以下、本発明の酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の品質改善方法について詳細に説明する。
本発明の酢酸含有飲食品は、以下(A)及び(B)から選ばれる香気成分のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする。
(A)炭素数8の不飽和アルコール類
(B)モノテルペン類或いはセスキテルペン類
さらに、本発明の酢酸含有飲食品は、以下(C)及び(D)から選ばれる少なくとも1種の香気成分をさらに含有することを特徴とする。
(C)炭素数5または6のフラン化合物
(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類
本発明の「酢酸含有飲食品」は、含有する酢酸濃度の高低により大別して、2種(低濃度酢酸含有飲食品、高濃度酢酸含有飲食品)に分類される。
低濃度酢酸含有飲食品は、酢酸を日持ち向上目的で含有させた比較的低濃度の酢酸を含有する飲食品であって、喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満のものである。なお、本発明の作用効果を十分に発揮させる観点から、喫食時の酢酸含有量は、0.015質量%以上0.1質量%未満であることが好ましい。低濃度酢酸含有飲食品とは、いわば製造あるいは加工から喫食に至るまでに時間を要する飲食品のことを指すものである。具体的には、例えば、作りおきの米飯や弁当、おかず類といった各種惣菜類や、調味料などの商業的無菌が求められる加工食品が挙げられる。
なかでも、本発明は、酢酸を含有する米飯類や麺類などの穀類加工品(酢酸含有穀類加工品)に適用されることが特に好ましい。その理由としては、飲食品が本来有する風味が比較的弱く、酸味酸臭が異質な風味として認知されやすく、本発明における作用効果がより発揮されるためである。
さらに、前記穀類加工品の中でも、米飯加工品(白飯、塩飯、赤飯、おこわ、炊き込み御飯、混ぜ込みご飯、おにぎり、寿司飯、餅、団子など)であることが特に好ましく、米飯加工品の中でも米飯そのものへの風味付けの少ない白飯、塩飯であることが最も好ましい。この理由としては、飲食品が本来有する風味が特に弱く、酸味酸臭が異質な風味としてより認知されやすいためであり、かつ、調味料などによる風味付けが少ない方が、米本来の風味が増強される効果についても強く感じられ、本発明の作用効果が最も有効に奏されるためである。
なお、本発明には、酢酸含有飲食品を製造するための飲食品(以下、「調製用飲食品」という。)も含まれる。その具体例としては、例えば、米飯や惣菜製造時に使用される酢酸含有調味料や、酢酸含有日持ち向上剤などが挙げられる。本発明の調製用飲食品は、前記香気成分(A)である炭素数8の不飽和アルコール類、前記香気成分(B)であるモノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる少なくとも1種を含むものである。この調製用飲食品における上記香気成分(A)、(B)は、前記酢酸含有飲食品中の含有量として、後述するそれぞれの至適濃度範囲になるように調整されていればよい。
さらに、この調製用飲食品においては、前記香気成分(C)である炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる少なくとも1種、あるいは前記香気成分(D)である炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる少なくとも1種が、後述する至適濃度範囲になるように調整されていることがより好ましい。なお、前記香気成分(C)、(D)の両方が、後述する至適濃度範囲になるように調整されていることが、さらに好ましい。
前記調製用飲食品の態様としては、液状、乳化液状、ゲル状、フォーム状、粉末状などのどのような態様であってもよく、適用する食品素材の種類や使い勝手の観点から適宜選択、調整すればよい。また、前記調製用飲食品は、添加後の飲食品の喫食時の酢酸含有量が、0.015質量%以上0.2質量%未満となるように調整できるものであればよい。ただし、前記調製用飲食品の添加量が少なすぎると、被添加飲食品中に十分に行き渡らず期待する効果が発揮できないことが考えられ、添加量が多すぎると、調製用飲食品自体の風味や物性の影響を受けやすく、被添加飲食品が本来持つ食感を損なうことが考えられる。そのため、前記調製用飲食品自体の酢酸含有量としては、0.1質量%以上20.0質量%未満、望ましくは1.0%質量%以上15.0質量%未満となるように調整することが好ましい。
高濃度酢酸含有飲食品は、調味、調理の目的、あるいは酢酸を摂取することを目的として酢酸を含有する比較的高濃度の酢酸を含有する飲食品であって、喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下であるものをいう。具体的には、酢酸含有調味料などのように酢酸の配合量が多く、酸味付けされた飲食品や、酸味付け用途を有する調味料、酢〆などの調理を施された飲食品、酢酸含有飲料などのように、一度の摂取量が多い、酸味を楽しんだり、酢酸を摂取したりするために飲食されるものがこれにあたる。
高濃度酢酸含有飲食品としては、酢酸の呈味を十分に効かした調理品や飲料、そのための調味料が挙げられるが、酢酸風味を付与するために食酢や酢酸を多く含有する調味料が好ましい。その具体例としては、例えば、食酢や、二杯酢、三杯酢、土佐酢、すし酢などの調味酢、ケチャップ、ウスターソース、焼肉のたれ等のソース・タレ類、ドレッシング類、あるいは粉末状調味料、漬物用調味料、魚介用調味料などの各種調味料などが挙げられる。さらに、酢酸含有飲料としては、食酢飲料が挙げられる。この理由としては、その酸味が必要でありながらも、酢酸の配合量が多かったり、一度の摂取量が多かったりして、酸味や酸臭の刺激が強すぎると摂取しづらく、摂食忌避を生じやすく、本発明の作用効果が有効に奏されるためである。なお、酢酸含有飲食品の酢酸含有量は、醸造酢の日本農林規格で規定された「酸度」の測定方法に準じて測定すればよい。また、液状、乳化液状、粉末状等、態様は問わない。
本発明の作用効果を奏するためには、前記酢酸含有飲食品に、前記(A)の香気成分である炭素数8の不飽和アルコール類から選ばれる少なくとも1種を添加することや、前記(B)の香気成分であるモノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる少なくとも1種を添加することが好ましい。
本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果を奏するためには、前記(A)の香気成分である炭素数8の不飽和アルコール類は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上となるように含有されていればよい。ただし、作用効果の強さの観点から5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記(A)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品における前記(A)の香気成分については、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上となるように含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記(A)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。なお、ここでいう「酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品」とは、例えば、米飯や煮物類などの、調理工程において、密封していない状態にて90℃以上で加熱される飲食品などが挙げられる。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)における前記(A)の香気成分については、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上となるように含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、前記(A)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.1部以下がより好ましく、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.05部以下がさらに好ましく、0.01部以下がさらに好ましい。なお、ここでいう「酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品」とは、例えば、一部の調味酢や食酢飲料など、充填後の加熱殺菌など密封した状態での加熱を除き、製造工程で加熱されない飲食品などが挙げられる。
前記(A)の香気成分である炭素数8の不飽和アルコール類は、1分子中に8個の炭素を有するとともに、炭素−炭素不飽和結合(二重結合や三重結合、芳香環は除く。)を1つ以上持ったアルコール類のことを指す。水酸基は分子中において末端の炭素に結合していてもそうでなくてもよく、その数も1または2以上であってもよいが、例えば非末端の炭素に水酸基が1つ結合した分子構造を有するものが好ましい。なお、炭素数8の不飽和アルコール類の好適な具体例としては、1−オクテン−3−オール(CAS番号:3391−86−4)がある。
前記1−オクテン−3−オールの酢酸含有飲食品における含有量は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記1−オクテン−3−オールの含有量は、上限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記1−オクテン−3−オールは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記1−オクテン−3−オールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記1−オクテン−3−オールは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記1−オクテン−3−オールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.1部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.05部以下がさらに好ましく、0.01部以下がさらに好ましい。
本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果を奏するためには、前記(B)の香気成分であるモノテルペン類またはセスキテルペン類は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上となるように含有されていればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記(B)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記(B)の香気成分は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記(B)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工しない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記(B)の香気成分は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm以上がさらに好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記(B)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.5部以下がさらに好ましく、0.1部以下がさらに好ましい。
前記(B)の香気成分としては例えばテルペン類を挙げることができ、これをイソプレン単位の数に応じて分類すると、炭素数が5個のヘミテルペン類(hemiterpene)、10個のモノテルペン類(monoterpene)、15個のセスキテルペン類(sesquiterpene)、20個のジテルペン類(diterpene)、25個のセステルテルペン類(sesterterpene)、30個のトリテルペン類(triterpene)、35個のセスクアルテルペン類(sesquarterpene)、40個のテトラテルペン類(tetraterpene)等がある。本発明において好適なテルペン類としては、イソプレン単位の数が2以下のもの、さらには1.5以下のものを挙げることができ、より具体的にいうとモノテルペン類及びセスキテルペン類を挙げることができる。なお、モノテルペン類は、非環式、単環式、二環式のいずれの構造を有していてもよいが、単環式の構造を有するものであることがよい。セスキテルペン類は、非環式、単環式、多環式のいずれの構造を有していてもよい。
前記(B)の香気成分であるモノテルペン類またはセスキテルペン類の好適な具体例としては、リモネン(CAS番号:5989−27−5(d−リモネン)、5989−54−8(l−リモネン)、138−86−3((−)−リモネン))、テルピネン(99−86−5(α−テルピネン)、99−84−3(β−テルピネン)、99−85−4(γ−テルピネン)、586−62−9(δ−テルピネン))、p−シメン(CAS番号:99−87−6、25155−15−1)、ムロロール(CAS番号:19912−62−0(τ−ムロロール)、19435―97−3(α−ムロロール))、カダレン(CAS番号:483−78−3)が挙げられる。
前記リモネン、テルピネン、p−シメンの酢酸含有飲食品における含有量は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記リモネン、テルピネン、p−シメンの含有量は、上限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.1部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.05部以下がさらに好ましく、0.01部以下がさらに好ましい。
前記ムロロール、カダレンの酢酸含有飲食品における含有量は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記ムロロール、カダレンの酢酸含有飲食品における含有量は、上限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記ムロロール、カダレンは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.005部以上がさらに好ましく、0.01部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記ムロロール、カダレンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンは、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記リモネン、テルピネン、p−シメンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.5部以下がさらに好ましく、0.1部以下がさらに好ましい。
本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果を奏するためには、酢酸含有飲食品に前記香気成分(A)及び(B)のいずれか一方のみが含有されていればよいが、より確実に奏するためには、前記香気成分(A)及び(B)の両方が含有されていることが好ましい。
また、本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果をより一層確実に奏するためには、前記した香気成分(A)及び/または(B)に加えて、前記(C)の香気成分である炭素数5または6のフラン化合物、あるいは、前記(D)の香気成分である炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる少なくとも1種がさらに含有されていることがよい。
前記(C)の香気成分である炭素数5または6のフラン化合物は、4個の炭素原子と1個の酸素原子とからなるフラン環を持つ複素環式芳香族化合物の一種であって、炭素原子を含む1つまたは2つの基がそのフラン環に結合した構造の化合物のことをいう。前記(C)の香気成分の好適な具体例としては、フルフラール(CAS番号:98−01−1)、フルフリルアルコール(CAS番号:98−00−0)、2−アセチルフラン(CAS番号:1192−62−7)、3−メチルフラン(CAS番号:930−27−8)、2−メチルフラン(CAS番号:534−22−5)、2−(5H)フラノン(CAS番号:497−23−4)が挙げられる。酢酸含有飲食品には上記具体例の炭素数5または6のフラン化合物のうちの1種が含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
前記(D)の香気成分である炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の具体例としては、ヘキサナール(CAS番号:66−25−1)、ヘプタナール(CAS番号:111−71−7)、オクタナール(CAS番号:124−13−0)、ノナナール(CAS番号:124−19−6)が挙げられる。酢酸含有飲食品には上記具体例の炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類のうちの1種が含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
さらには、前記した香気成分(A)及び/又は(B)に加えて、前記した香気成分(C)及び(D)の両方が含有されていることがより好ましい。
より詳細には、前記した(C)の香気成分であるフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン及び2−(5H)フラノンから選ばれる少なくとも1種と、前記した(D)の香気成分であるヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール及びノナナールから選ばれる少なくとも1種とが含有されていることがさらに好ましい。
本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果を奏するためには、前記(C)の香気成分である炭素数5または6のフラン化合物は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上となるように含有されていればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記(C)の香気成分の上限としては固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよいが、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記(C)の香気成分については、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記(C)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記(C)の香気成分は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記(C)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であることがより好ましい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がさらに好ましく、1部以下がさらに好ましい。
前記(C)の香気成分としては、フルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンが好ましい。
前記フルフラールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して、0.0001部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましい。また、前記フルフラールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記フルフラールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、当該飲食品の場合、前記フルフラールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記フルフラールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記フルフラールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
前記フルフリルアルコールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましい。また、前記フルフリルアルコールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記フルフリルアルコールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.005部以上がさらに好ましく、0.01部以上が特に好ましい。また、前記フルフリルアルコールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記フルフリルアルコールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、50ppm部以上がさらに好ましく、0.0001部以上が特に好ましい。また、前記フルフリルアルコールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して5部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましい。
前記2−アセチルフランの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましい。また、前記2−アセチルフランの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記2−アセチルフランの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記2−アセチルフランの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記2−アセチルフランの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、50ppm部以上がさらに好ましく、0.0001部以上が特に好ましい。また、前記2−アセチルフランの上限としては,固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましい。
前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの下限としては,固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、前記3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.1部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましい。
本発明の酸味酸臭を抑制し、飲食品が本来有する風味を増強する作用効果を奏するには、前記(D)の香気成分である炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上となるように含有されていればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記(D)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
より詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記(D)の香気成分は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記(D)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記(D)の香気成分は、下限として、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm部以上が特に好ましい。また、前記(D)の香気成分の上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましい。
前記(D)の香気成分としては、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナールが好ましい。
前記ヘキサナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記ヘキサナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
詳細には、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記ヘキサナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.005部以上がさらに好ましく、0.01部以上が特に好ましい。また、前記ヘキサナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記ヘキサナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がさらに好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、前記ヘキサナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましい。
前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上であればよい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましい。また、前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される飲食品の場合、前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、0.0005部以上がさらに好ましく、0.001部以上が特に好ましい。また、前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して15部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましい。
酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)の場合、前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの下限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm以上含有されていることがより好ましい。ただし、作用効果の強さの観点から、5ppm以上がさらに好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、前記ヘプタナール、オクタナール、ノナナールの上限としては、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.1部以下であればよい。ただし、香気成分そのものの風味をなるべく付加しないという観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましい。
前記各香気成分の含有量の調整は、各香気成分を前記範囲の含有量になるように濃度が既知の香気成分そのもの、あるいは各香気成分を含有する食品素材を配合・添加することにより行ってもよい。また、上記各香気成分の含有量は、香気成分を測定する一般的な方法を用いて測定することができる。例えば、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)で測定したピーク面積比が前記の濃度範囲になっているか確認すればよい。
〔各香気成分の測定方法・条件〕
固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)による測定
〔1〕香気成分の分離濃縮方法
以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で香気成分の分離濃縮を行う。
<固相マイクロ抽出条件>
・SPMEファイバー StableFlex 50/30μm,DVB/Carboxen/PDMS(SUPELCO社製)
・揮発性成分抽出装置
PAL3 RSI120(CTC Analytics社製)
予備加熱:40℃15min
攪拌速度:300rpm
揮発性成分抽出:40℃20min
脱着時間:10分
〔2〕香気成分の測定方法
ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、酢酸のピーク面積に対する各香気成分のピーク面積の比を測定する。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System (Agilent Technologies社製)
・GCカラム:DB−WAX (Agilent Technologies社製) 長さ30m,口径0.25mm,膜厚0.25μm
・キャリア:Heガス、ガス流量1.0mL/min
・温度条件:35℃(5min)保持→120℃まで5℃/min昇温→220℃まで15℃/min昇温→6分間保持
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 7000C GC/MS Triple Quad(Agilent Technologies社製)
・イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
・スキャン質量:m/z 29.0〜350.0
また、前記香気成分を添加するタイミングは、被添加飲食品に酢酸を含有させる前、酢酸を含有させると同時、酢酸を含有させた後のいずれであってもよい。あるいは、被添加飲食品を製造または加工する工程において、前記香気成分が生成されるように、原料をあらかじめ調合しておくような方法でもよい。
その添加の態様としては、前記香気成分そのものを直接添加してもよいし、これらを含有する食品素材などを介して添加してもよい。食品素材の性状としては、粉末化した粉末状、溶媒や飲食品に混合した液状、さらにこれを乳化した乳化液状のいずれであってもよく、その態様は問わない。被添加飲食品の適性に合わせて適宜選択すれば良い。
本発明には、飲食品に、酢酸を前記の範囲に添加・調整し、前記各香気成分を前記の範囲に添加・調整することによる、前記酢酸含有飲食品の製造方法も含まれる。具体的にいうと、喫食時における酢酸含有量が0.015質量%以上5質量%以下となるように酢酸を添加・調整するとともに、上記の(A)及び(B)から選ばれる少なくとも1種の香気成分を、上記の好適な分量となるように含有量を調整することを特徴とする酢酸含有飲食品の製造方法が含まれる。この場合、さらに上記の(C)及び(D)から選ばれる少なくとも1種の香気成分を、上記の好適な分量となるように含有量を調整するようにしてもよい。
さらに本発明には、飲食品に、酢酸を前記の範囲に添加・調整し、前記各香気成分を前記の範囲に添加・調整することによる、前記酢酸含有飲食品の酸味酸臭を抑制し、かつ、被添加飲食品が本来有する風味を増強する酢酸含有飲食品の品質改善方法も含まれる。具体的にいうと、喫食時における酢酸含有量が0.015質量%以上5質量%以下となるように酢酸を調整するとともに、上記の(A)及び(B)から選ばれる少なくとも1種の香気成分を、上記の好適な分量となるように含有量を調整することにより、前記酢酸含有飲食品の酸味酸臭を抑制し、かつ、被添加飲食品が本来有する風味を増強する酢酸含有飲食品の品質改善方法が含まれる。この場合、さらに上記の(C)及び(D)から選ばれる少なくとも1種の香気成分を、上記の好適な分量となるように含有量を調整するようにしてもよい。
以下に、本発明を実施例等により説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
[実施例1]酸味酸臭を抑制する香気成分の抽出・選抜1
飲食品本来の風味が特に弱く、酸味酸臭が異質な風味として認知しやすい白飯を用いて予備試験を実施した。酢酸含有白飯(炊飯米に酢酸含有量7.3質量%の食酢を1質量%添加し、日持ち向上性を付与した白飯を調製した。前記白飯の酢酸含有量は0.073質量%であった。本白飯は明らかな酸味酸臭が認められた。以下、白飯という。)に、様々な香気成分を添加したところ、いくつかの香気成分において少なからず酸味酸臭の抑制効果が認められた。さらに、一部の香気成分においては、酸味酸臭の抑制効果だけでなく、飲食品が本来持つ風味がより感じやすくなる効果も認められた(以下、飲食品が本来有する風味の維持・増強効果という)。なお、白飯以外の飲食品(塩飯、赤飯、おこわ、スパゲッティ、野菜サラダ、筑前煮、カボチャの煮物)についても同様の試験を実施したが、いずれも同様の結果が得られた。
その中でも特に酸味酸臭の抑制効果が強い香気成分を選抜し、以下の試験を行った。表1に示すとおり、選抜されたそれぞれの香気成分について、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が前記調製した白飯に含まれる酢酸1部に対して0.01部になるように白飯に添加した。なお、この際、各香気成分は純品を用いた。
酸味酸臭の抑制効果や、飲食品が本来有する風味の維持・増強効果の評価は、専門のパネラー5名によって次の基準により行った(なお、小数点以下は四捨五入した)。なお、表1において、(B)、(C)、(D)の各成分は、個々の成分を合わせて添加し、効果を検証した。
また、評価基準3(総合評価)については、評価基準1(酸味酸臭抑制効果)と、評価基準2(飲食品が本来有する風味の維持・増強効果)とによる評価結果を踏まえて、本発明の作用効果としての好ましさとして5段階で評点をつけた。評価基準1及び2以外にも、香気成分が本来有する風味の影響などにより、飲食品として違和感のある風味・好ましく無い風味である場合など、飲食品の品質に大きく関わる要因が見受けられた場合には、評点を採点する際に備考として加えた。
評価基準1(酸味酸臭抑制効果)
5:酸味酸臭が著しく強く抑制される。
4:酸味酸臭が強く抑制される。
3:酸味酸臭が抑制される。
2:酸味酸臭がやや抑制される。
1:酸味酸臭が変化しない。
評価基準2(飲食品が本来有する風味の維持・増強効果)
5:飲食品本来の風味が特に強く感じられる。
4:飲食品本来の風味が強く感じられる。
3:飲食品本来の風味が感じられる。
2:飲食品本来の風味がやや感じられる。
1:飲食品本来の風味がほとんど感じられない。
評価基準3(総合評価)
5:著しく優れる
4:優れる
3:やや優れる
2:普通
1:劣る
その結果を表1に示す。
表1に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類(試験例1)は、酸味酸臭抑制効果が強く、かつ、酢酸含有米飯の原料の主体である白飯の本来の風味を維持・増強する効果が認められた。(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類(試験例2)は、総合すると、酸味酸臭抑制効果が認められ、かつ、酢酸含有米飯の原料の主体である白飯の本来の風味を維持・増強する効果が認められた。かつ、(A)、(B)の双方ともに白飯の風味に添加した香気成分由来の違和感を感じることはなく、本発明の優れた作用効果を奏することが認められた。
よって、本発明の作用効果を奏するためには、(A)炭素数8の不飽和アルコール類、及び(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる香気成分のうち少なくともいずれかを含有するよう、これら香気成分を酢酸と共に飲食品に添加すればよいことが分かった。
さらに、(C)炭素数5または6のフラン化合物(試験例3)と、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類(試験例4)については、双方ともに白飯の風味に、添加した香気成分由来の違和感を感じることはなかった。しかし、これら単体では、酸味酸臭抑制効果は、前記(A)、(B)に比べてやや弱く、かつ、酢酸含有米飯の原料の主体である白飯の本来の風味を維持・増強する効果も弱かった。よって、これら単体での使用による作用効果は少なからずあるものの、(A)、(B)に比べると不十分であると思われた。
[実施例2]酸味酸臭を抑制する香気成分の抽出・選抜2
実施例1では、前記香気成分(A)、(B)の単体での使用により本発明の作用効果を発揮させることが可能であることが分かったが、前記香気成分(C)、(D)の単体での使用は効果が不十分であることが分かった。そこでここでは、前記香気成分(A)及び/又は(B)と、(C)及び/又は(D)との併用効果について表2に示すように検討した。なお、表2において、(B)、(C)、(D)の各成分は、個々の成分を合わせて添加し、併用効果を検証した。
なお、試験及び評価の方法は実施例1と同様とした。
その結果を表2に示す。
表2に示されるように、前記香気成分(A)又は(B)と、(C)及び/又は(D)との併用効果が認められた。即ち、(A)と(C)とを併用した場合(試験例5)と、(B)と(C)とを併用した場合(試験例6)には、(A)単独(対照1)、(B)単独(対照2)、(C)単独(対照3)の場合に比べて、酸味酸臭の抑制効果及び白飯の本来の風味を維持・増強する効果が高くなった。さらに、(A)と(D)とを併用した場合(試験例7)には、(A)単独(対照1)、(D)単独(対照4)の場合に比べて、酸味酸臭の抑制効果及び白飯の本来の風味を維持・増強する効果が高くなった。また、(B)と(D)とを併用した場合(試験例8)には、(B)単独(対照2)、(D)単独(対照4)の場合に比べて、酸味酸臭の抑制効果が高くなった。
よって、前記香気成分である(A)及び(B)から選ばれる少なくとも1種と、(C)の炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる少なくとも1種、または(D)の炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる少なくとも1種を含有するよう、これら香気成分を酢酸と共に飲食品に添加すればより好ましいことが分かった。
さらに、前記香気成分である(A)と(C)と(D)とを併用した場合、(B)と(C)と(D)とを併用した場合(試験例9、10)には、(A)単独(対照1)、(B)単独(対照2)、(C)単独(対照3)、(D)単独(対照4)の場合や、(A)と(C)とを併用した場合(試験例5)、(B)と(C)とを併用した場合(試験例6)、(A)と(D)とを併用した場合(試験例7)、(B)と(D)とを併用した場合(試験例8)に比べて、特に強い酸味酸臭抑制効果が認められ、かつ、酢酸含有米飯の原料の主体である白飯の本来の風味を維持・増強する効果も認められた。
よって、前記香気成分である(A)及び(B)から選ばれる少なくとも1種と、(C)の炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる少なくとも1種と、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる少なくとも1種とを含有するよう、これら香気成分を酢酸と共に飲食品に添加すればさらに好ましいことが分かった。
[実施例3]酸味酸臭を抑制する香気成分の添加濃度範囲の検証1
実施例1、2では、前記香気成分グループ(A)〜(D)の選択添加及び併用添加による本発明の作用効果について検証を行った。そこでここでは、各香気成分のグループに属する香気成分単体の作用効果の検証及びその添加濃度範囲の検証を行った。
表3に示すとおり、各香気成分の添加濃度を変化させ、本発明の作用効果を検証した。試験及び検証の方法は実施例1と同様とした。また、酢酸の摂取量が多く、酢酸含有飲食品の中でも口腔内への酸味の刺激性が特に強い食酢飲料(食酢飲料の代表的なものとしてりんご風味の食酢飲料を選択した)についても、各香気成分を付与し、同様の方法にて試験及び検証を実施した。なお、食酢飲料は、りんご酢(ミツカン社製、酸度(酢酸含有量)5.0質量%)と市販のりんご果汁とを混合して、酢酸含有量2.5質量%の飲用酢を調製して試験に供した。米飯及び食酢飲料の2品について評価を行い、両方の結果を踏まえて実施例1の基準に準じて点数をつけた。
その結果を表3に示す。
表3−1に示されるように、本発明の作用効果を奏するために必要な(A)炭素数8の不飽和アルコール類の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上5部以下となる範囲であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに具体的には、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の1種である1−オクテン−3−オールの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上5部以下となる範囲とすべきであることが分かった(試験例aの試験区3〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、1−オクテン−3−オールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例aの試験区6〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、1−オクテン−3−オールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例aの試験区3〜11)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、表3−2に示すように、本発明の作用効果を奏するために必要な(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上10部以下となる範囲であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに詳細には、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類であるリモネン、テルピネン、p−シメンのそれぞれの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上5部以下となる範囲にすべきであることが分かった(試験例b、c、dの試験区3〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、リモネン、テルピネン、p−シメンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例b、c、dの試験区6〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、リモネン、テルピネン、p−シメンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例b、c、dの試験区3〜11)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要なムロロール、カダレンのそれぞれの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上10部以下となる範囲であることが分かった(試験例e、fの試験区2〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、ムロロール、カダレンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上10部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例e、fの試験区6〜14)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.005部以上がより好ましく、0.01部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、7.5部以下がより好ましく、5部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、ムロロール、カダレンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例e、fの試験区2〜11)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましいことが分かった。
[実施例4]酸味酸臭を抑制する香気成分の添加濃度範囲の検証2
実施例3では、前記香気成分の(A)及び(B)のグループに属する香気成分単体の作用効果の検証及びその添加濃度範囲の検証を行った。そこでここでは、実施例2で行った前記香気成分グループ(A)又は(B)と、(C)との併用時における、(C)のグループに属する香気成分単体の作用効果の検証及びその添加濃度範囲の検証を表4に示すように行った。試験及び検証の方法は実施例3と同様にした。
その結果を表4に示す。
表4−1に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類である1−オクテン−3−オールと、(C)炭素数5または6のフラン化合物との併用時において、本発明の作用効果を奏するために必要な(C)の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下となる範囲であることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに詳細には、同様に、(C)炭素数5または6のフラン化合物であるフルフラールの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすべきであることが分かった(試験例gの試験区6〜16)。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品の場合、フルフラールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例gの試験区6〜16)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、フルフラールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例gの試験区6〜16)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要なフルフリルアルコールの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上15部以下の範囲であることが分かった(試験例hの試験区4〜16)。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記フルフリルアルコールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例hの試験区7〜16)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.005部以上がより好ましく、0.01部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記フルフリルアルコールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例hの試験区4〜13)。作用効果の強さの観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要な2−アセチルフランの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上15部以下となる範囲であることが分かった(試験例iの試験区4〜16)。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記2−アセチルフランを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例iの試験区6〜16)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記2−アセチルフランを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例iの試験区4〜11)。作用効果の強さの観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要な3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲であることが分かった(試験例j、k、lの試験区3〜16)。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、5ppm以上がより好ましく、10ppm以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例j、k、lの試験区6〜16)。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった(試験例j、k、lの試験区3〜11)。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
表4−2に示されるように、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類と、(C)炭素数5または6のフラン化合物との併用時において、本発明の作用効果を奏するために必要な(C)の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲であることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに詳細には、同様に、(C)炭素数5または6のフラン化合物であるフルフラールの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上〜5部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記フルフラールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工しない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記フルフラールの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要なフルフリルアルコールの添加濃度範囲は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記フルフリルアルコールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.005部以上がより好ましく、0.01部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記フルフリルアルコールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上5部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、2.5部以下がより好ましく、1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要な2−アセチルフランの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して10ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、50ppm部以上がより好ましく、0.0001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要な3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味の持続性の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
なお、表4−2には、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類としてのリモネンと、(C)炭素数5または6のフラン化合物とをそれぞれ併用した場合の結果を示した。(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類として、同様の構造を有するテルピネン、p−シメン、ムロロール、カダレンについても、(C)の各香気成分それぞれとの併用効果を検討したが、表4−2に示した結果と同じであった。
[実施例5]酸味酸臭を抑制する香気成分の添加濃度範囲の検証3
次にここでは、実施例2で行った、前記香気成分グループ(A)又は(B)と、(D)の併用時における、(D)のグループに属する香気成分単体の作用効果の検証及びその添加濃度範囲の検証を表5に示すように行った。試験及び検証の方法は実施例3と同様にした。
その結果を表5に示す。
表5−1に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類である1−オクテン−3−オールと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類との併用時において、本発明の作用効果を奏するために必要な(D)の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲であることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに詳細には、同様に、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類であるヘキサナールの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記ヘキサナールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.005部以上がより好ましく、0.01部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記ヘキサナールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要なヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲であることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、ヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、ヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
表5−2に示されるように、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類と、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類との併用時において、本発明の作用効果を奏するために必要な(D)の添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに詳細には、同様に、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類であるヘキサナールの添加濃度は、本発明の作用効果を奏するために、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、前記ヘキサナールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.005部以上がより好ましく、0.01部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、前記ヘキサナールを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.5部以下がより好ましく、0.1部以下がさらに好ましいことが分かった。
同様に、本発明の作用効果を奏するために必要なヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上15部以下の範囲とすべきであることが分かった。作用効果の強さ及び風味のコクの向上の観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
また、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工される米飯等の飲食品については、ヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して0.0001部以上15部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、0.0005部以上がより好ましく、0.001部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、12.5部以下がより好ましく、10部以下がさらに好ましいことが分かった。
さらに、酢酸が揮発する状態で製造あるいは加工されない食酢飲料等の飲食品(容器に充填し密封した後での加熱殺菌など、封をした状態での加熱工程は除く)については、ヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの添加濃度を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定した場合のピーク面積比が酢酸1部に対して1ppm部以上0.1部以下の範囲とすることが、特に効果的であることが分かった。作用効果の強さの観点から、下限としては、5ppm部以上がより好ましく、10ppm部以上がさらに好ましいことが分かった。また、上限としては、香気成分由来の風味の付加の観点から、0.05部以下がより好ましく、0.01部以下がさらに好ましいことが分かった。
なお、表5−2には、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類としてのリモネンと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類とをそれぞれ併用した場合の結果が示されている。(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類として、同様の構造を有するテルピネン、p−シメン、ムロロール、カダレンについても、(D)の各香気成分それぞれとの併用効果を検討したが、表5−2に示した結果と同じであった。
[実施例6]酸味酸臭を抑制する香気成分の添加濃度範囲の検証4
次にここでは、実施例2で行った、前記香気成分グループ(A)又は(B)と、(C)及び(D)の両方の併用時における、(C)、(D)のグループに属する香気成分単体の作用効果の検証及びその添加濃度範囲の検証を表6に示すように行った。試験及び検証の方法は実施例3と同様とした。
その結果を表6に示す。
表6−1、表6−2に示されるように、(A)の代表である1−オクテン−3−オールと、(C)の代表であるフルフラール及び(D)の代表であるヘキサナールとの両方を添加した場合、(C)の代表であるフルフリルアルコールと(D)の代表であるヘキサナールの両方を添加した場合、実施例4及び5で検証した前記(C)、(D)が前記至適濃度範囲にある場合、(A)との相乗効果が認められた。
なお、表6−1、表6−2には、(C)炭素数5または6のフラン化合物であるフルフラール又はフルフリルアルコール、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類であるヘキサナールを組み合わせた場合の結果を示した。なお、(C)炭素数5または6のフラン化合物として、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−(5H)フラノンそれぞれと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類として、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールそれぞれについても、(A)炭素数8の不飽和アルコール類との併用効果をそれぞれの組み合わせで検討したが、表6−1及び表6−2に示した結果と同じであった。
表6−3〜表6−10に示されるように、(B)の代表であるリモネン、テルピネン、ムロロール、カダレンのそれぞれと、(C)の代表であるフルフラール及び(D)の代表であるヘキサナールの両方とを添加した場合、(C)の代表であるフルフリルアルコール及び(D)の代表であるヘキサナールの両方とを添加した場合、実施例4及び5で検証した前記(C)、(D)が至適濃度範囲にある場合、(B)との相乗効果が認められた。
なお、表6−3〜表6−10には、(C)炭素数5または6のフラン化合物であるフルフラールとフルフリルアルコール、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類であるヘキサナールを組み合わせた場合の結果を示した。なお、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類として、同様の構造を有するp−シメンと、(C)炭素数5または6のフラン化合物として、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−(5H)フラノン、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類として、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールついても、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類との併用効果もそれぞれの組み合わせで検討したが、表6−3〜表6−10に示した結果と同様であった。
以上の結果から、前記(A)炭素数8の不飽和アルコール類、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる香気成分のうち少なくとも1種と、(C)炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる少なくとも1種の香気成分及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる少なくとも1種の香気成分の両方とを含有することにより、本発明の作用効果が著しく強く、かつ、風味の持続性とコクが向上された酢酸含有飲食品が調製できることが実証された。
[実施例7]酢酸含有飲食品の酢酸濃度範囲の検証1
実施例1〜6においては、一定濃度の酢酸を含有した飲食品における前記各香気成分の添加による本発明の作用効果を検証した。そこでここでは、表7に示すとおり、酢酸含有飲食品の酢酸含有量を変化させて、これに一定濃度の香気成分を添加し、本発明の作用効果を検証した。
なお、酢酸含有飲食品としては、酢酸含有量が0.01質量%〜0.18質量%の範囲においては、白飯及び煮物料理を調製して試験に供した。白飯は実施例1に準じて調製し、煮物料理は次の処方で調製した。
市販の煮物用調味料(ミツカン社製「追いがつおつゆ(2倍濃縮)」、酢酸換算酸度:0.39質量%、原材料:しょうゆ(本醸造)、果糖ぶどう糖液糖、食塩、砂糖、かつおぶし(粗砕、粉砕)、醸造酢、たん白加水分解物、酵母エキス、濃縮だし(かつおぶし、乾しいたけ)、魚介エキス、こんぶエキス、アルコール、調味料(アミノ酸等))300mL、水700mLを用い、具材として、サトイモ10個(約700g)、豚バラ肉(約275g)、しょうが25gを加え、蓋をして中火で20分煮込み、煮物料理である「里芋と豚バラ肉の煮物(調理後の煮物全量(調味液+具材)1g当りの酢酸含有量は、酢酸換算酸度として、0.059質量%)」(以下、煮物料理)を調製した。
また、酢酸含有量が0.2質量%〜6質量%の範囲においてはりんご風味食酢飲料を選択し、試験に供した。試験及び検証の方法は実施例1に準じて行った。ただし、酢酸含有量が0.01質量%〜0.18質量%の範囲においては、上述の通り白飯と煮物料理の2品について評価を行い、両方の結果を踏まえて実施例1の基準に準じて点数をつけた。
その結果を表7に示す。
表7−1〜表7−5に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールを添加した白飯及び煮物料理については、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味がやや増強されており、本発明の作用効果が奏されることが分かった。一方で、同様に、食酢飲料については、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激がやや強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味がやや増強されており、本発明の作用効果が奏されることが分かった。
また、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の代表であるリモネン、テルピネン、ムロロール、カダレンのそれぞれを添加した白飯及び煮物料理については、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、ほとんど酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味がやや増強されており、本発明の作用効果が奏されることが分かった。一方で、同様に、食酢飲料については、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激が緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味がやや増強されており、本発明の作用効果が奏されることが分かった。
(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の代表であり、同様の構造を有するp−シメンについても検討したが、表7−2〜表7−5に示した結果と同じであった。
また、ここでは、食材に一定量の香気成分を添加したが、酢酸含有飲食品の酢酸含有量が高くなるほど本発明の作用効果が弱くなる傾向が認められた。このため、酢酸含有量に合わせて、本発明の作用効果が明確に奏されるように、適宜、香気成分の添加濃度を増加させれば良いことが分かった。
なお、白飯及び煮物料理の場合、酢酸含有量が0.1質量%以下であると、そもそも日持ち向上効果が弱く本発明の適用対象として相応しくないことが分かった。また、食酢飲料の場合、酢酸含有量が6質量%以上であると、各香気成分の添加量を増やしても酸味酸臭が刺激として感じられ、本発明の作用効果が十分に奏されないことが分かった。
[実施例8]酢酸含有飲食品の酢酸濃度範囲の検証2
実施例7では、前記香気成分(A)及び(B)から選ばれる香気成分のうち1種を含有させた場合の飲食品に対する本発明の作用効果を検証した。ここでは、表8に示すとおり、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(C)炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる1種の香気成分とを併用した場合における本発明の作用効果を検証した。試験及び検証の方法は実施例1、実施例7に準じた。
その結果を表8に示す。
表8−1、表8−2に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の香気成分の代表であるフルフラール、フルフリルアルコールのそれぞれを併用添加した白飯及び煮物料理については、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、全く酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料については、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激が強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。
(C)炭素数5または6のフラン化合物の代表であり、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−(5H)フラノンについてもそれぞれ検討したが、表8−1、表8−2に示した結果と同じであった。
また、ここでは、酢酸含有量に対して一定量の香気成分を添加したが、飲食品の酢酸含有量が高くなるほど本発明の作用効果が弱くなる傾向が認められた。このため、酢酸含有量に合わせて、本発明の作用効果が明確に奏されるように、適宜、香気成分の添加濃度を増加させれば良いことが分かった。
なお、白飯及び煮物料理の場合、酢酸含有量が0.1質量%以下であると、そもそも日持ち向上効果が弱く本発明の適用対象として相応しくないことが分かった。食酢飲料の場合、酢酸含有量が6質量%以上であると、各香気成分の添加量を増やしても、酸味酸臭が刺激として感じられ、本発明の作用効果が十分に奏されないことが分かった。
[実施例9]酢酸含有飲食品の酢酸濃度範囲の検証3
ここでは、表9に示すとおり、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる香気成分のうち1種と、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる1種の香気成分とを併用した場合における本発明の作用効果を検証した。試験及び検証の方法は実施例1、実施例7に準じた。
その結果を表9に示す。
表9−1〜表9−8に示されるように、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の香気成分の代表であるリモネン、テルピネン、ムロロール、カダレンのそれぞれと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の香気成分の代表であるフルフラール、フルフリルアルコールのそれぞれを併用添加した白飯及び煮物料理については、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料については、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激がやや強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。
(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の代表であり、同様の構造を有するp−シメンと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の代表であり、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンについてもそれぞれの併用効果を検討したが、表9−1〜表9−8に示した結果と同じであった。
また、ここでは、酢酸含有量に対して一定量の香気成分を添加したが、飲食品の酢酸含有量が高くなるほど本発明の作用効果が弱くなる傾向が認められた。このため、酢酸含有量に合わせて、本発明の作用効果が明確に奏されるように、適宜、香気成分の添加濃度を増加させれば良いことが分かった。
なお、白飯及び煮物料理の場合、酢酸含有量が0.1質量%以下であると、そもそも日持ち向上効果が弱く本発明の適用対象として相応しくないことが分かった。食酢飲料の場合、酢酸含有量が6質量%以上であると、各香気成分の添加量を増やしても、酸味酸臭が刺激として感じられ、本発明の作用効果が十分に奏されないことが分かった。
[実施例10]酢酸含有飲食品の酢酸濃度範囲の検証4
ここでは、表10に示すとおり、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる1種の香気成分とを併用した場合における本発明の作用効果を検証した。試験及び検証の方法は実施例1、実施例7に準じた。
その結果を表10に示す。
表10−1に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の香気成分の代表であるヘキサナールとを併用添加した白飯及び煮物料理については、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、全く酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料については、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激が強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。
(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の代表であり、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールについてもそれぞれの併用効果を検討したが、表10−1に示した結果と同じであった。
表10−2〜表10−5に示されるように、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の香気成分の代表であるリモネン、テルピネン、ムロロール、カダレンのそれぞれと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の香気成分の代表であるヘキサナールとを併用添加した白飯及び煮物料理においては、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料においては、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激がやや強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、より好ましいことが分かった。
(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の香気成分の代表であり、同様の構造を有するp−シメンと、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の代表であり、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールについてもそれぞれの併用効果を検討したが、表10−2〜表10−5に示した結果と同じであった。
また、ここでは、酢酸含有量に対して一定量の香気成分を添加したが、飲食品の酢酸含有量が高くなるほど本発明の作用効果が弱くなる傾向が認められた。このため、酢酸含有量に合わせて、本発明の作用効果が明確に奏されるように、適宜、香気成分の添加濃度を増加させれば良いことが分かった。
なお、白飯及び煮物料理の場合、酢酸含有量が0.1質量%以下であると、そもそも日持ち向上効果が弱く本発明の適用対象として相応しくないことが分かった。食酢飲料の場合、酢酸含有量が6質量%以上であると、各香気成分の添加量を増やしても、酸味酸臭が刺激として感じられ、本発明の作用効果が十分に奏されないことが分かった。
[実施例11]酢酸含有飲食品の酢酸濃度範囲の検証5
ここでは、表11に示すとおり、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オール、及び(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類から選ばれる香気成分のうち1種と、(C)炭素数5または6のフラン化合物から選ばれる1種の香気成分と、(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類から選ばれる1種の香気成分とを併用した場合における本発明の作用効果を検証した。試験及び検証の方法は実施例1、実施例7に準じた。
その結果を表11に示す。
表11−1、表11−2に示されるように、(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の香気成分の代表であるフルフラール、フルフリルアルコールのそれぞれ、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の香気成分の代表であるヘキサナールとを併用添加した白飯及び煮物料理においては、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、全く酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が著しく強く増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、さらに好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料においては、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激が著しく強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が著しく強く増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、さらに好ましいことが分かった。
(A)炭素数8の不飽和アルコール類の香気成分の代表である1−オクテン−3−オールと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の代表であり、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれ、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の代表であり、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの組み合わせについても併用効果を検討したが、表11−1、表11−2に示した結果と同じであった。
表11−3、表11−4に示されるように、(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の香気成分の代表であるリモネンと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の香気成分の代表であるフルフラール、フルフリルアルコールのそれぞれ、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の香気成分の代表であるヘキサナールとを併用添加した白飯及び煮物料理においては、白飯及び煮物料理の喫食時の酢酸含有量が0.015質量%以上0.2質量%未満の範囲において、全く酸味酸臭がせず、かつ、食材本来の風味が強く増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、さらに好ましいことが分かった。一方で、同様に、食酢飲料においては、食酢飲料の喫食時の酢酸含有量が0.2質量%以上5質量%以下の範囲において、酸味酸臭の刺激が強く緩和されており、かつ、食材(食酢飲料のりんご風味)本来の風味が強く増強されていた。従って、本発明の作用効果が奏されており、さらに好ましいことが分かった。
(B)モノテルペン類またはセスキテルペン類の香気成分の代表であり、同様の構造を有するテルピネン、p−シメン、ムロロール、カダレンのそれぞれと、(C)炭素数5または6のフラン化合物の代表であり、同様の構造を有する2−アセチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2−(5H)フラノンのそれぞれ、及び(D)炭素数6から9の脂肪族アルデヒド類の代表であり、同様の構造を有するヘプタナール、オクタナール、ノナナールのそれぞれの組み合わせについても併用効果を検討したが、表11−3、表11−4に示した結果と同じであった。
また、ここでは、酢酸含有量に対して一定量の香気成分を添加したが、飲食品の酢酸含有量が高くなるほど本発明の作用効果が弱くなる傾向が認められた。このため、酢酸含有量に合わせて、本発明の作用効果が明確に奏されるように、適宜、香気成分の添加濃度を増加させれば良いことが分かった。
なお、白飯及び煮物料理の場合、酢酸含有量が0.1質量%以下であると、そもそも日持ち向上効果が弱く、本発明の適用対象として相応しくないことが分かった。食酢飲料の場合、酢酸含有量が6質量%以上であると、各香気成分の添加量を増やしても、酸味酸臭が刺激として感じられ、本発明の作用効果が十分に奏されないことが分かった。
[実施例12]各香気成分を含有する食材の添加による本発明の作用効果の検証
実施例1〜11においては、本発明の前記(A)〜(D)に属する各香気成分を、純品として飲食品に添加し、酢酸含有飲食品におけるこれら各香気成分の本発明の作用効果を検証した。そこでここでは、これら各香気成分を元来含有する食品素材を、酢酸含有飲食品に添加した場合の本発明の作用効果を検証した。
前記(A)〜(D)に属する香気成分を含有する食材を次に示すように調製した。
市販の大豆粉を140℃、10分間の焙煎処理した後、常温に戻したもの(以下、焙煎大豆粉という)を調製した。
酢酸を有効成分の主体とする日持ち向上剤(「ライスキープF(ミツカン社製、酢酸含有量7.3質量%)」)に対し、前記焙煎大豆粉を5.5質量%、市販の100%梅果汁1.1質量%を配合して、香気成分含有日持ち向上剤を調製した。また、香気成分含有日持ち向上剤を、前記した〔各香気成分の測定方法・条件〕の方法に従い、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)にて香気成分を測定したところ、表12に示す香気成分が検出された(前記(A)〜(D)に示した各香気成分と、それらの検出量とについて、酢酸のピーク面積に対する各香気成分のピーク面積比を示した)。
次に、比較的低濃度の酢酸を含有する飲食品として、生米100gと水130mLとに対し、上記の香気成分含有日持ち向上剤を2.1g添加し、常法により炊飯し、白飯を調製した。なお、炊飯後における白飯の酢酸含有量は、0.073質量%であった。
前記調製した白飯の酸味酸臭に対する影響、及び素材の風味の変化を評価した。評価は実施例1と同様の方法で行った。また、前記調製した白飯を前記した〔各香気成分の測定方法・条件〕の方法に従い、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)にて香気成分を測定したところ、表13に示す香気成分が検出された(前記(A)〜(D)に示した各香気成分と、それらの検出量について、酢酸のピーク面積に対する各香気成分のピーク面積比を示した)。
また、比較的高濃度の酢酸を含有する飲食品として、りんご酢(ミツカン社製、酸度(酢酸含有量)5.0質量%)と市販のりんご果汁とを混合して、酢酸含有量2.5質量%の飲用酢を調製した。前記調製した飲用酢に、前記焙煎大豆粉を5.5質量%、市販の100%梅果汁1.1質量%を配合し香気成分含有飲用酢を調製した。香気成分含有飲用酢を前記した〔各香気成分の測定方法・条件〕の方法に従い、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)にて香気成分を測定したところ、表14に示す香気成分が検出された(前記(A)〜(D)に示した各香気成分と、それらの検出量について、酢酸のピーク面積に対する各香気成分のピーク面積比を示した)。また、香気成分含有飲用酢の酸臭酸味に対する影響、及び素材の風味の変化を評価した。評価の方法は実施例1と同様とした。
表15に示されるように、前記焙煎大豆粉及び100%梅果汁の添加により、白飯は全く酸味酸臭がせず、食材(炊飯米)本来の風味が著しく強く増強された。なお、このとき、前記焙煎大豆粉及び100%梅果汁の風味は付与されていなかった。
また、前記焙煎大豆粉及び100%梅果汁の添加により、食酢飲料の酸味酸臭の刺激を著しく強く緩和し、食材(飲用酢のりんご)本来の風味が著しく強く増強された。なお、このとき、前記焙煎大豆粉及び100%梅果汁の風味は付与されていなかった。
即ち、前記(A)〜(D)の香気成分を元来含有する食材の添加を介して、前記香気成分を酢酸含有飲食品に添加することによっても、その食材の風味を酢酸含有飲食品に付与せずに、本発明の作用効果(酸味酸臭の抑制及び飲食品本来の風味の増強)を十分に奏させることができることが実証された。
なお、ここでは、白飯と食酢飲料での検証結果を示したが、他の酢酸含有飲食品である比較的低濃度の酢酸を含有する飲食品として、塩飯、赤飯、おこわ、スパゲッティ、野菜サラダ、筑前煮、カボチャの煮物についても同様に検証試験を行った。その結果、上記の全ての低濃度酢酸含有飲食品について本発明の作用効果が奏されることを確認した。また、比較的高濃度の酢酸を含有する飲食品として、食酢、調味酢、調味液、マヨネーズ、ケチャップ、ウスターソース、ドレッシング、酢豚、イワシの南蛮漬けについても同様に検証試験を行った。その結果、上記の全ての高濃度酢酸含有飲食品で本発明の作用効果が奏されることを確認した。
以上のとおり、本発明によると、風味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭をともに抑制することができる酢酸含有飲食品を提供することができる。より具体的にいうと、酢酸を日持ち目的で含有する比較的低酢酸濃度の酢酸含有飲食品においては、酸味及び酸臭をともに抑制することができるとともに、飲食品本来の風味に違和感を与えることを防ぐことができる。また、酢酸を調味・調理目的で、あるいは摂取目的で含有する比較的高酢酸濃度の酢酸含有飲食品においては、刺激的な酸味及び酸臭をともに適度に抑制することができ、もって酢酸含有飲食品の摂取性を向上することができる。よって本発明は、食品産業の発展、及び、消費者による酢酸含有飲食品の摂食忌避・購買阻害の解消を通じて、食生活の改善に対して有効に貢献することができる。