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JP5458654B2 - 熱間圧延機用ワークロールとその製造方法 - Google Patents

熱間圧延機用ワークロールとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属板の熱間圧延に使用されるワークロールに関わり、詳しくは、ワークロールの熱膨張係数を低くすることにより、圧延中のロール温度の上昇に伴って生じるワークロールの膨張(サーマルクラウン)を抑制することのできる熱間圧延機用ワークロールとその製造方法に関する。
金属板の熱間圧延においては、ワークロールの温度は、被圧延材の金属板が接触する部分が他の部分よりも高くなり、ワークロールが局部的に熱膨張し、サーマルクラウンと呼ばれる熱膨張部が発生する。このサーマルクラウンは、圧延のスケジュールや被圧延材の板幅、温度等により変動するが、後述するように、熱間圧延において通板性や圧延後の板形状の品質に影響を与えるものである。
以下に、金属板として、厳しい品質が求められる薄鋼板の熱間圧延による製造を例に取り上げて詳述する。
薄鋼板の熱間圧延の製造ラインでは、スラブと呼ばれる圧延素材が1000〜1300℃に加熱されて加熱炉から抽出され、粗圧延工程で粗圧延機により所定の厚さまで圧延される。次いで仕上圧延工程で連続的に配置された複数の仕上圧延機で逐次圧延され、所定の厚さを有する薄鋼板に圧延成形された後、巻取機に巻き取られてホットコイルとなる。
粗圧延工程では、仕上圧延機にシートバーを供給するために、通常、スラブ厚さ(200〜300mm程度)からシートバー厚さ(20〜60mm程度)まで、4〜9パスの圧延で減厚される。圧延前の鋼材(被圧延材)をスラブ、粗圧延機を通過した鋼材をシートバーと呼んでいる。また、粗圧延過程における鋼材(被圧延材)を粗バーと一般的には呼ばれているが、基本的には、板厚が異なるだけである。粗圧延を経たシートバー表面温度は900〜1150℃程度である。粗圧延を経たシートバーは先尾端が切断され、仕上圧延機列に供給される。
仕上圧延工程では、仕上圧延機列は複数の圧延機、例えば、前段スタンドからF1、F2・・・F7の7スタンドで構成され、この複数の仕上圧延機によりシートバーは圧延成形されて目標の板厚の薄鋼板に仕上げられ(板厚1.2〜15mm程度)、冷却を施した後に、コイラーでホットコイルに巻き取られる。仕上圧延中や仕上圧延後の薄鋼板(被圧延材)は鋼帯あるいはストリップトとも呼ばれる。
従来より、熱間仕上圧延用のワークロールの材料として、耐摩耗性や耐肌荒れ性に優れたハイス系材料が好ましく用いられ、ロール摩耗低減によるロール交換周期の延長、ロール表面層の欠け落ち、バンディング(部分剥離)低減により圧延材の表面品質の向上に効果を発揮している。これらのハイス系ロールの外層に使用されるハイス系材料はCr、Mo、W、V、Co等を数%含有し、特に硬質の炭化物を晶出させた組織構成としているため、優れた耐摩耗性や耐肌荒れ性を有している。
ところが、熱間薄板圧延において上記のハイス系複合ロールを使用することにより摩耗低減、表面品質向上などの課題をほぼ解消することができたが、安定した圧延や圧延後の板形状の品質向上を実現する上で以下の課題があった。
ワークロールは、熱間圧延中に被圧延材からの熱、摩擦発熱により温度は上昇する。熱間圧延の進行に伴って、ワークロールの平均温度は仕上圧延において50〜100℃程度になり、被圧延材の鋼帯が圧延されるワークロールの胴長方向のバレル中央部の温度が他の部分、特にロールの胴長方向のバレル端部の温度よりも高くなり、第4図に示されるように、サーマルクラウンが発生する。図4において、1はワークロール1、8は被圧延材の鋼帯である。なお、図4のサーマルクラウンは模式図的に示されており、実際よりも誇張されている。
このサーマルクラウンは、ワークロールの胴長方向のバレル中央部での直径がバレル端部に比べて大きくなる現象である。ロールバレル中央部の直径が大きくなったロールで鋼帯を圧延すると、上下のワークロールで形成されるロール間隙がワークロールセンター部で小さくなるため、鋼帯の中央部が板幅端部よりもよく伸び、いわゆる腹伸び形状または中伸び形状(センターバックリング)を呈し、鋼帯は波打ち、いわゆる平坦度が悪くなる。また、板クラウンも悪化する。
仕上圧延機の熱間圧延時の発生した、腹伸びまたは中伸び現象を図3(a)に示す。図3(b)に示すように、板幅が狭い場合には、板幅端部と板幅中央部での伸びの差が少ないため、腹伸び形状にはなり難い。しかし、図3(c)に示すように、板幅が広い場合には、腹伸びが大きくなり、この腹伸びが次スタンドで圧延されると、安定した通板ができなくなり、場合によっては鋼帯中央部で絞り(2枚噛み)が発生し、圧延事故に至ることもある。
このように、サーマルクラウンは、圧延操業における安定した通板性や圧延後の板形状の品質(平坦度や板クラウン)に大きく影響するため、熱間仕上圧延では、サーマルクラウンを低減するワークロールが多数開発されてきた。
その中でサーマルクラウンを低減するロールに関する技術として以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、耐摩耗性、耐肌荒性に優れたハイス系材料を外層材として用いて、しかも熱間圧延における圧延状態の安定性を確保することができると共に、特に薄板圧延における通板性の向上に優れた熱間圧延用複合ロールを提供することを目的として、ハイス系外層材を軸材と一体化させてなる複合ロールであって、軸材として、室温〜200℃までの平均熱膨張係数が11.8×10−6/℃以下である鉄系軸材を用い、これによって複合ロール全体における室温〜200℃までの平均熱膨張係数が12.0×10−6/℃以下となるように構成された複合ロールの発明が記載されている。
ハイス系外層材の熱膨張率は鉄系軸材のそれよりも大きいが、この特許文献1に記載の発明によれば、鉄系軸材の材料と組成範囲を限定することにより、室温〜200℃までの平均熱膨張係数が11.8×10−6/℃以下である鉄系軸材を用い、これによって複合ロール全体における室温〜200℃までの平均熱膨張係数が12.0×10−6/℃以下となるように構成したので、ハイス系外層材を用いることによる耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐亀裂性等の特長を保持しつつ、熱間圧延における圧延状態の安定化を図ることができると共に、特に熱間仕上げ用ワークロールとして、熱間薄板圧延における通板性を大きく向上させることができると特許文献1に記載されている。
また、特許文献2にも、ハイス系材料からなる外層と常温〜100℃における熱膨張率および熱伝導率が比較的低いステンレス鋼(SUS)からなる軸材とで構成される低熱膨張の複合ワークロールおよびその製造技術の発明が記載されている。この発明では、軸材の熱伝導率が常温〜100℃において0.062cal/cm・sec・℃であり、小さいので、軸材の温度上昇が小さくなり、それに伴う熱膨張も抑えられることを利用している。そして、この発明の複合ワークロールは、連続肉盛鋳造法(連続鋳掛方法と同じ)によりステンレス鋼(SUS材)からなる軸材の外周にハイス系材からなる外層を溶着形成して製造され、軸材の常温〜100℃における熱膨張係数が12×10−6/℃以下、軸材の常温〜100℃における熱伝導率が0.062cal/cm・sec・℃以下であることを特徴としている。
この特許文献2に記載された発明によれば、連続肉盛鋳造方により製造された複合ワークロールを熱間仕上圧延に用いることにより、サーマルクラウンを著しく低減できる(従来の25%)ので板の中伸びなどが起こらず板平坦度を高水準に確保できる。このため適切な板プロフィールを得ることが容易になり圧延板の品質を向上できる効果があると特許文献2には記載されている。
ところが上記の従来技術の複合ロールを熱間仕上圧延機のワークロールとして使用し、薄板熱間圧延を実施する場合には以下の問題点があった。
特許文献1に記載の、軸材として、室温〜200℃までの平均熱膨張係数が11.8×10−6/℃以下である鉄系軸材を用い、これによって複合ロール全体における室温〜200℃までの平均熱膨張係数が12.0×10−6/℃以下となるように構成するワークロールではサーマルクラウンは高々数%、最大でも10%以下しか低減することができず、一連の薄板熱間圧延の再び板幅が300mm以上戻った(前材に比べ、板幅が300mm以上広がる)場合には腹伸びが顕著となり、腹伸び起因の絞り事故を防止することができなかった。
一方、特許文献2に記載のロールの軸材の常温〜100℃における熱伝導率が0.062cal/cm・sec・℃以下であり、軸材がステンレス鋼(SUS材)からなることを特徴とする熱間圧延用複合ロールを熱間仕上圧延機のワークロールに使用した場合には、熱延サイクル(研磨ロール投入からロール交換までの圧延)の初期段階の30本目までは熱伝導率が少ないステンレス鋼を軸材とすることにより、熱伝導を抑制できるため、サーマルクラウンの量は一般的なハイスロールに比べ20%程度抑制できるが、サイクル後半の50本目以降では逆にサーマルクラウンが大きくなる問題があった。これは、時間の経過とともにロールの温度が上昇して熱膨張係数が増大することを示している。つまり熱間仕上圧延のサイクルが大きくなり、圧延時間が長くなるとサーマルクラウンを低減する効果がなくなることが明らかになった。
ステンレス鋼にはフェライト系、マルテンサイト系およびオーステナイト系があり、0.062cal/cm・sec・℃以下の熱伝導を達成するにはオーステナイト系のステンレス鋼しかなく、その代表であるSUS304ステンレス鋼の熱伝導率は0.062cal/cm・sec・℃程度にはなるが、常温〜100℃において熱膨張率は鋼の12×10−6/℃よりも大きく、17×10−6/℃になる。これは、鋼のそれよりも約1.4倍であり、大きいため、軸材の温度が上昇するサイクル後半ではサーマルクラウンが大きくなる欠点があった。
特開2000−135504号公報 特許4154676号公報
本発明は、金属板の熱間仕上圧延、とりわけ薄鋼板の熱間仕上圧延において、ワークロールに発生するサーマルクラウンを抑えて、そのことにより、通板性が良好で安定した圧延を可能とし、かつ圧延後の金属板や薄鋼板の形状品質を高めることができる熱間圧延機用ワークロールおよびその製造方法を提供することを課題とするものである。
[1]炭素鋼製または合金鋼製の軸材、Fe−Ni合金製の中間層およびハイス系材料製の外層からなる熱間圧延機用複合ワークロールであって、バレル部において、軸材は胴長方向のバレル中央部を含み、バレル両端部に達しない領域の外周に凹部を有し、中間層は該凹部に形成されて、軸材と中間層とで円柱状体を形成し、該円柱状体の外周に外層が形成されていることを特徴とする熱間圧延機用複合ワークロール。
[2]中間層は、軸材の軸中心をとおる胴長方向断面において、中間層のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚くなるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
[3]ワークロールのバレル中央部での常温〜125℃における熱膨張係数が7×10−6/℃以下であること特徴とする、[1]または[2]に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
[4]連続鋳掛方法により、軸材に中間層を溶着形成し、次いで、さらに外層を溶着形成してワークロールを製造することを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の熱間圧延機用ワークロールの製造方法。
本発明の熱間圧延機用複合ワークロールによれば、バレル部において、胴長方向の中央部に熱膨張係数が小さいFe−Ni合金材料からなる中間層を設けることにより、サーマルクラウンを著しく低減できる。
そのため、金属板、特に薄鋼板の熱間仕上圧延において、板の腹伸び(中伸び)を低減し、板平坦度が優れた鋼板の状態で通板できるため、安定した通板による圧延能率の向上(絞り事故防止等を含む)および熱間圧延後の板形状(平坦度や板クラウン)の品質の向上をもたらすことができる。また、本発明の製造方法によれば、軸材と各層や層同士が確実に一体化された複合ロールを製造することができる。
本発明のワークロールの胴長方向断面図 本発明のワークロールの製造装置を示す図(中間層を溶着) 本発明のワークロールの製造装置を示す図(外層を溶着) サーマルクラウンが板形状に及ぼす影響を模式的に示す図(腹伸び 又は中伸び発生) サーマルクラウンが板形状に及ぼす影響を模式的に示す図(板幅が 狭い場合) サーマルクラウンが板形状に及ぼす影響を模式的に示す図(板幅が 広い場合) ワークロールに発生したサーマルクラウンを模式的に示す図
図1は本発明の熱間圧延機用複合ワークロールの1例を示す図であり、軸材中心を通る胴長方向断面図である(以下、軸材中心を通る胴長方向断面をたんに「胴長方向断面」という)。ここで、1はワークロールを示し、2は軸材、3は中間層、4は外層である。5はネック部、6はジャーナル部であり荷重が負荷される部分で、通常はチョック内のベアリングに接している。7はユニバーサルジョイントと連結するトルク伝達部であり、図示していないユニバーサルジョイントは減速機、モータに連結され、圧延動力が伝達される。
なお、以下においてワークロールをたんにロールということがある。
軸材2は、軸材と外層4との間に中間層3を形成するため、バレル部において、胴長方向のバレル中央部の外周に凹部を有し、この部分の径が他の部分に比べて径が細くなっている。そして、中間層3は該凹部に形成され、軸材2と中間層3とで円柱状体(丸棒状体)をなす。図1では、中間層3が、胴長方向断面が外層に接する部位の胴長方向長さが軸材に接する部位の胴長方向長さよりも大きくなる台形状に形成されている。凹部の胴長方向断面も同じ形状であることは云うまでもない。
外層4は円筒状のものであり、軸材2と中間層3の外周に形成され、バレル部の外形を形成している。
軸材2、中間層3および外層4は金属的に一体化されている。
ロールの各部材の材質について以下に記載する。
軸材2には、炭素鋼や合金鋼が使用することができるが、クロムモリブデン鋼(SCM JIS G4105)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM G4103)などの合金鋼を使用することが好ましく、薄鋼板の熱間仕上圧延では少なくとも800MPa以上の引張強さを有しているころが好ましい。圧延動力を伝達するために、高強度の軸材が必要であるが、被圧延材の材料や圧延条件に応じて好適なものを採用すればよい。
中間層はNi32〜40質量%含有するFe−Ni合金材料からなるが、C:0.1〜1質量%、Ni:32〜40質量%および残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分であることが好ましい。
一般的にFe−Ni合金は低熱膨張材料であることが知られている。Niが32質量%未満、40質量%超の範囲では膨張量が大きくなり、サーマルクラウンの低減には効果的でない。好ましくはNiが34質量%以上、38質量%以下であり、この範囲では常温〜125℃において熱膨張係数は1×10−6/℃以下になる。
Cは0.1質量%以下では溶解中の流動性が低下し軸材との接合が困難になる。C量が多くなると熱膨張係数は小さくなる傾向があるが、1質量%を超えると脆化し、圧延時にロール内部の欠陥が発生する危険がある。
外層は、被圧延材と接触するロール表面を形成していることから、耐摩耗性と耐肌荒れ性に優れていることが必要である。このような材料として従来からハイス系材料が知られており、本発明でも、外層材としてハイス系材を使用する。
ハイス系材料の外層材として好ましい化学成分はC:1.0〜2.0
質量%、Si:0.5〜1.5質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Cr:3〜10質量%、V:3〜10質量%、W:3〜10質量%、残部実質的にFeと不可避的不純物である。
Cは耐摩耗性向上のための炭化物の形成に必要である。1.0%未満では、晶出炭化物量が少なく、耐摩耗性が低下する。2.0質量%を超えると、C単体で析出し、強度が低下する。
Siは脱酸剤として必要な元素であり、0.5質量%未満では脱酸効果がなく、酸化物が析出するため、脆化する。また、Siが1.5質量%を超えると基地の靭性が低下する。
Mnは脱酸作用とともに不純物であるSをMnSとして固定する作用がある。0.5質量%未満では脱酸性に乏しい。2.0質量%を超えると残留オーステナイトが生じやすくなり安定して十分な硬さを維持できない。
Cr、V、Wは、それぞれ3質量%未満では耐摩耗性に有効なMC、M、M、MC(ここでMは任意の金属元素)等の金属間化合物を生成しがたく、またそれぞれが10質量%を超えると、これら炭化物が過多となるため不都合である。
次に図1に示した本発明のロールについて、中間層の形態について説明する。
本発明では熱間圧延時に発生するサーマルクラウンを抑制するために常温〜125℃の範囲で熱膨張率が小さいFe−Ni合金材からなる中間層を形成している。このサーマルクラウンは、図4に示したように、通常、胴長方向のバレル中央部の中心が最も大きく、胴長方向のバレル端部に向かうにしたがって漸減しているから、とりわけロールの胴長方向のバレル中央部のサーマルクラウンを効果的に低減しなければならない。
このため、図1に示されるように、中間層は胴長方向のバレル長Lの全長にわたって形成する必要はなく、軸材と外層の間において、胴長方向のバレル中央部を含み、バレル両端部に達しない領域に形成する。したがって、軸材の中間層が形成される凹部も、胴長方向のバレル長Lの全長にわたって形成する必要はなく、胴長方向のバレル中央部を含み、バレル両端部に達しない領域の軸材の外周に形成することになる。
さらにバレル中央部のサーマルクラウンを効果的に低減するには、中間層は、胴長方向断面において、胴長方向のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚く、その胴長方向の両端部近傍の厚みが胴長方向の中央部の中心近傍の厚みよりも薄くなるように、例えば以下の詳述するように、図1に示されるような台形状にして、胴長方向の両端部近傍が先細状にすることが好ましい。
中間層は、図1に示される本発明の形態では、軸材の外周であって、胴長方向のバレル中央部を含みバレル両端部に達しない領域の凹部に形成されており、かつ胴長方向断面において、外層に接する部位の胴長方向長さBが軸材に接する部位の胴長方向長さAよりも大きくなる台形状になるように形成されている(すなわち、外層に接する部位の胴長方向長さBが台形底辺長に、軸材に接する部位の胴長方向長さAが台形上辺長にそれぞれ相当する)。このため、中間層の胴長方向の両端部が先細りになっているため、ワークロールのバレル中央部の領域のサーマルクラウンがより効果的に低減される。
中間層の形状は、図1に示されるようなロール胴長方向断面が台形状のものに限るものではないが、既に述べたように中間層の胴長方向の両端部近傍が先細りになっているのが好ましい。また、中間層の胴長方向断面の軸材に接する部位が円弧状になるように中間層を形成して、中間層の胴長方向の両端部近傍を先細りにしてもよい。
なお、図1において、dは軸材2の胴長方向断面のA領域の直径、dは軸材の凹部が形成されていないバレル部の直径、dはワークロールの直径、Lはバレル長をそれぞれ示している。したがって、A領域の中間層の厚さは(d−d)/2である。
また、A、Bの中心は胴長方向のバレル中央部の中心と一致するものとする。
次に製造方法について記載する。
すでに記載したように、JISで規定されるクロムモリブデン鋼(SCM JIS G4105)、あるいはニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM G4103)からなる材料を、以上のような好適な範囲で軸材に加工した後、図2(a)、図2(b)に示す連続鋳掛装置を使用して、連続鋳掛方法によりワークロールを製造する。
図2(a)において、連続鋳掛装置は、上部が漏斗状で下部が軸材の径dに合わせたモールド9と該モールド9の漏斗状の上部を包囲するように設けられた高周波加熱装置11と冷却装置10を有する。冷却装置10は内部が空洞の環状体であり、環状体の内径はモールド9の下部の径、すなわちdと同じであり、かつ同軸的にモールドに接して配備されている。そして、この冷却装置10には図示していないが冷却水の導入口と排出口が設けられており、冷却水が連続的に冷却装置の空洞部を流れるようになっている。
連続鋳掛は2段階に分けて実施される。
図2(a)に記載された装置を使用し、第1段階の連続鋳掛方法が以下のように行われる。
凹部を有する軸材をモールド9に挿入する。モールド9には高周波加熱装置11より事前に加熱することか好ましい。そして、溶解した中間層材を注湯しつつ、軸材2を下側方向に昇降機構(図示せず)により降下させる。この降下に連動して、中間層材の溶湯も降下し、冷却装置10により冷却されて急冷凝固される。その後常温まで冷却した後、凹部が中間層で埋められた軸材は、旋盤加工により直径dの円柱状体(丸棒状体)とされる。
次に第2段階は図2(b)に示す連続鋳掛装置で行われる。この連続鋳掛装置の構成は第1段階で使用した装置と基本的には同じであるが、モールド9と冷却装置10の内径が本発明のロール直径(外径)dと同じものになっており、第1段階のそれらの内径よりも拡大している。また、注湯時にモールド下部から溶湯が未凝固の状態で流出しないように軸材の下部には閉止板(図示せず)が固定されている。
この第2段階では、前段階で製造された直径dの、凹部が中間層で埋められた軸材をモールド9内に同軸的にセットする。そして、溶解した外層材料を注湯し、第1段階と同様に、軸材を降下させて、急冷凝固させる。
以上のように、2段階の連続鋳掛方法により、ロールを製造する。このとき、軸材、中間層および外層はこの凝固により確実に金属的に一体化される。急冷凝固後によって生じた内部応力を緩和するため、400〜600℃、6〜24時間の焼鈍を実施した後、機械加工によりネック5、ジャーナル部6などのロール加工を行いロールが完成する。バレル部は研磨により適切な粗さに仕上げる。外層材の厚さは厚いとサーマルクラウンが大きくなり、薄いと径が短いのでロール寿命が短くなるため、薄鋼板の熱間仕上圧延機では100mm以上200mm以下の範囲が好ましい。
上記の本発明の実施形態では、中間層材として極めて熱膨張係数の小さいFe−Ni合金材を使用し、かつ該胴長方向のバレル中央部に胴長方向の断面が図1に示されるように台形に形成したことにより、外層は耐摩耗性や耐肌荒れ性の良い従来のハイス系材料を用いるため、外層の熱膨張は従来のものと変わらないものの、ロールの全体ではサーマルクラウンの大きさは従来の場合の1/2程度まで小さくすることができる。
本発明例1〜7のワークロールは、図2に示した連続鋳掛装置により製造した。軸材2はSCM420材とし、中間層3は化学組成がC:0.2質量%、Ni:36質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなるFe−Ni系合金材で第1回目の鋳掛けを行って形成した。その後機械加工により、その直径dは500mmとした。中間層はロール胴長方向断面が図1に示すように台形状とした。中間層の厚さは175〜215mmの範囲である。バレル長Lは2300mmして、C:1.5質量%、Si:0.75質量%、Mn:1.2質量%、Cr:5
質量%、V:5 質量%、W:4質量%と残部Feおよび不可避的不純物からなるハイス系材からなる外層材で鋳掛けを施し、加工後のワークロール直径dは800mmとした。
比較例のワークロールは、通常の連続鋳掛方法によりSCM420材を軸材2として本発明例1〜7と同じ化学成分を有するハイス系材からなる外層材を鋳掛けた。そして熱処理した後、空冷し、そして後機械加工して製造した。
従来例1のワークロールは、軸材2に以下の化学成分であるSUS304を用いた。その化学成分はC:0.05質量%、Cr:18.5質量%、Ni:8.2質量%、Si:0.32質量%、Mn:0.4質量%、残部Feおよび不可避的不純物である。また従来例2は軸材に低合金鋼を用い、特許文献1に示される実施例の中から最も熱膨張係数が小さくなるとされるものと同様の条件とした。その軸材の化学成分はC:0.46質量%、Cr:0.2質量%、P:0.011質量%、Si:0.5質量%、Mn:1.12質量%、残部Feおよび不可避不純物である。
従来例1、2のワークロールはいずれも、上記の化学成分の軸材に、連続鋳掛方法により本発明例1〜7、比較例と同じ化学成分を有するハイス系材からなる外層材を鋳掛け、次いで熱処理した後に機械加工して製造した。
ここで、本発明例1〜7、比較例および従来例1、2はいずれも、熱処理は550℃で12時間保持した後空冷した。
本発明例、従来例および比較例のワークロールの構成を表1に示す。
本発明例1〜7、比較例、従来例のワークロールのサーマルクラウンの程度を評価するため、ワークロールの胴長方向のバレル中央部の中心の直径(外径)を測定して、以下のように、常温〜125℃における熱膨張係数を比較した。薄鋼板の熱間仕上圧延の操業では、ワークロールは50〜100℃程度の温度となり、一般的には125℃を超えることはないので、常温〜125℃における熱膨張係数を考慮すれば十分である。
各ワークロールについて、炉装入前の常温状態におけるワークロールの胴長方向バレル中央部の外径と温度125℃の炉に48時間保持した後のワークロールのロールバレル中央部の中心の外径の計測値に基づいて熱膨張係数を求めた。表2にその結果を示す。
表2におけるA、B、d、dについては既に述べた。
本発明例では、中間層厚がもっとも厚い本発明例1の熱膨張係数がもっとも小さく4.97×10−6/℃である。また中間層厚がもっとも薄い本発明例7の熱膨張係数がもっとも大きく、6.65×10−6/℃であるが、7.00×10−6/℃を下回っている。そして、中間層の厚みが大きくなるほどワークロールの熱膨張係数は小さくなっている。
一方、比較例では軸材と外層材の化学成分は本発明例1〜7と同じであるが、熱膨張係数が小さい中間層がないため、熱膨張係数は12.50×10−6/℃となり、7.00×10−6/℃を大きく上回っている。そして、また、従来例1では外層材の化学成分は本発明例1〜7と同じであるが、軸材に熱膨張係数の大きいSUS304を使用し、かつ熱膨張係数が小さい中間層がないため、熱膨張係数は14.50×10−6/℃となり、さらに増大し、やはり7.00×10−6を大きく上回っている。これは長時間炉内で加熱したため、軸材のSUS304の温度も炉温と同程度になり、SUS304の膨張係数は大きいためにこのような結果になったと推定される。従来例2は、軸材に低合金鋼を使用しており、この点で従来例1と異なる。しかし、熱膨張係数はやや小さくなっているものの、10.50×10−6/℃であり、7.00×10−6/℃をやはり上回っている。
以上のとおり、本発明例1〜7のワークロールは、常温〜125℃におけるバレル中央部の中心での熱膨張係数が7.00×10−6/℃を下回っている。
このように、本発明例1〜7は常温〜125℃の温度範囲においてワークロールの胴長方向サーマルクラウンが比較例、従来例1、2に比べて著しく低減できることが確認できた。
本発明の熱間仕上ワークロールは、被圧延材が鋼材以外の金属板であるとしても有効であることは云うまでもない。
1:ワークロール
2:軸材
3:中間層
4:外層
5:ネック部
6:ジャーナル部
7:トルク伝達部
8:金属板(鋼帯)
9:モールド
10:冷却装置
11:高周波加熱装置

Claims (4)

  1. 炭素鋼製または合金鋼製の軸材、Fe−Ni合金製の中間層およびハイス系材料製の外層からなる熱間圧延機用複合ワークロールであって、バレル部において、軸材は胴長方向のバレル中央部を含み、バレル両端部に達しない領域の外周に凹部を有し、中間層は該凹部に形成されて、軸材と中間層とで円柱状体を形成し、該円柱状体の外周に外層が形成されていることを特徴とする熱間圧延機用複合ワークロール。
  2. 中間層は、軸材の軸中心をとおる胴長方向断面において、中間層のバレル中央部の中心近傍の厚みが最も厚くなるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
  3. ワークロールのバレル中央部での常温〜125℃における熱膨張係数が7×10−6/℃以下であること特徴とする、請求項1または2に記載の熱間圧延機用複合ワークロール。
  4. 連続鋳掛方法により、軸材に中間層を溶着形成し、次いで、さらに外層を溶着形成してワークロールを製造することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱間圧延機用ワークロールの製造方法。
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