電極および最下面の電極が、負の電荷を帯びている場合を示している。
図11に示した状況では、近接する最下面の電極とコイル型共振器の下端とに蓄えられた負の電荷同士が干渉する。そのため、負の誘電率と負の透磁率とが、同時に発生しない。すなわち、負の誘電率の反共振周波数と、負の透磁率の反共振周波数とが、一致することがない。
このことを図12および図13を用いて具体的に説明する。図12は、図11に示す共振器群の比誘電率を示す図である。図13は、図11に示す共振器群の比透磁率を示す図である。
図12には、コイル型共振器の形状(長さなど)を変化させたときの、共振器群全体の比誘電率特性を示している。コイル型共振器の形状変化にしたがい、誘電率の共振周波数が変化し、したがって、負の誘電率が生じる周波数が変化する。
図13には、コイル型共振器の形状(長さなど)を変化させたときの、共振器群全体の比透磁率特性を示している。コイル型共振器の形状変化にしたがい、透磁率の共振周波数が変化し、したがって、負の透磁率が生じる周波数が変化する。コンデンサ型共振器の形状を変化させていないのにもかかわらず透磁率の共振周波数が変化するのは、各共振器の端部の電荷の干渉によるものである。
このようにコイル型共振器の形状を変化させると、負の誘電率が生じる帯域と、負の透磁率が生じる帯域との双方が変化する。そのために、負の誘電率および負の透磁率を同じ周波数で発現させることができない。負の誘電率(透磁率)を示す周波数を増加させていくと、負の透磁率(誘電率)を示す周波数も増加してしまう。逆に、負の誘電率(透磁率)を示す周波数を減少させていくと、負の透磁率(誘電率)を示す周波数も減少してしまう。このように、透磁率(誘電率)の共振周波数が、誘電率(透磁率)の共振周波数から離れてしまう現象が生じるので、負の誘電率および負の透磁率を同じ周波数で発現するように共振器を設計することが難しい。
そこで、本実施の形態に係るメタマテリアルにおいては、図14のように2種類の共振器を配置する。本実施の形態に係るメタマテリアルは、コイル型共振器100とコンデンサ型共振器300と外装部10(図14には図示せず)とを備える。図11に示す場合と同様、外装部10は、コンデンサ型共振器とコイル型共振器とを、近接する位置に固定する。なお、先の説明と同様、外装部10のかわりに他の支持部材を用いてもかまわない。
コイル型共振器は、図11の場合と同様、電界中に置かれているので、両端に異なる符号の電荷が現れる。図14においても、図11と同様、上端に正の電荷(図14の+)を、下端に負の電荷(図14の−)が現れている状況を示している。反共振の周波数では、両端の電荷の符号が反転し、逆向きの電界ベクトルが発生し、負の誘電率が発現する。
一方、コンデンサ型共振器は、図11に示すものと異なる。コンデンサ型共振器の図14における最上面の電極と最下面の電極とは、外部電極によって電気的に直接接続されておらず、電気容量を介して接続されている。そのため、最上面の電極と最下面の電極とは、逆相になる(逆符号の電荷を蓄える)。図14では、最上面の電極が負の電荷を、最下面の電極が正の電荷を帯びている場合を示している。
図14に示した状況では、図11に示した状況と異なり、近接する最下面(あるいは最上面)の電極とコイル型共振器の下端(あるいは上端)とに蓄えられた電荷の干渉を抑えることができる。したがって、負の誘電率と負の透磁率とを、同時に発生することができる。すなわち、負の誘電率の反共振周波数と、負の透磁率の反共振周波数とを一致させることができる。
このことを図15および図16を参照して説明する。図15には、コイル型共振器の形状を変化させたときの、共振器群全体の比誘電率特性を示している。コイル型共振器の形状変化にしたがい、誘電率の共振周波数が変化し、したがって、負の誘電率が生じる周波数が変化する。
図16には、コイル型共振器の形状を変化させたときの、共振器群全体の比透磁率特性を示している。コイル型共振器の形状を変化させても、透磁率の共振周波数はほぼ変化しない。これは、各共振器の端部の電荷の干渉が抑えられており、コンデンサ型共振器の共振特性が変化しないためである。
以上のように、本実施の形態に係るメタマテリアルは、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発生でき、左手系となる。
なお、図14では、1つのコイル型共振器と1つのコンデンサ型共振器とのセットを示したが、メタマテリアルは、このセットを複数備えていてもよい。この場合、例えば、セットを1次元的あるいは2次元的に連続する位置に、支持部材で固定する。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、負のεをもつ共振器としてコイル型共振器を用いる例を示した。しかしながら、本発明においては、負のεをもつ共振器として、コイル型共振器に限られず、電磁波に共振する略λ/2の長さの線路を含む共振器を用いることができる。
また、負のεをもつ共振器と負のμを持つ共振器(第1の実施の形態ではコンデンサ型共振器)は、第1の実施の形態で説明したように、必ずしも横に並べる必要はない。
第2の実施の形態では、負のεをもつ共振器として、λ/2長の線路と線路の両端に接続した2枚の導電板とを含む共振器を用い、負のεを持つ共振器と、負のμをもつコンデンサ型共振器とを共通の空間に組み合わせる構成について説明する。
第2の実施の形態に係るメタマテリアルの構成の概略を図17および図18を用いて説明する。図18が、第2の実施の形態のメタマテリアルの概略図である。図17は、第2の実施の形態のメタマテリアルにおいて、コンデンサ型共振器の構成を変えたものである。
図17、図18のいずれにおいても、コンデンサ型共振器の2つの最外電極の外部に、それぞれの最外電極と対向するように、2つの導電板が配置される。また、導電板は、巻かれた線路で接続されている。線路は、その長さが共振波長の略λ/2になるように設計される。
線路は、巻かれているため、小型のスペースでその長さを確保することができる。ただし、共振波長によっては、あるいは、小型化が必要ない場合には、線路は巻かれていなくてもよい。また、図17、図18では、コイル状に巻かれた線路を示したが、小型化は、線路を巻く方法に限られず、線路を屈曲させることにより実現される。例えば、ミアンダ線路などを用いてもよい。
各導電板は、線路との間の容量を大きくし、共振周波数における負の誘電率の絶対値を大きくする。また、容量による波長短縮効果により、実質的なλ/2の長さを短かくできる。なお、求められる負の誘電率の値によっては、各導電板は設置しなくてもよい。また、設計上の理由等により、線路の一方の端部のみに導電板を接続してもよい。
図17と図18の差異は、図17では、コンデンサ型共振器の2つの最外電極が直接接続されているのに対し、図18では、2つの最外電極が直接接続されず、逆相である点にある。図18に示す本実施の形態に係るメタマテリアルは、第1の実施の形態に係るメタマテリアルと同様、電荷の干渉を抑えられるので、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発現することができる。図17に示す構造では、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発現することが困難である。
図18で概略を示した本実施の形態に係るメタマテリアルの具体的な構成を図19に示す。図19を参照して、本実施の形態に係るメタマテリアルは、負の誘電率用の共振器および負の透磁率用の共振器を基板材料内に作りこんだユニット600を複数備える。このユニットは、多層基板のような技術を使って、1チップ内に、負の誘電率用の共振器および負の透磁率用の共振器を作りこんだものである。この構成では、基板材料が支持部材に相当する。
各ユニット600は、信号線路200の直下に、かつ、信号線路200とグランド220との間に配置されている。また、各ユニット600は、空間的に連続的に配置される。図19では、4つのユニット600を、信号線路200に沿った方向で配置した例を示しているが、ユニット600の配置はこれに限られるものではない。1次元状に配置された共振器を、同一平面内に並べて、平面状のメタマテリアルを構成することも可能である。さらに、平面状のメタマテリアルを重ねて、立体的なメタマテリアルを構成することも可能である。
ユニット600の構造を図20および図21を参照して説明する。図20は、ユニット600の斜視図である。図21は、ユニット600をy方向から見た側面図である。
図20に示すように、ユニット600は、最上部電極610aと、最下部電極610bと、第1の内部電極622と、第2の内部電極624と、第3の内部電極632と、第4の内部電極634と、線路640とを備える。また、図21に示すように、ユニット600は、さらに、第1の外部電極650と、第2の外部電極660とを備える。
最上部電極610aは、第1の内部電極622、第2の内部電極624、第3の内部電極632、第4の内部電極634よりも上に(z座標が大きな位置に)配置される。最下部電極610bは、第1の内部電極622、第2の内部電極624、第3の内部電極632、第4の内部電極634よりも下に(z座標が小さな位置に)配置される。最上部電極610aは、−z方向に伸びた側面部分を有する。最下部電極610bは、+z方向に伸びた側面部分を有する。また、最上部電極610aは、信号線路200の真下に配置される。
線路640は、最上部電極610aの−z方向に伸びた側面部分と、最下部電極610bの+z方向に伸びた側面部分とを接続する。線路640は、最上部電極610aおよび最下部電極610bと、各側面部分とをつなぐことで、負の誘電率を実現するλ/2線路の一部として機能する。
線路640と各側面部分により構成される線路の長さは、共振周波数に応じて設計される。ここでは、λ/2の長さをとるため、線路640を、中央層に引いたミアンダ線路としている。ただし、線路640の形状はこれに限られるわけではなく、例えば、ヘリカルでもスパイラルでも構わない。
なお、最上部電極610aおよび最下部電極610bは、負の誘電率の絶対値を大きくするとともに、共振波長を短縮するために備えられているものである。共振波長が短縮されるのは、最上部電極610aと信号線路との容量による波長短縮効果による。最上部電極610aおよび最下部電極610bは、要求される負の誘電率や共振波長により省略することも可能である。
第1の内部電極622および第2の内部電極624は、近接して対向して配置される。また、第3の内部電極632および第4の内部電極634は、近接して対向して配置される。第1の内部電極622および第2の内部電極624の対(上部電極対とよぶ)は、最上部電極610aの側に配置される。第3の内部電極632および第4の内部電極634の対(下部電極対とよぶ)は、最下部電極610bの側に配置される。各々の内部電極面は、信号線路200を流れる電流により生じる磁界方向と平行(電界方向と垂直)に配置される。
第1の外部電極650は、図21に示すとおり、第1の内部電極622と第3の内部電極632とを接続する。第2の外部電極660は、図21に示すとおり、第2の内部電極624と第4の内部電極634とを接続する。各々の外部電極面は、信号線路200を流れる電流により生じる磁界方向と平行(電界方向と垂直)に配置される。
上述の線路640と最上部電極610aと最下部電極610bとは、負の誘電率を実現する。第1〜第4の内部電極622,624,632,634、ならびに第1の外部電極650および第2の外部電極660は、上下2枚ずつの電極をもつコンデンサ型共振器を形成し、負の透磁率を実現する。負の誘電率を実現するλ/2線路および負の透磁率を実現するコンデンサ型共振器は、当然ながら、互いに電気的に直接接続されていない。また、λ/2線路およびコンデンサ型共振器は、信号線路200、グランド220に対しても電気的に接続されておらず、浮いた状態となっている。また、各ユニット600も、お互いに接触していない。
以上説明したようなユニット600を空間的に連続に配置することにより、本実施の形態に係るメタマテリアルは、左手系メタマテリアルとして機能する。なお、ユニット600の配置の仕方は、上述のものに限られない。例えば、平面内に2次元状に配置してもよい。
本実施の形態に係るメタマテリアルは、負の誘電率用の共振器および負の透磁率用の共振器をユニット内に作りこむことで作成されるため、工業的な製造が容易である。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第2の実施の形態におけるコンデンサ型共振器のかわりにスプリットリング型の共振器を用いたメタマテリアルについて説明する。
第3の実施の形態に係るメタマテリアルの1つのユニット700の構造を図22および図23に示す。図22は、ユニット700の斜視図である。図23は、ユニット700の側面図である。
図22を参照して、ユニット700は、最上部電極710aと、最下部電極710bと、第1の内部電極722と、第2の内部電極724aと、第3の内部電極724bと、第4の内部電極730と、線路740を備える。図23を参照して、ユニット700は、さらに、第1の外部電極750および第2の外部電極760を備える。
最上部電極710aおよび最下部電極710bは、第2の実施の形態に係る最上部電極610aおよび最下部電極610bと同様の構造をもち、各内部電極よりも外部に配置される。
線路740は、最上部電極710aおよび最下部電極710bを接続する。線路740は、第2の実施の形態の線路640と同様、λ/2線路の一部として機能し、負の誘電率を実現する。なお、本実施の形態では、線路740として、水平面内を1周半するヘリカル構造のものを用いている。
第2の内部電極724aおよび第3の内部電極724bは、同一面内で、離して配置される。第1の外部電極750は、第2の内部電極724aと第4の内部電極730とを接続する。第2の外部電極760は、第3の内部電極724bと第4の内部電極730とを接続する。つまり、第2の内部電極724a、第1の外部電極750、第3の内部電極724b、第2の外部電極760、第4の内部電極730は、スプリットリング型の共振器と同様の構造を有する。したがって、これらの電極は、負の透磁率を発現する。
第1の内部電極722は、第2の内部電極724aおよび第3の内部電極724bと対向して、第2の内部電極724aおよび第3の内部電極724bとは電気的に接触しないように配置される。第1の内部電極722は、第2の内部電極724aと第3の内部電極724bとの間の切れ目部分の静電容量を補い、共振周波数を下げる役割を果たす。
[第4の実施の形態]
1チップ内に、負の誘電率用の共振器および負の透磁率用の共振器を作りこむメタマテリアルの他の例として、周辺に配置したコイルの中に負の透磁率用の共振器を配置したものを作ることもできる。第4の実施の形態では、そのようなメタマテリアルの一例を示す。
第4の実施の形態に係るメタマテリアルの1つのユニット800の構造を図24、図25、図26を参照しつつ説明する。図24は、ユニット800の斜視図である。図25は、ユニット800の側面図である。図26は、ユニット800の上面図である。
ユニット800は、コイル状導体810と、第1の電極822と、第2の電極824と、第3の電極832と、第4の電極834と、第1のビア842と、第2のビア844とを備える。
コイル状導体810は、ユニット800の表面に近い領域を複数(ここに示す例では、8回)周回する。コイル状導体810は、第1の電極822、第2の電極824、第3の電極832、第4の電極834、第1のビア842、第2のビア844を囲むように配置される。
第1の電極822および第2の電極824は、近接して対向して配置される。また、第1の電極822および第2の電極824は、それぞれの水平面内の位置を互いにずらして配置される。
第3の電極832および第4の電極834は、近接して対向して配置される。また、第3の電極832および第4の電極834は、それぞれの水平面内の位置を互いにずらして配置される。
第1の電極822と第2の電極824の対は、ユニット800内の上部に形成される。第3の電極832と第4の電極834の対は、ユニット800内の下部に形成される。なお、ここでの上部、下部とは、図24および図25に即したものである。
第1のビア842は、第1の電極822と第3の電極832とを接続する。また、第2のビア844は、第2の電極824と第4の電極834とを接続する。
以上の構造により、第1〜第4の電極822,824,832,834ならびに第1のビア842および第2のビア844は、コンデンサ型の共振器として機能し、負の透磁率を発現する。
本実施の形態の構成によれば、第2および第3の実施の形態に比べ、ユニットの大きさを保ちつつ、線路(コイル)の長さを長く取れる。そのため、低い共振周波数を得ることができる。
[第5の実施の形態]
第3の実施の形態や、第4の実施の形態に係るメタマテリアルを作成するためのユニット(メタマテリアルユニット)では、負の透磁率用の共振器は、内部電極を接続するための外部電極を有していた。これに対し、本実施の形態に係る負の透磁率用の共振器では、内部電極を接続するための導電部が、ビアにより実現される。
第5の実施の形態に係るメタマテリアルの1つのユニット900の構造を図27から図29に示す。図27は、ユニット900の斜視図である。図28は、ユニット900の正面図である。図29は、ユニット900の側面図である。
図27から図29を参照して、ユニット900は、最上部電極910aと、第1のビア912aと、第2のビア912bと、最下部電極910bと、第1の内部電極922と、第2の内部電極924aと、第3の内部電極924bと、第4の内部電極930と、線路940と、第3のビア950と、第4のビア960とを備える。
第1のビア912a、線路940および第2のビア912bは、最上部電極910aおよび最下部電極910bを接続する。
第1のビア912a、線路940および第2のビア912bの全長は、共振波長の略1/2の長さである。第1のビア912a、線路940および第2のビア912bは、λ/2線路の一部として機能し、負の誘電率を実現する。なお、線路940の形状は、図示したミアンダ線路に限られず、例えば、ヘリカルでもスパイラルでも構わない。
最上部電極910aおよび最下部電極910bは、図21に示す最上部電極610aおよび最下部電極610bと同様に、負の誘電率の絶対値を大きくするとともに、共振波長を短縮する機能を発揮する。ただし、最上部電極910aおよび最下部電極910bは、省略することも可能である。
なお、第1のビア912aの外部端部(線路940に接続されていないほうの端部)および第2のビア912bの外部端部(線路940に接続されていないほうの端部)は、最上部電極910aおよび最下部電極910bの有無にかかわらず、λ/2線路の両端に電荷がたまるように、負の透磁率用の共振器の外部にあることが好ましい。
第3のビア950は、第2の内部電極924aと第4の内部電極930とを接続する。第4のビア960は、第3の内部電極924bと第4の内部電極930とを接続する。第2の内部電極924a、第3のビア950、第3の内部電極924b、第4のビア960、第4の内部電極930は、スプリットリング型の共振器と同様の構造を有し、負の透磁率を発現する共振器として機能する。第1の内部電極922は、第4の実施の形態の第1の内部電極722と同様、第2の内部電極924aと第3の内部電極924bとの間の切れ目部分の静電容量を補い、共振周波数を下げる役割を果たす。
本実施の形態に係るユニット900は、外部電極を必要としない。したがって、このユニットは、製造が容易である。外部電極を備えるユニットを作成する場合、通常、外部電極以外の部分を積層形成したあと、外部電極を積層形成した部品に貼り付ける。一方、本実施の形態に係るユニット900は、積層形成のみで、作成することができる。
また、ユニット900は、複数のユニットを並べたメタマテリアルの作成に好適である。外部電極をもつユニット同士が接触してしまうと、一方のユニットの外部電極に流れる電流が、他方のユニットの外部電極にも流れることになり、適切に電磁波の共振が起きなくなる。したがって、ユニット同士を離して配置する、あるいは、外部電極を絶縁体で覆うなどのユニット加工を行なう必要があった。本実施の形態に係るユニット900は、互いに隣接させて配置できるので、メタマテリアルをさらに小さくできる。また、加工が不要なため、ユニット900を用いたメタマテリアルの作成は、容易である。
ユニット900の作成方法を、図30を参照して説明しておく。図30は、第6の実施の形態に係るユニット900の作成方法を説明するための図である。
図30を参照して、ユニット900は、複数の層を順次重ねて作成される。図30には、ユニット900の主要な構成要素を含む層L1〜L6を示している。各層の材料(基板材料)は、樹脂などの絶縁性材料である。いくつかの層の基板材料上には金属部品が形成されている。また、いくつかの層の基板材料には、基板材料を貫通するようにビアが形成されている。なお、図30に示しているのは、層L1〜L6の一部である。実際には、層L1〜L6は、図30における横方向にさらにのびている。
層L1〜L6には、それぞれ、周期的に配置された複数の(図30では3×3の)ユニットの構成部品が配置されている。層L1は、複数の最下部電極910bを含む。層L2は、複数の第4の内部電極930を含む。層L3は、複数の線路940を含む。層L4は、第2の内部電極924aと第3の内部電極924bとの対を複数含む。層L5は、複数の第1の内部電極922を含む。層L6は、複数の最上部電極910aを含む。
また、各層のうち、第1のビア912a、第2のビア912b、第3のビア950、および、第4のビア960に相当する領域には、ビアが形成されている。図30中では、ビアを垂直方向の細線にて示している。
各層を積み重ねて積層体を作った後、積層体を切断して、ユニット900を作成する。図30に示す部分からは、9つのユニット900ができる。なお、積層体を1つ1つのユニット900にばらすのではなく、いくつかのユニット900をひとまとまりにして積層体から切り出してもよい。
なお、本実施の形態では、第3の実施の形態で示したスプリット型共振器の導電部をビアとする構造を示したが、他のタイプの共振器の導電部をビアとすることもできる。例えば、第2の実施の形態で示した多層コンデンサ型共振器の外部電極をビアにしてもよい。
[第6の実施の形態]
第2、第3、第5の実施の形態に係るメタマテリアルユニットでは、負の誘電率を発現するための線路を、LC共振器(具体的には、多層コンデンサ型共振器およびスプリット型共振器)の中に形成していた。しかしながら、線路は、必ずしも、LC共振器の内部になくてもよい。第6の実施の形態では、λ/2線路を、LC共振器の外部に配置したユニット1000について説明する。
第6の実施の形態に係るユニット1000の構造を図31に示す。図31は、第6の実施の形態に係るユニット1000の構造を示す図である。
図31を参照して、ユニット1000は、最上部電極1010aと、第1のビア1012と、最下部電極1010bと、第1の内部電極1022と、第2の内部電極1024aと、第3の内部電極1024bと、第4の内部電極1030と、第2のビア1050と、第3のビア1060とを備える。
第1のビア1012は、最上部電極1010aおよび最下部電極1010bを接続する。第1のビア1012の長さは、共振波長の略1/2である。したがって、第1のビア1012は、共振波長の電磁波に対して負の誘電率を発現する。
なお、本実施の形態では、最上部電極1010aおよび最下部電極1010bが、直線の第1のビア1012で接続されている。しかしながら、図27に示す構造のように、複数のビアと、水平面内の線路とを組み合わせて、λ/2線路を実現してもよい。ユニットの小型化のためには、この場合の線路は、他の実施の形態で説明したように、ミアンダ線路など屈曲したものであることが好ましい。
最上部電極1010aおよび最下部電極1010bは、第5の実施の形態における最上部電極910aおよび最下部電極910bと同様に、負の誘電率の絶対値を大きくするとともに共振周波数を短縮する機能を発揮する。
第2の内部電極1024a、第2のビア1050、第3の内部電極1024b、第4の内部電極1030、第3のビア1060、および、第3の内部電極1024bは、スプリットリング型の共振器と同様の構造を有し、負の透磁率を発現する共振器として機能する。第1の内部電極1022は、第4の実施の形態の第1の内部電極722と同様、第2の内部電極1024aと第3の内部電極1024bとの間の切れ目部分の静電容量を補い、共振周波数を下げる役割を果たす。
第1の内部電極1022、第2の内部電極1024a、第2のビア1050、第3の内部電極1024b、第3のビア1060、および、第4の内部電極1030は、最上部電極1010aおよび最下部電極1010bに挟まれる空間内に配置される。つまり、本実施の形態に係るユニットでは、負の誘電率を発現する共振器の中に、負の透磁率を発現する共振器が形成されている。
本実施の形態に係るユニット1000は、第5の実施の形態に係るユニット900と同様に、ビアによって、内部電極を接続しているため、容易に作成できる。また、ユニット1000は、ユニットの表面に電極を有さないため、メタマテリアルの作成に好適である。
[補足]
メタマテリアルが、ある共振周波数において、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発現するための、共振器の位置関係について、まとめておく。ここでは、第5の実施の形態で説明したような、スプリットリング型共振器と、半波長共振器とを組み合わせたメタマテリアル(あるいはメタマテリアルユニット)を例にとって、説明する。
図32は、スプリットリング型共振器1210および半波長共振器1220を組み合わせたメタマテリアルと、信号線路200と、グランド220との位置関係を模式的に示した図である。このメタマテリアルは、第5の実施の形態で説明したとおり、負の透磁率と負の誘電率とを同時に発現する。これは、メタマテリアルが電磁界に共振する際に電界が集中する領域と、磁界が集中する領域とが重複しないためである。
電界が集中する領域について図33を参照して説明する。図33は、図32に示すメタマテリアルが、負の誘電率を示すときの、電荷および電界の様子を模式的に示す図である。図33を参照して、半波長共振器1220は、第1の最外電極1222と、第2の最外電極1224と、線路1226とを含む。第1の最外電極1222は、信号線路200側に配置されている。第2の最外電極1244は、グランド220側に配置されている。
図33には、信号線路200に電流が流れ、信号線路200からグランド220に向かう電界が発生している状況を示している。共振周波数をもつ電流が流れると、第1の最外電極1222には負電荷がたまり、第2の最外電極1224には、正電荷がたまる。そして、第1の最外電極1222と信号線路200との間の領域1230、ならびに、第2の最外電極1224とグランド220との間の領域1240に大きな電界が発生する。
つまり、半波長共振により電荷がたまる半波長共振器1220の端部と、信号線路200あるいはグランドとに挟まれる領域が、共振による電界が集中する領域である。なお、ここでは、半波長線路の両端に接続された電極が、半波長共振器1220の端部に相当する。しかし、半波長共振器1220が電極を含まない場合、半波長線路の両端が半波長共振器1220の端部に相当する。
磁界が集中する領域について図34を参照して説明する。図34は、図32に示すメタマテリアルが、負の透磁率を示すときの、磁界の様子を模式的に示す図である。図34を参照して、スプリットリング型共振器1210は、第1の導体1212と、第2の導体1214とを含む。
図34には、信号線路200に電流が流れ、スプリットリング型共振器1210から磁界が発生している状況を示している。共振周波数をもつ電流が流れると、電流とスプリットリング型共振器1210がLC共振し、第2の導体1214の内部の領域1250に、信号線路200を流れる電流により発生する磁界を打ち消す、大きな磁界が発生する。発生する磁界は、主に紙面に直交する。
つまり、LC共振の生じるループの内部領域が、共振による磁界が集中する領域である。言い換えると、キャパシタンスを形成する電極対と、インダクタンスを形成する導電部とに囲まれた空間が、共振による磁界が集中する領域である。
図33と図34とを比較して、電界が集中する領域(領域1230および領域1240)と、磁界が集中する領域(領域1250)とは互いに離れている。そのため、半波長共振器1220の共振により発生する電界は、スプリットリング型共振器1210の共振に影響をほぼ及ぼさない。逆もまた同様である。したがって、図32に示したメタマテリアルは、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発現することができる。図32に示す構造をもつメタマテリアルは、誘電率共振により発生する電界が集中する領域とは異なる領域に、透磁率共振により発生する磁界が集中する。
比較のため、スプリットリング型共振器と、半波長共振器との位置関係を変更したメタマテリアルについて、図35から図37を参照して説明する。
図35は、図34のメタマテリアルとは共振器の配置が異なるメタマテリアルと、信号線路200と、グランド220との位置関係を模式的に示した図である。
図35に示すメタマテリアルは、スプリットリング型共振器1310および半波長共振器1320を備える。スプリットリング型共振器1310は、第1の導体1312および第2の導体1314を含む。半波長共振器1320は、全体が、第2の導体1314の中に配置されている。
このメタマテリアルでは、メタマテリアルが電磁界に共振する際に電界が集中する領域と、磁界が集中する領域とに重なりがある。そのため、負の透磁率と負の誘電率とを同時に安定に発現することがやや難しくなる。
電界が集中する領域を図36に示す。図36は、図35に示すメタマテリアルが、負の誘電率を示すときの電界の集中する領域を説明するための図である。図36を参照して、半波長共振器1320は、第1の最外電極1322と、第2の最外電極1324と、線路1326とを含む。第1の最外電極1322は、信号線路200側に配置されている。第2の最外電極1344は、グランド220側に配置されている。
負の誘電率の発生時には、第1の最外電極1322と信号線路200との間の領域1330、ならびに、第2の最外電極1324とグランド220との間の領域1340に大きな電界が発生する。
磁界が集中する領域について図37を参照して説明する。図37は、図35に示すメタマテリアルが、負の透磁率を示すときの磁界の集中する領域を説明するための図である。負の透磁率の発現時には、第2の導体1314の内部の領域1350に、信号線路200を流れる電流により発生する磁界を打ち消す方向の大きな磁界が発生する。
図36と図37とを比較して、電界が集中する領域(領域1330および領域1340)の一部と、磁界が集中する領域(領域1350)の一部とは重複する。そのため、半波長共振器1220の共振により発生する電界が、スプリットリング型共振器1210の共振に影響を及ぼす。逆もまた同様である。したがって、図35に示したメタマテリアルは、負の誘電率と負の透磁率とを同時に発現することがやや難しくなる。
なお、以上の説明は、他の種類の共振器をもつメタマテリアルにもあてはまる。例えば、スプリット型共振器を多層コンデンサ型共振器に替えたメタマテリアルについても、以上の説明はあてはまる。
ただし、多層コンデンサ型共振器を用いる場合には、第1の実施の形態や第2の実施の形態で説明したように、同極性の電荷が、不干渉であることが好ましい。つまり、同極性の電荷が、互いの発現に影響しない程度に離れて発生するように、共振器が構成されていることが好ましい。具体的には、静電容量を形成する複数の電極のうち、最も外部にある2つの最外電極の極性が逆であることが好ましい。
[第7の実施の形態]
第1の実施の形態から第6の実施の形態までにおいては、メタマテリアル単体について説明した。第7の実施の形態では、メタマテリアルを用いたアンテナについて説明する。
図38は、透磁率μおよび誘電率εの値の範囲ごとの伝送線路上の電磁波の伝達を示す図である。図38を参照して、μ>1かつε>1の領域、および、μ<0かつε<0の領域(前述した左手系領域)では、電磁波は減衰せずに伝達される。
μ>1かつε>1の領域において、εを1に近付けて、μを無限大に近付ければ、インピーダンスを十分に大きくすることができるので、電磁波を遮断することができる。ただし、μ>1かつε>1の領域の自然界の材料では、実際にはμを無限大に近付けることは不可能であるため、実現することはできない。
しかし、メタマテリアルでは、μ<0かつε<0が可能なだけでなく、自然界の材料では不可能な0<ε<1の値を取ることもできる。そこで、εを0に近づけることでインピーダンスを理論的に無限大に近づけることが可能となる。これにより、電磁波を遮断することができる。
また、εまたはμのいずれか一方が負の「エバネッセント解領域」を使うことでも電磁界を遮断することができる。さらに、これらを組合わせて、ε=0かつμ<0とすることで、さらに遮断効果を高めることができる。このような領域のメタマテリアルを用いれば、高インピーダンス領域を形成することができる。
このようなメタマテリアルとしては、第1の実施の形態で説明した負の透磁率を発現可能なMLCC(multi-layer ceramic capacitor、積層セラミックコンデンサ)を用いてもよいし、スプリットリング共振器を用いるようにしてもよい。また、第1の実施の形態で説明した負の誘電率を発現可能なヘリカルコイルを用いてもよいし、チップコイルを用いてもよいし、金属細線樹脂を用いてもよい。
また、LC共振器、半波長共振器、および、左手系メタマテリアルチップを用いてもよい。また、半波長共振器として、特に成型していないλ/2の長さの金属線でもよい。また、後述する図40で示すように、金属筐体2001の領域2000のメタマテリアルを挟んで反対側にグランドを設けるようにすれば、λ/4の長さの共振器であってもよい。
図39は、第7の実施の形態に係るメタマテリアル2100を用いたアンテナを示す図である。図39を参照して、上述したようなメタマテリアル2100を、アンテナとして機能させたい領域2000を他の領域と区画する領域の金属筐体2001の内側に、複数、貼り付ける。
これにより、メタマテリアル2100が貼り付けられた金属筐体2001の部分が、メタマテリアル2100の共振波長の近傍の電磁波の成分に対して高インピーダンス領域と等価的な当該電磁波の成分を大きく遮断させる領域、または、当該電磁波の成分をほぼ遮断させる領域となる。このため、領域2000が、電磁界の共振波長の成分との共振において、他の領域と分離される。
このため、回路基板2300から給電線2200を介して、領域2000に給電すると、領域2000が、他の領域と電磁気的に分離されて、電磁界のメタマテリアル2100の共振波長の近傍の成分の電磁波と共振するアンテナとして機能する。その結果、金属筐体2001の一部をアンテナとして機能させることができる。つまり、金属筐体2001の全面が金属であったとしても、外部にアンテナを設けたり、筐体の一部を開放したり絶縁体としたりする必要がない。このため、コストを低くすることができたり、デザインに自由度を持たせたり、強度を低下させないようにしたりすることができる。
なお、回路基板には、給電線2200を介してアンテナとして機能する領域2000の給電点に給電するための回路、および、アンテナとして機能する領域2000で共振した共振波長の近傍の電磁波を処理する回路(たとえば、同調回路、増幅回路、出力回路)などが搭載される。
また、領域2000は、アンテナとして機能するので、図39に示したような長辺の長さがλ/4で、短辺の長さがλ/4未満の長方形の形状のアンテナに限定されず、長さがλ/4の短冊状のアンテナであってもよいし、ミアンダ形状に折り曲げて省スペースとしたものであってもよいし、逆F形状であってもよいし、折り返しダイポール形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
また、メタマテリアルによるEBG(Electromagnetic Band Gap)の帯域は狭いので、メタマテリアル2100として、少しずつ共振周波数(共振波長)の異なるメタマテリアルを混在させると、領域2000によって構成されるアンテナの帯域を広げることができる。
前述した特許文献2および特許文献3のマッシュルーム構造のCRLH(Composite Right/Left-Handed)のEBGは、信号が流れる面に静電容量を形成する必要があり、マッシュルーム構造のような切れ目を入れなければならないので、金属筐体の表面をそのままとすることはできない。
一方、本実施の形態のように、共振型のメタマテリアルを用いると、金属筐体の表面はそのままで、裏面にメタマテリアルを付けることで、特定の領域2000を電磁気的に分離することができる。このため、金属筐体の強度やデザインの上でメリットがある。
また、従来のように、ノートPCにおいて金属筐体のうちの一部を樹脂化して、その部分にアンテナを搭載する場合、樹脂化する部分が狭いため、アンテナの搭載位置が限られる。
しかし、本実施の形態のようにアンテナを構成すれば、ノートPC等の天板などの電気装置の金属筐体をすべて金属のまま、アンテナとして機能させることができるので、アンテナとして使える面積が広く取れる。このため、複数のアンテナを搭載することができる。また、同じ金属筐体に複数のアンテナを設けたとしても、各アンテナ部分は、EBGで分離されているので、電磁気的に結合することはない。
また、広い面積を使えるので、誘電体などによる波長短縮を使わなくてもよい。このため、誘電体などを用いている小型アンテナと比較して、本実施の形態のアンテナは、利得および帯域の面で有利である。
メタマテリアルのEBGを使ったアンテナは、帯域および利得の点で、同サイズの金属アンテナよりも不利となる。しかし、前述したように、アンテナの面積が制約されないメリットにより、そのような不利な点を補える。
図40は、第7の実施の形態に係るメタマテリアル2100を用いたアンテナをより詳しく示す図である。図40を参照して、メタマテリアルを挟んで金属筐体2001の領域2000の反対側に、グランド2400を設けるようにしてもよい。また、グランド2400の周囲を、金属筐体2001に接続するようにしてもよい。これにより、シールドとして機能する部分は残り、アンテナの放射面は、主に、金属筐体2001の外側となるので、ノイズの問題も無くすることができる。
図41は、第7の実施の形態に係るメタマテリアル2100を用いたアンテナを形成する構造の例を示す図である。図41を参照して、本実施の形態では、メタマテリアル2100としてチップコイルが用いられる。
このようにチップコイルのメタマテリアル2100が配置され貼り付けられて、メタマテリアル2100が貼り付けられた領域の内側に金属筐体2001に領域2000が形成される。このため、金属筐体2001で覆われた装置であっても、アンテナ機能を追加することができる。
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態においては、第7の実施の形態で説明したようなメタマテリアルを用いたアンテナのシミュレーションについて説明する。
図42は、メタマテリアルを用いない場合の金属平板4001Aでの電磁波の共振のシミュレーションの構造を示す図である。図42を参照して、金属平板4001Aの中心部の裏面に給電線4200Aが接続される。また、金属平板4001Aの裏面から微小距離離れてグランド平板4400Aが配置される。
図43は、メタマテリアルを用いない場合の金属平板4001Aでの電磁波の共振のシミュレーションの結果を示す図である。図43を参照して、図42で説明した給電線4200Aから給電すると、電磁界の様々な周波数の電磁波と共振することによって、図43(A)、図43(B)および図43(C)で示すように、金属平板4001Aの全体で、様々な共振を示す電界強度分布のシミュレーション結果が得られる。
図44は、メタマテリアルを用いた場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの構造を示す図である。図44を参照して、金属平板2001Aの中心部の裏面に給電線2200Aが接続される。また、金属平板2001Aの裏面から微小距離離れてグランド平板2400Aが配置される。
さらに、金属平板2001Aの給電線2200Aが接続される給電点を含む領域を、他の領域と区画する領域にメタマテリアル2100Aが貼り付けられる。これにより、金属平板2001Aとグランド平板2400Aとの間にメタマテリアル2100Aが配置される。
また、金属平板2001Aとグランド平板2400Aとが、メタマテリアル2100Aが貼り付けられる領域よりも外で、電気的に接続される。
本実施の形態のシミュレーションにおいては、メタマテリアル2100Aの誘電率はε=0.01であり、透磁率はμ=−100であることとする。
図45は、メタマテリアルを用いた場合の金属平板での電磁波の共振のシミュレーションの結果を示す図である。図45を参照して、図44で説明した給電線2200Aから給電すると、電磁界の様々な周波数の電磁波と共振することによって、図45(A)および図45(B)で示すように、メタマテリアル2100Aが貼り付けられる領域の内側でのみ様々な共振を示し、メタマテリアル2100Aが貼り付けられる領域の外側では共振を示さない電界強度分布のシミュレーション結果が得られる。このように、金属平板2001Aの一部を切り取ったような状態となる。
[第9の実施の形態]
第9の実施の形態においては、第7の実施の形態で示したメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例について説明する。
図46は、第9の実施の形態に係るメタマテリアル2100Bを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。図46を参照して、メタマテリアル2100Bを用いたアンテナを、スマートフォンなどの携帯端末に適用する場合について説明する。中央の図は、携帯端末の表面の液晶ディスプレイを備えた面を開けた状態の金属筐体2001Bを示す。
図46の中央の図で示すように、金属筐体2001Bの内側の中央部付近に、メタマテリアル2100Bを用いたアンテナが形成される。図46の右上の図は、中央の図の金属筐体2001Bを裏返した状態を示す。このように、金属筐体2001Bの領域2000Bにアンテナが形成される。そして、メタマテリアル2100B等のアンテナを形成するための部品は、金属筐体2001Bの内側に設けられるため、外側からは視認することができない。このため、金属筐体2001Bの筐体のデザインおよび質感に影響を与えることもない。
図46の右下の図は、図46の中央の図のアンテナが形成される部分を拡大した図である。この状態では、給電線2200Bおよびグランド平面2400Bが視認できる。
図46の左下の図は、アンテナを形成するための部品を金属筐体2001Bから外して、金属筐体2001Bとの貼り付け面側から見た状態を示す。また、図46の左上の図は、図46の左下の図の給電線2200Bを含む部分を拡大した図である。このように、グランド平面2400Bの金属筐体2001Bの側の、給電線2200Bを含む領域の外に、メタマテリアル2100Bが配列される。
[第10の実施の形態]
第10の実施の形態においては、第7の実施の形態で説明したメタマテリアルを用いたアンテナの変形例について説明する。
図47は、第10の実施の形態に係るメタマテリアル2100Cを用いたアンテナを形成する構造の例を示す図である。図47を参照して、本実施の形態においては、ヘリカルコイルで構成されるメタマテリアル2100Cが、直接、金属平板2001Cに貼り付けられるのではなく、メタマテリアル2100Cと金属平板2001Cとの間に透磁率μ=30の磁性体2700が設けられるようにする。
また、給電線2200Cを含む矩形状の領域2000Cのうち一辺は、矩形状の金属平板2001Cの一辺の一部であり、他の3辺は、メタマテリアル2100Cおよび磁性体2700が設けられる領域に接する。
給電線2200Cが接続される給電点は、金属平板2001Cの一辺の一部である領域2000Cの辺の近傍に設けられる。
図48は、第10の実施の形態に係るメタマテリアル2100Cを用いたアンテナを形成する構造の一部を詳細に示す図である。図48を参照して、ヘリカルコイルで構成されるメタマテリアル2100Cの金属平板2001Cの側に、磁性体2700が設けられる。
図49は、第10の実施の形態に係るメタマテリアル2100Cを用いたアンテナのシミュレーションの結果を示す図である。図49(A)は、金属平板2001Cの電界分布を示す。図49(B)は、金属平板2001Cの電流分布を示す。
図49(A)おおび図49(B)で示すように、メタマテリアル2100Cおよび磁性体2700が設けられている金属平板2001Cの領域の内側でのみ様々な共振を示し、メタマテリアル2100Cおよび磁性体2700が設けられている金属平板2001Cの領域の外側では、共振を示さないシミュレーションの結果が得られる。このように、金属平板2001Cの一部を切り取ったような状態となる。
[第11の実施の形態]
第7の実施の形態から第9の実施の形態においては、金属筐体2001の特定の領域2000の全周を取囲むことによって区画する領域に、メタマテリアル2100が貼り付けられることで、領域2000がアンテナとして機能するものについて説明した。
図50は、第7の実施の形態から第9の実施の形態に係るメタマテリアル2100を用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。図50を参照して、第7の実施の形態から第9の実施の形態においては、特定の領域2000の全周を取囲むように、メタマテリアル2100が貼り付けられる領域があるものについて説明した。
第11の実施の形態においては、金属平板2001Dの特定の領域2000Dの全周を、メタマテリアル2100Dの貼り付けられる領域が取囲まないものについて説明する。
図51は、第11の実施の形態に係るメタマテリアル2100Dを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。図51を参照して、第11の実施の形態におけるメタマテリアル2100Dを用いたアンテナの構造においては、矩形の特定の領域2000Dの2つの長辺および1つの短辺は、メタマテリアル2100が貼り付けられた領域と接するが、領域2000Dの給電線2200が接続される給電点の近傍の残りの1つの短辺は、接地面2500と接続される。接地面2500は、グランド2400Dと接続される。このような構成であっても、領域2000Dは、アンテナとして機能する。
λ/4のモノポールアンテナでは、先端が開放で電圧最大かつ電流最小、他方が電圧最小かつ電流最大となるので、給電点の付近は接地してもよい。アンテナとして機能する領域2000を、メタマテリアル2100が貼り付けられた領域ですべて囲む場合と比較して、本実施の形態の場合、少なくとも1面を接地面2500とするので、メタマテリアル2100Dの量が少なくて済み、コストを削減できる。
また、メタマテリアルのEBGといっても、電磁波の伝達を完全に遮断して、電磁気的に分離することができるわけではないので、グランドに落とした方が、遮断効率が高く、領域2000Dに形成されるアンテナの特性的にも有利である。
また、1面をグランドに落とさない場合には、アンテナ長がλ/2必要であるが、1面をグランドに落とした場合には、アンテナ長をλ/4とすることができるので、小型化することができる。
なお、インピーダンスが低くなるが、逆Fアンテナのように、給電点を接地面から少し離してもよい。また、折り返しモノポールアンテナのような構造にして、インピーダンスを高くするようにしてもよい。
[第12の実施の形態]
第12の実施の形態においては、第11の実施の形態と同様、金属平板2001Eの特定の領域2000Eの全周を、メタマテリアル2100Eの貼り付けられている領域が取囲まないものについて説明する。
図52は、第12の実施の形態に係るメタマテリアル2100Eを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。図52を参照して、第12の実施の形態におけるメタマテリアル2100Eを用いたアンテナの構造においては、矩形の特定の領域2000Dの2つの長辺は、それぞれ、金属平板2001Eの辺の一部で構成される。また、特定の領域2000Dの2つの短辺は、それぞれ、メタマテリアル2100Eが貼り付けられた領域と接する。このような構成であっても、領域2000Eは、アンテナとして機能する。
このように波長と同程度の大きさの金属平板2001Eの場合は、一部分だけをメタマテリアル2100Eで、電磁気的に分離して、分離した領域2000Eをアンテナとして機能させることができる。
[第13の実施の形態]
第13の実施の形態においては、第11の実施の形態および第12の実施の形態と同様、金属平板2001Fの特定の領域2000Fの全周を、メタマテリアル2100Fの貼り付けられている領域が取囲まないものについて説明する。
図53は、第13の実施の形態に係るメタマテリアル2100Fを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。図53を参照して、第13の実施の形態におけるメタマテリアル2100Eを用いたアンテナの構造においては、金属平板2001Fの特定の領域2000Fがミアンダ形状のように屈曲した形状となるように、メタマテリアル2100Fの貼り付けられた領域が設けられる。これにより、領域2000Fは、金属平板2001Fをそのままアンテナとして用いる場合よりも長い共振波長(短い共振周波数)のアンテナとして機能する。
[第14の実施の形態]
第14の実施の形態においては、第11の実施の形態から第13の実施の形態と同様、金属平板2001Gの特定の領域2000Gの全周を、メタマテリアル2100Gの貼り付けられている領域が取囲まないものについて説明する。
図54は、第14の実施の形態に係るメタマテリアル2100Gを用いたアンテナの構造を模式的に説明するための図である。図54を参照して、第14の実施の形態におけるメタマテリアル2100Gを用いたアンテナの構造においては、矩形の特定の領域2000Dの1つの長辺および1つの短辺は、それぞれ、金属平板2001Gの辺の一部で構成される。また、特定の領域2000Dの残りの長辺および短辺は、それぞれ、メタマテリアル2100Eが貼り付けられた領域と接する。このような構成であっても、領域2000Gは、アンテナとして機能する。
このように、金属筐体の端または角に給電点を設けることができる状況であれば、アンテナとして機能させる領域の全周のうちの一部は、メタマテリアルの貼り付けられた領域でなくても構わない。
[第15の実施の形態]
第7の実施の形態から第14の実施の形態においては、1つの共振波長のメタマテリアルを用いたアンテナについて説明した。第15の実施の形態においては、複数の共振波長のメタマテリアルを用いたアンテナについて説明する。
図55は、第15の実施の形態に係るメタマテリアル2100HA,2100HBを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図55を参照して、金属平板2001Hにおいて、共振周波数がf1(共振波長がλ1)であるメタマテリアル2100HAの貼り付けられた領域で、特定の領域2000Hを取囲むようにする。
また、共振周波数がf2(共振波長がλ2)であるメタマテリアル2100HBの貼り付けられた領域で、メタマテリアル2100HAの貼り付けられた領域を取囲むようにする。そして、給電線2200Hが接続される給電点を特定の領域2000Hの短辺の近傍に設ける。
さらに、特定の領域2000Hの長辺の長さをλ1/4とし、メタマテリアル2100HAの貼り付けられた領域の長辺の長さをλ2/4とする。
このように構成することによって、領域2000Hを、共振波長λ1,λ2の両方で共振するアンテナとして機能させることができる。このように、特定の領域2000Hを2重で囲むことに限定されず、もっと多くの共振波長のメタマテリアルの貼り付けられた領域で囲むようにしてもよい。
また、複数の種類のメタマテリアルの共振波長の差を狭く取れば、特定の領域2000Hに形成されるアンテナの帯域を広く取ることができる。
[第16の実施の形態]
第16の実施の形態においては、第12の実施の形態で説明したメタマテリアル2100Eを用いたアンテナを製品に適用する場合の例について説明する。
図56は、第16の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。図56を参照して、メタマテリアル2100KA,2100KBを用いたアンテナを、スマートフォンなどの携帯端末に適用する場合について説明する。
この図は、携帯端末の表面の液晶ディスプレイを備えた面を開けた状態の金属筐体2001Kおよび非金属筐体2002Kを示す。なお、液晶ディスプレイを備えた面の筐体の金属筐体2001Kと接する部分についても、非金属で形成される。ここでは、非金属の材質は、たとえば、樹脂であることとする。
金属筐体2001Kの全周の領域を2つの領域に分けるように、メタマテリアル2100KA,2100KBの貼り付けられた領域が設けられる。これにより、給電線2200Kが接続される給電点を含む特定の領域2000Kの2つの短辺がそれぞれ、メタマテリアル2100KA,2100KBの貼り付けられた領域と接し、2つの長辺がそれぞれ、非金属の筐体と接する。これにより、特定の領域2000Kは、アンテナとして機能する。
[第17の実施の形態]
第16の実施の形態においては、金属筐体2001Kの全周の領域を2つの領域に分けるようにした。第17の実施の形態においては、金属筐体2001Jの全周を2つの領域に分けずにアンテナとして機能させる例について説明する。
図57は、第17の実施の形態に係るメタマテリアルを用いたアンテナを製品に適用する場合の例を示す図である。図57を参照して、金属筐体2001Jおよび非金属筐体2002Jは、第16の実施の形態の金属筐体2001Kおよび非金属筐体2002Kと同様である。
第16の実施の形態と異なり、金属筐体2001Jの全周の領域のうち、1箇所に、メタマテリアル2100Jの貼り付けられた領域が設けられる。これにより、給電線2200Jが接続される給電点を含む特定の領域2000Jの2つの短辺がそれぞれ、メタマテリアル2100Jの貼り付けられた領域と接し、2つの長辺がそれぞれ、非金属の筐体と接する。これにより、特定の領域2000Jは、アンテナとして機能する。
[第18の実施の形態]
図50を再び参照して、第7の実施の形態から第9の実施の形態における金属筐体2001は、金属筐体2001の材料に応じた表皮深さ未満の厚さであることが望ましい。これは、表皮深さよりも厚いと給電線2200から給電された電流が、領域2000の金属筐体2001の内側のみに流れ、領域2000の金属筐体2001の外側には流れないため、領域2000がアンテナとして機能し難いからである。
このため、金属筐体2001は、表皮深さ未満の厚さの金属層と金属筐体2001の強度を保つための絶縁体層とで構成されるようにする。たとえば、樹脂などの絶縁体層に金属めっきを施すことによって表皮深さ未満の厚さの金属層が形成される。
表皮深さの値は、導電体の金属の中でも、比較的、小さい値となる銀の場合、1GHzの周波数の電磁波に対して約2μmであり、周波数が低くなるほど大きくなり、銅、金、アルミおよび鉄などの他の金属では銀と比較して大きくなる。
なお、金属層は、表皮深さ未満の厚さであることが好ましいが、領域2000がアンテナとして機能するのに必要な電磁波を放射可能な厚さであれば、表皮深さよりも厚くてもよい。
また、第12の実施の形態から第14の実施の形態まで、および、第16の実施の形態から第17の実施の形態までで説明したように、特定の領域2000E〜2000G,2000J,2000Kの端面が、金属平板2001E〜2001G,金属筐体2001J,2001Kの端面でもあれば、その端面から電磁波が放射可能であるので、金属層の厚さは、表皮深さ以上であってもよい。このため、強度を保つことが可能な厚さの金属層のみで筐体を構成しても、特定の領域2000E〜2000G,2000J,2000Kをアンテナとして機能させることができる。
しかし、第18の実施の形態で説明するように、特定の領域2000Mの端面が、金属平板2001Mに設けられたスリット2900Mの内面に露出するようにしても、その端面から電磁波が放射可能となるので、金属層の厚さが、表皮深さ以上であっても、特定の領域2000Mをアンテナとして機能させることができる。
図58は、第18の実施の形態に係るメタマテリアル2100Mを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図58を参照して、第18の実施の形態におけるメタマテリアル2100Mを用いたアンテナの構造においては、矩形の特定の領域2000Mの2つの長辺は、それぞれ、メタマテリアル2100Mが貼り付けられた領域と接する。また、特定の領域2000Mの短辺の1つは、スリット2900Mに接する。また、特定の領域2000Mの給電線2200Mが接続される給電点の近傍のもう1つの短辺は、接地面2500Mと接続される。接地面2500Mは、第11の実施の形態の図51の接地面2500と同様、グランドと接続される。このような構成であっても、領域2000Mは、アンテナとして機能する。
このように、金属層の厚さが表皮深さ以上であっても、特定の領域2000Mの端面が、金属平板2001Mに設けられたスリット2900Mの内面に露出するようにしているので、その端面から電磁波が放射可能となるので、特定の領域2000Mをアンテナとして機能させることができる。
また、アンテナとして機能する領域2000Mを、メタマテリアルが貼り付けられた領域ですべて囲む場合と比較して、本実施の形態の場合、少なくとも1面を接地面2500Mとするだけでなく、他の1面もスリットにするので、メタマテリアル2100Mの量が少なくて済み、コストを削減できる。
なお、接地面2500Mを設けないようにしてもよい。この場合は、λ/4のアンテナ長をλ/2とする必要がある。
[第19の実施の形態]
第18の実施の形態においては、スリットを領域2000Mの短辺側に接して設けるようにした。第19の実施の形態においては、スリットを領域2000Nの長辺側に接して設けるようにする。
図59は、第19の実施の形態に係るメタマテリアル2100Nを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図59を参照して、第19の実施の形態におけるメタマテリアル2100Nを用いたアンテナの構造においては、矩形の特定の領域2000Nの2つの長辺は、スリット2900Nに接する。また、領域2000Nの短辺の1つは、メタマテリアル2100Nが貼り付けられた領域と接する。また、特定の領域2000Nの給電線2200Nが接続される給電点の近傍のもう1つの短辺は、接地面2500Nと接続される。接地面2500Nは、第11の実施の形態の図51の接地面2500と同様、グランドと接続される。このような構成であっても、領域2000Nは、アンテナとして機能する。
このように、金属層の厚さが表皮深さ以上であっても、特定の領域2000Nの端面が、金属平板2001Nに設けられたスリット2900Nの内面に露出するようにしているので、その端面から電磁波が放射可能となるので、特定の領域2000Nをアンテナとして機能させることができる。
また、アンテナとして機能する領域2000Nを、メタマテリアルが貼り付けられた領域ですべて囲む場合と比較して、本実施の形態の場合、少なくとも1面を接地面2500Nとするだけでなく、他の2面もスリットにするので、メタマテリアル2100Nの量が、第18の実施の形態と比較して、さらに少なくて済み、コストを削減できる。
ただし、第18の実施の形態と比較して、スリットが多くなるので、強度的に不利である。第18の実施の形態および第19の実施の形態のように、スリットを設ける場合は、絶縁体でスリット部を補強するなどして、強度を担保することが好ましい。また、製品に用いる場合、内部は、電気部品であるため、スリット部を防水するための構造を設けることが好ましい。
なお、接地面2500Nを設けないようにしてもよい。この場合は、λ/4のアンテナ長をλ/2とする必要がある。
[第20の実施の形態]
第20の実施の形態においては、アンテナとして用いる領域をメタマテリアルだけでなくスリットで区画するようにした、第18の実施の形態および第19の実施の形態で説明したアンテナを製品に適用する場合の例について説明する。
また、第20の実施の形態においては、カメラユニット2800のような部品ユニットにメタマテリアル2100Lを予め組み込んでおく。そして、部品ユニットがスマートフォン2010などの電気装置の所定位置に取り付けられることによって、メタマテリアル2100Lが、当該メタマテリアル2100Lの共振波長の近傍の電磁波の成分を減衰させる領域を、特定の領域2000Lを他の領域と区画する領域に形成するような位置に配置されるようにする。
図60は、第20の実施の形態に係るメタマテリアル2100Lを用いたアンテナをスマートフォン2010に適用する場合の例を示す第1の図である。図60を参照して、スマートフォン2010は、カメラユニット2800を備える。カメラユニット2800が金属筐体2001Lに取り付けられた状態では、カメラユニット2800のレンズ部のみが、金属筐体2001Lの外部に出ている。
図61は、第20の実施の形態に係るメタマテリアル2100Lを用いたアンテナをスマートフォン2010に適用する場合の例を示す第2の図である。図61を参照して、カメラユニット2800の金属筐体2001Lと接する部分には、メタマテリアル2100Lが、カメラユニット2800の生産時に埋め込まれる。
図62は、第20の実施の形態に係るメタマテリアル2100Lを用いたアンテナをスマートフォン2010に適用する場合の例を示す第3の図である。図62を参照して、カメラユニット2800を金属筐体2001Lに取り付けた状態を示す。
図63は、第20の実施の形態に係るメタマテリアル2100Lを用いたアンテナをスマートフォン2010に適用する場合の例を示す第4の図である。図63を参照して、上述のようにカメラユニット2800が金属筐体2001Lに取り付けられると、メタマテリアル2100Lが接する金属筐体2001Lの領域、および、カメラユニット2800のレンズが貫通する金属筐体2001Lの穴に囲まれた特定の領域2000Lが電磁気的に分離される。なお、特定の領域2000Lの図面において下端付近に給電線が接続される。また、特定の領域2000Lの図面において下端部に接地部が設けられるようにしてもよい。これにより、分離された特定の領域2000Lが、アンテナとして機能する。
このように、金属筐体2001Lのカメラユニット2800を取り付ける部分には、元々、穴が開けられており、この穴と、カメラユニット2800に予め組み込んでおいたメタマテリアル2100Lとによって、特定の領域2000Lを電磁気的に分離することができ、アンテナとして機能させることができる。このため、スマートフォン2010などの携帯端末のカメラユニット2800などのデバイスを取り付けるための穴またはスリットなどを利用して、容易に、金属筐体2001Lの一部に、アンテナを形成することができる。
また、穴のない金属筐体に所定の機能を有する部品ユニットを近接させて配置させる場合であっても、当該部品ユニットに予めメタマテリアルを組み込んでおいてもよい。これにより、当該部品ユニットが所定位置に取り付けられることによって、メタマテリアルが、特定の領域を他の領域と区画する領域に、メタマテリアルの共振波長の近傍の電磁波の成分を遮断させる領域を形成するような位置に配置されるようにすれば、特定の領域をアンテナとして機能させることができる。
また、電気装置の金属筐体に新たにメタマテリアルを取り付けるための設計をするよりも、すでに電気装置に取り付けられることになっている部品ユニットにメタマテリアルを組み込んでおくほうが、電気装置の部品を配置するための設計を大きく変更する必要がないので、開発コストを抑えることができる。
[第21の実施の形態]
第7の実施の形態から第20の実施の形態まででは、メタマテリアルまたは平板の輪郭によって区画された特定の領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにした。第21の実施の形態においては、メタマテリアルまたは平板の輪郭によって区画された特定の領域に給電線を接続せず電気窓として機能させるようにする。
図64は、第21の実施の形態に係るメタマテリアル2100Pを用いた電気窓の構造を説明するための図である。図64(A)は、平面図である。図64(B)は、側面図である。図64(A),(B)を参照して、電気窓として機能させたい領域2000Pを他の領域と区画する領域の金属筐体2001Pの内側の面に、メタマテリアル2100Pが、複数、貼り付けられる。
これにより、メタマテリアル2100Pが貼り付けられた金属筐体2001Pの部分が、メタマテリアル2100Pの共振波長の近傍の電磁波の成分に対して高インピーダンス領域と等価的な当該電磁波の成分を大きく遮断させる領域、または、当該電磁波の成分をほぼ遮断させる領域となる。このため、領域2000Pが、電磁界の共振波長の成分との共振において、他の領域と分離される。
このため、回路基板2300Pに設けられたアンテナから内側の面に電磁波を入射させると、領域2000が、他の領域と電磁的に分離されて、電磁界のメタマテリアル2100Pの共振波長の近傍の成分の電磁波と共振し、内側の面から入射された電磁波の波長の電磁波を外側の面から放射する電気窓として機能する。その結果、金属筐体2001Pの一部を電気窓として機能させることができる。つまり、金属筐体2001Pの全面が金属であったとしても、金属筐体2001Pの内側にアンテナを搭載することができる。
図65は、第21の実施の形態に係るメタマテリアル2100Pを用いた電気窓の機能を説明するための図である。図65(A)は、従来の金属筐体5001の場合の電磁波の進行状況を示す。図65(B)は、本実施の形態の電気窓の場合の電磁波の進行状況を示す。
図65(A)を参照して、従来の金属筐体5001の場合、電磁波は、金属筐体5001を通過することができない。図65(B)を参照して、本実施の形態の電気窓の場合、金属筐体2001Pの領域2000Pの電気窓の部分を、電磁波が通過することができる。
[第22の実施の形態]
第22の実施の形態においては、第21の実施の形態で説明した電気窓を製品に適用する場合について説明する。
図66は、第22の実施の形態に係るメタマテリアル2100Qを用いた電気窓を製品に適用する場合の例を示す図である。図66を参照して、金属筐体2001Qの内側にメタマテリアル2100Qが貼り付けられることによって、電気窓として機能する領域2000Qが形成される。内部の回路基板2300Qには、アンテナ2600が複数設けられる。
これらの複数のアンテナ2600から放射された電磁波は、それぞれ、領域2000Qの電気窓を通過する。なお、電磁波は、領域2000Qの電気窓の部分以外の金属筐体2001Qを通過できない。
このように、電気窓を設けることによって、金属筐体2001Qの内部に、複数のアンテナを設けることができる。これにより、アンテナ2600としては、たとえば、チップアンテナおよびプリント基板上の配線によるアンテナを用いることができる。このため、アンテナを複数設ける場合に、省スペースを図ることができ、製造コストを下げることができる。
[第23の実施の形態]
アンテナの歴史は古く、モノポール、ダイポール、ヘリカル、および、逆Fなど、数多くの公知技術がある。また、セラミックスを用いたチップタイプのアンテナもある(特開平9−162525号公報参照)。
また、携帯電話、スマートフォンおよびW−LAN(Wireless Local Area Network)ルータなどの無線機器では、小型化、放熱性およびデザイン上の理由により、アンテナを筐体内部に設置している。そのため、筐体には、電波を通す樹脂を採用している。
一方、ノートPC(Personal Computer)およびタブレットPCなどの場合、サイズが大きく、薄型化されているので、筐体の強度を確保する必要性があるため、金属筐体を採用するケースが増えている。
この場合、金属は電波を通さないので、従来のような方法で内部にアンテナを設置することができない。外部にロッドアンテナを出せば問題ないが、サイズおよびデザイン上、好まれないので、最近はほとんど採用されていない。
そこで、たとえば、ノートPCであれば、液晶ディスプレイ側の筐体の上端部だけを樹脂にして、そこにアンテナを設置するなど、工夫をしている。これにより、全体を樹脂にした場合よりも、強度を確保できるので、薄型化することもできる。
たとえば、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆる、ワンセグ放送を受信するためのモノポールアンテナは、機器の外側に、伸縮可能なロッドタイプとして設けられる。また、携帯電話のアンテナは、プリント基板上に構成されることも多い。チップアンテナは、基板上にマウントされる。
図75は、ケース3001が樹脂で形成される場合の従来のアンテナ3000の配置を示す図である。図75を参照して、携帯電話などの基板3300の上にアンテナ3000が形成される場合、携帯電話の外側のケース3001が樹脂であれば、電波を通すため問題はない。
図76は、ケース4001が金属で形成される場合を示す図である。図76を参照して、ケース4001が金属であったり、導電性の樹脂であったりすると、電波を通さないため、内部の基板4300の上にアンテナ4000を形成したとしても、アンテナ4000として機能させることができない。
また、上述の特開平9−162525号公報で示したアンテナについても、電波を通さないケースの内部に形成された場合、アンテナとして機能させることができない。
図77は、金属のケース4001の一部のケース4002が樹脂で形成される場合を示す図である。ケース4001が電波を通さない場合、第1の方法として、金属のケース4001の一部分のケース4002の部分だけ電波を通す樹脂にして、電波が遮断されないようにする。たとえば、最近のノートPC(Personal Computer)では、金属の天板の一部を樹脂にして、そこにアンテナを形成している。
図78は、金属のケース4001の外部にアンテナ4100を配置する場合を示す図である。図78を参照して、ケース4001が電波を通さない場合、第2の方法として、アンテナ4100を機器の外側に設けるようにする。
アンテナ4100を機器の外側に付ければ、アンテナ4100の機能的には問題はない。しかし、その場合、アンテナ4100が邪魔となったり、アンテナ4100を出すのが面倒であったりといったこともあるため、消費者のニーズに合わないといった問題があった。このため、やはり、内蔵アンテナが望まれる。
上述したように、金属のケース4001の一部を樹脂にした場合、強度および放熱の性能が落ちたり、部分的に質感が変わるため、デザイン上、好まれなかったりといった問題がある。
また、樹脂に置き換える部分は、必要最小限に抑えられるので、狭いスペースにアンテナを搭載しなければならず、小型のアンテナが必要になり、利得を犠牲にすることもある。
しかし、無線通信規格は、W−LAN、Bluetooth(登録商標)、および、WiMAX(登録商標)(Worldwide Interoperability for Microwave Access)など増えてきており、無線機器に搭載しなければならないアンテナの本数は増え続けている。
さらに、今年より本格的に導入されるLTE(Long Term Evolution)は、複数のアンテナを使って通信を高速化する無線通信規格である。しかし、上述したような金属筐体のノートPCなどでは、これ以上、アンテナを搭載するスペースが確保できないといった問題がある。
第23の実施の形態におけるアンテナによれば、上述の問題点を解決して、導電層を有する平板の一部をアンテナとして機能させることができる。
第7の実施の形態から第20の実施の形態まででは、メタマテリアルまたは平板の輪郭によって区画された特定の領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにした。特に、第18の実施の形態から第20の実施の形態まででは、メタマテリアルおよびスリットによって区画された特定領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにした。第23の実施の形態においては、スリットによって区画された特定領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにする。
図67は、第23の実施の形態に係るスリット2900Rを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図67を参照して、金属平板2001Rに、コの字形のスリット2900Rを設ける。これにより、コの字の内側に特定の領域2000Rが区画される。この特定の領域2000Rの形状は、この特定の領域2000Rに給電することによって、特定の領域2000Rがアンテナとして機能する形状(本実施の形態においては、矩形のモノポールアンテナの形状)である。
なお、特定の領域2000Rの金属平板2001Rの他の領域と繋がっている側の辺りには、グランドが設けられる。また、特定の領域2000Rの形状は、矩形のモノポールアンテナの形状に限定されず、アンテナとして機能する形状であれば、ダイポールアンテナの形状など他のアンテナの形状であってもよい。
これにより、当該金属平板2001Rを電気製品の筐体に用いることで、電気製品の筐体の一部の特定の領域2000Rをそのままアンテナとすることができる。このため、既存の外部アンテナおよび金属筐体の一部を樹脂にしてその内部に設けるアンテナは不要となる。
金属筐体の一部を樹脂にする場合のように金属と樹脂を貼り合わせる工程を必要とせず、金属筐体のスリットの打ち抜きおよび成型でアンテナを形成することができる。このため、製造が簡単になるだけでなく、製造コストを下げることができる。
スリットは、アンテナ形状に全周くりぬく必要はなく、一面はグランドでよいので、本実施の形態のように、コの字形でよい。コの字形であれば、特定の領域2000Rの強度をある程度確保することができる。また、コの字形のスリットは、アンテナとして用いないダミーも含めて、周期的な模様となるようにするなどうまく配置すれば、アンテナとしての機能だけでなくデザイン性も兼ねたものとすることができ、スリットを設けることによる外観上の美観も損なわない。
スリット加工により、特定の領域2000Rの外側のグランドとしての金属平板2001Rがスリット2900Rを挟んで特定の領域2000Rと近距離で相対しているので、同一サイズで比較すれば、放射効率は、近くにグランドの無い通常のアンテナよりは低くなる。しかし、たとえば、ノートPCに適用する場合、ディスプレイ側の筐体の先端部の樹脂筐体部分にアンテナが組み込まれていたが、これと比較して、スリットを用いたアンテナを金属面に形成すれば、大きな面積を使えるので、アンテナサイズを大きくすることができる。その結果、放射効率が良くなるメリットがある。
また、筐体からアンテナが飛び出す従来の方法に比べ、アンテナとして機能する特定の領域2000Rの近傍に、金属平板2001Rがあるので、アンテナとしての利得は落ちるが、筐体と同一面にアンテナを形成することができるので、大幅な省スペースを図ることができる。
また、スリット2900Rを設けても、基本的には金属筐体であるので、従来の樹脂筐体よりは、強度が高くなり製品の薄型化が可能となる。
[第24の実施の形態]
第23の実施の形態においては、スリットによって区画された特定領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにした。第24の実施の形態においては、スリットおよび金属平板の輪郭によって区画された特定領域に給電線を接続してアンテナとして機能させるようにする。
図68は、第24の実施の形態に係るスリット2900Sを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図68を参照して、金属平板2001Sに、金属平板2001Sの端部と繋がるL字形のスリット2900Sを設ける。これにより、L字形のスリット2900Sと金属平板2001Sの端部により特定の領域2000Sが区画される。この特定の領域2000Sの形状は、この特定の領域2000Sに給電することによって、特定の領域2000Sがアンテナとして機能する形状(本実施の形態においては、矩形のモノポールアンテナの形状)である。
なお、特定の領域2000Sの金属平板2001Sの他の領域と繋がっている側の辺りには、グランドが設けられる。また、特定の領域2000Sの形状は、矩形のモノポールアンテナの形状に限定されず、アンテナとして機能する形状であれば、ダイポールアンテナの形状など他のアンテナの形状であってもよい。
これにより、第23の実施の形態で説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。金属平板2001Sの端部を用いるため、金属平板2001Rの全面を用いることができる第23の実施の形態の場合と比較して、アンテナとして機能させることができる箇所は減るが、同じ大きさのアンテナを形成するときのスリットが短くて済み、機械的強度を大きくすることができる。
なお、第23の実施の形態においては、金属平板2001Rの面を用いてアンテナを形成し、第24の実施の形態においては、金属平板2001Sの辺を用いてアンテナを形成するようにした。同様に、金属平板の角を用いてアンテナを形成するようにしてもよい。
[第25の実施の形態]
第25の実施の形態においては、第23の実施の形態および第24の実施の形態で説明したアンテナを製品に適用する場合の例について説明する。
図69は、第25の実施の形態に係るスリット2900Tを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図69を参照して、金属筐体2001Tに、金属筐体2001Tのカメラユニット2800Tの取付け穴と繋がるスリット2900Tを設ける。これは、第24の実施の形態の金属平板2001Sの辺が、金属筐体2001Tの面内の穴の周りにあることに相当する。これにより、スリット2900Tとカメラユニット2800Tの取付け穴により特定の領域2000Tが区画される。この特定の領域2000Tの形状は、この特定の領域2000Tに給電することによって、特定の領域2000Tがアンテナとして機能する形状(本実施の形態においては、モノポールアンテナの形状)である。
なお、特定の領域2000Tの金属筐体2001Tの他の領域と繋がっている側の辺りには、グランドが設けられる。また、特定の領域2000Tの形状は、モノポールアンテナの形状に限定されず、アンテナとして機能する形状であれば、ダイポールアンテナの形状など他のアンテナの形状であってもよい。
これにより、第23の実施の形態および第24の実施の形態で説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。カメラユニット2800Tの取付け穴の形状により、アンテナとして機能する特定の領域2000Tの形状が、円弧状であり、アンテナとして理想的な形状とすることができる。
また、カメラユニット2800Tが特定の領域2000Tと接着されたりすることで密着することで、裏側から特定の領域2000Tを支持する構造とすることによって、特定の領域2000Tの機械的強度を向上させることができる。
[第26の実施の形態]
第26の実施の形態においては、第23の実施の形態および第24の実施の形態で説明したスリットの裏面側に補強を設ける例について説明する。
図70は、第26の実施の形態に係るスリット2900Uを用いたアンテナの構造を説明するための図である。図71は、図70の矢視A−Aを示す図である。図72は、第26の実施の形態に係るスリット2900Uを用いたアンテナの構造の斜視図である。
図70から図72を参照して、第23の実施の形態の図67で説明したのと同様に、金属平板2001Uに、コの字形のスリット2900Uを設ける。これにより、コの字の内側に特定の領域2000Uが区画される。この特定の領域2000Uの形状は、この特定の領域2000Uに給電することによって、特定の領域2000Uがアンテナとして機能する形状(本実施の形態においては、矩形のモノポールアンテナの形状)である。
このスリット2900Uを塞ぐように、金属平板2001Uの裏側からプリント基板2750が貼り付けられる。このプリント基板2750には、特定の領域2000Uに給電するための給電線2200U、および、給電線2200Uのグランドと接続されたグランド電極2400Uが予め設けられる。
また、グランド電極2400Uは、特定の領域2000Uの金属平板2001Uの他の領域と繋がっている側の辺りと電気的に接続される。給電線2200Uが特定の領域2000Uに接続される位置を変えると、特定の領域2000Uのアンテナのインピーダンスマッチングを調整することができる。また、特定の領域2000Uのグランド電極2400Uと接続される位置を変えると、特定の領域2000Uのアンテナの共振周波数を調整することができる。
なお、特定の領域2000Uの形状は、矩形のモノポールアンテナの形状に限定されず、アンテナとして機能する形状であれば、ダイポールアンテナの形状など他のアンテナの形状であってもよい。
これにより、第23の実施の形態から第25の実施の形態までで説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。スリット2900Uを打ち抜きで形成する場合、金型を用いて行なうために、スリット2900Uの大きさを微調整することは困難である。
しかし、特定の領域2000Uのアンテナは、同じスリット2900Uの形状としても、内部の誘電率および金属の分布の影響を受けて、共振周波数が微妙に変わるので、通常、微調整が必要である。
ここで、本実施の形態では、給電線2200Uの取付位置とグランド電極2400Uの位置とを異ならせたプリント基板2750を複数用意しておくことによって、基板を変えることでインピーダンスのマッチングおよび共振周波数の調整が可能になる。
また、スリット2900Uの裏側からスリット2900Uを塞ぐようにプリント基板2750が貼り付けられるので、特定の領域2000Uの機械的強度を補強することができる。
なお、スリット2900Uを補強するためのプリント基板2750、グランド電極2400U、および、給電線2200Uは、本実施の形態のように一体として形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。
また、スリット2900Uの部分は、前述のプリント基板2750に変えて、または、プリント基板2750とともに、絶縁性の接着樹脂などで埋めてもよい。
[第27の実施の形態]
第27の実施の形態においては、第23の実施の形態および第24の実施の形態で説明したようなスリットを用いたアンテナを同じ金属平板に複数設ける場合の例について説明する。
図73は、従来のスロットアンテナ5900を同じ金属平板6001に複数設ける場合を説明するための図である。図73を参照して、スロットアンテナ5900は、スロットの中に電磁界を発生させる。しかし、電流は、スロット周りに流れ、複数のスロットアンテナ5900があると結合する。
図74は、第27の実施の形態に係るスリット2900Vを用いたアンテナを同じ金属平板2001Vに複数設ける場合を説明するための図である。図74を参照して、複数のスリット2900Vでそれぞれ分離したモノポールアンテナとして機能する特定の領域2000Vでは、分離したそれぞれの特定の領域2000Vに電流が集中するので、複数のアンテナがあっても結合しない。
これにより、第23の実施の形態から第26の実施の形態までで説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。金属筐体の一部を樹脂にしてアンテナを設置する場合に比べ、アンテナを設置可能な領域が増え、金属筐体を構成する金属平板2001Vの全面に複数のアンテナを設けることができるので、アンテナの搭載本数を増やすことができる。
なお、第23の実施の形態から第27の実施の形態までにおいては、それぞれ、特定の領域に接してスリットが設けられ、スリット部から電磁波を放射可能であるので、金属平板および金属筐体の金属層の厚さは、表皮深さ以上であってもよい。
[第28の実施の形態]
前述の第7の実施の形態から第20の実施の形態においては、メタマテリアルとして、コイルを用いる方法(たとえば、図41参照)、および、コイルと磁性体とを用いる方法(たとえば、図47参照)を示した。
これらの方法は、金属平板の一部を高インピーダンスの領域で取囲むようにして、取囲まれた特定領域を他の領域と電気的に遮断する原理である。μ/εの平方根がインピーダンスZとなるところ、コイルを用いる方法は、誘電率εを下げて、インピーダンスZを上げることを目的としている。ε=0であればZは無限大となって、特定領域を他の領域と遮断することができる。しかし、その条件になるのは、特定の周波数の1点のみであり、帯域で考えると十分にインピーダンスを上げることは困難である。
また、コイルと磁性体とを用いる方法は、誘電率εを下げることに加えて、透磁率μを上げることでも、インピーダンスZを上げることを目的としている。しかし、GHz帯で使える磁性体が、YIG(Yttrium Iron Garnet)以外に適当なものがないといった問題がある。しかも、YIGは、Q値が高くなく、磁石が必要となるといった問題点もある。
第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wの構造によれば、コイルを用いる方法よりも、インピーダンスを上げることができる。また、コイルと磁性体とを用いる方法では、GHz帯で使える適当な材料はないが、第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wの構造によれば、インピーダンスを上げることができる。
図79は、第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wを用いて金属線路2001Wを電気的に遮断するための構造を説明するための図である。図80は、第28の実施の形態に係るメタマテリアル210Wを用いて金属線路2001Wを電気的に遮断するための構造の側面図である。図81は、第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wを用いて金属線路2001Wを電気的に遮断するための構造の正面図である。図82は、第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wを用いて金属線路2001Wを電気的に遮断するための構造の上段部の詳細を示す三面図である。図83は、第28の実施の形態に係るメタマテリアル2100Wを用いて金属線路2001Wを電気的に遮断するための構造の下段部の詳細を示す三面図である。
第28の実施の形態においては、上段部および下段部が、それぞれ、1を超える正の透磁率および絶対値が1未満の誘電率を発現するように構成されるか、または、−1未満の負の透磁率および絶対値が1未満の誘電率を発現するように構成される。このようにすることによって、金属線路2001Wを電気的に遮断することができる。なお、ここでいう、絶対値が1未満の誘電率には、誘電率が零である場合も含まれる。
メタマテリアル2100Wを挟んで、金属線路2001Wの反対側には、グランド2400Wが設けられる。
図83を参照して、下段部2102Wは、最上部電極2110aと、第1のビア2112aと、第2のビア2112bと、最下部電極2110bと、線路2140とを備える。第1のビア2112a、線路2140および第2のビア2112bは、最上部電極2110aおよび最下部電極2110bを接続する。
第1のビア2112a、線路2140および第2のビア2112bの全長は、共振波長の略1/4の長さである。第1のビア2112a、線路2140および第2のビア2112bは、λ/4線路の一部として機能し、絶対値が1未満の誘電率を実現する。なお、線路2140の形状は、図示したミアンダ線路に限られず、例えば、ヘリカルでもスパイラルでも構わない。
最上部電極2110aおよび最下部電極2110bは、誘電率の絶対値を1未満とするとともに、共振波長を短縮する機能を発揮する。ただし、最上部電極2110aおよび最下部電極2110bは、省略することも可能である。
また、最下部電極2110bは、グランド2400Wと電気的に接続される。なお、ここでは、λ/4線路としてλ/4の共振を使うようにしたので、グランド2400Wと電気的に接続するようにした。しかし、半波長共振を使うようにすると、コイルは長くなるが、グランド2400Wと接続しなくてよくなるため、製造工程が簡略化される。
試作品では、下段部2102Wの大きさは、幅3.2mm、奥行き3.4mm、高さ1.5mmである。下段部2102Wの構造は、この大きさの共振器が幅方向に5つ連なった構造である。下段部2102Wは、たとえば、樹脂基板で作成される。
図82を参照して、上段部2101Wは、第1の内部電極2122と、第2の内部電極2124aと、第3の内部電極2124bと、第4の内部電極2130と、第3のビア2150と、第4のビア2160とを備える。
第3のビア2150は、第2の内部電極2124aと第4の内部電極2130とを接続する。第4のビア2160は、第3の内部電極2124bと第4の内部電極2130とを接続する。第2の内部電極2124a、第3のビア2150、第3の内部電極2124b、第4のビア2160、第4の内部電極2130は、スプリットリング型の共振器と同様の構造を有し、負の透磁率または正の透磁率を発現する共振器として機能する。第1の内部電極2122は、第4の実施の形態の第1の内部電極722と同様、第2の内部電極2124aと第3の内部電極2124bとの間の切れ目部分の静電容量を補い、共振周波数を下げる役割を果たす。
試作品では、上段部2101Wの大きさは、幅2.4mm、奥行き2.0mm、高さ1.8mmである。この大きさの5つの共振器が、それぞれ、下段部2102Wの共振器の上に配置される。上段部2101Wは、たとえば、セラミック多層基板で作成される。
上段部2101Wの共振器は、LC共振器であり、その共振点において、人工磁性体として機能する。共振であるから、磁性体として使える周波数帯域が狭いというデメリットがあるが、GHz帯でも使えるというメリットがある。
また、LC共振器は、一般的な構成では、異方性を持ち、特定の方向の磁界でのみ共振するというデメリットがある。このため、縦横比が比較的小さい平板に適用するのは難しいが、金属線路2001Wのように、縦横比が比較的大きく幅の比較的狭い線路状の金属に使うのであれば問題がない。
上述したような構造とすることによって、金属線路2001Wの一部を電気的に分離することができる。このため、金属線路2001Wの長さに制限されず、金属線路2001Wの一部を、所望の周波数で共振するアンテナとすることができる。
また、金属線路2001Wが、λ/4、3λ/4、5λ/4、・・・に相当する周波数でのみ共振するマルチモードアンテナとして用いられている場合、メタマテリアル2100Wを設けることで、元々、共振していた周波数にはあまり影響を与えずに、新しく任意の周波数での共振を加えることができる。このため、元々の共振周波数に加えて、任意の周波数に対応したアンテナとすることができる。
また、メタマテリアルのユニットを複数(ここでは、5つ)並べているのは、複数の位相をカバーするためである。複数の位相をカバーできるのであれば、ユニットの数は、5つに限定されない。
また、上述した実施の形態においては、上段部2101Wが分離された構造としたが、これに限定されず、一体化されていてもよい。さらに、上述した実施の形態においては、上段部2101Wおよび下段部2102Wが貼り合わされる構造となっているが、これに限定されず、上段部2101Wおよび下段部2102Wが一体的に製造されるようにしてもよい。
なお、図示はしていないが、アンテナとして用いるためには、給電線を設けることが必要であることはいうまでも無い。
[第29の実施の形態]
第29の実施の形態においては、第28の実施の形態で説明したメタマテリアルをスマートフォンに適用する場合の一例を示す。
図84は、第29の実施の形態に係るメタマテリアル2100Xの構造を説明するための図である。図85は、第29の実施の形態に係るメタマテリアル2100Xの三面図である。
図84および図85を参照して、メタマテリアル2100Xは、第28の実施の形態のメタマテリアル2100Wを5連から3連にしたものである。メタマテリアル2100Xの各ユニットの上段部2101Xおよび下段部2102Xの構造、および、メタマテリアル2100Xと金属フレーム2001Xおよびグランド2400Xそれぞれとの位置関係は、第28の実施の形態と同様であるので、重複する説明は繰返さない。
図86は、第29の実施の形態に係るメタマテリアル2100Xをスマートフォンに搭載した状態の概略を示す平面図である。図87は、第29の実施の形態に係るメタマテリアル2100Xをスマートフォンに搭載した状態の概略を示す斜視図である。
図86および図87を参照して、スマートフォンは、金属フレーム2001Xと、グランド基板2410Xとを含む。金属フレーム2001Xとグランド基板2410Xは、電気的に接続される。
図84および図85で説明したメタマテリアル2100Xは、金属フレーム2001Xの側に上段部2101Xが近接させられて、金属フレーム2001Xを流れる電流のメタマテリアル2100Xの共振波長近傍の成分を遮断させるように搭載される。また、グランド2400Xは、グランド基板2410Xに電気的に接続され、メタマテリアル2100Xの下段部2102Xの側に近接させられて配置される。
グランド2400Xは、メタマテリアル2100Xよりも長い方が好ましい。電磁波の遮断は、メタマテリアル2100Xによるインピーダンスの増加を利用する。このため、グランド2400Xをメタマテリアル2100Xよりも長くして、メタマテリアル2100Xに近い部分のインピーダンスを下げておいた方が、インピーダンスの差が大きくなり、遮断効果も大きくなる。
また、金属フレーム2001Xのメタマテリアル2100Xが近接させられている領域から、グランド基板2410Xに接続されて接地されている箇所までの間の特定の領域2000Xには、給電線2200Xが接続される。
これにより、給電線2200Xから特定の領域2000Xに給電されることで、メタマテリアル2100Xが近接させられている箇所で、金属フレーム2001Xを流れる電流のメタマテリアル2100Xの共振波長近傍の成分が電気的に遮断される。これにより、特定の領域2000Xが、共振波長近傍に対応する周波数のアンテナとして機能する。
スマートフォンに限らず携帯電話およびPCなどのアンテナを搭載する機器の側面または表面に、主に、デザイン上の目的で、金属のフレームまたはバーが使われることがある。その場合、それらをアンテナとして使いたいといった要望が生じる。しかし、金属のフレームまたはバーの物理的な長さで共振周波数が決まってしまう。このため、商品としてのデザインを優先させる必要性があるので、金属のフレームまたはバーをアンテナとして用いることは難しい。
また、前述した実施の形態のように、金属フレームに物理的なスリットを入れてアンテナとして機能させることができる。しかし、この場合も、商品としてのデザインを優先させる必要性があるので、あまり多くのスリットを入れることはできない。
そこで、本実施の形態のように、金属フレーム2001Xにメタマテリアル2100Xを近接させて搭載することで、下段部2102Xによって、共振周波数で見掛け上の誘電率εを下げることができ、また、上段部2101Xによって、見掛け上の透磁率μを上げることができるため、インピーダンスを上げることができる。
これにより、金属フレーム2001Xの一部分のインピーダンスを上げることができると、その部分で、不整合が起こり、電磁波が反射する。このため、その部分の両側を電気的に分離することができる。
なお、本実施の形態においては、金属フレーム2001Xの1箇所のみを電気的に分離するようにしたが、これに限定されず、デザイン上の制約を気にすることなく、必要な位置に必要な数だけメタマテリアル2100Xを設置して、複数の箇所を電気的に分離するようにしてもよい。これにより、1つの金属フレーム2001Xに複数のアンテナを構成することができる。
[その他]
(1) 前述した実施の形態においては、メタマテリアルを用いたアンテナまたはメタマテリアルを用いずスリットを用いたアンテナを適用する装置の例として、スマートフォンなどの携帯端末を示した。しかし、これに限定されず、メタマテリアルを用いたアンテナまたはメタマテリアルを用いずスリットを用いたアンテナを適用する装置は、金属の外板(たとえば、筐体、ボディーなど)を持ちアンテナが搭載する必要のある電気装置であれば、どのような装置であってもよい。
たとえば、携帯端末、PC、ビデオ、テレビ、冷蔵庫もしくはエアコン等の電気機器、自動車もしくは電車等の輸送機器、または、電気錠付住宅用ドア等の建築設備機器であってもい。いずれの装置に適用しても、外部アンテナを無くすことができ、外板を全面金属のままとすることができるため、剛性および美しい質感を損ねることのない商品を実現することが可能である。
また、輸送機器に適用した場合、たとえば、車のルーフまたはボンネットの内側にメタマテリアルを用いたアンテナまたはメタマテリアルを用いずスリットを用いたアンテナを構成する部品を備える場合は、従来のアンテナのような外部部品がなくなることによって、空気抵抗およびデザイン面で有利になる。また、ガラス面に埋め込んだアンテナであれば、ユーザの視界に入るので、ユーザには好まれないが、本実施の形態のようにすれば、ガラス面にアンテナを埋め込む必要を無くすることができる。キーレスエントリーに適用することもできる。
なお、車のルーフまたはボンネットなどの外板が当該材料の表皮深さよりも厚い場合に、当該外板にメタマテリアルを用いたアンテナを構成する場合であっても、第12の実施の形態から第14の実施の形態まで、および、第16の実施の形態から第17の実施の形態までで説明したように、特定の領域の端面が金属平板または金属筐体の端面でもあるか、第18の実施の形態から第20の実施の形態まで、および、第23の実施の形態から第27の実施の形態までで説明したように、特定の領域の端面がスリットの内面に露出していれば、当該アンテナから電磁波を放射することができる。
携帯端末であれば、通信用のアンテナだけでなく、GPS、ワンセグ放送およびFM放送のアンテナにも適用可能である。ノートPCおよびスレートPCなど薄型のPCの裏側のパネルまたは液晶裏のパネルなど、デスクトップPCの側面パネルなど、および、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を搭載したPCなどにも適用可能である。
ビデオ、テレビ、冷蔵庫もしくはエアコン等の家電製品の外部金属パネルに、メタマテリアルを用いたアンテナまたはメタマテリアルを用いずスリットを用いたアンテナを適用して、無線でコントロールできるようにすることも可能である。この場合も、輸送機器の外板と同様、外板が当該材料の表皮深さよりも厚い場合に、当該外板にメタマテリアルを用いたアンテナまたはメタマテリアルを用いずスリットを用いたアンテナを構成する場合であっても、特定の領域の端面が金属平板または金属筐体の端面でもあるか、特定の領域の端面がスリットの内面に露出していれば、当該アンテナから電磁波を放射することができる。
また、金属フレームをマルチバンドアンテナ化する例を示した。しかし、配線に用いられるケーブルをアンテナとして使う事も可能である。ケーブルは、低コストでフレキシブルであるので、アンテナ線としては最適である。しかし、ケーブルは、モノポールアンテナとしてしか機能せず、マルチバンドに対応できない。このため、これまでアンテナとして使われた例が少なかった。しかし、メタマテリアルを用いれば、自由に共振周波数を加えることができる。その結果、ケーブルをマルチアンテナとして使うことができるようになる。
また、金属筐体で中にアンテナを搭載できなかった場合であっても、非金属化することなく、金属筐体を利用して、アンテナ機能を追加することができる。また、金属部分および非金属部分のいずれも有するが、前述したような自動車のガラス埋め込みアンテナのようなものは、見た目および機能を重視するため、金属部分に搭載することができる。
また、アンテナを内部に搭載するため現在は非金属筐体であるものについては、金属筐体化して、アンテナ機能は金属筐体に構成することによって、外観および強度的に有利とすることができる。
また、外付けアンテナを、アンテナ機能を金属筐体に構成することによって、アンテナの強度を高めたり、機器のサイズを小さくしたりできる。
(2) 筐体の金属部分を物理的に分離して、アンテナとして用いた例があったが、分離した部分を手で押さえると、ユーザの体がアンテナの一部となって、共振周波数が変わって、アンテナが正常に機能しなくなるといった問題が発生している。
本実施の形態におけるメタマテリアルを用いたアンテナでは、メタマテリアルの貼り付けられた領域で区画された、アンテナとして機能する特定の領域を、手で押さえたとしても、共振周波数(共振波長)が変動するといったことは起こらない。
(3) 前述した実施の形態においては、アンテナを構成するためのメタマテリアルとして様々なものを用いることができることについて説明した。しかし、メタマテリアルとして、積層セラミックコンデンサ(MLCC)またはチップコイルなどを用いれば、小型にでき、市販のMLCCおよびチップコイルの製造工程で生産することができるので、安価に製造することができる。
(4) 前述した実施の形態においては、特定領域に、給電点を設け、給電点から給電された電流の共振波長の近傍の成分に対する高インピーダンス領域と等価的な当該電磁波の成分を大きく遮断させる領域、または、当該電磁波の成分をほぼ遮断させる領域を、金属平板の特定領域を他の領域と区画する区画領域に形成するように、金属平板にメタマテリアルを配置することによって、特定領域をアンテナとして機能させるようにした。
しかし、特定領域をアンテナとして機能させるものには限定されず、金属平板を流れる電流の共振波長の近傍の成分に対する高インピーダンス領域と等価的な当該電磁波の成分を大きく遮断させる領域、または、当該電磁波の成分をほぼ遮断させる領域を、金属平板の特定領域を他の領域と区画する区画領域に形成するように、メタマテリアルを配置するものであればよい。
(5) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 外部電極、3 外部電極、4 内部電極、4a 電極、4b 電極、5 内部電極、5a 電極、5b 電極、6 スペーサ、10 外装部、100 コイル型共振器、110 中心軸、200 信号線路、220 グランド、300 コンデンサ型共振器、600 ユニット、610a 最上部電極、610b 最下部電極、622,624,632,634 内部電極、640 線路、650,660 外部電極、700 ユニット、710a 最上部電極、710b 最下部電極、722,724a,724b,730 内部電極、740 線路、750,760 外部電極、800 ユニット、810 コイル状導体、822,824,832,834 電極、842,844 ビア、910a,2110a 最上部電極、910b,2110b 最下部電極、912a,2112a 第1のビア、912b,2112b 第2のビア、922,2122 第1の内部電極、924a,2124a 第2の内部電極、924b,2124b 第3の内部電極、930,2130 第4の内部電極、940,2140 線路、950,2150 第3のビア、960,2160 第4のビア、2000,2000B〜2000H,2000J〜2000N,2000P,2000Q〜2000V,2000X 領域、2001,2001B,2001J〜2001L,2001P,2001Q,2001T,5001 金属筐体、2001A,2001C〜2001H,2001M,2001N,2001R,2001S,2001U,2001V,4001A,6001 金属平板、2001W 金属線路、2001X 金属フレーム、2002J,2002K 非金属筐体、2100,2100A〜2100G,2100HA,2100HB,2100J,2100KA,2100KB,2100L〜2100N,2100P,2100Q,2100W,2100X メタマテリアル、2101W,2101X 上段部、2102W,2102X 下段部、2010 スマートフォン、2200,2200A〜2200C,2200H,2200J,2200K,2200M,2200N,2200U,2200X,4200A 給電線、2300,2300P,2300Q 回路基板、2400A,4400A グランド平板、2400B グランド平面、2400U グランド電極、2400W,2400X グランド、2410X グランド基板、2500,2500M,2500N 接地面、2600 アンテナ、2700 磁性体、2750U プリント基板、2800 カメラユニット、2900M,2900N,2900R〜2900V スリット、3000,4000,4100 アンテナ、3001,4001,4002 ケース、3300,4300 基板、5900 スロットアンテナ。

Claims (16)

  1. 電磁界の所定の共振波長に対して絶対値が1未満の誘電率および絶対値が1を超える透磁率を発現可能であり、
    深さ方向の一定の範囲に導電層を有する部品(2001,2001B,2001J〜2001L,2001A,2001C〜2001H,2001M,2001N,2001W,2001X)の前記導電層を流れる電流の前記共振波長近傍の成分を遮断させる遮断領域を、前記導電層の特定領域(2000,2000B〜2000H,2000J〜2000N,2000X)を他の領域と区画する区画領域に形成するように配置され、
    前記特定領域の少なくとも一部は、電磁波を放射可能である、メタマテリアル(2100,2100A〜2100G,2100HA,2100HB,2100J,2100KA,2100KB,2100L〜2100N,2100W,2100X)。
  2. 前記導電層は、前記導電層の材料に応じた表皮深さ未満の厚さであり、
    前記特定領域の電磁波を放射可能な部分は、前記特定領域の前記導電層の表面に形成される、請求項1に記載のメタマテリアル。
  3. 前記特定領域は、前記部品の輪郭に接し、
    前記特定領域の電磁波を放射可能な部分は、前記部品の輪郭に接した部分の前記特定領域の前記導電層の端面に形成される、請求項1に記載のメタマテリアル。
  4. 深さ方向の一定の範囲に導電層を有する部品(2001,2001B,2001J〜2001L,2001T,2001A,2001C〜2001H,2001M,2001N,2001R,2001S,2001U,2001V,2001W,2001X)を備え、
    前記導電層は、前記導電層の特定領域(2000,2000B〜2000H,2000J〜2000N,2000〜2000V,2000X)を他の領域と電磁気的に遮断する領域を含
    前記特定領域の少なくとも一部は、電磁波を放射可能である、電気装置。
  5. 電磁界の所定の共振波長に対して絶対値が1未満の誘電率および絶対値が1を超える透磁率を発現可能なメタマテリアル(2100,2100A〜2100G,2100HA,2100HB,2100J,2100KA,2100KB,2100L〜2100N,2100W,2100X)をさらに備え、
    前記メタマテリアルは、前記導電層を流れる電流の前記共振波長近傍の成分を遮断させる遮断領域を、前記特定領域を前記他の領域と区画する区画領域に形成するように配置される、請求項4に記載の電気装置。
  6. 前記導電層は、前記導電層の材料に応じた表皮深さ未満の厚さであり、
    前記特定領域の電磁波を放射可能な部分は、前記特定領域の前記導電層の表面に形成される、請求項5に記載の電気装置。
  7. 前記特定領域は、前記部品の輪郭に接し、
    前記特定領域の電磁波を放射可能な部分は、前記部品の輪郭に接した部分の前記特定領域の前記導電層の端面に形成される、請求項5に記載の電気装置。
  8. 前記特定領域には、給電点(2200,2200A〜2200C,2200H,2200J,2200K,2200M,2200N,2200U,2200X)が設けられ、
    前記導電層を流れる電流は、前記給電点から給電された電流であり、
    前記特定領域は、前記給電点から給電されるアンテナである、請求項6または請求項7に記載の電気装置。
  9. 前記部品は、外部に対して内部を遮蔽するように成型された筐体(2001,2001B,2001J〜2001L,2001T)の一部を構成し、
    前記メタマテリアルは、前記筐体の内部に設けられ、
    前記筐体の内部に設けられ、前記給電点に給電するとともに前記特定領域で共振した前記共振波長近傍の電磁波を処理する回路(2300)をさらに備える、請求項8に記載の電気装置。
  10. 所定の機能を有する所定機能部(2800)をさらに備え、
    前記メタマテリアルは、前記所定機能部が所定位置に取り付けられることによって、前記メタマテリアルが前記遮断領域を前記区画領域に形成するような位置に配置されるように、前記所定機能部に予め組み込まれる、請求項8に記載の電気装置。
  11. 前記特定領域は、前記部品の一部がスリット(2900M,2900N,2900R〜2900V)および接地部(2400U)の少なくともいずれかによって区画された領域である、請求項4に記載の電気装置。
  12. 前記スリットによる前記部品の開口部が絶縁部品で塞がれる、請求項1に記載の電気装置。
  13. 前記絶縁部品に、前記接地部が設けられる、請求項1に記載の電気装置。
  14. 前記接地部の位置によって、前記特定領域の共振周波数が調整可能である、請求項1に記載の電気装置。
  15. 前記スリットは、コの字形であり、
    前記特定領域は、コの字の内側の領域である、請求項1に記載の電気装置。
  16. 前記特定領域の長辺は、所定の共振波長の1/4の長さである、請求項4から請求項15のいずれかに記載の電気装置。
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