JP5417405B2 - アンジオテンシン変換酵素阻害性降圧ペプチド組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
従って、このACEの酵素活性を抑制することにより血圧の上昇を抑制することが可能となる。このACE阻害活性物質として開発されたプロリン誘導体であるカプトプリル(D−2−メチル−3−メルカプトプロパノイル−L−プロリン)やエナラプリル等は高血圧症の治療に広く用いられている。
微生物あるいは種々の食品中にもACE阻害物質が見い出され、降圧剤としての実用化が検討されている(非特許文献1)。
そしてACE阻害活性を有するペプチドの製造法についても、幾つかの報告が為されている(特許文献9、10、11、12、13、14、15)。
しかし、上記の報告のペプチドの多くのものは、それの構成アミノ酸数が5以上のものである(特許文献1、2、3、4、5、8)。これらアミノ酸残基数の多いペプチドは摂取後にペプシン、トリプシン、キモトリプシン等の消化酵素により分解され易く、それらのACE阻害活性が生体中で消失したり、また、分解されない場合でもその分子構造が大きいために吸収され難いといわれている。
さらに、ACE阻害ペプチド組成物やその製法については、特許文献9では限外ろ過膜(分子量3000−10000)透過液から低分子成分の逆浸透膜により除去した画分の血圧降下作用を有するACE阻害ペプチド混合物を得ているが、塩、遊離アミノ酸の除去による阻害活性の上昇を目的としており、分画には至っておらず、逆浸透膜での具体的な成分ペプチドの追跡を明確にしていない。特許文献10ではいちじく由来の分子量10000以下の物質からカラムクロマトグラフィーにより分離精製、目的とするオリゴペプチドを得ることができるとしているが、合成で製造できること、その単離方法に終始しており、具体的に天然物から産業上有効な工業生産できるには至っておらず、限外ろ過膜10000の精製までしか示されていない。特許文献11ではゼインまたはグルテンミールのサーモライシン加水分解物であって、分子量が10000以下の画分の含有量が固形分基準で30%以上であるゲルろ過や限外ろ過により得る方法があるが、分子量10000透過液に含まれる分子量1000以下の含有量が95%であることの根拠が示されていない。特許文献12では畜肉タンパク質由来の血圧降下ペプチドであって、ミオシン、アクチンをアマノS等の酵素で加水分解したペプチド含有組成物を得ているが、精製については、ラボスケールに止まっており、単離ペプチドの合成が記載されている。その工業的大量生産は一般的な酵素調製方法を述べているに過ぎない。また、阻害ペプチドの精製に、樹脂を用いているが、構造決定をその目的としている。特許文献13ではタンパク質のACE阻害酵素分解物を平均細孔直径3nm以下の活性炭を用いて処理する方法が記載されており、ACE阻害活性を低下させることなく、苦みや臭いを除去することができたとしている。阻害活性の上昇を目的とはしていない。特許文献14では合成樹脂に接触させて非吸着画分に苦みペプチドを除去する方法を提案しており、非吸着画分に阻害活性が残存することと記載されている。一方、本発明では吸着画分に高ACE阻害活性が認められ、非吸着画分にはACE不阻害活性が示された。さらに限外ろ過の透過液により消化耐性に優れた低分子のACE阻害活性ペプチドを得ることができる製法に関する。
さらに、本発明は上記のジペプチドを一種以上含有してなるアンジオテンシン変換酵素阻害剤あるいは血圧降下剤あるいは飲食用組成物(飲食料)を提供する。
その結果、下記のアミノ酸配列をもち且つACE阻害活性を有する5種のジペプチドを、鰹節熱水抽出残渣である水不溶性タンパク質のプロチンNY100(天野エンザイム)による加水分解生成物から中に見出し、それらジペプチドを単離することに成功して本発明を完成するに至った。
また、本発明は上記ジペプチドを一種以上含有してなる飲食用組成物、アンジオテンシン変換酵素阻害剤および血圧降下剤を提供する。
前記のジペプチドの有機化学的合成法としては液相法、固相法の2種があり、いずれも常法、例えば泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦及び脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、丸善株式会社、1985、に従って行うことができる。液相法では、例えば、本ジペプチドのC末端に位置すべきアミノ酸であってそのカルボキシル基をベンジル基(Bzl )、t−ブチル基(t−Bu )等で保護したアミノ酸と、該C末端アミノ酸の隣に位置すべきアミノ酸であってそのα−アミノ基をt−ブチルオキシカルボニル基 ( Boc )、ベンジルオキシカルボニル基(Z)等で保護したアミノ酸をジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等に溶解し、それらをジシクロヘキシルカルボジイミド ( DCC )及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール( HOBT )の存在下通常室温で一夜反応させる。ついで生成物のアミノ保護基を常法によって除去した後のジペプチド誘導体を必要に応じ、アミノ基を保護した第3のアミノ酸と同様に反応させ、アミノ保護基を除去し、必要に応じ同じ手順を繰り返して本ジペプチド誘導体を得る。反応させるアミノ酸がヒドロキシル基、グアニジノ基またはイミダゾリル基を有する場合には、これらの基は一般に上記反応に先立って保護すべきである。アルコール性ヒドロキシル基の保護基はBzl、t−Bu等、フェノール性ヒドロキシル基の保護基はBzl等、グアニジノ基の保護基はトシル基 ( Tos)等、イミダゾリル基の保護基は Tos等を包含する。最終反応の終了後、すべての保護基を除去して本ジペプチドを得る。これらの保護基の導入及び除去は常法により行うことができる。
ACE阻害活性測定は次のように行った。すなわち、以上のようにして得た本トリペプチドのACE阻害活性は、Cheung and Cushmanの方法(Biochemical Pharamacology,20,1637(1971))の緩衝液をリン酸緩衝液からホウ酸緩衝液に変えた方法に準じて測定した。
すなわち、ラビットラングアセトンパウダー5gを0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.3 ) 50mlに溶かし、40000G 、40分の条件で遠心分離し、その上清液をさらにハイドロキシアパタイトで精製し、1unit/mgタンパク質のアンジオテンシン変換酵素液を得た。あるいは、ラビットラング由来精製ACE(Sigma社、0.25ユニット)を用いた。
阻害率を次の式より算出した。A:阻害剤を含まない場合の228nm吸収値 B:阻害剤添加の場合の228nm吸収値 また阻害率50%のときの本オトリペプチドの濃度をIC50値とした。阻害率=[1−(A−a)/(B−b) ] × 100
A:試料添加
a:試料添加、酵素のかわりに緩衝液添加
B:試料のかわりに蒸留水添加
b:試料のかわりに蒸留水添加、酵素のかわりに緩衝液添加
(a) ACE阻害活性を有するペプチド組成物の工業生産
鰹節タンパク質1000kgに水10000Lを加え、加熱処理(95℃、35分間)後、アミノ酸、水溶性タンパク質を除き、得られた熱水抽出残渣1153kg(タンパク質576kg)に水2884Lを加え、6N苛性ソーダでpH 7に調整後、プロチンNY100(天野エンザイム)酵素1.0wt%(酵素量:タンパク質当り)を添加して、攪拌を行いながら、50℃、17時間反応させた。反応後に苛性ソーダを加えてpHを6.8に調整し、98℃、15分間加熱して酵素を失活させた。その後、未分解タンパク質をバイブスクリーン、デラバル、遠心分離機により除去し、上清をセライトでろ過し、ろ液(タンパク質200kg)を得た。ACE阻害活性IC50値は、0.136mg/ml(タンパク質)であった。
以下に疎水性クロマトグラフィの実施条件を記す。
カラム負荷量:50kg
カラム:SP−207(1000L容量カラム;日本練水)
溶出液:0,50%濃度のエタノール溶液
流速:2000L/時間
サイクル:4サイクル
透過液のACE阻害活性に高い値が示されたことより、消化酵素耐性の可能性が推定された。非透過液のACE阻害活性(IC50)に1.6倍の強い値が示されたが、透過液の値には及ばなかった。
その結果、ろ液と樹脂脱着非透過液の最大分子量はともに5000であった。
目的とする樹脂脱着透過液の最大分子量は1500で、うち分子量1000以下の割合は79.75%であった。
酵素ろ過液の樹脂処理により、タンパク質40%の収率で、Trp−Leu100%の回収率であった。
さらに、限外ろ過膜処理により、タンパク質63%の収率、濃縮液側1/20倍の液量で、Trp−Leuのロス率は10%であった。よって、精製タンパク質収率は25.2%、Trp−Leuの回収率は90%であった。
鰹節のプロチンNY100酵素分解液のカラム吸着後アルコール脱着画分の限外ろ過膜透過液(鰹節ペプチド)中のジペプチドの単離を行った。
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID ×100mmL、1.7μm)
移動層:15%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID ×100mmL、1.7μm)
移動層:5%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクションに強いACE阻害活性が認められた。フラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、微量のペプチドが得られた。フラクションについて、さらに、移動相1.25%CH3CN in 0.1%TFAのリクロマトを行い、フラクションのアミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、フラクションのペプチドは、Val−Tyr、Trp−Asnジペプチドであることが判明した。
(a)ACE阻害活性を有するペプチド組成物の工業生産
鰹節タンパク質1000kgに水10000Lを加え、加熱処理(95℃、35分間)後、アミノ酸、水溶性タンパク質を除き、得られた熱水抽出残渣1774kg(タンパク質886kg)に水4436Lを加え、6N苛性ソーダでpH7に調整後、サモアーゼPC10F(大和化成)酵素1.0wt%(酵素量:タンパク質当り)を添加して、攪拌を行いながら、50℃、17時間反応させた。反応後に苛性ソーダを加えてpHを6.8に調整し、98℃、15分間加熱して酵素を失活させた。その後、未分解タンパク質をバイブスクリーン、デラバル、遠心分離機により除去し、上清をセライトでろ過し、ろ液(タンパク質200kg)を得た。ACE阻害活性IC50値は、0.204mg/ml(タンパク質)であった。
以下に疎水性クロマトグラフィの実施条件を記す。
カラム負荷量:50kg
カラム:SP−207(1000L容量カラム;日本練水)
溶出液:0,50%濃度のエタノール溶液
流速:2000L/時間
サイクル:4サイクル
透過液のACE阻害活性に高い値が示されたことより、消化酵素耐性の可能性が推定された。非透過液のACE阻害活性(IC50)に1.5倍の強い値が示されたが、透過液の値には及ばなかった。
その結果、ろ液と樹脂脱着非透過液の最大分子量はともに5000であった。
目的とする樹脂脱着透過液の最大分子量は1500で、うち分子量1000以下の割合は79.8%であった。
酵素ろ過液の樹脂処理により、タンパク質40%の収率で、Trp−Leu100%の回収率であった。
さらに、限外ろ過膜処理により、タンパク質65%の収率、濃縮液側1/20倍の液量で、Trp−Leuのロス率は10%であった。よって、精製タンパク質収率は26.0%、Trp−Leuの回収率は90%であった。
鰹節のサモアーゼPC10F(大和化成)酵素分解液のカラム吸着後アルコール脱着画分の限外ろ過膜透過液(鰹節ペプチド)中のジペプチドの単離を行った。
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID ×100mmL、1.7μm)
移動層:15%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID ×100mmL、1.7μm)
移動層:5%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
上記条件で、30秒毎に1フラクションずつ分取した。各フラクションから、減圧下蒸発乾固後、ACE阻害活性測定用試料とし、上記の方法に従い、ACE阻害活性を測定した。その結果、ペプチドのフラクションに強いACE阻害活性が認められた。フラクションはそれぞれ凍結乾燥を行い、微量のペプチドが得られた。フラクションについて、さらに、移動相1.25%CH3CN in 0.1%TFAのリクロマトを行い、フラクションのアミノ酸分析およびTOF MS解析を行い、フラクションのペプチドは、Val−Tyr、Trp−Asnジペプチドであることが判明した。
合成法によるペプチドの合成:
アプライドバイオシステムズ社のペプチド自動合成機(ABI 430モデル)を使用し、プログラムに従ってC端より逐次BOC法によりペプチド鎖を延長し目的の保護ペプチド樹脂の合成を行った。
樹脂上へのペプチドの構築が終了した後、保護ペプチド樹脂を乾燥した。得られた保護ペプチドの脱保護基とペプチドの樹脂担体からの切り離しは無水フッ化水素処理(HF/p−Creso18:2 v/v,60分)によって行った。得られた粗ペプチドは90%酢酸によって抽出し、凍結乾燥により粉末固体として得た。さらに得られた粗ペプチドをODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフに負荷し精製を行い、目的のペプチドを得た。
カラム:YMC−Pack ODS−A(30mmID × 250mmL、ワイエムシィ)
移動層:Buffer A:5%CH3CN、0.1%TFA
Bufer B :40%CH3CN、0.1%TFA
勾配:0〜10min:0% Buffer B
10〜90min:0〜100 % Buffer B
流速:20ml/min
検出:UV220nm
カラム:Zorbax 300SB−C18(4.6mmID × 150mmL、
Agilent Technologies)
移動層:Buffer A:1%CH3CN、0.1%TFA
Buffer B:60%CH3CN、0.1%TFA
勾配: 0〜25min:0〜100%Buffer B
流速:1ml/min
検出:UV220nm
出発アミノ酸樹脂担体はBoc−Leu (BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc−Trp2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Trp−Leu精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、94.06%であった。
出発アミノ酸樹脂担体はBoc−Trp(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc−Leu2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Leu−Trpを精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、88.84%であった。
出発アミノ酸樹脂担体はBoc−Ile(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc−Trp2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Trp−Ileの精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、95.00%であった。
出発アミノ酸樹脂担体はBoc−Tyr(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc−Val2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Val−Tyrの精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、95.00%であった。
出発アミノ酸樹脂担体はBoc−Asn(BrZ)樹脂(0.5mmol)を使用し、アミノ酸誘導体Boc−Trp2mMを用いてペプチド鎖を伸長した。上記の方法で精製を行い、Trp−Asnの精製物を得た。上記の方法で精製物の純度を測定した結果、95.00%であった。
実施例1で得たジペプチド合成品を用いて、下記の組成のだし飲料を製造した。
(a)素材および配合量:
鰹節熱水抽出液(めんつゆ)500mlと、実施例1で得られ、単離した5種類のジペプチドの混合品(Trp−Leuのジペプチド43mg、Leu−Trpのジペプチドの30mg、Trp−Ileのジペプチド16mg、Val−Tyrのジペプチド36mg、Trp−Asnのジペプチド40mg)。
鰹節の熱水抽出(95℃、35分開)後、セライト濾過を行い、そのろ液を常温に冷却した。得られた冷却後の、抽出液に、上記5種のジペプチドの混合物を加えて攪拌、溶解させた。これによりだし飲料を製造した。
(a) 鰹節タンパク質熱水抽出残渣をプロチンNY100酵素で分解した反応混合物からのジペプチドの定量
鰹節タンパク質160gに水2000mlを加え、熱水抽出(95℃、35分間)を行った。得られた残渣(不溶性タンパク質)に10倍量加水後、pH7に調整、プロチンNY100(天野エンザイム)酵素分解後、pH6.8に調整し、加熱(98℃、15分間)後、バイブスクリーン、デカンタ、デラバル、シャープレス処理、セライトろ過を行い、減圧濃縮、スプレードライを行った。
Trp−Leu、Leu−Trp、Trp−Ile、Val−Tyr、Trp−Asnの定量を次のように行った。すなわち、粉末品あるいは、その加工品から、本ジペプチドの定量を、以下のように実施した。
鰹節抽出残渣酵素分解物、およびその加工食品を、それぞれ、25mg、加工食品5g秤量し、Sep−Pak C18カートリッジに負荷し、水溶性画分を除去後、吸着画分を50%エタノール溶液で溶出した液を試料とする。
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID×100mmL、1.7μm)
移動層:15%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
合成品のTrp−Leu、Leu−Trp、Trp−Ileを標品として1μg/μl負荷した。Trp−Leu、Leu−Trp、Trp−Ileの溶出時間は、それぞれ、28.61,20.65,20.32分であった。
カラム:Acquity UPLC BEH C18
(2.1mmID×100mmL、1.7μm)
移動層:5%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
Val−Tyr、Trp−Asnの溶出時間は、9.56分であった。さらに下記の条件でリクロマトを行った。
(2.1mmID×100mmL、1.7μm)
移動層:1.25%CH3CN in 0.1%TFA
流速:0.2ml/min
温度:40℃
検出:UV 200−300nm
Val−Tyr、Trp−Asnの溶出時時間は、それぞれ、35.60分、28.92分であった。
鰹節ペプチドから単離したジペプチドと標品のピーク面積から定量値を算出した。
ACE阻害ペプチドのプラント製造:
鰹節タンパク質21.9kgを95℃、35分間熱水抽出して、可溶性タンパク質5.5kgを出汁(めんつゆ)に使用する。副産物として得た鰹節熱水抽出残渣としての水不溶性タンパク質16.4kgを原料として用い、これをプロチンNY100(天野エンザイム)酵素により分解した。酵素分解反応混合物を、スクリーン(100メッシュ)、デラバル(3層連続排出遠心分離機)、シャープレス(超遠心分離機15000回転/分)、セライトろ過(ハイフロスーパーセライト:Hyflo Super Celite 0.4%)後、ろ過液を得た。このろ過液をスプレードライ(噴霧乾燥機、入口温度150〜200℃、出口温度90℃以下)することにより、粉末品(10kg)を得ることが出来た。また、この粉末品について、アンジオテンシン変換酵素阻害活性のIC50は136.25μg/mlであった。
ここで用いた疎水性吸着樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂を用いたが、逆相分配系樹脂は、オクタデシルシリカ(株式会社ワイエムシー)他、何れの逆相分配系樹脂、疎水性吸着樹脂も使用できる。また、溶出にエタノールを用いたがこれにかぎるものではない。
更に、上記で得られた50%エタノール溶出画分を限外ろ過膜(GE社製モジュール2.4インチ×40インチ×2本、ろ過面積5m2;分子量1000膜;型番2540F1072)に通液し、透過液を減圧濃縮(固形量40%)、スプレードライ(噴霧乾燥機)して、鰹節ペプチドを得た。
鰹節ペプチドの動物実験静脈注射試験
ラット雄(SHR/Izm)をウレタン・α−クロラロース (1g/kg、50mg/kg) 混合液の腹腔内投与により麻酔し、背位に固定する。血圧は、右大腿動脈に挿入したカニューレに接続した圧トランスデューサー (P23XL、Spectramed社) および血圧アンプ (2238、日本電気三栄株式会社) を介して記録する。心拍数は血圧脈波より瞬時型計数ユニット (1321、日本電気三栄株式会社) を駆動させることにより測定する。これらのパラメータはペン書き記録計 (RECTI−HORIZ−8K、日本電気三栄株式会社) に記録する。日本薬局方生理食塩液(大塚製薬工場株式会社)を左大腿静脈より持続注入し、試験物質はその部位よりマイクロシリンジを用いて投与する。試験物質は、実施例7で得られた鰹節ペプチドを用いた。
動物 :SHR/Izm
例数 :32匹
測定項目 :血圧 (収縮期血圧) および心拍数
測定時間 :投与前、投与後2、4、6、8および24時間に測定する。
測定方法:テイルカフ法 (ラット・マウス用血圧計、MK−2000、室町機械株式会社) により、非観血的に測定する。毎回5回の計測を行い、血圧はそのうちの最低および最高値を除いた3回の平均値を採用する。心拍数は採用された血圧測定時の心拍数の平均値を採用する。
測定時、ラットが暴れるなどして異常値が測定された場合はその測定データは測定回数に含めず、追加測定する。
本発明の製造方法に対する比較例を記載した。
酵素は、プロチンNY100(天野エンザイム)を用い、実施例1の製造方法により得られた酵素分解物と、さらに本発明の疎水性樹脂吸着画分の限外ろ過膜(分子量1000)透過画分(鰹節ペプチド)のSHRに対する単回投与試験結果を表19に示した。
上記の結果から、in vitro試験であるACE阻害活性値からは、本発明の製法で得られた鰹節ペプチドの値は、酵素分解物の約4倍の強さを有している。さらに、in vivo試験であるSHRの単回投与試験結果からは、本発明品(鰹節ペプチド)は酵素分解物に対して500倍の力価が認められた。本発明の製法により得られた鰹節ペプチドの降圧作用に必要な投与量は、酵素分解物のACE阻害活性値からのみ換算しても約100mg(500mg/kg/4≒100mg/kg)であるが、実際に効果が認めれらる量はその約100分の1(1mg/kg)の値であったことより、本発明の製法は、降圧ペプチドを得るためには有効な精製法であると推定した。
Claims (5)
- 鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、宗田鰹節、鰯、鰯節、鯵、鯵節、鯖、鯖節、煮干またはその他雑節の魚肉性タンパク質の熱水抽出後に残留する水不溶性タンパク質を酵素プロチンNY−100を用いて加水分解し、得られた加水分解物を、疎水性樹脂及びその後の分子量1000の限外濾過に負荷することにより得られる、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するジペプチドを含有する組成物であって、前記組成物中、
Trp−Leuのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.043質量%、
Leu−Trpのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.030質量%、
Trp−Ileのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.016質量%、
Val−Tyrのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.036質量%及び
Trp−Asnのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.040質量%及び/又は
それらの酸付加塩
を含有する組成物。 - 請求項1に記載の組成物を含有する加工食品又は特定保健用食品。
- Trp−Leuのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.043質量%、Leu−Trpのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.030質量%、Trp−Ileのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.016質量%、Val−Tyrのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.036質量%及びTrp−Asnのアミノ酸配列から成るジペプチドを少なくとも0.040質量%及び/又はそれらの酸付加塩を含有する組成物の製造方法であって、
1)鰹、鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹、宗田鰹節、鰯、鰯節、鯵、鯵節、鯖、鯖節、煮干またはその他雑節の魚肉性タンパク質を熱水で抽出し、
2)その熱水抽出後に残留する水不溶性タンパク質を粉砕し、得られた粉砕物を水分に分散して該水不溶性タンパク質の水分散液を作り、該水分散液中で、分散された水不溶性タンパク質の粒子に、プロチンNY−100をpH5.0〜9.0の至適条件下に40〜60℃の温度で反応させ、これにより該水不溶性タンパク質の酵素的加水分解を行い、その後、酵素反応を停止させ、そして得られた含水の加水分解反応混合物から水不溶性の粒子を除去し、これにより、疎水性・親水性高分子・低分子プチドおよび水溶性アミノ酸を含む水溶液を収得し、
3)該水溶液から疎水性樹脂カラム法により得られた吸着画分をさらに分子量1000の限外ろ過に負荷し透過画分の組成物を分離し、さらにその後、前記透過画分の組成物をスプレードライすることから成る、製造方法。 - 経口単回投与実験で1単位中0.0001mg〜1mg/kgの投与量で請求項1に記載の組成物を含むアンジオテンシン変換酵素阻害剤と血圧降下剤。
- 請求項1に記載される組成物を配合してあることを特徴とする、飲食料。
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