JP5263672B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置で、トナー等の樹脂微粒子を溶解又は膨潤させて記録媒体上に定着させる定着液を記録媒体上の樹脂微粒子に付与する定着装置、及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、又は、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献4の何れの特許文献に記載の定着装置も、定着液を液状のまま記録媒体上のトナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に付与して定着を行う構成では、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立させることが極めて難しいという問題があった。この問題について図16を用いて説明する。
図16は、従来の湿式定着方式の定着装置60の説明図であり、図16(a)は定着装置60の概略説明図、図16(b)は記録媒体である転写紙Pと定着液付与手段として転写紙Pに接触して定着液Fを塗布する塗布ローラ61との近接部の拡大説明図である。
図16(a)に示すように、塗布ローラ61を用いて転写紙P上の未定着のトナー層Tへ定着液Fを塗布する構成において、定着液Fを転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ61上の定着液Fの膜厚がトナー層Tの厚みよりも薄くなる場合、図16(b)のようになる。すなわち、塗布ローラ61の表面が転写紙Pと接触する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向下流側で塗布ローラ61の表面が転写紙Pから剥離する位置で、塗布ローラ61表面の定着液Fの液膜によって生じる表面張力でトナー層Tのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子T2が付着し、塗布ローラ61と剥離した後の転写紙P上のトナー像T1が大幅に乱れてしまう。なお、図16(b)中の矢印F1は定着液の内部流の働く方向、矢印F2は表面張力の働く方向をそれぞれ模式的示している。
図16(a)に示すように、塗布ローラ61を用いて転写紙P上の未定着のトナー層Tへ定着液Fを塗布する構成において、定着液Fを転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ61上の定着液Fの膜厚がトナー層Tの厚みよりも薄くなる場合、図16(b)のようになる。すなわち、塗布ローラ61の表面が転写紙Pと接触する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向下流側で塗布ローラ61の表面が転写紙Pから剥離する位置で、塗布ローラ61表面の定着液Fの液膜によって生じる表面張力でトナー層Tのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子T2が付着し、塗布ローラ61と剥離した後の転写紙P上のトナー像T1が大幅に乱れてしまう。なお、図16(b)中の矢印F1は定着液の内部流の働く方向、矢印F2は表面張力の働く方向をそれぞれ模式的示している。
逆に、塗布ローラ61上の定着液Fの膜厚を未定着のトナー層Tよりも十分厚くすると、塗布ローラ61の表面が転写紙Pから剥離する位置では、定着液Fの液量が多いため塗布ローラ61表面の液膜による表面張力がトナー層Tのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ61側にトナーが付着しにくくなるが、転写紙Pの紙面に多量の定着液Fが塗布されるため、転写紙P上で過剰な定着液Fによりトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙Pに著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液Fが水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への塗布量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
このように、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献5には、定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とし、このフォーム状定着液を記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液をフォーム状とすることにより定着液の密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、フォーム状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献5のようにフォーム状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
特許第3290513号明細書
特開2004−109749号公報
特開昭59−119364号公報
特開2004−109747号公報
特開2007−219105号公報
しかしながら、フォーム状定着液を記録媒体上のトナーに付与して定着を行う定着装置の場合、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液がフォーム状となる起泡性が低下し、定着液としての性能が低下することがあった。このように定着液としての性能が低下する原因の一例を以下に示す。
フォーム状の定着液を用いる定着装置では定着液がフォーム状と成ることを促す起泡剤を含有させており、フォーム状定着液に適する起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が一般的である。また、定着液は軟化剤や起泡剤を希釈する希釈溶媒として水が含有されていることが一般的である。
このアニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは液のpHが7以上の弱アルカリ性領域であるため、定着液は弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、ポリエステルの樹脂成分を含有するトナーを軟化する軟化剤としてはエステル基を有する軟化剤が一般的であるが、希釈溶媒として水を含有する定着液のpHが7以上となるアルカリ性領域では、エステル基が水と反応して加水分解し、軟化剤としての能力が低下する。また、軟化剤が加水分解すると酸性の化合物が生じるため、pHが下がって6以下となって起泡剤の起泡性も低下する。このように、定着液が含有する軟化剤のエステル基が加水分解すると、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液がフォーム状となる起泡性などが低下し、定着液としての所望の性能が得られなくなる。
このため、エステル基を有する軟化剤と希釈溶媒としての水とを含有する定着液の起泡性を重視して定着液のpHを7以上とすると、定着液の長期保存における信頼性が得られなくなる問題がある。なお、エステル基はpHが7以上であると、加水分解が起こり易いが、pHが6以下の場合では加水分解の反応速度が遅くなるだけであって加水分解は発生する。
フォーム状の定着液を用いる定着装置では定着液がフォーム状と成ることを促す起泡剤を含有させており、フォーム状定着液に適する起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が一般的である。また、定着液は軟化剤や起泡剤を希釈する希釈溶媒として水が含有されていることが一般的である。
このアニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは液のpHが7以上の弱アルカリ性領域であるため、定着液は弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、ポリエステルの樹脂成分を含有するトナーを軟化する軟化剤としてはエステル基を有する軟化剤が一般的であるが、希釈溶媒として水を含有する定着液のpHが7以上となるアルカリ性領域では、エステル基が水と反応して加水分解し、軟化剤としての能力が低下する。また、軟化剤が加水分解すると酸性の化合物が生じるため、pHが下がって6以下となって起泡剤の起泡性も低下する。このように、定着液が含有する軟化剤のエステル基が加水分解すると、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液がフォーム状となる起泡性などが低下し、定着液としての所望の性能が得られなくなる。
このため、エステル基を有する軟化剤と希釈溶媒としての水とを含有する定着液の起泡性を重視して定着液のpHを7以上とすると、定着液の長期保存における信頼性が得られなくなる問題がある。なお、エステル基はpHが7以上であると、加水分解が起こり易いが、pHが6以下の場合では加水分解の反応速度が遅くなるだけであって加水分解は発生する。
上述した例では、アニオン系界面活性剤からなる起泡剤の起泡性を重視した水素イオン指数(pH)の定着液ではエステル基を有する軟化剤が希釈溶媒である水と一緒に存在していることによって経時で加水分解して、定着液の性能が低下するものである。起泡剤、軟化剤、及び希釈溶媒の組み合わせとしては、アニオン系界面活性剤、エステル基を有する軟化剤、及び水に限るものではないが、起泡剤の起泡性を重視した環境で軟化剤と希釈液とを混合した状態で収容していると軟化剤と希釈液との間で何らかの化学反応が生じ、軟化剤が変質し、定着液の性能を低下させることは起こり得る。
また、軟化剤、起泡剤及び希釈液を同じ混合比で処方した定着液であっても、フォーム状定着液を記録媒体上の未定着トナー層に付与して画像を定着する際の、記録媒体上のトナー量、記録媒体の種類、環境温度等の定着条件によってフォーム状定着液の特性が変化し、定着不良が生じてしまう問題が生じることがある。
これらのような問題は、樹脂としては記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子に限るものではなく、記録媒体上の樹脂含有微粒子層にフォーム状の定着液を付与する構成ではどの場合も生じ得る問題点である。
これらのような問題は、樹脂としては記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子に限るものではなく、記録媒体上の樹脂含有微粒子層にフォーム状の定着液を付与する構成ではどの場合も生じ得る問題点である。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有するフォーム状定着液を、樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に付与して樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着装置で、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる定着装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段と、表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に該フォーム状定着液を付与する定着液付与手段とを有する定着装置において、上記軟化剤を含有する軟化液を収容する軟化液収容手段と、上記定着液に含有させることで該定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有する起泡液を該軟化液とは独立して収容する起泡液収容手段と、該定着液中の該軟化剤及び該起泡剤を希釈する希釈液を該軟化液及び該起泡液とは独立して収容する希釈液収容手段と、該軟化液、該起泡液、及び該希釈液を混合して該定着液とする定着液混合手段と、該定着液混合手段で混合する該定着液中の該軟化液、該起泡液及び該希釈液の混合量を可変とする定着液混合量可変手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記軟化液の混合量の変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、定着を行う環境の温度変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記希釈液は、少なくとも水を含有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段と、表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に該フォーム状定着液を付与する定着液付与手段とを有する定着装置において、上記軟化剤を含有する軟化液を収容する軟化液収容手段と、上記定着液に含有させることで該定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有し、該定着液中の該軟化剤を希釈する希釈液を該軟化液とは独立して収容する希釈液収容手段と、該軟化液及び該希釈液を混合して該定着液とする定着液混合手段と該定着液混合手段で混合する該定着液中の該軟化液及び該希釈液の混合量を可変とする定着液混合量可変手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7、8または9の定着装置において、上記希釈液は少なくとも水を含有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置において、上記定着液付与手段が、上記定着液混合手段によって混合され、上記定着液フォーム化手段によってフォーム化されたフォーム状定着液を表面に担持して表面が無端移動し、該フォーム状定着液を担持した表面が上記記録媒体に対して接触または近接する位置で該フォーム状定着液を該記録媒体に塗布する定着液塗布部材と、該記録媒体に対して接触または対向する位置よりも該定着液塗布部材の表面移動方向上流側で該定着液塗布部材上の該フォーム状定着液の厚みを規制するフォーム状定着液膜厚規制部材とを備え、該記録媒体に搬送力を付与する記録媒体搬送手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、樹脂と色剤を含有する上記樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の定着装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記軟化液の混合量の変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、定着を行う環境の温度変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記希釈液は、少なくとも水を含有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段と、表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に該フォーム状定着液を付与する定着液付与手段とを有する定着装置において、上記軟化剤を含有する軟化液を収容する軟化液収容手段と、上記定着液に含有させることで該定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有し、該定着液中の該軟化剤を希釈する希釈液を該軟化液とは独立して収容する希釈液収容手段と、該軟化液及び該希釈液を混合して該定着液とする定着液混合手段と該定着液混合手段で混合する該定着液中の該軟化液及び該希釈液の混合量を可変とする定着液混合量可変手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の定着装置において、上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7、8または9の定着装置において、上記希釈液は少なくとも水を含有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置において、上記定着液付与手段が、上記定着液混合手段によって混合され、上記定着液フォーム化手段によってフォーム化されたフォーム状定着液を表面に担持して表面が無端移動し、該フォーム状定着液を担持した表面が上記記録媒体に対して接触または近接する位置で該フォーム状定着液を該記録媒体に塗布する定着液塗布部材と、該記録媒体に対して接触または対向する位置よりも該定着液塗布部材の表面移動方向上流側で該定着液塗布部材上の該フォーム状定着液の厚みを規制するフォーム状定着液膜厚規制部材とを備え、該記録媒体に搬送力を付与する記録媒体搬送手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、樹脂と色剤を含有する上記樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の定着装置を用いることを特徴とするものである。
請求項1の構成を備えた定着装置では、軟化剤を含有する軟化液、起泡剤を含有する起泡液及び希釈液といった定着液を構成する3つの液をそれぞれ独立して収容し、定着液フォーム化手段に供給する前に定着液混合手段によって3つの液を混合して定着液とするため、3つの液を保存する各液収容手段内の液が他の液と化学反応することが無い。このため、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を防止することができ、定着液の定着性能の低下を経時にわたって防止することができる。さらに、定着液混合量可変手段を備えることによって、定着液中の軟化液、起泡液及び希釈液の混合量が可変であるため、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
また、請求項8の構成を備えた定着装置では、軟化剤を含有する軟化液、起泡剤を含有する希釈液といった定着液を構成する2つの液をそれぞれ独立して収容し、定着液フォーム化手段に供給する前に定着液混合手段によって2つの液を混合して定着液とするため、2つの液を保存する各液収容手段内の液が他の液と化学反応することが無い。このため、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を防止することができ、定着液の定着性能の低下を経時にわたって防止することができる。さらに、定着液混合量可変手段を備えることによって、定着液中の軟化液及び希釈液の混合量が可変であるため、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
また、請求項8の構成を備えた定着装置では、軟化剤を含有する軟化液、起泡剤を含有する希釈液といった定着液を構成する2つの液をそれぞれ独立して収容し、定着液フォーム化手段に供給する前に定着液混合手段によって2つの液を混合して定着液とするため、2つの液を保存する各液収容手段内の液が他の液と化学反応することが無い。このため、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を防止することができ、定着液の定着性能の低下を経時にわたって防止することができる。さらに、定着液混合量可変手段を備えることによって、定着液中の軟化液及び希釈液の混合量が可変であるため、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
請求項1乃至12の発明によれば、定着液の定着性能の低下を防止することができ、定着条件に応じた定着液を処方することができるため、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる、という優れた効果がある。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置である複写機(以下、複写機100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の特徴部を備える定着装置を有する画像形成装置が複写機である構成に付いて説明するが、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
まず、実施形態に係る複写機100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機100を示す概略構成図である。この複写機100は、プリンタ部1と、給紙装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ部150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
まず、実施形態に係る複写機100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機100を示す概略構成図である。この複写機100は、プリンタ部1と、給紙装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ部150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から転写紙Pを送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部1の紙搬送路37に転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット42内の転写紙Pをプリンタ部1内の紙搬送路37内に給紙する。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ部150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第一コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第二コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿MSを走査する。
このように、スキャナ部150において原稿MSを走査し、画像読取センサ153で得られた画像情報に基づいて、後述するように光書込装置2では光源を駆動してドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。
このように、スキャナ部150において原稿MSを走査し、画像読取センサ153で得られた画像情報に基づいて、後述するように光書込装置2では光源を駆動してドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。
図3は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1は、光書込装置2、K,Y,M,Cの各色のトナー像を形成する四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)、転写ユニット90、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置60等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、潜像担持体たる感光体4(K,Y,M,C)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、複写機100本体に対して着脱可能になっている。ブラック用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の一次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15Kなども有している。複写機100では、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)を、後述する中間転写ベルト91に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図4は、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)のうちの一つ作像ユニット3の拡大図である。なお、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。図4に示すように、作像ユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置の帯電ローラ5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電装置の除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、複写機100では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を現像剤担持体である現像ローラ12に担持し、現像ローラ12と感光体4との対向部である現像領域で感光体4上の静電潜像にトナーを供給して、静電想像を可視像化させる。また、現像装置6は、現像ローラ12の表面に供給する二成分現像剤を収容する現像剤収容部を備え、現像剤収容部は収容する二成分現像剤を攪拌する不図示の攪拌部材が設けられている。
現像ローラ12は回転可能に配置された非磁性の筒状の現像スリーブと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラとから構成される。マグネットローラは、現像スリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、現像剤収容部内の二成分現像剤を現像スリーブ表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブの回転に伴って不図示の現像剤規制部材との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、現像領域に搬送される。そして、現像スリーブに印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像を行う。更に、現像領域を通過した後、現像スリーブの回転に伴って再び現像装置6内に戻った磁気ブラシを構成する二成分現像剤は、マグネットローラの磁極間に形成される反発磁界の影響によって現像スリーブ表面から離脱した後、現像剤収容部内に戻される。現像剤収容部内には、不図示のトナー濃度センサが配置されており、このトナー濃度センサによる検知結果に基づいて、現像剤収容器内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内となるように、不図示のトナー補給装置が制御され、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。
現像ローラ12は回転可能に配置された非磁性の筒状の現像スリーブと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラとから構成される。マグネットローラは、現像スリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、現像剤収容部内の二成分現像剤を現像スリーブ表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブの回転に伴って不図示の現像剤規制部材との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、現像領域に搬送される。そして、現像スリーブに印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像を行う。更に、現像領域を通過した後、現像スリーブの回転に伴って再び現像装置6内に戻った磁気ブラシを構成する二成分現像剤は、マグネットローラの磁極間に形成される反発磁界の影響によって現像スリーブ表面から離脱した後、現像剤収容部内に戻される。現像剤収容部内には、不図示のトナー濃度センサが配置されており、このトナー濃度センサによる検知結果に基づいて、現像剤収容器内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内となるように、不図示のトナー補給装置が制御され、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。
プリンタ部1では図3に示すように、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の感光体4(K,Y,M,C)には、これまで説明してきた作像プロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
図3に示すように四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の下方には、転写ユニット90が配設されている。この転写ユニット90は、複数の張架ローラ(92、93、94)によって張架されたトナー像担持体としての中間転写ベルト91を備え、中間転写ベルト91を挟んで第一張架ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置32が配置されている。ベルトクリーニング装置32は、後述する二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
転写ユニット90では中間転写ベルト91感光体4(K,Y,M,C)に当接させながら図中時計回り方向(図3中の矢印A方向)に無端移動させる。これにより、感光体4(K,Y,M,C)と中間転写ベルト91とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ95(K,Y,M,C)によって中間転写ベルト91を感光体4(K,Y,M,C)に向けて押圧している。四つの一次転写ローラ95(K,Y,M,C)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4(K,Y,M,C)上のトナー像を転写体たる中間転写ベルト91に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト91の表面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト91の表面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材として一次転写ローラ95を備えた構成を採用しているが、一次転写部材としては導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
転写ユニット90では中間転写ベルト91感光体4(K,Y,M,C)に当接させながら図中時計回り方向(図3中の矢印A方向)に無端移動させる。これにより、感光体4(K,Y,M,C)と中間転写ベルト91とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ95(K,Y,M,C)によって中間転写ベルト91を感光体4(K,Y,M,C)に向けて押圧している。四つの一次転写ローラ95(K,Y,M,C)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4(K,Y,M,C)上のトナー像を転写体たる中間転写ベルト91に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト91の表面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト91の表面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材として一次転写ローラ95を備えた構成を採用しているが、一次転写部材としては導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
図4において、一次転写ニップを通過した後の感光体4の表面には、中間転写ベルト91に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、作像ユニット3のドラムクリーニング装置15により、感光体4の表面から除去される。
ドラムクリーニング装置15としては、感光体4に当接しているポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16により、転写残トナーを一次転写ニップ通過後の感光体4表面から掻き取って除去するものが用いられている。クリーニングブレード16は、作像ユニット3のケーシングに固定された金属製の支持部材に接着(ホットメルト)されており、感光体4に対してカウンタ方向に当接するようになっている。カウンタ方向とは、支持部材によって片持ち支持されるクリーニングブレード16の先端側を、後端側(自由端側)よりも感光体4の回転方向の上流側に位置させるようなブレードの向きである。
ここで、ドラムクリーニング装置15によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置6に回収され、再利用される。
ここで、ドラムクリーニング装置15によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置6に回収され、再利用される。
本実施形態の作像ユニット3が備える除電装置は除電ランプ22を備えた構成であり、光を照射して感光体4の表面電位を初期化する。除電ランプ22によって除電された感光体4の表面は、帯電バイアスの印加によって感光体4との間に放電を発生させる帯電ローラ5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。作像ユニット3が備える帯電装置は帯電ローラ5を採用した接触帯電方式の帯電装置である。この帯電装置は帯電ローラ5を感光体4の表面に接触させて、帯電ローラ5に電圧を印加することにより感光体4の表面を一様に帯電する。なお、感光体4を一様に帯電させる帯電装置としては、帯電ローラ方式のものに代えてスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。
プリンタ部1では図3に示すように、転写ユニット90の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、二次転写ベルトである無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる二次転写ユニットとしての紙搬送ユニット28が設けられている。複写機100では紙搬送ユニット28の二次転写ローラ31と、転写ユニット90の下部張架ローラ94との間に、中間転写ベルト91及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト91の表面と、紙搬送ベルト29の表面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット90の下部張架ローラ94は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。レジストローラ対33はローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト91上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト91上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過し、表面にトナー像が転写された転写紙Pは、中間転写ベルト91から離間して、紙搬送ベルト29の表面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置60へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト91の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト91に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置60に搬送された転写紙Pは、詳細は後述するが定着装置60内で定着液が塗布されることによってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置60から送り出される。
なお、図2に示すように複写機100は、紙搬送ユニット28と定着装置60との下方には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pが、切換爪で転写紙Pの進路を転写紙P反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ10上に排紙される。
次に、次に本発明の特徴部を備えた定着装置60について説明する。
図1は本実施形態の定着装置60を模式的に示す説明図である。なお、本発明における樹脂微粒子はトナー粒子である。
定着装置60は、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液を含む定着液を、通常の液状から液中に気泡を分散させて泡を多く含んだフォーム状とする定着液フォーム化手段としての定着液フォーム化装置500を備える。さらに、定着液フォーム化装置500の定着液供給口501から供給されるフォーム状定着液を転写紙Pに付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を備える。
図1は本実施形態の定着装置60を模式的に示す説明図である。なお、本発明における樹脂微粒子はトナー粒子である。
定着装置60は、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液を含む定着液を、通常の液状から液中に気泡を分散させて泡を多く含んだフォーム状とする定着液フォーム化手段としての定着液フォーム化装置500を備える。さらに、定着液フォーム化装置500の定着液供給口501から供給されるフォーム状定着液を転写紙Pに付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を備える。
まず、本実施形態の定着装置60のようにフォーム状定着液を用いる構成の原理について説明する。この構成は、気泡を大量に含有しフォーム状の液体が極めてかさ密度が低いことに着目した構成である。上述したように、転写紙Pに接触して定着液を塗布する接触塗布手段である塗布ローラを用いて、塗布ローラへのトナーのオフセットが生じない塗布を行うためには、塗布ローラ上の定着液の膜厚を厚く形成する必要がある。このことは、樹脂微粒子のオフセットが生じないように定着液を均一に塗布するためには、塗布ローラ表面に定着液の体積がある程度必要であることを意味している。
一方、定着液を塗布した後の記録媒体上の樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。
記録媒体に塗布する際は定着液の体積が多く、かつ塗布後の記録媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、塗布時の定着液の密度が低ければよく、定着液のかさ密度を低くすることにより、塗布時に体積は多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。即ち、かさ密度(定着液の重量をその体積で割った値)の低い定着液を使用すれば、定着液を塗布する際のオフセットを防止しつつ、定着応答性や残液感を良好にすることが可能である。
一方、定着液を塗布した後の記録媒体上の樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。
記録媒体に塗布する際は定着液の体積が多く、かつ塗布後の記録媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、塗布時の定着液の密度が低ければよく、定着液のかさ密度を低くすることにより、塗布時に体積は多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。即ち、かさ密度(定着液の重量をその体積で割った値)の低い定着液を使用すれば、定着液を塗布する際のオフセットを防止しつつ、定着応答性や残液感を良好にすることが可能である。
そして本実施形態の定着装置60は、上述した原理を鑑みた発明を適用した構成であり、塗布時の定着液の嵩密度を低くするためにフォーム状にした定着液を記録媒体である転写紙Pに塗布する構成である。図5は、本実施形態の定着装置60において塗布ローラ61が転写紙Pと接触する部分の拡大説明図である。
図5に示すように、定着液フォーム化装置500によって定着液を泡で構成されたフォーム状定着液Fbとすることで、定着液のカサ密度を低くでき、少量の定着液で塗布ローラ上の定着液の膜厚を厚くすることができる。これにより、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、定着液の量が少量であっても塗布ローラ61への樹脂微粒子のオフセットを防止できることが分かった。
図5に示すように、定着液フォーム化装置500によって定着液を泡で構成されたフォーム状定着液Fbとすることで、定着液のカサ密度を低くでき、少量の定着液で塗布ローラ上の定着液の膜厚を厚くすることができる。これにより、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、定着液の量が少量であっても塗布ローラ61への樹脂微粒子のオフセットを防止できることが分かった。
次に、従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上述した特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方式が記載されている。
上述した特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方式が記載されている。
しかしながら、特許文献1の湿式定着方式においては、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、特許文献3には、静電気的方式で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着方式に用いることのできる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液が提案されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体状のトナー像に付与していたため、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。
一方、特許文献5に記載の定着装置では、本実施形態の定着装置60と同様に、定着液をフォーム状とし、定着液のかさ密度を下げ、トナー像に対する定着液の表面張力の影響をなくすことで、従来よりも極微量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着する技術が開示されている。
一方、特許文献5に記載の定着装置では、本実施形態の定着装置60と同様に、定着液をフォーム状とし、定着液のかさ密度を下げ、トナー像に対する定着液の表面張力の影響をなくすことで、従来よりも極微量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着する技術が開示されている。
定着液をフォーム状にする本実施形態の定着装置60で使用する定着液は、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液とを含有する。
本実施形態の定着液が含有する軟化剤はトナー中の樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させるものであり、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤である、パルミチン酸アミン、ミリスチン酸アミン及びステアリン酸アミンを用いる。さらに、これらの軟化剤及び起泡剤を希釈する希釈液としては水を用いる。
ここで、脂肪族エステルを含む軟化剤及び水を含有する定着液について、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液を混合して定着液とした状態で一つの容器で保存していると、軟化剤が水と反応し、軟化剤が備えるエステル基が加水分解するおそれがある。さらに、本実施形態のように起泡剤としてアニオン系界面活性剤を使用する場合、その起泡性を最大限に発揮するためには定着液フォーム化装置500でフォーム化するときの定着液の液のpHが7以上の弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、定着液が弱アルカリ性の状態ではエステル基が加水分化し易くなる。
軟化剤のエステル基が加水分解するとトナーの樹脂成分を軟化させる能力が低下する。また、軟化剤が加水分解すると酸性の化合物が生じるため、pHが下がって6以下となって起泡剤の起泡性も低下する。このように、定着液が含有する軟化剤のエステル基が加水分解すると、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液がフォーム状となる起泡性などが低下し、定着液としての所望の性能が得られなくなる。
本実施形態の定着液が含有する軟化剤はトナー中の樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させるものであり、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤である、パルミチン酸アミン、ミリスチン酸アミン及びステアリン酸アミンを用いる。さらに、これらの軟化剤及び起泡剤を希釈する希釈液としては水を用いる。
ここで、脂肪族エステルを含む軟化剤及び水を含有する定着液について、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液を混合して定着液とした状態で一つの容器で保存していると、軟化剤が水と反応し、軟化剤が備えるエステル基が加水分解するおそれがある。さらに、本実施形態のように起泡剤としてアニオン系界面活性剤を使用する場合、その起泡性を最大限に発揮するためには定着液フォーム化装置500でフォーム化するときの定着液の液のpHが7以上の弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、定着液が弱アルカリ性の状態ではエステル基が加水分化し易くなる。
軟化剤のエステル基が加水分解するとトナーの樹脂成分を軟化させる能力が低下する。また、軟化剤が加水分解すると酸性の化合物が生じるため、pHが下がって6以下となって起泡剤の起泡性も低下する。このように、定着液が含有する軟化剤のエステル基が加水分解すると、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液がフォーム状となる起泡性などが低下し、定着液としての所望の性能が得られなくなる。
このような問題に対して、本実施形態の定着装置60は、定着液フォーム化装置500でフォーム化する前は定着液とした状態で保存せずに、軟化剤を含有する軟化液、起泡剤を含有する起泡液、及び、希釈液の3つの液をそれぞれ独立した状態で保存する。図1に示すように、定着装置60は、軟化液収容手段である軟化液ボトル200と、起泡液収容手段である起泡液ボトル300と、希釈液収容手段である希釈液ボトル400とを備え、軟化液と、起泡液と、希釈液とをそれぞれ独立した状態で保存する。
軟化液ボトル200は軟化液搬送管202を介して軟化液搬送ポンプ201の吸引口に接続されており、軟化液搬送ポンプ201を駆動することにより軟化液ボトル200内の軟化液210が軟化液搬送ポンプ201に吸引される。また、起泡液ボトル300は起泡液搬送管302を介して起泡液搬送ポンプ301の吸引口に接続されており、起泡液搬送ポンプ301を駆動することにより起泡液ボトル300内の起泡液310が起泡液搬送ポンプ301に吸引される。さらに、希釈液ボトル400は希釈液搬送管402を介して希釈液搬送ポンプ401の吸引口に接続されており、希釈液搬送ポンプ401を駆動することにより希釈液ボトル400内の希釈液410が希釈液搬送ポンプ401に吸引される。
軟化液搬送ポンプ201と起泡液搬送ポンプ301と希釈液搬送ポンプ401との3つの液搬送ポンプのそれぞれの排出口は定着液搬送管601と接続されており、3つの液搬送ポンプを駆動することにより、軟化液210と起泡液310と希釈液410とが定着液搬送管601内で混合されて定着液となって定着液フォーム化装置500へと搬送される。このような図1に示す定着装置60では、軟化液搬送ポンプ201、起泡液搬送ポンプ301、及び、希釈液搬送ポンプ401の3つの液搬送ポンプと、定着液搬送管601が定着液混合手段である定着液混合部600を構成する。
軟化液ボトル200は軟化液搬送管202を介して軟化液搬送ポンプ201の吸引口に接続されており、軟化液搬送ポンプ201を駆動することにより軟化液ボトル200内の軟化液210が軟化液搬送ポンプ201に吸引される。また、起泡液ボトル300は起泡液搬送管302を介して起泡液搬送ポンプ301の吸引口に接続されており、起泡液搬送ポンプ301を駆動することにより起泡液ボトル300内の起泡液310が起泡液搬送ポンプ301に吸引される。さらに、希釈液ボトル400は希釈液搬送管402を介して希釈液搬送ポンプ401の吸引口に接続されており、希釈液搬送ポンプ401を駆動することにより希釈液ボトル400内の希釈液410が希釈液搬送ポンプ401に吸引される。
軟化液搬送ポンプ201と起泡液搬送ポンプ301と希釈液搬送ポンプ401との3つの液搬送ポンプのそれぞれの排出口は定着液搬送管601と接続されており、3つの液搬送ポンプを駆動することにより、軟化液210と起泡液310と希釈液410とが定着液搬送管601内で混合されて定着液となって定着液フォーム化装置500へと搬送される。このような図1に示す定着装置60では、軟化液搬送ポンプ201、起泡液搬送ポンプ301、及び、希釈液搬送ポンプ401の3つの液搬送ポンプと、定着液搬送管601が定着液混合手段である定着液混合部600を構成する。
本実施形態の定着装置60では、軟化液210、起泡液310及び希釈液410といった定着液を構成する3つの液をそれぞれ独立した容器である各液ボトル(200、300、400)内に収容し、定着液フォーム化装置500に供給する前に定着液混合部600によって3つの液を混合して定着液とする。このため、3つの液を保存する各液ボトル(200、300、400)内の液が他の液と化学反応することが無く、軟化液210中の軟化剤が希釈液410と化学反応することに起因する軟化剤の変質や起泡性の低下を防止することができる。よって、定着装置60は、フォーム状定着液の起泡性及びトナーの軟化性能を損なうことなく、軟化剤の加水分解問題を解決し定着液の保存安定性を飛躍的に向上させることができ、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができる。
なお、定着装置60が定着する記録媒体上のトナーの付着量や記録媒体の種類等によって定着液中に含まれる軟化剤の適切な割合が異なる。また、同じ混合比で処方した定着液であっても、定着を行う環境の温度によって定着液の起泡性が異なる。すなわち、環境温度によって定着液中に含まれる起泡剤の適切な割合が異なる。
このため、定着装置60では、記録媒体上のトナーの付着量や記録媒体の種類、そして、環境温度等の定着条件に応じて定着液中の軟化液210、起泡液310及び希釈液410の混合量を可変とする定着液混合量可変手段を有する。詳しくは、軟化液搬送ポンプ201、起泡液搬送ポンプ301、及び希釈液搬送ポンプ401の3つの液搬送ポンプのそれぞれは、単位時間当たりの液搬送量を制御可能となっており、制御手段であるCPU700が定着条件に応じて3つの液搬送ポンプの流量を制御することによって定着液を構成する3つの液の混合量を制御する。
このため、定着装置60では、記録媒体上のトナーの付着量や記録媒体の種類、そして、環境温度等の定着条件に応じて定着液中の軟化液210、起泡液310及び希釈液410の混合量を可変とする定着液混合量可変手段を有する。詳しくは、軟化液搬送ポンプ201、起泡液搬送ポンプ301、及び希釈液搬送ポンプ401の3つの液搬送ポンプのそれぞれは、単位時間当たりの液搬送量を制御可能となっており、制御手段であるCPU700が定着条件に応じて3つの液搬送ポンプの流量を制御することによって定着液を構成する3つの液の混合量を制御する。
図6は、定着条件に応じて3つの液の流量を制御する構成を説明するブロック図である。
定着装置60は、転写紙P上の樹脂微粒子量(トナー付着量)や記録媒体の種類に応じて定着液中の軟化剤の量を、環境温度の変化に応じて定着液中の起泡剤の量を変化させるため定着条件に関する情報に基づいてCPU700が液搬送ポンプ(201、301、401)に流量制御信号を発する。
転写紙P上のトナーの付着量に関しては、光書込装置2でのレーザー光の照射に用いられる画像情報信号がスキャナ、PCなどの画像情報出力機器701からCPU700に送信され、トナーの付着量の情報として用いる。画像形成装置において、転写紙P上のトナー付着量は、画像情報出力機器701からの画像情報信号に応じて設定テーブルに基づき算出された値によって実際の付着量に近い値を算出することができる。記録媒体の種類に関しては、装置使用者が使用する記録媒体の種類の情報をあらかじめコントローラ702に入力することで、記録媒体の種類に関する信号がCPU700に送信される。このようなトナー付着量の情報や記録媒体の種類の情報に基づいて、定着液中の軟化剤が最適な量となるように定着液における軟化液210の混合量が決まる。また、定着環境の温度は環境温度検出機器703(本実施形態では温度計)によって検知され、温度に関する信号がCPUに送信される。この温度に関する情報に基づいて、定着液中の起泡剤が最適な量となるように定着液における起泡液310の混合量が決定される。そして、CPU700では、定着液における軟化液210及び起泡液310の混合量が最適な量となるように、各液搬送ポンプ(201、301、401)のそれぞれの流量を決定し、その流量制御信号を各液搬送ポンプ(201、301、401)に送信する。
定着装置60は、転写紙P上の樹脂微粒子量(トナー付着量)や記録媒体の種類に応じて定着液中の軟化剤の量を、環境温度の変化に応じて定着液中の起泡剤の量を変化させるため定着条件に関する情報に基づいてCPU700が液搬送ポンプ(201、301、401)に流量制御信号を発する。
転写紙P上のトナーの付着量に関しては、光書込装置2でのレーザー光の照射に用いられる画像情報信号がスキャナ、PCなどの画像情報出力機器701からCPU700に送信され、トナーの付着量の情報として用いる。画像形成装置において、転写紙P上のトナー付着量は、画像情報出力機器701からの画像情報信号に応じて設定テーブルに基づき算出された値によって実際の付着量に近い値を算出することができる。記録媒体の種類に関しては、装置使用者が使用する記録媒体の種類の情報をあらかじめコントローラ702に入力することで、記録媒体の種類に関する信号がCPU700に送信される。このようなトナー付着量の情報や記録媒体の種類の情報に基づいて、定着液中の軟化剤が最適な量となるように定着液における軟化液210の混合量が決まる。また、定着環境の温度は環境温度検出機器703(本実施形態では温度計)によって検知され、温度に関する信号がCPUに送信される。この温度に関する情報に基づいて、定着液中の起泡剤が最適な量となるように定着液における起泡液310の混合量が決定される。そして、CPU700では、定着液における軟化液210及び起泡液310の混合量が最適な量となるように、各液搬送ポンプ(201、301、401)のそれぞれの流量を決定し、その流量制御信号を各液搬送ポンプ(201、301、401)に送信する。
このように、検知した定着条件に応じてCPU700が各液搬送ポンプ(201、301、401)に対して流量制御信号を発し、それぞれの液搬送ポンプについて搬送される液の流量を制御することによって、定着液フォーム化装置500に供給される定着液を構成する3つの液の混合量を制御する。
流量制御の具体例を示すと、ある混合比となるような3つの液搬送ポンプの流量の状態から軟化液搬送ポンプ201の流量を大きくして単位時間当たりの液搬送量を多くし、起泡液搬送ポンプ301及び希釈液搬送ポンプ401の流量を小さくして単位時間当たりの液搬送量を少なくすることにより、それまで定着液に比べて軟化剤の含有量が多い定着液とすることができる。なお、軟化剤の含有量の増加に合わせて起泡剤の含有量も増加させる場合は、起泡液搬送ポンプ301の流量も大きく、希釈液搬送ポンプ401の流量を小さくするように制御する。
流量制御の具体例を示すと、ある混合比となるような3つの液搬送ポンプの流量の状態から軟化液搬送ポンプ201の流量を大きくして単位時間当たりの液搬送量を多くし、起泡液搬送ポンプ301及び希釈液搬送ポンプ401の流量を小さくして単位時間当たりの液搬送量を少なくすることにより、それまで定着液に比べて軟化剤の含有量が多い定着液とすることができる。なお、軟化剤の含有量の増加に合わせて起泡剤の含有量も増加させる場合は、起泡液搬送ポンプ301の流量も大きく、希釈液搬送ポンプ401の流量を小さくするように制御する。
なお、図6を用いて説明したフローによって定着液の組成を決定し、各液搬送ポンプの流量を制御して、所望の混合量となった定着液が定着液フォーム化装置500に供給し、微小な泡を含むフォーム定着液を生成して、転写紙P上に塗布するまでに多少のタイムラグが発生する。このため、所望の混合量となったフォーム状定着液を転写紙P上に塗布するために、転写紙Pが塗布ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する時点で所望の混合量となったフォーム状定着液が塗布されるように、CPU700が各液搬送ポンプに流量制御信号を送ることが望ましい。
[変形例1]
ここで、本実施形態の定着装置60とは液ボトルの数が異なる一つ目の変形例(以下、変形例1と呼ぶ)について説明する。
図7は、変形例1の定着装置60を模式的に示す説明図である。
図1に示す定着装置60は、軟化液ボトル200、起泡液ボトル300、及び、希釈液ボトル400の3つの液ボトルを備えた構成であるが、変形例1の定着装置60では起泡液ボトル300は備えておらず、軟化液ボトル200と希釈液ボトル400との2つの液ボトルを備えた構成である。そして、変形例1の定着装置60が備える希釈液ボトル400の収容されている希釈液410には起泡剤が含有している。液ボトルが2つであることと、希釈液410に起泡剤が含有していることとの2つの点以外は、図1を用いて説明した定着装置60と共通するため説明を省略する。
なお、図7に示す変形例1の定着装置60を備える画像形成装置であっても、転写紙P上のトナー付着量や記録媒体の種類に応じて定着液に含まれる軟化剤の割合を変化させることが望ましい。このため、本変形例1においても、画像情報信号に基づいて算出したトナーの付着量や装置使用者によってあらかじめ入力された使用する記録媒体の種類の情報などに基づいて軟化液搬送ポンプ201と希釈液搬送ポンプ401との流量を制御して、定着液中の軟化剤の含有量を制御する。
ここで、本実施形態の定着装置60とは液ボトルの数が異なる一つ目の変形例(以下、変形例1と呼ぶ)について説明する。
図7は、変形例1の定着装置60を模式的に示す説明図である。
図1に示す定着装置60は、軟化液ボトル200、起泡液ボトル300、及び、希釈液ボトル400の3つの液ボトルを備えた構成であるが、変形例1の定着装置60では起泡液ボトル300は備えておらず、軟化液ボトル200と希釈液ボトル400との2つの液ボトルを備えた構成である。そして、変形例1の定着装置60が備える希釈液ボトル400の収容されている希釈液410には起泡剤が含有している。液ボトルが2つであることと、希釈液410に起泡剤が含有していることとの2つの点以外は、図1を用いて説明した定着装置60と共通するため説明を省略する。
なお、図7に示す変形例1の定着装置60を備える画像形成装置であっても、転写紙P上のトナー付着量や記録媒体の種類に応じて定着液に含まれる軟化剤の割合を変化させることが望ましい。このため、本変形例1においても、画像情報信号に基づいて算出したトナーの付着量や装置使用者によってあらかじめ入力された使用する記録媒体の種類の情報などに基づいて軟化液搬送ポンプ201と希釈液搬送ポンプ401との流量を制御して、定着液中の軟化剤の含有量を制御する。
また、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなくフォーム状定着液を樹脂微粒子層に付与するには、泡状定着液の泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が適していることがわかった。
図8は、フォーム状定着液の拡大模式図であり、図8に示すように、液中の多くの気泡が分散されてフォーム状となったフォーム状定着液は、気泡と気泡のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界と称す)とから構成される。
一般的に、通常の液状の液体から0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな気泡を含んだフォーム状液体を生成する場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡からなるフォーム状液体は数秒以下の時間(0.1[s]もかからない)で生成することができる。一方、通常の液状の液体から5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだフォーム状液体を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、生成するために時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明者らは、この所望の泡径(5[μm]〜50[μm]程度)よりも大きな気泡を含み、目視で観察できる程度の大きさの気泡を含んだフォーム状液体の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目し、泡径が大きなフォーム状液体から泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだフォーム状液体を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな気泡を含むフォーム状液体にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上述したように通常の液状の液体から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な気泡を含有したフォーム状液体が生成できることがわかった。
図8は、フォーム状定着液の拡大模式図であり、図8に示すように、液中の多くの気泡が分散されてフォーム状となったフォーム状定着液は、気泡と気泡のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界と称す)とから構成される。
一般的に、通常の液状の液体から0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな気泡を含んだフォーム状液体を生成する場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡からなるフォーム状液体は数秒以下の時間(0.1[s]もかからない)で生成することができる。一方、通常の液状の液体から5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだフォーム状液体を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、生成するために時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明者らは、この所望の泡径(5[μm]〜50[μm]程度)よりも大きな気泡を含み、目視で観察できる程度の大きさの気泡を含んだフォーム状液体の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目し、泡径が大きなフォーム状液体から泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだフォーム状液体を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな気泡を含むフォーム状液体にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上述したように通常の液状の液体から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な気泡を含有したフォーム状液体が生成できることがわかった。
図9は、本実施形態の定着装置60が備える定着液フォーム化装置500の概略説明図である。なお、図7を用いて説明した変形例1の定着装置60にも同様の定着液フォーム化装置500を用いることができる。
図9に示す定着液フォーム化装置500は、気体・液体混合部510で大きな気泡を含んだフォーム状定着液を生成した後に、微小径泡生成部520でこのフォーム状定着液の大きな泡を分泡して微小な泡径のフォーム状定着液を生成する装置である。
図9に示すように、定着液が搬送される定着液搬送管601が接続された気体・液体混合部510には空気口512が設けられている。そして、各液搬送ポンプによって搬送力が付与された定着液の流れとともに、空気口512に負圧が発生し、空気口512から気体が気体・液体混合部510内に導入される。これにより、液体状の定着液と気体とが混合し、更に、混合したものが微小孔シート511を通過することで、泡径のそろった大きな泡のフォーム状定着液を生成することができる。微小孔シート511の孔径は、30[μm]〜100[μm]程度が望ましい。なお、液体状の定着液をフォーム状定着液とする部材としては、定着装置60が備えるような微小孔シート511に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30[μm]〜100[μm]程度の孔を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、液搬送ポンプによって供給された液状定着液と空気口512からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液状の定着液に気泡を巻き込みながら大きな泡を含有するフォーム状定着液を生成させる構成であってもよい。さらに、液搬送ポンプよって供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を含有するフォーム状定着液を生成する構成であってもよい。
図9に示す定着液フォーム化装置500は、気体・液体混合部510で大きな気泡を含んだフォーム状定着液を生成した後に、微小径泡生成部520でこのフォーム状定着液の大きな泡を分泡して微小な泡径のフォーム状定着液を生成する装置である。
図9に示すように、定着液が搬送される定着液搬送管601が接続された気体・液体混合部510には空気口512が設けられている。そして、各液搬送ポンプによって搬送力が付与された定着液の流れとともに、空気口512に負圧が発生し、空気口512から気体が気体・液体混合部510内に導入される。これにより、液体状の定着液と気体とが混合し、更に、混合したものが微小孔シート511を通過することで、泡径のそろった大きな泡のフォーム状定着液を生成することができる。微小孔シート511の孔径は、30[μm]〜100[μm]程度が望ましい。なお、液体状の定着液をフォーム状定着液とする部材としては、定着装置60が備えるような微小孔シート511に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30[μm]〜100[μm]程度の孔を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、液搬送ポンプによって供給された液状定着液と空気口512からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液状の定着液に気泡を巻き込みながら大きな泡を含有するフォーム状定着液を生成させる構成であってもよい。さらに、液搬送ポンプよって供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を含有するフォーム状定着液を生成する構成であってもよい。
気体・液体混合部510で生成された大きな泡を含有するフォーム状定着液は、フォーム化装置内搬送管515を通って微小径泡生成部520へと搬送される。微小径泡生成部520は、フォーム状定着液の大きな泡を分割して2つ以上に分泡化するために大きな泡を含有するフォーム状定着液にせん断力を加える構成であり、外側円筒部521と内側円筒部522とからなる閉じた二重円筒で、内側円筒部522が外側円筒部521に対して回転可能な構成となっている。外側円筒部521の一部に開けられた定着液流入孔にはフォーム化装置内搬送管515が接続されており、この定着液流入口から大きな泡を含有するフォーム状定着液が外側円筒部521と内側円筒部522との間の隙間に供給される。気体・液体混合部510から微小径泡生成部520に供給されたフォーム状定着液は、外側円筒部521と内側円筒部522との間の隙間(ここが流路となる)を通過しながら、内側円筒部522の回転によりせん断力を受ける。このせん断力によって、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒部の一部に設けられた定着液流出口から定着液供給口501へと搬送され、定着液供給口501から塗布ローラ61にフォーム状定着液が供給される。これにより、所望の微小な泡径を有するフォーム状定着液を得ることができる。
なお、本発明者らの実験の結果、所望の微小な泡径を有するフォーム状定着液を効率良く得る液搬送速度は、回転する内側円筒部522の回転数と内側円筒部522の長手方向の長さにより決定されるものであることが分かった。図9に示すように外側円筒部521の内径をd1[mm]、内側円筒部522の長さをL[mm]、内側円筒部522の外径をd2[mm]とし、内側円筒部522の回転数をR[rpm]とすると、微小な泡を生成するために望ましい液搬送速度V[mm3/s]は、以下の(1)式で決まることがわかった。
V={L×π×(d12−d22)/4}/(1000/R)・・・・(1)
V={L×π×(d12−d22)/4}/(1000/R)・・・・(1)
上記(1)式について、例えば、d1が10[mm]、d2が8[mm]、Lが50[mm]、回転数のRが1000[rpm]とすると、液搬送速度は約1400[mm3/s](1.4[cc/s])となる。A4の紙を定着するために必要なフォーム状定着液が3[cc]であるとすると、液状の定着液から必要量のフォーム状定着液を生成するのに立ち上がり時間は約2[s]ですみ、極めて素早く、所望の泡径を有するフォーム状定着液を生成可能となる。なお、内側円筒部522の外周にらせん状の溝を設けて外側円筒部521内での定着液の搬送性を向上させてもよい。
図9に示す定着液フォーム化装置500のように、液状の定着液を大きな泡径を含有するフォーム状定着液へと変化させる大径泡生成部である気体・液体混合部510と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を含有するフォーム状定着液を生成する微小径泡生成部520とを組み合わせることで、液状の定着液から極めて短時間に、且つ、5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡径を有するフォーム状定着液を生成させることができる。
図9に示す定着液フォーム化装置500のように、液状の定着液を大きな泡径を含有するフォーム状定着液へと変化させる大径泡生成部である気体・液体混合部510と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を含有するフォーム状定着液を生成する微小径泡生成部520とを組み合わせることで、液状の定着液から極めて短時間に、且つ、5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡径を有するフォーム状定着液を生成させることができる。
次に、定着装置60が備える定着液付与手段である塗布ローラ61について説明する。
図10は、定着装置60が備える塗布ローラ61及び膜厚規制ブレード63とを図1中の矢印B方向から見た斜視説明図である。
図1に示すように、塗布ローラ61の上方には定着液フォーム化装置500が配置されており、塗布ローラ61は、定着液フォーム化装置500によって生成された所望の微小泡径のフォーム状定着液を転写紙P上のトナー粒子層(未定着のトナー像)へ付与する定着液付与手段である。定着装置60は、塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備え、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する位置に対して塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面に近接または圧接する膜厚規制ブレード63を備える。なお、本実施形態の定着装置60の膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面に対して近接して配置され、詳細は後述するが塗布ローラ61とのギャップ幅を制御可能となっている。膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面上のフォーム状定着液の膜厚を制御するものである。
図10は、定着装置60が備える塗布ローラ61及び膜厚規制ブレード63とを図1中の矢印B方向から見た斜視説明図である。
図1に示すように、塗布ローラ61の上方には定着液フォーム化装置500が配置されており、塗布ローラ61は、定着液フォーム化装置500によって生成された所望の微小泡径のフォーム状定着液を転写紙P上のトナー粒子層(未定着のトナー像)へ付与する定着液付与手段である。定着装置60は、塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備え、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する位置に対して塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面に近接または圧接する膜厚規制ブレード63を備える。なお、本実施形態の定着装置60の膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面に対して近接して配置され、詳細は後述するが塗布ローラ61とのギャップ幅を制御可能となっている。膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面上のフォーム状定着液の膜厚を制御するものである。
転写紙Pと対向する位置の塗布ローラ61上には膜厚規制ブレード63との対向部を通過して形成されたフォーム状定着液の膜がある。
定着液をトナー像に塗布する構成の場合、記録媒体上のトナー層の厚み、記録媒体の種類及び環境温度等、定着環境によってトナー像に対する定着液の浸透し易さが異なる。一方、塗布ローラ61に対して加圧ローラ62が圧接することで形成される定着ニップの幅と記録媒体の搬送速度とは一定であるため、記録媒体が転写ニップを通過する時間は一定である。定着ニップを通過する間に記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子が軟化され、加圧されることで記録媒体に定着するため、定着ニップを通過する間にトナー粒子が十分に軟化される必要がある。記録媒体上のトナー像に塗布する定着液の膜厚を厚くすることによって、定着液がトナー粒子に浸透する時間の短縮を図ることができるが、過剰に定着液を塗布することは定着液の不要な消費となる。さらに、フォーム状でかさ密度が低くなった定着液であっても過剰に塗布すると、過剰な定着液によりトナー粒子が流されて画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりするおそれがある。このため、トナー粒子に定着液が浸透し易い定着条件であれば、塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚が薄くなるように制御し、定着液が浸透し難い定着条件であれば、塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚が厚くなるように制御することが望ましい。
実施形態の定着装置60では、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップ幅を制御し、塗布ローラ61表面上のフォーム状定着液の膜厚を制御することができるので、定着条件に適したフォーム状定着液の膜厚にすることができる。よって、膜厚規制ブレード63によって転写紙P上の未定着トナーの層厚の定着液の浸透時間に対して最適化した定着液量となるような膜厚のフォーム状定着液の膜となる。
定着液をトナー像に塗布する構成の場合、記録媒体上のトナー層の厚み、記録媒体の種類及び環境温度等、定着環境によってトナー像に対する定着液の浸透し易さが異なる。一方、塗布ローラ61に対して加圧ローラ62が圧接することで形成される定着ニップの幅と記録媒体の搬送速度とは一定であるため、記録媒体が転写ニップを通過する時間は一定である。定着ニップを通過する間に記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子が軟化され、加圧されることで記録媒体に定着するため、定着ニップを通過する間にトナー粒子が十分に軟化される必要がある。記録媒体上のトナー像に塗布する定着液の膜厚を厚くすることによって、定着液がトナー粒子に浸透する時間の短縮を図ることができるが、過剰に定着液を塗布することは定着液の不要な消費となる。さらに、フォーム状でかさ密度が低くなった定着液であっても過剰に塗布すると、過剰な定着液によりトナー粒子が流されて画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりするおそれがある。このため、トナー粒子に定着液が浸透し易い定着条件であれば、塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚が薄くなるように制御し、定着液が浸透し難い定着条件であれば、塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚が厚くなるように制御することが望ましい。
実施形態の定着装置60では、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップ幅を制御し、塗布ローラ61表面上のフォーム状定着液の膜厚を制御することができるので、定着条件に適したフォーム状定着液の膜厚にすることができる。よって、膜厚規制ブレード63によって転写紙P上の未定着トナーの層厚の定着液の浸透時間に対して最適化した定着液量となるような膜厚のフォーム状定着液の膜となる。
本実施形態の定着装置60のように、フォーム状定着液を塗布ローラ61によって転写紙P上のトナー層に塗布することによって、トナー粒子が塗布ローラ61上にオフセットすることを防止できる。仮に、フォーム状定着液の膜厚が、樹脂微粒子の層よりも厚い状態で転写紙Pに付与されたとしても、フォーム状定着液のかさ密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した定着液の樹脂微粒子の層への微量付与とすることができる。所望の微小な泡を含有するフォーム状定着液は、図9を用いて説明したように、大きな泡を生成する大径泡生成部である気体・液体混合部510と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小径泡生成部520とを含んで構成されている定着液フォーム化装置500で生成される。そして、定着液フォーム化装置500で生成されたフォーム状定着液は定着液供給口501から膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間に、または膜厚規制ブレード63と対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面上に滴下される。
定着装置60の加圧ローラ62は弾性層を備え、弾性層としては、弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)を用いることで、加圧力を変化させることによってニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ61に対する加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することが出来る。なお、定着液中にはトナーの樹脂成分を軟化または膨潤させる軟化剤が含有されている。このため、万が一、スポンジの加圧ローラ62に定着液が付着した場合、スポンジ素材の軟化等の不具合が発生する恐れがあるため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない素材が望ましい。
また、スポンジ素材の軟化等の不具合を防止するために、加圧ローラ62をスポンジのローラ表面を可とう性フィルムで覆った構成としてもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムでスポンジ素材を覆うことでスポンジ素材からなる加圧ローラ62の劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
また、スポンジ素材の軟化等の不具合を防止するために、加圧ローラ62をスポンジのローラ表面を可とう性フィルムで覆った構成としてもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムでスポンジ素材を覆うことでスポンジ素材からなる加圧ローラ62の劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
図1に示す定着装置60の塗布ローラ61とスポンジの加圧ローラ62とが常時接触している構成の場合、転写紙Pが搬送されていないときに塗布ローラ61上のフォーム状定着液が加圧ローラ62に付着し汚す恐れがある。このような不具合をその防止のため、定着装置60に向かって搬送される転写紙Pの先端を検知する紙先端検知手段(図示せず)を定着装置60に対して転写紙Pの搬送方向上流側に設け、紙先端検知手段が発する紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ定着液が塗布されるようなタイミングとなるように塗布ローラ61上にフォーム状定着液を形成することが望ましい。
更に、図1に示す定着装置60において、不図示の駆動機構により、待機時は塗布ローラ61とスポンジの加圧ローラ62とを離間させ、塗布時のみ紙先端検知手段の紙先端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを接触させる構成としても良い。このような構成の場合、紙先端検知手段によって転写紙Pの後端検知も行い、紙後端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを離間させる制御を行うことが望ましい。
なお、フォーム状定着液としては、かさ密度が、0.01[g/cm3]〜0.1[g/cm3]程度の範囲となるものが望ましい。更に、それぞれの保存容器である各液ボトル中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、転写紙P上のトナー層へ付与するまでの液搬送経路でフォーム状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器である液ボトル中では液体で、液ボトルから液を取り出した後にフォーム状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
また、フォーム状定着液の塗布ローラ61上での膜厚は、塗布ローラ61表面とギャップを設けた膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61表面とのギャップ幅を調節することにより制御する。
図11は、膜厚規制ブレード63を用いた塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚制御の様子を示す概略図である。図11(a)は、膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を狭くしたときの説明図であり、図11(b)は、膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を広くしたときの説明図である。
膜厚規制ブレード63との対向部を通過した後の塗布ローラ61表面上のフォーム状定着液膜Fcを薄くするときは、図11(a)に示すように、ギャップ幅を狭くし、フォーム状定着液膜Fcを厚くするときは、図11(b)に示すように、ギャップ幅を広くする。ギャップ幅の制御は膜厚規制ブレード63の端部に不図示の駆動を有するブレード回転軸63aを用い、転写紙P上の未定着トナーの層厚に対するフォーム状定着液の浸透時間を調整するための最適な膜厚となるように制御する。
図11は、膜厚規制ブレード63を用いた塗布ローラ61上のフォーム状定着液の膜厚制御の様子を示す概略図である。図11(a)は、膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を狭くしたときの説明図であり、図11(b)は、膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を広くしたときの説明図である。
膜厚規制ブレード63との対向部を通過した後の塗布ローラ61表面上のフォーム状定着液膜Fcを薄くするときは、図11(a)に示すように、ギャップ幅を狭くし、フォーム状定着液膜Fcを厚くするときは、図11(b)に示すように、ギャップ幅を広くする。ギャップ幅の制御は膜厚規制ブレード63の端部に不図示の駆動を有するブレード回転軸63aを用い、転写紙P上の未定着トナーの層厚に対するフォーム状定着液の浸透時間を調整するための最適な膜厚となるように制御する。
本実施形態の定着装置60は、それぞれの液ボトル(200、300、400)から複数の液を混合し定着液とし、液状の定着液をフォーム状化する機構に搬送する手段としては、液搬送ポンプ(201、301、401)を用いている。液搬送ポンプとしては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等が適用可能であるが、チューブポンプが望ましい。ギヤポンプ等ごとく定着液が通過する経路中で振動機構や回転機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記機構の部品等が定着液を汚染したり、逆に定着液が上記機構の部品を劣化させたりする恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、チューブとして耐液性を有する部材を用いることで、定着液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけで内部を通過する液に搬送力を付与する構成なので、定着液が起泡せず、起泡に起因する搬送能力の低下を防止できる。
本実施形態の定着装置60は、フォーム状定着液膜厚規制部材としてブレード状の膜厚規制ブレード63を用いる。フォーム状定着液膜厚規制部材としてはブレード状の部材に限るものではなく、ワイヤーバーによって塗布ローラ61条のフォーム状定着液の厚みを制御する構成であってもよい。
図12は、図11を用いて説明した膜厚規制ブレード63の代わりに、フォーム状定着液膜厚規制部材としてワイヤーバー64を用いる構成の説明図である。ワイヤーバー64を用いた構成でも、図11を用いて説明した膜厚規制ブレード63を用いる構成と同様に、ワイヤーバー64によって塗布ローラ61上のフォーム状定着液Fbの厚みを制御して、所望の厚みにフォーム状定着液膜Fcとする。
定着装置60のフォーム状定着液Fbは、上述したように大きな泡を生成する気体・液体混合部510と、その大きな泡をせん断力で分泡する微小径泡生成部520からなる定着液フォーム化装置500で生成され、定着液供給口501より、膜制御用のワイヤーバー64と塗布ローラ61との間に滴下する。ワイヤーバー64をフォーム状定着液膜厚規制部材として用いることで、ブレードを用いる構成に比べ、塗布ローラ61表面の軸方向のフォーム状定着液膜Fcの均一性が向上する。
図12は、図11を用いて説明した膜厚規制ブレード63の代わりに、フォーム状定着液膜厚規制部材としてワイヤーバー64を用いる構成の説明図である。ワイヤーバー64を用いた構成でも、図11を用いて説明した膜厚規制ブレード63を用いる構成と同様に、ワイヤーバー64によって塗布ローラ61上のフォーム状定着液Fbの厚みを制御して、所望の厚みにフォーム状定着液膜Fcとする。
定着装置60のフォーム状定着液Fbは、上述したように大きな泡を生成する気体・液体混合部510と、その大きな泡をせん断力で分泡する微小径泡生成部520からなる定着液フォーム化装置500で生成され、定着液供給口501より、膜制御用のワイヤーバー64と塗布ローラ61との間に滴下する。ワイヤーバー64をフォーム状定着液膜厚規制部材として用いることで、ブレードを用いる構成に比べ、塗布ローラ61表面の軸方向のフォーム状定着液膜Fcの均一性が向上する。
〔変形例2〕
次に、転写紙Pにフォーム状定着液を塗布する構成が図1を用いて説明した実施形態の定着装置60とは異なる二つ目の変形例(以下、変形例2と呼ぶ)について説明する。
図13は、変形例2の定着装置60の概略説明図である。
変形例2の定着装置60は上述した実施形態の定着装置60の塗布ローラ61に代わりに、定着液塗布部材として塗布ベルト65を用いて転写紙P上の未定着トナーにフォーム状定着液を塗布する構成である。変形例2の定着装置60は図13に示すように、実施形態の定着装置60の加圧ローラ62に代えて加圧ベルト66を備える。図13では図示を省略する液ボトル(200、300、400)及び定着液混合部600や定着液フォーム化装置500等のフォーム状定着液を定着液塗布部材に供給する構成は、変形例2においても上述した実施形態の定着装置60と同様のものを用いることができる。変形例2の定着装置60においても、大きな泡を生成する気体・液体混合部510と、その大きな泡をせん断力で分泡する微小径泡生成部520からなる定着液フォーム化装置500で微小な泡を含有するフォーム状定着液を生成する。そして、定着液供給口501より、所望の泡径を有するフォーム状定着液を塗布ベルト65上に供給し、ギャップ幅が調節された膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65との間をフォーム状定着液が通過することで塗布ベルト65上のフォーム状定着液の膜厚を制御する。なお、塗布ベルト65としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETフィルムなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。
このように、塗布ベルト65を用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。
次に、転写紙Pにフォーム状定着液を塗布する構成が図1を用いて説明した実施形態の定着装置60とは異なる二つ目の変形例(以下、変形例2と呼ぶ)について説明する。
図13は、変形例2の定着装置60の概略説明図である。
変形例2の定着装置60は上述した実施形態の定着装置60の塗布ローラ61に代わりに、定着液塗布部材として塗布ベルト65を用いて転写紙P上の未定着トナーにフォーム状定着液を塗布する構成である。変形例2の定着装置60は図13に示すように、実施形態の定着装置60の加圧ローラ62に代えて加圧ベルト66を備える。図13では図示を省略する液ボトル(200、300、400)及び定着液混合部600や定着液フォーム化装置500等のフォーム状定着液を定着液塗布部材に供給する構成は、変形例2においても上述した実施形態の定着装置60と同様のものを用いることができる。変形例2の定着装置60においても、大きな泡を生成する気体・液体混合部510と、その大きな泡をせん断力で分泡する微小径泡生成部520からなる定着液フォーム化装置500で微小な泡を含有するフォーム状定着液を生成する。そして、定着液供給口501より、所望の泡径を有するフォーム状定着液を塗布ベルト65上に供給し、ギャップ幅が調節された膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65との間をフォーム状定着液が通過することで塗布ベルト65上のフォーム状定着液の膜厚を制御する。なお、塗布ベルト65としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETフィルムなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。
このように、塗布ベルト65を用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。
また、転写紙Pにフォーム状定着液を塗布する構成にベルト部材を用いる構成としては、図13に示す構成に限らず、図14に示すように加圧側をベルトではなく、ローラとし、塗布ベルト65と加圧ローラ62とを組み合わせた構成であっても良い。さらに、図15に示すように、塗布側を塗布ローラ61として、加圧側を加圧ベルト66とする構成であってもよい。
図13、図14及び図15を用いて説明した構成のように、塗布側もしくは加圧側の少なくとも一方をベルト構成とすることで容易に定着ニップ幅を広くすることが可能となる。これにより、紙にしわが発生するような無理な力を定着ニップを形成する部材間にかけることもなくなり、定着液を浸透させるために要する転写紙Pがニップを通過する時間が同じだとすると転写紙Pの搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
図13、図14及び図15を用いて説明した構成のように、塗布側もしくは加圧側の少なくとも一方をベルト構成とすることで容易に定着ニップ幅を広くすることが可能となる。これにより、紙にしわが発生するような無理な力を定着ニップを形成する部材間にかけることもなくなり、定着液を浸透させるために要する転写紙Pがニップを通過する時間が同じだとすると転写紙Pの搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
次に、定着液の液処方について説明する。
フォーム状定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5[℃]〜15[℃]までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
フォーム状定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5[℃]〜15[℃]までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
更に、飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、当該定着液を用いるオフィス・家庭で用いる画像形成機器に適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
更に、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、本実施形態の定着装置で定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上記脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに他の起泡剤に比べて短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を短時間でつくることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーを記録媒体への定着した後にも軟化剤はトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log{物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率})を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーを記録媒体への定着した後にも軟化剤はトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log{物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率})を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明の定着装置における定着液において、上記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。上記脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記飽和脂肪族エステルは、
R1COOR2
の一般式で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
R1COOR2
の一般式で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸エステルは、
R3(COOR4)2
の一般式で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸エステルは、
R3(COOR4)2
の一般式で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、
R5(COOR6−O−R7)2
の一般式で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
ところで、泡状定着液において、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、
R5(COOR6−O−R7)2
の一般式で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
ところで、泡状定着液において、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙のごとき媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1[重量%]以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、定着液中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
次に、本発明における定着液の組成と定着条件との関係を確認する実験を行った。
〔実験例1〕
実験例1では、定着液中の軟化剤の含有量と記録媒体上のトナーの付着量との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例1の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 6.25[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.75[wt%]
ステアリン酸アミン 1.25[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 37.5[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.25[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 50[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
〔実験例1〕
実験例1では、定着液中の軟化剤の含有量と記録媒体上のトナーの付着量との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例1の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 6.25[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.75[wt%]
ステアリン酸アミン 1.25[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 37.5[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.25[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 50[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
次に、実験例1の定着液の組成について説明する。
実験例1では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体及び軟化剤の含有量が異なる3通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 60.0[wt%],55.0[wt%],50.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 20.0[wt%],25.0[wt%],30.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 15.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例1では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体及び軟化剤の含有量が異なる3通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 60.0[wt%],55.0[wt%],50.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 20.0[wt%],25.0[wt%],30.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 15.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
次に、定着装置について説明する。
実験例1で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用いる。
3つの液から大きな泡を含有するフォーム状定着液を形成するまで各部材の具体的構成は以下のとおりである。
・液ボトル:PET樹脂からなるボトル
・液搬送ポンプ(200、300、400):チューブポンプ(チューブ内径2[mm]、チューブ材質:シリコーンゴム)
・搬送流路(202、302、402、601):内径2[mm]のシリコーンゴムチューブ
・大きな泡を作るための微小孔シート511:♯400のステンレス製メッシュシート(開口部約40[μm])
微小径泡生成部520は、外側円筒部の内径が10[mm]、外側円筒部の長さが120[mm]、内側円筒部の外径が8[mm]、長さが100[mm]とした。二重円筒の材質はPET樹脂とし、二重円筒の内側円筒部は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モーターにより回転する。回転数は、1000[rpm]から2000[rpm]の範囲で可変とした。
転写紙にフォーム状定着液を塗布する構成としては、図1を用いて説明した実施形態の定着装置60のように、微小径泡生成部520を用い、フォーム状定着液を作成し、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間にフォーム状定着液を供給する構成である。なお、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップは38[μm]とした。
加圧ローラ62としては、アルミ合金製ローラ(φ10[mm])を芯金とし、外径が50[mm]のポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)を形成した。
塗布ローラ61としては、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30[mm])を用いた。
膜厚規制ブレード63としては、アルミ合金製支持板に厚み1[mm]の並板ガラスを接着して、ガラス面を塗布ローラ61側に向け、10[μm]〜100[μm]の範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
また、紙搬送速度は300[mm/s]となるように塗布ローラ61を回転駆動する。
実験例1で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用いる。
3つの液から大きな泡を含有するフォーム状定着液を形成するまで各部材の具体的構成は以下のとおりである。
・液ボトル:PET樹脂からなるボトル
・液搬送ポンプ(200、300、400):チューブポンプ(チューブ内径2[mm]、チューブ材質:シリコーンゴム)
・搬送流路(202、302、402、601):内径2[mm]のシリコーンゴムチューブ
・大きな泡を作るための微小孔シート511:♯400のステンレス製メッシュシート(開口部約40[μm])
微小径泡生成部520は、外側円筒部の内径が10[mm]、外側円筒部の長さが120[mm]、内側円筒部の外径が8[mm]、長さが100[mm]とした。二重円筒の材質はPET樹脂とし、二重円筒の内側円筒部は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モーターにより回転する。回転数は、1000[rpm]から2000[rpm]の範囲で可変とした。
転写紙にフォーム状定着液を塗布する構成としては、図1を用いて説明した実施形態の定着装置60のように、微小径泡生成部520を用い、フォーム状定着液を作成し、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間にフォーム状定着液を供給する構成である。なお、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップは38[μm]とした。
加圧ローラ62としては、アルミ合金製ローラ(φ10[mm])を芯金とし、外径が50[mm]のポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)を形成した。
塗布ローラ61としては、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30[mm])を用いた。
膜厚規制ブレード63としては、アルミ合金製支持板に厚み1[mm]の並板ガラスを接着して、ガラス面を塗布ローラ61側に向け、10[μm]〜100[μm]の範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
また、紙搬送速度は300[mm/s]となるように塗布ローラ61を回転駆動する。
実験例1では上述した定着装置を有する画像形成装置としては、電子写真方式の公知の複写機(リコー社製 Ipsio Color CX 8800)を用い、この公知の複写機が備える定着装置に代えて上述した定着装置を装着する。そして、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコー社製 コピー用紙タイプ6200)を定着装置に挿入するタイミングで、フォーム状定着液をPPC用紙に塗布できるようにそれぞれの保存容器に対応した液搬送ポンプを駆動する。
このとき、液搬送ポンプの流量を変化させて上述した3通りの組成の定着液となるように調節した。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量を60[wt%]で軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量を20[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が20[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が40[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を55[wt%]で軟化剤を25[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が25[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が35[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
さらに、定着液中のイオン交換水を50[wt%]で軟化剤を30[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が30[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が20[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
このように、上述した3通りの定着液となるように、軟化液をそれぞれ、20[ml/min],25[ml/min],30[ml/min]、起泡液を40[ml/min]、希釈液をそれぞれ、40[ml/min],35[ml/min],30[ml/min]、で流し、上述した3通りの組成の定着液をそれぞれ100[ml/min]の流量で生成する。
このように各液の流量が制御されて生成された定着液を定着液フォーム化装置500に供給し、定着液フォーム化装置500内の気体・液体混合部510と微小径泡生成部520とを通過させることで定着液供給口501からフォーム状定着液が塗布ローラ61に供給される。そして、実験例1で用いる定着装置60では、定着液供給口501からフォーム状定着液が排出された1秒後に、5〜30[μm]の微小な泡を有するフォーム状定着液を塗布ローラ61に供給することが出来た。
また、実験例1の定着装置では、弾性層を有する加圧ローラ62と塗布ローラ61の軸間距離を変えて、ニップ幅を30[mm]となるように調節して、塗布実験を行った。なお、PPC用紙(転写紙P)上のトナー付着量は、320〜540[mg/A4]とした。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量を60[wt%]で軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量を20[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が20[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が40[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を55[wt%]で軟化剤を25[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が25[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が35[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
さらに、定着液中のイオン交換水を50[wt%]で軟化剤を30[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が30[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が20[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
このように、上述した3通りの定着液となるように、軟化液をそれぞれ、20[ml/min],25[ml/min],30[ml/min]、起泡液を40[ml/min]、希釈液をそれぞれ、40[ml/min],35[ml/min],30[ml/min]、で流し、上述した3通りの組成の定着液をそれぞれ100[ml/min]の流量で生成する。
このように各液の流量が制御されて生成された定着液を定着液フォーム化装置500に供給し、定着液フォーム化装置500内の気体・液体混合部510と微小径泡生成部520とを通過させることで定着液供給口501からフォーム状定着液が塗布ローラ61に供給される。そして、実験例1で用いる定着装置60では、定着液供給口501からフォーム状定着液が排出された1秒後に、5〜30[μm]の微小な泡を有するフォーム状定着液を塗布ローラ61に供給することが出来た。
また、実験例1の定着装置では、弾性層を有する加圧ローラ62と塗布ローラ61の軸間距離を変えて、ニップ幅を30[mm]となるように調節して、塗布実験を行った。なお、PPC用紙(転写紙P)上のトナー付着量は、320〜540[mg/A4]とした。
上述した3通りの組成のフォーム状定着液を用いて塗布実験を行い、X−Rite(アムテック製)を用いて画像に対するL*、a*、b*の測定を行った。通常の複写機で行われる熱圧力定着方式で形成した画像をブランクとし、ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2から画像の定着性を評価した。
上述した組成が異なる3通りの定着液と320[mg/A4]及び540[mg/A4]の2通りのトナー付着量との組み合わせについての上記ΔEの値を表1に示す。なお、表1では上述した3通りの組成の定着液を軟化剤(炭酸プロピレン)の濃度[wt%]で示している。
上述した組成が異なる3通りの定着液と320[mg/A4]及び540[mg/A4]の2通りのトナー付着量との組み合わせについての上記ΔEの値を表1に示す。なお、表1では上述した3通りの組成の定着液を軟化剤(炭酸プロピレン)の濃度[wt%]で示している。
色差を示すΔEは、その値が「0」に近いほど所望の色の再現が成されている状態であるため、各トナー付着量に対してΔEの値が0に近いほど画像定着性が良い状態である。
すなわち、表1より、トナー付着量540[mg/A4]の場合、上述した3通りの組成の定着液のうち、定着液中の軟化剤の濃度が30[wt%]のときに画像定着性が最も良くなることがわかる。一方、トナー付着量320[mg/A4]では20[wt%]のときに画像定着性が最も良くなることがわかる。以上のように、転写紙P上のトナー付着量によって定着液中の軟化剤の含有量に最適な値が異なることを確認した。
すなわち、表1より、トナー付着量540[mg/A4]の場合、上述した3通りの組成の定着液のうち、定着液中の軟化剤の濃度が30[wt%]のときに画像定着性が最も良くなることがわかる。一方、トナー付着量320[mg/A4]では20[wt%]のときに画像定着性が最も良くなることがわかる。以上のように、転写紙P上のトナー付着量によって定着液中の軟化剤の含有量に最適な値が異なることを確認した。
〔実験例2〕
実験例2では、定着液中の軟化剤の含有量と定着液中の起泡剤の含有量との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例2の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100.0[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 20.1[wt%]
ミリスチン酸アミン 12.5[wt%]
ステアリン酸アミン 4.0[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 62.5[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 78.5[wt%]
増粘剤:プロピレングリコール 20.7[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.8[wt%]
次に、実験例2の定着液の組成について説明する。
実験例2では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体、軟化剤及び起泡剤の含有量が異なる3通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 53.0[wt%],45.5[wt%],46.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 30.0[wt%],37.5[wt%],37.5[wt%]
増粘剤:プロピレングリコール 12.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%],2.5[wt%],2.3[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%],1.5[wt%],1.3[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%],0.5[wt%],0.4[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例2で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
実験例2では、定着液中の軟化剤の含有量と定着液中の起泡剤の含有量との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例2の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100.0[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 20.1[wt%]
ミリスチン酸アミン 12.5[wt%]
ステアリン酸アミン 4.0[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 62.5[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 78.5[wt%]
増粘剤:プロピレングリコール 20.7[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.8[wt%]
次に、実験例2の定着液の組成について説明する。
実験例2では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体、軟化剤及び起泡剤の含有量が異なる3通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 53.0[wt%],45.5[wt%],46.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 30.0[wt%],37.5[wt%],37.5[wt%]
増粘剤:プロピレングリコール 12.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%],2.5[wt%],2.3[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%],1.5[wt%],1.3[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%],0.5[wt%],0.4[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例2で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
このとき、液搬送ポンプの流量を変化させて上述した3通りの組成の定着液となるように調節した。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量53.0[wt%]、軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量30.0[wt%]、起泡剤の含有量の合計4.5[wt%](パルミチン酸アミン:2.5[wt%],ミリスチン酸アミン:1.5[wt%],ステアリン酸アミン:0.5[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が30[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が12[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が58[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を45.5[wt%]、軟化剤を37.5[wt%]、起泡剤の合計を4.5[wt%](パルミチン酸アミン:2.5[wt%],ミリスチン酸アミン:1.5[wt%],ステアリン酸アミン:0.5[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が12[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が50.5[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
さらに、定着液中のイオン交換水を46.0[wt%]、軟化剤を37.5[wt%]、起泡剤の合計を4.0[wt%](パルミチン酸アミン:2.3[wt%],ミリスチン酸アミン:1.3[wt%],ステアリン酸アミン:0.4[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が10.5[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が52[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量53.0[wt%]、軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量30.0[wt%]、起泡剤の含有量の合計4.5[wt%](パルミチン酸アミン:2.5[wt%],ミリスチン酸アミン:1.5[wt%],ステアリン酸アミン:0.5[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が30[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が12[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が58[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を45.5[wt%]、軟化剤を37.5[wt%]、起泡剤の合計を4.5[wt%](パルミチン酸アミン:2.5[wt%],ミリスチン酸アミン:1.5[wt%],ステアリン酸アミン:0.5[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が12[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が50.5[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
さらに、定着液中のイオン交換水を46.0[wt%]、軟化剤を37.5[wt%]、起泡剤の合計を4.0[wt%](パルミチン酸アミン:2.3[wt%],ミリスチン酸アミン:1.3[wt%],ステアリン酸アミン:0.4[wt%])とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が10.5[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が52[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
このように、上述した3通りの定着液となるように、軟化液をそれぞれ、30[ml/min],37.5[ml/min],37.5[ml/min]、起泡液をそれぞれ、12[ml/min],12[ml/min],10.5[ml/min]、希釈液をそれぞれ、58[ml/min],50.5[ml/min],52[ml/min]、で流し、上述した3通りの組成の定着液をそれぞれ100[ml/min]の流量で生成する。
このように各液の流量が制御されて生成された定着液を定着液フォーム化装置500に供給し、定着液フォーム化装置500内の気体・液体混合部510と微小径泡生成部520とを通過させることで定着液供給口501からフォーム状定着液が塗布ローラ61に供給される。そして、実験例2で用いる定着装置60では、定着液供給口501からフォーム状定着液が排出された1秒後に、5〜30[μm]の微小な泡を有するフォーム状定着液を塗布ローラ61に供給することが出来た。ここで、定着液供給口501から排出されるフォーム状定着液をペット樹脂からなる約10[ml](9.846[ml])のカップに移し取り、重量を測ることでフォーム状定着液の密度を算出した。
実験例2における3通りの定着液についてのフォーム状定着液の密度を表2に示す。
このように各液の流量が制御されて生成された定着液を定着液フォーム化装置500に供給し、定着液フォーム化装置500内の気体・液体混合部510と微小径泡生成部520とを通過させることで定着液供給口501からフォーム状定着液が塗布ローラ61に供給される。そして、実験例2で用いる定着装置60では、定着液供給口501からフォーム状定着液が排出された1秒後に、5〜30[μm]の微小な泡を有するフォーム状定着液を塗布ローラ61に供給することが出来た。ここで、定着液供給口501から排出されるフォーム状定着液をペット樹脂からなる約10[ml](9.846[ml])のカップに移し取り、重量を測ることでフォーム状定着液の密度を算出した。
実験例2における3通りの定着液についてのフォーム状定着液の密度を表2に示す。
表2に示すように、定着液中の軟化剤の濃度が増加するほど、定着液中の起泡剤濃度が減少するほど、フォーム状定着液の密度が増加した。すなわち、軟化剤濃度の増加や起泡剤濃度の減少によって定着液の起泡性が低下することを確認した。
〔実験例3〕
実験例3では、使用環境温度と定着液の起泡性との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例3の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 6.25[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.75[wt%]
ステアリン酸アミン 1.25[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 37.5[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.25[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 50[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
次に、実験例3の定着液の組成について説明する。
実験例3では、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体、軟化剤及び起泡剤が所定の含有量となるように定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 60.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 20.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 15.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例3で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
実験例3では、使用環境温度と定着液の起泡性との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例3の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 6.25[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.75[wt%]
ステアリン酸アミン 1.25[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 37.5[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.25[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 50[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
次に、実験例3の定着液の組成について説明する。
実験例3では、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体、軟化剤及び起泡剤が所定の含有量となるように定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 60.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 20.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 15.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例3で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
実験例3では、上述した組成の定着液となるように、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が20[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が40[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が40[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
このような組成の定着液が定着液フォーム化装置500によってフォーム状定着液となったものを実験例2と同様の手法によってフォーム状定着液の密度を算出した。
但し、定着装置の使用環境が異なる条件(15[℃],22[℃],30[℃]の3通り)でフォーム状定着液の生成を行った。
実験例3における3通りの使用環境についてのフォーム状定着液の密度を表3に示す。
このような組成の定着液が定着液フォーム化装置500によってフォーム状定着液となったものを実験例2と同様の手法によってフォーム状定着液の密度を算出した。
但し、定着装置の使用環境が異なる条件(15[℃],22[℃],30[℃]の3通り)でフォーム状定着液の生成を行った。
実験例3における3通りの使用環境についてのフォーム状定着液の密度を表3に示す。
表3に示すように、使用環境温度の上昇と共に、フォーム状定着液の密度が低下した。すなわち、環境温度の上昇と共に起泡性も上昇することを確認した。
〔実験例4〕
実験例4では、定着液中の軟化剤の含有量と記録媒体の種類との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例4の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 5.0[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.0[wt%]
ステアリン酸アミン 1.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 24.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.0[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 66[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
実験例4では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体及び軟化剤の含有量が異なる2通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 45.5[wt%],63.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 37.5[wt%],20.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 12.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例4で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
実験例4では、定着液中の軟化剤の含有量と記録媒体の種類との関係を確認する実験を行った。
先ず、実験例4の定着装置で用いる定着液の生成に用いる軟化液、起泡液、及び、希釈液のそれぞれの構成について記載する。
・軟化液
軟化剤:炭酸プロピレン 100[wt%]
・起泡液
起泡剤:パルミチン酸アミン 5.0[wt%]
ミリスチン酸アミン 3.0[wt%]
ステアリン酸アミン 1.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 24.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
1.0[wt%]
希釈溶媒:イオン交換水 66[wt%]
・希釈液
希釈溶媒:イオン交換水 100[wt%]
実験例4では定着装置が備える3つの液搬送ポンプの流量を制御して、以下の定着組成で示すように、定着液中の希釈媒体及び軟化剤の含有量が異なる2通りの定着液を実施した。
・定着液組成
希釈溶媒:イオン交換水 45.5[wt%],63.0[wt%]
軟化剤:炭酸プロピレン 37.5[wt%],20.0[wt%]
増粘剤:ジプロピレングリコール 12.0[wt%]
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
実験例4で用いる定着装置としては、図1及び図9で概略を示す装置を用い、各部材の具体的構成としては、実験例1と同じものを用いた。また、画像形成装置である複写機も実験例1と同じものを用いる。
このとき、液搬送ポンプの流量を変化させて上述した2通りの組成の定着液となるように調節した。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量を45.5[wt%]で軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量を37.5[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が50[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が12.5[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を63.0[wt%]で軟化剤を20[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が20[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が50[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が30[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
具体的には、定着液中のイオン交換水の含有量を45.5[wt%]で軟化剤(炭酸プロピレン)の含有量を37.5[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201が軟化液210を搬送する流量が37.5[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301が起泡液310を搬送する流量が50[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401が希釈液410を搬送する流量が12.5[ml/min]となるように制御し、定着液搬送管601内で混合され、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
同様にして、定着液中のイオン交換水を63.0[wt%]で軟化剤を20[wt%]とする場合は、軟化液搬送ポンプ201の流量が20[ml/min]、起泡液搬送ポンプ301の流量が50[ml/min]、希釈液搬送ポンプ401の流量が30[ml/min]となるように制御して、定着液フォーム化装置500に供給される定着液の流量を100[ml/min]とする。
このように、上述した2通りの定着液となるように、軟化液をそれぞれ、37.5[ml/min],20[ml/min]、起泡液を50[ml/min]、希釈液をそれぞれ、12.5[ml/min],30[ml/min]、で流し、上述した2通りの組成の定着液をそれぞれ100[ml/min]の流量で生成する。
そして、実験例1と同様に塗布実験を行い、画像評価を実施した。但し、用いた記録媒体は、PPC用紙(リコー社製 コピー用紙タイプ6200)と、OHPフィルム(リコーエレメックス社製 PPC−DX A4)との二種類で、記録媒体上のトナー量は320[mg/A4]とした。
このときに、同じOHPフィルムのときに軟化剤濃度を変えたときと、同じ軟化剤濃度で記録媒体をOHPから紙にかえたときとのΔEの値を表4に示す。
そして、実験例1と同様に塗布実験を行い、画像評価を実施した。但し、用いた記録媒体は、PPC用紙(リコー社製 コピー用紙タイプ6200)と、OHPフィルム(リコーエレメックス社製 PPC−DX A4)との二種類で、記録媒体上のトナー量は320[mg/A4]とした。
このときに、同じOHPフィルムのときに軟化剤濃度を変えたときと、同じ軟化剤濃度で記録媒体をOHPから紙にかえたときとのΔEの値を表4に示す。
表4に示すように、軟化剤濃度が同じ場合、OHPフィルムよりも紙のほうが定着性が向上した。また、OHPフィルムを用いた場合、軟化剤濃度が37.5[wt%]で画像に多少のタック感が残り、定着液中の軟化剤濃度が低下するにつれて定着性が向上した。これは、過剰な軟化剤量を減少させることで画像のコールドオフセットが軽減され、画像の定着性が向上したと推測される。以上より、媒体の種類によって必要とされる軟化剤量が変化することを確認した。
以上、本実施形態によれば、トナーが含有する樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーが含有する樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段である定着液フォーム化装置500と、表面にトナー層を担持する記録媒体である転写紙Pの表面にフォーム状定着液を付与する定着液付与手段である塗布ローラ61とを有する定着装置60において、軟化剤を含有する軟化液210を収容する軟化液収容手段である軟化液ボトル200と、定着液に含有させることで定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有する起泡液310を軟化液210とは独立して収容する起泡液収容手段である起泡液ボトル300と、定着液中の軟化剤及び起泡剤を希釈する希釈液410を軟化液210及び起泡液310とは独立して収容する希釈液収容手段である希釈液ボトル400と、軟化液210、起泡液310、及び希釈液410を混合して定着液とする定着液混合手段である定着液混合部600とを有する。これにより、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を経時にわたって防止することができ、定着液の定着性能の低下を防止することができる。このような構成により、実施形態の定着装置60では、混合することで加水分解しやすくなる液同士を分離して保存できるため、混合時の液同士の溶解・分散均一性が高まり、定着品質が安定する。
さらに、定着液混合部600で混合する定着液中の軟化液210、起泡液310及び希釈液410の混合量を可変とする定着液混合量可変手段としてCPU700と、CPU700によって流量の制御が可能な3つの液搬送ポンプ(201、301、401)を有する。これにより、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
このような定着装置60であれば、定着液の定着性能の低下を防止することができ、定着条件に応じた定着液を処方することができるため、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる。
さらに、定着液混合部600で混合する定着液中の軟化液210、起泡液310及び希釈液410の混合量を可変とする定着液混合量可変手段としてCPU700と、CPU700によって流量の制御が可能な3つの液搬送ポンプ(201、301、401)を有する。これにより、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
このような定着装置60であれば、定着液の定着性能の低下を防止することができ、定着条件に応じた定着液を処方することができるため、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる。
また、定着装置60において、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、記録媒体である転写紙Pの表面上のトナーの付着量に応じて定着液中の軟化液210の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御する。これにより、定着装置60は転写紙P上の樹脂微粒子であるトナーの付着量に応じた軟化剤量が付与されることとなり、定着品質が安定する。
また、定着装置60において、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、記録媒体の種類に応じて定着液中の軟化液210の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御する。これにより、定着装置60は記録媒体の種類に応じた軟化剤量が付与されることとなり、定着品質が安定する。
また、定着装置60において、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、定着液中の軟化液210の混合量の変化に応じて、定着液中の起泡液310の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御する。これにより、フォーム状定着液中の軟化剤含有量の変化に伴う起泡性の変動を回避することが出来て、定着品質が安定する。
また、定着装置60において、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、定着を行う環境の温度変化に応じて、定着液中の起泡液310の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御する。これにより、環境温度によってフォーム状定着液の起泡性が損なわれることを回避することが出来て、定着品質が安定する。
また、定着装置60で用いる定着液を構成する希釈液410は、少なくとも水を含有する。希釈剤としては水が一般的であるが、水と軟化剤とを混合して定着液とすると軟化剤が加水分解し、定着液の機能が低下するおそれがあるが、本実施形態の定着装置60では、軟化剤と水とが異なる液ボトル内に分離して保存されており、軟化剤が加水分解することを防止できるので、希釈剤として水を用いることができ、他の希釈剤を用いる構成に比べてコストダウンを図ることができる。
また、定着装置60は、定着液付与手段が、定着液混合手段である定着液混合部600によって混合され、定着液フォーム化手段である定着液フォーム化装置500によってフォーム化されたフォーム状定着液を表面に担持して表面が無端移動し、フォーム状定着液を担持した表面が転写紙Pに対して接触または近接する位置でフォーム状定着液を転写紙Pに塗布する定着液塗布部材としての塗布ローラ61である。このような塗布ローラ61を用いることにより、簡易な構成でフォーム状定着液を均一に塗布することができる。
さらに、塗布ローラ61が転写紙Pに対して接触または対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側で塗布ローラ61上のフォーム状定着液の厚みを規制するフォーム状定着液膜厚規制部材である膜厚規制ブレード63とを備えることにより、定着に適した膜厚のフォーム状定着液を塗布ローラ61表面に担持させることができ、良好な定着性を得ることができる。
また、塗布ローラ61は加圧ローラ62と定着ニップを形成した状態で回転駆動することにより、定着ニップに挟まれた転写紙Pに搬送力を付与する記録媒体搬送手段として作用する。
さらに、塗布ローラ61が転写紙Pに対して接触または対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側で塗布ローラ61上のフォーム状定着液の厚みを規制するフォーム状定着液膜厚規制部材である膜厚規制ブレード63とを備えることにより、定着に適した膜厚のフォーム状定着液を塗布ローラ61表面に担持させることができ、良好な定着性を得ることができる。
また、塗布ローラ61は加圧ローラ62と定着ニップを形成した状態で回転駆動することにより、定着ニップに挟まれた転写紙Pに搬送力を付与する記録媒体搬送手段として作用する。
また、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子層を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像ユニット3と、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置としての複写機100であって、定着手段として、本実施形態の定着装置60を用いる。これにより、定着装置60が、フォーム状定着液を用いることで、トナー層への接触付与時の接触付与手段である塗布ローラ61へのトナーのオフセット防止や、微量付与化を安定して実現でき、かつ、非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着を可能とする。また、画像形成時に転写紙P上のトナー量や記録媒体の種類に応じて生じる画像定着不良の発生の抑制を可能とし、なおかつ、従来よりも、定着液の保存信頼性が高く、飛躍的に定着液の保存安定性が向上する。
また、定着装置60としては、変形例1のように、トナーが含有する樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーが含有する樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段である定着液フォーム化装置500と、表面にトナー層を担持する記録媒体である転写紙Pの表面にフォーム状定着液を付与する定着液付与手段である塗布ローラ61とを有する定着装置60において、軟化剤を含有する軟化液210を収容する軟化液収容手段である軟化液ボトル200と、定着液に含有させることで定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有し、定着液中の軟化剤を希釈する希釈液410を軟化液210とは独立して収容する希釈液収容手段である希釈液ボトル400の2つの液ボトルを有し、軟化液210及び希釈液410を混合して定着液とする定着液混合手段である定着液混合部600と、定着液混合部600で混合する定着液中の軟化液210及び希釈液410の混合量を可変とする定着液混合量可変手段としてCPU700と、CPU700によって流量の制御が可能な2つの液搬送ポンプ(201,401)を有する構成であっても良い。
軟化剤と希釈液とを異なる液ボトルに収容して保存しているため、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を経時にわたって防止することができ、定着液の定着性能の低下を防止することができる。このような構成により、変形例1の定着装置60でも、混合することで加水分解しやすくなる液同士を分離して保存できるため、混合時の液同士の溶解・分散均一性が高まり、定着品質が安定する。
さらに、定着液中の軟化液210及び希釈液410の混合量が可変であるので、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
このような定着装置60であれば、定着液の定着性能の低下を防止することができ、定着条件に応じた定着液を処方することができるため、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる。
軟化剤と希釈液とを異なる液ボトルに収容して保存しているため、軟化液中の軟化剤が希釈液と化学反応することに起因する軟化剤の変質や定着液の起泡性の低下を経時にわたって防止することができ、定着液の定着性能の低下を防止することができる。このような構成により、変形例1の定着装置60でも、混合することで加水分解しやすくなる液同士を分離して保存できるため、混合時の液同士の溶解・分散均一性が高まり、定着品質が安定する。
さらに、定着液中の軟化液210及び希釈液410の混合量が可変であるので、定着条件に応じた定着液を処方することができる。
このような定着装置60であれば、定着液の定着性能の低下を防止することができ、定着条件に応じた定着液を処方することができるため、経時に渡ってフォーム状定着液の定着性能を維持することができ、且つ、定着条件が変化しても定着性能を維持することができる。
また、変形例1の定着装置60においても、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、記録媒体である転写紙Pの表面上のトナーの付着量に応じて定着液中の軟化液210の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御してもよい。これにより、変形例1の定着装置60は転写紙P上の樹脂微粒子であるトナーの付着量に応じた軟化剤量が付与されることとなり、定着品質が安定する。
また、変形例1の定着装置60においても、定着液混合量可変手段を構成するCPU700は、記録媒体の種類に応じて定着液中の軟化液210の混合量を変化させるように各液搬送ポンプの流量を制御してもよい。これにより、変形例1の定着装置60は記録媒体の種類に応じた軟化剤量が付与されることとなり、定着品質が安定する。
また、変形例1の定着装置60で用いる定着液を構成する希釈液410は、少なくとも水を含有する。希釈剤としては水が一般的であるが、水と軟化剤とを混合して定着液とすると軟化剤が加水分解し、定着液の機能が低下するおそれがあるが、変形例1の定着装置60では、軟化剤と水とが異なる液ボトル内に分離して保存されており、軟化剤が加水分解することを防止できるので、希釈剤として水を用いることができ、他の希釈剤を用いる構成に比べてコストダウンを図ることができる。
1 プリンタ部
2 光書込装置
3 作像ユニット
4 感光体
5 帯電ローラ
6 現像装置
10 排紙トレイ
12 現像ローラ
15 ドラムクリーニング装置
16 クリーニングブレード
22 除電ランプ
28 紙搬送ユニット
29 紙搬送ベルト
30 駆動ローラ
31 二次転写ローラ
32 ベルトクリーニング装置
33 レジストローラ対
36 スイッチバック装置
37 紙搬送路
40 給紙装置
41 ペーパーバンク
42 給紙カセット
43 送出ローラ
44 給紙路
45 分離ローラ
47 搬送ローラ
50 原稿搬送読取ユニット
51 ADF
60 定着装置
61 塗布ローラ
62 加圧ローラ
63 膜厚規制ブレード
63a ブレード回転軸
64 ワイヤーバー
65 塗布ベルト
66 加圧ベルト
90 転写ユニット
91 中間転写ベルト
92 第一張架ローラ
94 下部張架ローラ
95 一次転写ローラ
100 複写機
150 スキャナ部
151 固定読取部
152 移動読取部
153 画像読取センサ
200 軟化液ボトル
201 軟化液搬送ポンプ
202 軟化液搬送管
210 軟化液
300 起泡液ボトル
301 起泡液搬送ポンプ
302 起泡液搬送管
310 起泡液
400 希釈液ボトル
401 希釈液搬送ポンプ
402 希釈液搬送管
410 希釈液
500 定着液フォーム化装置
501 定着液供給口
510 気体・液体混合部
511 微小孔シート
512 空気口
515 フォーム化装置内搬送管
520 微小径泡生成部
521 外側円筒部
522 内側円筒部
600 定着液混合部
601 定着液搬送管
700 CPU
701 画像情報出力機器
702 コントローラ
703 環境温度検出機器
Fb フォーム状定着液
Fc フォーム状定着液膜
L レーザー光
MS 原稿
P 転写紙
T トナー層
T1 トナー像
T2 オフセットしたトナー粒子
2 光書込装置
3 作像ユニット
4 感光体
5 帯電ローラ
6 現像装置
10 排紙トレイ
12 現像ローラ
15 ドラムクリーニング装置
16 クリーニングブレード
22 除電ランプ
28 紙搬送ユニット
29 紙搬送ベルト
30 駆動ローラ
31 二次転写ローラ
32 ベルトクリーニング装置
33 レジストローラ対
36 スイッチバック装置
37 紙搬送路
40 給紙装置
41 ペーパーバンク
42 給紙カセット
43 送出ローラ
44 給紙路
45 分離ローラ
47 搬送ローラ
50 原稿搬送読取ユニット
51 ADF
60 定着装置
61 塗布ローラ
62 加圧ローラ
63 膜厚規制ブレード
63a ブレード回転軸
64 ワイヤーバー
65 塗布ベルト
66 加圧ベルト
90 転写ユニット
91 中間転写ベルト
92 第一張架ローラ
94 下部張架ローラ
95 一次転写ローラ
100 複写機
150 スキャナ部
151 固定読取部
152 移動読取部
153 画像読取センサ
200 軟化液ボトル
201 軟化液搬送ポンプ
202 軟化液搬送管
210 軟化液
300 起泡液ボトル
301 起泡液搬送ポンプ
302 起泡液搬送管
310 起泡液
400 希釈液ボトル
401 希釈液搬送ポンプ
402 希釈液搬送管
410 希釈液
500 定着液フォーム化装置
501 定着液供給口
510 気体・液体混合部
511 微小孔シート
512 空気口
515 フォーム化装置内搬送管
520 微小径泡生成部
521 外側円筒部
522 内側円筒部
600 定着液混合部
601 定着液搬送管
700 CPU
701 画像情報出力機器
702 コントローラ
703 環境温度検出機器
Fb フォーム状定着液
Fc フォーム状定着液膜
L レーザー光
MS 原稿
P 転写紙
T トナー層
T1 トナー像
T2 オフセットしたトナー粒子
Claims (12)
- 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段と、
表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に該フォーム状定着液を付与する定着液付与手段とを有する定着装置において、
上記軟化剤を含有する軟化液を収容する軟化液収容手段と、
上記定着液に含有させることで該定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有する起泡液を該軟化液とは独立して収容する起泡液収容手段と、
該定着液中の該軟化剤及び該起泡剤を希釈する希釈液を該軟化液及び該起泡液とは独立して収容する希釈液収容手段と、
該軟化液、該起泡液、及び該希釈液を混合して該定着液とする定着液混合手段と、
該定着液混合手段で混合する該定着液中の該軟化液、該起泡液及び該希釈液の混合量を可変とする定着液混合量可変手段とを有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項1または2の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項1、2または3の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、上記軟化液の混合量の変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項1、2、3または4の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、定着を行う環境の温度変化に応じて、上記定着液中の上記起泡液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
上記希釈液は、少なくとも水を含有することを特徴とする定着装置。 - 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散したフォーム状定着液とする定着液フォーム化手段と、
表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体の表面に該フォーム状定着液を付与する定着液付与手段とを有する定着装置において、
上記軟化剤を含有する軟化液を収容する軟化液収容手段と、
上記定着液に含有させることで該定着液がフォーム状となることを促す起泡剤を含有し、該定着液中の該軟化剤を希釈する希釈液を該軟化液とは独立して収容する希釈液収容手段と、
該軟化液及び該希釈液を混合して該定着液とする定着液混合手段と
該定着液混合手段で混合する該定着液中の該軟化液及び該希釈液の混合量を可変とする定着液混合量可変手段とを有することを特徴とする定着装置。 - 請求項7の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の表面上の上記樹脂微粒子の量に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項7または8の定着装置において、
上記定着液混合量可変手段は、上記記録媒体の種類に応じて上記定着液中の上記軟化液の混合量を変化させることを特徴とする定着装置。 - 請求項7、8または9の定着装置において、
上記希釈液は少なくとも水を含有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置において、
上記定着液付与手段が、上記定着液混合手段によって混合され、上記定着液フォーム化手段によってフォーム化されたフォーム状定着液を表面に担持して表面が無端移動し、該フォーム状定着液を担持した表面が上記記録媒体に対して接触または近接する位置で該フォーム状定着液を該記録媒体に塗布する定着液塗布部材と、
該記録媒体に対して接触または対向する位置よりも該定着液塗布部材の表面移動方向上流側で該定着液塗布部材上の該フォーム状定着液の厚みを規制するフォーム状定着液膜厚規制部材とを備え、
該記録媒体に搬送力を付与する記録媒体搬送手段とを有することを特徴とする定着装置。 - 樹脂と色剤を含有する上記樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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