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JP5349379B2 - 化成処理鋼鈑の製造方法 - Google Patents

化成処理鋼鈑の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化成処理されためっき鋼板に関する。
従来、家電製品や外装建材などに用いられるめっき鋼板として、クロメート処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板が多く用いられてきた。最近では、環境問題に配慮して、クロメート代替素材である有機系ノンクロメート鋼板の開発が盛んである。例えば、ポリウレタン樹脂などを溶融亜鉛めっき鋼板上に塗布し、加熱・乾燥させためっき鋼板は、耐黒変性や耐指紋性などに優れ、有望視されている。
ところが、有機系ノンクロメート鋼板は、樹脂の硬化または架橋反応を利用して、鋼板表面に皮膜を形成した鋼板である。この皮膜形成は、鋼板に有機系ノンクロメート処理液を塗布し、50℃以上、好ましくは100℃以上の高温で乾燥・焼付けを行う必要がある。この乾燥・焼付けは、従来、「熱風乾燥方法」と称される高温の温風を鋼板表面に吹きつける方法によって行われていた。しかし、熱風乾燥方法は、加熱効率が悪かったり、ワキや突沸などの表面欠陥が発生しやすかったりする場合があった。そのため、熱風乾燥方法では、急速加熱をすることができない場合があった。
最近、近赤外線加熱(NIR)と称される加熱方法が知られている。近赤外線とは、0.8μm以上1.5μm未満の波長ピークを有する光であって、近赤外線の熱源装置は、出力制御が容易である。さらに、近赤外線は、中赤外線や遠赤外線よりも熱エネルギーの透過性に優れる。そのため、鋼板に形成した塗膜に近赤外線を照射すると、皮膜表面よりも、むしろ皮膜/鋼板界面が発熱する。そのため、ワキや突沸などの表面欠陥が発生しにくく、皮膜内に溶剤が残存しにくく、経済的な加熱方法である。
めっき鋼板の有機系ノンクロメート化成処理液を近赤外線を用いて加熱する例が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、水溶性高分子と、それに分散した樹脂とを含む皮膜をめっき鋼板の表面に形成し;近赤外線炉により、鋼板到達温度(PMT)を制御しながら加熱して、乾燥・焼付けを行う。
特開2008−229428号公報
特許文献1に開示される近赤外線加熱では、鋼板表面の皮膜を、鋼板/皮膜界面を発熱させて、皮膜の内側から急速加熱することができる。しかしながら、その急速加熱ゆえに、皮膜表面に未反応(未架橋または未硬化)の樹脂が残存しやすいことがあった。皮膜表面に未反応の樹脂が残存すると、耐溶剤性が低下したり、耐アルカリ性が低下したりする。
めっき鋼板は、一般的に形状加工して使用されるため、加工後に、加工油の除去などを目的とした溶剤およびアルカリ脱脂液などにより洗浄される。したがって、めっき鋼板の耐溶剤性や耐アルカリ性が十分でないと、洗浄時に皮膜が脱落して、耐食性が低下する。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、めっき鋼板上に有機系ノンクロメート化成処理液を塗布した後に、近赤外線を用いて加熱する化成処理めっき鋼板の製造方法において、有機系ノンクロメート化成処理液に金属系架橋剤を含有することを特徴とする。それにより、耐溶剤性や耐アルカリ性、さらに耐食性に優れた化成処理めっき鋼板を提供する。
[1] めっき鋼鈑の表面に、有機樹脂と金属系架橋剤とを含有する有機系ノンクロメート化成処理液を塗布するステップと;前記有機系ノンクロメート化成処理液の塗布膜に、ピーク波長が0.8μm以上1.5μm未満の近赤外線を照射して、前記めっき鋼鈑を加熱して、皮膜を形成するステップとを含む、化成処理鋼鈑の製造方法。
[2] 前記金属系架橋剤は、Zr系架橋剤を含む、[1]に記載の化成処理鋼鈑の製造方法。
[3] 前記有機樹脂は、ウレタン系、エポキシ系、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、アクリル樹脂系から選ばれる1種または2種以上、あるいはこれらの樹脂の共重合体または変性物からなる、[1]または[2]に記載の化成処理鋼板の製造方法。
[4] 前記加熱されためっき鋼鈑の鋼鈑到達温度PMTは、50℃以上200℃未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の化成処理鋼鈑の製造方法。
本発明により、有機系ノンクロメート系化成処理皮膜が形成されためっき鋼板であって、耐溶剤性と耐アルカリ性に優れ、かつ耐食性にも優れるめっき鋼板が提供される。
近赤外線(NIR)を説明する図である。 めっき鋼板に形成された皮膜の加熱原理を説明する図である。
本発明のめっき鋼板は、基材となるめっき鋼板の表面に、有機系ノンクロメート化成処理液を塗布して塗布膜を形成する工程と、塗布膜に近赤外線を照射して乾燥する工程と、を含む。
基材となる鋼板は、めっき鋼板である。めっき鋼板の例には、溶融めっき、電気めっき、蒸着めっきなどが施された鋼板が含まれる。溶融めっき鋼板の例には、溶融Zn浴、溶融Zn−Al合金浴、溶融Zn−Al−Mg合金浴、溶融Zn−Mg合金浴、溶融Al浴、または溶融Al−Si合金浴などを用いて、連続めっきもしくは浸漬めっきにより得られるものが含まれる。基材としてのめっき鋼板は、溶融めっき後に合金化処理をした合金化溶融めっき鋼板であってもよい。
電気めっき鋼板の例には、通常の電気Znめっき液、電気Zn合金めっき液、電気Cuめっき液、または電気Snめっき液などを用いて、連続めっき、もしくは浸漬めっき(個別電気めっき法)により得られるものが含まれる。
めっき鋼板に塗布する有機系ノンクロメート化成処理液は、有機樹脂と、金属系架橋剤と、溶媒である水とを含む。
本発明の有機系ノンクロメート化成処理液は、金属系架橋剤を含むことを特徴とする。金属系架橋剤の赤外線吸収ピークは、0.8μm以上1.5μm未満にあることが好ましい。このような波長域に吸収ピークを有する金属系架橋剤を含む有機系ノンクロメート系処理皮膜は、近赤外線の照射により皮膜の品質が向上する。化成処理皮膜中に分散した金属系架橋剤が、近赤外線のエネルギーを直接吸収して一時的に高いエネルギーをもつ(発熱する)ため、皮膜が均一に加熱されるとともに、有機樹脂の硬化または架橋反応が促進されるためであると考えられる。
金属系架橋剤の好ましい例には、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウムなどのZr系架橋剤、フッ化チタンアンモニウム、トリス(アセチルアセトナト)チタン(III)などのTi系架橋剤、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛などのZn系架橋剤、メタクリル酸マグネシウムなどのMg系架橋剤などが含まれる。
金属系架橋剤のより好ましい例はZr系架橋剤である。皮膜の品質がより向上しやすいからである。Zr系架橋剤が皮膜の品質を高める理由は、近赤外線のエネルギーを吸収したZr系架橋剤は、有機樹脂中の水酸基やカルボキシル基などの官能基と反応しやすいためであると推察される。
一方、皮膜中の架橋剤の赤外線吸収ピークが、当該波長域からずれると、架橋剤が近赤外線のエネルギーを吸収せず、皮膜が均一に加熱されない。そのため、有機樹脂の硬化または架橋反応も促進されにくい。
一般的に、有機系架橋剤の赤外線吸収ピークは、0.8μm以上1.5μm未満の範囲にない。そのため、近赤外線を照射しても、皮膜を均一に加熱しにくく、皮膜表面に未反応の樹脂が残存しやすい。そのため、得られる皮膜は耐溶剤性が低下しやすい。また、有機樹脂の架橋が促進されないため、皮膜内にも未反応の樹脂が残存する場合がある。そのため、水、酸性水溶液またはアルカリ脱脂剤などで洗浄したときに、それらが皮膜内部に浸入し、皮膜/鋼板の界面にまで到達することがある。それにより、化成処理鋼板の耐食性や耐アルカリ性が低下することがある。
一方、架橋性を有さない金属化合物であっても、0.8μm以上1.5μm未満の範囲の赤外線吸収ピークを有していれば、皮膜を均一に加熱することができるが、有機樹脂の架橋を促進することができない。そのため、皮膜表面、皮膜内部に未架橋の樹脂が残存しやすい。
有機系ノンクロメート系化成処理液における、金属系架橋剤の含有量は、1g/L以上40g/L以下であることが好ましい。1g/L未満であると、皮膜を均一に加熱しにくい場合がある。一方、40g/Lを越えると、皮膜を透過して皮膜/鋼板界面に到達する光の割合が減少し、皮膜/鋼板界面での発熱量が減少する。それにより、皮膜にワキや突沸が発生しやすくなることがある。
また、有機系ノンクロメート系化成処理液における金属系架橋剤の含有量は、有機樹脂に対する重量比で、0.8〜15%であることが好ましい。金属系架橋剤の含有量が重量比で0.8%未満の場合、金属系架橋剤の架橋促進効果が十分に得られず、皮膜内に未架橋の樹脂が残存しやすい。一方、金属系架橋剤の含有量が重量比で15%以上の場合、処理液安定性に劣る。
有機系ノンクロメート系化成処理液に含まれる有機樹脂の例には、ウレタン系、エポキシ系、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、アクリル樹脂系から選ばれる1種または2種以上、あるいはこれらの樹脂の共重合体または変性物が含まれるが、好ましくはウレタン系樹脂またはその変性物である。
ウレタン系樹脂とは、有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂である。有機ポリイソシアネート化合物の例には、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ジシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなどが含まれる。ポリオール化合物の例には、ポリエステルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリブタジエン系などのポリオレフィンポリオールなどが含まれる。ウレタン樹脂は、水溶性または水分散性を有することが好ましい。有機系ノンクロメート化成処理液として調製しやすいからである。
ウレタン系樹脂は自己乳化型ウレタン樹脂であってもよい。自己乳化型ウレタン樹脂は、カルボン酸などの親水基を分子中に導入することによって作製される。自己乳化型ウレタン樹脂は、導入した親水基に応じてアニオン性、カチオン性、またはノニオン性となる。たとえば、ポリエチレングリコール,イソシアネートなどをポリマー骨格に導入するとノニオン性に;スルホン酸基,カルボキシル基等を導入するとアニオン性に;アミノ基等を導入するとカチオン性になる。
有機系ノンクロメート系化成処理液に、リン酸塩を添加したり、オキシカルボン酸やシランカップリング剤などを添加した場合、アニオン性またはカチオン性のウレタン樹脂は凝集してゲル化することがあるが、ノニオン性のウレタン樹脂は凝集が生じにくい。そのため、ノニオン性のウレタン樹脂を用いることが好ましい場合があり、例えばウレタン樹脂の一部(重量比1/2以上)をノニオン性のウレタン樹脂とすると好ましい場合がある。もちろん、凝集を抑制できれば、アニオン性またはカチオン性のウレタン樹脂を用いてもよい。
有機系ノンクロメート系化成処理液における有機樹脂の濃度は40〜350g/Lであることが好ましい。処理液中の有機樹脂の濃度が40g/L以下の場合、処理液を塗布、乾燥した際に均一な皮膜を得られず、製造性に劣る。また、処理液中の有機樹脂の濃度が350g/L以上の場合、処理液安定性に劣る。
有機系ノンクロメート系化成処理液は、任意の添加剤を含有してもよい。添加剤を添加することにより、皮膜の緻密性の向上、耐食性の向上、塗装性の向上などが実現されうる。添加剤の例には、タンニン酸、チオールなどのキレート剤、シランカップリング剤、バルブメタル塩、リン酸化合物などが含まれる。
バルブメタルの例には、Ti、V、Nb、Ta、Mo、Wなどが含まれる。バルブメタル塩は、バルブメタルのハロゲン化物、酸素酸塩、フッ化物などでありうる。
リン酸化合物は、防錆剤などとして添加されうるものであり、リン酸構造を有する化合物であれば特に限定されず、例えばオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸(二リン酸)、三リン酸、四リン酸などである。リン酸化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機系ノンクロメート化成処理液をめっき鋼板に塗布する手段は特に限定されず、一般的な塗布手段を採用してもよく、例えば、ロールコータ、リンガーロール、バーコータなどを用いて塗布すればよい。
有機系ノンクロメート化成処理液のめっき鋼板への塗布量は、化成処理皮膜の皮膜量が0.1〜3.0g/mとなるように調整することが好ましく、あるいは化成処理皮膜の厚さが0.1〜3μmとなるように調整することが好ましい。
本発明は、めっき鋼板に有機系ノンクロメート系化成処理液を塗布して形成した塗膜に、近赤外線を照射することを特徴とする。近赤外線を照射することで塗膜に含まれる溶媒(水など)が揮発し、さらに樹脂が架橋して皮膜を形成する。
図1は、近赤外線(NIR)を説明する図である。図1に示すように、近赤外線とは、赤外領域波長のうち、短波長帯の0.8μm以上1.5μm未満の赤外線をいう。本発明における近赤外線とは、0.8μm以上1.5μm未満のピークを有する赤外線をいう。
図2A〜Cを参照して、めっき鋼板に形成した化成処理液の塗膜に近赤外線を照射したときの加熱原理を、模式的に説明する。
近赤外線の照射による加熱原理は、皮膜中にエネルギーが共振吸収され、吸収されたエネルギーが分子および原子を振動させて、振動した分子間で熱摩擦が発生して加熱される、というものである。図2Aに示すように、皮膜に照射した近赤外線100は、皮膜20とめっき鋼板10との界面で吸収される。そのため界面で発熱が生じ、皮膜20を内部から加熱することができる。また、近赤外線100の出力制御は容易で、経済的でもある。
皮膜20を内部から加熱することで、皮膜表面にワキや突沸などが生じにくいというメリットが得られる。一方で、皮膜20を内部から加熱するために、皮膜表面に未架橋または未硬化の樹脂が残存することがある。特に、急速に皮膜を加熱した場合に、皮膜20の表面に未反応樹脂が残存することが多い。
本発明の有機系ノンクロメート化成処理液には金属系架橋剤を添加しているため、図2Bに示すように、皮膜20にも金属系架橋剤30が分散している。そのため、皮膜20に照射された近赤外線100の一部は皮膜20/めっき鋼板10の界面に到達することなく、皮膜20に分散した金属系架橋剤30に吸収され、金属系架橋剤30を発熱させる。そのため、皮膜20を内部から加熱するとともに、皮膜20の全体が加熱されるため、皮膜20に未架橋または未硬化の樹脂が残存しにくい。
このように、本発明は、有機系ノンクロメート系処理液に金属系架橋剤を添加し、かつその塗膜を近赤外線により加熱することで、皮膜を内部から加熱しつつ、皮膜全体を均一に加熱することで、高品質の化成処理皮膜を得ることができる。
一方、従来の熱風加熱や赤外線加熱では、図2Cに示されるように、熱エネルギー110が皮膜20の表面で吸収されるため、皮膜表面で発熱が生じ、皮膜を外側から加熱する。そのため、皮膜表面にワキや突沸が生じやすい。
近赤外線を照射するときの鋼板到達温度PMTの範囲は、有機クロメート系化成処理液の溶媒を揮発させることができ、かつ有機樹脂を架橋させ、分解を抑制可能な温度であり、50℃以上200℃未満であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることがより好ましい。有機クロメート系化成処理液の溶媒(水など)を揮発させるには、50℃以上のPMTが現実的に必要である。一方、200℃以上のPMTにすると、有機クロメート系化成処理液中の有機樹脂が分解することがある。さらに、140℃以上180℃以下のPMTでは、有機樹脂の架橋が促進しやすく、強固な皮膜が得られやすい。
近赤外線の照射による鋼板温度の昇温速度は、特に制限されないが、本発明によれば上昇速度を高めることができる。昇温速度は50℃/s以上、200℃/s以下とすることができる。このように、本発明によれば、従来の熱風乾燥などと比較して急速加熱することができることはもちろんであるが、従来の近赤外線加熱と比較しても急速加熱することができる。それにより、化成処理めっき鋼板の生産性が顕著に向上する。
処理用基材の用意:以下の2種類のめっき鋼板を用意して処理用基材とした。
Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金溶融めっき鋼板A(板厚0.5mm、片面あたりのめっき付着量50mg/m)と、Zn−55質量%Al合金溶融めっき鋼板B(板厚0.5mm、片面あたりのめっき付着量50mg/m)とを、脱脂および酸洗した。
処理液の調製
表1に示される組成比率の有機系ノンクロメート系処理液を調製した。処理液aおよびbは、Zr以外の金属系架橋剤を含む有機系ノンクロメート系処理液;処理液cおよびdは、Zr系架橋剤を含む有機系ノンクロメート系処理液;処理液eは、架橋剤を含まない有機系ノンクロメート系処理液;処理液fは、有機系架橋剤を含む有機系ノンクロメート系処理液;処理液gは、架橋剤ではない金属化合物を含む有機系ノンクロメート系処理液である。処理液bおよびdには、防錆剤であるリン酸塩を添加した。
Figure 0005349379
化成処理めっき鋼板の製造
各処理用基材(めっき鋼板AおよびB)に、有機系ノンクロメート化成処理液a〜gを塗布し、水洗することなく近赤外線オーブンまたは熱風乾燥オーブンに装入した。
めっき鋼板Aに、有機系ノンクロメート化成処理液a〜gを塗布した例が表2に示され;めっき鋼板Bに、有機系ノンクロメート化成処理液a〜gを塗布した例が表3に示される。それぞれの例について、耐食性試験(SST)の結果、耐溶剤性試験の結果、耐アルカリ性試験の結果とを示す。
耐食性試験(SST)
化成処理めっき鋼板から試験片を切り出し、耐食性試験を行った。試験片の端面をシールして、JIS Z2371に準拠して、35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を120時間、240時間、360時間、480時間継続した後、試験片表面に発生した白錆を観察した。
試験片表面に占める白錆の面積率が5%未満である場合を◎;5%以上10%未満である場合を○;10%以上30%未満である場合を△;30%以上50%未満である場合を▲;50%以上である場合を×と評価した。
耐溶剤性試験
化成処理めっき鋼板から試験片を切り出し、耐溶剤性試験を行った。試験片に、エタノールを滴下したフェルトを、荷重500gで5往復擦ったのち、外観を観察した。
試験片の外観が試験前後で変化がないものを○;注視することで変化が確認できるものを△;外観の変化が明らかなものを×と評価した。
耐アルカリ性試験
化成処理めっき鋼板から試験片を切り出し、耐アルカリ性試験を行った。pH12に調整したSD−270(日本パーカライジング社製)に、試験片を2分間浸漬した。浸漬後の試験片を水洗・乾燥して、試験片表面の皮膜残存率を測定した。
試験片表面における皮膜残存率が100%である場合を◎;75%以上100%未満である場合を○;50%以上75%未満である場合を△;0%以上50%未満である場合を×として評価した。
Figure 0005349379
表2に示されるように、金属系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート化成処理液(処理液a〜d)を塗布して、近赤外線を照射して適温(鋼板到達温度PMT=80℃〜190℃)にて乾燥させた場合(No1〜8)は、架橋剤および架橋剤以外の金属化合物を含まず、有機樹脂のみを含む有機系ノンクロメート化成処理液(処理液e)を塗布して、近赤外線を照射して鋼板到達温度を160℃にて乾燥させた場合(No9)と比較して、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性とも優れることがわかる。処理液eでは、金属系架橋剤による有機樹脂の架橋促進効果、金属化合物による皮膜の均一加熱が十分でないため、皮膜性能が低下したと考えられる。
特に、Zr系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート系処理液(処理液cおよびd)を塗布して、近赤外線を照射して鋼板到達温度PMTを160℃として乾燥させた場合(No4および7)は、アクリル酸亜鉛またはメタクリル酸マグネシウムを含有する有機系ノンクロメート系処理液(処理液aおよびb)を塗布して、近赤外線を照射して鋼板到達温度PMTを160℃として乾燥させた場合(No1および2)と比較して、耐食性、耐溶剤性、および耐アルカリ性とも総じて優れていた。
また、表2に示されるように、No1〜8の場合は、有機系架橋剤を含む化成処理液(処理液f)を塗布して、近赤外線を照射して鋼板到達温度を160℃として乾燥させた場合(No10)と比較して、耐食性および耐溶剤性に劣ることがわかる。これは、有機系架橋剤が近赤外線を吸収せず、金属系架橋剤を含有させたときのように皮膜が均一に加熱されず、皮膜表面に未反応の樹脂が残存したものと考えられる。
さらに、表2に示されるように、No1〜8の場合は、架橋剤以外の金属化合物を含む化成処理液(処理液g)を塗布して、近赤外線を照射して鋼板到達温度を160℃にて乾燥させた場合(No11)と比較して、耐食性、耐アルカリ性に優れることがわかる。これは架橋剤でない金属化合物により、皮膜を均一に加熱することができるものの、有機樹脂の架橋が十分でないことを示す。
なお、表2に示されるように、金属系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート化成処理液(処理液c)を塗布して、近赤外線を照射して乾燥させた場合であっても、その乾燥温度が低すぎると(No12)、溶媒が揮発せず皮膜化できない。一方、その乾燥温度が高すぎたりすると(No13)、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性が低下した。有機樹脂が熱分解したためであると考えられる。
さらに、No1〜8の場合は、金属系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート化成処理液(処理液c)を塗布して、熱風乾燥方式にて鋼板到達温度を160℃にて乾燥させた場合(No14)と比較して、耐食性と耐溶剤性に優れる。熱風乾燥方式の場合には、皮膜表面から乾燥していくため、皮膜内部に溶媒が残存しやすく、皮膜密度が緻密にならないためである。
さらには、金属系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート化成処理液(処理液c)を塗布して、熱風乾燥方式にて鋼板昇温速度を40℃/sとし、後半到達温度を160℃として乾燥させた場合(No15)には、皮膜にワキや突沸が発生した。
Figure 0005349379
表3に示されるように、めっき鋼板Bに、有機系ノンクロメート化成処理液a〜gを塗布した場合も、金属系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート化成処理液(処理液a〜d)を塗布して、近赤外線を照射して適温(鋼板到達温度PMT=80℃〜190℃)にて乾燥させた場合(No1〜8)は、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性とも優れることがわかる。とりわけ、Zr系架橋剤を含有する有機系ノンクロメート系処理液(処理液cおよびd)を用いた場合に、より顕著に耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性が向上することがわかる。
本発明により提供される化成処理めっき鋼板は、高度の耐食性と、耐アルカリ性、耐溶剤性とを有するので、その加工工程においてアルカリ脱脂や溶剤洗浄が行われても、高耐食性が維持される。よって、耐食性が必要とされる環境での使用に好適である。
10 めっき鋼板
20 皮膜
30 金属系架橋剤
100 近赤外線
110 熱エネルギー

Claims (4)

  1. めっき鋼鈑の表面に、有機樹脂と金属系架橋剤とを含有する有機系ノンクロメート化成処理液を塗布するステップと、
    前記有機系ノンクロメート化成処理液の塗布膜に、ピーク波長が0.8μm以上1.5μm未満の近赤外線を照射して、前記めっき鋼鈑を加熱して皮膜を形成するステップと、
    を含む、化成処理鋼鈑の製造方法。
  2. 前記金属系架橋剤は、Zr系架橋剤を含む、請求項1に記載の化成処理鋼鈑の製造方法。
  3. 前記有機樹脂は、ウレタン系、エポキシ系、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、アクリル樹脂系から選ばれる1種または2種以上、あるいはこれらの樹脂の共重合体または変性物からなる、請求項1または2に記載の化成処理鋼板の製造方法。
  4. 前記加熱されためっき鋼鈑の鋼鈑到達温度PMTは、50℃以上200℃未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化成処理鋼鈑の製造方法。
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