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JP5328004B2 - 膵島保存方法、膵島保存用容器及び膵島移植用キット - Google Patents

膵島保存方法、膵島保存用容器及び膵島移植用キット Download PDF

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Description

本発明は、膵島保存方法に関する。詳細には、生体から分離精製された膵島を含む液を容器内に保存する工程を含み、当該容器は酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなることを特徴とする膵島保存方法に関する。さらに本発明は、膵島保存用容器及び膵島移植用キットにも及ぶ。
糖尿病は膵臓の機能の中で血糖をコントロールする働きが障害されて起こる病気であり、主にI型糖尿病と、II型糖尿病の2つのタイプが存在する。I型糖尿病は、比較的若くに発症し、自己免疫反応によりインスリンを産生する細胞が強く侵される症状を起こすのに対し、II型糖尿病は中高年で発症し、インスリンの利用が上手くできない事に起因している。わが国では糖尿病患者の5%はI型糖尿病であり、約30万人いると推定されている。これらの糖尿病患者は、インスリン療法により血糖をコントロールしているが、腎症、網膜症及び神経障害などの合併症の発症を免れる訳ではない。さらに、インスリン療法でも血糖のコントロールができない症例も少なくない。
以上に挙げた問題を根本的に解決するための治療方法として膵臓移植が挙げられる。しかしながら、膵臓移植は、移植手術時における患者への負担が大きく、移植後も強力な免疫抑制剤を投与しなくてはならないため、発癌リスクが高いなどの問題がある。
このような膵臓移植に成り代わる新規な移植療法として、近年、膵島(ランゲルハンス島ともいう)移植技術が精力的に研究されている。膵島とは、膵臓の組織内に島状に散在し、インスリンを分泌するβ細胞含む内分泌性細胞群をいう。また、膵島移植とは、ドナーから提供された膵臓から膵島を分離し、当該膵島の分散液を調製した後、当該分散液を経皮的に患者に投与する移植療法をいい、2000年にカナダのエドモントンにあるアルバータ大学により画期的な新プロコトールが確立された(エドモントンプロトコール:CURRENT HUMAN ISLET ISOLATION PROTOCOL、非特許文献1)。
わが国における膵島移植の現状は、2004年4月に京都大学移植外科で日本で初めての心停止ドナーからの膵島移植に成功した。今後より多くの臨床的な症例を重ねる必要がある。そして、医療業界に参画する企業はこれに協力する必要がある。わが国において膵島移植に関連する特許出願は数少ないが、例えば、比重液としてゼラチン溶液を用いる発明が開示されている(特許文献1)。
膵島移植には、以下のようなメリットがある。
・経皮的な投与であるため、移植手術時における患者への負担が小さい(開腹手術や全身麻酔を必要としない。)。
・免疫拒絶反応が起きても、β細胞が消滅するため、グラフト除去を行う必要がない。
・移植後の患者は、免疫抑制剤の投与が少量で済む。
・心停止又は動脈硬化による死亡した臓器提供者など、膵臓移植では適用されない臓器提供者の膵臓でも適用できる。
しかしながら、ドナーから膵臓を摘出する手術の処置から、移植用の膵島の調製を行うまでには、約10〜18時間の時間を要する。このため、調製された膵島はその生命力を失わないよう、適切に保存される必要があるが、保存は培養用のフラスコやシャーレなどのポリスチレン製器具で行われていたのが従来の方法であった。
しかしながら、膵島を構成するβ細胞の多くは、膵島の分離精製後から約24時間程度で失活又は死滅するため、膵島の調製から移植手術完了までには、時間的制限があることが判明している。例えば、膵島移植の準備が整ったとしても、患者の体調が優れないなどの理由で移植手術ができないことがあり、β細胞が失活又は死滅してしまうおそれがある。従来、保存容器として使用されているポリスチレン製の培養用シャーレやフラスコでは、酸素の透過性が低いため、容器内に大量の空気が必要となり、膵島を懸濁した膵島懸濁液は容器内に少量しか入れることが出来なかった。例えば100mmシャーレでは5ml程度の膵島懸濁液しか保存できない。そのため一個の膵臓から分離した膵島を保存するのに、100枚程度のシャーレを使用しなくてはならず、大きな手間がかかっていた。また、シャーレやフラスコでは、膵島が容器の壁面に付着することがあり、膵島を損失する原因となっている。さらに、ポリスチレン製の容器は、蓋や螺合式の脱着可能なキャップを有しており、密封性がないために、細菌やウイルスに汚染されるおそれもある。このような問題により、β細胞の失活、死滅、損失、汚染及び/又は感染してしまっては、臓器提供者の意思も尊重されないこととなる。
また、膵島移植時には一個一個のシャーレやフラスコから、膵島を随時回収し、塩化ビニル性のバッグに一時的に貯蔵し、手術室に持ち運んでいた。具体的には、シャーレやフラスコからは市販のピペットやシリンジで膵島液を吸引し、バッグのポートにゴム混注付きのプラスチック針などを穿刺して、そこに針付きシリンジで膵島を流し込んでいる。しかしながら、保管数量が多いと回収とバッグへの注入作業を何度も行わなくてはならないため、時間がかかり、また細菌汚染のリスクがあった。
特開平05−229951号公報 CURRENT HUMAN ISLET ISOLATION PROTOCOL(編集:JONATHAN et al., 出版:Medical Review Co., Ltd)
本発明の課題は、膵島を有効に保存するための方法及び容器、移植を安全にできるキットを提供することである。
本発明者は、膵島の分離精製後も有効にβ細胞の活性を維持する環境で保存することについて鋭意検討し、適切な酸素透過係数からなる膵島保存容器を用いて膵島を保存すると膵島を効果的に保存しうることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下からなる。
1.膵島を保存する方法であって、
生体から分離精製された膵島を含む液を容器内に保存する工程を含み、
前記容器の壁面の少なくとも一部は酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなることを特徴とする膵島保存方法。
2.前記容器の壁面の少なくとも一部は二酸化炭素透過係数が1000〜20000cm/m・day・atm以上のフィルムからなることを特徴とする前項1に記載の膵島保存方法。
3.前記フィルムが、
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンド、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマー、並びに、ポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーからなる群より選択される少なくとも1であることを特徴とする前項1又は2に記載の膵島保存方法。
4.前記フィルムの純水接触角が85度以上であることを特徴とする前項1〜3の何れか一つに記載の膵島保存方法。
5.さらに、保存液交換用フィルターを備えてなることを特徴とする前項1〜4の何れか一つに記載の膵島保存方法。
6.前記容器が2枚の前記フィルムで製造されてなるバッグ状形態であり、
さらに液を注排出するポートを備え、前記容器のシール辺縁部がポートに向かってテーパーであることを特徴とする前項1〜5の何れか一つに記載の膵島保存方法。
7.前記容器が2枚の前記フィルムで製造されてなるバッグ状形態であり、
前記容器に収容する膵島を含む液量は、
前記膵島を含む液が前記容器の内に収容され、水平な平面に前記容器のフィルム面が当該平面と当接するように載置されたときの前記2枚のフィルム間の距離である容器厚みの最大値が3〜10mmの範囲内となる量であることを特徴とする前項1〜6の何れか一つに記載の膵島保存方法。
8.前項1〜7の何れか一つに記載の膵島保存方法に使用される前記容器を含むことを特徴とする膵島保存用容器。
9.膵島を移植するためのキットであって、
前項8に記載の膵島保存用容器と、
膵島移植用溶液を調製し、当該膵島移植用溶液を投与するための第1の容器と、
膵島移植用溶液の溶媒をあらかじめ収容した第2の容器と、
再連通可能な閉鎖手段を具備し、前記第1の容器と前記第2の容器とを連通する連通手段と、
を備えたことを特徴とする膵島移植用キット。
10.前記第1の容器の壁面の少なくとも一部は、酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなることを特徴とする前項9に記載の膵島移植用キット。
11.前記第2の容器の壁面の少なくとも一部が、酸素透過係数が10cm/m・day・atm以下、かつ水蒸気透過性が10g/m・day・atm以下のフィルムからなることを特徴とする前項9に記載の膵島移植用キット。
12.前記フィルムが延伸ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステル、ポリ塩化ビニルコートポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)コポリマー、アルミ蒸着ポリエステル、シリカコートポリエステルからなる群から選択される少なくとも一つのフィルムを含むことを特徴とする前項11に記載の膵島移植用キット。
本発明の方法及び容器によれば、膵島を長期にわたり保存することができる。したがって、膵島調製後から移植手術までの時間的余裕が生じるために、術者に負担をかけることがない。また、患者の体調が万全の状態で移植手術に望むことができる。さらに保存不良によりβ細胞の失活、死滅及び損失のリスクが激減するために、臓器提供者の意思が尊重される。
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の膵島保存用容器とは、膵臓から分離精製された膵島を収容・保存するための容器をいう。当該容器は、ハウジング形状又はバッグ形状(バッグ状形態をいう。)のどちらであってもよいが、製造が容易であり、廃棄の際にかさばらない観点からバッグ形状が好ましい。また、必要に応じて適当な部品を具備してもよい。例えば、容器1がハウジング形状である場合、当該ハウジングの口部に螺合する螺合蓋を具備してもよい。例えば、図1に示すように容器1がバッグ形状である場合、収納する液を注入・排出するためのポート12を具備してもよい。この場合、ヒートシール法などによりヒートシールされている2枚のフィルムの縁部(シール辺縁部)を含む構造がポート12に向かってテーパー13を形成していてもよい。
容器1のサイズは取り扱いの容易性やインキュベーターのサイズから、1辺が150〜250mm、もう1辺が300〜400mm程度が好ましい。バッグ形状の容器1に充填する溶液量は、酸素が十分に液中に拡散し、且つ、膵島が容器壁面に付着しないように、容器1を水平状態で静置したときの2枚のフィルム間の距離である容器1の厚みが3〜10mm、好ましくは4〜8mmになるような溶液量が好ましい。前記厚みが3mmより小さいと、膵島が容器壁面に付着するおそれがあり、10mmより大きいと、酸素が溶液中に拡散しにくくなるおそれがあるからである。この時の溶液量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、約200〜600ml、より好ましくは約300〜500mlである。また、溶液量は、容器1の容積の5〜40%、好ましくは7.5〜30%程度であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の膵島保存用容器1は、容器の壁面の少なくとも一部が、酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなることを特徴とする。容器の壁面とは、当該容器1に収容する液体が接触する面をいう。また、容器1の壁面の少なくとも一部とは、フィルム全体が必ずしも上記酸素透過係数を有している必要はないことを意味するが、フィルム全体が上記酸素透過係数を有していてもよい。具体的には、容器1の壁面の全面積を100%とした場合、5%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは80%で以上であるが、容器の製造が容易である観点から、最も好ましいのはフィルム全体が上記酸素透過係数を有する100%である。
酸素透過係数は2500cm/m・day・atm以上であれば上限は特に限定されるものはないが、2500〜4000cm/m・day・atm、好ましくは3000〜3500cm/m・day・atmである。上記酸素透過係数は、JISのK7126−1987差圧法により測定することができる。フィルムの酸素透過係数が2500cm/m・day・atmよりも低いと、膵島の保存結果は思わしくなく、膵島の分離精製から膵島移植までに時間がかかった場合、β細胞が失活するおそれがある。
また、容器1に収容する膵島保存液が炭酸水素ナトリウムによる緩衝能を有するものである場合、当該保存液のpHを維持する観点から、本発明の膵島保存用容器は、容器1の壁面の少なくとも一部が二酸化炭素透過係数が、1000〜20000cm/m・day・atmのフィルムであることが好ましい。二酸化炭素透過係数は、1000〜20000cm/m・day・atmであればよいが、好ましくは3000〜11500cm/m・day・atmであり、さらに好ましくは5000〜10000cm/m・day・atmである。
上記酸素透過係数を満足する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンド、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマー、並びに、ポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーなどが挙げられる。これらの中でも低密度ポリエチレン並びに低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンドなどの少なくとも低密度ポリエチレンを含む材料が好ましい。これらの材料は、ガンマ線滅菌に耐えうるものであり、かつ内部の様子を観察することができる透明性の高い材料である。
以上に説明した酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなる容器本体の製造は、使用される材料の物性等を考慮して当業者が適宜設定できるものであるため特に限定されるものではないが、例えば、バッグ形状で製造する場合は、製造コスト及び製造が容易である観点からヒートシール法により製造することができる。ヒートシール幅は、内容物が漏洩しない程度でよく、約2〜20mm、好ましくは約5〜10mmである。
さらに、保存中の膵島が容器壁面に付着することによる膵島の損失を防止することが好ましい。膵島の容器1の壁面への付着防止は、容器1を形成する上記フィルムの純水接触角約85度以上であればよいが、具体的には約85〜100度、好ましくは約90〜100度とすればよい。純水接触角が85度より低い場合、膵島がフィルムに付着する場合がある。接触角の測定は、例えば、接触角計および光学顕微鏡などにより行うことができるが、これに限定されるものではない。このような好適な材料は、上述した低密度ポリエチレン並びに低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンドなどの少なくとも低密度ポリエチレンを含む材料が挙げられる。
また、本発明の膵島保存容器1には保存液交換用フィルターをさらに備えることが好ましい。保存液交換用フィルターとは、膵島は通過することができないが、膵島を分散する液体(保存液)は通過することができるフィルターをいい、容易に容器内の保存液の交換を行うことができるものをいう。フィルターの部材は、多孔性のものを用いればよく、例えば、織布、不織布などが挙げられる。また、その材質は例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。さらに、フィルターのケースの容量は、保存液の流量を考慮するに約1〜40ml、好ましくは約1〜20mlであり、特に好ましくは約1〜10mlであるが、これに限定されるものではない。上記織布および不織布に用いる繊維の径およびフィルターのケースの容量に対するその充填率は、上述した膵島と保存液との分離を考慮するに、フィルターの通過口径が約1〜40μm、好ましくは約5〜30μmのものを、ケースの容量を100%とした場合において、充填率約50〜99%、好ましくは約70〜90%充填することが好ましいが、これに限定されるものではない。
得られた膵島の保存は、そのまま本発明の容器1に収容することによって行うことができ、例えば、本発明の容器1にシリンジ接続ポートが備えられた場合、シリンジにより注入すればよい。
容器1に注入する分散液の量は、容器内の膵島のβ細胞の活性がより失活しにくくするために、酸素拡散が十分に行き渡たらせるようにすることが好ましい。β細胞の活性は、生存率を指標とし、少なくとも25%以上、好ましくは30%以上であることが好適である。このようなβ細胞の活性の維持をマーカーとして保存条件を決定することができる。
このような観点から、例えば、200×350mmのサイズの2枚のフィルムで製造された容器1に液量を200〜400ml収容し、水平な平面に容器1のフィルム面が当該平面と当接するように載置したときの、2枚のフィルム間の距離である容器1の最大厚みが3〜10mmとすることが好ましい。保存の条件は、5%二酸化炭素の雰囲気下および37℃が好ましい。保存期間は、約1〜4日である。従来の保存法では1日もてばよい程度であったので、本発明の格別な効果を奏すると言える。このことにより、膵島の調製後から患者への投与までの時間的制限がなくなる。
なお、エドモントンプロトコール(非特許文献1等参照)の各工程(ドナーからの膵臓の提供:1、及び膵臓からの膵島の分離精製:2)は以下のとおりである。これらの工程は、該プロコトールを学んでいる当業者であれば適宜成し得る事項であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ドナーからの膵臓の提供
ドナーは、主に心停止ドナー、脳死ドナー及び生体ドナーが挙げられる。心停止ドナーとは、心停止と判定されたヒトであって、心停止以前の本人が、又は、心停止後において本人の親族が、臓器提供の意思を示した場合における、心停止と判定されたヒトをいう。脳死ドナーとは、脳死と判定されたヒトであって、脳死以前の本人が、又は、脳死後において本人の親族が、臓器提供の意思を示した場合における、脳死と判定されたヒトをいう。生体ドナーとは、臓器提供の意思を示した健常なドナーをいう。
ドナーの医学的適応は、日本移植学会ワーキンググループ6「組織移植」の基準、及び、日本組織移植学会の「ヒト組織を利用する医療行為に関するガイドライン」に基づいて行う。例えば、ドナーが心停止ドナーである場合、下記に示す通りである。
・年齢は原則として70歳以下。
・停止後から膵臓かん流開始までの許容時間(温阻血時間)は原則として30分以下。
・感染症等の除外項目は組織移植学会のガイドラインに準じて行う。
ドナーからの膵臓の摘出は、ドナーの種類によって異なる。例えば、ドナーが心停止ドナー及び脳死ドナーの場合、ドナーの膵臓の約50〜100%切除して摘出する。例えば、ドナーが生体ドナーの場合は、ドナーの膵臓の約50〜70%切除して摘出する。
ドナーから摘出された膵臓は、一旦保存する。保存方法は、ユーロコリンズ液又はUW液などの市販の臓器保存液による浸漬保存が挙げられるが、好ましくは二層法により保存する。二層法とは、臓器、特に膵臓を保存する分野において公知の手法であり、上述の日本移植学会ワーキンググループ6「組織移植」の基準、及び、日本組織移植学会の「ヒト組織を利用する医療行為に関するガイドライン」においても推奨されている方法である。具体的には、パーフルオロカーボン(PFC)類の下層と、臓器保存液(主にUW液)の上層の二層の液体において、臓器をパーフルオロカーボン類の下層に配置し、上記二層の界面に膵臓は通過不可であるが液体及び当該液体に分散した気体が通過可能な器具を配置した後、パーフルオロカーボン類の下層に酸素をバブリングすることにより臓器を保存する方法をいう。
2.膵臓からの膵島の分離精製
次に摘出した膵臓から膵島を分離精製する。分離精製は、主に以下の3工程からなる。
(1)膵臓を酵素により膨潤化させる工程(膨化工程)
(2)酵素により膵臓を分解する工程(分解工程)
(3)密度勾配遠心法により膵島と他の組織を分離する工程(分離工程)
(1)膵臓を酵素により膨潤化させる工程(膨化工程)
本工程は、酵素を膵臓に満遍なく浸透させ、次工程において効率よく膵臓を分解するための工程である。本工程で使用する酵素とは、コラゲナーゼI及びIIに高比活性の中性プロテアーゼをブレンドした酵素をいい、ロシュ・ダイアグノスティク社より購入することができる(製品名:リベラーゼシリーズ)。当該酵素の使用量は、摘出された膵臓の大きさにもよるが、摘出した膵臓ひとつに対して1バイアル(約0.5g)使用すればよい。酵素を膵臓全体に浸透させる方法は、まず、クリーンベンチ内に少なくとも金網及び金網の下に受け皿を配置する。次に膵臓を金網の上に載置する。この際、膵臓に脾臓及び/又は十二指腸が存在する場合は、あらかじめ切除する。そして、カテーテル又はカニューラ等を用いて膵臓の静脈などの血管から酵素を導入する。しばらくすると、酵素は血管壁から膵臓に浸透し、最終的には膵臓の外に染み出るようになる。膵臓より染み出た酵素は受け皿に溜まるため、これを手作業又はポンプなどで汲み上げ、再度膵臓にふりかける。これらの作業を約15〜30分程度繰り返し行うことにより、膵臓を酵素で膨潤化する。ここで、本工程では酵素反応を進行させてはならないために、酵素は冷却した状態で作業を行う。具体的な冷却温度は、約0〜8℃、好ましくは約2〜6℃である。
(2)酵素により膵臓を分解する工程(分解工程)
次に、膨潤した膵臓を酵素反応及び機械的に分解する。具体的には、ステンレス製容器内に膨潤した膵臓及びビー玉サイズの鉄球約4〜8個を収容する。ステンレス製容器に収容する膵臓は、メスや手術用はさみなどにより適当な大きさに切断することが好ましい。切断する膵臓の断片の数は、膵臓に大きさに依存するため一概に決定することはできないが、約3〜8個程度である。また、鉄球の外径は約5〜10mm、重さは約10〜50g程度が好ましい。また、ステンレス製容器には液体流入口及び液体流出口を具備し、当該液体流入口及び液体流出口は導管で接続される。導管は循環的な回路を形成し、ポンプにより酵素液を送液・循環させる。循環する液は、ハンクス平衡緩衝塩溶液(HBSS)が好ましい。分解工程を開始する前にこのHBSSを循環させることによりプライミングする。プライミング終了後、ステンレス製容器内に膨潤化した膵臓を収容することにより、膵臓に含まれていた酵素はHBSSにより希釈される。送液速度は、約120〜180ml/min程度がよい。回路には温度調節手段が備えられており、酵素液の活性温度を保つことにより、酵素反応を開始する。温度は、上記酵素(商品名:リベラーゼ)の場合、約37〜42℃である。同時にステンレス製容器を密閉した状態で上下に振動させる。振動の作業は、装置で実施してもよいし、手動で実施してもよい。振動は、装置で実施した場合、振幅約50〜300mm、周期約30〜90回/秒程度が好ましい。この工程の作業時間は、約15〜40分行う。この結果、ステンレス製容器内に収容したビー玉サイズの鉄球は膵臓を機械的に分解する。以上に説明した酵素反応及び機械的分解により、膵臓は膵島を含む流動物となる。この作業中にサンプリングを適宜行い、十分に分解されたことを顕微鏡で確認した後、回収口から酵素液ごと細胞を回収し4〜8℃に冷却し、酵素反応を停止させる。回収容器は特に限定されないが、250mlの遠心チューブを用いれば、そのまま遠心して細胞と酵素液を分離できるので都合がよい。約5Lの溶液を回収するので、遠心し約200mlまで濃縮する。
(3)密度勾配遠心法により膵島と他の組織を分離する工程(分離工程)
そして、膵島を含む流動物から膵島を分離する。分離には密度勾配遠心法を用い、その作業は当業者が成し得る程度の範囲であり、市販の密度勾配遠心分離装置を用いればよいが、操作が簡便である観点からバッグを用いる装置を使用することが好ましい。このような装置は、例えば、COBE社から購入することができる(商品名:COBE2991)。遠心分離に使用する比重液としては、市販されているフィコール・コンレイ(Ficoll−Conray)液やフィコール・ハイパック(Ficoll−Hypaque)液やバイコール液(Bicoll)を用いればよい。密度勾配遠心法において、遠心開始から膵島が得られる溶出液の区画は、遠心分離の回転数、及び、比重液の種類に依存するため一概に述べることは難しいが、エドモントンプロトコールに従って統一した条件で実施すれば安定して得ることができる。例えば、比重1.077の液を遠心回路内に充填し、遠心しながら比重1.100の液を徐々に流すと、遠心回路内で比重1.077から1.100の密度勾配ができる。この後、分解工程で得られた流動物を回路内に流し、膵島を分離・回収する。この時、膵島(β細胞)は比重1.077の分画に、他の外分泌組織は比重1.100の分画に分離される。膵島は遠心分離開始から溶出される液を適宜観察し、膵島が含まれる溶出液の区画を選定・回収する。具体的には、回収口から約20mlずつ順に分取しつつ、その溶出液を適宜観察する。ここで、分取に使用する容器がポリスチレン製の25cm2のT型フラスコであれば、分取した液中に含有される細胞を顕微鏡で観察できるため好ましい。遠心分離機から溶出される液は、はじめに外分泌組織の細胞が溶出される。エドモントンプロトコールに従って実施した場合、約200ml溶出された後の区画に最も多くの膵島が観察されるので、それ以降の溶出液を回収する。回収する液量は約20〜120mlである。回収した溶出液は、250mlの遠心チューブにまとめた後、224gで遠心して比重液を除去する。そして、膵島を保存液に再浮遊させる。保存液は、例えば、CMRL培地が主に使用される。この培地に適宜、抗生剤、抗真菌剤などのサプリメントを添加しても良いが、これに限定されるものではない。
3.膵島の保存
以上の工程により得られた膵島は、そのまま本発明の容器1に収容すればよいが、例えば、本発明の容器1にシリンジ接続ポートが備えられた場合、シリンジにより注入すればよい。容器1に注入する分散液の量は、容器内の膵島のβ細胞の活性がより失活しにくくするために、酸素拡散が十分に行き渡たらせるようにすることが好ましい。β細胞の活性は、生存率を指標とし、少なくとも25%以上、好ましくは30%以上であることが好適である。このようなβ細胞の活性の維持をマーカーとして保存条件を決定することができる。このような観点から、例えば、200×350mmのサイズの2枚のフィルムで製造された容器1に液量を200〜400ml収容し、水平な平面に容器1のフィルム面が当該平面と当接するように載置したときの、2枚のフィルム間の距離である容器1の最大厚みが3〜10mmとすることが好ましい。保存の条件は、5%二酸化炭素の雰囲気下および37℃が好ましい。保存期間は、約1〜4日である。従来の保存法では1日もてばよい程度であったので、本発明の格別な効果を奏すると言える。このことにより、膵島の調製後から患者への投与までの時間的制限がなくなる。
膵島移植用キットは、本発明の膵島移植用容器1と、容器の壁面の少なくとも一部が酸素透過係数が2500cm/m・day・atm以上のフィルムからなる第1の容器2と、容器の壁面の少なくとも一部が酸素透過係数が10cm/m・day・atm以下、透湿度(水蒸気透過係数)が10g/m2・day・atm以下のガスバリアフィルムを含む第2の容器3が連通可能な手段を有した連結管で連結されているものをいう。
第1の容器2と、第2の容器3が連通している状態を図2に示す。
第1の容器2のフィルムは、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンド、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマー、並びに、ポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーなどのいずれか1つを含んでなる。
また、第2の容器3のフィルムは、例えば、延伸ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステル、ポリ塩化ビニルコートポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)コポリマー、アルミ蒸着ポリエステル、シリカコートポリエステルからなる群のうち、少なくとも1つを含んでなる。
移植前に膵島は保存容器から一旦取りだし、遠心用の容器に入れ、遠心して、保存液と分離される。分離した膵島を第1の容器2に充填する。この時第1の容器2にシリンジを接続できるポートがあれば、簡単に第1の容器2に膵島を移すことができる。第2の容器3には移植時に膵島と混和して使用する薬品を充填する。薬品とは生理食塩水などで、膵島の生着率をあげるために、サプリメントを混合してもよい。第2の容器3に充填した移植液は、移植直前に第1の容器2に移送される。この時第1の容器2と第2の容器3は連通可能な閉鎖手段をもった連結管にて連結されている。閉鎖手段とは、密封状態を達成する一形態であり、連通手段において培地の通過を遮断するものである。該連通閉鎖手段は容易に再度開通することができるものであり、クリップなどの狭持体による閉鎖、連通ピース(折れ棒)による閉鎖、弱シールによる閉鎖がなどが挙げられる。また、再連通可能とは、開封可能であることの一形態である。手術室で第2の容器3内の薬品を第1の容器2に移し、よく混和する。そして、第1の容器2にカテーテルを接続し、患者の肝臓門脈にエコー下で経皮的に膵島を流し込むことができる。
以下に本発明について実施例を用いて説明するが、本発明者これらに限定されるものではない。
実施例1:本発明の膵島保存容器の製造
ポリエチレンフィルムを寸法170×350mmになるようにカットし、2枚重ね合わせた状態で、ヒートシール法により該フィルムの縁部5mmをヒートシールすることにより保存容量400mlに適した膵島保存用容器1を作成した(図1)。当該ポリエチレンフィルムの酸素透過係数は、3000cm/m・day・atmである。
比較例1:比較対照の膵島保存容器
本実施例の比較対照として、酸素透過係数が2000cm/m・day・atmの容器(バクスター社製)を用いた。
参考例1:膵臓からの膵島の分離
ブタの膵臓を仙台中央食肉卸売り市場より提供いただいた。膵臓は、二層法により保存して次工程の準備を行った。
(1)膵臓を酵素により膨潤化させる工程(膨化工程)
まず、クリーンベンチ内に少なくとも金網及び金網の下に受け皿を配置する。次に膵臓を金網の上に載置し、カテーテルを用いて膵臓の静脈から酵素を導入した。酵素は、コラゲナーゼI及びIIに高比活性の中性プロテアーゼをブレンドした酵素(ロシュ・ダイアグノスティク社製、製品名:リベラーゼ)を用いた。しばらくすると、酵素は膵臓の外に染み出てきたため、これを手作業で汲み上げ、再度膵臓にふりかけた。これらの作業を約25分繰り返し行うことにより、膵臓を酵素で膨潤化させた。本工程では酵素反応を進行させないように、酵素は約4℃に冷却して行った。
(2)酵素により膵臓を分解する工程(分解工程)
ステンレス製容器及び温度制御手段を備えた酵素反応及び機械的な分解をするための循環回路に、ハンクス平衡緩衝塩溶液(HBSS)にてプライミングを行った。ステンレス製容器にメスにより個に切断した膵臓断片及びビー玉サイズの鉄球(外径は約10mm、重さは約20g)6個を収容した。温度制御手段における温度設定を約40℃に設定し、送液速度約150ml/minにてHBSSを循環させることにより酵素反応を開始した。同時に、ステンレス製容器ハウジングを振動装置に設置し、振幅約200mm、周期約60回/秒にて機械的分解を開始した。60分後、ステンレス製容器内の鉄玉を取り除き、流動物を回収した。
(3)密度勾配遠心法により膵島と他の組織を分離する工程(分離工程)
上記(2)で得られた流動物を密度勾配遠心法により流動物から膵島を分離した。密度勾配遠心分離の装置としては、COBE社から購入したものを用いた(商品名:COBE2991)。遠心分離に使用する比重液は、バイコール液(Bicoll)を選択した。遠心分離の条件は、回転数約2300rpmとした。まず、比重1.077の液を遠心回路内に充填し、遠心しながら比重1.100の液を徐々に流すと、遠心回路内で比重1.077から1.100の密度勾配を形成した。この後、分解工程で得られた流動物を回路内に流し、溶出される液を回収口からポリスチレン製の25cm2のT型フラスコに約20mlずつ順に分取しつつ、顕微鏡で観察した。そして、遠心開始から約200ml溶出した液の区画に膵島を多く含むと選定し、それ以降の約100mlの溶出液を回収した。回収した溶出液を、250mlの遠心チューブに収容した後、224gで遠心して比重液を除去した。その後、膵島をCMRL培地に再浮遊させた。
実験例1:膵島保存実験
参考例1で調製した膵島分散液を、実施例1及び比較例1の容器に具備したシリンジ接続ポートからシリンジを用いてそれぞれ200mlずつ収容した。この時の容器の厚みは、約7mmであった。次に、5%CO雰囲気下、37℃にて、約2日保存した。
保存前を100%とした場合における保存後のβ細胞の生存率及び機能について、膵島残存率測定、及び、in vitro 糖負荷膵島機能テストを行った。具体的には、直径が150μmの膵島を60個無作為に選び出し、1.67mM低濃度グルコースを含んだ3本のチューブに分配した。37℃で30分間インキュベートした後、上清を回収した。次に、16.7mMの高濃度グルコースで30分インキュベートし、同様に上清を回収した。各上清のインスリン濃度をELISA(Mercodia社製)にて測定することにより、生存率及び膵島機能を算出した。膵島機能は、高濃度グルコース溶液時に放出されたインスリンの量を、低濃度グルコース溶液時に放出されたインスリン量で割った値であり、Stimulation Index(S.I.)と呼ぶ。その結果を表1に示す。
Figure 0005328004
表1の結果から明らかなように、本実施例の方が、比較例よりも高い生存率及び膵島機能を示した。したがって、本発明の方法は、膵島保存における高い有用性を示した。
以上説明したように、本発明の方法、容器およびキットを用いて膵島を保存すれば、より適切に膵島を保存することができる。したがって、膵島調製後から移植手術までの時間的余裕が生じるために、術者及び患者に負担をかけることがない。さらに保存不良によりβ細胞が失活又は死滅するリスクが激減するために、臓器提供者の意思が尊重される。
本発明の膵島保存用容器1を示す図である。 本発明の膵島保存キットの第1の容器2と、第2の容器3が連通している形態を示す図である。
符号の説明
1 容器
2 第1の容器
3 第2の容器
11 フィルム
12 ポート
13 テーパー

Claims (4)

  1. 膵島を保存する方法であって、
    生体から分離精製された膵島を含む液を容器内に保存する工程を含み、
    前記容器は、2枚のフィルムを重ね合わせた状態で、該フィルムの縁部をヒートシールすることにより製造されてなるバッグであり、
    前記フィルムは、酸素透過係数が2500〜4000cm/m・day・atmであり、
    前記フィルムの材料は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのポリマーブレンドからなる群より選択される少なくとも1であり、
    前記容器に収容する生体から分離精製された膵島を含む液量は、
    前記生体から分離精製された膵島を含む液が前記容器の内に収容され、水平な平面に前記容器のフィルム面が当該平面と当接するように載置されたときの、前記2枚のフィルム間の距離である容器厚みの最大値が3〜10mmの範囲内となる量であり、
    生体から分離精製された膵島を含む液が、エドモントンプロトコールにより分離精製されたものであることを特徴とする膵島保存方法。
  2. 前記フィルムの純水接触角が、
    85度以上であることを特徴とする請求項1に記載の膵島保存方法。
  3. 前記容器は、さらに、保存液交換用フィルターを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の膵島保存方法。
  4. 前記容器は、さらに液を注排出するポートを備え、前記容器のシール辺縁部がポートに向かってテーパーであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の膵島保存方法。
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