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JP5185007B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある)の製造方法および有機EL素子に関する。
有機EL素子は、一対の電極(陽極および陰極)と、該電極間に配置された発光層とを含んで構成され、通常、基板上に所定の層を順次積層することにより形成される。有機EL素子は、電圧を印加すると陽極および陰極からそれぞれ正孔および電子が注入され、両電極から注入された正孔および電子が発光層で再結合することによって発光する。このような有機EL素子は、照明装置や画像表示装置に用いることができる。
例えば表示装置では、通常、格子状の隔壁(バンクとも呼ばれる)が基板に設けられ、該隔壁で囲まれた各画素領域に各有機EL素子がそれぞれ形成されている。例えば発光層は、発光層材料を含むインキを各画素領域にそれぞれ供給し、さらに乾燥させることによって形成される。
電極が撥液性を示す場合、電極に塗布された塗布液が凝集し易いので、電極上において塗布液を均一に塗布することが困難な場合がある。また隔壁が親液性を示す場合、塗布液が隔壁内に収まらずに隔壁外にまではみ出した状態で乾燥することがあり、隔壁内において膜厚が均一な層を形成することが出来ない場合がある。そこで従来では親液性を示す電極と撥液性を示す隔壁とが設けられた基板を用いて、膜厚が均一な有機EL素子を形成している。電極を親液化し、隔壁を撥液化する方法の1つとして、例えばCF4プラズマ処理が用いられている。無機材料と有機材料との両方にCF4プラズマ処理を行うと、無機材料に比べて有機材料の方が容易にフッ素化するので、有機材料が選択的に撥液化される。この性質を利用することによって、親液性を示す電極と撥液性を示す隔壁とが設けられた基板を実現している。具体的には、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)などの無機材料で構成される電極と、有機樹脂で構成される隔壁とが形成された基板にCF4プラズマ処理を行うことにより、電極を親液化し、隔壁を撥液化した基板を用意している(例えば特許文献1および2)。
他方、隔壁を撥液化した場合、隔壁の前記画素領域に臨む表面(以下、隔壁の側面という場合がある)でインク液滴がはじかれることに起因して、基板上に形成される下部電極と発光層との境界部において発光層の厚さが薄くなる場合がある。このような発光層上に上部電極を形成すると、前記境界部において上部電極と下部電極との間の電気抵抗が低くなり、リーク電流が生じやすくなる。この問題を回避するために、例えば特許文献3には、下部電極と隔壁との間に、下部電極の周縁部を覆う酸化シリコン等の無機絶縁膜を設けた素子構成が開示されている。発光層の厚さが薄くなる部分に無機絶縁膜を設けることによって、隔壁と下部電極との境界部における絶縁耐圧を向上させることができ、電気的リークを抑制している。
特開2002−222695号公報 特開2000−323276号公報 特開2005−203215号公報
上記のような状況の下、本発明は、信頼性の高い有機EL素子を製造するために、従来の技術とは異なる簡便な方法で層形成する方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明では、下記の構成を採用した。
〔1〕基板に設けられる隔壁により囲まれた画素領域に、第1電極と、第2電極と、前記第1および第2電極の間に配置される1または複数の有機層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
前記第1電極が形成された基板を用意する工程と、
前記第1電極の表面を露出させる開口が、前記画素領域に相当する領域に穿設されて成る隔壁を、前記第1電極が形成された基板上に配置する隔壁配置工程と、
前記第1電極および前記隔壁の表面を親液化処理する第1の親液化工程と、
前記第1電極および前記隔壁の表面上に撥液層を形成する撥液層形成工程と、
前記撥液層のうちの、前記第1電極の表面上に形成された部位を親液化処理する第2の親液化工程と、
前記隔壁に囲まれた画素領域に前記有機層を形成する有機層形成工程と、
前記隔壁と前記有機層との境界領域に、前記第1および第2電極の間に設けられる全有機層の電気抵抗以上の電気抵抗を有するリーク電流ブロック層を設ける工程と、
前記第2電極を設ける第2電極形成工程とを含み、
前記第1電極と前記隔壁とを互いに異なる材料により形成し、
前記撥液層を、前記隔壁の表面上に形成された部位よりも、前記第1電極の表面上に形成された部位のほうが、前記第2の親液化工程によって、より親液化される材料により形成する、
有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔2〕前記第1電極の少なくとも表面部を無機材料により形成し、前記隔壁の少なくとも表面部を有機材料により形成する、上記〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔3〕撥液層形成工程において形成される撥液層を、フルオロアルキル基を有するシランカップリング材料を含む材料により形成する、上記〔1〕または〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔4〕前記撥液層形成工程では、撥液層を形成する材料を含む塗布液を用いる塗布法により撥液層を形成する、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔5〕前記第1および第2の親液化工程では、紫外線オゾン処理によって親液化する、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔6〕前記第2の親液化工程の後に、プラズマ処理を施す、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔7〕前記第1および第2の親液化工程のうちの少なくとも一方の工程では、酸素プラズマ処理によって親液化し、
前記第2の親液化工程の後にプラズマ処理を施す、
上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔8〕前記プラズマ処理を、フッ素含有ガスを含む雰囲気で行う、上記〔6〕または〔7〕記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔9〕前記有機層形成工程において、前記有機層を形成する材料を含むインクをインクジェット法で前記隔壁に囲まれた画素領域に吐出し、着弾したインクを固化させて前記有機層を形成する、上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔10〕前記リーク電流ブロック層を設ける工程において、前記リーク電流ブロック層を形成する材料を含むインクをインクジェット法で前記隔壁に囲まれた画素領域に吐出し、着弾したインクを固化させて前記リーク電流ブロック層を形成する、上記〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔11〕前記リーク電流ブロック層を設ける工程において、前記着弾したインクを、熱または光により架橋して硬化する、上記〔10〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔12〕上記〔1〕から〔11〕のいずれか一項に記載の製造方法で作製された有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔13〕前記画素領域の平面形状が、概略長円形状をなし、前記リーク電流ブロック層が、平面視で前記画素領域の湾曲部に設けられている、上記〔12〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔14〕前記リーク電流ブロック層の電気抵抗率が、106Ωcm以上である、上記〔12〕または〔13〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔15〕前記撥液層のうちの第1電極上に形成された部位が正孔注入層として機能する、上記〔12〕から〔14〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明によれば、第1電極の表面については親液性を示し、隔壁の表面については撥液性を示すように、親液性を示す領域と撥液性を示す領域とを選択的かつ簡便に形成することができる。また、本発明によれば、リーク電流が生じにくい有機EL素子を簡便に作製することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつさらに詳説する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。有機EL装置においては電極のリード線等の部材も存在するが、本発明の説明にあっては直接的に要しないため記載を省略している。層構造等の説明の便宜上、下記に示す例においては基板を下に配置した図と共に説明がなされるが、本発明の有機EL素子およびこれを搭載した有機EL装置は、必ずしもこの上下左右の向きに配置されて、製造または使用等がなされるわけではない。
1.本発明の有機EL素子の製造方法
本発明の製造方法は、隔壁で囲まれた画素領域に、少なくとも第1電極と、第2電極と、前記第1および第2電極の間に位置し1または複数の有機層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法である。本発明の有機EL素子の製造方法では、少なくとも次の工程を含む。
(1)第1電極が形成された基板を用意する工程
(2)前記第1電極の表面を露出させる開口が、前記画素領域に相当する領域に穿設されて成る隔壁を、前記第1電極が形成された基板上に配置する隔壁配置工程と、
(3)前記第1電極および前記隔壁の表面を親液化処理する第1の親液化工程
(4)第1電極および隔壁の表面上に撥液層を形成する撥液層形成工程
(5)前記撥液層のうちの、前記隔壁に囲まれた画素領域の第1電極の表面上に形成されたを覆う撥液層部位を親液化処理する第2の親液化工程
(6)前記隔壁に囲まれた画素領域に前記有機層を形成する有機層形成工程
(7)前記隔壁の側壁部と前記発光層有機層とのが隣り合う境界領域に、少なくとも前記第1および第2電極の間に設けられる全発光層有機層の電気抵抗以上の電気抵抗を有するリーク電流ブロック層を設ける工程
(8)第2電極を設ける第2電極形成工程
下記に詳述されるように、有機EL素子は、様々な層構成、付属部材を設け得る。本発明の製造方法は、少なくとも上記(1)〜(8)の工程を含むが、さらに他の工程を付加してもよい。他の工程は、上記(1)〜(8)の工程の前後に設けてもよいし、また上記(1)〜(8)の各工程の間に介在してもよい。
本発明の製造方法では、第1電極と隔壁とを互いに異なる材料で形成し、上記(4)で設ける撥液層を、隔壁の表面上に形成された部位よりも、第1電極上に形成された部位のほうが、第2の親液化工程によって、より親液化される材料で形成する。そして、上記(5)の第2の親液化工程において、第1電極と前記隔壁の材料の相違により撥液層表面の親液化の程度に差異を生じさせる親液化処理を施す。このように、第1電極と隔壁の双方に同材料で撥液層を設けながらも、接触している層の材料の相違により、撥液性を変化させる。このようにして、撥液性の異なる複数の材料を別々に塗り分けることなく、所望の領域ごとに親液性又は撥液性を調整し得る。
隔壁と発光層との境界領域の薄膜成形を設計通りに歩留まり良く工業生産することは必ずしも容易ではないが、さらに本発明の製法によれば、所定の位置にリーク電流ブロック層を設けるという簡便な手段により、歩留まり良く信頼性の高い有機EL素子を製造し得る。
1.1.製造方法の第1の実施形態
図1−1から図1−4は、本発明の実施の一形態の有機EL素子製造方法の各工程ステップS(a)からステップS(l)について模式的に示す図である。
まず図1−1のステップS(a)に示すように、基板10の上に第1電極20が設けられる。第1電極20は陽極であっても陰極であってもよく、これに対して対を成すように第2電極が後に設けられる。基板10としては、後述する有機EL素子を製造する各工程において変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどを用い得る。
第1電極20は、後の工程で形成される隔壁とは異なる材料で形成され、本実施の形態では少なくとも表面部が無機材料から成る。第1電極20は、例えば後述する陽極または陰極を構成する材料によって構成され、具体的にはインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)などの透明導電性材料、金属材料、金属酸化物材料などから成る。第1電極20は、例えばスパッタリング法、蒸着法などによって基板の表面上において所定の形状に形成される。
次に、図1−1のステップS(b)〜S(d)に示すようにして隔壁31を形成する。本実施形態では、第1電極20が無機材料で形成されており、隔壁31が(第1の)有機材料で形成される。まず、ステップS(b)に示すように、感光性樹脂を含む塗布液を基板10上に塗布し、感光性樹脂層30を基板10全面に設ける。なお本実施の形態ではポジ型の感光性樹脂を用いた場合について説明する。次に、ステップS(c)に示すようにフォトマスク90を介して所定の領域に光Ir1を照射する。具体的には前述した開口の形成される領域に光を照射する。次に、ステップS(d)に示すように現像処理を行うことで光を照射した領域に、第1電極20まで貫通し、第1電極20の表面が露出するように開口を穿設し、光Ir1が照射されず残存した部分が隔壁31として形成される。
画素領域に相当する領域を囲むように隔壁31付設される。隔壁31を設けることにより、前記第1電極の表面にまで達する開口が形成され、隔壁31で囲まれた画素領域が規定される。なお隔壁の全てが第1電極の表面上に設けられていなくともよく、基板の厚み方向の一方から見て、少なくとも第1電極の周縁部が隔壁31で覆われていればよい。本実施の形態では、隔壁31は、少なくとも表面部が有機材料から成る。隔壁31は、有機材料から構成されていれば特に限定するものではないが、フォトレジストなどの感光性材料を用いて形成するのが製造上簡単で好ましい。該材料としては例えばノボラック系のポジ型レジスト、アクリル系のネガ型レジストおよび感光性ポリイミドなどが挙げられる。
次に図1−2に示すように、ステップS(e)に示すように、第1電極10と、隔壁31との表面を親液化する第1の親液化工程を行う。第1の親液化工程としては、紫外線オゾン処理、および酸素プラズマ処理などを挙げることができ、本実施の形態では紫外線オゾン処理を施す例を示し、基板10全面を紫外線オゾンIr2に曝露する。この第1の親液化工程を施すことによって、第1電極20および隔壁31の表面に親液化処理が施される。
次にステップS(f)に示すように、第1電極20および隔壁31の表面上に撥液層40を形成する撥液層形成工程を行う。本工程で成膜される撥液層40は、隔壁31の表面上に形成された部位よりも、第1電極20に形成された部位の方が、後述の第2の親液化工程によって、より親液化される材料を含んで構成される。撥液層40は、有機材料で形成され、好ましくは、フルオロアルキル基を有するシランカップリング材料を含むことが好ましい。シランカップリング材としては、例えば、ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、ノナフルオロヘキシルジメチルクロロシラン、ノナフルオロヘキシトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロキシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルメチルジクロロシランおよびヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルジメチルクロロシランなどを挙げることができる。
撥液層40を形成する方法としては、撥液層40となる材料を含む溶液を塗布液として用いるスピンコート法、印刷法、スリットコート法、バーコート法などを挙げることができる。これらの中でも成膜の容易さから、スピンコート法を用いることが好ましい。
撥液層40を形成するための塗布液の溶媒としては、例えば水、メタノール、またはこれらの混合液を挙げることができる。撥液層の膜厚は、例えば0.1nm〜100nmであり、好ましくは0.1nm〜20nmである。
次に、ステップS(g)に示すように、撥液層40を選択的に親液化する第2の親液化工程を行う。第2の親液化工程としては、紫外線オゾン処理、および酸素プラズマ処理などを挙げることができる。また、プラズマ処理は真空下でのプラズマ処理および大気圧下でのプラズマ処理などが挙げられる。本実施の形態では第1の親液化工程と同様に、基板10およびこれの上に形成された積層物全面を、紫外線オゾンIr3に曝露する。
以上、図1−2に示すステップS(e)からステップS(g)に示すような親液撥液パターンの形成方法によれば、第1および第2の親液化工程を、紫外線オゾン処理で行うので、プラズマ処理を用いて親液撥液パターンを形成する場合に比べて簡易に親液撥液パターンを形成することができる。さらに後述するように、第1電極20上に形成される親液部41が有機EL素子の電荷注入層または電荷輸送層などとして機能し得る。このように親液撥液パターンの形成方法を行うことで、有機EL素子の電荷注入層または電荷輸送層などが副次的に形成されるので、本親液撥液パターンの形成方法は、有機EL素子用の基板を作製する方法として好適に用いることができる。
前述したように、撥液層40は、隔壁31の表面上に形成された部位よりも、第1電極20に形成された部位の方が、第2の親液化工程においてより親液化される材料を含んで構成されている。第2の親液化工程を行うことで、図1−2ステップS(h)として示すように、第1電極20に接して位置する部位に元々撥液層40として設けられた一部の表面を親液化させ、その表面の領域R1が親液性を有する部位41(親液部41という場合がある)が形成される。他方、隔壁31に接する位置に設けられた撥液層40は、その表面の領域R2が略そのまま撥液性を維持する部位42(撥液部42という場合がある)を形成する。このように下地の材料の相違によって、元々撥液性を有していた領域の一部が選択的に親液化される。なお、図1−2などにおいて、第2の親液化工程後の領域41と領域42の領域との境界43は便宜上線引きにより区分しているが、実際には両者の領域は渾然一体とした状態となり、必ずしも境界43は明瞭ではないものと推測される。
次に、有機材料で形成される発光層51を形成する。なお前述したように、第1電極と第2電極との間には、1または複数の有機層が設けられるが、本実施の形態では該有機層として1層の発光層51を備える有機EL素子について説明する。図1−3のステップS(i)に、上記のようにして選択的に親液化された画素領域R1上に、隔壁31で囲われる領域の容量よりも多い量の有機発光材料を含む塗布液50を、隔壁31で囲まれた開口部に塗布した状態を示す。凹部の底面が親液性を示すので、塗布液が凹部の底面において広がるとともに、隔壁31に形成された撥液部42が撥液性を示すので、塗布液が隔壁31上には広がらずに凹部を中心にして膨らむ。この状態で塗布液を乾燥させると、乾燥過程において、隔壁31に形成された撥液部42にはじかれながら塗布液が順次収縮していくので、全ての塗布液が穴に収まり、結果として均一な膜厚の発光層51を形成することができる(図1−3(ステップS(j))。
次に、図1−3、ステップS(k)に示すように、リーク電流ブロック層60を設ける。リーク電流ブロック層60は、隔壁31の側面と発光層51との境界領域に設けられる。図2に境界領域R3およびその周辺を拡大表示した図を示す。また、図2は、図3おけるA−A線に沿う矢視断面図に該当する。
図2中、画素領域R1に、基板10、第1電極20、親液部41、発光層51、および第2電極70が、重ねられて構成される積層体が形成されている。リーク電流ブロック層60は、隔壁31が形成されている隔壁領域R2と画素領域R1の境界領域R3に設けられている。リーク電流ブロック層60の一方の端部60aは、撥液部42の隔壁31上面上近くまで覆っている。他方、リーク電流ブロック層60の発光層51よりの端部60bは、発光層の端部を一部覆っている。図2の例に示すように、発光層51の側端部は、インクジェット法などによって形成される場合、画素領域の中央方向に凝集しやすい場合があり、そうすると発光層51と隔壁31との境界領域において、本来の設計の厚みよりもやや薄くなって形成されてしまう場合がある。このように境界領域R3では、層の厚みを完全に均一化することが困難な場合があり、この領域においてリーク電流が生じやすくなってしまう場合がある。リーク電流ブロック層60をこの境界領域R3に設けることにより、層形成における平坦化の困難性にともなって生じる問題点を補償し、簡便にリーク電流等を抑制し得る有機EL素子を作製し得る。
リーク電流ブロック層60をインクジェット法で形成する前に、隔壁31の表面、発光層51の表面またはこれらの双方を親液化処理してもよい。隔壁31上の撥液部42および発光層51上の親液部41の表面と、リーク電流ブロック層60を形成するインクとの親液性を調整することにより、インクジェット法でリーク電流ブロック層60を形成するインクを画素領域R1に吐出し、表面張力や、インクとインクが接触する部材との親液性または撥液性などの作用を利用して、インクを乾燥させながら、発光層51の周縁部(図2では発光層51の側端部)へと集合させ易くし、リーク電流ブロック層を所定の位置に簡便に形成することができる。本実施形態では、隔壁31上に形成された撥液部42は発光層51形成後の段階においても強い撥液性を維持しているため、隔壁42上に設けられた撥液部42の、少なくとも画素領域を臨む表面を親液化処理することが好ましい。親液化処理としては、例えば、UVオゾン処理、酸素プラズマ処理などが挙げられる。発光層51のUVに対する耐性が低い場合には、発光層の表面をフォトマスクで覆い、隔壁31の表面のみUV処理を施してもよい。
リーク電流ブロック層60は、有機材料を含むインクを所定の位置に設け、これを固化させて形成することができる。例えば、リーク電流ブロック層60を設ける工程においては、有機溶剤および高抵抗有機材料である高分子樹脂を主成分とするインクを、インクジェット法にて前記隔壁に囲まれた画素領域に吐出した後、インクの表面張力等を利用して、隔壁31の内周面にインクを這い上がらせ、これを熱及び/または光などにより架橋して形成し得る。このとき、所定の設定位置にインクを流し込むには、例えば、高抵抗有機材料の粘度を適宜調整するなどして行うことができる。
次に、図1−4のS(l)に示すように、発光層51の上に第2電極70を設ける。この後さらに、第1および第2電極とその間に挟持された各層からなる積層体を、外気から遮断すると共に、積層体を物理的な衝撃等から保護するために、封止部材(不図示)を第2電極側に設けてもよい。封止部材は、例えば、積層体が設けられた基板10の外周縁部と封止部材を貼り合わせて設け得る。
このようにして形成された有機EL素子の親液部41は、前述したように正孔注入層として機能する。塗布法で正孔注入層を形成する場合、従来の技術では隔壁で囲まれた画素領域内に正孔注入層となる材料を含む塗布液を滴下することで正孔注入層を形成している。これに対し、本実施形態では、スピンコート法という簡易な方法で正孔注入層を形成する。例えば、複数の画素を形成する場合には、インクジェット装置を用いて正孔注入層となる材料を含む塗布液を各画素毎に滴下する必要があったが、スピンコート法を用いることで、一度に全ての画素に正孔注入層を形成することができ、簡易に正孔注入層を形成することができる。さらに、複数の画素からなる表示パネルでは、親液撥液パターンを形成する工程を設ける必要があるが、本発明ではこの親液撥液パターンを形成する工程を経ることで必然的に正孔注入層が形成されるので、親液撥液パターンを形成する工程とは別に正孔注入層を形成する工程を設ける必要がなくなり、製造工程を簡略化することができる。
1.2.製造方法の第2の実施形態
製造方法の第2の実施形態は、上記第1の実施形態における親液撥液パターンの形成方法に、さらにプラズマ処理を施す処理を加えたものである。すなわち、第2の実施形態では、第2の親液化工程の後に、プラズマ処理を施す処理工程が含まれる。
第2の親液化工程の後、撥液層にプラズマ処理を施す。プラズマ処理は、フッ素含有ガスを含む雰囲気で行うことが好ましい。フッ素含有ガスとしては、SF6およびCF4などが挙げられる。これらのなかでもプラズマ処理としては反応性ガスにCF4を用いるCF4プラズマ処理であることが好ましい。
このように第2の親液化工程の後に、撥液層にプラズマ処理を施すことによって、撥液層はより撥液性が強まる。本実施の形態においては、撥液層は、第1電極の表面上に形成された部位と、隔壁に形成された部位とで撥液化される度合いが異なり、隔壁に形成された部位がプラズマ処理によって、より撥液化される材料によって構成される。このようなプラズマ処理を加えることで、撥液層のうちで第1電極の表面上に形成された部位の接触角と、撥液層のうちで隔壁上に形成された部位の接触角との差が大きくなる。プラズマ処理を加えた基板を用いて開口部に塗布液を塗布すると、より均一な膜厚の膜を形成し得る。
なお前記第1および第2の親液化工程のうちの少なくとも一方の工程で、酸素プラズマ処理によって親液化する場合には、本実施形態のように、第2の親液化工程の後に、撥液層にプラズマ処理を施すことが好ましい。
2.本発明の有機EL素子
本発明の有機EL素子は、隔壁で囲まれた画素領域内に、第1電極と、第2電極と、第1電極および第2電極の間に位置する発光層と、隔壁と第2電極との間に位置する撥液層と、第1電極と前記発光層との間に位置する親液層と、第1電極と前記第2電極の間であり、かつ、前記発光層と前記隔壁の画素領域を臨む面(側面という場合がある)との境界線領域の全部または一部に、リーク電流ブロック層を有する。本発明の有機EL素子に設けられるリーク電流ブロック層の基板厚み方向における電気抵抗は、有機層の基板厚み方向における電気抵抗よりも高い。なお、本明細書において、特段ことわらない場合は、電気抵抗は基板の厚み方向における電気抵抗を意味する。
本発明の有機EL素子は、既に説明した本発明の有機EL素子の製造方法にて製造し得る。製造方法の一実施形態は上記の通りである。有機EL素子の一実施形態としては、図1−4に示す素子が挙げられる。以下、本発明の有機EL素子の層構造に係る実施形態についてさらに詳述し、後に各層の材料および各層の形成方法の実施形態について説明する。
上記製造方法の実施形態では、有機層として1層の発光層を備える有機EL素子について例示したが、有機EL素子は、複数の有機層を有していてもよく、さらに無機層を備えていてもよい。
第1および第2電極は、それぞれ一方が陰極であり他方が陽極となる。第1電極を陰極としてもよいし、陽極としてもよい。
陰極と有機発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と有機発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と有機発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。なお前述したように第1電極に接して設けられる親液層は、例えば正孔注入層または正孔輸送層として機能する。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
本発明の有機EL素子の実施形態として、採用し得る層構成の例を以下に示す。
a)陽極/正孔輸送層/有機発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極
c)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
d)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/有機発光層/電荷輸送層/陰極
i)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
k)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下、層構造の説明において同じ。)
また、本発明の有機EL素子の他の実施形態としては、発光層が2層以上の有機発光層を有していてもよく、2層の有機発光層を有する有機EL素子としては、以下のm)に示す層構成を挙げることができる。
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/電荷発生層/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また、3層以上の有機発光層を有する有機EL素子としては、具体的には、(電荷発生層/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層)を一つの繰り返し単位として、以下のn)に示す前記繰り返し単位を2つ以上含む層構成を挙げることができる。
n)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/(該繰り返し単位)/(該繰り返し単位)/・・・/陰極
上記層構成p)およびq)において、陽極、陰極、有機発光層以外の各層は必要に応じて削除することができる。
本発明の有機EL素子の一実施形態としては、発光層からの光を有機EL素子から外に放出するために、通常、発光層を基準にして光が取出される側に配置される全ての層を透明なものとする。一例として基板/陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極/封止部材という層構成を有する有機EL素子について説明すると、発光層からの光を基板側から取出す所謂ボトムエミッション型の有機EL素子の場合には、基板、陽極、電荷注入層及び正孔輸送層の全てを透明なものとし、発光層からの光を封止部材側から取出す所謂トップエミッション型の有機EL素子の場合には、電子輸送層、電荷注入層、陰極及び封止部材の全てを透明なものとする。また一例として基板/陰極/電荷注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/電荷注入層/陽極/封止部材という層構成を有する有機EL素子について説明すると、ボトムエミッション型の素子の場合には、基板、陰極、電荷注入層および電子輸送層の全てを透明なものとし、トップエミッション型の有機EL素子の場合には、正孔輸送層、正孔注入層、陽極および封止部材の全てを透明なものとする。ここで透明の程度としては、光が有機EL素子の外に放出される再表面と、発光層までの可視光透過率が40%以上のものが好ましい。紫外領域または赤外領域の発光が求められる有機EL素子の場合には、当該領域において40%以上の光透過率を有するものが好ましい。
本発明の有機EL素子の一実施形態では、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層の少なくともいずれか1つの界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および各層の形成方法について、より具体的に説明する。
<撥液層および親液層>
撥液層は、隔壁と第2電極との間に設けられる。また、親液層は、第1電極と発光層との間に設けられる。撥液層および親液層は、上記本発明の製造方法において説明したとおり、隔壁および第1電極の双方上に一連の層として設けられる。そして、第2の親液化工程によって、隔壁および第1電極のそれぞれの材質の相違に依拠して、隔壁上の撥液層はそのまま撥液性を維持し、他方、第1電極上の撥液層は、親液層に変性されて設けられる。この観点から、この一連の層を、撥液親液層という場合がある。
撥液親液層は、製造方法の実施形態において既に説明した通り、例えば、図1−2のステップS(f)からステップS(g)に示すようにして形成される。その結果として、ステップS(h)に示すような撥液親液層(41、42)が形成される。撥液層は、好ましくは、フルオロアルキル基を有するシランカップリング材料などによって形成し得る。フルオロアルキル基を有するシランカップリング材料で形成された撥液層は、フルオロアルキル基を有するシランカップリング材がカップリング反応して硬化した層として形成される。シランカップリング材としては、例えば、ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、ノナフルオロヘキシルジメチルクロロシラン、ノナフルオロヘキシトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロキシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルメチルジクロロシランおよびヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルジメチルクロロシランなどを挙げることができる。
撥液親液層は、当初、撥液層として設けられるが、第1電極上の部位は、第2の親液化工程により、少なくともその表面が親液化され、親液化層が形成される。親液化層はシランカップリング材料を硬化し、さらに親液化処理が施されたものである。
<リーク電流ブロック層>
リーク電流ブロック層は、第1電極と第2電極の間であり、かつ、隔壁の側面と、発光層との境界線領域の全部または一部に設けられる。リーク電流ブロック層は、第1電極と第2電極の間で電流のリークが生じないように、各層および電極の不適切な近接又は直接的な接触を遮断するように設けられる
リーク電流ブロック層は、所定の電気抵抗を有する有機材料を含むインクを所定の位置に設け、これを固化させて形成することができる。例えば、ブロック層を形成する工程においては、有機溶剤および高抵抗有機材料の高分子樹脂を含むインクを用いて、インクジェット法にて吐出した後、熱及び/または光により架橋してリーク電流ブロック層を形成し得る。このとき、高抵抗有機材料の粘度を適宜調整して、インク吐出後の乾燥工程に至るまで上記所定の位置に留まるようにする。
ここで、リーク電流ブロック層を形成する有機材料としては、架橋基を有する高分子化合物に加熱または光照射等の処理を行って架橋させた高分子化合物、高分子化合物と架橋材料を混合した後に加熱または光照射等の処理を行って架橋させた高分子化合物等があげられる。
リーク電流ブロック層は、不適切な電流の流れを遮断するものであり、所定の電気抵抗を有する。リーク電流ブロック層は、少なくとも発光層の電気抵抗より高く設定される。好ましい電気抵抗を数値として示すと、好ましくは106Ωcm以上である。このような電気抵抗を有するリーク電流ブロック層を設けることにより、隔壁と積層体との境界領域において不適切な電流の流れを防止し得る。また、リーク電流ブロック層は、隔壁の側面周辺に、インクジェット法などの簡単なプロセス工程にて形成し得るので、低コストにて大幅に画質の改善をすることができる。
通常予定される画素領域の大きさからすると、リーク電流ブロック層の幅は、隔壁から画素領域中央部方向への画素領域の平面方向の長さとして、好ましくは1μm以上、10μm以下とすることが好ましい。
リーク電流ブロック層について、図2から図4を参照しつつ、その具体的な実施形態例について説明する。
図2は、図1−4の断面図の一部を拡大した図である。図2に示されるように、この実施形態例では、隔壁31の側面と有機発光層51との境界領域R3に設けられている。リーク電流ブロック層60は、隔壁31の側面に沿う形で、撥液部42の上に積層して形成されており、隔壁31の上面部近くの上端部60aから、そして有機発光層51に一部重なる端部60bまでを覆っている。このような位置にリーク電流ブロック層を設けることにより、隔壁近傍で生じやすいリーク電流を抑制し得る。
図3および図4は、画素領域R1を基板上方から見た平面図であり、それぞれリーク電流ブロック層60が設けられる領域についての例を示す。図3に示す実施形態例では、リーク電流ブロック層60は、画素領域R1を臨む隔壁31の内周面の全周にわたって設けられている。
他方、図4に示す実施形態例では、概略小判型(楕円形状)を成す画素領域R1の両端の湾曲部のみにリーク電流ブロック層62が設けられている。リーク電流は、このような湾曲部で発生しやすい場合がある。本実施形態例は、リーク電流が発生する危険性のより高い部分について選択的にリーク電流ブロック層62を形成する例を示すものである。
より信頼性の確率を高めたい場合には、図3に示すように内周全体にリーク電流ブロック層を設けることが好適である。他方、リーク電流が生じやすい部位をさらに特定し得る場合には、例えば図4に示すように、選択的にリーク電流ブロック層62を形成することにより、リーク電流ブロック層に有機材料に用する費用を軽減し、コストの削減を図ることができる。
<陽極>
陽極は、陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機EL素子の場合、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極または半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層および輸送層>
正孔注入層としては、前述した撥液層にその機能を担わせてもよく、例えば、前述したように親液撥液パターンの形成方法で形成してもよい。
なお前述した撥液層と発光層との間に、さらに別の正孔注入層、及び/又は正孔輸送層を形成してもよい。このような正孔注入層または正孔輸送層を構成する材料としては、溶液からの塗布法により形成可能であれば特に限定するものではないが、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリンなどを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
また、前述した撥液層と基板上の電極との間に、撥液層とは別の正孔注入層が形成されていてもよい。この場合には、該正孔注入層の形成方法としては特に限定するものではなく、上記塗布法により形成される材料に加え、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウムおよび酸化アルミニウムなどの無機材料を蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの手法により形成することも可能である。
また、溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料、または正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法などの塗布法を挙げることができる。
正孔注入層および正孔輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<有機発光層>
有機発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機材料、または該有機材料とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で加えられる。なお、有機材料は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。有機発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。なお本明細書において、高分子とは、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10以上であり、通常ポリスチレン換算の数平均分子量が〜10以下である。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えば中心金属に、Al、Zn、Beなど、またはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料などを高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
発光層の成膜方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する際に用いられる溶媒と同様の溶媒を挙げることができる。
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、グラビアコート法、スプレーコート法およびノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法などの印刷法が好ましい。また、昇華性を示す低分子化合物の場合には、真空蒸着法を用いることができる。さらには、レーザーによる転写や熱転写により、所望のところのみに発光層を形成する方法も用いることができる。
<電子輸送層>
基板に陰極を設ける素子構造の場合には、撥液層は陰極の上層に形成することになる。
この場合、前述の撥液層を電子輸送層として用いることができ、該電子輸送層は、親液撥液パターンの形成方法により形成することができる。
なお、基板に陽極を設ける構造のように、前述した撥液層を電子輸送層として用いない場合には、電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態から成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができる。
なお、基板に陰極を設ける素子構造の場合に、撥液層と発光層との間に、さらに電子輸送層を前述した方法により形成してもよい。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
基板に陰極を設ける素子構造の場合には、撥液層は陰極の上層に形成することになる。
この場合、前述の撥液層を電子注入層として用いることができ、該電子注入層として機能する撥液層を前述したように親液撥液パターンの形成方法により形成することができる。
なお、基板に陽極を設ける素子構造のように、前述した撥液層を電子注入層として用いない場合には、電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。
電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびIII−B族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたもの、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたものを挙げることができる。
本実施の形態の有機EL素子は、面状光源、セグメント表示装置およびドットマトリックス表示装置の光源、並びに液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
本実施の形態の有機EL素子を面状光源として用いる場合には、例えば面状の陽極と陰極とを積層方向の一方から見て重なり合うように配置すればよい。またセグメント表示装置の光源としてパターン状に発光する有機EL素子を構成するには、光を通す窓がパターン状に形成されたマスクを前記面状光源の表面に設置する方法、消光すべき部位の有機物層を極端に厚く形成して実質的に非発光とする方法、陽極および陰極のうちの少なくともいずれか一方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらの方法でパターン状に発光する有機EL素子を形成するとともに、いくつかの電極に対して選択的に電圧を印加できるように配線を施すことによって、数字や文字、簡単な記号などを表示可能なセグメントタイプ表示装置を実現することができる。ドットマトリックス表示装置の光源とするためには、陽極と陰極とをそれぞれストライプ状に形成して、積層方向の一方からみて互いに直交するように配置すればよい。部分カラー表示、マルチカラー表示が可能なドットマトリックス表示装置を実現するためには、発光色の異なる複数の種類の発光材料を塗り分ける方法、並びにカラーフィルターおよび蛍光変換フィルターなどを用いる方法を用いればよい。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動してもよく、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状光源は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
以下、実際の有機EL素子の作製工程に基づく、作製例および試験例を示しつつ、本発明についてより詳細に説明するが、本発明は下記作製例等に限定されるものではない。
<作製例1:撥液層を介在させた有機EL素子の製造方法1>
基板上に、ITO薄膜(陽極)/撥液層(正孔注入層)/中間層/発光層/陰極(Ba層/Al層)の層構成を有する有機EL素子を作製した。
透明ガラス基板上にITO薄膜(第1電極)がパターニングされた基板を準備した。
次に、感光性ポリイミド(PI)をスピンコーティング法により全面に塗布し、乾燥させて膜厚1μmのフォトレジスト層を形成した。次にフォトマスクを用いたアライメント露光機により、紫外線を所定の領域に照射し、レジスト現像液(長瀬産業社製:NPD−18)を用いて露光領域を除去した。これによってフォトレジスト層に幅100μm、長さ300μmの矩形状の開口部を形成した。なお隔壁は、ITO薄膜の周縁部を覆って形成されている。
次に、クリーンオーブンで230℃、1時間加熱処理を行い、ポリイミドを完全に加熱硬化させ有機絶縁層(隔壁)を形成した。このようにして幅100μm、長手方向長さ300μmの矩形状に画素領域を規定する隔壁と、隔壁で規定される開口にITO薄膜の表面が露出する第1電極とが設けられたパターニング評価用基板を作製した。
次に、メタノールと水とを重量比で5:95の割合で混合した溶媒に、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランを1重量%混合し、室温で15時間攪拌し、撥液層用溶液を作成した。次に、前記パターニング評価用基板を紫外線オゾン洗浄装置(テクノビジョン社製:UV312)を用いて、基板表面に紫外線オゾン処理を20分間行い、パターニング評価用基板の全面に親液化処理を施した(第1の親液化工程)。
次に、前記パターニング評価用基板上に前記撥液層用溶液をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上で110℃、30分間加熱処理を行い、撥液層を形成した。
次に、撥液層が形成されたパターニング評価用基板を紫外線オゾン洗浄装置(テクノビジョン社製:UV312)を用いて、撥液層が形成された表面に紫外線オゾン処理を20分間行い、前記基板全面に親液化処理を施した(第2の親液化工程)。
次に、下記手法で高分子化合物1を合成した。次に、アニソールとテトラリンとを重量比で1:1に混合した溶媒に、0.5重量%の高分子化合物1を溶解させて中間層用溶液を作製した。インクジェット装置を用いて、中間層用溶液を隔壁に形成された開口内に塗布した。次にホットプレート上で10分間乾燥し、さらに窒素中で200℃のホットプレート上で20分間加熱処理を行うことで、膜厚が20nmの中間層を形成した。
(高分子化合物1の合成例)
まず攪拌翼、バッフル、長さ調整可能な窒素導入管、冷却管、および温度計を備えるセパラブルフラスコに2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン158.29重量部と、ビス−(4−ブロモフェニル)−4−(1−メチルプロピル)−ベンゼンアミン136.11重量部と、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド(ヘンケル社製 Aliquat 336)27重量部と、トルエン1800重量部とを仕込み、窒素導入管から窒素を導入しながら、攪拌下90℃まで昇温した。酢酸パラジウム(II)0.066重量部と、トリ(o−トルイル)ホスフィン0.45重量部とを加えた後、17.5%炭酸ナトリウム水溶液573重量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、窒素導入管を液面より引き上げ、還流下7時間保温した後、フェニルホウ酸3.6重量部を加え、14時間還流下保温し、室温まで冷却した。反応液水層を除いた後、反応液油層をトルエンで希釈し、3%酢酸水溶液、イオン交換水で洗浄した。
分液油層にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物13重量部を加え4時間攪拌した後、活性アルミナとシリカゲルとの混合カラムに通液し、トルエンを通液してカラムを洗浄した。濾液および洗液を混合した後、メタノールに滴下して、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマー沈殿を濾別し、メタノールで沈殿を洗浄した後、真空乾燥機でポリマーを乾燥させ、ポリマー192重量部を得た。得られたポリマーを高分子化合物1とよぶ。高分子化合物1のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.7×105であり、数平均分子量は8.9×104あった。
(GPC分析法)
ポリスチレン換算重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。GPCの検量線の作成にはポリマーラボラトリーズ社製標準ポリスチレンを使用した。測定する重合体は、約0.02重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。GPC装置は島津製作所製LC−10ADvpを用いた。カラムは、ポリマーラボラトリーズ社製PLgel 10μm MIXED−Bカラム(300×7.5mm)を2本直列に接続して用い、移動相としてテトラヒドロフランを25℃、1.0mL/minの流速で流した。検出器にUV検出器を用い、228nmの吸光度を測定した。
次に中間層上に発光層を形成した。まずアニソールとテトラリンとを重量比で1:1の割合で混合した溶媒に、1重量%の高分子発光有機材料(BP361:サメイション社製)を溶解させて発光層用溶液を作製した。発光層用溶液を隔壁によって形成された開口部内に塗布した。さらに塗布後100℃のホットプレート上で10分間乾燥して発光層を作製した。
次に、基板を真空中(真空度は1×10-4Pa以下)で基板を基板温度約100℃で60分間加熱した。その後、基板を大気に曝露することなく陰極を蒸着して形成した。具体的には、まず抵抗加熱法にてBa金属を加熱し、蒸着速度約0.1nm/secで膜厚が5nmのBa層を形成し、さらに電子ビーム蒸着法を用いて蒸着速度約0.2nm/secで膜厚が150nmのAl層を形成した。次に、陰極作製後、蒸着室から大気には曝露することなく不活性雰囲気下のグローブボックスに基板を移し、真空に保った状態で、UV硬化樹脂が周縁に塗布された封止ガラスを貼り合わせ、その後大気圧に戻し、UVを照射することで固定し、高分子有機EL素子を作製した。
<作製例2:撥液層を介在させた有機EL素子の製造方法2>
作製例1において撥液層形成後の紫外線・オゾン処理(第2の親液化工程)を施した後に、プラズマ処理を行ったことを除いて、作製例1と同様にして有機EL素子を作製した。プラズマ処理は、反応性ガスにCF4ガスを用い、真空ドライエッチング装置(サムコ社製リアクティブイオンエッチング装置 Model RIE-200NL)を用いて、CF4流量:10sccm、ガス圧力:40Pa、電力:40Wの条件で120秒間行った(以下、CF4プラズマ処理という)。
<作製例3:撥液層を介在させた有機EL素子の製造方法3>
作製例1において、撥液層形成後の第2の親液化工程を酸素プラズマ処理で行い、さらにCF4プラズマ処理を行ったことを除いて、作製例1と同様にして有機EL素子を作製した。酸素プラズマ処理は、反応性ガスに酸素ガスを用いて行った。酸素プラズマ処理は、真空ドライエッチング装置(サムコ社製リアクティブイオンエッチング装置 Model RIE-200NL)を用いて、O2流量:40sccm、ガス圧力:10Pa、電力:40Wの条件で120秒間行った。CF4プラズマ処理は、作製例2と同じ条件で行った。
<作製例4:撥液層を介在させた有機EL素子の製造方法4>
作製例1において、第1の親液化工程を酸素プラズマ処理で行い、第2の親液化工程の後にCF4プラズマ処理を施したことを除いて、作製例1と同様にして有機EL素子を作製した。酸素プラズマ処理、およびCF4プラズマ処理は、それぞれ作製例3と同じ条件で行った。
<作製例5:撥液層を介在させた有機EL素子の製造方法5>
作製例1において、第1および第2の親液化工程を酸素プラズマ処理で行い、第2の親液化工程の後にCF4プラズマ処理を施したことを除いて、作製例1と同様にして有機EL素子を作製した。酸素プラズマ処理、およびCF4プラズマ処理は、それぞれ作製例3と同じ条件で行った。
(評価1)
作製例1については第2の親液化工程後、作製例2〜5についてはCF4プラズマ処理後に、第1電極(ITO薄膜)上に形成された撥液層とアニソール(表面張力35dyn/cm)との接触角、および隔壁(PI)上に形成された撥液層とアニソールとの接触角を測定した。接触角の測定には、自動接触角測定装置(英弘精機社製:OCA20)を用いた。
(評価2)
作製例1〜5において、発光層用溶液を塗布し、さらに100℃のホットプレート上で10分間乾燥した後に、光学顕微鏡を用いて発光層を観察し、矩形の開口内において一面に発光層が成膜され、矩形の開口外に発光層が形成されていないことを確認した。
(評価3)
作製例1〜5において作製した各有機EL素子のITO薄膜および陰極をソースメーターの正極および負極にそれぞれ接続し、ソースメーターから直流電流を注入して、発光部の状態を観察したところ、良好な発光状態が得られている事を確認した。
作製例1〜5について行った評価1〜評価3の評価結果を表1に示す。
Figure 0005185007
表1に示すように、本発明の親液撥液パターンの形成方法を行うことで、ITO上の撥液層の接触角と、PI上の撥液層の接触角とに有意な差をつけることができた。またこのような基板を用いることで、均一な膜厚の発光層を形成することができ、さらには発光状態の良好な有機EL素子を作製することができた。
<作製例6:リーク電流ブロック層を有する有機EL素子の作製>
本作製例では、全周にわたって画素の周辺部にリーク電流ブロック層が備えられた有機EL素子を作製した。
[基板前処理]
ガラス基板上にITO電極パターンが形成され、その上に住友化学製フォトレジスト(M302R)をパターニングして隔壁形成した基板を使用した。隔壁サイズは170μm×50μm、画素ピッチ237μmであった。基板洗浄後、リアクティブイオンエッチング装置(サムコ社製RIE−200L)により基板の表面処理を行った。表面処理条件はO2プラズマ処理(圧力5Pa、出力30W、O2流量40sccm、時間10分)を行い、続けてCF4プラズマ処理(圧力5Pa、出力5W、CF4流量7sccm、時間5分)を行った。
[正孔注入層形成]
正孔注入層としてPEDOT(H.C、Stark社製CH8000LVW185)に2−ブトキシエタノールを2wt%混合し、0.45μmフィルタにてろ過したものを使用した。そして、Litrex社製80Lを用い、インクジェット塗布を行った。このとき、等間隔に液滴を塗布し、一画素あたりの液滴数は4滴である。塗布後、真空乾燥を行った。
[画素の周辺部にリーク電流ブロック層形成]
熱/光硬化性の絶縁性高分子1を有機溶剤に溶かしたインクを使用し、Litrex社製120Lを用いて、インクジェット塗布を行った。インク添加剤として、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製)、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を重量比で、絶縁性高分子1:DPHA:イルガキュア907=1:0.25:0.01の割合で配合し、絶縁性高分子1が0.4wt%になるようインクを作製した。このとき、1μmフィルタでろ過を行い、粘度を3cPとした。隔壁内全体に塗布する場合には一画素あたり3〜5滴程度を隔壁内に等間隔に塗布した。塗布後、真空中で約200℃、20分加熱処理を行い、絶縁性高分子を硬化させた。
[有機発光層塗布前処理]
加熱処理によって隔壁の撥液効果が消失してしまうため、CF4プラズマ処理(圧力5Pa、出力5W、CF4流量7sccm、時間1分)を行った。また、硬化した絶縁性高分子1上の撥水性を低減するため、UV/O3処理を1分行った。
[有機発光層形成]
発光層インクの溶媒として絶縁性高分子1と同じ有機溶媒を使用した。発光層ポリマーとして、GP1302(サメイション社製)を使用し、インク濃度を0.8wt%とし、粘度を8cPとした。このとき、1μmフィルタにてろ過して使用した。その後、Litrex社製120Lを用いて、インクジェット塗布を行った。一画素あたり7滴ずつ吐出する。塗布後、真空中で約100℃で、60分間の加熱処理を行った。
[蒸着、封止]
加熱処理後、大気にさらさずに蒸着工程へ移行させて、100ÅのBa膜、200ÅのAl膜の順で発光層上に蒸着し陰極を形成した。その後、ガラス封止を行った。
以上の方法にて有機EL素子を作製すると、リーク電流が抑制された良好な動作をする有機EL素子を得ることができた。
<作製例7:リーク電流ブロック層を有する有機EL素子の作製>
本作製例は、画素の湾曲部のみにリーク電流ブロック層を形成する有機EL素子を作製した。
[画素の湾曲部のみにリーク電流ブロック層を形成]
作製例6のリーク電流ブロック層の形成工程において、絶縁性高分子1のインクを画素周辺部全体に形成するのではなく、画素の湾曲部のみに形成することを除いては作製例6と同様にして素子作製を行った。ただし、この場合には、画素の湾曲部分にのみ(1画素につき2箇所に)1滴ずつ吐出した。本作製例7の有機EL素子は、作製例6のものと比較してインクの量を削減することができた。
本発明の一実施形態の工程の一部を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の工程の一部を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の工程の一部を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の工程の一部を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の有機EL素子の断面図である。 本発明一実施形態の有機EL素子の画素領域を凹部の開口側から見た図である。 本発明一実施形態の有機EL素子の画素領域を凹部の開口側から見た図である。
符号の説明
10 基板
20 第1電極
30 感光性樹脂層
31 隔壁
40 撥液層
41 親液部
42 撥液部
43 (親液部と撥液部の)境界
50 塗布液
60、62 リーク電流ブロック層
70 第2電極
90 フォトマスク
R1 画素領域
R2 隔壁領域
R3 境界領域

Claims (15)

  1. 基板に設けられる隔壁により囲まれた画素領域に、第1電極と、第2電極と、前記第1および第2電極の間に配置される1または複数の有機層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
    前記第1電極が形成された基板を用意する工程と、
    前記第1電極の表面を露出させる開口が、前記画素領域に相当する領域に穿設されて成る隔壁を、前記第1電極が形成された基板上に配置する隔壁配置工程と、
    前記第1電極および前記隔壁の表面を親液化処理する第1の親液化工程と、
    前記第1電極および前記隔壁の表面上に撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    前記撥液層の全面を処理することにより、前記撥液層のうちの、前記第1電極の表面上に形成された部位を親液化処理する第2の親液化工程と、
    前記隔壁に囲まれた画素領域に前記有機層を形成する有機層形成工程と、
    前記有機層形成工程ののちに、前記隔壁と前記有機層との境界領域に、前記第1および第2電極の間に設けられる全有機層の電気抵抗以上の電気抵抗を有するリーク電流ブロック層を設ける工程と、
    前記第2電極を設ける第2電極形成工程とを含み、
    前記第1電極と前記隔壁とを互いに異なる材料により形成し、
    前記撥液層を、前記隔壁の表面上に形成された部位よりも、前記第1電極の表面上に形成された部位のほうが、前記第2の親液化工程によって、より親液化される材料により形成する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記第1電極の少なくとも表面部を無機材料により形成し、前記隔壁の少なくとも表面部を有機材料により形成する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 撥液層形成工程において形成される撥液層を、フルオロアルキル基を有するシランカップリング材料を含む材料により形成する、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記撥液層形成工程では、撥液層を形成する材料を含む塗布液を用いる塗布法により撥液層を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記第1および第2の親液化工程では、紫外線オゾン処理によって親液化する、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記第2の親液化工程の後に、プラズマ処理を施す、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記第1および第2の親液化工程のうちの少なくとも一方の工程では、酸素プラズマ処理によって親液化し、
    前記第2の親液化工程の後にプラズマ処理を施す、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記プラズマ処理を、フッ素含有ガスを含む雰囲気で行う、請求項6または7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 前記有機層形成工程において、前記有機層を形成する材料を含むインクをインクジェット法で前記隔壁に囲まれた画素領域に吐出し、着弾したインクを固化させて前記有機層を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 前記リーク電流ブロック層を設ける工程において、前記リーク電流ブロック層を形成する材料を含むインクをインクジェット法で前記隔壁に囲まれた画素領域に吐出し、着弾したインクを固化させて前記リーク電流ブロック層を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記リーク電流ブロック層を設ける工程において、前記着弾したインクを、熱または光により架橋して硬化する、請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法で作製された有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 前記画素領域の平面形状が、概略長円形状をなし、前記リーク電流ブロック層が、平面視で前記画素領域の湾曲部に設けられている、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記リーク電流ブロック層の電気抵抗率が、106Ωcm以上である、請求項12または13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  15. 前記撥液層のうちの第1電極上に形成された部位が正孔注入層として機能する、請求項12から14のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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