図1〜図6を参照して、本発明の情報コンセントを具体化した一実施形態について説明する。
図1を参照して、家屋等の造営物にFTTH(Fiber To The Home)によって配線される回線の構成について説明する。
図1に示すように、造営物に設けられた各部屋R1〜R3の壁面には、それぞれ情報コンセント1、コンセント4及びコンセント5が設けられている。情報コンセント1は、光コンセント部10、LANケーブル接続部20及び加入者線接続部30により構成されている。
情報コンセント1は、壁面の裏面側に配線された有線により、屋外の電線に接続されたキャビネット2と接続されている。また情報コンセント1は、壁面の裏面側に配線された有線により、コンセント4,5に接続されている。具体的には、光コンセント部10は第1光ケーブルC1によってキャビネット2に接続され、LANケーブル接続部20及び加入者線接続部30は第1LANケーブルL1及び第1加入者線K1によってコンセント4,5にそれぞれ接続されている。
情報コンセント1は、壁面の表面側において通信機器であるONU3、ルータ6及び電話器8のそれぞれと有線により接続されている。具体的には、光コンセント部10はONU3と第2光ケーブルC2によって接続され、LANケーブル接続部20はルータ6と第3LANケーブルL3によって接続され、加入者線接続部30は電話機8と第2加入者線K2によって接続されている。また、ONU3とルータ6とは、第2LANケーブルL2によって接続されている。このルータ6は、パソコン7と第4LANケーブルL4によって接続されている。
コンセント4の壁面の表面側は、第5LANケーブルL5によってパソコン7Aに接続され、第3加入者線K3によってファクシミリ9に接続されている。また、コンセント5の壁面の表面側は、第5LANケーブルL5によってパソコン7Bに接続されている。
以上の構成により、光ケーブルによる通信サービス、ADSLによる通信サービス及び電話やファクシミリを一つの情報コンセント1によって対応することができる。また、情報コンセント1とコンセント4,5とが互いに接続されることにより、各部屋R2,R3においても、コンセント4,5とパソコン7A,7B及びファクシミリ9とを第5LANケーブルL5及び第3加入者線K3によって接続するのみにて、ADSLによる通信サービスやファクシミリを使用することができる。
次に、図2を参照して、この情報コンセント1の詳細な構造について説明する。以降では、情報コンセント1の長手方向を「長さ方向」とし、短手方向を「高さ方向」とし、壁面の表面及び裏面を規定する方向を「奥行き方向」とする。また、長さ方向について、情報コンセント1を表面側から見て右方向を「右方」とし、左方向を「左方」とする。
図2に示すように、情報コンセント1は、上述したLANケーブル接続部20及び加入者線接続部30と、光コンセント部10の一部を構成する中間部材40と、これらを取り付けるハウジング50と、ハウジング50の表面側に取り付けられる外カバー部材60と、ハウジング50の裏面側に取り付けられる耐火パネル70とにより構成されている。ハウジング50と外カバー部材60とにより形成された内部の空間内には、中間部材40、LANケーブル接続部20及び加入者線接続部30が収納されている。
光コンセント部10は、中間部材40と光コンセント形成部51と第1光ケーブルC1(図1参照)及び第2光ケーブルC2(図1参照)を互いに接続する光接続具であるレセクタプル11とにより構成されている。
LANケーブル接続部20は、3個のLANモジュラジャック21を取付枠22に取り付けることにより構成されている。
加入者線接続部30は、加入者線モジュラジャック31を取付枠32に取り付けることにより構成されている。
ハウジング50には、光コンセント部10の一部を構成する光コンセント形成部51と、LANケーブル接続部20が取り付けられる第1取付形成部52と、加入者線接続部30が取り付けられる第2取付形成部53とが長さ方向に沿って並列となる態様にて設けられている。
光コンセント形成部51には、第1光ケーブルC1(図1参照)が挿通可能な第1開口穴54が設けられている。この第1開口穴54は第1光ケーブルC1のプラグC11(図5参照)に対して十分に大きく形成されている。これにより、第1光ケーブルC1のケーブル部C12にプラグC11を取り付けた状態において、ハウジング50に対して挿通可能となる。したがって、ケーブル部C12にプラグC11を取り付ける作業と、ケーブル部C12を壁面の裏面側から情報コンセント1の表面側に引き出す作業との順番をなくすことが可能となる。したがって、上記作業の順番を間違えたとしても、第1光ケーブルC1の全体を交換する必要がなくなり、情報コンセント1への第1光ケーブルC1の接続作業が容易となる。
第1取付形成部52及び第2取付形成部53には、LANモジュラジャック21及び加入者線モジュラジャック31が挿通可能な第2開口穴55が設けられている。この第2開口穴55は、長さ方向において第1取付形成部52及び第2取付形成部53の両方に亘り設けられている。これら第1取付形成部52及び第2取付形成部53には、枠形状に形成されるとともに、光コンセント形成部51より奥行き方向の表面側となるように突出した枠体部56が設けられている。
光コンセント形成部51の長さ方向の左方、第1取付形成部52及び第2取付形成部53の高さ方向の上方及び下方には、高さ方向に沿って延びる突状であるとともに外カバー部材60と嵌合する嵌合部57がそれぞれ設けられている。外カバー部材60は、この嵌合部57と嵌合することにより、ハウジング50に取り付けられている。この嵌合部57は、光コンセント形成部51の長さ方向の左方において高さ方向に離間して2つ設けられ、第1取付形成部52及び第2取付形成部53の高さ方向の上方にそれぞれ1つ設けられ、同高さ方向の下方にそれぞれ1つ設けられている。
光コンセント形成部51の高さ方向の上方には、長さ方向の両側において中間部材40を係合するためのハウジング側係合部58が2つ設けられている。これらハウジング側係合部58のうち長さ方向の左方のハウジング側係合部58は、奥行き方向の表面側に延びる高さ方向に離間した2つの延設部58aと、これら延設部58aを互いに連結する連結部58bとにより構成されている。これら延設部58a及び連結部58bにより囲まれた部位には、長さ方向の左方に向かい凹む凹部58cが設けられている。一方、長さ方向の右方のハウジング側係合部58は、枠体部56の側面に設けられた凹部(図示せず)により形成されている。
外カバー部材60は、情報コンセント1の外枠を形成する箱体にて構成されている。この外カバー部材60には、ハウジング50の嵌合部57と嵌合する側壁部61と、側壁部61と一体に設けられるとともに情報コンセント1の表面を構成する表面側壁部62とにより構成されている。表面側壁部62には、LANケーブル接続部20のLANモジュラジャック21と対応するところに第1開口部63、及び加入者線接続部30の加入者線モジュラジャック31と対応するところに第2開口部64がそれぞれ設けられている。これら第1開口部63及び第2開口部64により、外カバー部材60をハウジング50に取り付けた状態において、第3LANケーブルL3及び第2加入者線K2がLANケーブル接続部20及び加入者線接続部30にそれぞれ接続可能となる。
耐火パネル70は、金属板により構成されるとともに、ハウジング50の第1開口穴54及び第2開口穴55に対応した第1開口穴71及び第2開口穴72がそれぞれ設けられている。また、耐火パネル70には、ハウジング50と係合する突起状の複数の係合部73が一体に設けられている。これにより、耐火パネル70は、ハウジング50に容易且つ確実に取り付けられる。また、耐火パネル70がハウジング50に取り付けられることにより、情報コンセント1の簡易耐火性能を向上させることができる。また、耐火パネル70をハウジング50の裏面側に取り付ける構造であるため、耐火パネル70は略平板状とすることができる。したがって、耐火パネル70を外カバー部材60の裏面側に取り付ける構造と比較して、耐火パネル70の構造を単純化することができる。
次に、図3及び図4を参照して、中間部材40の詳細な構造について説明する。
図3に示すように、中間部材40の表面側には、この中間部材40の外枠を構成する側壁部41と表側壁部42とが設けられている。この側壁部41の高さ方向の上方には、ハウジング50のハウジング側係合部58と係合する係合爪である中間部材側係合部41aが設けられている。この中間部材側係合部41aは、長さ方向における両側の側壁部41のそれぞれに設けられている。この中間部材側係合部41aがハウジング側係合部58と係合することにより、具体的には中間部材側係合部41aが内部側に弾性変形しつつハウジング側係合部58の凹部58cに収容されることにより、中間部材40はハウジング50に取り付けられることとなる。また、表側壁部42の高さ方向の上方及び下方には、スイッチボックス(図示せず)に固定するためのボルト(図示せず)を挿通する開口穴であるボルト挿通部42aがそれぞれ設けられている。
図4に示すように、中間部材40の裏面側には、第1光ケーブルC1の余長を収納する余長収納部43と、レセクタプル11を保持するレセクタプル取付部44とが設けられている。また、余長収納部43は、側壁部41にて囲まれた空間内に設けられている。また、中間部材40の高さ方向の上方及び下方には、ボルト挿通部42aを形成する貫通孔を有する突起である突出部49がそれぞれ設けられている。これら突出部49は、中間部材40の高さ方向の上方に設けられる上方突出部49aと、中間部材40の高さ方向の下方に設けられる下方突出部49bとにより構成されている。
余長収納部43は、第1光ケーブルC1のプラグC11を収納するプラグ収納部45と第1光ケーブルC1のケーブル部C12を収納するケーブル収納部46とにより構成されている。また、余長収納部43には、表側壁部42の裏面側より奥行き方向の裏面側に向かい突出するリブ47が設けられている。このリブ47は、高さ方向に沿って延びる第1リブ47aと、長さ方向に沿って延びる第2リブ47bとが設けられている。この第1リブ47aと第2リブ47bとは、中間部材40の中央部において互いに交差している。
ケーブル収納部46には、表側壁部42の裏面側より奥行き方向の裏面側に延びる2つの収納壁部である内側収納壁部46a及び外側収納壁部46bが設けられている。また、ケーブル収納部46には、第1光ケーブルC1の奥行き方向の配線高さを案内する第1ガイド部46c〜第3ガイド部46eと、第1光ケーブルC1を中間部材40より奥行き方向の裏面側に移動することを規制する第1規制部46f〜第4規制部46iとが設けられている。
内側収納壁部46aは、中間部材40の高さ方向の上方に略半円形状に設けられる第1内側壁部46a1と、中間部材40の高さ方向の下方及び長さ方向の中央に設けられる第2内側壁部46a2とにより構成されている。第1内側壁部46a1における高さ方向の下方及び長さ方向の左方には、高さ方向に沿って延びる内側直線部46a3が設けられている。第1内側壁部46a1は、その長さ方向の両端において第2リブ47bの長さ方向の両端部とそれぞれ接続され、その高さ方向の上端において第1リブ47aの高さ方向の上端部と接続されている。これにより、第1内側壁部46a1の強度を向上させることができる。一方、第2内側壁部46a2は、第1リブ47aの高さ方向の下端部と接続されている。これにより、第2内側壁部46a2の強度を向上させることができる。
外側収納壁部46bは、内側収納壁部46aを高さ方向の上方から取り囲む略円弧形状に設けられる第1外側壁部46b1と、中間部材40の高さ方向の下方及び長さ方向の中央に略円弧形状に設けられる第2外側壁部46b2とにより構成されている。第1外側壁部46b1における内側直線部46a3に対応する位置には、高さ方向に沿って延びる外側直線部46b3が設けられている。第2外側壁部46b2には、高さ方向の下方に向かうにつれて長さ方向の右方に湾曲する曲面形状が設けられている。
これら第1内側壁部46a1及び第2内側壁部46a2と第1外側壁部46b1及び第2外側壁部46b2とのそれぞれの表側壁部42の裏面側からの高さは、側壁部41の表側壁部42の裏面側からの高さよりも低く形成されている。また、第2内側壁部46a2の表側壁部42の裏面側からの高さは、第1内側壁部46a1の表側壁部42の裏面側からの高さよりも高い。そして、第2外側壁部46b2の表側壁部42の裏面側からの高さは、第1外側壁部46b1の表側壁部42の裏面側からの高さよりも高い。また、第1内側壁部46a1の表側壁部42の裏面側からの高さと、第1外側壁部46b1の表側壁部42の裏面側からの高さとは互いに等しい。そして、第2内側壁部46a2の表側壁部42の裏面側からの高さと、第2外側壁部46b2の表側壁部42の裏面側からの高さとは互いに等しい。
第1ガイド部46cは、第2内側壁部46a2と第2外側壁部46b2との高さ方向の間において、第2内側壁部46a2と第2外側壁部46b2とを互いに接続する態様にて設けられている。この第1ガイド部46cは、表側壁部42の裏面側から裏面側に向かい突出するとともに高さ方向に沿って延びる形状にて形成されている。また、第1ガイド部46cは、長さ方向において第1リブ47aと同位置に設けられている。そして、第1ガイド部46cの表側壁部42の裏面側からの高さと、第1リブ47aの表側壁部42の裏面側からの高さとは互いに等しい。即ち、第1ガイド部46cの表側壁部42の裏面側からの高さは、第2内側壁部46a2及び第2外側壁部46b2の表側壁部42の裏面側からの高さよりも低く形成されている。また、第1ガイド部46c及び第2ガイド部46dの同高さは、プラグ収納部45に取り付けられた状態におけるプラグC11の表側壁部42の裏面側からの高さと概ね等しくなるように形成されている。
第2ガイド部46dは、第1外側壁部46b1における高さ方向の下方及び長さ方向の左方とこの第1外側壁部46b1に長さ方向において対向する側壁部41との長さ方向の間に設けられている。この第2ガイド部46dは、表側壁部42の裏面側から裏面側に向かい突出するとともに長さ方向に沿って延びる形状にて形成されている。また、第2ガイド部46dの表側壁部42の裏面側からの高さは、第1外側壁部46b1の表側壁部42の裏面側からの高さと等しい。
第3ガイド部46eは、上方突出部49aと高さ方向において略同位置に設けられている。この第3ガイド部46eは、上方突出部49aとこの上方突出部49aと長さ方向において対向する位置の側壁部41とを互いに接続する長さ方向に沿って延びる態様にて設けられている。この第3ガイド部46eの表側壁部42の裏面側からの高さは、第1外側壁部46b1の表側壁部42の裏面側からの高さと等しい。
第1規制部46fは、第2外側壁部46b2の長さ方向の左方の端部において、第2外側壁部46b2の奥行き方向の裏面側の端部から高さ方向の上方に向かい突出する態様にて設けられている。
第2規制部46gは、第2ガイド部46dと対応する側壁部41の位置において、側壁部41の奥行き方向の裏面側の端部から長さ方向の右方に向かい突出する態様にて設けられている。
第3規制部46hは、第1外側壁部46b1の長さ方向の右方の部分と対応する側壁部41の位置において、側壁部41の奥行き方向の裏面側の端部から長さ方向の左方に向かい突出する態様にて設けられている。
第4規制部46iは、第1内側壁部46a1の長さ方向の右方の端部において、第1内側壁部46a1の奥行き方向の裏面側の端部から長さ方向の左方に向かい突出する態様にて設けられている。ここで、第1内側壁部46a1の長さ方向の右方の端部は、第1内側壁部46a1の他の部位よりも奥行き方向の裏面側に延びており、この部分の表側壁部42の裏面側から高さは、側壁部41の表側壁部42の裏面側からの高さと等しく形成されている。
上方突出部49aは、第1外側壁部46b1よりも高さ方向の上方に設けられるとともに、上方突出部49aの高さ方向の下端部において第1外側壁部46b1の高さ方向の上端部と接続されている。下方突出部49bは、第2外側壁部46b2よりも高さ方向の下方に設けられている。そして、下方突出部49bは、第2外側壁部46b2と第3リブ47cにより接続され、側壁部41の高さ方向の下端部と第4リブ47dにより接続されている。これら第3リブ47c及び第4リブ47dは、高さ方向に沿って延びる態様にて設けられている。ここで、第1外側壁部46b1が上方突出部49aと接続することにより、第1外側壁部46b1の強度を向上させることができる。また、第2外側壁部46b2が第3リブ47cと接続することにより、第2外側壁部46b2の強度を向上させることができる。
レセクタプル取付部44には、長さ方向に沿って配列された一対の爪形状であるレセクタプル保持部44aが設けられている。このレセクタプル保持部44aは、下方突出部49bと高さ方向に同位置に設けられている。また、側壁部41における高さ方向の下方には、レセクタプル11を挿入する開口穴であるレセクタプル挿通部41bが設けられている。
ところで、上述のような表側壁部42及び側壁部41を有する箱体の中間部材40では、この中間部材40をハウジング50に取り付けた状態において、余長収納部43のケーブル収納部46に収納されたケーブル部C12の曲げ具合、及び中間部材40とハウジング50との間にケーブル部C12が挟み込まれているか否かを目視にて確認することが困難であった。そこで、本実施形態では、中間部材40として、透視可能な材料であるポリカーボネート樹脂を射出成形することにより形成されている。これにより、中間部材40をハウジング50に取り付けた状態においても、中間部材40を通じてケーブル部C12の曲げ具合等を目視にて確認することができるようになる。特にポリカーボネート樹脂としては、さらに高強度であることが望ましい。
ここで、図3に示すように、中間部材40の表面側において、第1規制部46f〜第4規制部46i及びレセクタプル保持部44aに対応するところには、それぞれ貫通孔42bが設けられている。この貫通孔42bが設けられることにより、中間部材40を射出成形する場合において、射出成形の金型を奥行き方向に対して分離した上下型とすることが可能となる。
ところで、情報コンセントの部品点数の削減のために、中間部材40を用いずに、外カバー部材60に余長収納部43及びレセクタプル取付部44を設ける構造が考えられる。しかしながら、この構造では外カバー部材60にボルト挿通部42aを設ける必要があり、情報コンセントの表面側にボルトが露出することとなるために、情報コンセントの美観が損なわれてしまう問題があった。また、外カバー部材60をボルトにて固定する構造となるため、外カバー部材60自体がボルトの締め付けに対して十分な剛性を有する必要があり、そのためには外カバー部材60の厚さを厚くしなければならなかった。その結果、外カバー部材60の大型化を招いてしまう問題があった。
一方、そのような問題を発生させないために、外カバー部材60をボルトにて固定せずに、ハウジング50と嵌合により取り付ける構造が考えられる。しかしながら、外カバー部材60に設けられたレセクタプル取付部44により第2光ケーブルC2を抜き差しするため、その抜き差しに起因する外力が外カバー部材60に加わってしまう。したがって、第2光ケーブルC2の抜き差しに起因する外力によって、外カバー部材60がハウジング50から外れてしまう問題があった。
その点において、本実施形態では、中間部材40にレセクタプル取付部44が設けられる構造であるため、外カバー部材60には、第2光ケーブルC2の抜き差しに起因する外力が加わらない。したがって、第2光ケーブルC2の抜き差しによっては、外カバー部材60がハウジング50に対して外れることが抑制されることとなる。
また、中間部材40の厚さは、外カバー部材60の厚さよりも厚く形成されている。したがって、中間部材40がボルトの締め付けに対して十分な剛性を有することとなるとともに、外カバー部材60の厚さを薄くすることにより外カバー部材60の大型化を抑制することとなる。また、中間部材40がボルトにて固定され、外カバー部材60はハウジング50と嵌合にて取り付けられる構造であるため、外カバー部材60によってボルトが覆われるようになる。したがって、情報コンセント1の美観が損なわれることを抑制することができる。
図5を参照して、中間部材40に第1光ケーブルC1が収納される態様について説明する。
第1光ケーブルC1のケーブル部C12の端部にプラグC11を取り付ける作業は、専門業者が専門の工具を用いて行う技術難易度の高い作業である。そのため、この作業を数回失敗したとしても、第1光ケーブルC1を造営材から再度引き直すことがないように、予め第1光ケーブルC1を長く造営材より引き出すようにしている。したがって、造営材より引き出された第1光ケーブルC1の長さが長いため、余長収納部43では第1光ケーブルC1を長く収納できる構造が必要である。一方、第1光ケーブルC1はその余長を収納するために第1光ケーブルC1を曲げる必要があるが、その曲げが許容最小曲率半径より小さくなると、第1光ケーブルC1に不具合が生じてしまう。したがって、余長収納部43においては、第1光ケーブルC1は許容最小曲げ半径以上にて曲げた状態において収納する必要があり、余長収納部43を形成するスペースに制約があった。
そこで、本実施形態では、余長収納部43に第1ガイド部46c〜第3ガイド部46eが設けられることにより、ケーブル部C12を余長収納部43内において複数回に亘り配線することができるようになっている。以下、ケーブル部C12の具体的な配線について説明する。
図5に示すように、ハウジング50の第1開口穴54から引き出された第1光ケーブルC1のプラグC11をレセクタプル11に接続した状態において、ケーブル部C12の余長を余長収納部43に収納する。具体的には、以下のようにケーブル部C12の余長は収納される。
即ち、プラグC11の背面C13から引き出されたケーブル部C12は、第1内側壁部46a1と第2外側壁部46b2との間の空間内において配線される。即ち、ケーブル部C12は、同空間内において略半円状に配線される。そして、ケーブル部C12は、第1内側壁部46a1とこの第1内側壁部46a1と長さ方向において対向する側壁部41との間から高さ方向の下方に向かい配線され、第2内側壁部46a2と第2外側壁部46b2との間の空間内において配線される。また、プラグC11の背面C13から引き出されたケーブル部C12は、内側直線部46a3及び外側直線部46b3の間に配線されることにより一旦高さ方向の上方に沿って延びるようになる。この構成により、プラグC11の背面C13に近接したケーブル部C12に曲げによる力が加わることを抑制することができる。
ここで、ケーブル部C12が第1ガイド部46cを奥行き方向の裏面側から跨ぐことにより、ケーブル部C12は奥行き方向の裏面側に変更される。そしてこの状態において、ケーブル部C12は、プラグC11を奥行き方向の裏面側から跨いで、長さ方向の左方且つ高さ方向の上方に向かい配線される。そして第2ガイド部46dによりプラグC11を跨ぐ際のケーブル部C12の奥行き方向の高さを維持することができる。また、第1規制部46f及び第2規制部46gにより、第1ガイド部46c及び第2ガイド部46dを跨いだケーブル部C12は、側壁部41の奥行き方向の裏面側の端部よりも裏面側に移動することが抑制されている。
第2ガイド部46dを跨いだケーブル部C12は、高さ方向の上方に向かい配線され、第3ガイド部46eを跨ぐように配線される。このときケーブル部C12は、側壁部41に沿って高さ方向の上方且つ長さ方向の右方に向かい湾曲するように配線される。そして、上方突出部49aの高さ方向の上方から配線するとともに、側壁部41に沿って長さ方向の右方に向かうにつれて高さ方向の下方になるように配線される。そしてケーブル部C12は、第1内側壁部46a1の奥行き方向の裏面側から跨ぐように配線される。このときケーブル部C12は、第3規制部46h及び第4規制部46iにより、側壁部41の奥行き方向の裏面側の端部よりも裏面側に移動することが抑制されている。
図6を参照して、中間部材40のハウジング50に対する取付態様について説明する。
図6に示すように、中間部材40は、ハウジング50における光コンセント形成部51に設けられた嵌合部57よりもハウジング50の内部に設けられている。即ち、嵌合部57により、中間部材40の側壁部41(図2参照)は外カバー部材60の側壁部61(図2参照)よりも内部に設けられることとなる。
また、光コンセント形成部51に設けられた第1開口穴54は、高さ方向において、中間部材40の側壁部41の高さ方向の上端の部位から第2外側壁部46b2までに亘り設けられている。そして、第1開口穴54は、長さ方向において、互いに対向する中間部材40の側壁部41の内面までに亘り設けられている。即ち、第1開口穴54は、余長収納部43(図5参照)に収納されたケーブル部C12よりも外部となるように形成されている。
また、中間部材40の側壁部41の奥行き方向の裏面側の端面と光コンセント形成部51の表面とは互いに接触している。これにより、側壁部41と光コンセント形成部51との間に間隙が生じることを抑制している。
本実施形態の情報コンセント1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、中間部材40に余長収納部43及びレセクタプル取付部44の両方が設けられる構造である。したがって、中間部材40を施工者の手元に持ってきて第1光ケーブルC1の余長を収納する作業を行うことができるため、施工者の作業性を向上させることができる。また、従来のような余長収納部が設けられる部材と光接続具取付部が設けられる部材とが各別に設けられる構造と比較して、情報コンセント1の部品点数の増大を抑制することができる。特に、中間部材40が射出成形によって単一部材として設けられるため、情報コンセント1の部品点数の増大を抑制する効果をより一層向上させることができる。
(2)本実施形態によれば、中間部材40の内部に余長収納部43が設けられる構造である。したがって、中間部材40をハウジング50に取り付ける場合において、第1光ケーブルC1のケーブル部C12が他の部材と干渉することにより、第1光ケーブルC1のケーブル部C12が破損することを抑制することができる。
また、中間部材40の側壁部41の内部に余長収納部43が設けられる構造である。したがって、側壁部41の内部において第1光ケーブルC1のケーブル部C12の余長を収容することができるため、外カバー部材60とハウジング50との間にケーブル部C12が挟み込まれることを抑制することができる。
特に、本実施形態では、側壁部41がハウジング50の光コンセント形成部51に接触している。したがって、側壁部41と光コンセント形成部51との間に奥行き方向の間隙が形成されないため、側壁部41から外部へケーブル部C12が出てしまうことを抑制することができる。
また、光コンセント形成部51の第1開口穴54は、余長収納部43よりも大きく形成されている。したがって、ケーブル部C12が中間部材40と光コンセント形成部51との間に挟み込まれることを抑制することができる。
(3)本実施形態によれば、中間部材40は透視可能な材料で形成されるとともに、中間部材40が壁面の表面側に配置される構造である。したがって、中間部材40が壁面の裏面側に配置される構造と比較して、中間部材40の余長収納部43に収納されたケーブル部C12の曲がり具合等を目視にて容易に確認することができる。
(4)本実施形態によれば、ハウジング50に設けられた嵌合部57によって外カバー部材60は取り付けられる構造である。したがって、ハウジング50に対して外カバー部材60をボルト等の固定部材を用いて取り付ける場合と比較して、外カバー部材60の表面側に上記固定部材が露出することがないため、情報コンセント1の美観を損なうことを抑制することができる。
また、中間部材40は嵌合部57よりも内部に設けられている。したがって、中間部材40の側壁部41より外部に外カバー部材60の側壁部61が配置されることとなるため、外カバー部材60とハウジング50との間にケーブル部C12が挟み込まれることを抑制することができる。
(5)本実施形態によれば、中間部材40は透視可能な材料にて形成される。したがって、中間部材40の余長収納部43に収納されたケーブル部C12の曲がり具合や中間部材40とハウジング50との間に挟み込まれているか否かを目視にて容易に確認することができる。したがって、施工者の作業性を向上させることができる。
特に、中間部材40は、側壁部41と表側壁部42とか構成される箱体にて形成されている。したがって、中間部材40の強度を向上させることができる。これにより、中間部材40をボルトによって締め付けて固定する場合において十分な強度を得ることができる。しかしながら一方では、中間部材40の奥行き方向の表面側に表側壁部42が配置される構造であるため、余長収納部43に収納されたケーブル部C12の曲がり具合等が施工者から確認できない問題があった。その点において、本実施形態では、上述のように中間部材40を透視可能な材料にて形成するため、上記問題を解決することができる。したがって、本実施形態の中間部材40では、中間部材40の強度の向上とケーブル部C12の曲がり具合等の目視による確認との両立を図ることができる。
(6)本実施形態によれば、余長収納部43に第1ガイド部46cが設けられることにより、ケーブル部C12はプラグC11の奥行き方向の裏面側を跨ぐように配線される構造である。したがって、余長収納部43内にケーブル部C12を2回に亘り配線することができるため、ケーブル部C12の余長を好適に収納することができる。
また、ケーブル収納部46にケーブル部C12を収納した後に、レセクタプル11にプラグC11を接続するような場合においては、レセクタプル11にプラグC11が接続可能なようにケーブル部C12の長さを調整しつつ、ケーブル収納部46にケーブル部C12を収納しなければならず、ケーブル部C12の余長の収納作業の作業性が低下していた。その点において、本実施形態では、第1ガイド部46cによりケーブル部C12がプラグC11の裏面側を跨ぐことが可能となったため、レセクタプル11にプラグC11を接続した後にケーブル収納部46にケーブル部C12を収容することができるようになる。
(7)本実施形態によれば、中間部材40の表側壁部42に貫通孔42bが設けられる構造である。したがって、貫通孔42bにより中間部材40の奥行き方向において、第1規制部46f〜第4規制部46i及びレセクタプル保持部44aと重なる部位がなくなるため、この中間部材40を成形する金型を奥行き方向に分離した上下型にて構成することができる。したがって、金型構造が単純化でき、金型のコストダウンを図ることができる。その結果、情報コンセント1のコストダウンを図ることができる。
(8)本実施形態によれば、中間部材40の中央部には、第1リブ47a及び第2リブ47bが設けられている。したがって、中間部材40の剛性を向上させることができる。その結果、中間部材40を固定するボルトの締め付けに対して十分に耐えることができる。
特に中間部材40内にはケーブル収納部46が設けられるが、第1光ケーブルC1のケーブル部C12を内側収納壁部46a及び外側収納壁部46bに巻きつけるときには許容最小曲率半径以上としなければならないため、ケーブル収納部46は、中間部材40内における側壁部41側に設けられることとなる。したがって、中間部材40の中央部はケーブル部C12が配置されない空間を形成することとなる。また、中間部材40の表側壁部42においては、側壁部41と連結している表側壁部42の外部側の強度は高いが、表側壁部42の中央部の強度は、同外部側よりも低くなる。
そこで、表側壁部42の強度の低くなり、且つケーブル部C12が配置されない中央部に第1リブ47a及び第2リブ47bが設けられるため、中間部材40内のスペースを有効に活用することができるとともに、表側壁部42の中央部の強度を向上させることができる。したがって、中間部材40の大型化を抑制しつつも、ボルトの締め付けに対して十分に耐えることができる。
(9)本実施形態によれば、中間部材40には、ハウジング側係合部58と係合する中間部材側係合部41aが設けられる。これにより、中間部材40は、ハウジング側係合部58に中間部材側係合部41aを係合させることにより、ハウジング50に取り付けることができる。したがって、中間部材40をボルトによってスイッチボックスに固定するときには、中間部材40を安定して保持することができる。その結果、中間部材40をスイッチボックスに取り付ける作業を容易に行うことができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態の情報コンセント1は、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、情報コンセント1として、光コンセント部10、LANケーブル接続部20及び加入者線接続部30により構成されたが、情報コンセント1はこれに限定されることはない。例えば、図7に示すように、情報コンセント1として光コンセント部10のみの構造であってもよい。また、情報コンセント1として、光コンセント部10及びLANケーブル接続部20による構成、または光コンセント部10及び加入者線接続部30による構成とすることもできる。これらの構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・上記実施形態では、中間部材40を透視可能な材料にて構成することにより、余長収納部43に収納されたケーブル部C12の曲がり具合等を目視にて確認したが、ケーブル部C12の曲がり具合等を目視にて確認するための中間部材40の構成は、透視可能な材料を用いることに限られない。例えば、図8に示すように、余長収納部43に対応する表側壁部42のところに開口部42cを設ける構造とすることもできる。この構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(4)及び(6)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・また、上記開口部42cをメッシュ状に形成することもできる。この構造において、大きな貫通孔を有する開口部42cとメッシュ状の開口部42cとを併用する構造とすることもできる。この構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・また、上記開口部42cが設けられる位置は、表側壁部42に限定されることはない。ケーブル部C12の曲がり具合等を確認することができる位置に設けられていればよいため、例えば側壁部41に設けることもできる。具体的には、側壁部41において余長収納部43のケーブル収納部46が視認可能な位置に上記開口部42cを設けることもできる。この構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・上記実施形態では、中間部材40が壁面より裏面側に配置される構成とすることもできる。この構成においても、上記実施形態の効果(1)、(2)、及び(4)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・上記実施形態では、中間部材40に表側壁部42を設けたが、中間部材40の形状はこれに限定されることはない。例えば、中間部材40に表側壁部42が設けられない形状、即ち中間部材40の外枠が側壁部41のみにて構成される形状とすることもできる。
・また、中間部材40として、側壁部41も設けられない構造、即ち余長収納部43、レセクタプル取付部44及び突出部49により構成される構造とすることもできる。この構造においても、上記実施形態の効果(1)及び(4)及び(6)〜(9)に準じた効果を奏することができる。
・上記実施形態では、中間部材40に第1リブ47a及び第2リブ47bが設けられたが、中間部材40に第1リブ47a及び第2リブ47bが設けられない構造とすることもできる。この構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(7)及び(9)に準じた効果を奏することができる。
・上記実施形態では、中間部材40の余長収納部43が内側収納壁部46aと外側収納壁部46bとにより構成されたが、余長収納部43の構造及び形状はこれに限定されることはない。ケーブル部C12を収納できる構造であればよいため、例えば余長収納部43は内側収納壁部46aのみから構成される構造とすることもでき、同様に外側収納壁部46bのみから構成される構造とすることもできる。この場合において、同一の収納壁に複数回ケーブル部C12を巻きつける構造となる。
・上記実施形態では、中間部材40のレセクタプル取付部44は一対の爪形状であるレセクタプル保持部44aにより構成されたが、レセクタプル取付部44の形状及び構造はこれに限定されることはない。レセクタプル11が中間部材40に取り付けられる構造であればよい。
・上記実施形態では、ハウジング50の光コンセント形成部51の第1開口穴54には、第1光ケーブルC1が挿通される構造であったが、図9に示すように、第1光ケーブルC1に代えて同軸ケーブルCTを通す構造とすることもできる。この構造においては、光コンセント形成部51の高さ方向の下方に設けられた高さ方向に沿った開口部である同軸ケーブル挿通部51aが設けられている。そして、同軸ケーブルCTは、この同軸ケーブル挿通部51aから情報コンセント1の外部に引き出される。
・また、この光コンセント形成部51には、同軸ケーブルCTのハウジング50に対する奥行き方向及び長さ方向の位置を固定するために、係止部とこの係止部に同軸ケーブルCTを固定するためのインシュロックを設ける構造とすることもできる。
・上記実施形態では、中間部材40として、透明なポリカーボネート樹脂を用いたが、透視可能な材料はこれに限定されることはない。中間部材40は、透視可能な材料であればよいため、例えばポリカーボネート樹脂に代えてガラスを用いてもよい。また、ポリカーボネート樹脂に限定されることなく、他の透明な樹脂を用いてもよい。この構造においても、上記実施形態の効果(1)〜(9)に準じた効果を奏することができる。