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JP5319521B2 - ジペプチドの製造法 - Google Patents

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JP5319521B2 JP2009509317A JP2009509317A JP5319521B2 JP 5319521 B2 JP5319521 B2 JP 5319521B2 JP 2009509317 A JP2009509317 A JP 2009509317A JP 2009509317 A JP2009509317 A JP 2009509317A JP 5319521 B2 JP5319521 B2 JP 5319521B2
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Description

本発明は、ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ菌体内のジペプチドを菌体外へ輸送する活性を有する蛋白質の活性が親株よりも高い微生物、および該微生物を用いたジペプチドの製造法に関する。
2つのL−アミノ酸がα結合したジペプチドを生産する方法としてバチルス属に属する微生物由来のジペプチド抗生物質であるバシリシンの合成酵素の1つであるywfE遺伝子産物を利用する方法が知られている(特許文献1〜8)。
L−アミノ酸発酵において菌株の生産能を向上させる方法として、菌体内のL−アミノ酸を細胞外へ輸送する系を改変する方法が知られている(特許文献9〜14)。またペプチド性抗生物質であるMicrocin J25を細胞外へ輸送する系の存在も知られている(非特許文献1)。
ジペプチドの生産においても、ジペプチドの輸送系、すなわち菌体内のジペプチドを菌体外へ輸送する活性(以下、ジペプチド輸送活性という)を有する蛋白質の活性を強化できればジペプチドの生産性改善につながると考えられるが、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質はこれまで報告されていない。
大腸菌のbcr遺伝子はbicyclomycin耐性に関わる膜蛋白質遺伝子であり(非特許文献2)、norE遺伝子はquinolone耐性に関わる排出ポンプ遺伝子であることが知られている(非特許文献3)。emrD遺伝子はSDS輸送遺伝子と報告されている(非特許文献4)。ydeE遺伝子は薬剤輸送遺伝子と予測されているが、活性は確認されていない(非特許文献4)。yeeO遺伝子の機能は全く不明である。
国際公開第2004/058960号パンフレット 国際公開第2005/045006号パンフレット 国際公開第2005/052153号パンフレット 国際公開第2005/052177号パンフレット 国際公開第2005/103260号パンフレット 国際公開第2006/001379号パンフレット 国際公開第2006/001381号パンフレット 国際公開第2006/001382号パンフレット 国際公開第 97/23597A2号パンフレット 米国特許出願公開第US2003/0113899A1号明細書 特開2000-116390号公報 特開2000-189177号公報 特開2005-287333号公報 特開2005-237379号公報 J. Bacteriol., 187, 3465-3470 (2005) Gene, 127, 117-120(1993) J. Antimicrob. Chemother., 51, 545-56 (2003) J. Bacteriol., 183, 5803-5812 (2001)
本発明の目的は、ジペプチドを効率よく生産する微生物、および該微生物を用いたジペプチドの製造法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(6)に関する。
(1) ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の菌体内のジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株よりも高い微生物。
[1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
[3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
(2) 微生物が以下の[1]〜[3]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、上記(1)の微生物。
[1]上記(1)の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA
[3]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA
(3) 微生物が、エシェリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属に属する微生物である上記(1)または(2)の微生物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つの微生物の培養物または該培養物の処理物、およびアミノ酸、アミノ酸エステルまたはアミノ酸アミドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
(5)ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する上記(1)または(2)の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
(6) 微生物が、エシェリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属に属する微生物である上記(4)または(5)のジペプチドの製造法。
本発明によれば、微生物の菌体内のジペプチドを菌体外に輸送する活性を有する蛋白質の活性を強化することにより、該微生物を用いて効率よくジペプチドを製造することができる。
1.本発明の微生物
(1)ジペプチド輸送活性が親株より高い微生物
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物としては、(a)親株の染色体DNA上にあるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を改変することにより得られる、i)親株より該蛋白質の比活性が向上した微生物、およびii)親株よりジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量が向上した微生物、ならびに(b)親株をジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物、をあげることができる。なお、本明細書中における親株とは改変または形質転換の対象である元株でり、野生株でも変異株であってもよい。該親株としては例えば微生物がEscherichia coliである場合、E. coli K-12株、B株、B/r株の野生株、またはその変異株をあげることができ、該変異株としてはE. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coli DH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coli W1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coli No.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coli MP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coli ME8415等をあげることができる。
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質としては、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質、
[1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質、および
[3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質、
をあげることができる。
上記において、1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
欠失、置換または付加されるアミノ酸残基の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
配列番号6〜10で表されるアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1個または複数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されていてもよい。
アミノ酸残基の欠失または付加が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の10アミノ酸残基をあげることができる。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質としては、配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をあげることができる。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法はよく知られている。
配列番号6〜10で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質が、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質であることは、例えば活性を確認したい蛋白質をコードするDNAで親株を形質転換することにより該親株より該蛋白質の活性が高い形質転換体を作製し、該親株または該形質転換株の培養物、および目的とするジペプチドを構成するアミノ酸を緩衝液中に存在せしめ、該水性媒体中に生成、蓄積したジペプチドの量を比較することにより確認できる。
上記(a)のi)の親株よりジペプチド輸送活性を有する蛋白質の比活性が向上した微生物としては、親株が有する該蛋白質のアミノ酸配列において1アミノ酸以上、好ましくは1〜10アミノ酸、より好ましくは1〜5アミノ酸、さらに好ましくは1〜3アミノ酸が置換しているアミノ酸配列を有する蛋白質を有しているため、親株のジペプチド輸送活性を有する蛋白質と比較して、その活性が向上した変異型蛋白質を有する微生物をあげることができる。
上記(a)のii)の親株よりジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量が向上した微生物としては、親株の染色体DNA上に存在する該蛋白質をコードする遺伝子の転写調節領域またはプロモーター領域の塩基配列において1塩基以上、好ましくは1〜10塩基、より好ましくは1〜5塩基、さらに好ましくは1〜3塩基の塩基が置換しているプロモーター領域を有しているため、親株のジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量と比較して、該蛋白質の生産量が向上している微生物をあげることができる。
上記(b)の親株をジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物としては、
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA、
[5]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA、または
[6]配列番号1〜5いずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA、
を用いて親株を形質転換して得られる微生物をあげることができる。
該微生物としては、外来のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをi)染色体DNA上に有する微生物、およびii)染色体外に有する微生物をあげることができる。すなわち、i)の微生物は、親株がジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを保有していない場合は、新たに導入された該DNAを1つまたは2つ以上、染色体DNA上に有する微生物であり、親株がジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを元来保有する場合には、新たに導入された該DNAを含む2つ以上のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物である。ii)の微生物は、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをプラスミドDNA上に有する微生物である。
上記でいう「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズすることである。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたはその一部は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして用いることができ、またPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できるDNAである。プローブとして用いられるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができ、プライマーとして用いられるDNAとしては、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAをあげることができる。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えば当業者であれば本願明細書に従い、ハイブリダイゼーションの条件を決定することができる。該ハイブリダイゼーションの条件は、モレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriolgy, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従っておこなうことができる。
上記のストリンジェントな条件とは、DNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mmol/lの塩化ナトリウム、75mmol/lのクエン酸ナトリウム)、50mmol/lのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件が好ましいが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェントな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメータ等に基づいて計算したときに、配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列からなるDNAと少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
(2)ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物
ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物は、該能力を有していれば特に限定されないが、例えば1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質[以下、L-アミノ酸リガーゼ(EC 6.3.2.28)という]を生産する微生物、L-アミノ酸エステルとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物、L-アミノ酸アミドとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物などをあげることができる。
1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物としては、NRPS、D-Ala-D-Alaリガーゼ、L-アミノ酸リガーゼからなる群より選ばれる蛋白質を生産する微生物をあげることができる。
NRPSを生産する微生物としては、バチルス属をはじめとする原核生物、ペニシリウム属をはじめとする真核生物、BacA、BacBおよびBacC(GenBank AF007865)を生産する微生物、TycA、TycBおよびTycC(GenBank AF004835)を生産する微生物、PcbAB(GenBank M57425)を生産する微生物、およびBacA、BacB、BacC、TycA、TycB、TycC、PcbABから選ばれるいずれかの蛋白質のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有し、かつNRPSの活性を有する蛋白質を生産する微生物などをあげることができる。
D-Ala-D-Alaリガーゼを生産する微生物としては、ペプチドグリカンを形成する原核生物、DdlA(GenBank accession no. M58467)を生産する微生物、DdlB(GenBank accession no. AE000118) を生産する微生物、DdlC(GenBank accession no. D88151)を生産する微生物、およびDdlA、DdlB、DdlCから選ばれるいずれかのアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつD-Ala-D-Alaリガーゼ活性を有する蛋白質を生産する微生物などをあげることができる。
アミノ酸配列の相同性は、上記したBLASTやFASTA等のプログラムを用いて決定することができる。
L-アミノ酸リガーゼを生産する微生物としては、バチルス属に属する微生物、好ましくはバチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケチノフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、およびWO2004/058960号に記載の蛋白質を生産する微生物をあげることができる。
L-アミノ酸リガーゼとしては、例えば以下の[7]〜[10]から選ばれる蛋白質、
[7]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[8]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、
[9]配列番号11〜18のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、および
[10]配列番号19で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
L-アミノ酸エステルとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物としては、プロリンイミノペプチダーゼを生産する微生物をあげることができ、具体的にはバチルス属、コリネバクテリウム属またはシュードモナス属に属する微生物などをあげることができる。具体的には、バチルス・サチリス ATCC6633、バチルス・コアギュランス EK01[J. Bacteriol., 174, 7919(1992)]、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13286、シュードモナス・プチダ AJ-2402 (FERM BP-8101)、シュードモナス・プチダ ATCC12633、シュードモナス・プチダ AJ2048(FERM BP-8123)(以上、WO 03/010307号に記載の微生物)などをあげることができる。また、アースロバクター・ニコチアナ[FEMS Microbiol. Lett., 78, 191(1999)]、エッシェリヒア・コリ(特開平2-113887)、フラボバクテリウム・メニコンゴセプチティカム[Arch. Biochem. Biophys., 336, 35(1996)]、ハフニア・アルベイ[J. Biochem., 119, 468(1996)]、ラクトバチルス・デブルキー[Microbiology, 140, 527(1994)]、バチルス・コアギュランス[J. Bacteriol., 174, 7919(1994)]、アエロモナス・ソブリア[J. Biochem., 116, 818(1994)]、キサントモナス・キャンペストリス(特開平9-121860)、ナイセリア・ゴノレーヤー[Mol. Microbiol., 9, 1203(1993)]、プロピオニバクテリウム・フリュデンリチー[Appl. Environ. Microbiol., 64, 4736(1998)]、セラチア・マルエッセンス[J. Biochem.,122, 601(1997)]、コリネバクテリウム・バリアビリス[J. Appl. Microbiol., 90, 449(2001)]、サーモプラズマ・アシドフィラム[FEBS Lett., 398, 101(1996)]、シュードモナス・アルギノーサ[Nature, 406, 959(2000)]などをプロリンイミノペプチダーゼを生産する微生物としてあげることができる。
さらに、プロリンイミノペプチダーゼを生産する微生物としては、以下の[11]〜[13]から選ばれる蛋白質、
[11]WO 03/010307号、FEMS Microbiol. Lett., 78, 191(1999)、特開平2-113887、Arch. Biochem. Biophys., 336, 35(1996)、J. Biochem., 119, 468(1996)、Microbiology, 140, 527(1994)、J. Bacteriol., 174, 7919(1994)、J. Biochem., 116, 818(1994)、特開平9-121860、Mol. Microbiol., 9, 1203(1993)、Appl. Environ. Microbiol., 64, 4736(1998)、J. Biochem., 122, 601(1997)、FEBS Lett., 398, 101(1996)、Nature, 406, 959(2000)のいずれかに記載のプロリンイミノペプチダーゼ、
[12]上記[11]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼのアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質、および
[13]上記[11]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
L-アミノ酸アミドとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質を生産する微生物としては、L−アミノ酸アミドハイドロラーゼを生産する微生物をあげることができ、具体的にはバチルス属、コリネバクテリウム属、エルビニア属、ロドコッカス属、クリセオバクテリウム属、ミクロコッカス属、シュードモナス属、クリプトコッカス属、トリコスポロン属、ロドスポリジウム属、スポロボロマイセス属、トレメラ属、トルラスポラ属、ステリグマトマイセス属、またはロドトルラ属に属する微生物、好ましくはバチルス属、コリネバクテリウム属またはシュードモナス属に属する微生物、より好ましくはバチルス・メガテリウムAJ3284(FERM BP-8090)、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13286、ミクロコッカス・ルテウス ATCC9341、シュードモナス・サッカロフィラ ATCC15946(以上、WO03/010187号に記載の微生物)などをあげることができる。
また、L-アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質を生産する微生物としては、以下の[14]〜[16]から選ばれる蛋白質、
[14]WO03/010187号記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ、
[15]WO03/010187号記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼのアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質、および
[16]WO03/010187号記載のL−アミノ酸アミドハイドロラーゼのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつL-アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質、
を生産する能力を有する微生物をあげることができる。
上記において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド合成活性を有する蛋白質は、上記(1)と同様の方法で取得することができる。欠失、置換または付加されるアミノ酸の数、種類等も上記(1)と同じである。
アミノ酸配列の相同性は、上記したBLASTやFASTA等のプログラムを用いて決定することができる。
また、1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNA、L-アミノ酸エステルとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNA、またはL−アミノ酸アミドとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNAとベクターDNAを連結して得られる組換え体DNAを有する微生物もまたジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物である。
該微生物としては、エシェリヒア属、バチルス属、コリネバクテリウム属またはサッカロマイセス属に属する微生物をあげることができる。
1種以上のアミノ酸を縮合、連結することによりジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、NRPS、D-Ala-D-AlaリガーゼまたはL-アミノ酸リガーゼをコードするDNAなどをあげることができる。
NRPSをコードするDNAとしてはBacA、BacB、BacC、TycA、TycB、TycCおよびPcbABからなる群より選ばれる蛋白質をコードするDNAをあげることができる。
D-Ala-D-AlaリガーゼをコードするDNAとしてはDdlA、DdlBおよびDdlCからなる群より選ばれる蛋白質をコードするDNAをあげることができる。
L-アミノ酸リガーゼをコードするDNAとしては、以下の[17]〜[20]から選ばれるDNA、
[17]上記[7]〜[10]のいずれかに記載のL-アミノ酸リガーゼをコードするDNA、
[18]配列番号20〜28のいずれかで表される塩基配列を有するDNA、
[19]配列番号20〜28のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、および
[20]配列番号29で表される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する塩基配列を有するDNAであり、かつL-アミノ酸リガーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
L−アミノ酸エステルとL−アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、以下の[21]〜[23]から選ばれるDNA、
[21]上記[11]〜[13]のいずれかに記載のプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNA、
[22]WO 03/010307号、FEMS Microbiol. Lett., 78, 191(1999)、特開平2−113887、Arch. Biochem. Biophys., 336, 35(1996)、J. Biochem., 119, 468(1996)、Microbiology, 140, 527(1994)、J. Bacteriol., 174, 7919(1994)、J. Biochem., 116, 818(1994)、特開平9−121860、Mol. Microbiol., 9, 1203(1993)、Appl. Environ. Microbiol., 64, 4736(1998)、J. Biochem., 122, 601(1997)、FEBS Lett., 398, 101(1996)、Nature, 406, 959(2000)のいずれかに記載の塩基配列を有するプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNA、および
[23]上記[21]のいずれかのプロリンイミノペプチダーゼをコードするDNAの相補鎖DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつプロリンイミノペプチダーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
L-アミノ酸アミドとL-アミノ酸からジペプチドを合成する活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、以下の[24]〜[26]から選ばれるDNA、
[24]上記[14]〜[16]のいずれかに記載のL-アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNA、
[25]WO03/010187号記載の塩基配列を有するL−アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNA、および
[26]WO03/010187号記載の塩基配列からなるL−アミノ酸アミドハイドロラーゼをコードするDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−アミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとは、上記1(1)の定義と同じである。上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、該DNAを発現する組換えDNAを作製し、該組換えDNAを宿主細胞に導入して得られる微生物を酵素源に用い、1)該酵素源および1種以上のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドが生成、蓄積するか否かをHPLC等により分析する方法、2)該酵素源、L-アミノ酸エステルおよびL-アミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドが生成、蓄積するか否かをHPLC等により分析する方法、3)該酵素源、L-アミノ酸アミドおよびL-アミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドが生成、蓄積するか否かをHPLC等により分析する方法、によって確認することができる。
塩基配列の相同性は、上記したBLASTまたはFASTA等のプログラムを用いて決定することができる。
2.本発明で用いられる微生物の調製
(1)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物の調製
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物のうち、比活性が親株のジペプチド輸送活性を有する蛋白質より高い微生物は、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをin vitroにおける変異剤を用いた変異処理、またはエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAと公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより該変異DNAを発現する改変体を作成し、上記した方法により親株と改変体のジペプチド輸送活性を比較することにより取得することができる。
また、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物のうち、該蛋白質の生産量が親株の生産量より向上している微生物は、親株が有するジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の転写調節領域およびプロモーター領域、例えば該蛋白質の開始コドンの上流側200bp、好ましくは100bpの塩基配列を有するDNAをin vitroにおける変異処理、またはエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の転写調節領域およびプロモーター領域と公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより変異型の転写調節領域またはプロモーター領域を有する改変体を作成し、RT−PCRまたはノーザンハイブリダイゼーションなどにより、親株と改変体のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の転写量を比較する方法、またはSDS−PAGEなどにより親株と改変体のジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量を比較する方法により確認することができる。
また、親株のジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター領域を公知の強力なプロモーター配列と置換することによっても、親株よりジペプチド輸送活性を有する蛋白質の生産量が向上した微生物を取得することもできる。
そのようなプロモーターとしては、E. coliで機能するtrpプロモーター(P trp )、lacプロモーター(P lac )、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターなどの人為的に造成したプロモーターもあげることができる。
以下に、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得法、および親株を該DNAで形質転換して得られる微生物の調製法について詳細に説明する。
(a)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAは、例えば配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAの塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、E. coliなどの微生物の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、または該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、微生物、好ましくはE. coliの染色体DNAを鋳型としたPCR[PCR Protocols, Academic Press (1990)]により取得することができる。
また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAの塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列に基づき、該塩基配列を有する微生物の染色体DNA、cDNAライブラリー等から上記した方法によりジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを取得することもできる。
取得したDNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断し、常法によりベクターに組み込み、得られた組換え体DNAを宿主細胞に導入した後、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]または3700 DNAアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、該DNAの塩基配列を決定することができる。
上記のベクターとしては、pBluescriptII KS(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT[Nucleic Acids Res., 18, 6069 (1990)]、pCR-Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)およびpCR-TRAP(ジーンハンター社製)などをあげることができる。
宿主細胞としては、Escherichia属に属する微生物などをあげることができる。Escherichia属に属する微生物としては、例えば、E. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coliDH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coliW1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coliNo.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coliMP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coliME8415等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
上記のようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA、および配列番号1〜5のいずかで表される塩基配列中のコーディング領域を有するDNAをあげることができる。
(b)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターで形質転換された微生物の取得
上記(a)の方法で得られるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAをもとにして、必要に応じて、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードする部分の塩基配列を、宿主細胞での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することにより、該蛋白質量が向上した形質転換体を取得することができる。
該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNAを作製する。
該組換え体DNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が宿主細胞、すなわち親株より向上した形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、微生物、好ましくは原核生物、より好ましくは細菌、さらに好ましくはEscherichia属に属する微生物、最も好ましくはE. coliを用いることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自律複製可能または染色体中への組込みが可能で、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
原核生物を宿主細胞として用いる場合は、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを有する組換え体DNAは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、pColdI(タカラバイオ社製)、pCDF-1b、pRSF-1b(いずれもノバジェン社製)、pMAL-c2x(ニューイングランドバイオラブス社製)、pGEX-4T-1(ジーイーヘルスケアバイオサイエンス社製)、pTrcHis(インビトロジェン社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX-1(プロメガ社製)、pQE-30(キアゲン社製)、pET-3(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(-)(ストラタジーン社製)、pTrS30 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrS32 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pPAC31 (WO98/12343)、pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63-233798)等を例示することができる。
プロモーターとしては、E. coli等の宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(P trp )、lacプロモーター(P lac )、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、E. coliやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
さらにBacillus属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594-599 (1991)]やCorynebacterium属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]なども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを発現ベクターに結合させた組換え体DNAにおいては、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えば後述するpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、およびpSyeeOをあげることができる。
該組換え体DNAの宿主としては、原核生物、より好ましくは細菌をあげることができる。
原核生物としては、エシェリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アナベナ(Anabaena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アスロバクター(Arthrobacter)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、クロマチウム(Chromatium)属、エルビニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリウム(Rhodospirillum)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、シネコッカス(Synechoccus)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物、例えば、エシェリヒア・コリ、バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・イマリオフィルム(Brevibacterium immariophilum)、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィルム(Microbacterium ammoniaphilum)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾジーンズ(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビ(Agrobacterium rubi)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、アナベナ・ドリオルム(Anabaena doliolum)、アナベナ・フロスアクア(Anabaena flos-aquae)、アースロバクター・オーレッセンス(Arthrobacter aurescens)、アースロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アースロバクター・グロブフォルミス(Arthrobacter globformis)、アースロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アースロバクター・ミソレンス(Arthrobacter mysorens)、アースロバクター・ニコチアナ(Arthrobacter nicotianae)、アースロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)、アースロバクター・プロトフォルミエ(Arthrobacter protophormiae)、アースロバクター・ロセオパラフィナス(Arthrobacter roseoparaffinus)、アースロバクター・スルフレウス(Arthrobacter sulfureus)、アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)、クロマチウム・ブデリ(Chromatium buderi)、クロマチウム・テピダム(Chromatium tepidum)、クロマチウム・ビノサム(Chromatium vinosum)、クロマチウム・ワーミンギ(Chromatium warmingii)、クロマチウム・フルビアタティレ(Chromatium fluviatile)、エルビニア・ウレドバラ(Erwinia uredovora)、エルビニア・カロトバラ(Erwinia carotovora)、エルビニア・アナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ヘリコラ(Erwinia herbicola)、エルビニア・パンクタタ(Erwinia punctata)、エルビニア・テレウス(Erwinia terreus)、メチロバクテリウム・ロデシアナム(Methylobacterium rhodesianum)、メチロバクテリウム・エクソトルクエンス(Methylobacterium extorquens)、フォルミディウム・エスピー(Phormidium sp.) ATCC29409、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・ブラスチカ(Rhodopseudomonas blastica)、ロドシュードモナス・マリナ(Rhodopseudomonas marina)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドスピリウム・リブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリウム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリウム・サリナラム(Rhodospirillum salinarum)、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens) 、ストレプトマイセス・アウレウス(Streptomyces aureus)、ストレプトマイセス・フンジシディカス(Streptomyces fungicidicus)、ストレプトマイセス・グリセオクロモゲナス(Streptomyces griseochromogenes)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリボグリセウス(Streptomyces olivogriseus)、ストレプトマイセス・ラメウス(Streptomyces rameus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・ビナセウス(Streptomyces vinaceus)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等をあげることができ、好ましい原核生物としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属等に属する細菌、例えば上記したエシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属またはストレプトマイセス属等に属する種をあげることができ、より好ましい細菌としてはエシェリヒア・コリ、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム、コリネバクテリウム・フラバム、コリネバクテリウム・エフィシェンス、バチルス・サチルス、バチルス・メガテリウム、セラチア・マルセッセンス、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・エルギノーサ、ストレプトマイセス・セリカラーまたはストレプトミセス・リビダンスをあげることができ、特に好ましくはエシェリヒア・コリをあげることができる。
(c)ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAが染色体DNAに組み込まれた微生物の取得
上記(a)の方法で得られるジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNAの任意の位置に組み込むことにより、ジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物を取得することもできる。
ジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAを微生物の染色体DNAの任意の位置に組み込む方法としては、相同組換えを利用した方法をあげることができ、宿主、すなわち親株としてE. coliを用いる場合にはProc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000) に記載の方法をあげることができる。
(2)ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物の調製
ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物のうち、比活性が親株の該蛋白質より高い微生物、および該蛋白質の生産量が親株より向上している微生物は、上記(1)と同様、ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAをin vitroで変異処理する、またはエラープローンPCRなどに供することにより取得できる変異型酵素遺伝子と親株の遺伝子とを置換することにより取得できる。
取得された変異型酵素遺伝子を有する微生物と親株とをそれぞれ液体培地に培養し、培養物中に含有されるジペプチドの量を公知の方法で測定、比較することにより、ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高いことを確認することができる。
以下に、ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得法および親株を該DNAで形質転換して得られる微生物の調製法について説明する。
(a)ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの取得
ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAは、上記1(2)のジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAの塩基配列に従い、上記2(1)(a)と同様の方法により取得することができる。
上記方法で取得することができるDNAとしては、配列番号11〜18で表されるアミノ酸配列を有するL-アミノ酸リガーゼをコードする、配列番号20〜28のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域を有するDNAをあげることができる。
(b)ジペプチド合成活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターで形質転換された微生物の取得
ジペプチド合成活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターは、上記2(2)(a)で得られるジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAを用い、上記2(1)(b)と同様の方法により取得することができる。
上記方法で取得できるジペプチド合成活性を有する蛋白質を発現するプラスミドベクターとしては、例えば後述するpPE86uspをあげることができる。
(c)ジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAが染色体DNAに組み込まれた微生物の取得
上記2(2)(a)の方法で得られるジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNAの任意の位置に組み込むことにより、ジペプチド合成活性を有する蛋白質の活性が親株より高い微生物を取得することもできる。
DNAを微生物の染色体DNAの任意の位置への組込みは、上記2(1)(c)と同様の方法により行うことができる。
(3)ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製
本発明のジペプチドの製造法で用いられる、ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する微生物としては、該能力を有する微生物であればいずれの微生物であってもよく、自然界から分離された株自身が該能力を有する場合は該株そのもの、公知の方法により所望のジペプチドを構成するアミノ酸のうちの少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を人為的に付与した微生物などをあげることができる。
当該公知の方法としては、
(a)アミノ酸の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除する方法、
(b)アミノ酸の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)アミノ酸の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)アミノ酸の生合成経路から該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、アミノ酸のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独または組み合わせて用いることができる。
上記(a)については、例えばAgric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)、J. Bacteriol., 110, 761-763(1972)およびAppl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)などに、上記(b)については、例えばAgric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)およびJ. Bacteriol., 110, 761-763(1972)などに、上記(c)については、例えばAppl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)およびAgric. Biol. Chem., 39, 371-377(1987)などに、上記(d)については、例えばAppl. Environ. Micribiol., 38, 181-190(1979)およびAgric. Biol. Chem., 42, 1773-1778(1978)などに、上記(e)については、例えばAgric. Biol. Chem., 36, 1675-1684(1972)、Agric. Biol. Chem., 41, 109-116(1977)、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)およびAgric. Biol. Chem., 51, 2089-2094(1987)などに記載されている。上記文献等を参考に各種アミノ酸を生産する能力を有する微生物を調製することができる。
さらに上記(a)〜(e)のいずれか、または組み合わせた方法によるアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製方法については、Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Products of Primary Metabolism (VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim, 1996) section 14a, 14bやAdvances in Biochemical Engineering/ Biotechnology, 79, 1-35 (2003)、アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら(1986)に多くの例が記載されており、また上記以外にも具体的なアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製方法は、特開2003-164297、Agric. Biol. Chem., 39, 153-160 (1975)、Agric. Biol. Chem., 39, 1149-1153(1975)、特開昭58-13599、J. Gen. Appl. Microbiol., 4, 272-283(1958)、特開昭63-94985、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)、WO97/15673、特開昭56-18596、特開昭56-144092および特表2003-511086など数多くの報告があり、上記文献等を参照することにより1種以上のアミノ酸を生産する能力を有する微生物を調製することができる。
上記方法によって調製することができるアミノ酸を生産する能力を有する微生物としては、例えばL-グルタミン生産菌として、glnE遺伝子および/またはglnB遺伝子が欠損した微生物、L-アラニン生産菌として、アラニン脱水素酵素遺伝子(ald遺伝子)の発現が強化された微生物、L-プロリン生産微生物として、フェニルアラニンの脱感作型pheA遺伝子および/またはチロシンの脱感作型aroF遺伝子を発現する微生物などをあげることができる。
上記したアミノ酸を生成、蓄積する微生物としては、上記(a)〜(e)の方法が適用することができる微生物または上記遺伝的形質を有する微生物であればいずれの微生物であってもよく、好ましくは原核生物、より好ましくは細菌をあげることができる。該原核生物および細菌は上記2(1)と同じである。
アミノ酸を生産する微生物の具体例としては、WO2006/001379号に記載されているL-グルタミン生産株であるエシェリヒア・コリ JGLE1およびエシェリヒア・コリ JGLBE1など、L-アラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ JM101株など、L-フェニルアラニン生産株であるpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保有するエシェリヒア・コリ JM101株など、L-グルタミンおよびL-アラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリJGLE1およびエシェリヒア・コリ JGLBE1など、L-アラニンおよびL-フェニルアラニン生産株であるald遺伝子発現プラスミドおよびpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ JM101など、L-スレオニンおよびL-フェニルアラニン生産株であるpPHEA2および/またはaroF遺伝子発現プラスミドを保持するATCC21277株などをあげることができる。
さらに、アミノ酸を生産する能力を有する微生物の具体的例としては、L-グルタミン酸生産株としてFERM BP-5807およびATCC13032など、L-グルタミン生産株としてFERM P-4806およびATCC14751など、L-スレオニン生産株としてATCC21148、ATCC21277およびATCC21650など、L-リジン生産株としてFERM P-5084およびATCC13286など、L-メチオニン生産株としてFERM P-5479、VKPM B-2175およびATCC21608など、L-イソロイシン生産株としてFERM BP-3757およびATCC14310など、L-バリン生産株としてATCC13005およびATCC19561など、L-ロイシン生産株としてFERM BP-4704およびATCC21302など、L-アラニン生産株としてFERM BP-4121およびATCC15108など、L-セリン生産株としてATCC21523およびFERM BP-6576など、L-プロリン生産株としてFERM BP-2807およびATCC19224など、L-アルギニン生産株としてFERM P-5616およびATCC21831など、L-オルニチン生産株としてATCC13232など、L-ヒスチジン生産株としてFERM BP-6674およびATCC21607など、L-トリプトファン生産株としてDSM10118、DSM10121、DSM10123およびFERM BP-1777など、L-フェニルアラニン生産株としてATCC13281およびATCC21669など、L−チロシン生産株としてATCC21652など、L-システイン生産株としてW3110/pHC34(特表2003-511086記載)など、L-4-ヒドロキシプロリン生産株としてエシェリヒア・コリSOLR/pRH71(WO96/27669記載)など、L-3-ヒドロキシプロリン生産株としてFERM BP-5026およびFERM BP-5409など、L-シトルリン生産株としてFERM P-5643およびFERM P-1645などをあげることができる。
なお、上記のFERM番号で表される菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本)、ATCC番号で表される菌株は、American Type Culture Collection(米国)、VKPM番号で表される菌株は、Russian National Collection of Industrial Microorganisms(ロシア)、DSM番号で表される菌株はDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(ドイツ)からそれぞれ入手することができる。
(4)ペプチダーゼまたはペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が親株より低下、または喪失している微生物の調製
本発明の微生物および本発明のジペプチドの製造法で用いられる微生物は、ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質の活性が親株よりも高いという性質に加え、ペプチダーゼまたはペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が親株より低下、または喪失していてもよい。
ペプチダーゼまたはペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が親株より低下、または喪失している微生物はWO2005/045006号に記載の方法に従い調製することができる。
3.本発明のジペプチドの製造法
(1)微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用いたジペプチドの製造法
本発明の微生物の培養物は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える天然培地または合成培地培を用いて該微生物を培養することにより取得することができる。
炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
培養物の処理物としては、上記の方法で得られる培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの生菌体を含有する処理物をあげることができる。
上記方法で取得することができる本発明の微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、並びにアミノ酸、アミノ酸エステルおよびアミノ酸アミドから選ばれる1種以上の基質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取することによりジペプチドを製造することができる。
以下では上記方法を(i)〜(iii)、
(i)該微生物の培養物または培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、および1種以上、好ましくは1種または2種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、
(ii)該微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、1種以上、好ましくは1種のアミノ酸エステルおよび1種以上、好ましくは1種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、および、
(iii)該微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用い、該酵素源、1種以上、好ましくは1種のアミノ酸アミドおよび1種以上、好ましくは1種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法、
に分けて詳細に説明する。
上記(i)の製造法において、基質に用いられる1種以上のアミノ酸、好ましくは1種または2種のアミノ酸としては、アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸、グリシン(Gly)およびβ−アラニン(βAla)からなる群より選ばれるアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよい。L-アミノ酸としては、例えばL-アラニン(L-Ala)、L-グルタミン(L-Gln)、L-グルタミン酸(L-Glu)、L-バリン(L-Val)、L-ロイシン(L-Leu)、L-イソロイシン(L-Ile)、L-プロリン(L-Pro)、L-フェニルアラニン(L-Phe)、L-トリプトファン(L-Trp)、L-メチオニン(L-Met)、L-セリン(L-Ser)、L-スレオニン(L-Thr)、L-システイン(L-Cys)、L-アスパラギン(L-Asn)、L-チロシン(L-Tyr)、L-リジン(L-Lys)、L-アルギニン(L-Arg)、L-ヒスチジン(L-His)、L-アスパラギン酸(L-Asp)、L-α-アミノ酪酸(L-α-AB)、L-アザセリン(L- Azaserine)、L-テアニン(L-theanine)、L-4-ヒドロキシプロリン(L-4-HYP)、L-3-ヒドロキシプロリン(L-3-HYP)、L-オルニチン(L-Orn)、L-シトルリン(L-Cit)およびL-6-ジアゾ-5-オキソノルロイシン(L-6-diazo-5-oxo-norleucine)などをあげることができる。
上記(i)の製造法に用いられる、より好ましいアミノ酸としては、L-Ala、Gly、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-α-ABおよびβ-Alaから選ばれる1種のアミノ酸とL-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB 、β-Ala、L-Azaserine、L-theanine、L-4-HYP、L-3-HYP、L-Orn、L-CitおよびL-6-diazo-5-oxo-norleucineから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、L-GlnとL-Pheの組み合わせ、さらに好ましくはL-Alaと L-Ala、L-Gln、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-α-AB 、L-Azaserine、L-CitおよびL-theanineから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、GlyとL-Gln、Gly、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-α-ABおよびL-Citから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、L-MetとL-Phe、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Tyr、L-LysおよびL-Hisから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、L-SerとL-Gln、L-Phe、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-HisおよびL-α-ABから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、L-ThrとL-Gln、L-Phe、L-Leu、L-ThrおよびL-α-ABから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、L-GlnとL-Pheの組み合わせ、β-AlaとL-Phe、L-Met、L-HisおよびL-Citから選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせ、およびL-α-ABとL-Gln、L-ArgまたはL-α-ABの組み合わせをあげることができる。
上記(i)の製造法において、基質として用いるアミノ酸は、0.1〜500g/L、好ましくは0.2〜200g/Lの濃度になるように水性媒体中に初発または反応途中に添加する。
上記(i)の製造法で製造されるジペプチドとしては、下式(I)
Figure 0005319521
(式中、RおよびRは、同一または異なってアミノ酸を表す)
で表されるジペプチドをあげることができ、好ましくは、上記式(I)においてRおよびRが同時にまたは異なって、L-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB、β-Ala、L-Azaserine、L-theanine、L-4-HYP、L-3-HYP、L-OrnおよびL-6-diazo-5-oxo-norleucineから選ばれるアミノ酸であるジペプチドをあげることができ、より好ましくはRがL-Ala、Gly、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-α-ABまたはβ-Alaの場合は、RがL-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB 、β-Ala、L-Azaserine、L-theanine、L-4-HYP、L-3-HYP、L-OrnまたはL-6-diazo-5-oxo-norleucineであるジペプチドをあげることができ、さらに好ましくは、RがL-Alaの場合は、RはL-Ala、L-Gln、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-α-AB 、L-AzaserineまたはL-theanineであるジペプチド、RがGlyの場合は、RはL-Gln、Gly、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Tyr、L-Lys、L-ArgまたはL-α-ABであるジペプチド、RがL-Metの場合は、RはL-Phe、L-Met、L-Cys、L-Tyr、L-LysまたはL-Hisであるジペプチド、RがL-Serの場合は、RはL-Gln、Gly、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-HisまたはL-α-ABであるジペプチド、RがL-Thrの場合は、RはL-Gln、L-Gly、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-ThrまたはL-α-ABであるジペプチド、RがL-Glnの場合は、RはL-PheまたはL-α-ABであるジペプチド、RがL-Pheの場合は、RはL-Glnであるジペプチド、RがL-Trpの場合は、RはGlyであるジペプチド、RがL-Cysの場合は、RはL-Ala、L-Gln、Gly、またはL-Metであるジペプチド、RがL-Lysの場合は、RはL-Ala、GlyまたはL-Metであるジペプチド、RがL-Argの場合は、RはL-α-ABであるジペプチド、RがL-Hisである場合は、RはL-Metであるジペプチド、およびRがL-α-ABの場合は、RはL-Ala、L-Gln、Gly、L-Ser、L-Thr、L-ArgまたはL-α-ABであるジペプチドをあげることができる。
また上記製造法においては、必要に応じて、ATPの供給源として、本発明の微生物が代謝してATPを生産し得る化合物、例えばグルコースのような糖類、エタノールのようなアルコール類、酢酸のような有機酸類などを水性媒体中に加えることができる。
上記(ii)の製造法において、基質に用いられる1種以上のアミノ酸エステルおよび1種以上のアミノ酸としては、本発明の製造法の酵素源として用いられる微生物が基質に用いてジペプチドを生成することができるアミノ酸エステルおよびアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸エステルとアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよく、好ましくは1種のアミノ酸エステルおよび1種のアミノ酸の組み合わせで用いられ、アミノ酸としてはL-アミノ酸およびグリシンが好ましい。より好ましい1種のアミノ酸エステルおよび1種のアミノ酸の組み合わせとしては、例えばアミノ酸エステルが、L-アラニンエステル、グリシンエステル、L-バリンエステル、L-イソロイシンエステル、L-メチオニンエステル、L-フェニルアラニンエステル、L-セリンエステル、L-スレオニンエステル、L-グルタミンエステル、L-チロシンエステル、L-アルギニンエステル、L-アスパラギン酸−α−エステル、L-アスパラギン酸−β−エステル、L-ロイシンエステル、L-アスパラギンエステル、L-リジンエステル、L-アスパラギン酸−α,β−ジメチルエステルおよびL-グルタミン−γ−エステルからなる群より選ばれる1種のアミノ酸エステルであり、アミノ酸がL-Gln、L-Asn、Gly、L-Ala、L-Leu、L-Met、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-Lys
、L-Arg、L-HisおよびL-Gluからなる群より選ばれる1種のアミノ酸である組み合わせをあげることができる。
上記(ii)の製造法において、基質として用いるアミノ酸エステルおよびアミノ酸は、それぞれ0.1〜500g/L、好ましくは0.2〜200g/Lの濃度になるように水性媒体中に初発または反応途中に添加する。
上記(iii)の製造法において、基質に用いられる1種以上のアミノ酸アミドおよび1種以上のアミノ酸としては、本発明の製造法の酵素源として用いられる微生物が基質に用いてジペプチドを生成することができるアミノ酸アミドおよびアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸アミドとアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよく、好ましくは1種のアミノ酸アミドおよび1種のアミノ酸の組み合わせで用いられ、アミノ酸としてはL-アミノ酸およびグリシンが好ましい。1種のアミノ酸アミドおよび1種のアミノ酸の組み合わせとしては、例えばアミノ酸アミドが、L-アラニンアミド、グリシンアミドおよびL-アスパラギン酸アミドからなる群より選ばれる1種のアミノ酸アミドであり、アミノ酸がL-Gln、L-Asn、Gly、L-Ala、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Met、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-HisおよびL-Gluからなる群より選ばれる1種のアミノ酸の組み合わせをあげることができる。
上記(iii)の製造法において、基質として用いるアミノ酸アミドおよびアミノ酸は、それぞれ0.1〜500g/L、好ましくは0.2〜200g/Lの濃度になるように水性媒体中に初発または反応途中に添加する。
本発明の製造法で用いられる水性媒体としては、ジペプチドの生成反応を阻害しない限り、いかなる成分、組成の水性媒体であってもよく、例えば、水、りん酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液などをあげることができる。また、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類を含有していてもよい。
ジペプチドの生成反応は水性媒体中、pH5〜11、好ましくはpH6〜10、20〜60℃、好ましくは25〜45℃の条件で2〜150時間、好ましくは6〜120時間行う。
さらに必要に応じて、水性媒体中に界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)などの非イオン界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)などのカチオン系界面活性剤、ラウロイル・ザルコシネートなどのアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)などの三級アミン類など、ジペプチドの生成を促進するものであればいずれでもよく、1種または数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0. 1〜50 g/lの濃度で用いられる。有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチルなどがあげられ、通常0.1〜50 ml/lの濃度で用いられる。
酵素源として用いる培養物または該培養物の処理物の量は、当該酵素源の比活性等により異なるが、例えば、基質であるアミノ酸、アミノ酸メチルエステルまたはアミノ酸アミド 1mgあたり5〜1000mg、好ましくは10〜400mg添加する。
水性媒体中に生成、蓄積したジペプチドの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法あるいは、有機溶媒による抽出、結晶化、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
その他、上記(ii)および(iii)の製造法は、WO03/010189号またはWO03/010187号の記載に準じて行うことができる。
(2)発酵法による製造
ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する本発明の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取することにより、ジペプチドを製造することができる。
該微生物を培地に培養する方法は、上記(1)の培養方法と同様であるが、該培地には所望のジペプチドを構成する少なくとも1種のアミノ酸が添加されていてもよい。
上記方法で製造されるジペプチドとしては、1種または2種のアミノ酸がα結合したジペプチドをあげることができ、好ましくは該アミノ酸がL-アミノ酸またはグリシンであるジペプチド、より好ましくは、下式(II)
Figure 0005319521
で表されるジペプチドにおいてR1およびR2が同一または異なって、L-Ala、L-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、LL-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB、L-4-HYP、L-3-HYP、L-オルニチン(L-Orn)およびL-シトルリン(L-Cit)から選ばれるアミノ酸であるジペプチド、さらに好ましくはR1がL-Ala、Gly、L-Met、L-Ser、L-Cys、L-α-ABまたはL-Thrの場合は、R2がL-Gln、L-Glu、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Pro、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-Asp、L-α-AB 、L-4-HYP、L-3-HYP、L-OrnまたはL-Citであるジペプチド、特に好ましくは、R1がL-Alaの場合は、R2はL-Gln、Gly、L-Val、L-Leu、L-Ile、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Asn、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-His、L-α-ABまたはL-Citであるジペプチド、R1がGlyの場合は、R2はL-Gln、Gly、L-Phe、L-Trp、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Cys、L-Tyr、L-Lys、L-Arg、L-α-ABまたはL-Citであるジペプチド、R1がL-Metの場合は、R2はL-Phe、L-Met、L-Cys、L-Tyr、L-LysまたはL-Hisであるジペプチド、R1がL-Serの場合は、R2はL-Gln、Gly、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-Thr、L-Tyr、L-HisまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Thrの場合は、R2はL-Gln、L-Leu、L-Phe、L-Met、L-Ser、L-ThrまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Glnの場合は、R2はL-PheまたはL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Pheの場合は、R2はL-Glnであるジペプチド、R1がL-Trpの場合は、R2はGlyであるジペプチド、R1がL-Cysの場合は、R2はL-Ala、L-Gln、Gly、またはL-Metであるジペプチド、R1がL-Lysの場合は、R2はL-Ala、GlyまたはL-Metであるジペプチド、R1がL-Argの場合は、R2はL-α-ABであるジペプチド、R1がL-Hisである場合は、R2はL-Metであるジペプチド、およびR1がL-α-ABの場合は、R2はL-Ala、L-Gln、Gly、L-Ser、L-Thr、L-ArgまたはL-α-ABであるジペプチドをあげることができ、最も好ましくはL-アラニル−L-アラニン(L-Ala-L-Ala)、L-アラニル-L-グルタミン(L-Ala-L-Gln)、L-アラニル-L-フェニルアラニン(L-Ala-L-Phe)およびL-スレオニル-L-フェニルアラニン(L-Thr-L-Phe)をあげることができる。
水性媒体中、または培養物中に生成、蓄積したジペプチドの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法あるいは、有機溶媒による抽出、結晶化、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
以下、本発明の実施例を示すが本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。
bcr遺伝子発現プラスミドの造成
以下の方法でbcr遺伝子発現プラスミドを造成した。
エシェリヒア・コリ JM101株をLB培地[10g/l バクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/l イーストエキス(ディフコ社製)、5g/l 塩化ナトリウム]に植菌し30℃で一晩静置培養した。培養後、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーに記載の飽和フェノールを用いる方法により、該微生物の染色体DNAを単離精製した。
配列番号1で表される塩基配列に基づき、bcr遺伝子増幅用のプライマーDNAとして配列番号30および31で表される塩基配列からなるDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRは、鋳型として0.1μgの染色体DNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)、5μLのPyrobest DNAポリメラーゼ用×10緩衝液(タカラバイオ製)、各200μmol/LのdNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)を含む反応液50μLを調製し、96℃で15秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
約1.2kbのDNA断片が増幅したことを確認し、該DNA断片を常法に従って精製した。
該DNA断片およびtrpプロモーターを含む発現ベクターpTrS30[エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]をそれぞれHindIII、SacIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキット(GENECLEAN II kit、BIO 101 社製)を用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
上記で得られたbcr遺伝子を含む1.2kb断片、pTrs30の制限酵素消化断片をライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、trpプロモーター下流にbcr遺伝子が連結された発現ベクターであるpTbcrが取得されていることを確認した。
次にpTbcrおよびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびSacIで切断し、trpプロモーター下流にbcr遺伝子が連結された1.6kbの断片とpSTV28の制限酵素消化断片を上記と同様の方法で回収した。
上記と同様の方法で連結し、得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した後、クロラムフェニコール耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、trpプロモーター下流にbcrが連結された発現ベクターが得られていることを確認し、該発現ベクターをpSbcrと命名した。
norE遺伝子発現プラスミドの造成
実施例1と同様に配列番号2で表される塩基配列に基づき、norE遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号32および33で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびpTrS30をそれぞれHindIIIおよびBamHIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリDH5α株を形質転換した。
得られた形質転換体からtrpプロモーター下流にnorE遺伝子が連結された発現ベクターであるpTnorEを抽出し、実施例1と同様にpTnorEおよびpSTV28をそれぞれEcoRI、BamHIで切断した。両DNA断片を連結して、実験例1と同様の方法でtrpプロモーター下流にnorE遺伝子が連結された発現ベクター造成し、pSnorEと命名した。
ydeE遺伝子発現プラスミドの造成
実施例1と同様に配列番号3で表される塩基配列に基づき、ydeE遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号34および35で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびBamHIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にydeE遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pSydeEと命名した。
emrD遺伝子発現プラスミドの造成
実施例1と同様に配列番号4で表される塩基配列に基づき、emrD遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号36および37で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびPstIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にemrD遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pSemrDと命名した。
yeeO遺伝子発現プラスミドの造成
実施例1と同様に配列番号5で表される塩基配列に基づき、yeeO遺伝子増幅用のプライマーDNAとして、配列番号38および39で表される塩基配列からなるプライマーDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1と同様の条件で行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびPstIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にyeeO遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pSyeeOと命名した。
ywfE遺伝子およびald遺伝子発現プラスミドの造成
(1)発現プラスミドpTrSQE30の造成
配列番号40および41で表される塩基配列からなるDNAプライマーセットとし、発現ベクター pQE60(キアゲン社製)を鋳型に用いてPCRを行った。
PCRは、10ngのプラスミドDNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPfu DNAポリメラーゼ、4μLのPfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液、200μmol/L の各dNTPを含む反応液40μLを調製し、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびpTrS30をそれぞれClaIおよびSphIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ NM522株株を形質転換した。以上の方法でtrpプロモーターを有するC末Hisタグ付加型蛋白質発現ベクターを造成し、pTrSQE30と命名した。
(2)発現プラスミドpUATQE30の造成
配列番号42および43で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型に用いてPCRを行った。
PCRは、0.1μgの染色体DNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPfu DNAポリメラーゼ、4μLのPfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液、200μmol/L の各dNTPを含む反応液40μLを調製し、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、および上記で得られたpTrSQE30をそれぞれEcoRIおよびClaIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ NM522株株を形質転換した。以上の方法でストレス蛋白プロモーター(uspA プロモーター)を有するC末Hisタグ付加型蛋白質発現ベクターを造成し、pUATQE30と命名した。
(3)ywfE遺伝子およびald遺伝子発現プラスミドの造成
配列番号41および42で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、上記で得られたpUATQE30を鋳型に用いてPCRを行った。
PCRは、10ngのプラスミド、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsの Pfu DNAポリメラーゼ、4μLのPfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液、200μmol/Lの各dNTPを含む40μLの反応液を調製し、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で1分間からなる工程を30回繰り返すことにより行った。
PCRで得られた増幅DNA断片、およびBacillus subtilis由来のywfE遺伝子およびBacillus subtilis由来のald遺伝子発現プラスミドであるpPE86(WO2006/001379号記載)をそれぞれEcoRIおよびNcoIで消化した後、実施例1と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ NM522株株を形質転換した。以上の方法でuspAプロモーター下流にywfE遺伝子およびald遺伝子が連結している発現プラスミドを造成し、pPE86uspと命名した。
pepD遺伝子、pepN遺伝子、pepB遺伝子、pepA遺伝子、dppオペロン、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損株の作製
pepD遺伝子、pepN遺伝子、pepB遺伝子およびdppオペロンが欠損したエシェリヒア・コリJPNDBP7(WO2005/045006)を親株に用い、その染色体DNA上のpepA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子が欠損した菌株を、ラムダファージの相同組換え系を利用した方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6641-6645(2000)]に従って作製した。
以下に記載のプラスミドpKD46、pKD3およびpCP20は、エシェリヒア・コリ ジェネティック ストック センター(米国エール大学)から該プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ株を入手し、当該株から公知の方法により抽出して用いた。
(1)遺伝子欠損用DNA断片のクローニング
エシェリヒア・コリK12株のペプチダーゼをコードするpepA遺伝子、L-プロリン分解に関与するputA遺伝子、L-グルタミンの生合成調節に関与するglnEおよびglnBの各遺伝子の塩基配列は既に明らかにされている[Science, 5331, 1453-1474(1997)]。
報告されている塩基配列に基づいてpepAputAglnEおよびglnBの各遺伝子を欠損させることを目的に、エシェリヒア・コリK12株の染色体DNA上における各々の欠損標的遺伝子の上流および下流に位置する36bpからなる塩基配列と相同な塩基配列、および酵母由来Flp recombinaseが認識する塩基配列を有するDNAを合成した。
すなわち、pepA遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号40および41、putA遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号42および43、glnE遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号44および45、glnB遺伝子欠損用DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号46および47で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれ合成した。
次に、上記合成DNAをプライマーセットとして用い、pKD3DNAを鋳型としてPCRを行った。PCRは10ngのプラスミドDNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5units のPfu DNAポリメラーゼ、4μLのPfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液、200μmol/L の各deoxyNTPを含む40μLの反応液を用い、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間からなる工程を30回繰り返すことにより行った。
上記PCRによりpepA遺伝子、putA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子含有DNA断片を取得した。
(2)pepA遺伝子欠損エシェリヒア・コリJPNDBP7の作製
エシェリヒア・コリJPNDBP7株をpKD46で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpKD46を保持するエシェリヒア・コリJPNDBP7株(以下、エシェリヒア・コリJPNDBP7/pKD46と称す)を選択した。
プラスミドpKD46は、λRed recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現はL-アラビノースにより誘導することができる。よって、L-アラビノース存在下で生育させたpKD46を保有する大腸菌を、直鎖状DNAを用いて形質転換すると、高頻度で相同組換えが起こる。またpKD46は温度感受性の複製起点を有するために、42℃で生育させることにより、プラスミドを容易に脱落させることができる。
10mmol/LのL-アラビノースと50μg/mlのアンピシリンの存在下で培養して得られたエシェリヒア・コリ JPNDBP7/pKD46に、電気パルス法により上記で取得したpepD遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子含有DNA断片を導入し、エシェリヒア・コリJPNDBP7の染色体DNA上にpepA遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子含有DNA断片が相同組換えにより組込まれた形質転換株を25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地(バクトトリプトン 10g/L、バクトイーストエキストラクト 5g/L、塩化ナトリウム 5g/L、寒天 15g/L)に塗布し、30℃で培養することで選択した。
選択したクロラムフェニコール耐性株を、25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に植菌し、42℃で14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロニーを25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地、及び100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地にレプリカし、37℃で培養し、クロラムフェニコール耐性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択することにより、pKD46脱落株を取得した。
次に上記で得られたpKD46脱落株をpCP20を用いて形質転換し、100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地上で選択することにより、pCP20を保持するpKD46脱落株を取得した。
プラスミドpCP20は、酵母由来Flp recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現は42℃で誘導することができる。
また、上記で作製したpepA遺伝子、putA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子含有DNA断片の、クロラムフェニコール耐性遺伝子の両端にはFlp recombinaseが認識する塩基配列が存在するため、Flp recombinaseが触媒する相同組換えにより容易に該耐性遺伝子を脱落させることができる。
さらに、pCP20は温度感受性の複製起点を有しているため、pCP20保持株を42℃で生育させることにより、Flp recombinaseの発現とpCP20の脱落を同時に誘導することができる。
上記で取得したpCP20保有pKD46脱落株を薬剤無添加のLB寒天培地に植菌し、42℃で14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロニーを薬剤無添加LB寒天培地、25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地および100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地にレプリカして、30℃で培養し、クロラムフェニコール感受性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。
上記で選択した各株からそれぞれ染色体DNAを調製し、PCRにより染色体DNA上のpepA遺伝子が欠損していることが確認された株をpepA遺伝子欠損株とし、エシェリヒア・コリJPNDABP株と命名した。
その後、エシェリヒア・コリJPNDABP株を親株に用い、上記と同様の方法によりputA遺伝子、glnE遺伝子およびglnB遺伝子欠損を順に導入し、pepDpepNpepApepBputAglnEおよびglnBの各遺伝子並びにdppオペロンの多重遺伝子欠損株を取得し、エシェリヒア・コリJPNDABPUTGEB株と命名した。
L-アラニル−L-グルタミン(L-Ala-L-Gln)の生産
実施例7で得られたJPNDABPUTGEBに実施例6で得られたpPE86uspを形質転換し、ジペプチド合成酵素活性を有する蛋白質を生産する能力を有するエシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86uspを取得した。
次に実施例1〜5で得られたpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、またはpSyeeOを用いて、エシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86uspを形質転換し、得られた形質転換体をそれぞれエシェリヒア・コリ JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSbcr、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSnorE、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSydeE、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSemrD、JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSyeeOと命名した。同様の方法でpSTV28を保有する形質転換体(JPNDABPUTGEB/pPE86usp/pSTV28)も取得した。
上記で得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのクロラムフェニコールを含む8mlのLB培地が入った太型試験管に接種し、30℃で17時間培養した。該培養液を100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのクロラムフェニコールを含む培地[16g/L リン酸水素二カリウム、14g/L リン酸二水素カリウム、2g/L 硫酸アンモニウム、1g/L クエン酸(無水)、1g/L カザミノ酸(ディフコ社製)、10g/L グルコース、10mg/L ビタミンB1、2g/L 硫酸マグネシウム・7水和物、10mg/L 硫酸マンガン・5水和物、50mg/L 硫酸鉄・7水和物、0.1g/L L-Pro、pH7.2に10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミンB1、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸鉄・7水和物、L-Proは別個に蒸煮後添加した]が8ml入っている試験管に1%接種し、30℃で24 時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。該培養上清中の培養生成物を、F-moc化法で誘導体化した後、HPLCを用いて該生成物を分析した。結果を表1に示す。
Figure 0005319521
表1に示した通り、bcrnorEydeEemrD、またはyeeO遺伝子の発現を強化することでL-Ala-L-Glnの培地中の蓄積量が増加した。このことから、上記遺伝子産物は細胞内のジペプチドを細胞外へ排出する活性を有するジペプチド輸送活性を有する蛋白質であることがわかった。
L-アラニル−L-ロイシン(L-Ala-L-Leu)、L-アラニル−L-バリン(L-Ala-L-Val、L-アラニル−L-イソロイシン(L-Ala-L-Ile)、L-アラニル−L-チロシン(L-Ala-L-Tyr)の生産
実施例6で得られたpPE86uspを用いてエシェリヒア・コリJPNDDP36(WO05/45006)を形質転換し、得られた形質転換体をJPNDDP36/pPE86uspと命名した。実施例1〜5で得られたpSbcr、pSnorE、pSydeE、pSemrD、またはpSyeeOを用いて、エシェリヒア・コリ JPNDDP36/pPE86uspを形質転換し、得られた形質転換体をそれぞれエシェリヒア・コリ JPNDDP36/pPE86usp/pSbcr、JPNDDP36/pPE86usp/pSnorE、JPNDDP36/pPE86usp/pSydeE、JPNDDP36/pPE86usp/pSemrDおよびJPNDDP36/pPE86usp/pSyeeOと命名した。また同様の方法でpSTV28を保有する形質転換体(JPNDDP36/pPE86usp/pSTV28)も取得した。
上記で得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのクロラムフェニコールを含む8mlのLB培地が入った太型試験管に接種し、30℃で17時間培養した。該培養液を100μg/mlのアンピシリン、25μg/mlのクロラムフェニコールおよびアミノ酸(L-LeuもしくはL-ValもしくはL-IleもしくはL-Tyr)を含む8mlの水性媒体(16g/l リン酸水素二カリウム、14g/l リン酸二水素カリウム、2g/l 硫酸アンモニウム、1g/l クエン酸(無水)、1g/l カザミノ酸(Difco社製)、0.1g/l L-Pro、2g/l L-Leu(もしくはL-Val、L-Ile、L-Tyr)、10g/l グルコース、10mg/l ビタミンB1、2g/l 硫酸マグネシウム・7水和物、50mg/l 硫酸鉄・7水和物、10mg/l 硫酸マンガン・5水和物、10mol/lの水酸化ナトリウム溶液でpH7.2に調整。グルコース、ビタミンB1、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸鉄・7水和物、L-Proは別個に蒸煮後に添加)が入った試験管に1%添加し、30℃で24 時間培養した。該水性媒体を遠心分離し上清を取得した。
該上清中の生成物を、F-moc化法で誘導体化した後、HPLCを用いて該生成物を分析した。結果を表2に示す。
Figure 0005319521
表2に示した通り、bcrnorEydeEemrDまたはyeeO遺伝子の発現を強化することでL-Ala-L-Gln以外のジペプチドの培地中の蓄積量もまた増加した。 このことから上記遺伝子産物はジペプチド全般に対して輸送活性を有する蛋白質であることがわかった。
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本発明によれば、微生物の菌体内のジペプチドを菌体外に輸送する活性を有する蛋白質の活性を強化することにより、該微生物を用いて効率よくジペプチドを製造することができる。

Claims (3)

  1. ジペプチド合成活性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の菌体内のジペプチドを菌体外へ輸送する活性(以下、ジペプチド輸送活性という)を有する蛋白質の活性が親株よりも高いエシェリヒア属に属する微生物の培養物または該培養物の処理物、およびアミノ酸、アミノ酸エステルまたはアミノ酸アミドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
    [1]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
    [2]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
    [3]配列番号6〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性があるアミノ酸配列を有し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質
  2. 微生物が以下の[1]〜[3]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、請求項1記載の製造法。
    [1]請求項1の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質をコードするDNA
    [2]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列を有するDNA
    [3]配列番号1〜5のいずれかで表される塩基配列中のコーディング領域の塩基配列と95%以上の同一性を示し、かつジペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするDNA
  3. ジペプチドを構成するアミノ酸のうち少なくとも1種のアミノ酸を生産する能力を有する請求項1または2記載の微生物を培地に培養し、培地中に該ジペプチドを生成、蓄積させ、培養物中から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
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