しかしながら、特許文献1に記載の走行支援情報提示方法では、緊急性の低い情報が運転者に報知されない虞があるが、緊急性の低い情報であっても、運転者に報知するべき情報が存在する。また、運転者にとって分かり難くならない範囲で、可能な限り多くの運転支援情報を運転者に提示して欲しいという要求もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、運転支援情報を出力するか否かを適正に判定することの可能な運転支援装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両に搭載され、運転者に対して提供する運転支援情報の出力を調整する運転支援装置であって、前記運転支援情報を受け付けると共に、受け付けられた運転支援情報毎に、該運転支援情報を出力する旨の要求がされている期間である出力期間を受け付ける期間受付手段と、前記期間受付手段によって受け付けられた出力期間の内、少なくとも一部が重複している複数の運転支援情報が有るか否かを判定する重複判定手段と、前記重複判定手段によって前記出力期間の重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合に、前記複数の運転支援情報のそれぞれに含まれ、前記運転者に対して実行することが促される操作である要求操作に基づいて、前記複数の運転支援情報の中から出力を禁止する運転支援情報を決定する出力調整手段と、を備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記重複判定手段によって前記出力期間の重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合に、前記複数の運転支援情報にそれぞれ対応する複数の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類が、同一である要求操作が含まれるか否かを判定する種類判定手段を備え、前記出力調整手段が、前記種類判定手段によって種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力を禁止する。
第3の発明は、上記第2の発明において、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類は、加減速及び操舵の少なくとも一方を含む。
第4の発明は、上記第2の発明において、前記運転支援情報にそれぞれ対応付けて、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類を示す種類情報を予め格納する種類記憶手段を備え、前記種類判定手段が、前記種類記憶手段に格納された種類情報に基づいて、前記種類が同一である要求操作が含まれるか否かを判定する。
第5の発明は、上記第2の発明において、前記種類判定手段によって種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向が同一の要求操作が含まれるか否かを判定する方向判定手段を備え、前記出力調整手段が、前記方向判定手段によって方向が同一の要求操作が含まれると判定された場合に限って、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力を禁止する。
第6の発明は、上記第5の発明において、前記運転支援情報にそれぞれ対応付けて、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向を示す方向情報を予め格納する方向記憶手段を備え、前記方向判定手段が、前記方向記憶手段に格納された方向情報に基づいて、前記方向が同一である要求操作が含まれるか否かを判定する。
第7の発明は、上記第5の発明において、前記出力調整手段が、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する。
第8の発明は、上記第5の発明において、前記運転支援情報が、それぞれ、予め出力に関する優先順位が設定されており、前記出力調整手段が、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記優先順位の低い運転支援情報の出力を禁止する。
第9の発明は、上記第8の発明において、前記優先順位が、前記運転支援情報に対応する要求操作の緊急性に基づいて設定されている。
第10の発明は、上記第8の発明において、前記優先順位が、前記運転支援情報に対応する要求操作の重要性に基づいて設定されている。
第11の発明は、上記第2の発明において、前記種類判定手段によって種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向が反対の要求操作が含まれるか否かを判定する方向判定手段と、前記方向判定手段によって方向が反対の要求操作が含まれると判定された場合に、前記方向が反対の要求操作について、それぞれの操作量が、予め設定された操作量閾値以上であるか否かを判定する操作量判定手段と、を備え、前記出力調整手段が、前記操作量判定手段によって少なくとも1つの操作量が前記操作量閾値以上であると判定された場合に限って、前記方向が反対の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力を禁止する。
第12の発明は、上記第2の発明において、前記出力調整手段が、前記種類が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する。
第13の発明は、上記第1の発明において、前記運転支援情報が、走行車線からの逸脱を防止するための情報、先行車両への接近を防止するための情報、予め設定された上限車速の超過を防止するための情報、前方の物体との衝突を防止するための情報、及び、後側方車両との接近を防止するための情報、の内、少なくとも1つの情報を含む。
第14の発明は、上記第1の発明において、前記要求操作が、危険を回避する回避行動である。
第15の発明は、上記第14の発明において、前記要求操作が、操舵による回避行動及び加減速による回避行動の少なくとも一方を含む。
上記第1の発明によれば、運転支援情報が受け付けられると共に、受け付けられた運転支援情報毎に、該運転支援情報を出力する旨の要求がされている期間である出力期間が受け付けられる。また、受け付けられた出力期間の内、少なくとも一部が重複している複数の運転支援情報が有るか否かが判定される。更に、出力期間の重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合に、前記複数の運転支援情報のそれぞれに含まれ、前記運転者に対して実行することが促される操作である要求操作に基づいて、前記複数の運転支援情報の中から出力を禁止する運転支援情報が決定される。従って、運転支援情報を出力するか否かを適正に判定することができる。
すなわち、例えば、運転者に対して実行することが促される操作である要求操作が略同一の操作である場合(例えば、両者共に右方向への操舵操作である場合)には、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作に殆ど変化はないので、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止するとの、適正な判定をすることができるのである。
また、例えば、運転者に対して実行することが促される操作である要求操作が全く相違する操作である場合(例えば、右方向への操舵操作と減速操作とである場合)には、一方の運転支援情報の出力を禁止すると、運転支援情報によって運転者が促される操作への影響が大きいので、運転支援情報の出力を禁止しないとの、適正な判定をすることができるのである。
上記第2の発明によれば、前記出力期間の重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合に、前記複数の運転支援情報にそれぞれ対応する複数の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類が、同一である要求操作が含まれるか否かが判定される。そして、前記種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類が同一である場合(例えば、両者共に加減速操作である場合)には、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作に殆ど変化はないので、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止するとの、適正な判定をすることができるのである。
より具体的には、例えば、一方が加速操作であり、他方が減速操作である場合には、運転者は、加速操作と減速操作とを同時に行うことはできないし、且つ、加速操作を促す運転支援情報と減速操作を促す運転支援情報とが同時に出力されると、運転者は出力された運転支援情報を理解することが困難となる。従って、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作の変化は少ないのである。
同様に、例えば、一方が右方向への操舵であり、他方が左方向への操舵である場合には、運転者は、右方向への操舵と左方向への操舵とを同時に行うことはできないし、且つ、右方向への操舵を促す運転支援情報と左方向への操舵を促す運転支援情報とが同時に出力されると、運転者は出力された運転支援情報を理解することが困難となる。従って、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作の変化は少ないのである。
上記第3の発明によれば、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類が、加減速及び操舵の少なくとも一方を含むため、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、前記要求操作が前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類は、概ね、加減速又は操舵に含まれるため、適正に前記要求操作の種類が判定されるので、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができるのである。
上記第4の発明によれば、種類記憶手段に、前記運転支援情報にそれぞれ対応付けて、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類を示す種類情報が予め格納されている。そして、前記種類記憶手段に格納された種類情報に基づいて、前記種類が同一である要求操作が含まれるか否かが判定される。従って、前記種類が同一である要求操作が含まれるか否かを、簡素な構成で正確に判定することができる。
上記第5の発明によれば、前記種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向が同一の要求操作が含まれるか否かが判定される。そして、前記方向が同一の要求操作が含まれると判定された場合に限って、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類及び方向が同一である場合(例えば、両者共に減速操作である場合)には、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作に殆ど変化はないので、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止するとの適正な判定をすることができるのである。
逆に、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類が同一であっても、方向が同一ではない場合(例えば、一方が加速操作であり、他方が減速操作である場合)には、運転支援情報の出力は禁止されない。従って、運転者が、運転支援情報に含まれる要求操作以外の情報(例えば、緊急度、重要度等)に基づいて、操作の方向を決定することによって、より適正な操作の選択が可能となるのである。
上記第6の発明によれば、方向記憶手段に、前記運転支援情報にそれぞれ対応付けて、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向を示す方向情報が予め格納されている。そして、前記方向記憶手段に格納された方向情報に基づいて、前記方向が同一である要求操作が含まれるか否かが判定される。従って、前記方向が同一である要求操作が含まれるか否かを、簡素な構成で正確に判定することができる。
上記第7の発明によれば、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、前記要求操作とは、運転者に対して実行することが促される操作であるから、運転者にとっては、早期にその内容を把握することが好ましい。そこで、前記出力期間の開始時点の早い運転支援情報が出力されるため、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができるのである。
上記第8の発明によれば、前記運転支援情報が、それぞれ、予め出力に関する優先順位が設定されており、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記優先順位の低い運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
上記第9の発明によれば、前記優先順位が、前記運転支援情報に対応する要求操作の緊急性に基づいて設定されているため、適正な優先順位が設定されている。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
上記第10の発明によれば、前記優先順位が、前記運転支援情報に対応する要求操作の重要性に基づいて設定されているため、適正な優先順位が設定されている。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
上記第11の発明によれば、種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向が反対の要求操作が含まれるか否かが判定される。そして、方向が反対の要求操作が含まれると判定された場合に、前記方向が反対の要求操作について、それぞれの操作量が、予め設定された操作量閾値以上であるか否かが判定される。また、少なくとも1つの操作量が前記操作量閾値以上であると判定された場合に限って、前記方向が反対の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類及び方向が反対である場合(例えば、加速操作と減速操作とである場合)において、少なくとも1つの要求操作の操作量が前記操作量閾値以上であると判定されたときには、前記操作量閾値以上であると判定された要求操作に対応する運転支援情報を優先して運転者に報知する必要がある。そこで、例えば、前記操作量閾値以上であると判定された要求操作以外の要求操作に対応する運転支援情報の出力を禁止することによって、より適正に運転支援情報を出力することができるのである。
上記第12の発明によれば、前記種類が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、前記出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力が禁止される。従って、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、前記要求操作とは、運転者に対して実行することが促される操作であるから、運転者にとっては、早期にその内容を把握することが好ましい。そこで、前記出力期間の開始時点の早い運転支援情報が出力されるため、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができるのである。
上記第13の発明によれば、前記運転支援情報が、走行車線からの逸脱を防止するための情報、先行車両との車間距離を確保するための情報、予め設定された上限車速の超過を防止するための情報、前方の物体との衝突を防止するための情報、及び、車線変更時の後側方車両との接近を防止するための情報、の内、少なくとも1つの情報を含むため、適正な運転支援情報が受け付けられる。
すなわち、走行車線からの逸脱を防止するための情報は、要求操作として操舵操作を含む。先行車両との車間距離を確保するための情報は、要求操作として加減速操作を含む。予め設定された上限車速の超過を防止するための情報は、要求操作として加減速操作を含む。前方の物体との衝突を防止するための情報は、要求操作として加減速操作及び操舵操作を含む。車線変更時の後側方車両との接近を防止するための情報は、要求操作として操舵操作を含む。従って、適正な運転支援情報が受け付けられる。
上記第14の発明によれば、前記要求操作が、危険を回避する回避行動であるため、適正な運転支援情報が受け付けられる。
上記第15の発明によれば、前記要求操作が、操舵による回避行動及び加減速による回避行動の少なくとも一方を含むため、適正な運転支援情報が受け付けられる。
以下、図面を参照して本発明に係る運転支援装置の実施形態について説明する。本発明に係る運転支援装置は、車両に搭載され、運転者に対して提供する運転支援情報の出力を調整する装置である。まず、図1、図2を用いて、車両に搭載された運転支援装置の構成の一例について説明する。
図1は、本発明に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る出力調整ECU(Electronic Control Unit)1(=運転支援装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2及び出力機器3と通信可能に接続されている。
まず、図1を参照して、出力調整ECU1の入力機器2について説明する。入力機器2は、車線逸脱回避支援ECU21、先行車追従支援ECU22、車速制御支援ECU23、衝突回避支援ECU24、及び、死角確認支援ECU25を備えている。
車線逸脱回避支援ECU21は、運転支援情報として、「走行車線からの逸脱を防止するための情報」を出力するECUである。具体的には、車線逸脱回避支援ECU21は、白線検出カメラ等によって検出された車線の両端に描かれた白線の位置情報を用いて、自車が前記車線を逸脱する可能性を判定する。また、車線逸脱回避支援ECU21は、自車が前記車線を逸脱する可能性が高まった場合に、運転者に対して車線の逸脱を回避する操作を促す旨の要求操作(ここでは、操舵操作:図3参照)を含む警報等(運転支援情報に相当する)を、出力調整ECU1(ここでは、受付部11:図2参照)に対して出力する。ここで、「要求操作」とは、運転支援情報に含まれ、運転者に対して実行することが促される操作である。要求操作の具体例については、図3を用いて後述する。
先行車追従支援ECU22は、運転支援情報として、「先行車両との車間距離を確保するための情報」を出力するECUである。具体的には、先行車追従支援ECU22は、ミリ波レーダ装置等によって検出された先行車両との距離、相対速度等の情報を用いて、前記先行車両との車間距離を、予め設定された目標距離と一致させるべく加減速制御を行う。また、先行車追従支援ECU22は、前記先行車両との車間距離が、予め設定された最短距離以下となった場合に、運転者に対して車間距離を維持する操作を促す旨の要求操作(ここでは、加減速操作:図3参照)を含む警報等(運転支援情報に相当する)を、出力調整ECU1(ここでは、受付部11:図2参照)に対して出力する。
車速制御支援ECU23は、運転支援情報として、「予め設定された上限車速の超過を防止するための情報」を出力するECUである。具体的には、車速制御支援ECU23は、予め設定された目標速度に、車速を維持するべくエンジン制御による加減速制御を行う。また、車速制御支援ECU23は、下り坂等において、エンジン制御では前記目標速度の上限値の超過が避けられない場合に、運転者に対して前記目標速度の上限値の超過を回避する操作を促す旨の要求操作(ここでは、加減速操作:図3参照)を含む警報等(運転支援情報に相当する)を、出力調整ECU1(ここでは、受付部11:図2参照)に対して出力する。
衝突回避支援ECU24は、運転支援情報として、「前方の物体との衝突を防止するための情報」を出力するECUである。具体的には、衝突回避支援ECU24は、ミリ波レーダ装置等によって検出された前方の車両等の物体との距離、相対速度等の情報を用いて、自車が前記物体と衝突する可能性を判定する。また、車線逸脱回避支援ECU21は、前記物体と衝突する可能性が高まった場合に、運転者に対して衝突を回避する操作を促す旨の要求操作(ここでは、加減速操作及び操舵操作:図3参照)を含む警報等(運転支援情報に相当する)を、出力調整ECU1(ここでは、受付部11:図2参照)に対して出力する。
死角確認支援ECU25は、運転支援情報として、「車線変更時の後側方車両との接近を防止するための情報」を出力するECUである。具体的には、死角確認支援ECU25は、ミリ波レーダ装置、カメラ等によって検出された後側方(又は、側方)の車両との距離等の情報を用いて、車線変更を行う際に、併走する車両と衝突する可能性を判定する。また、死角確認支援ECU25は、併走する車両と衝突する可能性が高まった場合に、運転者に対して衝突を回避する操作を促す旨の要求操作(ここでは、操舵操作:図3参照)を含む警報等(運転支援情報に相当する)を、出力調整ECU1(ここでは、受付部11:図2参照)に対して出力する。
このようにして、要求操作として操舵操作を含む「走行車線からの逸脱を防止するための情報」、要求操作として加減速操作を含む「先行車両との車間距離を確保するための情報」、要求操作として加減速操作を含む「予め設定された上限車速の超過を防止するための情報」、要求操作として加減速操作及び操舵操作を含む「前方の物体との衝突を防止するための情報」、及び、要求操作として操舵操作を含む「車線変更時の後側方車両との接近を防止するための情報」、が出力調整ECU1(受付部11)に対して出力されるため、出力調整ECU1(受付部11)には、適正な運転支援情報が受け付けられる。
本実施形態では、入力機器2が、車線逸脱回避支援ECU21、先行車追従支援ECU22、車速制御支援ECU23、衝突回避支援ECU24、及び、死角確認支援ECU25を備える場合について説明するが、入力機器2が、車線逸脱回避支援ECU21、先行車追従支援ECU22、車速制御支援ECU23、衝突回避支援ECU24、及び、死角確認支援ECU25の内、少なくとも1つのECUを備える形態であれば良い。ただし、入力機器2が、運転支援情報を出力するECUを多く含む程、出力調整ECU1の効果は増大する。
また、本実施形態では、車線逸脱回避支援ECU21等のECUから出力調整ECU1へ運転支援情報が入力される場合について説明するが、その他の機器、システム等から出力調整ECU1へ運転支援情報が入力される形態でも良い。例えば、ナビゲーションシステムから出力調整ECU1へ運転支援情報が入力される形態でも良い。
次に、図1を参照して、出力調整ECU1の出力機器3について説明する。出力機器3は、表示部31、スピーカ32、及び、シートバイブレータ33を備えている。表示部31は、運転席の前方に配設されたLCD(Liquid Crystal Display)等からなり、出力調整ECU1(ここでは、出力調整部17:図2参照)からの指示に従って、運転者から視認可能に画像、文字等を表示するものである。スピーカ32は、運転席の側方に配設され、出力調整ECU1(ここでは、出力調整部17:図2参照)からの指示に従って、運転者に対して、ガイダンス等の音声を出力するものである。シートバイブレータ33は、運転席のシート下部に配設され、出力調整ECU1(ここでは、出力調整部17:図2参照)からの指示に従って、運転者に対して、振動を付与するものである。
図2は、出力調整ECU1の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、出力調整ECU1は、機能的に、受付部11、重複判定部12、種類方向記憶部13、種類判定部14、方向判定部15、操作量判定部16、及び、出力調整部17を備えている。
なお、出力調整ECU1は、出力調整ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータに、出力調整ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、機能的に、受付部11、重複判定部12、種類判定部14、方向判定部15、操作量判定部16、出力調整部17等の機能部として機能させると共に、出力調整ECU1の適所に配設されたRAM(Random Access Memory)等を、種類方向記憶部13等の機能部として機能させる。
種類方向記憶部13(種類記憶手段、方向記憶手段に相当する)は、入力機器2から入力される運転支援情報に、それぞれ対応付けて、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類を示す種類情報、及び、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の方向を示す方向情報を予め格納する機能部である。また、種類方向記憶部13に格納される運転支援情報に対応する要求操作の種類には、加減速及び操舵が含まれている(図3参照)。すなわち、入力機器2から入力される運転支援情報に対応する要求操作の種類は、加減速及び操舵を含む。なお、種類方向記憶部13に格納された種類情報は、種類判定部14によって読み出される。また、種類方向記憶部13に格納された方向情報は、方向判定部15によって読み出される。
一方、運転支援情報に含まれる要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類は、概ね、加減速又は操舵に含まれる。そこで、上述のように、入力機器2から入力される運転支援情報に対応する要求操作の種類が、加減速及び操舵を含むため、運転支援情報を出力するか否かを適正に判定することができる。
本実施形態では、入力機器2から入力される運転支援情報に対応する要求操作の種類が、加減速及び操舵を含む場合について説明するが、入力機器2から入力される運転支援情報に対応する要求操作の種類が、加減速及び操舵の少なくとも一方を含む形態であれば良い。また、本実施形態では、種類記憶手段及び方向記憶手段が、1つの機能部(=種類方向記憶部13)によって実現されている場合について説明するが、別々の機能部によって実現されている形態でも良い。
図3は、種類方向記憶部13に格納される情報の一例を示す図表である。左端の欄から順に、一連番号、運転支援情報が出力されるECU名、運転支援情報の概要、種類情報、及び、方向情報である。例えば、一連番号が「1」の運転支援情報は、車線逸脱回避支援ECU21から出力され、「右方向への車線逸脱」を示す運転支援情報である。ここで、「右方向への車線逸脱」は、自車両が走行している車線を右方向に逸脱する可能性が高い場合に出力される警報である。また、この「右方向への車線逸脱」を示す運転支援情報には、要求操作の種類情報として「操舵」が格納され、要求操作の方向情報として「左方向」が格納されている。すなわち、この「右方向への車線逸脱」を示す運転支援情報は、要求操作として、「左方向」への「操舵」を運転者に要求するものである。
また、例えば、一連番号が「3」の運転支援情報は、先行車追従支援ECU22から出力され、「先行車両への接近」を示す運転支援情報である。ここで、「先行車両への接近」は、先行車両との車間距離が、予め設定された最短距離以下となった場合に出力される警報である。また、この「先行車両への接近」を示す運転支援情報には、要求操作の種類情報として「加減速」が格納され、要求操作の方向情報として「減速」が格納されている。すなわち、この「先行車両への接近」を示す運転支援情報は、要求操作として、「減速」操作(=ブレーキ操作等)を運転者に要求するものである。
更に、図3に示すように、出力調整ECU1(受付部11)に対して出力される運転支援情報に含まれる要求操作は、衝突等の危険を回避する回避行動である。そこで、出力調整ECU1(受付部11)によって、適正な運転支援情報が受け付けられる。加えて、図3に示すように、出力調整ECU1(受付部11)に対して出力される運転支援情報に含まれる要求操作は、操舵による回避行動及び加減速による回避行動を含む。そこで、出力調整ECU1(受付部11)によって、更に適正な運転支援情報が受け付けられる。
本実施形態では、出力調整ECU1(受付部11)に対して出力される運転支援情報に含まれる要求操作が、操舵による回避行動及び加減速による回避行動を含む場合について説明するが、出力調整ECU1(受付部11)に対して出力される運転支援情報に含まれる要求操作が、操舵による回避行動及び加減速による回避行動の少なくとも一方を含む形態であれば良い。
再び、図2に戻って、出力調整ECU1の機能構成について説明する。受付部11(期間受付手段に相当する)は、入力機器2から運転者に対して提供する運転支援情報を受け付ける機能部である。ここで、「運転支援情報」とは、運転者の運転操作を支援するために、入力機器2から出力される情報である。また、受付部11は、受け付けられた運転支援情報毎に、該運転支援情報を出力する旨の要求がされている期間である出力期間を受け付ける。
更に、受付部11は、受け付けられた運転支援情報が、要求操作を含む場合には、その要求操作の操作量を受け付ける。ここで、「操作量」とは、要求操作が要求している操作の大きさ(又は、程度)である。例えば、要求操作の種類が「操舵」である場合には、操作量は操舵角である。また、例えば、要求操作の方向が「減速」である場合には、操作量はブレーキを踏み込む強さの程度である。
重複判定部12(重複判定手段に相当する)は、受付部11によって受け付けられた出力期間の内、少なくとも一部が重複している複数の運転支援情報が有るか否かを判定する機能部である。以下、図4を用いて、重複判定部12による出力期間の重複の判定方法を説明する。
図4は、重複判定部の判定処理方法の一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間である。ここでは、便宜上、受付部11によって運転支援情報Aと運転支援情報Bとが順次受け付けられる場合について説明する。ケースAでは、運転支援情報Aの出力期間が、時間TA1から時間TA2までの期間であって、運転支援情報Bの出力期間が、時間TA3から時間TA4までの期間である。この場合には、図に示すように、運転支援情報Aの出力期間が終了後に、運転支援情報Bの出力期間が開始するため、出力期間の重複は発生しない。
ケースBでは、運転支援情報Aの出力期間が、時間TB1から時間TB3までの期間であって、運転支援情報Bの出力期間が、時間TB2から時間TB4までの期間である。この場合には、図に示すように、運転支援情報Bの出力開始時間である時間TB2から、運転支援情報Aの出力終了時間である時間TB3までの期間DTBにおいて、運転支援情報Aと運転支援情報Bとの重複が発生している。
ケースCでは、運転支援情報Aの出力期間が、時間TC1から時間TC4までの期間であって、運転支援情報Bの出力期間が、時間TC2から時間TC3までの期間である。この場合には、図に示すように、運転支援情報Bの出力開始時間である時間TC2から、運転支援情報Bの出力終了時間である時間TC3までの期間DTCにおいて、運転支援情報Aと運転支援情報Bとの重複が発生している。
このようにして、重複判定部12は、受付部11によって複数の運転支援情報が受け付けられている場合に、該複数の運転支援情報に対応する出力期間の内、少なくとも一部が重複しているか否かを判定し、少なくとも一部が重複していると判定された場合に、該複数の運転支援情報の出力期間が重複していると判定する。
再び、図2に戻って、出力調整ECU1の機能構成について説明する。種類判定部14(種類判定手段に相当する)は、重複判定部12によって前記出力期間の重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合に、前記複数の運転支援情報にそれぞれ対応する複数の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の種類が、同一である要求操作が含まれるか否かを判定する機能部である。具体的には、種類判定部14は、種類方向記憶部13に格納された種類情報に基づいて、前記種類が同一である要求操作が含まれるか否かを判定する。すなわち、種類判定部14は、前記複数の運転支援情報にそれぞれ対応する種類情報を種類方向記憶部13から読み出して、読み出された種類情報に同一の種類を示す複数の種類情報が含まれるか否かを判定する。
このようにして、種類方向記憶部13に格納された種類情報に基づいて、種類が同一である要求操作が含まれるか否かが判定されるため、種類が同一である要求操作が含まれるか否かを、簡素な構成で正確に判定することができる。
方向判定部15(方向判定手段に相当する)は、種類判定部14によって種類が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記種類が同一の要求操作の中に、前記車両の走行状態に及ぼす影響の方向が同一の要求操作が含まれるか否かを判定する機能部である。具体的には、方向判定部15は、種類方向記憶部13に格納された方向情報に基づいて、前記方向が同一である要求操作が含まれるか否かを判定する。すなわち、方向判定部15は、前記種類が同一であると判定された複数の運転支援情報に、それぞれ、対応する方向情報を種類方向記憶部13から読み出して、読み出された方向情報に同一の方向を示す複数の方向情報が含まれるか否かを判定する。
このようにして、種類方向記憶部13に格納された方向情報に基づいて、方向が同一である要求操作が含まれるか否かが判定されるため、方向が同一である要求操作が含まれるか否かを、簡素な構成で正確に判定することができる。
操作量判定部16(操作量判定手段に相当する)は、方向判定部15によって方向が反対の要求操作が含まれると判定された場合に、方向が反対の要求操作について、それぞれの操作量が、予め設定された操作量閾値以上であるか否かを判定する機能部である。なお、上述のように、要求操作の操作量は、受付部11によって運転支援情報に対応付けて受け付けられている。
出力調整部17(出力調整手段に相当する)は、種類判定部14によって種類が同一の要求操作が含まれると判定され、且つ、方向判定部15によって方向が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、前記方向が同一の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力を禁止する機能部である。具体的には、出力調整部17は、種類及び方向が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する。ここでは、出力調整部17は、種類及び方向が同一の要求操作が含まれると判定された場合に、出力期間の開始時点の最も早い運転支援情報だけを出力させる。
このようにして、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類及び方向が同一である場合(例えば、両者共に減速操作である場合)には、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作に殆ど変化はないので、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止する(ここでは、出力期間の開始時点の最も早い運転支援情報以外の運転支援情報の出力を禁止する)との適正な判定をすることができる。
本実施形態では、出力調整部17が、要求操作の種類及び方向が同一である場合に、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止する場合について説明するが、出力調整部17が、出力調整部17が、要求操作の種類が同一である場合に、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止する形態でも良い。この場合には、処理が簡略化される。
また、要求操作は、運転者に対して実行することが促される操作であるから、運転者にとっては、早期にその内容を把握することが好ましい。そこで、出力期間の開始時点の早い運転支援情報が出力されるため、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
本実施形態では、出力調整部17が、出力期間の開始時点の最も早い運転支援情報だけを出力させる場合について説明するが、出力調整部17が、出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する形態であれば良い。例えば、出力調整部17が、出力期間の開始時点の最も遅い運転支援情報だけの出力を禁止する形態でも良い。
また、出力調整部17は、方向判定部15によって方向が反対の要求操作が含まれると判定され、且つ、操作量判定部16によって少なくとも1つの操作量が操作量閾値以上であると判定された場合に限って、前記方向が反対の要求操作に対応する複数の運転支援情報の内、少なくともいずれか1つの運転支援情報の出力を禁止する。具体的には、ここでは、出力調整部17は、少なくとも1つの操作量が操作量閾値以上であると判定された場合に、操作量が操作量閾値以上であると判定された要求操作に対応する運転支援情報だけを出力させる。
ここで、要求操作が車両の走行状態に及ぼす影響の種類及び方向が反対である場合(例えば、加速操作と減速操作とである場合)において、少なくとも1つの要求操作の操作量が前記操作量閾値以上であると判定されたときには、前記操作量閾値以上であると判定された要求操作に対応する運転支援情報を優先して運転者に報知する必要がある。そこで、上述のように、前記操作量閾値以上であると判定された要求操作以外の要求操作に対応する運転支援情報の出力を禁止することによって、適正に運転支援情報を出力することができる。
図5、図6は、出力調整ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、受付部11によって、運転支援情報、出力期間情報、操作量情報等が対応付けて受け付けられる(S101)。そして、重複判定部12によって、ステップS101において受け付けられた運転支援情報の内、出力期間が重複している複数の運転支援情報が有るか否かの判定が行われる(S103)。出力期間が重複している複数の運転支援情報が無いと判定された場合(S103でNO)には、処理がステップS105に進められる。出力期間が重複している複数の運転支援情報が有ると判定された場合(S103でYES)には、種類判定部14、方向判定部15によって、ステップS103において出力期間が重複していると判定された複数の運転支援情報について、各運転支援情報に含まれる要求操作の種類及び方向が種類方向記憶部13から読み出される(S107)。
そして、種類判定部14によって、ステップS107において読み出された要求操作の種類が同一であるか否かの判定が行われる(S109)。種類が同一ではないと判定された場合(S109でNO)には、処理がステップS105に進められる。種類が同一であると判定された場合(S109でYES)には、方向判定部15によって、ステップS107において読み出された要求操作の方向が同一であるか否かの判定が行われる(S111)。方向が同一ではないと判定された場合(S111でNO)には、処理が図6に示すステップS117に進められる。方向が同一であると判定された場合(S111でYES)には、出力調整部17によって、ステップS111で方向が同一であると判定された複数の運転支援情報の内、ステップS101において受け付けられた出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力が禁止される(S113)。そして、出力調整部17によって、出力期間の開始時点の最も早い運転支援情報だけが出力されて(115)、処理が終了される。
ステップS103でNOの場合、ステップS109でNOの場合、又は、図6に示すステップS117でNOの場合には、出力調整部17によって、ステップS101において受け付けられた運転支援情報が順次、出力機器3に対して出力され(S105)、処理が終了される。
ステップS111でNOの場合には、図6に示すように、操作量判定部16によって、図5に示すステップS109において種類が同一であると判定された複数の運転支援情報に対応する要求操作の操作量が、それぞれ、予め設定された操作量閾値以上であるか否かが判定される(S117)。全ての操作量が前記操作量閾値未満であると判定された場合(S117でNO)には、処理が図5に示すステップS105に進められる。少なくとも1つの操作量が、前記操作量閾値以上であると判定された場合(S117でYES)には、出力調整部17によって、ステップS117において操作量が操作量閾値未満であると判定された要求操作に対応する運転支援情報の出力が禁止される(S119)。そして、出力調整部17によって、ステップS117において操作量が操作量閾値以上であると判定された要求操作に対応する運転支援情報だけが出力されて(S121)、処理が終了される。
図7〜図10は、出力調整ECU1による運転支援情報の出力調整が行われる状況の例を示す説明図である。図7は、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、車線逸脱回避支援ECU21からの運転支援情報と、の間で出力調整が行われる状況の例を示す説明図である。図7(a)は、状況を説明するための平面図であり、図7(b)はタイミングチャートである。図7(a)に示すように、出力調整ECU1が搭載された車両VC1が、白線LAが両側に描かれた車線を図の右側に向けて走行している。車両VC1の前方の道路は、右向きのカーブ路となっており、ガードレールGLが配設されている。
そして、衝突回避支援ECU24によって、ガードレールGLへの衝突を回避するために、車両VC1が地点P1に到達する時間T11から、右方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「6」の運転支援情報であって、「左前方障害物への接近」を示している。「左前方障害物」とは、ここでは、ガードレールGLである。
また、車線逸脱回避支援ECU21によって、車線からの逸脱を回避するために、車両VC1が地点P2に到達する時間T12から、右方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「2」の運転支援情報であって、「左方向への車線逸脱」を示している。このようにして、時間T12以降、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、車線逸脱回避支援ECU21からの運転支援情報と、が重複することになる。なお、この場合は、要求操作の種類、方向が同一であるため、時間T11の時点から出力する衝突回避支援ECU24からの運転支援情報だけが出力され、車線逸脱回避支援ECU21からの運転支援情報の出力は禁止される。
図8は、車速制御支援ECU23からの運転支援情報と、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、の間で出力調整が行われる状況の例を示す説明図である。図8(a)は、状況を説明するための平面図であり、図8(b)はタイミングチャートである。図8(a)に示すように、出力調整ECU1が搭載された車両VC1が、図の右側に向けて走行している。車両VC1の前方には、先行車両VC2が図の右側に向けて走行している。
そして、車速制御支援ECU23によって、目標速度を維持するために、車両VC1が地点P3に到達する時間T21から、減速する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「4」の運転支援情報であって、「設定上限車速の超過」を示している。
また、衝突回避支援ECU24によって、先行車両VC2との衝突を回避するために、車両VC1が地点P4に到達する時間T22から、減速する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「5」の運転支援情報であって、「前方障害物への接近」を示している。「前方障害物」とは、ここでは、先行車両VC2である。このようにして、時間T22以降、車速制御支援ECU23からの運転支援情報と、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、が重複することになる。なお、この場合は、要求操作の種類、方向が同一であるため、時間T21の時点から出力する車速制御支援ECU23からの運転支援情報だけが出力され、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報の出力は禁止される。
図9は、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、車線逸脱回避支援ECU21からの運転支援情報と、の間で出力調整が行われる状況の例を示す説明図である。図9(a)は、状況を説明するための平面図であり、図9(b)はタイミングチャートである。図9(a)に示すように、出力調整ECU1が搭載された車両VC1が、白線LAが両側に描かれた車線を図の右側に向けて走行している。車両VC1の前方には、車両VC1が走行している車線と同一の車線内を先行車両VC2が図の右側に向けて走行している。
そして、衝突回避支援ECU24によって、先行車両VC2との衝突を回避するために、車両VC1が地点P5に到達する時間T31から、左方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「7」の運転支援情報であって、「右前方障害物への接近」を示している。「右前方障害物」とは、ここでは、先行車両VC2である。
また、車線逸脱回避支援ECU21によって、車線からの逸脱を回避するために、車両VC1が地点P6に到達する時間T32から、右方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「2」の運転支援情報であって、「左方向への車線逸脱」を示している。このようにして、時間T32以降、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、車線逸脱回避支援ECU21からの運転支援情報と、が重複することになる。なお、この場合は、要求操作の種類は同一であり、方向が反対であるため、要求操作の操作量に基づいて出力が調整される。
図10は、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、死角確認支援ECU25からの運転支援情報と、の間で出力調整が行われる状況の例を示す説明図である。図10(a)は、状況を説明するための平面図であり、図10(b)はタイミングチャートである。図10(a)に示すように、出力調整ECU1が搭載された車両VC1が、白線LAが両側に描かれた車線を図の右側に向けて走行している。車両VC1の前方には、車両VC1が走行している車線と同一の車線内を先行車両VC2が図の右側に向けて走行している。また、車両VC1が走行している車線の左側(図の上側)には、別の車線があり、この車線内において、車両VC1の左後方を併走車両VC3が、図の右側に向けて走行している。
そして、衝突回避支援ECU24によって、先行車両VC2との衝突を回避するために、車両VC1が地点P7に到達する時間T41から、左方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「7」の運転支援情報であって、「右前方障害物への接近」を示している。「右前方障害物」とは、ここでは、先行車両VC2である。
また、死角確認支援ECU25によって、併走車両VC3との衝突を回避するために、車両VC1が地点P7に到達する時間T42から、右方向へ操舵する旨の要求操作を含む運転支援情報が出力されている。当該運転支援情報は、図3における一連番号が「8」の運転支援情報であって、「左後方車両の接近」を示している。「左後方車両」とは、ここでは、併走車両VC3である。このようにして、時間T42以降、衝突回避支援ECU24からの運転支援情報と、死角確認支援ECU25からの運転支援情報と、が重複することになる。なお、この場合は、要求操作の種類は同一であり、方向が反対であるため、要求操作の操作量に基づいて出力が調整される。
このようにして、例えば、運転者に対して実行することが促される操作である要求操作が略同一の操作である場合(例えば、両者共に右方向への操舵操作である場合)には、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止しても、運転支援情報によって運転者が促される操作に殆ど変化はないので、少なくとも1つの運転支援情報の出力を禁止するとの、適正な判定をすることができる。
なお、本発明に係る運転支援装置及び衝突推定方法は、上記実施形態に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、出力調整ECU1が、機能的に、受付部11、重複判定部12、種類方向記憶部13、種類判定部14、方向判定部15、操作量判定部16、出力調整部17等を備える場合について説明したが、受付部11、重複判定部12、種類方向記憶部13、種類判定部14、方向判定部15、操作量判定部16、及び、出力調整部17の内、少なくとも1つの機能部が電気回路等のハードウェアによって実現されている形態でも良い。
(B)本実施形態においては、種類及び方向が同一の要求操作が含まれると判定されたときに、出力調整部17が、出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する場合について説明したが、出力調整部17が、運転支援情報の優先順位の低い出力を禁止する形態でも良い。また、運転支援情報の優先順位は、運転支援情報に対応する要求操作の緊急性及び重要性の少なくとも一方に基づいて設定されていることが好ましい。この場合には、運転支援情報を出力するか否かを更に適正に判定することができる。
(C)本実施形態においては、出力調整部17が、種類及び方向が同一の要求操作が含まれると判定されたときに、出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する場合について説明したが、出力調整部17が、種類が同一の要求操作が含まれると判定されたときに、出力期間の開始時点の遅い運転支援情報の出力を禁止する形態でも良い。この場合には、処理が簡略化される。