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JP5397577B2 - 表面プラズモン共鳴センサ及び当該センサ用チップ - Google Patents

表面プラズモン共鳴センサ及び当該センサ用チップ Download PDF

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴センサ及び当該センサ用チップに関する。特に、局在型表面プラズモン共鳴を利用した表面プラズモン共鳴センサと表面プラズモン共鳴センサ用チップに関する。
人体の60%は水分で構成され、残り40%のうち半分はタンパク質で構成されており、人体の細胞、筋肉、皮膚の大部分はタンパク質からなる。そのため、病気とタンパク質の変異に相関が認められる場合が多く、癌、インフルエンザその他の病気では、病気の進行に伴って体内(血液中など)において特定のタンパク質が増加する。
従って、特定のタンパク質の状態(特定のタンパク質の有無、量など)をモニターすることで病気の罹患、進行状況を知ることができ、現在では、数十種類のタンパク質について病気との相関が確認されている。例えば、腫瘍(癌)の進行とともに増加する生体分子は腫瘍マーカーと呼ばれ、腫瘍の発生部位に応じてそれぞれ異なる腫瘍マーカーが特定されている。
また、生体内のタンパク質、DNA、糖鎖といった生体分子は、疾患の発生と直接的に関係していることが多いので、それら生体分子間の相互作用を解析することにより、病気のメカニズムを解明し、特効薬の開発を行うことが可能になりつつある。
上記腫瘍マーカーを含め、特定のタンパク質の有無や量を簡便かつ高精度に測定するツールとしてバイオセンサがあり、将来的には誤診防止、早期診断、予防医療等への応用が期待されている。
タンパク質など生体分子の相互作用を検出する方法としては、表面プラズモン共鳴が利用されている。表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)とは、金属表面の自由電子と電磁波(光)との相互作用によって生じる共鳴現象であって、蛍光検出方式に比べると、試料を蛍光物質で標識する必要が無いため簡便な手法として注目されている。表面プラズモン共鳴を利用したセンサには、伝搬型表面プラズモン共鳴センサと局在型表面プラズモン共鳴センサとがある。
伝搬型表面プラズモン共鳴センサの原理を図1(a)−(d)により簡単に説明する。伝搬型表面プラズモン共鳴センサ11は、図1(a)(c)に示すように、ガラス基板12の表面に厚み50nm程度のAu、Ag等の金属膜13を形成したものである。この伝搬型表面プラズモン共鳴センサ11は、ガラス基板12側から光を照射し、ガラス基板12と金属膜13との界面において光を全反射させる。全反射した光を受光し、光の反射率を測定することによって生体分子等がセンシングされる。
すなわち、この反射率測定を光の入射角θを変化させることによって行うと、図1(b)に示すように、ある入射角(共鳴入射角)θ1で反射角が大きく減衰する。ガラス基板12と金属膜13の界面に入射した光が当該界面で全反射するとき、当該界面で発生するエバネッセント光(近接場光)と金属の表面プラズモン波が相互作用する。そして、ある特定の波長や特定の入射角においては、光のエネルギーが金属膜13中に吸収され、金属膜13中の自由電子の振動エネルギーに変化し、光の反射率が著しく低下するのである。
この共鳴条件は、金属膜13の周辺物質の誘電率(屈折率)に依存するため、周辺物質の物性変化を高感度に検出する手法として用いられる。特に、バイオセンサとして用いる場合には、図1(a)に示すように、あらかじめ金属膜13の表面に特定のタンパク質(抗原)と特異的に結合する抗体14(プローブ)を固定化しておく。そこに導入された検査試料15にターゲットとなる抗原16が存在すると、図1(c)に示すように抗原16が抗体14と特異的に結合する。そして、抗原16が結合することで金属膜13の周辺の屈折率が変化し、共鳴波長や共鳴入射角が変化する。従って、検査試料15を導入する前後における共鳴波長の変化、共鳴入射角の変化、あるいは共鳴波長や共鳴入射角の時間的変化を測定することにより、検査試料15中に抗原16が含まれているかどうか検査できる。また、どの程度の濃度で抗原16が含まれているかも検査することができる。
図1(d)は、入射角θに対する反射率の依存性を測定した結果の一例を表している。図1(d)において、破線は検査試料15を導入する前の反射率スペクトル17aを示し、実線は検査試料15が導入されて抗体14に抗原16が結合した後の反射率スペクトル17bを示す。こうして検査試料15を導入する前後における共鳴入射角の変化Δθを測定すると、検査試料15が抗原16を含んでいるかどうかを検査できる。また、抗原16の濃度も検査することができ、特定の病原体の有無や疾患の有無などを検査することができる。
なお、一般的な伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは、ガラス基板に光を導入するためにプリズムを用いている。そのため、センサの光学系が複雑かつ大型化し、またセンサ用チップ(ガラス基板)とプリズムをマッチングオイルで密着させる必要がある。このような取り扱いにくさをを解消するため、例えば特許文献1は、回折格子を利用した伝搬型表面プラズモン共鳴センサを提案している。
特許文献1に開示された伝搬型表面プラズモン共鳴センサは、図2に示すように、基板18の表面に金属膜19を形成し、金属膜19の上に離散的に薄膜を積層して回折格子20(グレーティング)を形成したものである。
この伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは、回折格子20に光を照射すると、照射光は回折格子20によって反射し、回折現象によりエバネッセント光が生じる。また、回折格子20に光が照射することにより回折格子20の表面に表面プラズモン波が生じる。そして、ある波長の光が特定の入射角で照射されたときにエバネッセント光と表面プラズモン波とが共鳴し、表面プラズモン共鳴が起きる。よって、この伝搬型表面プラズモン共鳴センサでも、例えば回折格子20の上に抗体を固定しておくことにより、特定の抗原を検出することができる。
このような回折格子型伝搬SPRセンサには断面が矩形波状のものも見られるが、一般的には正弦波形状のものが多い。また、回折格子型伝搬SPRセンサにおける凹凸は回折格子として働くものであるから、そのデューティー比は1:1であることが望ましい。
図3は凹凸形状の回折格子を表している。この回折格子20のピッチをP、すなわち凸部(光反射面)の幅をP/2、凹部の幅もP/2とし、入射光の入射角をθ、回折光の出射角をφとする。隣り合った凸部どうしで反射した光の光路差は、図3から、
Pcosθ−Pcosφ
となる。よって、入射光の波長をλとすれば、反射光の位相が揃って強め合う条件は、
cosθ−cosφ=m・λ/P
となる。ここで、m=0、±1、…は回折次数である。この式の左辺の最大値は2であるから、回折を発生させるためには、(λ/P)<2である必要がある。
よって、このような回折格子型伝搬SPRセンサでは、センサとして可視光域(λ=400−800nm)の光を使用する場合には、可視光域全体で回折を起こす条件として、P>400nmが必要条件となる。
また、回折格子型伝搬SPRセンサでは、光を斜め方向から入射させるのが一般的である。
この結果、回折格子型伝搬SPRセンサでは、数百nmと広いセンシングエリアを有する。
つぎに、局在型表面プラズモン共鳴センサについて説明する。局在型表面プラズモン共鳴センサは、表面プラズモン共鳴によって発生する自由電子振動が金属ナノ構造の局所領域で定在するものであり、そのセンシング領域は数十nmというように、伝搬型表面プラズモン共鳴センサに比べて非常に小さいことが知られている。
局在型表面プラズモン共鳴センサとしては、例えば特許文献2に開示されたものがある。この局在型表面プラズモン共鳴センサ21は、平均粒径が数十nmの金属微粒子(金属ナノ微粒子)を用いて金属ナノ構造を実現したものである。このセンサ21にあっては、金属微粒子のコロイド溶液にガラス基板22を浸漬し、ガラス基板22の表面に金属微粒子23を分布させる。そして、図4(a)に示すように、ガラス基板22の裏面側から光を垂直に入射させ、ガラス基板22を透過した光の強度を計測する。受光した透過光を分光手段によって分光し、各波長における吸光度を求めると、図4(b)に示すように、ある波長(共鳴波長)で吸光度のピークが生じる。
この共鳴現象は、光(電磁波)の交流電界によって金属微粒子23中の自由電子が振動し、ある振動数で光と自由電子が共鳴して自由電子が光エネルギーを吸収し、共鳴波長で吸光度がピークとなるものである。
この現象も金属微粒子23の周囲の誘電率(屈折率)の影響を受けるので、金属微粒子に何らかの誘電体物質(例えば、抗原)が付着すると、吸光度が変化する。例えば、金属微粒子に誘電体物質が付着する前には図4(b)の破線で示す吸光度特性24aであったものが、付着後には図4(b)の実線で示す吸光度特性24bに変化する。よって、吸光度のピーク値の変化を読み取ることにより誘電体物質の付着の有無や付着量を検知できる。
特開2002−357543号公報 特開2000−356587号公報 岡本 隆之、"金属ナノ粒子相互作用およびバイオセンサに関する調査研究"(図2)、プラズモニック研究会、平成14年度科学研究費補助金(基礎研究C)、研究成果報告書、http://www.plasmon.jp/index.html N. Felidj et al. "Controlling the optical response of regular arrays of gold particles for surface-enhanced Raman scattering", Phys. Rev. B 65, 075419(2002)
表面プラズモン共鳴センサには、上記のように伝搬型表面プラズモン共鳴センサと局在型表面プラズモン共鳴センサとがある。しかし、伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは、センシングエリアがガラス基板表面から数百nmとタンパク質のサイズ(十nm前後)に比べて大きい。そのため、このセンサは検査試料の温度変化や検査試料中の夾雑物(例えば、検査対象以外のタンパク質)の影響を受け易く、バイオセンサでは、抗体に結合されず検査試料中に浮遊している抗原にも感度を持つ。これらはノイズの原因となるため、S/N比が小さくて高感度のセンサを作製することが難しい。また、高感度のセンサを作製するためには、ノイズの原因となる夾雑物を取り除く工程や、検査試料の温度を一定に保つための厳密な温度制御手段を必要とし、装置が大型になったり、装置コストが高価になったりする。
これに対し、局在型表面プラズモン共鳴センサでは、金属微粒子(金属ナノ微粒子)の表面に発生する近接場がセンシング領域となるため、回折限界以下の数十nmの感度領域を実現できる。その結果、局在型表面プラズモン共鳴センサでは、金属微粒子から離れた領域に浮遊する検査対象物には感度を持たず、金属微粒子表面の非常に狭い領域に付着した検査対象物にのみ感度を持たせることができ、より高感度のセンサを実現できる可能性がある。また、このセンサによれば、検査試料の温度を一定温度に制御するための厳密な温度制御手段が必要なくなる。
金属微粒子を用いた局在表面プラズモン共鳴センサでは、金属微粒子から離れて浮遊している検査対象物に感度を持たないので、ノイズ成分が少なくなり、その意味では伝搬型表面プラズモン共鳴センサに比べて高感度である。しかし、Au、Ag等の金属微粒子において発生する表面プラズモン共鳴を利用したセンサでは、金属微粒子の表面に付着している検査対象物から得られる信号の強度が小さく、その意味では感度がまだ低く、あるいは感度が十分でなかった。
非特許文献1は、特許文献2の発明者による論文である。図5は非特許文献1(図2)から引用したものであり、「平均径20nmの金ナノ粒子を堆積したガラス基板を種々の屈折率を持つ液体に浸けたときの吸収スペクトル」を表している。図5を用いて当該センサの感度、すなわちセンサに接する媒質の屈折率が1変化したときの共鳴波長の変化を求めると、その感度は100nm/RIU程度であり、十分な感度を得ることができない。
なお、この感度値は、媒質の屈折率が1.333(水)から1.737(Diiodemethane)に変化したときの共鳴波長の変化を図5から30nmと読み取って計算した。
感度=30/(1.737−1.333)=74 [nm/RIU]
そして、この値よりも若干大きく見積もって、当該センサの感度を100nm/RIU程度とした。
また、特許文献2の局在型表面プラズモン共鳴センサでは、ガラス基板をコロイド溶液に浸漬して金属微粒子をガラス基板の上に固定するという方法を用いているので、同じプロセスで作製しても金属微粒子の分布密度が一定にならず、分布密度のばらつきが大きい。さらに、金属微粒子の分布密度が小さい場合には、図6(a)に示すように、比較的容易に金属微粒子どうしを分離させることができるが、金属微粒子の分布密度が大きくなると、図6(b)の円内に見られるように、金属微粒子の凝縮が発生し、品質を安定させることが難しい。よって、商品化するには量産性が問題となり、特に感度を高くするために金属微粒子の分布密度を大きくすると、ますます量産性が悪くなる問題がある。
非特許文献2には、電子ビームを利用して金属微粒子が均一に配列した金属ナノ構造を作製する方法が示されている。この方法を、図7(a)−(f)に従って説明する。まず図7(a)に示すように基板25の全面にフォトレジスト26をコーティングする。ついで、図7(b)に示すように、この基板25上の金属微粒子形成位置において、フォトレジスト26に順次電子ビーム27を打ち込んで電子ビーム27の打ち込み位置でフォトレジスト26を可溶化させる。そして、このフォトレジスト26を現像処理すると、図7(c)に示すように、フォトレジスト26の可溶化された部分が除去され、フォトレジスト26には金属微粒子形成位置にホール28が開口される。図7(d)に示すように、このフォトレジスト26の上からCr29を堆積させると、ホール28内に露出した基板25の表面にもCr29が堆積する。ついで、図7(e)に示すように、フォトレジスト26の上からAu30を堆積させると、ホール28内ではCr29の上にAu30が堆積する。この後、基板25をエッチング液に浸けてフォトレジスト26を剥離させると、図7(f)に示すように、基板25の表面には所望のパターンで金属微粒子(Au30)が形成される。図8はこのようにして得られた金属微粒子のパターンを示す図(非特許文献2から引用)であって、白く見える部分が金属微粒子を表わしている。
図7のような方法によれば、任意の配置パターンで金属微粒子を形成することができるが、電子ビームを打ち込む工程では、絞った電子ビームで一箇所ずつ描画していくため、数時間掛かる。そのため、1枚のセンサ用チップを作製するのに半日程度必要となり、作製スループットが非常に低い。よって、このような方法でも量産化が困難で、安価なセンサ用チップの実現は不可能であった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来の局在型表面プラズモン共鳴センサよりも高感度の局在型表面プラズモン共鳴センサ及び表面プラズモン共鳴センサ用チップを提供することにある。また、本発明の別な目的は、製造プロセスの安定性を実現すると共にローコスト化を図ることができる当該局在型表面プラズモン共鳴センサ用チップを提供することにある。
本発明の表面プラズモン共鳴センサは、表面プラズモン共鳴センサ用チップと、前記表面プラズモン共鳴センサ用チップの表面に、当該チップの表面と垂直に光を照射する光源と、前記表面プラズモン共鳴センサ用チップで反射した光を受光する光検出器とからなる表面プラズモン共鳴センサにおいて、前記表面プラズモン共鳴センサ用チップは、基板と、前記基板の表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層とを有し、前記金属層の表面には溝状をした複数の凹部が形成され、前記凹部の両側壁面は前記基板の主平面に対して75度以上90度未満の傾斜面となっていて、前記凹部の開口部の幅は前記凹部の底面の幅よりも広くなっており、前記凹部の両側壁面と底面に前記金属層の表面を有しており、前記センサ用チップは、前記凹部の両側壁面の金属層表面に、生体分子を固定化するための有機分子層を形成され、前記凹部は、前記凹部内に垂直に入射した光を前記両側壁面の金属層表面で受けることによって前記両側壁面の金属層表面間に局在的な共鳴電界を発生し、前記光検出器は、前記光源から出て前記凹部の前記両側壁面の金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記センサ用チップの表面に垂直に入射し、前記金属層の表面の前記凹部を含む領域で反射した直線偏光又は直線偏光成分の光を選択的に受光することにより、前記センサ用チップにおける反射率又は前記光検出器で受光した光強度を測定することを特徴としている。ここで、局在的な共鳴電界とは、共鳴電界が金属表面に沿って伝搬せず、共鳴によって増強された電界の領域が入射光の回折限界よりも小さいもののことをいう。
本発明の表面プラズモン共鳴センサにあっては、金属層に形成されたナノサイズの凹部を含む領域に垂直に光を入射させると、凹部内の対向する両側壁面における自由電子と入射光との間で結合が起こり、凹部内部に強い電界が集中して強い局在型表面プラズモン共鳴が発生することが分かった。表面プラズモン共鳴が起きると、光のエネルギーが金属層の表面プラズモン波に吸収されるので、ある波長(共鳴波長)において光の反射率又は光検出器で受光する光強度が低下する。この共鳴波長は、凹部内にある媒質の屈折率により変化するので、かかる表面プラズモンセンサによれば、凹部内の両側壁面に誘電体物質が付着したことや付着量の変化などを検知することができる。特に、バイオセンサとして使用して特定のタンパク質の検出に使用することができる。
また、本発明の表面プラズモン共鳴センサにあっては、前記光検出器が、前記光源から出て前記凹部の前記対向する両側壁面に位置する金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記センサ用チップの表面に垂直に入射し、前記金属層の表面の前記凹部を含む領域で反射した直線偏光又は直線偏光成分の光を選択的に受光することにより、前記センサ用チップにおける反射率又は前記光検出器で受光した光強度を測定する。このため、光の電界成分の方向が金属層表面に垂直になるので、金属表面において表面プラズモン波が大きく励起されることになる。よって、表面プラズモン共鳴センサの感度を非常に高くすることができる。なお、本発明においては、偏光面とは、光(電磁波)の電界の振動面を指す。
しかも、本発明の表面プラズモン共鳴センサでは、凹部内に大きな電界増強が見られるので、強い表面プラズモン共鳴を引き起こすことができ、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサや局在型表面プラズモン共鳴センサと比較して非常に感度の高いセンシングを行うことができる。さらに、本発明の表面プラズモン共鳴センサは、金属層の表面から数十nm程度の狭い領域で感度を持つので、金属層から離れた領域の物質によるノイズが小さく、S/N比の良好な表面プラズモン共鳴センサを製作することができる。
さらに、これまでの局在型表面プラズモン共鳴センサでは、金属ナノ構造(金属微粒子)が断続的(島状)に存在しているため、効率的に製造することが難しかった。これに対し、本発明の表面プラズモン共鳴センサでは、金属層を連続的に形成しておくことができるので、スタンパを用いたナノインプリンティング技術等で窪みを設けた基板の上に蒸着、スパッタ等のプロセスで金属膜を形成することで凹部を形成することができる。よって、量産性に優れているため、高精度のセンサをローコストで生産することができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのある実施態様は、前記光源と前記センサ用チップとの間に偏光板を備え、前記センサ用チップの表面に垂直に入射する光が前記偏光板を通過した直線偏光の光であり、前記センサ用チップの表面において前記直線偏光の光の偏光面が、前記凹部の前記対向する金属層表面の延びる方向に直交していればよい。このような実施態様によれば、光の電界成分の方向が金属層表面に垂直になるので、金属表面において表面プラズモン波が大きく励起されることになる。よって、表面プラズモン共鳴センサの感度が非常に高くなる。
あるいは、別な実施態様においては、前記センサ用チップと前記光検出器との間に偏光板を備え、前記センサ用チップの表面に垂直に入射する光が非直線偏光の光であり、前記金属層の表面で反射した光のうち、前記凹部の前記対向する金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記金属層に入射した直線偏光成分が選択的に前記偏光板を通過するようになっていてもよい。このような実施態様によれば、凹部内で最も大きな表面プラズモン共鳴を起こした成分のみを抽出して光検出器で検知することができるので、表面プラズモン共鳴センサの感度が非常に高くなる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、前記凹部の底面に金属層表面を有していることを特徴としている。凹部の底面に金属層表面を有していることにより、凹部内で表面プラズモン共鳴を起こさせやすくなる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、前記センサ用チップが、前記凹部の内壁面に、生体分子を固定化するための有機分子層を形成されていることを特徴としている。かかる実施態様にあっては、凹部内に生体分子を固定化することができるので、特定の生体分子を検出することができバイオセンサとして用いることが可能になる。
また、本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様においては、前記凹部が前記基板の主平面に垂直な方向から見て一方向で長い形状を有していてもよい。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様においては、前記凹部が前記金属層の表面に一定のピッチで配列し、特に好ましくは周期的な形状に形成している。かかる実施態様では、反射率スペクトルにおけるピーク半値幅を狭くすることができ、測定精度を向上させることができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、前記凹部の深さが20nm以上100nm以下であり、前記金属層の表面に入射する光の偏光面に平行な方向における前記凹部の幅が20nm以上100nm以下となっている。凹部の深さが100nmよりも大きくなると、1000nm以上の波長で共鳴吸収が発生して水による強い共鳴吸収と重なる恐れがあり、またピーク半値幅も広くなるためである。凹部の深さが20nmよりも小さくなると、センサ感度が小さくなるためである。また、一般的なタンパク質のサイズが10nm前後であるので、バイオセンサとしての用途も考慮すると、凹部の幅は少なくとも20nm程度は必要であり、また凹部の幅が100nm以上に広くなると、凹部内における電界増強の効果が悪くなるからである。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、互いに隣接する前記凹部どうしの間隔(凹部の中心間の距離)が前記金属層の表面に入射する光の波長の2分の1以下となっている。かかる実施態様によれば、測定領域に入射した光が凹部によって回折現象を起こすことがなくなり、回折の影響を排除することができる。特に、入射光が可視光域の光である場合には、互いに隣接する前記凹部どうしの間隔は400nm以下とすることが望ましい。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、前記センサ用チップに対して2波長以上の光を垂直に入射させ、前記センサ用チップで反射した各波長の光の反射率又は各波長の光の光強度を前記光検出器で測定するものである。かかる実施態様によれば、特定の2波長以上の波長における反射率又は光強度を比較することにより共鳴波長の変化を評価することができる。よって、既知の特定物質の有無などを検査する用途に望ましい。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップは、基板と、前記基板の表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層とからなり、前記金属層の表面で、当該金属層の表面に垂直に入射した光を受ける表面プラズモン共鳴センサ用チップにおいて、前記金属層の表面には溝状をした複数の凹部が形成され、前記凹部の両側壁面は前記基板の主平面に対して75度以上90度未満の傾斜面となっていて、前記凹部の開口部の幅は前記凹部の底面の幅よりも広くなっており、前記凹部の両側壁面と底面に前記金属層の表面を有しており、前記凹部の両側壁面の金属層表面に、生体分子を固定化するための有機分子層が形成され、前記凹部は、前記凹部内に垂直に入射した光を前記両側壁面の金属層表面で受けることによって前記両側壁面の金属層表面間に局在的な共鳴電界を発生し、前記凹部の前記両側壁面の金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記金属層の表面に垂直に入射し、前記金属層の表面の前記凹部を含む領域で反射した直線偏光又は直線偏光成分の光を選択的に検知されるものである。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップにあっては、金属層に形成されたナノサイズの凹部を含む領域に垂直に光を入射させると、凹部内の対向する金属側面における自由電子と入射光との間で結合が起こり、凹部内部に強い電界が集中して強い局在型表面プラズモン共鳴が発生する。表面プラズモン共鳴が起きると、光のエネルギーが金属層の表面プラズモン波に吸収されるので、ある波長(共鳴波長)において光の反射率又は光検出器で受光する光強度が低下する。この共鳴波長は、凹部内にある媒質の屈折率により変化するので、かかる表面プラズモンセンサ用チップによれば、凹部内に誘電体物質が付着したことや付着量の変化などを検知することができる。特に、バイオセンサとして使用して特定のタンパク質の検出に使用することができる。
しかも、本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップでは、凹部内に大きな電界増強が見られるので、強い表面プラズモン共鳴を引き起こすことができ、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサや局在型表面プラズモン共鳴センサと比較して非常に感度の高いセンシングを行うことができる。さらに、本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップは、金属層の表面から数十nm程度の狭い領域で感度を持つので、金属層から離れた領域の物質によるノイズが小さく、S/N比の良好な表面プラズモン共鳴センサ用チップを製作することができる。
さらに、これまでの局在型表面プラズモン共鳴センサでは、金属ナノ構造(金属微粒子)が断続的(島状)に存在しているため、効率的に製造することが難しかった。これに対し、本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップでは、金属層を連続的に形成しておくことができるので、スタンパを用いたナノインプリンティング技術等で窪みを設けた基板の上に蒸着、スパッタ等のプロセスで金属膜を形成することで凹部を形成することができる。よって、量産性に優れているため、高精度のセンサ用チップをローコストで生産することができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのある実施態様は、前記基板がその表面に複数の窪みを有し、前記金属層は、前記基板表面に設けられた窪みの形状を反映して凹部を形成するよう、前記基板の表面に形成されている。かかる実施態様によれば、凹部を形成された基板の表面に金属層を形成すれば、金属層により窪みに倣って凹部が形成される。よって、金属層に簡単な工程で微細な凹部を形成することができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップの別な実施態様における前記金属層は、前記基板の窪み内に膜厚が40nm以上100nm以下の金属薄膜によって形成されている。金属層の膜厚が40nmよりも薄いと反射光の光量が不十分になり、また、金属層があまり厚くなって膜厚100nm以上になると、成膜時間が長くなり、製造コストや作製スループットが悪くなるからである。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、前記凹部の底面の中央部が前記凹部の開口側に向けて盛り上がっている。かかる実施態様によれば、凹部の底面に付着した物質を電界強度の高い領域へ持ち上げることができるので、センサ感度を向上させることができる。
特に、この凹部底面の盛り上がりの高さは、凹部の深さに対して5%以上20%以下であることが好ましい。5%よりも小さくても、20%よりも大きくても、センサ感度を向上させる度合いが低下するからである。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、前記凹部が互いに平行な溝を有している。かかる実施態様によれば、表面プラズモン共鳴の発生する領域を長く、広くすることができ、センサ感度を向上させることができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、前記凹部を2方向に沿って配列し、かつ、前記凹部を千鳥状に配置したものである。かかる実施態様では、凹部の側壁面に特定の分子を固定するための有機分子層などを形成しておく用途の場合には、有機分子層を形成するための面積を大きくすることができ、センサ感度を向上させることができる。
さらに、上記実施態様においては、前記凹部の一方の配列方向におけるピッチが当該方向における前記凹部の幅の2倍よりも大きいことが望ましい。かかる実施態様によれば、各凹部で反射した光どうしが干渉しにくくなる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、前記凹部を形成された複数の測定領域を有し、各測定領域毎に前記凹部の深さ、幅または配列ピッチが異なっている。かかる実施態様では、複数の測定領域を有しているので、複数種類の検査を一度に行うことができ、効率よく検査を行える。また、各測定領域毎に異なる共振波長を持たせることができるので、複数の測定領域の全体に一度に光を照射しても各測定領域で生じた信号を個別に検出することができる。よって、各測定領域に対して順次光をスキャンする必要がなく、表面プラズモン共鳴センサの構成を簡略にすることができる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、前記金属層の表面に、生体分子を固定化するための有機分子層が形成されたものである。かかる実施態様にあっては、有機分子層に生体分子を固定することができるので、特定の生体分子を検出することができバイオセンサとして用いることが可能になる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップのさらに別な実施態様は、上記実施態様における前記有機分子層が、基板表面からの長さが50nm以上の分子と基板表面からの長さが50nmよりも短い分子とからなるものである。このように長い分子と短い分子によって有機分子層が形成されていると、短い分子は金属層の近傍で生体分子を結合し、長い分子は金属層から離れたところで生体分子を結合し、生体分子を結合した長い分子が折れ曲がることによってその生体分子も金属層の近傍へ引き寄せられるので、金属層の近傍の領域に多くの生体分子を集めることができ、センサ感度をより一層高めることができる。このような長い分子としては、例えばリンカー部と呼ばれるものを用いることができ、リンカー部は数十nmの長さを有しているが、その長さが50nm以上あれば曲がり易くなる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサのさらに別な実施態様は、前記金属層の材質としてAu又はAgを用いている。かかる金属層材質は化学的に安定であり、また強い表面プラズモン共鳴を発生させることができる。
本発明にかかる表面プラズモン共鳴センサ用チップの製造方法は、本発明にかかる表面プラズモン共鳴センサ用チップを製造するための方法であって、凸パターンを有するスタンパを製作する工程と、未硬化の樹脂に前記スタンパを押圧することによって前記スタンパの凸パターンを当該樹脂に転写し、当該樹脂を硬化させることにより前記基板を成形すると共に前記凸パターンの反転形状によって前記基板の表面に窪みを形成する工程と、前記基板の表面に金属を堆積させて前記金属層を形成し、前記窪みの形状を反映して形成された金属層によって前記凹部を形成する工程とからなる。
本発明の表面プラズモン共鳴センサ用チップの製造方法によれば、スタンパを用いて基板に窪みを形成し、この窪みの形状を反映するように金属層を形成して凹部を形成しているので、同じ形状の凹部を有する表面プラズモン共鳴センサ用チップをばらつきなく安定に製作することができる。また、容易に量産することができるので、表面プラズモン共鳴センサ用チップをローコストで製作することができる。
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図9は、本発明の実施形態1による局在型表面プラズモン共鳴センサ(以下、局在SPRセンサという。)31の基本的構成を示す概略図である。局在SPRセンサ31は、ハロゲンランプのような光源32、光ファイバ33、コリメータレンズ34、ピンホールを有するコリメータ板35、偏光板36、ビームスプリッタ37(ハーフミラーでもよい。)、対物レンズ38、フローセル48、分光器40、光検出器41、データ処理装置42、シリンジポンプ43よりなる。
光源32は、ハロゲンランプのように白色光を照射するものが望ましいが、測定に用いる波長域の光を含むものであればよい。光源32から出射された光Lは、光ファイバ33によってコリメータレンズ34へ導かれる。コリメータレンズ34は、光ファイバ33の先端から出射された光Lをコリメート化し、平行ビームとして通過させる。コリメータレンズ34でコリメート化された光Lは、コリメータ板35のピンホールを通過することにより細く絞られた平行ビームとなる。ピンホールを通過した平行ビームは、ある偏光面(例えば、図9の紙面に平行な偏光面)を有する直線偏光だけが偏光板36を通過する。なお、本発明においては、光(電磁波)の電界の振動面を偏光面と定義し、その電界の方向を偏光方向と定義する。
偏光板36を通過した直線偏光の光Lはビームスプリッタ37に入射し、入射光量の約1/2の光だけがビームスプリッタ37を真っ直ぐに透過する。ビームスプリッタ37を透過した平行ビームは対物レンズ38を通過し、対物レンズ38によりフローセル48内の測定領域44(凹構造を形成された領域)に集光される。
フローセル48内には、検査試料溶液を通過させるための流路45が設けられており、測定領域44は流路45に面している。流路45には、送液管46を通じてシリンジポンプ43により検査試料溶液が供給され、流路45を通過した検査試料溶液は回収管47を通じて回収される。
フローセル48の測定領域44に照射された光Lは、測定領域44で反射して元の方向に戻る。元の方向に戻った測定光は対物レンズ38を通過して再び平行ビームとなり、ビームスプリッタ37に入射する。ビームスプリッタ37に入射した測定光は、その光量の約1/2だけがビームスプリッタ37内の貼合せ面で90度の方向へ反射される。なお、対物レンズ38は、測定領域44で各方向へ反射した光を集めることができるように、十分な開口径を有するものを用いている。
ビームスプリッタ37で反射した光Lは、分光器40を通過して各波長の光に分光され、光検出器41で受光される。光検出器41は、複数の受光面を有するフォトダイオードアレイ、CCD等によって構成されており、光の分光方向と平行に受光面が並んでいる。よって、分光器40で分光された光を光検出器41で受光することにより、各波長毎の光強度を検出することができる。
データ処理装置42は、フローセル48を照射する光の各波長毎の光強度をデータとして予め与えられている。よって、データ処理装置42により、予め与えられているデータと光検出器41で検出した各波長毎の光強度を比較することで、フローセル48における各波長毎の反射率の分光特性(反射率スペクトル)などを求めることができる。
つぎに、フローセル48の構造を詳細に説明する。図10(a)はフローセル48の構造を示す分解斜視図、図10(b)は組み立てた状態の断面図である。フローセル48は、表面プラズモン共鳴センサ用チップ(以下、センサ用チップという。)39の上にスペーサ53及びカバー54を重ねた三層構造となっている。センサ用チップ39は、基板51の表面全体にAu、Ag等の金属薄膜からなる金属層52を成膜したものであり、金属層52の一部に測定領域44が形成されている。なお、基板51は、スライドガラスやガラス板などが好ましいが、不透明なものであってもよい。また、金属層52は、基板51の表面全面に設ける必要はなく、測定領域44を含む小さな領域のみに形成してもよく、測定領域44のみに形成してもよい。
スペーサ53には、検査試料溶液を通過させるための流路45が形成されており、流路45は測定領域44の上面を通過するように配置されている。カバー54には、流路45の両端に対向する位置において、供給口55と排出口56が開口されている。供給口55には前記送液管46が接続され、ここから流路45内に検査試料溶液を供給する。また、排出口56には前記回収管47が接続され、流路45を通過した検査試料溶液はここから排出され、回収管47へと回収される。なお、未使用と使用済みのフローセル48を区別できるよう、カバー54やスペーサ53は透明または半透明であることが望ましい。
図11(a)は測定領域44を拡大して示す平面図、図11(b)は図11(a)の一部をさらに拡大した図、図11(c)は図11(b)の断面図である。測定領域44においては、金属層52の表面に複数本の微細な凹部57(金属薄膜による凹構造)が形成されている。凹部57は角溝状に形成されており、測定領域44の端から端まで直線状に延びている。また、複数本の凹部57は、互いに平行に配置されている。特に、凹部57は一定のピッチで周期的に形成されていることが望ましい。凹部57の内部は、開口部を除き金属層52によって囲まれており、特に両側の内壁面では金属層52が対向している。また、凹部57の底面の金属層52は平坦に形成されている。
フローセル48内における測定領域44の向きは、光学的な理由からは特に限定されない。例えば図10に示すように凹部57の長手方向が流路45の送液方向と直交するように形成されていてもよく、また凹部57の長手方向が流路45の送液方向と平行となるように形成されていてもよい。
局在SPRセンサ31においては、図12に示すように、偏光板36を透過した直線偏光の光Lが測定領域44に対して垂直に入射し、かつ、直線偏光の光Lの偏光面が凹部57の長手方向と直交するように、フローセル48が配置される。
このような配置のもとで測定領域44に直線偏光の光Lが垂直入射すると、凹部57内に入射した光により、図12に矢印で示すように凹部57の両側壁面間に電界Eが生じる。図12に記入した「+」、「−」は金属層52の表面における電界の正負を表わしており、これは光の電界成分の向きに応じて時間とともに変化する。図13は金属層52の金属微粒子に入射した光Lの電界Eを表わした概略図である。金属微粒子内に光Lが入射すると、金属微粒子pの電子雲eが電界の影響を受けて変位して振動し、金属微粒子の両側壁面に表面プラズモン波が生じる。一方、凹部57を有する金属層52に入射した光は、凹部57の両端において電界Eを生じ、その電界の振動と金属層52内部の自由電子の固有振動が結合することで、局在型SPRが発生する。よって、金属層52に入射した光のエネルギーがSPRによって凹部57へ集中し、金属層52へ入射した光の一部が吸収される。
この結果、光検出器41で受光した光から求めた反射率はある特定の波長(共鳴波長)で小さくなる。この特定の波長は、検査試料溶液の屈折率によって変化するので、反射率の極小点の波長又はその変化を調べることで検査試料溶液に含まれる誘電体物質の屈折率や種類などを検査することができる。また、後述のように、特定のタンパク質を特異的に結合させる抗体などを用いることにより、検査試料溶液に含まれる特定のタンパク質の有無や含有量などを検査することができる。
このような局在SPRセンサ31で、入射した電界の全てを同一の共鳴モードに寄与させるためには、各凹部57をその長手方向が互いに平行となるように形成し、偏光面が各凹部57の長手方向と直交するように直線偏光の光を入射させ、入射光全体を共鳴に寄与させるような構成が効率的であると考えられる。
なお、このようなセンサ用チップ39においては、凹部57の幅や深さが不均一であると、反射率の極小点(下ピーク)の幅が広くなるので、各凹部57の幅や深さは同じであることが望ましい。また、凹部57の配列されているピッチも一定であることが望ましい。従って、凹部57は同じ断面形状のものが周期的に形成されていることが望ましい。
(凹部の形状やサイズとチップ用センサの特性との関係)
従来、金属微粒子どうしを近づけた場合に、金属微粒子間のギャップ部分で非常に強い電界の増強が起きるという報告がなされている。そのため、本発明のセンサ用チップ39にあっても、金属層52の表面に形成された凹部57(以下、凹構造と呼ぶこともある。)において両側の側壁面間を適当な間隔にすれば、両側壁面間に強い分極が生じて凹部57内に強い共鳴電界が発生し、金属微粒子を分散させた従来の局在型表面プラズモン共鳴センサよりも高感度なセンシングを実現できると考えられる。
そこで、まずセンサ用チップ39の試作品を作製して反射率スペクトルを測定することにしたが、それに先だって試作品と同じシミュレーション用モデルを作製し、コンピュータ・シミュレーションにより反射率スペクトルを求めた。
図14は試作品における1単位の凹部57の断面を表している。この試作品では、樹脂製の基板51に形成された窪み58を、底面の幅Bs=85nm、開口部の幅Ws=156nm、深さDs=79nm、側壁面の傾斜角α=79度とした。また、基板51の表面には膜厚がT=39nmの金属層52(Au薄膜)が堆積し、金属層52によって窪み58内に形成された凹部57を、底面の幅Bm=42nm、開口部の幅Wm=113nm、深さDm=89nm、側壁面の傾斜角β=74.5度とした。窪み58及び凹部57は、一定のピッチP=300nmで平行に配列されている。さらに、基板51の屈折率を1.49とし、金属層52に接する検査試料溶液は、屈折率がn=1.00、n=1.33、n=1.36の3通りとした。
このような試作品と同一のシミュレーション用モデルに基づいて、偏光面が凹部57の長手方向に対して直交するようにして直線偏光の光を垂直入射させたときの、反射率スペクトルをRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法によって解析した。図15はこのシミュレーション結果を示す。屈折率がn=1.00の検査試料溶液では、波長が648.8nmで反射率が極小となり、屈折率がn=1.33の検査試料溶液では、波長が859.4nmで反射率が極小となり、屈折率がn=1.36の検査試料溶液では、波長が875.1nmで反射率が極小となる。なお、図15に示した反射率スペクトルにおける紫外線波長から550nm付近までにおける反射率の低下は、Auのバンド間遷移によるものである(図16も同様)。
検査試料溶液の屈折率がn=1.33の場合とn=1.36の場合とでは共鳴波長が15.7nmだけシフトしているので、これから感度を計算すると、このセンサ感度は、
15.7/(1.36−1.33)=522.3nm/RIU
となった。これは、Au微粒子を用いた従来の局在型表面プラズモン共鳴センサの感度(100nm/RIU程度)の約5倍の値である。よって、この結果は非常に高感度なセンシングの可能性を示しており、凹部57内において対向する金属側壁面間で強い共鳴が起きたためであると考えられる。
ついで、実際に製作したセンサ用チップ39の試作品を用いて反射率スペクトルを測定した。試作品は、後述のような製造方法(図29)により作製した。測定は、図9に示したような局在SPRセンサ31を用いて行い、測定試料溶液として屈折率がn=1.00(空気)、n=1.33(水)、n=1.36(エタノール)の3種類のものを用いた。
図16はこの試作品を用いた反射率スペクトルの測定結果を示す。この測定では、屈折率がn=1.00の検査試料溶液では、波長が666.8nmで反射率が極小となり、屈折率がn=1.33の検査試料溶液では、波長が828.0nmで反射率が極小となり、屈折率がn=1.36の検査試料溶液では、波長が844.2nmで反射率が極小となった。
検査試料溶液の屈折率がn=1.33の場合とn=1.36の場合とでは共鳴波長が16.2nmだけシフトしているので、これから感度を計算すると、このセンサ感度は、
16.2/(1.36−1.33)=540nm/RIU
となった。試作品の場合の図16の反射率スペクトルやセンサ感度は、シミュレーションの場合の図15の反射率スペクトルやセンサ感度とよく一致しており、センサ感度(540nm/RIU)は従来の局在型表面プラズモン共鳴センサに比べて非常に高い感度となることが確認された。また、この測定結果からは、シミュレーションの妥当性も支持される。
図17は、凹部57における電界分布をシミュレーションした結果を表している。この電界分布は、検査試料溶液の屈折率を1.33とし、入射光波長を859.4nmとしてFDTD(Finite Difference Time Domain)法により詳細に計算したものである。このモデルは計算機メモリの都合上簡易化したものを使用し、入射電界強度は0.05とした。図17によれば、凹部57内部の側壁面間において電界強度が1.0を超えているから、電界強度が20倍以上に増強されており、電界強度の非常に大きな領域が数十nm以下の空間に集中した局在型SPRが発生していることを確認できた。なお、ここに記載した電界強度と図17に示した電界強度は任意単位のものであり、入射電界強度を基準値0.05としたものである。
しかし、金属層52の凹部57で局在型SPRを起こさせるには、どのような形状、サイズの凹部57であってもよいというわけではない。さらに、実際にバイオセンサとして使用することを想定した場合には、光源の特性、測定対象物の吸光特性、検出系などの点から種々の制約が加わる。そのため、単に金属層の表面に凹構造を設ければ、そのまま局在型表面プラズモン共鳴センサとして使えるという訳ではない。前述のように、これまで金属凹構造内部において発生する局在型SPRについて解析を行った例は非常に少ない。また、これをセンサへと利用した例が無いため、具体的にどのような凹構造にすれば当該センサとして利用でき、高感度なセンサを実現できるかといった点についてはまったく分かっていなかった。
これまでの報告では、局在型SPRの特性(共鳴波長、ピークのシャープさ、感度など)は、金属微粒子の形状、サイズ、材質などによって変化することが知られている。本発明における凹構造でも、実際のセンサへの応用を考えようとすれば、その形状、サイズ等と共鳴特性の相関を把握する必要がある。
このような観点から、凹部57の幅Wm、深さDm、側壁面の傾斜角βと共鳴波長との関係について調べた。ここで用いた金属層52の種類は、可視光域で局在型SPRが発生し、化学的に安定であり、かつ局在型表面プラズモン共鳴センサの材料として最も一般的なAuを用いて解析を行った。
まず、凹部57の幅と深さを変化させた場合の共鳴波長の変化を調べた。図18は凹部57の幅Wmと深さDmをそれぞれ20nmから100nmまで変化させたときの共鳴波長の変化を表している。共鳴波長は、50nm毎に区分された領域で表している。これは、凹部57の側壁面の傾斜角β=90度、ピッチP=280nm、検査試料溶液の屈折率n=1.33として、RCWAによるシミュレーションで解析したものである。
また、図19は凹部57の幅Wmを60nmに固定して、深さDmを20nm、40nm、60nm、80nm、100nmに変化させたときの反射率スペクトルを表したものである。
図18及び図19から分かることは、共鳴波長は特に凹部57の深さDmと相関があり、深さDmが深くなると、共鳴波長は大きな変化率で長波長側へとシフトするということである。これは凹部57の深さが大きくなると多極性のモードの影響が発生し、長波長側へのシフトが起きるためであると考えられる。また、共鳴波長は深さDmほどではないが、凹部57の幅Wmとも相関があり、幅Wmが狭くなると長波長側へシフトする。
バイオセンサとして利用する場合には、水の吸収スペクトルの影響を排除するため、可視光から近赤外までの領域において共鳴吸収を発生させる必要がある。凹部57の深さDmがおおよそ100nm以上になると、水による吸収の強い1000nm以上の波長で共鳴吸収が発生するため、可視光から近赤外までの領域で共鳴を発生させるには、凹部57の深さDmは100nm以下にする必要がある。
ついで、実際に凹部57の深さDmを変えたものを試作して深さDmとの相関を確認した。図20は深さを変えた試作品の凹部57の断面形状を表している。この試作品では、樹脂製の基板51に形成された窪み58を、底面の幅Bs=70nm、開口部の幅Ws=121nm、深さDs=47nm、側壁面の傾斜角α=73度とした。また、基板51の表面には膜厚がT=60nmの金属層52(Au薄膜)が堆積し、金属層52によって窪み58内に形成された凹部57を、底面の幅Bm=47nm、開口部の幅Wm=138nm、深さDm=54nm、側壁面の傾斜角β=70度とした。窪み58及び凹部57は、ピッチP=300nmで平行に配列されている。さらに、基板51の屈折率を1.49とし、金属層52に接する検査試料溶液は、屈折率がn=1.00、n=1.33、n=1.36の3通りとした。この図20の試作品では、図14の試作品の凹部57の深さDmが89nmであるのに対し、凹部57の深さをDm=54nmと浅くしている。
図21は、図20の試作品と同一のモデルを用いて反射率スペクトルをシミュレーション(RCWA法)により求めた結果を表している。また、図22は、図20の試作品を用いて反射率スペクトルを実測した結果を表している。この試作品は、後述のような製造方法(図29)により作製した。また、測定は、図9に示したような局在SPRセンサ31を用いて行い、測定試料溶液として屈折率がn=1.00(空気)、n=1.33(水)、n=1.36(エタノール)の3種類のものを用いた。
図21のシミュレーション結果によれば、検査試料溶液の屈折率がn=1.00のときには共鳴波長は561.5nm、検査試料溶液の屈折率がn=1.33のときには共鳴波長は653.2nm、検査試料溶液の屈折率がn=1.36のときには共鳴波長は665.1nmである。また、図22の実測結果によれば、検査試料溶液の屈折率がn=1.00のときには共鳴波長は557.5nm、検査試料溶液の屈折率がn=1.33のときには共鳴波長は647.6nm、検査試料溶液の屈折率がn=1.36のときには共鳴波長は656.2nmである。ここでもシミュレーションと実測結果とは良好な一致が確認された。
よって、図14の試作品のモデルを用いたシミュレーション結果である図15と、図20の試作品のモデルを用いたシミュレーション結果である図21とを比較すれば、凹部57の深さDmが浅くなると、共鳴波長が短波長側へ変化することが分かる。同様に、図14の試作品を用いた実測結果である図16と、図20の試作品を用いた実測結果である図22とを比較しても、凹部57の深さDmが浅くなると、共鳴波長が短波長側へ変化することが分かる。例えば、図16と図22の実測結果で検査試料溶液の屈折率が1.33の場合を比較すれば、凹部57の深さが89nmから54nmへと浅くなると、共鳴波長が828.0nmから647.6nmへと大きく短波長側へ変化する。
つぎに、凹部57の幅Wmや深さDmとピークの半値幅との関係について調べた。図23にこの結果を示す。図23は凹部57の幅Wmと深さDmを変化させたときのピーク半値幅の大きさをシミュレーションで解析した結果を表わしている。極小値でのピーク半値幅は、つぎのように定義される。図24に示すように、極小点での反射率をRd、当該極小点よりも短波長側に位置する極大点の反射率をRuとし、極小点の両側でその平均値Rc=(Ru+Rd)/2に等しい反射率となる点の波長をλ1、λ2(但し、λ1<λ2)とする。このとき、
λ2−λ1/{(Ru−Rd)/2}
で定義される量をピーク半値幅と呼ぶ。よって、ピーク半値幅が小さいほど極小値でのピークがシャープになるので、共鳴点の検出を高精度に行うことができる。
図23によれば、凹部57の深さDmが深いほど、ピーク半値幅は顕著に広くなることが分かる。これは、凹部57の深さが深くなると、準静電モデルからの乖離が大きくなり、凹部57内での入射光の位相のズレの影響が無視できなくなってピーク半値幅が広がるからであると推定される。また、凹部57の幅Wmに関しても、幅Wmが狭いほどピーク半値幅が狭くなることが分かる。
つぎに、凹部の幅Wmや深さDmとセンサ感度との関係について調べた。図25は凹部57の幅Wmと深さDmを変化させたときのセンサ感度の大きさをシミュレーションで解析した結果を表わしている。
図25によれば、凹部57の深さDmが浅いほど、センサ感度は顕著に低下する。これは、凹部57の深さDmが浅いと表面プラズモンによって発生する共鳴電界の領域が小さくなるため、入射光のエネルギーを有効に利用することができず、感度が低下すると考えられる。なお、凹部57の幅Wmが狭くなると共鳴電界の領域が狭くなるが、その分対向する金属層52の側壁面どうしが近接することにより電界の増強が大きくなる。そのため、凹部57の幅Wmは、深さDmほど感度への影響が顕著でないと考えられる。
これまでに述べた結果を総合すると、凹部57の深さDmは100nm以下であることが必要である。しかし、感度の観点から見ると、図25に示すように深さDmが浅いほど感度が顕著に低下する。よって、凹部57の深さDmは、現実的には20−100nm程度がセンサとして有効であることが分かる。
また、凹部57の幅Wmについても、共鳴点のピークのシャープさから考えると、深さDmの中間点において100nm以下であることが望ましい。ただし、バイオセンサとして用いる場合には、表面にタンパク質のプローブ層や抗体などを形成することを考えると、一般的なタンパク質のサイズが10nm前後であることから、側壁面間には少なくとも20nm程度は隙間が空いている必要がある。そのため、凹部57の幅Wmは20−100nm程度がバイオセンサとしては理想的であることが分かる。
つぎに、凹部57の側壁面の傾斜角βとセンサ感度との相関について調べた。このために、幅Wm=60nm、深さDm=40nm、ピッチP=280nmの凹部57を作製し、その側壁面の傾斜角βを60度から90度まで変化させて感度を測定した。この結果を図26に示す。この図から明らかなように、凹部57の側壁面は垂直に近いほど感度が高くなることが分かる。この理由は、側壁面の傾斜角βが小さくなると、SPRが凹部57の開口側へ広がった状態になり、電界の閉じ込め効果が低減し、その結果、電界増強度が減少して感度が低下するものと予想される。よって、本発明の局在SPRセンサ31で高感度化を実現するには、側壁面の傾斜角βをできるだけ90度に近づけることが望ましい。
凹部57を配列するピッチPに関しては、400nm以上の間隔をあけると入射光の角度によっては回折が生じ、局在型SPRの共鳴ピークと混在してしまう弊害がある。よって、回折を発生させないようにする場合には、400nm以下とすればよい。なお、本発明のセンサ用チップ39では、凹部57の内部で発生する局在型プラモン共鳴であるため、ピッチPが200−400nmの場合には、凹部57のパターン構造と共鳴特性との間に、深さDmや幅Wmを変化させる場合ほどの大きな相関は見られない。
つぎに、凹部57内における金属膜の必要領域について調べた。まず、図27(a)に示すように、屈折率が1.49の基板51の上に膜厚40nmの金属層52を形成し、ここに深さDm=40nm、幅Wm=60nmの凹部57を形成した。この凹部57は両側壁面だけが金属層52によって覆われており、凹部57の底面には金属層52はなく、基板51が露出している。この試作品の上面を水(n=1.33)又はエタノール(n=1.36)で満たして反射率スペクトルを測定したところ図27(b)のような結果を得た。
一方、図28(a)に示すように、屈折率が1.49の基板51の表面に窪み58を形成し、この基板51の上に膜厚40nmの金属層52を形成し、ここに深さDm=45nm、幅Wm=60nmの凹部57を形成した。この凹部57は両側壁面及び底面が金属層52によって覆われている。この試作品の上面を水(n=1.33)又はエタノール(n=1.36)で満たして反射率スペクトルを測定したところ図28(b)のような結果を得た。
図27(b)と図28(b)とを比較すると、図28(b)には波長が660nmあたりにSPRによる極小点が見られるが、図27(b)ではこのようなSPRによる極小点は見られない。従って、図27(a)のように凹部57の底面に金属層52がない場合には、SPRが起きないので、センサとしては凹部57の底面も金属層52によって覆っておく必要がある。
なお、本実施形態では金属層にAuを用いて実験やシミュレーションを行なったが、AuとAgはどちらも可視光域でSPRを発生し、共鳴波長も100nm程度の違いであるので、上記の如き凹部57の形状やサイズはAgについても適用可能である。
(製造方法)
本実施形態によるセンサ用チップ39の製造工程を図29により説明する。まず、Si基板59の上にスピンコータ等によってフォトレジスト60を塗布する。ついで、半導体製造プロセスを利用してフォトレジスト60に基板の窪みと同じ形状の凹パターン61を形成し、多数の凹パターンを有する図29(a)のような原盤を作製する。ここで、半導体製造プロセスとしては、X線リソグラフィー、電子線リソグラフィー、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)などを利用する。電鋳技術を応用して原盤の上に金型62(スタンパ)を作製した。すなわち、図29(b)に示すように、原盤の上にNiを堆積させて金型62を作製した。原盤から剥離された金型62の下面には、図29(c)に示すように、上記原盤の反転形状63が形成される。
ついで、ナノインプリンティング技術を利用して樹脂上に窪みを形成した。すなわち、図29(d)に示すように、ガラス板64の上に熱可塑性樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)を塗布し、これを約120℃以上に加熱した状態で先ほどの金型62でPMMAを押圧し、そのままの状態で常温に戻すことでPMMAを硬化させる。なお、使用する樹脂は紫外線硬化型のものであってもよい。その結果、図29(e)に示すようにPMMAにより成形された基板51の表面に原盤と同じ凹パターンが転写され、基板51の表面に窪み58が成形される。基板51に窪み58を成形する方法としてナノインプリンティングを用いる利点としては、金型62を一枚作製することで、大量の複製品を得ることができ、量産性が非常に高い点と、原盤と同じパターンを高精度に再現性良く得られるという点が挙げられる。また、原盤に耐性の高いものを用いれば、金型62が摩耗した場合には、原盤から新たに金型62を作製することができる。
このようにして得られた複製品の基板51の表面に、スパッタリングによってAu、Ag等の金属を堆積させて窪み58の形状を反映するように金属層52を成膜し、図29(f)のようなセンサ用チップ39の基板部分を得た。ここで、基板51の表面と金属層52の密着性が不十分である場合には、基板51と金属層52の間にTi、Crなどの密着層を設けてもよい。また、反射光の光量を十分得るためには、金属層52の厚さは40nm以上であることが望ましい。ただし、金属層52があまり厚いと、コストや作製スループットが良くないため、現実的には40−100nm程度の膜厚が望ましい。このようにして作製したセンサ用チップ39の基板部分の断面写真(断面構造をAFM、SEMにより求めたもの)を図30に示す。
図26に示したように、凹部57の側壁面の傾斜角βは90度が好ましい。このような凹部57を得るためには、原盤に形成される凹パターン61の側壁面を傾斜角が90度となるように加工する必要がある。垂直性の高い凹パターン61を原盤に加工するには、Si基板59としてウェハ表面が110面の基板を用い、Si基板59の表面をSiO等の保護膜によって覆った後、ドライエッチング等によって凹パターン形成位置で保護膜に開口をあける。そして、当該開口を通してKOH、TMAHなどのエッチャントを用いてSi基板59を異方性ウェットエッチングすれば、側壁面の傾斜角がほぼ90度の凹パターン61をSi基板59に作製することができる。また、Crなどをマスクとして利用し、DRIEなどによってSi基板をドライエッチングしても比較的垂直な凹パターンを作製することが可能である
本発明のセンサ用チップ39では、金属層52の表面に凹部57を設けた構造であるので、例えば上記のようなナノインプリンティング技術を利用して簡便に作製することができ、安価で高精度なセンサ用チップ39を量産することが可能になる。すなわち、従来の局在型表面プラズモン共鳴センサでは、金属微粒子などの金属部が離散的に分布した島構造であったために製造効率が悪かったが、本発明のセンサ用チップ39では、金属が途切れることなく形成された連続構造であるため、基板上に形成した凹部57に金属層52を成膜するだけで効率よくセンサ用チップ39を作製できる。
よって、本発明によれば、前記のように安価かつ高精度にセンサ用チップ39を量産することができ、また、非常に感度の高いセンサ用チップ39を作製することができるので、本発明によれば、金属微粒子による従来の局在型表面プラズモン共鳴センサで課題となっていた感度や量産性等の問題を解決することができる。
(回折格子型の伝搬型表面プラズモン共鳴センサとの比較)
これまで、伝搬型SPRを発生させるための回折格子として金属表面に凹凸を設けた例は数多く報告されている。この一例を図2において説明した。一方、金属層の表面に設けた凹構造の内部で発生する局在型表面プラズモン共鳴センサについての報告例は無く、センサとして具体的に検討するのは、本発明が初めてである。しかし、凹構造を有する点では、回折格子型の伝搬型表面プラズモン共鳴センサと本発明のセンサ用チップは共通しているので、回折格子を有する伝搬型表面プラズモン共鳴センサ(以下、回折格子型伝搬SPRセンサという。)と凹構造を有する局在型表面プラズモン共鳴センサ(以下、凹構造局在SPRセンサという。)の違いを以下に説明する。
まず、パターン形状からいうと、凹構造局在SPRセンサでは側壁面が垂直な凹部が好ましい。凹構造局在SPRセンサでは、凹構造は回折格子として機能させるためのものではなく、その内部で局在型SPRを発生させるものであるため、凹部の幅(Wm)は凹部の配列ピッチ(P)に対して2分の1よりも小さく、隣接する凹部間の平坦面が凹部の幅よりも広くなっていることが望ましい。
凹構造局在SPRセンサの凹構造は回折格子として機能するものではないので、ピッチPは光の波長の1/2以下にすることが望ましい。可視光域の光を使用する場合では、回折光と分離するために、凹部の周期は400nm以下とするのが好ましい。特に、200nm以下にすれば、可視光域のどの波長の光についても回折が起こらなくなる。
凹構造局在SPRセンサでは、感度を上げるためには光を垂直に入射させるのが好ましい。
本発明の凹構造局在SPRセンサでは、センシングエリアが数十nmと狭く、金属層の極く近傍の特定物質だけを高精度に検知可能である。また、凹構造局在SPRセンサでは、凹部内にSPRを閉じ込めることができるので、非常に高い感度を得ることができる。
(変形例)
図31は実施形態1の局在SPRセンサ31の変形例を示す概略図である。図9の実施形態では、センサ用チップ39に直線偏光の光を照射したが、図31の変形例では、センサ用チップ39で反射した光のうちから特定の偏光面の光を取り出すようにしている。すなわち、この変形例では、コリメータレンズ34とコリメータ板35によって細く絞った白色光をビームスプリッタ37に入射させ、ビームスプリッタ37で90度の方向へ反射した光を対物レンズ38によってセンサ用チップ39の測定領域44に集光させている。そして、測定領域44で反射した非偏光の白色光を対物レンズ38に再び透過させて平行光化した後、ビームスプリッタ37を入射させる。ビームスプリッタ37と分光器40の間には偏光板36が配置されており、ビームスプリッタ37を真っ直ぐに透過した光は、偏光板36を通過することによって直線偏光の光となり、分光器40で分光された後に光検出器41で受光される。
ここで、偏光板36は、その偏光方向がセンサ用チップ39に設けられた凹部57の長手方向と直交する向きに配置されている。すなわち、測定領域44で反射した光のうち、凹部57の長手方向と直交する偏光面を有する直線偏光成分だけを透過させるように偏光板36が配置されている。例えば、凹部57の長手方向が図31の紙面に垂直な方向を向いている場合には、偏光板36はその偏光方向が光軸に垂直で紙面と平行になるように配置される。従って、この変形例でも、凹部57の長手方向に垂直な偏光面の光だけを光検出器41で検知することができ、高い検出感度を実現することができる。
なお、この変形例では、投光側と受光側の位置が図9の場合と逆になっているが、その理由はつぎのとおりである。図9のような配置又は図31のような配置から、受光系と投光系との位置を入れ替えれば、ビームスプリッタ37の角度が傾いていた場合には、光検出器41には凹部57の長手方向に垂直な方向から傾いた偏光面の光が入射することになり、センサ感度が低下する。
これに対し、図9の局在SPRセンサ31の場合には、投光系と偏光板がセンサ用チップ39の垂直方向位置にあるので、偏光板36を通過した直線偏光の光がビームスプリッタ37を真っ直ぐに通過する。よって、偏光板36の偏光方向と凹部57の長手方向とが直交するように配置されていれば、ビームスプリッタ37の配置角度に誤差が生じても凹部57に入射する直線偏光の光の偏光面が傾く恐れがない。
同様に、図31の変形例の場合には、受光系と偏光板がセンサ用チップ39の垂直方向位置にあるので、ビームスプリッタ37を真っ直ぐに通過した光偏光板を通過して直線偏光の光となる。よって、偏光板36の偏光方向と凹部57の長手方向とが直交するように配置されていれば、ビームスプリッタ37の配置角度に誤差が生じても凹部57に入射する直線偏光の光の偏光面が傾く恐れがない。
また、実施形態1の局在SPRセンサ31でも上記変形例でも、偏光板を用いることにより凹部57内の金属層52と最も強く共鳴した光を光検出器で検知するようにしたが、場合によっては偏光板を用いないことも可能である。本発明の局在SPRセンサ31では、光検出器41で検知する直線偏光の光の偏光面が凹部57の長手方向に垂直な場合に最もセンサ感度が高くなり、偏光面が凹部57の長手方向に平行となった場合には感度を持たない。よって、偏光板を用いない場合には、局在SPRセンサ31の感度は低下することになる。しかし、測定対象によっては、例えば低感度でも測定できるような反応量の大きな測定対象の場合には使用することが可能である。また、凹部57が円柱状や円筒状のように等方的で長手方向を定めることができない形状を有している場合も、偏光板を用いなくてもよい。
(実施形態2)
本発明の実施形態2によるセンサ用チップ39を説明する。実施形態2のセンサ用チップ39は、凹部57の底面中央部が開口側に向けて盛り上がっていることを特徴としている。
図17に示した凹部57の内部で発生する電界分布を詳細に見ると、凹部57の底部近傍では、あまり電界強度が大きくないことが分かる。これは、凹部57内における電気力線が開口側に膨らんでいるからである。そのため、実施形態1のように凹部57の底面が平坦面になっていると、図32(a)に示すように凹部57の底面にタンパク質等の特定物質が結合したとしても、その特定物質は電界強度の小さな領域に位置することになり、特定物質による屈折率変化はあまり信号変化に寄与しないと考えられる。
そこで、実施形態2のセンサ用チップでは、図32(b)に示すように、凹部57の長手方向に垂直な断面において凹部57の底面の中央部を両端よりも少し浅くし、底面の中央部が開口側へ向けて盛り上がるようにしている。このようにすれば、凹部57の底面にタンパク質等の特定物質が結合した場合には、当該特定物質は凹部57の底面により持ち上げられて電界強度の比較的大きな領域に位置することになり、屈折率変化による信号変化を大きくすることができて感度が向上する。
つぎに、凹部57の底面を底上げする効果をシミュレーションによって確認した。この確認に用いた凹構造モデルの一方は、図33(a)に示すように、平均のパターン幅(Wm+Bm)/2=60nm、深さDm=40nm、側壁面の傾斜角β=75度、ピッチP=300nmの凹部57を有するものであって、その底面は平坦面となっている。もう一方の凹構造モデルは、図33(b)に示すように、同じく平均のパターン幅(Wm+Bm)/2=60nm、深さDm=40nm、側壁面の傾斜角β=75度、ピッチP=300nmの凹部57を有するものであって、その底面は中央が両端よりもK=2nmだけ盛り上がった形状となっている。
上記2つの凹構造モデルに対して、凹部57の底面の中央に直径3.8nm、屈折率1.57の物質65(BSA(ウシ血清アルブミン)を想定)が付着した前後における共鳴波長の変化を調べた。図33(a)のように底面が平坦面であるモデルでは、物質65が付着する前の共鳴波長が630.0852nmであったのに対し、付着後は共鳴波長が630.0873nmとなり、Δλ=0.0021nmだけ信号がシフトした。これに対し、図33(b)のように底面の中央部がK=2nm盛り上がったモデルでは、BSAを想定した物質65が付着する前の共鳴波長が628.4540nmであったのに対し、付着後は共鳴波長が628.4615nmとなり、Δλ=0.0075nmだけ信号がシフトした。従って、凹部57の底面中央を両端よりも2nmだけ盛上げることによって信号変化量が約3.6倍に向上することを確認できた。
つぎに、底面を盛上げる高さ(以下、底上げ高さKと呼ぶ。)を変化させた場合の共鳴波長のシフト量を調べた。この結果を図34に示す。図34から明らかなように、底上げ高さKが6nmまでは、凹部57の底面中央を高くすることによって共鳴波長のシフト量が増加しているが、底上げ高さKが8nmになると、逆に共鳴波長がマイナス側へ変化してしまっている。これは、底面の盛上げ量を大きくし過ぎた結果、凹部57の内部で発生する電界分布を乱してしまい、共鳴現象自体が変化してしまったためであると考えられる。この結果から、底面の中央を盛上げる量は凹部57の深さ全体に対して5%以上20%以下にしておくことが良いことが分かった。
(製造方法)
実施形態2によるセンサ用チップの製造方法を図35により説明する。この製造方法は、図29において説明した実施形態1の製造方法とほぼ同じであるので、主として異なる点を説明する。まず原盤を作製する際に、図35(a)に示すように、Si基板59の上に塗布されたフォトレジスト60に半導体製造プロセスを利用して凹パターン61を形成するとともに、各凹パターン61の底面に円弧状に盛り上がった凸部66を形成する。
ついで、図35(b)のように原盤の上にNiを堆積させて金型62を作製すると、図35(c)に示すように、金型62下面の反転形状63の下面には凹部67ができる。ついで、図35(d)に示すように、この金型62を用いてガラス板64上に塗布されたPMMA(ポリメチルメタクリレート)にナノインプリンティングを行う。そうすると、図35(e)に示すように、PMMAが硬化した基板51の表面には、原盤の凹パターンが転写され、基板51の表面に窪み58が成形され、窪み58の底面には凸部68が成形される。
このようにして得られた複製品の基板51の表面に、スパッタリングによってAu、Ag等の金属を堆積させて窪み58の形状を反映するように金属層52を成膜すると、図35(f)に示すように、窪み58とその底面の凸部68により、金属層52には凹部57とその底面に円弧状の底上げ部69が形成される。
実施形態2によるセンサ用チップの異なる製造方法を図36及び図37に示す。図36(a)は実施形態1の図29(a)−(c)と同様にして製作された金型62を表し、図36(b)、(c)は、図29(d)、(e)と同じ工程を表している。こうして図36(c)に示すような基板51がナノインプリンティング法により成形されると、基板51の表面にはスパッタリングによってAu、Ag等のスパッタ粒子を堆積させて金属層52を成膜する。スパッタ工程においては、チャンバ内部の真空度や基板の回転数を調整することで、スパッタ粒子の角度分布の広がりを調整することができる。このスパッタ工程において、図37に示すように、スパッタ粒子の飛来方向の角度分布にある程度広がりを持たせると、両側に遮蔽物の無い底面の中央では両側から金属粒子が入射するので金属層52の膜厚が厚くなり、片側が遮蔽されている底面の端では片側のみから金属粒子が入射するので金属層52の膜厚が薄くなる。その結果、スパッタリングを行うことで自然に凹部57の底面の中央が盛り上がり、図36(d)に示すように、凹部57の底面に底上げ部69が生じる。
図36及び図37により説明したような製造方法で実製作されたセンサ用チップ39のAFM像を図38に示す。図38において黒く見える部分が凹部57である。また、図39はセンサ用チップ39の断面における金属層表面のプロファイルを表した図である。図39において三角形のマークを施された位置は、図38において三角形のマークを施された位置に対応している。図38及び図39により、図39のようにスパッタリングを行うことで凹部57の底面の中央が両端よりも数nm程度高くなることを確認できた。
(実施形態3)
つぎに、本発明の実施形態2によるセンサ用チップの凹構造を説明する。実施形態3のセンサ用チップにおいては、実施形態1のように凹部57が測定領域44の端から端まで溝状に延びているのでなく、図40に示すように、凹部57を長手方向において複数に分割している。この結果、凹部57は略矩形状の凹構造となっていて、互いに直交する2方向に沿って並んでいる。
凹部57の配列の仕方は、矩形配列(格子状の配列の仕方)でもよく、デルタ配列(図40(b)のような千鳥状の配列の仕方)でもよいが、ここではデルタ配列の場合について説明する。凹部57は、入射光の偏光面と平行な方向においては、実施形態1の場合と同様に一定のピッチPで並んでいるが、偏光面に垂直な方向では凹部57の幅S1と凹部57間の平坦部分の幅S2とは等しくなっている。また、この幅S1=S2は、60nm以上としている。
実施形態3の特徴を実施形態1の場合と比較して説明する。実施形態1の場合には、凹部57が凹溝状に延びているので、特定の誘電体物質を固定化するための有機分子層(例えば、後述のバイオセンサにおける固定化層など)を固定しておいて特定物質の検出を行う場合には、図41(a)(b)においてメッシュ状のハッチングを施した側壁面には当該有機分子層を固定して特定物質の検査に寄与させることができる。しかし、図41(b)で楕円で囲んだような中央部の領域には当該有機分子層を固定することができず、しかもその領域は凹部57の長手方向に沿って延びている。
これに対し、実施形態3では、実施形態1の凹部57を複数個に分割しているので、図42(a)(b)にメッシュ状のハッチングを施した側壁面のみならず、梨地状のハッチングを施した側壁面にも有機分子層を固定することができ、特定物質の検知に寄与する側壁面の面積を増大させることができ、共鳴波長の変化量を大きくすることができる。よって、光の利用効率を維持したままで、局在SPRセンサ31の高感度化が可能になる。
また、入射光の偏光面と垂直な方向において凹部57の幅S1とその間の平坦面の幅S2を等しくしているので、凹部57どうしを十分に離して隣接する凹部57どうしの相互作用によるモードの発生を防ぐことができる。
なお、図43に示すように、凹部57は送液方向と平行となるように配置し、検査試料溶液が流れ込んでくる側(上流側)の傾斜角を流れ出す側(下流側)の傾斜角よりも小さくし、凹部57への検査試料溶液の流れ込みを促進させてもよい。
(実施形態4)
発明にかかる局在SPRセンサは、タンパク質を検出するためのバイオセンサとしても使用することができる。実際にバイオセンサとしての機能を確認するため、図20で説明したような構造の試作品を用いてタンパク質の検出を行った。検出対象の抗原としては、BSA(ウシ血清アルブミン)を用いた。
まず、BSA抗原を特異的に検出するためにはBSA抗体を測定領域44に固定化する必要がある。ここで、局在SPRセンサ31においては、感度領域が数十nmと狭いため、できるだけ薄い固定化層(生体分子を固定するための有機分子層)が要求される。そこで、Orla Protein Technologies社(英国)から販売されている固定化層を用いた。この固定化層73は、図44(b)に示すように抗体と結合する"プロテインA"71とAu表面に自己組織化膜を形成する部位(自己組織化部72)が融合したタンパク質であり、薄い膜で抗体を固定化する表面を形成することができる。
まずこの固定化層73を測定領域44に形成し、その後に20μl/minの速度で送液を行なってBSA抗体(0.03mg/ml)とBSA抗原(0.1mg/ml)を流した。この結果、図44(a)に示すように金属層52の表面に固定された固定化層73に抗体74(BSA抗体)が結合し、抗体74に抗原75(BSA抗原)が特異的に結合され、金属層52の近傍の屈折率が変化するので、図9に示したような局在SPRセンサ31を用いて共鳴波長の変化を測定した。
このときの共鳴波長のシフト量を図45に示す。図45の横軸は経過時間、縦軸は共鳴波長である。図44(a)に示すように、まずBSA抗体が固定化層73に結合し、ついでBSA抗体にBSA抗原が結合すると考えられるので、図45の最初の約1.4nmの共鳴波長シフトはBSA抗体によるものであり、その後の約0.5nmの共鳴波長シフトはBSA抗原によるものである。このように本発明の局在SPRセンサ31によりタンパク質を検出できることが示された。
また、図46(b)に示すように、自己組織化膜形成部位76と抗体74のSingle chain部が融合したタンパク質を用いると、図46(a)のように固定化層をより一層薄く、且つ表面形成プロセスを簡便に行うことができる。反対に、抗原を測定領域に固定化しておけば特定の抗体を検出することが可能である。
さらに、本発明の局在SPRセンサを用いれば、固定化する生体分子を変えることによって、プロテインチップやDNAチップ等のバイオセンサだけでなく、アレルゲンの測定を行う食品センサ、環境センサ、味覚センサ、匂いセンサ、爆薬センサなどへの応用が可能である。
(実施形態5)
バイオセンサの検出感度を大幅に上昇させる方法として、図47に示すようなサンドイッチ法がある。この方法は、抗体74に結合した抗原75に対して、さらに抗体74を反応させることで、より大きな屈折率変化を起こし、感度を数倍に上昇させるものである。
このような方法は公知であるが、公知の方法では、血液などの検体を流した後に、再度、抗体溶液を流す操作は複雑であり、一般家庭用のバイオセンサとしては現実的ではない。また、この方式では、実際の反応量よりも過剰量の抗体を一定時間流す必要があり、コスト、測定時間などに関しても問題がある。
これに対し、本発明のセンサ用チップ39の場合には、図17のような電界分布をとることから、金属層52の表面の数十nm以上の領域においては、入射光の電界以上にはほとんど電界が増強されない。つまり、この領域に存在するタンパク質の屈折率変化はほとんど信号変化に寄与しない。この性質を利用して、センサ用チップ39ではサンドイッチ法による自動的な感度上昇が可能である。すなわち、実施形態4の固定化層73に、図48(a)のように"プロテインA"71と自己組織化部72の間にリンカー部77(数十nm以上の長さを持つ。)を含む長い固定化層78を一定の割合で設けておくことで、図49に示すように増感用の抗体74を信号変化に寄与しない領域に“隠す”ことができる。
ここで、リンカー部77の素材としては、数十nm以上の長さに調製可能であり、図48(b)のように自由な方向に湾曲し、抗体分子の溶液内での移動を妨げないものが適している。具体的には、ポリグリシンや(Gly−Gly−Gly−Ser)などのフレキシブルなペプチドリンカーが考えられる。これらは、プロテインAや自己組織化部を構成するタンパク質(Orla proteinなど)との融合タンパク質として大腸菌内で発現することが可能であるので、作製プロセスやコストが削減できる。また、非特異吸着の少ないポリエチレングリコール鎖(PEG)やデキストランなどの糖鎖、DNAなどをタンパク質の官能基と化学結合させ、リンカーとして用いることも可能である。
このバイオセンサを用いる場合には、図49のように抗体74を直接固定する固定化層73と共にリンカー部77を介して増感用の抗体74を固定する固定化層78を金属層52の表面に固定しておく。この表面に抗原75を含んだ検査試料溶液を流した場合には、まず抗原75が固定化層73の抗体74に結合する。ついで、その抗原75が接着剤の役割を果たし、図50に示すように、リンカー部77が湾曲することでリンカー部77の先に捕捉されていた増感用の抗体74が抗原75に結合して自動的なサンドイッチ反応が起こる。このとき、図14に示した電界の増強が強く発生している領域に増感用の抗体74が移動することで、高い信号変化が起こる。
また、抗原送液後に、送液速度や送液方向をパルス的に変化させることで、長いリンカー部77が湾曲してリンカー部77の先に捕捉されている増感用の抗体74がサンドイッチ反応を起こすきっかけを作っても良い。
このようにリンカー部77を利用することで、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは困難であった自動的なサンドイッチ反応が可能になり、大幅な感度上昇が実現できる。
(実施形態6)
実際の臨床等の使用においては、複数の生体分子の検出を一度に行うことによって診断をハイスループットに行う、精度を向上するといったニーズがある。
このようなニーズに応えるためには、図51に示すように、センサ用チップ39に複数の測定領域44、すなわち測定領域44a、44bを形成しておき、複数の測定領域44a、44bを含む領域(例えば、図51で破線の楕円で囲んだ領域)に入射光を照射するようにすればよい。
各測定領域44a、44bを同じ構造とし、それぞれの測定領域44a、44bに異なるプローブ(抗体など)を固定化することで、一度に複数の生体分子の検出が可能となる。異なるプローブを固定化するためには、スポッター等を用いればよい。
あるいは、各測定領域44a、44bにおける凹部57の幅、深さ、ピッチ、溝の向きなどが異なっていても良い。
複数の測定領域44a、44bを含む領域に入射光を照射したとき、各測定領域44a、44b毎にプローブが異なっていたり、凹部57の幅や深さなどが異なっていると、各測定領域44a、44bごとに共鳴波長が異なるので、図52に示すように複数の反射率のピーク(共鳴波長)が観察される。
それぞれのピークは各測定領域44a、44bにおけるSPRに起因するものであるため、各ピークのシフトを検出することで、一度に各測定領域44上での反応を測定することができる。
このように各測定領域44a、44b毎に凹部57の構造又はプローブを異なるものにしておくことにより、入射光で測定領域44a、44bを一つずつスキャンせずに、一度の照射で複数の測定領域44a、44b上の反応を検出することができる。よって、光をスキャンするための機構等が不要になるため、局在SPRセンサを小型化、かつ安価にできる。
従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは、発生したSPRが金属表面を数μm−数mmの広がりをもって伝搬するため、隣合う測定領域どうしは数百μm以上離しておく必要があり、そのため、センサ用チップを高密度化することができないという課題があった。しかし、本発明のような局在型表面プラズモン共鳴センサでは、発生したSPRは局所的に存在するだけであるため、隣の測定領域プローブとの間隔を数μm程度に近接させておくことが可能であり、複数の測定領域を高密度に配置できるといったメリットがある。
(実施形態7)
図53は、センサ用チップ39に設けられた2つの測定領域44a、44bで、凹部57の長手方向の向きを互いに90度異ならせた場合を表わしている。測定領域44a、44bに入射する直線偏光の光は、凹部57の長さ方向に垂直な偏光面を有するものは大きな感度を持ち、凹部57の長さ方向に垂直な偏光面を有するものはほとんど感度を持たないから、測定領域44a、44bに非偏光の光を照射し、測定領域44a、44bで反射した光を偏光ビームスプリッタ79によって各偏光方向に分離してそれぞれの光検出器で検出することで、各測定領域44a、44bにおける反応をそれぞれ個別に検出することができる。
(実施形態8)
実際の測定においては、試料溶液中に気泡が混入している場合がある。気泡が測定領域に溜まると、大きな屈折率変化が生じ、測定エラーが発生する。経験上、特に測定領域44の境界部において気泡がトラップされることが多い。
気泡によるエラーを回避するためには、測定領域の境界と測定に寄与する領域とを離すために、測定領域を大きくすれば良いが、この方法ではセンサ用チップを製作するための原盤の作製時間が無駄に長くかかってしまう。
図54は、このような問題を解消するため、測定領域よりも送液の上流側に気泡81を捕捉するためのトラップ80を設けたものである。トラップ80としては、例えば送液方と直交する方向に長い1本ないし複数本の凹溝や突起でもよく、測定領域と同じパターンであってもよい。気泡のサイズは大きい場合には数mmサイズとなるため、トラップ80と測定領域44とは1mm以上離しておく方がよい。
(実施形態9)
図55は本発明の実施形態による局在SPRセンサを説明する図である。この実施形態では、測定領域44に白色光を照射するのでなく、特定の2波長λ1、λ2の光を照射するようにしている。この2波長λ1、λ2とは、図55に示すように、反応前には波長λ1における反射率R1aが波長λ2における反射率R2aよりも小さく(R1a<R2a)、反応後には波長λ1における反射率R1bが波長λ2における反射率R2bよりも大きく(R1b>R2b)なるように選ばれたものである。もちろん、光検出器41の受光量を比較してもよい。
かかる実施形態によれば、2つの特定の波長における反射率又は受光量を比較するだけでよいので、特定の物質の有無を検知する用途では簡単に検査を行なうことができる。
図1(a)、(b)、(c)及び(d)は、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサの原理を説明する図である。 図2は、回折格子を用いた従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサの構造を示す概略図である。 図3は、回折格子を用いた従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサにおいて、入射光が回折を起こす様子を表した図である。 図4(a)は、従来の局在型表面プラズモン共鳴センサの構造を示す概略図、図4(b)は図4(a)の局在型表面プラズモン共鳴センサにより測定した吸光度特性の例を示す図である。 図5は、図4の局在型表面プラズモン共鳴センサにより測定された「平均径20nmの金ナノ粒子を堆積したガラス基板を種々の屈折率を持つ液体に浸けたときの吸収スペクトル」を表した図である。 図6(a)は、ガラス基板をコロイド溶液に浸漬して金属微粒子をガラス基板の上に固定する方法により、比較的小さな分布密度で金属微粒子を固定した様子を示す図、図6(b)は、比較的大きな分布密度で基板上に金属微粒子を固定した様子を示す図である。 図7(a)−(f)は、電子ビームを利用して金属微粒子が均一に配列した金属ナノ構造を作製する方法を説明する図である。 図8は、図7の方法により得られた金属微粒子のパターンを示す図である。 図9は、本発明の実施形態1による局在型表面プラズモン共鳴センサの構造を示す図である。 図10(a)は、図9の局在SPRセンサに用いられているフローセルの構造を示す分解斜視図、図10(b)は組み立てた状態の断面図である。 図11(a)は、フローセルの測定領域を示す平面図、図11(b)は図11(a)の一部を拡大した図、図11(c)は図11(b)の断面図である。 図12は、測定領域に入射する光の偏光面と凹部の長手方向との関係を示す断面図である。 図13は、金属微粒子に入射した光の電界を表わした概略図である。 図14は、実施形態1の試作品における、一つの凹部の断面形状を示す図である。 図15は、図14の試作品をシミュレーションして求めた反射率スペクトルを示す図である。 図16は、図14の試作品を用いて実測した反射率スペクトルを示す図である。 図17は、凹部内とその近辺における電界分布をシミュレーションした結果を表した図である。 図18は、凹部の幅Wmと深さDmを変化させたときの共鳴波長の変化を表した図である。 図19は、凹部の幅を60nmに固定して、深さDmを変化させたときの反射率スペクトルを表した図である。 図20は、深さの異なる実施形態1の試作品における、一つの凹部の断面形状を示す図である。 図21は、図20の試作品をシミュレーションして求めた反射率スペクトルを示す図である。 図22は、図20の試作品を用いて実測した反射率スペクトルを示す図である。 図23は、凹部の幅Wmと深さDmを変化させたときのピーク半値幅の変化を表した図である。 図24は、ピーク半値幅の定義を説明するための図である。 図25は、凹部の幅Wmと深さDmを変化させたときのセンサ感度の変化を表した図である。 図26は、凹部の側壁面の傾斜角とセンサ感度との関係を表した図である。 図27(a)は底面に金属層のない凹部を示す断面図、図27(b)はその反射率スペクトルを示す図である。 図28(a)は底面に金属層を有する凹部を示す断面図、図28(b)はその反射率スペクトルを示す図である。 図29(a)−(f)は、実施形態1のセンサ用チップの製造工程を説明する図である。 図30は、図26(a)−(f)の工程により作製したセンサ用チップの断面を表した図である。 図31は、実施形態の局在SPRセンサの変形例を示す概略図である。 図32(a)は、本発明の実施形態1による凹部の断面を示す図である。図32(b)は、本発明の実施形態2による凹部の断面を示す図である。 図33(a)は、本発明の実施形態1の試作品における凹部の断面を示す図である。図33(b)は、本発明の実施形態2の試作品における凹部の断面を示す図である。 図34は、凹部の底面の底上げ高さKと共鳴波長のシフト量Δλとの関係を表した図である。 図35(a)−(f)は、実施形態2のセンサ用チップの製造工程を説明する図である。 図36(a)−(d)は、実施形態2のセンサ用チップの別な製造工程を説明する図である。 図37は、図36の製造工程のうちのスパッタの工程を説明する図である。 図38は、図36及び図37に示した製造方法で実製作されたセンサ用チップのAFM像を示す図である。 図39は、図38のセンサ用チップの断面プロファイルを表した図である。 図40(a)は、本発明の実施形態3のセンサ用チップにおける測定領域44の平面図、図40(b)は図44(a)の一部を拡大した図である。 図41(a)、(b)は、実施形態1の場合における、固定化層などの固定領域を示す平面図及び断面図である。 図42(a)、(b)は、実施形態3の場合における、固定化層などの固定領域を示す平面図及び断面図である。 図43は、検査試料溶液が流れ込んでくる側の側壁面の傾斜角を小さくした凹部57を示す断面図である。 図44(a)は、固定化層を介して抗体や抗原を固定したセンサ用チップを示す部分断面図である。図44(b)は固定化層に固定された抗体と、抗体に特異的に結合した抗原を示す図である。 図45は、固定化層を固定されたセンサ用チップに抗体と抗原を含む検査試料溶液を流したときの、共鳴波長の変化を示す図である。 図46(a)は、自己組織化膜形成部位と抗体のSingle chain部が融合したタンパク質を用いて抗原を固定したセンサ用チップを示す部分断面図である。図44(b)は、自己組織化膜形成部位とSingle chain部が融合した抗体に抗原が特異的に結合した状態を示す図である。 図47(a)は、サンドイッチ法により抗体や抗原を固定したセンサ用チップを示す部分断面図である。図47(b)は抗原を挟んで2つの抗体がつながった様子を示す図である。 図48(a)は、ほぼ真っ直ぐに伸びたリンカー部を示す図、図48(b)は、湾曲したリンカー部を示す図である。 図49は、センサ用チップの金属層に固定されたリンカー部が延びている状態を示す図である。 図49は、センサ用チップの金属層に固定されたリンカー部が湾曲して、リンカー部の先の抗体が、別な抗体に特異的に結合している抗原に結合した状態を示す図である。 図51は、本発明の実施形態6による局在SPRセンサを説明する図である。 図52は、図51の局在SPRセンサにより測定した反射率スペクトルを説明する図である。 図51は、本発明の実施形態7による局在SPRセンサを説明する図である。 図54は、本発明の実施形態8による局在SPRセンサを説明する図である。 図55は、本発明の実施形態9による局在SPRセンサを説明する図である。
符号の説明
31 局在型表面プラズモン共鳴センサ(局在SPRセンサ)
32 光源
36 偏光板
37 ビームスプリッタ
39 センサ用チップ
40 分光器
41 光検出器
42 データ処理装置
43 シリンジポンプ
44、44a、44b 測定領域
45 流路
48 フローセル
51 基板
52 金属層
53 スペーサ
54 カバー
57 凹部
58 窪み
59 Si基板
60 フォトレジスト
62 金型
64 ガラス板
69 底上げ部
71 "プロテインA"
72 自己組織化部
73 固定化層
74 抗体
75 抗原
76 自己組織化膜形成部位
77 リンカー部
78 固定化層
79 偏光ビームスプリッタ
80 トラップ
81 気泡

Claims (21)

  1. 表面プラズモン共鳴センサ用チップと、
    前記表面プラズモン共鳴センサ用チップの表面に、当該チップの表面と垂直に光を照射する光源と、
    前記表面プラズモン共鳴センサ用チップで反射した光を受光する光検出器とからなる表面プラズモン共鳴センサにおいて、
    前記表面プラズモン共鳴センサ用チップは、基板と、前記基板の表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層とを有し、
    前記金属層の表面には溝状をした複数の凹部が形成され、前記凹部の両側壁面は前記基板の主平面に対して75度以上90度未満の傾斜面となっていて、前記凹部の開口部の幅は前記凹部の底面の幅よりも広くなっており、
    前記凹部の両側壁面と底面に前記金属層の表面を有しており、
    前記センサ用チップは、前記凹部の両側壁面の金属層表面に、生体分子を固定化するための有機分子層を形成され、
    前記凹部は、前記凹部内に垂直に入射した光を前記両側壁面の金属層表面で受けることによって前記両側壁面の金属層表面間に局在的な共鳴電界を発生し、
    前記光検出器は、前記光源から出て前記凹部の前記両側壁面の金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記センサ用チップの表面に垂直に入射し、前記金属層の表面の前記凹部を含む領域で反射した直線偏光又は直線偏光成分の光を選択的に受光することにより、前記センサ用チップにおける反射率又は前記光検出器で受光した光強度を測定することを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサ。
  2. 前記光源と前記センサ用チップとの間に偏光板を備え、
    前記センサ用チップの表面に垂直に入射する光が前記偏光板を通過した直線偏光の光であり、前記センサ用チップの表面において前記直線偏光の光の偏光面が、前記凹部の前記対向する金属層表面の延びる方向に直交していることを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  3. 前記センサ用チップと前記光検出器との間に偏光板を備え、
    前記センサ用チップの表面に垂直に入射する光が非直線偏光の光であり、前記金属層の表面で反射した光のうち、前記凹部の前記対向する金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記金属層に入射した直線偏光成分が選択的に前記偏光板を通過することを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  4. 前記凹部が前記基板の主平面に垂直な方向から見て一方向で長い形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  5. 前記凹部は、前記金属層の表面に一定のピッチで配列していることを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  6. 前記凹部の深さが20nm以上100nm以下であり、前記金属層の表面に入射する光の偏光面に平行な方向における前記凹部の幅が20nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  7. 互いに隣接する前記凹部どうしの間隔が、前記金属層の表面に入射する光の波長の2分の1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  8. 互いに隣接する前記凹部どうしの間隔が、400nm以下であることを特徴とする、請求項に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  9. 前記センサ用チップに対して2波長以上の光を垂直に入射させ、前記センサ用チップで反射した各波長の光の反射率又は各波長の光の光強度を前記光検出器で測定することを特徴とする、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサ。
  10. 基板と、
    前記基板の表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層とからなり、
    前記金属層の表面で、当該金属層の表面に垂直に入射した光を受ける表面プラズモン共鳴センサ用チップにおいて、
    前記金属層の表面には溝状をした複数の凹部が形成され、前記凹部の両側壁面は前記基板の主平面に対して75度以上90度未満の傾斜面となっていて、前記凹部の開口部の幅は前記凹部の底面の幅よりも広くなっており、
    前記凹部の両側壁面と底面に前記金属層の表面を有しており、
    前記凹部の両側壁面の金属層表面に、生体分子を固定化するための有機分子層が形成され、
    前記凹部は、前記凹部内に垂直に入射した光を前記両側壁面の金属層表面で受けることによって前記両側壁面の金属層表面間に局在的な共鳴電界を発生し、
    前記凹部の前記両側壁面の金属層表面の延びる方向に直交する偏光面を持って前記金属層の表面に垂直に入射し、前記金属層の表面の前記凹部を含む領域で反射した直線偏光又は直線偏光成分の光を選択的に検知されることを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  11. 前記基板はその表面に複数の窪みを有し、前記金属層は、前記基板表面に設けられた窪みの形状を反映して凹部を形成するよう、前記基板の表面に形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  12. 前記金属層は、前記基板の窪み内に膜厚が40nm以上100nm以下の金属薄膜によって形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  13. 前記凹部の底面の中央部が前記凹部の開口側に向けて盛り上がっていることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  14. 前記盛り上がりの高さが、前記凹部の深さに対して5%以上20%以下であることを特徴とする、請求項13に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  15. 前記凹部は、互いに平行な溝を形成していることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  16. 前記凹部を2方向に沿って配列し、かつ、前記凹部を千鳥状に配置したことを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  17. 前記凹部は、一方の配列方向におけるピッチが当該方向における前記凹部の幅の2倍よりも大きいことを特徴とする、請求項16に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  18. 前記凹部を形成された複数の測定領域を有し、各測定領域毎に前記凹部の深さ、幅または配列ピッチが異なることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  19. 前記有機分子層は、基板表面からの長さが50nm以上の分子と基板表面からの長さが50nmよりも短い分子とからなることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  20. 前記金属層の材質が、Au又はAgであることを特徴とする、請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップ。
  21. 請求項10に記載の表面プラズモン共鳴センサ用チップを製造するための方法であって、
    凸パターンを有するスタンパを製作する工程と、
    未硬化の樹脂に前記スタンパを押圧することによって前記スタンパの凸パターンを当該樹脂に転写し、当該樹脂を硬化させることにより前記基板を成形すると共に前記凸パターンの反転形状によって前記基板の表面に窪みを形成する工程と、
    前記基板の表面に金属を堆積させて前記金属層を形成し、前記窪みの形状を反映して形成された金属層によって前記凹部を形成する工程と、
    からなる表面プラズモン共鳴センサ用チップの製造方法。
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