JP5436843B2 - 酢酸含有飲食物及び酢酸含有飲食物の酢酸臭低減方法 - Google Patents
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Description
昨今、消費者の健康志向の高まりに伴い、酢酸を含有する食品や飲料などが支持を集めているが、それらの商品にも押し並べて同様の問題があり、酸味や酢酸臭の低減は、酢酸を含有する飲食物において非常に大きな課題となっている。
従って、酢酸の成分を維持しながら、酢酸臭の発生を低減する方法が強く望まれていた。
しかしながら、酢酸は、炊飯米に独特の刺激のある酢酸臭を付与してしまう傾向がある。特に、酢酸を含有する炊飯改良剤を添加した炊飯米を食する際に電子レンジ等で再加熱等すると、強い酢酸臭が発生して風味を著しく低下させるという欠点があった。
通常、酢酸等の有機酸含有炊飯改良剤は、生米当たりの酢酸濃度を0.01〜0.1重量%程度とし、炊き上がり後の炊飯米のpHがおよそ5〜6になるようにして用いられる。
しかしながら、このような状態の炊飯米は、電子レンジ等による再加熱前であっても酢酸臭が感じられ、さらに再加熱をすることで酢酸が揮発しやすい状態となるので、刺激のある酢酸臭がより一層強くなってしまうという欠点があった。
また、上記課題は、炊飯米に限った問題ではない。例えば、餅や茹で麺などの穀物加工食品においても防腐のために酢酸を用いることがあるが、これらの穀物加工食品は、味や香りが淡白であるため、酢酸臭が発生すると風味を損ねてしまい易いという欠点がある。そこで、「防腐力(保存性)に優れており、且つ、加工直後はもとより、穀物加工食品の再加熱の際にも酢酸臭のような刺激のある酸臭の発生を低減する方法、穀物加工改良剤、及び酢酸臭の発生を低減した穀物加工食品」の開発が強く望まれていた。
物理的方法としては、例えば、酢酸発酵液に対してパルス磁場を印加する方法(例えば、特許文献2参照)、電磁波、超音波、遠赤外線などを照射する方法(例えば、特許文献3参照)、平均粒子径10Å以下の活性炭で吸着処理を行う方法(例えば、特許文献4参照)などが開示されているが、これらの方法には、多大な設備や運転費用がかかる上に、酸臭低減効果も充分でないなどの問題があった。
また、化学的方法としては、グリシンを添加する方法(特許文献5参照)、スクラロースを添加する方法(特許文献6参照)など多くの試みがなされてきたが、酸臭低減効果が満足できるものではなかった。また、余分な味(求めていない味)が付与されてしまうなどの問題があった。
すなわち、酢酸含有飲食物について、より簡便で効果の強い酢酸臭低減方法を開発することが求められていた。
そこで、本発明の目的は、簡便な手段であり、且つ、食品の味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酢酸臭(酢酸由来の鋭い刺激臭)を低減する方法を提供することであり、また、酢酸臭が低減されている酢酸含有飲食物を提供することにある。
一つは、「酢酸の呈味効果を期待した、明らかに酸味を感じる飲食物」である。
明らかに酸味を感じる飲食物とは、食酢飲料、スープ、炒め物、煮物、ドレッシングなど主に食酢を含有させて作る飲食品が挙げられ、これらの酢酸含有飲食物は、基本的に酢臭をある程度発生していても不快には感じないが、その量が多くなると不快に感じてしまうことから、酢酸臭を通常(酢酸が含有していれば通常生じる酢酸臭)よりも低減させることが目的となる。
もう一つは、「酢酸の防腐効果のみを期待した、酸味をほぼ感じない飲食物」である。
酢酸の防腐効果のみを期待した飲食物の場合は、酢酸臭が異臭と感じられ、さらには腐敗臭とも誤解される可能性があるため、酢酸臭を限りなくゼロにすることが目的となる。
その一方で、酢酸含有量が0.01〜0.06質量%と比較的低い飲食物(「酸味をほぼ感じない穀物加工食品等の飲食物」)については、酢酸とヘキサナールの質量比が100対0.0001〜100対0.01となるようにヘキサナールを含有することで、酢酸臭をほぼ感じなくできることを見出した。
請求項1に記載の発明は、酢酸を0.1〜10質量%含有し、且つ、酢酸とヘキサナールの含有質量比が100対0.00001〜100対0.001となるようにヘキサナールを含有することを特徴とする、食酢又は酸辣湯である酢酸含有飲食物、に関するものである。
請求項2に記載の発明は、酢酸を0.1〜10質量%含有する飲食物中に、酢酸とヘキサナールの含有質量比が100対0.00001〜100対0.001となるようにヘキサナールを添加すること、及び、前記飲食物が食酢又は酸辣湯であること、を特徴とする、食酢又は酸辣湯である酢酸含有飲食物の酢酸臭を低減させる方法、に関するものである。
請求項3に記載の発明は、酢酸とヘキサナールとを100対0.0001〜100対0.01の質量比で含有する炊飯改良剤を添加することを特徴とする、酢酸を0.01〜0.06質量%含有する炊飯米の酢酸臭を低減させる方法、に関するものである。
「明らかに酸味を感じる酢酸含有飲食物」においては、酢酸臭を低減する方法及び酢酸臭を低減した飲食物(酢酸飲料等)を提供することができる。
また、「酸味をほぼ感じない穀物加工食品等の飲食物」においては、酢酸臭をほぼ感じなくする方法及び酢酸臭をほぼ感じなくした穀物加工食品(中食の炊飯米等)を提供することができる。
また、前記穀物加工食品を製造することが可能となる穀物加工改良剤を提供することができる。
本発明における酢酸の含有方法としては、酢酸を単体の物質として添加することにより含有させてもよいし、酢酸を含有する食品(代表的な食品として食酢)を添加して含有させることによって、結果として酢酸を含有させてもよい。
例えば、米に炊飯という加工を施した炊飯米や、小麦粉を水で練った生麺や乾麺に茹で加工を施した茹で麺などである。他には、蒸し米、餅、パン等、味や香りが淡白な穀物加工食品が該当する。本発明においては、これらの中でも炊飯米、蒸し米、餅、茹で麺のいずれか1種又は2種以上であることが好ましく、特に炊飯米は本発明の効果を顕著に感じやすく好適である。
なお、酸味や酢酸臭が気にならないような穀物加工食品、例えば、寿司に用いる酢飯などは、本来、酢酸臭があることが普通であるため、上記した「明らかに酸味を感じる酢酸含有飲食物」(酢酸含有量が0.1〜10質量%)に含まれる飲食物である。
例えば、ヘキサナールを適量水と混合したものであってもよいが、酢酸とヘキサナールを、酢酸とヘキサナールの質量比が100対0.0001〜100対0.01となるように含有したものが好ましい。また、クエン酸や酢酸ナトリウムなどの有機酸や有機酸塩、さらに還元水あめなどの糖類などを一緒に含有し、複数の機能を持たせた炊飯改良剤としてもよい。
また、酢酸は、加工段階で含有させてもよいし、加工後、喫食時までの間に含有させてもよい。
例えば、炊飯米においては、炊飯時に食酢等を適量添加して含有させてもよいし、炊飯後に食酢含有水等を振りかけて含有させてもよい。なお、防腐効果を炊飯米に均一に持たせるには炊飯時に添加した方が好ましい。なお、これは茹で麺など、他の穀物加工食品においても同様のことが言える。
酢酸含有量が0.06質量%を超えると、酸味及び酢酸臭が強く出てしまい、味や香りが淡白な穀物加工食品の本来の香味を損なってしまう。また、0.01質量%より少ないと防腐効果を十分に得られない。
ヘキサナールは、アップル、ストロベリー、オレンジ、レモンなどの精油中に見出されていて、植物生体内でリノール酸より生合成されることが知られている。また、ヘキサナールを含有する飲食物としては、上記果実の他に、例えば大豆、トマト、グリーンピースを挙げることができる。
なお、本発明において、ヘキサナールの含有量(濃度)は質量比で表す。
ここでヘキサナールの含有量が、酢酸対比(質量比)100対0.00001よりも少ないと、酢酸臭が充分に低減せず好ましくない。
また、ヘキサナールの含有量が酢酸対比(質量比)100対0.001を超えても、それ以上は酢酸臭の改良効果は向上せず、かえってヘキサナール自体の青臭い香りが感じられるようになり、香りに違和感が生じ好ましくない。すなわち、ヘキサナールの含有量の上限は酢酸対比100対0.001である。
本発明において、酢酸含量0.1〜10質量%の酢酸含有飲食物に含有させるヘキサナールのさらに好ましい含有量は、酢酸対比(質量比)100対0.00005〜100対0.0005程度であり、最も好ましいのは酢酸対比(質量比)100対0.0001程度である。
ここでヘキサナールの含有量が酢酸対比100対0.0001よりも少ないと、酢酸臭をほぼ感じないと言える程度にまで改善せず好ましくない。
また、ヘキサナールの含有量が酢酸対比100対0.01を超えても、それ以上は酢酸臭の改良効果は向上せず、かえってヘキサナール自体の青臭い香りが感じられるようになり、香りに違和感が生じ好ましくない。すなわち、ヘキサナールの含有量の上限は酢酸対比(質量比)100対0.01程度である。
本発明において、穀物加工食品に含有させるヘキサナールのさらに好ましい含有量は、酢酸対比(質量比)100対0.0005〜100対0.005程度であり、最も好ましいのは酢酸対比100対0.001程度である。
すなわち、「酢酸を0.1〜10質量%含有した酢酸含有飲食物」は明らかに酸味を有するため、ある程度の酢酸臭であれば許容でき、また酢酸の絶対量が多いことから穀物加工食品の場合と同じ割合でヘキサナールを添加すると青臭くなりすぎることがある。
その一方で、「酢酸を0.01〜0.06質量%含有した穀物加工食品」(米飯、麺等)の場合は、味や香りが薄く作られることが一般的であり、酢酸の呈味や香味は期待しておらず防腐効果のみを期待しているため、防腐のために入れた酢酸臭を感じさせることは商品価値を著しく損なう。また、酢酸の絶対量も少ないことも、上記範囲が異なる理由である。
後述する実施例からもわかるように、本発明は酢酸やヘキサナールの絶対量よりも含有比率が重要である。この理由は定かでないが、本発明者らは、嗅覚の受容体において酢酸とヘキサナールが互いに拮抗するためと推察している。
(1)酢酸およびヘキサナールを含有する溶液の準備
合成酢酸を希釈して、酢酸濃度を0.1質量%、1質量%、10質量%の3段階に希釈した酢酸溶液(氷酢酸を使用)を作成した。そして、各酢酸溶液について合成香料のヘキサナールを質量比で酢酸100に対して、それぞれ0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1の5段階で加えたもの、及びヘキサナールを加えないもの(対照区)の計18種類に調整したサンプルを準備した。
なお、本試験においては、ヘキサナールを加える前の段階で酢酸濃度を調整しているが、ヘキサナールは極微量のため添加後の酢酸濃度の変化は無視できるレベルである。
以上の工程にて作成した溶液を、熟練評価者により各々の酢酸臭の程度(ヘキサナール無添加区との比較評価)及びヘキサナール臭(絶対評価)について評価した。また、評価は下記の基準にて○△×を付けることにより行った。結果を表1に示した。
なお、本試験は明らかな酸味を有する飲食物の試験であり、該飲食物は酢酸臭の低減が目的であるため、酢酸臭評価はヘキサナール無添加区を対照とした比較試験とした。
○:酢酸臭が比較対照に比べて明らかに少ない
△:酢酸臭が比較対照に比べて若干少ない(許容できる範囲)
×:酢酸臭が比較対照と同レベル
○:ヘキサナール臭をほとんど感じない
△:ヘキサナール臭を若干感じるが許容できる範囲である
×:ヘキサナール臭を明らかに感じる
なお、ヘキサナール含有量が同じでもヘキサナール臭の評価に違いがでていることからも、ヘキサナールの絶対量だけではなく酢酸との含有比率が影響している(酢酸の存在によりヘキサナール臭も低減されている)ことがわかる。
(1)酢酸および食品由来ヘキサナールを含有する溶液の準備
ヘキサナールを含有する溶液として豆乳(ヘキサナール含量2ppm)を用意し、酢酸濃度を0.1質量%、1質量%、10質量%になるように3段階で加え、各酢酸濃度についてヘキサナールを質量比で酢酸100に対して、それぞれ0.00001、0.0001、0.001になるように、豆乳を希釈したサンプルを計9種類調製した。
サンプルの具体的な調整方法としては、例えば「酢酸1質量%、ヘキサナールの割合が100対0.0001」のサンプルを調製する場合は、まずヘキサナール含量を算出(酢酸1質量%の0.0001/100なのでヘキサナール濃度は0.01ppm)し、そこから必要な豆乳量を算出(ヘキサナール濃度を0.01ppmに調整したいので、2ppmの豆乳をサンプルの0.5質量%使用)する。豆乳を0.5質量%、氷酢酸を1質量%、水を残りの98.5質量%として求めるサンプルを調製した。
以上の工程にて作成した溶液を、熟練評価者により各々の酢酸臭の程度(ヘキサナール無添加区との比較評価)及びヘキサナール臭(絶対評価)について評価した。また、評価は下記の基準にて○△×を付けることにより行った。結果を表2に示した。
なお、本試験は明らかな酸味を有する飲食物の試験であり、該飲食物は酢酸臭の低減が目的であるため、酢酸臭評価はヘキサナール無添加区(実施例1と同じもの)を対照とした比較試験とした。
○:酢酸臭が比較対照に比べて明らかに少ない
△:酢酸臭が比較対照に比べて若干少ない(許容できる範囲)
×:酢酸臭が比較対照と同レベル
○:ヘキサナール臭をほとんど感じない
△:ヘキサナール臭を若干感じるが許容できる範囲である
×:ヘキサナール臭を明らかに感じる
(1)ヘキサナールを含有する食酢飲料の準備
ミツカンナカノス社製のビネグイットぶどう酢ドリンクストレート(酸度0.36質量%、酢酸濃度0.28質量%)に、ヘキサナールを質量比で酢酸100に対して、それぞれ0.00001、0.0001、0.001、0.01の4段階で加えたもの、及びヘキサナールを加えないもの(対照区)の計6種類に調整したサンプルを準備した。
なお、上記試験ではヘキサナールを加える前の段階で酢酸濃度を測定しているが、ヘキサナールは極微量のため添加後の酢酸濃度の変化は無視できるレベルである。
以上の工程にて作成した溶液を、熟練評価者により各々の酢酸臭の程度(ヘキサナール無添加区との比較評価)及びヘキサナール臭(絶対評価)について評価した。また、評価は下記の基準にて○△×を付けることにより行った。結果を表3に示した。
なお、本試験は明らかな酸味を有する飲食物の試験であり、該飲食物は酢酸臭の低減が目的であるため、酢酸臭評価はヘキサナール無添加区を対照とした比較試験とした。
○:酢酸臭が比較対照に比べて明らかに少ない
△:酢酸臭が比較対照に比べて若干少ない(許容できる範囲)
×:酢酸臭が比較対照と同レベル
○:ヘキサナール臭をほとんど感じない
△:ヘキサナール臭を若干感じるが許容できる範囲である
×:ヘキサナール臭を明らかに感じる
なお、本実施例においては、ぶどう酢ドリンクの香りがヘキサナール臭をマスキングしたことにより、酢酸に対するヘキサナールの含有割合(質量比)が100対0.01であるサンプルの評価でも「許容できる範囲」という評価となったが、香りの薄い飲料等においてはやはり、酢酸に対するヘキサナールの含有割合(質量比)は、100対0.00001〜100対0.001の範囲が好ましい。
(1)ヘキサナールを含有する酸辣湯の準備
ミツカンナカノス社製の酸辣湯(酢酸濃度0.83質量%)を水で1:5に希釈したもの(酢酸濃度0.14質量%)に、ヘキサナールを酢酸とヘキサナールの割合(質量比)が100対0.00001、100対0.0001、100対0.001、100対0.01の4段階で加えたもの、及びヘキサナールを加えないもの(対照区)の計6種類に調整したサンプルを準備した。
なお、上記試験ではヘキサナールを加える前の段階で酢酸濃度を測定しているが、ヘキサナールは極微量のため添加後の酢酸濃度の変化は無視できるレベルである。
(2)熟練評価者による酢酸臭評価
以上の工程にて作成した溶液を約80℃に加温した後、熟練評価者により各々の酢酸臭の程度(ヘキサナール無添加区との比較評価)及びヘキサナール臭(絶対評価)について評価した。また、評価は下記の基準にて○△×を付けることにより行った。結果を表4に示した。
なお、本試験は明らかな酸味を有する飲食物の試験であり、該飲食物は酢酸臭の低減が目的であるため、酢酸臭評価はヘキサナール無添加区を対照とした比較試験とした。
○:酢酸臭が比較対照に比べて明らかに少ない
△:酢酸臭が比較対照に比べて若干少ない(許容できる範囲)
×:酢酸臭が比較対照と同レベル
○:ヘキサナール臭をほとんど感じない
△:ヘキサナール臭を若干感じるが許容できる範囲である
×:ヘキサナール臭を明らかに感じる
(1)酢酸ならびにヘキサナールを含有する白飯の炊飯
生米(福島県産こしひかり)300gを洗米し、約2時間水に浸漬した。次いで、水切りしたのち、5合釜の家庭用炊飯機に投入し、水340gを加えたところへ、氷酢酸0.07g、0.2g、0.4g(炊飯後米飯の0.01質量%、0.03質量%、0.06質量%)、ならびにヘキサナールを質量比で酢酸100に対して、それぞれ0、0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1となる量(表5に示す所定量のヘキサナール:0ppm〜60ppm)を混合した液をそれぞれ投入し、攪拌した後、常法により加熱して炊飯した。その後、加熱を止め、30分間の蒸らし工程を経て、炊飯を完了した。
このようにして調製した炊飯米は、冷却後重量が660gとなり、150g入りのパック容器に充填し白飯とした。
(2)熟練評価者による再加熱時の酢酸臭評価
以上の工程にて作成した白飯を20℃で24時間保存したのちに電子レンジで500W、1分間加熱し、90℃以上の状態で、熟練評価者により各々の酢酸臭の程度(絶対評価)及びヘキサナール臭(絶対評価)について評価した。また、評価は下記の基準にて○△×を付けることにより行った。結果を表5に示した。
なお、炊飯米は‘酢酸臭を感じないこと’が好ましいため、ヘキサナール無添加区との比較評価ではなく、ヘキサナール無添加区を含めて絶対評価にて実施した。
○:酢酸臭またはヘキサナール臭をほとんど感じない
△:酢酸臭またはヘキサナール臭を若干感じるが許容できる範囲である
×:酢酸臭またはヘキサナール臭を明らかに感じる
なお、ヘキサナール含有量が同じでもヘキサナール臭の評価に違いがでていることからも、ヘキサナールの絶対量だけではなく、酢酸との含有比率が影響している(酢酸の存在によりヘキサナール臭も低減されている)ことがわかる。
従って、本発明によれば、酢酸の成分を維持しながら、酢酸臭の発生を低減した飲食物(食酢飲料、スープ、炒め物、煮物、ドレッシングなど)を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、防腐力(保存性)に優れており、且つ、加工直後はもとより、穀物加工食品の再加熱の際にも酢酸臭のような刺激のある酸臭の発生を低減した穀物加工食品を提供することが可能となる。
Claims (3)
- 酢酸を0.1〜10質量%含有し、且つ、酢酸とヘキサナールの含有質量比が100対0.00001〜100対0.001となるようにヘキサナールを含有することを特徴とする、食酢又は酸辣湯である酢酸含有飲食物。
- 酢酸を0.1〜10質量%含有する飲食物中に、酢酸とヘキサナールの含有質量比が100対0.00001〜100対0.001となるようにヘキサナールを添加すること、及び、前記飲食物が食酢又は酸辣湯であること、を特徴とする、食酢又は酸辣湯である酢酸含有飲食物の酢酸臭を低減させる方法。
- 酢酸とヘキサナールとを100対0.0001〜100対0.01の質量比で含有する炊飯改良剤を添加することを特徴とする、酢酸を0.01〜0.06質量%含有する炊飯米の酢酸臭を低減させる方法。
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