以下、本発明を適用したリフティングマグネット式自走機械の一例としてハイブリッド型建設機械を用いた実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械を示す側面図である。
このハイブリッド型建設機械の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びリフティングマグネット200と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
「全体構成」
図2は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを太実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を細実線でそれぞれ示す。
機械式駆動部としてのエンジン11と、発電用電動機及びアシスト用電動機としての電動発電機12は、ともに増力機としての減速機13の入力軸に接続されている。また、この減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
コントロールバルブ17は、実施の形態1の建設機械における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
また、電動発電機12には、インバータ18A及び蓄電制御部としての昇降圧コンバータ100を介して蓄電器としてのバッテリ19が接続される。このインバータ18Aと昇降圧コンバータ100との間は、DCバス110によって接続されている。
また、このDCバス110には、インバータ18Bを介してリフティングマグネット200が接続されている。リフティングマグネット200は、吸着機である。リフティングマグネット200は、金属物を磁気的に吸引するための磁気吸引力を発生する電磁石を含んでおり、インバータ18Bを介してDCバス110から電力が供給される。
また、DCバス110には、インバータ20を介して作業用電動機としての旋回用電動機21が接続されている。旋回用電動機21は、旋回機構2の動力源であり、上部旋回体3を右方向又は左方向に回転させるための駆動制御が行われる。
DCバス110は、バッテリ19、リフティングマグネット200、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行うために配設されている。
このDCバス110には、DCバス110の電圧値(以下、実施の形態1においてDCバス電圧値と称す)を検出するためのDCバス電圧検出部111が配設されている。検出されるDCバス電圧値は、コントローラ30に入力される。
また、バッテリ19には、バッテリ電圧値を検出するためのバッテリ電圧検出部112と、バッテリ電流値を検出するためのバッテリ電流検出部113が配設されている。これらによって検出されるバッテリ電圧値とバッテリ電流値は、コントローラ30に入力される。なお、バッテリ19、DCバス110と昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う蓄電系を構成する。
旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。旋回用電動機21、インバータ20、レゾルバ22、及び旋回用減速機24とで負荷駆動系を構成する。
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dを含み、レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cには、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、実施の形態1の建設機械の電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
また、説明の便宜上、図2のブロック図ではボタンスイッチ26Dを操作装置26とは独立して示すが、このボタンスイッチ26Dは操作者の右側に位置するレバー26Aの頂部に配設される押ボタンスイッチであり、コントローラ30に電気的に接続される。このボタンスイッチ26Dはリフティングマグネット200の操作(励磁(吸引)又は消磁(釈放)の切替操作)を行うためのボタンスイッチである。また、励磁用と消磁用のスイッチは別々にされていてもよく、操作者の左前方にあるレバー26Bに励磁用スイッチを設置し、操作者の右前方にあるレバー26Aに励磁用のスイッチを設置してもよい。
このような実施の形態1の建設機械は、エンジン11、電動発電機12、及び旋回用電動機21を動力源とするハイブリッド型建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
「各部の構成」
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は減速機13の一方の入力軸に接続される。このエンジン11は、建設機械の運転中は常時運転される。
電動発電機12は、電動(アシスト)運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機12として、インバータ20によって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12の回転軸は減速機13の他方の入力軸に接続される。そして、電動発電機12には、電動発電系の異常検出部としての温度センサ12Aが配設されている。電動発電機12に負荷がかかると温度センサ12Aの温度検出値が上昇する。これにより、温度センサ12Aの温度検出値が高すぎると、電動発電機12が過負荷状態であることを把握することができる。
減速機13は、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸の各々には、エンジン11の駆動軸と電動発電機12の駆動軸が接続される。また、出力軸にはメインポンプ14の駆動軸が接続される。エンジン11の負荷が大きい場合には、電動発電機12が電動(アシスト)運転を行い、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。これによりエンジン11の駆動がアシストされる。一方、エンジン11の負荷が小さい場合は、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電運転による発電を行う。電動発電機12の力行運転と発電運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
メインポンプ14は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。
パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
インバータ18Aは、電動発電機12と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの制御指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う電動発電機12の駆動制御部である。これにより、インバータ18Aが電動発電機12を電動運転している際には、必要な電力をバッテリ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を発電運転している際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19に充電する。電動発電機12とインバータ18とで電動発電系を構成している。そして、インバータ18Aには、電動発電系の異常検出部としての図示しない温度センサ、電流検出器、及び電圧検出器が配設されている。温度センサでは、インバータ18Aのスイッチング素子の温度を検出し、電流検出器によって電動発電機12の電流を検出することができる。例えば、インバータ18Aと電動発電機12との間で断線が発生した場合には、電流検出器で検出される電流値が急激に低下することで、異常が発生したことを検出することができる。
インバータ18Bは、リフティングマグネット200と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの制御指令に基づき、電磁石をオンにする際には、リフティングマグネット200へ要求された電力をDCバス110より供給するリフティングマグネット200の駆動制御部である。また、電磁石をオフにする場合には、回生された電力をDCバス100に供給する。インバータ18Bとリフティングマグネット200とにより吸着系を構成する。
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してインバータ18A、インバータ18B、及びインバータ20に接続されている蓄電器である。これにより、バッテリ19は、電動発電機12の電動(アシスト)運転と旋回用電動機21の力行運転との少なくともどちらか一方が行われている際、又は、リフティングマグネット200を励磁する(オンにする)際には、必要な電力を供給する。また、バッテリ19は、電動発電機12の発電運転と旋回用電動機21の回生運転の少なくともどちらか一方が行われている際、又は、リフティングマグネット200を消磁する(オフにする)ときに回生電力が発生している際には、発電運転又は回生運転によって発生した電力を電気エネルギとして蓄積する。そして、バッテリ19には、蓄電系の異常検出部としての図示しない温度センサが配設されている。バッテリ19に過電流が流れ続けると温度センサの温度検出値が上昇するので、温度センサの温度検出値を検出することで、バッテリ19が過負荷状態であるかを把握することができ、蓄電系の異常を検出することができる。
なお、DCバス110には、インバータ18A、18B、及び20を介して、電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21が接続されているため、電動発電機12で発電された電力がリフティングマグネット200又は旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、リフティングマグネット200で回生された電力が電動発電機12又は旋回用電動機21に供給される場合もあり、さらに、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12又はリフティングマグネット200に供給される場合もある。そして、バッテリ19と昇降圧コンバータ100とで蓄電系を構成している。そして、バッテリ19と昇降圧コンバータ100には、異常検出部としての図示しない温度センサが設けられている。これにより、昇降圧コンバータ100の温度センサでは、スイッチング素子やリアクトルの温度を検出し、バッテリ19の温度センサではバッテリ19の発熱を計測する。
このバッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、リフティングマグネット200の駆動状態、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100によって行われる。この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。
インバータ20は、旋回用電動機21と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの制御指令に基づき、旋回用電動機21に対して運転制御を行う旋回用電動機21の駆動制御部である。これにより、インバータが旋回用電動機21の力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から昇降圧コンバータ100を介して旋回用電動機21に供給する。また、旋回用電動機21が回生運転をしている際には、旋回用電動機21により発電された電力を昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19へ充電する。
昇降圧コンバータ100は、一側がDCバス110を介して電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21に接続されるとともに、他側がバッテリ19に接続されており、DCバス電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧又は降圧を切り替える制御を行う。
電動発電機12が電動(アシスト)運転を行う場合には、インバータ18Aを介して電動発電機12に電力を供給する必要があるため、DCバス電圧値を昇圧する必要がある。一方、電動発電機12が発電運転を行う場合には、発電された電力をインバータ18Aを介してバッテリ19に充電する必要があるため、DCバス電圧値を降圧する必要がある。
これは、リフティングマグネット200の励磁(オン)と消磁(オフ)、及び旋回用電動機21の力行運転と回生運転においても同様である。電動発電機12はエンジン11の負荷状態に応じて運転状態が切り替えられ、リフティングマグネット200は作業状態において駆動状態(励磁と消磁)が切り替えられ、さらに、旋回用電動機21は上部旋回体3の旋回動作に応じて運転状態が切り替えられる。
このため、電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われ、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
このため、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
DCバス110は、3つのインバータ18A、18B、及び20と昇降圧コンバータとの間に配設されており、バッテリ19、電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
DCバス電圧検出部111は、DCバス電圧値を検出するための電圧検出部である。検出されるDCバス電圧値はコントローラ30に入力され、このDCバス電圧値を一定の範囲内に収めるための昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値を検出するための電圧検出部であり、バッテリの充電状態を検出するために用いられる。検出されるバッテリ電圧値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇降圧制御の応答性が向上するように昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。そして、DCバス電圧検出部111とバッテリ電圧検出部112とは、昇降圧コンバータ100とバッテリ19との間で断線異常が発生すると、バッテリ電圧検出部112とDCバス電圧検出部111との電圧値を比較することで、異常の発生と異常発生箇所の特定を行うことができる異常検出部としても機能する。
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19の電流値を検出するための電流検出部である。バッテリ電流値は、バッテリ19から昇降圧コンバータ100に流れる電流を正の値として検出される。検出されるバッテリ電流値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。そして、バッテリ電流検出部113は、蓄電系の異常検出部としても機能する。
旋回用電動機21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動作業要素としての電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動機21として、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機を示す。この旋回用電動機21は、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生時に旋回用電動機21にて発電される電力を増大させることができる。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで旋回用電動機21の回転前の回転軸21Aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。旋回用電動機21の回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構2の回転角度及び回転方向が導出される。また、図2にはレゾルバ22を取り付けた形態を示すが、電動機の回転センサを有しないインバータ制御方式を用いてもよい。
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構2に機械的に伝達する減速機である。これにより、力行運転の際には、旋回用電動機21の回転力を増力させ、より大きな回転力として旋回体へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、旋回体で発生した回転数を増加させ、より多くの回転動作を旋回用電動機21に発生させることができる。
旋回機構2は、旋回用電動機21のメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
操作装置26は、旋回用電動機21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dを含む。レバー26A、レバー26B、ペダル26C、及びボタンスイッチ26Dは、キャビン10内の運転席の前方に配設されている。
レバー26Aは、旋回用電動機21及びアーム5を操作するためのレバーであり、レバー26Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーである。また、ペダル26Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。
また、ボタンスイッチ26Dは、リフティングマグネット200の操作(励磁(吸引)又は消磁(釈放)の切替操作)を行うためのスイッチであり、レバー26Aの頂部に配設され、運転者が右手親指で容易に切替操作を行えるように構成されている。
この操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)をレバー26A、26B、及びペダル26Cの操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
また、操作装置26は、ボタンスイッチ26Dに入力されるリフティングマグネット200の操作内容(励磁(吸引)又は消磁(釈放))を表す電気信号をコントローラ30に伝達する。
レバー26A及び26Bとペダル26Cの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
また、ボタンスイッチ26Dが操作されると、リフティングマグネット200の駆動状態(励磁(吸引)又は消磁(釈放))が切り替えられる。
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の駆動に必要な油圧をコントロールバルブに供給する。
旋回用操作検出部としての圧力センサ29では、操作装置26に対して旋回機構2を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。これにより、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量を的確に把握することができる。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。また、実施の形態1では、レバー操作検出部としての圧力センサを用いる形態について説明するが、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量をそのまま電気信号で読み取るセンサを用いてもよい。
「コントローラ30」
コントローラ30は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の駆動制御を行う制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構2を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)、リフティングマグネット200の駆動制御(励磁(オン)と消磁(オフ)の切り替え)、及び、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるバッテリ19の充放電制御を行うための制御装置である。コントローラ30は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、リフティングマグネット200の駆動状態(励磁(オン)と消磁(オフ))、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりバッテリ19の充放電制御を行う。
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づいて行われる。
また、コントローラ30は、異常検出部で検出される電動発電機12、インバータ18A、バッテリ19、及び昇降圧コンバータ100の異常検出部からの検出値と、それぞれの異常検出部に対応して予め設定された閾値とを比較することで異常判定を行う機能を備える。
ここで、電動発電機12の異常とは、例えば、電動発電機12に断線が生じている場合や、温度が異常に上昇している状態をいう。
また、インバータ18Aの異常とは、例えば、断線や故障により、スイッチング素子の温度、電圧値、又は電流値がそれぞれの閾値を超えて、過熱状態、過電圧状態、又は過電流状態が生じていることをいう。
バッテリ19及び昇降圧コンバータ100の異常とは、例えば、断線や故障により、リアクトル101の温度、IGBT102A、102Bの温度、バッテリ19の温度、バッテリ19のSOCがそれぞれの閾値を超えて、過熱状態、過電圧状態、又は過電流状態が生じていることをいう。
図3は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械に用いる蓄電系の詳細図である。この昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、バッテリ19を接続するための電源接続端子104、インバータ105を接続するための出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。コンバータ100の出力端子106とインバータ105との間は、DCバス110によって接続される。インバータ105は、インバータ18A、18B、20に相当する。また、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102BをPWM駆動するコントローラ30を省略する。
リアクトル101は、一端が昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続されるとともに、他端が電源接続端子104に接続されており、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、後述する昇降圧コンバータの駆動制御装置からゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図3には、蓄電器としてバッテリ19を示すが、バッテリ19の代わりに、コンデンサ、充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
電源接続端子104及び出力端子106は、バッテリ19及びインバータ105が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値(vbat_det)を検出し、DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧(以下、DCバス電圧:vdc_det)を検出する。
平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化できる蓄電素子であればよい。
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19に通流する電流の値を検出可能な検出手段であればよく、電流検出用の抵抗器を含む。このリアクトル電流検出部108は、バッテリ19に通流する電流値(ibat_det)を検出する。
「昇降圧動作」
このような昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力をDCバス110に供給する。これにより、DCバス110が昇圧される。
また、DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102B、インバータ105を介して供給される回生電力をDCバス110からバッテリ19に供給する。これにより、DCバス110に蓄積された電力がバッテリ19に充電され、DCバス110が降圧される。
なお、この図3では、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102BをPWM駆動するコントローラ30を省略したが、コントローラ30は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
図4は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の異常発生前後におけるリフティングマグネット200の駆動制御のパターンを概念的に示すタイムチャートである。
図4に示すように、時刻t=t1で、電動発電機12、インバータ18、バッテリ19、又は昇降圧コンバータ100のいずれかに異常が発生したとする。
時刻t=t1以前にリフティングマグネット200が励磁(吸引)されていた場合は(L1,L2)、時刻t=t1以後も励磁(吸引)状態が維持される。この場合、実線で示すように、励磁(吸引)状態を維持することも可能であり(L1)、破線で示すように、消磁(釈放)の操作があった場合は、リフティングマグネット200は消磁(釈放)される(L2)。
一方、時刻t=t1以前にリフティングマグネット200が消磁(釈放)されていた場合(L3,L4)において、時刻t=t1以後も励磁(吸引)の操作がない場合は、実線で示すように、消磁(釈放)状態が継続される(L4)。また、時刻t=t1以後に、励磁(吸引)の操作があった場合は、破線で示すように、リフティングマグネット200への励磁(吸引)の操作切り替えは禁止される(L3)。
このように、実施の形態1のハイブリッド型建設機械においては、異常後にリフティングマグネット200を励磁(吸引)状態に切り替えることはできない。
図5は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の動作例を示す図であり、(a)は昇降圧コンバータ100の異常が発生した場合におけるリフティングマグネット200の動作例を示す図、(b)は昇降圧コンバータ100の駆動状態、リフティングマグネット200の駆動状態、及び操作者によるリフティングマグネット200の操作内容を示す図である。
なお、図5(a)において、横軸は時間t、縦軸は電圧値を示す。縦軸におけるV1はDCバス電圧値の目標値、V2は時刻t=0におけるバッテリ電圧値(初期値)、V3は電動発電機12の励磁状態での発電電圧を表す。また、DCバス電圧値をVDC、バッテリ電圧値をVBAT、電動発電機12の出力電圧値をVASMと表す。
時刻t=0では、図5(b)に示すように、昇降圧コンバータ100は昇降圧制御を行っており、操作者によるリフティングマグネット200の操作は励磁(吸引)であり、リフティングマグネット200は励磁(吸引)状態にある。また、電動発電機12は、励磁状態での発電状態にある。
ここでは、図5(a)に示すように、出力電圧値VASM、バッテリ電圧値VBAT、DCバス電圧値VDCの順に高くなっている。
リフティングマグネット200が励磁(吸引)状態にあるため、時刻t=0の後は、DCバス110からリフティングマグネット200に電力が供給されるが、昇降圧コンバータ100が昇圧動作を行っているため、DCバス電圧値VDCは目標値V1に保持され、バッテリ電圧値VBATは低下する。なお、電動発電機12は、エンジン11によって駆動されることにより、励磁状態で発電を行っており、電動発電機12の出力電圧値VASMは、V3のままである。
そして、バッテリ19から継続的に昇圧動作が行われ、リアクトルが過熱状態となり、異常判定部は、リアクトルの温度センサで検出される温度検出値と閾値とを比較して、温度検出値が閾値異常であると異常発生と判定し、コントローラ30は昇降圧コンバータ100の動作を停止する(時刻t=t1)。コントローラ30は、昇降圧コンバータ100の異常発生の前後において、リフティングマグネット200の運転を継続するように制御する。このため、DCバス電圧はリフティングマグネット200へ電力が消費されるが、昇降圧コンバータ100は動作を停止するため、DCバス電圧はV1を保てなくなり徐々に低下してしまう。ここで、昇降圧コンバータ100に異常が発生しても、バッテリ19と昇降圧コンバータ100とは電気的に接続された状態にあるため、バッテリ19からDCバス110への電力は供給される。その結果、バッテリ10の電圧VbatもDCバス110への電力供給分だけ低下していく。
一方、インバータ18Aに対してコントローラ30は、予め定めた電力の発電状態を維持するように制御を行う。このように、電動発電機12のインバータ18Aは、異常発生の前後においても制御が継続されるため、異常発生前の電圧値V3を保つことができる。
時刻t=t2では、DCバス電圧値VDCがバッテリ電圧値VBATと同一値まで低下し、その後は、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATはともに低下する。このとき、リフティングマグネット200は励磁(吸引)状態に保持される。
時刻t=t3では、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは、電動発電機12の出力電圧値VASMと同一値となる。以後も、電動発電機12の出力電圧値VASMがV3で保持されるため、リフティングマグネット200には、インバータ18B、DCバス110、及びインバータ18Aを介して電動発電機12から電力が供給されるため、リフティングマグネット200は励磁(吸引)状態に保持される。
時刻t=t4では、操作者によってリフティングマグネット200を消磁(釈放)させるための操作指令が入力されるため、コントローラ30によってリフティングマグネット200が消磁(釈放)される。
このように、実施の形態1のハイブリッド型建設機械によれば、昇降圧コンバータ100に異常が発生して昇降圧制御が行われなくなった後も、電動発電機12の励磁状態において発電される電力によってリフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができる。
なお、バッテリ19に異常が生じた場合においても、昇降圧コンバータ100に異常が生じた場合と同様に、電動発電機12の励磁状態において発電される電力によってリフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができる。
図6は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械において、インバータ18Aに異常が発生した場合の動作例を示す図であり、(a)はインバータ18Aの異常が発生した場合におけるリフティングマグネット200の動作例を示す図、(b)は電動発電機12の駆動状態、リフティングマグネット200の駆動状態、及び操作者によるリフティングマグネット200の操作内容を示す図である。
なお、図6(a)において、横軸は時間t、縦軸は電圧値を示す。縦軸におけるV1はDCバス電圧値の目標値、V2は時刻t=0におけるバッテリ電圧値(初期値)、V3は電動発電機12の励磁状態での発電電圧を表す。V4は、電動発電機12の無励磁状態での発電電圧を表す。また、DCバス電圧値をVDC、バッテリ電圧値をVBAT、電動発電機12の出力電圧値をVASMと表す。
時刻t=0では、図6(b)に示すように、電動発電機12は励磁状態での発電状態にあり、操作者によるリフティングマグネット200の操作は励磁(吸引)であり、リフティングマグネット200は励磁(吸引)状態にある。
ここでは、図6(a)に示すように、出力電圧値VASM、バッテリ電圧値VBAT、DCバス電圧値VDCの順に高くなっている。
リフティングマグネット200が励磁(吸引)状態にあるため、時刻t=0の後は、DCバス110からリフティングマグネット200に電力が供給されるが、昇降圧コンバータ100が昇圧動作を行っているため、DCバス電圧値VDCは目標値V1に保持され、バッテリ電圧値VBATは低下する。なお、電動発電機12は、エンジン11によって駆動されることにより、無励磁状態で発電を行っており、電動発電機12の出力電圧値VASMは、V3のままである。
そして、インバータ18Aが過熱状態となり、異常判定部は、インバータ18Aの温度センサからの温度検出値とを比較して、温度検出値が閾値異常であり、異常発生であると判定すると、コントローラ30は、インバータ18Aの温度センサの動作を停止する(t=t1)。このため、時刻t=t1で、インバータ18Aに異常が発生すると、電動発電機12の無負荷状態によって発電される電力がDCバス110に供給されなくなるため、電動発電機12の出力電圧値VASMは無励磁状態の電圧V4まで低下してしまう。
しかしながら、コントローラ30は、インバータ18Aの異常発生の前後において、バッテリ19からDCバス110への昇圧動作、及び、リフティングマグネット200の運転を継続するように制御を行う。このため、DCバス電圧は、リフティングマグネット200へ電力が消費され、昇降圧コンバータ100は昇圧動作を継続するため、DCバス電圧値VDCは目標値V1に保持される。それにともない、バッテリ電圧値VBATは低下し続ける。
時刻t=t5では、操作者によってリフティングマグネット200を消磁(釈放)させるための操作指令が入力されるため、コントローラ30によってリフティングマグネット200が消磁(釈放)される。
このように、実施の形態1のハイブリッド型建設機械によれば、インバータ18Aに異常が発生して電動発電機12が無励磁状態になった後も、コントローラ30が昇降圧コンバータ100の昇圧動作を継続させることによってリフティングマグネット200に電力が供給されるため、リフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができる。
なお、電動発電機12に異常が生じた場合においても、インバータ18Aに異常が生じた場合と同様に、コントローラ30が昇降圧コンバータ100の昇圧動作を継続させることによってリフティングマグネット200に電力が供給されるため、リフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができる。さらに、異常検出部をエンジン11に備え、エンジン11の異常を検出するようにしてもよい。この場合、例えば、エンストした場合には、電動発電機12による発電運転ができなくなってしまうが、異常判定後において、コントローラ30が昇降圧コンバータ100へ継続して制御指令を出力することで、バッテリ19の放電運転による電力でリフティングマグネット200の駆動制御を継続可能にすることができる。
以上、実施の形態1によれば、電動発電機12、インバータ18A、バッテリ19、又は昇降圧コンバータ100に異常が発生した後も、リフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができるハイブリッド型建設機械を提供することができる。
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。実施の形態2のハイブリッド型建設機械は、DCバス110に駆動制御系としてのインバータ18Cを介して電動作業要素としての発電機300が接続されている点が実施の形態2のハイブリッド型建設機械と異なる。
実施の形態2のハイブリッド型建設機械では、ブームシリンダ7に油圧モータ310が接続されており、発電機300の回転軸は、油圧モータ310によって駆動される。なお、図7では、説明の便宜上、油圧モータ310と発電機300は離れているが、実際には、発電機300の回転軸は、油圧モータ310の回転軸に機械的に接続されている。
発電機300は、上述のように、油圧モータ310によって駆動され、ブーム4が重力に従って下げられるときに、位置エネルギを電気エネルギに変換する電動作業要素である。
油圧モータ310は、ブーム4が下げられるときにブームシリンダ7から吐出される油によって回転されるように構成されており、ブーム4が重力に従って下げられるときのエネルギを回転力に変換するために設けられている。油圧モータ310は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7の間の油圧管7Aに設けられているため、上部旋回体3内の適当な場所に取り付けることができる。
発電機300で発電された電力は、回生エネルギとしてインバータ18Cを経てDCバス110に供給される。
このため、電動発電機12、リフティングマグネット200、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われる状況が生じうる。また、電動発電機12、リフティングマグネット200、発電機300、及び旋回用電動機21には、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
実施の形態2では、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、リフティングマグネット200、発電機300、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
DCバス110は、インバータ18A、18B、18C、及び20と昇降圧コンバータとの間に配設されており、バッテリ19、電動発電機12、リフティングマグネット200、発電機300、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
このような実施の形態2のハイブリッド型建設機械において、電動発電系に異常が発生しても、ブームシリンダ9による回生エネルギのDCバス110への供給は継続されるので、コントローラ30は、異常発生の前後において、リフティングマグネット200の制御を継続することで、電力供給を行うことができる。
同様に、蓄電系に異常が発生し、バッテリ19から電力供給ができない状態でも、ブームシリンダ9による回生エネルギのDCバス100への供給は継続されるので、コントローラ30は、異常発生の前後において、リフティングマグネット200の制御を継続することで、電力供給を行うことができる。
なお、以上では、発電機300が油圧モータ310を介してブーム4の位置エネルギを電気エネルギに変換する形態について説明したが、発電機300は、ブーム4のブーム軸に接続されており、ブーム4が下げられるときに油圧で駆動される際に発電を行うように構成してもよい。ブーム4の上昇と下降の判別は、例えば、ブーム4の操作を行うための操作レバー26Aの2次側に圧力センサを設け、この圧力センサの出力に基づいてコントローラ30が行うようにすればよい。
[実施の形態3]
図8は、実施の形態3のハイブリッド型建設機械の構成を示すブロック図である。実施の形態3のハイブリッド型建設機械は、メインポンプ14の駆動がポンプ用電動機400によって行われ、電動発電機12はエンジン11によって駆動されることによる電力の回収(発電運転)を行うように構成されている点が実施の形態2のハイブリッド型建設機械と異なる。その他の構成は実施の形態1のハイブリッド型建設機械と同一であるため、同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、電動発電機12は、本実施の形態ではエンジン11によって駆動させることによる発電運転のみを行なう発電機としての機能を備えている。
ポンプ用電動機400は、メインポンプ14を駆動するための力行運転だけを行うように構成されており、駆動制御系としてのインバータ410を介してDCバス110に接続されている。ポンプ用電動機300は、作業用電動機である。
このポンプ用電動機400は、コントローラ30によって駆動されるように構成されている。レバー26A〜26Cのいずれかが操作されると、ポンプ用電動機400には、DCバス110からインバータ410を介して電力が供給され、これによって力行運転が行われ、ポンプ14が駆動されて圧油が吐出される。
このため、電動発電機12、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われる状況が生じうる。また、電動発電機12、及び旋回用電動機21には、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
実施の形態3では、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
DCバス110は、インバータ18、410、及び20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、バッテリ19、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
このような実施の形態3のハイブリッド型建設機械において、電動発電系に異常が発生しても、バッテリ19から昇降圧コンバータ100を介してDCバス100への電力を供給するため、コントローラ30は、異常発生の前後において、リフティングマグネット200の制御を継続することで、電力供給を行うことができる。
同様に、蓄電系に異常が発生した場合も。電動発電機12からの電力供給が可能であるので、コントローラ30は、異常発生の前後において、リフティングマグネット200の制御を継続することで、電力供給を行うことができる。
なお、電動発電機12に異常が生じた場合においても、インバータ18Aに異常が生じた場合と同様に、昇降圧コンバータ100の昇圧動作が継続されることによってリフティングマグネット200に電力が供給されるため、リフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができる。
この場合も、発電機300によって発電される電力がDCバス110に供給されるため、実施の形態1の場合よりも昇降圧コンバータ100の負担は軽減される。また、バッテリ電圧値VBATも実施の形態1の場合よりも低下せずに済み、より長時間にわたってリフティングマグネット200を励磁(吸引)状態に保持することができる。
以上、実施の形態3によれば、電動発電機12、インバータ18A、バッテリ19、又は昇降圧コンバータ100に異常が発生した後も、リフティングマグネット200の励磁(吸引)動作を継続することができるハイブリッド型建設機械を提供することができる。
以上、実施の形態1乃至3では、種々の構成のハイブリッド型建設機械について説明したが、本発明のハイブリッド型建設機械は、実施の形態1乃至3に示した構成を任意に組み合わせることができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態のハイブリッド型建設機械について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。