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JP3726106B2 - アンジオテンシン変換酵素阻害剤及び血圧降下剤 - Google Patents

アンジオテンシン変換酵素阻害剤及び血圧降下剤 Download PDF

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JP3726106B2
JP3726106B2 JP2001007941A JP2001007941A JP3726106B2 JP 3726106 B2 JP3726106 B2 JP 3726106B2 JP 2001007941 A JP2001007941 A JP 2001007941A JP 2001007941 A JP2001007941 A JP 2001007941A JP 3726106 B2 JP3726106 B2 JP 3726106B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はトウモロコシタンパク質由来の新規オリゴペプチド及びトウモロコシタンパク質由来の特定オリゴペプチドを有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤及び血圧降下剤に関する。本剤は高血圧症の治療または予防に有用であると期待される。
【0002】
【従来の技術】
高血圧症の発症にはレニン−アンジオテンシン系が深いかかわりを有していることがよく知られているが、このレニン−アンジオテンシン系にはアンジオテンシン変換酵素(EC3.4.15.1,以下ACE とも言う) が重要な役割を果たしている。この場合ACEは、肝で分泌されるアンジオテンシノーゲンが腎で産生される酵素レニンにより分解されたアンジオテンシンI(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-His-Leu) に対して作用し、このものをアンジオテンシンII(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)に変換させる。そして、このアンジオテンシンIIは血管壁平滑筋を収縮させて血圧を高め、さらに副腎皮質に作用してアルドステロンの分泌を促進させるなどの作用を有する。また、血漿に存在する酵素カリクレインはキニノーゲンと呼ばれる蛋白質を分解し、血管を拡張させ降圧させるブラジキニンを産生するが、このブラジキニンはACE の作用により分解され、不活性化されてしまう。このように、ACE は一方で昇圧性ペプチド( アンジオテンシンII) を生じさせるとともに、他方で降圧性ペプチド( ブラジキニン) を分解し、結果として、血圧を上昇の方向に進める。したがってこの酵素活性を抑制することによって血圧上昇を防ぐこと( 降圧) が可能である。
【0003】
ACEの活性阻害物質としては蛇毒より得られた数種のペプチド性阻害剤を初めとして、カプトプリル(D-2- メチル-3- メルカプトプロパノイルーL-プロリン) などの合成物質が多数知られており、このうちカプトプリルは経口降圧剤として既に実用に供されている。
【0004】
また、近年、微生物あるいは種々の食品中にもACE阻害物質が見い出され、降圧剤としての実用化が検討されている(末網邦男、発酵と工業46(No.3)、179〜 182 (1988))。さらに食品タンパク質、特にカゼイン、トウモロコシ種子タンパク質由来のACE阻害物質について丸山進、バイオサイエンスとインダストリー47 (No.11)、38-42(1989) 及び丸山進、化学と生物22 (No.8),485-487(1984)に報告がなされている。またトウモロコシ種子タンパク質由来のACE阻害物質については丸山進ら、昭和63年度日本醗酵工学会大会講演要旨集23頁(1988)、丸山進ら、平成1年度日本農芸化学会講演要旨集8頁(1989)、三吉新介ら、平成1年度日本栄養食糧学会要旨集 113頁(1989)及び三吉新介ら、日本農芸化学会誌64(3) 、1990年度大会講演要旨集555 頁にも報告がなされている。
また、トウモロコシ種子タンパク質由来のACE阻害物質、血圧降下剤について本出願人による以下の出願がある:特願昭63-185467 、63-185468 、特願平1-59549 、1-59550 。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
新規有用な血圧降下剤ひいてはアンジオテンシン変換酵素阻害剤は常に求められており、技術の豊富化をもたらすものである。
【0006】
本発明は優れたアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する新規オリゴペプチド、及びかかるオリゴペプチドを有効成分とする安全性が極めて高いアンジオテンシン変換酵素阻害剤及び血圧降下剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題はトウモロコシタンパク質の1種であるα−ゼインに由来する新規オリゴペプチド、及びα−ゼインに由来する特定オリゴペプチドを有効成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤に係る以下の発明によって達成された。
【0008】
1. L-Leu-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Gln-L-Pro 、L-Val-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Asn-L-Pro 、L-Phe-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Ala-L-Ala 、L-Val-L-Ala-L-Ala 、L-Leu-L-Gln-L-Gln 、L-Val-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ser-L-His 及びその酸付加塩、L-Ile-L-Arg-L-Ala 及びその酸付加塩、L-Leu-L-Arg-L-Pro 及びその酸付加塩、及びL-Ile-L-Arg-L-Ala-L-Gln-L-Gln 及びその酸付加塩。
【0009】
2. L-Tyr-L-Val 、L-Leu-L-Tyr 、L-Leu-L-Phe 、L-Phe-L-Tyr 、L-Tyr-L-Argまたはその薬理上許容される酸付加塩、L-Leu-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Gln-L-Pro 、L-Val-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Asn-L-Pro 、L-Phe-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Ala-L-Ala 、L-Val-L-Ala-L-Ala 、L-Leu-L-Gln-L-Gln、L-Val-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ser-L-His またはその薬理上許容される酸付加塩、L-Ile-L-Arg-L-Ala またはその薬理上許容される酸付加塩、L-Leu-L-Arg-L-Pro またはその薬理上許容される酸付加塩、及びL-Ile-L-Arg-L-Ala-L-Gln-L-Gln またはその薬理上許容される酸付加塩からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
【0010】
3.L-Tyr-L-Val 、L-Leu-L-Tyr 、L-Leu-L-Phe 、L-Phe-L-Tyr 、L-Tyr-L-Argまたはその薬理上許容される酸付加塩、L-Leu-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Gln-L-Pro 、L-Val-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Asn-L-Pro 、L-Phe-L-Leu-L-Pro 、L-Leu-L-Ala-L-Ala 、L-Val-L-Ala-L-Ala 、L-Leu-L-Gln-L-Gln、L-Val-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ser-L-His またはその薬理上許容される酸付加塩、L-Ile-L-Arg-L-Ala またはその薬理上許容される酸付加塩、L-Leu-L-Arg-L-Pro またはその薬理上許容される酸付加塩、及びL-Ile-L-Arg-L-Ala-L-Gln-L-Gln またはその薬理上許容される酸付加塩からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有する血圧降下剤
【0011】
上記で酸付加塩は、製薬上許容される酸(無機酸及び有機酸)付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等を包含する。
【0012】
本発明で用いるオリゴペプチドはトウモロコシタンパク質の酵素加水分解法、有機化学的な合成方法によりアミノ酸を段階的に導入する方法、加水分解酵素の逆反応を利用したペプチド合成法、遺伝子工学的方法等によって製造することができる。
【0013】
トウモロコシタンパク質の酵素加水分解法について説明する。原料トウモロコシタンパク質としてはグルテンミールを用いてもよいが、それをさらに精製したα−ゼインを用いる場合について説明する。α−ゼインは市販のものを使用してもよく、またグルテンミールから分離したゼインから公知の手法により分離したものでよい。
【0014】
酵素としてはエンド型プロテアーゼ、例えばパパイン、サーモライシン等を用いることができ、特にサーモライシンが好ましい。サーモライシンは高純度のものでも、工業用グレードのもの(例えばサモアーゼ(大和化成)) でもよい。
【0015】
以下α−ゼインのサーモライシン処理について説明する。この処理は通常単に水中または緩衝液(例えばトリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液)中で行う。基質濃度は反応時に攪拌混合ができる範囲内であればいずれでもよいが、攪拌が容易なタンパク質濃度2〜20%(w/v) の範囲で行うのが好ましい。酵素サーモランシンの添加量は力価により異なるが通常はタンパク質あたり0.01重量%以上、好ましくは0.1 〜10重量%が適当である。サーモライシンは一部を反応中に添加してもよい。反応のpH、温度はサーモライシンの至適pH至適温度付近を用いればよく、pH6〜10好ましくは7〜8、温度30〜80℃好ましくは60〜70℃が適当である。反応中のpHの調整は必要に応じ水酸化ナトリウム水溶液、塩酸等により行う。
【0016】
反応時間は酵素の添加量、反応温度、反応pHによって異なるため一定ではないが、通常は1〜50時間程度である。
【0017】
加水分解反応の停止は、加水分解物の加熱あるいはクエン酸、リンゴ酸等の有機酸または塩酸、リン酸等の無機酸または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの添加によるpHの変化などによる酵素の失活、限外濾過膜等による酵素の濾別など公知の方法に従って行うことができる。ついで加水分解液を固液分離( 例えば遠心分離、濾過等) し、分離液を限外濾過、ゲル濾過等により分別して例えば分子量が 10000以下の画分を含有する液を得る。この液中には本発明の目的オリゴペプチドが含有されており、以下この液またはその濃縮物( 例えば凍結乾燥物) をさらに分別して個々の目的オリゴペプチドを得る。
【0018】
上記凍結乾燥物をここではα−ゼイン加水分解凍結乾燥物と称し、これを用いる場合につきさらに説明する。
【0019】
α−ゼイン加水分解凍結乾燥物は、一法として、最初に陰イオン交換樹脂、例えば弱塩基性陰イオン交換樹脂(例えばDEAE−トヨパール(Toyopearl) 650M 、( 東ソー(株) 製) 処理に付すか、または陽イオン交換樹脂、例えば弱酸性陽イオン交換樹脂( 例えばSP−トヨパール650M (東ソー(株)製 ) 処理に付す。
【0020】
最初に陰イオン交換樹脂を通す分別法では樹脂中に保持された各オリゴペプチドを直線濃度勾配溶出( 例えばDEAE−トヨパール650Mを使用の場合、適当濃度の、トリスバッファー→トリスバッファー中NaClによる溶出) によって分別する。溶出液をいくつかに分画し、それぞれをゲル濾過( 例えばセファデックスLH-20 使用) 、陽イオン交換樹脂処理( 例えばSP- トヨパール650M) 、逆相HPLC〔例えばカプセルパック(CAPCELL PAK) C18 (資生堂)(オクタデシルシランの商品名)、センシュウパック(Senshu PAK)1251-Y(センシュー科学)( オクタデシルシランの商品名) 等〕等に付して単一のオリゴペプチドに分別する。
【0021】
また、有機化学的合成法としては液相法、固相法の2種があり、いずれも常法、例えば泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦及び脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、丸善株式会社、1985、に従って行うことができる。液相法では、例えば、本オリゴペプチドのC末端に位置すべきアミノ酸であってそのカルボキシル基をベンジル基( Bzl )、t-ブチル基( t-Bu )等で保護したアミノ酸と、該C末端アミノ酸の隣に位置すべきアミノ酸であってそのα−アミノ基をt-ブチルオキシカルボニル基 ( Boc )、ベンジルオキシカルボニル基(Z)等で保護したアミノ酸をジメチルホルムアミド( DMF )、ジメチルアセトアミド等に溶解し、それらをジシクロヘキシルカルボジイミド ( DCC )及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール( HOBT )の存在下通常室温で一夜反応させる。ついで生成物のアミノ保護基を常法によって除去した後のジペプチド誘導体を必要に応じ、アミノ基を保護した第3のアミノ酸と同様に反応させ、アミノ保護基を除去し、必要に応じ同じ手順を繰り返して本オリゴペプチド誘導体を得る。反応させるアミノ酸がヒドロキシル基、グアニジノ基またはイミダゾリル基を有する場合には、これらの基は一般に上記反応に先立って保護すべきである。アルコール性ヒドロキシル基の保護基はBzl 、t-Bu等、フェノール性ヒドロキシル基の保護基は Bzl等、グアニジノ基の保護基はトシル基 ( Tos )等、イミダゾリル基の保護基は Tos等を包含する。最終反応の終了後、すべての保護基を除去して本オリゴペプチドを得る。これらの保護基の導入及び除去は常法により行うことができる。
【0022】
他方、固相法に関してはペプチドシンセサイザーを用いる方法が近年広く用いられており、例えばアプライドバイオシステムズ社製の430A型ペプチドシンセサイザーを用いて本オリゴペプチドを製造することができる。すなわち、基本的には、本オリゴペプチドのC末端に位置するアミノ酸が結合したフェニルアセトアミドメチル( PAM )樹脂 L-Xaa-O-CH2-PAM( Xaa はアミノ酸残基) ( アプライドバイオシステムズ社から入手し得る) のN側から、Boc でアミノ基を保護したα−アミノ酸( Boc- アミノ酸) をペプチド結合と Bocの除去の繰り返しによって段階的に延長する。Boc-L-Arg( Mts )( Mts はメシチレン-2- スルホニル)及び Boc-L-Glnは中間体としてその1-ヒドロキシベンゾトリアゾール( HOBT )エステルを経由する延長反応に付し、他の Boc- アミノ酸は DCCの使用によるその対称的無水物を中間体として経由する延長反応に付す。上記 Boc- アミノ酸またはL-Xaa-O-CH2-PAM において、反応に関与すべきでない反応性官能基がある場合には一般に適当な保護基によって保護すべきである。本発明に関し、保護されたBoc-アミノ酸及びL-Xaa-O-CH2-PAM としてBoc-L-Arg( Mts )、Boc-L-Ser( Bzl )、Boc-L-Tyr( Br-Z )( Br-Z は4-ブロモベンジルオキシカルボニル) 、L-Tyr(Br-Z )-O-CH2-PAM L-His( DNP )-O-CH2-PAM ( DNPは2,4-ジニトロフェニル) 及びL-Arg( Mts )-O-CH2-PAMが挙げられる。これらはいずれもアプライドバイオシステムズ社から入手し得る。430A型ペプチドシンセサイザーを用いる合成系においてはアミノ酸原料に加え以下の試薬及び溶媒を用いる:N,N-ジイソプロピルエチルアミン( TFA 中和剤 )、TFA ( Boc 切断 )、MeOH (生成尿素系化合物の溶解及び除去) 、HOBT ( 0.5M HOBT/DMF )、DCC( 0.5M DCC/ジクロロメタン( DCM) 、DCM 及び DMF (溶媒) 、中和剤( 70% エタノールアミン、29.5% メタノール) ( 廃液の中和) 。アミノ酸原料及びこれらの試薬及び溶媒は所定の場所に装填する。これらの使用はペプチドシンセサイザーが自動的に行う。反応温度及び時間の調整も自動的に行われるが、反応温度は通常室温である。上記手順によってオリゴペプチド中の反応性基が保護されたオリゴペプチド-O-CH2-PAMが得られる。上記固相ペプチド合成の実際の操作はアプライドバイオシステムズ社による
430A型ペプチドシンセサイザーユーザーズマニュアルによって行う。
【0023】
得られた、反応性官能基が保護されたオリゴペプチド-O-CH2-PAMを常法、例えば前記「ペプチド合成の基礎と実験」または430A型ペプチドシンセサイザーユーザーズマニュアルに記載された方法、例えば、保護基の切断によって生成するカチオンを捕獲するスカベンジャーとしてチオアニソール及び/またはエタンジチオールの存在下 TFAと共のトリフルオロメタンスルホン酸( TFMSA )( TFAはTFMSA の希釈剤) によって処理して、樹脂及び保護基を切断し、それによって目的とするオリゴペプチドを得る。上記 TFMSA方法において、保護されたオリゴペプチド-0-CH2-PAMが L-His( DNP ) 残基を有する場合には、チオフェノールによる DNPの除去後上記処理に付す。
【0024】
本オリゴペプチドの酸付加塩は常法により製造することができる。例えば本オリゴペプチド(塩基性アミノ酸残基を含むもの)とそれに対し1当量の適当な酸とを水中で反応させて凍結乾燥することにより得ることができる。
【0025】
本オリゴペプチド及びその酸付加塩はACE阻害作用ひいては血圧降下作用を有し、ヒトをはじめとする哺乳動物の高血圧症の治療、予防に有効であると期待される。
【0026】
本オリゴペプチド及びその酸付加塩はそのまま、または通常少なくとも1つの製薬補助剤と製薬組成物にして使用する。
【0027】
本オリゴペプチド及びその酸付加塩は非経口的(すなわち、静脈注射、直腸投与等)または経口的に投与し、各投与方法に適した形態に製剤することができる。
【0028】
注射剤としての製剤形態は、通常滅菌水水溶液を包含する。上記形態の製剤はまた緩衝剤pH調節剤( リン酸水素ナトリウム、クエン酸等) 、等張化剤( 塩化ナトリウム、グルコース等) 、保存剤( パラオキシ安息香酸メチル、P-ヒドロキシ安息香酸プロピル等)等の水以外の他の製薬補助剤を含有することができる。該製剤は細菌保持フィルターを通す濾過、組成物への殺菌剤の混入、組成物の照射や加熱によって滅菌することができる。該製剤はまた殺菌固体組成物として製造し、用時滅菌水等に溶解して使用することもできる。
【0029】
経口投与剤は胃腸器官による吸収に適した形に製剤する。錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、粉末剤は常用の製薬補助剤、例えば結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等)、賦形剤(ラクトース、シュガー、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(ポテトスターチ、カルボキシメチルセルロース等)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)を包含することができる。錠剤は常法によりコーティングすることができる。経口液剤は水溶液等にしたり、ドライプロダクトにすることができる。そのような経口液剤は常用の添加剤例えば保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、ソルビン酸等)を包含していてもよい。
【0030】
本ACE阻害剤ひいては血圧降下剤中の本オリゴペプチドまたはその酸付加塩の量は種々かえることができるが、通常5〜100%(w/w) 、特に10〜60%(w/w)が適当である。本ACE阻害剤ひいては血圧降下剤の投与量はヒトに対して投与する場合有効成分として10〜200mg/kg/dayが適当である。なお、本ペプチドの急性毒性はいずれもLD50(ICR系マウス、経口投与) > 3g/kgである。
【0031】
また、本オリゴペプチドは多量に摂取しても生体に悪影響を与えない利点を有することから、そのまま、または種々の栄養分等を加えて、もしくは飲食品中に含有せしめて血圧降下作用、高血圧予防の機能をもたせた機能性食品、健康食品として食してもよい。すなわち、例えば各種ビタミン類、ミネラル類等の栄養分を加えて、例えば栄養ドリンク、豆乳、スープ等の液状の食品や各種形状の固形食品、さらには粉末状としてそのままあるいは各種食品へ添加して用いることもできる。かかる機能性食品、健康食品としての本ACE阻害剤ひいては血圧降下剤中の有効成分の含有量、摂取量はそれぞれ上記製薬における含有量、投与量と同様でよい。
【0032】
【実施例】
次に本発明を実施例により説明する。
実施例1
(1) α−ゼイン加水分解凍結乾燥物の調製
α−ゼイン(和光純薬)100gを蒸留水2000mlに加え、サーモライシン( 大和化成) 1gを加え、攪拌下、室温から65℃に1時間かけて昇温し、65℃で17時間反応させた。この反応中 5NNaOH を適宜滴下してpHを8.0 に保った。ついでサーモライシンをさらに1g追加し、 65 ℃で24時間、pHを8.0 に保って反応させた。酵素を失活させるためオートクレーブ中 105℃で5分保持した。
得られた加水分解液を5000rpm で10分遠心分離し、上清をアミコン(Amicon)
PM-10 (限外濾過膜、分画分子量10000 、アミコン社) を用いる限外濾過に付し、濾液を凍結乾燥してα−ゼイン加水分解凍結乾燥物97.3g を得た。
【0033】
(2) 上記で得られたα−ゼイン加水分解凍結乾燥物2gを2l の蒸留水に溶解し、陰イオン交換樹脂、DEAE−トヨパール650Mのカラム(2.6 ×70cm) に添加し、1500mlの5mM トリス緩衝液(pH8.3) を流し、非吸着画分を回収し、A液とした。その後1000mlの5mM トリス緩衝液(pH8.3) と1000mlの0.3M NaCl を含む5mM トリス緩衝液(pH8.3) による直線濃度勾配により溶出した。
直線濃度勾配による溶出を開始してから320 〜520ml の溶出画分をB液、620〜700ml の溶出画分をC液とした。
【0034】
(3) A画分の処理
A液は、凍結乾燥後、ファルマシア社製ゲル濾過樹脂セファテックスLH−20カラム(1.6×100cm)に添加し、30%メタノールで溶出して脱塩した。脱塩後のA液をさらに陽イオン交換樹脂SP−トヨパール650Mのカラム(2.6×70cm) に添加し、500 mlの5mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0) を流した後、1000mlの5mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0) と0.6M NaCl を含む1000mlの5mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0) による直線濃度勾配により溶出した。濃度勾配による溶出を開始してから340 〜600 mlの溶出画分をA1液、 950〜1050mlの溶出画分をA2液とした。
【0035】
A1液をさらに日本ミリポアリミテッド社製の(以下同様)セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %トリフルオロ酢酸( 以下TFA と略す) 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で 4.0〜 6.3分の溶出画分をA1−1、6.3 〜7.7 分の溶出画分をA1−2、9.1 〜9.3 分の溶出画分をA1−3とした。
【0036】
A1−1 をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、0 から20%のアセトニトリルグラジエント(所用時間20分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で14.3〜14.5分の溶出画分をA1−1−1とした。
A1−2をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、0 から20%のアセトニトリルグラジエント(所用時間20分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で14.9〜15.1分の溶出画分をA1−2−1、16.9〜17.1分の溶出画分をA1−2−2とした。
【0037】
A2液をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、0 から20%のアセトニトリルグラジエント(所用時間20分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で14.9〜15.1分の溶出画分をA2−1とした。
【0038】
(4) B画分の処理
前記B液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で6.8 〜7.8 分の溶出画分をB1、7.8 〜8.3 分の溶出画分をB2、8.3 〜9.1 の溶出画分をB3、14.2〜14.4分の溶出画分をB4とした。
【0039】
B1をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10%のアセトニトル
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で6.9 〜7.1 分の溶出画分をB1−1とした。
【0040】
B2をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10%のアセトニトル
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で11.2〜11.4分の溶出画分をB2−1とした。
【0041】
B3をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10%のアセトニトル
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で15.0〜16.0分の溶出画分をB3−1とした。
【0042】
(5) C画分の処理
前記C液は凍結乾燥後、ゲル濾過樹脂セファデックスLH−20カラム(1.6×100cm)に添加し、30%メタノールで溶出して脱塩した。脱塩後のC液をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で17.6〜17.8分の溶出画分をC1とした。
【0043】
(6) ペプチドの同定
前記A1−1−1、A1−2−1、A1−3、A2−1、B1−1、B2−1、B3−1、B4及びC1の溶出画分は各前記高速液クロによってそれぞれ単一ピークを示した。
次にこれらの溶出画分は乾固した後蒸留水に溶解し、これらの水溶液を用いて以下の構造解析を行った。
表1に6規定塩酸による 110℃24時間の加水分解後のアミノ酸分析値(日立L-8500形アミノ酸分析計による) 、質量分析値( 日本電子JMX-DX 303による) 、アミノ酸配列分析データ( 島津プロテインシーケンサーPSQ-1 システムによる) を示す。
【0044】
実施例2
(1) 実施例1(1) と同様にして調製したα−ゼイン加水分解凍結乾燥物2gを0.02M 酢酸水溶液に溶解し、 500ml、pH4.0 に調整したものを陽イオン交換樹脂SP−トヨパール650Mのカラム(2.6×76cm) に添加し、1500mlの0.02M 酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0) を流し、非吸着画分を除去した。その後 1000 mlの0.02M 酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0) と1000mlの0.05M 酢酸アンモニウム緩衝液(pH8.6) とによる直線濃度勾配で溶出し、さらに0.05M 酢酸アンモニウム緩衝液(pH8.6) で続けて溶出した。
直線濃度勾配による溶出を開始してから 850〜1000mlの溶出画分をD液、1000〜1100mlの溶出画分をE液、1100〜1200mlの溶出画分をF液、1400〜1500mlの溶出画分をG液、1920〜2120mlの溶出画分をH液、2200〜2270mlの溶出画分をI液とした。
【0045】
(2) D画分の処理
前記D液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で10.5〜11.0分の溶出画分をD1とした。
【0046】
(3) E画分の処理
前記E液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で13.0〜13.2分の溶出画分をE1とした。
【0047】
(4) F画分の処理
前記F液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で10.3〜10.7分の溶出画分をF1、12.5〜13.2分の溶出画分をF2、17.0〜18.0分の溶出画分をF3とした。
【0048】
(5) G画分の処理
前記G液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で5.0 〜5.2 分の溶出画分をG1、13.8〜15.0分の溶出画分をG2とした。
【0049】
(6) H画分の処理
前記H液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で7.7 〜8.7 分の溶出画分をH1とし、9.6 〜9.9 分の溶出画分をH2とした。
【0050】
H2をさらにセミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10%のアセトニトリル
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で12.6〜13.2分の溶出画分をH2−1とした。
【0051】
(7) I画分の処理
前記I液は凍結乾燥後セミ分取用高速液クロ装置で分画した。溶出条件は下記による。
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、10から60%のアセトニトリルグラジエント(所用時間30分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
この条件下で6.5 〜7.2 分の溶出画分をI1とした。
【0052】
(8) ペプチドの同定
上記各溶出画分の構造解析を実施例1(6)と同様にして行った。
結果を表1に示す。
【0053】
実施例3 L-Leu-L-Arg-L-Pro 酢酸塩の合成
0.5mmol の Boc-L-Pro-O-CH2-PAM樹脂及び各2mmol の Boc-L-Arg( Mts ) 及びBoc-L-Leu-を、N,N-ジイソプロピルアミン、TFA 、MeOH、0.5M HOBT/DMF 、0.5MDCC/DCM 、DCM 、DMF 及び中和剤( 70% エタノールアミン+29.5%メタノール) を裝填したペプチドシンセサイザー(430A型)(アプライドバイオシステムズ社製)に充填し、HOBTを用いる活性エステル法に付して Boc-L-Leu-L-Arg( Mts)-L-Pro-O-CH2-PAMを合成し、ついでこれを真空乾燥した。
【0054】
乾燥ペプチド樹脂1g 、チオアニソール1ml及びエタンジチオール 500mlを100ml 丸底フラスコに入れ、混合物を10分攪拌した。フラスコを氷水で冷却しながら、TFA10ml を混合物に徐々に加え、ついで10分攪拌した。TFMSA 1mlを徐々に加え、フラスコを氷水から取り出し、室温で攪拌下30分反応を続けた。冷ジエチルエーテルをペプチドの沈澱が新たに生じなくなるまで加え( 約50ml )、ついで1分攪拌した。フラスコの全内容物をガラスフィルター( ミディアム孔) 上に移し、冷ジエチルエーテルで洗浄した。冷ジエチルエーテル約200ml を含有するビーカーをガラスフィルターの下に置き、攪拌した。ガラスフィルターに TFAを加えてペプチドを溶解し、エーテル中に移行させた( エーテル中でペプチドの沈澱が生じた) 。新たな沈澱が生じなくなるまで TFA を加えた。エーテル中のペプチド沈澱物をガラスフィルター( ミディアム孔) 上に移し、濾過し、ジエチルエーテルで数回洗浄した。ついでガラスフィルター上の沈澱を2N酢酸に溶解し、ナス型フラスコ中に回収した。溶液を凍結乾燥した。凍結乾燥物を蒸留水に溶解し、セミ分取用高速液クロ装置で精製した。溶出条件は以下の通りであった:
カラム: カプセルパックC18 (1.5 ×25cm)
溶出液: 0.1 %TFA 存在下、5から80%のアセトニトリルグラジエント(所用時間45分)
流 速: 8 ml/min
検 出: UV 210nm
検出によって主ピークを含有する溶出液画分を減圧下に濃縮乾固し、残渣を2N酢酸水溶液に再溶解し、溶液を凍結乾燥した。
この手順によって粉末として L-Leu-L-Arg-L-Pro酢酸塩 100mgを得た。
【0055】
実施例4 ACE阻害活性
以上のようにして得た本オリゴペプチドのACE阻害活性を以下のごとく測定した。すなわちまず、5gのラビットラングアセトンパウダーを50mlの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.3 ) に溶かし、40,000G 、40分の条件下で遠心処理し、その上澄液をさらにハイドロキシアパタイトで精製し、1 unit/mg タンパク質のアンジオテンシン変換酵素液を得た。
【0056】
本オリゴペプチドの種々の濃度の水溶液をそれぞれ試験管に0.03ml入れ、これに基質として、0.25mlのヒプリルヒスチジルロイシン( 最終濃度5mM 、NaCl300mM を含む) を添加し、ついで上記アンジオテンシン変換酵素液 0.1mlを加え、37℃で30分間反応させた。その後、IN塩酸0.25mlを添加して反応を停止させた後、1.5 mlの酢酸エチルを加え、酢酸エチル中に抽出されたヒプリル酸の228nmでの吸収値を測定し、これを酵素活性とした。なお、この条件で本オリゴペプチドを含まない場合の 228nmの吸収値は0.35であった。
【0057】
このような実験を複数行い、阻害率を次の式より算出した。
Figure 0003726106
A:阻害剤を含まない場合の 228nm吸収値
B:阻害剤添加の場合の 228nm吸収値
また阻害率50%のときの本オリゴペプチドの濃度をIC50値とした。
結果を表1に示す。
【0058】
Figure 0003726106
Figure 0003726106
【0059】
Figure 0003726106
【0060】
実施例5 血圧降下作用
動物は10週令高血圧自然発症ラット( SHR )(日本ラット(株) 、♂、体重240 〜280g、1群4〜6匹)を用いた。試料を生理食塩水に溶解し、有効成分オリゴペプチド(フリー)として100mg/kgを腹腔内に投与した。対照として生理食塩水を投与した。血圧はラット・マウス用非観血血圧計TK-350( ユニコム社製)を用い、投与前及び投与後経時的にTail-Cuff 法で測定した。
結果を( 投与前最高血圧値−投与後最高血圧値)±S.E.で表2に示した。
【0061】
Figure 0003726106
【0062】
実施例6 静脈注射剤
本オリゴペプチドを20〜 100倍( 容積/重量)の滅菌生理食塩水に溶解し、無菌的にフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液を注射剤とする。
【0063】
実施例7 錠剤
本オリゴペプチド 7 部
ヒドロキシプロピルセルロース 1 部
ラクトース 10.9部
ポテトスターチ 1 部
ステアリン酸マグネシウム 0.1部
ヒドロキシプロピルセルロース1部を含む60%エタノール水溶液20部を調製し、本オリゴペプチド7部およびラクトース10.9部を加えて十分に混練した後、減圧下で乾燥し、得られた乾燥物にポテトスターチ1部及びステアリン酸マグネシウム0.1 部を加えて混和して、打錠機により製錠する。
【0064】
【発明の効果】
トウモロコシタンパク質α−ゼイン由来のACE阻害作用を有する新規オリゴペプチド、及び特定オリゴペプチドを含有するACE阻害剤及び血圧降下剤が提供される。

Claims (2)

  1. L-Tyr-L-Val 、L-Phe-L-Tyr、L-Leu-L-Ser-L-Pro 、L-Val-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Asn-L-Pro 、L-Val-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ala-L-Tyr 、Leu-L-Gln-L-Pro 、L-Leu-L-Ala-L-Ala 、L-Val-L-Ala-L-Ala 、L-Leu-L-Ser-L-Hisまたはその薬理上許容される酸付加塩、L-Ile-L-Arg-L-Ala またはその薬理上許容される酸付加塩、及びL-Leu-L-Arg-L-Pro またはその薬理上許容される酸付加塩からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  2. L-Tyr-L-Val 、L-Phe-L-Tyr、L-Leu-L-Ser-L-Pro 、L-Val-L-Ser-L-Pro 、L-Leu-L-Asn-L-Pro 、L-Val-L-Ala-L-Tyr 、L-Leu-L-Ala-L-Tyr 、Leu-L-Gln-L-Pro 、L-Leu-L-Ala-L-Ala 、L-Val-L-Ala-L-Ala 、L-Leu-L-Ser-L-Hisまたはその薬理上許容される酸付加塩、L-Ile-L-Arg-L-Ala またはその薬理上許容される酸付加塩、及びL-Leu-L-Arg-L-Pro またはその薬理上許容される酸付加塩からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有する血圧降下剤。
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