JP5319521B2 - ジペプチドの製造法 - Google Patents
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Description
L−アミノ酸発酵において菌株の生産能を向上させる方法として、菌体内のL−アミノ酸を細胞外へ輸送する系を改変する方法が知られている(特許文献9〜14)。またペプチド性抗生物質であるMicrocin J25を細胞外へ輸送する系の存在も知られている(非特許文献1)。
大腸菌のbcr遺伝子はbicyclomycin耐性に関わる膜蛋白質遺伝子であり(非特許文献2)、norE遺伝子はquinolone耐性に関わる排出ポンプ遺伝子であることが知られている(非特許文献3)。emrD遺伝子はSDS輸送遺伝子と報告されている(非特許文献4)。ydeE遺伝子は薬剤輸送遺伝子と予測されているが、活性は確認されていない(非特許文献4)。yeeO遺伝子の機能は全く不明である。
(1) ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の菌体内のジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株よりも高い微生物。
[1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
[3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
(2) 微生物が以下の[1]〜[3]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、上記(1)の微生物。
[1]上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA
[3]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA
(3) 微生物が、エシェリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属に属する微生物である上記(1)または(2)の微生物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つの微生物の培養物または該培養物の処理物、およびアミノ酸、アミノ酸エステルまたはアミノ酸アミドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
(5)ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する上記(1)または(2)の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
(6) 微生物が、エシェリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属に属する微生物である上記(4)または(5)のジペプチドの製造法。
(1)ジペプチド輸送活性が親株より高い微生物
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物としては、(a)親株の染色体DNA上にあるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を改変することにより得られる、i)親株より該蛋白質の比活性が向上した微生物、およびii)親株よりジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量が向上した微生物、ならびに(b)親株をジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物、をあげることができる。なお、本明細書中における親株とは改変または形質転換の対象である元株でり、野生株でも変異株であってもよい。該親株としては例えば微生物がEscherichia coliである場合、E. coli K-12株、B株、B/r株の野生株、またはその変異株をあげることができ、該変異株としてはE. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coli DH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coli W1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coli No.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coli MP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coli ME8415等をあげることができる。
[1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質、および
[3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質、
をあげることができる。
配列番号6〜10で表されるアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1個または複数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されていてもよい。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質としては、配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をあげることができる。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、
[5]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA、または
[6]配列番号1〜5いずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA、
を用いて親株を形質転換して得られる微生物をあげることができる。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメータ等に基づいて計算したときに、配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列からなるDNAと少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
(2)ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物
ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物は、該能力を有していれば特に限定されないが、例えば1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質[以下、L-アミノ酸リガーゼ(EC 6.3.2.28)という]を生産する微生物、L-アミノ酸エステルとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物、L-アミノ酸アミドとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物などをあげることができる。
NRPSを生産する微生物としては、バチルス属をはじめとする原核生物、ペニシリウム属をはじめとする真核生物、BacA、BacBおよびBacC(GenBank AF007865)を生産する微生物、TycA、TycBおよびTycC(GenBank AF004835)を生産する微生物、PcbAB(GenBank M57425)を生産する微生物、およびBacA、BacB、BacC、TycA、TycB、TycC、PcbABから選ばれるいずれかの蛋白質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有し、かつNRPSの活性を有する蛋白質を生産する微生物などをあげることができる。
L-アミノ酸リガーゼを生産する微生物としては、バチルス属に属する微生物、好ましくはバチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケチノフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、およびWO2004/058960号に記載の蛋白質を生産する微生物をあげることができる。
[7]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[8]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、
[9]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、および
[10]配列番号19で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
[11]WO 03/010307号、FEMS Microbiol. Lett., 78, 191(1999)、特開平2-113887、Arch. Biochem. Biophys., 336, 35(1996)、J. Biochem., 119, 468(1996)、Microbiology, 140, 527(1994)、J. Bacteriol., 174, 7919(1994)、J. Biochem., 116, 818(1994)、特開平9-121860、Mol. Microbiol., 9, 1203(1993)、Appl. Environ. Microbiol., 64, 4736(1998)、J. Biochem., 122, 601(1997)、FEBS Lett., 398, 101(1996)、Nature, 406, 959(2000)のいずれかに記載のプロリンイミノペプチダーゼ、
[12]上記[11]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼのアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質、および
[13]上記[11]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
[14]WO03/010187号記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ、
[15]WO03/010187号記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼのアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質、および
[16]WO03/010187号記載のL−アミノ酸アミドハイドロラーゼのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
アミノ酸配列の相同性は、上記したBLASTやFASTA等のプログラムを用いて決定することができる。
1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、NRPS、D-Ala-D-AlaリガーゼまたはL-アミノ酸リガーゼをコードするDNAなどをあげることができる。
D-Ala-D-AlaリガーゼをコードするDNAとしてはDdlA、DdlBおよびDdlCからなる群より選ばれる蛋白質をコードするDNAをあげることができる。
L-アミノ酸リガーゼをコードするDNAとしては、以下の[17]〜[20]から選ばれるDNA、
[17]上記[7]〜[10]のいずれかに記載のL-アミノ酸リガーゼをコードするDNA、
[18]配列番号20〜28のいずれかで表される塩基配列を有するDNA、
[19]配列番号20〜28のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、および
[20]配列番号29で表される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する塩基配列を有するDNAであり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
[21]上記[11]〜[13]のいずれかに記載のプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNA、
[22]WO 03/010307号、FEMS Microbiol. Lett., 78, 191(1999)、特開平2−113887、Arch. Biochem. Biophys., 336, 35(1996)、J. Biochem., 119, 468(1996)、Microbiology, 140, 527(1994)、J. Bacteriol., 174, 7919(1994)、J. Biochem., 116, 818(1994)、特開平9−121860、Mol. Microbiol., 9, 1203(1993)、Appl. Environ. Microbiol., 64, 4736(1998)、J. Biochem., 122, 601(1997)、FEBS Lett., 398, 101(1996)、Nature, 406, 959(2000)のいずれかに記載の塩基配列を有するプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNA、および
[23]上記[21]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNAの相補鎖DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
[24]上記[14]〜[16]のいずれかに記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNA、
[25]WO03/010187号記載の塩基配列を有するL−アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNA、および
[26]WO03/010187号記載の塩基配列からなるL−アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
2.本発明で用いられる微生物の調製
(1)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物の調製
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物のうち、比活性が親株のジペプチド輸送活性を有する蛋白質より高い微生物は、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをin vitroにおける変異剤を用いた変異処理、またはエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAと公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより該変異DNAを発現する改変体を作成し、上記した方法により親株と改変体のジペプチド輸送活性を比較することにより取得することができる。
そのようなプロモーターとしては、E. coliで機能するtrpプロモーター(P trp )、lacプロモーター(P lac )、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターなどの人為的に造成したプロモーターもあげることができる。
(a)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAは、例えば配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAの塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、E. coliなどの微生物の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、または該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、微生物、好ましくはE. coliの染色体DNAを鋳型としたPCR[PCR Protocols, Academic Press (1990)]により取得することができる。
宿主細胞としては、Escherichia属に属する微生物などをあげることができる。Escherichia属に属する微生物としては、例えば、E. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coliDH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coliW1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coliNo.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coliMP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coliME8415等をあげることができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
上記のようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA、および配列番号1〜5のいずかで表される塩基配列中のコーディング領域を有するDNAをあげることができる。
(b)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターで形質転換された微生物の取得
上記(a)の方法で得られるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをもとにして、必要に応じて、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする部分の塩基配列を、宿主細胞での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することにより、該蛋白質量が向上した形質転換体を取得することができる。
該組換え体DNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が宿主細胞、すなわち親株より向上した形質転換体を得ることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自律複製可能または染色体中への組込みが可能で、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えば後述するpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、およびpSyeeOをあげることができる。
原核生物としては、エシェリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アナベナ(Anabaena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アスロバクター(Arthrobacter)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、クロマチウム(Chromatium)属、エルビニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリウム(Rhodospirillum)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、シネコッカス(Synechoccus)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物、例えば、エシェリヒア・コリ、バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・イマリオフィルム(Brevibacterium immariophilum)、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィルム(Microbacterium ammoniaphilum)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾジーンズ(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビ(Agrobacterium rubi)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、アナベナ・ドリオルム(Anabaena doliolum)、アナベナ・フロスアクア(Anabaena flos-aquae)、アースロバクター・オーレッセンス(Arthrobacter aurescens)、アースロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アースロバクター・グロブフォルミス(Arthrobacter globformis)、アースロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アースロバクター・ミソレンス(Arthrobacter mysorens)、アースロバクター・ニコチアナ(Arthrobacter nicotianae)、アースロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)、アースロバクター・プロトフォルミエ(Arthrobacter protophormiae)、アースロバクター・ロセオパラフィナス(Arthrobacter roseoparaffinus)、アースロバクター・スルフレウス(Arthrobacter sulfureus)、アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)、クロマチウム・ブデリ(Chromatium buderi)、クロマチウム・テピダム(Chromatium tepidum)、クロマチウム・ビノサム(Chromatium vinosum)、クロマチウム・ワーミンギ(Chromatium warmingii)、クロマチウム・フルビアタティレ(Chromatium fluviatile)、エルビニア・ウレドバラ(Erwinia uredovora)、エルビニア・カロトバラ(Erwinia carotovora)、エルビニア・アナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ヘリコラ(Erwinia herbicola)、エルビニア・パンクタタ(Erwinia punctata)、エルビニア・テレウス(Erwinia terreus)、メチロバクテリウム・ロデシアナム(Methylobacterium rhodesianum)、メチロバクテリウム・エクソトルクエンス(Methylobacterium extorquens)、フォルミディウム・エスピー(Phormidium sp.) ATCC29409、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・ブラスチカ(Rhodopseudomonas blastica)、ロドシュードモナス・マリナ(Rhodopseudomonas marina)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドスピリウム・リブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリウム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリウム・サリナラム(Rhodospirillum salinarum)、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens) 、ストレプトマイセス・アウレウス(Streptomyces aureus)、ストレプトマイセス・フンジシディカス(Streptomyces fungicidicus)、ストレプトマイセス・グリセオクロモゲナス(Streptomyces griseochromogenes)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリボグリセウス(Streptomyces olivogriseus)、ストレプトマイセス・ラメウス(Streptomyces rameus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・ビナセウス(Streptomyces vinaceus)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等をあげることができ、好ましい原核生物としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属等に属する細菌、例えば上記したエシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属等に属する種をあげることができ、より好ましい細菌としてはエシェリヒア・コリ、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム、コリネバクテリウム・フラバム、コリネバクテリウム・エフィシェンス、バチルス・サチルス、バチルス・メガテリウム、セラチア・マルセッセンス、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・エルギノーサ、ストレプトマイセス・セリカラーまたはストレプトミセス・リビダンスをあげることができ、特に好ましくはエシェリヒア・コリをあげることができる。
(c)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAが染色体DNAに組み込まれた微生物の取得
上記(a)の方法で得られるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNAの任意の位置に組み込むことにより、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物を取得することもできる。
(2)ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物の調製
ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物のうち、比活性が親株の該蛋白質より高い微生物、および該蛋白質の生産量が親株より向上している微生物は、上記(1)と同様、ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAをin vitroで変異処理する、またはエラープローンPCRなどに供することにより取得できる変異型酵素遺伝子と親株の遺伝子とを置換することにより取得できる。
以下に、ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得法および親株を該DNAで形質転換して得られる微生物の調製法について説明する。
(a)ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得
ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAは、上記1(2)のジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの塩基配列に従い、上記2(1)(a)と同様の方法により取得することができる。
(b)ジペプチド合成活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターで形質転換された微生物の取得
ジペプチド合成活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターは、上記2(2)(a)で得られるジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAを用い、上記2(1)(b)と同様の方法により取得することができる。
(c)ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAが染色体DNAに組み込まれた微生物の取得
上記2(2)(a)の方法で得られるジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNAの任意の位置に組み込むことにより、ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物を取得することもできる。
(3)ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製
本発明のジペプチドの製造法で用いられる、ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する微生物としては、該能力を有する微生物であればいずれの微生物であってもよく、自然界から分離された株自身が該能力を有する場合は該株そのもの、公知の方法により所望のジペプチドを構成するアミノ酸のうちの少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を人為的に付与した微生物などをあげることができる。
(a)アミノ酸の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除する方法、
(b)アミノ酸の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)アミノ酸の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)アミノ酸の生合成経路から該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、アミノ酸のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独または組み合わせて用いることができる。
アミノ酸を生産する微生物の具体例としては、WO2006/001379号に記載されているL-グルタミン生産株であるエシェリヒア・コリ JGLE1およびエシェリヒア・コリ JGLBE1など、L-アラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ JM101株など、L-フェニルアラニン生産株であるpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保有するエシェリヒア・コリ JM101株など、L-グルタミンおよびL-アラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリJGLE1およびエシェリヒア・コリ JGLBE1など、L-アラニンおよびL-フェニルアラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドおよびpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ JM101など、L-スレオニンおよびL-フェニルアラニン生産株であるpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保持するATCC21277株などをあげることができる。
(4)ペプチダーゼまたはペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が親株より低下、または喪失している微生物の調製
本発明の微生物および本発明のジペプチドの製造法で用いられる微生物は、ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株よりも高いという性質に加え、ペプチダーゼまたはペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が親株より低下、または喪失していてもよい。
3.本発明のジペプチドの製造法
(1)微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用いたジペプチドの製造法
本発明の微生物の培養物は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える天然培地または合成培地培を用いて該微生物を培養することにより取得することができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
(i)該微生物の培養物または培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、および1種以上、好ましくは1種または2種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、
(ii)該微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、1種以上、好ましくは1種のアミノ酸エステルおよび1種以上、好ましくは1種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、および、
(iii)該微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、1種以上、好ましくは1種のアミノ酸アミドおよび1種以上、好ましくは1種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、
に分けて詳細に説明する。
上記(i)の製造法で製造されるジペプチドとしては、下式(I)
で表されるジペプチドをあげることができ、好ましくは、上記式(I)においてR1およびR2が同時にまたは異なって、L-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB、β-Ala、L-Azaserine、L-theanine、L-4-HYP、L-3-HYP、L-OrnおよびL-6-diazo-5-oxo-norleucineから選ばれるアミノ酸であるジペプチドをあげることができ、より好ましくはR1がL-Ala、Gly、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-α-ABまたはβ-Alaの場合は、R2がL-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB 、β-Ala、L-Azaserine、L-theanine、L-4-HYP、L-3-HYP、L-OrnまたはL-6-diazo-5-oxo-norleucineであるジペプチドをあげることができ、さらに好ましくは、R1がL-Alaの場合は、R2はL-Ala、L-Gln、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-α-AB 、L-AzaserineまたはL-theanineであるジペプチド、R1がGlyの場合は、R2はL-Gln、Gly、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Tyr、L-Lys、L-ArgまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Metの場合は、R2はL-Phe、L-Met、L-Cys、L-Tyr、L-LysまたはL-Hisであるジペプチド、R1がL-Serの場合は、R2はL-Gln、Gly、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-HisまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Thrの場合は、R2はL-Gln、L-Gly、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-ThrまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Glnの場合は、R2はL-PheまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Pheの場合は、R2はL-Glnであるジペプチド、R1がL-Trpの場合は、R2はGlyであるジペプチド、R1がL-Cysの場合は、R2はL-Ala、L-Gln、Gly、またはL-Metであるジペプチド、R1がL-Lysの場合は、R2はL-Ala、GlyまたはL-Metであるジペプチド、R1がL-Argの場合は、R2はL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Hisである場合は、R2はL-Metであるジペプチド、およびR1がL-α-ABの場合は、R2はL-Ala、L-Gln、Gly、L-Ser、L-Thr、L-ArgまたはL-α-ABであるジペプチドをあげることができる。
上記(ii)の製造法において、基質に用いられる1種以上のアミノ酸エステルおよび1種以上のアミノ酸としては、本発明の製造法の酵素源として用いられる微生物が基質に用いてジペプチドを生成することができるアミノ酸エステルおよびアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸エステルとアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよく、好ましくは1種のアミノ酸エステルおよび1種のアミノ酸の組み合わせで用いられ、アミノ酸としてはL-アミノ酸およびグリシンが好ましい。より好ましい1種のアミノ酸エステルおよび1種のアミノ酸の組み合わせとしては、例えばアミノ酸エステルが、L-アラニンエステル、グリシンエステル、L-バリンエステル、L-イソロイシンエステル、L-メチオニンエステル、L-フェニルアラニンエステル、L-セリンエステル、L-スレオニンエステル、L-グルタミンエステル、L-チロシンエステル、L-アルギニンエステル、L-アスパラギン酸−α−エステル、L-アスパラギン酸−β−エステル、L-ロイシンエステル、L-アスパラギンエステル、L-リジンエステル、L-アスパラギン酸−α,β−ジメチルエステルおよびL-グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種のアミノ酸エステルであり、アミノ酸がL-Gln、L-Asn、Gly、L-Ala、L-Leu、L-Met、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-Lys
、L-Arg、L-HisおよびL-Gluからなる群より選ばれる1種のアミノ酸である組み合わせをあげることができる。
上記(iii)の製造法において、基質に用いられる1種以上のアミノ酸アミドおよび1種以上のアミノ酸としては、本発明の製造法の酵素源として用いられる微生物が基質に用いてジペプチドを生成することができるアミノ酸アミドおよびアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸アミドとアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよく、好ましくは1種のアミノ酸アミドおよび1種のアミノ酸の組み合わせで用いられ、アミノ酸としてはL-アミノ酸およびグリシンが好ましい。1種のアミノ酸アミドおよび1種のアミノ酸の組み合わせとしては、例えばアミノ酸アミドが、L-アラニンアミド、グリシンアミドおよびL-アスパラギン酸アミドからなる群より選ばれる1種のアミノ酸アミドであり、アミノ酸がL-Gln、L-Asn、Gly、L-Ala、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Met、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-HisおよびL-Gluからなる群より選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせをあげることができる。
本発明の製造法で用いられる水性媒体としては、ジペプチドの生成反応を阻害しない限り、いかなる成分、組成の水性媒体であってもよく、例えば、水、りん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液などをあげることができる。また、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類を含有していてもよい。
さらに必要に応じて、水性媒体中に界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)などの非イオン界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)などのカチオン系界面活性剤、ラウロイル・ザルコシネートなどのアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)などの三級アミン類など、ジペプチドの生成を促進するものであればいずれでもよく、1種または数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0. 1〜50 g/lの濃度で用いられる。有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチルなどがあげられ、通常0.1〜50 ml/lの濃度で用いられる。
水性媒体中に生成、蓄積したジペプチドの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法あるいは、有機溶媒による抽出、結晶化、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
(2)発酵法による製造
ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する本発明の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取することにより、ジペプチドを製造することができる。
上記方法で製造されるジペプチドとしては、1種または2種のアミノ酸がα結合したジペプチドをあげることができ、好ましくは該アミノ酸がL-アミノ酸またはグリシンであるジペプチド、より好ましくは、下式(II)
以下、本発明の実施例を示すが本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の方法でbcr遺伝子発現プラスミドを造成した。
エシェリヒア・コリ JM101株をLB培地[10g/l バクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/l イーストエキス(ディフコ社製)、5g/l 塩化ナトリウム]に植菌し30℃で一晩静置培養した。培養後、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーに記載の飽和フェノールを用いる方法により、該微生物の染色体DNAを単離精製した。
PCRは、鋳型として0.1μgの染色体DNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)、5μLのPyrobest DNAポリメラーゼ用×10緩衝液(タカラバイオ製)、各200μmol/LのdNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)を含む反応液50μLを調製し、96℃で15秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
該DNA断片およびtrpプロモーターを含む発現ベクターpTrS30[エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]をそれぞれHindIII、SacIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキット(GENECLEAN II kit、BIO 101 社製)を用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、trpプロモーター下流にbcr遺伝子が連結された発現ベクターであるpTbcrが取得されていることを確認した。
上記と同様の方法で連結し、得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した後、クロラムフェニコール耐性を指標に形質転換体を選択した。
実施例1と同様に配列番号2で表される塩基配列に基づき、norE遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号32および33で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
得られた形質転換体からtrpプロモーター下流にnorE遺伝子が連結された発現ベクターであるpTnorEを抽出し、実施例1と同様にpTnorEおよびpSTV28をそれぞれEcoRI、BamHIで切断した。両DNA断片を連結して、実験例1と同様の方法でtrpプロモーター下流にnorE遺伝子が連結された発現ベクター造成し、pSnorEと命名した。
実施例1と同様に配列番号3で表される塩基配列に基づき、ydeE遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号34および35で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
実施例1と同様に配列番号4で表される塩基配列に基づき、emrD遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号36および37で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
実施例1と同様に配列番号5で表される塩基配列に基づき、yeeO遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号38および39で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
(1)発現プラスミドpTrSQE30の造成
配列番号40および41で表される塩基配列からなるDNAプライマーセットとし、発現ベクター pQE60(キアゲン社製)を鋳型に用いてPCRを行った。
PCRは、10ngのプラスミドDNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPfu DNAポリメラーゼ、4μLのPfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液、200μmol/L の各dNTPを含む反応液40μLを調製し、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
(2)発現プラスミドpUATQE30の造成
配列番号42および43で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型に用いてPCRを行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、および上記で得られたpTrSQE30をそれぞれEcoRIおよびClaIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ NM522株株を形質転換した。以上の方法でストレス蛋白プロモーター(uspA プロモーター)を有するC末Hisタグ付加型蛋白質発現ベクターを造成し、pUATQE30と命名した。
(3)ywfE遺伝子およびald遺伝子発現プラスミドの造成
配列番号41および42で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、上記で得られたpUATQE30を鋳型に用いてPCRを行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびBacillus subtilis由来のywfE遺伝子およびBacillus subtilis由来のald遺伝子発現プラスミドであるpPE86(WO2006/001379号記載)をそれぞれEcoRIおよびNcoIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ NM522株株を形質転換した。以上の方法でuspAプロモーター下流にywfE遺伝子およびald遺伝子が連結している発現プラスミドを造成し、pPE86uspと命名した。
pepD遺伝子、pepN遺伝子、pepB遺伝子およびdppオペロンが欠損したエシェリヒア・コリJPNDBP7(WO2005/045006)を親株に用い、その染色体DNA上のpepA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子が欠損した菌株を、ラムダファージの相同組換え系を利用した方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6641-6645(2000)]に従って作製した。
(1)遺伝子欠損用DNA断片のクローニング
エシェリヒア・コリK12株のペプチダーゼをコードするpepA遺伝子、L-プロリン分解に関与するputA遺伝子、L-グルタミンの生合成調節に関与するglnEおよびglnBの各遺伝子の塩基配列は既に明らかにされている[Science, 5331, 1453-1474(1997)]。
すなわち、pepA遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号40および41、putA遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号42および43、glnE遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号44および45、glnB遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号46および47で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれ合成した。
(2)pepA遺伝子欠損エシェリヒア・コリJPNDBP7の作製
エシェリヒア・コリJPNDBP7株をpKD46で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpKD46を保持するエシェリヒア・コリJPNDBP7株(以下、エシェリヒア・コリJPNDBP7/pKD46と称す)を選択した。
プラスミドpCP20は、酵母由来Flp recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現は42℃で誘導することができる。
また、上記で作製したpepA遺伝子、putA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子含有DNA断片の、クロラムフェニコール耐性遺伝子の両端にはFlp recombinaseが認識する塩基配列が存在するため、Flp recombinaseが触媒する相同組換えにより容易に該耐性遺伝子を脱落させることができる。
上記で取得したpCP20保有pKD46脱落株を薬剤無添加のLB寒天培地に植菌し、42℃で14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロニーを薬剤無添加LB寒天培地、25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地および100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地にレプリカして、30℃で培養し、クロラムフェニコール感受性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。
その後、エシェリヒア・コリJPNDABP株を親株に用い、上記と同様の方法によりputA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損を順に導入し、pepD、pepN、pepA、pepB、putA、glnEおよびglnBの各遺伝子並びにdppオペロンの多重遺伝子欠損株を取得し、エシェリヒア・コリJPNDABPUTGEB株と命名した。
実施例7で得られたJPNDABPUTGEBに実施例6で得られたpPE86uspを形質転換し、ジペプチド合成酵素活性を有する蛋白質を生産する能力を有するエシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86uspを取得した。
次に実施例1〜5で得られたpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、またはpSyeeOを用いて、エシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86uspを形質転換し、得られた形質転換体をそれぞれエシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSbcr、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSnorE、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSydeE、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSemrD、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSyeeOと命名した。同様の方法でpSTV28を保有する形質転換体(JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSTV28)も取得した。
実施例6で得られたpPE86uspを用いてエシェリヒア・コリJPNDDP36(WO05/45006)を形質転換し、得られた形質転換体をJPNDDP36/pPE86uspと命名した。実施例1〜5で得られたpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、またはpSyeeOを用いて、エシェリヒア・コリ JPNDDP36/pPE86uspを形質転換し、得られた形質転換体をそれぞれエシェリヒア・コリ JPNDDP36/pPE86usp/pSbcr、JPNDDP36/pPE86usp/pSnorE、JPNDDP36/pPE86usp/pSydeE、JPNDDP36/pPE86usp/pSemrDおよびJPNDDP36/pPE86usp/pSyeeOと命名した。また同様の方法でpSTV28を保有する形質転換体(JPNDDP36/pPE86usp/pSTV28)も取得した。
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Claims (3)
- ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の菌体内のジペプチドを菌体外へ輸送する活性(以下、ジペプチド輸送活性という)を有する蛋白質の活性が親株よりも高いエシェリヒア属に属する微生物の培養物または該培養物の処理物、およびアミノ酸、アミノ酸エステルまたはアミノ酸アミドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
[1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
[3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質 - 微生物が以下の[1]〜[3]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、請求項1記載の製造法。
[1]請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA
[3]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と95%以上の同一性を示し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA - ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する請求項1または2記載の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
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