JP5458654B2 - 熱間圧延機用ワークロールとその製造方法 - Google Patents
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Description
薄鋼板の熱間圧延の製造ラインでは、スラブと呼ばれる圧延素材が1000〜1300℃に加熱されて加熱炉から抽出され、粗圧延工程で粗圧延機により所定の厚さまで圧延される。次いで仕上圧延工程で連続的に配置された複数の仕上圧延機で逐次圧延され、所定の厚さを有する薄鋼板に圧延成形された後、巻取機に巻き取られてホットコイルとなる。
このように、サーマルクラウンは、圧延操業における安定した通板性や圧延後の板形状の品質(平坦度や板クラウン)に大きく影響するため、熱間仕上圧延では、サーマルクラウンを低減するワークロールが多数開発されてきた。
特許文献1には、耐摩耗性、耐肌荒性に優れたハイス系材料を外層材として用いて、しかも熱間圧延における圧延状態の安定性を確保することができると共に、特に薄板圧延における通板性の向上に優れた熱間圧延用複合ロールを提供することを目的として、ハイス系外層材を軸材と一体化させてなる複合ロールであって、軸材として、室温〜200℃までの平均熱膨張係数が11.8×10−6/℃以下である鉄系軸材を用い、これによって複合ロール全体における室温〜200℃までの平均熱膨張係数が12.0×10−6/℃以下となるように構成された複合ロールの発明が記載されている。
特許文献1に記載の、軸材として、室温〜200℃までの平均熱膨張係数が11.8×10−6/℃以下である鉄系軸材を用い、これによって複合ロール全体における室温〜200℃までの平均熱膨張係数が12.0×10−6/℃以下となるように構成するワークロールではサーマルクラウンは高々数%、最大でも10%以下しか低減することができず、一連の薄板熱間圧延の再び板幅が300mm以上戻った(前材に比べ、板幅が300mm以上広がる)場合には腹伸びが顕著となり、腹伸び起因の絞り事故を防止することができなかった。
[2]中間層は、軸材の軸中心をとおる胴長方向断面において、中間層のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚くなるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
[3]ワークロールのバレル中央部での常温〜125℃における熱膨張係数が7×10−6/℃以下であること特徴とする、[1]または[2]に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
[4]連続鋳掛方法により、軸材に中間層を溶着形成し、次いで、さらに外層を溶着形成してワークロールを製造することを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の熱間圧延機用ワークロールの製造方法。
そのため、金属板、特に薄鋼板の熱間仕上圧延において、板の腹伸び(中伸び)を低減し、板平坦度が優れた鋼板の状態で通板できるため、安定した通板による圧延能率の向上(絞り事故防止等を含む)および熱間圧延後の板形状(平坦度や板クラウン)の品質の向上をもたらすことができる。また、本発明の製造方法によれば、軸材と各層や層同士が確実に一体化された複合ロールを製造することができる。
なお、以下においてワークロールをたんにロールということがある。
外層4は円筒状のものであり、軸材2と中間層3の外周に形成され、バレル部の外形を形成している。
軸材2、中間層3および外層4は金属的に一体化されている。
軸材2には、炭素鋼や合金鋼が使用することができるが、クロムモリブデン鋼(SCM JIS G4105)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM G4103)などの合金鋼を使用することが好ましく、薄鋼板の熱間仕上圧延では少なくとも800MPa以上の引張強さを有しているころが好ましい。圧延動力を伝達するために、高強度の軸材が必要であるが、被圧延材の材料や圧延条件に応じて好適なものを採用すればよい。
一般的にFe−Ni合金は低熱膨張材料であることが知られている。Niが32質量%未満、40質量%超の範囲では膨張量が大きくなり、サーマルクラウンの低減には効果的でない。好ましくはNiが34質量%以上、38質量%以下であり、この範囲では常温〜125℃において熱膨張係数は1×10−6/℃以下になる。
Cは0.1質量%以下では溶解中の流動性が低下し軸材との接合が困難になる。C量が多くなると熱膨張係数は小さくなる傾向があるが、1質量%を超えると脆化し、圧延時にロール内部の欠陥が発生する危険がある。
質量%、Si:0.5〜1.5質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Cr:3〜10質量%、V:3〜10質量%、W:3〜10質量%、残部実質的にFeと不可避的不純物である。
Siは脱酸剤として必要な元素であり、0.5質量%未満では脱酸効果がなく、酸化物が析出するため、脆化する。また、Siが1.5質量%を超えると基地の靭性が低下する。
Mnは脱酸作用とともに不純物であるSをMnSとして固定する作用がある。0.5質量%未満では脱酸性に乏しい。2.0質量%を超えると残留オーステナイトが生じやすくなり安定して十分な硬さを維持できない。
Cr、V、Wは、それぞれ3質量%未満では耐摩耗性に有効なMC、M4C3、M6、M2C(ここでMは任意の金属元素)等の金属間化合物を生成しがたく、またそれぞれが10質量%を超えると、これら炭化物が過多となるため不都合である。
本発明では熱間圧延時に発生するサーマルクラウンを抑制するために常温〜125℃の範囲で熱膨張率が小さいFe−Ni合金材からなる中間層を形成している。このサーマルクラウンは、図4に示したように、通常、胴長方向のバレル中央部の中心が最も大きく、胴長方向のバレル端部に向かうにしたがって漸減しているから、とりわけロールの胴長方向のバレル中央部のサーマルクラウンを効果的に低減しなければならない。
さらにバレル中央部のサーマルクラウンを効果的に低減するには、中間層は、胴長方向断面において、胴長方向のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚く、その胴長方向の両端部近傍の厚みが胴長方向の中央部の中心近傍の厚みよりも薄くなるように、例えば以下の詳述するように、図1に示されるような台形状にして、胴長方向の両端部近傍が先細状にすることが好ましい。
また、A、Bの中心は胴長方向のバレル中央部の中心と一致するものとする。
すでに記載したように、JISで規定されるクロムモリブデン鋼(SCM JIS G4105)、あるいはニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM G4103)からなる材料を、以上のような好適な範囲で軸材に加工した後、図2(a)、図2(b)に示す連続鋳掛装置を使用して、連続鋳掛方法によりワークロールを製造する。
図2(a)に記載された装置を使用し、第1段階の連続鋳掛方法が以下のように行われる。
凹部を有する軸材をモールド9に挿入する。モールド9には高周波加熱装置11より事前に加熱することか好ましい。そして、溶解した中間層材を注湯しつつ、軸材2を下側方向に昇降機構(図示せず)により降下させる。この降下に連動して、中間層材の溶湯も降下し、冷却装置10により冷却されて急冷凝固される。その後常温まで冷却した後、凹部が中間層で埋められた軸材は、旋盤加工により直径d2の円柱状体(丸棒状体)とされる。
質量%、V:5 質量%、W:4質量%と残部Feおよび不可避的不純物からなるハイス系材からなる外層材で鋳掛けを施し、加工後のワークロール直径d3は800mmとした。
従来例1のワークロールは、軸材2に以下の化学成分であるSUS304を用いた。その化学成分はC:0.05質量%、Cr:18.5質量%、Ni:8.2質量%、Si:0.32質量%、Mn:0.4質量%、残部Feおよび不可避的不純物である。また従来例2は軸材に低合金鋼を用い、特許文献1に示される実施例の中から最も熱膨張係数が小さくなるとされるものと同様の条件とした。その軸材の化学成分はC:0.46質量%、Cr:0.2質量%、P:0.011質量%、Si:0.5質量%、Mn:1.12質量%、残部Feおよび不可避不純物である。
従来例1、2のワークロールはいずれも、上記の化学成分の軸材に、連続鋳掛方法により本発明例1〜7、比較例と同じ化学成分を有するハイス系材からなる外層材を鋳掛け、次いで熱処理した後に機械加工して製造した。
ここで、本発明例1〜7、比較例および従来例1、2はいずれも、熱処理は550℃で12時間保持した後空冷した。
本発明例、従来例および比較例のワークロールの構成を表1に示す。
各ワークロールについて、炉装入前の常温状態におけるワークロールの胴長方向バレル中央部の外径と温度125℃の炉に48時間保持した後のワークロールのロールバレル中央部の中心の外径の計測値に基づいて熱膨張係数を求めた。表2にその結果を示す。
表2におけるA、B、d1、d2については既に述べた。
このように、本発明例1〜7は常温〜125℃の温度範囲においてワークロールの胴長方向サーマルクラウンが比較例、従来例1、2に比べて著しく低減できることが確認できた。
本発明の熱間仕上ワークロールは、被圧延材が鋼材以外の金属板であるとしても有効であることは云うまでもない。
2:軸材
3:中間層
4:外層
5:ネック部
6:ジャーナル部
7:トルク伝達部
8:金属板(鋼帯)
9:モールド
10:冷却装置
11:高周波加熱装置
Claims (4)
- 炭素鋼製または合金鋼製の軸材、Fe−Ni合金製の中間層およびハイス系材料製の外層からなる熱間圧延機用複合ワークロールであって、バレル部において、軸材は胴長方向のバレル中央部を含み、バレル両端部に達しない領域の外周に凹部を有し、中間層は該凹部に形成されて、軸材と中間層とで円柱状体を形成し、該円柱状体の外周に外層が形成されていることを特徴とする熱間圧延機用複合ワークロール。
- 中間層は、軸材の軸中心をとおる胴長方向断面において、中間層のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚くなるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
- ワークロールのバレル中央部での常温〜125℃における熱膨張係数が7×10−6/℃以下であること特徴とする、請求項1または2に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
- 連続鋳掛方法により、軸材に中間層を溶着形成し、次いで、さらに外層を溶着形成してワークロールを製造することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱間圧延機用ワークロールの製造方法。
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